(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】浴槽台
(51)【国際特許分類】
A47K 3/12 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
A47K3/12
(21)【出願番号】P 2018210137
(22)【出願日】2018-11-08
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】511136968
【氏名又は名称】有限会社ひろはし
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【氏名又は名称】石川 竜郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 昌紀
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-282151(JP,A)
【文献】特開2002-282152(JP,A)
【文献】特開平10-262848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02- 4/00
A47C 9/00-16/04
日本意匠分類 D5-3194、D5-3192
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに左右両側の端部が支持されており、前記フレームに対してスライド可能であるスライドユニットとを備え、
前記スライドユニットの上面が略水平となる第1の状態と、前記スライドユニットが前記第1の状態から前記フレームに対してスライドした第2の状態とに相互に変化可能であ
り、
前記第2の状態において、前記スライドユニットの少なくとも一部が背もたれになる、浴槽台。
【請求項2】
前記フレームに取り付けられている下側台部をさらに備え、
前記下側台部は、
前記第1の状態において前記スライドユニットの下方に位置しており、
前記第2の状態において前記下側台部が上方に露出して前記下側台部にユーザが着座可能になる、請求項1に記載の浴槽台。
【請求項3】
フレームと、
前記フレームに左右両側の端部が支持されており、前記フレームに対してスライド可能であるスライドユニットとを備え、
前記スライドユニットの上面が略水平となる第1の状態と、前記スライドユニットが前記第1の状態から前記フレームに対してスライドした第2の状態とに相互に変化可能であり、
前記第2の状態において、
前記スライドユニットは、前記第1の状態における前記スライドユニットの位置から下方に位置しており、
前記スライドユニット
にユーザが着座可能である
、浴槽台。
【請求項4】
前記第2の状態において、前記スライドユニットは、前記第1の状態における前記スライドユニットの位置から離れた位置にある、請求項1から
3のいずれかに記載の浴槽台。
【請求項5】
フレームと、
前記フレームに左右両側の端部が支持されており、前記フレームに対してスライド可能であるスライドユニットとを備え、
前記スライドユニットの上面が略水平となる第1の状態と、前記スライドユニットが前記第1の状態から前記フレームに対してスライドした第2の状態とに相互に変化可能であり、
前記フレームは、左右一対のレールを有し、
前記スライドユニットは、前記
左右一対のレールに左右両側の端部が支持されており前記
左右一対のレールに対してスライド可能であ
り、
前記左右一対のレールのそれぞれは、前後方向に延びる水平部を有しており、
前記第1の状態において、前記スライドユニットが前記水平部に支持されており、
前記第2の状態において、前記スライドユニットが前記第1の状態から前記左右一対のレールに対してスライドしている、浴槽台。
【請求項6】
前記スライドユニットは、複数のスライド部材を有し、
前記複数のスライド部材のそれぞれが、前記
左右一対のレールの左右両端部にスライド可能に支持されており、
前記複数のスライド部材のそれぞれは、他のスライド部材に連結されている、請求項
5に記載の浴槽台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽台に関し、特に、浴槽内に配置して踏み台として利用できる浴槽台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽内に配置して、踏み台として利用できる浴槽台が広く用いられている。
【0003】
下記特許文献1には、脚部の長さが変更可能である浴槽台が開示されている。この浴槽台では、テレスコピック構造を有する脚部に、長手方向に垂直な方向に固定ピンを貫通させることで、台部の高さを所望の高さに固定できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に推奨されている従来の浴槽台の使用方法は、例えば次のようなものである。すなわち、まず、ユーザ(入浴者)が浴槽外から浴槽内に入るとき、浴槽台を浴槽内に配置し固定することで、浴槽台は踏み台として利用される。次に、いったん浴槽内にユーザが入ると、浴槽台は、取り外されて浴槽外に出される。これにより、浴槽内のスペースを広げることができ、ゆったりと入浴可能になる。そして、ユーザが浴槽内から浴槽外に出るときには、これと逆の手順で浴槽台が使用される。浴槽台を用いることで、浴槽内に出入りする際にユーザの足腰にかかる負担を軽減することができる。
【0006】
しかしながら、このように浴槽内に出入りするたびに浴槽台の着脱や運搬を行うのは、ユーザにとって面倒に感じられる場合も多い。特に、浴槽台が浴槽内で滑らないように吸盤などを利用して浴槽内に固定できる浴槽台においては、いったん浴槽内に取り付けた浴槽台を取り外すのが困難である場合がある。
【0007】
これに対し、浴槽台を浴槽内に配置したままで入浴する方法などが採られる場合もある。しかしながら、浴槽内に配置したままで浴槽台を用いる場合には上記とは別の問題が生じる。すなわち、浴槽台が浴槽内で邪魔になり浴槽内のスペースが狭くなるため、ユーザは、浴槽台を避けるように足を曲げたりする姿勢を強いられる場合がある。また、浴槽台を浴槽内において椅子として用いることもできるが、この場合には浴槽の底面よりも腰の位置が相当に高くなる。そのため、浴槽内の湯の水位を深くする必要があり、湯の消費量が増加する。また、浴槽の深さによってはユーザの上半身が浴槽のふちから上方に露出することとなり、肩まで湯につかりたいというユーザを満足させることができない。
【0008】
このような浴槽内における問題だけを考慮すると、台部(天板部分)の高さが低い浴槽台を用いることを解決策として挙げることができる。しかしながら、この場合、浴槽内に出入りする際に踏み台となる浴槽台の本来の役目が損なわれてしまう。
【0009】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、浴槽内に配置したままでもユーザの入浴の邪魔になりにくく利便性が高い浴槽台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、浴槽台は、フレームと、フレームに左右両側の端部が支持されており、フレームに対してスライド可能であるスライドユニットとを備え、スライドユニットの上面が略水平となる第1の状態と、スライドユニットが第1の状態からフレームに対してスライドした第2の状態とに相互に変化可能である。
【0011】
好ましくは、浴槽台は、フレームに取り付けられている下側台部をさらに備え、下側台部は、第1の状態においてスライドユニットの下方に位置しており、第2の状態において下側台部が上方に露出して下側台部にユーザが着座可能になる。
【0012】
好ましくは、第2の状態において、スライドユニットの少なくとも一部が背もたれになる。
【0013】
好ましくは、第2の状態において、スライドユニットは、第1の状態におけるスライドユニットの位置から下方に位置しており、スライドユニットにユーザが着座可能である。
【0014】
好ましくは、第2の状態において、スライドユニットは、第1の状態におけるスライドユニットの位置から離れた位置にある。
【0015】
好ましくは、フレームは、左右一対のレールを有し、スライドユニットは、一対のレールに左右両側の端部が支持されており一対のレールに対してスライド可能である。
【0016】
好ましくは、一対のレールのそれぞれは、前後方向に延びる水平部を有しており、第1の状態において、スライドユニットが水平部に支持されており、第2の状態において、スライドユニットが第1の状態から一対のレールに対してスライドしている。
【0017】
好ましくは、スライドユニットは、複数のスライド部材を有し、複数のスライド部材のそれぞれが、一対のレールの左右両端部にスライド可能に支持されており、複数のスライド部材のそれぞれは、他のスライド部材に連結されている。
【発明の効果】
【0018】
これらの発明に従うと、浴槽内に配置したままでもユーザの入浴の邪魔になりにくく利便性が高い浴槽台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態の1つにおける浴槽台を示す斜視図である。
【
図2】浴槽台の
図1とは異なる状態を示す斜視図である。
【
図3】第1の状態における浴槽台を単純化して示す側面図である。
【
図4】第2の状態における浴槽台を単純化して示す側面図である。
【
図5】本実施の形態の第1の変形例に係る浴槽台の第1の状態を単純化して示す側面図である。
【
図6】第1の変形例に係る浴槽台の第2の状態を単純化して示す側面図である。
【
図7】本実施の形態の第2の変形例に係る浴槽台の第1の状態を単純化して示す側面図である。
【
図8】第2の変形例に係る浴槽台の第2の状態を単純化して示す側面図である。
【
図9】本実施の形態の第3の変形例に係る浴槽台を単純化して示す側面図である。
【
図10】本実施の形態の第4の変形例に係る浴槽台を単純化して示す側面図である。
【
図11】本実施の形態の第5の変形例に係る浴槽台を単純化して示す側面図である。
【
図12】本実施の形態の第6の変形例に係る浴槽台を単純化して示す側面図である。
【
図13】本実施の形態の第7の変形例に係る浴槽台の第1の状態を単純化して示す側面図である。
【
図14】第7の変形例に係る浴槽台の第2の状態を単純化して示す側面図である。
【
図15】本実施の形態の第8の変形例に係る浴槽台を単純化して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態における浴槽台の一例について説明する。
【0021】
なお、以下において、前後方向(
図2における左が「前」)、左右方向(
図2における紙面上方が「右」)、上下方向(
図2における上が「上」)などとそれぞれの方向を称して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、これらの前後、上下、左右の方向は、あくまで説明の便宜のために定義したものであって、実際に浴槽台が用いられる場面における方向や、浴槽台が使用される姿勢などについて、何ら限定するものではない。また、特記する場合を除き、各方向や、水平、垂直というような表現は、おおまかに、また相対的に解釈されるべきであり、方向や姿勢等について厳密に限定するものではない。
【0022】
また、以下において、浴槽台のユーザが着座可能な(座ることができる)面を座面と呼ぶことがあるが、例えば、浴槽台の用途によっては、ユーザが浴槽に入ったり浴槽から出たりするときにその座面を踏み台にしてもよい。すなわち、以下において座面と呼ぶ面は、ユーザが着座するためのものに限られず、浴槽台の様々な用途において利用できる面である。
【0023】
[実施の形態]
【0024】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける浴槽台1を示す斜視図である。
【0025】
図1に示されるように、浴槽台1は、フレーム10と、下側台部21と、左右一対のレール31と、スライドユニット51とを備えている。
【0026】
本実施の形態において、フレーム10は、左右一対に設けられている。左右のフレーム10の間隔は、一般的なユーザの腰幅よりも広い寸法に設定されている。各フレーム10の下部は浴槽の底面などの床面(浴槽台1が配置される面をいう)に接地するための脚部11となっている。脚部11は、左右それぞれのフレーム10において前後の2カ所に設けられている。すなわち、浴槽台1は、4カ所で床面に接触する。
【0027】
本実施の形態において、脚部11には、床面などに吸着する吸盤15が設けられており、浴槽台1は、吸盤15が床面に吸着するようにして、浴槽内などの床面に配置されて使用される。これにより、浴槽台1が床面に対して変位することが防止され、浴槽台1をより安全に使用可能になる。吸盤15は、すべての脚部11に設けられているが、これに限られるものではなく、脚部10のうちいくつかの、限られた脚部11にのみ設けられていてもよい。また、吸盤15が設けられていなくてもよい。
【0028】
なお、浴槽台1は各吸盤15と床面との吸着を解除することにより、容易に床面から取り外すことができる。浴槽台1は、例えば容易な操作で、一度に各吸盤15の一部を持ち上げ、吸盤15の床面への吸着部に空気を導入できる機構(図示せず)を備えていてもよい。吸盤15の床面への吸着を容易な操作で解除することができ、浴槽台1の床面からの取り外しをより容易にかつ速やかに行うことができる。
【0029】
左右一対のレール31は、それぞれ、左右のフレーム10に設けられている。レール31は、スライドユニット51の左右両側の端部を支持している。すなわち、スライドユニット51は、左右一対のレール31に対して、レール31に沿ってスライド可能である。なお、スライドユニット51の左右両側の端部には、レール31に向かって突出する支持部56(
図3に示す)が設けられており、支持部56がレール31にはめ込まれている。換言すると、レール31は、支持部56がはまり込む溝形状を有している。これにより、スライドユニット51がレール31に沿ってスライド可能である。なお、スライドユニット51がレール31に沿ってスライド可能となる構造については、これに限られるものではない。例えば、スライドユニット51の左右両側の端部に凹部が設けられており、他方のレール31に向かって突出するレール31を凹部で挟むようにしてスライドユニット51が配置されていることにより、スライドユニット51がレール31に沿ってスライド可能となっていてもよい。
【0030】
下側台部21は、フレーム10に取り付けられている。下側台部21は、左右の端部がそれぞれ左右のフレーム10に固定されていることにより、フレーム10に支持されている。本実施の形態において、下側台部21は、左右方向が長手方向となる複数の短冊状の板部材25が前後方向に並べられて、全体として略水平の板状を成すように構成されている。例えば3枚の板部材25で下側台部21が構成されている。下側台部21は、
図1に示される状態(後述する第1の状態)において、スライドユニット51の下方に位置している。
【0031】
図2は、浴槽台1の
図1とは異なる状態を示す斜視図である。
【0032】
本実施の形態において、浴槽台1は、比較的高い位置に座面が位置する第1の状態と、第1の状態における座面を取り除くことができる第2の状態との2つの状態をとることができる。ユーザは、以下に説明する方法で、第1の状態と第2の状態とを相互に変化させることができる。
図1は、第1の状態における浴槽台1を示し、
図2は、第2の状態における浴槽台1を示している。
【0033】
図1に示される第1の状態においては、スライドユニット51の上面が座面となる。第1の状態においては、スライドユニット51の上面にユーザが着座可能である。他方、
図2に示される第2の状態においては、スライドユニット51は、第1の状態におけるスライドユニット51の位置から離れた位置にある。第2の状態においては、下側台部21が上方に露出している。第2の状態において、下側台部21の上面が座面となり、下側台部21にユーザが着座可能である。
【0034】
また、第2の状態において、スライドユニット51は、浴槽台1の後方であって下側台部21の後方において、略垂直になる部分を有する。スライドユニット51の一部は、第2の状態において、下側台部21に着座するユーザにとっての背もたれとして利用することができる。
【0035】
図3は、第1の状態における浴槽台1を単純化して示す側面図である。
図4は、第2の状態における浴槽台1を単純化して示す側面図である。
【0036】
図3及び
図4においては、側面から見た浴槽台1を模式的に示す。図中の座標に示されるように、紙面において左が浴槽台1の前、紙面において上が浴槽台1の上に該当する。浴槽台1を構成する各要素の具体的な形状の図示等は省略されており、各要素が簡略化されて示されている。
【0037】
図3に示されるように、本実施の形態において、スライドユニット51は、複数(例えば5つ)のスライド部材55を有している。複数のスライド部材55のそれぞれが、一対のレール31の左右両端部にスライド可能に支持されており、第1の状態において前後に並んでいる。複数のスライド部材55のそれぞれに、レール31にはめ込まれる支持部56が設けられている。複数のスライド部材55のそれぞれは、他のスライド部材55に連結されている。これにより、複数のスライド部材55が一体として、レール31に対してスライド可能となっている。スライド部材55同士の連結構造としては、様々なものが用いられる。例えば、ワイヤ状の連結部材52(
図3において破線で示す)を用いて、各スライド部材55が結合されるようにしてもよい。
【0038】
各スライド部材55は、左右方向が長手方向となる短冊状の板状部材である。
【0039】
ここで、一対のレール31のそれぞれは、前後方向に延びる水平部33と、水平部33の後端部から下方に延びる垂直部34と、垂直部34の下端部から前方に延びる第2水平部35とを有している。第2水平部35は、下側台部21よりも下方に位置している。水平部33と垂直部34とは、スライド部材55をスライド可能な程度に緩やかに湾曲した湾曲部を介して接続されている。垂直部34と第2水平部35とは、スライド部材55をスライド可能な程度に緩やかに湾曲した湾曲部を介して接続されている。レール31は、側方から見て、C字状の形状を有しているといえる。
【0040】
図3に示されるように、第1の状態においては、スライドユニット51が水平部33に支持されており、スライドユニット51の上面が略水平となる。このとき、スライドユニット51の上面が浴槽台1の座面となる。なお、第1の状態において、スライドユニット51の上面は全体として略水平であればよく、これにより、スライドユニット51に安定して腰掛けたり踏み板にしたりすることができる。
【0041】
なお、第1の状態において、スライドユニット51の一部(例えば、前側や後側の部分)は、レール31の形状等に応じてスライドユニット51の他の部位とは異なる高さに位置するようにしてもよい。例えばスライドユニット51の前側が若干下方に垂れ下がるようにすることで、浴槽台1を第1の状態において椅子として使用するときに、スライドユニット51の前側の部位が膝裏に緩やかに当たるようにし、座り心地を良好にすることができる。また、このとき、スライドユニット51の一部の支持部56の位置が、他の支持部56よりも下方においてレール31に支持されているようにすることにより、ユーザがスライドユニット51に座ったり脚をかけたりしてスライドユニット51に下方向の荷重がかけられているときに、スライドユニット51がレール31に沿って前後方向にスライドしにくくなるようにすることができる。すなわち、第1の状態が維持され、浴槽台1の利用時に安定感が得られる。
【0042】
第1の状態から、図に矢印mで示されるようにスライドユニット51をレール31に沿って後方にスライドさせることで、第2の状態にすることができる。
【0043】
図4に示されるように、第2の状態においては、スライドユニット51が第1の状態から一対のレール31に対して後方にスライドした状態となる。第1の状態から後方にスライドしたスライドユニット51のスライド方向前端部(第1の状態において後端部分)は、レール31に沿って、垂直部34を経由して、第2水平部35の前端まで到達しうる。スライドユニット51のスライド方向前端部が第2水平部35の前端部に到達したとき、スライドユニット51のスライド方向後端部(第1の状態において前端部分)は、垂直部34に位置している。スライドユニット51のスライド方向後端部は、第2の状態において下側台部21よりも上方に位置している。スライドユニット51のいずれの部分も、第2の状態において水平部33には位置していない。すなわち、スライドユニット51は、第1の状態におけるスライドユニット51の位置(
図4において二点鎖線で示されている)から離れた位置にある。
【0044】
ユーザは、スライドユニット51を一対のレール31に対して前後にスライドさせることで、第1の状態と第2の状態とを相互に変化可能である。すなわち、第2の状態から第1の状態にするためには、
図4に示されている状態のスライドユニット51の上端部(スライド方向後端部)を垂直部34に沿って引き上げるようにスライドさせて、水平部33において前方にスライドさせるようにすればよい。これにより、
図3に示されるような第1の状態に再び戻すことができる。
【0045】
第2の状態において、下側台部21の上面は、スライドユニット51に遮られずに上方に露出している。そのため、下側台部21の上面を座面とすることができる。
【0046】
第2の状態における座面すなわち下側台部21の上面の床面からの高さh2は、第1の状態における座面すなわちスライドユニット51の上面の床面からの高さh1よりも低くなる。すなわち、ユーザは、スライドユニット51を一対のレール31に対してスライドさせることで第1の状態と第2の状態とを相互に変化させて、浴槽台1の座面の高さを高い状態とするか低い状態とするかを相互に切り替えることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態においては、浴槽台1の座面の高さを高い状態とするか低い状態とするかを、スライドユニット51をレール31に沿って移動させることで、容易に切り替えることができる。ユーザは、好みに応じて、適宜、浴槽台1の状態を切り替えて浴槽台1を用いることができので、浴槽台1の利便性が高くなる。すなわち、浴槽台1は、ユーザが浴槽内に出入りするときのみならず、ユーザが浴槽内にいるときでも、有効に利用できるものである。
【0048】
例えば、上記の通り、浴槽が深い場合などにおいて浴槽台1を踏み台として用いるときは、浴槽台1を第1の状態にして、座面の高さを高くすることができる。これにより、ユーザが浴槽に出入りする際の踏み台としての効果を十分に得ることができる。すなわち、浴槽が深いものであっても、浴槽台1を用いることで足腰などにかかる負担が軽減されるため、ユーザは、楽に浴槽内に出入りすることができる。
【0049】
ユーザが浴槽内で湯につかる際には、ユーザは、浴槽台1を浴槽から取り外すことなく、浴槽台1を第2の状態として、浴槽台1を椅子として利用できる。このとき、座面の高さが低くなるので、浴槽台1を使用しない場合と比較して浴槽内の湯の水位をそれほど増やさなくても、浴槽台を使用しない場合と同様に湯につかることができ、湯の消費量を抑えることができる。座面に腰掛けたユーザの上半身の位置は浴槽内で比較的低く納まるので、肩まで湯に浸かりたいというようなニーズがユーザにある場合においても、そのニーズを満足させることができる。浴槽に出入りするたびに面倒な浴槽台1の着脱作業を行う必要がなく、深く湯に浸かるために浴槽台1を避ける窮屈な姿勢をとる必要がないため、ユーザは、浴槽台1を使用して快適に入浴することができる。
【0050】
浴槽台1は簡素な構造を有するので、取り扱いが容易で、また、製造コストを低くすることができる。
【0051】
第2の状態において、下側台部21に腰掛けるユーザは、スライドユニット51の一部を背もたれとして利用することができる。したがって、浴槽台1の利便性がより高くなる。
【0052】
なお、スライドユニット51を第1の状態における位置や第2の状態における位置において保持させるように、保持構造を用いるようにしてもよい。保持構造としては、スライドユニット51に重力が加わった状態で支持部56が係合するようにレール31に凸形状部や凹形状部などを設けた構造や、レール31上で支持部56がスライド可能な範囲を制限したりスライドユニット51の位置を規制するようなユーザが操作可能なロック機構を設けた構造などを使用することができる。また、その他の構造を保持構造としても値いることができる。保持構造を設けなくてもよい。
【0053】
[変形例の説明]
【0054】
以下、本実施の形態の変形例について説明する。以下において、本実施の形態に係る構成と同様の構成には、同一の符号を付して説明したり、その説明や図示を省略したりすることがある。
【0055】
[第1の変形例の説明]
【0056】
図5は、本実施の形態の第1の変形例に係る浴槽台101の第1の状態を単純化して示す側面図である。
図6は、第1の変形例に係る浴槽台101の第2の状態を単純化して示す側面図である。
【0057】
図5に示されるように、第1の変形例に係る浴槽台101では、上述の実施の形態とは形状が異なるレール131が設けられている点、及び、フレーム10にはレール131を支持する背もたれ部17が設けられている点が、上述の実施の形態にかかる浴槽台1とは相違する。
【0058】
すなわち、レール131は、水平部33の後端部から上方に延びる待避部37を有している。待避部37は、例えば、水平部33の後端部から、後ろ斜め上方に延びている。待避部37の長さは、水平部33の長さと同等かそれより長いが、これに限られるものではない。水平部33と待避部37とは、各スライド部材55をスライド可能な程度に緩やかに湾曲した湾曲部を介して接続されている。レール131は、側方から見て、略L字状の形状を有しているといえる。
【0059】
背もたれ部17は、待避部37に沿って、待避部37を支持するように形成されている。なお、レール131や背もたれ部17は、左右対称に形成されている。
【0060】
第1の変形例においても、
図5に示される第1の状態から、矢印mで示されるようにスライドユニット51をレール131に沿って後方にスライドさせることにより、
図6に示される第2の状態に変化させることができる。
【0061】
図6に示されるように、第2の状態では、スライドユニット51が、待避部37に位置し、水平部33に位置していない状態となる。これにより、下側台部21が上方に露出し、下側台部21の上面を座面として使用することができる。なお、第2の状態からスライドユニット51をレール131に沿って前方にスライドさせることにより、第1の状態に変化させることができる。
【0062】
また、第1の変形例では、第2の状態において、スライドユニット51の全体を背もたれとして使用できる。すなわち、下側台部21を座面として腰掛けたユーザは、スライドユニット51の上面(
図6において前方を向く面)に背中を接触させて、楽に浴槽台101に座ることができる。
【0063】
第1の変形例においても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
[第2の変形例の説明]
【0065】
図7は、本実施の形態の第2の変形例に係る浴槽台201の第1の状態を単純化して示す側面図である。
図8は、第2の変形例に係る浴槽台201の第2の状態を単純化して示す側面図である。
【0066】
図7に示されるように、第2の変形例に係る浴槽台201では、上述の実施の形態とは形状が異なるレール231が設けられている点、及び、下側台部21が設けられていない点が、上述の実施の形態にかかる浴槽台1とは相違する。
【0067】
すなわち、レール231は、水平部33の下側に位置する、略水平に前後方向に延びる第2水平部35を有している。第2の変形例において、第2水平部35の前後方向の長さは、水平部33の前後方向の長さと略同程度である。前後方向において、第2水平部35の前端部は、水平部33の前端部と略同じ位置にある。水平部33と第2水平部35とは、浴槽台201の後方において、各スライド部材55をスライド可能な程度に緩やかに湾曲したU字状の湾曲部を介して接続されている。レール231は、側方から見て、略U字状の形状を有しているといえる。なお、水平部33と第2水平部35とは、浴槽台の前方において接続されていてもよい。また、垂直部を介して水平部33と第2水平部35とが接続されていてもよい。
【0068】
第2の変形例においても、
図7に示される第1の状態から、矢印mで示されるようにスライドユニット51をレール231に沿って後方にスライドさせることにより、
図8に示される第2の状態に変化させることができる。
【0069】
図8に示されるように、第2の状態において、スライドユニット51は、第2水平部35に位置し、水平部33に位置していない状態となる。このとき、第1の状態においてスライドユニット51の下面となる面が、上方に露出する。すなわち、第2の状態において、スライドユニット51は、第1の状態におけるスライドユニット51の位置(
図8において破線で示す)から下方に位置しており、スライドユニット51にユーザが着座可能である。換言すると、第2の状態においては、スライドユニット51の上面(第1の状態においてスライドユニット51の下面となる面)が第1の状態よりも低い位置の座面となる。なお、第2の状態からスライドユニット51をレール231に沿って後方にスライドさせると、スライドユニット51が湾曲部を経由して水平部33に戻る。これにより、浴槽台201を第1の状態に変化させることができる。
【0070】
なお、下側台部21が設けられていないが、左右のフレーム10同士は、左右のフレーム10間にまたがって配置された梁部材等(図示せず)により互いに接続されているようにすればよい。
【0071】
第2の変形例においても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、第2の状態における座面の上面の床面からの高さh2は、第1の状態における座面すなわちスライドユニット51の上面の床面からの高さh1よりも低くなる。すなわち、ユーザは、スライドユニット51を一対のレール231に対してスライドさせることで第1の状態と第2の状態とを相互に変化させて、浴槽台201の座面の高さを高い状態とするか低い状態とするかを相互に切り替えることができる。下側台部21が設けられていないので、第2水平部35を比較的低い位置に配置することで、第2の状態における座面の高さh2を比較的低く設定することができる。
【0072】
[第3の変形例の説明]
【0073】
図9は、本実施の形態の第3の変形例に係る浴槽台301を単純化して示す側面図である。
【0074】
図9に示されるように、第3の変形例に係る浴槽台301では、主に上述の実施の形態とは形状が異なるレール331が設けられている点が、上述の実施の形態にかかる浴槽台1とは相違する。
【0075】
すなわち、レール331には、水平部33の後端部から下方に延びる垂直部34が設けられているが、第2水平部35は設けられていない。垂直部34の上下方向の長さは、水平部33の前後方向の長さと略同じ程度になっている。
【0076】
図9には、第2の状態が示されている。すなわち、第1の状態においては、スライドユニット51は、上記の実施の形態と同様に、水平部33に位置している。その状態からスライドユニット51が後方にスライドされると、スライドユニット51は水平部33から垂直部34に移動する。そして、
図9に示されるように、第2の状態においては、スライドユニット51が垂直部34内に納まり、下側台部21が上方に露出する。そのため、下側台部21を座面としてユーザが座ることができるようになる。
【0077】
第3の変形例においては、第2の状態において垂直部34にスライドユニット51が納まるように、垂直部34の高さが比較的高くなっている。そのため、浴槽台301における第1の状態における座面すなわちスライドユニット51の上面の床面からの高さh1は、上記実施の形態に係る浴槽台1の高さh1よりも高くなる。高さh1が比較的高いので、第2の状態における座面の上面の床面からの高さh2を比較的広い範囲で適宜設定できる。レール331は下側台部21の下方に位置する第2水平部35を有しないので、下側台部21を比較的低い位置に配置して、第2の状態における座面の高さh2を比較的低く設定することができる。
【0078】
その他、第3の変形例においても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
[第4の変形例の説明]
【0080】
図10は、本実施の形態の第4の変形例に係る浴槽台401を単純化して示す側面図である。
【0081】
図10に示されるように、第4の変形例に係る浴槽台401では、上述の第3の変形例と比較して、一つの板状のスライドユニット451が用いられている点が相違する。
【0082】
スライドユニット451は、一枚の板状である。スライドユニット451の左右両端部において、前方と後方とに1カ所ずつ、支持部56が配置されている。
図10において実線で示される第1の状態のスライドユニット451では、前側の支持部56が水平部33の前端部近傍に、後側の支持部56が水平部33の後端部近傍に位置している。
【0083】
ユーザは、矢印mに示されるように、スライドユニット451を一対のレール331に対して後方にスライドさせることで、第1の状態から第2の状態に変化させることができる。スライドユニット451をスライドさせると、まず後方の支持部56が垂直部34に入ることで、
図10において二点鎖線で示されるようにスライドユニット451の姿勢が変わる。そして、前方の支持部56が垂直部34に入ることで、スライドユニット451が略垂直姿勢になり、垂直部34に納まる。このようにして、下側台部21が上方に露出する第2の状態になり、下側台部21を座面としてユーザが座ることができるようになる。
【0084】
第4の変形例においては、より簡素な構成のスライドユニット451を用いることができるので、浴槽台401の製造コストを低減させることができる。その他、第4の変形例においても、上述の第3の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0085】
[第5の変形例の説明]
【0086】
図11は、本実施の形態の第5の変形例に係る浴槽台501を単純化して示す側面図である。
【0087】
図11に示されるように、第5の変形例に係る浴槽台501では、上述の実施の形態と比較して、ヒンジ554を用いたスライドユニット551が用いられている点が相違する。
【0088】
スライドユニット551は、例えば、前後に並ぶ2枚の板状のスライド部材555同士が、ヒンジ554を介して互いに回転可能に結合されて構成されている。前側のスライド部材555の左右両端部と、後側のスライド部材555の左右両端部とのそれぞれには、1カ所ずつ、支持部56が配置されている。
図11において実線で示される第1の状態のスライドユニット551では、前側の支持部56が水平部33の前端部近傍に、後側の支持部56が水平部33の後端部近傍に位置している。また、前後のスライド部材555の下面同士は、ヒンジ554を介して略180度だけ開いた状態で、それ以上は開かないようにして保持されている。これにより、第1の状態において、スライドユニット551の上面が座面となっている。
【0089】
ユーザは、矢印mに示されるように、スライドユニット551を一対のレール531に対して後方にスライドさせることで、第1の状態から第2の状態に変化させることができる。スライドユニット551をスライドさせ、後方の支持部56と前方の支持部56とをともに垂直部34に入れることで、下側台部21が上面に露出する第2の状態にすることができる。これにより、下側台部21を座面としてユーザが座ることができるようになる。
【0090】
ここで、スライドユニット551は、ヒンジ554を介して2つのスライド部材555間の角度が変更できるように構成されているので、
図11において二点鎖線で示されるように、第1の状態から第2の状態に変化させるとき、スライドユニット551を折りたたむことができる。そして、第2の状態において、前後のスライド部材555の下面同士が略0度に閉じた状態にして垂直部34に納めることができる。
【0091】
第5の変形例においては、第2の状態においてスライドユニット551を折りたたむようにして、スライドユニット551の上下の寸法を短くした上で垂直部34に納めることができる。垂直部34の長さを短くしてもスライドユニット551を垂直部34に納めることができるので、浴槽台501における第1の状態における座面すなわちスライドユニット551の上面の床面からの高さh1を比較的低く設定することができる。また、レール531は第2水平部35を有しないので、下側台部21を比較的低い位置に配置して、第2の状態における座面の高さh2を比較的低く設定することができる。その他、第5の変形例においても、上述の第3の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0092】
[第6の変形例の説明]
【0093】
図12は、本実施の形態の第6の変形例に係る浴槽台601を単純化して示す側面図である。
【0094】
図12に示されるように、第6の変形例に係る浴槽台601では、主に、形状が異なるレール631を有する点が上述の実施の形態に係る浴槽台1とは相違する。
図12において、スライドユニット51の図示は、第2の状態のものが破線で示されているのみである。
【0095】
すなわち、レール631は、垂直部34の下端部近傍から後方にロールするように延びたロール部39を有している。ロール部39の先端部と垂直部34とを合わせた長さは、水平部33の長さと同等かそれより長く確保されている。垂直部34からロール部39の先端部にかけては、各スライド部材55をスライド可能な程度に緩やかに湾曲しながら巻かれた形状を有している。
【0096】
第6の変形例においても、スライドユニット51が水平部33に位置する第1の状態(図示せず)から、矢印mで示されるようにスライドユニット51をレール631に沿って後方にスライドさせることにより、スライドユニット51が破線で示されている第2の状態に変化させることができる。すなわち、第2の状態では、スライドユニット51が、垂直部34からロール部39にかけての部分に位置し、水平部33に位置していない状態となる。これにより、下側台部21が上方に露出し、下側台部21の上面を座面として使用することができる。なお、第2の状態からスライドユニット51をレール631に沿って前方にスライドさせることにより、第1の状態に変化させることができる。
【0097】
第6の変形例においては、垂直部34に続けてロール部39が設けられているので、垂直部34の長さを短くしてもスライドユニット51を水平部33から待避させることができる。したがって、浴槽台601における第1の状態における座面の高さh1を比較的低く設定することができる。また、レール631は下側台部21の下方に位置する第2水平部35を有しないので、下側台部21を比較的低い位置に配置して、第2の状態における座面の高さh2を比較的低く設定することができる。その他、第6の変形例においても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
[第7の変形例の説明]
【0099】
図13は、本実施の形態の第7の変形例に係る浴槽台701の第1の状態を単純化して示す側面図である。
図14は、第7の変形例に係る浴槽台701の第2の状態を単純化して示す側面図である。
【0100】
図13に示されるように、第7の変形例に係る浴槽台701では、シート状のスライドユニット751が用いられている点が、第5の変形例に係る浴槽台501とは相違する。
【0101】
すなわち、
図13に示されるように、シート状のスライドユニット751は、前側と後側とにそれぞれ設けられた棒状の支持部756と、前端部及び後端部がそれぞれ支持部756に固定されたシート755とを有している。各支持部756は、左右両端部が左右一対のレール531によって支持されて、レール531に沿ってスライド可能となっている。シート755は、例えば繊維を編んで構成された、伸びにくく破れにくい布状シートであるが、これに限られるものではない。
【0102】
図13に示される第1の状態においては、スライドユニット751の前側の支持部756が水平部33の前端部近傍に、後側の支持部56が水平部33の後端部近傍に保持されている。これにより、第1の状態において、スライドユニット751のシート755の上面が座面となっている。
【0103】
ユーザは、矢印m1,m2に示されるように、各支持部756をレール531に対して後方にスライドさせることで、第1の状態から第2の状態に変化させることができる。
【0104】
図14に示されるように、スライドユニット751をスライドさせ、後方の支持部756と前方の支持部756とをともに垂直部34に入れることで、下側台部21が上面に露出する第2の状態にすることができる。これにより、下側台部21を座面としてユーザが座ることができるようになる。ここで、スライドユニット751において、シート755は撓むことができる素材により構成されているため、2つの支持部756間の距離はシート755が張らない範囲で適宜変更可能である。そのため、第1の状態から第2の状態に変化させるとき、シート755を撓ませた状態で、スライドユニット751の全体を垂直部34に納めることができる。
【0105】
第7の変形例においては、第2の状態においてシート状のスライドユニット751を撓ませるようにして、2つの支持部756間の距離を縮めた状態でスライドユニット751を垂直部34に納めることができる。したがって、第7の変形例においても、上述の第5の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0106】
[第8の変形例の説明]
【0107】
図15は、本実施の形態の第8の変形例に係る浴槽台801を単純化して示す側面図である。
【0108】
図15に示されるように、第8の変形例に係る浴槽台801は、フレーム10の上部に略水平に設けられた一対のレール831を有している。また、レール831に支持部857を介して回転可能に軸支された第2ユニット852と、その前側に位置するスライドユニット851とを有している。
【0109】
スライドユニット851は、その後端部において、第2ユニット852の前端部にヒンジ854を介して互いに回転可能に結合されている。スライドユニット851の左右両端部と、第2ユニット852の左右両端部とのそれぞれには、1カ所ずつ、支持部856,857が配置されている。
図15において実線で示される第1の状態において、スライドユニット851の支持部856が水平部33の前端部近傍に、第2ユニット852の支持部857が水平部33の後端部近傍に位置している。また、スライドユニット851の下面と第2ユニット852の下面とは、ヒンジ854を介して略180度だけ開いた状態で、それ以上は開かないようにして保持されている。これにより、第1の状態において、スライドユニット851の上面が座面となっている。
【0110】
ユーザは、矢印mに示されるように、スライドユニット851を一対のレール831に対して後方にスライドさせることで、第1の状態から第2の状態に変化させることができる。スライドユニット851と第2ユニット852とのそれぞれを支持部856,857を中心に回転させながら、スライドユニット851をスライドさせることできる。スライドユニット851と第2ユニット852との間の角度は変更できるように構成されているので、
図15において二点鎖線で示されるように、第1の状態から第2の状態に変化させるとき、スライドユニット851と第2ユニット852とを折りたたむことができる。そして、第2の状態において、スライドユニット851と第2ユニット852との下面同士が略0度に閉じてレール831の後端部近傍部分から上方に立設した状態にし、下側台部21が上面に露出する第2の状態にすることができる。これにより、下側台部21を座面としてユーザが座ることができるようになる。このとき、スライドユニット851を背もたれとして使用できる。すなわち、下側台部21を座面として腰掛けたユーザは、スライドユニット851の上面(
図15において前方を向く面)に背中を接触させて、楽に浴槽台101に座ることができる。
【0111】
その他、第8の変形例においても、上述の第3の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0112】
なお、第8の変形例において、第2ユニット852はレール831に支持されておらずに、単にフレーム1に対して回転可能に支持されていてもよい。
【0113】
[その他]
【0114】
上述の複数の実施の形態を適宜組み合わせた実施の形態を構成してもよい。例えば、上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のそれぞれの構成要素を、適宜、他の実施の形態の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【0115】
フレームの形状、レールの形状、第1の状態におけるスライドユニットの上面の高さや前後方向の寸法、下側台部の高さや前後方向の寸法、着座するユーザの座面となり得るスライドユニットや下側台部の左右方向の寸法などは、浴槽台の使用目的や設置場所の事情などに応じて、適宜設定することができる。
【0116】
スライドユニットや下側台部は、上記の実施の形態のように左右方向が長手方向となる複数の短冊状の部材により構成されているものに限られない。例えば、下側台部は、1つの板であってもよく、また、板状でなくてもよい。また、スライドユニットや下側台部は、複数の棒状部材や管状部材を板状に並べて構成されていてもよい。
【0117】
また、第2の状態においてスライドユニットが水平部の下方に位置しないようにしたレールを用いる場合において、下側台部を設けずに、第2の状態において床面を座面とすることができるように構成されていてもよい。
【0118】
フレームは、左右一対に構成されているものに限られない。また、フレームのうち、レールが取り付けられている部分と脚部とが別々に構成されていてもよい。フレームは、上述の実施の形態のように棒状部材や管状部材を用いて構成されているものに限られず、例えば板状の部材で構成されていてもよい。
【0119】
レールは、水平部を有しておらず、水平面に対して傾斜している直線部を有していたり、全体として湾曲しているものであってもよい。左右のそれぞれに、左右で対称となる複数組のレールが設けられており、各組のレールに互いに連結された複数のスライド部材のうちいくつかが支持されており、スライドユニットが全体としてフレームに対してスライド可能となっていてもよい。
【0120】
また、レールは、スライドユニットの変位可能な方向をスライド方向のみに規制するものではなくてもよい。例えば、レールは、第1の状態においてスライドユニットの上方への変位を規制するものではなく、単にスライドユニットに設けられている支持部を下から支えるものであってもよい。また、フレームにはレールが設けられておらず、スライドユニットの左右両側の端部がフレームに支持されており、フレームに対してスライド可能になっていれてもよい。
【0121】
脚部の構造は、複数の筒状の部材により支持板を支えるものに限られない。脚部は、例えば、接地面に対して立てられる複数の板状の部材により支持板を支えるものであったり、一つの柱状の部材であったりしてもよい。
【0122】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0123】
1,101,201,301,401,501,601,701 浴槽台
10 フレーム
21 下側台部
31,131,231,331,531,631 レール
33 水平部
51,451,551,751 スライドユニット
55,555 スライド部材