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特許7225219ヘルスケア環境において健康データを通信するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】ヘルスケア環境において健康データを通信するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20230213BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020515226
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018073798
(87)【国際公開番号】W WO2019063249
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】17306282.9
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511241734
【氏名又は名称】フレゼニウス ヴィアル エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Vial SAS
【住所又は居所原語表記】Le Grand Chemin, 38590 Brezins, France
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】レーニエ, クリストフ
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルスケア環境(1)において健康データを通信するシステムであって、
前記ヘルスケア環境(1)において健康データを通信する通信ネットワーク(4)と、
前記通信ネットワーク(4)を介して健康データを転送する報告デバイス(2)と、
前記通信ネットワーク(4)の通信チャネル(41)を介して前記報告デバイス(2)から健康データを受信する消費デバイス(3)と、
を備え、
前記消費デバイス(3)は、前記報告デバイス(2)から健康データを受信するために、サブスクリプション要求を含むサブスクリプション要求メッセージ(A1)を前記報告デバイス(2)に送信するように構成され、前記報告デバイス()は、前記サブスクリプション要求メッセージ(A1)を受信すると、前記サブスクリプション要求を検証し、前記消費デバイス(3)に健康データを転送するための前記通信チャネル(41)を確立するように構成され
前記消費デバイス(3)は、前記通信チャネル(41)と異なるセキュア化されたチャネル(40)を介して前記サブスクリプション要求メッセージ(A1)を送信するように構成される、システム。
【請求項2】
前記セキュア化されたチャネル(40)は、HTTPSに従うチャネルである、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記通信チャネルは、TCP/IPに従うチャネルである、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記報告デバイス(2)は、前記サブスクリプション要求メッセージ(A1)を受信すると、前記サブスクリプション要求を検証するための返答メッセージ(A2)を前記消費デバイス(3)に送信するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記報告デバイス(2)は、前記ヘルスケア環境(1)内に位置する少なくとも1つの患者ケアデバイス(11)から健康データを受信するように構成されたデバイス観測値レポーターである、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記消費デバイス(3)は、前記デバイス観測値レポーターから健康データを受信するように構成されたデバイス観測値コンシューマーである、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記消費デバイス(3)は病院情報システムである、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記サブスクリプション要求は、一意の識別子と、ネットワーク接続性パラメーターと、統合プロファイルと、リフレッシュ遅延と、前記ヘルスケア環境(1)における位置とのうちの少なくとも1つに関する情報を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記位置に関する情報は、健康データがそこから前記消費デバイス(3)に転送されることになる患者ケアデバイス(11)の位置を識別する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
ヘルスケア環境(1)において健康データを通信する方法であって、
報告デバイス(2)から、通信ネットワーク(4)の通信チャネル(41)を介して消費デバイス(3)に健康データを転送すること、
を含み、
前記消費デバイス(3)は、前記報告デバイス(2)から健康データを受信するために、サブスクリプション要求を含むサブスクリプション要求メッセージ(A1)を前記報告デバイス(2)に送信し、前記報告デバイス()は、前記サブスクリプション要求メッセージ(A1)を受信すると、前記サブスクリプション要求を検証し、健康データを前記消費デバイス(3)に転送するための前記通信チャネル(41)を確立し、
前記消費デバイス(3)は、前記通信チャネル(41)と異なるセキュア化されたチャネル(40)を介して前記サブスクリプション要求メッセージ(A1)を送信する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、ヘルスケア環境において健康データを通信するシステムと、ヘルスケア環境において健康データを通信する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムは、ヘルスケア環境において健康データを通信する通信ネットワークを備える。これに関して、報告デバイスが、通信ネットワークを介して健康データを転送する役割を果たし、消費デバイスが、報告デバイスから通信ネットワークの通信チャネルを介して健康データを受信する役割を果たす。
【0003】
通常、病院等のヘルスケア環境において、多数の患者ケアデバイス、例えば、薬剤を患者に投与する注入デバイスが、ヘルスケア環境における異なる位置において、例えば、異なる部門(一般病棟、集中治療室、救急部門等)において、及び異なる部門の異なる部屋の、例えば異なる患者のベッドサイドにおいて操作される。そのような患者ケアデバイスは、通常、独立して運転し、例えば実行されたか又は進行中の注入動作に関するデータを生成する。このデータは、少なくとも或る程度、健康データとして例えば病院情報システム(HIS)に転送されることになる。
【0004】
病院通信ネットワーク内で、患者ケアデバイスは通常、ゲートウェイデバイスに接続される。ゲートウェイデバイスは、例えば、患者ケアデバイスから受信した健康データを前処理し、この健康データを病院情報システムに転送する。
【0005】
病院情報システムは、通常、病院における医療データ及び管理データを収集、処理及び配信するための一組の情報処理システムとして理解される。病院情報システムは、特に、健康データを受信して処理し、この健康データをユーザーに提供する役割を果たす1つ又は複数のサーバーを含む。ユーザーは、例えば、固定のワークステーションから、又はタブレットコンピューター若しくはスマートフォン等のモバイル通信デバイスを用いて、病院の内部から病院情報システムにアクセスすることができる。
【0006】
病院情報システムは特に、患者関連情報を収集して処理する、(ヨーロッパにおいて一般的に用いられている)患者データ監視システム(PDMS)、又は(例えば米国において一般的に用いられている)電子医療記録(EMR)を含むか、又はその役割を果たすことができる。技術的観点から、EMRは通常、永久データベースを指すのに対し、PDMSは、患者のベッドサイドにおいて表示されるエンドユーザーインタフェースを指す。上位のアーキテクチャコンセプトとして、病院情報システム(HIS)は、(有線であれ、無線であれ)病院ネットワークを通じて医療デバイス、PDMS/EMRデータベース、モバイル通信デバイスを相互接続するグローバルシステムアーキテクチャを提供する。
【0007】
病院情報システム/患者データ監視システムのサーバーをヘルスケア環境の通信ネットワークに接続するために、従来から、静的に構成された接続が用いられる。このため、通信ネットワークとインタラクトする前に、サーバー及びネットワークの双方、特に、サーバーにアウトバウンド健康データを送信するゲートウェイを構成しなくてはならず、このゲートウェイにおいて、サーバーはネットワークに接続された状態を静的に保つ。構成は通常、IT管理者によって手動で行われ、他のシステムに対するサービスの中断につながる可能性がある。
【0008】
さらに、従来のセットアップでは、病院情報システムのサーバーが故障する場合のバックアップを提供する冗長方式が、データトラフィックを増大させる場合があるか、又は特定の追加のネットワークハードウェアを必要とする場合があるという点で困難である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、データ負荷を低減し、バックアップの処理を改善することが可能でありながら、ネットワークへの消費デバイスの容易な接続を可能にすることができる、ヘルスケア環境において健康データを通信するシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴部を含む、ヘルスケア環境において健康データを通信するシステムによって達成される。
【0011】
したがって、消費デバイスは、報告デバイスから健康データを受信するために、サブスクリプション要求を含むサブスクリプション要求メッセージを報告デバイスに送信するように構成され、報告デバイスは、サブスクリプション要求メッセージを受信すると、サブスクリプション要求を検証し、消費デバイスに健康データを転送するための通信チャネルを確立するように構成される。
【0012】
このため、報告デバイスから消費デバイスへ健康データを転送するための通信チャネルを、消費デバイスによるサブスクリプション要求時に動的にセットアップすることができる。通信チャネルの確立は、消費デバイスから報告デバイスに送信されるサブスクリプション要求メッセージにより開始され、この際、報告デバイスは、サブスクリプション要求メッセージに含まれるサブスクリプション要求を検証し、検証に成功すると、健康データを消費デバイスに転送するための通信チャネルを確立する。
【0013】
通信チャネルのセットアップは動的に行うことができるため、報告デバイス及び消費デバイスの静的な構成は必要とされず、これは、接続を確立するための労力を低減するのに役立つことができる。特に、IT管理者によるアクションを必要としないことができ、通信チャネルの確立は、消費デバイスと報告デバイスとの間の交渉により自動的に行われる。
【0014】
サブスクリプション要求によって、消費デバイスは、健康データの受信を望むことを示す。本明細書におけるサブスクリプション要求は、健康データがそこから定期的に受信される患者ケアデバイス(例えば注入デバイス)の特定のグループ、例えば、特定の位置、例えば病院の特定の部門内に位置する患者ケアデバイスを定義することができるという点において特殊であり得る。通信チャネルが確立されると、報告デバイスは、サブスクリプション要求に従って指定された健康データ、例えば、患者ケアデバイスの指定されたサブセットから収集された健康データを定期的に消費デバイスに転送する。消費デバイスは、健康データを収集し、例えば病院情報システム内での更なる使用のためにこの健康データを処理する。
【0015】
消費デバイスは、1つの実施形態において、通信チャネルと異なるセキュア化されたチャネル、例えば、HTTPSに従うチャネルを介してサブスクリプション要求メッセージを送信するように構成することができる。HTTPSは、ハイパーテキストトランスファープロトコルセキュアを表し、特に、データのセキュアな転送用のインターネットのための通信プロトコルを表す。HTTPS接続は、暗号化及び認証を用いるという点で特にセキュアである。暗号化は、特に、SSL/TLSを用いる。
【0016】
サブスクリプション要求メッセージに含まれるサブスクリプション要求の検証に成功した際に確立される通信チャネルは、1つの実施形態において、サブスクリプション要求メッセージを送信するのに用いられるセキュア化されたチャネルと異なる技術を用いることができる。通信チャネルは、セキュアな接続としてセットアップすることができ、特に、TCP/IP接続、特にMLLP接続を使用することができる。TCP/IPは、送信制御プロトコル/インターネットプロトコルを表し、インターネットにおいて用いられるとき、ネットワークの当事者の識別はIPアドレスによって行われる。MLLPは、最小下位層プロトコルを表す。MLLP接続は、特に、医療環境内で、特に病院通信ネットワーク内のシステム間又は異なる病院のシステム間で健康データを交換するための規格のHL7グループによって指定することができる。
【0017】
1つの実施形態において、報告デバイスは、サブスクリプション要求メッセージを受信すると、サブスクリプション要求を検証するための返答メッセージをコンピューティング消費デバイスに送信するように構成される。返答メッセージは、有利には、サブスクリプション要求メッセージも送信されるのと同じセキュアチャネル上で送信され、それによって、報告デバイスは、同じチャネル上の消費デバイスに対し返答する。返答メッセージは、サブスクリプション要求メッセージにおけるサブスクリプション要求の検証に成功したか否かを示す。サブスクリプション要求が検証された場合、報告デバイスは、サブスクリプション要求において指定されたパラメーターを用いて通信ネットワークにおいて通信チャネルを開通する。
【0018】
1つの実施形態では、報告デバイスは、ヘルスケア環境内に位置する1つ又は複数の患者ケアデバイスから健康データを受信するように構成された、いわゆるデバイス観測値レポーター(DOR:device observation reporter)とすることができる。そして、消費デバイスは、デバイス観測値レポーターから健康データを受信するように構成されたデバイス観測値コンシューマー(DOC:device observation consumer)とすることができる。DORは、通常、患者ケアデバイスから、独自のフォーマットに基づくものを含む健康データを収集する役割を果たし、収集されたデータをトランザクションに対しマッピング及びフォーマット設定し、一貫した構文及び意味を提供する。そして、DOCは、DORから患者ケアデバイスの健康データを受信する役割を果たし、受信した健康データを収集し、この健康データを処理する。
【0019】
DORとDOCとの間の通信は、いわゆる統合プロファイル(例えば、IHE IPEC、DEC、ACM等の標準化された統合プロファイル)によって定義することができ、この統合プロファイルは、特に、DORからDOCに転送される健康データのフォーマット及び構文を定義し、健康データを送信するためのシーケンスを交換し、それによって、健康データを標準化されたフォーマット及び構文に従ってDOC内で受信し処理することができる。
【0020】
1つの実施形態において、消費デバイスは、健康データを受信して処理し、ユーザーに情報を提供するように構成される病院情報システムである。ユーザーは、例えば固定のワークステーションから、又はモバイル通信デバイスを用いて、病院情報システムにアクセスすることができる。
【0021】
サブスクリプション要求メッセージに含まれるサブスクリプション要求は、報告デバイスから消費デバイスに健康データを転送するためにセットアップされる通信チャネルを定義する情報を含むことができる。特に、サブスクリプション要求は、一意の識別子、ネットワーク接続性パラメーター、統合プロファイル、リフレッシュ遅延、及びヘルスケア環境内の位置に関する情報を含むことができる。
【0022】
一意の識別子を用いて、報告デバイスと消費デバイスとの間でセットアップされた接続(通信チャネル)を識別することができる。
【0023】
ネットワーク接続性パラメーターは、例えば、TCP/IPアドレス、ホスト名及び用いられるポートを含むことができる。
【0024】
統合プロファイルに関する情報は、IHE(IPEC、DEC、ACM等)、FHIR又は独自の統合プロファイル等の、通信に用いられる標準統合プロファイルに関することができる。
【0025】
リフレッシュ遅延に関する情報は、健康データがリフレッシュされる周期、すなわち、例えば、注入デバイス等の患者ケアデバイスの特定の組に関する健康データメッセージを報告デバイスから消費デバイスに送信するための周期を定義することができる。
【0026】
位置に関する情報は、例えば、ヘルスケア環境内の位置、例えば、病院の特定の部門、病院の部門内の部屋の特定の組等を識別して、健康データがそこから消費デバイスに転送される患者ケアデバイスの組を識別する役割を果たすことができる。通常、病院は、階層的なツリー状の方式で編成される場合があり、最上位レベルは病院全体として定義され、これを部門、(部門内の)部屋、及び(部屋内の)ベッドに関する階層レベルまで分解することができる。位置情報は、例えば特定の部門若しくは部門内の部屋の特定の組、又は部門内の部屋内の特定のベッドを定義する、そのような階層構造に関することができる。このため、報告デバイスは、サブスクリプションに従って、患者ケアデバイスの指定された組に関係する消費デバイスにのみ、例えば、病院の特定のエリア内、例えば特定の部門内又は特定のベッドルーム内に位置する患者デバイスのみに、これらの健康データを送信する。このため、ヘルスケア環境全体内で収集された全ての健康データが消費デバイス、例えば病院情報システムに送信されるわけではなく、それによって、ネットワークに対するデータ負荷が本質的に低減される。
【0027】
また、この目的は、ヘルスケア環境において健康データを通信する方法によって達成され、この方法は、報告デバイスから、通信ネットワークの通信チャネルを介して消費デバイスに健康データを転送することを含み、消費デバイスは、報告デバイスから健康データを受信するために、サブスクリプション要求を含むサブスクリプション要求メッセージを報告デバイスに送信し、報告デバイスは、サブスクリプション要求メッセージを受信すると、サブスクリプション要求を検証し、健康データを消費デバイスに転送するための通信チャネルを確立する。
【0028】
システムについて上述した利点及び有利な実施形態は、方法にも同様に当てはまり、それにより、方法は上記で参照されるものとする。
【0029】
以下、本発明の根底にある構想を、図面に示す実施形態に関してより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】通信ネットワークに接続された患者ケアデバイスを備える病院等のヘルスケア環境の概略図である。
図2】報告デバイスから消費デバイスに健康データを転送するための通信チャネルを確立する、消費デバイスと報告デバイスとの間の通信の概略図である。
図3】バックアップ処理の概略図である。
図4】デバイス観測値レポーター(DOR)とインタラクトする複数のデバイス観測値コンシューマー(DOC)を有するヘルスケア環境の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、例えば病院の組織に対応する、ヘルスケア環境1の概略図を示す。
【0032】
ヘルスケア環境1は、一組の部屋100を各々が有する異なる複数の部門10を含むことができ、この部屋において、患者に薬液を投与する注入デバイス等の患者ケアデバイス(短縮してPCD)を、異なる複数の部門10の医療スタッフの注意の下で操作することができる。部門10は、例えば、病院の一般病棟、集中治療室、救急部門、又は専門部門、例えば、治療サービスに関する専門部門(例えば、がん科又は薬局)及び診断サービスに関する専門部門(例えば放射線科又は心臓科)に対応する場合がある。
【0033】
ヘルスケア環境1は、ヘルスケア環境1の異なる情報システム間のデータ通信を提供する内部通信ネットワーク4を備える。通信ネットワーク4は特に、多数の患者ケアデバイス11が接続され、患者ケアデバイス11への、及び患者ケアデバイス11からのデータ通信を提供する役割を果たすゲートウェイ2を備えることができる。
【0034】
ゲートウェイ2を介し、患者ケアデバイス11は特に、病院情報システム3に接続することができる。病院情報システム3は、ヘルスケア環境1内での情報使用のための健康データを収集し、処理し、配信する役割を果たす。例えば、医療スタッフは、固定のワークステーション、又はタブレットコンピューター等のモバイルコンピューティングデバイスを用いて病院情報システム3にアクセスし、例えば特定の患者に関する医療情報を取得することができる。
【0035】
通信ネットワーク4内で、ゲートウェイ2は特に、報告デバイス、特に、患者ケアデバイス11から収集された健康データを病院情報システム3に提供するいわゆるデバイス観測値レポーター(DOR)としての役割を果たす。病院情報システム3は、消費デバイス、特に、いわゆるデバイス観測値コンシューマー(DOC)としての役割を果たす。ゲートウェイ2は、患者ケアデバイス11から受信した動作データ及び患者データ等の健康データを収集して前処理し、それによって、例えば、患者ケアデバイス11から受信したデータを、標準化された構文及び意味に従ってマッピング及びフォーマット設定し、健康データを病院情報システム3に転送する。
【0036】
ゲートウェイ2から病院情報システム3への、特に病院情報システム3のサーバーへの健康データの転送は、通信チャネル41を介して行われる。通信チャネル41の静的構成は厄介であり、IT管理者によるアクションを伴い、更には、通信ネットワーク4内の他のデバイスに対するサービスの途絶が生じる場合があるため、本明細書では、消費者デバイス、特に病院情報システム3のサーバーによる要求時に通信チャネル41を動的にセットアップすることを可能にする動的登録方式を用いることが提案される。
【0037】
特に、図2に概略的に示されるように、通信チャネル41を確立するために、病院情報システム3のサーバー(消費デバイスとして機能する)が、サブスクリプション要求を含むサブスクリプション要求メッセージA1を送信し、これに対し、ゲートウェイ2(報告デバイスとして機能する)が、返答メッセージA2を送信することによって応答することが提案される。サブスクリプション要求メッセージA1及び返答メッセージA2は共に、例えばHTTPSに従ってセットアップすることができるセキュアなチャネル40を介して送信される。ここでは、メッセージA2はゲートウェイ2によって同期して送信され、すなわち、病院情報システム3は、他のことを行う前に応答A2を待機する。
【0038】
サブスクリプション要求メッセージA1に含まれるサブスクリプション要求は、所望の通信チャネル41のセットアップに関する情報、特に、一意の識別子と、接続される病院情報システム3のサーバーのTCP/IPアドレス/ホスト名及びポート等のネットワーク接続性パラメーターと、通信チャネル41を介した通信のために用いられるIHE IPEC、DEC、ACM等の標準統合プロファイルと、特殊なリフレッシュ遅延パラメーターと、健康データがそこから収集され、病院情報システム3のサーバーに転送されることになるヘルスケア環境1内の位置とを含む。ゲートウェイ2は、サブスクリプション要求を検証し、検証に成功すると(これは返答メッセージA2において示される)、健康データを含むメッセージA3を送信するための通信チャネル41を確立し、それによって、病院情報システム3のサーバーがゲートウェイ2に接続され、このため、患者ケアデバイス11の指定されたグループから収集された健康データを、ゲートウェイ2を介して受信することができる。
【0039】
通信チャネル41のセットアップは、消費デバイス(病院情報システム3のサーバー)と報告デバイス(ゲートウェイ2)との間で交渉することによって自動的に行われるため、通信ネットワーク4内のサーバーの設置は容易であり、ゲートウェイ2によって他の当事者に提供されるサービスを一切途絶させない。
【0040】
本明細書における通信チャネル41は、セキュアチャネル40と異なるプロトコルを用いる場合があり、例えば、MLLPチャネルである場合がある。
【0041】
サブスクリプション要求との関連における消費デバイスと報告デバイスとの間の交渉に従って、患者ケアデバイス11の特定のサブセット、例えば、ヘルスケア環境1内、例えば特定の部門10内又は特定の部門10の特定の部屋の組100内の特定のエリア内に位置する患者ケアデバイス11のみに関する健康データのみが消費デバイスに向けて送信されるため、通信ネットワーク4におけるデータ負荷は、消費デバイスが、サブスクリプション対象の健康データのみを受信するという点で低減される。
【0042】
さらに、サブスクリプション要求によれば、特定のリフレッシュ遅延、すなわち、データ通信の周期性は、確立された通信チャネル41について個々に設定することができ、より重要でない健康データを低い繰り返し率で転送することができるため、データ負荷を更に低減することが可能である。
【0043】
さらに、提案される方式は、病院情報システム3のサーバーが故障した場合のバックアップ処理を改善することができる。
【0044】
特に、図3に概略的に示されるように、病院情報システム3は、別個のハードウェアコンポーネントとすることができるか、又は、仮想サーバーとしてソフトウェアで実施することができる冗長サーバー30、31を含むことができ、一方のサーバー30がプライマリサーバーであり、他方のサーバー31が、プライマリサーバー30が故障した場合に引き継ぐためのセカンダリバックアップサーバーである。ゲートウェイ2から健康データを収集するために、プライマリサーバー30は、通常動作中に、上記で説明した方式に従って、特に接続を一意に識別する一意の識別子を用いて、接続B1をセットアップする。プライマリサーバー30が故障した場合、これは適切な故障検出(例えば、サーバー30、31間のいわゆる「キープアライブ」メッセージの交換を含む)によって病院情報システム3内で検出することができ、セカンダリサーバー31は、プライマリサーバー30によって以前に用いられたのと同じ一意の識別子を用いてサブスクリプション要求メッセージA1(図2に示す)をゲートウェイ2に送信する。このため、ゲートウェイ2は、同じ一意の識別子を用いる別のサーバー31がプライマリサーバー30から引き継ぎを行うようにスケジューリングされていることに気付き、これに対し、ゲートウェイ2は返答メッセージA2をセカンダリサーバー31に送信し、セカンダリサーバー31への通信チャネルB2を確立し、この時点から、識別されたサブスクリプションに従って健康データをセカンダリサーバー31に提供する。このため、プライマリサーバー30が故障した場合、バックアップサーバー31は、ゲートウェイ2に容易に接続することができ、この際、健康データがプライマリサーバー30の代わりにセカンダリサーバー31に送信され、それによって、セカンダリサーバー31は、プライマリサーバー30から機能をシームレスに引き継ぎ、サーバー30、31は、同じ参照データベースを共有し、すなわち、バックアップサーバー31は、サーバー30に以前に送信されたのと同じデータの組を受信する。
【0045】
図4は、例えば病院情報システムの異なるPDMS/EMRの形をとる複数のデバイス観測値コンシューマー(DOC)3が、通信ネットワーク4のゲートウェイ2の形をとるデバイス観測値レポーター(DOR)と通信する、ヘルスケア環境1のセットアップの概略図を示す。本明細書における双方のデバイス観測値コンシューマー3は、特に、個々のサブスクリプション要求メッセージA1をセキュアなチャネル40を介してゲートウェイ2に送信することによって、図2による上記で説明した方式を用いてゲートウェイ2にサブスクライブし、これに対して、ゲートウェイ2は、返答メッセージA2で応答し、デバイス観測値コンシューマー3のサブスクリプションに応じてこれらに健康データを提供するための通信チャネル41をセットアップする。
【0046】
サブスクリプションをセットアップするために、各デバイス観測値コンシューマー3は、個々のリフレッシュ遅延パラメーターと、一意の識別子と、IPアドレス及びポート等のネットワーク接続性パラメーターと、用いられる統合プロファイルに関する情報と、健康データがデバイス観測値コンシューマー3に提供されることになる患者ケアデバイスの組を識別する位置情報とを含む個々のサブスクリプション要求メッセージA1を送信する。
【0047】
示される例において、左側のデバイス観測値コンシューマー3は、一意の識別子#1と、IPアドレス/ポート#1とを有する。サブスクリプション要求メッセージA1を用いて、デバイス観測値コンシューマー3は、特定のリフレッシュ遅延#1と、一意の識別子#1と、IPアドレス/ポート#1と、用いられる統合プロファイル#1に関する情報と、例えば、図4に示すようなヘルスケア環境1の異なる病棟の、異なる部屋内に位置する患者ケアデバイスの組に関する位置情報Aとを送信する。
【0048】
同様に、右側のデバイス観測値コンシューマー3は、一意の識別子#2と、IPアドレス/ポート#2とを有する。サブスクリプション要求メッセージA1を用いて、デバイス観測値コンシューマー3は、特定のリフレッシュ遅延#2と、一意の識別子#2と、IPアドレス/ポート#2と、用いられる統合プロファイル#2に関する情報と、例えば、図4に示すようなヘルスケア環境1の異なる病棟の、異なる部屋内に位置する患者ケアデバイスの組に関する位置情報Bとを送信する。
【0049】
したがって、ゲートウェイ2は、指定された統合プロファイルに従って特定のデバイス観測値コンシューマー3に健康データの個々の組を提供するための、各デバイス観測値コンシューマー3に対する個々の通信チャネル41をセットアップし、サブスクリプション要求メッセージA1の位置情報によって識別されるエリアA、B内に位置する患者ケアデバイスからのデータを提供する。
【0050】
本発明の基礎をなす着想は、上記で説明した実施形態に限定されず、完全に異なる実施形態において完全に異なる形式で実施されてもよい。
【0051】
特に、本明細書において提案されるようなサブスクリプション方式は、ヘルスケア環境内の任意の報告デバイス及び消費デバイス間で用いることができ、本明細書において述べた特定のエンティティに限定されない。
【0052】
サブスクリプション要求は、本明細書に示す情報に対する追加情報又は本明細書に示す情報と異なる情報を含んでもよい。
【0053】
さらに、チャネルは、異なる技術及びプロトコルに従ってセットアップすることができ、本明細書において述べるプロトコルに限定されない。
【符号の説明】
【0054】
1 ヘルスケア環境(病院)
10 部門
100 部屋
11 患者ケアデバイス
2 報告エンティティ(ゲートウェイ)
3 消費エンティティ(病院情報システム)
30 プライマリサーバー
31 セカンダリサーバー
4 病院通信ネットワーク
40 セキュア化されたチャネル
41 通信チャネル
A1、A2、A3 メッセージ
B1、B2 接続
図1
図2
図3
図4