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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】遠心機ロータ
(51)【国際特許分類】
   B04B 5/02 20060101AFI20230213BHJP
   B04B 15/00 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
B04B5/02 Z
B04B15/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020534473
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2018084504
(87)【国際公開番号】W WO2019121214
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】102017130787.7
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591121683
【氏名又は名称】エッペンドルフ エスイー
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1, 22339 Hamburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーネルト,シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】クノスペ,クリストフ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0050195(US,A1)
【文献】特開2006-272330(JP,A)
【文献】特開平05-345149(JP,A)
【文献】特表2005-526604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方部品(12)と、カバー(14)とを含む、遠心機ロータ(10)であって、前記遠心機ロータ(10)は回転軸(D)を有し、前記カバー(14)は、前記回転軸(D)に沿って閉鎖方向(S)に前記下方部品(12)上に配置可能であり、前記回転軸(D)に沿って切り離し方向(L)に取り外し可能であり、前記カバー(14)が閉じられた場合、前記下方部品(12)と前記カバー(14)との間には閉鎖部(32)があり、
前記下方部品(12)および前記カバー(14)からの要素のうちの少なくとも一方が少なくとも1つの第1のアンダーカット(34)を含み、前記カバー(14)が閉じられた場合、前記第1のアンダーカットには少なくとも1つの突起(36)が係合し、前記突起(36)は、前記カバー(14)および前記下方部品(12)からの前記要素のうちの他方の上に配置され、
前記突起(36)は、支点(38)を有するレバー(24)上に配置され、
前記カバー(14)は、遠心機において前記遠心機ロータ(10)を締結するための円形の(20)を含み、前記レバー(24)は、前記円形の(20)を連続させ、前記回転軸(D)の方を向いた凹形状(66)を有し、前記レバー(24)は、前記カバー(14)が閉じられた場合、前記凹形状(66)が前記円形の(20)内に内向きに突出しないように配置されることを特徴とする、遠心機ロータ(10)。
【請求項2】
前記第1のアンダーカット(34)は、前記回転軸(D)に垂直に延在するように設計されること、および/または、前記第1のアンダーカット(34)は、前記回転軸(D)の周りを一周して延在するように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項3】
閉鎖補助部が配置され、それにより、前記突起(36)は、前記カバー(14)が前記下方部品(12)上に配置されると、前記第1のアンダーカット(34)と係合するようになる、請求項1または2のいずれかに記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項4】
前記閉鎖補助部は、面取り部(62、70)として設計され、前記面取り部(62、70)は、前記回転軸(D)に対して、20°~80°の範囲の角度を有することを特徴とする、請求項3に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項5】
前記突起(36)は、前記カバー(14)の方を向いた面取り部(64)または丸くなった部分を有し、および/または、前記第1のアンダーカット(34)は、前記下方部品(12)の方を向いた面取り部(72)または丸くなった部分を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項6】
前記回転軸(D)に関して、対向する2つの突起(36)が形成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項7】
前記突起(36)は、前記第1のアンダーカット(34)の方を向いた予荷重を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項8】
前記予荷重は、ばねによって提供されることを特徴とする、請求項7に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項9】
前記レバー(24)の質量中心(M)は、前記閉鎖方向(S)に関して、前記支点(38)の上方に位置することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項10】
前記レバー(24)は、2つのレバー部品(48)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項11】
前記カバー(14)が閉じられた場合、前記突起(36)は、前記第1のアンダーカット(34)との少なくとも1つの接点(A)を有し、前記回転軸(D)からの前記接点(A)の径方向間隔はせいぜい、前記回転軸(D)からの前記支点(38)の径方向間隔に対応することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項12】
前記ばねの少なくとも一方の側(54)は、前記レバー(24)の内部に固定されることを特徴とする、請求項8に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項13】
前記支点はベアリングシャフト(38)を含み、前記ベアリングシャフト(38)は一方側で止まり穴(40)に搭載され、2つのレバー(24)があり、対応する止まり穴(40)が前記回転軸(D)に対して回転対称に配置されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項14】
前記カバー(14)は、前記遠心機ロータを担持するためのハンドルとしての第2のアンダーカット(23)を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項15】
前記カバー(14)と前記下方部品(12)との間には、シール(30)が、前記閉鎖方向(S)に関して前記第1のアンダーカット(34)の後ろにあり、前記シール(30)と前記カバー(14)と前記下方部品(12)とによって前記遠心機ロータ(10)の内部に試料空間(26)が形成され、前記シール(30)に関し、前記閉鎖部(32)は、前記試料空間(26)の外側に配置されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項16】
前記突起(36)は、前記下方部品(12)の方を向いた面取り部(62)または丸くなった部分を有すること、および/または、前記カバー(14)の方を向いた面取り部(70)または丸くなった部分が、前記閉鎖方向(S)に対して前記第1のアンダーカット(34)の前に配置されることが提供されることを特徴とする、請求項3に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項17】
前記面取り部(62、70)は、前記回転軸(D)に対して、45°~75°の範囲の角度、または、60°の角度を有することを特徴とする、請求項4に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項18】
前記支点(38)は、前記カバー(14)上に配置されることを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項19】
前記回転軸(D)からの前記接点(A)の前記径方向間隔は、前記回転軸(D)からの前記支点(38)の前記径方向間隔と同一であることを特徴とする、請求項11に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項20】
前記第2のアンダーカット(23)は、前記カバー(14)に対して突出していることを特徴とする、請求項14に記載の遠心機ロータ(10)。
【請求項21】
前記シール(30)は、エアロゾルを通さないように構成されていることを特徴とする、請求項15に記載の遠心機ロータ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に記載の遠心機ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
遠心機ロータは、遠心機、特に実験室遠心機において、慣性を使用してそこで遠心分離される試料の成分を分離するために使用される。このプロセスでは、高い分離速度を達成するために、さらにより速い回転速度が使用される。この場合、実験室遠心機とは、ロータが毎分好ましくは少なくとも3000回転、好ましくは少なくとも10000回転、特に少なくとも15000回転で動作する遠心機であり、通常、作業台上に配置される。前記遠心機を作業台上に配置できるようにするために、それらは特に、1m×1m×1m未満の形状因子を有する。すなわち、その設置空間は制限されている。好ましくは、器具深さは、ここでは最大70cmに制限されている。
【0003】
試料がある温度で遠心分離されることが、通常提供される。たとえば、たんぱく質およびこの種の有機物質を含む試料は過熱してはいけないため、そのような試料の温度制御についての上限は、標準として+40℃の範囲にある。加えて、ある試料は、標準として+4℃の範囲で冷却される(水の変態は3.98℃で始まる)。
【0004】
たとえばおよそ+40℃といったそのような予め定められた最大温度、および+4℃といった標準分析温度に加えて、+11℃といったさらに別の標準分析温度が、この温度で、遠心機の冷却システムが室温未満で規制された態様で作動するかどうかをテストするために提供される。加えて、労働安全性のために、+60℃以上の温度を有する要素との接触を防止することが必要である。
【0005】
原則として、温度制御のために能動および受動システムを使用することができる。能動冷却システムは、遠心機ボウルの温度を制御する冷媒回路を有しており、その結果、当該ボウルに受けられた遠心機ロータおよび試料コンテナが間接的に冷却される。
【0006】
受動システムは、排気支援冷却または換気に基づいている。この空気は、遠心機ロータを直接通り過ぎて導かれ、温度制御をもたらす。このプロセスでは、空気は遠心機ボウルの開口部を通って吸引され、吸引は、遠心機ロータの回転に起因して独立して起こる。
【0007】
遠心分離される試料は試料コンテナに格納され、これらの試料コンテナは遠心機ロータによって回転駆動される。このプロセスでは、遠心機ロータは通常、電気モータによって駆動される垂直駆動シャフトによって回転するよう設定される。用途に依存して使用され得るさまざまな遠心機ロータがある。ここでは、試料コンテナは試料を直接含み得る。または、1つの試料コンテナにおいて複数の試料が同時に遠心分離され得るように、試料を含む別個の試料受け部が試料コンテナに挿入される。
【0008】
おおまかに言えば、そのような遠心機ロータは通常、下方部品とカバーとを含み、カバーが閉じられると、下方部品とカバーとの間に内部空間が形成され、好適な遠心機で試料を遠心分離するために、当該内部空間に試料容器を配置することができる。試料容器が遠心機ロータにおいてある固定角度で配置される場合、これが、固定角ロータとして知られるものである。
【0009】
遠心機への接続のために、下方部品には通常、ハブが設けられ、それは、モータによって駆動される遠心機の駆動シャフトに結合され得る。カバーは次に、それが下方部品に対して正常に閉じられ得るように設計される。
【0010】
通常、カバーと下方部品との間には、エアロゾルを通さない封止がある。たとえばエッペンドルフ(Eppendorf)(登録商標)からの実験室遠心機5430 Rで使用され得る、たとえばエッペンドルフ(登録商標)からの固定角ロータFA-45-48-11は、径方向外向きに開いている溝が配置された円盤状のカバーを含み、溝は、封止手段としてOリングを含む。カバーが閉じられると、カバーは、下方部品における略垂直に延在する対応するくぼみに挿入されて下向きに押し付けられ、Oリングは、封止を生じさせるために溝と下方部品の側壁との間でクランプされる。このエアロゾルを通さない封止により、遠心機コンテナは、試料が遠心機または包囲された部分を汚染するかもしれないというリスクなく、容易に運搬され操作され得る。
【0011】
カバーと下方部品との間の閉鎖部は、さまざまなやり方で構成されてもよい。
まず、ロックナットが自由に回転できるようにカバー上に配置され、下方部品が対応するねじ山包囲部分をハブに含む、遠心機ロータが知られている。そのような遠心機ロータの例は、エッペンドルフ(登録商標)からのモデルF-45-32-5-PCRである。下方部品に対してカバーを閉じるために、カバーをねじ山上に配置し、ロックナットによってねじ山にねじ込まなければならない。これは両手を必要とする。すなわち、一方の手で下方部品を保持し、もう一方の手でロックナットを配置して締め付けることが必要である。加えて、閉鎖部がしっかりするまでロックナットを数回回転させなければならず、それは、労力の増加に関連付けられる。
【0012】
この労力を減らすために、閉鎖部がしっかりするまで対応するロックナットをおよそ半回転させるだけでよくなるように一種のバヨネットキャッチが使用される、遠心機ロータがすでに知られている。そのような遠心機ロータの例は、エッペンドルフ(登録商標)からのモデルFA-45-18-11である。この場合、閉鎖部は伝達ねじ山の形をしており、そのピッチ角は、カバーの自重により、ロックカムを有するロックナットが閉鎖位置の直前まで自動的に回転されるように選択される。加えて、EP 2 024 097 A1に記載されるように、ゴム弾性シールにより、確実なロックが提供される。その結果、カバーは片手で配置されればよく、その後、ロックナットはロック位置の前まで自動的に回転する。ロックナットは次に、ロックを実行するためにさらに数度回転されればよく、ゴム弾性シールは、ロックカムの反対側のバヨネットキャッチスロットにおけるへこみとともに、ロックを生じさせる。しかしながら、この最後のステップのために、両手が依然として必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的はしたがって、遠心機ロータの下方部品とカバーとの間の閉鎖部に関し、真の片手操作が可能になるように遠心機ロータを改良することである。特に、閉鎖部は、片手のみを使用して閉鎖され、再び切り離されるよう意図される。好ましくは、閉鎖部は、より単純な構造を有するよう、また、よりコスト効率よく生産されるよう意図される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1に記載の請求される遠心機ロータによって達成される。有利な展開は、従属請求項において、および以下の説明において、図面とともに述べられる。
【0015】
発明者は、突起が係合する第1のアンダーカットの形をしたロックがカバーと遠心機ロータの下方部品との間にあれば、この問題が驚くべき態様で特に単純に解決され得る、ということを突き止めた。カバーと下方部品とはしたがって、切り離し可能な態様で連結する。その結果、カバーは、容易に下方部品上に配置され、そこから再び取り外され得る。
【0016】
この突起は、開放状態を作り出すために第1のアンダーカットから取り外され得る。ここで、突起は、ロックによって閉鎖状態を容易に作り出すことができるようにするために予荷重を加えられ得る。
【0017】
この発明に従った遠心機ロータは、下方部品とカバーとを含み、遠心機ロータは回転軸を有し、カバーは、回転軸に沿って閉鎖方向に下方部品上に配置可能であり、回転軸に沿って切り離し方向に取り外し可能であり、カバーが閉じられた場合、下方部品とカバーとの間には閉鎖部がある。遠心機ロータは、下方部品およびカバーからの要素のうちの少なくとも一方が少なくとも1つの第1のアンダーカットを含み、カバーが閉じられた場合、第1のアンダーカットには少なくとも1つの突起が係合し、突起は、カバーおよび下方部品からの要素のうちの他方の上に配置されることを特徴とする。
【0018】
有利な展開では、第1のアンダーカットは、回転軸に垂直に延在するように設計される、ということが提供される。その結果、ロックも、実験室遠心機の動作中、特にしっかりしている。
【0019】
有利な展開では、第1のアンダーカットは、回転軸の周りを一周して延在するように設計される、ということが提供される。その結果、カバーは、遠心機ロータの回転軸に関して任意の方位角配向で下方部品上に配置されてもよい。
【0020】
有利な展開では、突起は、下方部品の方を向いた面取り部または丸くなった部分を有すること、および/または、第1のアンダーカットは、カバーの方を向いた面取り部または丸くなった部分を有することが提供される。その結果、閉鎖プロセスはより容易になる。
【0021】
有利な展開では、好ましくは面取り部または丸くなった部分として設計された閉鎖補助部が配置され、それにより、突起は、カバーが下方部品上に配置されると、第1のアンダーカットと係合するようになる、ということが提供され、好ましくは、突起は、下方部品の方を向いた面取り部または丸くなった部分を有すること、および/または、カバーの方を向いた面取り部または丸くなった部分が、閉鎖方向に対して第1のアンダーカットの前に配置されることが提供される。その結果、カバーは、下方部品に非常に容易にロックされ得る。つまり、片手操作が改良される。
【0022】
有利な展開では、面取り部は、回転軸に対して、20°~80°、好ましくは45°~75°の範囲の、特に60°の角度を有する、ということが提供される。その結果、閉鎖補助部は特に効果的である。
【0023】
有利な展開では、突起は、カバーの方を向いた面取り部または丸くなった部分を有し、および/または、第1のアンダーカットは、下方部品の方を向いた面取り部または丸くなった部分を有する、ということが提供される。その結果、遠心分離中、カバーは下方部品上に押圧される。これはともにカバーと下方部品との間の封止を強化し、カバーが下方部品上でがたつくことも防止される。
【0024】
有利な展開では、回転軸に関して、対向する2つの突起が形成される、ということが提供される。その結果、閉鎖部は対称的に構成され、したがって、実験室遠心機が高速であっても、特にしっかりしている。3~5つの対称形の突起も配置可能である。つまり、片手操作が依然として可能であろう。しかしながら、より多くの突起が使用されるほど閉鎖部はよりしっかりするが、それはまた、より扱いにくくなる。
【0025】
有利な展開では、突起は、第1のアンダーカットの方を向いた予荷重を有し、その予荷重は、好ましくはばね(復座ばね)によって、特に成形ばねによって提供される、ということが提供される。その結果、ロックは、片手操作が改良されるように、特にしっかりと生成され得る。
【0026】
有利な展開では、突起は、支点を有するレバー上に配置され、支点は好ましくは、カバー上に配置される、ということが提供される。その結果、突起は、特に容易に作動され得る。
【0027】
有利な展開では、レバーの質量中心は、閉鎖方向に関して、支点の上方に位置する、ということが提供される。その結果、遠心機ロータが高速であっても、特にしっかりしたロックがある。なぜなら、慣性モーメントが遠心力とともに、突起が第1のアンダーカットとの係合から外れないことを保証するためである。加えて、その結果、遠心分離中、オプションで存在する復座ばねに対する圧力が緩められ、それは、その実用寿命を増加させる。
【0028】
有利な展開では、好ましくは射出成形部品であるレバーは、少なくとも2つのレバー部品を含む、ということが提供される。その結果、レバーは、好ましくは少なくとも部分的に中空になるように、非常に少ない重量で生成され得る。つまり、遠心機ロータの重量を少なく保つことができる。レバー部品は、射出成形され得る。射出成形の代わりとして、フライス加工または加圧ダイキャストも使用され得る。それはまた、必ずしも空隙を有して生成される必要はない。
【0029】
有利な展開では、カバーが閉じられた場合、突起は、第1のアンダーカットとの少なくとも1つの接点を有し、回転軸からの接点の径方向間隔はせいぜい、ロータの回転軸からのレバーの支点の径方向間隔に対応する、ということが提供される。その結果、下方部品からカバーを引き離す場合、および遠心分離中、カバーと下方部品との間のロックを開放させ得る力は生じない。特に好ましくは、接点と回転軸との間の径方向間隔は、回転軸からの支点の径方向間隔と同一である。接点はその場合、支点の垂直方向下方に位置付けられる。この構成により、レバーアームはゼロになり、遠心分離中、レバーが開くことをもたらすであろう力が生じない。その結果、そのような力を、遠心分離中の遠心力またはばねによって補償する必要もない。そのような規定された接点は、たとえば、接点の領域で突起が若干丸くされることによって生成され得る。
【0030】
有利な展開では、ばねの少なくとも一方の側は、レバーの内部に固定される、ということが提供される。その結果、ばねは特にしっかりと搭載される。
【0031】
有利な展開では、支点はベアリングシャフトを含み、ベアリングシャフトは一方側で止まり穴に搭載され、2つのレバーがあり、対応する止まり穴が回転軸に対して回転対称に配置される、ということが提供される。その結果、動作中に不均衡が生じない。その場合、ベアリングシャフトのための貫通穴が好ましくは他方側に配置される。
【0032】
有利な展開では、カバーは、遠心機において遠心機ロータを締結するための円形の切欠きを含み、レバーは、円形の切欠きを連続させ、回転軸の方を向いた凹形状を有し、レバーは好ましくは、カバーが閉じられた場合、凹形状が円形の切欠き内に内向きに突出しないように配置される、ということが提供される。その結果、遠心機ロータは、遠心機に非常に容易に搭載可能であり、同時に、操作エラーが防止されるように、下方部品上のカバーのロック状態が明らかに示される。カバーおよびレバーの凹形状を連続させることにより、ロータカバーの閉じられた状態がこのため明らかに識別され得る。なぜなら、カバーが適切に閉じられていない場合、この視覚的連続性は存在せず、それはオペレータによって容易に視覚的に認知され得る。
【0033】
有利な展開では、カバーは、遠心機ロータを担持するためのハンドルとして作用する第2のアンダーカットを有し、第2のアンダーカットは好ましくはカバーに対して突出している、ということが提供される。その結果、遠心機ロータは、支持(取扱い)中にカバーと下方部品との間のロックが切り離されるというリスクなく、非常に快適に取扱われ得る。これは、第2のアンダーカットに対して突出するレバーによってさらに改良される。つまり、それらは、支持中に作動されることを容易に防止され得る。極端な場合、レバーの領域における第2のアンダーカットは、省略され得る。
【0034】
有利な展開では、カバーと下方部品との間には、好ましくはエアロゾルを通さないシールが、閉鎖方向に関して第1のアンダーカットの後ろにあり、シールに関し、閉鎖部は、カバーと下方部品との間に形成された試料空間の外側に配置される、ということが提供される。このシールは好ましくは、カバーと下方部品との間にクランプされる封止要素として設計される。
【0035】
この発明に従った遠心機ロータを使用する遠心分離方法について、独立した保護が請求される。
【0036】
本発明の特徴およびさらなる利点は、好ましい一実施形態の説明を、全く概略的な図面とともに参照して、以下に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第1の好ましい構成に従った、この発明に従った遠心機ロータの斜視図である。
図2図1に従った、この発明に従った遠心機ロータの断面図である。
図3図2に従った、この発明に従った遠心機ロータの閉鎖部の詳細の断面図である。
図4図3に従った、この発明に従った遠心機ロータの閉鎖部の領域Yの詳細の断面図である。
図5図1に従った、この発明に従った遠心機ロータの下方部品を示す図である。
図6図1に従った、この発明に従った遠心機ロータのカバーの一部を示す図である。
図7図1に従った、この発明に従った遠心機ロータのレバーの部品の2つの異なる図である。
図8図1に従った、この発明に従った遠心機ロータのレバーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1~8は、この発明に従った遠心機ロータ10およびその部品のさまざまな図である。
【0039】
この遠心機ロータ10はできるだけ回転対称形であり、下方部品12とカバー14とを含み、カバー14は、回転軸Dに平行な閉鎖方向Sに下方部品12上に配置され、回転軸Dに平行な切り離し方向Lに取り外し可能である、ということが明らかである。
【0040】
下方部品12は、たとえば試験管の形をした試料容器(図示せず)を受けるための、均一に間隔を置いた一連の穴または区画16を含む。穴20を含むハブ18が、下方部品12において中央に配置され、その穴は、実験室遠心機の駆動シャフト(ともに図示せず)を受けることができ、それにより、遠心機ロータ10は駆動され得る。把持のために設けられたアンダーカット23を含む担持ハンドル22が、カバー14から突出するようにハブ18上に形成され、その担持ハンドルにより、遠心機ロータ10は把持され、その結果、カバー14を緩めることなく取り扱われ得る。
【0041】
カバー14は、把持のために設けられたアンダーカット25を各々有する2つのレバー24を含み、レバー24は、互いに対向するように、および、回転軸Dに関して等しい間隔を有して配置される。
【0042】
試料空間26が、下方部品12とカバー14との間に形成され、外部シール28および内部シール30によってエアロゾルを通さない態様で封止される。外部シール28および内部シール30は、下方部品12とカバー14との間に配置され、各々、回転軸Dに対して回転対称に形成される。区画16、ひいては個々の試料容器は、この試料空間26からアクセス可能である。
【0043】
さらに、閉鎖部32が、下方部品12とカバー14との間に形成され、図3および図4の詳細図に示される。
【0044】
閉鎖部32は、2つのレバー24と、レバー24のそれぞれの突起36が係合するアンダーカット34とによって形成される、ということが明らかである。
【0045】
図5に示すように、アンダーカット34は、周方向に連続的に形成され、すなわち、回転軸Dの周りに延在しており、径方向に開いている。それはしたがって、径方向に開いている周方向溝34である。
【0046】
レバー24は、その質量中心Mが切り離し方向Lに関してベアリング38の上方に位置するように設計される。この場合、図6からわかるように、ベアリングは、ねじ山によって止まり穴40にねじ込まれるボルト38である。この止まり穴40は、担持ハンドル22に配置され、具体的には貫通穴42と対向するように配置されており、貫通穴42を通ってボルト38はレバー24によって止まり穴40にねじ込まれ得る。この場合、止まり穴40同士は、回転対称になるように配置される。
【0047】
レバー24を受けるために、カバー14はくぼみ44を含み、そこにレバー24が、ボルト38を中心として傾くことができるように配置される。この場合、図3に最良に見えるように、レバー24は、その突起36に関し、くぼみ44上で支持される成形ばね46によって、アンダーカット34に対して予荷重を加えられる。
【0048】
図7および図8からわかるように、レバー24は、2つの射出成形部品48から構成され(2つの射出成形部品48の接続シームは図8には図示せず)、図7には、いずれの場合も半分48のみが2つの異なる斜視図で示されている。前記レバーは、製造上の理由により2分割されている。なぜなら、これは、レバー24についてプラスチック射出成形を可能にするためである。レバー24にはこのため、空隙50が、レバーの離型を妨げることなく重量を減らすために設けられ得る。射出成形の代わりとして、たとえば、フライス加工または加圧ダイキャストも使用され得る。対照的に、レバー24はまた、2分割されることなく一体的に形成され得る。
【0049】
さらに、レバー24は、ボルト38のための貫通穴52を含む。成形ばね46は、それの一方端54によってくぼみ56に搭載される。他方端58は自由であるものの、一方側で突起60によって保持される。
【0050】
突起36は、下方部品12の方向に向いた第1の面取り部62と、カバー14の方向に向いた第2の面取り部64とを含む。加えて、図7は、内面66および68が溝付きであることを示す。
【0051】
図2および図4は、第1の面取り部70が下方部品12上に、閉鎖方向においてアンダーカット34の前に形成されること、および、アンダーカット34が、下方部品12の方を向いた第2の面取り部72を含むことを示す。
【0052】
突起36の第1の面取り部62と、アンダーカット34の上方に配置された下方部品の第1の面取り部70とは、閉鎖補助部として作用する。なぜなら、カバー14を閉鎖方向Sに下方部品12上に押しつけた場合、突起36は、ばね46のばね力を受けて回転軸Dから径方向外向きに自動的に導かれ、下方部品12上の突起74が通され、レバー24を手動で作動させる必要がないためである。
【0053】
遠心機ロータ10の動作中、カバー14は、突起36上の第2の面取り部64と、アンダーカット34における下方部品12の第2の面取り部72とによって、下方部品12上に押圧される。その結果、ばね46に対する圧力が緩められ、それはその実用寿命を増加させる。また、カバー14が下方部品12上でがたつくことも防止される。
【0054】
図3および図4はまた、突起36とアンダーカット34との接点Aが、ベアリング38の中心点に関して、回転軸Dのより近くに位置することを示す。その結果、カバー14を切り離し方向Lに引っ張る際に切り離す力も、遠心機ロータ10の動作中に閉鎖部32を切り離す力も、まったく作用しない。これに代えて、接点Aと回転軸Dとの間の径方向間隔が、回転軸Dからのベアリング38の支点の径方向間隔と同一である、ということも提供されてもよい。接点Aはその場合、支点の垂直方向下方に位置付けられる。この構成により、レバーアームはゼロになり、遠心分離中、レバー24が開くことをもたらすであろう力が生じない。その結果、そのような力を、遠心分離中の遠心力またはばね46によって補償する必要もない。そのような規定された接点Aは、たとえば、接点Aの領域で突起36が若干丸くされる(図示せず)ことによって生成され得る。
【0055】
ベアリング38の上方に質量中心Mを形成することにより、遠心機ロータ10の動作中、レバー24の上端は径方向外向きに押圧される、つまり、突起36とアンダーカット34との間のロックが強化される。加えて、それにより、ばね46に対する圧力も緩められる。
【0056】
図6は、担持ハンドル22がアンダーカット25なしでくぼみ44の周りに形成されることを示す。その結果、ロック状態では、レバー24は、ハンドル22に対して径方向外向きに突出している(図1参照)。その結果、適切なロックが常に確実に示される。
【0057】
対照的に、レバー24の内面66は、ハンドル22の領域における穴20と同じ半径を有する。その結果、遠心機ロータ10を遠心機モータのシャフトに接続するための締結手段(図示せず)が、容易に作動され得る。加えて、レバー24の内面66および穴20の凹形状の連続性により、適切にロックされた状態がさらに明らかに識別され得る(図1参照)。すなわち、ユーザは、凹形状が連続せず、代わりに、ユーザの目に非常に容易に知覚可能なずれがあることによって、不適切にロックされた状態を識別することができる。
【0058】
カバー14のロック状態では、試料空間26は、シール28および30によって完全にエアロゾルを通さない態様で下方部品12上に形成される。なぜなら、閉鎖部32は、試料空間26の外側に位置するためである。
【0059】
本発明は、適切な片手操作が可能になるように遠心機ロータ10の下方部品12とカバー14との間の閉鎖部32が改良された遠心機ロータ10を提供する、ということが、述べられた情報から明らかになっている。特に、閉鎖部32は、片手のみを使用して閉鎖され、再び切り離され得る。これは、閉鎖部32がより単純な構造を有し、また、よりコスト効率よく生産され得ることを意味する。
【0060】
特に明記しない限り、本発明の特徴はすべて、互いに自由に組合され得る。特に明記しない限り、図面の説明に記載された特徴も、この発明の特徴としての残りの特徴と自由に組合され得る。装置の請求される特徴も、方法の一部としての方法特徴に言い換えることができ、方法特徴も、遠心機ロータの一部としての遠心機ロータの特徴に言い換えることができる。この発明に従った遠心機ロータを使用する遠心分離方法はしたがって、保護されるよう明らかに意図される。
【符号の説明】
【0061】
参照符号のリスト
10 この発明に従った遠心機ロータの第1の好ましい構成
12 下方部品
14 カバー
16 試料容器を受けるための穴または区画
18 ハブ
20 ハブ18における穴
22 担持ハンドル
23 担持ハンドル22を把持するためのアンダーカット、第2のアンダーカット
24 作動レバー
25 作動レバー24を把持するためのアンダーカット
26 試料空間
28 下方部品12とカバー14との間の外部シール
30 下方部品12とカバー14との間の内部シール
32 下方部品12とカバー14との間の閉鎖部
34 下方部品12におけるアンダーカット、周方向溝、第1のアンダーカット
36 作動レバー24の突起
38 ベアリングシャフト、ボルト38
40 止まり穴
42 貫通穴
44 カバー14におけるくぼみ
46 復座ばね、成形ばね
48 作動レバー24の射出成形部品
50 作動レバー24における空隙
52 作動レバー24における貫通穴
54 ばね46の一方端
56 ばね46のための作動レバー24におけるくぼみ
58 ばね46の他方端
60 突起
62 突起36の第1の面取り部、閉鎖補助部
64 突起36の第2の面取り部
66、68 レバー24の内面
70 下方部品12上の第1の面取り部、閉鎖補助部
72 下方部品12上の第2の面取り部
74 下方部品12上の突起
D 回転軸D
L 切り離し方向
M 質量中心
S 閉鎖方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8