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特許7225478情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-10
(45)【発行日】2023-02-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230213BHJP
【FI】
G06Q10/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022574241
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016555
【審査請求日】2022-12-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506042645
【氏名又は名称】株式会社ウフル
(72)【発明者】
【氏名】井上 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小栗 佳祐
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-086521(JP,A)
【文献】国際公開第2020/255337(WO,A1)
【文献】特開2010-182042(JP,A)
【文献】特開2011-089682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、前記複数の移動体のうち前記各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得する利用情報取得部と、
前記各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得する消費情報取得部と、
前記各エリアについて前記利用情報取得部が取得した前記利用情報と前記消費情報取得部が取得した前記消費情報とを関連付けて処理する情報処理部と、
前記複数の移動体の稼働条件を用いて、前記各エリアにおけるエネルギー消費量に関する予測値を算出する予測部と、
前記予測値が目標値に近付くように、前記複数の移動体の稼働条件を導出する導出部と、
を含む情報処理システム。
【請求項2】
前記所定領域は建物を含み、
前記複数の移動体は前記建物内で働く人を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記消費情報は、前記建物の前記各エリアに設置された電気機器によって消費される電力を含む、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記利用情報は、前記複数の移動体のうち前記各エリアを利用する移動体の数及び利用時間を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記複数の移動体のうち前記各エリアに存在する移動体を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を用いて、前記移動体の数及び利用時間を算出する稼働算出部と、を含む、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記移動体の数及び利用時間を用いて、前記各エリアが利用されるレベルを表す利用度を算出する利用度算出部と、
前記各エリアにおける前記利用度と前記消費情報との関係を導出する解析部と、を含む
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記予測部は、前記利用情報と前記消費情報とを用いた機械学習によって得られる推論モデルを用いて、前記予測値を算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記各エリアにおけるエネルギー消費量に相当する温室効果ガスの排出量を算出する排出量算出部を含む
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
1又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムを用いた情報処理方法であって、
複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、前記複数の移動体のうち前記各エリアを利用する移動体に関する利用情報を、前記コンピュータシステムによって取得することと、
前記各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を、前記コンピュータシステムによって取得することと、
前記各エリアについて、前記コンピュータシステムが取得した前記利用情報と前記消費情報とを関連付けて、前記コンピュータシステムによって処理することと、
前記複数の移動体の稼働条件を用いて、前記各エリアにおけるエネルギー消費量に関する予測値を算出することと、
前記予測値が目標値に近付くように、前記複数の移動体の稼働条件を導出することと、
を含む情報処理方法。
【請求項10】
1又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムに、
複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、前記複数の移動体のうち前記各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得することと、
前記各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得することと、
前記各エリアについて、前記利用情報と前記消費情報とを関連付けて処理することと、
前記複数の移動体の稼働条件を用いて、前記各エリアにおけるエネルギー消費量に関する予測値を算出することと、
前記予測値が目標値に近付くように、前記複数の移動体の稼働条件を導出することと、
を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷の軽減や、効率的なエネルギーの利用が求められている。人間が存在する室内等では、例えば、換気や室温の制御等の適切な実施と、効率的なエネルギー利用との両立が望まれる。例えば、下記特許文献1に示す特開2021-152416号公報には、在室者の快適性を満たしつつ、送風機と空調機との相互作用により省エネルギー化を図ること目的とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-152416号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様に従えば、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得する利用情報取得部と、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得する消費情報取得部と、各エリアについて利用情報取得部が取得した利用情報と消費情報取得部が取得した消費情報とを関連付けて処理する情報処理部と、複数の移動体の稼働条件を用いて、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する予測値を算出する予測部と、予測値が目標値に近付くように、複数の移動体の稼働条件を導出する導出部と、を含む情報処理システムが提供される。
本発明の態様に従えば、1又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムを用いた情報処理方法であって、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を、コンピュータシステムによって取得することと、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を、コンピュータシステムによって取得することと、各エリアについて、コンピュータシステムが取得した利用情報と消費情報とを関連付けて、コンピュータシステムによって処理することと、複数の移動体の稼働条件を用いて、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する予測値を算出することと、予測値が目標値に近付くように、複数の移動体の稼働条件を導出することと、を含む情報処理方法が提供される。
本発明の態様に従えば、1又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムに、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得することと、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得することと、各エリアについて、利用情報と消費情報とを関連付けて処理することと、複数の移動体の稼働条件を用いて、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する予測値を算出することと、予測値が目標値に近付くように、複数の移動体の稼働条件を導出することと、を実行させる情報処理プログラムが提供される。
本発明の第1の態様に従えば、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得する利用情報取得部と、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得する消費情報取得部と、各エリアについて利用情報取得部が取得した利用情報と消費情報取得部が取得した消費情報とを関連付けて処理する情報処理部と、を含む情報処理システムが提供される。
【0005】
本発明の第2の態様に従えば、1又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムを用いた情報処理方法であって、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を、コンピュータシステムによって取得することと、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を、コンピュータシステムによって取得することと、各エリアについて、コンピュータシステムが取得した利用情報と消費情報とを関連付けて、コンピュータシステムによって処理することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0006】
本発明の第3の態様に従えば、1又は複数のコンピュータを含むコンピュータシステムに、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得することと、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得することと、各エリアについて、利用情報と消費情報とを関連付けて処理することと、を実行させる情報処理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムを示す図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理システムの処理を示す図である。
図3】第1実施形態に係る情報処理部の処理を示す図である。
図4】第1実施形態に係る情報処理方法を示す図である。
図5】第2実施形態に係る情報処理システムを示す図である。
図6】第3実施形態に係る情報処理システムを示す図である。
図7】第3実施形態に係る機械学習の処理を示す図である。
図8】実施形態に係るコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る情報処理システムを示す図である。この情報処理システム1は、例えば、オフィス等の所定領域2において、会議室などのエリア(3a、3b、3c)ごとに、各エリアの利用状況とエネルギー消費量とを関連付けて処理する。例えば、情報処理システム1は、各エリアの利用状況とエネルギー消費量とを対比した情報(例、画像)を、出力(例、表示)する。
【0009】
オフィスの管理者は、例えば、情報処理システム1から出力される情報を用いて、複数のエリア(3a、3b、3c)のうちエネルギー利用効率が相対的に悪いエリアを把握でき、このエリアのエネルギー利用効率を改善できる。例えば、オフィスの管理者は、このエリアにおける空調や照明などを制御することによって、このエリアのエネルギー消費量を削減できる。
【0010】
このような情報処理システム1は、例えば、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」こと、目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことの達成に貢献する。
【0011】
図1の所定領域2は、複数の移動体(4a、4b、4c)が稼働する領域である。本実施形態において、複数の移動体(4a、4b、4c)は、人を含む。以下の説明において適宜、複数の移動体(4a、4b、4c)のそれぞれを、他の移動体と区別しない場合に符号4で表し、他の移動体と区別する場合に符号4a、4b、4cで表す。以下の説明において適宜、移動体4は人であるものとし、移動体4を人4と表す。
【0012】
所定領域2は、任意に設定される第1のジオフェンスに囲まれる領域である。所定領域2は、例えば、複数の人4が属する組織が利用する領域を含む。所定領域2は施設(例、建物)を含み、複数の移動体4はこの施設(例、建物)内で働く人を含む。例えば、上記組織は企業であり、所定領域2は、この企業のオフィスである。以下の説明において適宜、所定領域2はオフィスであるとし、所定領域2をオフィス2と表す。
【0013】
複数のエリア(3a、3b、3c)は、それぞれ、所定領域2内に任意に設定される第2のジオフェンスに囲まれる領域である。以下の説明において適宜、複数のエリア(3a、3b、3c)のそれぞれを、他のエリアと区別しない場合に符号3で表し、他のエリアと区別する場合に符号3a、3b、3cで表す。複数のエリア3は、それぞれ、他のエリアと重複しないように設定される。複数のエリア3の各々は、例えば、会議室、執務室、休憩スペース、通路等のように、用途に応じて区画された領域である。
【0014】
オフィス2には、複数の機器(5a、5b、5c)が設置される。以下の説明において適宜、複数の機器(5a、5b、5c)のそれぞれを、他の機器と区別しない場合に符号5で表し、他の移動体と区別する場合に符号5a、5b、5cで表す。機器5は、例えば、エネルギーを消費して、エリア3に影響を及ぼす。例えば、機器5は電気機器を含み、電力量(ワット秒)を消費してエリア3の環境に影響を及ぼす。以下の説明において適宜、機器5が電気機器であるものとし、機器5を電気機器5と表す。
【0015】
図1のエリア3aには、電気機器5a、電気機器5b、及び電気機器5cが設置される。電気機器5aは、例えば電動ブラインドである。この電動ブラインドは、エリア3aの外部からエリア3a内に届く外光の量を電力によって調整し、エリア3aの明るさや温度に対して外光が及ぼす影響を変化させる。電気機器5bは、例えば空調装置を含む。この空調装置は、エリア3aの温度や湿度、空気の清浄度を電力によって変化させる。電気機器5cは、例えば照明機器を含む。この照明機器は、エリア3aの明るさを電力によって変化させる。
【0016】
電気機器5a、電気機器5b、及び電気機器5cが消費する電力量は、例えば、エリア3aを利用する人4の数及び時間に依存する。例えば、電気機器5a、電気機器5b、及び電気機器5は、人4a及び人4bがエリア3aの利用を開始する際に操作され、消費する電力量がエリア3aの利用開始前から変化する。例えば、電気機器5a、電気機器5b、及び電気機器5は、人4a及び人4bがエリア3aの利用を終了する際に操作され、消費する電力量がエリア3aの利用中から変化する。
【0017】
エリア3aにおいて消費される電力量は、例えば、人4a及び人4bがエリア3aに入る稼働(例、移動)、及び人4a及び人4bがエリア3aから出る稼働(例、移動)と相関関係がある。情報処理システム1は、例えば、この相関関係及び人4の稼働条件(例、エリア3の利用予定)を用いて、エリア3におけるエネルギー消費量を予測する。情報処理システム1は、例えば、この相関関係を利用して、エリア3のエネルギー消費量が低減される、人4の稼働条件(例、エリア3の利用予定)を導出する。
【0018】
情報処理システム1は、例えば、1又は2以上のコンピュータを含む。情報処理システム1の少なくとも一部は、例えば、コンピュータがプログラムに従って処理を実行することで実現される。情報処理システム1は、処理部10と、記憶部20と、通信部30とを含む。
【0019】
通信部30は、情報処理システム1が他の装置との間で実行する通信を制御する。処理部10は、情報を処理する。処理部10によって実行される処理は、例えば、演算処理、画像処理、解析処理、判定処理、推論処理、及び制御処理の少なくとも1つを含む。記憶部20は、情報処理システム1が他の装置から取得した情報と、処理部10が実行する処理に使用される情報と、処理部10が実行した処理によって生成された情報との少なくとも1つを記憶する。記憶部20は、処理部10が実行する処理に使用される情報として、勤務者情報D1、設置情報D2及び排出係数D3を記憶する。
【0020】
勤務者情報D1は、例えば、所定領域2を利用する企業に関連する人(適宜、勤務者という)に関する情報を含む。勤務者は、例えば、使用者及び従業者を含む。各勤務者には識別情報(例、社員番号)が割り付けられ、勤務者情報D1は、各勤務者の識別情報と、この勤務者の属性情報(例、氏名、所属する部署、役職、業務領域)とを一組にした情報を含む。以下の説明において適宜、勤務者の識別情報を勤務者IDと表す。
【0021】
勤務者は、使用者及び従業者のいずれとも異なる人を含んでもよい。例えば、勤務者は、オフィス2を訪問する訪問者と、オフィス2のメンテナンス(例、清掃)を委託された委託者と、オフィス2を含む建物の管理者との少なくとも一部を含んでもよい。
【0022】
勤務者情報D1は、各勤務者のオフィス2における勤務予定を表す勤務情報を含んでもよい。勤務情報は、例えば、オフィス2に到着する予定時刻、オフィス2の設備(例、エリア3、会議室)を利用する予定時間帯(例、設備利用予約)、勤務時間内においてオフィス2から外出する予定時間帯、及びオフィス2から退出する予定時刻の少なくとも一つを含む。勤務情報は、オフィス勤務であるかリモート勤務であるかを区別する情報を含んでもよい。
【0023】
情報処理システム1(例、処理部10)は、利用情報取得部11と、消費情報取得部12と、情報処理部13と、を含む。利用情報取得部11は、複数の移動体4が稼働する所定領域2に含まれる複数のエリア3の各エリア3について、複数の移動体4のうち各エリア3を利用する移動体4に関する利用情報を取得する。利用情報は、例えば、複数の移動体4のうち各エリア3を利用する移動体4の数及び利用時間を含む。例えば、エリア3aについての利用情報は、人4aがエリア3aの利用を開始した時刻及び終了した時刻と、人4bがエリア3aの利用を開始した時刻及び終了した時刻とを含む。
【0024】
実施形態に係る時刻、時間帯は、任意の時間刻みで表されてよい。例えば、時刻は、30分刻みで表されてもよいし、15分刻みで表されてもよく、1分刻みで表されてもよい。例えば、時刻が15分刻みで表される場合、15時27分は、単位である15分に対する端数である12分の割合(12/15=0.8)に応じて四捨五入(この場合、0.8が0.5以上であるので切り上げ)によって丸められ、15時30分と表されてもよい。上記四捨五入の代わりに、切り捨て又は切り上げが用いられてもよい。
【0025】
本実施形態において、情報処理システム1は検出部6を含み、利用情報取得部11は、検出部6の検出結果を用いて利用情報を取得する。検出部6は、例えば、複数の移動体4のうち各エリア3に存在する移動体4を検出する。利用情報取得部11は、例えば、検出部6からその検出結果を取得し、この検出結果を処理することによって利用情報を取得する。
【0026】
検出部6は、例えば、複数のエリア3のそれぞれに設置される。検出部6は、例えば、検出部6が設置されたエリア3に移動体4が存在するか否かを検出する。検出部6は、例えば、IDタグ7のリーダーを含む。IDタグ7は、例えば、社員証などに設けられ、各勤務者IDを含む信号を発信する。IDタグ7から発信された信号が検出部6によって受信されることによって、検出部6が信号を検出可能な範囲(適宜、検出範囲という)に、IDタグ7が存在することが検出される。
【0027】
検出部6は、例えば、受信した信号に含まれる勤務者IDと、この信号を受信した時刻と、検出部6の識別情報とを一組にした情報を、検出結果として送信する。検出部6は、例えば検出を周期的に実行して、検出結果を周期的に送信する。IDタグ7からの信号が受信されない場合、例えば、勤務者IDの代わりに勤務者IDが検出されないことを示す情報を送信する。勤務者IDが検出されないことを示す情報は、例えば「NULL」でもよい。
【0028】
以下の説明において適宜、検出部6の識別情報を検出部IDと表す。検出部IDは、この検出部IDに対応する検出部6が設置されているエリア3を表す情報と予め関連付けられている。例えば、情報処理システム1の記憶部20は、各検出部6が設置された位置を示す設置情報D2を記憶する。設置情報D2は、検出部6の検出部IDと、この検出部6が設置されたエリア3の識別情報(適宜、エリアIDという)とを関連付けた情報を含む。
【0029】
情報処理システム1の通信部30は、検出部6が送信した検出結果を受信する。利用情報取得部11は、例えば、通信部30が受信した検出結果に含まれる勤務者IDを、記憶部20に記憶された勤務者情報D1に照合し、この勤務者IDに関連付けられた人4を特定する。利用情報取得部11は、例えば、通信部30が受信した検出結果に含まれる検出部IDを、記憶部20に記憶された設置情報D2に照合し、この検出部IDに関連付けられたエリア3を特定する。利用情報取得部11は、検出結果に含まれる検出部IDから特定されるエリア3に、この検出結果に含まれる勤務者IDから特定される人4が存在するものとする。
【0030】
ここで、任意のエリアIDを含む検出結果を第1の検出結果と称し、このエリアIDを含み通信部30が第1の検出結果の次に受信した検出信号を第2の検出結果と称す。利用情報取得部11は、例えば、第1の検出結果に勤務者IDが検出されないことを示す情報が含まれ、第2の検出結果に勤務者IDに含まれる場合、第2の検出結果が得られたタイミングでこのエリアIDに対応するエリア3の利用が開始されたと判定する。この場合、利用情報取得部11は、例えば、第2の検出結果に含まれる時刻を、このエリアIDに対応するエリア3の利用が開始された時刻とする。利用情報取得部11は、例えば、第1の検出結果に勤務者IDが含まれ、第2の検出結果に勤務者IDが検出されないことを示す情報が含まれる場合、第2の検出結果が得られたタイミングでこのエリアIDに対応するエリア3の利用が終了されたと判定する。この場合、利用情報取得部11は、例えば、第2の検出結果に含まれる時刻を、このエリアIDに対応するエリア3の利用が終了された時刻とする。利用情報取得部11は、利用情報として、例えば各エリア3に存在する人4のログを生成する。エリア3aに関する利用情報は、例えば、第1時刻から第2時刻までの期間に、エリア3aに人4aと人4bとが存在したことを示す情報を含む。
【0031】
なお、検出部6は、検出を実行した時刻を検出結果に含めなくてもよい。例えば、通信部30は検出結果を受信した時刻を検出し、利用情報取得部11は、通信部30が検出した時刻を検出が実行された時刻として用いてもよい。検出部6は、1つのエリア3に複数設けられてもよい。例えば、1つのエリア3に複数の検出部6が設けられ、複数の検出部6は、移動体4の位置を検出してもよい。
【0032】
情報処理システム1は、検出部6を備えなくてもよい。例えば、移動体4は、自装置の位置を検出する端末を携帯し、利用情報取得部11は、この端末から取得される位置に関する情報を持ちて、この移動体4がいずれのエリア3に存在するかを判定してもよい。自装置の位置を検出する技術としては、例えば、GPSを利用した技術、ビーコン等からの信号を利用した技術、地磁気を利用した技術等がある。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る情報処理システムの処理を示す図である。図2に示す符号Q1は、オフィス2におけるエリア3の配置と移動体4の移動を表した図を示す。第1会議室、第2会議室、第3会議室、第1執務室、第2執務室、第3執務室、通路、役員室、休憩室はそれぞれ、エリア3に相当する。図Q1中の黒塗りの丸印は、人4aが検出された位置を表し、この丸印を結ぶ線は、人4aの移動経路を表す。例えば、人4aは、通路を通って第2会議室に移動し、第2会議室に滞在した後、通路を通って第2執務室に移動し、第2執務室に滞在している。図Q1中の白抜き丸印は人4bが検出された位置を表し、この丸印を結ぶ線は、人4bの移動経路を表す。第2会議室において、人4aの存在(例、位置)が検出された時間帯と、人4bの存在(例、位置)が検出された時間帯とで重複する時間帯は、第2会議室を人4aと人4bとが利用した時間帯に相当する。
【0034】
図1の説明に戻り、本実施形態に係る情報処理システム1(例、利用情報取得部11)は稼働算出部14を含む。稼働算出部14は、検出部6の検出結果を用いて、移動体4の数及び利用時間を算出する。利用時間は、移動体4がエリア3を利用したと想定される時間であり、移動体4がエリア3に滞在したと検出された時間(適宜、滞在時間という)でもよい。稼働算出部14は、例えば、所定の時間刻み(例、15分)で、各エリア3に存在する人4を特定し、特定した人4の数を集計することによって、この期間にエリア3を利用した人4aの数を算出する。
【0035】
本実施形態に係る情報処理システム1(例、利用情報取得部11)は、利用度算出部15を含む。利用度算出部15は、移動体4の数及び利用時間を用いて、各エリア3が利用されるレベルを表す利用度を算出する。エリア3の利用度は、例えば、エリア3に滞在している人の数と、その利用時間(例、滞在時間)とを乗算した値で表される。エリア3に滞在している人の数(適宜、利用者数という)は、例えば、任意に設定される時間刻みの期間において、エリア3に存在した人の数である。任意に設定される時間刻みは、任意の長さの単位時間と読み替えられてもよい。この単位時間は、エリア3において移動体4を検出する検出処理が実行される周期でもよいし、複数周期でもよい。例えば、単位時間が1分である場合、エリア3の利用者数は、1分間の期間にエリア3に存在した人の数(例、単位時間あたりの利用者数)である。
【0036】
エリア3における勤務者の滞在時間について、単位時間に対する端数がある場合、単位時間あたりの利用者数は、例えば、滞在時間の端数を単位時間で割った値で表される。例えば、勤務者が、1分間の期間のうち15秒だけエリア3に存在した場合、単位時間あたりの利用者数は、0.25と表される。単位時間に対する端数がある場合の、単位時間あたりの利用者数は、滞在時間の端数を単位時間で割った値でなくてもよい。例えば、単位時間あたりの利用者数は、滞在時間の端数を単位時間で割った値について、1未満を切り捨てた値(0)でもよいし、1未満を切り上げた値(1)でもよいし、1未満を四捨五入した値(0又は1)でもよい。
【0037】
図2の中段に示す符号Q2は、利用度算出部15の処理を示す図である。図Q2は、図2上段の図Q1に対応するタイミングチャートである。図Q2において、エリアの利用状況は、利用の有無が二値で表されている。
【0038】
「利用状況 第1勤務者」は、人4aによる第2会議室の利用状況を表す。「利用状況 第1勤務者」の「0」は、人4aが第2会議室を利用していない(第2会議室に存在していない)ことを示し、「1」は人4aが第2会議室を利用している(第2会議室に存在している)ことを示す。利用状況 第1勤務者」の「0」、「1」は、人4aに関して第2会議室を利用している人の数に相当する。時刻t1において、第1勤務者(人4a)が第2会議室の利用を開始し、利用状況は「0」から「1」に変化する。時刻t1から時刻t3までの期間において、第1勤務者(人4a)が第2会議室の利用を継続し、利用状況は「1」である。時刻t3において、第1勤務者(人4a)が第2会議室の利用を終了し、利用状況は「1」から「0」に変化する。
【0039】
「利用状況 第2勤務者」は、人4bによる第2会議室の利用状況を表す。「利用状況 第2勤務者」の「0」は、人4bが第2会議室を利用していない(第2会議室に存在していない)ことを示し、「1」は人4bが第2会議室を利用している(第2会議室に存在している)ことを示す。利用状況 第2勤務者」の「0」、「1」は、人4bに関して第2会議室を利用している人の数に相当する。時刻t2において、第2勤務者(人4b)が第2会議室の利用を開始し、利用状況は「0」から「1」に変化する。時刻t2から時刻t3までの期間において、第2勤務者(人4b)が第2会議室の利用を継続し、利用状況は「1」である。時刻t3において、第2勤務者(人4b)が第2会議室の利用を終了し、利用状況は「1」から「0」に変化する。
【0040】
「単位時間あたりの利用度」は、各時刻について各エリア(例、第2会議室)を利用する人(例、第1勤務者、第2勤務者)の利用状況を積算したものである。時刻t1よりも前の時刻において、第2会議室の利用者は0人であり、利用度は「0」である。時刻t1から時刻t2の期間において、第2会議室の利用者は第1勤務者(人4a)のみであり、利用者の人数は1であるので、利用度は「1」である。時刻t2から時刻t3の期間において、第2会議室の利用者は第1勤務者(人4a)及び第2勤務者(人4b)であり、利用者の人数は2であるので、利用度は「2」である。ここでは、時刻t1から時刻t2までの時間と、及び時刻t2から時刻t3までの時間とが同じであり、この時間を単位時間としている。単位時間は任意に設定され、時刻t1から時刻t3までの時間を単位時間とする場合、時刻t1から時刻t3までの単位時間あたりの利用度は「1.5」となる。
【0041】
利用度算出部15は、例えば、各エリア3における単位時間あたり利用度の時間履歴(適宜、各エリアの利用ログと表す)を生成する。利用度算出部15は、生成した各エリアの利用ログを記憶部20に記憶させる。利用情報は、各エリアの利用ログを含んでもよい。例えば、利用情報取得部11は、エリア3に移動体4が存在するか否かを検出した検出結果を用いて各エリアの利用ログを生成することによって、利用情報の少なくとも一部(例、各エリアの利用ログ)を取得してもよい。
【0042】
利用情報取得部11は、移動体4の存在の検出結果と異なる情報を用いて、各エリアの利用ログを生成してもよい。例えば、利用情報取得部11は、エリア3の利用を予約する情報を用いて、各エリアの利用ログを生成してもよい。エリア3の利用を予約する情報は、例えば、図2の上段に示した第2会議室の予約情報を含む。この予約情報は、例えば、第2会議室を利用する時間帯及び第2会議室の利用者数を特定できる情報を含む。利用者数は、例えば利用者として第1勤務者と第2勤務者とが予約情報に登録されていることにより、2人と特定される。
【0043】
図1に示す消費情報取得部12は、各エリア3におけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得する。消費情報は、例えば、各エリア3に設置された電気機器5によって消費される電力を含む。例えば、複数の電気機器5には、1又は2以上の電気機器5ごとに電力計が設けられ、消費情報取得部12は、上記電力計から出力される測定値を取得する。電力計は、電気機器5に内蔵されたものでもよいし、電気機器5に外付けされたものでもよい。電力計は、1つのエリア3に設置される1又は2以上の電気機器5の消費電力をまとめて測定するものでもよい。電力計は、1つのエリア3に設置される1又は2以上の機器5の消費電力と、他のエリア3に設置される1又は2以上の電気機器5の消費電力とをまとめて測定するものでもよい。電気機器5の消費電力は、ディスアグリゲーション技術を利用して取得されてもよい。情報処理システム1は、電気機器5が消費するエネルギーに関する情報を検出するセンサを備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0044】
消費情報取得部12は、取得した測定値又は測定値を処理(例、統計処理)した値を、消費電力を示す情報として記憶部20に記憶させる。例えば、消費情報取得部12は、各エリア3について、消費電力の時間履歴を示す情報(適宜、各エリアの消費電力ログと表す)を生成する。消費情報取得部12は、生成した各エリアの消費電力ログを記憶部20に記憶させる。消費情報は、各エリアの消費電力ログを含んでもよい。例えば、消費情報取得部12は、エリア3の消費電力を検出した検出結果を用いて各エリアの消費電力ログを生成することによって、消費情報の少なくとも一部(例、各エリアの消費電力ログ)を取得してもよい。
【0045】
図2の下段に示す符号Q3は、エリア3の消費電力の時間履歴を示す図である。図Q3は、図Q1及び図Q2に対応している。図Q3の消費電力(W)は、第2会議室に設置された電気機器5の消費電力の合計値である。時刻t1は、第1勤務者(人4a)が第2会議室の利用を開始した時刻である。時刻t2は、第2勤務者(人4b)が第2会議室の利用を開始した時刻である。時刻t3は、第1勤務者(人4a)及び第2勤務者(人4b)が第2会議室の利用を終了した時刻である。
【0046】
時刻t1において、例えば、照明機器の点灯及び空調装置の運転が開始され、時刻t1以前に比べて消費電力が増加する。第2会議室には、例えば、複数の勤務者で共用の電気機器と、各勤務者で専用の電気機器とが設けられる。例えば、照明機器及び空調装置は、共用の電気機器である。各勤務者で専用の電気機器は、例えば、各勤務者が使用するパソコンを含む。時刻t2において、第2勤務者(人4b)が第2会議室の利用を開始し、第2会議室における消費電力は、時刻t2以前に比べて増加する。例えば、照明機器の点灯及び空調装置は、共用の電気機器であるので、その消費電力は、時刻t2の前後で変化が緩やかである。例えば、第2勤務者(人4b)が使用するパソコンは、専用の電気機器であるので、その消費電力は、時刻t2以前の第2会議室の消費電力に上乗せされる。このように、第2会議室の消費電力は、例えば、第2会議室の利用度に含まれるパラメータ(例、利用者の数)に対して非線形に変化する。
【0047】
図1の説明に戻り、消費情報取得部12は、取得した消費情報を記憶部20に記憶させる。本実施形態において、情報処理システム1(例、消費情報取得部12)は、排出量算出部16を含む。排出量算出部16は、各エリア3におけるエネルギー消費量に相当する温室効果ガスの排出量を算出する。以下の説明において適宜、温室効果ガスをGHGと表す。
【0048】
排出量算出部16は、例えば、GHGプロトコルのScope2の排出量(適宜、Scope2排出量という)を算出する。排出量算出部16は、例えば、消費情報取得部12が取得した消費情報(例、各エリアの消費電力ログ)と、記憶部20に記憶された排出係数D3とを用いて、GHG排出量を算出する。排出量算出部16は、例えば、各エリア3について、各時刻における消費電力に相当するGHG排出量を算出する。排出量算出部16は、例えば、各エリア3における消費電力の時間履歴に相当するGHG排出量の時間履歴を示す情報(適宜、各エリアのGHG排出量ログという)を生成する。排出量算出部16は、生成した各エリアのGHG排出量ログを記憶部20に記憶させる。消費情報は、各エリアのGHG排出量ログを含んでもよい。例えば、消費情報取得部12は、エリア3の消費電力を検出した検出結果を用いて各エリアのGHG排出量ログを生成することによって、消費情報の少なくとも一部(例、各エリアのGHG排出量ログ)を取得してもよい。
【0049】
情報処理部13は、各エリア3について利用情報取得部11が取得した利用情報と消費情報取得部12が取得した消費情報とを関連付けて処理する。本実施形態において情報処理システム1(例、情報処理部13)は、解析部17を含む。解析部17は、各エリア3における利用度と消費情報との関係を導出する。
【0050】
図3は、第1実施形態に係る情報処理部の処理を示す図である。図3の上段に示す符号Q4は、単位時間あたり利用度に対する消費電力を示す図である。図Q4において、白抜きの丸印は、それぞれ、各エリアの所定の時刻における利用度と消費電力とを関連付けて一組のデータに相当する。例えば、利用度が「0」に対応する消費電力は「W0」である。W0は、例えば、エリア3に人4が存在しない状態で消費される電力(例、待機電力)である。
【0051】
利用度が「1」に対応する消費電力は「W1」である。W0に対するW1の増加分は、例えば、図2に示した第2会議室を第1勤務者が利用する際に、第2会議室に設置された電気機器(例、空調装置、照明機器)の動作による消費電力と、第1勤務者が個人的に利用する電気機器(例、パソコン)の動作による消費電力とを含む。W1を利用度の「1」で割った値(W1/1)は、例えば、利用度が「1」の場合のエリア3におけるエネルギー利用効率と互換性があり、この値が小さいほどエネルギー利用効率が高いことを示す。
【0052】
利用度が「2」に対応する消費電力は「W2」である。W1に対するW2の増加分は、例えば、図2に示した第2会議室を第2勤務者が利用する際に、第2勤務者が個人的に利用する電気機器(例、パソコン)の動作による消費電力を含む。W2を利用度の「2」で割った値(W2/2)は、例えば、利用度が「2」の場合のエリア3におけるエネルギー利用効率と互換性がある。図Q4において、利用度が「1」から「2」に変化する際の消費電力の変化量(W2-W1)は、利用度が「0」から「1」に変化する際の消費電力の変化量(W1-W0)よりも大きい。図Q4に示す情報は、例えば、利用度が「2」の場合に比べて利用度が「1」の場合の方がエネルギー利用効率が低いことを表す。例えば、オフィス2の管理者は、情報処理システム1から図Q4の情報が提供されることによって、利用度が「1」となるエリア3の利用状況を避けるように勤務者の稼働条件を調整し、エネルギー利用効率を向上できる。
【0053】
解析部17は、例えば利用情報取得部11が生成した各エリアの利用ログ(図2中段の図Q2参照)と、消費情報取得部12が生成した各エリアの消費電力ログ(図2下段の図Q3参照)とを用いて、利用度と消費情報との関係を導出する。例えば、解析部17は、各エリア3の所定の時刻における利用度を各エリアの利用ログから導出し、このエリア3のこの時刻における消費電力を各エリアの消費電力ログから導出する。解析部17は、各エリアの所定の時刻における利用度と消費電力との一方又は双方を近似(例、補間)によって導出してもよい。解析部17は、各エリアの所定の時刻における利用度と消費電力とを関連付けて一組のデータとする。解析部17は、複数の時刻のそれぞれについて、利用度と消費電力とを関連付けたデータを生成することによって、利用度と消費電力との関係を示す情報(適宜、エネルギー利用効率情報という)を生成する。解析部17は、例えば、その処理結果として、生成したエネルギー利用効率情報を記憶部20に記憶させる。
【0054】
図3の下段に示す符号Q5は、単位時間あたり利用度とGHG排出量との関係をエリア3ごとに示す図である。図Q5の実線は、図2上段の図Q1に示した「第2会議室」の利用度とGHG排出量との関係を示す。図Q5の「GHG排出量」は、「第2会議室」におけるエネルギー消費量に相当するGHG排出量を表す。GHG排出量は、例えば、排出量算出部16によって算出され、記憶部20に記憶された情報に含まれる。例えば、オフィス2の管理者は、情報処理システム1から情報が提供されることによって、第2会議室における勤務者の稼働条件を調整し、エネルギー利用効率を向上できる。
【0055】
図Q5の点線は、図2上段の図Q1に示した「休憩室」の利用度とGHG排出量との関係を示す。休憩室には、例えば自動販売機や照明機器などの電気機器が設置され、これら電気機器は、休憩室の利用者がいない状態でも稼働する。休憩室は、例えば、第2会議室に比べて、常時稼働する電気機器による消費電力が多く、利用度が低い状態における消費電力に相当するGHG排出量が多い。休憩室に対応するGHG排出量は、例えば、利用度の増加に伴う変化が緩やかである。休憩室は、例えば、多数の勤務者が参加するイベントに利用される。休憩室に対応するGHG排出量は、通常時に利用されずイベントで利用される電気機器(例、プロジェクタ、音響装置)の消費電力に応じて、利用度があるレベルを超えると変化が顕著になる。例えば、オフィス2の管理者は、情報処理システム1から情報が提供されることによって、休憩室における勤務者の稼働条件や電気機器の稼働条件を調整し、エネルギー利用効率を向上できる。
【0056】
解析部17は、例えば利用情報取得部11が生成した各エリアの利用ログ(図2中段の図Q2参照)と、排出量算出部16が生成した各エリアのGHG排出量ログとを用いて、利用度とGHG排出量との関係を導出する。例えば、解析部17は、各エリア3の所定の時刻における利用度を各エリアの利用ログから導出し、このエリア3のこの時刻におけるGHG排出量を各エリアのGHG排出量ログから導出する。解析部17は、各エリアの所定の時刻における利用度とGHG排出量との一方又は双方を近似(例、補間)によって導出してもよい。解析部17は、各エリアの所定の時刻における利用度とGHG排出量とを関連付けて一組のデータとする。解析部17は、複数の時刻のそれぞれについて、利用度とGHG排出量とを関連付けたデータを生成することによって、利用度とGHG排出量との関係を示す情報(適宜、GHG排出効率情報という)を生成する。解析部17は、例えば、その処理結果として、生成したGHG排出効率情報を記憶部20に記憶させる。解析部17は、複数のエリア3のそれぞれについて、GHG排出効率情報を生成する。図3図Q5に示す情報は、例えば、第2会議室のGHG排出効率情報と、休憩室のGHG排出効率情報とを1つ画像上に表すことで得られる。
【0057】
次に、実施形態に係る情報処理方法を、上述の情報処理システム1に基づいて説明する。図4は、第1実施形態に係る情報処理方法を示す図である。情報処理システム1の各部及び処理については、適宜、図1から図3を参照する。
【0058】
ステップS10において、利用情報取得部11は、各エリア3を利用する移動体4の利用情報を取得する。例えば、ステップS11において、検出部6は各エリア3の移動体4を検出する(図2上段の図Q1参照)。ステップS12において、稼働算出部14は、検出部6によって検出された移動体4の数および時刻を、記憶部20に記憶させる。ステップS13において、利用度算出部15は、各エリアの利用度を算出する(図2中段の図Q2参照)。ステップS14において、利用度算出部15は、各エリアの利用度の時間履歴を記憶部20に記憶させる。
【0059】
ステップS20において、消費情報取得部12は、各エリア3の消費情報を取得する。例えば、ステップS21において、電力計は、各エリア3の電気機器5の消費電力を検出さする。ステップS22において、消費情報取得部12は、電力計によって検出された消費電力と時刻を記憶部20に記憶させる。ステップS23において、排出量算出部16は、記憶部20に記憶された排出係数D3を用いて、各エリア3のGHG排出量を算出する。ステップS24において、排出量算出部16は、各エリア3のGHG排出量の時間履歴を記憶部20に記憶させる。
【0060】
ステップS30において、情報処理部13は、各エリア3の利用情報と消費情報とを関連付けて処理する。例えば、ステップS31において、解析部17は、各エリア3の利用度とGHG排出量との関係を導出する。解析部17は、導出した関係を示す情報(例、GHG排出効率情報)を記憶部20に記憶させる。ステップS32において、情報処理システム1は、各エリア3の利用度とGHG排出量との関係を示す情報を出力する。例えば、情報処理システム1は、オフィス2の管理者の端末にGHG排出効率情報を出力し、この端末は、GHG排出効率情報を表す画像を表示部に表示させる(図3下段の図Q5参照)。
【0061】
上述の情報処理システム1は、各エリア3について利用情報と消費情報とを関連付けて処理する。オフィス2の管理者は、例えば、情報処理システム1の処理結果を用いて、各エリア3の利用状況とエネルギー消費量とを関連付けて把握できる。例えば、オフィス2の管理者は、利用状況に照らしてエネルギー消費量が多いエリアを把握できる。オフィス2の管理者は、例えば、利用状況に照らしてエネルギー消費量が多いエリアについて、エネルギー利用効率を改善する策を検討できる。このような情報処理システム1は、例えば、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ことの達成に貢献する。
【0062】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図5は、第2実施形態に係る情報処理システムを示す図である。この情報処理システム1(例、処理部10)は、制御部18を備える。制御部18は、オフィス2の各部を制御する。制御部18は、エリア3に設置される電気機器5の少なくとも1つを制御する。例えば、エリア3には電気機器5bとして空調装置が設置され、制御部18は電気機器5bを制御する。制御部18は、例えば、エリア3aの温度が管理者によって指定された目標値に近づくように、電気機器5bを制御する。制御部18は、電気機器5bの稼働状態を示す稼働情報(例、現在の室温、室温の目標値、出力、稼働時間)を保持する。例えば、制御部18による電気機器5bの制御を表す制御情報は、稼働情報として利用できる。制御部18は、電気機器5bの稼働状態を示す情報を、電気機器5bから取得してもよい。
【0063】
本実施形態において、消費情報取得部12は、制御部18が保持する稼働情報を用いて、複数のエリア3の少なくとも一部の消費情報を取得する。例えば、消費情報取得部12は、電気機器5bの仕様を示す情報(適宜、製品情報という)と、エリア3aの現在の温度及び目標の温度とを用いて、電気機器5bの消費電力を推定する。製品情報は、例えば各機器5の消費電力の情報を含む。製品情報は、消費電力の情報と異なる情報を含んでもよい。例えば、製品情報は、機器5の出力、動作環境、耐久性、製造に要するエネルギーに相当するGHG排出量、及び処分に要するエネルギーに相当するGHG排出量の少なくとも1つの情報を含んでもよい。製品情報は、機器5の利用者(例、オフィス2の管理者)が測定した情報を含んでもよいし、機器5のメーカー又はメーカーと異なる第三者が公開する情報を含んでもよい。消費情報取得部12は、推定した消費電力と、電気機器5bの稼働時間とを用いて、エネルギー消費量(例、消費電力量)を推定する。消費情報取得部12は、消費電力を推定することによって、消費電力の推定値を含む消費情報を取得する。
【0064】
本実施形態において、制御部18は、オフィス2に設置された複数の機器5の少なくとも一部を、利用情報を用いて制御する。制御部18は、例えば、利用情報を用いて利用度が所定値未満のエリア3を特定する。制御部18は、例えば、特定したエリア3に設置された電気機器5の少なくとも一部を、消費電力を減らすように制御(例、自動制御)する。例えば、図5においてエリア3cには利用者が存在せず、エリア3cの利用度は「0」である。例えば、夏季において、制御部18は、エリア3cに設置された空調装置の設定温度を高めることで、消費電力を低減する。制御部18は、エリア3aの利用度が「0」である場合、電気機器5a(例、電動ブラインド)を制御して、エリア3aに入射する外光の量を調整してもよい。制御部18は、外光の量を調整することによってエリア3aの温度を調整し、電気機器5b(例、空調装置)の負荷を低減することによって、電気機器5bの消費電力を低減してもよい。
【0065】
なお、第1実施形態において、検出部6(図1参照)はIDタグ7のリーダーを含むものとしたが、検出部6の検出原理に限定はない。図5において、検出部6は、エリア3を撮影するカメラを含む。検出部6は、エリア3を撮影した画像を周期的に、情報処理システム1に提供する。利用情報取得部11は、検出部6が撮影した画像に対して画像認識処理を実行し、この画像に写っている移動体4を検出する。利用情報取得部11は、画像に写っている移動体4の特徴量を抽出し、移動体4の種類を特定してもよい。例えば、記憶部20に記憶された勤務者情報D1は、勤務者の外見の特徴量を含む。利用情報取得部11は、画像から抽出した移動体4の特徴量を、勤務者情報D1に含まれる特徴量と照合し、この移動体4に相当する勤務者を特定してもよい。
【0066】
なお、検出部6は、エリア3をレーザ光などでスキャンし、エリア3内の物体表面の位置を検出してもよい。利用情報取得部11は、検出部6が検出した物体表面の位置の変化を用いて、移動体4の数を検出してもよい。検出部6は、モーションキャプチャを含んでもよい。
【0067】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。図6は、第3実施形態に係る情報処理システムを示す図である。本実施形態において、情報処理システム1(例、情報処理部13)は、予測部19を含む。予測部19は、複数の移動体4の稼働条件を用いて、各エリア3におけるエネルギーの消費量に関する予測値を算出する。予測部19は、例えば、勤務者情報D1及び利用予約情報D4を用いて各エリアの消費電力を予測する。
【0068】
勤務者情報D1は、例えば、オフィス2で稼働する勤務者の情報と、オフィス2の外部で勤務する勤務者の情報とを含む。以下の説明において適宜、オフィス2で稼働する勤務者をオフィス勤務者と表し、オフィス2の外部で勤務する勤務者をテレワーク勤務者と表す。勤務者情報D1は、勤務者がオフィス勤務者であるか又はテレワーク勤務者であるかを区別する情報を含む。
【0069】
利用予約情報D4は、各エリア3の利用予定を表す情報を含む。利用予約情報D4は、エリア3を特定する情報(適宜、エリアIDという)と、このエリア3を利用予定の勤務者を特定する情報(例、勤務者ID)と、この勤務者がエリア3の利用を予定する期間(適宜、予約期間という)を特定する情報とを関連付けた情報を含む。
【0070】
予測部19は、例えば、オフィス勤務者がオフィス2に滞在する時間を、所定の勤務時間(例、8時間)と所定の休憩時間(例、1時間)との合計時間(例、9時間)とする。以下の説明において適宜、所定の勤務時間と所定の休憩時間との合計時間を拘束時間と称する。予測部19は、オフィス勤務者の勤務者IDがエリア3の利用者として利用予約情報D4に含まれる場合、この勤務者IDのオフィス勤務者が予約期間にわたってエリア3に滞在するものとする。予測部19は、利用予約されたエリア3にオフィス勤務者が滞在する時間を拘束時間から差し引き、残りの時間(適宜、予約外時間という)を算出する。予測部19は、予約外時間において、予約不要のエリア3のいずれかに第1勤務者が滞在するものとする。
【0071】
例えば、図2中段の第1勤務者は、図2上段の第2会議室を11:00から12:00まで利用する予約をしているとする。予測部19は、第1勤務者が第2会議室に11:00から12:00まで滞在しているものとする。第1勤務者は、この勤務日に他のエリア3の利用を予約していないとする。予測部19は、第1勤務者について、拘束時間(例、9時間)から第2会議室の滞在時間(例、1時間)を差し引いて、予約外時間(例、8時間)を算出する。予測部19は、予約外時間(例、8時間)を予約不要の各エリア3の滞在時間に振り分ける。
【0072】
予測部19は、例えば、図2上段に示した第1勤務者の過去の移動経路の情報に統計処理を行って、第1勤務者が予約不要の各エリア3に滞在する時間の比率(適宜、滞在率という)を算出する。予測部19は、例えば、予約外時間(例、8時間)を滞在率によって振り分けることで、予約不要の各エリア3における第1勤務者の滞在時間を予測する。予測部19は、第1勤務者の属性情報(例、所属する部署、役職、業務領域)を用いて、予約不要の各エリア3における第1勤務者の滞在時間を予測してもよい。例えば、第1勤務者の所属する部署は、第2執務室に配置される。予測部19は、例えば、予約外時間(例、8時間)のうち所定の比率(例、80%)の時間(例、6.4時間)において、第1勤務者が第2執務室に滞在するものとする。このように、予測部19は、予め定められた条件に従って、予測部19は、予約外時間(例、8時間)を予約不要の各エリア3の滞在時間に振り分ける。
【0073】
予測部19は、オフィス勤務者のそれぞれについて各エリアの滞在時間を予測し、各エリアの時間当たりの利用度の時間履歴を予測する。以下の説明において適宜、利用度の時間履歴の予測結果を、各エリアの利用予測ログという。予測部19は、利用予測ログを記憶部20に記憶させる。予測部19は、例えば、算出した利用度、及び解析部17が導出した利用度と消費電力との関係(図3上段の図Q4参照)を用いて、各エリアの消費電力の時間履歴を予測する。以下の説明において適宜、消費電力の時間履歴の予測結果を、消費電力予測ログという。予測部19は、各エリア3の消費電力予測ログを記憶部20に記憶させる。
【0074】
オフィス2を利用する企業には、例えば、エネルギー消費量に関する情報(例、GHG排出量)に、目標値が設定されることがある。情報処理システム1(例、排出量算出部16)は、各エリア3の消費電力予測ログを用いて、各エリア3のエネルギー消費量に相当するGHG排出量の時間履歴を予測する。以下の説明において適宜、GHG排出量の時間履歴の予測結果を、各エリアのGHG排出量予測ログという。排出量算出部16は、各エリアのGHG排出量予測ログを記憶部20に記憶させる。予測部19は、例えば、各エリアのGHG排出量予測ログに示されるGHG排出量を時間積分することによって、各エリアのGHG排出量を予測する。予測部19は、各エリアのGHG排出量の予測値を、複数のエリア3で積算することによって、オフィス2のGHG排出量を予測する。
【0075】
予測部19は、エネルギー消費量に関する予測値と目標値とを比較してもよい。例えば、予測部19は、オフィス2のGHG排出量の予測値と目標値とを比較し、予測値が目標値以下であるか否かを判定してもよい。情報処理システム1は、予測部19の判定結果を情報処理システム1の外部へ出力(例、通知)してもよい。例えば、情報処理部13は、予測値が目標値をクリアしないと予測部19が判定した場合、その判定結果をオフィス2の管理者の端末へ提供してもよい。
【0076】
オフィス2の管理者は、例えば、情報処理システム1からの通知を受けて、GHG排出量を削減する策を講じることができる。例えば、オフィス2の管理者は、情報処理システム1から出力される各エリアのGHG排出量予測ログを用いて、利用度に照らしてGHG排出量の予測値が大きいエリア3を特定できる。オフィス2の管理者は、特定したエリア3について、GHG排出量を削減するように勤務者の稼働条件を調整できる。オフィス2の管理者は、例えば、オフィス勤務者として予定された勤務者の少なくとも一部をリモート勤務者に変更することによって、オフィス2のGHG排出量を削減できる。例えば、オフィス2の管理者は、図2上段に示した第2会議室が1名の利用で予約されている場合、この1名のオフィス勤務者にリモート勤務者への変更を提案できる。
【0077】
制御部18は、予測部19の予測結果がエネルギーの消費について設定された目標値を超える場合、エリア3の環境を制御してもよい。制御部18は、プリンタ等のOA機器が待機状態になっている場合、このOA機器をシャットダウンしてもよい。制御部18は、1つのエリア3に2以上の電気機器5が設置されている場合、2以上の電気機器5による作用が補完の関係になるように、制御してもよい。例えば、制御部18は、電動ブラインドを制御してエリア3に入射する外光の量を増加させ、照明装置を制御して照明装置から照射される光の光量を減少させてもよい。
【0078】
なお、図6において検出部6は、エリア3への入退出に利用されるICカードのリーダを含む。このICカードは、例えば、セキュリティカード、社員証、入館証などである。検出部6は、ICカードの情報を読み取り、読み取った情報を情報処理システム1に提供する。利用情報取得部11は、例えば、検出部6によって読み取られた情報を、勤務者情報D1と照合して勤務者を特定する。また、利用情報取得部11は、勤務者がエリア3に滞在する時間を、検出部6がICカードの情報を読み取った時刻を用いて算出する。
【0079】
上述のように、予測部19は、複数の移動体4の稼働条件を用いて、各エリア3におけるエネルギーの消費量に関する予測値を算出する。稼動条件は、例えば、予定されたオフィス勤務者の数と、各オフィス勤務者が勤務する時間帯を含む。稼動条件は、その他の情報を含んでもよく、例えば各オフィス勤務者の属性、会議室等のエリア3の利用予約状況を含んでもよい。
【0080】
予測部19は、利用情報と消費情報とを用いた機械学習によって得られる推論モデルを用いて、予測値を算出してもよい。図7は、第3実施形態に係る機械学習の処理を示す図である。図7に示す学習部21は、機械学習によってモデルMを生成する。モデルMは、ディープラーニングによって生成される推論モデルであり、AIモデルと称されてもよい。モデルMは、例えば、勤務者情報D1(例、オフィスでの勤務予定)及び各エリア3の利用予約情報が入力され、各エリアのエネルギー消費量に関する情報の予測結果を出力とする。モデルMは、入力層M1と、中間層M2と、出力層M3とを含む。入力層M1は、推論の元データが入力される層である。出力層M3は、推論結果を示すデータを出力する層である。中間層M2は、入力層M1と出力層M3との間に配置される層である。中間層M2の数は任意であり、1層でもよいし、複数層でもよい。
【0081】
学習部21は、例えば、過去の第1の期間における、オフィス勤務者の勤務者情報D1及び第1のエリア3の利用予約情報D4を入力の教師データに利用し、第1の期間における第1のエリア3のエネルギー消費量に関する情報を出力の教師データに利用する。学習部21は、入力の教師データを入力層M1に入力する。入力層M1に入力された値は、中間層M2を介して出力層M3に伝播する。モデルMは、値を入力層M1から出力層M3へ伝播させる際のパラメータ(例えば、結合係数、バイアス)を含む。学習部21は、教師データにおける入力データが入力層M1に入力された際に、出力層M3から出力される出力データが、出力の教師データへ近付くように、上記パラメータを最適化する。
【0082】
予測部19は、例えば最適化されたパラメータを含むAIモデルが処理部10に実装されることによって、実現される。予測部19は、AIモデルに、将来の第2の期間における勤務者情報D1及び各エリア3の利用予約情報を入力する。予測部19は、AIモデルから出力される情報を、各エリアのエネルギー消費量に関する情報の予測結果とする。
【0083】
モデルMは、複数の移動体4の稼働条件が入力され、各エリアの利用ログを出力する第1のモデルを含んでもよい。この場合、入力の教師データとして過去の複数の移動体4の稼働条件が利用され、出力の教師データとして過去の各エリアの利用ログが利用される。モデルMは、各エリアの利用ログが入力され、各エリアの消費電力ログを出力する第2のモデルを含んでもよい。この場合、入力の教師データとして過去の各エリアの利用ログが利用され、出力の教師データとして過去の各エリアの消費電力ログが利用される。モデルMは、各エリアの消費電力ログが入力され、各エリアのGHG排出量ログを出力する第3のモデルを含んでもよい。この場合、入力の教師データとして過去の各エリアの消費電力ログが利用され、出力の教師データとして過去の各エリアのGHG排出量ログが利用される。モデルMは、上記第1のモデル、第2のモデル、第3のモデルを統合したモデルでもよい。
【0084】
情報処理システム1は、学習部21を備えてもよいし、学習部21を備えなくてもよい。学習部21は情報処理システム1と異なる外部システムに設けられ、情報処理システム1は、この外部システムに情報(例、教師データ)を提供してもよい。この外部システムは、機械学習によって得られたモデルMを表す情報を、情報処理システム1に提供してもよい。
【0085】
図6の説明に戻り、本実施形態にいおいて、情報処理システム1は導出部22を含む。導出部22は、予測部19が算出した予測値が目標値に近付くように、複数の移動体4の稼働条件を導出する。導出部22は、エネルギーの消費について設定された目標値未満となる稼働条件を導出してもよい。例えば、導出部22は、複数の稼働条件のそれぞれについて予測部19に予測値を算出させ、予測値が目標値をクリアする稼働条件を導出する。例えば、導出部22は、オフィス勤務者が予定された勤務者の人数を変更しつつ、各人数について予測部19にGHG排出量の予測値を算出させる。導出部22は、GHG排出量の予測値が目標値未満になるオフィス勤務者の人数を導出する。導出部22は、導出した情報を記憶部20に記憶させる。オフィス2の管理者は、例えば、導出部22が導出した情報を用いて、オフィス勤務者が予定された勤務者の少なくとも一部をリモート勤務者へ変更することによって、GHG排出量を目標値に近づけることができる。
【0086】
なお、学習部21が実行する機械学習は任意であり、ディープラーニングでなくてもよい。機械学習の手法は、中間層M2を含まないニューラルネットワークでもよいし、ニューラルネットワーク以外の手法でもよい。また、勤務者情報D1(オフィスでの勤務予定)や各エリア(会議室等)の利用予約情報以外にも、消費情報に影響し得る要素(例えば、気温、天候、月末あるいは年末等の時期、景気動向等)を入力として推論モデルを生成してもよい。なお、予測部19が各種情報を予測する方法に限定はない。例えば、予測部19は、AIを用いた予測、統計処理に基づく予測、シミュレーションによる予測、及びその他手法の予測の1つ又は2以上の組み合わせによって、各エリアにおけるエネルギーの消費量に関する予測値を算出してもよい。
【0087】
上述の各実施形態において、情報処理システム1は、1または複数のコンピュータを含む。コンピュータは、例えば、サーバコンピュータでもよいし、PC(Personal Computer)でもよい。コンピュータは、端末あるいは情報処理装置と称されてもよい。
【0088】
図8は、実施形態に係るコンピュータを示す図である。コンピュータ100は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、バス104と、入力部105と、出力部106と、記憶部107と、通信部108と、ドライブ109と、を備える。CPU101、ROM102及びRAM103は、それぞれ、バス104を介して相互に接続されている。バス104には、入力部105、出力部106、記憶部107、通信部108及びドライブ109が接続されている。
【0089】
CPU101は、Central Processing Unitを含む。ROM102は、Read Only Memoryを含む。RAM103は、Random Access Memoryを含む。CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、または、記憶部107からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0090】
入力部105は、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、及びタッチパッドの少なくとも1つを含む。入力部105は、ユーザに操作されることで、各種情報の入力を受け付ける。入力部105は、音声の入力を受け付けるマイク等を含んでもよい。出力部106は、例えば、画像を出力する表示装置(例、ディスプレイ)を含む。出力部106は、音声を出力するスピーカを含んでもよい。入力部105および出力部106は、表示部上に透過型のタッチパッドが重ねられたタッチパネルを含んでもよい。
【0091】
記憶部107は、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、及び不揮発性メモリの少なくとも1つを含む。記憶部107は、外部からコンピュータ100に入力される各種データと、コンピュータ100による処理において使用される各種データと、コンピュータ100が生成する各種データとの少なくとも一部を記憶する。通信部108は、ネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0092】
ドライブ109には、リムーバブルメディア110が適宜装着される。リムーバブルメディア110は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体を含む。ドライブ109は、リムーバブルメディア110から情報を読み出す。リムーバブルメディア110から読み出された情報は、記憶部107に記憶される。例えば、ドライブ109は、リムーバブルメディア110に記憶されたプログラムを読み出し、このプログラムは、コンピュータ100にインストールされる。
【0093】
なお、コンピュータ100は、入力部105と出力部106との一方または双方を備えなくてもよい。例えば、出力部106は、コンピュータ100に外付けされる装置であって、コンピュータ100は、出力部106を接続可能なインターフェースを備えてもよい。
【0094】
上述の実施形態において情報処理装置や端末は、記憶部や記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って各種の処理を実行する。このプログラムは、例えば、コンピュータに、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得することと、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得することと、各エリアについて、利用情報と消費情報とを関連付けて処理することと、を実行させる。
【0095】
上記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。上記プログラムは、コンピュータシステムに記録されているプログラム(例、オペレーティングシステム)との組み合わせによって、各種処理を実行する差分プログラム(適宜、差分ファイルという)でもよい。
【0096】
上述の実施形態において、情報処理システム1は、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得することと、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得することと、各エリアについて取得した利用情報と消費情報とを関連付けて処理することと、を実行する。所定領域は建物を含んでもよい。複数の移動体は建物内で働く人を含んでもよい。消費情報は、建物の各エリアに設置された電気機器によって消費される電力を含んでもよい。利用情報は、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体の数及び利用時間を含んでもよい。
【0097】
なお、情報処理システム1は、エネルギーの消費量に関する消費情報として、電気以外の形態のエネルギーの消費量に関する情報を取得してもよい。情報処理システム1は、消費情報として、GHGプロトコルのScope1の排出量(適宜、Scope1排出量という)の算出に使用される情報を取得してもよい。Scope1排出量の算出に使用される情報は、例えば、所定領域2で燃焼される燃料の種類及び消費量を含む。例えば、所定領域2は工場を含み、エリア3には内燃機関によって動作する機器5が設けられる。移動体4は、例えばこの機器5を操作する作業者を含む。機器5が消費する燃料の種類及びその消費量は、例えば、作業者の端末に入力される。
【0098】
消費情報取得部12は、機器5が消費する燃料の種類及びその消費量を作業者の端末から取得し、燃焼によって発生するエネルギーの量をエネルギー消費量として算出する。消費情報取得部12は、各機器5の稼働時間を取得し、この機器5の製品情報と稼働時間とを用いて、エネルギー消費量を算出してもよい。機器5の製品情報は、例えば、機器5が消費する燃料の種類及び単位時間あたりの消費量を含む。排出量算出部16は、例えば、排出係数を用いてScope1の排出量の算出してもよい。所定領域2は、工場と異なる領域でもよい。燃料を消費する機器5は、例えば、ストーブ等の暖房機器、ボイラー、市場などで稼働するターレットトラック、フォークリフト等でもよい。
【0099】
情報処理システム1は、消費情報として、GHGプロトコルのScope3の排出量(適宜、Scope3排出量という)の算出に使用される情報を取得してもよい。Scope3排出量の算出に使用される情報は、例えば所定領域2に含まれる建物等の施設や機器の調達や維持(例、メンテナンス)により消費されるエネルギーに関する情報を含む。例えば、施設の設置に必要とされるエネルギーに相当するGHG排出量をP1とし、耐久時間をP2とする。施設の利用時間をP3とすると、この時間に対応するGHG排出量は、P1/P2*P3で表される。エリア3に設置される機器5の調達に要するエネルギーに相当するGHG排出量は、例えば、機器5の製造に相当するGHG排出量として上記施設と同様に算出される値と、機器5を所定領域2へ輸送することに要するエネルギーに相当するGHG排出量との和で表される。
【0100】
情報処理システム1は、Scope3のカテゴリーのうち、1のカテゴリーのGHG排出量を算出してもよいし、複数のカテゴリーのGHG排出量を算出してもよい。情報処理システム1は、Scope1排出量、Scope2排出量、及びScope3排出量のうち、1つを算出してもよいし、2又は3つを算出してもよい。情報処理システム1は、GHGプロトコルと異なる定義のGHG排出量を算出してもよいし、GHGプロトコルのGHG排出量を算出しなくてもよい。
【0101】
上述の実施形態において、所定領域2は、施設(例、建物)に設けられるオフィスを含むが、オフィスを含まなくてもよい。例えば、所定領域2は、オフィス以外の施設を含んでもよい。オフィス以外の施設は、例えば工場、複数の店舗を含む商業施設、医療施設、公共施設、及び交通機関(例、鉄道、船舶、車両、航空機)の少なくとも1つを含む。所定領域2は、施設を含まなくてもよく、例えば任意のジオフェンスに囲まれる領域(例、国、地域、都道府県、区市町村、公園、道路)を含んでもよい。
【0102】
上述の実施形態において、複数の移動体4は人を含む。複数の移動体4は、人以外の動物と機械との一方又は双方を含んでもよい。例えば、所定領域2は畜産場を含み、複数の移動体4は、畜産場で飼育される家畜、及び家畜を飼育する人を含んでもよい。機械は、例えばロボット、車両、航空機、及び船舶の少なくとも1つを含む。例えば、所定領域2は、ホテル等の宿泊施設を含み、複数の移動体4は、宿泊施設で稼働する人及びロボットを含んでもよい。このロボットは、例えば、宿泊施設内を移動して、宿泊客に対して飲食物やアメニティグッズを届けるものでもよい。
【0103】
本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0104】
1 情報処理システム、2 所定領域、3a エリア、3b エリア、3c エリア、4a 移動体、4b 移動体、4c 移動体、5 機器、11 利用情報取得部、12 消費情報取得部、13 情報処理部、14 稼働算出部、15 利用度算出部、16 排出量算出部、17 解析部、18 制御部、19 予測部、20 記憶部、22 導出部、D1 勤務者情報、D2 設置情報、D3 排出係数、D4 利用予約情報
【要約】
【課題】環境負荷の軽減、効率的なエネルギーの利用に寄与する。
【解決手段】情報処理システムは、複数の移動体が稼働する所定領域に含まれる複数のエリアの各エリアについて、複数の移動体のうち各エリアを利用する移動体に関する利用情報を取得する利用情報取得部と、各エリアにおけるエネルギー消費量に関する消費情報を取得する消費情報取得部と、各エリアについて利用情報取得部が取得した利用情報と消費情報取得部が取得した消費情報とを関連付けて処理する情報処理部と、を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8