IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷却システム 図1
  • 特許-冷却システム 図2
  • 特許-冷却システム 図3
  • 特許-冷却システム 図4
  • 特許-冷却システム 図5
  • 特許-冷却システム 図6
  • 特許-冷却システム 図7
  • 特許-冷却システム 図8
  • 特許-冷却システム 図9
  • 特許-冷却システム 図10
  • 特許-冷却システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20230213BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230213BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20230213BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20230213BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/627
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021539698
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 JP2019031582
(87)【国際公開番号】W WO2021028962
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中濱 敬文
(72)【発明者】
【氏名】三ッ本 憲史
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-56373(JP,A)
【文献】特開2015-109153(JP,A)
【文献】特開2013-157182(JP,A)
【文献】特開2016-091951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0191043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 10/613
H01M 10/6563
H01M 10/627
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に延びた流入通路と、前記流入通路の前記第一方向と交差した第二方向に位置され前記第一方向に延びた流出通路と、前記流入通路と連通し空調装置からの冷却風が流入する流入口と、前記流出通路と連通し前記冷却風が流出する流出口と、が設けられたコンテナと、
前記流入通路と前記流出通路との間に配置され発熱する複数のモジュールを収容した棚部を有し、前記棚部内に前記流入通路と前記流出通路との間に亘って延びた中間通路が設けられた筐体と、
前記流入口と前記空調装置の吐出口とを接続するダクトであって、前記冷却風と面し前記空調装置から前記流入口に近づくにつれて前記第二方向に向かうように傾斜した傾斜面を有したダクトと、
を備えた、冷却システム。
【請求項2】
前記流入口の前記第二方向に沿った開口幅は、前記流入通路の前記第二方向に沿った幅よりも大きい、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記ダクトの前記第一方向に沿った幅は、前記流入口の前記第二方向に沿った開口幅よりも大きい、請求項1または2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記流入通路は、前記筐体と前記第二方向に重なって位置された第一部分と、前記筐体と前記第二方向に重ならずに前記第一部分の前記流入口とは反対側にずれて位置された第二部分と、を有した、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の冷却システム。
【請求項5】
前記第二部分の一部は、前記流出通路と前記第一方向に重なって位置された、請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記コンテナは、第一側壁と、前記第一側壁と交差した第二側壁と、前記第一側壁と前記第二側壁との間に亘った屈曲または傾斜した第三側壁と、を有し、前記第一側壁、前記第二側壁、および前記第三側壁に囲まれ、前記流出口と前記空調装置の吸入口とを接続する接続通路が設けられた、請求項1~5のうちいずれか一つに記載の冷却システム。
【請求項7】
前記コンテナは、前記接続通路と前記コンテナの外側とを連通する連通状態と非連通状態とを切替可能に設けられた開閉扉を有した、請求項6に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第一方向に延びた流入通路および流出通路と、流入通路と連通し空調装置からの冷却風が流入する流入口と、流出通路と連通し冷却風が流出する流出口と、が設けられたコンテナと、流入通路と流出通路との間に配置され発熱する複数のモジュールを収容した棚部を有し、棚部内に流入通路と流出通路との間に亘って延びた中間通路が設けられた筐体と、を備えた冷却システムが、知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-122166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の冷却システムでは、例えば、場所による複数のモジュールの温度ばらつきがより抑制されやすい新規な構成が得られれば、好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷却システムは、例えば、コンテナと、筐体と、ダクトと、を備える。コンテナには、第一方向に延びた流入通路と、流入通路の第一方向と交差した第二方向に位置され第一方向に延びた流出通路と、流入通路と連通し空調装置からの冷却風が流入する流入口と、流出通路と連通し冷却風が流出する流出口と、が設けられる。筐体は、流入通路と流出通路との間に配置され発熱する複数のモジュールを収容した棚部を有し、棚部内に流入通路と流出通路との間に亘って延びた中間通路が設けられる。ダクトは、流入口と空調装置の吐出口とを接続するダクトであって、冷却風と面し空調装置から流入口に近づくにつれて第二方向に向かうように傾斜した傾斜面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の冷却システムが適用された蓄電池システムの例示的かつ模式的な断面図であって、図2のI-I断面図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、図1のIII-III断面図である。
図4図4は、図1の一部の拡大図である。
図5図5は、第1変形例の冷却システムが適用された蓄電池システムの例示的かつ模式的な断面図であって、図6のV-V断面図である。
図6図6は、図5のVI-VI断面図である。
図7図7は、第2変形例の冷却システムが適用された蓄電池システムの例示的かつ模式的な断面図である。
図8図8は、第3変形例の冷却システムが適用された蓄電池システムの例示的かつ模式的な断面図である。
図9図9は、図8のIX-IX断面図である。
図10図10は、第4変形例の冷却システムが適用された蓄電池システムの例示的かつ模式的な断面図である。
図11図11は、第5変形例の冷却システムが適用された蓄電池システムの例示的かつ模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0008】
また、以下に開示される実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0009】
[実施形態]
図1は、実施形態の冷却システムが適用された蓄電池システム1の断面図であって、図2のI-I断面図である。図1に示されるように、蓄電池システム1は、例えば、コンテナ2と、筐体3と、複数の電池モジュール4と、空調装置5と、ダクト6と、を備えている。複数の電池モジュール4は、互いに間隔をあけた状態で筐体3の各棚部10に収容されている。電池モジュール4は、モジュールの一例である。
【0010】
本実施形態では、複数の電池モジュール4の出力端子部が直列あるいは並列に接続されることによって、コンテナ型の蓄電池システム1が構成されている。このコンテナ型の蓄電池システム1は、例えば、屋外の設備等や、非常用の電源として使用されうる。なお、冷却システムは、この例には限定されず、例えば、各棚部10にモジュールとしての複数のコンピュータが収容された所謂コンテナ型のデータセンタ等に適用されてもよい。
【0011】
以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、コンテナ2の前後方向(長手方向)に沿い、Y方向は、コンテナ2の左右方向(幅方向、短手方向)に沿い、Z方向は、コンテナ2の高さ方向(上下方向)に沿う。X方向は、第一方向の一例であり、Y方向は、第二方向の一例である。
【0012】
なお、以下の説明では、便宜上、X方向を単に前方と称し、X方向の反対方向を単に後方と称し、Y方向を単に左方と称し、Y方向の反対方向を単に右方と称し、Z方向を単に上方と称し、Z方向の反対方向を単に下方と称する場合がある。
【0013】
図2は、図1のII-II断面図である。図1,2に示されるように、コンテナ2は、例えば、X方向に長い直方体状の箱型に構成されている。コンテナ2は、底壁2aや、天壁2b、前壁2c、左壁2d、後壁2e、右壁2f、仕切壁2g等の複数の壁部を有している。底壁2aは、下壁とも称され、天壁2bは、上壁とも称される。また、前壁2c、左壁2d、後壁2e、右壁2f、および仕切壁2gは、側壁や、周壁等とも称される。
【0014】
底壁2aおよび天壁2bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。底壁2aは、コンテナ2の下端部を構成し、天壁2bは、コンテナ2の上端部を構成している。
【0015】
前壁2cおよび後壁2eは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁2cは、底壁2aおよび天壁2bのX方向の端部の間に亘り、後壁2eは、底壁2aおよび天壁2bのX方向の反対方向の端部の間に亘っている。前壁2cは、コンテナ2の前端部を構成し、後壁2eは、コンテナ2の後端部を構成している。
【0016】
左壁2dおよび右壁2fは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。左壁2dは、底壁2aおよび天壁2bのY方向の端部の間に亘り、右壁2fは、底壁2aおよび天壁2bのY方向の反対方向の端部の間に亘っている。左壁2dは、コンテナ2の左端部を構成し、右壁2fは、コンテナ2の右端部を構成している。
【0017】
仕切壁2gは、前壁2cと後壁2eとの間に位置され、左壁2dと右壁2fとの間に亘っている。仕切壁2gは、前壁2cおよび後壁2eと平行である。仕切壁2gは、コンテナ2内をX方向に複数の空間としての空調室2xおよび電気室2yに仕切っている。空調室2xは、仕切壁2gよりも前方に位置され、電気室2yは、仕切壁2gよりも後方に位置されている。
【0018】
図1に示されるように、空調室2xには、空調装置5や、後述するダクト6、接続通路P4等が設けられている。電気室2yには、筐体3や、電池モジュール4、流入通路P1、流出通路P2、中間通路P3等が設けられている。なお、空調装置5は、この例には限定されず、例えば、コンテナ2の外側に設けられてもよい。
【0019】
また、仕切壁2gには、流入口2sおよび流出口2tが設けられている。流入口2sおよび流出口2tは、仕切壁2gをX方向に貫通した貫通孔である。流入口2sは、仕切壁2gのY方向の中央部に位置され、流出口2tは、仕切壁2gのY方向の両端部に位置されている。
【0020】
流入口2sは、空調室2xのダクト6と電気室2yの流入通路P1とを連通している。本実施形態では、空調装置5およびダクト6は、流入口2sとX方向に並んで位置されている。流出口2tは、空調室2xの接続通路P4と電気室2yの流出通路P2とを連通している。
【0021】
流入口2sおよび流出口2t(図2参照)は、仕切壁2gのZ方向の略全域に亘って設けられている。言い換えると、流入口2sおよび流出口2tは、X方向から見た場合に、筐体3の上端部と下端部との間に亘って延びている。
【0022】
流入通路P1(図1参照)は、電気室2y内において、Y方向に離間した二つの筐体3の間に設けられている。流入通路P1は、筐体3に沿って、すなわちX方向およびZ方向に沿って、広がっている。流入通路P1には、電池モジュール4と熱交換を行う前の冷たい冷却風Bが流れる。
【0023】
流出通路P2は、電気室2y内において、左壁2dと筐体3との間、および右壁2fと筐体3との間に設けられている。流出通路P2は、左壁2dおよび右壁2fに沿って、すなわちX方向およびZ方向に沿って、広がっている。流出通路P2には、電池モジュール4と熱交換を行った後の冷却風Bが流れる。
【0024】
中間通路P3は、筐体3の各棚部10内において、電池モジュール4の周囲に設けられている。中間通路P3は、Y方向に沿って延び、流入通路P1と流出通路P2との間に亘っている。言い換えると、流入通路P1と流出通路P2とは、Y方向にずれて位置されている。
【0025】
接続通路P4は、空調室2x内において、空調装置5およびダクト6の周囲に設けられている。接続通路P4は、左壁2d、右壁2f、および前壁2cに沿って延び、Z方向の視線では、X方向の反対方向に向けて開放された略U字状に構成されている。接続通路P4は、流出口2tと空調装置5の吸入口5bとを接続している。
【0026】
空調装置5は、空調室2xに設置されている。空調装置5の吐出口5aから吐出された冷却風Bは、ダクト6、および流入口2sを経由して、電気室2y内の流入通路P1へと供給される。
【0027】
そして、冷却風Bは、電気室2y内をY方向およびその反対方向に横断するように中間通路P3を通過し、流出通路P2で集約されて流出口2tから排出される。接続通路P4に排出された冷却風Bは、空調装置5のファン等によって吸入口5b内に吸気され、熱交換器等によって冷却され、電気室2y内に再び供給される。
【0028】
図3は、図1のIII-III断面図である。図3に示されるように、筐体3は、例えば、底壁3aや、天壁3b、前壁3c、後壁3d、棚壁3g、仕切壁3f等の複数の壁部を有している。
【0029】
底壁3aおよび天壁3bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。底壁3aは、筐体3の下端部を構成し、天壁3bは、筐体3の上端部を構成している。底壁3aは、コンテナ2の底壁2aに支持されている。
【0030】
前壁3cおよび後壁3dは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁3cは、底壁3aおよび天壁3bのX方向の端部の間に亘り、後壁3dは、底壁3aおよび天壁3bのX方向の反対方向の端部の間に亘っている。
【0031】
前壁3cは、コンテナ2の仕切壁2gと面し、後壁3dは、コンテナ2の後壁2eと面している。なお、前壁3cと仕切壁2gとの間の隙間や、後壁3dと後壁2eとの間の隙間、天壁3bと天壁2bとの間の隙間等には、冷却風Bが流入通路P1から中間通路P3を経由せずに流出通路P2に排出されるのを抑制するシール部材等が設けられるのが好ましい。
【0032】
棚壁3gは、底壁3aと天壁3bとの間に位置され、前壁3cと後壁3dとの間に亘っている。筐体3には、複数の棚壁3gがZ方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。棚壁3gは、底壁3aおよび天壁3bと平行である。棚壁3gは、筐体3内の棚部10をZ方向に複数の空間(収容室)に仕切っている。
【0033】
仕切壁3fは、前壁3cと後壁3dとの間に位置され、底壁3aと天壁3bとの間に亘っている。筐体3には、複数の仕切壁3fがX方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。仕切壁3fは、前壁3cおよび後壁3dと平行である。仕切壁3fは、棚部10をY方向に複数の空間(収容室)に仕切っている。各棚部10には、例えば、それぞれ三つの電池モジュール4がX方向に並んだ状態で収容されている。
【0034】
なお、筐体3は、この例には限定されず、例えば、Y方向の両側に壁部が設けられ、当該壁部に各棚部10と連通するように開口部が設けられてもよい。この場合、当該開口部は、メッシュやフィルタ等の覆部材によって覆われると好適である。
【0035】
また、筐体3は、X方向に分割された複数の分割体によって構成されてもよい。この場合、仕切壁3fは、二つの分割体の前壁3cおよび後壁3d同士が重なること等によって構成されうる。筐体3は、ラック筐体や、電池ラック等とも称される。
【0036】
電池モジュール4は、例えば、モジュール筐体や、モジュール筐体内に収容された複数の電池セル、複数の電池セルの電極部とバスバー等の導電部材を介して電気的に接続された出力端子部等を有している。電池モジュール4は、電池ユニットや、組電池等とも称される。
【0037】
電池セルは、例えば、リチウムイオン二次電池等で構成されうる。なお、電池セルは、ニッケル水素電池や、ニッケルカドミウム電池等、他の二次電池であってもよい。電池セルは、単電池等とも称される。
【0038】
図4は、図1のダクト6の一部を示す。図4に示されるように、ダクト6は、空調装置5の吐出口5aとコンテナ2の流入口2sとを接続している。ダクト6は、例えば、底壁6aや天壁6b(図3参照)、一対の側壁6c,6d(図1,4参照)等を有し、全体としてはX方向に沿って延びた角筒状に構成されている。
【0039】
底壁6aおよび天壁6bは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。底壁6aは、ダクト6の下端部を構成し、天壁6bは、ダクト6の上端部を構成している。底壁6aは、コンテナ2の底壁2aと面し、天壁6bは、コンテナ2の天壁2bと面している。
【0040】
一対の側壁6c,6dは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に互いに間隔をあけて設けられている。側壁6cは、底壁6aおよび天壁6bのY方向の端部の間に亘り、側壁6dは、底壁6aおよび天壁6bのY方向の反対方向の端部の間に亘っている。側壁6cは、ダクト6の左端部を構成し、側壁6dは、ダクト6の右端部を構成している。
【0041】
そして、本実施形態では、一対の側壁6c,6dは、空調装置5から流入口2sに向かうにつれて、Y方向の両側に広がるように傾斜している。すなわち、側壁6cは、流入口2sに近づくにつれてY方向に向かうように傾斜し、側壁6dは、流入口2sに近づくにつれてY方向の反対方向に向かうように傾斜している。
【0042】
一対の側壁6c,6dは、それぞれ、冷却風Bと面した傾斜面6eを有している。傾斜面6eは、内面や、ガイド面、テーパ面等とも称される。傾斜面6eは、空調装置5からダクト6内に吐出された冷却風Bに角度をつけて流入通路P1ひいては中間通路P3へと供給する機能を有している。
【0043】
本実施形態では、側壁6c,6dと仕切壁2gとの間の角度θ、すなわち傾斜面6eの仕切壁2gに対する角度θは、90°よりも大きく180°よりも小さい。
【0044】
すなわち、90°<θ<180°である。
【0045】
ただし、角度θは120°よりも大きいと冷却風Bが傾斜面6eから剥離しやすくなるため、より好ましくは105°以下に設定される。
【0046】
すなわち、90°<θ<105°である。
【0047】
仮に、ダクト6の側壁6c,6dの内面がX方向に沿った水平面であったり空調装置5から流入口2sに向かうにつれてY方向の中央側に狭まるように傾斜した傾斜面であったりした場合、流入通路P1における流入口2s側の電池モジュール4の近くの領域では、流入口2sとは反対側、すなわち後壁2e側と比べて冷却風Bが淀みやすくなる。
【0048】
このため、流入口2s側の中間通路P3を流れる冷却風Bの流速が後壁2e側の中間通路P3を流れる冷却風Bの流速よりも低くなり、ひいては流入口2s側の電池モジュール4の冷却性が低下し得る。
【0049】
その点、本実施形態によれば、ダクト6の側壁6c,6dによって冷却風Bの一部を流入口2s側の電池モジュール4の近くの領域に向けてガイドすることができるため、流入口2s側の中間通路P3を流れる冷却風Bの流速が後壁2e側の中間通路P3を流れる冷却風Bの流速よりも低くなるのを抑制することができる。
【0050】
よって、例えば、冷却風Bによる複数の電池モジュール4の冷却性のばらつきがより抑制されやすく、ひいては場所による電池モジュール4の温度のばらつきがより抑制されやすい。
【0051】
なお、本実施形態では、二つの流出通路P2に対応して傾斜面6eがダクト6のY方向の両側に設けられた場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、流出通路P2および傾斜面6eがY方向の片側のみに設けられてもよい。
【0052】
また、ダクト6の側壁6c,6dは、外面がX方向に沿った水平面であって、内面のみが傾斜していてもよい。また、流入口2sの縁部は、傾斜面6eに沿って傾斜していなくてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、流入通路P1および流入口2s、ならびに流出通路P2および流出口2tが、それぞれX方向(水平方向)に並んで設けられた場合が例示されたが、この例には限定されず、従来(例えば特許文献1の図2)のようにZ方向(上下方向)に並んで設けられてもよい。
【0054】
[第1変形例]
図5は、第1変形例の蓄電池システム1Aの断面図であって、図6のV-V断面図であり、図6は、図5のVI-VI断面図である。蓄電池システム1Aは、上記実施形態の蓄電池システム1と同様の構成を備えている。よって、蓄電池システム1Aは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0055】
ただし、本変形例では、例えば、図5,6に示されるように、流入口2sのY方向に沿った開口幅W1が流入通路P1のY方向に沿った幅W2よりも大きい点が、上記実施形態と相違している。言い換えると、流入口2sは、流入通路P1とX方向に重ならない領域を有している。
【0056】
ダクト6Aは、流入口2sと空調装置5の吐出口5aとを接続している。本変形例では、ダクト6Aの流入口2s側の開口端におけるY方向に沿った開口幅についても、流入通路P1の幅W2よりも大きい。
【0057】
本変形例によれば、流入口2sの開口幅W1が流入通路P1の幅W2よりも大きいため、例えば、傾斜面6eによって冷却風Bの一部を流入口2sに最も近接した電池モジュール4(電池モジュール群)にも供給し、当該電池モジュール4の冷却性を高めることができる。
【0058】
よって、例えば、場所による電池モジュール4の温度のばらつきがより抑制されやすく、ひいては蓄電池システム1Aの寿命を延ばすことができる。
【0059】
[第2変形例]
図7は、第2変形例の蓄電池システム1Bの断面図である。蓄電池システム1Bは、上記実施形態の蓄電池システム1と同様の構成を備えている。よって、蓄電池システム1Bは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0060】
ただし、本変形例では、例えば、図7に示されるように、ダクト6BのX方向に沿った奥幅(長さ)W3が流入口2sのY方向に沿った開口幅W1よりも大きい点が、上記実施形態と相違している。言い換えると、ダクト6Bは、開口幅W1よりも大きくなるようX方向に延長した延長部を含む。
【0061】
ダクト6Bは、流入口2sと空調装置5の吐出口5aとを接続している。本変形例では、傾斜面6eの仕切壁2gに対する角度θは、X方向に延長した分、上記実施形態よりも小さくなっている。
【0062】
このように、本変形例によれば、ダクト6Bの奥幅W3が流入口2sの開口幅W1よりも大きいため、例えば、ダクト6B内を通過する過程で冷却風Bの流速分布がより一様になりやすい。
【0063】
その結果、流入通路P1における流入口2sの近くを流れる冷却風Bの流速が高まるのが抑制され、ひいては当該流入口2s側の電池モジュール4の近くの領域で冷却風Bが淀んだり、あるいは冷却風Bが流出通路P2から流入通路P1へと逆流したりするのを抑制できる。
【0064】
よって、例えば、冷却風Bによる複数の電池モジュール4の冷却性のばらつきがより抑制されやすく、ひいては場所による電池モジュール4の温度のばらつきがより一層抑制されやすい。
【0065】
[第3変形例]
図8は、第3変形例の蓄電池システム1Cの断面図であり、図9は、図8のIX-IX断面図である。蓄電池システム1Cは、上記実施形態の蓄電池システム1と同様の構成を備えている。よって、蓄電池システム1Cは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0066】
ただし、本変形例では、例えば、図8,9に示されるように、流入通路P1が第一部分P1aおよび第二部分P1bを有している点が、上記実施形態と相違している。流入通路P1は、第一部分P1aおよび第二部分P1bによって、Z方向の視線では、略T字状に構成されている。
【0067】
第一部分P1aは、Y方向に離間した二つの筐体3の間に設けられている。第一部分P1aは、筐体3に沿って、すなわちX方向およびZ方向に沿って、広がっている。言い換えると、第一部分P1aは、筐体3、すなわち電池モジュール4とY方向に重なって位置されている。第一部分P1aは、ベース部分等とも称される。
【0068】
第二部分P1bは、筐体3とはY方向に重ならずに第一部分P1aの流入口2sとは反対側、すなわちX方向の反対方向にずれて位置されている。第二部分P1bは、コンテナ2の左壁2dと右壁2fとの間に設けられている。第二部分P1bは、コンテナ2の後壁2eに沿って、すなわちY方向およびZ方向に沿って、広がっている。第二部分P1bは、延長部分等とも称される。
【0069】
また、コンテナ2には、第二部分P1bと流出通路P2とをX方向に仕切る仕切壁2hが設けられている。言い換えると、第二部分P1bの一部は、流出通路P2とX方向に重なって位置されている。仕切壁2hは、仕切壁2gと平行であり、コンテナ2内において、後壁2eと仕切壁2gとの間に位置されている。
【0070】
ここで、コンテナ2内には、流入通路P1を流れる冷却風BのZ方向における流速のばらつき等によって後壁2eの近くの領域でY方向に沿った軸回りの循環流C(図9参照)が生じ得る。
【0071】
このような循環流Cが例えば第一部分P1aで発生すると、これにY方向に対向する筐体3を流出通路P2側へ通過する流速は小さくなる。すなわち、循環流CとY方向に対向する領域の空気流量が他の領域よりも低くなり、ひいては当該対向領域に配置される電池モジュール4の冷却性が低下する。
【0072】
その点、本変形例によれば、流入通路P1における第二部分P1bに循環流Cが生じることとなり、その結果、循環流Cによる電池モジュール4の冷却性の低下を抑制できる。すなわち、循環流Cと電池モジュール4とがX方向にずれて位置される。
【0073】
よって、例えば、場所による電池モジュール4の温度のばらつきがより抑制されやすく、ひいては蓄電池システム1Cの寿命を延ばすことができる。
【0074】
[第4変形例]
図10は、第4変形例の蓄電池システム1Dの断面図である。蓄電池システム1Dは、上記実施形態の蓄電池システム1と同様の構成を備えている。よって、蓄電池システム1Dは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0075】
ただし、本変形例では、例えば、図10に示されるように、コンテナ2に曲面壁2iが設けられている点が、上記実施形態と相違している。曲面壁2iは、コンテナ2の前壁2cと左壁2dとの間に設けられるとともに、前壁2cと右壁2fとの間に設けられている。前壁2cは、第一側壁の一例であり、左壁2dおよび右壁2fは、第二側壁の一例であり、曲面壁2iは、第三側壁の一例である。
【0076】
曲面壁2iは、例えば、空調室2xの中心部に配置された空調装置5を中心とした円弧状に構成されている。言い換えると、曲面壁2iは、前壁2cと左壁2dおよび右壁2fとの間の二つの角部から空調装置5とは反対側に凸の状態で屈曲(湾曲)している。
【0077】
このように、本変形例では、空調室2xには、前壁2c、左壁2d、右壁2f、および曲面壁2iによって囲まれ、流出口2tと空調装置5の吸入口5bとを接続する接続通路P4が設けられている。
【0078】
このような構成によれば、例えば、曲面壁2iによって接続通路P4を流れる冷却風Bの通風抵抗が減少し、ひいては冷却流量が増加して電池モジュール4の冷却性がより高まる。
【0079】
なお、本変形例では、第三側壁が曲面壁2iであった場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、前壁2cおよび左壁2d(右壁2f)と交差(傾斜)した傾斜壁(図11の開閉扉21参照)であってもよい。
【0080】
[第5変形例]
図11は、第5変形例の蓄電池システム1Eの断面図である。蓄電池システム1Eは、上記第4変形例の蓄電池システム1Dと同様の構成を備えている。よって、蓄電池システム1Eは、当該同様の構成に基づく上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0081】
ただし、本変形例では、例えば、図11に示されるように、コンテナ2に開閉扉21,22が設けられている点が、上記第4変形例と相違している。開閉扉21,22は、それぞれ、コンテナ2の前壁2cと左壁2dとの間に設けられるとともに、前壁2cと右壁2fとの間に設けられている。開閉扉21,22は、第三側壁の一例である。
【0082】
本変形例では、開閉扉21,22は、接続通路P4とコンテナ2の外側の空間とを連通する連通状態と今まで述べた非連通状態とを切替可能に設けられている。
【0083】
具体的には、開閉扉21は、コンテナ2にZ方向に沿った回転軸を有したヒンジ23を介して、回転可能に支持されている。開閉扉21は、ヒンジ23の回転軸回りに回転することで、接続通路P4を閉じる閉位置P11と、接続通路P4を開放する開位置P12との間で、移動可能である。また、開閉扉21に対してY方向の中央側にずれて位置された開閉扉22についても、同様である。閉位置P11,P13は、非連通状態の一例であり、開位置P12,P14は、連通状態の一例である。
【0084】
本変形例によれば、開閉扉21,22によって連通状態と非連通状態とを切り替えることにより、例えば、コンテナ2の外側の外気で電池モジュール4を冷却する外気モードと、コンテナ2の内側の空調装置5による低温の冷却空気流れで電池モジュール4を冷却する空調モードと、を選択することができる。
【0085】
その結果、例えば、外気が十分低温という条件下では、外気モードを利用して空調装置5のファンのみを稼働する負荷の低い状態で、電池モジュール4を冷却することができるという利点がある。
【0086】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11