IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北京市春立正達医療器械股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7225268骨小柱構造、それを用いたプロテーゼ及びその製造方法
<>
  • 特許-骨小柱構造、それを用いたプロテーゼ及びその製造方法 図1
  • 特許-骨小柱構造、それを用いたプロテーゼ及びその製造方法 図2
  • 特許-骨小柱構造、それを用いたプロテーゼ及びその製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】骨小柱構造、それを用いたプロテーゼ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20230213BHJP
【FI】
A61F2/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020568458
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2019119619
(87)【国際公開番号】W WO2020114253
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】201811475455.3
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520476938
【氏名又は名称】北京市春立正達医療器械股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING CHUNLIZHENGDA MEDICAL INSTRUMENTS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】史 春宝
(72)【発明者】
【氏名】許 奎雪
(72)【発明者】
【氏名】盧 小強
(72)【発明者】
【氏名】解 鳳宝
(72)【発明者】
【氏名】王 振国
(72)【発明者】
【氏名】董 沢宇
(72)【発明者】
【氏名】史 文超
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/062705(WO,A1)
【文献】特開2007-262568(JP,A)
【文献】国際公開第2010/044758(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0158417(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0025181(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106388976(CN,A)
【文献】米国特許第4693721(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0211533(US,A1)
【文献】特表2011-522578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨小柱構造であって、
立体多孔構造として構成された本体を備え、
前記立体多孔構造は、複数のストラットと、複数のストラットが千鳥状に接続されてなる複数の孔隙とを備え、
各前記孔隙は、互いに連通し、各前記孔隙の平均直径が異なり、
各前記孔隙の平均直径は、100μm~400μmの範囲であり、
前記立体多孔構造の孔隙率は、50%~80%の範囲であり、
各前記ストラットの外周壁には、複数の凸部が形成され、
前記立体多孔構造の外縁のストラットにおける凸部の密度は、前記立体多孔構造の内部のストラットにおける凸部の密度よりも大きく、
前記凸部は、断面の最大輪郭形状の幅が5~50μmの範囲であり、最大高さが10~50μmの範囲であることを特徴とする骨小柱構造。
【請求項2】
前記立体多孔構造は、同種の組織の異なる成長要件にそれぞれ適合し異なる孔隙率を有する複数の領域を備えることを特徴とする請求項1に記載の骨小柱構造。
【請求項3】
同一の領域において、前記立体多孔構造の外部から内部への方向における孔隙の密度は徐々に増加することを特徴とする請求項2に記載の骨小柱構造。
【請求項4】
前記ストラットの直径は、100μm~200μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の骨小柱構造。
【請求項5】
各前記孔隙の断面形状は、不規則な多角形であることを特徴とする請求項1に記載の骨小柱構造。
【請求項6】
前記立体多孔構造は、チタン合金材料で作られることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の骨小柱構造。
【請求項7】
前記立体多孔構造の弾性率は、5~30GPaの範囲であることを特徴とする請求項6に記載の骨小柱構造。
【請求項8】
前記立体多孔構造の外面の最大静摩擦係数は、1.2~1.5の範囲であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の骨小柱構造。
【請求項9】
プロテーゼであって、
プロテーゼ本体と、前記プロテーゼ本体の外面に形成された請求項1~8のいずれか1項に記載の骨小柱構造とを備えることを特徴とするプロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、Beijing Chunlizhengda Medical Instruments Co., Ltd.により2018年12月4日に出願された、発明の名称が「骨小柱構造及びそれを用いたプロテーゼ」である中国特許出願第201811475455.3号の優先権を主張し、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、医療用プロテーゼの技術分野に関し、具体的に、骨小柱構造、それを用いたプロテーゼ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
外科医療手術では、人体の肢体骨格部位における腫瘍、骨折後の偽関節、又は他の病理学的変化により、部分的な骨欠損又は外科的切除を発生する場合、人工プロテーゼで置き換える必要がある。プロテーゼ置換手術では、肢体骨格の生理学的機能を回復させるために、人工プロテーゼを骨組織に固定接続して一体に融合させる必要がある。
【0004】
現在、従来のプロテーゼでは、骨セメント固定型プロテーゼ及びチタン粉末末をコーティングとする生物固定型プロテーゼが多い。骨セメント固定型プロテーゼは、後の段階でプロテーゼが緩むリスクが高くなり、手術の失敗につながる可能性がある。一方、チタン粉末コーティングプロテーゼは、複雑な人体内の環境で金属材料の腐食を引き起こし、その結果、有毒元素が放出され、生体適合性が低下する。また、金属材料の弾性率は人体の骨組織とはかなり異なり、応力遮蔽効果を生じやすく、新しい骨の成長や再構築に不利であり、ひいては二次骨折を引き起こす。さらに、骨の損傷及び壊死により形成された骨欠損の修復は、機械的性能及び骨誘導性が不十分であるという問題が存在する。
【0005】
プロテーゼ移植後の骨の内殖効果を向上させるために、当分野では骨小柱(bone trabecular)構造が人工プロテーゼに適用されてきた。この骨小柱構造は、主に、骨の内殖を促進する複数の孔隙をプロテーゼに形成することにより移植後のプロテーゼの安定性を向上させるために使用される。しかしながら、従来の骨小柱構造における孔隙は通常、等しい直径で均一に分布し、人体の実際の構造のバイオニック特性を欠いている。移植後の実際の使用中に、人体の応力耐荷重特性が不均一であるため、そのうち一部の部位の構造強度が不十分であるものの、他の部位の構造強度が過剰に設計されるという現象がある。骨小柱の構造では骨格との結合面の最適な状態を欠いている場合、プロテーゼの初期安定性に直接影響し、さらに、骨格の成長にも影響を与え、プロテーゼの長期的で安定した使用に不利である。
【0006】
従来技術に存在する問題点に鑑み、当業者は、従来技術の問題点を解決するために、骨の内殖をさらに促進させ、手術後の回復効果を向上できる骨小柱構造を求めることが急務である。
【発明の概要】
【0007】
骨の内殖をさらに促進させ、手術後の患者の回復効果を向上させるために、本発明は、骨小柱構造、それを用いたプロテーゼ及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、骨小柱構造であって、立体多孔構造として構成された本体を備え、立体多孔構造は、複数のストラットと、複数のストラットが千鳥状に接続されてなる複数の孔隙とを備え、各孔隙は、互いに連通し、各孔隙の平均直径が異なり、ここで、各孔隙の平均直径は100μm~400μmの範囲であり、立体多孔構造の孔隙率は、50%~80%の範囲である骨小柱構造を提供する。
【0009】
さらに、立体多孔構造は、同種の組織の異なる成長要件にそれぞれ適合し異なる孔隙率を有する複数の領域を備える。
【0010】
さらに、同一の領域において、立体多孔構造の外部から内部への方向における孔隙の密度は徐々に増加する。
【0011】
さらに、ストラットの直径は、100μm~200μmの範囲である。
【0012】
さらに、各孔隙の断面形状は、不規則な多角形である。
【0013】
さらに、各ストラットの外周壁には、複数の凸部が形成されている。
【0014】
さらに、立体多孔構造は、チタン合金材料で作られる。
【0015】
さらに、立体多孔構造の弾性率は、5~30GPaの範囲である。
【0016】
さらに、立体多孔構造の外面の最大静摩擦係数は、1.2~1.5の範囲である。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、プロテーゼであって、プロテーゼ本体と、プロテーゼ本体の外面に形成された前記骨小柱構造とを備えるプロテーゼを提供する。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、骨小柱構造の製造方法であって、
自然の骨小柱構造をマイクロCTで三次元スキャンし、スキャンされたデータをMIMICSでリモデリングし、骨小柱構造の三次元概略モデルを取得することにより、骨小柱構造の基本構造モデルを予め取得するステップ(1)と、
骨小柱構造の三次元概略モデルにおける各ストラットの直径を100μm~200μmの範囲に調整するとともに、各ストラットによって形成された孔隙の直径を、各孔隙の平均直径が100μm~400μmの範囲になるように調整し、三次元概略モデルの孔隙率を50%~80%の範囲に調整するステップ(2)と、
骨小柱構造の三次元概略モデルを、同種の組織の異なる成長要件にそれぞれ適合した領域に分割し、異なる領域が異なる孔隙率を有するように、各領域の孔隙の直径をさらに調整することにより、異なる骨成長要件の下で骨小柱構造をより迅速かつ適応的に骨組織に成長させるステップ(3)と、
3D印刷装置で骨小柱構造のソリッドモデルを生成し、3D印刷装置のフォーカスオフセットパラメータを5.8mA~6.2mAの範囲において調整することにより、生成されたソリッドモデルにおけるストラットの表面に複数の凸起を形成するステップ(4)と、を含む骨小柱構造の製造方法を提供する。
【0019】
さらに、前記ステップ(3)で分割した各領域の孔隙率は互いに異なる。
【0020】
さらに、同一の領域において、立体多孔構造の外部から内部への方向における孔隙の密度は徐々に増加する。
【0021】
さらに、各前記孔隙の断面形状は、不規則な多角形である。
【0022】
さらに、各前記ストラットの外周壁には、複数の凸部が形成されている。
【0023】
さらに、前記ストラットと孔隙は、立体多孔構造を形成しており、前記立体多孔構造は、チタン合金材料で作られる。
【0024】
さらに、前記立体多孔構造の弾性率は、5~30GPaの範囲である。
【0025】
さらに、前記立体多孔構造の外面の最大静摩擦係数は、1.2~1.5の範囲である。
【0026】
本発明の骨小柱構造は、ストラットが千鳥状に接続されてなる各孔隙を互いに連通させ、かつ各孔隙の平均直径が異なるように構成するとともに、立体多孔構造の孔隙の平均直径及び孔隙率を設定することで、人体の骨小柱構造とより類似している構造を有するため、人体の骨質を立体多孔構造の孔隙内に迅速かつ自然に成長させることができる。このように、手術後に骨小柱構造と人体の骨組織との迅速な融合及び固定に寄与するため、手術後の患者の回復効果を効果的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、具体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。すべての図面では、同様の要素又は部品は通常、同様の参照記号で表記される。図面では、各要素または部品は必ずしも実際の縮尺で描かれているわけではない。
図1図1は、本発明による骨小柱構造の一部拡大斜視図である。
図2図2は、図1に示された骨小柱構造の正面断面概略図である。
図3図3は、本発明による骨小柱構造の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の技術的解決策に係る実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明の技術的解決策をより明確に説明するための例示に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0029】
図1は、本発明による骨小柱構造100の構造を示す。当該骨小柱構造100は、立体多孔構造1として構成された本体を備える。立体多孔構造1は、複数のストラット(strut)11と、複数のストラット11が千鳥状に接続されてなる複数の孔隙12とを備える。各孔隙12は、互いに連通し、各孔隙12の平均直径が異なる。ここで、各孔隙12の平均直径は100μm~400μmの範囲であり、立体多孔構造の孔隙率は50%~80%の範囲である。
【0030】
本発明の骨小柱構造100は、ストラット11が千鳥状に接続されてなる各孔隙12を互いに連通させ、かつ各孔隙12の平均直径が異なるように構成するとともに、立体多孔構造1の孔隙12の平均直径及び孔隙率の範囲を設定することで、骨小柱構造100は、人体の骨小柱構造とより類似している構造を有するため、人体の骨質を立体多孔構造1の孔隙12内に迅速かつ自然に成長させることができる。このように、手術後に骨小柱構造100と人体の骨組織との迅速な融合及び固定に寄与するため、手術後の患者の回復効果を効果的に向上することができる。
【0031】
1つの好ましい実施形態では、立体多孔構造1は、同種の組織の異なる成長要件にそれぞれ適合し異なる孔隙率を有する複数の領域を備えてもよい。つまり、立体多孔構造1の異なる領域では、骨成長の異なる要件に応じて、異なる領域の孔隙率を具体的に設定することができる。異なる領域の孔隙率は、対応する領域における各孔隙の平均直径を調整することにより設定できる。例えば、骨小柱構造100のある領域が骨と接触する必要がある場合、迅速な骨の内殖を実現するために、好ましくは、当該領域の孔隙の平均直径が200μm~400μmの範囲、より好ましくは300μm~400μmの範囲に設定されてもよく、この場合、当該領域の孔隙率が50%~60%の範囲に制御することができる。骨小柱構造100のある領域が骨と接触する必要はないが、骨クローリングを促進する必要がある場合、好ましくは、当該領域の孔隙の平均直径が100μm~200μmの範囲に設定されてもよく、この場合、当該領域の孔隙率が70%~75%の範囲に制御することができる。一方、骨小柱構造100のある領域が骨と接触する必要がなく、骨クローリングの必要もない場合、好ましくは、当該領域の孔隙の平均直径が100μm~150μmの範囲に設定されてもよく、この場合、当該領域の孔隙率が75%~80%の範囲に制御することができる。
【0032】
好ましくは、同一の領域において、立体多孔構造1の外部から内部への方向における孔隙12の密度を徐々に増加させることで、人体の骨の内殖中に、骨組織がよりスムーズに立体多孔構造1の外部から立体多孔構造1の内部の中心に迅速に成長することができ、骨小柱構造100と人体骨組織との融合及び固定を向上することができる。
【0033】
さらに好ましくは、立体多孔構造1の構造強度を確保するために、ストラット11の直径が100μm~200μmの範囲に設定されてもよい。好ましくは、ストラット11の直径が150μm~200μmの範囲に設定されてもよく、より好ましくは、ストラット11の直径が180μmである。
【0034】
図1に示すように、立体多孔構造1における各孔隙12の断面形状は不規則な多角形であり、その具体的な形状は略四面体又は六面体であってもよい。
【0035】
1つの好ましい実施形態では、各ストラット11の外周壁には、ストラット11の外周壁の粗さを増大させその外周壁の摩擦力を増大させるように構成された複数の凸部(図示せず)が形成されてもよい。このように、骨の内殖中に、骨組織とストラット11との固定がより強固で安定している。
【0036】
好ましくは、当該凸部は、円形の凸点であっても錐状の凸点であってもよい。なお、当該凸部の形状は、当該凸部がストラット11の外表面積を効果的に増加させその外周壁の摩擦力を増大させる目的を達成できる限り、上記の形状に限定されず、ここで詳細な説明を省略する。さらに、当該凸部は、断面の最大輪郭形状の幅が5~50μmの範囲であり、最大高さが10~50μmの範囲である。
【0037】
さらに好ましくは、凸部は、ストラット11の外面に沿って、均一に分布してもよく、離散的に分布してもよい。さらに好ましくは、骨小柱構造100では、骨の内殖をより強固にするために、孔隙率の比較的大きい領域のストラット11における凸部の数は、孔隙率の比較的小さい領域のストラット11における凸部の数よりも大きくなってもよい。さらに好ましくは、立体多孔構造1の外縁のストラット11における凸部の密度は、立体多孔構造1の内部のストラット11における凸部の密度よりも大きい。
【0038】
本発明によれば、立体多孔構造1は、チタン合金、純チタン、又はタンタル金属などであり得る金属粉末で作られてもよい。好ましくは、立体多孔構造1は、チタン合金材料で作られ、より好ましくはTi6Al4Vで作られる。
【0039】
本発明によれば、立体多孔構造1の弾性率は、5~30GPaの範囲である。このように設定された弾性率は、骨小柱構造100に良好な機械的特性、すなわち良好な耐圧性及び耐ねじれ性を与え、その結果、人体に移植された後の骨小柱構造100自身の使用安定性に有利である。
【0040】
さらに、立体多孔構造1の外面の最大静摩擦係数は、1.2~1.5の範囲である。このように設定することにより、骨小柱構造100の外面は、骨の内殖又は骨クローリングにさらに適した粗さを有するため、高骨の内殖の速度及び安定性をさらに向上することができる。同時に、本発明の立体多孔構造1では、従来の骨小柱構造と比較して、その外面が有する最大静摩擦力は従来技術の骨小柱構造の外面の最大静摩擦力よりもはるかに大きい。このように、本発明の骨小柱構造100が従来技術のものとは著しく異なるため、本発明の骨小柱構造100は、人体の骨の内殖及び骨クローリングにさらに適合した条件を具備するようになる。試験によると、同じ試験条件において、本発明の骨梁構造100の単位圧力下での最大静摩擦係数は1.35であるが、従来技術の骨小柱構造100の単位圧力下での最大静摩擦係数はわずか1.08であることを証明した。
【0041】
また、本発明は、プロテーゼ(図示せず)をさらに提供する。当該プロテーゼは、プロテーゼ本体と、プロテーゼ本体の外面に形成された上記骨小柱構造100とを備える。本発明の骨小柱構造100は、人体の骨小柱構造とより類似している構造を有するため、人体の骨質を立体多孔構造1の孔隙12内に迅速かつ自然に成長させることができる。このように、手術後のプロテーゼと人体骨組織との迅速な融合及び固定に寄与するため、手術後の患者の回復効果を効果的に向上することができる。
【0042】
図3は、本発明による骨小柱構造の製造方法のフローチャートを示す。図3に示すように、当該骨小柱構造の製造方法は、以下のステップ(1)~(4)を含む。
【0043】
ステップ(1)では、自然の骨小柱構造をマイクロCTで三次元スキャンし、スキャンされたデータをMIMICSでリモデリングし、骨小柱構造の三次元概略モデルを取得する。このステップは、骨小柱構造の基本構造モデルを予め取得するために用いられる。
【0044】
ステップ(2)では、骨小柱構造の三次元概略モデルにおける各ストラット11の直径を100μm~200μmの範囲に調整するとともに、各ストラット11によって形成された孔隙12の直径を、各孔隙12の平均直径が100μm~400μmの範囲になるように調整し、三次元概略モデルの孔隙率を50%~80%の範囲に調整する。
【0045】
ステップ(3)では、骨小柱構造の三次元概略モデルを、同種の組織の異なる成長要件にそれぞれ適合した領域に分割し、異なる領域が異なる孔隙率を有するように、各領域の孔隙12の直径をさらに調整することにより、異なる骨成長要件の下で骨小柱構造をより迅速かつ適応的に骨組織に成長させる。
【0046】
ステップ(4)では、3D印刷装置で骨小柱構造100のソリッドモデルを生成し、3D印刷装置のフォーカスオフセットパラメータを5.8mA~6.2mAの範囲において調整することにより、生成されたソリッドモデルにおけるストラット11の表面に複数の凸起を形成する。
【0047】
試験によると、本発明の骨小柱構造100は、良好な初期安定性及び良好な骨の内殖性能を有し、骨の成長深さが60%~80%に達することができ、本発明の骨小柱構造100を用いたプロテーゼは、移植後に非常に安定した効果を有し、手術後の患者の回復時間を効果的に短縮し、手術後の患者の回復効果を向上させることを証明した。
【0048】
なお、特に明記しない限り、本出願で使用される技術用語又は科学用語は、当業者によって理解される共通の意味を有することに留意されたい。
【0049】
なお、上記の各実施形態は、本発明の技術的解決策を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定されるものではない。上記の各実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、上記の各実施形態に記載された技術的解決策について修正、その技術的特征の一部又はすべての均等交換を行うことができると理解されるべきである。これらの修正又は交換は、対応する技術的解決策の本質を本出願の各実施形態の技術的解決策の範囲から逸脱させるものではなく、本発明の特許請求の範囲及び明細書の範囲に含まれるものとする。特に、構造的な矛盾がない限り、各実施形態で言及された各技術的特徴は、任意の方法で組み合わせることができる。本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に含まれるすべての技術的解決策を包含する。
図1
図2
図3