(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】放電装置を装着可能な機器
(51)【国際特許分類】
H01T 23/00 20060101AFI20230213BHJP
H01T 19/04 20060101ALI20230213BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20230213BHJP
F24F 1/0076 20190101ALI20230213BHJP
【FI】
H01T23/00
H01T19/04
A61L9/22
F24F1/0076
(21)【出願番号】P 2020530181
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2019027054
(87)【国際公開番号】W WO2020013144
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018132528
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲之
(72)【発明者】
【氏名】江崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大江 信之
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-14318(JP,A)
【文献】特開2015-32511(JP,A)
【文献】特開2018-101635(JP,A)
【文献】特開2009-66029(JP,A)
【文献】特開2016-91875(JP,A)
【文献】特開2017-33884(JP,A)
【文献】特開2013-89295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 23/00
H01T 19/04
A61L 9/22
F24F 1/0076
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機外への吹出し口を有する風路と、
前記風路に風を送る送風装置とを備えた放電装置を装着可能な機器において、
第1および第2放電電極と第3電極との間の放電により第1および第2放電生成物を生じる放電装置が装着される装置装着部を前記風路に備え、
前記装置装着部は、
前記第1および第2放電電極を前記風の流れ方向と交差する方向に並ぶように前記風路内へ突出させる装置装着穴と、
前記風の流れ方向と平行に延びており、前記風の流れの上流側端部が、前記第1および第2放電電極の並び方向では前記第1および第2放電電極の間に位置し、かつ前記風路内の前記装置装着穴よりも上流側に位置する仕切り部材とを有することを特徴とする放電装置を装着可能な機器。
【請求項2】
前記仕切り部材は、前記風の流れの下流側部分の方が上流側部分よりも幅が広くなっていることを特徴とする請求項1に記載の放電装置を装着可能な機器。
【請求項3】
前記仕切り部材は、前記風の流れの下流側端部が前記装置装着穴よりも上流側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の放電装置を装着可能な機器。
【請求項4】
前記仕切り部材は、前記上流側端部よりも下流側部分が、前記第1放電電極と前記第2放電電極との間に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の放電装置を装着可能な機器。
【請求項5】
前記仕切り部材は、前記風の流れの下流側端部が、前記第1および第2放電電極並びに前記第3電極の下流側端部のうちの最も下流側に存在する最下流側端部と同じ位置または前記最下流側端部よりも上流側に存在することを特徴とする請求項1、2または4のいずれか1項に記載の放電装置を装着可能な機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電装置が装着される空気調和機等の放電装置を装着可能な機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電装置として、室内の空気の浄化、殺菌または消臭等を行うイオン発生装置が知られている。イオン発生装置は、針状あるいはブラシ状の放電電極に高電圧を印加し、放電電極の先端と誘導電極との間でコロナ放電を発生させることによりイオンを発生する。このようなイオン発生装置は、通常、空気調和機の空気を吹き出す風路に取り付けられている。
【0003】
イオン発生装置は、特許文献1に開示されているように、通常、正イオンおよび負イオンを発生する。このために、イオン発生装置は、放電電極として、正イオンを発生させる正側の放電電極、および負イオンを発生させる負側の放電電極を備える。
【0004】
具体的には、イオン発生装置は、正側の放電電極と誘導電極との間に正の高電圧を印加するとコロナ放電により正イオンが発生し、負側の放電電極と誘導電極との間に負の高電圧を印加するとコロナ放電により負イオンが発生する。
【0005】
また、発生した正イオンと負イオンとは互いに接触すると、電気的に中和され、イオン量が減少する。そこで、特許文献2では、正イオンと負イオンとを混ざり難くするために、正側の放電電極を有する正イオン発生素子と負側の放電電極を有する負イオン発生素子との間に仕切り板を設けている。仕切り板は、風路での風の流れ方向と平行である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国公開特許公報「特開2010-044917号公報」
【文献】日本国公開特許公報「特開2009-66029号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、仕切り板は、発生した正イオンと負イオンとを混ざり難くする反面、発生した正イオンおよび負イオンが仕切り板に付着し、イオン量を減少させるという作用も有する。したがって、特許文献2に開示されているように、正イオン発生素子と負イオン発生素子との間に単に仕切り板を設けただけの構成では、却ってイオン量が減少する虞があるという問題点を有している。
【0008】
本発明の一態様は、放電装置を装着した場合に、放電装置の第1放電電極による放電生成物、および第2放電電極による放電生成物の減少を抑制することができる放電装置を装着可能な機器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る放電装置を装着可能な機器は、機外への吹出し口を有する風路と、前記風路に風を送る送風装置とを備えた機器において、第1および第2放電電極と第3電極との間の放電により第1および第2放電生成物を生じる放電装置が装着される装置装着部を前記風路に備え、前記装置装着部は、前記第1および第2放電電極を前記風の流れ方向と交差する方向に並ぶように前記風路内へ突出させる装置装着穴と、前記風の流れ方向と平行に延びており、前記風の流れの上流側端部が前記第1および第2放電電極の並び方向での前記第1および第2放電電極の間にて前記風路内の前記装置装着穴よりも上流側に位置する仕切り部材とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、放電装置を装着した場合に、放電装置の第1放電電極による放電生成物と第2放電電極による放電生成物とが混ざり合って減少する事態を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の放電装置としてのイオン発生装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2の(a)は、上記イオン発生装置の正面図、
図2の(b)は、上記イオン発生装置の平面図、
図2の(c)は、上記イオン発生装置の
図2の(b)におけるA方向側面図、
図2の(d)は、上記イオン発生装置の
図2の(b)におけるB-B断面図、
図2の(e)は、上記イオン発生装置1の
図2の(b)におけるC方向側面図である。
【
図3】上記イオン発生装置の正側放電電極、仕切り板および誘導電極の位置関係を示す説明図である。
【
図4】上記イオン発生装置を取り付けた空気調和機としての空気清浄機の縦断面図である。
【
図5】
図5の(a)は、本発明の他の実施形態のイオン発生装置の正面図、
図5の(b)は、
図5の(a)のイオン発生装置2の平面図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態のイオン発生装置の正側放電電極、仕切り板および誘導電極の位置関係を示す説明図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態のイオン発生装置の正側放電電極、仕切り板および誘導電極の位置関係を示す説明図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態のイオン発生装置の構成を示す斜視図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態のイオン発生装置の構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10の(a)は、本発明のさらに他の実施形態のイオン発生装置の正面図、
図10の(b)は、
図10の(a)に示したイオン発生装置の平面図である。
【
図11】本発明の実施形態のイオン発生装置が有する誘導電極の第1の構成例を示す平面図である。
【
図12】上記イオン発生装置が有する誘導電極の第2の構成例を示す平面図である。
【
図13】上記イオン発生装置が有する誘導電極の第3の構成例を示す平面図である。
【
図14】上記イオン発生装置が有する誘導電極の第4の構成例を示す平面図である。
【
図15】
図15の(a)は上記イオン発生装置が有する誘導電極の第5の構成例を示す平面図、
図15の(b)は
図15の(a)に示した誘導電極の正面図である。
【
図16】
図16の(a)は上記イオン発生装置が有する誘導電極の第6の構成例を示す平面図、
図16の(b)は
図16の(a)に示した誘導電極の正面図である。
【
図17】
図17の(a)は上記イオン発生装置が有する誘導電極の第7の構成例を示す平面図、
図17の(b)は
図17の(a)に示した誘導電極の正面図である。
【
図18】
図18の(a)は、本発明の実施形態のイオン発生装置が有する仕切り板の効果の検証に使用したイオン発生装置を示す平面図、
図18の(b)は、
図18の(a)に示したイオン発生装置8の正面図、
図18の(c)は、
図18の(a)に示したイオン発生装置の側面図である。
【
図19】本発明の実施形態のイオン発生装置が有する仕切り板の効果の検証のためのイオン濃度の測定状態を示す説明図である。
【
図20】
図20の(a)は、
図19に示した機器におけるイオン発生装置の取り付け状態を示す正面図、
図20の(b)は
図20の(a)におけるD-D断面図である。
【
図21】本発明の実施形態のイオン発生装置が有する仕切り板の効果の検証結果を示す説明図である。
【
図22】本発明の本実施形態の空気調和機としての空気清浄機の構成を示す縦断面図である。
【
図23】
図23は、
図22に示した空気清浄機に取り付けられるイオン発生装置を示す斜視図である。
【
図24】
図22に示した空気清浄機の吹出風路にイオン発生装置を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図26】本発明の他の実施形態の空気調和機としての空気清浄機における吹出風路の装置装着部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
(イオン発生装置1の構成)
(イオン発生装置1の構成の概要)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
図1は、本実施形態の放電装置としてのイオン発生装置1の構成を示す斜視図である。
図2の(a)は、上記イオン発生装置1の正面図、
図2の(b)は、上記イオン発生装置1の平面図、
図2の(c)は、上記イオン発生装置1の
図2の(b)におけるA方向側面図、
図2の(d)は、上記イオン発生装置1の
図2の(b)におけるB-B断面図、
図2の(e)は、上記イオン発生装置1の
図2の(b)におけるC方向側面図である。
図3は、上記イオン発生装置1の正側放電電極11、仕切り板14および誘導電極16の位置関係を示す説明図である。
【0013】
図1から
図3に示すように、イオン発生装置1は、正側放電電極(第1放電電極)11、負側放電電極(第2放電電極)12、筐体部13、仕切り板14、電極保護部15、誘導電極16(第3電極、
図3参照)および電極基板17(
図3参照)を有している。
【0014】
筐体部13は、絶縁性の樹脂にて形成され、例えば箱形状である。筐体部13は、電極基板17および図示しない回路基板等を内部に収容している。電極基板17には、正側および負側放電電極11,12が上面に対して法線方向に設けられている(
図3参照)。また、電極基板17の上面における正側および負側放電電極11,12の周りには、誘導電極16が設けられている。誘導電極16の上面、すなわち電極基板17の上面は、樹脂層18にて覆われている。なお、
図3には、正側放電電極11のみを示している。
【0015】
回路基板は、正負の高電圧等を発生する放電電圧供給回路を有している。放電電圧供給回路が発生する電圧は正側および負側放電電極11,12、並びに誘導電極16に供給される。具体的には、放電電圧供給回路は、正側放電電極11に高圧の正のパルスを印加し、負側放電電極12に高圧の負のパルスを印加し、誘導電極16に誘導電極16と正側放電電極11および負側放電電極12との間にて放電を生じさせる電圧を印加する。
【0016】
正側および負側放電電極11,12は、本実施形態において先端部がブラシ形状の電極である。これら正側および負側放電電極11,12は、筐体部13の上面から同じ高さ位置に突出し、間隔を空けて並んだ状態となっている。
【0017】
誘導電極16は、正側および負側放電電極11,12と絶縁され、正側および負側放電電極11,12の周りに設けられている。
【0018】
なお、イオン発生装置1では、正側および負側放電電極11,12をそれぞれ1本ずつ有する構成としているが、複数本ずつ有していてもよい。この点は以下に示す他のイオン発生装置においても同様である。
【0019】
(仕切り板14)
仕切り板14は、樹脂にて形成され、正側放電電極11と負側放電電極12との間の空間を仕切るように、正側放電電極11と負側放電電極12との間に設けられている。仕切り板14の高さは、正側および負側放電電極11,12の上端部の高さよりも高くなっている。
【0020】
ここで、イオン発生装置1は、空気調和機の風を吹き出す風路において、正側放電電極11と負側放電電極12との並び方向と交差する方向、好ましくは直交する方向に風が流れるように取り付けられる。
図1および
図2の(b)には、風の流れ方向を矢印にて示す。したがって、仕切り板14は、風路での風の流れ方向と平行である。
【0021】
また、風の流れ方向において、仕切り板14の風の流れの下流側端部(以下、単に下流側端部と称する)は、誘導電極16の下流側端部よりも下流側には存在しないようになっている。すなわち、仕切り板14の下流側端部は、誘導電極16の下流側端部と同じ位置または誘導電極16の下流側端部よりも上流側に存在するようになっている。なお、
図1~
図3の例では、仕切り板14の下流側端部は、誘導電極16の下流側端部と同じ位置となっている。
【0022】
また、正側および負側放電電極11,12と誘導電極16との位置関係により、誘導電極16の下流側端部よりも正側および負側放電電極11,12の下流側端部の方が下流側に存在する場合には次のようになる。すなわち、仕切り板14の下流側端部は、正側および負側放電電極11,12の下流側端部と同じ位置または正側および負側放電電極11,12の下流側端部よりも上流側に存在する。
【0023】
以上に示した仕切り板14、誘導電極16並びに正側および負側放電電極11,12の位置関係をまとめると次のようになる。すなわち、仕切り板14の下流側端部は、正側および負側放電電極11,12並びに誘導電極16の下流側端部のうちの最も下流側に存在する端部(以下、電極最下流側端部と称する)と同じ位置または電極最下流側端部よりも上流側に存在する。ここでいう誘導電極16の電極最下流側端部は、正側および負側放電電極11、12周辺に略円形状に形成されている部分のみならず、接続部および分岐部も含む。
【0024】
(電極保護部15)
電極保護部15は、正側放電電極11に対する仕切り板14とは反対側位置、および負側放電電極12に対する仕切り板14とは反対側位置にそれぞれ設けられている。電極保護部15は、仕切り板14と同様、高さが正側および負側放電電極11,12の上端部の高さよりも高くなっている。
【0025】
電極保護部15は、仕切り板14と同様、風路での風の流れ方向と平行となっている。また、電極保護部15は、四角形の枠形状であり、内側が開口部15aとなっている。具体的には、電極保護部15は、棒形状の横部材15bおよび棒形状の縦部材15cを連結して形成されている。縦部材15cは、風の流れの上流側の第1縦部材15c1と下流側の第2縦部材15c2とが存在する。横部材15bは、第1縦部材15c1と第2縦部材15c2との上端部同士を連結している。なお、電極保護部15の枠形状は四角形に限定されない。
【0026】
(空気清浄機21でのイオン発生装置1の配置状態)
イオン発生装置1は、各種の空気調和機の空気を吹き出す風路に取り付けて使用される。ここで、空気調和機は、エアーコンディショナー、空気清浄機、加湿器、あるいはその他の送風機能を有する各種装置を含む。
【0027】
図4は、イオン発生装置1を取り付けた空気調和機としての空気清浄機21の縦断面図である。
図4に示すように、空気清浄機21は、筐体22の内部に上下方向の延びる吹出風路23を有する。吹出風路23の上端部は、開口部であり、吹出し口23aとなっている。
【0028】
吹出風路23の下部には送風機24が設けられ、送風機24は、例えば、後パネル25、脱臭フィルタ26および集塵フィルタ27介して吹出風路23に外部の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を吹出し口23aから吹き出す。
【0029】
(空気清浄機21およびイオン発生装置1の動作、並びに利点)
上記の構成において、空気清浄機21は、送風機24が回転すると、空気清浄機21の外部の空気を、後パネル25、脱臭フィルタ26および集塵フィルタ27を介して吹出風路23に取り込む。吹出風路23に取り込まれた空気は、吹出風路23内を吹出し口23aへ向かって流れ、吹出し口23aから吹き出される。
【0030】
また、イオン発生装置1が動作すると、正側放電電極11および負側放電電極12と誘導電極16との間にて放電が生じる。これにより、正側放電電極11の先端部にて正イオンが発生し、負側放電電極12の先端部にて負イオンが発生する。これら正および負イオンは、送風機24が生じる風によって、空気とともに吹出し口23aから吹き出される。
【0031】
ここで、発生した正および負イオンは互いに混ざり合うと再結合して中和されて消滅する。この場合には、吹出風路23中のイオン濃度が低下する。しかしながら、イオン発生装置1では、正側放電電極11と負側放電電極12との間に仕切り板14が存在することにより、発生した正および負イオンは互いに混ざり難く、正および負イオンのイオン濃度の低下を抑制することができる。
【0032】
また、イオン発生装置1では、上記のように、正側放電電極11と負側放電電極12との間に仕切り板14を有することにより、正側放電電極11と負側放電電極12との間隔が狭い場合であっても発生した正および負イオンが互いに混ざり難くなる。これにより、イオン発生装置1は、正側放電電極11と負側放電電極12との間隔を狭くして小型化することができる。
【0033】
一方、イオン発生装置1では、正側および負側放電電極11,12の近くの仕切り板14が存在するので、発生した正および負イオンは仕切り板14に付着し易い。正および負イオンが仕切り板14に付着すると、その分だけイオン濃度が低下する。したがって、仕切り板14が風の流れの下流側に長いほど、正および負イオンが仕切り板14に付着することによるイオン濃度の低下量は多くなる。しかしながら、イオン発生装置1では、仕切り板14の下流側端部は、電極最下流側端部(正側および負側放電電極11,12並びに誘導電極16の下流側端部のうちの最も下流側に存在する端部)と同じ位置または電極最下流側端部よりも上流側に存在する。すなわち、イオン発生装置1では、仕切り板14の下流側端部は、可及的に短くなっており、発生した正および負イオンが仕切り板14に付着してイオン濃度が低下する事態を抑制することができる。
【0034】
また、電極保護部15は、棒形状の横部材15bおよび棒形状の縦部材15cを連結して形成されており、壁が存在せず、表面積が小さくなっているので、発生した正および負イオンが電極保護部15に付着してイオン濃度が低下する事態を抑制することができる。
【0035】
また、電極保護部15および仕切り板14は、正側および負側放電電極11,12に対して、風の流れの上流側および下流側から並びに上方から他の物体が衝突しないように、正側および負側放電電極11,12を保護している。また、電極保護部15は、正側および負側放電電極11,12に風の流れと交差する方向から他の物体が衝突しないように、正側および負側放電電極11,12を保護している。このように、仕切り板14は、上記の仕切り板14としての機能に加えて、正側および負側放電電極11,12に対する保護機能を備えている。
【0036】
なお、本実施形態では、放電装置が正負のイオンを発生するイオン発生装置1である場合について説明した。しかしながら、放電装置は、イオン発生装置1に限定されず、正側放電電極11と誘導電極16との間の放電により第1の放電生成物を発生し、負側放電電極12と誘導電極16との間の放電により第2の放電生成物を発生するものであってもよい。この場合、放電装置が発生する第1および第2の放電生成物は、正負イオンの他、正または負に帯電した水の微粒子(帯電微粒子水)や帯電微粒子水と活性種からなる複合体であってもよい。このような放電装置の構成は、以下の他の実施形態についても同様である。
【0037】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0038】
(イオン発生装置2)
図5の(a)は、本実施形態のイオン発生装置2の正面図、
図5の(b)は、イオン発生装置2の平面図である。
【0039】
図5に示すように、イオン発生装置2は、仕切り板14と正側放電電極11との間、および仕切り板14と負側放電電極12との間にも電極保護部15を有している。すなわち、正側および負側放電電極11,12は、それぞれ、風の流れ方向と交差する方向において、両側が電極保護部15にて囲まれた状態となっている。これにより、イオン発生装置2は、電極保護部15による正側および負側放電電極11,12の保護機能がイオン発生装置1よりも高くなっている。
【0040】
イオン発生装置2のその他の構成は前述したイオン発生装置1と同様である。また、イオン発生装置2を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置2の動作、並びに利点は、前述したイオン発生装置1を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置1と同様である。
【0041】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0042】
(イオン発生装置3、仕切り板14)
図6は、本実施形態のイオン発生装置3の正側放電電極11、仕切り板14および誘導電極16の位置関係を示す説明図である。
【0043】
図6は、正側放電電極11に高電圧を印加した状態を示している。
図6に示すように、正側放電電極11は、高電圧を印加すると先端部が開いた形状となる。これは、ブラシを形成する複数の繊維同士が電気的な反発力により互いに離れようとするためである。
【0044】
イオン発生装置3では、正側および負側放電電極11,12は、高電圧を印加した状態において、下流側端部が誘導電極16より下流側に存在する。したがって、イオン発生装置3では、仕切り板14の下流側端部は、電極最下流側端部と同じ位置または電極最下流側端部よりも上流側に存在する。イオン発生装置1に代えてイオン発生装置3を使用する場合、
図4に示した空気清浄機21は、イオン発生装置1に代えてイオン発生装置3を備える。
【0045】
イオン発生装置3のその他の構成は前述したイオン発生装置1と同様である。また、イオン発生装置3を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置3の動作、並びに利点は、前述したイオン発生装置1を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置1の動作、並びに利点と同様である。
【0046】
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0047】
(イオン発生装置4)
図7は、本実施形態のイオン発生装置4の正側放電電極11、仕切り板14および誘導電極16の位置関係を示す説明図である。
【0048】
図7に示すように、イオン発生装置4は、
図3に示したブラシ形状の正側放電電極11に代えて、針形状の正側放電電極11を備えている。なお、
図7では負側放電電極12を示していないが、負側放電電極12についても正側放電電極11と同様の構成である。
【0049】
正側および負側放電電極11,12は、ブラシ形状にするか針形状にするかは適宜選択することができ、さらには、ブラシ形状または針形状に限定されない。この点は、他の実施形態のイオン発生装置においても同様である。
【0050】
イオン発生装置4のその他の構成は前述したイオン発生装置1と同様である。また、イオン発生装置4を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置4の動作、並びに利点は、前述したイオン発生装置1を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置1と同様である。
【0051】
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0052】
(イオン発生装置5、電極保護部31の構成、利点)
図8は、本実施形態のイオン発生装置5の構成を示す斜視図である。
図8に示すように、イオン発生装置5は、
図1に示した電極保護部15に代えて電極保護部31を有している。
【0053】
電極保護部31は、仕切り板14の風の流れの上流側端部および下流側端部にそれぞれ位置し、棒形状の2対の縦部材31aおよび棒形状の1対の横部材31bを連結して形成されている。
【0054】
具体的には、上流側の電極保護部31は、正側および負側放電電極11,12に対する仕切り板14とは反対側位置に、上流側の縦部材31aである第1縦部材31a1を有している。上流側の電極保護部31の横部材31bである第1横部材31b1は、正側放電電極11側の第1縦部材31a1の上端部から負側放電電極12側の第1縦部材31a1の上端部まで延びている。
【0055】
同様に、下流側の電極保護部31は、正側および負側放電電極11,12に対する仕切り板14とは反対側位置に、下流側の縦部材31aである第2縦部材31a2を有している。下流側の電極保護部31の横部材31bである第2横部材31b2は、正側放電電極11側の第2縦部材31a2の上端部から負側放電電極12側の第2縦部材31a2の上端部まで延びている。第1横部材31b1および第2横部材31b2は、中間部において仕切り板14と連結されている。
【0056】
電極保護部31は、仕切り板14と同様、高さが正側および負側放電電極11,12の上端部の高さよりも高くなっている。したがって、電極保護部31および仕切り板14は、イオン発生装置1の電極保護部15および仕切り板14と同様、正側および負側放電電極11,12に対する保護機能を備えている。なお、電極保護部31は、横部材31bを有している分、風の流れの上流側および下流側からの並びに上方からの正側および負側放電電極11,12への他の物体の衝突防止機能が電極保護部15よりも高くなっている。
【0057】
また、二つの電極保護部31と仕切り板14とは、電極保護部31の横部材31bにおいて連結されている。したがって、電極保護部31および仕切り板14は、イオン発生装置1の電極保護部15および仕切り板14と比較して強度が高く、これよっても正側および負側放電電極11,12に対する保護機能が高くなっている。
【0058】
また、電極保護部31は棒形状の縦部材31aおよび棒形状の横部材31bを連結して形成されているので、筐体部13の上面、左右の縦部材31aおよび横部材31bによって囲まれる領域(左右の第1縦部材31a1と第1横部材31b1とによって囲まれる領域、並びに左右の第2縦部材31a2と第2横部材31b2とによって囲まれる領域)が開口部31c1となっている。これにより、筐体部13の上面を流れる風は、電極保護部31よって邪魔されることなく、流れることができる。
【0059】
また、上流側の電極保護部31と下流側の電極保護部31との間において、上流側の第1縦部材31a1と下流側の第2縦部材31a2との間、および上流側の第1横部材31b1と下流側の第2横部材31b2との間は、開口部31c2となっている。
【0060】
上記のように、電極保護部31は、壁が存在しないので、発生した正および負イオンが電極保護部31に付着してイオン濃度が低下する事態を抑制することができる。
【0061】
イオン発生装置5のその他の構成は前述したイオン発生装置1と同様である。また、イオン発生装置5を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置5の動作、並びにイオン発生装置5のその他の利点は、前述したイオン発生装置1を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置1と同様である。
【0062】
〔実施形態6〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0063】
(イオン発生装置6、電極保護部32の構成、利点)
図9は、本実施形態のイオン発生装置6の構成を示す斜視図である。
図9に示すように、イオン発生装置6は、
図1に示した電極保護部15に加えて電極保護部32を有している。
【0064】
電極保護部32は、仕切り板14と同じ長さを有し、仕切り板14の上端部から正側および負側放電電極11,12の方向へ筐体部13の上面(樹脂層18の上面)と平行に突出した部材である。電極保護部32は、複数の開口部32aを有している。
【0065】
イオン発生装置6は、電極保護部15に加えて、電極保護部32を有しているので、イオン発生装置1と比較して、正側および負側放電電極11,12に対する保護機能が高くなっている。
【0066】
イオン発生装置6のその他の構成は前述したイオン発生装置1と同様である。また、イオン発生装置6を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置6の動作、並びにイオン発生装置6のその他の利点は、前述したイオン発生装置1を備えた空気清浄機21およびイオン発生装置1と同様である。
【0067】
〔実施形態7〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0068】
(仕切り板41)
図10の(a)は、本実施形態のイオン発生装置7の正面図、
図10の(b)は、
図10の(a)に示したイオン発生装置7の平面図である。
【0069】
イオン発生装置7は、イオン発生装置1の仕切り板14に代えて仕切り板41を備えている。仕切り板41は、正側放電電極11の中心と負側放電電極12の中心とを結ぶ線が仕切り板41と交わる位置(以下、風流方向放電電極位置と称する)に対して、上流側部分の方が下流側部分よりも長くなっている。また、仕切り板41は、下流側部分の方が上流側部分よりも幅が広くなっている。
【0070】
(イオン発生装置7の利点)
上記の構成において、仕切り板41は、風流方向放電電極位置に対して風の流れの下流側部分よりも上流側部分の方が長くなっているので、正側および負側放電電極11,12に吹き付ける風の流れを安定化させることができる。これにより、風の乱流によって正および負イオンが混ざり合い、イオン濃度が低下する事態を抑制することができる。
【0071】
また、仕切り板41は、下流側部分の方が上流側部分よりも幅が広くなっているので、正側および負側放電電極11,12を通過した風が仕切り板41を通過した直後に合流するのを抑制することができるため、正および負イオンが混ざり合いイオン濃度が低下してしまう位置を下流側に移動させ、結果的に室内に高濃度のイオンを供給することができる。
【0072】
なお、イオン発生装置7の仕切り板41の構成は、他のイオン発生装置に対しても同様に適用可能である。
【0073】
(誘導電極16の構成例)
次に、誘導電極16についての種々の構成例について以下に説明する。
【0074】
(構成例1)
図11は誘導電極16の第1の構成例を示す平面図である。
図11に示す誘導電極16は、例えば
図1に示したイオン発生装置1にて使用されているものである。誘導電極16は、電極基板17の上に導体(例えば銅箔)にて形成されている。正側および負側放電電極11,12の周りは、導体が円形に除去されて、非電極領域19となっている。
【0075】
正側および負側放電電極11,12の周りの非電極領域19の直径は、例えば5~20mmの範囲である。なお、誘導電極16の表面は導体が露出していても、レジストが施されていてもよい。この点は、以下に示す他の誘導電極16の構成例においても同様である。
【0076】
(構成例2)
図12は誘導電極16の第2の構成例を示す平面図である。
図12に示す構成例では、非電極領域19は、完全な円形ではなく、一部が途切れた状態となっている。すなわち、誘導電極16は、非電極領域19の周りにおいて一部が途切れた状態となっている。
【0077】
(構成例3)
図13は誘導電極16の第3の構成例を示す平面図である。
図13に示す誘導電極16は、正側および負側放電電極11,12の周りに、それぞれリング形状部16aを有し、それらリング形状部16aが互いに接続部16cによって接続されている。接続部16cからは、接続部16cに対して例えば垂直に分岐部16hが分岐している。
【0078】
(構成例4)
図14は誘導電極16の第4の構成例を示す平面図である。
図14に示す誘導電極16は、正側および負側放電電極11,12の周りに、それぞれリング形状部16bを有し、それらリング形状部16bが互いに接続部16cによって接続されている。接続部16cからは、接続部16cに対して例えば垂直に分岐部16hが分岐している。誘導電極16は、完全なリング形状ではなく、一部が途切れた状態となっている。
【0079】
(構成例5)
図15の(a)は誘導電極16の第5の構成例を示す平面図、
図15の(b)は
図15の(a)に示した誘導電極16の正面図である。
【0080】
図15に示す誘導電極16は、正側および負側放電電極11,12の周りに、それぞれリング形状部16dを有し、それらリング形状部16dがリング形状部16dの直径に相当する幅の接続部16eによって互いに接続されている。リング形状部16dおよび接続部16eは例えば導電性の金属板にて形成されている。
【0081】
リング形状部16dの下には脚部16fが設けられ、脚部16fは電極基板17上に固定されている。したがって、リング形状部16dおよび接続部16eは、電極基板17の上面よりも高い位置に設けられている。このような構成では、正側および負側放電電極11,12の上端部と誘導電極16との距離が近くなり、正側および負側放電電極11,12の上端部と誘導電極16との間の放電が生じ易くなる。
【0082】
(構成例6)
図16の(a)は誘導電極16の第6の構成例を示す平面図、
図16の(b)は
図16の(a)に示した誘導電極16の正面図である。
【0083】
図16に示す誘導電極16は、
図15に示した誘導電極16において接続部16eが除去された構成である。他の構成は、
図15に示した誘導電極16と同様である。
【0084】
(構成例7)
図17の(a)は誘導電極16の第7の構成例を示す平面図、
図17の(b)は
図17の(a)に示した誘導電極16の正面図である。
【0085】
図17に示す誘導電極16は、2本の正側放電電極11および2本の負側放電電極12を有し、各正側放電電極11の周りおよび各負側放電電極12の周りに、それぞれリング形状部16dを有する。正側放電電極11の周りのリング形状部16d同士、および負側放電電極12の周りのリング形状部16d同士は、リング形状部16dの直径に相当する幅の接続部16eによって互いに接続されている。リング形状部16dの下には脚部16fが設けられている点等、本構成例の誘導電極16の他の構成は、
図15に示した誘導電極16と同様である。
【0086】
(仕切り板の効果の検証)
次に仕切り板の効果を検証した結果について説明する。
図18の(a)は、仕切り板の効果の検証に使用したイオン発生装置8を示す平面図、
図18の(b)は、イオン発生装置8の正面図、
図18の(c)は、イオン発生装置8の側面図である。
図19は、仕切り板の効果の検証のためのイオン濃度の測定状態を示す説明図である。
図20の(a)は、
図19に示した機器51におけるイオン発生装置8の取り付け状態を示す正面図、
図20の(b)は
図20の(a)におけるD-D断面図である。
【0087】
(イオン濃度の測定条件)
図20の(a)(b)に示すように、イオン発生装置8は、機器51の風路51a内に、正側および負側放電電極11,12の並び方向と風路51aの方向とが直交するように取り付けた。イオン濃度の測定点Pは、
図19に示すように、イオン発生装置8から風下側に350mmの点とした。
【0088】
イオン発生装置8は、
図18の(a)(b)に示すように、前述のイオン発生装置5と同様の電極保護部31を有する。イオン発生装置8の仕切り板には、
図20の(b)に示すように、4種類の仕切り板42a~42dを使用した。
【0089】
仕切り板42aは、正側放電電極11と負側放電電極12との間、かつ電極保護部31の上流側部分と下流側部分との間に位置する仕切り板(以下、電極横の仕切り板と称する)である。仕切り板42aは、風流方向放電電極位置に対する風上側と風下側との長さが同じである。なお、風流方向放電電極位置は、前述したように、正側放電電極11の中心と負側放電電極12の中心とを結ぶ線が仕切り板42aと交わる位置である。なお、仕切り板42aの下流側端部は、イオン発生装置8の誘導電極16の下流側端部と略同じ位置となっている。
【0090】
仕切り板42bは、仕切り板42a(電極横の仕切り板)を風下側に長くした仕切り板(電極横+風下の仕切り板)である。仕切り板42cは、仕切り板42a(電極横の仕切り板)を風上側に長くした仕切り板(電極横+風上の仕切り板)である。仕切り板42dは、仕切り板42c(電極横+風上の仕切り板)から仕切り板42a(電極横の仕切り板)を除去した状態の風上側のみの仕切板(風上の仕切り板)である。
【0091】
(検証結果)
図21は、仕切り板の効果の検証結果を示す説明図である。
図21では、イオン発生装置8において、仕切り板無しのイオン濃度を基準とし、仕切り板無しのイオン濃度に対する仕切り板42a有り、仕切り板42b有り、仕切り板42c有り、仕切り板42d有りの各場合のイオン濃度の比率を示している。
【0092】
図21から分かるように、仕切り板42a~42dの有りの各場合には仕切り板無しの場合よりも測定点Pでのイオン濃度(正負のイオン濃度)が上昇した。これにより、イオン濃度を高める上では、イオン発生装置8は、仕切り板42a~42dのいずれかを有するのが有効であることが分かった。
【0093】
また、仕切り板42a有りの場合を基準とした場合、仕切り板42b有りおよび仕切り板42d有りの場合はイオン濃度が低下し、仕切り板42c有りの場合はイオン濃度が上昇した。これにより、さらにイオン濃度を上では、仕切り板42aの風上側を長くすること、すなわち仕切り板42cが有効であることが分かった。
【0094】
〔実施形態8〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0095】
図22は、本実施形態の空気調和機としての空気清浄機61の構成を示す縦断面図である。
図23は、
図22に示した空気清浄機61に取り付けられるイオン発生装置71を示す斜視図である。
【0096】
(イオン発生装置71の構成)
図22に示すように、空気清浄機(放電装置を装着可能な機器)61は、吹出風路23にイオン発生装置71が取り付けられている。イオン発生装置71は、
図23に示すように、
図1に示したイオン発生装置1において仕切り板14を除去した構成である。イオン発生装置71のその他の構成は、イオン発生装置1と同様である。なお、イオン発生装置71は、イオン発生装置1から仕切り板14を除去した構成のものに限定されず、イオン発生装置2~6から仕切り板14を除去した構成のもの、あるいはイオン発生装置7から仕切り板41を除去した構成のものいずれかであってもよい。この点は、以下の他の実施形態においても同様である。
【0097】
(空気清浄機61の構成)
図24は、空気清浄機61の吹出風路23にイオン発生装置71を取り付けた状態を示す斜視図である。
図25の(a)は、
図24の状態の平面図、
図25の(b)は、
図25の(a)に示した吹出風路23の装置装着部81の構成を示す平面図である。
【0098】
図25の(b)に示すように、空気清浄機61の吹出風路23は装置装着部81を有している。装置装着部81は、装置装着穴82および仕切り板(仕切り部材)83を有している。装置装着穴82は、吹出風路23の側壁(周壁)を貫通して開口されている。
【0099】
装置装着穴82には、
図24および
図25の(a)に示すように、吹出風路23の裏面からイオン発生装置71が装着される。具体的には、装置装着穴82には、イオン発生装置71の電極保護部15並びに正側および負側放電電極11,12の部分が装着される。これにより、電極保護部15並びに正側および負側放電電極11,12は、吹出風路23にイオン発生装置71が装着された状態において、吹出風路23内に突出する。
【0100】
仕切り板83は、装置装着穴82の風上側位置に設けられている。仕切り板83は、正側および負側放電電極11,12よりも高さが高く、長手方向が吹出風路23での風の流れ方向と平行な板状部材である。仕切り板83は、幅方向の中心が、装置装着穴82に装着されたイオン発生装置71の正側放電電極11と負側放電電極12との中間に位置する。仕切り板83は、風の流れの下流側部分の幅が上流側部分の幅よりも広くなっている。また、仕切り板83は、風の流れの下流側端部が装置装着穴82の上流側端部付近まで延びている。空気清浄機61のその他の構成は空気清浄機21と同様である。
【0101】
(空気清浄機61の動作および利点)
上記の構成において、空気清浄機61の基本的な動作は、前述した空気清浄機21と同様である。
【0102】
空気清浄機61は装置装着部81を有し、装置装着部81にはイオン発生装置71を着脱可能である。これにより、空気清浄機61は、装置装着部81に装着しているイオン発生装置71の機能が低下した場合あるいはイオン発生装置71が故障した場合に、イオン発生装置71の手入れが必要になった場合に、容易に作業が可能となる。
【0103】
また、空気清浄機61は装置装着部81に仕切り板83を有している。これにより、イオン発生装置71は、仕切り板83を有する必要がなく、構造を簡素化することができる。
【0104】
また、仕切り板83は、装置装着部81にイオン発生装置71を装着した状態において、正側および負側放電電極11,12に対する風の流れの上流側に延びているので、正側および負側放電電極11,12に吹き付け風の流れを安定化することができる。これにより、風の乱流によって正および負イオンが混ざり合い、イオン濃度が低下する事態を抑制することができる。
【0105】
さらに、仕切り板83は、風の流れの下流側部分の方が上流側部分よりも幅が広くなっているので、正側および負側放電電極11,12に吹き付ける風の流れの安定化を促進する。
【0106】
また、仕切り板83の下流側端部は、装置装着穴82の上流側端部付近まで延びており、正側および負側放電電極11,12よりも上流側に位置する。これにより、正側および負側放電電極11,12から発生した正および負イオンが仕切り板83にイオン濃度が低下する事態を抑制することができる。
【0107】
なお、本実施形態の空気清浄機61では、イオン発生装置71を吹出風路23の装置装着部81に直接装着する構成とした。しかしながら、空気清浄機61は、装着補助具を備え、その装着補助具にイオン発生装置71を装着し、イオン発生装置71を装着した装着補助具を吹出風路23に装着する構成であってもよい。この場合、装着補助具は、装置装着穴82および仕切り板83を有する装置装着部81の構成を備え、吹出風路23には装着補助具を装着する開口部が設けられる。この点は、以下の他の実施形態においても同様である。
【0108】
〔実施形態9〕
本発明のさらに他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0109】
(空気清浄機62の構成)
図26は、本実施形態の空気調和機としての空気清浄機62における吹出風路23の装置装着部82の構成を示す平面図である。
【0110】
本実施形態のイオン発生装置62は、前述した装置装着部81に代えて装置装着部84を有している。装置装着部84は、前記装置装着穴82、および前記仕切り板83に代わる仕切り板(仕切り部材)85を有している。
【0111】
仕切り板85の風の流れの下流側端部は、装置装着部84にイオン発生装置71を装着した状態において、正側放電電極11と負側放電電極12との間よりも下流側へ延びている。具体的には、仕切り板85は、仕切り板14と同様、正側放電電極11と負側放電電極12との間に位置し、仕切り板85の下流側端部は、電極最下流側端部(正側および負側放電電極11,12並びに誘導電極16の下流側端部のうちの最も下流側に存在する端部)と同じ位置または電極最下流側端部よりも上流側に存在する。
【0112】
仕切り板85および装置装着部84のその他の構成は仕切り板83および装置装着部81と同様であり、空気清浄機62のその他の構成は空気清浄機61と同様である。
【0113】
(空気清浄機62動作および利点)
上記の構成において、空気清浄機62の基本的な動作は、前述した空気清浄機21と同様である。
【0114】
空気清浄機62では、仕切り板85の下流側端部が、正側および負側放電電極11,12並びに誘導電極16の下流側端部のうちの最も下流側に存在する電極最下流側端部と同じ位置または前記電極最下流側端部よりも上流側に存在する。これによる空気清浄機62の利点は、下記のように、そのような構成による仕切り板14の利点と同様である。
【0115】
すなわち、空気清浄機62では、正側放電電極11と負側放電電極12との間に仕切り板85が存在することにより、発生した正および負イオンは互いに混ざり難く、正および負イオンのイオン濃度の低下を抑制することができる。
【0116】
また、空気清浄機62では、正側放電電極11と負側放電電極12との間に仕切り板85が存在することにより、使用するイオン発生装置71の正側放電電極11と負側放電電極12との間隔を狭くしてイオン発生装置71を小型化することができる。
【0117】
また、空気清浄機62では、仕切り板85の下流側端部が電極最下流側端部と同じ位置または電極最下流側端部よりも上流側に存在するので、発生した正および負イオンが仕切り板85に付着してイオン濃度が低下する事態を抑制することができる。空気清浄機62のその他の利点は、前述した空気清浄機61と同様である。
【0118】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る放電装置を装着可能な機器は、機外への吹出し口を有する風路と、前記風路に風を送る送風装置とを備えた放電装置を装着可能な機器において、第1および第2放電電極と第3電極との間の放電により第1および第2放電生成物を生じる放電装置が装着される装置装着部を前記風路に備え、前記装置装着部は、前記第1および第2放電電極を前記風の流れ方向と交差する方向に並ぶように前記風路内へ突出させる装置装着穴と、前記風の流れ方向と平行に延びており、前記風の流れの上流側端部が、前記第1および第2放電電極の並び方向では前記第1および第2放電電極の間に位置し、かつ前記風路内の前記装置装着穴よりも上流側に位置する仕切り部材とを有する。
【0119】
本発明の態様2に係る放電装置を装着可能な機器は、上記態様1において、前記仕切り部材は、前記風の流れの下流側部分の方が上流側部分よりも幅が広くなっている構成としてもよい。
【0120】
本発明の態様3に係る放電装置を装着可能な機器は、上記態様1または2において、前記仕切り部材は、前記風の流れの下流側端部が前記装置装着穴よりも上流側に位置する構成としてもよい。
【0121】
本発明の態様4に係る放電装置を装着可能な機器は、上記態様1または2において、前記仕切り部材は、前記上流側端部よりも下流側部分が、前記第1放電電極と前記第2放電電極との間に位置する構成としてもよい。
【0122】
本発明の態様5に係る放電装置を装着可能な機器は、上記態様1、2または4のいずれか1態様において、前記仕切り部材は、前記風の流れの下流側端部が、前記第1および第2放電電極並びに前記第3電極の下流側端部のうちの最も下流側に存在する最下流側端部と同じ位置または前記最下流側端部よりも上流側に存在する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1~7 イオン発生装置(放電装置)
11 正側放電電極(第1放電電極)
12 負側放電電極(第2放電電極)
13 筐体部
14,41 仕切り板
15,31,32 電極保護部
15a,31c 開口部
15b,31b 横部材
15c,31a 縦部材
15c1,31a1 第1縦部材
15c2,31a2 第2縦部材
16 誘導電極(第3電極)
21 空気清浄機
22 筐体
23 吹出風路(風路)
23a 吹出し口
24 送風機
31b1 第1横部材
31b2 第2横部材
51 機器
61,62 空気清浄機(放電装置を装着可能な機器)
71 イオン発生装置
81,84 装置装着部
82 装置装着穴
83,85 仕切り板(仕切り部材)