(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】調理器具
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230213BHJP
A47J 27/04 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
A47J27/00 103B
A47J27/04 C
(21)【出願番号】P 2021553163
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2019114406
(87)【国際公開番号】W WO2020238004
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】201920831839.8
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515117198
【氏名又は名称】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN SHUNDE MIDEA ELECTRICAL HEATING APPLIANCES MANUFACTURING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】San Le Road #19,Beijiao,Shunde Foshan,Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼勝華
(72)【発明者】
【氏名】劉化勇
(72)【発明者】
【氏名】黄韋銘
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106580115(CN,A)
【文献】特開2007-135729(JP,A)
【文献】特開2014-217537(JP,A)
【文献】国際公開第2017/216277(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105193283(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と隔離部とを含む調理器具であって、
前記本体部内には調理チャンバーが形成され、前記隔離部は、少なくとも部分的に前記調理チャンバー内に設けられ、且つ媒体置換部と、食物を収容できる収容部とを含み、
前記収容部内には第1空間が形成され、前記本体部と前記収容部及び前記媒体置換部との間には第2空間が形成され、前記媒体置換部内には第3空間が形成され、前記第2空間は前記第1空間と前記第3空間とにそれぞれ連通し、
前記収容部は、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる収容部貫通穴を有し、
前記媒体置換部は前記第2空間と前記第3空間とを連通させる開口を有し、前記媒体置換部には
前記第3空間に連通する排気用の排気微細穴が設けられ、
前記
第3空間の圧力を変える
ことで、圧力が変えられた前記第3空間内の液体を減少又は増加させることにより、
前記第1空間及び前記第2空間のうち少なくとも1
つ空間内の液位を変化させる、
ことを特徴とする調理器具。
【請求項2】
前記収容部は収容部周壁と収容部底壁とを含み、前記収容部貫通穴は前記収容部周壁及び/又は前記収容部底壁に形成される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の調理器具。
【請求項3】
前記収容部は前記媒体置換部に接続される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の調理器具。
【請求項4】
前記媒体置換部は少なくとも部分的に前記収容部の底部に設けられる、
ことを特徴とする請求項
3に記載の調理器具。
【請求項5】
前記第3空間の前記調理器具の中心軸線に垂直の投影面における正投影面積はS1であり、前記調理器具は加熱部をさらに含み、前記加熱部の前記投影面における正投影面積はS2であり、S1とS2は関係式S1≧1/3S2を満たし、さらにS1≧1/2S2を満たす、
ことを特徴とする請求項
4に記載の調理器具。
【請求項6】
前記第3空間の体積Vは関係式V≧80mlを満たし、さらに、Vは80Nml≦V≦200Nmlを満たし、さらに、Vは100Nml≦V≦180Nmlを満たし、前記調理器具で米飯を調理する場合に最大調理量はN杯の米であり、1杯の米は140g~160gである、
ことを特徴とする請求項
3に記載の調理器具。
【請求項7】
前記収容部は収容部周壁と収容部底壁とを含み、
前記排気微細穴は前記収容部底壁
に設けられ、前記媒体置換部は前記排気微細穴を取り囲み、前記排気微細穴は前
記第3空間と前
記第1空間とを連通させる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の調理器具。
【請求項8】
前記収容部底壁には凸リブが設けられ、前記排気微細穴は前記凸リブに開設される、
ことを特徴とする請求項
7に記載の調理器具。
【請求項9】
前記凸リブは複数段であり、且つ複数段の前記凸リブは前記収容部底壁の中心から放射状に分布し、各段の前記凸リブにはいずれも前記排気微細穴が設けられる、
ことを特徴とする請求項
8に記載の調理器具。
【請求項10】
前記第1、第2及び第3空間のうち少なくとも1つ
の空間の体積は、可変であり、可変空間として構成される、
ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか一項に記載の調理器具。
【請求項11】
前記可変空間は弾性チャンバーによって囲んで形成され、前記弾性チャンバーは弾性的に収縮又は拡張して前記可変空間の体積を変える、
ことを特徴とする請求項
10に記載の調理器具。
【請求項12】
前記調理器具はガス充填放出装置をさらに含み、前記ガス充填放出装置は前記弾性チャンバーに接続され、且つ前記可変空間内のガスを引き出し又は前記可変空間内にガスを充填するために用いられる、
ことを特徴とする請求項
11に記載の調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、佛山市順徳区美的電熱電器制造有限公司が2019年5月31日に提出した、名称が「調理器具」である中国特許出願第201920831839.8号の優先権を主張する。
【0002】
本願は、家電分野に関し、特に、調理器具に関する。
【背景技術】
【0003】
瀝米飯(茹でた米を蒸して作ったご飯)は、中国で甑子飯とも呼ばれ、その製作で重要なステップは、研いだ米を水に入れて沸騰するまで茹で、一定の時間後にすくい上げて濾過し、残った米飯は蒸し器で蒸して熟成させる一方、米のとぎ汁は残して後で飲む。
【0004】
従来の炊飯器では既に瀝米飯を作る機能が実現されているが、米を炊飯器に入れた後、米飯が米のとぎ汁から糖分を充分に吸収するため、炊飯器で作った米飯は糖尿病患者に適さず、しかも米飯の糖含有量が高くなるため、ユーザーは米飯を食べたら、太りやすいのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、食材と水の分離方式が改善される調理器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の調理器具によれば、前記調理器具は調理チャンバーを有し、前記調理チャンバーは複数の空間に分割され、特定の1つ又は複数の前記空間の圧力を変えることにより、少なくとも1つの他の前記空間内の液位を変化させる。
【0007】
本願の調理器具によれば、食材、例えば米を圧力が変えられない前記空間内に入れることで、食材と水の分離方式が改善され、特定の1つ又は複数の前記空間の圧力を変えることにより、少なくとも1つの他の前記空間内の液位を調整することができ、食材と水の分離を制御できるようになる。
【0008】
本願のいくつかの実施例によれば、特定の1つ又は複数の前記空間の圧力を変えることにより、圧力が変えられた前記空間内の液体を減少又は増加させる。
【0009】
本願のいくつかの実施例によれば、前記調理器具は本体部と、隔離部とを含み、前記調理チャンバーは前記本体部内に形成され、前記隔離部は少なくとも部分的に前記調理チャンバー内に設けられ、且つ前記調理チャンバーを複数の前記空間に分割する。
【0010】
本願のいくつかの実施例によれば、前記空間は2つ又は3つ以上である。
【0011】
本願のいくつかの実施例によれば、前記隔離部は食物を収容できる収容部を含み、前記収容部内には第1空間が形成され、前記収容部と前記本体部とで第2空間が限定され、前記第1空間と前記第2空間とは連通する。
【0012】
本願のいくつかの実施例によれば、前記収容部は収容部貫通穴を有し、前記収容部貫通穴は前記第1空間と前記第2空間とを連通させ、前記収容部は収容部周壁と収容部底壁とを含み、前記収容部貫通穴は前記収容部周壁及び/又は前記収容部底壁に形成される。
【0013】
本願のいくつかの実施例によれば、前記隔離部は食物を収容できる収容部と、媒体置換部とを含み、前記収容部内には第1空間が形成され、前記本体部と前記収容部及び前記媒体置換部との間には第2空間が形成され、前記媒体置換部内には第3空間が形成され、前記第2空間は前記第1空間と前記第3空間とにそれぞれ連通する。
【0014】
本願のいくつかの実施例によれば、前記収容部は前記媒体置換部に接続される。
【0015】
本願のいくつかの実施例によれば、前記媒体置換部は少なくとも部分的に前記収容部の底部に設けられる。
【0016】
本願のいくつかの実施例によれば、前記第3空間の前記調理器具の中心軸線に垂直の投影面における正投影面積はS1であり、前記調理器具は加熱部をさらに含み、前記加熱部の前記投影面における正投影面積はS2であり、S1とS2は関係式S1≧1/3S2を満たし、さらにS1≧1/2S2を満たす。
【0017】
本願のいくつかの実施例によれば、前記第3空間の体積Vは関係式V≧80mlを満たし、さらにVは80Nml≦V≦200Nmlを満たし、さらにVは100Nml≦V≦180Nmlを満たし、前記調理器具で米飯を調理する場合に最大調理量はN杯の米であり、1杯の米は140g~160gである。
【0018】
本願のいくつかの実施例によれば、前記収容部は収容部貫通穴を有し、前記収容部貫通穴は前記第1空間と前記第2空間とを直接的に連通させ、前記媒体置換部は前記第2空間と前記第3空間とを直接的に連通させる開口を有する。
【0019】
本願のいくつかの実施例によれば、前記媒体置換部には、前記媒体置換部内の第3空間に連通する排気用の排気微細穴も配置される。
【0020】
本願のいくつかの実施例によれば、前記収容部は収容部周壁と収容部底壁とを含み、前記収容部底壁には排気微細穴が設けられ、前記媒体置換部は前記排気微細穴を取り囲み、前記排気微細穴は前記媒体置換部内の第3空間と前記収容部内の第1空間とを連通させる。
【0021】
本願のいくつかの実施例によれば、前記収容部底壁には凸リブが設けられ、前記排気微細穴は前記凸リブに開設される。
【0022】
本願のいくつかの実施例によれば、前記凸リブは複数段であり、且つ複数段の前記凸リブは前記収容部底壁の中心から放射状に分布し、各段の前記凸リブにはいずれも前記排気微細穴が設けられる。
【0023】
本願のいくつかの実施例によれば、前記収容部は収容部周壁と、収容部底壁とを含み、前記収容部貫通穴は前記収容部周壁及び/又は前記収容部底壁に設けられる。
【0024】
本願のいくつかの実施例によれば、少なくとも1つの前記空間の体積は、可変であり、可変空間として構成される。
【0025】
本願のいくつかの実施例によれば、前記可変空間は弾性チャンバーによって囲んで形成され、前記弾性チャンバーは弾性的に収縮又は拡張して前記可変空間の体積を変える。
【0026】
本願のいくつかの実施例によれば、前記調理器具はガス充填放出装置をさらに含み、前記ガス充填放出装置は前記弾性チャンバーに接続され、且つ前記可変空間内のガスを引き出し又は前記可変空間内にガスを充填するために用いられる。
【0027】
本願の他の態様及び利点は次の説明で記載され、その一部は次の説明から明らかになり、又は本願の実施で把握されるものだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願の実施例に係る調理器具の断面図である。
【
図2】本願の実施例に係る調理器具に米を入れた時の概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る調理器具内の水が沸騰する前の概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る調理器具内の水が沸騰する時の概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る調理器具で米飯を蒸す時の概略図である。
【
図6】本願の実施例に係る調理器具の収容部及び媒体置換部の概略図である。
【
図7】本願の実施例に係る調理器具の収容部及び媒体置換部の別の実施例の概略図である。
【
図8】
図7における収容部及び媒体置換部の断面図である。
【
図9】本願の実施例に係る調理器具の収容部及び媒体置換部の別の実施例の概略図である。
【
図10】
図9における収容部及び媒体置換部の別の角度からの概略図である。
【
図11】
図9における収容部及び媒体置換部の断面図である。
【
図12】本願の実施例に係る調理器具の収容部及び媒体置換部の別の実施例の概略図である。
【
図13】
図12における収容部及び媒体置換部の断面図である。
【
図14】本願の実施例に係る調理器具の収容部及び媒体置換部の別の実施例の概略図である。
【
図15】
図14における収容部及び媒体置換部の断面図である。
【
図16】本願の実施例に係る調理器具の収容部及び媒体置換部の別の実施例の概略図である。
【
図17】
図16における収容部及び媒体置換部の別の角度からの概略図である。
【
図18】
図16における収容部及び媒体置換部の断面図である。
【
図19】
図16における収容部及び媒体置換部の分解図である。
【
図20】本願の実施例に係る調理器具の媒体置換部は媒体置換板として設けられることの概略図である。
【
図21】本願の実施例に係る調理器具の制御方法のフローチャートである。
【
図22】本願の実施例に係る調理器具の調理チャンバーの概略図である。
【
図23】本願の実施例に係る調理器具内に設けられる収容部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本願の実施例を詳細に説明し、図面には前記実施例の例が示され、常に同じ又は類似の符号で同じもしくは類似の部品又は同じもしくは類似の機能を有する部品を表す。図面を参照して説明された実施例は例示的なもので、本願の解釈に供するもので、本願に対する制限と理解されるものではない。
【0030】
なお、本願の説明で、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」などで指示した方位又は位置関係は図面に示す方位又は位置関係に基づくもので、本願の説明及び説明の簡素化のためのものに過ぎず、対象の装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位で構造又は操作されなければならないことを示すものでもこれを示唆するものでもなく、したがって本願に対する制限とは理解されない。
【0031】
また、用語「第1」、「第2」は説明するためだけに用いられるもので、相対的な重要性を示しもしくはこれを示唆するものとしても、対象となる技術的特徴の数量を暗黙的に示すものとしても理解されるべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定される特徴は1つ又は複数の当該特徴を明示的に含んでもよいし又は暗黙的に含んでもよい。本願の説明で、「複数」とは少なくとも2つを意味し、例えば2つ、3つなどであり、ただし他に明確で具体的な限定がなされる場合は除く。
【0032】
本願で、特に明確な規定又は限定がなされる場合を除き、「取り付ける」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広義で理解されるべきであり、例えば、固定して接続されることであってもよいし、取り外し可能に接続されることであってもよいし、又は一体的であることであってもよく、機械的に接続されることであってもよいし、電気的に接続されることであってもよいし、又は互いに通信することであってもよく、直接的に接続されることであってもよいし、中間の介在物を介して間接的に接続されることであってもよく、2つの部品が内部で連通することであってもよいし、2つの部品の相互作用であってもよい。当業者であれば、状況に応じて前記用語の本願での意味を具体的に理解することができる。
【0033】
本願で、特に明確な規定又は限定がなされる場合を除き、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるとは、第1特徴と第2特徴が直接的に接触することを含んでもよいし、第1特徴と第2特徴が直接的に接触するのではなくそれらの間にある別の特徴を介して接触することを含んでもよい。且つ、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」に位置するとは、第1特徴が第2特徴の真上にもしくは斜め上方に位置することを含み、又は第1特徴は第2特徴よりも水平面に対する高さが大きいことを表してもよい。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」又は「下面」に位置するとは、第1特徴が第2特徴の真下にもしくは斜め下方に位置することを含み、又は第1特徴は第2特徴よりも水平面に対する高さが小さいことを表してもよい。
【0034】
次に、
図1~
図23を参照して本願の実施例の調理器具10を説明する。
【0035】
図1~
図23に示すように、本願の実施例の調理器具10によれば、調理器具10は炊飯器、電気圧力鍋、電気煮込み専用鍋、電磁調理器又はヘルスポットであってもよく、本願では調理器具10が炊飯器であるのを例に説明するが、本願の保護範囲がこれに限定されない。当業者が本願の明細書を読み終え、本願の趣旨を把握すると、本願の調理器具10を電気圧力鍋、電気煮込み専用鍋、電磁調理器又はヘルスポットなどに用いることもできる。
【0036】
いくつかの実施例において、調理器具10は本体部1と、収容部2と、媒体置換部3とを含んでもよく、収容部2は食材、例えば米を収容するために用いられる。本体部1内には調理チャンバー11を有し、いくつかの実施例において、調理チャンバー11は本体部1の鍋体部12と上蓋部13とによって限定され形成された空洞部であってもよい。
【0037】
収容部2は調理チャンバー11内に設けられ、媒体置換部3は調理チャンバー11内に設けられ、媒体置換部3は第1媒体39と第2媒体31の入れ替えを実現して、調理チャンバー11内の液位を変えるために用いられる。
【0038】
例えば、媒体置換部3は第1媒体39(
図4参照)で媒体置換部3内に位置する液態の第2媒体31(
図4参照)を入れ替えることで、入れ替えられた第2媒体31が媒体置換部3から排出され、第2媒体31が調理チャンバー11に流入することにより、調理チャンバー11内の液位を変えるように設けられる。なお、第1媒体39は媒体置換部3の外部から提供されてもよく、媒体置換部3内に入って第2媒体31の入れ替えを実現し、又は、第1媒体39は媒体置換部3の内部から提供されてもよく、例えば媒体置換部3内の液体、例えば水を加熱することにより、内部で気態の第1媒体39が生成され、第1媒体39は内部から液態の水を媒体置換部3の外部に排出させることができ、なお、第1媒体39の提供は前記2つの形態の組み合わせであってもよく、しかもこれに限定されない。
【0039】
もう一例として、媒体置換部3はさらに、媒体置換部3の外部にあり且つ液態である第2媒体31が媒体置換部3内に入ることで第1媒体39によって使用された少なくとも一部の空間を占めることにより、調理チャンバー11内の液位を下降させるように設けられ、液位が下降する過程で、液体が米を洗い流すため、米の糖分が減少する。言い換えれば、液態の第2媒体31が媒体置換部3内に入って、第1媒体39によって使用されていた少なくとも一部の空間を占めることができ、例えば、調理器具10が加熱を停止し又は加熱電力が低減する場合に、媒体置換部3内の第1媒体39、例えば水蒸気が液化すると、媒体置換部3の外部の液態の第2媒体31、例えば水が媒体置換部3内に入って、第1媒体39によって使用されていた空間と入れ替える。
【0040】
且つ、収容部2は調理チャンバー11に連通でき、第2媒体31が調理チャンバー11に流入した後、収容部2内の液位が変われる。なお、第1媒体39は水蒸気で、第2媒体31は水であってもよいが、本願はこれに限定されない。
【0041】
なお、調理器具10、例えば炊飯器の動作過程は主に沸騰段階と、米蒸し段階とを含み、沸騰段階において、炊飯器は主に周期的に加熱し、炊飯器の制御プログラムに周期Tが設定され、Tは関係式32秒≧T≧4秒を満たし、周期対電力調整比はaで、aは関係式1≧a≧1/8を満たし、沸騰段階の総持続時間はt1で、t1は関係式15分≧t1≧3分を満たす。沸騰段階の終了後、炊飯器は米蒸し段階に移行し、米蒸し段階において、米と水が分離し、制御プログラムにより米のとぎ汁の温度がbに保持され、bは関係式110度≧b≧80度を満たし、米蒸し段階の総持続時間はt2で、t2は関係式30分≧t2≧3分を満たす。
【0042】
炊飯器の具体的な動作過程は以下のとおりである。炊飯器で調理する過程で、まず適量の水を調理チャンバー11に注ぎ、次に収容部2及び媒体置換部3を調理チャンバー11内に入れ、調理チャンバー11内の水位は媒体置換部3をほぼ没入させており(なお媒体置換部3より適宜高くてもよいし又は媒体置換部3より適宜低くてもよい)、さらに洗った米を収容部2内に入れ、なお、米を収容部2内に入れた後は、米と水は完全に分離してもよいし、米の一部が水に没入してもよいし、全ての米が水に没入してもよい。
図3に示すように、この時に米と水は分離してもよく、つまり米が上方に、水が下方に位置し、米は水に浸っていない。
【0043】
図4に示すように、炊飯器が調理チャンバー11を加熱し始め、調理チャンバー11内の水が沸騰すると、調理チャンバー11内の水に大量の気泡(水蒸気)が発生し、一部の気泡が媒体置換部3に蓄積されるため、媒体置換部3内の単位面積当たりの圧力が大きくなり、圧力の作用で、媒体置換部3内の水が調理チャンバー11に排出され、調理チャンバー11内の水面が上昇し、収容部2が調理チャンバー11に連通するため、媒体置換部3内の水が調理チャンバー11に流入した後、調理チャンバー11内の水が収容部2に流入し、この時に、収容部2内の水位が上昇して、米を没入し、
図4に示すように、米を初歩的に茹でることを実現する。
【0044】
収容部2内の水位が一定の高さに達すると、時間センサ又は信号センサによる検知で又は他の周知の手段により、炊飯器が直ちに加熱を停止し、媒体置換部3内の水蒸気が早く冷却され液化すると、媒体置換部3内の圧力が低減し、そして調理チャンバー11内の水が媒体置換部3に逆流することで、収容部2内の水位が早く下降し、収容部2内の水位が下降するうちに、収容部2内の水が米を通り抜けて下落し、収容部2内の水が米を洗い流し、また、炊飯器が調理する過程では、炊飯器は米と水の分離を間欠的に実現してもよく、例えば、炊飯器が加熱等価電力などの制御プログラムを制御することで、炊飯器は調理チャンバー11を繰り返し加熱しては停止し、炊飯器が調理チャンバー11を繰り返し加熱する過程で、収容部2内の水が繰り返し上昇しては落下し、水が繰り返し上昇しては落下する過程で米が洗い流され、そして水は次第に米のとぎ汁になっていく。沸騰段階の終了後、炊飯器は米蒸し段階に移行し、米蒸し段階において、米と水が分離し、制御プログラムにより米のとぎ汁の温度が80度以上に保持されることで、米飯は蒸され又は蒸し煮されて熟成する。
【0045】
しかも、炊飯器の沸騰段階において、水が米を繰り返し洗い流すことで、米の糖含有量が一層低減され、ユーザーはご飯を食べた後も、太りにくいのであり、また、米が均一に受熱し、水分を充分に吸収するため、米飯が半煮えになることが防がれ、米飯の口当たりも改善される。
【0046】
しかも、米蒸し段階において、炊飯器内では初期の水の蒸発と米の吸水により、水位が下降し、米と水の分離及び米飯を効果的に蒸すことを保証し、米飯が米のとぎ汁に浸ることを防ぐために、最終的に調理チャンバー11内の水位と最下層の米飯の距離は4mm以上とする。
【0047】
また、媒体置換部3の体積が変わらない場合には、ガス充填放出装置で媒体置換部3内にガスを充填することで、媒体置換部3内の単位面積当たりの圧力を上げて、調理チャンバー11内の液位を上昇させてもよく、調理チャンバー11内の液位を下降させたい場合に、ガス充填放出装置で媒体置換部3内からガスを引き出し、媒体置換部3内の単位面積当たりの圧力を下げることで、液位が下降する効果を得る。また、媒体置換部3の体積が変わる場合には、ガス充填放出装置で媒体置換部3内にガスを充填し又は媒体置換部3内のガスを引き出すことで、調理チャンバー11内の液位が上昇又は下降する機能を実現することもできる。
【0048】
例えば、本願の特定のいくつかの例において、調理する過程で、外部のガス充填機構によって媒体置換部3にガスを充填することで、収容部2内の液位の変化を実現でき、且つ、媒体置換部3の体積はガス充填量に従って変化できる。これにより、媒体置換を行う必要がない場合には、媒体置換部3の体積が小さく、調理チャンバー11の使用分が減らされ、且つ、ガスを充填する時に体積を増加させて、ガスの収容量を増やすと、液体の置換量が一層増えており、収容部2内の液面がより明らかに上昇することで、調理効果の向上につながる。
【0049】
これにより、本体部1、収容部2と媒体置換部3の組み合わせで、食材と水の分離方式が改善され、媒体置換部3を利用して媒体の置き換えを実現することにより、調理チャンバー11内の液位を調整することができ、食材と水の分離を制御できるようになる。米を調理器具10内に入れた後、調理器具10で作った米飯は糖尿病患者でも食べることができ、しかも調理器具10で瀝米飯を作る時は、水が絶えず米を洗い流すことで、米中の糖分が洗い流されるため、ユーザーは米飯を食べた後も、太りにくいのである。
【0050】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換部3は気液置換部3として構成されてもよく、気液置換部3は気態の第1媒体39で液態の第2媒体31を入れ替えるように設けられてもよく、具体的には、炊飯器が調理チャンバー11内の水を加熱して沸騰させる過程では、気液置換部33内の水蒸気が次第に増加し、そして気液置換部33内の圧力が次第に大きくなり、気液置換部33内の水を調理チャンバー11に押し入れることにより、調理チャンバー11内の水位上昇という目的機能が実現され、さらには収容部2の水位上昇という目的機能が実現される。
【0051】
本願のいくつかの実施例において、
図10、
図12、
図14及び
図17に示すように、気液置換部33は、第1媒体入口32と、第2媒体出口33とを含んでもよく、第1媒体入口32より第1媒体39が気液置換部33内に入り、第2媒体出口33より第2媒体31が気液置換部33内から排出される。なお、炊飯器が調理チャンバー11内の水を加熱して沸騰させる過程では、水蒸気は第1媒体入口32より気液置換部33内に入り、そして気液置換部33内の圧力が次第に大きくなり、気液置換部33内の水を第2媒体出口33から調理チャンバー11に押し入れることにより、第1媒体39で気液置換部3内の第2媒体31を入れ替えるという目的機能が実現される。
【0052】
本願のいくつかの実施例において、第1媒体入口32及び第2媒体出口33は同じ開口として設けられてもよく、且つ第1媒体入口32及び第2媒体出口33は気液置換部33の底部に形成され、このような設置により気液置換部33の構造が簡素化され、気液置換部33の加工時間が短縮されるため、気液置換部33の生産効率が高められ、しかも開口の加工数量が減り、大量の労力が節約されるため、気液置換部33の製造コストを削減できる。しかも、底部で開口を共用することで、水蒸気がより入りやすく、水がより排出しやすくなる。
【0053】
本願のいくつかの実施例において、
図6に示すように、媒体置換部3は収容部2に接続され、このような設置により媒体置換部3と収容部2とは一体的な構造として構成され、媒体置換部3と収容部2を一緒に調理チャンバー11に入れ又は取り出すことができ、媒体置換部3が洗浄しやすくなり、ユーザーの満足度も向上する。
【0054】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換部3は少なくとも部分的に収容部2の下方に設けられ、つまり、媒体置換部3の一部の構造が収容部2の下方に設けられてもよいし、媒体置換部3の全ての構造が収容部2の下方に、上下方向に設けられてもよく、このような設置により媒体置換部3と収容部2の全体の投影面積を減らすことができ、調理チャンバー11の寸法が一定である場合に、媒体置換部3及び収容部2を調理チャンバー11に入れやすい。しかも、媒体置換部3及び収容部2の高さを調整することで、様々な種類の調理器具に一層適合するようになり、炊飯器、電気圧力鍋、電磁調理器などの様々な調理器具における要件が満たされる。
【0055】
本願のいくつかの実施例において、
図19に示すように、媒体置換部3は媒体置換部周壁34を含んでもよく、媒体置換部周壁34の上部が収容部2の底面に密着することで、ある程度密封が構成され、水蒸気の散逸が防がれ、これは媒体置換部周壁34の上部が収容部2の底面に接続されるように理解されてもよく、このような設置により収容部2の底面によって媒体置換部3の上端が閉鎖され、水蒸気が第1媒体入口32より媒体置換部3に入った後は、水蒸気が媒体置換部3の上端より媒体置換部3から流出することが避けられ、水蒸気が媒体置換部3内に貯蔵されることが保証され、さらには媒体置換部3内の水が調理チャンバー11に押し入れられることが保証される。
【0056】
本願のいくつかの実施例において、
図19に示すように、媒体置換部周壁34の上部に環状のフランジ35が設けられ、環状のフランジ35は収容部2の底面に密着し、環状のフランジ35は収容部2の底面に対して取り外し可能に接続される。なお、媒体置換部3と収容部2が組み立てられると、環状のフランジ35が収容部2の底面に組み立てられ、環状のフランジ35と収容部2の接触面積は媒体置換部周壁34と収容部2の接触面積より大きく、環状のフランジ35の設置により、媒体置換部3の収容部2への取付け面積が増え、媒体置換部3と収容部2がより確実に組み立てられ、これにより媒体置換部3と収容部2の全体的な構造強度が高められる。しかも、媒体置換部3と収容部2の接続部位の密封性が確保され、さらには水蒸気が媒体置換部3の上端より媒体置換部3から流出することが避けられる。また、水が沸騰する過程で大量の水蒸気が発生し、水蒸気が浮力を有するため、このよう設置により媒体置換部3の振動を防ぎ、炊飯器の動作時のノイズを低減させることができる。
【0057】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換部周壁34と収容部2とが一体的に融合され、このような設置により媒体置換部3と収容部2が一体成形部品として設けられ、媒体置換部3と収容部2の全体的な構造強度及び剛性が高められ、媒体置換部3と収容部2の分離を防ぐことができ、さらには調理器具10の動作の信頼性を保証できる。例えば、媒体置換部周壁34と収容部2は一体的に射出成形された部品である。
【0058】
いくつかの実施例において、媒体置換部周壁34は収容部2に係止され、溶接され又はかしめ接続されてもよく、このような設置により媒体置換部3と収容部2が確実に組み立てられ、媒体置換部3と収容部2の分離が一層避けられ、しかも媒体置換部3と収容部2が組み立てやすくなり、媒体置換部3と収容部2の組立効率が一層高められる。
【0059】
本願のいくつかの実施例において、
図9~
図11に示すように、媒体置換部3は媒体置換部周壁34を含んでもよく、収容部2は収容部周壁21を含んでもよく、媒体置換部周壁34は収容部周壁21の下端より下向きに延伸し、このような設置により媒体置換部3及び収容部2の構造の一致性を向上させ、媒体置換部3と収容部2の全体的な美観性を向上させることができる。
【0060】
本願のいくつかの実施例において、
図9~
図11に示すように、媒体置換部周壁34及び収容部周壁21はいずれも円環状に構成され、且つ媒体置換部周壁34と収容部周壁21は直径が等しく、このような設置により媒体置換部3の断面積が収容部2の断面積に等しく、媒体置換部3及び収容部2の構造の一致性を一層向上させるとともに、媒体置換部3の置き換え可能な体積を増やすことができる。
【0061】
本願のいくつかの実施例において、
図14及び
図15に示すように、媒体置換部周壁34の直径は漸次変化し、媒体置換部周壁34の細径端(
図15では上端)は収容部周壁21に接続され、媒体置換部周壁34の太径端(
図15では下端)は自在端であり、且つ媒体置換部周壁34の太径端は収容部2から離れる方向に向かって延伸する。なお、
図15に示すように、媒体置換部周壁34の細径端は媒体置換部3の上端で、媒体置換部周壁34の太径端は媒体置換部3の下端であり、このような設置により媒体置換部周壁34が媒体置換部3内の水蒸気と水が媒体置換部3から流出するのを止めることを避け、媒体置換部3内の水の流出速度を加速させることができ、これにより調理チャンバー11内の水位の上昇速度を加速させることができる。
【0062】
本願のいくつかの実施例において、
図7及び
図8に示すように、収容部2の底部には収容部凹部22が形成され、収容部凹部22は媒体置換部3として構成されてもよく、このような設置により媒体置換部3と収容部2が一体的に成形されるため、媒体置換部3を単独で生産することが避けられ、生産金型の開発が減り、さらに調理器具10の生産コストを削減できる。
【0063】
本願のいくつかの実施例において、
図8に示すように、収容部2は収容部底壁23と、収容部周壁21とを含んでもよく、収容部底壁23の少なくとも一部は上向きに起き上がって収容部凹部22が形成され、このような設置により収容部凹部22は収容部底壁23に設けられ、収容部2が調理チャンバー11内に入れられた後、収容部凹部22内に水が蓄積されることが保証され、これにより収容部凹部22の設置位置がより合理的である。しかも、このような集積式設計によりコストが削減されるとともに、ユーザーが使用しやすくもなる。
【0064】
本願のいくつかの実施例において、収容部凹部22は収容部底壁23の中央領域に設置されてもよく、なお、水蒸気が収容部凹部22に入った後、収容部凹部22内の圧力が大きくなり、水蒸気が収容部2に力を加え、このような設置により収容部2の受力がより均一になり(気圧が収容部に作用して上向きの浮力を生成させる)、収容部2が傾くことが避けられ、これにより米が収容部2内に均一に収容されることが保証され、しかも中央に設置するため、排出された水が四周に均一拡散し、調理チャンバー内の液面の上昇速度がより早くかつ均一になる。
【0065】
本願のいくつかの実施例において、
図12及び
図13に示すように、媒体置換部3は環状構造36として構成されてもよく、なお、媒体置換部3の周方向において、媒体置換部3は閉鎖された環状構造36であり、このような設置により媒体置換部3を形成させることができ、媒体置換部3の構造が一層シンプルになり、これにより媒体置換部3はより生産しやすくなる。
【0066】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換部3は収容部2の収容部底壁23に設けられてもよく、収容部2が調理チャンバー11内に入れられた後、このような設置により水は媒体置換部3に流入しやすく、媒体置換部3内に水が貯蔵されることが保証され、これにより収容部2内の水位が上昇又は下降できることが保証され、さらには調理器具10の動作の信頼性が保証される。
【0067】
本願のいくつかの実施例において、
図12及び
図13に示すように、環状構造である媒体置換部3は、置換部外周壁37と、置換部内周壁38とを含んでもよく、置換部外周壁37及び置換部内周壁38はそれぞれ収容部底壁23に接続され、置換部外周壁37は置換部内周壁38の外側に嵌設され、且つ置換部外周壁37及び置換部内周壁38は半径方向に間隔をあけて設置される。
【0068】
本願のいくつかの実施例において、
図20に示すように、媒体置換部3は陥没構造を有する媒体置換板39として構成されてもよく、媒体置換部3が調理チャンバー11内に入れられた後、水は媒体置換部3の陥没構造内に貯蔵され、調理器具10が動作する時、水蒸気は陥没構造内に入り、さらに陥没構造内の水を調理チャンバー11に押し入れることができ、当該実施例の構造が一層シンプルである。
【0069】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換板39は内凹面391と、外凸面392とを有し、外凸面392は収容部2に向けられ、且つ収容部2に接続され、内凹面391は収容部2と背中合わせに隔たり、このような設置により水と水蒸気が媒体置換板39の内凹面391によって形成された内凹空間内に貯蔵されることが保証され、第1媒体39と第2媒体31が媒体置換板39の内凹空間内に任意に入れ替わることが保証される。
【0070】
本願のいくつかの実施例において、
図18に示すように、媒体置換部3には媒体置換部3内に連通し、且つ排気用の排気微細穴5も配置される。なお、調理器具10内の水が沸騰する前に、収容部2内で米と水は分離しており、この時に、媒体置換部3内は水で満たされ又は一部が水によって満たされ、水が沸騰すると、媒体置換部3の下方の水から水蒸気が発生し、大量の水蒸気が発生すると、排気微細穴5から媒体置換部3内の水蒸気を直ちに外部に排出できず、媒体置換部3内の単位面積当たりの圧力が次第に大きくなり、媒体置換部3の水が次第に排出され、最終的には媒体置換部3内では水蒸気だけとなり、収容部2内の水位が上昇し米の表面を超えると、米が充分かつ均一に吸水し、水が一定時間(一般に4~10分)沸騰した後、加熱を停止し又は小電力で一定の時間(10~30分)加熱し、この時に媒体置換部3内の空気が冷却され、米のとぎ汁が下降し、排気微細穴5によって米のとぎ汁の逆流の速度が加速され、この場合に米のとぎ汁が米の表面を没入させず、しかも米飯の温度が80℃又は80℃以上に維持されるため、米飯が蒸され又は蒸し煮されて熟成する。
【0071】
本願のいくつかの実施例において、
図18に示すように、媒体置換部3は媒体置換部周壁34を含んでもよく、排気微細穴5は媒体置換部周壁34に設けられてもよく、且つ排気微細穴5は媒体置換部周壁34の中上部に位置し、つまり、排気微細穴5は媒体置換部周壁34の中上部に設けられる。なお、媒体置換部3を調理チャンバー11に入れる時、水が媒体置換部3に入る過程で、媒体置換部3内のガスが排気微細穴5より媒体置換部3から排出され、これにより水が順調に媒体置換部3に入ることが保証され、しかも、水が媒体置換部3内に逆流する過程では、収容部2内の水位の下降速度が加速される。
【0072】
本願のいくつかの実施例において、
図7、
図10、
図12、
図14及び
図17に示すように、媒体置換部3は媒体置換部周壁34を含んでもよく、媒体置換部周壁34は収容部2の収容部底壁23に接続され、排気微細穴5は収容部底壁23に開設される。なお、媒体置換部3を調理チャンバー11に入れる時、水が速やかに媒体置換部3に流入でき、媒体置換部3内にガスが保持されないことが保証され、これにより媒体置換部3と収容部2、媒体置換部3と調理チャンバー11が連通することが保証され、しかも、水が沸騰していない時は、媒体置換部3内のガスが排気微細穴5から早く排出されるため、収容部2内の水位が早く下降する。
【0073】
本願のいくつかの実施例において、排気微細穴5は1つ設けられ、且つ排気微細穴5が収容部底壁23の中心に設置され、このような設置により収容部2内の水は排気微細穴5から媒体置換部3に流入でき、収容部2内の水が米を均一に洗い流すことができ、米がより均一に受熱することで、米飯の口当たりが改善される。本願はこれに限定されず、排気微細穴5は複数設けられてもよく、且つ、排気微細穴5の形状も限定されず、例えば、排気微細穴5は丸穴、三角穴などである。
【0074】
本願のいくつかの実施例において、排気微細穴5の排気面積は3mm2~20mm2で、好ましくは5mm2~10mm2である。なお、排気微細穴5の排気面積が20mm2を超える場合には、水が沸騰する時は、媒体置換部3内の水蒸気は排気微細穴5より媒体置換部3から流出し、媒体置換部3内には水蒸気が貯蔵されず、排気微細穴5の排気面積が3mm2未満である場合には、水が沸騰していない時は、収容部2内の水が直ちに逆流することができず、したがって、このような設置により収容部2内の水位が上昇することが保証され、収容部2内の水も速やかに媒体置換部3内に逆流する。
【0075】
本願のいくつかの実施例において、
図4に示すように、収容部2には収容部貫通穴24が設けられてもよく、収容部貫通穴24は調理チャンバー11と収容部2の内部空間を連通させるために用いられる。なお、調理チャンバー11内の水位が上昇する場合に、調理チャンバー11内の水は収容部貫通穴24から収容部2に流入でき、沸騰する水で米を茹で米を洗い流すことになり、且つ、水が沸騰していない場合に、調理チャンバー11内の水は収容部貫通穴24より収容部2から流出でき、水と米は分離し、また、水が沸騰する時に大量の水蒸気が発生し、一部の水蒸気が収容部貫通穴24より調理チャンバー11から排出される。
【0076】
本願のいくつかの実施例において、
図17に示すように、収容部2は、収容部周壁21と、収容部底壁23とを含んでもよく、収容部貫通穴24は周壁貫通穴241を含んでもよく、周壁貫通穴241は収容部周壁21に設けられてもよく、周壁貫通穴241は複数設けられてもよく、このような設置により水は早く収容部2に流入し又は流出することができ、米が水に浸る時間が短縮される。
【0077】
本願のいくつかの実施例において、
図17に示すように、収容部2は、収容部周壁21と、収容部底壁23とを含んでもよく、収容部貫通穴24は底壁貫通穴242を含んでもよく、底壁貫通穴242は収容部底壁23に設けられてもよく、調理器具10が水を加熱していない場合は、このような設置により底壁貫通穴242の水面との距離が最小になり、水は底壁貫通穴242から収容部2に流入しやすく、また収容部2内の水が底壁貫通穴242より収容部2から流出するため、水が米を一層洗い流すことになる。
【0078】
要するに、本願の好ましい実施形態は以下のとおりである。周壁貫通穴241及び底壁貫通穴242の両方が設置され、水は周壁貫通穴241及び底壁貫通穴242より収容部2内に入ることができ、底壁貫通穴242の一部が米によって遮られる可能性があるため、水の大半が周壁貫通穴241から入り、下向きに行って米を洗い流し、最後に収容部2内の水は底壁貫通穴242から調理チャンバー11に逆流する。周壁貫通穴241及び底壁貫通穴242という設定は、高位貫通穴241及び低位貫通穴242であって、高位貫通穴241の高さは低位貫通穴242の高さより大きいということにもなり、水は高位貫通穴241から収容部2内に入り、低位貫通穴242から排出されることにより、高位貫通穴241と低位貫通穴242との間に位置する食材、例えば米を洗い流し、攪拌する。
【0079】
本願のいくつかの実施例において、底壁貫通穴242は媒体置換部3の半径方向の外側を取り囲み、これは媒体置換部3の周方向において、複数の底壁貫通穴242が媒体置換部3の外側を取り囲むように理解されてもよく、このような設置により調理チャンバー11内の水が収容部2により早く流入でき、収容部2に流入した水の温度が維持され、水で米をより効果的に茹でることができる。
【0080】
本願のいくつかの実施例において、
図12に示すように、媒体置換部3は環状構造36として構成されてもよく、且つ媒体置換部3は、置換部外周壁37と、置換部内周壁38とを含んでもよく、置換部内周壁38は底壁貫通穴242を囲い、このような設置により媒体置換部3内の水は底壁貫通穴242から直接的に収容部2に流入し又は流出することができ、水の熱散逸が低減され、収容部2に流入した水の温度が一層保持される。
【0081】
本願のいくつかの実施例において、
図2に示すように、本体部1は、鍋体部12と、上蓋部13とを含んでもよく、収容部2は鍋体部12を支持し且つその内部まで延伸している。なお、調理器具10で米飯を調理する場合に、上蓋部13によって収容部2が閉められ、このような設置により調理器具10内の水の沸騰に要する時間が短縮され、米飯の調理時間が短縮され、しかも外部の物体が調理器具10内に入ることが避けられ、米飯の衛生と清潔性が保証され、これによりユーザーの飲食上の安全性が保証されるとともに、水蒸気がすぐに調理器具10から流出することが防がれ、媒体置換部3内のガスの単位面積当たりの圧力が保持され、水位が上昇又は下降できることが保証される。
【0082】
本願のいくつかの実施例において、本体部1は鍋体部12と、上蓋部13とを含んでもよく、収容部2は上蓋部13に設けられる。
【0083】
本願のいくつかの実施例において、調理器具10は炊飯器、電気圧力鍋、電気煮込み専用鍋、電磁調理器又はヘルスポットとして設けられてもよく、このような設置により炊飯器、電気圧力鍋、電気煮込み専用鍋、電磁調理器、ヘルスポットの動作性能を向上させることができ、炊飯器、電気圧力鍋、電気煮込み専用鍋、電磁調理器、ヘルスポットの市場競争力を高めることができる。
【0084】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換部周壁34は円環状に設けられてもよく、媒体置換部3の内部空間の調理器具10の中心軸線に垂直の投影面における正投影面積はS1であり、調理器具10は加熱部を含んでもよく、加熱部の投影面における正投影面積はS2であり、S1とS2は関係式S1≧1/3S2を満たし、さらにS1≧1/2S2を満たす。
【0085】
なお、媒体置換部3の内部空間の調理器具10の中心軸線に垂直の投影面における正投影面積と加熱部の投影面における正投影面積とで重なる領域が小さすぎると、媒体置換部3の下方の水から生成される水蒸気の量が不足し、水蒸気が比較的少なく、媒体置換部3内の排水速度が遅く、つまり、調理器具10内で水位の上昇速度が遅く、このような設置により、媒体置換部3の下方に十分な水蒸気が生成されることが保証され、媒体置換部3内の排水速度を加速させ、そして調理器具10内の水位の上昇速度を加速させることができる。
【0086】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換部3の内部空間の体積Vは関係式V≧80mlを満たし、さらにVは80Nml≦V≦200Nmlを満たし、さらにVは100Nml≦V≦180Nmlを満たす。なお、調理器具10で米飯を調理する場合に、最大調理量はN杯の米であり、1杯の米は140g~160gである。
【0087】
具体的には、調理器具10で米飯を調理する場合、最大調理量が1杯の米である場合に、媒体置換部3の内部空間の体積Vは関係式100Nml≦V≦180Nmlを満たし、最大調理量が2杯の米である場合に、媒体置換部3の内部空間の体積Vは関係式200ml≦V≦360mlを満たし、最大調理量が3杯の米である場合に、媒体置換部3の内部空間の体積Vは関係式300ml≦V≦540mlを満たし、このような設置により媒体置換部3の内部空間内に十分な水が貯蔵されることが保証され、水が沸騰する時は、調理器具10内の水位が十分な高さに上昇することが保証され、沸騰する水に米が没入することが保証される。
【0088】
図1~
図20に示すように、本願の実施例に係る調理器具10に用いる調理構造4は、収容部2と、媒体置換部3とを含み、収容部2及び媒体置換部3はいずれも調理器具10の調理チャンバー11内に設けられ、媒体置換部3は収容部2に接続され、媒体置換部3は第1媒体39で媒体置換部3内に位置する液態の第2媒体31を入れ替えることに適するように設けられ、入れ替えられた第2媒体31が媒体置換部3から排出されることで収容部2内の液位を変える。
【0089】
これにより、調理チャンバー11、収容部2と媒体置換部3の組み合わせで、米を調理器具10内に入れた後、調理器具10で作った米飯は糖尿病患者でも食べることができ、しかも調理器具10で瀝米飯を作る時は、水が絶えず米を洗い流すことで、米中の糖分が洗い流されるため、ユーザーは米飯を食べた後も、太りにくいのである。
【0090】
図1~
図20に示すように、本願の実施例に係る調理器具10に用いる調理構造4によれば、調理構造4は調理器具10の内部に設けられることに適し、調理構造4は、収容篭2と、気液置換部3とを含み、収容篭2は前記実施例の収容部2で、気液置換部3は前記実施例の媒体置換部3である。収容篭2は収容篭周壁21と、収容篭底壁23とを有し、収容篭周壁21には周壁貫通穴241が設けられ、なお、収容篭周壁21は前記実施例の収容部周壁21で、収容篭底壁23は前記実施例の収容部底壁23である。気液置換部3は収容篭底壁23の下面に設けられ、水蒸気が気液置換部3に入り、且つ気液置換部3内の液体が気液置換部3から排出されるように気液置換部3の下端が開放される。
【0091】
なお、気液置換部3内の液体が気液置換部3から排出されると、調理器具10内の水位が上昇し、そして沸騰する水は周壁貫通穴241及び/又は排気微細穴5及び/又は底壁貫通穴242から収容篭2に流入し、その後、米が水で茹でられ、調理チャンバー11、収容部2と媒体置換部3の組み合わせで、米が調理器具10内に入れられ、水が次第に沸騰すると、収容部2内の水が米を洗い流し且つ調理チャンバー11に逆流し、水が米を洗い流す時、米から糖分を持ち去るため、調理器具10で作った米飯は糖尿病患者でも食べることができ、しかも調理器具10で瀝米飯を作る時は、水が絶えず米を洗い流すことで、米中の糖分が洗い流されるため、ユーザーは米飯を食べた後も、太りにくいのである。
【0092】
本願のいくつかの実施例において、気液置換部3は気液置換部周壁34を含んでもよく、気液置換部周壁34は前記実施例の媒体置換部周壁34で、気液置換部周壁34は収容篭底壁23に接続され、収容篭底壁23には底壁貫通穴242がさらに設けられてもよく、底壁貫通穴242は気液置換部周壁34を取り囲む。なお、調理器具10が水を加熱していない場合には、このような設置により底壁貫通穴242の水面との距離が最小になり、水は底壁貫通穴242から収容篭2に流入しやすく、また収容篭2内の水が底壁貫通穴242より収容篭2から流出するため、水が米を一層洗い流すことになる。
【0093】
本願のいくつかの実施例において、
図8に示すように、収容篭底壁23の少なくとも一部が上向きに起き上がり、起き上がった部分は気液置換部3として構成され、このような設置により気液置換部3と収容篭2が一体的に構成され、収容篭2の全体的な構造強度が高められる。
【0094】
図1~
図5に示すように、本願の実施例に係る調理器具10は前記実施例の調理構造4を含み、調理構造4は調理器具10に取り付けられ、本願の調理器具10によれば、食材と水の分離方式が改善され、媒体置換部3を利用して媒体の置き換えを実現することにより、調理チャンバー11内の液位を調整することができ、食材と水の分離を制御できるようになる。
【0095】
図21に示すように、本願の実施例に係る調理器具10の制御方法は、調理器具10で調理する過程で、調理器具10の現時点の調理段階を判断するステップであって、調理器具10の調理段階は沸騰段階を含むステップと、調理器具10が沸騰段階にある場合に、調理器具10は調理器具10の加熱部を制御して、加熱部に調理器具10内の水を加熱させることにより、水を沸騰させて大量の気泡を発生させ、一部の気泡が媒体置換部3に蓄積されるため、媒体置換部3内の単位面積当たりの圧力が大きくなり、圧力の作用で、媒体置換部3内の水が調理チャンバー11に排出され、収容部2内の水位が一定の高さに達した後、時間センサ又は信号センサによって検知されると、調理器具10が直ちに加熱を停止し、媒体置換部3内の水蒸気が速やかに溶解し、そして調理チャンバー11内の水が媒体置換部3に逆流することで、収容部2内の水位が早く下降し、これにより調理チャンバー11内の液位が第1液位と第2液位との間に変化するステップとを含む。
【0096】
本願のいくつかの実施例において、調理器具10の加熱部を制御して、調理チャンバー11内の液位を第1液位と第2液位との間に変化させるステップは、第1電力調整比及び第2電力調整比で加熱部を制御して交互に加熱させるステップであって、第1電力調整比で加熱部を制御して加熱させることにより、収容部2内の液位を第1液位に上昇させることができ、且つ第2電力調整比で加熱部を制御して加熱させることにより、収容部2内の液位を第2液位に下降させることができるステップを含み、第2電力調整比は第1電力調整比より小さく、第2液位は第1液位より低く、このような設置により収容部2内の液位が第1液位と第2液位との間に変化するという目的機能を実現できる。
【0097】
本願のいくつかの実施例において、第2電力調整比及び第1電力調整比の値の範囲は1/8以上且つ1以下であり、加熱部の加熱周期は4秒以上且つ32秒以下であり、なお、各加熱周期内で、第1電力調整比及び第2電力調整比で加熱部を制御して加熱させ、このような設置により収容部2内の液位が第1液位と第2液位との間に変化することが保証され、米が水に長時間浸ることが避けられる。
【0098】
本願のいくつかの実施例において、調理器具10の加熱部を制御して、調理チャンバー11内の液位を第1液位と第2液位との間に変化させるステップは、第1電力で加熱部を制御して加熱動作を行わせることにより、調理チャンバー11内の液位を第1液位に上昇させることができ、調理チャンバー11内の液位が第1液位に上昇した後、調理器具10が加熱部を制御して加熱を停止させ又は加熱部を制御して加熱電力を低減させることにより、調理チャンバー11内の液位を第2液位に下降させることができるステップであって、第2液位は第1液位より低いステップを含む。
【0099】
本願のいくつかの実施例において、調理器具10の調理段階は米蒸し段階をさらに含んでもよく、方法は、調理器具10が米蒸し段階にある場合に、調理器具10は調理器具10の加熱部を制御して、調理チャンバー11内の米のとぎ汁の温度を予め設定された温度範囲内に維持させることにより、米飯を蒸して熟成させるステップをさらに含んでもよい。
【0100】
本願のいくつかの実施例において、予め設定された温度範囲は80℃以上且つ110℃以下であり、このような設置により米のとぎ汁の温度を適切な温度範囲内に維持させることができ、さらに米飯を蒸して熟成させることが保証され、米飯の調理の質が保証される。
【0101】
本願のいくつかの実施例において、調理器具10が米蒸し段階にある場合に、調理チャンバー11内の液位は収容部2の底壁より低く、且つ調理チャンバー11内の液位の収容部2の底壁との距離は4mm以上であり、このような設置により米と米のとぎ汁が分離することが保証され、米飯を効果的に蒸すことが保証され、米飯が米のとぎ汁に浸ることが防がれ、米のとぎ汁と米飯の接触が避けられる。
【0102】
本願のいくつかの実施例において、沸騰段階が第1設定時間持続した後、調理器具10は米蒸し段階に移行し、且つ米蒸し段階は第2設定時間持続し、このような設置により米がより均一に受熱し、米が十分な水分を吸収することができ、さらに米飯が半煮えになることが防がれ、米飯の口当たりも改善される。
【0103】
本願のいくつかの実施例において、第1設定時間の値の範囲は3分以上且つ15分以下であり、第2設定時間の値の範囲は3分以上且つ30分以下であり、このような設置により米がより均一に受熱し、米が十分な水分を吸収することができ、さらに米飯が半煮えになることが防がれ、米飯の口当たりも改善される。
【0104】
図1~
図19、
図22及び
図23に示すように、本願の別の実施例の調理器具10によれば、調理器具10は調理チャンバー11を有し、調理チャンバー11は分割されて複数の空間が形成され、特定の1つ又は複数の空間の圧力を変えることにより、少なくとも1つの他の空間内の液位を変化させる。
【0105】
本願のいくつかの実施例において、特定の1つ又は複数の空間の圧力を変えることにより、圧力を変えられた空間内の液体を減少又は増加させることができる。
【0106】
調理器具10で調理する過程では、まず適量の水を調理チャンバー11に入れ、水が1つ又は複数の空間に流入し、最後に洗った米を圧力を変えられない空間内に入れ、なお、米を圧力を変えられない空間内に入れた後は、米と水は完全に分離してもよいし、米の一部が水に没入してもよいし、全ての米が水に没入してもよい。次に、調理チャンバー11を加熱し始め、水が沸騰すると、大量の第1媒体39(水蒸気)が発生し、一部の第1媒体39が米を入れていない空間内に蓄積されて気圧が形成されると、米を入れていない空間内の水が圧力を変えられない空間内に排出され、この時に、圧力を変えられない空間内の水位が上昇して米を没入することにより、米を浸漬し又は蒸し、茹でることを実現し、水位が一定の高さに達した後、時間センサ又は信号センサによって検知されると、直ちに加熱を停止し、米を入れていない空間内の水蒸気が速やかに溶解して、水位が早く下降し、米が入った空間内の水が米を通り抜けて下落することで、米を洗い流すことを実現し、繰り返し加熱しては停止し、水が次第に米のとぎ汁になっていくことで、米の糖分低減を実現し、一定の時間洗い流した後、米を蒸し煮する。
【0107】
なお、食材、例えば米を圧力を変えられない前記空間内に入れることで、食材と水の分離方式が改善され、複数の空間を利用して媒体の置換を実現することで、米を収めた空間の液位を調整することができ、食材と水の分離を制御できるようになる。水が次第に沸騰した後で、調理器具10で作った米飯は糖尿病患者でも食べることができ、しかも調理器具10で瀝米飯を作る時は、水が絶えず米を洗い流すことで、米中の糖分が洗い流されるため、ユーザーは米飯を食べた後も、太りにくいのである。
【0108】
本願のいくつかの実施例において、
図1及び
図23に示すように、調理器具10は本体部1と、隔離部50とを含み、調理チャンバー11は本体部1内に形成され、隔離部50は少なくとも部分的に調理チャンバー11内に設けられ、且つ隔離部50によって調理チャンバー11が分割されて複数の空間が形成され、このような設置により調理チャンバー11が複数の空間に分割されるという目的機能が実現され、調理チャンバー11内の圧力が大きくなる場合に、調理チャンバー11内の液面が早く上昇する。
【0109】
本願のいくつかの実施例において、空間は2つ又は3つ以上であり、このような設置により調理チャンバー11を複数の空間に分けることができる。
【0110】
本願のいくつかの実施例において、
図23に示すように、隔離部50は食物を収容できる収容部2を含んでもよく、収容部2内には第1空間501が形成され、収容部2と本体部1との限定で第2空間502が形成され、第1空間501と第2空間502は連通する。なお、第2空間502内の水が沸騰する場合に、第2空間502内の水に大量の気泡(水蒸気)が発生するため、第2空間502内の単位面積当たりの圧力が大きくなり、圧力の作用で、第2空間502内の水が第1空間501に排出されると、第1空間501内の水面が上昇し、この時に、収容部2内の水位が上昇して、米を没入し、
図4に示すように、米を初歩的に茹でることを実現する。しかも、第2空間502内の水が沸騰しなくなると、第1空間501内の水が第2空間502内に逆流し、第1空間501内の液面が下降することで、米を洗い流すことを実現する。
【0111】
本願のいくつかの実施例において、
図2に示すように、収容部2は収容部貫通穴24を有し、収容部貫通穴24は第1空間501と第2空間502とを連通させ、収容部2は収容部周壁21と、収容部底壁23とを含み、収容部貫通穴24は収容部周壁21及び/又は収容部底壁23に形成され、つまり、収容部貫通穴24は収容部周壁21のみに設けられてもよいし、収容部貫通穴24は収容部底壁23のみに設けられてもよいし、収容部貫通穴24は収容部周壁21及び収容部底壁23の両方に設けられてもよい。なお、第2空間502内の水位が上昇する場合に、第2空間502内の水は収容部貫通穴24から第1空間501に流入でき、沸騰する水で米を茹で米を洗い流すことになり、且つ、水が沸騰していない場合に、第1空間501内の水は収容部貫通穴24より収容部2から流出でき、水と米は分離し、また、水が沸騰する時に大量の水蒸気が発生し、一部の水蒸気が収容部貫通穴24より調理チャンバー11から排出される。
【0112】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、隔離部50は媒体置換部3を含んでもよく、本体部1と収容部2及び媒体置換部3との間に第2空間502が形成され、媒体置換部3内には第3空間504が形成され、第2空間502は第1空間501、第3空間504にそれぞれ連通する。
【0113】
調理の過程は以下のとおりである。適量の水を第2空間502及び第3空間504に加え、水位は収容部底壁23のあたりとし、次に洗った米を第1空間501に入れ、調理チャンバー11を加熱し始め、水が沸騰すると、大量の気泡が発生し、一部の気泡が第3空間504に蓄積されると、第3空間504内の気圧が大きくなり、第3空間504内の水が第2空間502に排出され、第2空間502が第1空間501に連通し、この時に、調理チャンバー11内の水位が上昇して米を没入し、米を浸漬し又は蒸し、茹でることが実現され、水位が一定の高さに達した後、時間センサ又は信号センサによって検知されると、直ちに加熱を停止し、第3空間504内の水蒸気が速やかに溶解して、水位が早く下降し、第1空間501内の水が米を通り抜けて下落することで、米を洗い流すことを実現し、繰り返し加熱して停止し、水が次第に米のとぎ汁になっていくことで、米の糖分低減を実現し、一定の時間洗い流した後、米を蒸し煮する。
【0114】
本願のいくつかの実施例において、収容部2は媒体置換部3に接続され、このような設置により媒体置換部3と収容部2とは一体的な構造として構成され、媒体置換部3と収容部2を一緒に調理チャンバー11に入れ又は取り出すことができ、媒体置換部3が洗浄しやすくなり、ユーザーの満足度も向上する。
【0115】
本願のいくつかの実施例において、媒体置換部3は少なくとも部分的に収容部2の底部に設けられる。つまり、媒体置換部3の一部の構造が収容部2の下方に設けられてもよいし、媒体置換部3の全ての構造が収容部2の下方に、上下方向に設けられてもよく、このような設置により媒体置換部3と収容部2の全体の投影面積を減らすことができ、調理チャンバー11の寸法が一定である場合に、媒体置換部3及び収容部2を調理チャンバー11に入れやすい。しかも、媒体置換部3及び収容部2の高さを調整することで、様々な種類の調理器具10に一層適合するようになり、炊飯器、電気圧力鍋、電磁調理器などの様々な調理器具10における要件が満たされる。
【0116】
本願のいくつかの実施例において、第3空間504の調理器具10の中心軸線に垂直の投影面における正投影面積はS1であり、調理器具10は加熱部をさらに含み、加熱部の投影面における正投影面積はS2であり、S1とS2は関係式S1≧1/3S2を満たし、さらにS1≧1/2S2を満たす。
【0117】
なお、第3空間504の調理器具1010の中心軸線に垂直の投影面における正投影面積と加熱部の投影面における正投影面積とで重なる領域が小さすぎると、媒体置換部3の下方の水から生成される水蒸気の量が不足し、水蒸気が比較的少なく、媒体置換部3内の排水速度が遅く、つまり、調理器具10内で水位の上昇速度が遅く、このような設置により、媒体置換部3の下方に十分な水蒸気が生成されることが保証され、媒体置換部3内の排水速度を加速させ、そして調理器具10内の水位の上昇速度を加速させることができる。
【0118】
本願のいくつかの実施例において、第3空間504の体積Vは関係式V≧80mlを満たし、さらにVは80Nml≦V≦200Nmlを満たし、さらにVは100Nml≦V≦180Nmlを満たし、調理器具10で米飯を調理する場合に最大調理量はN杯の米であり、1杯の米は140g~160gである。
【0119】
具体的には、調理器具10で米飯を調理する場合、最大調理量が1杯の米である場合に、第3空間504の体積Vは関係式100Nml≦V≦180Nmlを満たし、最大調理量が2杯の米である場合に、第3空間504の体積Vは関係式200ml≦V≦360mlを満たし、最大調理量が3杯の米である場合に、第3空間504の体積Vは関係式300ml≦V≦540mlを満たし、このような設置により媒体置換部3の内部空間内に十分な水が貯蔵されることが保証され、水が沸騰する時は、調理器具10内の水位が十分な高さに上昇することが保証され、沸騰する水に米が没入することが保証される。
【0120】
本願のいくつかの実施例において、
図1及び
図10に示すように、収容部貫通穴24は第1空間501と第2空間502とを直接的に連通させ、媒体置換部3は第2空間502と第3空間504とを直接的に連通させる開口505を有し、なお、媒体置換部3内の圧力が大きくなる場合に、第3空間504内の水が開口505から第2空間502に流入でき、これにより第2空間502内の液面を上昇させ、さらには第2空間502内の水を第1空間501に流入させることができる。
【0121】
本願のいくつかの実施例において、
図10に示すように、媒体置換部3には媒体置換部3内の第3空間504に連通し、且つ排気用の排気微細穴5も配置される。なお、調理器具10内の水が沸騰する前に、第1空間501内で米と水は分離しており、この時に、第3空間504内は水で満たされ又は一部が水によって満たされ、水が沸騰すると、第3空間504の下方の水から水蒸気が発生し、大量の水蒸気が発生すると、排気微細穴5から第3空間504内の水蒸気を直ちに外部に排出できず、第3空間504内の単位面積当たりの圧力が次第に大きくなり、第3空間504内の水が次第に排出され、最終的には第3空間504内では水蒸気だけとなり、第1空間501内の水位が上昇し米の表面を超えると、米が充分かつ均一に吸水し、水が一定時間(一般に4~10分)沸騰した後、加熱を停止し又は小電力で一定の時間(10~30分)加熱し、この時に第3空間504内の空気が冷却され、米のとぎ汁が下降し、排気微細穴5によって米のとぎ汁の逆流の速度が加速され、この場合に米のとぎ汁が米の表面を没入させず、しかも米飯の温度が80℃又は80℃以上に維持されるため、米飯が蒸され又は蒸し煮されて熟成する。
【0122】
本願のいくつかの実施例において、収容部底壁23には排気微細穴5が設けられ、媒体置換部3は排気微細穴5を取り囲み、排気微細穴5は媒体置換部3内の第3空間504と収容部2内の第1空間501とを連通させる。なお、媒体置換部3を調理チャンバー11に入れる時、水が速やかに第3空間504に流入でき、第3空間504内にガスが保持されないことが保証され、これにより第3空間504と第1空間501、第3空間504と第2空間502が連通することが保証され、しかも、水が沸騰していない時は、第3空間504内のガスが排気微細穴5から早く排出されるため、第1空間501内の水位が早く下降する。
【0123】
本願のいくつかの実施例において、
図17に示すように、収容部底壁23には凸リブ503が設けられてもよく、排気微細穴5は凸リブ503に開設され、このような設置により収容部底壁23の構造強度を高めることができ、凸リブ503に排気微細穴5が開設されることで、収容部底壁23が割れることを防ぎ、収容部2の動作性能を確保することができる。
【0124】
本願のいくつかの実施例において、凸リブ503は複数段であり、且つ複数段の凸リブ503は収容部底壁23の中心から放射状に分布し、各段の凸リブ503にはいずれも排気微細穴5が設けられ、このような設置により第3空間504内にガスが保持されないことが一層保証され、水が沸騰していない時は、第3空間504内のガスが排気微細穴5から早く排出されることが保証され、これにより第1空間501内の水位を早く下降させることができ、排気微細穴5の設置位置がより合理的である。
【0125】
収容部貫通穴24は収容部周壁21及び/又は収容部底壁23に設けられ、つまり、収容部貫通穴24は収容部周壁21のみに設けられてもよいし、収容部貫通穴24は収容部底壁23のみに設けられてもよいし、収容部貫通穴24は収容部周壁21及び収容部底壁23の両方に設けられてもよく、このような設置により第1空間501と第2空間502、第2空間502と第3空間504が連通するという目的機能を実現し、調理器具10の動作性能を確保することができる。
【0126】
本願のいくつかの実施例において、少なくとも1つの空間の体積は、可変であり、可変空間として構成され、このような設置により当該体積が変われる空間内の液体を体積が変わらない他の空間内に流入させることで、液位の上昇を実現できる。
【0127】
本願のいくつかの実施例において、可変空間は弾性チャンバーによって囲まれ、弾性チャンバーが弾性的に収縮又は拡張して可変空間の体積を変えることにより、液体を可変空間に流入させ又は流出させることができる。
【0128】
本願のいくつかの実施例において、調理器具10はガス充填放出装置をさらに含んでもよく、ガス充填放出装置は弾性チャンバーに接続され、且つガス充填放出装置は可変空間内のガスを引き出し又は可変空間内に充填をガスすることにより、可変空間の体積を変えるという目的機能を実現するために用いられる。
【0129】
本明細書の説明で、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、「いくつかの例」などが用いられる場合には、当該実施例又は例で説明される特定の特徴、構造、材料又は利点が本願の少なくとも一実施例又は例に含まれることが意図される。本明細書で、前記用語に関する例示的な記述は必ずしも同じ実施例又は例が対象になるとは限らない。しかも、説明される特定の特徴、構造、材料又は利点は任意の1つ又は複数の実施例又は例で適切な形態で組み合わせられてもよい。また、当業者は本明細書で説明される異なる実施例又は例を組み合わせることができる。
【0130】
なお、本願の実施例を示す上で説明しているが、前記実施例は例示的なもので、本願に対する限定として理解されるものではなく、当業者は本願の範囲内で前記実施例に変化、補正、置き換え又は変形を行うことができる。