(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】機械的にカップリングされたリーフレットを有する人工弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230213BHJP
A61F 2/06 20130101ALI20230213BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/06
(21)【出願番号】P 2020203248
(22)【出願日】2020-12-08
(62)【分割の表示】P 2018228319の分割
【原出願日】2015-12-18
【審査請求日】2020-12-08
(32)【優先日】2014-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン ブイ.ディエンノ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジー.ダナム
(72)【発明者】
【氏名】コーディ エル.ハートマン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0112309(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0168839(US,A1)
【文献】特表2002-525169(JP,A)
【文献】特表2013-540467(JP,A)
【文献】特許第6616418(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁であって、
前記人工弁が、
1つ又は2つ以上のリーフレットであって、それぞれのリーフレットが、リーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジとを有する、リーフレット、及び
リーフレットフレーム内面と、前記リーフレットフレーム内面とは反対側のリーフレットフレーム外面と、前記リーフレットフレーム内面と前記リーフレットフレーム外面との間に延びる2つ以上のリーフレットフレームエッジとを有する環状形状を画定するリーフレットフレームであって、前記2つ以上のリーフレットフレームエッジのうち少なくとも1つの少なくとも一部が、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面を画定する、リーフレットフレームを含み、
前記リーフレットフレームは、前記1つ又は2つ以上のリーフレット保持面のそれぞれから延びる複数のリーフレットフレーム突起を有しており、各リーフレットフレーム突起は突起ベース部分と、前記突起ベース部分とは反対側の突起ヘッド部分とを含み、前記複数のリーフレットフレーム突起が互いに間隔を置いて設けられており、
各リーフレットフレーム突起が前記突起ベース部分で前記リーフレット保持面から延びており、前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが、少なくとも部分的に前記リーフレット取り付け領域を通って延びており、そして前記リーフレットが前記リーフレットフレーム上に保持されており、
前記リーフレットフレームが複数の交連ポストを有しており、前記複数の交連ポストが、前記リーフレット保持面を有する前記リーフレットフレームエッジの一部を含み、前記リーフレット保持面から、複数の前記リーフレットフレーム突起の少なくとも1つが延びており、そして
それぞれの交連ポストが、前記交連ポストを貫通するポストスロットを有しており、前記リーフレット自由エッジに隣接する前記リーフレット取り付け領域の一部が、それぞれのリーフレット保持面に隣接するポストスロットを通って延びる、
人工弁。
【請求項2】
さらに、それぞれのリーフレットフレーム突起からのそれぞれのリーフレットの分離を妨げるために、機械的干渉を提供するように形成された、前記リーフレットフレームにカップリングされた拘束エレメントを含む、請求項1に記載の人工弁。
【請求項3】
前記リーフレットフレーム突起のそれぞれと一体的であり、かつ、それぞれのリーフレットフレーム突起からのそれぞれのリーフレットの分離を妨げるために、機械的干渉を提供するように形成された拘束エレメントをさらに含む、請求項1に記載の人工弁。
【請求項4】
前記拘束エレメントが前記突起ヘッド部分を含む、請求項3に記載の人工弁。
【請求項5】
前記突起ヘッド部分の横方向寸法が前記突起ベース部分の横方向寸法よりも大きい、請求項4に記載の人工弁。
【請求項6】
前記拘束エレメントがキャップであり、前記キャップが、前記1つ又は2つ以上のリーフレットフレーム突起からの前記リーフレット取り付け領域の分離を妨げるのに適した1つ又は2つ以上のリーフレットフレーム突起の少なくとも一部をカバーしている、請求項2に記載の人工弁。
【請求項7】
前記リーフレット取り付け領域は、互いに間隔を置いて設けられた複数のリーフレットアパーチャを画定することにより、前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが前記複数のリーフレットアパーチャのうちの対応する1つを通って延びるようになっている、請求項1に記載の人工弁。
【請求項8】
隣接するリーフレットフレーム突起の間の距離が2mm未満である、請求項1に記載の人工弁。
【請求項9】
隣接するリーフレットフレーム突起の間の距離が少なくとも0.5mmである、請求項1に記載の人工弁。
【請求項10】
前記リーフレットフレームがリーフレットフレーム第1エッジと、前記リーフレットフレーム第1エッジとは反対側のリーフレットフレーム第2エッジと、少なくとも1つのリーフレットフレーム内縁部とを有しており、そして、前記リーフレット保持面が前記リーフレットフレーム第2エッジ、前記リーフレットフレーム第1エッジ、及び少なくとも1つのリーフレットフレーム内縁部のうちの1つ又は2つ以上である、請求項1に記載の人工弁。
【請求項11】
前記リーフレット保持面が前記リーフレットフレーム第2エッジである、請求項10に記載の人工弁。
【請求項12】
前記リーフレットフレームが複数の交連ポストと、それぞれの交連ポストの各側方をフランキングするリーフレット窓フレームエレメントセットとを有しており、それぞれのリーフレット窓フレームエレメントセットと、前記複数の交連ポストのうちの2つとが複数のリーフレット窓のうちの1つを画定する、請求項10に記載の人工弁。
【請求項13】
それぞれの交連ポストが前記交連ポストを貫通するポストスロットを有しており、前記リーフレット自由エッジに隣接する前記リーフレット取り付け領域の一部が、前記リーフレット取り付け領域の一部に隣接する前記ポストスロットを通って延びることにより、2つのリーフレットの一部がそれぞれのポストスロットを通って延びるようになっている、請求項12に記載の人工弁。
【請求項14】
前記リーフレット窓フレームエレメントセットが2つのリーフレット窓側部と、前記リーフレット窓側部の間のリーフレット窓ベースとを含む、請求項
12に記載の人工弁。
【請求項15】
前記リーフレット窓側部がそれぞれ、前記リーフレット窓側部を通る側部受容スロットを画定し、そして前記リーフレット窓ベースがベース受容スロットを画定し、前記リーフレット窓側部が前記リーフレット保持面の一部を含み、前記リーフレット窓ベースが、前記リーフレット保持面の一部を含み、そして、前記リーフレット取り付け領域の第1部分が、前記2つの側部受容スロットのうちの一方を通って延び、これとともにそれぞれのリーフレットフレーム突起が前記リーフレット取り付け領域を通って延びており、前記リーフレット取り付け領域の第2部分が、前記2つの側部受容スロットのうちの他方を通って延び、これとともにそれぞれのリーフレットフレーム突起が前記リーフレット取り付け領域を通って延びており、そして前記リーフレット取り付け領域の第3部分が、前記ベース受容スロットを通って延び、これとともにそれぞれのリーフレットフレーム突起が前記リーフレット取り付け領域を通って延びている、請求項14に記載の人工弁。
【請求項16】
前記リーフレット取り付け領域が1つ又は2つ以上の切り欠きを画定している、請求項15に記載の人工弁。
【請求項17】
前記リーフレット保持面が前記リーフレットフレーム第2エッジである、請求項15に記載の人工弁。
【請求項18】
前記リーフレット窓フレームエレメントのうちの1つ又は2つ以上が、前記リーフレット窓フレームエレメントを貫通するリーフレットフレーム開口を画定しており、前記リーフレットフレーム開口が、それぞれの受容スロットに隣接し、前記リーフレットフレーム第2エッジとは反対の側に位置しており、前記リーフレット保持面が、それぞれのリーフレットフレーム開口を画定する前記リーフレットフレーム内縁部の一部を含む、請求項15に記載の人工弁。
【請求項19】
前記リーフレット窓フレームエレメントセットが一緒に、二等辺四辺形の3辺を画定しており、前記リーフレット窓ベースが、ほぼ真っ直ぐなリーフレット窓ベース第2エッジを画定している、請求項15に記載の人工弁。
【請求項20】
前記リーフレットが、前記リーフレット取り付け領域で補強されたリーフレット材料から形成されている、請求項1に記載の人工弁。
【請求項21】
前記リーフレットフレーム突起が、前記人工弁の中心長手方向軸線に対してほぼ平行な方向に延びている、請求項1に記載の人工弁。
【請求項22】
さらに、前記リーフレットフレームにカップリングされたリーフレットフレームジャケットを含み、前記リーフレットフレームジャケットが内方に向かって突出したリップを有しており、そして前記リーフレットの前記リーフレットフレームからの分離を妨げるように形成されている、請求項21に記載の人工弁。
【請求項23】
前記リップが、前記リーフレットフレーム突起が内部へ延びる1つ又は2つ以上の凹部を画定している、請求項22に記載の人工弁。
【請求項24】
前記リーフレットフレーム突起が、前記リーフレット保持面に対してほぼ垂直な方向に延びる、請求項1に記載の人工弁。
【請求項25】
それぞれのリーフレットが閉位置へ向かって付勢されるように、それぞれのリーフレットは、リーフレットフレーム内面からほぼ垂直に伸長可能である、請求項1に記載の人工弁。
【請求項26】
前記リーフレットフレーム突起が形状記憶材料を含み、前記リーフレットフレーム突起が、前記リーフレット取り付け領域の前記リーフレットフレーム突起上への前進を可能にするのに適した第1形状を画定し、そして前記リーフレットフレーム突起が、前記リーフレット取り付け領域の前記リーフレットフレーム突起からの分離を妨げるのに適した第2形状を画定する、請求項1に記載の人工弁。
【請求項27】
前記リーフレットフレーム突起が塑性変形可能な材料を含み、前記リーフレットフレーム突起が、前記リーフレット取り付け領域の前記リーフレットフレーム突起上への前進を可能にするのに適した第1形状を画定し、そして前記リーフレットフレーム突起が、前記リーフレット取り付け領域の前記リーフレットフレーム突起からの分離を妨げるのに適した塑性変形によって第2形状を画定する、請求項1に記載の人工弁。
【請求項28】
前記リーフレットフレームが、外科的人工弁として使用するのに適した1つの直径を有するように動作可能である、請求項1に記載の人工弁。
【請求項29】
前記リーフレットフレームが、第1直径と、経カテーテル人工弁として使用するのに適した前記第1直径よりも大きい第2直径とを有するように動作可能である、請求項1に記載の人工弁。
【請求項30】
前記リーフレットフレームが第1直径にあるときには、前記リーフレットフレームのエレメントのさらなる圧縮を防止して前記リーフレットの圧壊を防止するように、互いに対向するリーフレットフレーム突起が互いに当接する、請求項29に記載の人工弁。
【請求項31】
前記リーフレットフレームが第1直径にあるときには、互いに対向するリーフレットフレーム突起が、前記リーフレットフレームの前記第1直径を最小化するように前記対向するリーフレットフレーム突起間の当接を防止するように、互いにスタガード配列を成す、請求項30に記載の人工弁。
【請求項32】
前記リーフレットが、合成であるか又は動物起源である材料を含む、請求項1に記載の人工弁。
【請求項33】
前記リーフレットが少なくとも1つのフルオロポリマーメンブラン層を含む、請求項1に記載の人工弁。
【請求項34】
前記リーフレットが、2つ以上のフルオロポリマーメンブラン層を有する積層体を含む、請求項33に記載の人工弁。
【請求項35】
前記少なくとも1つのフルオロポリマーメンブラン層が延伸フルオロポリマーメンブラン層である、請求項33に記載の人工弁。
【請求項36】
エラストマー又はエラストマー材料が前記延伸フルオロポリマーメンブラン層の多孔質構造内部に含有されるか、前記延伸フルオロポリマーメンブラン層の一方又は両方の側に塗布されるか、又は前記延伸フルオロポリマーメンブラン層上に塗布され且つ前記延伸フルオロポリマーメンブラン層内部に含有される、請求項35に記載の人工弁。
【請求項37】
前記エラストマー又はエラストマー材料が、ペルフルオロメチルビニルエーテルとテトラフルオロエチレンとを含む、請求項36に記載の人工弁。
【請求項38】
前記延伸フルオロポリマーメンブラン層がePTFEを含む、請求項36に記載の人工弁。
【請求項39】
前記リーフレットフレームが金属及びポリマーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の人工弁。
【請求項40】
前記リーフレットが、複数の孔を有する少なくとも1つのフルオロポリマーメンブラン層と、前記フルオロポリマーメンブラン層のうちの少なくとも1つのメンブラン層の孔内に存在するエラストマー又はエラストマー材料とを有する複合材料を含む、請求項1に記載の人工弁。
【請求項41】
前記複合材料が、10重量%~90重量%でフルオロポリマーメンブランを含む、請求項40に記載の人工弁。
【請求項42】
前記エラストマーが(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)を含む、請求項40に記載の人工弁。
【請求項43】
前記フルオロポリマーメンブラン層がePTFEを含む、請求項40に記載の人工弁。
【請求項44】
前記エラストマーがシリコーンである、請求項40に記載の人工弁。
【請求項45】
前記エラストマー又はエラストマー材料がフルオロエラストマーである、請求項40に記載の人工弁。
【請求項46】
前記エラストマーがウレタンである、請求項40に記載の人工弁。
【請求項47】
前記エラストマー又はエラストマー材料がTFE/PMVEコポリマーである、請求項40に記載の人工弁。
【請求項48】
前記TFE/PMVEコポリマーが本質的に、40~80重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルと、相補的に60~20重量パーセントのテトラフルオロエチレンとを含む、請求項47に記載の人工弁。
【請求項49】
人工弁付き導管であって、
前記人工弁付き導管が、
1つ又は2つ以上のリーフレットであって、それぞれのリーフレットが、リーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジとを有する、リーフレット、及び
リーフレットフレーム内面と、前記リーフレットフレーム内面とは反対側のリーフレットフレーム外面と、前記リーフレットフレーム内面と前記リーフレットフレーム外面との間に延び
る2つ以上のリーフレットフレームエッジとを有する環状形状を画定するリーフレットフレームであって、前
記2つ以上のリーフレットフレームエッジのうち少なくとも1つの少なくとも一部が、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面を画定する、リーフレットフレームを含み、
前記リーフレットフレームは、前記1つ又は2つ以上のリーフレット保持面のそれぞれから延びる複数のリーフレットフレーム突起を有しており、各リーフレットフレーム突起は突起ベース部分と、前記突起ベース部分とは反対側の突起ヘッド部分とを含み、複数のリーフレットフレーム突起が互いに間隔を置いて設けられており、
前記人工弁付き導管が、
それぞれのリーフレットのそれぞれのリーフレットフレーム突起からの分離を妨げるために機械的干渉を提供するように形成された拘束エレメントと、
第1導管第1ルーメン端部と、第1導管第2ルーメン端部と、前記ルーメン端部を通る第1導管ルーメンとを有する管状形状を画定する第1導管であって、前記第1導管が、互いに間隔を置いて設けられた複数の第1導管アパーチャを画定する前記第1導管第2ルーメン端部に第1導管係合面を有していることにより、前記第1導管係合面において、前記リーフレットフレーム突起の1つが前記複数の第1導管アパーチャのうちの対応する1つを通って延びている、第1導管と
を含み、
ここで、各リーフレットフレーム突起が前記突起ベース部分で前記リーフレット保持面から延びており、前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが、前記リーフレット取り付け領域を通って延びており、そして前記リーフレットが前記リーフレットフレーム上に保持されており、そして
前記第1導管係合面が前記リーフレット保持面と前記リーフレット取り付け領域との間に配置されており、前記第1導管は前記リーフレットフレーム上に保持されている、
人工弁付き導管。
【請求項50】
前記拘束エレメントが突起ヘッド部分を含む、請求項49に記載の人工弁付き導管。
【請求項51】
前記突起ヘッド部分の横方向寸法が前記突起ベース部分の横方向寸法よりも大きい、請求項50に記載の人工弁付き導管。
【請求項52】
前記第1導管が人工血管グラフトである、請求項49に記載の人工弁付き導管。
【請求項53】
前記第1導管が延伸フルオロポリマーを含む、請求項49に記載の人工弁付き導管。
【請求項54】
前記第1導管が延伸ポリテトラフルオロエチレンから成る押し出し管を含む、請求項53に記載の人工弁付き導管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は大まかに言えば人工弁に関し、さらに具体的には可撓性のリーフレット型人工弁デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性リーフレットを有する人工弁は典型的には、リーフレットを支持構造に固定するための手段、例えばリーフレットフレームを必要とする。こうするための最も一般的な方法は、縫合又は接着/熱結合によるものである。両技術の欠点は、人工弁の寿命及び性能に影響を及ぼすことである。
【0003】
具体的には、接着結合の完全性は、水性環境内で特に人工弁の時間スケールに不都合な影響を与えられる傾向がある。縫合プロセスは、大きな労働力を必要とする傾向があり、そしてその結果の品質は組み立て者の能力水準に依存することがある。さらに、縫合に加えられる緊張はうまく制御できない場合があり、このことはリーフレットの局所的ジオメトリに影響を及ぼし得る。これらの要因の全てはリーフレットの機能及び構造的完全性に長期的に見て、不都合な影響を及ぼすおそれがある。
【0004】
リーフレットを支持構造に固定する新しい方法が有益となり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
記載された実施態様は、人工弁を使用した弁置換、例えば心臓弁置換のための装置、システム、及び方法に関する。より具体的には、記載された実施態様は、リーフレットフレームに機械的にカップリングされたリーフレットを有する可撓性リーフレットフレーム人工弁デバイスに関する。
【0006】
より具体的には、本開示の人工弁は、リーフレットフレームと、リーフレットフレーム突起を用いてリーフレットフレームにそれぞれカップリングされた1つ又は2つ以上のリーフレットとを含むことができる。リーフレットフレーム突起は、リーフレット取り付け領域内のリーフレットによって画定されたアパーチャを通って延びるように形成されている。リーフレットフレーム突起は、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面上に配置することができる。このような面は、リーフレットフレームエッジ、つまり外縁部又は内縁部の少なくとも一部である。記載された構造は、弁使用中にリーフレットフレームからリーフレットが分離するのを妨げる。
【0007】
本開示のいくつかの実施態様は、人工弁であって、前記人工弁が、リーフレットフレーム内面と、前記リーフレットフレーム内面とは反対側のリーフレットフレーム外面と、前記リーフレットフレーム内面と前記リーフレットフレーム外面との間に延びる少なくとも2つのリーフレットフレームエッジとを有する環状形状を画定するリーフレットフレームを含み、前記リーフレットフレームは、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面のそれぞれから延びる複数のリーフレットフレーム突起を有しており、前記1つ又は2つ以上のリーフレット保持面が、前記リーフレットフレームエッジのうちの1つ又は2つ以上の少なくとも一部を含み、
前記複数のリーフレットフレーム突起が互いに間隔を置いて設けられており、そして前記人工弁が、それぞれの当該リーフレットが、リーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジとを有する1つ又は2つ以上のリーフレットを含み、前記リーフレット取り付け領域は、互いに間隔を置いて設けられた複数のリーフレットアパーチャを画定することにより、前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが前記複数のリーフレットアパーチャのうちの対応する1つを通って延びるようになっており、そして前記リーフレットがリーフレットフレーム上に保持されている、人工弁に関する。
【0008】
本開示の他の人工弁実施態様は、それぞれの当該リーフレットがリーフレット取り付け領域を有しており、リーフレット取り付け領域が、互いに間隔を置いて設けられた複数のリーフレットアパーチャを画定している、1つ又は2つ以上のリーフレットと、1つ又は2つ以上のリーフレットフレームエッジを有する環状形状を画定するリーフレットフレームとを含むことができ、リーフレットフレームが、少なくとも1つのリーフレットフレームエッジから延びる複数のリーフレットフレーム突起を有しており、前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが前記複数のリーフレットアパーチャのうちの対応する1つを通って延びている。人工弁はさらに、リーフレットのリーフレットフレームからの分離を妨げるように形成されたリーフレットフレーム突起にカップリングされるか、又はリーフレットフレーム突起と一体的なより多くの拘束部材を含む。リーフレットフレームのさらなる実施態様は、リーフレットフレーム窓を画定する1つ又は2つ以上のフレームエレメントを通って延びる1つ又は2つ以上のスロットを画定することができる。それぞれのスロットは、リーフレットの少なくとも単独の厚さ、例えばリーフレット取り付け領域を受容するように寸法設定されている。スロットは、リーフレット取り付け領域のそれぞれの部分に相応するベース受容スロット、又はサイド受容スロットであり得る。加えて、それぞれの交連ポストが、リーフレットの二重厚さを受容するように寸法設定されたポストスロットを画定する。さらなる実施態様では、フレームは、リーフレットフレーム突起がそこから延びることができる内縁部を画定する取り付けスロット又は他の開口を含むことができる。
【0009】
本開示のいくつかの実施態様は、人工弁であって、前記人工弁が、リーフレットフレーム内面と、前記リーフレットフレーム内面とは反対側のリーフレットフレーム外面と、前記リーフレットフレーム内面と前記リーフレットフレーム外面との間に延びる少なくとも2つのリーフレットフレームエッジとを有する環状形状を画定するリーフレットフレームを含む。前記リーフレットフレームは、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面のそれぞれから延びる複数のリーフレットフレーム突起を有しており、各リーフレットフレーム突起は突起ベース部分と、前記突起ベース部分とは反対側の突起ヘッド部分とを含み、前記複数のリーフレットフレーム突起が互いに間隔を置いて設けられている。1つ又は2つ以上のリーフレットを含み、それぞれのリーフレットが、リーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジとを有する。前記1つ又は2つ以上のリーフレット保持面が、前記リーフレットフレームエッジのうちの1つ又は2つ以上の少なくとも一部を含む。各リーフレットフレーム突起が前記リーフレット保持面に前記突起ベース部分でカップリングされている、人工弁に関する。前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが、リーフレット取り付け領域を通って延びており、そして前記リーフレットが前記リーフレットフレーム上に保持されている。さらに、それぞれのリーフレットフレーム突起からのそれぞれのリーフレットの分離を妨げるために、機械的干渉を提供するように形成された拘束エレメントを含む。前記拘束エレメントが、変形可能ロッキングバー拘束エレメントであり、変形可能ロッキングバー拘束エレメントがバーベース端部と、前記バーベース端部とは反対側のバー自由端部とを含む変形可能ロッキングバーを含み、前記変形可能ロッキングバーが前記バーベース端部で前記リーフレット保持面から延びており、そして変形可能ロッキングバー拘束エレメントが、前記リーフレット保持面にカップリングされたロッキングクリップを含み、前記ロッキングクリップが、前記バー自由端部とカップリングするように動作可能である。前記変形可能ロッキングバーが、前記バーベース端部と前記ロッキングクリップとの間の距離に跨がる長さを有している。少なくとも1つのリーフレットフレーム突起が前記バーベース端部と前記ロッキングクリップとの間に配置されている。前記変形可能ロッキングバーが、それぞれのリーフレットフレーム突起からのそれぞれのリーフレットの分離を妨げるように前記少なくとも1つのリーフレットフレーム突起の突起ヘッド部分にわたって延びている。
【0010】
本開示のいくつかの実施態様は、人工弁であって、前記人工弁が、リーフレットフレーム内面と、前記リーフレットフレーム内面とは反対側のリーフレットフレーム外面と、前記リーフレットフレーム内面と前記リーフレットフレーム外面との間に延びる少なくとも2つのリーフレットフレームエッジとを有する環状形状を画定するリーフレットフレームを含む、人工弁に関する。前記リーフレットフレームは、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面のそれぞれから延びる複数のリーフレットフレーム突起を有しており、各リーフレットフレーム突起は突起ベース部分と、前記突起ベース部分とは反対側の突起ヘッド部分とを含み、前記複数のリーフレットフレーム突起が互いに間隔を置いて設けられている。1つ又は2つ以上のリーフレットを含み、それぞれのリーフレットが、リーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジとを有する。前記1つ又は2つ以上のリーフレット保持面が、前記リーフレットフレームエッジのうちの1つ又は2つ以上の少なくとも一部を含む。各リーフレットフレーム突起が前記リーフレット保持面に前記突起ベース部分でカップリングされている。前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが、リーフレット取り付け領域を通って延びており、そして前記リーフレットが前記リーフレットフレーム上に保持されている。さらに、それぞれのリーフレットフレーム突起からのそれぞれのリーフレットの分離を妨げるために、機械的干渉を提供するように形成された拘束エレメントを含む。前記拘束エレメントが、取り付け可能なロッキングバー拘束エレメントであり、取り付け可能なロッキングバー拘束エレメントが、それぞれの端部に保持フックを備えたバー形状のエレメントを含む取り付け可能なロッキングバーと、互いに間隔を置いて前記リーフレット保持面にカップリングされた一対のロッキングクリップと
を含み、前記ロッキングクリップのそれぞれが、ロッキングバーのそれぞれの保持フックとカップリングするように動作可能である。前記取り付け可能なロッキングバーが、前記ロッキングクリップ対の間の距離に跨がる長さを有している。少なくとも1つのリーフレットフレーム突起が、前記ロッキングクリップ対の間に配置されており、前記取り付け可能なロッキングバーが、それぞれのリーフレットフレーム突起からのそれぞれのリーフレットの分離を妨げるように、前記少なくとも1つのリーフレットフレーム突起の前記突起ヘッド部分にわたって延びている。
【0011】
本開示のさらなる実施態様は、弁付き導管を含み、このようなリーフレットフレームは1つ又は2つ以上の導管にカップリングすることができる。例えば、弁付き導管は、当該第1フレームが、第1フレーム第1エッジと、前記第1フレーム第1エッジとは反対側の第1フレーム第2エッジとを有する環状形状を画定する第1フレームを含むことができ、前記第1フレーム第1エッジが前記リーフレットフレーム第2エッジに対してほぼ相補的である、第1フレームと、
当該第1導管が、第1導管第1ルーメン端部と、第1導管第2ルーメン端部と、前記ルーメン端部を通る第1導管ルーメンとを有する管状形状を画定する第1導管と、を含み、前記第1導管が、互いに間隔を置いて設けられた複数の第1導管アパーチャを画定する前記第1導管第2ルーメン端部に第1導管係合面を有していることにより、前記リーフレットフレーム突起のそれぞれが前記複数のリーフレットアパーチャのうちの対応する1つを通って延びており、前記第1導管係合面が前記リーフレットフレーム第2エッジと前記リーフレット取り付け領域との間に配置されており、そして、前記リーフレットフレームが前記第1フレームに固定的にカップリングされることにより、前記第1導管係合面と前記リーフレット取り付け領域とが、前記リーフレットフレームと前記第1フレームとの間に保持されるようになっている。
【0012】
本開示の他の弁付き導管実施態様は、第1導管と、第2導管と、リーフレットフレーム第1エッジと、前記リーフレットフレーム第1エッジとは反対側のリーフレットフレーム第2エッジとを有する環状形状を画定するリーフレットフレームと、当該第1フレームが、第1フレーム第1エッジと、前記第1フレーム第1エッジとは反対側の第1フレーム第2エッジとを有する環状形状を画定し、前記第1フレーム第1エッジが前記リーフレットフレーム第2エッジに対してほぼ相補的である、第1フレームと、当該複数のリーフレットのそれぞれが、リーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジとを有し、それぞれのリーフレットの前記リーフレット取り付け領域が前記リーフレットフレーム第2エッジと前記第1フレーム第1エッジとの間に配置されており、前記リーフレット取り付け領域が前記第1導管と前記第2導管との間の接合部に配置されている、複数のリーフレットと、を含むことができ、前記第1導管が、第1導管第1ルーメン端部と、第1導管第2ルーメン端部と、前記ルーメン端部を通るルーメンとを有する管状形状を画定し、前記第1導管が、前記リーフレットフレーム第2エッジと前記リーフレット取り付け領域との間に配置された前記第1導管第2ルーメン端部に第1導管係合面を画定しており、そして前記第2導管が、第2導管第1ルーメン端部と、第2導管第2ルーメン端部と、前記ルーメン端部を通るルーメンとを有する管状形状を画定し、前記第2導管が、前記第1フレーム第1エッジと前記リーフレット取り付け領域との間に配置された前記第2導管第1ルーメン端部に第2導管係合面を画定しており、前記リーフレットフレームが前記第1フレームに固定的にカップリングされ、これにより、前記第1導管係合面と前記第2導管係合面との間に前記リーフレット取り付け領域を保持するようになっている。
【0013】
本開示のさらに別の人工弁付き導管は、第1導管と、第2導管と、人工弁とを含むことができ、前記人工弁が、リーフレットフレーム第1エッジと、前記リーフレットフレーム第1エッジとは反対側のリーフレットフレーム第2エッジとを有する環状形状を画定するリーフレットフレームと、当該1つ又は2つ以上のリーフレットのそれぞれが、リーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジとを有し、それぞれのリーフレットの前記リーフレット取り付け領域が前記リーフレットフレーム第2エッジにカップリングされており、前記リーフレット取り付け領域が前記第1導管と前記第2導管との間の接合部に配置されており、それぞれのリーフレットがリーフレット流入側と、前記リーフレット流入側とは反対側のリーフレット流出側とを有している、1つ又は2つ以上のリーフレットとを含み、前記第1導管が、第1導管第1端部と第1導管第2端部との間に延びており、前記リーフレットの前記リーフレット流入側で第1導管ルーメンを画定しており、前記リーフレットフレームが前記第1導管の区分を取り囲み、そして前記第1導管第2端部にカップリングされており、そして前記第2導管が、第2導管第1端部と、第2導管第2端部との間に延び、第2管内面を画定するとともに、前記第2導管第2端部により近い第2導管第1部分が、前記リーフレットの前記リーフレット流出側でルーメンを画定し、そして前記第2導管第1端部により近い第2導管第2部分が、前記第2導管内面上の周方向凹部を画定し、前記周方向凹部が、前記リーフレットフレームの形状とほぼ相補する形状を有しており、前記リーフレットフレームが前記周方向凹部内部に配置されており、そして前記第1導管が前記第2導管にカップリングされている。
【0014】
1実施態様の特徴は、説明又は例示されていなくても、この開示又は実施態様の性質によって明示的に禁止されているのではない限り他の実施態様にも適用することができる。
【0015】
上記実施態様及びその他と関連する詳細を下記に提示する。
【0016】
本開示の特徴及び利点は、図面と関連させると下記詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1Aは1実施態様に基づく人工弁の流出側を示す斜視図である。
【0018】
【0019】
【0020】
【
図2A】
図2Aは1実施態様に基づく人工弁の流出側斜視図である。
【0021】
【0022】
【
図3A】
図3Aは1実施態様に基づくリーフレットフレームの流出側斜視図である。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【
図3E】
図3Eはリーフレットの折り重ね部分を示す交連ポストの、線3Eに沿った
図3Dの断面図である。
【0027】
【
図4A】
図4Aは1実施態様に基づくリーフレットの流出側を示す斜視図である。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【
図5】
図5は1実施態様に基づくリーフレットフレーム及びリーフレットフレームジャケットを示す分解斜視図である。
【0032】
【
図6】
図6A~6Eは種々のほぞ形状を画定するリーフレットフレーム突起の種々の実施態様を示す斜視図である。
【0033】
【
図7】
図7A及び
図7Bは1実施態様に基づくリーフレットフレーム突起の側面図である。
【0034】
【
図8】
図8A及び8Bは1実施態様に基づくリーフレットフレーム突起の側面図である。
【0035】
【
図9】
図9A及び9Bは1実施態様に基づくリーフレットフレーム突起の側面図である。
【0036】
【0037】
【0038】
【
図10C】
図10Cは例1において記述するように、リーフレット形成の際に2つのクーポンに形成されたカットラインを示すクーポンテンプレートの頂面図である。
【0039】
【
図11A】
図11Aは1実施態様に基づく、リーフレットフレームに隣接する変形可能ロッキングバー及びロッキングクリップを含むリーフレットフレームの斜視図である。
【0040】
【0041】
【
図11C】
図11Cはリーフレットフレームのエレメントを分かり易く図示するために、
図11Aに図示したリーフレットフレームを長手方向にカットし、展開し、フラットにした図である。
【0042】
【
図11D】11Dは変形可能ロッキングバーを開放位置で示す
図11Cにおける矩形Dの拡大図である。
【0043】
【0044】
【
図12A】
図12Aは1実施態様に基づく、複数の取り付け可能ロッキングバー拘束エレメントを含むリーフレットフレームの斜視図である。
【0045】
【0046】
【
図12C】
図12Cは組み立て作業前の取り付け可能ロッキングバー拘束エレメントの分解図を示す
図12AにおけるボックスBの拡大図である。
【0047】
【
図13A】
図13Aは、縫合カフ及び交連ポストキャップを含む1実施態様に基づく人工弁の流出側斜視図である。
【0048】
【0049】
【
図14】
図14は、
図3Aに示すリーフレットと同様のリーフレットフレーム実施態様にカップリング可能な1実施態様に基づくリーフレットの頂面図を示す。
【0050】
【
図15】
図15は、
図4Aにおけるリーフレットと同様のリーフレットフレームにカップリング可能な、1実施態様に基づくリーフレットの頂面図である。
【0051】
【0052】
【
図16B】
図16Bは1実施態様に基づく、
図16Aにおけるリーフレットフレーム実施態様の内部に配置されるサブコンポーネントの斜視図である。
【0053】
【
図16C】
図16Cは1実施態様に基づく、
図16Aにおけるリーフレットフレーム実施態様の内部に配置されるサブコンポーネントの斜視図である。
【0054】
【
図17】
図17は1実施態様に基づく、3つのリーフレットの斜視図である。
【0055】
【
図18A】
図18Aは1実施態様に基づく、リーフレットフレームとサブコンポーネントとのリーフレットフレーム集成体内に集成された
図17のリーフレットの斜視図である。
【0056】
【0057】
【
図18C】
図18Cは1実施態様に基づく、閉鎖位置において流出側に向く人工弁の頂面図である。
【0058】
【0059】
【0060】
【
図20B-i】
図20B(i)は人工弁と、第1導管と、第2導管との間の、互いに間隔を置いたリーフレットフレーム突起間のリーフレットフレーム凹面のベースにおける、接合部の近くにおける
図20Aに図示の弁付き導管の断面図である。
【0061】
【
図20B-ii】
図20B(ii)は人工弁と、第1導管と、第2導管との間の、リーフレットフレーム凹面及びリーフレットフレーム突起における、接合部の近くにおける
図9Aに示された弁付き導管の断面図である。
【0062】
【
図20C】
図20Cは交連ポストにおける人工弁と、第1導管と、第2導管との間の、接合部の近くの
図9Aに示す弁付き導管の断面図である。
【0063】
【
図20D】
図20Dは人工弁と、第1導管と、第2導管との、リーフレットフレーム凹面基部における接合部の近くにおける
図20Aに示す弁付き導管の破断斜視図である。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【
図21C】
図21Cは1つの実施態様として示す、
図20Aに示す弁付き導管形成に使用されるサイナスモールドの中間部の斜視図である。
【0068】
【
図21D】
図21Dは1実施態様に基づく、
図20Aに図示の弁付き導管作成の際に形成される中間導管-カラー-構造の側面図である。
【0069】
【
図21E】
図21Eは1つの実施態様として示す、
図20Aに図示の弁付き導管作成の際に形成される中間導管-フレーム-カラー構造の頂面図である。
【0070】
【
図22】
図22は1つの実施態様として示す、リーフレットフレーム集成体のカバーリングを示す斜視図である。
【0071】
【
図23】
図23は1つの実施態様として示す、経カテーテル人工弁の斜視図である。
【0072】
【
図24】
図24は1実施態様に基づく、変形可能ロッキングバー、リーフレットフレーム突起、及びリーフレットの断面図である。
【0073】
【
図25】
図25は1実施態様に基づく、取り付け可能ロッキングバー、リーフレットフレーム突起、及びリーフレットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
当業者には明らかなように、本発明の種々の実施態様は所期の機能を果たすべく構成された多様な方法及び装置によって実現することができる。換言すれば、実施態様以外の方法及び装置を組み合わせても所期の機能を達成することができる。さらにまた、機能を発揮できる、又は或る態様で機能することができるように構成され、少なくともその態様に構成されている構造も機能可能であり、他にも機能可能又は構成可能な構造は種々考えれる。また、添付の図面は必ずしも正確な縮尺に従って作成されたものではなく、本発明の種々の実施態様を示すために実際の寸法よりも大きく図示した部分があり、図面通りの寸法関係にあると解釈すべきではない。
【0075】
本明細書中の実施態様を種々の原理や信条に関連させて記述することもできるが、後述の実施態様は理論に限定されるものではない。例えば、本発明においては、特に心臓疾患のための人工弁及び人工弁付き導管に関連して実施態様を記述する。本発明の実施態様は心臓弁又は非心臓弁又は同様の構造及び機能を有する機構に応用できる。
【0076】
人工弁に関連して使用されている語“リーフレット”は圧力差の影響下に解放位置と閉鎖位置との間を移動するように作用する逆止め弁の構成エレメントである。解放位置において、リーフレットは血液が弁オリフィスを通過流動することを可能にする。閉鎖位置において、弁オリフィスでの逆流をほぼ完全に阻止する。複数のリーフレットを有する実施態様においては、それぞれのリーフレットが少なくとも1つのリーフレットと協働して血液の逆流をほぼ完全に阻止する。血液の圧力差は例えば心臓の心室又は心房の収縮によって生じ、このような圧力差は閉鎖状態にあるリーフレットの一方の側で増大する流体圧に起因するのが典型的である。人工弁の流入側の圧力が人工弁の流出側圧力よりも高くなるとリーフレットは開き、血液が流出する。血液が人工弁を通過して隣接の心房又は血管に流入すると、流入側圧力が流出側の圧力と平衡状態となる。人工弁の流出側圧力が人工弁の流入側圧力よりも高くなると、リーフレットが閉鎖位置に戻り、血液が人工弁を逆流するのを実質的に防止する。
【0077】
明細書中に使用されている語“メンブラン”は例えば延伸フルオロポリマーのような単一組成物から成る材料のシートを指す。
【0078】
明細書中に使用されている語“複合材料“は例えば延伸フルオロポリマーのようなメンブランと、例えばフルオロエラストマーのようなエラストマーとの組合せを指す。エラストマーはメンブランの多孔質構造内に吸収させるか、膜の片面又は両面に塗布するか、又は塗布と吸収を組み合わせる。
【0079】
明細書中に使用されている語“積層体”はメンブラン、複合材料、又はその他の材料、例えばエラストマー、及びこれらの組合せの多層体を指す。
【0080】
明細書中に使用されている語“フィルム”は概ね、メンブラン、複合材料又は積層体のいずれか1つ又は2つ以上を指す。
【0081】
明細書中に使用されている語“リーフレットフレームエレメント”はリーフレットフレームの部分、例えば、リーフレット窓を画定する部分を指す。交連ポスト、リーフレット窓側部及び/又はリーフレット窓ベースを指す。
【0082】
リーフレットフレームエッジはリーフレットフレーム内面とリーフレット外面との間に広がる面によって画定される。内縁部はフレームエレメントに囲まれてフレームエレメントと境界を接するのに対して、外縁部はフレームエレメントに囲まれることはなく、従ってフレームエレメントと境界を接しない。
【0083】
用語“リーフレット窓”はリーフレットフレームによって画定されるスペースであり、このスペース内でリーフレットがリーフレットと接触する。リーフレットは内縁部又は外縁部においてリーフレットフレームと接触することができる。
【0084】
明細書中に使用されている用語“リーフレット取り付け領域”はリーフレットフレームと接触するフィルムの部分を指す。
【0085】
明細書中に使用されている語“空間パターン”は例えば複数の点などのような対象物の二次元又は三次元配列を意味する。
【0086】
用語“自然弁オリフィス”及び“組織オリフィス”は人工弁を配置できる解剖学的構造を指す。このような解剖学的構造としては、例えば、心臓弁が切除されたか、切除されていない部位が含まれる。人工弁を取り付けることができるその他の解剖学的構造としては、例えば、静脈、動脈、腺分泌物管及びバイパスが挙げられる。なお、弁オリフィスやインプラント部位もまた人工弁を受け入れることができる合成的又は生物学的導管である。
【0087】
明細書中に使用されている語“カップリング”は直接的であれ、間接的であれ、また、恒久的であれ、一時的であれ、接合、接続、取り付け、接着、固定を意味する。
【0088】
用語“a”及び“an”は本明細書が特に指摘しない限り、単複双方に使用される。
【0089】
用語“実質的には”、“ほぼ”及び“約”は大筋においては規定されている通りであるが完全に規定されている通りではない(規定されている通りの場合も含む)と当業者が認識する場合を意味する。開示されたいずれの実施態様においても、“実質的には”、“ほぼ”及び“約“という用語の代わりに、0.1、1、5、10%を含む指定の百分率範囲内で表現することもできる。
【0090】
(例えばx~y)のように値の範囲を示すのに前置詞“の間”が使用される場合、両端の値(例えばx及びy)と両端間の値を含むことを意味する。
【0091】
実施態様は例えば心臓弁に代わるものとして手術及び経カテーテルによる取り付けに好適な人工弁のための種々の装置、システム及び方法を含む。人工弁は逆止め弁として作用し、リーフレットが開くと弁オリフィスが解放されて血液の流動を可能にし、リーフレットが閉じると血液の圧力差に呼応して弁オリフィスが閉じ、血液の流動を阻止する。
【0092】
本発明のいくつかの実施態様は全く縫合を利用しないか極力縫合を避けて、リーフレット取り付け領域又はその一部に沿って機械的に接合されたリーフレットに関わる。リーフレットの突起を介してリーフレットフレームにリーフレットを簡単に且つ再現可能に取り付けることができ、製造に際しても研究のためのセッティングにも有益である。リーフレット突起は1つ又は2つ以上のリーフレット保持面から突出するリーフレットフレームと一体の部分として形成することができる。リーフレットフレーム突起はリーフレット取り付け部においてリーフレットによって画定されるアパーチャを貫通するように形成されている。
【0093】
実施態様のいくつかはフラットな形状から形成されるリーフレットに関する。リーフレットはリーフレットフレームとは別個に製造され、リーフレットフレームに取り付けられた時点で作用可能な形状、例えば、リーフレット窓を画定するリーフレットフレームエレメントの形状、リーフレットの二次元形状、取り付けラインが決定要因となるリーフレットの三次元動作形状となる。このように、いくつかの実施形態では、この態様はリーフレットを3次元形状に形状セッティングする必要をなくすることができる。
【0094】
リーフレット及びリーフレットフレームをそれぞれ別々に製造する必要がなく、取り付け工程において縫製又は接着/融着を必要としないから、人工弁の製造工程が簡略化され、生産効率に反映される。さらにまた、本発明の実施態様は研究の面でも極めて有益である。なぜならば、リーフレット及びリーフレットフレームを製造し、両者を結合する簡単な工程を選択することでプロトタイピングを迅速化できるからである。
【0095】
本発明では、人工弁が環状リングを画定し、リーフレットに弁を正しく機能させるような形状を与えるように形成されたリーフレット接触面と、リーフレットフレームに対するリーフレットの保持を容易にする1つ又は2つ以上のリーフレット保持面を有するリーフレットフレームを含む。リーフレット接触面はリーフレット保持面と同じであってもよいし、異なっていてもよい。互いに間隔を隔てる複数のリーフレットフレーム突起をリーフレット保持面を結合させるか、又は一体化させることができる。リーフレットフレーム突起はリーフレットをリーフレットフレームに保持するように形成されている。
【0096】
人工弁はまた、それぞれがリーフレット取り付け領域とリーフレット自由エッジに達する領域を有する1つ又は2つ以上のリーフレットを含む。リーフレット取り付け領域は互いに間隔を置いた複数のリーフレットアパーチャを画定し、2つのコンポーネントをカップリングすると、リーフレットフレームの突起のそれぞれが複数のリーフレットアパーチャのそれぞれ対応のアパーチャに嵌入する。換言すれば、リーフレットフレーム突起の配置パターンはリーフレットアパーチャの配置パターンと一致する。リーフレットフレーム突起とリーフレットとの結合はリーフレットフレームへのリーフレット保持を容易にする。本発明の実施態様は1つ、2つ、3つ又はそれ以上のリーフレットを、有する人工弁に好適である。
【0097】
他の実施態様として、例えば、肺疾患のための弁付き導管のための種々の装置、システム及び方法を含む態様も考えられ、これには上記の人工弁を組み込むことができる。上記抗弁導管は導管-弁-導管の接合部が段を形成しながら移行するのに較べて、接合部が殆どスムーズな内面を形成することができる。推移部分が滑らかであることは血行動態の改善を容易にし、血栓形成が発生し難くなる。加えて、本発明の人工弁及び人工弁付き導管の製法は正確に反復可能な半自動的な製法である。
【0098】
人工弁
図1は1実施態様として示す人工弁100を閉じた状態で示す流出側斜視図である。
図1Bは
図1Aにおけるボックス1Bの拡大図である。
図Cは
図1Aにおける人工弁100をこれも閉じた状態で示す頂面図である。
図1Aに見られる人工弁100の構成エレメントは複数のリーフレット310とリーフレット200を含み、リーフレットフレーム200はリーフレット窓フレームエレメントによって各側でフランキングされた複数の交連ポスト210を含む(例えば、2つのリーフレット窓側部及びこれら側部の間のリーフレット窓ベース225)。これら側部223とベース225とがリーフレット窓222(
図2Aに示す)を画定する。リーフレット310の自由エッジ312は接合領域316において合体し、(例えば
図1Cのように上から見た場合)Y字形を呈して人工弁を閉じる。リーフレットの流出側Aにおける血圧が人工弁100のリーフレット流入側Bにおける血圧よりも高いと、このように人工弁が閉じる。リーフレット流入側Bにおける血圧が流出側Aの圧力よりも高いと、リーフレット310のリーフレット自由エッジ312が離れて人工弁を開放し、リーフレット流入側Bから血流が人工弁100を通過することを可能にする。
【0099】
図1Bはリーフレットフレーム突起260の拡大図であり、突起260を囲むようにリーフレットアパーチャ308が形成されている。図示の実施態様の場合、リーフレットフレーム突起260はリーフレットフレームの第2縁224に配置されている。
【0100】
図2A及び2Bは1つの実施態様としてリーフレットフレーム200の斜視図及び側面図を示す。
図3A-3Dはリーフレットフレーム200の他の実施態様を示す種々の図である。
図4A-4Dはリーフレットフレーム200のさらに他の実施態様を示す種々の図である。分解図はリーフレットフレーム200の構成エレメントを分かり易くするため、環状構成エレメントを長手方向にカットし、開き、フラットな状態にして示す図である。
図5はリーフレット310を保持するためのリーフレットフレームジャケット290とカップリングするように構成されたリーフレットフレーム200のさらに他の実施態様を示す分解斜視図である。
【0101】
図10Aは
図1Aのリーフレットをフラットな状態で示す頂面図であり、
図7Bは
図10Aにおけるボックス10Bの拡大図である。
図10Bのリーフレット310はその形状と構造を分かり易くするためフラットな状態で示しているが、フレームにカップリングされた時の形状は、少なくとも部分的には、リーフレットの形状、リーフレット取り付けエッジ、及び作用中にリーフレットに作用する流体圧によって決定される。
【0102】
リーフレットフレーム
リーフレットフレーム200は、少なくとも部分的には、互いに間隔を置いて1つ又は2つ以上のリーフレット保持面233から突出する複数のリーフレットフレーム突起を介して機械的にリーフレット310とカップリングしてこれを支持する。種々の実施態様において、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面233は1つ又は2つ以上のリーフレットフレームエッジ,外縁部又は内縁部、例えば、リーフレットフレーム第1エッジ227、リーフレットフレーム第2エッジ224、及びリーフレットフレーム内縁部234である。リーフレット突起260はリーフレット取り付け領域330内においてリーレット310によって画定されるリーフレットアパーチャを貫通するように構成されている。いくつかの実施態様では、リーフレットフレーム突起260がほぞ形態を呈することができる。
【0103】
リーフレットフレーム200は環状形状を呈し、中心長手方向軸線A-Bを有する。リーフレットフレームは互いに間隔を置いて軸線A-Bとほぼ平行な複数の交連ポスト210を含む。2つの交連ポストの間にリーフレット窓222が存在する。それぞれの交連ポスト210の近くに位置するリーフレットフレーム200の部分は開口、開口フレーム構造又は連続的な壁であり、これらはその一部がリーフレット窓の側部223によって画定される。
図1Aに示す実施態様におけるリーフレット保持面233はリーフレットフレームの第2エッジ224(リーフレットフレーム外縁部の1例)であるが、リーフレット保持面233は、例えば、リーフレットフレーム第2エッジ、リーフレットフレーム第1エッジ227及び/又は三角形開口256を画定する側部内縁部257のようなリーフレットフレーム内側エッジ224を含むリーフレットフレーム面を含むことが可能である。
【0104】
図1A及び4Aに図示の実施態様では、リーフレット窓222のそれぞれがリーフレットフレーム第2エッジによって画定される。具体的には、リーフレットフレーム第2エッジ224がそれぞれのリーフレット窓222に対応するリーフレットフレーム凹面240を画定する。リーフレットフレーム凹面240は湾曲していても角度付きであってもよい。図示の実施態様は角度付きリーフレットフレーム凹面を有する。交連ポスト210と共にそれぞれのリーフレット窓222を画定するリーフレットフレームエレメントセットをリーフレット窓フレームエレメントと称することにする。リーフレット窓フレームエレメントセットは交連ポスト210の各側にフランキングすることができる。リーフレット窓フレームエレメントセットはリーフレット窓の両側部223と、これらの間のリーフレット窓ベース225を含むことができる。リーフレット窓ベース225とリーフレット窓側部とは交連ポスト210と共に、リーフレット自由エッジ312を除く周縁に沿って、交連ポスト210と共にそれぞれのリーフレット310とカップリングし、支持するように形成されている。交連ポスト210は隣接するリーフレット窓222の2つのリーフレット窓側部223の収斂部に形成される頂点232から流出方向に延びている。交連ポスト210に沿ったリーフレット取り付け範囲の寸法がリーフレット自由エッジ312に影響し、隣接するリーフレット自由エッジ312間の接合領域316の幅を左右し、狭くしたり広くしたりする。また、リーフレット自由エッジ312の形状とリーフレット幅広領域322の寸法は接合部分の幅に影響する。
【0105】
リーフレットフレーム200はリーフレットフレーム内面202とリーフレットフレーム内面202の反対側のリーフレット外面204とを画定する。また、リーフレットフレーム200はリーフレットフレーム第1エッジ227と、これとは対向するリーフレットフレーム第2エッジ224を有する。同様に、それぞれの交連ポスト210はポスト外面212と、これとは反対側のポスト内面214とを有する。また、それぞれの交連ポスト210は互いに対向してポスト内面214とポスト外面212の間に延びるポスト側面213を有し、すべての面、すなわち、ポスト外側212、2つのポスト側部213、及びポスト内側214がそれぞれの交連ポスト210の周面を画定する。
【0106】
1実施態様では、リーフレットフレーム200が
図1Aに示すような人工弁100の中心長手方向軸線A-Bを中心とする環状形状を呈する。リーフレットフレーム200は3つのリーフレット窓222を画定し、それぞれのリーフレット窓はリーフレット310のリーフレット取り付け領域330の形状に追従する。図示の実施態様では、2つのリーフレット窓側部223の間にリーフレット窓ベース225が画定され、2つのリーフレット窓側部223とリーフレット窓ベース225におけるリーフレットフレーム第2エッジ224とが湾曲した二等辺台形の3つの辺を画定し、リーフレット窓ベース225におけるリーフレットフレーム第2エッジ224はほぼフラットである。リーフレット取り付け領域330はリーフレット窓ベース225、2つのリーフレット窓側部223のそれぞれ及び交連ポスト210にカップリングされる。交連ポスト210はリーフレットフレーム200の周りに等間隔に配置されている。それぞれの交連ポスト210の下に且つ隣接するリーフレット窓222間に位置するリーフレットフレーム200の部分は隣接するリーフレット窓側部223のリーフレットフレーム内側エッジ234とリーフレットフレームベース221によって画定される。三角形の開口256を開放状態で図示したが、実施態様によっては、蓋をかぶせたり、シールを施すことも可能である。
【0107】
リーフレット窓両側部223におけるリーフレットフレーム第2エッジ224、リーフレット窓ベース225、及び交連ポスト225のリーフレット保持面233と称される部分には複数のリーフレットフレーム突起260が配置されている。複数のリーフレットフレーム突起260はそれぞれ、必ずしもすべてではないが、複数のリーフレットアパーチャ308のうちの対応のアパーチャ内には位置されている。突起-アパーチャ接合部333は
図1Bにおけるボックス1Bの拡大図に詳細に示されている。リーフレーム突起260は1つ又は2つ以上のリーフレット保持面233から突出し、それぞれがリーフレットアパーチャ308の1つに嵌入してリーフレット310を保持し、及び/又はリーフレットがリーフレット保持面233から浮き上がるのを防止する。リーフレットフレーム突起260がリーフレットフレーム200の一体的な部分、すなわち、リーフレットフレーム200と一体であればよく、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面233、例えば、リーフレットフレーム第2エッジ224から保持面に対して垂直な方向に、又は非垂直な方向に(すなわち、リーフレット保持面233に対して90度未満の角度で突出する。種々のリーフレットフレーム実施態様、例えば
図2Aに図示のリーフレットフレーム200の場合、すべてのリーフレットフレーム突起260がリーフレット保持面233からほぼ垂直に突出している。
図5に図示のリーフレットフレーム200のような他のリーフレットフレーム実施態様では、すべてのリーフレットフレーム突起260が中心長手方向軸線A-Bとほぼ平行である。リーフレットフレーム突起260の種々の形状を
図1B、6A-6E、7A-7B、8A-8B、及び9A-9Bに示す。
【0108】
2つの隣接するリーフレットフレーム突起260は、その構造的一体性に重大な影響が及ばないようにリーフレット取り付け領域330に作用する負荷を充分に分散させる間隔X(例えば
図1B参照)で配置すればよい。加えて、間隔Xを充分小さくして取り付け領域330をリーフレット保持面233と密着させることにより、突起260とリーフレット取り付け領域330との間に生ずる血液の漏れが極めて軽微か皆無となるようにすることができる。個々の実施態様にもよるが、この間隔は0.5mm~2mm、例えば、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、又は2mmとすればよい。
【0109】
複数の実施態様において、それぞれのリーフレットフレーム突起260からリーフレットが分離するのを防止するように機械的干渉を生むように構成された保持エレメントと結合又は一体化する。例えば、リーフレットフレーム突起260それ自体を、リーフレットの分離を防止するように構成することも可能である。具体的には、リーフレットフレーム突起260自体が突起ベース部分262と、突起先端266(例えば、突起ヘッド部分先端)を画定する突起ヘッド部分264を画定できるようにする。突起ベース部分262は一方の端部においてリーフレット保持面233(この場合はリーフレットフレーム第2エッジ224)へ移行し(meets)、他方の端部において突起ヘッド部分264へ移行する。突起ヘッド部分264は一方の端部において突起ベース部分262へ移行し、そして他方の端部において突起先端266で終わっている。
【0110】
複数の実施態様において、突起ヘッド部分264の横方向寸法は突起ベース部分262の横方向寸法よりも大きい。幅広の突起ヘッド部分264から幅狭の突起ベース部分262への推移は緩やかでも、急激でも、その中間でもよい。例えば、突起ヘッド部分264は(
図6Dに示すように)球形を呈してよいし、(
図6A~
図6Cに示すように)一方又は両方のポスト側部213に角張った張り出しを形成していてもよい。種々の実施態様において、突起ベース部分横方向寸法263aと称される突起ベース部分262における最小横方向寸法263、との比較における、突起ヘッド部分横方向寸法263aと称される突起ヘッド部分264の最大横方向寸法265の相対差は20%~160%、例えば、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、100%超、110%超、120%超、130%超、140%超、150%超、又はこの範囲内から導出できる値又は範囲であればよい。複数の実施態様において、突起ベース部分262における細小横寸法263は突起ベース部分262がリーフレット保持面233と直接隣接する箇所の横方向寸法である。
【0111】
上記以外の突起形状も考えられる。別の実施態様では、突起ヘッド部分264と突起ベース部分262がほぼ同じ横方向寸法又は断面積を有する。例えば、リーフレットフレーム突起260が螺旋形カラムを形成する場合も考えられる.他の変更形としてリーフレットフレーム突起260がリーフレット保持面233から突出する直線的なポストであり、その実施態様の1つを
図6Eに示す。
【0112】
複数の実施態様においては、突起ヘッド部分264を先細に形成することによって突起ヘッド部分先端の表面積を突起ヘッド部分264の最大断面積よりも小さくなるようにする。加えて、突起先端の表面積がリーフレットアパーチャ308の面積よりも小さくなるように突起先端266を寸法設定する。このような形状は製造における取り付け工程において、リーフレット310をリーフレットフレーム突起260に対応するリーフレットアパーチャ308の1つへ案内することになる。
【0113】
いくつかの実施態様では、取り付け工程において、リーフレットアパーチャ308を形成するためリーフレット310に対する穿孔を容易にするため、突起ヘッド部分先端264を尖らせる。尖らせたヘッド部分先端は後記の人工弁付き導管の形成工程における導管の穿孔をも容易にする。
【0114】
突起ベース部分262の断面形状は任意であり、例えば、三角形、方形(例えば、正方形)又は丸形(例えば、楕円形又は円形)であってもよい。複数の実施態様においては、特にリーフレット保持面233において突起ベース部分262の形状及び寸法はリーフレットアパーチャ308の形状及び寸法とほぼ同じである。但し、突起ベース部分262周りのリーフレット保持面233の近くに位置する時、リーフレットアパーチャ308を画定するリーフレット取り付け領域330の部分に歪みが生じないように、生じても無視できる程度であるようにするためには、リーフレットアパーチャの寸法をやや大きく設定すればよい。
【0115】
リーフレットフレーム突起260の他の実施態様は変形することによってリーフレット310をリーフレット保持面233上に保持する。
図7A-7Bに示す実施態様では、突起ヘッド部分264が
図7Aに示すように、全長にわたって均一な横方向寸法265aを有し、
図1Bに示すリーフレットアパーチャ308がこれと嵌合する。リーフレットアパーチャ308を突起ヘッド部分264と嵌合させた後、
図7Bに示すように、突起ヘッド部分264を変形させ、実質的には突起ヘッド部分264がリーフレットアパーチャ308よりも大きい横方向最大寸法を有するように変形させることによってリーフレット310をリーフレット保持面233に保持することができる。
【0116】
同様に、
図8A-8Bに示す実施態様では、突起ヘッド部分264が
図8Aに示すように、リーフレットアパーチャ308の寸法と同じか、又はこれよりもやや大きい横方向最大寸法265aを有する”O“形状を有し、
図8Aに示すように、これにリーフレットアパーチャ308を嵌合させる。リーフレットアパーチャ308を突起ヘッド部分264と嵌合させた後、
図8Bに示すように、突起ヘッド部分264を変形させ、実質的には突起ヘッド部分264がリーフレットアパーチャ308よりも大きい横方向最大寸法265aを有するように変形させることによってリーフレット310をリーフレット保持面233に保持することができる。
【0117】
同様に、
図9A~9Bに示す実施態様では、
図9Aに示すように、突起ヘッド部分264はリーフレットアパーチャ308の寸法と同じか、又はこれよりもやや大きい横方向最大寸法265aを有する二股突起の形状を呈し、これにリーフレットアパーチャ308が嵌合する。リーフレットアパーチャ308が突起ヘッド部分264と嵌合した後、二股突起267を互いに遠ざかるように且つリーフレット保持面233へ向かって下降するように変形させることによって、実質的には突起ヘッド部分264がリーフレットアパーチャ308の寸法よりも大きい横方向最大寸法265aを有するかのように変形させることによって、
図9Bに示すようにリーフレット310をリーフレット保持面233に保持することができる。
【0118】
図7A-7B~9A-9Bに示す実施態様では、突起ヘッド部分264を種々の方法で変形させることができる。1つの実施態様では、例えば、クリンピングのような機械的手段によって突起ヘッド部分264を塑性変形させることができる。この場合、リーフレットフレーム突起260は塑性変形可能な材料から成り、リーフレットフレーム突起260はリーフレット取り付け領域330がリーフレットフレーム突起260へ前進するのに好適な第1形状を画定し、リーフレットフレーム突起260は塑性変形することによって、リーフレット取り付け領域330がリーフレットフレーム突起260から分離するのを防止するのに好適な第2形状を画定する。他の実施態様では、突起ヘッド部分264が、高温に晒されると変形する形状記憶材料から成る。
【0119】
例えばリーフレットがリーフレット保持面から浮き上がるのを防止することによってリーフレットフレーム突起260からのリーフレット分離を防止する、上記保持エレメントとは異なる保持エレメントを利用することもできる。他の実施態様として、
図11Aはリーフレットフレーム突起260に隣接する変形可能ロッキングバー670及びロッキングクリップ672を含むリーフレットフレーム600の斜視図である。それぞれの変形可能ロッキングバー670はバーベース端部674におけるリーフレット保持面233から延び、隣接する1つ又は2つ以上のリーフレットフレーム突起260の突起ヘッド部分264に被さってリーフレット310をリーフレット保持面233に保持する。
【0120】
それぞれの変形可能ロッキングバー670は
図11Dに示す開放位置と、
図11Bに示す閉鎖位置との間で変形する。1つの実施態様において、リーフレットフレーム突起260は例えばステンレススチールのような可塑変形可能な材料から成る。他の実施態様では、リーフレットフレーム突起260は閉鎖位置へ付勢されてはいるが開放位置へと強制することによってリーフレット310の取り付けを容易にする弾性変形可能な材料から成る。
【0121】
リーフレットフレーム600はそれぞれが一対の交連ポスト210、リーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225によって画成される3つのリーフレット窓222を含む。リーフレットフレームは交連ポスト210において複数の変形可能ロッキングバー拘束エレメント605をも含む。
図11Bは閉鎖位置にある変形可能ロッキングバー拘束エレメント605を示す
図11AにおけるボックスBの拡大図である。
【0122】
図11Aは経カテーテル処置に際して使用されるように作用するリーフレットフレーム600を示し、リーフレットフレーム600を展開前の小さい直径から大きい展開直径に広げることができる。例えば、
図11A及び
図11Bは展開されて直径が大きくなり、リーフレットフレームエレメントの間隔が広がっている状態にあるリーフレットフレーム600を示す。
【0123】
図11Cはリーフレットフレーム600のエレメントを分かり易くするため、
図11Aに示したリーフレットフレーム600を長手方向に切断し、開き、フラットにした状態で示す図である。
図11Cでは、例えば、リーフレットフレーム600は展開前の状態にあり、フレームエレメントは密接状態にある。
図11Dは
図11Cにおける矩形Dの拡大図であり、開放状態にある変形可能ロッキングバー拘束エレメント605を示す。リーフレットは明示されていない。リーフレット保持の詳細に関しては、例3を参照されたい.リーフレットフレーム600は交連ポスト210の両側部213にリーフレットフレーム突起260を有する。それぞれの変形可能ロッキングバー拘束エレメント605は変形可能ロッキングバー670と、これと協働する変形可能ロッキングクリップ672を含み、両者が互いに連結する。変形可能ロッキングバーはバーベース端部674と、これと対向するバー自由端671を含む。変形可能ロッキングバー670はバーベース端部674におけるリーフレット保持面233から延びる。変形可能ロッキングバー670はバーベース端部674とロッキングクリップ672との間の距離に跨がっている。ロッキングクリップ672はバー自由端671と係合して変形可能ロッキングバー670をロッキングクリップ672とカップリングするように作用するクリップ溝673を含む。バーベース端部674及びロッキングクリップ672はリーフレットフレーム突起260と隣接して、整列しており、両者の間に1つ又は2つ以上のリーフレットフレーム突起260が存在する。それぞれの変形可能ロッキングバー670はポスト側部213のリーフレット保持面233から延び、1つ又は2つ以上のリーフレットフレーム突起260のヘッド部分264にわたって延びてロッキングクリップ672とカップリングすることによってそれぞれのリーフレットがリーフレットフレーム突起から分離するのを防止して(図示せず)リーフレットをリーフレット保持面233に保持する。
【0124】
バー自由端671は多様な形式でクリップ溝673と係合することができる。1つの実施態様では、変形可能ロッキングバー670を
図11Dの平面から前進させることによって、バー自由端671がロキングクリップ672を越えて、クリップ溝673内に前進するようにできる。他の実施態様では、ロッキングクリップ672が弾性的であり、バー自由端671がロッキングクリップ672を、バー自由端671から遠ざかるように歪曲させてバー自由端671から遠ざけテバー自由端671をクリップ溝673にスナップ嵌合させることができる。この場合ロッキングクリップ672は集成前の位置へ弾性的に戻る。別の実施態様では、ロッキングクリップ672がクリップ溝673を有するか有しないかに関係なく、例えば、溶接によってバー自由端671をロッキングクリップ672と結合させる。別の実施態様によれば、ロッキングクリップ672は別のリーフレットフレーム突起260であり、例えば溶接によってこれにバー自由端671を結合させるだけでよい。
【0125】
図11Eはリーフレット窓ベース225の一部を示す
図11Cにおける矩形Eの拡大図である。
図11Aから明らかなように、リーフレット窓ベース225は頂部が流出方向に延びるV字形を呈する。従って、
図11Eに示す実施態様では、圧縮状態において、リーフレット窓ベース225を画定する隣接のフレームエレメントにおいて互いに対向するリーフレットフレーム突起260が存在する。対向するリーフレットフレーム突起260はリーフレットフレームエレメントがそれ以上圧迫されてリーフレット310が圧壊しないように互いに隣接する。換言すれば、互いに対向するリーフレットフレーム突起260は圧壊防止手段として作用する。なお、他の実施態様では、リーフレットフレーム突起260は隣接するフレームエレメントにおける対向リーフレットフレーム突起260とスタガード状に配置されていて突起同士が隣接するのを防止して、フレームエレメントの間隔を狭めることができる。
【0126】
なお、
図11Aに示す変形可能ロッキングバー拘束エレメント605をリーフレット保持面233の他の位置に使用することができる。変形可能ロッキングバー拘束エレメント605をリーフレット窓側部223、リーフレット窓ベース225、交連ポスト210、又はこれらの組合せに使用することができる。また、変形可能ロッキングバー拘束エレメント605を個別に、又はリーフレットフレーム突起260と組み合わせて使用することによってリーフレット310を保持することも可能である。換言すれば、
図6A-6E、7A-9Bに示すリーフレットフレーム突起260の実施態様と併用することができる。
【0127】
図24は1つの実施態様として、変形可能ロッキングバー670、リーフレットフレーム突起260、及びリーフレット310を示す。変形可能ロッキングバー670はリーフレットフレーム突起260に跨がって延び、リーフレット310がリーフレットフレーム突起260から分離するのを防ぐ。なお、リーフレットフレーム突起260はリーフレットアパーチャ308内の一部を占めるがリーフレットアパーチャ308を貫通することはない。他の実施態様では、リーフレットフレーム突起260がリーフレットアパーチャ308内に位置し、これを貫通する。
【0128】
1つの実施態様では、変形可能ロッキングバー670及びロッキングクリップ672がリーフレットフレーム突起であってもよい。この場合、変形可能ロッキングバー670もロッキングクリップ672もリーフレット取り付け領域330を貫通することになる。
【0129】
他の実施態様として、
図12Aは複数の交連ポスト210が複数の取り付け可能ロッキングバー拘束エレメント705を含むリーフレットフレーム700を示す斜視図である。
図12Bは閉鎖位置にある取り付け可能ロッキングバー拘束エレメント705を示す
図12AにおけるボックスBの拡大図である。
図12Cは集成前の取り付け可能ロッキングバー拘束エレメント705の分解図を示す
図12AにおけるボックスBの拡大図である。煩雑化を避けるためリーフレットは明示していない。リーフレットフレーム700は交連ポスト210の側部213にリーフレットフレーム突起260を含む。それぞれのロッキングバー拘束エレメント705は取り付け可能ロッキングバー770と、互いに間隔を置いたそれぞれ1対のロッキングクリップ672とを含み、ロッキングクリップが取り付け可能ロッキングバー770と協働することによって取り付け可能ロッキングバー770をロッキングクリップ対672にカップリングする。取り付け可能ロッキングバー770は各端部に保持フック771を有するバー形エレメント774を含む。それぞれの保持フック771はC字形状を呈する。それぞれのロッキングクリップ672はクリップ溝672を含んでいる。クリップ溝672は、取り付け可能ロッキングバー770の保持フック771の1つと係合して取り付け可能ロッキングバー770をロッキングクリップ対672とカップリングする。クリップ溝673は保持フック771に隣接するバー形エレメント774の部分を受容して保持して、バー形エレメント774と保持フック771の間にロッキングクリップ672を捕捉することによって、取り付け可能ロッキングバー770をロッキングクリップ672にカップリングするように動作可能である。ロッキングクリップ対672はリーフレットフレーム突起260と隣接し且つ整列し、両者の間に1つ又は2つ以上のリーフレットフレーム突起260を有する。それぞれのロッキングクリップ672はポスト側部213のリーフレット保持面233から延微手いる。取り付け可能ロッキングバー770はロッキングクリップ対672の間隔に跨がる長さを有する。ロッキングクリップ672と係合した状態において、取り付け可能ロッキングバー770は1つ又は2つ以上のリーフレットフレーム突起260の1つ又は2つ以上の隣接する突起ヘッド部分にわたって延びて(図示せず)リーフレットをリーフレット保持面233上に保持する。
【0130】
保持フック771は数多くの形式でロッキングクリップ672と係合する。1つの実施態様では、バー形エレメント774をクリップ溝673内へ進入させて保持フック771をロッキングクリップ672に嵌合させ、保持フランジ776によってロッキングクリップ672にしっかりと固定する。保持フック771は弾性的であり、C字形であることにより広がることによってロッキングクリップ672にスナップ状に被さると、集成前の状態に弾性的に戻り、その結果、保持フランジ776が保持フック771をロッキングクリップ672に固定する。他の実施態様では、ロッキングクリップ672がクリップ溝673を有するか否かに関係なく、また、取り付け可能ロッキングバー770が保持フック771を有するか否かに関係なく、取り付け可能ロッキングバー770を例えば溶接によってロッキングクリップ672にカップリングすることができる。別の実施態様では、取り付け可能ロッキングバー770が保持フック771を含むか否かに関係なく、ロッキングクリップ672は、取り付け可能ロッキングバー770が、単に、例えば溶接によってカップリングされた別のリーフレットフレーム突起260であってもよい。
【0131】
言うまでもなく、
図12Aの取り付け可能ロッキングバー拘束エレメント705をリーフレット保持面233における他の個所に使用することもできる。取り付け可能ロッキングバー拘束エレメント705はリーフレット窓側部233、又はリーフレット窓ベース225に、又は交連ポスト210に代わるものとして、又はこれらの組合せとして使用することができる。また、変形可能ロッキングバー拘束エレメント605は個別に又はリーフレット310を保持するように動作可能なリーフレットフレーム突起260との組み合わせで使用することもできる。換言すれば、変形可能ロッキングバー拘束エレメント605を、
図6A-6E、7A-9Bに示すリーフレットフレーム突起260の実施態様と併用できる。
【0132】
1つの実施態様として、ロッキングクリップ672はリーフレットフレーム突起であってもよく、この場合、ロッキングクリップ672もリーフレット取り付け領域330を貫通する。
【0133】
図11A及び12Aは経カテーテル処置に際して使用されるように動作可能なリーフレットフレーム600及びリーフレットフレーム700をそれぞれ示し、リーフレットフレーム600及びリーフレットフレーム700は展開前直径が比較的小さく、展開状態における直径が比較的大きい。なお、実施態様としてのリーフレットフレーム突起260及び保持エレメント605,705は外科的又は経カテーテル的な人工心臓弁のために使用することができる。
【0134】
上述したように、
図11Aはリーフレットフレーム600の流出側斜視図である。
図11Dは
図11Aに示されたリーフレットフレーム600を示しており、リーフレットフレーム600のエレメントを分かり易くするため長手方向にカットし、開き、フラットにした状態で示す。
図11Eは
図11Cにおける矩形Eの拡大図である。リーフレットフレーム600は3つの窓222を画定し、それぞれの窓222はリーフレットの取り付け領域330の形状に追従する。リーフレット窓222はリーフレットフレーム内縁部234によって画定される。
【0135】
例えばリーフレットがリーフレット保持面から浮き上がるのを妨げることによって、リーフレットがリーフレットフレーム突起260から分離するのを防止するのに他の保持エレメントを利用することができる。
図13Aは1つの実施態様として示す、閉じた形態を成す人工弁100の流出側斜視図である。
図13Aに示す人工弁100のコンポーネントはリーフレットフレーム200、複数のリーフレット310、縫合カフ285、及びそれぞれの交連ポスト210のポストキャップ270である。
図13Bは
図1Dに図示の交連ポストキャップ270の斜視図である。例えば、特に
図13A及び13Bから明らかなように、人工弁100はそれぞれの交連ポストに設けられた交連ポストキャップ270を含むことができる。それぞれの交連ポストキャップ270にはキャップ端273において開口し、交連ポスト210を受容するように形成された内側空洞271を画成することができる。交連ポストキャップ270はさらにその側壁275に側壁スロット274を有し、キャップ端272において開口して2つのリーフレット自由エッジ312を受容するように形成されている。交連ポストキャップ270は機械的連結、接着又は熱結合によってリーフレットフレーム200にカップリングすることができる。交連ポストキャップ270は例えばリーフレット310がリーフレット保持面233から浮き上がるのを防止することによって、リーフレット310が交連ポスト210上のリーフレットフレーム突起260から分離するのを防止するのに利用できる保持エレメントである。
図13Bの実施態様は手術的人工弁であるが、交連ポストキャップ270は経カテーテル的人工弁としても使用できる。
【0136】
あるいは、
図5に示す実施態様では、リーフレットフレームジャケット290が保持エレメントとして機能することができる。リーフレットフレームジャケット290は環状リングであり、一部がリーフレットフレーム第2エッジ224(例えば、突起先端266をカバーするように形成されたリップ291)に沿って延び、リーフレットフレーム200とカップリングできるように形成されている。リーフレットフレーム200にカップリングされると、リーフレット310はリーフレットフレーム突起260からの分離を阻止される。加えて、種々の実施態様においては、使用中のリーフレット310の摩耗を最小化するため、リップ291の内側が丸みのあるエッジを形成することができる。
【0137】
図5に示す実施態様において、リーフレットフレームジャケット290は上方ジャケット部290aと下方ジャケット部bとから成り、両部分が協働して環状を形成し、リーフレットフレーム200を包み込む。上方ジャケット部290aは弁オリフィス101に向かって突出するリップ291を含む。リップ291は集成の際にリーフレットフレーム第2エッジ224と対向するリップ面293に1つ又は2つ以上の凹部292(例えば、複数のアパーチャ)を画定する。凹部292は1つ又は2つ以上の突起先端266を受容するように寸法設定することができる。下方ジャケット部290bはリーフレットフレーム200の外面204、リーフレットフレームの第1エッジ227及びリーフレットフレーム第1エッジ227を包み込むように、但しリーフレットフレーム内面202は包み込まないように上方ジャケット部290aにカップリングすることができる。下方ジャケット部290bは上方ジャケット部290aにおける1つ又は2つ以上の取り付けフィーチャと連結するように形成された1つ又は2つ以上の取り付けフィーチャを有する。図示の実施態様においては、下方ジャケット部290bが上方ジャケット部290aの内面294の(図示しない)周方向凹部内へ伸長可能な複数のクリップ295を含む。上方ジャケット部290aと下方ジャケット部290bとは押し合わせることができ、これによりクリップ295を弾性変形させて互いに係合させることができる。
【0138】
数ある適宜な方法の中でも、リーフレットフレーム200をエッチング、カット、レーザーカット、スタンピング、又は三次元プリント加工し、環状構造又は材料シートにすることができる。シートは次いで環状構造に形成される。リーフレットフレーム形状は、トランスカテーテル又は手術デバイスのために形成することができる。
【0139】
リーフレットフレーム200は剛性又は半剛性の生体適合材料から形成すればよい。リーフレットフレーム200に好適な材料としては、例えば、チタニウム合金、ステンレス鋼、コバルト-ニッケル合金、ポリプロピレン、アセチル-ホモポリマー、アセチルコポリマー、その他の合金又はポリマー、又は、ここで述べているリーフレットフレーム200として機能するに充分な物理的及び機械的性質を有する生体適合材料を挙げることができる。いくつかの実施態様では、リーフレットフレーム200をニチノールやニッケル-チタニウム合金のような形状記憶材料で形成することができる。
【0140】
図2A及び2Bは他の実施態様に基づく、環状形状を呈するリーフレットフレーム200のそれぞれ斜視図と側面図である。交連ポスト210下方のリーフレットフレーム200の部分が三角形開口256のような開口ではなく連続壁であることを除けば、
図1Aに図示の実施態様と似ている。縫合カフ取り付けアパーチャ280は交連ポスト210の下方に画定されるリーフレットフレーム第1エッジ227の近くに設けられる。同様に、互いに間隔を置いてリーフレットフレーム第2エッジ224、すなわち、リーフレット窓側部223から突出する複数のリーフレットフレーム突起260、リーフレット窓ベース225及びポスト両側213も
図1Aの実施態様と同様である。
図1Aの実施態様とは異なり、突起ヘッド部分264は片側ではなく突起ヘッド部分264の両側に張り出しを形成している。
【0141】
図3Aはさらに他の実施態様におけるリーフレットフレーム200の流出側斜視図である。
図3Aに示すリーフレットフレームを長手方向にカットし、開き、フラットにすることで、リーフレットフレーム200の構成エレメントを分かり易く図示している。
図3Cは
図3Bにおける円3Cの拡大図である。
図3Dは
図3Bにおける円3Dの拡大図である。
図1Aに示す実施態様と同様に、リーフレットフレーム200は、それぞれがリーフレット取り付け領域330の形状通りの3つのリーフレット窓222を画定する。但し、図示の実施態様においては、リーフレット窓222はリーフレットフレームスロットを画定するリーフレットフレームスロット(例えば、ポストスロット217、側部受容スロット226,及び後述するベース受容スロット228)を画定するリーフレットフレーム内縁によって画定される。リーフレット窓222は2つの交連ポスト210と、2つのリーフレット窓側辺223と、これら2つのリーフレット窓側部223の間に延びるリーフレット窓ベース225によって画定される。リーフレット窓側部223とリーフレット窓ベース225とが湾曲した二等辺四辺形を画定する。リーフレット窓側部223におけるリーフレットフレーム第2エッジ224、リーフレット窓ベース225、及びポスト側部213から、間隔を置いて配列された複数のリーフレットフレーム突起260が間隔を置いて突出している。
【0142】
図14に沿って後述するように、それぞれのリーフレット310の取り付け領域330はポストスロット217,側部受容スロット226及びベース受容スロット228を貫通する部分であり、リーフレット310を2つの交連ポスト210、リーフレット窓の両側縁223、及びリーフレットフレーム200のリーフレット窓ベース225に固定するのに利用され、それとともに、リーフレット基底部225の折り重ね部分324がそれぞれのリーフレットフレームエレメント、すなわち、交連ポスト210、リーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225を部分的に包み込む。
図3Eは交連ポスト210の、
図3Dにおける線3Eに沿った断面図であり、リーフレット310の折り重ね部分324を示す。
図14からも明らかなように、折り重ね部分324はリーフレットフレーム内面202からポストスロット217を通過し、リーフレットフレーム外面204に沿って包み込まれ、これとともにリーフレット取り付け領域330がリーフレット保持面233上に受容されるようにリーフレットフレーム突起260上に前進する。集成された人工弁において、リーフレット取り付け領域330は、リーフレット窓ベース225,2つのリーフレット窓側部223のそれぞれ、及び交連ポスト210に、リーフレットフレーム突起260によって容易にされた状態でカップリングされることになる。
【0143】
交連ポスト210はリーフレットフレーム200の周りに互いに等間隔に、それぞれ2つの隣接するリーフレット窓222の間に画定される。個々の交連ポスト210の下方、隣接するリーフレット窓側部234に位置するリーフレットフレームの部分は隣接するリーフレット窓側部223とリーフレットフレームベース225によって画定される開口三角形フレームである。
【0144】
それぞれの交連ポスト210は中心長手方向軸線A-Bとほぼ平行に長手方向に延びるポストスロット217を画定する。より具体的には、交連ポスト210は中間に位置するポストスロット217によって分離された第1ポスト脚216と第2ポスト脚218によって画定される。第1ポスト脚216と第2ポスト脚127は互いに接近して交連先端219を形成する。隣り合うリーフレット窓側部223は交連ポスト210のベースにおいて一体化する。ポストスロット217は1つ又は2つのリーフレット310の厚さに適合する幅を有するように、また、交連ポスト210とカップリング可能なリーフレット取り付け領域330と適合する長さを有するように寸法設定すればよい。リーフレット自由エッジ312と隣接するリーフレット取り付け領域330の部分はポストスロット217を、具体的には、これに隣接するポストスロット217を貫通することにより、それぞれのポストスロット217を2つのリーフレットが貫通することになる。
【0145】
それぞれのリーフレット窓側部223は、1つ又は2つ以上の側部受容スロット226を画定している。これらのスロットは、リーフレット窓側部223のリーフレットフレーム第2エッジ224と長手方向にほぼ整列するように配向されている。同様に、それぞれのリーフレット窓ベース225は、1つ又は2つ以上のベース受容スロット228を画定している。これらのスロットは、リーフレット窓ベース225のリーフレットフレーム第2エッジ224と長手方向にほぼ整列するように配向されている。側部受容スロット226及びベース受容スロット228はリーフレット310の厚さに適合するように寸法設定されており、図示の実施態様では、それぞれリーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225の寸法に近いがしかし、これらの寸法よりもわずかに薄い寸法に設定されている。なお、いくつかの実施態様では、複数の側部受容スロット226及び/又は複数のベース受容スロット228がリーフレット窓側部223又はリーフレット窓ベース225とほぼ同じ全長を有する。
【0146】
図4Aはさらに他の実施態様として示すリーフレットフレーム200の流出側斜視図である。
図4Bは
図4Aに図示のリーフレットフレームを、その構成エレメントを理解し易くするため、長手方向にカットし、開き、フラットな状態で示す図である。
図4Cは
図4Bにおける円4Cの拡大図である。
図4Dは
図4Bにおける円4Dの拡大図である。この実施態様は、リーフレットフレーム突起260がリーフレットフレーム200の内縁234に位置し、リーフレットフレーム突起260が交連ポスト210には存在しないことを除けば、
図3Aに図示した上記実施態様と同じである。
【0147】
図3Aに図示の実施態様と同様に、リーフレットフレーム200は3つのリーフレット窓222を画定し、それぞれの窓の形状はリーフレット310の形状と同じである。それぞれのリーフレット窓222は2つの交連ポスト210、2つのリーフレット窓側部223,及び2つのリーフレット窓側部223の間に延びるリーフレット窓ベース225によって画定される。リーフレット窓側部とリーフレット窓ベースとが協働して湾曲した二等辺四辺形の3辺を画定する。交連ポスト210は2つの隣接するリーフレット窓222の間に画定され、リーフレットフレーム200に沿って互いに等間隔に配置されている.それぞれの交連ポスト210の下方に且つ隣接するリーフレット窓222の間に位置するリーフレットフレーム200の部分が三角形開口256であり、三角形開口256は、隣接するリーフレット窓側部223のリーフレットフレーム内縁234とリーフレットフレーム基底部221によって画定される。
【0148】
それぞれの交連ポスト210は、これを貫通するポストスロット217を画定している。ポストスロット217は、軸A-Bに対してほぼ並行になるように長手方向に配向されている。より具体的には、交連ポスト210はポストスロット217によって分離された第1ポスト脚216と第2ポスト脚218によってこれらの間で画定される。第1ポスト脚216と第2ポスト脚218とは互いに接近する方向に延びて交連先端219を形成する。隣接するリーフレット窓側部223は交連ポスト210の交連ポストベースである頂点232において互いに接近する方向に延びる。ポストスロット217はリーフレット取り付け領域330において1つ又は2つのリーフレット310の厚さに適応できる幅と、交連ポスト210と連結するリーフレット取り付け領域330における1つ又は2つのリーフレット310の厚さに適応する幅を有するように寸法設定することができる。
【0149】
それぞれのリーフレット窓側部223はこれを貫通する1つ又は2つ以上の側部受容スロット226を画定している。側部受容スロットは、リーフレット窓側部223においてリーフレットフレーム第2エッジ224と長手方向に実質的に整列するように配向されている。同様に、それぞれのリーフレット窓側部225はこれを貫通する1つ又は2つ以上のベース受容スロット228を画定している。側部受容スロットは、リーフレット窓ベース225においてリーフレットフレーム第2エッジ224と長手方向に実質的に整列するように配向されている。側部受容スロット226及びベース受容スロット228はリーフレット310の厚さに適応できるように寸法設定されており、図示の実施態様では、対応のリーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225のそれぞれの長さに近いが、しかしそれよりもわずかに短い。なお、いくつかの実施態様は、がそれぞれリーフレット窓側部223又はリーフレット窓ベース225とほぼ同じ長を有するように端部間で配向された複数の側部受容スロット226及び/又は複数のベース受容スロット228を形成してよい。
【0150】
図3Aに図示の実施態様とは異なり、リーフレット窓ベース225には第2スロット、具体的には、リーフレット取り付けスロット229が画定され、これもまたリーフレット窓ベース225におけるリーフレットフレーム第2エッジ224と実質的に整列するように配向されている。リーフレット取り付け領域229とリーフレットフレーム第2エッジ224との間にベース受容スロット228が配置される。複数のリーフレットフレーム突起260が間隔を置いて取り付けスロット内側エッジ230から突出してリーフレット取り付けスロット229を画定する。加えて、三角形開口256を部分的に画定するリーフレット窓側部223に隣接する側部内縁部257にリーフレットフレーム突起260が配置されている。他の実施態様、例えば
図3Aの実施態様では交連ポスト210にリーフレットフレーム突起260が存在するが、図示の実施態様では交連ポスト210にリーフレットフレーム突起260は配置されていない。
【0151】
図14を参照しながら後述するように、各リーフレット310の取り付け領域330はそれぞれのポストスロット217、側部受容スロット226、及びベース受容スロット228を貫通する部分であり、そしてこの取り付け領域330を使用することにより、リーフレット310を、交連ポスト210、2つのリーフレット窓側部223、及びリーフレットフレーム200のリーフレット窓ベース225に固定する。この場合、折り重ね部分324は、それぞれのリーフレットフレームエレメント、すなわち交連ポスト210,リーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225の周りに部分的に巻き付く。集成された人工弁において、リーフレット取り付け領域330は、リーフレットフレーム突起260によって容易にされた状態で、リーフレット窓ベース225及び2つのリーフレット窓側部223のそれぞれにカップリングされる。
【0152】
複数の実施態様においては、リーフレット取り付け領域330のうち、リーフレット保持面233とは隣接していない部分に負荷を配分するようにリーフレット310とカップリングするようにリーフレットフレーム200を形成することができる。換言すると、
図1に図示の構成と比較して、リーフレット取り付け領域330内部の応力集中が軽減される。このような力分布はそれぞれのリーフレットフレームエレメント、すなわち、リーフレット窓側部223、リーフレット窓ベース225、及びポスト両側213の周りにリーフレット取り付け領域330を包み込むことで容易に達成できる。例えば、リーフレットがそれぞれのポストスロット217、側部受容スロット226、及びベース受容スロット228を貫通することによって容易に達成され、リーフレット310を2つの交連ポスト210、2つのリーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225に固定するのに利用される。この場合、折り重ね部分324は、それぞれのリーフレットフレームエレメント、すなわち交連ポスト210,リーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225の周りに部分的に巻き付く。また、力分布はリーフレットアパーチャ308とリーフレットベース325との間の距離、すなわち、リーフレット取り付け領域330とリーフレットふくらみ領域322との交差部分を大きくすることによって容易に達成できる。
【0153】
上記実施態様はいずれも二等辺四辺形のリーフレット窓を示しているが、リーフレットフレームエレメントがその他のリーフレット窓形状を呈するように形成することができる。具体的には、いくつかの実施態様では、2つの窓側部とその間のリーフレット窓ベースとが一緒に放物面湾曲を画定することができる。
さらにまた、図示の実施態様はいずれもリーフレットフレームの周りに等間隔に配置された交連ポストを示しているが、言うまでもなく交連ポストは不等間隔に配置されていてもよい。同様に、図示の実施態様はいずれも3つだけのリーフレットを示しているが、本発明の人工弁及び弁付き導管は2つ以下又は4つ以上の、例えば、2つ、4つ、又は5つのリーフレットを有することができる。
【0154】
種々の実施態様においては、リーフレットフレーム200を、組織の成長を促進するのに好適な、例えば、ePTFEメンブランのような材料で包み込むことができる。リーフレット取り付け前にリーフレットの全面をフィルムで包み込むことができる。あるいは、ポリエチレンテレフタレート布地(例えば、ダクロン布)を、リーフレットフレームの内外面に、また任意には、リーフレット取り付け前に、リーフレットフレーム突起間に結合させることもできる。
【0155】
リーフレット
それぞれのリーフレット窓222は、
図1Aに示すように、リーフレット窓側部223、リーフレット窓ベース225、及び/又は交連ポスト210の1つ又は2つ以上のリーフレット保持面233においてリーフレットフレーム200とカップリング可能なリーフレット310の1つを有している。リーフレット310はリーフレットフレーム200とカップリングされたときにはリーフレットフレーム200から半径方向内方へ向かって広がる。リーフレット310は、複数のリーフレットアパーチャ308によってリーフレットフレーム200にカップリングするように形成されている。複数のリーフレットアパーチャ308は、リーフレット取り付け領域330に配置されている。リーフレット取り付け領域330はそれぞれリーフレットフレーム突起260を受容するように形成されている。それぞれのリーフレット310はリーフレット取り付け領域330、リーフレットふくらみ領域322、及びリーフレット自由エッジ312を画定し、リーフレットふくらみ領域322はリーフレット自由エッジ312で終わっている。リーフレットベース325はリーフレット取り付け領域330とリーフレットふくらみ領域322との交差域を意味する。
【0156】
1つの実施態様においては、リーフレット取り付け領域330は交連ポスト210、リーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225においてリーフレットフレーム200とカップリングすることができる。具体的には、
図1Aに図示の実施態様と同様に、リーフレット取り付け領域330は、それぞれがリーフレットフレームの突起260を受容するように構成された複数のリーフレットアパーチャ308を画定している。前述のように、種々の実施態様においては、リーフレットアパーチャ308の形状及び寸法は突起ベース部分262の形状及び寸法と実質的に同じである。
【0157】
1個又は2個以上のリーフレットアパーチャ310の周りにおいてリーフレット310を強化することができる。例えば、補強材は、リーフレットアパーチャ308を画定するリーフレット材料の厚化部分を含むリーフレット取り付け領域330であってよい。例えば、補強材は、リーフレット取り付け領域330内のリーフレット310に付加され、リーフレットアパーチャ308を画定する補強ストリップ332であってよい。別の例として、補強材は2層、3層又はそれ以上の層のリーフレット材料を提供するために折り重ねられた部分であってよく、この部分はリーフレットアパーチャ308を画定する。種々の実施態様では、補強ストリップ332がリーフレット材料を含むことができ、すなわちリーフレットフレーム310と同じ材料を使用することもできる。リーフレットフレーム200にカップリングされるときには、補強ストリップ332は、リーフレット保持面233に面するリーフレット310のリーフレット第1側311に配置することができ、あるいは、リーフレット第1側311とは反対側のリーフレット第2側313に位置することもできる。あるいは、リーフレット第1側311及びリーフレット第2側313の両方に位置することもできる。
【0158】
1つの実施態様においては、リーフレット310が全開位置にある時、人工弁100の弁オリフィス101はほぼ円形を呈する。リーフレット310が開放状態にある時、流体が弁オリフィス101から流出可能となる。開放状態において、それぞれのリーフレット310が45度以上の角度でリーフレットフレーム内面202から広がる。人工弁100が閉じると、
図1Cに図示するように、それぞれのリーフレット自由エッジ312が隣接するリーフレット310の自由エッジ312のほぼ半分と接触する。
図1Aの実施態様における3つのリーフレット310が三重点348において合致又はほぼ合致する。リーフレット310が閉鎖位置にあると、弁オリフィス101が塞がれ、流体の流動を制止する。閉鎖位置にある時、それぞれのリーフレット310はリーフレットフレーム内面からほぼ垂直に延びた状態となる。リーフレット310が、人工弁100の中心長手方向軸線を画定するリーフレットフレーム200の中心長手方向軸線A-Bに対してほぼ垂直な方向にリーフレットフレーム内面202から立ち上がる結果として、リーフレット310は閉鎖位置へ付勢される。このことは、血流が減速又は反転する心周期の初期段階においてリーフレット310が閉鎖するという点で有益である。早期に閉じることで人工弁100での逆流を抑制することになる。
【0159】
リーフレットにカップリングされた状態におけるそれぞれのリーフレット310の形状はリーフレット窓222を画定するリーフレットフレームエレメント、具体的には、交連ポスト210、2つのリーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225のリーフレット接触縁の形状と、リーフレット取り付け領域330及びリーフレット自由エッジ312の形状によって部分的に決定される。
図10Aは
図1Aの人工弁100において使用されるようなリーフレット310をフラットな状態で示す頂面図である。図示の通り、リーフレット取り付け領域330において、リーフレット310は側部が湾曲しているほぼ二等辺四辺形を呈している。湾曲の程度は2つのリーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225におけるリーフレットフレーム200の湾曲に対応することができる。また、この図から明らかなように、リーフレット自由エッジ312は中央に頂点を有するホタテ貝の形状を呈し、ほぼ凹面状のエッジによって各側でフランキングされた中央の頂点を有している。凹面状のエッジは頂点付近では直線的である。このフラットなパターンの幾何学的形状及び寸法を変化させることによって、リーフレット310の三次元形状を変化させることができる。勿論、絶対に必要というわけではないが、リーフレット310の形状を他の技術、例えば、リーフレットモールディングや形状セッティングによって影響を与えることもできる。
【0160】
図14は
図3A-3Eに図示のリーフレットフレーム200の実施態様と併用されるように構成されたリーフレット310の実施態様を示す。リーフレット310はリーフレットふくらみ領域322と、複数のリーフレットアパーチャ308を画定するとともにリーフレットベース325に隣接する折り重ね部分324を有するリーフレット取り付け領域330を有する。リーフレット310は下記のフレームエレメント、すなわち、交連ポスト210、リーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225の一部に包み込むように形成することができる。それぞれのリーフレット310のリーフレットふくらみ領域322は完成した人工弁100に組み込んだ状態でのリーフレット310の作用部分である。それぞれのリーフレット310の取り付け領域330はそれぞれのリーフレットフレームエレメント、すなわち、交連ポスト210、リーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225の周りに部分的に包み込む折り重ね部分324を用いて、リーフレット310を2つの交連ポスト210,2つのリーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225に固定するのに利用される部分である。それぞれのリーフレットフレームエレメントの周りの包み込みを容易にするため、リーフレット取り付け領域330に複数の切り欠き326を設ける。切り欠き326はリーフレットフレーム200とのカップリングに際して、切り欠き326が2つのリーフレットフレームエレメントの交差部、すなわち、交連ポスト210とリーフレット窓側部223との交差部、又はリーフレット窓側部223とリーフレット窓ベース225との交差部に配置される。リーフレットにも切り欠き236を設けて、リーフレットフレーム200にカップリングする際に2つの側部受容スロット226の間に、又は2つのベース受容スロット228の間に位置するようにすることもできる。
【0161】
図3A-3Eのリーフレットフレーム200にカップリングする時、ポストスロット217、側部受容スロット226、及びベース受容スロット228がリーフレット取り付け領域330の各部分を受容する。折り重ね部分324は
図3Eに示すようにポストスロット217、側部受容スロット226、及びベース受容スロット内に配置され、交連ポスト210のポスト外側212,リーフレット窓側部223、及びリーフレット窓ベース225の周りに巻き付かれる。リーフレットアパーチャ308を画定するリーフレット取り付け領域330はリーフレットフレーム第2エッジ224上に着座されて、それぞれのリーフレットアパーチャ308がリーフレット保持面233における対応のリーフレットフレーム突起260、この場合、リーフレットフレーム第2エッジ224の周りに配置されるようになる。隣接するリーフレット310の折り重ね部分324の2つがポストスロット217のそれぞれにおいて一緒になり、その結果、人工弁100の弁オリフィス101において一体化又は接合することによって、
図1C及び3Eに示すようにリーフレットが交連ポストの外側の周りを通過する結果として僅かなギャップが形成されることなく、人工弁100を閉じることができる。
【0162】
図14は
図4に示すリーフレットフレーム200の実施態様と併用されるように形成されたリーフレット310の実施態様を示す。
図14に図示した実施態様と同様に、リーフレット310はリーフレットふくらみ領域322と、複数のリーフレットアパーチャ308を画定するとともにリーフレットベース325に隣接するリーフレット取り付け領域320とを有するが、
図14の実施態様と異なる点として、
図15に図示の実施態様は以下に述べるフレームエレメント、すなわち、リーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225の周りに巻き付くようにのみ構成されている点で
図14の実施態様とは異なる。従って、交連ポスト210とカップリングすることになっているリーフレット取り付け領域330の区分にアパーチャが配置されていない。それぞれのリーフレット310のふくらみ領域322は完成状態での人工弁100におけるリーフレット310の動作部分である。それぞれのリーフレット310の取り付け領域330はリーフ310を2つの交連ポスト210、2つのリーフレット窓側部223、及びリーフレットフレーム200のリーフレット窓ベース225に固定するのに利用される部分である。それぞれのリーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225を包み込み易くするとともに、ポストスロット217内への延設を容易にするため、取り付け領域に複数の切り欠き326を設けることができる。切り欠き326は、リーフレットフレーム200にカップリングされた時、2つのリーフレットフレームエレメント間の交差位置、すなわち、交連ポスト210とリーフレット窓側部223との交差位置又はリーフレット窓側部223とリーフレット窓ベース225との交差位置に位置するように配置すればよい。
【0163】
図4Aのリーフレットフレーム200にカップリングされると、ポストスロット217、側部受容スロット226、及びベース受けスロット228はそれぞれ、リーフレット取り付け領域330のそれぞれの部分を受容する。折り重ね部分324はポストスロット217、側部受容スロット226、及びベース受容スロット228内に収まり、リーフレット窓側部223及びリーフレット窓ベース225のリーフレットフレーム外面204の周りに包み込んだ。リーフレットアパーチャ308を画定するリーフレット取り付け領域330の部分はそれぞれのリーフレットフレームエレメントのリーフレットフレーム内縁234の近くに位置し、対応のリーフレットフレーム突起260を囲むようにそれぞれのリーフレットアパーチャ308が配置される。この場合、例えば、リーフレット保持面233として機能するリーフレットフレーム内縁234は側縁の内側エッジ257及び取り付けスロット内側エッジ230を含むことができる。
【0164】
交連ポスト210に対応する折り重ね部分324はポストスロット217を貫通し、接着剤又は上記交連ポストキャップを介して交連ポスト210に固定することができる。隣接するリーフレット310の2つの折り重ね部分324はそれぞれのポストスロット217中で合体し、その結果、リーフレット自由エッジ312が人工弁100の弁オリフィス101内で合体又は接合し
図1Aに図示したのと同様に人工弁100を閉じることができる。
【0165】
リーフレットの材料
リーフレット310はポリマー又は生物組織から製造することができる。具合的には、リーフレット310を、
図7-9に示すようなリーフレットアパーチャ308を有する形状にカットしたポリマー材料又は生物組織からも製造することができる。リーフレット310はリーフレットフレーム200に取り付けると同時に“賦形”された状態となるようにすることも可能である。賦形前のポリマーリーフレットの製造をポリマー材料の円筒から開始し、リーフレットアパーチャ308を有する
図7-9に図示するような形状にカットすること方法も可能である。また、ポリマー材料又は生物由来物質の補強ストリップ332を接合した後、リーフレット310及び補強ストリップ332から同時にリーフレットアパーチャ308を切り欠くことも可能である。
【0166】
リーフレット310は充分に柔軟且つ可撓性の、例えば、生体適合ポリマーや生物組織で形成することができる。複数の実施態様においては、リーフレット310を合成の、又は動物起源の材料で形成することができる。リーフレット310はエラストマーと組み合わせた複合材料で形成することも可能である。他の実施態様として、フィブリルのマトリクス内に複数の空間を有する延伸フルオロポリマーメンブランと、エラストマー材料とから成る複合材料からリーフレット310を形成することができる。なお、本発明の範囲内で、多様なタイプのフルオロポリマー及び多様なタイプのエラストマー物質を組み合わせることによって複合材料を形成することができる。同じく本発明の範囲内で、エラストマー物質は多様なエラストマー、多様な非エラストマー成分、例えば、無機充填剤、治療剤、X線不透過マーカーなどを含むことができる。
【0167】
1つの実施態様によれば、複合材料が例えば米国特許第7,306,729号(Bacino)に記載されているような、多孔質ePTFEから形成される延伸フルオロポリマー材料を含む。
【0168】
上記延伸フルオロポリマーの形成に使用される延伸フルオロポリマーはPTFEホモポリマーを含むことができる。他の実施態様では、PTFE、延伸可能な変性PTFE及び/又はPTFEの延伸コポリマーを使用することができる。適当なフルオロポリマー材料の例は、例えば、米国特許第5,708,044号(Branca)、米国特許第6,541,589号(Baillie)、米国特許第7,531,611号(Sabol他)、米国特許出願第11/906,877号(Ford)及び米国特許出願第12/410,050号(Xu他)に記載されている。
【0169】
延伸フルオロポリマーは、例えば、所要のリーフレット機能を果たすために、例えば、細孔のような微小構造を含むことができる。リーフレット310における使用に好適な他の生体適合ポリマーとしては、例えば、ウレタン、シリコン(有機ポリシロキサン)、シリコン-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレンコポリ(ビニルアセテート)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素ポリマー及び上記のそれぞれのコポリマー又は混合物が挙げられる。
【0170】
リーフレット材料のその他の例は下記の通りである。リーフレット310が少なくとも1つのフルオロポリマーメンブラン層を含む;リーフレット310が2つ以上のフルオロポリマーメンブラン層を有する積層体を含む;少なくとも1層のフルオロポリマーメンブラン層が延伸フルオロポリマーメンブラン層である;延伸フルオロポリマーメンブラン層内部にエラストマーが含まれている;エラストマーがペルフルオロメチルビニルエーテル及びテトラフルオロエチレンを含む;延伸フルオロポリマーメンブラン層がePTFEを含む;リーフレット310が複数の孔と、フルオロポリマーメンブラン層の少なくとも1つにおける孔に存在するエラストマーとを有する少なくとも1つのフルオロポリマーメンブラン層を有する複合材料を含む;複合材料が約10重量%~90重量%のフルオロポリマーメンブランを含む;エラストマーが(ペル)フルオロアルキルエーテル(PAVE)を含む;エラストマーがテトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマーを含む;エラストマーがシリコーンである;エラストマーがフルオロエラストマーである;エラストマーがウレタンである;そしてエラストマーがTFE/PMVEコポリマーである;TFE/PMVEコポリマーが本質的に約40~80重量%のペルフルオロメチルビニルエーテルと、相補的に約60~20重量%のテトラフルオロエチレンとを含む;そしてリーフレット310がシリコーンを含む。
【0171】
サブコンポーネント
実施態様によれば、リーフレットフレーム突起を、リーフレットフレームへの他のコンポーネントのカップリングに利用することができる.
図16Aは
図12Aに図示の実施態様のリーフレットフレーム600と、1つの実施態様としてサブコンポーネント680との分解図である。例えば、例3においても示すように、
図12Aのリーフレットフレーム600はサブコンポーネント680の一部として、リーフレットフレーム突起260を介してリーフレットフレーム600とカップリングされるスカート685を含む。例えば、スカート685は、
図23に図示し、例3において説明するように、人工弁160のリーフレット流入側Bに血流バリヤーとして機能する。なお、サブコンポーネント680を人工弁160のリーフレット流出側Aにも、又は流入側Bに配置する代わりにリーフレット流出側Aに配置してもよい。
【0172】
サブコンポーネント680はリーフレット窓側部223及び、実施態様によってはリーフレット窓ベース225に沿って形成されているリーフレットフレーム突起と対応するように配列されたサブコンポーネントアパーチャ608を含む。サブコンポーネント680はさらに、互いに平行な第1縫合アパーチャ列608aと、これと平行な第2縫合アパーチャ列608bとを含む。これはリーフレットベースの一部をサブコンポーネントに縫合するのに利用される。これはサブコンポーネントの付加的な利用の例であり、人工弁のその他のエレメント、この実施態様の場合ならリーフレットベースを縫合によってサブコンポーネント680に、従って、リーフレットフレーム600に取り付けることができる。
【0173】
サブコンポーネントアパーチャ608はスカート685、第1折り重ね部分683、第2折り重ね部分682、及び第3折り重ね部分684であるサブコンポーネント680の一部を画定する。第3折り重ね部分684は第1列縫合アパーチャ608a及び第2列縫合アパーチャ608bによって画定される。例3のおいても述べるように、サブコンポーネント680は
図16Bに示すようにリーフレットフレーム600内に配置されてリーフレットフレーム内面202、それぞれのリフレットフレーム突起260上に配置されているサブコンポーネントアパーチャ608と隣接する。
図16Cは
図16Bの実施態様を示す斜視図であり、第1折り重ね部分683と第2折り重ね部分682がリーフレット窓側部223に折り重ねられテリーフレットフレーム外面204と隣接し、次いでスカート685に接着されて、サブコンポーネント680をリーフレットフレーム600に接着する。第3折り重ね部分684を第1縫合アパーチャ列608aに隣接する折り曲げ線を中心に折り曲げ、トリミングすることにより第1列縫合アパーチャ608aと第2列縫合アパーチャ608bを含むサブコンポーネントフランジ686を形成し、リーフレットベース取り付け工程においてこれらの縫合アパーチャが縫合の工程において活用されるようにする。別の実施態様においては、第1縫合アパーチャ列608aと第2縫合アパーチャ列608bとの間にあって第1縫合アパーチャ608aを第2縫合アパーチャ608bと整列させることにより、リーフレットベース取り付け工程においてこれら整列状態のアパーチャを通して縫合が行われるようにする。これにより、サブコンポネント680に縫合されたリーフレットベースの部分ではリーフレットの厚さが2倍になる。
【0174】
経カテーテル人工弁
経カテーテル弁の1つの実施態様では、リーフレットフレーム集合体620としてのリーフレットフレーム600とサブコンポーネント680にリーフレット310が設けられる。
図17は3つのリーフレット310の斜視図である。
図18Aはリーフレットフレーム600及びサブコンポーネント680とのリーフレットフレーム集成体620内に集成されたリーフレット310の斜視図である。
図18Bは交連ポスト210を示す
図18AにおけるボックスBの拡大図である。
図18Cは閉鎖位置にある人工弁160を流出側に向かって見た人工弁160の頂面図である。3つのリーフレット310はリーフレット窓側部223のリーフレットフレーム突起260と対応し且つこれと結合されるリーフレット取り付け領域330を含む。交連ポスト210と連携するリーフレット取り付け領域の部分は変形可能ロッキングバー拘束エレメント605を介してリーフレットフレーム突起260に結合される。切り欠き326を設けてリーフレットフレームに対応させ、リーフレットフレームエレメントに適応させる。リーフレットベース325はリーフレットベースフランジ386を画定し、このリーフレットベースフランジ386はサブコンポーネント680のフランジ686の第1列縫合アパーチャ608a及び第2列縫合アパーチャ608bに対応する複数のベースフランジアパーチャ327を含むリーフレットベースフランジ386を画定する。リーフレットベースフランジ386はベースフランジアパーチャ327、第1列縫合アパーチャ608a及び第2列縫合アパーチャ608bを介してサブコンポーネントフランジ686に結合される。リーフレットベースフランジ386をサブコンポーネントフランジ686に取り付けることは人工弁の動作中に直線を中心に撓む直線的なリーフレットベースフランジを画定するのに有効である。
【0175】
図19は人工弁170の変更実施態様であり、リーフレット310のリーフレットベース325が、リーフレット取り付け領域330に沿って設けられたリーフレットフレーム突起260を介してリーフレット窓ベース225に結合される。リーフレットベース325は人工弁の動作中に、折れ目328によって画定される直線を中心に撓む直線的なリーフレットベースを画定する。1つの変更実施態様においては、(図示せず)サブコンポーネントのスカートに折れ目328を縫い込む。
【0176】
縫合カフ
外科的植え込みに適した人工弁100によれば、人工弁100はさらに1実施態様に基づいてリーフレットフレーム200の周りに縫合カフ285を含む。縫合カフ285は、植え込み部位にカップリングするための縫合糸を受容する構造を提供するように動作可能である。縫合カフ285は任意の適宜な材料、例えば二重ベロアポリエステル及びシリコーンを含んでよい。縫合カフ285は、リーフレットフレーム200のリーフレットフレームベース221の周囲に周方向に配置されてよい。縫合カフ285は、充填剤材料、例えばシリコーンリングを含んでよい。
【0177】
弁付き導管
1実施態様によれば、人工弁は弁付き導管内に組み込むことができる。
図20Aは、1実施態様に基づく、人工弁100を組み込む人工弁付き導管400を示す斜視図である。
図20B(i)及び(ii)は、リーフレットフレーム凹面240のベースにおける、人工弁100と(流入側導管として示される)第1導管402と(流出側導管として示される)第2導管404との接合部401の近くの、
図20Aに示された人工弁400の断面図である。
図20Cは、交連ポスト210における、人工弁100と第1導管402と第2導管404との接合部401の近くの、
図20Aに示された人工弁400の断面図である。
図20Dは、リーフレット窓ベース225の近くの、人工弁100と第1導管402と第2導管404との接合部401における、
図20Aに示された弁付き導管400の破断斜視図である。
図20A~20Dに見ることができる人工弁導管400の構成部分は、第1導管402と、第2導管404と、リーフレットフレーム200と、リーフレット310と、第1フレーム410と、第2フレーム420と、保持部材422と、弁カラー416とを含む。
図20Eは、
図20A~20Dに示された実施態様に組み込まれた第1フレーム410を示す斜視図である。これらの図に示された実施態様において、リーフレットフレーム突起260はリーフレットフレーム第2エッジ224に配置されている。
【0178】
弁付き導管400は、自然の心臓弁、及び患者の関連する血管と置換するために使用することができる。肺動脈弁及び肺動脈はこのような弁及び関連する血管の一例である。大動脈弁及び上行大動脈は別のこのような例である。
【0179】
弁付き導管400は、人工弁100と、第1導管402と、第2導管404とを含む。これらの導管は、それぞれの導管が(本明細書中に前述したような)リーフレット310のリーフレット取り付け領域330のそれぞれの側(つまりリーフレット第1側311又はリーフレット第2側313)の1つと境界を形成するように配置されている。
【0180】
第1導管402と第2導管404とはそれぞれ管状構造を画定している。管状構造はリーフレット310のそれぞれの側から延び、そこから外方へ向かって延びることにより、導管ルーメン405を一緒に画定する。導管ルーメン405は、導管ルーメン405内部で動作可能な複数のリーフレット310と軸線A-Bに沿って隣接する。図示の実施態様では、リーフレットフレーム200及びリーフレット310は第1導管402及び第2導管404と連携して、(軸線A-Bによって示されるBからAへの方向に)前方流動中に、血液が第1導管402及び第2導管404内へ流入するのを許す一方、第1導管402及び第2導管404から逆方向へ(AからBへの方向に)血液が流出するのを実質的に防止することにより、第1導管402及び第2導管404を通る血流を制御する。リーフレット取り付け領域330は、第1導管402と第2導管404との間の接合部401に配置されている。
【0181】
1実施態様によれば、人工弁付き導管400は具体的にはリーフレット310の近くで第2導管404内部に流体乱流を形成するように構成することができる。これを容易にするために、第2導管404は第2導管ルーメン405b内部に1つ又は2つ以上のサイナス406を画定することができる。サイナス406は、第2導管404の第2導管内面404eに設けられた凹部(例えば丸みを帯びた凹面)であってよい。サイナス406が交連ポスト210の各側方に隣接して配置され、そしてこの各側方をフランキングしている。種々の実施態様では、第2導管404は、複数のサイナス406を画定するようにモールディングすることができる。第2導管404のサイナス406はその形状を維持するために補強又は剛化することができ、このようなものとして、サイナスは第2導管404の他の部分よりも剛性であり得る。
【0182】
弁付き導管400は、前述のようにリーフレットフレーム200とリーフレット310とを組み込んでいる。第1導管402は、第1導管第1ルーメン端部402aと、第1導管第2ルーメン端部402bと、これらの間の第1導管ルーメン405aとを画定している。第2導管404は、第2導管第1ルーメン端部404aと、第2導管第2ルーメン端部404bと、これらの間の第2導管ルーメン405bとを画定している。リーフレットフレーム200は第1導管402の第1導管第2ルーメン端部402bに隣接する第1導管区分402cを取り囲み、これにより、リーフレットフレーム200は導管ルーメン405を貫流する流体と接触しても著しくは接触しない。
【0183】
いくつかの実施態様によれば、第2導管区分404c(導管ルーメン405を画定しない区分)がリーフレットフレーム200の少なくとも一部を取り囲むことができる。具体的には、第2導管区分404c及び/又は弁カラー416(下記)は、第2導管内面404eに周方向凹部404fを画定することができる。周方向凹部404fはリーフレットフレーム200の輪郭と相補するので、リーフレットフレーム200(及びリーフレット取り付け領域330)は周方向凹部404fを実質的に埋める。第1導管区分402cは、リーフレットフレーム200内部の導管ルーメン405の区分を画定する。1実施態様では、弁カラー416は第1フレーム410を取り囲む。
【0184】
種々の実施態様では、リーフレット310は第1導管第2ルーメン端部402bと第2導管第1ルーメン端部404aとの間にカップリングすることができる。より具体的には、第1導管第2ルーメン端部402bと第2導管第1ルーメン端部404aとは、第1導管係合面402dと第2導管係合面404dとをそれぞれ画定する。第1導管係合面402dはリーフレットフレーム第2エッジ224とリーフレット取り付け領域330との間に配置されている。種々の実施態様において、第1導管係合面402dは、リーフレットフレーム第2エッジ224の周りで反転させられることにより、リーフレットフレーム200の少なくとも一部が第1導管402の反転区分と非反転区分との間に配置され、そして第1導管係合面402dはこれらの反転区分と非反転区分との間にある。加えて、人工弁100がリーフレットフレーム突起260を含む種々の実施態様において、第1導管係合面402dは、互いに間隔を置いた複数の第1導管アパーチャ408(
図21A参照)を画定することができ、これによりリーフレットフレーム突起260のそれぞれは、対応する第1導管アパーチャ408を通って延びる。こうして、集成されたときに、複数の第1導管アパーチャ408は、リーフレットアパーチャ308及びリーフレットフレーム突起260とほぼ同じ空間的パターンを形成する。第2導管係合面404dに関しては、これは第1フレーム410とリーフレット取り付け領域330との間に配置されている。
【0185】
弁付き導管400はさらに、第1フレーム410、第2フレーム420、及び1つ又は2つ以上のブリッジ部材、例えば弁カラー416のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。ブリッジ部材は、第2導管404及び/又は第1導管402をリーフレットフレーム200に固定的にカップリングするように形成されている。種々の実施態様では、第1フレーム410及び第2フレーム420は、リーフレットフレーム200、リーフレット取り付け領域330、第1導管係合面402d、及び第2導管係合面404dを保持するように形成されていることにより、リーフレット取り付け領域330はこれらの中に保持され、且つ/又は接合部401はほぼ流体密となる。このようなものとして、第2フレーム420、第1フレーム410、及びリーフレットフレーム200はほぼ同軸的である。加えて、第2フレーム内面(図示せず)、第1フレーム内面414、及びリーフレットフレーム内面202をほぼ整列させることにより、接合部401における第1導管402と第2導管404との推移がスムーズである(例えば同一平面上)。
【0186】
種々の実施態様において、第1フレーム410は環状リングを画定している。環状リングは、第1フレーム第1エッジ412(第1フレーム第2エッジ413と対向する)を有している。第1フレーム第1エッジ412は、リーフレットフレーム第2エッジ224に対してほぼ相補的であるか、又はリーフレットフレーム第2エッジ224の上方に配置された複数の突起先端266と当接するように成形されている。例えば、リーフレットフレーム第2エッジ224は、複数のリーフレットフレーム凹面240を画定することができ、そして第1フレーム第1エッジは複数の対応凸面440(例えば
図20Eにおける凸面440参照)を画定することができる。加えて、第1フレーム410はリーフレットフレーム第2エッジ224に隣接するか又はこれに当接し、これにより対応相補的フィーチャが互いに整列して流体密な接合部401を画定する。いくつかの実施態様では、複数のリーフレットフレーム突起260がリーフレットフレーム第2エッジ224から延び、そしてリーフレットフレーム第2エッジ224と第1フレーム第1エッジ412との間に配置することができる。加えて、突起先端266は
図20B(ii)に示されているように、第2導管係合面内に押し込まれるか埋め込まれてよい。
【0187】
第1フレーム410は第2導管外面404gを取り囲み、これに固定的にカップリングされている。種々の実施態様では、第1フレームを第2導管404にカップリングするために、弁カラー416は第1導管404にカップリングされたフィルムを含むことにより、フィルム自体と第2導管404との間に第1フレーム410を包囲するように、第1フレーム410を取り囲むことができる。換言すれば、弁カラー416は、第1フレーム第2エッジ413に隣接する第2導管外面404gに固定的にカップリングされている。フィルムは第2導管404に接着剤によって、熱結合を介して、且つ/又は縫合によってカップリングすることができる。他の実施態様では、第1フレーム410は第2導管404に接着、ボンディング、且つ/又は縫合することができる。明示してはいないが、他の適宜なカップリングメカニズム又は技術を利用することもできる。
【0188】
同様に、第2フレーム420は環状リングの形状を画定している。環状リングは、第2フレーム第2エッジ424を有している。第2フレーム第2エッジ424は、リーフレットフレーム第1エッジ227に対してほぼ相補的である。第2フレーム420はリーフレットフレーム第1エッジ227に隣接しており、これにより対応する相補的フィーチャがあるならば整列する。第2フレーム420は第1フレーム410と協働することにより、リーフレットフレーム200、第1導管係合面401d、第2導管係合面404d、及びリーフレット取り付け領域330と協働する。このような協働を容易にするために、種々の実施態様において、第2フレーム420は、1つ又は2つ以上のブリッジ部材、例えば下記の弁カラー416に固定的にカップリングされるように形成することができる。
【0189】
第1フレーム410及び第2フレーム420は、半剛性又は剛性構造を含む。具体的には、第1フレーム410及び第2フレーム420は、概ね生体適合性である任意の半剛性又は剛性の金属又はポリマー材料、例えばチタン合金、ステンレス鋼、コバルト-ニッケル合金、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチルコポリマー、他の合金又はポリマー、又は本明細書中に記載された第1フレーム410及び第2フレーム420として機能するのに充分な物理的機械的特性を有する、概ね生体適合性である任意の他の材料を含むことができる。
【0190】
種々の実施態様では、弁カラー416は、第1フレーム410と第2フレーム420との間の距離を維持する(又は距離の増大に抵抗する)ように形成することができ、これにより、例えば摩擦嵌めによって2つのフレームがリーフレットフレーム200をこれらの間に保持することができる。種々の実施態様では、弁カラー416は管状形状を画定することができる。管状形状は、第2導管第1ルーメン端部404aから延び、リーフレットフレーム200を取り囲む。弁カラー416は、第1フレーム410と第2フレーム420とに固定的にカップリングすることができ、そして第1フレーム410と第2フレーム420との間に延びることができる。上記のように、弁カラー416は、第1フレーム410を第2導管404に固定的にカップリングするように形成することもできる。
【0191】
弁カラー416は、概ね生体適合性の任意の従動性材料であってよい。種々の実施態様では、弁カラー416は従動性の非弾性フィルム、又は歪み弾性フィルムであってよい。フィルムは接着剤を含むことができる。接着剤は、第2導管404及び/又は第1フレーム410に対する弁カラー416の固定を容易にする。例えば、フィルムは生体適合性材料、例えばとりわけePTFE、ポリエチレン、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリプロピレンを含むことができる。適宜な接着剤はとりわけ、生体適合性エラストマーポリマー、例えばFEP、ウレタン、シリコーン、及びイソブチレン/スチレンコポリマー、ブロックポリマー、及びこれらの組み合わせであってよい。弁カラー416について説明したが、他のタイプのブリッジ部材、例えば複数の剛性ロッドを使用して第1フレーム410及び第2フレーム420をリーフレットフレーム200に固定的にカップリングすることもできる。剛性ロッドは互いに間隔を置いて、第1フレーム410と第2フレーム420とにカップリングされ、これらの間に延びる。
【0192】
弁カラー416を第2フレーム420に固定的にカップリングするのを容易にするために、種々の実施態様では、第2フレーム420は第2フレーム外面425上にチャネル421を画定することができる。チャネルはその周面に沿って延び、保持部材422、例えばとりわけ(
図20A、20B、及び20Cに示されているような)縛りコード、ばね保持リング、又はクランプリングを受容するように形成されている。図示の実施態様では、弁カラー416を第2フレーム420の周りで反転させることにより、第2フレーム420は弁カラー416の周りに配置され、弁カラー416の区分は第2フレーム420と、チャネル421内に配置された保持部材422との間に配置されており、これにより、第2フレーム420に対する弁カラー416の運動を制限する。残りの部材422は、概ね生体適合性である金属又はポリマー材料から形成された、概ね半剛性から可撓性の構造までのいずれかであってよい。明示はしていないが、他の適宜な保持メカニズム又は技術を用い得ることは明らかである。
【0193】
第1導管402と第2導管404とは、人工血管グラフトとして使用するのに適した任意の円筒形布地構造であってよい。種々の実施態様では、第1導管402と第2導管404とは、ePTFE又はPETを含むことができる。第1導管402と第2導管404とは、延伸ポリテトラフルオロエチレン、例えばGORE-TEX(登録商標)血管グラフトから成る押し出し管であってよい。
【0194】
製造方法
種々の実施態様における人工弁の製造方法は、(例えば金属管のカット、鋳造、モールディング、印刷、又はこれに類するものによって)リーフレットフレーム窓と、交連ポストを間に有する1つ又は2つ以上のリーフレット保持面とを画定するリーフレットフレームと、1つ又は2つ以上のリーフレット保持面から延びる互いに間隔を置いた複数の突起とを形成することを含む。各リーフレットフレーム突起がリーフレットにカップリングするように形成される。リーフレットフレーム突起は突起ベース部分と突起ヘッド部分とを有することができる。突起ベース部分は一方の側ではリーフレット保持面に、そして反対側では突起ヘッド部分に移行(meet)する。リーフレットのいくつかの実施態様はさらに、リーフレットフレーム窓を画定する1つ又は2つ以上のフレームエレメントを通って延びる1つ又は2つ以上のスロットを画定することができる。それぞれのスロットは、リーフレットの少なくとも単独の厚さ、例えばリーフレット取り付け領域を受容するように寸法設定されている。スロットは、ベース受容スロット、又はサイド受容スロットであり得る。加えて、それぞれの交連ポストが、リーフレットの二重厚さを受容するように寸法設定されたポストスロットを画定する。さらなる実施態様では、フレームは、リーフレットフレーム突起がそこから延びることができる内縁部を画定する1つ又は2つ以上の取り付けスロット又は他の開口を含むことができる。
【0195】
同じ又は異なる方法は、1つ又は2つ以上の延伸PTFE複合材料層を含む材料からシート又は管を得、そしてシート又は管からリーフレットをカットすることを含むことができる。リーフレットのリーフレット取り付け料域内には1つ又は2つ以上のアパーチャが形成される。アパーチャは、リーフレットフレーム上のリーフレットフレーム突起にカップリングするのに適した寸法にカットすることができる。具体的には、アパーチャのサイズ及び形状は、リーフレットフレーム突起の突起ベース部分の横方向の断面サイズ及び形状とほぼ同じであってよい。この方法はさらに、リーフレットフレーム補強材をリーフレットフレームにカップリングし、リーフレットアパーチャをリーフレット及びリーフレット補強材の両方に同時にカットすることにより形成することを含むこともできる。
【0196】
同じ又は異なる方法は、リーフレット上のアパーチャをリーフレットフレーム上の対応突起と整列させ、リーフレット突起がアパーチャを通るようにリーフレットを押圧し、且つ/又はリーフレット突起がアパーチャを通るようにリーフレットフレームを押圧することによって、リーフレットをリーフレットフレームにカップリングすることを含むことができる。さらなる実施態様では、この方法は、アパーチャを画定するリーフレット面がリーフレット保持面と接触するようにリーフレット又はリーフレットフレームを押圧することを含むことができる。これらの工程は、それぞれのアパーチャがリーフレットフレーム突起の対応する1つの突起を通って延びるまで、隣接するアパーチャと対応隣接突起とに対して繰り返すことができる。
【0197】
さらなる実施態様では、この方法は、交連ポストの周りに交連ポストキャップを配置することを含むことができる。より具体的には、この方法は、交連ポストスロットが、交連ポストスロットを通って延びる1つ又は2つのリーフレットと整列するように交連ポストキャップを整列させ、そして次いでポストの周りにキャップを配置することを含むことができる。
【0198】
或いは、リーフレットフレームに対するリーフレットのカップリングは、リーフレット取り付け領域を画定するリーフレットの一部をベース受容スロット、サイド受容スロット、及び/又はポストスロットに通し、そして交連ポストの外側、2つのリーフレット窓側部、及び/又はリーフレット窓ベースの周りにリーフレット取り付け領域を包み込み、リーフレットのアパーチャのうちの1つをリーフレットフレーム上の対応突起と整列させ、リーフレットフレーム突起をアパーチャを通して押圧し、そしてリーフレットフレーム突起の周りにリーフレットを着座させることを含むこともできる。これらの工程は、全てのアパーチャが突起を通って延びるまで、隣接するアパーチャと対応隣接突起とに対して繰り返すことができる。
【0199】
種々の実施態様に基づく人工弁導管の製造方法は、第1導管をリーフレットフレーム(例えば上記方法に基づいて形成されたリーフレットフレーム)にカップリングし、そしてリーフレット(例えば上記方法に基づいて形成されたリーフレット)を第1導管及びリーフレットフレームにカップリングすることにより、流入側集成体を形成することを含む。種々の実施態様では、第1導管をリーフレットフレームにカップリングすることは、リーフレットフレーム第2エッジにおいてリーフレットフレームの周りで第1導管の端部を反転させることにより、リーフレットフレームの少なくとも一部が、反転した部分と反転していない部分との間に配置されるようにし、且つ/又は第1導管の隣接区分をリーフレットフレーム突起に押し付けることによって、第1導管係合面で第1導管に1つ又は2つ以上のアパーチャを形成することを含むことができる。種々の実施態様において、リーフレットを第1導管及びリーフレットフレームにカップリングすることは、リーフレットアパーチャを対応リーフレットフレーム突起と整列させ、リーフレットフレーム突起をアパーチャに押し通し、且つ/又はリーフレットフレーム突起の周りにリーフレットを着座させることを含むこともできる。
【0200】
同じ又は異なる方法は、第1フレームを第2導管にカップリングすることにより第1フレームが第2導管の端部の中間の位置で第2導管を取り囲むようにし、そして第1フレーム及び/又は第2導管に弁カラーをカップリングすることによって、弁カラーが第2導管の端部から延びるようにすることを含む。種々の実施態様では、流出側集成体は、非弾性管状フィルムを第2導管に積層することにより、第1フレームがこれらの間にシールされ、管状フィルムが導管の端部から延びるようにし、これにより弁カラーを形成することによって形成される。
【0201】
方法はさらに、第2導管を形状セッティング/モールディングすることにより、第1フレーム第2エッジに隣接する第2導管の第2導管側壁内に複数のサイナスを形成することができる。第2導管は、第2導管が第1フレーム第1エッジに当接することにより、第2導管の第2導管内面上に第2導管係合面を画定するように形状セッティングすることもできる。1実施態様では、ほぼ円筒形のモールドがサイナスモールドフィーチャと、サイナスモールドフィーチャに隣接する周面の周りに環状レッジとを含む。レッジは、第1フレーム第1エッジの形状を画定することによって、サイナスモールドフィーチャに対する第1フレームの位置決めを容易にし、且つ/又はリーフレットフレーム第2エッジに当接するように第2導管をモールディングすることができる。種々の実施態様において、サイナスモールドフィーチャは円筒形モールドの内部から伸長可能であり、そして任意には円筒形モールドの内部へ引き込むことができる。円筒形モールドはリーフレット1つ当たり1つのサイナスモールドを含むことができる。種々の実施態様では、サイナスモールドは、第2導管の周りに管状フィルムを取り付けた(例えば巻き付けた)後で、しかし管状フィルムを第2導管に加熱により取り付ける(例えば積層する)前に、所定の位置に伸長することができる。より具体的には、種々の実施態様では、サイナスは、オーバーラップ(例えば犠牲層)が加熱(例えば積層)前又は後にフィルム及び第2導管に取り付けられる。また、種々の実施態様では、積層を正圧炉内で行うことにより、具体的にはサイナスがモールディングされる領域内及び領域の周りで、フィルムと第2導管の外面とのより良好な接触を容易にする。
【0202】
同じ又は異なる方法は、流入側集成体を流出側集成体にカップリングすることを含み、そして流入側集成体のリーフレットフレーム端部を流出側集成体の弁カラー端部内へ挿入し、端部を押し合わせることにより、相補的な係合面上の対応フィーチャが整列させられるようにし、弁カラーの周りに、そしてリーフレットフレーム第1エッジに隣接して第2フレームを配置し、そして第2フレームを弁カラーに固定的にカップリングすることを含むことができる。種々の実施態様では、弁カラーを第1フレームの周りで反転させ、そして弁カラーの運動が制限されるように弁カラーの反転区分の周りに保持部材を配置することによって、第2フレームを第1フレームにカップリングすることができる。種々の実施態様では、保持部材は、第1フレームの第1外面上のチャネル内に配置されている。
【0203】
本開示を大まかに説明してきたが、下記具体例を参照することにより、さらなる理解が得られる。これらの例は、一例を示すために提供されるのにすぎず、特に断りのない限りは全てが包括的又は制限的であるものではない。
【0204】
例1:人工弁
リーフレットの構成:フルオロエラストマーが吸収された多層ePTFEメンブランを有するリーフレット材料を調製した。より具体的には、PTFEの結晶融解温度以上の温度に晒されたePTFEメンブランを、米国特許第7,306,729号明細書に記載された全般的な教示内容にしたがって製造した。ePTFEメンブランは、面積当たりの質量が約0.5g/m2、厚さが約500nm、IPAバブルポイントが約200KPa、マトリックス引張り強度が長手方向で700MPa、横方向で約380MPaであった。この膜に、米国特許第7,462,675号明細書に記載された全般的な教示内容にしたがって調製されたフルオロエラストマーを吸収させた。コポリマーは本質的に、約60~65重量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルと、相補的に約40~35重量パーセントのテトラフルオロエチレンとから成る。
【0205】
ePTFEに対するフルオロエラストマーのパーセント重量は約70%であった。
【0206】
フルオロエラストマーは、Fluorinert Electronic Liquid FC-72 (3M, St Paul, MN)中に1.5%の濃度で溶解した。溶液をポリオレフィンバッカーフィルム上に塗布し、そしてePTFEメンブランを塗布溶液に積層した。結果として生じたパッケージを110℃に設定された対流式炉内で45秒間にわたって乾燥させた。その結果として生じた複合材料は面積当たりの質量が1.52g/m2であった。
【0207】
上記複合材料を、エラストマーが塗布された側を内方に向けて、直径約25mmのステンレス鋼マンドレルの周りに約60回周方向に巻き付けることにより、管を形成した。管を長手方向にカットし、そしてマンドレルから取り外すことにより、約75mm X 75mmのルーズなスタックを形成した。
【0208】
ルーズなスタックをレーザー吸収ガラス板上に置いた。ルーズなスタックの上面にポリエチレンテレフタレート剥離ライナーを置き、その上面に犠牲ePTFEクッション層を置いた。240℃に設定された加熱されたプレスのプラテン間に集成体を置き、圧力設定値約200kPaで約5分間にわたって圧縮した。集成体をプレスから取り外し、冷ましておいた。剥離ライナー及び犠牲ePTFEクッション層を、熱結合クーポンから取り除いた。熱結合クーポンを次いでガラスから取り除いた。
【0209】
ガラスからは取り除かないこと以外は同様に、第2の熱結合クーポンを形成した。
【0210】
熱結合されたこれら2つのクーポンから、下記の形式でクーポンをカットするためにCO2レーザーを使用して補強ストリップを備えたリーフレットを形成した。
【0211】
最初に、ガラス上に残った熱結合クーポンをカットすることにより補強ストリップの内側曲線を画定するエッジを形成した。カットラインの形状が
図10Cにおいて破線331で示されている。
図10Cの領域Xとして示された、破線331の内側の余剰のクーポン材料をガラスから取り除いた。
【0212】
第2熱結合クーポンを第1熱結合クーポンの残りの部分に被せた。これら2つの熱結合クーポンを、上記のようにプレスで互いに熱結合した。結合後、結合クーポンのレーザーカットを施すことにより、
図10Cにおいて実線で示された形状にしたがってリーフレットの周囲を形成して、補強ストリップの内側曲線をリーフレットベース325に沿って配置した。
図10に示されたパターンに基づくアパーチャ308も、補強ストリップが配置された二重層からレーザーカットした。上記プロセスをもう2回繰り返すことにより、3つのリーフレットを形成した。
【0213】
フレームの構成:リーフレットフレームを形成するために、25mmのODと0.4mmの壁厚とを有するコバルトクロミウム(MP35N、完全硬質及びエイジング済)から成る管を得た。管をレーザーカットすることによりリーフレットフレームを形成した。管内にカットされたパターンは、
図2A及び2Bに示されたものに基づいたリーフレットフレームを提供した。リーフレットフレームはリーフレットフレーム窓1つ当たり50個の突起を画定した。リーフレットフレーム突起の寸法は次の通りである。ベース部分高さ0.2mm、ベース部分幅0.25mm、ベース部分厚さ0.4mm、ヘッド部分高さ0.1mm、ヘッド部分幅0.375mm、ヘッド部分厚さ0.4mm。レーザーカットされた管は電解研磨され、リーフレットフレームの形成を完了した。
【0214】
人工弁集成体:上記のように形成された3つのリーフレット及びリーフレットフレームを得た。リーフレットフレーム及びリーフレットを互いにカップリングすることにより、下記のように人工弁を形成した。
【0215】
先ず、リーフレットフレームの第1エッジをマンドレル様ホルダ上にプレス嵌めすることによってリーフレットフレームを固定化し、これにより、リーフレットフレームの第2エッジをマンドレル様ホルダの端部の上方に配置した。リーフレットのうちの1つをリーフレット窓の1つでリーフレットフレームに被せ、これにより、補強ストリップはリーフレットフレームとは反対方向に向き、リーフレットフレーム自由エッジはフレーム内部内へ延び、そしてそれぞれのアパーチャはリーフレットフレーム突起のうちの対応突起とほぼ整列した。鈍化されたカミソリ刃を使用して補強ストリップ領域内において、それぞれのリーフレットフレーム突起間でリーフレット材料を順次に押圧することにより、各リーフレットフレーム突起は対応アパーチャを通って延びた。このプロセスは、残りの2つのリーフレット窓上の残りの2つのリーフレットのために繰り返した。
【0216】
図13Bに示されているような3つの交連ポストキャップを、PEEK固形物を機械加工することによって得た。ポストキャップをそれぞれのポスト上へスライドさせ、そして接着剤(Nusil MED1511)を塗布することにより、より永久的なカップリングを保証した。
【0217】
リーフレットフレームのベースに縫合リングをカップリングすることもできる。
【0218】
例2:肺動脈弁付き導管
リーフレットフレーム及びリーフレットの構成:
例1と同様にリーフレットフレームを調製した。ただし例1とは異なり、リーフレットフレーム突起の寸法は次の通りであった。ベース部分高さ0.4mm、ベース部分幅0.25mm、ベース部分厚さ0.4mm、ヘッド部分高さ0.1mm、ヘッド部分幅0.375mm、及びヘッド部分厚さ0.4mm。リーフレットが補強ストリップを有しないことを除けば、例1と同様に3つのリーフレットを調製した。
【0219】
第1導管及び第2導管:それぞれの導管は、ID約23.7mm及び壁厚約1.2mmのePTFE円形管であった。各押し出し管は約150mm長であった。
【0220】
第1フレーム導管:第1フレームを25mmのODと0.35mmの壁とを有するコバルトクロミウム(MP35N、完全硬質及びエイジング済)の管から形成した。管をレーザーカットすることにより、
図20Eに示された第1フレームを形成した。レーザーカットされた第1フレームを電解研磨し、第1フレームの形成を完了した。
【0221】
第2フレームの構成:第2フレームをステンレス鋼303から形成し、24.4mmのID、26.9mmのOD、及び1.0mmの高さを有しており、そして周面に沿って外側に向いた表面に深さ0.5mmのチャネルを画定した。
【0222】
弁カラーを形成するために使用されるフィルム:ePTFE/FEPフィルムを使用して弁カラーを形成した。フィルムは、熱可塑性フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の接着被膜を備えた薄い無孔質ePTFEであった。ePTFE/FEPフィルムは厚さが約0.0064mm、バブルポイントが約0.6MPa超、ガーレー数(Gurley No.)(透気度)が60(分/1平方インチ/100cc)超;(又は60(分/6.45平方インチ/100cc)超、密度が2.15g/cc、及び長手方向(すなわち最強方向)における引張り強度が約300MPaであった。
【0223】
流入側集成体の構成:2つのePTFE管のうちの一方(第1導管と呼ぶ)と、上記リーフレットフレームとを得た。第1導管を、テーパされたステンレス鋼マンドレル上にスライドさせた。マンドレルの直径範囲は22~26mmであった。次いで、リーフレットフレームを第1導管の周りに置くことにより、リーフレットフレーム第2エッジが、テーパされた(より小さな直径の)端部に向くようにする。リーフレットフレームを第1導管の端部の間の中間位置に位置決めすることにより、管の少なくとも20mmがリーフレットフレームの第2エッジを超えて延びるようにした。リーフレットフレームの第2エッジを超えて延びる第1導管区分に、ほぼ長手方向の連続する9つのカット部を形成した。それぞれのカット部は第2エッジの上方2~3mmのところで始まった。カット部のうちの3つは交連ポストの上方で始まった。他のカット部は、リーフレット窓側部がリーフレット窓ベースと境界を形成する地点の上方で始まった。ストリップのそれぞれを、リーフレット窓のうちの対応窓上で反転させた。圧力を加えることにより、リーフレットフレーム第2エッジのリーフレットフレーム突起が第1導管壁を貫通するようにした。次いでストリップをトリミングすることにより、中間リーフレットフレーム-導管構造を得た。この構造が
図21Aに、リーフレットフレーム200と第1導管402とを有する状態で示されている。
【0224】
次いで、上記のように形成されたリーフレット(補強ストリップを有していないことを除く)をリーフレット窓のそれぞれにカップリングした。リーフレットのうちの1つをリーフレット窓のうちの1つにおいてリーフレットフレームに被せることにより、リーフレット自由エッジがフレームの内部内へ延び、それぞれのアパーチャがリーフレットフレーム突起のうちの対応突起とほぼ整列した。
鈍化されたカミソリ刃を使用して取り付け領域の、それぞれのリーフレットフレーム突起間の領域内でリーフレット材料を順次に押圧することにより、各リーフレットフレーム突起は対応アパーチャを通って延びた。このプロセスは、残りの2つのリーフレット窓上の残りの2つのリーフレットのために繰り返した。取り付けプロセスは、リーフレットの中心近くで始まり、そして交連ポストのそれぞれに向かって連続的に前進したが、しかしこれは任意の点で始まることができ、連続的である必要はない。中間フレーム-導管-リーフレット構造は、
図21Bに、リーフレットフレーム200と第1導管402とリーフレット310とを有する状態で示されている。
【0225】
流出集成体の構成:2つのePTFE管のうちの他方(第2導管と呼ぶ)及び上記第1フレームを得た。第2導管を、半径方向に伸長可能なサイナスモールドを有するカスタムマンドレル上にスライドさせた。モールドの表面は、サイナスに隣接する環状レッジを画定する。環状レッジは、リーフレットフレーム第2エッジを模倣するように輪郭形成された表面を画定する。(伸長可能なサイナスモールドとは無関係な)レッジの上方の直径のODはほぼ23.7mmであり、レッジの下方では、これはほぼ25.6mmであった。(よりよく例示するために、モールド500の中間区分を、環状レッジ510と半径方向に伸長可能なサイナス506とを画定する
図21Cに示す)。第2導管の端部が環状レッジよりもわずかに可能に延びるように、そしてモールドのサイナス領域をカバーするように、モールド上に位置決めした。第1フレームを、下側の環状レッジと当接する第2導管の周りに位置決めした。次いで、サイナスモールドを所定の位置に伸長させる。ポリイミドフィルムから形成された保護カバーを、第2導管及び第1フレームの下方のモールドの周りに配置した。モールドのサイナス領域、第2フレーム、及び第2導管端部を超えたモールドの一部(ほぼ20mm)とオーバーラップする第2導管部分を、次いでフッ素化エチレンプロピレン(FEP)の層で巻き付け、続いて、10層の上記PTFE/FEPフィルムで、FEP側を内方に向けて巻き付けた。次いで、サイナスモールドの形状セッティングのための調製時、及び第2導管ルミナス第1端部の端部から延びるPTFE/FEPフィルムの積層に際して、犠牲剥離層をPTFE/FEPフィルムの周りに巻き付けた。犠牲層は耐熱層、クッションのための余剰のePTFE管材料、ePTFE圧縮ラップであった。反対側の端部における第2導管の位置を、積層中の収縮を防止するために固定した。結果として生じた集成体をほぼ40分間にわたって約320℃に設定された強制空気炉内に入れた。集成体を炉から取り出し、そして室温(約22℃)まで冷ましておき、そして犠牲層を取り外した。
【0226】
導管-フレーム-カラー構造がモールド上にまだあるときに、積層弁カラー前駆体を反転させることにより、任意の余剰の導管材料を下側でトリミングした。中間の導管-フレーム-カラー構造の側面図が、第1フレーム410、複数のサイナス406を画定する第2導管404、及び弁カラー416を有する状態で
図21Dに示されている。中間の導管-フレーム-カラー構造の頂面図が、第1フレーム410、複数のサイナス406を画定する第2導管404、及び導管ルーメン406を有する状態で、
図21Eに示されている。弁カラー416はこの図では見られない。
【0227】
弁付き導管を形成するための流入集成体と流出集成体との接合:流出集成体の第1フレーム側内への流入集成体のリーフレットフレーム側の挿入に対応するために、弁カラー前駆体の長さのほぼ半分で、弁カラー416の端部に3つの長手方向カット部を形成した。流入集成体のリーフレットフレーム側を、流出集成体の第1フレーム側内へ挿入することにより、第1導管ルーメン第2端部が、第1フレーム第1エッジに隣接する第2導管ルーメン第1端部と係合するようにした。次いで、第2フレームを、組み合わされた集成体上に、リーフレットフレームのリーフレットフレーム第1エッジと当接する弁カラーの周りの所定の位置にスライドさせた。次いで弁カラーを第2フレーム上で反転させ、第2フレームに押し付けるように緊張した状態で引張った。保持部材としての縫合糸を、弁カラーの周りで第2フレームのチャネル内へ結びつけ、これにより流入集成体及び流出集成体を確実に接合した。次いで、余剰の弁カラーを第2フレームまでトリミングし、
図20Aに示された肺動脈弁付き導管を形成した。
【0228】
例3:経カテーテル自己拡張人工弁
フレームの調製
直径23.6mmの円筒形ステンレス鋼中空マンドレルを得た。マンドレルは100mm長のマンドレルの周りに分配された、壁を貫通する約1mm直径の穿孔を有した。約90mm長の犠牲剥離材料(4:1PTFE熱収縮管、初期ID25.4mm、物品番号96974、Zeus, Inc., Orangeburg, SC)をマンドレルに被せ、露出した端部に穿孔を残し、15分にわたって300℃で設定された空気炉内で加熱することによりマンドレルに密に収縮させた。集成体を室温まで冷やしておいた。
【0229】
以下の特性、すなわち1平方メートル当たり50.6グラムの面積当たりの質量、及び長手方向における1.7kgf/cm、及び横方向における1.64kgf/cmの引張り破断強度、を有するFEP/ePTFE成分を得た。引張り試験は、25.4mmのゲージ長、及び1分当たり100%の歪み速度とを利用して25.4mm幅の試料上で23℃において実施した。85mm幅のFEP/ePTFEの2層構造を、FEPがマンドレルから反対方向に向く状態で、犠牲剥離材料上でマンドレルの周りで周方向に巻き付けた。マンドレル及びフィルムを15分間にわたって360℃に設定された空気炉内に置くことによって、フィルム層を結合し、冷ましておき、その結果複合構成部分をもたらした。複合構成部分を、マンドレル上にまだあるときに、CO2レーザーを使用してレーザートリミングして穿孔することにより、
図16Aに示されたサブコンポーネント680を形成し、マンドレル上に残した。サブコンポーネント680はサブコンポーネントアパーチャ608と、スカート685と、第1折り重ね部分683と、第2折り重ね部分682と、第3折り重ね部分684とを含む。第3折り重ね部分684はさらに、互いに平行な第1列の縫合アパーチャ608aと、第2列の縫合アパーチャ608bとを含む。
【0230】
直径5.79mm、厚さ0.406mmのニトロール管を得た(Alloy ASTM F 2063-05, 部品番号11437-99, Vascotube, Birkenfeld, Germany)。管をレーザーカットして、リーフレットフレーム突起260を有するリーフレットフレーム600と、変形可能ロッキングバー670及びロッキングクリップ672を含む交連ポスト610における変形可能ロッキングバー拘束エレメント605とにした。リーフレットフレーム600は23mmの内径で形状セッティングした。リーフレットフレーム600は
図11A、16A、11B、及び11Dに示されている。
【0231】
リーフレットフレーム600をサブコンポーネント680の上部のマンドレルに置き、対応サブコンポーネントアパーチャ608と整列させた。サブコンポーネント680内のサブコンポーネントアパーチャ608をリーフレットフレーム突起260に押し被せることにより、サブコンポーネント680をリーフレットフレーム600に取り付けた。第1折り重ね部分683と第2折り重ね部分682とをそれぞれのフレームエレメントに折り重ね、
図16Bに示されているように、スカート685がリーフレットフレーム内面に当て付けられた状態で、リーフレットフレーム外面204に当て付けた。第3折り重ね部分684を、第1列の縫合アパーチャ608aと第2列の縫合アパーチャ608aとの間の折り線の周りで折り、第1列の縫合アパーチャ608aと第2列の縫合アパーチャ608aとを整列させて、リーフレットベース取り付けプロセス中にこれらを通る縫合糸を受容し得るようにした。
【0232】
カバーリング690と呼ばれるFEP/ePTFE構造の付加的な層を、FEP側がマンドレルに向いた状態でサブコンポーネント680に隣接するリーフレットフレーム外面204に取り付け、コンベンショナルなオートクレーブ真空バッグ技術を利用してマンドレル上の集成体に結合した。オートクレーブ温度を310℃まで傾斜させて20分間にわたって保持し、室温まで冷却した。約0.8bar(12psi)の真空、及び6.8bar(100psi)の圧力を加えた。この技術は、リーフレットフレーム内面202にスカート685を結合し、第1折り重ね部分683、第2折り重ね部分682、及び第3折り重ね部分684をリーフレットフレーム外面204及びカバーリング690に結合し、そしてスカート685の隣接部分にカバーリング690を結合した。犠牲真空バッグシステムを取り除き、廃棄した。
【0233】
カバーリング690をトリミングして
図22に示された形状にした。
【0234】
リーフレットの構成
リーフレットを2つの例外を除いて、例1に記載されたものと同じように構成した。
【0235】
フルオロエラストマーを吸収させた多層ePTFEメンブランを、オートクレーブを利用して一緒に結合した。これらの多層を、犠牲剥離材料で巻き付けられた穿孔付き中空マンドレル上に巻き付け、続いてコンベンショナルなオートクレーブ真空バッグ技術を利用してマンドレル上の集成体に結合した。オートクレーブ温度を280℃まで傾斜させて約30分間にわたって保持し、次いで室温まで冷却した。約0.8bar(12psi)の真空、及び6.8bar(100psi)の圧力を加えた。犠牲真空バッグシステムを取り除き、廃棄した。結果として生じたリーフレット材料及び犠牲剥離材料を軸線方向にカットし、マンドレルから除去した。次いで、犠牲剥離材料を取り除いた。結果として生じるリーフレット材料を平らに広げた。
【0236】
他の例外は、ただ1つのクーポンをレーザートリミングすることによりリーフレットを形成し、これにより補強ストリップが存在しなくなることである。
【0237】
リーフレットの取り付け
リーフレット310をリーフレットフレーム600にカップリングすることにより、
図19に示された人工弁160を形成した。リーフレットフレーム600はこれを保持マンドレル上に置くことにより先ず固定化した。次いで、リーフレット自由エッジ312がリーフレットフレーム集成体620の内部へ延びる状態で、リーフレット310をリーフレットフレーム600に被せた。リーフレット310内のそれぞれのリーフレット開口308を対応するリーフレットフレーム突起260と整列させた。鈍化されたカミソリ刃を使用してリーフレットアパーチャ308間の領域内でリーフレット取り付け領域330を押圧することにより、各リーフレットフレーム突起260は対応アパーチャ308を通って延びた。これは、リーフレットフレーム突起260の全て、及び第1リーフレット310のリーフレットアパーチャ308に関して繰り返し、次いで残りの2つのリーフレット310に関して繰り返した。
【0238】
各リーフレット310のリーフレットベース部分616を、ePTFE縫合糸(CV6 Suture, W. L. Gore & Associates, Inc, Elkton, MD)を使用して、第1列の縫合アパーチャ608aと、第2列の縫合アパーチャ608bとに沿って、サブコンポーネント680に縫い付けた。
図17Bに示されているように、それぞれの交連ポスト610では、変形可能ロッキングバー670をロッキングクリップ672に向かって折り下げ、ロッキングクリップ672内のクリップ溝673内へクリップ留めすることにより、リーフレット310を拘束した。変形可能ロッキングバー670は、ロッキングクリップ672にレーザー溶接した。
【0239】
結果としてもたらされた経カテーテル人工弁160は
図23に示されている。
【0240】
例4:経カテーテルバルーン拡張型人工弁
リーフレットフレーム700を、例3と同様に調製した。ただしここでは、フレームは内径23mmの316Lのステンレス鋼管から形成されており、フレームは、
図12B及び12Bに示されているように、取り付け可能なロッキングバー770を含む取り付け可能なロッキングバー拘束エレメントと、取り付け可能なロッキングバー770とカップリングするように動作可能な2つのロッキングクリップ672とを有した。取り付け可能なロッキングバー770は、取り付け可能なロッキングバー770の各端部に保持フック771を含む。保持フック771は、
図12Cに示されているように、それぞれのロッキングクリップ672とカップリングするように動作可能である。
【0241】
リーフレットは例3と同様に調製した。リーフレットは、例3と同様に取り付けたが、ただしここでは
図12Bに示されているように、取り付け可能なロッキングバー770をそれぞれのロッキングクリップ672にカップリングすることにより、リーフレットを交連ポスト710で拘束した。
【0242】
結果としてもたらされた経カテーテル人工弁160が有するリーフレット310は、リーフレットアパーチャ308を通って延びるリーフレットフレーム突起260によってリーフレットフレーム200に取り付けられており、そしてさらに、取り付け可能なロッキングバー拘束エレメント705によってリーフレットフレーム突起260に保持されている。
【0243】
方法:使用される材料の上記物理的特性は、以下の方法に従って見極めることができる。しかし言うまでもなく、当業者によって適切であると判定された任意の方法又は設備を代わりに利用することもできる。
【0244】
厚さ:フィルム及びメンブランの厚さは、Kafer FZ1000/30 厚さスナップゲージ Kafer Messuhrenfabrik GmbH, Villingen-Schwenningen, Germanyの2枚の板の間にメンブランを置くことにより測定した。薄いメンブランの場合、複数の層を一度に測定し、測定された厚さを測定された層の数で割り算することにより単一のメンブランの厚さを得た。言うまでもなく、任意の適宜な厚さ測定方法を用いることができる。
【0245】
空気透過性試験:空気透過性試験法が、ガーレーデンソメーター(Gurley (Gurley Precision Instruments, Troy, NY)を使用して、空気が材料を貫流する能力を測定することにより、ISO 5636-5の全体的な教示内容にしたがって試料の多孔率を評価した。
【0246】
面積当たりの密度&質量:面積当たりの密度及び質量はメンブランの特性である。analytical balance (Mettler PM400 New Jersey, USA)を使用して、既知の面積の試料の質量を見極めた。密度は次の式、すなわちp=m/ A*tであり、p=密度、m=質量、A=面積、そしてt=厚さであった。面積当たりの質量は、質量を試料面積で割り算することにより計算した。
【0247】
ePTFEメンブランの引張り強度:フラットグリップ及び0.445kNロードセルを備えたInstron 122引張り試験機械(Instron, Norwood, MA)を使用して、メンブランの引張り強度を先ず測定することにより、メンブランの最大引張り強度(MTS)を測定した。ゲージ長は約5.08cmであり、そしてクロスヘッド速度は約50.8cm/minであった。試料寸法は約2.54cm×約15.24cmであった。最大引張り強度MTSは、等式:MTS=(最大荷重/断面積)*(PTFEの嵩密度)/(多孔質メンブランの密度)にしたがって引張り強度及び密度から計算された。PTFEの嵩密度は約2.2g/cm3であると考えられた。
【0248】
バブルポイント試験:ランプ速度1.38KPa/s(0.2psi/s)、3.14cm2試験面積のIPAバブルポイントテスター(Pressure Regulator Industrial Data Systems Model LG-APOK, Salt Lake City, UT, USA)によってIPAバブルポイントを測定した。具体的には、バブルポイントは、IPA飽和物品に空気を強制的に通すために必要な最小圧力である。圧力がわずかに上昇すると、多くの場所で定常バブル流が生成されるはずである。したがって、測定値は、材料内の穿刺孔のようなアーチファクトによってバイアスされることはない。
【0249】
デバイス及び/又は方法の構造及び機能の詳細とともに種々の変更形を含む数多くの特徴及び利点を前記説明において示してきた。開示内容は一例として意図されるにすぎず、このようなものとして、網羅的なものであるようには意図されない。例えば、本開示内容の実施態様は、医療用途の文脈において記載されているが、しかし非医療用途においても有用であり得る。特に構造、材料、エレメント、構成部分、形状、サイズ、本発明の原理範囲内における組み合わせを含む部分の配列に関して、添付の請求項が明示されている用語の広い一般的な意味によって示される充分な程度まで種々の変更を加え得ることは当業者に明らかである。これらの種々の変更形は、添付の請求項の思想及び範囲を逸脱することのない程度にこの思想及び範囲内に包含されるものとする。