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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/22 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
D06F37/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020523521
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2019009442
(87)【国際公開番号】W WO2019235012
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018108452
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】江場 豊
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-212506(JP,A)
【文献】特開平08-229289(JP,A)
【文献】特開2009-082317(JP,A)
【文献】特開2013-046843(JP,A)
【文献】国際公開第2007/147869(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を洗濯する洗濯機であって、
回転軸を中心に回転可能に支持される洗濯槽と、
前記洗濯槽を収容する水槽と、
前記水槽を収容する筐体と、
前記筐体に取り付けられると共に、前記水槽の下部に取り付けられる弾性部材と
を備え、
前記洗濯槽は、前記筐体の幅方向において、前記洗濯機が脱水運転時を行うときの前記洗濯槽の回転により回転方向が下側を向く下回転領域と、回転方向が上側を向く上回転領域と、に区別され、
前記弾性部材による復元力が、前記上回転領域よりも前記下回転領域により大きく作用するように、前記弾性部材が配置される、洗濯機。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記水槽の前部に設けられ、
前記水槽の後部は、前記筐体の底部から幅方向に互いに間隔を空けて立設された一対のダンパーによって支持される、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記弾性部材は、第1端部と第2端部とを有するバネであり、
前記第1端部は、前記筐体の前部に取り付けられ、
前記第2端部は、前記水槽の下部に取り付けられ、
前記第1端部は、前記第2端部よりも上方に位置し、
前記弾性部材が収縮する方向に、前記弾性部材の復元力が発生する、請求項1又は請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記幅方向において、前記第2端部が、前記第1端部よりも前記上回転領域側に位置する、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記弾性部材は、第1端部と第2端部とを有するバネであり、
前記第1端部は、前記筐体の前部に取り付けられ、
前記第2端部は、前記水槽の下部に取り付けられ、
前記第1端部は、前記第2端部よりも下方に位置し、
前記弾性部材が伸長する方向に、前記弾性部材の復元力が発生する、請求項1又は請求項2に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記幅方向において、前記第1端部が、前記第2端部よりも前記上回転領域側に位置する、請求項5に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記下回転領域のみに配置される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の洗濯機は、回転ドラムと、水槽と、外箱と、コイルバネとを備えている。回転ドラムは、回転軸を中心に回転する。水槽は、回転ドラムを覆っている。外箱は、水槽と回転ドラムとを収容している。コイルバネは、水槽の前方下部と、外箱の前面の内側に配置された部材とに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-046843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、脱水運転時に回転ドラム(洗濯槽)が回転する際、洗濯物が回転ドラムの内周面に張り付いて回転ドラムと共に回転する。そして、回転ドラムの回転時、回転ドラムの内側に洗濯物が偏って張りついた際、偏心荷重となり、回転ドラムの回転方向側に揺動する。回転ドラムの上回転領域では、回転ドラム内の洗濯物が回転ドラムと共に上向きに回転する。その結果、回転ドラムの上回転領域では、回転ドラムが上方向側に揺動する。
【0005】
これに対し、回転ドラムの下回転領域では、回転ドラム内の洗濯物が回転ドラムと共に下向きに回転する。従って、回転ドラムの下回転領域では、回転ドラムが下方向側に揺動するので、回転ドラムを介して水槽が下方向に圧力を受ける。その結果、水槽のうち下回転領域を覆う部分の方が、上回転領域を覆う部分に比べて、大きく沈み込む。
【0006】
特許文献1に記載の洗濯機において、コイルバネは、水槽の下部の中央部に位置する。従って、脱水運転時に、水槽のうち上回転領域を覆う部分に比べて、下回転領域を覆う部分の方が、沈み込みが大きくなるおそれがあった。その結果、脱水運転時に水槽の姿勢がアンバランスになるおそれがあった。
【0007】
本発明は、脱水運転時に水槽を安定して支持することができる洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面によれば、洗濯機は、洗濯槽と、水槽と、筐体と、弾性部材とを備える。洗濯槽は、回転軸を中心に回転可能に支持される。水槽は、前記洗濯槽を収容する。筐体は、前記水槽を収容する。弾性部材は、前記筐体に取り付けられると共に、前記水槽の下部に取り付けられる。前記筐体の幅方向の位置において、前記弾性部材の位置が、前記回転軸の位置と異なる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、脱水運転時に水槽を安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の洗濯機の斜視図である。
図2】洗濯機の断面図である。
図3】洗濯機の正面図である。
図4】第2弾性部材の拡大図である。
図5】洗濯機の第1の変形例を示す断面図である。
図6】洗濯機の第2の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
図1を参照して、本発明の本実施形態に係る洗濯機100について説明する。図1は、洗濯機100の斜視図である。
【0013】
図1に示すように、洗濯機100は、操作表示部110と、接続口111と、扉112と、扉開ボタン113と、筐体114とを備える。
【0014】
以下では、図1に示すように、ユーザーが通常の姿勢で操作表示部110を操作するときの洗濯機100に対するユーザーの位置を前方として、前後左右方向、及び上下方向を規定する。
【0015】
操作表示部110は、洗濯機100に対する指示を受け付ける。操作表示部110は、例えば、操作キーを含む。操作表示部110は、筐体114の前面の上部に設けられる。接続口111は、筐体114の前面の上部に設けられる。接続口111は、水栓に接続される。水栓から放出された水は、接続口111を介して洗濯機100に供給される。扉112は、筐体114の前面に設けられる。扉112は、筐体114の内部と筐体114の外部とを仕切る。扉開ボタン113は、扉112の周囲に配置される。扉開ボタン113が操作されることで、扉112が開く。
【0016】
次に、図2を参照して、洗濯機100についてさらに説明する。図2は、洗濯機100の断面図である。
【0017】
図2に示すように、洗濯機100は、ドラム115と、水槽116と、ダンパー117とをさらに備える。
【0018】
ドラム115は、本発明の洗濯槽の一例である。
【0019】
ドラム115は、筐体114の内部に配置される。ドラム115には、洗濯物を収容可能である。ドラム115は、中空の形状を有する。
【0020】
ドラム115は、ドラム開口部15aと、ドラム側部15bと、ドラム底部15cとを有する。ドラム底部15cは、前後の両端が開口した略筒形状を有する。ドラム底部15cは、ドラム側部15bの後部に設けられ、ドラム側部15bの後部を閉塞する。ドラム開口部15aは、ドラム側部15bの前部に設けられる。ドラム開口部15aは、ドラム115の内部と、ドラム115の外部とを連通する。ドラム115の内部は、ドラム側部15bとドラム底部15cとで囲まれた空間を示す。
【0021】
ドラム115の内部には、ドラム開口部15aを介して洗濯物を投入することができる。
【0022】
ドラム115は、回転軸15dをさらに有する。回転軸15dは、ドラム開口部15aの中心と、ドラム底部15cの中心とを通る軸である。本実施形態では、回転軸15dは、前後方向に対して鋭角θに傾斜している。また、回転軸15dは、前後方向に対して平行でもよい。
【0023】
水槽116は、中空の形状を有する。水槽116は、ドラム115を収容する。水槽116は、筐体114の内部に配置される。
【0024】
水槽116は、水槽開口部16aと、水槽側部16bと、水槽底部16cとを有する。水槽側部16bは、前後の両端が開口した略筒形状を有する。水槽側部16bの内側には、ドラム側部15bが配置される。水槽底部16cは、水槽側部16bの後部に設けられ、水槽側部16bの後部を閉塞する。水槽底部16cは、ドラム底部15cに後方から対向する。水槽開口部16aは、水槽側部16bの前部に設けられる。水槽開口部16aは、水槽116の内部と、水槽116の外部とを連通する。水槽開口部16aは、ドラム開口部15aに前方から対向する。また、水槽開口部16aは、閉じられた状態の扉112に対向する。
【0025】
水槽116の内部は、水槽側部16bと水槽底部16cとで囲まれた空間を示す。水槽116に内部には、ドラム115が配置される。
【0026】
扉112が開かれると、ドラム開口部15aと水槽開口部16aとが筐体114の外部と対向する。その結果、ユーザーは、ドラム開口部15aと水槽開口部16aとを介してドラム115内に洗濯物を投入することができる。
【0027】
ダンパー117は、水槽116の下部16dと、筐体114の底部14bとの間に介在する。ダンパー117は、水槽116の振動を減衰させる。ダンパー117は、水槽116の下部16dを支持する。また、ダンパー117は、水槽116の後部を支持する。ダンパー117は、一対設けられる。一対のダンパー117が左右方向に互いに間隔を空けて配置される。一対のダンパー117が水槽116の左右両側部を支持する。
【0028】
洗濯機100は、ドラムモータ118と、出力軸119と、複数の孔部120と、複数のバッフル121とをさらに含む。
【0029】
ドラムモータ118は、ドラム115を回転させる。ドラムモータ118は、出力軸119を介してドラム115に接続される。出力軸119は、ドラム115を回転可能に支持する。複数の孔部120は、ドラム115に形成される。複数の孔部120は、ドラム115を貫通する。複数のバッフル121の各々は、ドラム115の内周面に形成される。複数のバッフル121の各々は、ドラム115の内側に突出する。複数のバッフル121は、ドラム115の周方向に沿って並んでいる。
【0030】
洗濯機100が洗い運転を行う手順について説明する。
【0031】
まず、ドラム115内に洗濯物が投入される。そして、複数の孔部120を介してドラム115内に水が供給され、洗濯物が水に浸される。そして、ドラムモータ118の動力によりドラム115が回転する。ドラム115が回転すると、バッフル121により洗濯物が持ち上げられる。そして、洗濯物は、重力により落下してドラム115の内周面に叩きつけられる。そして、ドラム115が回転し続けると、洗濯物が持ち上げられる動作と、洗濯物がドラム115の内周面に叩きつけられる動作とが交互に繰り返される。その結果、洗濯物が洗濯される。
【0032】
洗濯機100は、ファン122と、ヒータ123と、ダクト124とをさらに備える。ファン122は、ヒータ123及びダクト124を介してドラム115に接続される。乾燥運転時において、ファン122及びヒータ123により生成された温風が、ダクト124を介して水槽116の内部に供給される。水槽116の内部に供給された温風は、複数の孔部120を介してドラム115の内部に供給される。その結果、ドラム115の内部の洗濯物が乾燥される。
【0033】
洗濯機100は、例えば、洗い運転、すすぎ運転、脱水運転、及び乾燥運転を行うことで、洗濯物を洗濯する。洗い運転は、洗濯物を洗うことを示す。すすぎ運転は、洗濯物をすすぐことを示す。脱水運転は、洗濯物を脱水することを示す。乾燥運転は、洗濯物を乾燥させることを示す。なお、洗濯機100は、乾燥機能を有していなくてもよい。
【0034】
次に、図3を参照して、ドラム115の回転について説明する。図3は、洗濯機100の正面図である。なお、図3において、扉112と、筐体114の前部14a(図2参照)とは省略されている。
【0035】
図3において、回転方向Aは、洗濯機100が脱水運転を行うとき、ドラム115が回転軸15dを中心にして回転する方向を示す。本実施形態では、回転方向Aは、図3の紙面時計回りの方向を示す。
【0036】
ドラム115は、上回転領域αと、下回転領域βとを有する。
【0037】
上回転領域αは、ドラム115のうちドラム115の回転方向Aが上側を向く領域を示す。本実施形態では、図3に示すように、上回転領域αは、ドラム115のうち、回転軸15dの右側の領域を示す。
【0038】
下回転領域βは、ドラム115のうちドラム115の回転方向Aが下側を向く領域を示す。本実施形態では、図3に示すように、下回転領域βは、ドラム115のうち、回転軸15dの左側の領域を示す。
【0039】
脱水運転時、ドラム115は回転軸15dを中心にして一定の方向に回転する。また、通常は、洗い運転時よりも脱水運転時の方が、ドラム115が高速で回転する。本実施形態では、脱水運転時、ドラム115は回転方向A(図3参照)に回転する。この場合、ドラム115のうち洗濯物が付着している部分が、回転方向A側に揺動するようにドラム115が回転する。従って、脱水運転時、下回転領域βではドラム115が下方向側に揺動するので、水槽116のうち下回転領域βを覆う部分がドラム115を介して下方向に圧力を受ける。これに対し、上回転領域αではドラム115が上方向側に揺動する。その結果、脱水運転時は、水槽116の偏った沈み込みの問題が生じやすい。
【0040】
次に、図2から図4を参照して、洗濯機100についてさらに説明する。
【0041】
図2及び図3に示すように、洗濯機100は、第1弾性部材131と、第2弾性部材132と、第1介在部材133と、第3介在部材135とをさらに備える。
【0042】
第1弾性部材131は、弾性変形可能な部材である。第1弾性部材131は、例えば、コイルバネである。
【0043】
第1弾性部材131は、筐体114に取り付けられると共に、水槽116の上部に取り付けられる。
【0044】
第1弾性部材131は、上端部31aと、下端部31bとを有する。
【0045】
上端部31aは、第1弾性部材131のうち筐体114に取り付けられる部分を示す。下端部31bは、第1弾性部材131のうち水槽116に取り付けられる部分を示す。第1弾性部材131は、上端部31aから下端部31bに向かって延びる形状を有する。
【0046】
上端部31aは、下端部31bよりも上方に位置する。
【0047】
第1弾性部材131は、上端部31aと下端部31bとが互いに近接離間する方向に弾性変形する。
【0048】
なお、第1弾性部材131が筐体114に取り付けられることには、第1弾性部材131が筐体114に直接取り付けられる場合のみならず、ブラケットのような部材を介して間接に取り付けられる場合も含まれる。また、第1弾性部材131が水槽116の上部に取り付けられることには、第1弾性部材131が水槽116の上部に直接取り付けられる場合のみならず、ブラケットのような部材を介して間接に取り付けられる場合も含まれる。
【0049】
第1弾性部材131は、回転軸15dの上方に位置する。左右方向の位置において、第1弾性部材131の位置は、回転軸15dの位置と同じである。
【0050】
第1弾性部材131が収縮する方向に、第1弾性部材131の復元力が発生する。このとき、下端部31bが上端部31aに近接する方向Y1に、第1弾性部材131の復元力が発生する。
【0051】
第1弾性部材131の復元力が発生すると、水槽116の上部が持ち上げられるように、水槽116に対して第1弾性部材131の復元力が作用する。その結果、第1弾性部材131が水槽116の上部を支持する。
【0052】
図4は、第2弾性部材132の拡大図である。図2から図3を参照して、第2弾性部材132の取り付け構造について説明する。
【0053】
図2から図4に示すように、第2弾性部材132は、筐体114に取り付けられると共に、水槽116の下部16dに取り付けられる。
【0054】
なお、第2弾性部材132が筐体114に取り付けられることには、第2弾性部材132が筐体114に直接取り付けられる場合のみならず、ブラケットのような部材を介して間接に取り付けられる場合も含まれる。また、第2弾性部材132が水槽116の下部16dに取り付けられることには、第2弾性部材132が水槽116の下部16dに直接取り付けられる場合のみならず、ブラケットのような部材を介して間接に取り付けられる場合も含まれる。
【0055】
本実施形態では、第2弾性部材132は、第1介在部材133を介して、筐体114に間接に取り付けられる。また、第2弾性部材132は、第3介在部材135を介して、水槽116の下部16dに間接に取り付けられる。
【0056】
第1介在部材133は、筐体114に固定される。第1介在部材133は、例えば、板金又は樹脂により形成される。第1介在部材133は、水槽116と、筐体114の前部14aとの間に配置される。本実施形態では、第1介在部材133は、第2弾性部材132を介して、水槽116の前部を支持する。
【0057】
第3介在部材135は、水槽116の下部16dに固定される。第3介在部材135は、例えば、板金又は樹脂により形成される。第3介在部材135は、水槽116と一体の部材でもよく、別体の部材でもよい。本実施形態では、第3介在部材135は、水槽116から左方に突出すると共に、水槽116の下部16dのうち左側に位置する箇所に固定される。
【0058】
第2弾性部材132について詳細に説明する。第2弾性部材132は、本発明の弾性部材の一例である。
【0059】
第2弾性部材132は、弾性変形可能な部材である。第2弾性部材132は、例えば、コイルバネである。
【0060】
第2弾性部材132は、第1端部32aと、第2端部32bとを有する。第2弾性部材132は、第1端部32aから第2端部32bに向かって延びる形状を有する。
【0061】
第1端部32aは、第2弾性部材132のうち筐体114に直接又は間接に取り付けられる部分を示す。
【0062】
本実施形態では、第1端部32aは、鉤状に形成される。そして、第1端部32aは、第1介在部材133に取り付けられる。その結果、第1端部32aは、第1介在部材133を介して、筐体114に間接に取り付けられる。
【0063】
本実施形態では、第2端部32bは、鉤状に形成される。そして、第2端部32bは、第3介在部材135に取り付けられる。その結果、第2端部32bは、第3介在部材135を介して、水槽116の下部16dに間接に取り付けられる。
【0064】
第1端部32aは、第2端部32bよりも上方に位置する。
【0065】
第2弾性部材132は、第1端部32aと第2端部32bとが互いに近接離間する方向に弾性変形する。
【0066】
第2弾性部材132は、回転軸15dよりも下方に位置する。左右方向の位置において、第2弾性部材132の位置は、回転軸15dの位置と異なる。洗濯機100を前方から見て、第2弾性部材132が下回転領域βの下方に位置する(図3参照)。
【0067】
第2弾性部材132は、回転軸15dよりも左方に位置する。また、第1端部32aが回転軸15dよりも左方に位置し、かつ、第2端部32bが回転軸15dよりも左方に位置する。
【0068】
第1端部32aが、第2端部32bよりも左方に位置する。
【0069】
左右方向は、本発明の幅方向の一例である。左右方向は、水平方向に対して平行な方向である。また、左右方向は、回転軸15dに対して垂直な方向である。左方は、本発明の幅方向の一方側の一例である。
【0070】
第2弾性部材132が収縮する方向に、第2弾性部材132の復元力が発生する。このとき、図2に示すように、第2端部32bが第1端部32aに近接する方向Y2に、第2弾性部材132の復元力が発生する。
【0071】
第2弾性部材132の復元力が発生すると、水槽116の下部16dが持ち上げられるように、水槽116に対して第2弾性部材132の復元力が作用する。その結果、第2弾性部材132が水槽116の下部16dを支持する。
【0072】
以上、図2から図4を参照して説明したように、本実施形態では、脱水運転時に、ドラム115が回転方向Aに回転する。従って、脱水運転時に、下回転領域βが下方向側に揺動する。その結果、脱水運転時に、水槽116の右部に比べて水槽116の左部の方が、沈み込みが大きくなる。なお、水槽116の右部は、水槽116のうち上回転領域αを覆っている部分を示す。水槽116の左部は、水槽116のうち下回転領域βを覆っている部分を示す。
【0073】
しかし、図3に示すように、左右方向の位置において、第2弾性部材132の位置が、回転軸15dの位置と異なる。本実施形態では、回転軸15dは、水槽116の左右中央部に配置される。第2弾性部材132は、水槽116の左下部に配置される。第2弾性部材132は、水槽116の左下部に取り付けられる。従って、第2弾性部材132により水槽116の左部を下方から支持することが可能になる。その結果、脱水運転時に、水槽116の右部に比べて水槽116の左部の方が、沈み込みが大きくなることを抑制することができるので、水槽116の偏った沈み込みの問題が生じることを抑制でき、水槽116を安定して支持することができる。
【0074】
また、第2弾性部材132が水槽116の左下部に配置されると、ドラム115の回転の停止時において、第2弾性部材132の復元力が水槽116の左部に作用する。その結果、ドラム115の回転の停止時において、水槽116の右部が左部よりも沈み込むので、水槽116の位置が右側にずれるおそれがある。
【0075】
しかし、図3に示すように、第1端部32aが、第2端部32bよりも左方に位置する。従って、ドラム115の回転の停止時において、水槽116に対して左側に向けて第2弾性部材132の復元力を発生されることができる。その結果、ドラム115の回転の停止時において、水槽116の位置が右側にずれることを抑制できるので、水槽116を安定して支持することができる。
【0076】
なお、脱水運転時、ドラム115が図3に示す回転方向Aとは反対の方向に回転する場合、αとβは左右反対となり右側が下方向側に揺動する。この場合、水槽116の左部に比べて水槽116の右部の方が、沈み込みが大きくなる。従って、この場合、第2弾性部材132が水槽116の右下部に配置される。
【0077】
以上、図面(図1図4)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)~(3))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0078】
(1)図5を参照して、洗濯機100の第1の変形例について説明する。図5は、洗濯機100の第1の変形例を示す断面図である。
【0079】
図5に示すように、第2弾性部材132において、第2端部32bが、第1端部32aよりも上方に位置してもよい。この場合、第1端部32aが、第2端部32bよりも右方に位置する。右方は、本発明の幅方向の他方側の一例である。
【0080】
また、この場合、第2弾性部材132が伸長する方向に第2弾性部材132の復元力が発生する。このとき、第2端部32bが第1端部32aから離間する方向Y3に、第2弾性部材132の復元力が発生する。その結果、第2弾性部材132が水槽116の左下部を、本実施形態の第2弾性部材132(図3参照)と同様に支持することが可能になる。
【0081】
(2)図6を参照して、洗濯機100の第2の変形例について説明する。図6は、洗濯機100の第2の変形例を示す正面図である。
【0082】
図6に示すように、洗濯機100は、第3弾性部材136をさらに備えてもよい。第3弾性部材136は、弾性変形可能な部材である。第3弾性部材136は、例えば、コイルバネである。
【0083】
第3弾性部材136は、第3端部36aと、第4端部36bとを有する。第3端部36aは、第3端部36aのうち筐体114に直接又は間接に取り付けられる部分を示す。第4端部36bは、第3端部36aのうち水槽116の下部16dに直接又は間接に取り付けられる部分を示す。
【0084】
左右方向の位置において、第3弾性部材136の位置は、回転軸15dの位置と同じである。また、左右方向の位置において、第3端部36aの位置と、第4端部36bの位置とは、回転軸15dの位置と同じである。
【0085】
第3端部36aは、第4端部36bよりも上方に位置する。第3弾性部材136が収縮する方向に、第3弾性部材136の復元力が発生する。従って、水槽116の下部16dのうち、左部を第2弾性部材132で支持することができると共に、左右中央部を第3弾性部材136により支持することができる。その結果、第2弾性部材132と第3弾性部材136とにより、水槽116の下部16dを効果的に支持することが可能になる。
【0086】
なお、図5に示す洗濯機100の第1の変形例に対して、図6に示す第3弾性部材136を設けてもよい。この場合、第4端部36bは、第3端部36aよりも上方に位置する(図5参照)。そして、第3弾性部材136が収縮する方向に、第3弾性部材136の復元力が発生する。その結果、第2弾性部材132と第3弾性部材136とにより水槽116の下部16dを効果的に支持することが可能になる。
【0087】
(3)本実施形態の洗濯機100(図3参照)と、洗濯機100の第1の変形例(図5参照)と、洗濯機100の第2の変形例(図6参照)とにおいて、第1端部32aが、第2端部32bよりも左方に位置する。しかし、本発明はこれに限定されない。左右方向に位置において、第1端部32aの位置が、第2端部32bの位置と同じでもよい。従って、本実施形態の洗濯機100と同様に、脱水運転時に、水槽116の右部に比べて水槽116の左部の方が、沈み込みが大きくなることを抑制することができる。その結果、水槽116を安定して支持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、洗濯機の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
15d 回転軸
32a 第1端部
32b 第2端部
100 洗濯機
114 筐体
115 ドラム(洗濯槽)
116 水槽
132 第2弾性部材(弾性部材)
α 上回転領域
β 下回転領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6