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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】誘導走行車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/00 20060101AFI20230214BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230214BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230214BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20230214BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230214BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20230214BHJP
   B60L 9/00 20190101ALI20230214BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230214BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B60L5/00 B
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
H02J50/40
B60M7/00 X
B60L53/12
B60L9/00
B60L3/00 N
G08G1/00 X
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019071846
(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2020171158
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野村 英児
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-067270(JP,A)
【文献】特開2018-148704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 50/10
H02J 7/00
H02J 50/40
B60M 7/00
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の出力に接続し直流電力を交流電力に変換する第1のインバータ部及び第2のインバータ部と、第1のコンデンサと第1のコイルを備え前記第1のインバータ部から交流電力が供給される第1の送電側共振回路と、前記第1のコイルと磁気的に結合する第2のコイルと第2のコンデンサを備え第1の整流回路に交流電力を供給する第1の受電側共振回路と、直列に接続された第1のダイオード素子および第2のダイオード素子と、直列に接続された第3のダイオード素子および第4のダイオード素子とを備え、前記第1の受電側共振回路の出力に接続し交流電力を直流電力に変換する第1の整流回路と、第1の整流回路に並列接続される第1の平滑コンデンサと、第1の平滑コンデンサに印加される電圧を検出する第1の電圧センサと、第3のコンデンサと第3のコイルを備え前記第2のインバータ部から交流電力が供給される第2の送電側共振回路と、前記第3のコイルと磁気的に結合する第4のコイルと第4のコンデンサを備え第2の整流回路に交流電力を供給する第2の受電側共振回路と、直列に接続された第5のダイオード素子および第6のダイオード素子と、直列に接続された第7のダイオード素子および第8のダイオード素子とを備え、前記第2の受電側共振回路の出力に接続し交流電力を直流電力に変換する第2の整流回路と、第2の整流回路に並列接続される第2の平滑コンデンサと、第2の平滑コンデンサに印加される電圧を検出する第2の電圧センサと、前記第1の電圧センサで検出した第1の平滑コンデンサに印加される電圧及び前記第2の電圧センサで検出した第2の平滑コンデンサに印加される電圧に基づき駆動輪の操舵角指令を出力し駆動輪を操舵する制御部と、を備え
前記第1の平滑コンデンサと前記第2の平滑コンデンサは直列接続され、
前記制御部は、前記第1の電圧センサで検出した第1の平滑コンデンサに印加される電圧と前記第2の電圧センサで検出した第2の平滑コンデンサに印加される電圧の差分を演算する差分器と、前記差分器の出力に基づき駆動輪の操舵角指令を出力する操舵角演算部と、を備えることを特徴とする誘導走行車両。
【請求項2】
請求項1において、前記第1の平滑コンデンサと前記第2の平滑コンデンサは並列接続され、第1の受電側共振回路に流れる電流を検出する第1の電流センサと、第2の受電側共振回路に流れる電流を検出する第2の電流センサと、前記第1の電流センサで検出した前記第1の受電側共振回路に流れる電流及び前記第2の電流センサで検出した前記第2の受電側共振回路に流れる電流に基づき駆動輪の操舵角指令を出力し 駆動輪を操舵する制御部と、を備え
前記制御部は、前記第1の電流センサで検出した前記第1の受電側共振回路に流れる電流の実効値を演算する第1の実効値演算部と、前記第2の電流センサで検出した前記第2の受電側共振回路に流れる電流の実効値を演算する第2の実効値演算部と、前記第1の受電側共振回路に流れる電流実効値と前記第2の受電側共振回路に流れる電流実効値の差分を演算する差分器と、前記差分器の出力に基づき駆動輪の操舵角指令を出力する操舵角演算部と、を備えることを特徴とする誘導走行車両。
【請求項3】
請求項1において、前記第2のインバータ部及び前記第2の送電側共振回路が無く、前記第1のコイルが前記第2のコイル及び前記第4のコイルと磁気的に結合することを特徴とする誘導走行車両。
【請求項4】
請求項2において、前記第2のインバータ部及び前記第2の送電側共振回路が無く、前記第1のコイルが前記第2のコイル及び前記第4のコイルと磁気的に結合することを特徴とする誘導走行車両。
【請求項5】
請求項1及び請求項2において、第1のコイルと第3のコイル間の長さが第2のコイルと第4のコイル間の長さが異なることを特徴とする誘導走行車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス電力伝送により電力を給電されながら、予め定められた走路を誘導走行可能な車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ケーブルを用いずに電力を給電できるワイヤレス電力伝送システムが注目されている。
【0003】
その中でも、磁界の共振を用いた方式では、数m程度の距離であれば離れたところから給電ができるため、電気自動車の充電等に適用できると考えられている。
【0004】
また、予め定められた走路に車両を走行させるために、走路に電磁誘導線を埋没し、車両に搭載したセンサによって電磁誘導線を検出して、誘導線に沿って車両を誘導走行させている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-181540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電力を給電されながら予め定められた走路を走行するためには、電力を給電する装置と車両を誘導するための装置が必要となり、装置の大型化やコストの増大の恐れがあった。
【0007】
そこで、電力を給電するための装置で車両を誘導することにより、予め定められた走路において電力を給電されながら誘導走行させることができる。
【0008】
本発明を採用すれば、装置の大型化やコスト増大を防ぐことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するため、
請求項1の発明では、誘導走行車両において、
直流電源の出力に接続し直流電力を交流電力に変換する第1のインバータ部及び第2のインバータ部と、第1のコンデンサと第1のコイルを備え前記第1のインバータ部から交流電力が供給される第1の送電側共振回路と、前記第1のコイルと磁気的に結合する第2のコイルと第2のコンデンサを備え第1の整流回路に交流電力を供給する第1の受電側共振回路と、直列に接続された第1のダイオード素子および第2のダイオード素子と、直列に接続された第3のダイオード素子および第4のダイオード素子とを備え、前記第1の受電側共振回路の出力に接続し交流電力を直流電力に変換する第1の整流回路と、第1の整流回路に並列接続される第1の平滑コンデンサと、第1の平滑コンデンサに印加される電圧を検出する第1の電圧センサと、第3のコンデンサと第3のコイルを備え前記第2のインバータ部から交流電力が供給される第2の送電側共振回路と、前記第3のコイルと磁気的に結合する第4のコイルと第4のコンデンサを備え第2の整流回路に交流電力を供給する第2の受電側共振回路と、直列に接続された第5のダイオード素子および第6のダイオード素子と、直列に接続された第7のダイオード素子および第8のダイオード素子とを備え、前記第2の受電側共振回路の出力に接続し交流電力を直流電力に変換する第2の整流回路と、第2の整流回路に並列接続される第2の平滑コンデンサと、第2の平滑コンデンサに印加される電圧を検出する第2の電圧センサと、前記第1の電圧センサで検出した第1の平滑コンデンサに印加される電圧及び前記第2の電圧センサで検出した第2の平滑コンデンサに印加される電圧に基づき駆動輪の操舵角指令を出力し駆動輪を操舵する制御部と、を備え
前記第1の平滑コンデンサと前記第2の平滑コンデンサは直列接続され、
前記制御部は、前記第1の電圧センサで検出した第1の平滑コンデンサに印加される電圧と前記第2の電圧センサで検出した第2の平滑コンデンサに印加される電圧の差分を演算する差分器と、前記差分器の出力に基づき駆動輪の操舵角指令を出力する操舵角演算部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1において、前記第1の平滑コンデンサと前記第2の平滑コンデンサは並列接続され、第1の受電側共振回路に流れる電流を検出する第1の電流センサと、第2の受電側共振回路に流れる電流を検出する第2の電流センサと、前記第1の電流センサで検出した前記第1の受電側共振回路に流れる電流及び前記第2の電流センサで検出した前記第2の受電側共振回路に流れる電流に基づき駆動輪の操舵角指令を出力し 駆動輪を操舵する制御部と、を備え
前記制御部は、前記第1の電流センサで検出した前記第1の受電側共振回路に流れる電流の実効値を演算する第1の実効値演算部と、前記第2の電流センサで検出した前記第2の受電側共振回路に流れる電流の実効値を演算する第2の実効値演算部と、前記第1の受電側共振回路に流れる電流実効値と前記第2の受電側共振回路に流れる電流実効値の差分を演算する差分器と、前記差分器の出力に基づき駆動輪の操舵角指令を出力する操舵角演算部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1において、前記第2のインバータ部及び前記第2の送電側共振回路が無く、前記第1のコイルが前記第2のコイル及び前記第4のコイルと磁気的に結合することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明では、請求項2において、前記第2のインバータ部及び前記第2の送電側共振回路が無く、前記第1のコイルが前記第2のコイル及び前記第4のコイルと磁気的に結合することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明では、請求項1及び請求項2において、第1のコイルと第3のコイル間の長さが第2のコイルと第4のコイル間の長さが異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上述した誘導走行車両において、電力を給電するための装置で車両を誘導することにより、予め定められた走路において電力を給電されながら誘導走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図である。(実施例1)
図2】本発明に係わる制御部の制御ブロック構成の一例を示す図である。(実施例1)
図3】本発明に係わる送電側コイル及び受電側コイルを示す図である。(実施例1、2)
図4】本発明に係わる送電側コイル及び受電側コイルを示す図である。(実施例1、2)
図5】本発明に係わる信号を示したチャートである。(実施例1)
図6】本発明に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図である。(実施例2)
図7】本発明に係わる制御部の制御ブロック構成の一例を示す図である。(実施例2)
図8】本発明に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図である。(実施例3)
図9】本発明に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図である。(実施例4)
図10】本発明に係わる送電コイル及び受電コイルを示す図である。(実施例3、4)
図11】本発明に係わる送電コイル及び受電コイルを示す図である。(実施例3、4)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図、図2は本発明の実施例1に係わる制御ブロック構成の一例を示す図、図3は実施例1に係わる誘導走行車両の送電側コイルと受電側コイルの位置を示す図、図4は実施例1に係わる誘導走行車両の送電側コイルと受電側コイルの位置を示す図、図5は実施例1に係わる信号を示したチャートである。
【0018】
図1は、誘導走行車両1の構成を示しており、直流電源11と、インバータ部12及び13と、送電側共振回路14及び16と、受電側共振回路15及び17と、整流回路18及び19と、平滑コンデンサ20及び21と、負荷22と、電圧センサ31及び32と、制御部41と、駆動輪101とを備える。
【0019】
インバータ部12は、直流電源11が出力した直流電力を、矩形波電圧形状の交流電力に変換し、送電側共振回路14に出力する。
【0020】
送電側共振回路14は、コンデンサ141と送電側コイル142とを備えて、送電側共振回路を構成する。送電側共振回路14には、送電電流Ip1が流れる。
【0021】
受電側共振回路15は、コンデンサ151と受電側コイル152とを備えて、受電側共振回路を構成する。受電側共振回路15には、受電電流Is1が流れる。
【0022】
送電側コイル142と受電側コイル152は、磁気的に結合し、送電側コイル142から受電側コイル152にワイヤレス電力伝送を行う。
【0023】
整流回路18は、ダイオード181・182・183及び184を備えて構成される。ダイオード181とダイオード182とが直列に接続され、ダイオード183とダイオード184とが直列に接続され、ダイオード181とダイオード182との接続点にコンデンサ151の他端が接続され、ダイオード183とダイオード184との接続点に受電側コイル152の他端が接続され、受電側コイル152が受電した交流電圧を整流し、出力する。
【0024】
平滑コンデンサ20は、整流回路18で整流された電圧を平滑して直流電圧を出力する。
【0025】
電圧センサ31は、平滑コンデンサ20に印加されている電圧Vdc1を検出する。
【0026】
インバータ部13は、直流電源11が出力した直流電力を、矩形波電圧形状の交流電力に変換し、送電側共振回路16に出力する。
【0027】
送電側共振回路16は、コンデンサ161と送電側コイル162とを備えて、送電側共振回路を構成する。送電側共振回路16には、送電電流Ip2が流れる。
【0028】
受電側共振回路17は、コンデンサ171と受電側コイル172とを備えて、受電側共振回路を構成する。受電側共振回路17には、受電電流Is2が流れる。
【0029】
送電側コイル162と受電側コイル172は、電磁気的に結合し、送電側コイル162から受電側コイル172にワイヤレス電力伝送を行う。
【0030】
整流回路19は、ダイオード191・192・193及び194を備えて構成される。ダイオード191とダイオード192とが直列に接続され、ダイオード193とダイオード194とが直列に接続され、ダイオード191とダイオード192との接続点にコンデンサ171の他端が接続され、ダイオード193とダイオード194との接続点に受電側コイル172の他端が接続され、受電側コイル172が受電した交流電圧を整流し、出力する。
【0031】
平滑コンデンサ21は、整流回路19で整流された電圧を平滑して直流電圧を出力する。
【0032】
電圧センサ32は、平滑コンデンサ21に印加されている電圧Vdc2を検出する。
【0033】
平滑コンデンサ20と平滑コンデンサ21は、直列に接続されている。
【0034】
負荷22は、平滑コンデンサ20と平滑コンデンサ21が接続されていない他端に接続されている。負荷22は、主にバッテリ等の2次電池が上げられるが、電動機でも良い。
【0035】
制御部41は、電圧センサ31及び電圧センサ32で検出される電圧に基づき駆動輪101を操舵する。
【0036】
駆動輪101は、制御部41が出力する操舵角指令に基づき操舵される。
【0037】
図2は、制御部41の構成を示しており、制御部41は、差分器411と、操舵角指令演算部412と、を備える。
【0038】
差分器411は、電圧センサ31で検出した平滑コンデンサ20に印加される電圧Vdc1及び電圧センサ32で検出した平滑コンデンサ21に印加される電圧Vdc2に基づき、式1で示されるΔVdcを出力する。
【0039】
(数1)
ΔVdc=Vdc2-Vdc1 ・・・(式1)
【0040】
操舵角指令演算部412は、ΔVdcが0になるような操舵角指令を演算し、駆動輪101を操舵する。
【0041】
図3は、実施例1において、送電側コイル142・162と、受電側コイル152・172の位置を示す図である。
【0042】
送電側コイル142及び送電側コイル162は、同一の外形を持ち、同一の自己インダクタンス値である。受電側コイル152及び受電側コイル172は、同一の外形を持ち、同一の自己インダクタンス値である。
【0043】
送電側コイル142と送電側コイル162間の長さDpと、受電側コイル152と受電側コイル172間の長さDsの関係は式2で示され、送電側コイル142と送電側コイル162間の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央は同一である。
【0044】
(数2)
Dp>Ds ・・・(式2)
【0045】
図4は、実施例1において、送電側コイル142と送電側コイル162間の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央は同一では無い状態である。
【0046】
図5は、実施例1において、受電電流Is1・Is2の実効値、整流器出力電圧Vdc1・Vdc2、操舵角指令Theta、各送受電コイル間の相互インダクタンスのタイムチャートを示す図である。
【0047】
動作の流れを説明する。
【0048】
図3の状態の時、つまり送電側コイル142と送電側コイル162間の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央は同一である時、送電側コイル142と受電側コイル152間の相互インダクタンス値と、送電側コイル162と受電側コイル172間の相互インダクタンス値は、同一である。
【0049】
インバータ部12・13が出力する電圧が等しい時、整流器出力電圧Vdc1とVdc2は等しくなる。
【0050】
図3の状態から図4の状態になる時、つまり送電側コイル142と送電側コイル162間の中央に対して、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央が進行方向に向かって右側にずれた時、送電側コイル142と受電側コイル152間の相互インダクタンス値は小さくなり、送電側コイル162と受電側コイル172間の相互インダクタンス値は大きくなる。
【0051】
インバータ部12・13が出力する電圧が等しい時、整流器出力電圧は相互インダクタンスが大きい方が大きくなるので、整流器出力電圧Vdc1とVdc2の関係は式3で示される。
【0052】
(数3)
Vdc2>Vdc1 ・・・(式3)
【0053】
本発明に係わる技術を用いると、Vdc2がVdc1と等しくなるように、つまりΔVdcが0になるような操舵角を演算し、駆動輪101を操舵することで、送電側コイル142と送電側コイル162間の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央を同一にすることができる。
【0054】
図5は、実施例1において、整流器出力電圧Vdc1とVdc2、受電電流Is1・Is2の実効値、操舵角指令Theta、各送受電コイル間の相互インダクタンスのタイムチャートを示す図であり、時間t1から、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央に対して、送電側コイル142と送電側コイル162間の中央が進行方向に向かって左側にずれ始めている例を示している。
【0055】
本発明に係わる技術を用いて操舵角を制御することで、送電側コイル142と送電側コイル162間の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央を同一にするように誘導することができ、送電コイルを予め定められた走路に設置することで、電力を給電されながら誘導走行させることができる。
【0056】
実施例1では、Dp>Dsの関係にある例を示したが、Ds>Dpの関係でも良い。この場合、式3で示される式が式4で示される他は同一の動作をとる。
【0057】
(数4)
Vdc1>Vdc2 ・・・(式4)
【実施例2】
【0058】
図6は本発明の実施例2に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図、図7は本発明の実施例2に係わる制御ブロック構成の一例を示す図である。
【0059】
図6は、誘導走行車両2の構成を示しており、電流センサ33及び34と、制御部42とを備え、平滑コンデンサ20と平滑コンデンサ21は、並列に接続されている点が実施例1と異なる。
【0060】
電流センサ33は、受電側共振回路15に流れる電流Is1を検出する。
【0061】
電流センサ34は、受電側共振回路17に流れる電流Is2を検出する。
【0062】
制御部42は、電流センサ33及び電流センサ34で検出される電流に基づき駆動輪101を操舵する。
【0063】
駆動輪101は、制御部42が出力する操舵角指令に基づき操舵される。
【0064】
図7は、制御部42の構成を示しており、制御部42は、実効値演算部421及び422と、差分器423と、操舵角指令演算部424と、を備える。
【0065】
実効値演算部421は、電流センサ33で検出した受電側共振回路15に流れる電流Is1の実効値Is1rmsを演算する。
【0066】
実効値演算部422は、電流センサ34で検出した受電側共振回路17に流れる電流Is2の実効値Is2rmsを演算する。
【0067】
差分器423は、電流センサ33で検出した受電側共振回路15に流れる電流Is1の実効値Is1rms及び電流センサ34で検出した受電側共振回路17に流れる電流Is2の実効値Is2rmsに基づき、式5で示されるΔIsを出力する。
【0068】
(数5)
ΔIs=Is2rms-Is1rms ・・・(式5)
【0069】
操舵角指令演算部424は、ΔIsが0になるような操舵角指令を演算し、駆動輪101を操舵する。
【0070】
動作の流れを説明する。実施例1と同じ場合は省略する。
【0071】
図3の状態の時、インバータ部12・13が出力する電圧が等しい時、受電側共振回路に流れる電流の実効値Is1rmsとIs2rmsは等しくなる。
【0072】
図3の状態から図4の状態になる時、インバータ部12・13が出力する電圧が等しい時、受電側共振回路に流れる電流の実効値は相互インダクタンスが大きい方が大きくなるので、受電側共振回路に流れる電流の実効値Is1rms・Is2rmsの関係は式6で示される。
【0073】
(数6)
Is2rms>Is1rms ・・・(式6)
【0074】
本発明に係わる技術を用いると、Is2rmsがIs1rmsと等しくなるように、つまりΔIsが0になるような操舵角を演算し、駆動輪101を操舵することで、送電側コイル142と送電側コイル162間の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央を同一にすることができる。
【0075】
本発明に係わる技術を用いて操舵角を制御することで、送電側コイル142と送電側コイル162間の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央を同一にするように誘導することができ、送電コイルを予め定められた走路に設置することで、電力を給電されながら誘導走行させることができる。
【実施例3】
【0076】
図8は本発明の実施例3に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図である。
【0077】
図8は、誘導走行車両3の構成を示しており、送電側共振回路が1個である点が実施例1と異なる
【0078】
送電側コイル142と受電側コイル152及び受電側コイル172は、磁気的に結合し、送電側コイル142から受電側コイル152及び受電側コイル172にワイヤレス電力伝送を行う。
【0079】
動作の流れを説明する。
【0080】
図10の状態の時、つまり送電側コイル142の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央は同一である時、送電側コイル142と受電側コイル152間の相互インダクタンス値と、送電側コイル142と受電側コイル172間の相互インダクタンス値は、同一である。
【0081】
整流器出力電圧Vdc1とVdc2は等しくなる。
【0082】
図10の状態から図11の状態になる時、つまり送電側コイル142の中央に対して、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央が進行方向に向かって右側にずれた時、送電側コイル142と受電側コイル152間の相互インダクタンス値は小さくなり、送電側コイル142と受電側コイル172間の相互インダクタンス値は大きくなる。
【0083】
整流器出力電圧Vdc1とVdc2の関係は式7で示される。
【0084】
(数7)
Vdc2>Vdc1 ・・・(式7)
【0085】
本発明に係わる技術を用いると、Vdc2がVdc1と等しくなるように、つまりΔVdcが0になるような操舵角を演算し、駆動輪101を操舵することで、送電側コイル142の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央を同一にすることができる。
【実施例4】
【0086】
図9は本発明の実施例4に係わる誘導走行車両の給電・操舵回路を示す図である。
【0087】
図9は、誘導走行車両4の構成を示しており、送電側共振回路が1個である点が実施例2と異なる
【0088】
送電側コイル142と受電側コイル152及び受電側コイル172は、電磁気的に結合し、送電側コイル142から受電側コイル152及び受電側コイル172にワイヤレス電力伝送を行う。
【0089】
動作の流れを説明する。実施例2と同じ場合は省略する。
【0090】
図10の状態の時、受電側共振回路に流れる電流の実効値Is1rmsとIs2rmsは等しくなる。
【0091】
図10の状態から図11の状態になる時、受電側共振回路に流れる電流の実効値Is1rmsとIs2rmsの関係は式8で示される。
【0092】
(数8)
Is2rms>Is1rms ・・・(式8)
【0093】
本発明に係わる技術を用いると、Is2rmsがIs1rmsと等しくなるように、つまりΔIsが0になるような操舵角を演算し、駆動輪101を操舵することで、送電側コイル142の中央と、受電側コイル152と受電側コイル172間の中央を同一にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、誘導走行車両において、電力を給電するための装置で車両を誘導することにより、予め定められた走路において電力を給電されながら誘導走行させることができ、装置の大型化やコスト増大を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0095】
1~4 誘導走行車両
11 直流電源
12、13 インバータ部
14 送電側共振回路
141 コンデンサ
142 送電側コイル
15 受電側共振回路
151 コンデンサ
152 受電側コイル
16 送電側共振回路
161 コンデンサ
162 送電側コイル
17 受電側共振回路
171 コンデンサ
172 受電側コイル
18、19 整流回路
181~184 ダイオード素子
191~194 ダイオード素子
20、21 平滑コンデンサ
22 負荷
31、32 電圧センサ
33、34 電流センサ
41 制御部
411 差分器
412 操舵角指令演算部
42 制御部
421、422 実効値演算部
423 差分器
424 操舵角指令演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11