(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】表示パネルとその製造方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230213BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
G06F3/041 460
G09F9/00 366A
G09F9/00 302
G06F3/041 430
G06F3/041 400
G06F3/041 662
G06F3/041 660
G09F9/00 313
(21)【出願番号】P 2021523598
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(86)【国際出願番号】 CN2019100538
(87)【国際公開番号】W WO2020168691
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】201910134531.2
(32)【優先日】2019-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179314
【氏名又は名称】昆山工研院新型平板顕示技術中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN NEW FLAT PANEL DISPLAY TECHNOLOGY CENTER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building No.3,No.188 Chenfeng Road,Yushan Town,Kunshan,Jiangsu 215300,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】徐童
(72)【発明者】
【氏名】劉瑞
(72)【発明者】
【氏名】李維国
(72)【発明者】
【氏名】王▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】盧強
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163067(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154959(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に、フレキシブル回路基板と、タッチ層と、カバープレートと、前記カバープレートと前記タッチ層との間に前記カバープレートに近接して配置された補助透明層とを備え、
前記フレキシブル回路基板は前記タッチ層に接続され、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との境界位置に第1シーラントが配置され、前記第1シーラントは前記フレキシブル回路基板および前記タッチ層の、前記カバープレートに面する側に配置され、
前記補助透明層の前記カバープレートに面する表面
の前記基板からの高さは、前記第1シーラントの前記カバープレートに面する表面
の前記基板からの高さより高く、
前記フレキシブル回路基板の前記カバープレートに面していない側に第2シーラントが配置され、且つ前記第2シーラントは前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との境界位置に位置し、前記フレキシブル回路基板の前記カバープレートに面していない表面と前記タッチ層との間の境界線を封止する
表示パネル。
【請求項2】
前記境界位置は、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板の入力端との間の境界線と、前記境界線の一方側に位置する、前記第1シーラントで覆われた前記タッチ層の前記カバープレートに近い表面と、前記境界線の他方側に位置する、第1シーラントで覆われた前記フレキシブル回路基板の前記カバープレートに近い表面とを含む
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記表示パネルはさらに偏光子を含み、
前記偏光子は、前記タッチ層と前記補助透明層との間、または前記タッチ層の前記カバープレートに面していない側に配置され、
前記補助透明層は光学接着剤層を含み、
前記第1シーラントと前記第2シーラントの弾性係数は、前記光学接着剤層の弾性係数よりも大きく、
前記タッチ層における前記フレキシブル回路基板の前記入力端寄りの表面に、取り付け段差が設けられる
請求項
1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記カバープレートは積み重ねられた硬質層と有機層を含み、前記硬質層が前記タッチ層から離れて配置される
請求項
1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記表示パネルは、さらに封止層と、発光方向に沿って順に積み重ねられた基板および表示層とを含み、
前記封止層は、前記カバープレートと前記基板との間に位置するとともに、前記表示層の外縁の周りに配置され、
前記封止層は、前記基板上に形成され、前記基板から前記カバープレートと接触するまで上方に延びており、
前記封止層は発光方向に沿って積み重ねられた複数の封止副層を含み、隣接する前記封止副層は相対的にスライドすることができる
請求項
1に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記補助透明層の縁部は前記基板に向かって延びて封止側縁部を形成し、前記封止側縁部は前記基板と前記補助透明層との間のフィルム層を包み、
前記封止層と前記補助透明層との間に隙間があり、前記隙間には流動バリア媒体が充填されており、
前記表示層は、前記基板上に形成されたアレイ基板と、前記アレイ基板上に形成されたピクセル規定層とを含み、且つパッケージ層によってパッケージされ、
前記パッケージ層は前記タッチ層に接続される
請求項
5に記載の表示パネル。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の表示パネルを含む
表示装置。
【請求項8】
基板の上方に、タッチ層を形成することと、
フレキシブル回路基板を前記タッチ層に貼り付けることと、
前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との境界位置に第1シーラントを形成することと、
前記タッチ層の上に補助透明層を形成することと、
前記補助透明層の上をカバープレートで覆うことと、
前記タッチ層上、または前記タッチ層の前記カバープレートに面していない側に、偏光子を配置すると、
を含み、
前記第1シーラントは、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との間の境界線を封止し、境界位置での前記タッチ層を覆い、前記補助透明層の前記カバープレートに面する表面
の前記基板からの高さは、前記第1シーラントの前記カバープレートに面する表面
の前記基板からの高さより高く、
表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示機器の技術分野に関し、特に、表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示機器技術の漸進的な発展に伴い、スマートウォッチやリストフォンなどのウェアラブル機器にフレキシブルな表示パネルが既に徐々に適用されている。
【0003】
表示パネルは、フレキシブル回路基板、順に積み重ねられたカバープレート、偏光子、タッチ層、及び表示層を含む。フレキシブル回路基板の一端は制御機器に接続され、他端はタッチ層に接続されることによって、表示装置のタッチ制御を実現する。製造時には、まず、表示層、タッチ層、及び偏光子を形成し、次に、フレキシブル回路基板をタッチ層に接続する。外気がタッチ層に接触するのを防ぐために、一般的にタッチ層とフレキシブル回路基板との境界位置に固体シーラントが貼り付けられ、その後、カバープレートを偏光子に貼り付ける。
【0004】
しかしながら、固体シーラントの体積は比較的大きく、固体シーラントが貼り付けられた後、固体シーラントのタッチ層に面していない上面は、偏光子のタッチ層に面していない上面よりもカバープレートに近い。カバープレートを取り付けるとき、固体シーラントが最初にカバープレートに接触し、応力が加えられた後、固体シーラントとタッチ層との間にクラックが生じやすく、タッチ層の封止不良につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題に鑑み、本開示は、カバープレートを取り付けるとき、固体シーラントが最初にカバープレートに接触し、応力が加えられた後、固体シーラントとタッチ層との間にクラックが生じやすく、タッチ層の封止不良を引き起こすという技術的問題を解決することに適した構造を有する表示パネル及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施例は表示パネルを提供し、前記表示パネルは、フレキシブル回路基板と、タッチ層と、カバープレートと、前記カバープレートと前記タッチ層との間に、前記カバープレートに近接して配置された補助透明層と、を含み、前記フレキシブル回路基板は前記タッチ層に接続され、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との境界位置に第1シーラントが配置され、前記第1シーラントは、前記フレキシブル回路基板およびタッチ層の、前記カバープレートに面する側に配置され、前記カバープレートに面する前記補助透明層の表面と前記カバープレートとの間の距離は、前記カバープレートに面する前記第1シーラントの表面と前記カバープレートとの間の距離よりも大きくない。
【0007】
好ましくは、前記境界位置は、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板の入力端との境界線と、前記境界線の一方側に位置する、前記第1シーラントで覆われた前記タッチ層の前記カバープレートに近い表面と、前記境界線の他方側に位置する、前記第1シーラントで覆われた前記フレキシブル回路基板の前記カバープレートに近い表面と、を含む。
【0008】
好ましくは、前記表示パネルはさらに第2シーラントを含み、前記第2シーラントは前記フレキシブル回路基板の前記カバープレートに面していない側に配置され、且つ前記第2シーラントは、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との境界位置に位置し、前記フレキシブル回路基板の前記カバープレートに面していない表面と前記タッチ層との間の境界線を封止する。好ましくは、前記第1シーラントおよび前記第2シーラントは、ポリアクリレート、エポキシアクリレート、および線状不飽和ポリエステルから選ばれる1種又は複数種である。
【0009】
好ましくは、前記表示パネルはさらに偏光子を含み、前記偏光子は前記タッチ層と前記補助透明層との間、または前記タッチ層の前記カバープレートに面していない側に配置される。
【0010】
好ましくは、前記補助透明層は光学接着剤層を含む。
【0011】
好ましくは、前記第1シーラントおよび前記第2シーラントの弾性係数は、前記光学接着剤層の弾性係数よりも大きい。
【0012】
好ましくは、前記タッチ層における前記フレキシブル回路基板の入力端寄りの表面に、取り付け段差が設けられる。
【0013】
好ましくは、前記カバープレートは、積み重ねられた硬質層と有機層とを含み、前記硬質層は前記タッチ層から離れて配置される。好ましくは、前記硬質層は超薄ガラス層であり、前記有機層はポリイミド層または熱可塑性ポリウレタンエラストマー層である。
【0014】
好ましくは、前記表示パネルはさらに、封止層と、発光方向に沿って順に積み重ねられた基板および表示層とを含み、前記封止層は、前記カバープレートと前記基板との間に位置するとともに、前記表示層の外縁の周りに配置される。好ましくは、前記封止層は、前記基板上に形成され、前記基板から前記カバープレートと接触するまで上方に延びている。
【0015】
好ましくは、前記封止層は、発光方向に沿って積み重ねられた複数の封止副層を含み、隣接する封止副層は、相対的にスライドすることができる。
【0016】
好ましくは、前記補助透明層の縁部は、前記基板に向かって延びて封止側縁部を形成し、前記封止側縁部は、前記基板と前記補助透明層との間のフィルム層を包む。
【0017】
好ましくは、前記封止層と前記補助透明層との間に隙間があり、前記隙間には流動バリア媒体が充填されている。
【0018】
好ましくは、前記表示層は、前記基板上に形成されたアレイ基板と、前記アレイ基板上に形成されたピクセル規定層とを含み、且つパッケージ層によってパッケージされており、前記パッケージ層は(たとえば、接続用接着剤を介して)前記タッチ層に接続される。
【0019】
好ましくは、前記流動バリア媒体は絶縁油を含み、前記封止層は独立気泡フォーム層を含む。
【0020】
本開示の実施例はまた、上記の表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0021】
本開示によって提供される表示パネルおよび表示装置では、タッチ層とカバープレートとの間に補助透明層が配置され、且つ補助透明層がカバープレートに近接して配置され、カバープレートに面する補助透明層の表面とカバープレートとの間の距離は、カバープレートに面する第1シーラントの表面とカバープレートとの間の距離よりも大きくない。カバープレートが取り付けられるとき、カバープレートは最初に補助透明層に接触し、第1シーラントに力が加わることによって引き起こされ、第1シーラントとタッチ層およびフレキシブル回路基板との間のクラックの発生を回避することができる。
【0022】
本開示の実施例によって提供される表示パネルを製造する方法は、タッチ層を形成すること、フレキシブル回路基板を前記タッチ層に貼り付けること、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との境界位置に第1シーラントを形成すること、前記タッチ層の上に補助透明層を形成すること、前記補助透明層の上をカバープレートで覆うことを含む。
【0023】
前記第1シーラントは、前記タッチ層と前記フレキシブル回路基板との間の境界線を封止し、境界位置での前記タッチ層を覆う。前記補助透明層の前記カバープレートに面する表面と前記カバープレートとの間の距離は、前記第1シーラントの前記カバープレートに面する表面と前記カバープレートとの間の距離よりも大きくない。
【0024】
好ましくは、前記方法はさらに、前記タッチ層上、または前記タッチ層の前記カバープレートに面していない側に、偏光子を配置することを含む。
【発明の効果】
【0025】
上記の方法に従って製造された本開示の表示パネルおよび表示装置によれば、基板の上方に、タッチ層とカバープレートとの間に補助透明層を配置し、且つ補助透明層がカバープレートに近接して配置され、補助透明層のカバープレートに面する表面の基板からの高さは、第1シーラントのカバープレートに面する表面の基板からの高さよりも高い。この構造は、カバープレートを取り付けるとき、カバープレートは最初に補助透明層に接触することによって得られる構造である。これにより、第1シーラントが力を受けることによって引き起こされる、第1シーラントとタッチ層およびフレキシブル回路基板との間のクラックの発生を回避することに適した構造が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するため、以下に、実施例又は従来技術の記述に必要な図面を簡単に説明するが、当然ながら、以下に記載する図面は本開示のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労力なしにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【
図1】本開示の実施例による表示パネルにおけるフレキシブル回路基板とタッチ層との間の接続の概略図である。
【
図2】本開示の実施例による表示パネルにおける封止層と流動バリア媒体の位置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の実施例の目的、技術的解決手段、および利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例における技術的解決手段を、本開示の実施例における添付の図面と併せて明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、実施例のすべてではなく、本開示の実施例の一部である。本開示の実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本開示の保護範囲内にあるものとする。
【0028】
図1は一例示的な実施例による表示パネルにおけるフレキシブル回路基板とタッチ層との間の接続の概略図である。
【0029】
図1に示すように、本実施例では、表示パネルを提供し、前記表示パネルは、フレキシブル回路基板10、タッチ層30、カバープレート20、およびカバープレート20に近接して配置された補助透明層40を含む。フレキシブル回路基板10はタッチ層30に接続され、タッチ層30とフレキシブル回路基板10との境界位置に第1シーラント101が設けられ、第1シーラント101はフレキシブル回路基板10のカバープレート20に面する側に位置する。補助透明層40のカバープレート20に面する表面とカバープレート20との距離は、第1シーラント101のカバープレート20に面する表面とカバープレート20との距離よりも大きくない。
【0030】
本実施例では、タッチ層30は複数のタッチユニットを有し、フレキシブル回路基板10上の回路はタッチユニットと電気的に接続され、且つ、フレキシブル回路基板10は外部のマザーボードと接続されてタッチ制御を実現する。
図1に示す向きを参照すると、右端近くのタッチ層30の上面に取り付け段差が設けられており、フレキシブル回路基板10の入力端が取り付け段差に貼り付けられる。これに対応して、タッチ層30とフレキシブル回路基板10との境界位置は、タッチ層30と前記フレキシブル回路基板の入力端との境界線、境界線の左側の第1シーラント101で覆われたタッチ層30のカバープレート20付近の表面、および境界線の右側の第1シーラント101で覆われたフレキシブル回路基板10のカバープレート20付近の表面である。なお、フレキシブル回路基板10とタッチ層30との境界位置は、フレキシブル回路基板10の下面とタッチ層30の右端との境界線および境界線付近の領域をさらに含む。第1シーラント101は、フレキシブル回路基板10とタッチ層30の、カバープレート20に面する表面に配置され、すなわち、第1シーラント101は、タッチ層30の上面と
フレキシブル回路基板10の入力端の上面との境界線、境界線の左側のタッチ層30の上面の一部、および境界線の右側のフレキシブル回路基板10の上面の部分を覆い、これによりフレキシブル回路基板10とタッチ層30との境界線の封止を実現する。また、第1シーラント101は、フレキシブル回路基板10とタッチ層30との接続力をさらに向上させて、表示パネルを曲げるときにタッチ層30がフレキシブル回路基板10から分離することを防止する。
【0031】
さらに、第1シーラント101は、補助透明層40の外側のタッチ層30の一部も覆っているので、外気がタッチ層30に接触することを回避できる。
【0032】
本実施例では、カバープレート20は、各フィルム層を保護するために、発光方向において表示パネルの最も外側に配置される。
図1に示す向きを例にとると、カバープレート20は、表示パネルの最上端に位置している。
【0033】
本実施例では、カバープレート20は、積み重ねて配置された硬質層および有機層を含み、硬質層は、タッチ層30から離れて配置されることが好ましい。硬質層と有機層からなる複合カバープレートは、光透過性を確保しつつ、カバープレート20の表面硬度および鉛筆硬度を向上させる。
【0034】
具体的には、本実施例における硬質層は超薄ガラス層であり、有機層はポリイミド層または熱可塑性ポリウレタンエラストマー層である。超薄ガラスとは、板厚が0.1mm以下のガラス板であり、表示パネルを曲げても割れないように優れた柔軟性を持っている。
【0035】
本実施例では、補助透明層40は、カバープレート20とタッチ層30との間に配置され、且つ補助透明層40がカバープレート20に近接して配置され、補助透明層40のカバープレート20に面する表面とカバープレート20との距離は、第1シーラント101のカバープレート20に面する表面とカバープレート20との距離よりも大きくない。
図1に示す向きように、第1シーラント101の上面は、補助透明層40の上面と同一平面であるか、または補助透明層40の上面は、第1シーラント101の上面よりもカバープレート20に近い。それにより、カバープレート20を取り付けるとき、第1シーラント101が最初にカバープレート20に接触し、力が加えられた後、第1シーラント101とタッチ層30またはフレキシブル回路基板10との間にクラックを引き起こすことを回避し、さらに封止不良を回避する。
【0036】
補助透明層40は光学接着剤層を含むことが好ましい。光学接着剤で作られた補助透明層40は、カバープレート20とタッチ層30を接着し、カバープレート20とタッチ層30との間の接続力を向上させることができる。ここで、光学接着剤層は、有機シリカゲル、ポリウレタンまたはエポキシ樹脂などの接着剤を含んでもよい。
【0037】
本実施例で提供される表示パネルの製造プロセスは以下の通りである。取り付け段差を有するタッチ層30を形成し、次にタッチ層30の取り付け段差上にフレキシブル回路基板10を貼り付けて、タッチ層30とフレキシブル回路基板10との境界位置に、第1シーラント101を形成し、これによりタッチ層30とフレキシブル回路基板10との境界線を封止するとともに、境界位置でのタッチ層30を覆い、外気が境界位置のタッチ層30に接触するのを防ぐことができる。次に、タッチ層30上に補助透明層40を形成し、カバープレート20に面する補助透明層40の表面とカバープレート20との間の距離は、カバープレート20に面する第1シーラント101の表面とカバープレート20との間の距離よりも大きくない。その後に、カバープレート20で補助透明層40の上を覆って、表示パネルの製造を完了する。
【0038】
本実施例による表示パネルでは、タッチ層30とカバープレート20との間に、カバープレート20に近接して配置された補助透明層40が配置され、カバープレート20に面する補助透明層40の表面とカバープレート20との間の距離は、カバープレート20に面する第1シーラント101の表面とカバープレート20との間の距離よりも大きくない。カバープレート20を取り付けるとき、カバープレート20は、最初に補助透明層40に接触し、第1シーラント101に加わる力によって引き起こされる、第1シーラント101とタッチ層30およびフレキシブル回路基板10との間のクラックの発生を回避することができる。
【0039】
本実施例による表示パネルは、第2シーラント102をさらに含み、第2シーラント102は、フレキシブル回路基板10のカバープレート20に面していない側に配置され、且つタッチ層30とフレキシブル回路基板10との境界位置に配置される。第2シーラント102は、フレキシブル回路基板10のカバープレート20に面していない表面とタッチ層30との間の境界線を封止して、フレキシブル回路基板10とタッチ層30との間の封止性能をさらに向上させることができる。同時に、第2シーラント102はさらに、タッチ層30を部分的に覆って、外気がタッチ層30に接触することをさらに防ぐことができる。また、第2シーラント102はフレキシブル回路基板10に押し付けられて、フレキシブル回路基板10が曲げられたとき、フレキシブル回路基板10が揺れるのを防ぎ、さらに第1シーラント101とタッチ層30またはフレキシブル回路基板10との間のクラックの発生を回避する。
【0040】
本実施例では、第1シーラント101と第2シーラント102の材料は、第1シーラント101と第2シーラント102が良好な耐水性と耐酸化性を有する限り、同じでも異なってもよい。第1シーラント101と第2シーラント102の弾性係数は、光学接着剤層の弾性係数よりも大きく、それにより、フレキシブル回路基板10が曲げられたとき、第1シーラント101と第2シーラント102の変形は小さく、フレキシブル回路基板10の入力端の揺れを減少し、これにより第1シーラント101とタッチ層30またはフレキシブル回路基板10との間のクラックの発生を防止することが好ましい。第1シーラント101と第2シーラント102は、ポリアクリレート、エポキシアクリレート、および線状不飽和ポリエステルから選ばれた1種又は複数種であることが好ましい。第1シーラント101と第2シーラント102を形成した後、第1シーラント101と第2シーラントを加熱またはUV硬化によって硬化して、第1シーラント101と第2シーラント102の弾性係数を向上させることが好ましい。
【0041】
例示的に、UV硬化によって硬化される第1シーラント101と第2シーラント102は、以下の条件を満たす必要がある。第1シーラント101の粘度は2000cps以下であり、第2シーラント102の粘度は1000~6000cpsであり、硬化波長はいずれも365nmであり、硬化エネルギーはいずれも2000mj/cm2以下であり、硬化深さはいずれも1mm以下であり、射出温度はいずれも50°C以下であり、第2シーラント102のショア硬度はD50以下であり、収縮率はいずれも2.5%未満であることが好ましい。
【0042】
他の実施例によって提供される表示パネルは、タッチ層30と補助透明層40との間に配置された偏光子50をさらに含む。偏光子50は、光を処理して、表示パネルの表示効果を向上させることができる。
【0043】
光学接着剤は、偏光子50とタッチ層30との間の接続を実現するために、偏光子50とタッチ層30との間に配置される。
【0044】
本実施例で提供される表示パネルの製造プロセスは以下の通りである。取り付け段差を有するタッチ層30を形成した後、タッチ層30の取り付け段差にフレキシブル回路基板10を貼り付けて、タッチ層30とフレキシブル回路基板10との境界位置に第1シーラント101を形成して、これによりタッチ層30とフレキシブル回路基板10との間の境界線を封止し、同時に、第1シーラント101は、境界位置でのタッチ層30を覆って、外気が境界位置でのタッチ層30に接触するのを防ぐことができ、その後、偏光子50でタッチ層30を覆う。偏光子50は光学接着剤を介してタッチ層30に接続することができ、補助透明層40は、偏光子50のタッチ層30に面していない表面上に形成される。カバープレート20に面する補助透明層40の表面とカバープレート20との間の距離は、カバープレート20に面する第1シーラント101の表面とカバープレート20との間の距離以下である。その後、カバープレート20で補助透明層40の上を覆って、表示パネルの製造を完了する。
【0045】
好ましくは、上記の製造工程において、偏光子50のカバープレート20に面する表面に予め補助透明層40を貼り付けて透明アセンブリを形成し、第1シーラント101を形成した後、透明アセンブリをタッチ層30に取り付けて、カバープレート20で補助透明アセンブリを覆う。これにより、表示パネルの製造時間を短縮し、加工を容易にすることができる。
【0046】
一実施例では、偏光子50は、さらにタッチ層30のカバープレート20に面していない側に配置されてもよい。このとき、偏光子50とタッチ層30は光学接着剤によって接続されてもよく、タッチ層30は補助透明層40を介してカバープレート20に接続される。
【0047】
図2は、本開示の実施例によって提供される表示パネル内の封止層と流動バリア媒体の位置の概略図である。
【0048】
図2を参照して、本実施例で提供される表示パネルはさらに、封止層601と、発光方向に沿って順に積み重ねられた基板60および表示層70とを含み、封止層601は、カバープレート20と基板60との間に位置し、且つ表示層70の外縁の周りに配置される。封止層601は、表示層70の外縁の周りに配置され、これにより、外気が表示層70内の各フィルム層に接触することを防ぎ、さらに表示パネルの封止性能を向上させることができる。
【0049】
封止層601は、基板60上に形成され、基板60からカバープレート20と接触するまで上方に延びていることが好ましい。このとき、封止層601は、カバープレート20と基板60との間のすべてのフィルム層を取り囲み、これにより表示パネルの封止性能をさらに向上させる。
【0050】
本実施例では、封止層601と表示層70との間に隙間があり、隙間は流動バリア媒体602で満たされている。流動バリア媒体602は、外気が表示層70の各フィルム層に接触することをさらに防ぐことができ、表示パネルの封止性能をさらに向上させることができる。また、流動バリア媒体602は、ある程度の流動性を有しており、流動バリア媒体602は、基板60、カバープレート20および表示層70の移動および変形に応じて、形状の調整を行うことができる。ここで、隙間は、表示層70の外側を取り囲んでいる。
【0051】
流動バリア媒体602は、流動性、半流動性、ゲル状等の変形可能な非固体状であり、一定の流動性を有するため、表示パネルを折り曲げるとき、封止層601と表示層70との間に充填される流動バリア媒体602は、基板60およびカバープレート20の曲がりに従って対応する変形が発生し、これにより封止層と表示層70との間の隙間の形状と常に一致する。このようにして、流動バリア媒体602は、表示層70の縁部の外側の領域を常に封止して、表示層70が外気と接触するのを防ぐことができる。
【0052】
流動バリア媒体602は、絶縁油を含むことが好ましい。絶縁油は導電性ではないため、表示層70が外部に電気を漏れるのを防ぐことができる。本実施例における流動バリア媒体602はまた、潤滑油などを含み得る。
【0053】
封止層601は、独立気泡フォーム層6014を含むことが好ましい。使用した独立気泡フォームは、独立気泡率が100%で伸縮性に優れ、折り曲げられた後に割れにくい。封止層601と各フィルム層との間の隙間に流動バリア媒体602が充填されるとき、独立気泡フォーム層6014は、流動バリア媒体602が封止層601に浸透するのを防ぎ、隙間内の流動バリア媒体602の体積が減少するのを防ぎ、また、外気が封止層601に侵入することを防ぐことができる。
【0054】
本実施例では、封止層601は、さらにシリコーン部材または熱可塑性ポリウレタンエラストマーゴム(Thermoplastic polyurethane、TPU)部材から構成されてもよく、該封止層601の耐湿性、耐水性、耐放射線性、および耐候性を向上させて、さらに該表示パネルの全体的なパフォーマンスを向上させることができる。
【0055】
本実施例では、表示層70は、画像を表示するために使用される。具体的には、表示層70は、基板60上に形成されたアレイ基板と、アレイ基板上に形成されたピクセル規定層を含んでもよく、接続接着剤を介してタッチ層に接続されたパッケージ層によってパッケージされる。流動バリア媒体602は、補助透明層40と封止層との間の隙間にある。アレイ基板には、薄膜トランジスタが設けられており、薄膜トランジスタを介してピクセル規定層の発光ユニットを制御して発光させることができる。基板60は、アレイ基板を運搬するために使用され、製造中、基板60は最初に形成され、次に、アレイ基板、ピクセル規定層、およびタッチ層30等のフィルム層が、基板60上に順次形成される。
【0056】
続いて
図2を参照して、表示層70の外側にパッケージバンク701が設けられ、パッケージ層80は、表示パネルの外側へ延び、且つパッケージバンクを覆って表示層70をパッケージする。タッチ層30は、パッケージ層80のカバープレート20に面する側に配置され、例えば、光学接着剤であり得る接続接着剤301によってパッケージ層80に接続される。偏光子50は、タッチ層30とカバープレート20との間に配置され、光学接着剤を介してタッチ層30に接続されてもよい。補助透明層40は光学接着剤層であってもよく、光学接着剤層はカバープレート20と偏光子50との間に配置され、カバープレート20と偏光子50との間の接続を実現する。光学接着剤層の縁部は、基板60に向かって延びて封止側縁部を形成し、封止側縁部は、基板60と光学接着剤層との間のフィルム層を包んで、表示パネルの封止性能をさらに向上させることができ、流動バリア媒体602は、封止側縁部と封止層601との間の隙間に充填される。
【0057】
本実施例では、封止層601は、発光方向に沿って積み重ねられた複数の封止副層、例えば3つの封止副層6011、6012、および6013を含む。表示パネルが曲げられるとき、隣接する封止副層の間で相対的なスライドが発生し、応力集中による各フィルム層の損傷を防ぐことができる。また、隣接する封止副層間の相対的なスライドは、封止層601全体がカバープレート20と基板60との間でスライドすることを回避し、封止層601の安定性を向上させる。
【0058】
封止層601は、接着剤によってカバープレート20および基板60に接続することができ、接着剤は光学接着剤であってもよい。隣接する封止副層は、隣接する封止副層間の封止性能を確実に確保するために、押圧によって接続されてもよい。
【0059】
例示的に、封止副層の数は2つであってもよく、基板60の近くの封止副層は表示層70と同じ層に設けられ、カバープレート20の近くの封止副層は偏光子50および/またはタッチ層30と同じ層に設けられ、表示パネルが曲げられるとき、基板60に近い封止副層は表示層70と同期して移動し、カバープレート20に近い封止副層はその対応するフィルム層と同期して移動する。勿論、封止副層の数は3つであってもよく、相応に、基板60の近くの封止副層は表示層70と同じ層に設けられ、他の2つの封止副層のうちの1つはタッチ層30と同じ層に設けられ、もう1つは偏光子50と同じ層に設けられ、表示パネルが曲げられるとき、3つの封止副層がそれぞれその対応するフィルム層と同期して移動する。本実施例における封止副層の数はさらに、4つ、5つなどであってもよい。
【0060】
他の実施例では、上記の表示パネルを含む表示装置をさらに提供する。
【0061】
ここで、表示装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、電子書籍、電子ペーパー、スマートウォッチ、ノートブックコンピュータ、デジタルフレーム、ナビゲーターなどの表示機能を備えた製品や部品であってもよい。
【0062】
本実施例で提供される表示装置では、補助透明層40がタッチ層30とカバープレート20との間でカバープレート20に近接して設けられ、補助透明層40のカバープレート20に面する表面とカバープレート20との距離は、第1シーラント101のカバープレート20に面する表面とカバープレート20との距離よりも大きくない。カバープレート20を取り付けるとき、カバープレート20は最初に補助透明層40に接触し、これにより、第1シーラント101に加わる力によって引き起こされ、第1シーラント101とタッチ層30およびフレキシブル回路基板10との間のクラックの発生を回避することができる。
【0063】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施例は、本開示の技術的解決手段を説明するためのものだけであり、これを制限するものではなく、前述の各実施例を参照しながら本開示を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施例に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又はすべての技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質が本開示の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないと理解すべきである。