(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】キラル2-[(ヘテロ)アリールアルキルスルファニル]ピリミジンの立体選択的調製のための方法およびそれから得られる生成物
(51)【国際特許分類】
C07D 239/56 20060101AFI20230213BHJP
C07D 513/04 20060101ALI20230213BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230213BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
C07D239/56 CSP
C07D513/04 351
A61K31/519
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021514480
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2019062530
(87)【国際公開番号】W WO2019219771
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-10
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520447053
【氏名又は名称】カンセラ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン ボーグバリ
(72)【発明者】
【氏名】ステュルビョルン ビューストレーム
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-538099(JP,A)
【文献】特表2002-522544(JP,A)
【文献】特開2015-231988(JP,A)
【文献】特開2013-010750(JP,A)
【文献】特表平11-507017(JP,A)
【文献】特表2008-535835(JP,A)
【文献】KARLSTROM, Sofia et al.,Substituted 7-Amino-5-thio-thiazolo[4,5-d]pyrimidines as Potent and Selective Antagonists of the Fractalkine Receptor(CX3CR1),Journal of Medicinal Chemistry,2013年,vol.56, no.8,pp.3177-3190
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 239/56
C07D 513/04
A61K 31/519
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
(式中、
R
1は、ハロ、-CN、-C(O)NR
3R
4、-S(O)
2R
5、C
1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニルから選択され、後者の3つの基は1つ以上のFによって任意に置換された、1つ以上の基で任意に置換されたアリールまたはピリジルを表し、
R
2は、1つ以上のFによって任意に置換されたC
1~6アルキルを表し、
R
3およびR
4は、各々独立して、Hまたは1つ以上のFによって任意に置換されたC
1~6アルキルを表し、
R
5は、1つ以上のFによって任意に置換されたC
1~6アルキルを表す)
の化合物またはその塩を調製するための方法であって、前記方法が、
(i)式II:
【化2】
(式中、R
1およびR
2は、式Iの化合物について定義された通りであり、R
6は、1つ以上のFによって任意に置換されたC
1~6アルキル、またはハロ、メチルおよび-NO
2から選択される1つ以上の基によって任意に置換されたフェニルを表す)
の化合物を形成するステップであって、式III:
【化3】
(式中、R
1およびR
2は、式IまたはIIの化合物について定義された通りである)
の化合物を、スルホン化剤と、塩基B
1および溶媒S
1の存在下で反応させることによって、形成するステップと、その後、
(ii)前記式II化合物を、式IV:
【化4】
(式中、M
+は、Li
+、Na
+、K
+またはCs
+を表す)
の化合物と反応させるステップと、
を含み、前記式IIIの化合物が、単一のエナンチオマーとして提供され、前記スルホン化剤がスルホン酸無水物またはハロゲン化スルホニルであり、前記塩基B
1が有機アミン塩基であり、前記溶媒S
1が、B
1と前記スルホン化剤の脱離基との間に形成された塩が不溶性である溶媒である、方法。
【請求項2】
前記式IIの化合物が、それがステップ(ii)で使用される前に、ステップ(i)からの反応混合物から単離されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(ii)が、前記溶媒S
1中の式IIの化合物の溶液を、溶媒S
2中の式IVの化合物の溶液と、会合させることを含み、前記溶媒S
2が極性非プロトン性溶媒である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(iii)式V:
【化5】
の化合物を塩基B
2と、前記溶媒S
2の存在下で反応させることにより、式IVの化合物を調製するステップをさらに含み、塩基B
2が、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化セシウムおよび炭酸セシウムからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記式IVの化合物の溶液が、任意に、1つ以上の精製ステップの後に、ステップ(iii)から得られる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
S
1が、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフランおよび2-メチルテトラヒドロフランからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
S
1が、メチルtert-ブチルエーテルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
B
1が、トリエチルアミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
R
1が、ハロ、-CN、-SO
2Me、または-CONH
2から選択される1つ以上の基で任意に置換されたアリールまたはピリジルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
R
1が、フェニルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
R
2が、C
1~3アルキルを表す、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
R
2が、メチルを表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(ib)B
1と前記スルホン化剤の前記脱離基との間に形成された前記塩を、ステップ(i)から得られたS
1中の前記式IIの化合物の溶液から除去するステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
(iv)ステップ(ii)から得られた粗製物質を溶媒S
4で処理して、前記式Iの化合物の沈殿を引き起こすステップをさらに含み、前記溶媒S
4がアセトニトリルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記スルホン化剤が、塩化メシルまたは塩化トシルである、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
式Ia:
【化6】
(式中、
R
1は、ハロ、-CN、-C(O)NR
3R
4、-S(O)
2R
5、
C1~6アルキル、C
2~6アルケニル、C
2~6アルキニルから選択され、後者の3つの基は1つ以上のFによって任意に置換された、1つ以上の基で任意に置換されたアリールまたはピリジルを表し、
R
2は、1つ以上のFによって任意に置換されたC
1~6アルキルを表す)
の化合物、またはその塩を調製するための方法である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記式Iaの化合物が、6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オール
【化7】
、またはその塩である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記式IまたはIaの化合物が、96%を超えるキラル純度(chiral purity)を有する、請求項1、16および17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
99.1%を超えるキラル純度を有する、化合物6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オール、またはその塩。
【請求項20】
式VII:
【化8】
(式中、
R
1は、ハロ、-CN、-C(O)NR3R4、-S(O)2R5、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニルから選択され、後者の3つの基は1つ以上のFによって任意に置換された、1つ以上の基で任意に置換されたアリールまたはピリジルを表し、
R
2は、1つ以上のFによって任意に置換されたC1~6アルキルを表す)
の化合物、またはその塩を調製するための方法であって、前記方法は、請求項1~15のいずれか1項で定義された方法を含む、方法。
【請求項21】
前記方法が、2-[(2-アミノ-5-[(1-フェニルエチル)チオ][1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール
【化9】
、またはその塩の調製のためのものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール
【化10】
、またはその塩の調製のための方法である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オールが、99.2%を超えるキラル純度を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
化合物またはその塩を含む医薬製剤を調製するための方法であって、請求項1~17のいずれか1項に定義された方法を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いキラル純度(chiral purity)を有する化合物を得るための新しい合成法に関する。具体的には、それはキラルピリミジンの製造方法および薬学的に活性な化合物の調製における中間体としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは考察は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0003】
7-アミノ-5-チオ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジンは、フラクタルカイン受容体のアンタゴニストであることが知られている(Karlstrom et al.J.Med.Chem.,2013,56,3177-3190)。これらの化合物の中で、キラルなα-アルキル分岐ベンジルチオエーテル基を含むものはかなり興味深い。特に、化合物(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オールは強力な拮抗薬であることが知られている。
【0004】
【0005】
分子の上部の立体中心は、ロイシノール(アミノ酸ロイシンに由来し、非常に高いエナンチオマー純度で利用可能)の所望のエナンチオマーを使用して設定することができる。しかし、第2の立体中心(*でマークされた)で十分なキラル純度を提供するスケーラブルな経路を提供することは、重要な課題であることが証明されている。
【0006】
公開されている実験室規模の経路(Karlstrometal et al.)では、このキラル中心の立体化学は、チオチアゾロピリミジン中間体と(R)-1-クロロエチルベンゼンとの反応による最終ステップで設定され、これにより、所望のR,S-ジアステレオマーに有利な9:1の比率のジアステレオマーが得られる。次に、キラルHPLCによる精製により、99.7%のキラル純度を有する所望の化合物が得られた。しかし、医薬品有効成分の製造に必要な規模でキラルHPLCを実行することは現実的ではない。
【0007】
6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オールへの基本経路は、WO2006/107258に公開されている。
【0008】
ただし、既知の方法をスケールアップすると、キラル純度の低い材料が得られる可能性がある。より純粋な材料は、例えば連続的な再結晶化ステップによって限界まで調製され得るが、そのような精製ステップは方法の収率を大幅に低下させ、化学製品製造方法においても非常に望ましくない。
【発明の概要】
【0009】
驚くべきことに、6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オールなどの(ヘテロ)アリールアルキルスルファニルピリミジンが、慎重に選択された反応条件下で対応する(ヘテロ)アリールアルキルスルホネートエステルを調製し、その後この種と必要なピリミジンチオレートアニオンとの反応によって、追加の再結晶ステップの必要なく、高収率で、かつ優れたキラル純度で得ることができることを見出した。
【0010】
この方法は、非常に高いキラル純度で(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オールなどの薬学的に興味深い化合物の生成を可能にする合成中間体へのシンプルでスケーラブルな経路を提供する。
【0011】
新しい方法
本発明の第1の態様では、式Iの化合物、
【0012】
【0013】
またはその塩(式中、
R1は、ハロ、-CN、-C(O)NR3R4
、-S(O)2R5、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニルから選択され、後者の3つの基は任意に1つ以上のFによって置換された、1つ以上の基で置換されたアリールまたはピリジルを表し、
R2は、1つ以上のFによって任意に置換されたC1~6アルキルを表し、
R3およびR4は、各々独立して、Hまたは1つ以上のFによって任意に置換されたC1~6アルキルを表し、
R5は、1つ以上のFによって任意に置換されたC1~6アルキルを表す)を調製するための方法であって、方法が、式IIの化合物
【0014】
【0015】
(式中、R1およびR2は、式Iの化合物について定義された通りであり、R6は、1つ以上のFによって任意に置換されたC1~6アルキル、またはハロ、メチルおよび-NO2から選択される1つ以上の基によって任意に置換されたフェニルを表す)を形成するステップであって、式IIIの化合物
【0016】
【0017】
(式中、R1およびR2は、式IまたはIIの化合物について定義された通りである)を、好適なスルホン化剤と、好適な塩基のB1およびB1とスルホン化剤の脱離基との間に形成される塩が不溶性である好適な溶媒(S1)の存在下で、反応させることによって、形成するステップと、その後、式IIの化合物を、式IVの化合物
【0018】
【0019】
(式中、M+は、Li+、Na+、K+またはCs+を表す)と反応させるステップと、を含み、式IIIの化合物が、単一のエナンチオマーとして提供される、方法を提供し、この方法は、本明細書では「本発明の方法」と呼ばれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例1に記載の方法に従って得られた生成物のキラルHPLCトレースを示す。
【
図2】実施例2に記載の方法に従って得られた生成物のキラルHPLCトレースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
他に示さない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって理解される一般的な意味を有する。
【0022】
本明細書に記載の方法によって生成される化合物の塩(すなわち、本明細書で定義される式I、Iaおよび他の化合物)には、酸および塩基付加塩が含まれる。このような塩は、慣用的手段により、例えば、本発明の化合物の遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸とを、任意の溶媒中で、または塩が不溶性である媒体中で反応させ、次いで、標準的技法を使用して(例えば、真空中、凍結乾燥またはろ過によって)、溶媒または媒体を除去することにより、形成されてもよい。塩はまた、例えば好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによってなどの、当業者に知られている技術を使用して、調製されてもよい。
【0023】
言及され得る特定の酸付加塩には、対応する酸との反応によって形成されるものが含まれ、したがって本発明の化合物をプロトン化して形成される、カルボン酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオル酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、洒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、桂皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩またはテレフタル酸塩)、ハロゲン化水素塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩(hyrdrobromide)またはヨウ化水素酸塩)、スルホン酸塩(例えば、ベンゼンスルホン酸塩、メチル-、ブロモ-、またはクロロ-ベンゼンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、1-または2-ナフタレンスルホン酸塩、または1、5-ナフタレンジスルホン酸塩)、または硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、または硝酸塩など、が含まれる。
【0024】
言及され得る特定の塩基付加塩には、対応する塩基との反応によって形成され、したがって、本発明の化合物からプロトンを除去して、アルカリ金属(Na塩およびK塩など)、アルカリ土類金属(Mg塩およびCa塩など)、有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびリジンなど)ならびに無機塩基(例えば、アンモニアおよび水酸化アルミニウム)、と形成される塩が含まれる。より具体的には、言及され得る塩基付加塩には、Mg塩、Ca塩が含まれ、また最も具体的には、K塩およびNa塩が含まれる。
【0025】
言及され得るより特定の塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩が含まれる。
【0026】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC1~zアルキル基(ここで、zは範囲の上限である)は、直鎖であり得るか、あるいは十分な数(すなわち、必要に応じて最小2もしくは3個)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状および/または環状であり得る(したがって、C3~zシクロアルキル基を形成する)。十分な数(すなわち最小4個)の炭素原子が存在するとき、そのような基はまた、部分環状であってもよい(したがって、C4~z部分シクロアルキル基を形成する)。例えば、言及され得るシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。同様に、言及され得る部分環状アルキル基(「部分シクロアルキル」基とも呼ばれ得る)には、シクロプロピルメチルが含まれる。十分な数の炭素原子が存在する場合、このような基は、多環式(例えば、二環式もしくは三環式)またはスピロ環式であってもよい。誤解を避けるために、言及され得る特定のアルキル基には、直鎖(すなわち、分岐および/または環状ではない)アルキル基が含まれる。
【0027】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC2~zアルケニル基(ここで、zは範囲の上限である)は、直鎖であり得るか、または十分な数(すなわち、必要に応じて最小3個)の炭素原子が存在するとき、分岐鎖状および/もしくは環状であり得る(したがって、C4~zシクロアルケニル基を形成する)。十分な数(すなわち最小5個)の炭素原子が存在するとき、そのような基はまた、部分環状であり得る。例えば、言及され得る部分環状アルケニル基(「部分シクロアルケニル」基とも呼ばれ得る)には、シクロペンテニルメチルおよびシクロヘキセニルメチルが含まれる。十分な数の炭素原子が存在する場合、このような基は、多環式(例えば、二環式もしくは三環式)またはスピロ環式であってもよい。誤解を避けるために、言及され得る特定のアルケニル基には、直鎖(すなわち、分岐および/または環状ではない)アルケニル基が含まれる。
【0028】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC2~zアルキニル基(ここで、zは範囲の上限である)は、直鎖であり得るか、または十分な数(すなわち、最小4)の炭素原子が存在するとき、分岐鎖状であり得る。誤解を避けるために、言及され得る特定のアルキニル基には、直鎖(すなわち、分岐および/または環状ではない)アルキニル基が含まれる。
【0029】
誤解を避けるために、特に明記しない限り、本明細書で「アルキル」、「アルケニル」および/または「アルキニル」と呼ばれる基は、そのような基に存在する結合における最高度の不飽和を指すと解釈される。例えば、炭素-炭素二重結合を有する基と、同じ基において、炭素-炭素三重結合を有するそのような基は、「アルキニル」と呼ばれる。あるいは、そのような基は、指定された不飽和度のみを含むことが特に指定され得る(すなわち、必要に応じて、その中の1つ以上の結合において;例えば、その中の1つの結合において)。
【0030】
当業者は、本発明の方法から得られる式Iの化合物に存在する置換基が、反応する式IIの化合物に存在する置換基に依存し、それに応じて適切な出発物質を選択することができることを理解する。
【0031】
式I、II、およびIIIの化合物は、不斉炭素原子(*)を含むため、2つのエナンチオマー形態で存在する。
【0032】
【0033】
このキラル中心の立体化学は、くさび結合またはハッシュ結合を使用して、紙の平面の外側または平面に面している基を示すという慣習に従って定義することができる。そのような結合が使用される場合、式Iの化合物の特定の単一のエナンチオマーを示すことが理解され得る。
【0034】
本明細書に記載されるように、本発明の方法は、高いキラル純度を有する式Iの化合物(すなわち、単一のエナンチオマー)を生成する。したがって、キラル中心の立体化学が定義されていない場合(すなわち、キラル中心に結合しているすべての基が平坦な結合によってそれに接続されている場合)、特に明記しない限り、いずれかのエナンチオマーが純粋な形で存在し得ることを示すと理解され得る。
【0035】
特に明記しない限り、本明細書における単一のエナンチオマー(および同様に純粋な形態で存在するエナンチオマーなど)への言及は、少なくとも約90%のエナンチオマー純度(すなわち、少なくとも約80%のエナンチオマー過剰率(e.e))、例えば、少なくとも約95%、例えば、少なくとも約97%のエナンチオマー純度(例えば、少なくとも約99%(約98%e.e))を示すと理解され得る。より具体的には、単一のエナンチオマーは、少なくとも約99.5%のエナンチオマー純度、例えば少なくとも約99.7%(99.4%e.e)を有し得る。
【0036】
前の2つの段落は、2以上のキラル中心を含む化合物の関連するキラル中心でのエピマー純度と同様に適用される。
【0037】
特定の値(量など)に関して本明細書で使用する場合、「約」との用語(または「およそ」などの同様の用語)は、そのような値が定義された値の最大10%(特に、最大5%、例えば、最大1%)変動し得ることを示すと理解される。各場合において、そのような用語は、表記「±10%」などと(または関連する値に基づいて計算された特定量の変動を示すことによって)置き換えてもよいことが企図される。各場合において、そのような用語は削除してもよいこともまた企図される。
【0038】
特定の実施形態において、式IIの化合物は、それがステップ(ii)で使用される前に、ステップ(i)からの反応混合物から単離されない。
【0039】
当業者は、反応混合物から単離されていない化合物(例えば、ステップ(ii)で使用される前にステップ(i)からの反応混合物から単離されていない式IIの化合物)への言及は、次の反応ステップで使用する前に、関連する化合物を純粋な形で取得する試みが行われないことを示すことを理解するであろう。しかしながら、必要に応じて、特定の精製ステップおよび/または他の操作、例えば、水系ワークアップ(aqueous work up)、反応混合物の濃縮または希釈、および/または不溶性副生成物を除去するための反応混合物のろ過を実施することができる。特に、この句は、関連する化合物(例えば、式IIの化合物)が、前の合成ステップの反応溶媒中の溶液の形態で次の反応ステップに導入されることを示すと理解され得る。
【0040】
本発明の方法のステップ(ii)は、キラル中心での立体化学の反転で起こる。当業者は、これを、出発物質(すなわち、式II(またはIII)の化合物)と比較した場合、キラル中心の相対的立体化学が生成物(すなわち、式Iの化合物)において反転することを意味すると理解するであろう。絶対立体化学を割り当てるためのCahn-Ingold-Prelog規則に従った置換基の優先順位は、ステップ(ii)の間変化しないため、式Iの化合物の絶対立体化学も式II(またはIII)の化合物の絶対立体化学と反対になる。
【0041】
理論に束縛されることを望まないが、ステップ(ii)は、二分子求核置換(SN2)反応を介して起こると考えられている。当業者が理解するように、この反応は立体特異的であり、このメカニズムは、脱離基(ステップ(ii)での-OS(O)2R6)が求核試薬(ステップ(ii)での式IVの化合物中のアニオン種)に置き換わるときに、キラル中心の立体化学の反転が発生する必要がある。
【0042】
特定の実施形態では、本発明の方法のステップ(i)は、反応混合物(B1)中に存在する塩基とスルホン化剤の脱離基との間に形成される塩が不溶性である溶媒(S1)中で実施される。
【0043】
例えば、スルホン化(または具体的にはメシル化)剤として塩化メシル(メタンスルホニルクロリド)を使用し、塩基(B1)としてトリエチルアミンを使用してステップ(i)を実施すると、反応混合物中、塩であるトリエチルアミン塩酸塩が副産物として形成され、この塩が不溶性である溶媒をS1として選択する。
【0044】
本明細書で使用される場合、不溶性であるという用語は、特定の化学物質(例えば、塩、イオンまたは中性化合物)が室温で関連する溶媒に実質的に溶解しないことを意味すると理解され得る。例えば、物質の総量の約10%未満、例えば、約5%未満(例えば、約2%未満)が溶液中に存在する。
【0045】
本明細書で使用される場合、脱離基という用語は、反応が起こる前に関連するスルホン化剤上に存在し、式IIの化合物の酸素原子への結合によって置き換えられる基を意味すると理解され得る。
【0046】
理論に束縛されることを望まないが、B1とスルホン化剤の脱離基との間に形成される塩が不溶性である溶媒をS1として選択することは、溶液中のスルホン化剤(塩化物)の脱離基の遊離アニオンの量が減少するため、式Iの化合物で観察される高いエナンチオマー純度に寄与し得ると考えられる。塩化物などのアニオンが反応混合物に存在する場合、それは望ましくない求核置換方法に関与し、立体化学の多数の反転による立体化学純度の低下につながる可能性がある。
【0047】
本発明の方法の特定の実施形態では、ステップ(ii)は、溶媒S1(すなわち、式IIの化合物が形成されている反応溶媒)中の式IIの化合物の溶液を好適な溶媒S2中の式IVの化合物の溶液と会合させることを含む。より特定の実施形態では、S2は、式IVの化合物が形成される溶媒である。
【0048】
本明細書で使用される場合、溶液を会合させることへの言及は、溶液が同じ反応容器内で一緒に混合されることを示すと理解され得る。そのような混合は、一方の溶液を他方に添加することに関与し得、そして添加は、短期間(例えば、一方の溶液が他方に注がれ得る)にわたって行われ得、または添加は、より長期間(例えば、一方の溶液を他方の溶液に滴下することができる)にわたって起こるように制御され得る。
【0049】
滴下への言及は、長期間にわたる溶液または液体試薬の漸進的な制御された添加を意味すると理解され得る。当業者は、所与の実験設定および一連の反応条件に好適な添加速度を決定することができるであろう。
【0050】
特定の実施形態では、方法が、(iii)式Vの化合物
【0051】
【0052】
を好適な塩基B2と、好適な溶媒S2の存在下で反応させることにより、式IVの化合物を調製するステップをさらに含む。
【0053】
そのような場合、式IVの化合物は、それがステップ(ii)で使用される前に、ステップ(iii)の反応混合物から単離されなくてもよい。そのような実施形態では、式IVの化合物の溶液は、任意で1つ以上の精製ステップの後に、ステップ(iii)から得られる。
【0054】
より特定の実施形態において、S1中の式IIの化合物の溶液は、S2中の式IVの化合物の溶液に添加される。より具体的には、式IIの化合物の溶液は滴下される。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、ステップ(i)および(iii)は同時に実行される(すなわち、反応は並行して実行される)。
【0056】
特定の実施形態では、ステップ(ii)は、ほぼ室温で実行される。本明細書で使用される場合、「室温」は、部屋の周囲温度を示すと理解され得、これは、一般に、約15℃~約25℃、例えば、約20℃~約25℃(例えば、約25℃)である。
【0057】
上記のように、S1は、B1とスルホン化剤の脱離基との間に形成される塩が不溶性である溶媒であり得る。
【0058】
S1に好適な溶媒には、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテルが含まれる。特定の実施形態では、S1は、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフランである。好ましい実施形態では、溶媒は、メチルtert-ブチルエーテルである。
【0059】
特定の実施形態では、B1は有機アミン塩基である。好適な塩基の例には、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、N-メチルピペリジンおよびピロリジンが含まれる。より具体的な塩基には、トリエチルアミンおよびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(例えば、トリエチルアミン)が含まれる。
【0060】
特定の実施形態では、ステップ(i)は、約-10℃~約20℃、例えば、約-5℃~約10℃(例えば、約0℃)の温度で実施される。ステップ(i)は、氷浴を使用して冷却しながら実施することができる。そのような場合、反応混合物は約0℃±約5℃まで冷却されることが理解される。
【0061】
特定の実施形態では、S2は極性非プロトン性溶媒である。好適な溶媒の例には、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドおよびN-メチル-2-ピロリドンが含まれる。より特定の実施形態では、溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0062】
B2はI族の金属(すなわちアルカリ金属)塩である。特定の実施形態では、B2は、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化セシウム、および炭酸セシウムからなる群から選択される。より特定の実施形態では、B2は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化セシウムから選択される。さらにより特定の実施形態では、B2は水酸化ナトリウムである。
【0063】
特定の実施形態では、ステップ(iii)は、約40℃~約80℃、例えば、約50℃~約75℃、例えば、約55℃~約70℃(例えば、約65℃)の温度で実施される。
【0064】
特定の実施形態において、R1は、ハロ(例えば、ブロモ、クロロまたはフルオロ(例えば、クロロまたはフルオロ)、-CN、-SO2Me、または-CONH2)から選択される1つ以上の基で任意に置換されたアリール(例えば、フェニル)またはピリジルを表す。より特定の実施形態において、R1はフェニル(すなわち、非置換の)を表す。
【0065】
特定の実施形態では、R2は、C1~6アルキル(すなわち、非置換の)を表す。より特定の実施形態では、R2は、1つ以上のFによって任意に置換された(すなわち、非置換の)C1~3アルキルを表す。さらにより特定の実施形態では、R2は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、または特にメチルを表す。
【0066】
特定の実施形態では、R3およびR4は、各々独立して、HまたはC1~6アルキル(すなわち、非置換の)を表す。より特定の実施形態では、R3およびR4は、各々独立して、1つ以上のFによって任意に置換された(すなわち、非置換の)C1~3アルキルを表す。さらにより特定の実施形態では、R3およびR4は、各々独立して、H、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルまたはメチルを表す。さらに特定の実施形態では、R3およびR4は、両方ともHを表す。
【0067】
特定の実施形態では、R5は、C1~6アルキル(すなわち、非置換の)を表す。より特定の実施形態では、R5は、1つ以上のFによって任意に置換された(すなわち、非置換の)C1~3アルキルを表す。さらにより特定の実施形態では、R5は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、または特にメチルを表す。
【0068】
特定の実施形態において、R6は、1つ以上のFによって任意に置換されたC1~4アルキル、またはF、Cl、Br、メチルおよび-NO2から選択される1つ以上の基によって任意に置換されたフェニルを表す。より特定の実施形態では、R6は、メチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ノナフルオロブチル(CF3CF2CF2CF2-)、p-トリル、p-ニトロフェニルまたはp-ブロモフェニルを表す。より特定の実施形態では、R6は、メチルを表す。
【0069】
本明細書で使用する場合、スルホン化剤は、式IIIの化合物との反応でスルホン酸エステル(RSO3R’)を形成する試薬を示すと理解することができる。このようなスルホン酸エステルは、スルホン化剤の硫黄原子に結合した脱離基(例えば、塩化物)が式IIIの化合物の酸素原子によって置換されることによって形成される。
【0070】
好適なスルホン化剤には、スルホン酸無水物、特にハロゲン化スルホニル(例えば、塩化スルホニル)が含まれる。言及され得る特定のスルホン化剤には、メタンスルホン酸無水物(メシル酸無水物)、メタンスルホニルクロリド(塩化メシル)、トリフルオロメタンスルホニルクロリド(トリフリルクロリド)、トリフルオロメチルスルホン酸無水物(トリフリン酸無水物)、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニルクロリド(トレシルクロリド)、パーフルオロ-1-ブタンスルホニルフルオリド、パーフルオロ-1-ブタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド(塩化トシル)、p-トルエンスルホン酸無水物(トシル酸無水物)、p-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(ノシルクロリド)および4-ブロモベンゼンスルホニルクロリド(ブロシルクロリド)が含まれる。言及され得るより具体的なスルホン化剤には、メタンスルホン酸無水物(メシル酸無水物)、メタンスルホニルクロリド(塩化メシル)、p-トルエンスルホニルクロリド(塩化トシル)およびp-トルエンスルホン酸無水物(トシル酸無水物)が含まれる。特定の実施形態では、スルホン化剤は、メタンスルホニルクロリド(塩化メシル)である。
【0071】
他の方法のステップ
特定の実施形態では、本発明の方法は、必要に応じて、ステップ(i)~(iii)の間、最中、または後に実行することができる追加の方法のステップを含む。
【0072】
特定の実施形態では、方法が、
(ib)B1とスルホン化剤の脱離基との間に形成されたその塩、または塩を、ステップ(i)から得られたS1中の式IIの化合物の溶液から除去する(例えば、ろ過によって)ステップをさらに含む。
【0073】
当業者は、ステップ(i)の反応が完了した後、ステップ(ii)の開始前にステップ(ib)が実行されることを理解するであろう。
【0074】
理論に拘束されることを望まないが、ステップ(ib)は、スルホン化剤(塩化物)の脱離基から形成されたアニオンが、ステップ(ii)の間に競合する求核置換方法に関与する(例えば、関与して式IIの化合物の対応する塩化ベンジルを形成する)ことであってこれは式Iの化合物のラセミ化を引き起こす可能性がある(立体化学の繰り返しの反転による)、関与することを防ぐという利点を与えると考えられている。
【0075】
より特定の実施形態では、方法は、
(ic)ステップ(ii)の前に、S1中の式IIの化合物の溶液の体積を減少させるステップをさらに含む。
【0076】
当業者は、溶液の体積を減少させることへの言及は、溶媒の一部分を除去することによって溶液を濃縮することを指すことを理解するであろう。これは、蒸留、特に回転蒸発などの標準的な実験技術によって達成することができる。
【0077】
この方法で溶液の体積を減少させることは、式IVの化合物がステップ(ii)の間に溶液中に留まることを確実にするという利点がある。ステップ(ii)の反応混合物中に高すぎる割合のS1が存在する場合、式IVの化合物が沈殿し始め得、それにより反応に関与することが不可能性になる。
【0078】
S1中の式IIの化合物の溶液の体積を減少させる必要がある程度は、当業者によって容易に決定され得、そしてステップ(i)が実行された濃度に依存するであろう。例えば、溶液の体積は、約30%、例えば、約50%、例えば、約60~70%減少させ得る(すなわち、溶液の体積は、元の体積の約3分の1に減少され得る)。
【0079】
ステップ(ii)の完了後、回転蒸発(または必要に応じて蒸留)による溶媒(すなわちS1とS2の混合物)の除去、水系ワークアップおよび/または未反応のメルカプトピリミジン種などの副産物の沈殿/ろ過などの、標準的な実験室での実践を使用して、粗生成物を得る。N,N-ジメチルホルムアミドなどの高沸点溶媒が存在する場合、反応溶媒の除去は、回転蒸発による反応混合物の濃縮、水系ワークアップ、および必要に応じて減圧下での蒸留などの多数の操作に関与し得る。
【0080】
特定の実施形態では、方法は、
(iib)回転蒸発による反応混合物を濃縮するステップ、
(iic)ステップ(iib)の後に得られた残留物を好適な溶媒(S3)に溶解して未反応のメルカプトピリミジン種(式IV/Vの化合物)の沈殿を引き起こし、懸濁液をろ過して沈殿物を除去するステップ、
(iid)ステップ(iic)から得られた沈殿物を、水または水溶液(例えば塩基性溶液(例えば飽和Na2CO3)とS3の混合物に溶解し、続いて水層と有機層を分離し、この有機層とステップ(iiic)からのろ液と合わせるステップ、
(iie)回転蒸留によって合わせた有機層を濃縮するステップ、および
(iif)必要に応じて、粗生成物を得るために減圧下での蒸留により残留溶媒を除去するステップ、のうちの1つ以上を含む。
【0081】
特定の実施形態では、S3は酢酸エチルである。
【0082】
特定の実施形態では、本発明の方法は、
(iiib)反応混合物中に形成されたジスルフィド(VI)を還元するために、ステップ(iii)の反応混合物を好適な還元剤で処理するステップをさらに含む。
【0083】
【0084】
(iiib)のステップで使用するのに好適な還元剤は、NaBH4、NaB(OAc)3H、NaB(CN)H3およびLiAlH4を含む。好ましい実施形態では、還元剤はNaBH4である。
【0085】
本発明の方法にステップ(iiib)を含めることにより、ジスルフィドを変換してチオール/チオレートに戻し、これはその後ステップ(ii)で反応することができる。
【0086】
特定の実施形態では、ステップ(iiib)は、室温付近で実施される。そのような実施形態では、ステップ(iii)からの反応混合物は、還元剤が反応に添加される前に、室温まで冷却することが可能である。
【0087】
特定の実施形態では、本発明の方法は、
(iv)ステップ(ii)から得られた粗物質を(例えば、ステップ(iib)~(iif)の1つ以上が実施された後)好適な溶媒S4で処理して、式Iの化合物の沈殿を引き起こすステップを含む。
【0088】
当業者が理解するように、ステップ(iv)はまた、好適な溶媒(S4)との粉砕によって粗生成物を精製することとして説明され得る。
【0089】
当業者は、粗物質への言及が、さらなる精製に好適な物質を得るために、例えば、溶媒および/または水溶性副産物を除去するため、反応混合物に対して標準的な有機化学操作(ステップ(iib)~(iif)に記載される操作など)が行われた後に得られる材料を指すことを理解するであろう。特に、粗物質は、反応溶媒および沈殿/ろ過および/または水系ワークアップによる除去に適している任意の副産物の除去後に得られる材料であると理解され得る。
【0090】
特定の実施形態では、S4はアセトニトリルである。
【0091】
本発明の方法にステップ(iv)を含めることにより、沈殿物が粗生成物と比較して主要なエナンチオマーで濃縮されているように見えるので、生成物のエナンチオマー純度をさらに高めることができる。
【0092】
言及され得る特定の実施形態では、方法は、以下のステップの組み合わせを含み、これらのステップは、本明細書で定義されている通りである:
I.ステップ(i)(スルホン化)および(iii)(チオレートアニオンの生成)、これらは同時に実行され、その後
II.ステップ(ib)(ステップ(i)中に形成された不溶性の塩を除去するためのろ過)および、任意でステップ(ic)(S1中の式IIの化合物の溶液の体積の減少)、および
III.任意でステップ(iiib)(ジスルフィドの還元)、
IV.ステップ(ib)(または含まれる場合はステップ(ic))の後に得られた溶液を、ステップ(iii)(または、含まれる場合は、ステップiiib)の後に得られた溶液に滴下することを含む、ステップ(ii)(式Iの化合物を生成するための求核置換)
V.ステップ(iv)(式Iの化合物の沈殿)。
【0093】
特定のエナンチオマー
上記のように、本発明の方法は、出発物質(式IIの化合物、そして最終的にはそれが由来する式IIIの化合物)のエナンチオマー純度に応じて、式Iの化合物の単一のエナンチオマーを生成する。
【0094】
したがって、この方法は、式IaまたはIbの化合物、またはそれらの塩
【0095】
【0096】
(式中、R1およびR2は、上記で定義された通りである)を製造するためのものである。
【0097】
ステップ(ii)中に立体化学の反転が起こるので、当業者は、式Iaの化合物が式IIaの化合物の反応によって生成され、式Ibの化合物が式IIbの化合物の反応によって生成されることを理解するであろう:
【0098】
【0099】
(式中、R1およびR2は、上記で定義された通りである)。
【0100】
化合物IIaおよびIIbは、対応する式IIIaおよびIIIbの化合物
【0101】
【0102】
(式中、R1およびR2は、上記で定義された通りである)から方法のステップ(i)で生成される。
【0103】
特定の実施形態では、この方法は、式Iaの化合物を製造するためのものである。
【0104】
特定の実施形態では、式Iの化合物(すなわち、式IaまたはIbの化合物(例えば、Ia))は、96%を超える、好ましくは99%を超える、より好ましくは99.5%を超える、例えば99.7%のキラル純度を有する。
【0105】
言及され得るより特定の実施形態では、この方法は、6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オールまたはその塩を製造するためのものである。
【0106】
【0107】
本発明の方法によれば、6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オール、またはその塩は、96%を超える、好ましくは99%より大きく、より好ましくは99.5%より大きく、例えば99.7%のキラル純度で製造することができる。
【0108】
さらなる方法
本発明の方法に従って製造された化合物(すなわち、式I、IaまたはIbの化合物(特にIa))は、薬学的に活性な分子の製造における合成中間体として有用であり得る。
【0109】
したがって、本発明の態様として第2に、式VIIの化合物またはその塩
【0110】
【0111】
(式中、R1およびR2は、上記で定義された通りである)
を調製するための方法が提供され、方法は、上記で定義された本発明の方法(すなわち、ステップ(i)~(iii)(任意で本明細書に記載の追加の方法のステップの1つ以上を含む)、および任意で上記で定義されたステップ(iv)を含む方法)を含む。
【0112】
本発明の第2の態様の特定の実施形態では、方法は、以下のステップをさらに含む。
(v)式VIIIの化合物、またはその塩
【0113】
【0114】
(式中、R1およびR2は、上記で定義された通りである)の調製であって、上記で定義された通りの式Iの化合物を、臭素、好適な塩基(例えば、2,6-ルチジン、または、特に、ピリジン)および好適な溶媒(例えば、上記で言及したものなどの極性非プロトン性溶媒、特にN,N-ジメチルホルムアミド)の存在下で、好適なチオシアン酸塩(例えば、LiSCN、NaSCN、または特にKSCN)と反応させることによる、調製。
【0115】
(vi)式IXの化合物、またはその塩
【0116】
【0117】
(式中、R1およびR2は、上記で定義された通りである)の調製であって、式VIIIの化合物を、好適な塩基(例えば、LiOH、KOH、CsOH、または特にNaOH)および好適な溶媒(例えば、上記で言及したものなどの極性非プロトン性溶媒、特にN,N-ジメチルホルムアミド)の存在下、約80℃~約150℃(例えば、約100℃~約140℃、例えば、約110℃~約130℃(例えば、約120°C))の温度で反応させることによる、調製。
【0118】
(vii)式Xの化合物、またはその塩
【0119】
【0120】
(式中、R1およびR2は、上記で定義された通りである)の調製であって、式IXの化合物を、好適な塩素化剤(例えば、SOCl2、または、特に、POCl3)、N,N-ジメチルホルムアミドおよび好適な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、または特に1,4-ジオキサン)の存在下、約40℃~約80℃(例えば、約50℃~約75℃、例えば、約60℃~約70℃(例えば、約65°C))の温度で反応させることによる、調製。
【0121】
(viii)上記で定義されたVIIの化合物の調製であって、式Xの化合物をロイシノール
【0122】
【0123】
と、好適な塩基(例えば、トリエチルアミン、または特にN,N-ジイソプロピルエチルアミン)および好適な溶媒(例えば、上記で言及したものなどの極性非プロトン性溶媒、特にN-メチル-2-ピロリドン)の存在下、約80℃~約150℃(例えば、約100℃~約140℃、例えば、約110℃~約130℃(例えば、約120℃))の温度で反応させることによる、調製。
【0124】
言及され得るさらなる実施形態において、この方法は、好適な溶媒(例えば、メチルエチルケトン)の存在下で式VIIの化合物をHClで処理することによる、式VIIの化合物のHCl塩(例えば、モノHCl塩)の形成をさらに含む。
【0125】
特定の実施形態において、式VIIの化合物は、単一の立体異性体である。
【0126】
本明細書で単一の立体異性体として生成される化合物への言及は、化合物が単一のジアステレオマー(例えば、化合物VIIの場合、(R、S)-ジアステレオマー)およびそのジアステレオマーの単一のエナンチオマーとして生成されることを示すと理解され得る。
【0127】
特に明記しない限り、本明細書における単一の立体異性体への言及(および同様に純粋な形態で存在する立体異性体などへの言及)は、少なくとも約90%、例えば少なくとも約95%、例として少なくとも約97%のキラル純度を示すと理解され得る。より具体的には、単一の立体異性体は、少なくとも約99.5%、例えば少なくとも約99.7%のキラル純度を有し得る。
【0128】
本明細書で使用される場合、キラル純度は、化合物の関連するバッチにおける、単一の立体異性体(すなわち、ジアステレオマーおよび/またはエナンチオマー)の量(%重量/重量)を示すと理解され得る。
【0129】
特定の実施形態では、式VIIの化合物は、2-[(2-アミノ-5-[(1-フェニルエチル)チオ][1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール、またはその塩である。
【0130】
【0131】
より特定の実施形態では、式VIIの化合物は、(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オールまたはその塩である。
【0132】
【0133】
当業者は、「1」と記されたキラル中心の立体化学が、ロイシノールのいずれかのエナンチオマーを選択することによって制御することができることを理解するであろう(この中心で所望の(R)-立体化学を提供するためにd-ロイシノールが使用される)。上記のように、2と記されたキラル中心での立体化学は、ステップ(i)の出発物質として使用されるキラルベンジルアルコール(式IIIの化合物)の立体化学に依存する。本発明の方法は、この立体中心でより高いキラル純度を達成するためのスケーラブルな経路を提供する。
【0134】
本発明の第2の態様の特定の実施形態では、(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d)]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オールは、99.2%を超える、好ましくは99.5%を超えるキラル純度を有する。(例えば、99.7%)。
【0135】
キラル純度が向上した化合物
本明細書に開示される方法は、以前に開示された方法を使用して得られるものよりも高いキラル純度の化合物へのスケーラブルな経路を提供する。
【0136】
したがって、本発明の第3の態様では、化合物6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オール、またはその塩
【0137】
【0138】
であって、99.1%を超える、好ましくは99.5%を超えるキラル純度を有する化合物を提供する。
【0139】
本発明の第4の態様では、化合物(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール)、またはその塩
【0140】
【0141】
であって、99.8%を超えるキラル純度を有する化合物を提供する。
【0142】
医薬製剤
式VIIの化合物、特に(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール、またはその塩は、薬剤として有用であり得る。したがって、これらの化合物は、標準的な手順を使用して、薬学的に許容される製剤に処方することができる。
【0143】
本発明の第5の態様では、(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール、またはその塩(または式VIIの別の好適な化合物、またはその塩)を含む医薬製剤を調製するための方法が提供され、この方法は、方法のステップ(特に、ステップ(ib)および(iiib)などの追加のステップを含むステップ(i)~(iv))として含まれることを特徴とする。当業者は、そのような医薬製剤が、有効成分と、任意に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤および/または担体)との混合物を含む/からなることを知っているであろう。
【0144】
本発明の第6の態様では、(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール、またはその塩(または式VIIの別の好適な化合物、またはその塩を含む医薬製剤を調製するための方法が提供され、この方法は、(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オールまたはその塩(または式VIIの別の好適な化合物またはその塩)(これは、前述のような方法によって形成され得る)を、(a)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(例えば、アジュバント、希釈剤および/または担体)と会合(association)させることを含む。
【0145】
本明細書に記載の方法は、従来技術の方法よりも効率的であり、大規模合成での使用により好適であるという利点を有する。特に、この方法には、優れたキラル純度を有する薬学的に活性な化合物のスケーラブルな製造方法を提供するという利点がある。
【0146】
生成される化合物には、他のスケーラブルな合成経路からアクセス可能な化合物よりもキラル純度が高いという利点がある。
【実施例】
【0147】
略語
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
HPLC:高圧液体クロマトグラフィー
MEK:メチルエチルケトン
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
NMR:核磁気共鳴
MS:質量分析
【0148】
実施例1-6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オール(1)の調製
【0149】
【0150】
チオレートアニオンの生成:
250mLの丸底フラスコに、NaOHフレーク(600mg、15.00mmol)、6-アミノ-2-チオキソ-1H-ピリミジン-4-オン(Ark Pharm、95+%、2.37g、15.75mmol)およびDMF(30mL)を装入した。フラスコにコンデンサーを取り付けた。混合物を65℃で撹拌した(開始13:25)。1時間30分後、混合物を室温まで冷却させ、形成されたジスルフィドを減少させるために、NaBH4(174mg、4.50mmol、30%)を加えた(15:10)。混合物を、室温で1時間50分撹拌した。
【0151】
メシレートの生成:
上記の反応と並行して、MTBE中の(R)-1-フェニルエチルメシレートを以下のように調製した。
【0152】
MTBE(15mL)中の(R)-1-フェニルエタノール(Ark Pharm、98%、1.87g、15.00mmol)およびトリエチルアミン(Aldrich、99.5%、1.60g、15.75mmol)の撹拌溶液に、氷浴温度で、MTBE(10mL)中の塩化メシル(Lancaster、98%、1.84g、15.75mmol)の溶液を14分かけて滴下した。混合物を氷浴温度で20分間撹拌した。形成したEt3NHCl塩をろ過し、フィルターケーキを約10mLのMTBEで洗浄した。MTBE溶液を約10mLまで濃縮した。
【0153】
アルキル化ステップ:
メシレートを含むMTBE溶液を、6-アミノ-2-チオキソ-1H-ピリミジン-4-オンアニオンを含むDMF溶液に、氷浴温度で10分かけて滴下した(17:10)。混合物をゆっくりと室温まで温め、室温で一晩撹拌した。17.5時間後ワークアップ:混合物を少容量まで濃縮した。EtOAc(約50mL)を添加すると、6-アミノ-2-チオキソ-1H-ピリミジン-4-オンが大量に沈殿した。混合物を超音波によって超音波処理し、次に固体をろ別し、フィルターケーキをEtOAc(約10mL)で洗浄した。固体を飽和NaHCO3(15mL)に懸濁させ、EtOAc(20mL)を添加した。得られた懸濁液を超音波処理し、分液漏斗内にろ過した。相を分離させ、水相を廃棄した。生成物を含む有機相をEtOAcろ液と合わせた。合わせた有機相を飽和NaHCO3(10mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。DMFの最後の残留物を蒸留除去し(78°C/18mbar)、4.38gの粗生成物を淡黄色の粘稠な油として得た。CH3CN(11mL)をこの油に加え、得られた溶液を超音波処理し、数分後に大量の沈殿が観察された。混合物を75°Cで45分間温浸させた。混合物をゆっくりと室温まで冷却させ、固体をろ過により収集し、氷冷したCH3CN(約5mL)で洗浄した。得られた白色の固体材料を、40℃の真空オーブンで2.5日間乾燥させた。収量:1.861g。1H NMR(600 MHz,CD3OD)δ ppm 7.43-7.47(m,2 H)7.31-7.35(m,2 H)7.23-7.28(m,1 H),5.12(q,J=7.1 Hz,1 H)5.06(s,1 H)1.75(d,J=7.0 Hz,3 H)。MS(ESI+)m/z 248[M+H]+。
【0154】
HPLC純度:約94%
HPLCキラル純度:99.7%(S)、すなわち99.4%e.e。キラルHPLCトレースを
図1に再現する。
【0155】
Astec CHIROBIOTIC Tカラム(250×4.6mm、5μm)、溶離液:100%MeOH、Agilent1100システムで測定。
1H NMR:一部の残留溶媒を除いて純粋に見える(MeCN:0.03%(重量/重量)、DMF:0.16%(重量/重量))
【0156】
実施例2-6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オール(1)の調製(50mmolスケール)
【0157】
【0158】
チオレートアニオンの生成:
250mLの丸底フラスコにNaOHフレーク(2.00g、50.00mmol)、
6-アミノ-2-チオキソ-1H-ピリミジン-4-オン(Ark Pharm、95+%、7.91g、52.50mmol)およびDMF(100mL)を装入した。フラスコにコンデンサーを取り付けた。混合物を65℃で撹拌した(開始11:00)。2時間30分後、混合物を室温まで冷却させ、形成されたジスルフィドを減少させるために、NaBH4(567mg、15.00mmol、30%)を加えた(14:10)。混合物を、室温で40分撹拌した。
【0159】
メシレートの生成:
上記の反応と並行して、MTBE中の(R)-1-フェニルエチルメシレートを以下のように調製した。
【0160】
MTBE(50mL)中の(R)-1-フェニルエタノール(Ark Pharm、98%、6.23g、50.00mmol)およびトリエチルアミン(Aldrich、99.5%、5.34g、52.50mmol)の撹拌溶液に、氷浴温度で、MTBE(30mL)中の塩化メシル(Lancaster、98%、6.14g、52.50mmol)の溶液を10分かけて滴下した。混合物を氷浴温度で20分間撹拌した。形成のEt3NHCl塩をろ過し、フィルターケーキを約20mLのMTBEで洗浄した。MTBE溶液を約25mLまで濃縮した。
【0161】
アルキル化ステップ:
メシレートを含むMTBE溶液を、6-アミノ-2-チオキソ-1H-ピリミジン-4-オンアニオンを含むDMF溶液に氷浴温度で20分かけて滴下した(15:05)。混合物をゆっくりと室温まで温め、室温で一晩撹拌した。19時間後ワークアップ:混合物を少用量まで濃縮したため、ほとんどすべてのDMFが除去された。EtOAc(120mL)を添加すると、6-アミノ-2-チオキソ-1H-ピリミジン-4-オンが大量に沈殿した。混合物を超音波によって超音波処理し、次に固体をろ別し、フィルターケーキをEtOAc(約30mL)で洗浄した。固体を飽和Na2CO3(50mL)に懸濁させ、EtOAc(70mL)を添加した。得られた懸濁液を、すべての材料が溶解するまで撹拌し、次にそれを分液漏斗に移した。相を分離させ、水相を廃棄した。生成物を含む有機相をEtOAcろ液と合わせた。合わせた有機相を飽和NaHCO3(25mL)、水(15mL)、ブライン(15mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。DMFの最後の残留物を蒸留除去し(78°C/18mbar)、13.32gの粗生成物を淡黄色の半固体として得た。CH3CN(35mL)をこの粗製物質に添加し、得られた懸濁液を超音波処理した。混合物を75°Cで30分間温浸させた。混合物をゆっくりと室温まで冷却させ、固体をろ過により収集し、氷冷したCH3CN(約10mL)で洗浄した。得られた白色の固体材料を、40℃の真空オーブンで2日間乾燥させた。収量:白色固体としての生成物6.168g(50%)。1H NMR(600 MHz,CD3OD)δ ppm 7.43-7.47(m,2 H)7.31-7.35(m,2 H)7.23-7.28(m,1 H),5.13(q,J=7.0 Hz,1 H)5.06(s,1 H)1.75(d,J=7.0 Hz,3 H)。MS(ESI+)m/z 248[M+H]+。
【0162】
HPLC純度:96.5%
HPLCキラル純度:99.8%(S)、すなわち99.6%e.e。(R-異性体に対応するピークはほとんど検出することができない。ベースラインノイズのため、積分は不確実である)。キラルHPLCトレースを
図2に再現する。
【0163】
Astec CHIROBIOTIC Tカラム(250×4.6mm、5μm)、溶離液:100%MeOH、Agilent1100システムで測定。
【0164】
1H NMR:一部の残留溶媒を除いて純粋に見える(MeCN:0.41%(重量/重量)DMF:0.23%(重量/重量))。
【0165】
実施例3-(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール.HClの調製
3.1 4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-5-イルチオシアネート(2)の調製
【0166】
【0167】
化合物1(1.63g、6.59mmol)およびKSCN(1.92g、19.8mmol)を、100mLフラスコ中のDMF(20mL)に溶解した。すべての出発物質が溶解するまで、混合物を65℃まで加熱した。DMF(2mL)中のピリジン(886mg、12.35mmol)を加えた。反応混合物を4℃まで冷却し、DMF(3mL)中の臭素(1.219g、7.62mmol)を10分かけて滴下し(15:12)、いくらかの沈殿を生じさせた。HPLCが生成物への完全な変換を示したとき、混合物を4~10℃で1時間15分間撹拌した。反応物を室温まで温め、5mLの15%Na2S2O5(メタ重亜硫酸ナトリウム)を水(2mL)と一緒に加えた。混合物を60℃で10分間撹拌した。次に、室温でさらに水(25mL)を加えた。室温で一晩撹拌する。固体生成物をろ過により収集し、冷水で洗浄し、真空中60℃で4.5時間乾燥させた。収量:淡黄色の固体としての、98%の純生成物1.806g(90%)。1H NMR(600 MHz,CD3OD)δ ppm 7.44-7.48(m,2 H)7.32-7.36(m,2 H)7.25-7.29(m,1 H)5.14(q,J=7.1 Hz,1 H)1.77(d,J=7.3 Hz,3 H)。MS(ESI+)m/z 305[M+H]+。
1H NMR:非常に純粋に見える。目に見える汚染はDMFのみである(約0.36%重量/重量)
【0168】
3.2 2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-オール(3)の調製
【0169】
【0170】
化合物2(1.80g、5.91mmolをDMF(16mL)中でスラリー化させ、2M NaOH(6mL、12mmol)を室温で滴下した。NaOHを加えると混合物は赤褐色に変わり、スラリーは溶解した。120°Cまで加熱する(13:20)(3時間後のHPLC:生成物へ100%変換)。
【0171】
ワークアップ:混合物を室温まで冷却させ、水(20mL)を加えた=>わずかな沈殿。反応混合物のpHを、濃HClの添加により約pH4~5に調整した。固体をろ過により収集し、2回に分けて(2×8mL)水で洗浄し、60℃で真空乾燥して、1.687g(94%)の生成物をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(600 MHz,CD3OD)δ ppm 7.45-7.49(m,2 H)7.31-7.35(m,2 H)7.24-7.28(m,1 H)5.21(q,J = 7.1 Hz,1 H)1.79(d,J = 7.0 Hz,3 H)。MS(ESI+)m/z 305[M+H]+。
【0172】
HPLC:約94%純度
1H NMR:純粋に見えるが、DMFがいくらか存在する。積分は0.55%(重量/重量)を示す。
【0173】
3.3 7-クロロ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-アミン(4)の調製
【0174】
【0175】
ジオキサン(15mL)中の化合物3(1.82g、5.98mmol)のスラリーに溶解し、ジオキサン(2.5mL)中のDMF(962mg、13.2mmol)およびジオキサン(2.5mL)中のPOCl3(3.03g、19.7mmol)を室温で添加した(開始:14:00)。30分後、スラリーは薄茶色の均質な溶液に溶解した。室温で0.5時間後のHPLCは、DMFと出発物質によって形成されたイミン(68%)、および生成物とDMFによって形成されたイミン(32%)を示す。次いで反応混合物を65℃で加熱した(開始:13:40)。65°Cで3時間後のHPLCは、DMFと生成物によって形成されたイミンへの完全な変換を示す。反応混合物を室温まで冷却し、水(5mL)を加えた。温度を65°C(17:40)まで上げた。この温度で10分間撹拌した後、すべての生成物-イミンが加水分解された。混合物を室温まで冷却した。水(10mL)を加え、混合物を約半分の容量まで蒸発させた。pHを飽和NaHCO3および固体NaHCO3で約6~7に調整した。得られた相をEtOAc(3×25mL)で抽出し、合わせた有機相を飽和Na2CO3(2×6mL)、水(6mL)およびブライン(6mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、蒸発させて、1.746g(98%)の>97%純生成物を薄橙色の固体として得た。1H NMR(600 MHz,CD3OD)δ ppm 7.44-7.49(m,2 H)7.28-7.33(m,2 H)7.20-7.25(m,1 H)5.06(q,J=7.1 Hz,1 H)1.75(d,J=7.3 Hz,3 H)。MS(ESI+)m/z 323[M+H]+。
【0176】
1H NMR:非常に純粋に見えるが、まだ溶媒が存在する。DMF:2.7%(重量/重量)、EtOAc:1.8%(重量/重量)、ジオキサン:1.8%(重量/重量)。
【0177】
溶媒含有量を補正した収量:約5.065g(92%)。
【0178】
3.4(2R)-2-[(2-アミノ-5-{[(1S)-1-フェニルエチル]チオ}[1,3]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-7-イル)アミノ]-4-メチルペンタン-1-オール.xHCl(5)の調製
【0179】
【0180】
化合物4(1.852g、5.74mmol)、DIPEA(1.112g、8.61mmol)およびD-ロイシノール(1.008g、8.61mmmol)をNMP(12mL)に溶解し、混合物を密封パイレックスチューブ中120°Cで撹拌した(開始:17:40)。
15.5時間後のHPLC:約98%の変換
19.5時間後のHPLC:>99%の変換
【0181】
ワークアップ:氷水を混合物に注いだ。最初に固体が形成されたが、添加の終わりに固体は崩壊して暗褐色の油になった。EtOAc(50mL)を加え、相を分離した。水相をEtOAc(2×25mL)で抽出し、合わせた有機相を水(8mL)、飽和NaHCO3(3×8mL)、水(8mL)およびブライン(8mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過して蒸発させた。真空乾燥して、2.697gの粗製物質を褐色の油として得た。HPLC純度:約92%。この油をMEK(約18mL)に溶解し、濃HCl(12.5M、574μL、7.18mmol)を加えた。HCl塩の自発的な沈殿はなかった。混合物を室温で穏やかに撹拌し、約20分後に沈殿が起こった。混合物を穏やかに2.5時間撹拌し、固体をP3焼結ガラスフィルターでろ過することにより単離した。固体を3回に分けてMEKで洗浄し、次に60℃で2.5日間真空乾燥した。収量(バッチ1):1.224g(48.5%)の塩酸塩としての生成物。
【0182】
HPLC純度:99.0%(塩基法)、
97.4%(酸性法)。
【0183】
かなりの量の固体がフィルターを通過してろ液に入った。固体を遠心分離により単離し、上澄みをピペットにより除去した。固体を2回に分けてMEKで洗浄した(約2×5mL)。最後の上清を除去した後、生成物を60℃で2.5日間真空乾燥した。収量(バッチ2):324mg(12.8%)の塩酸塩としての生成物。
【0184】
HPLC純度:99.0%(塩基法)、
97.5%(酸性法)。
合計収量:1.548g(61.3%)
【0185】
両方のバッチは、約0.07%のDMF(重量/重量)を含有する。DMFは出発物質にすでに存在していた。
【0186】
合わせたバッチのさらなる精製
化合物5の2つのバッチを50mLの丸底フラスコ中で合わせ(1.338g、3.041mmol)、水(6mL)、続いて2M NaOH(1.6mL、3.2mmol)を加えた。混合物を撹拌し、EtOAc(40mL)を添加した。撹拌中にさらに0.5mL(1mmol)の2M NaOHを添加した。15分後、すべての固体が溶解し、相が分離された。水相のpHは、pHスティックで測定した=>pH=7。さらに2M NaOH(0.4mL、0.8mmol)を水相に加え、pHを10にした。水相をEtOAc(25mL)で抽出し、相を分離した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して蒸発させて、結晶性ベージュ色固体としての遊離塩基を得た。遊離塩基をMEK(15mL)に溶解し、撹拌中にHCl(37%、12.5M、255μL、3.19mmol)を加えた。すぐに白い沈殿物を形成した。混合物を穏やかに2時間撹拌し、固体をP4焼結ガラスフィルターでろ過することにより収集した。固体をMEK(5mL)で洗浄し、60°Cで3時間真空乾燥した。収量:白色固体としての99%の純生成物1.187g(未精製材料に基づいて89%)。1H NMR(600 MHz,CD3OD)δ ppm 7.49(d,J=7.3 Hz,2 H)7.37(t,J=7.6 Hz,2 H)7.27-7.32(m,1 H)5.23(q,J=7.0 Hz,1 H)4.60-4.70(m,1 H)3.55(d,J=5.5 Hz,2 H)1.83(d,J=7.3 Hz,3 H)1.67-1.76(m,1 H)1.58 -1.65(m,1 H)1.48-1.54(m,1 H)1.00(d,J=6.7 Hz,3 H)0.98(d,J=6.7 Hz,3 H)。MS(ESI+)m/z 404[M+H]+
【0187】
最終生成物のジアステレオマー比は、出発物質(化合物1)のエナンチオマー比を反映しており、99.7%(S)であった。
【0188】
1H NMR:スペクトルは非常に純粋に見える。しかしながら、微量のDMFが検出された。
【0189】
比較例4-6-アミノ-2-{[(1S)-1-フェニルエチル]スルファニル}ピリミジン-4-オール(1)を合成するための方法スケールの2段階手順
【0190】
【0191】
ステップ1
乾燥した1380Lのガラスライニング反応器に、窒素雰囲気下で酢酸エチルと(s)-フェニルエタノールをTi=20°Cで装入した。透明~黄色の溶液をTi=20°Cで30分間保持した後、200Lのポリライニングドラムに排出した。1380Lのガラスライニング反応器に、60分以内に塩化シアヌル、酢酸エチル(1.2)およびN,N-ジメチルホルムアミドを装入した。溶液を25分以内にTi=6.3°C~Ti=25°Cまで加熱し、180分以内にTi=-5°Cまで冷却した。1インチダイアフラムポンプを使用して、予め作られた酢酸エチル中の(s)-フェニルエタノールの溶液を最大Ti=-0.4°Cで12時間以内に装入し、Ti=-5°Cで3時間保持した。IPC試料は、(s)-フェニルエタノール=0.35%(ターゲット<1%)を示した。プロパン-2-オールをTi=-5°Cで120分以内に装入し、30分間保持し、セライトを装入してから、50μmの布を備えたステンレス鋼ヌッチェろ過器でろ過し、布の目詰まりが原因で発生した重大なろ過の問題には、材料は、セライト床を備えた50μmの布を備えた50Lの圧力ろ過器に少量ずつ(portion wise)再装入された。固体を、少量ずつのろ過において酢酸エチルで洗浄した。ろ過液を1380Lの容器に再装入し、最大Ti=40.9°C、真空200mbarで蒸留し、750kgの留出物を除去した。容器をTi<25°Cまで冷却し、50μmの布とセライト床を備えた50Lの圧力ろ過器で少量ずつろ過し、酢酸エチルで少量ずつ洗浄した。ろ過液を330Lの容器に再装入し、最大Ti=35.1°C、真空24mbarで蒸留し、500kgの留出物を除去した。275kgが淡黄色の液体として分離された。
【0192】
結果
275kg未補正:
GC純度:73.87%(面積%)
GCキラル純度:94.9%(面積%、R異性体)。
【0193】
ステップ2
乾燥した2800Lのガラスライニング反応器に、Ti=20°CでN,N-ジメチルホルムアミドを装入した。
水酸化ナトリウムペレットと4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプロピリミジンを60分以内にTi=25°C未満の温度に維持する。60分以内にTi=62.5°Cまで加熱し、30分間保持した。(1R)-フェニルエチルクロリドは、Ti=60~65°Cを維持しながら75分以内に装入された。反応をTi=60~70℃で6時間維持した。IPC試料は、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプロピリミジン=<0.1%(ターゲット<1%)を示した。反応をTi<25°Cまで冷却し、水を装入し、90分以内に32%水酸化ナトリウムを使用してpHを12.01に調整した。トルエンを装入し、30分間保持した後、3時間以内に50μmの布とセライト床を備えたステンレス鋼ヌッチェろ過器を使用してろ過して、相間固体(interphase solid)を除去した。下層の水相(1500L)を除去するために分離されたろ液相を再装入した後、有機相は廃棄物として保持された。水相を1380Lのガラスライニング反応器に装入し、最大Ti=61.3°C、真空180mbarで蒸留し、1800Lの留出物を除去した。水を装入し、90分以内にTi=65.3°Cまで加熱した。180分以内に6.2%塩酸でpHをpH5.5に調整した。180分以内にTi<20°Cまで冷却し、次に50μmの布を備えたステンレス鋼ヌッチェろ過器で10時間以内にろ過した。プルドライ(Pull dried)し、置換洗浄して、湿った白い固体588kgを分離する。
【0194】
結果
588kg未補正(LOD含有量30%重量/重量=176.4Kg、収量(補正):48.1%)
HPLC純度:81.26%(面積%)
HPLCキラル純度:95.03%(面積%S異性体)
【0195】
1回目の再結晶
乾燥した2800Lのガラスライニング反応器に、Ti=20°Cで4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-[(1S)-1-(フェニルエチル)チオ]ピリミジンとメタノールを装入し、120分内でTi=55°Cまで加熱し、
1時間保った。インラインGAFFフィルターの方法により、溶液をTi=55°Cで4500Lのガラスライニング容器に移し、完了時にラインをメタノールで洗浄した。Ti=65°C(還流)まで熱を加えて1時間保持し、Ti>60°Cを維持しながら3時間以内に水を装入した。かき混ぜを減少させ、6時間以内にTi=22.5°Cまでゆっくりと冷却した。50μmの布を備えたステンレス鋼ヌッチェろ過器で12時間以内にろ過し、プルドライし、置換洗浄してプルドライして、302kgのオフホワイトの固体を単離した。
【0196】
結果:
302kg未補正
HPLC純度:95.11%(面積%)
HPLCキラル純度:97.09%(面積%R異性体)(面積%S異性体)
【0197】
2回目の再結晶
乾燥した4500Lガラスライニング反応器に、Ti=20°Cで4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-[(1S)-1-(フェニルエチル)チオ]ピリミジンとメタノールを装入し、50分以内にTi=65°Cまで加熱し(還流)、30分保持し、Ti>60°Cを維持しながら3時間以内に水を装入した。かき混ぜを減少させ、6時間以内にTi=23.1 °Cまでゆっくりと冷却した。50μmの布を備えたステンレス鋼のヌッチェろ過器で12時間以内にろ過し、プルドライして置換洗浄し、プルドライして142kgのオフホワイトの固体を単離した。最大Ti=60°Cおよび20mbarでCone Vacドライヤーで乾燥。
【0198】
結果:
106kg未補正(LOD含有量99.1%重量/重量=105.1Kg、収量(補正):61.1%)
HPLC純度:94.07%(面積%)
HPLCキラル純度:99.04%(面積%S異性体)
【0199】
概要
>99%のキラル純度を達成するには、2つの合成ステップと2つの再結晶化が必要であった。
【0200】
方法の全体的な収率は29.3%であった(再結晶ステップを含む)。