(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】データ検出方法および装置、記憶媒体、タッチ装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
G06F3/041 520
(21)【出願番号】P 2019567544
(86)(22)【出願日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 CN2019075720
(87)【国際公開番号】W WO2020001042
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】201810699397.6
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512116114
【氏名又は名称】北京京▲東▼方▲顯▼示技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE DISPLAY TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.118 Jinghaiyilu,BDA,Beijing 100176,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】王 建亭
(72)【発明者】
【氏名】布 占場
(72)【発明者】
【氏名】郭 瑞
(72)【発明者】
【氏名】賀 見紫
(72)【発明者】
【氏名】孟 智明
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-234473(JP,A)
【文献】特開2012-43394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集することと、
前記複数の検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することと、
前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整し、調整後の動的閾値を、その後新に収集した前記タッチポイントに対応する検出初期値との比較に用いることとを含む、データ検出方法。
【請求項2】
前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することは、
サンプル数を決定することと、
前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を前記検出保持値として、前記検出保持値の数が前記サンプル数に等しくなるまで保持して記憶することとを含む、請求項1に記載のデータ検出方法。
【請求項3】
複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
複数の前記検出保持値の平均値を計算することと、
前記平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む、請求項1または2に記載のデータ検出方法。
【請求項4】
前記平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
前記平均値と補正値との和を、調整後の前記タッチポイントの動的閾値とすることを含む、請求項3に記載のデータ検出方法。
【請求項5】
複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
所定の演算回数を決定することと、
初回を除き、毎回検出される検出保持値に基づいて、前の回で算出した平均値と前記毎回検出される検出保持値との平均値を、計算した前記検出保持値の数が前記所定の演算回数に等しくなるまで計算することと、
計算終了後に得られた平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む、請求項1または2に記載のデータ検出方法。
【請求項6】
計算終了後に得られた平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
計算終了後に得られた前記平均値と補正値との和を、調整後の前記タッチポイントの動的閾値とすることを含む、請求項5に記載のデータ検出方法。
【請求項7】
前記平均値は、算術平均値、幾何平均値または調和平均値を含む、請求項3~6のいずれか一項に記載のデータ検出方法。
【請求項8】
複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
複数の前記検出保持値の中央値を計算することと、
前記中央値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む、請求項1または2に記載のデータ検出方法。
【請求項9】
前記中央値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
前記中央値と補正値との和を、調整後の前記タッチポイントの動的閾値とすることを含む、請求項8に記載のデータ検出方法。
【請求項10】
前記補正値は、経験値、分散、標準偏差または平均差に基づいて決定される、請求項4、6または9のいずれか一項に記載のデータ検出方法。
【請求項11】
同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する前に、前記タッチポイントの動的閾値を初期閾値に設定することをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のデータ検出方法。
【請求項12】
前記タッチポイントの動的閾値を調整した後に、新たに収集した前記タッチポイントに対応する検出初期値を前記調整後の動的閾値と比較し、比較結果に基づいてタッチ検出を行うことをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のデータ検出方法。
【請求項13】
同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集するように構成された収集ユニットと、
前記複数の検出初期値を受信し、前記複数の検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持するように構成された比較ユニットと、
前記比較ユニットに連結され、前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整するように構成された調整ユニットとを含む、データ検出装置。
【請求項14】
プロセッサと、
メモリと、
1つまたは複数のコンピュータプログラムとを含み、
前記1つまたは複数のコンピュータプログラムは、前記メモリに記憶されるとともに前記プロセッサによって実行されるように構成され、
前記1つまたは複数のコンピュータプログラムは、
同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集するステップと、
前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持するステップと、
複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整し、調整後の動的閾値を、その後新に収集した前記タッチポイントに対応する検出初期値との比較に用いるステップとを実行させることを含む、データ検出装置。
【請求項15】
前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することは、
サンプル数を決定することと、
前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を前記検出保持値として、前記検出保持値の数が前記サンプル数に等しくなるまで保持して記憶することとを含む、請求項14に記載のデータ検出装置。
【請求項16】
複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
複数の前記検出保持値の平均値を計算することと、
前記平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む、請求項14または15に記載のデータ検出装置。
【請求項17】
複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、
所定の演算回数を決定することと、
初回を除き、毎回検出される検出保持値に基づいて、前の回で算出した平均値と前記毎回検出される検出保持値との平均値を、計算した前記検出保持値の数が前記所定の演算回数に等しくなるまで計算することと、
計算終了後に得られた平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む、請求項14または15に記載のデータ検出装置。
【請求項18】
非一時的コンピュータ可読指令を記憶するための記憶媒体であって、
前記非一時的コンピュータ可読指令がコンピュータによって実行される際、請求項1~12のいずれか一項に記載のデータ検出方法を実現する指令を実行できる、記憶媒体。
【請求項19】
請求項13~17のいずれか一項に記載のデータ検出装置を含むタッチ装置。
【請求項20】
タッチスクリーンをさらに含み、前記タッチスクリーンは、複数のタッチポイントを含み、且つ、前記データ検出装置に連結され、前記データ検出装置は、各々のタッチポイントごとに動的閾値を調整する、請求項19に記載のタッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年6月29日に出願された中国特許出願201810699397.6の優先権を主張し、ここに、全文において上記中国特許出願の開示内容を引用して本願の一部とする。
【0002】
本開示の実施例は、データ検出方法および装置、記憶媒体、タッチ装置に係る。
【背景技術】
【0003】
技術の発展に伴い、タッチスクリーンは、ますます広く適用され、最も便利なヒューマン・インタフェース・デバイスの1つになりつつある。タッチスクリーンは、通常、容量性タッチ、抵抗性タッチ、ナノタッチ、電磁タッチなどを含む各種微小信号のタッチセンサ(touch sensor)技術によってタッチ操作を実現する。タッチセンサ技術は、精度が高く、反応速度が速く、タッチポイントの数が多いといった利点を有するため、携帯電話、タブレットパソコン、ノートパソコン、テレビ、ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、ナビゲータなどの電子製品に広く適用されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の少なくとも1つの実施例において、データ検出方法を提供する。当該データ検出方法において、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集することと、前記複数の検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することと、前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整し、調整後の動的閾値を、その後新に収集した前記タッチポイントに対応する検出初期値との比較に用いることとを含む。
【0005】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することは、サンプル数を決定することと、前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を前記検出保持値として、前記検出保持値の数が前記サンプル数に等しくなるまで保持して記憶することとを含む。
【0006】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、複数の前記検出保持値の平均値を算出することと、前記平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む。
【0007】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、前記平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、前記平均値と補正値との和を、調整後の前記タッチポイントの動的閾値とすることを含む。
【0008】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、所定の演算回数を決定することと、初回を除き、毎回検出される検出保持値に基づいて、前の回で算出した平均値と前記毎回検出される検出保持値との平均値を、計算した前記検出保持値の数が前記所定の演算回数に等しくなるまで、計算することと、計算終了後に得られた平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む。
【0009】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、計算終了後に得られた平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、計算終了後に得られた前記平均値と補正値との和を、調整後の前記タッチポイントの動的閾値とすることを含む。
【0010】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、前記平均値は、算術平均値、幾何平均値または調和平均値を含む。
【0011】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、複数の前記検出保持値の中央値を計算することと、前記中央値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む。
【0012】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、前記中央値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、前記中央値と補正値との和を、調整後の前記タッチポイントの動的閾値とすることを含む。
【0013】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、前記補正値は、経験値、分散、標準偏差または平均差に基づいて決定される。
【0014】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する前に、前記タッチポイントの動的閾値を初期閾値に設定することを含む。
【0015】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法において、前記タッチポイントの動的閾値を調整した後に、新たに収集した前記タッチポイントに対応する検出初期値を前記調整後の動的閾値と比較し、比較結果に基づいてタッチ検出を行うことを含む。
【0016】
本開示の少なくとも1つの実施例において、データ検出装置をさらに提供する。当該データ検出装置は、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集するように構成された収集ユニットと、前記複数の検出初期値を受信し、前記複数の検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持するように構成された比較ユニットと、前記比較ユニットに連結され、前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整するように構成された調整ユニットとを含む。
【0017】
本開示の少なくとも1つの実施例において、データ検出装置をさらに提供する。当該データ検出装置は、プロセッサと、メモリと、1つまたは複数のコンピュータプログラムとを含み、前記1つまたは複数のコンピュータプログラムは、前記メモリに記憶されるとともに、て前記プロセッサによって実行されるように構成され、前記1つまたは複数のコンピュータプログラムは、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集するステップと、前記複数の検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持するステップと、前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整し、調整後の動的閾値を、その後新に収集した前記タッチポイントに対応する検出初期値との比較に用いるステップとを実行させることを含む。
【0018】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出装置において、前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することは、サンプル数を決定することと、前記検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を前記検出保持値として、前記検出保持値の数が前記サンプル数に等しくなるまで保持して記憶することとを含む。
【0019】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出装置において、複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、複数の前記検出保持値の平均値を計算することと、前記平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む。
【0020】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出装置において、複数の前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することは、所定の演算回数を決定することと、初回を除き、毎回検出される検出保持値に基づいて、前の回で算出した平均値と前記毎回検出される検出保持値との平均値を、計算した前記検出保持値の数が前記所定の演算回数に等しくなるまで計算することと、計算終了後に得られた平均値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む。
【0021】
本開示の少なくとも1つの実施例において、非一時的コンピュータ可読指令を記憶するための記憶媒体をさらに提供する。前記非一時的コンピュータ可読指令は、コンピュータによって実行される際、本開示のいずれかの実施例に記載のデータ検出方法を実現する指令を実行できる。
【0022】
本開示の少なくとも1つの実施例において、本開示のいずれかの実施例に記載のデータ検出装置を含むタッチ装置をさらに提供する。
【0023】
例えば、本開示の一実施例によって提供されるタッチ装置は、タッチスクリーンを含み、前記タッチスクリーンは、複数のタッチポイントを含み、且つ前記データ検出装置に連結され、前記データ検出装置は、各々のタッチポイントごとに動的閾値を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の記載における図面は、単に本開示の一部実施例に係るものであり、本開示に対する限定ではない。
【0025】
【
図1】本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法の概略的なフローチャートである。
【
図2】本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法の具体的なフローチャートである。
【
図3】本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出方法の具体的なフローチャートである。
【
図4】本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出方法の具体的なフローチャートである。
【
図5】本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出方法の概略的なフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施例によって提供されるデータ検出装置の概略的なブロック図である。
【
図7】本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出装置の概略的なブロック図である。
【
図8】本開示の一実施例によって提供される記憶媒体の概略図である。
【
図9】本開示の一実施例によって提供されるタッチ装置の概略的なブロック図である。
【
図10】本開示の一実施例によって提供される別のタッチ装置の概略的なブロック図である。
【
図11】本開示の一実施例によって提供される閾値設定方法の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明確且つ完全に記載する。明らかに、記載される実施例は、本開示の実施例の一部であり、全てではない。記載される本開示の実施例に基づき、当業者が創造性のある作業をせずに為しえる全てのほかの実施例は、すべて本開示の保護範囲に属するものである。
【0027】
別途定義しない限り、本開示で使用される技術用語や科学用語は、本開示の所属する分野の一般的な技能を持つ者に理解される通常の意味である。本開示に使用される「第1」、「第2」及び類似用語は、単に異なる構成部分を区別するためのものであり、決して、順番、数量又は重要度を表すものではない。同様に、「1つ」、「一」または「当該」などの類似用語は、少なくとも1つ存在することを表し、数量の限定ではない。「含む」や「含有」などの類似用語は、当該用語より前の素子や部材が当該用語の後に列挙される素子や部材及びその均等物をカバーすることを意味し、ほかの素子や部材を除外するものではない。「接続」や「連結」などの類似用語は、物理や機械的接続に限定されず、直接か間接かを問わず、電気的接続も含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対的位置関係を表すものであり、記載対象の絶対位置が変化すると、当該相対的位置関係も相応に変化する。
【0028】
現在、電子ホワイトボード、インタラクティブディスプレイ統合マシン、セルフサービスマシン、インタラクティブナビゲーション、インタラクティブショッピングガイドなどのタッチインタラクティブディスプレイの分野において、タッチ検出は、一般にタッチセンサによって実現される。例えば、タッチセンサは、電荷、電圧、電流などの微小な変化信号に対し検出および前処理を行う。通常、前処理には、微小信号のフィルタリング、増幅およびアナログ/デジタル変換(A/D変換)などが含まれ、一般にタッチ受信チャネルのアクティブフロントエンド(Active Front End、AFE)によって実現される。前処理を経た後のデータは、制御ユニット(例えば、マイクロプロセッサ)でさらに処理される。上記のデータを閾値(threshold)と比較することによって、タッチペンなどによるタッチの存在の有無およびタッチの位置座標を判断する。
【0029】
閾値の設定は、通常、固定値を書き込むことによって実現される。例えば、書き込まれる固定値(閾値)は、通常、タッチセンサの特性(例えば、インピーダンス、分布容量、周波数、磁場など)および試運転経験値に基づいて決定される。閾値が高く設定されると、必要なタッチ圧力が高くなり、タッチングエクスペリエンスが低下する。一方、閾値が低く設定されると、誤報が生成されやすくなり、タッチの正確性が低下する。したがって、実際の状況に応じて適切に閾値を設定する必要がある。閾値が決定されると、当該閾値は、タッチデバイスのファームウェア(ROMなど)に書き込まれ、変更されなくなる。
【0030】
微小信号は、環境の影響を非常に受けやすい。環境が変化すると、タッチセンサで検出された微小信号は、ノイズに干渉されて大きく変動しやすくなる。ノイズに干渉された微小信号を閾値と比較すると、誤った判定結果が得られやすく、タッチデバイスに誤報が発生しやすくなる。例えば、タッチ装置の構造応力の変化(タッチパネルと表示モジュールの貼り合わせによる応力の変化など)により、一部の領域でタッチ切れが起こることにより誤報が発生する。温度や湿度の変化によっても誤報が発生する。異なる環境での電磁場(静電気など)の影響によっても、誤報が発生する。
【0031】
誤報を排除するために、通常、アクティブフロントエンドでは、特定のフィルタリング技術によって実現される。ただし、可変周波数フィルタリング、空間フィルタリング、時間フィルタリングまたはノイズフロア抑制などのフィルタリング技術は、ランダムノイズに対してある程度の抑制効果を持つものの、長期間(タッチスキャン頻度に対して長期間)に存在する環境の変化(構造応力、温度、湿度などの要素の変化および電磁気的汚染など)、および、ノイズフロアや低周波ノイズの抑制効果が限られており、タッチ処理時間も増加する。その結果、タッチ遅延の問題が生じ、タッチングエクスペリエンスが低下する。一部のタッチ装置において、単一チャネルの閾値設定方式によりチャネル毎に閾値を個別に設定する。このような方式は、各チャネル間の相違が考慮されており、タッチ装置の量産時の良品率を高めるが、環境の変化による誤報問題は未解決のままである。
【0032】
本開示の少なくとも1つの実施例において、データ検出方法および装置、記憶媒体、タッチ装置を提供する。一部の例において、当該データ検出方法は、タッチポイントの動的閾値を調整でき、環境的要因による誤報への影響を克服することができ、ノイズフロア、低周波ノイズおよびホワイトノイズに対しある程度の排除・改善作用を有し、ある程度の環境適応力を有する。
【0033】
以下、図面を参照して本開示の実施例を詳細に説明する。なお、各図面における同一の図面記号は、同じ構成を示す。
【0034】
本開示の少なくとも1つの実施例において、データ検出方法を提供する。当該データ検出方法において、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集することと、前記複数の検出初期値を前記タッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することと、前記検出保持値に基づいて前記タッチポイントの動的閾値を調整し、調整後の動的閾値を、その後新に収集した前記タッチポイントに対応する検出初期値との比較に用いることとを含む。
【0035】
図1は、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法の概略的なフローチャートである。
図1を参照し、当該データ検出方法は、以下のステップS10~S30を含むことができる。
【0036】
ステップS10において、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する。
【0037】
ステップS20において、複数の検出初期値をタッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持する。
【0038】
ステップS30において、検出保持値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整し、調整後の動的閾値を、その後新に収集したタッチポイントに対応する検出初期値との比較に用いる。
【0039】
例えば、ステップS10において、異なるタッチ原理のタッチ装置に対応するように、検出初期値は、電流、電圧またはそれ以外の任意の形の信号であって良い。例えば、当該データ検出方法は、タッチ装置に適用可能であり、タッチポイントは、タッチ装置のタッチスクリーンの中のタッチ検出ポイントを指す。例えば、タッチスクリーンが相互容量式であり且つ交差して設けられた2組の電極を含む場合、タッチポイントは、2組の電極の交差点を指す。例えば、タッチ検出が行われる際に、そのうちの一方の電極にスキャン信号Txを与えるとともに、他方の電極のセンシング信号Rxを収集することによってタッチ検出を実現する。この場合、ステップS10における検出初期値は、センシング信号Rxであっても良く、且つ複数の検出初期値は、同一のタッチポイントに対し複数回収集を行うことで得た複数のセンシング信号Rxに対応する。または、ステップS10における検出初期値は、センシング信号Rxの前処理(フィルタリング、増幅およびA/D変換など)を行って得た信号であっても良い。
【0040】
例えば、ステップS20において、検出保持値は、記憶され、そして記憶された後にステップS30の操作が行われても良い。または、検出保持値は、記憶されずに、直接ステップS30の操作に関与しても良い。例えば、比較を行う動的閾値は、初期閾値であって良い。当該初期閾値は、当該データ検出方法を適用するタッチ装置の出荷前に設定されたものであっても良い。または、比較を行う動的閾値は、前回当該データ検出方法を実行した後に設定されて記憶された動的閾値であってもよい。
【0041】
例えば、検出初期値と動的閾値との差が一定範囲内にあると、当該検出初期値は、要件を満たし、検出保持値として保持される。検出初期値と動的閾値との差が一定範囲を超えると、当該検出初期値は、要件を満たさず、検出保持値とされない。例えば、上記範囲は、経験値に基づいて決定できる。例えば、検出初期値と動的閾値との差が一定範囲を超える場合、当該検出初期値に対応するタッチポイントにおいてタッチが存在する可能性があることを示す。そのため、当該検出初期値を別途設置される制御ユニットに与えることによって、タッチの存在の有無およびタッチの位置座標を判断することができる。例えば、検出初期値と動的閾値との差が一定範囲内にある場合、通常、当該タッチポイントに対しタッチが行われておらず、且つ、検出初期値と動的閾値との差の値が、構造応力、温度、湿度などの要素の変化および電磁気的汚染などの環境的要因による可能性があることを示す。この場合の検出初期値にはノイズ情報が付帯されている。この場合の検出初期値を検出保持値として保持して後のステップの操作を行うことによって、当該ノイズ情報を利用し、検出結果への干渉を克服する。
【0042】
例えば、ステップS30において、タッチポイントの動的閾値の調整には、多様な態様が用いられる。例えば、平均値、中央値などを利用して当該動的閾値を調整できる。上述したように、検出保持値にはノイズ情報が付帯され、検出保持値を利用して動的閾値を調整することによって、調整後の動的閾値にも、相応的にノイズ情報が付帯される。調整後の動的閾値を、その後新たに収集した検出初期値との比較に用いる場合、当該ノイズ情報が相殺されることで、環境的要因によ誤報への影響を克服することができ、ノイズフロア、低周波ノイズおよびホワイトノイズに対しある程度の排除・改善作用を有することで、当該データ検出方法を用いたタッチ装置はある程度の環境適応力を有する。
【0043】
なお、本開示の実施例において、当該データ検出方法によってタッチポイントの動的閾値を調整できるが、各々のタッチポイントごとの動的閾値は、同一であってもよく異なってもよい。例えば、タッチ装置の各々タッチポイントごとに動的閾値を調整したり、タッチ装置の一部のタッチポイント(タッチスクリーンの中心領域に位置するタッチポイント)に対し動的閾値を調整したりして、実際の適用における稼働効率と正確度への総合的な要件を満たすことができる。各タッチポイントで環境から受ける影響の度合いが異なるため、このような態様は、各タッチポイントの相違を十分に考慮しており、当該データ検出方法を適用するタッチ装置の正確度を効果的に高め、誤報率を低下させる。例えば、当該データ検出方法は、タッチ装置の制御ユニットにアルゴリズムソフトウェアを追加する態様によって実現でき、タッチ装置のハードウェア構造とアクティブフロントエンドの設定を変更する必要がないため、通常の任意の種類のタッチ装置に適用可能である。
【0044】
なお、本開示の実施例において、ステップS10、S20、S30の実行順は、限定されず、実際の要求に応じて決定される。例えば、ステップS10、S20またはS30が複数のサブステップを含む場合、当該データ検出方法における各ステップおよびサブステップは、直列的に実行されても、並列的に実行されてもよく、且つ実行順は限定されない。当該データ検出方法は、必要に応じて実行され、例えばタッチ装置の起動(給電)時に実行されたり、起動後の所定期間に実行されたり、ほかの任意の時刻または一定の条件を満たした場合に実行されたりしても良いが、本開示の実施例ではこれについて限定しない。例えば、当該データ検出方法が周期的に実行される場合、その実行周期は、スキャン信号Txのスキャン周期よりも遥かに大きく、例えば数分、数十分または数時間であるため、タッチ検出に対しほぼ影響を与えない。例えば、当該データ検出方法を必要時に一回実行しても良く、動的閾値が環境の変化に追従してリアルタイムで調整されるように、複数回実行しても良い。
【0045】
図2は、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出方法の具体的なフローチャートである。
図2を参照すると、ステップS201とS202は、
図1に示すデータ検出方法のステップS20に対応し、ステップS301とS302は、
図1に示すデータ検出方法のステップS30に対応する。当該データ検出方法は、以下のステップを含む。
【0046】
ステップS201において、サンプル数を決定する。
【0047】
ステップS10において、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する。
【0048】
ステップS202において、検出初期値をタッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として、検出保持値の数がサンプル数に等しくなるまで保持して記憶する。
【0049】
ステップS301において、複数の検出保持値の平均値を計算する。
【0050】
ステップS302において、平均値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整する。
【0051】
例えば、上記の各ステップは、
図2に示す実行順のように直列的に実行することができるが、本開示の実施例は、これに限られない。
【0052】
まず、必要なサンプル数を決定する。ここで、「サンプル数」とは、検出保持値の数を指す。サンプル数は、タッチ装置の演算力、記憶空間およびほかの要素に基づいて決定できる。例えば、1つの例において、サンプル数は、タッチ装置の出荷前に決定されてもよい。タッチ装置の使用中において、当該データ検出方法が実行される際、サンプル数は、毎回一定に保持され、いずれも出荷前に決定された数値である。例えば、別の例において、サンプル数は、当回のデータ検出方法を実行する前に決定され、この時のタッチ装置のリソース消費状況に応じて決定することができるため、タッチ装置の稼働状況に応じて動的に調整することができ、当該タッチ装置のほかの機能及び性能に影響を与えない。例えば、サンプル数は、1つ、2つまたはそれ以上であって良い。例えば、サンプル数が複数である場合、検出保持値の数も複数である。
【0053】
次に、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する。例えば、検出初期値の数を、サンプル数より大きく、例えば10%または20%多くすることによって、後のステップS202において検出保持値の数がサンプル数に等しくなるようにしてもよい。もちろん、本開示の実施例は、これに限られず、検出初期値の数がサンプル数以下であってもよい。後のステップS202で得られた検出保持値の数がサンプル数より小さい場合、再びステップS10に戻って、引き続き検出初期値を収集する。当該ステップの詳細な記載は、
図1に示すデータ検出方法におけるステップS10に関連する記載を参照することができ、ここでは繰り返して記載しない。
【0054】
第3に、検出初期値をタッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として、検出保持値の数がサンプル数に等しくなるまで保持して記憶する。例えば、タッチ装置の記憶空間(例えばメモリ)を利用して複数の検出保持値を記憶することができる。当該記憶空間は、タッチ装置の起動時に割り当てられる固定の記憶空間であっても良く、且つ当該記憶空間は、検出保持値を記憶することのみに用いられ、ほかのデータの記憶には用いられない。もちろん、本開示の実施例は、これに限られない。当該記憶空間は、データ検出方法の実行時にサンプル数に応じてランダムに割り当てられる記憶空間であってもよく、データ検出方法の実行終了後にほかの機能やプログラムのためにリリースされる。例えば、マイクロプロセッサの外部記憶方式で記憶空間を提供したり、別途設けられたメモリによって記憶空間を提供し、通信プロトコルに基づくデータ転送方式でデータの書き込みや読み取りを行ったりできる。例えば、記憶される検出保持値の数は、サンプル数に等しいが、検出初期値の数は、サンプル数より大きくなる可能性がある。例えば、一部の検出初期値は、要件を満たしていることから検出保持値として記憶されるが、別部分の検出初期値は、要件を満たしていないため、別途設けられた制御ユニットに提供されて、タッチの存在の有無およびタッチの位置座標を判断する。
【0055】
第4に、複数の検出保持値の平均値を計算する。例えば、平均値は、算術平均値、幾何平均値、調和平均値またはそれ以外の適用可能な平均値などであって良く、本開示の実施例において限定されない。例えば、検出保持値の数がN(サンプル数:N)であり、
【数1】
が複数の検出保持値を示す場合、検出保持値の算術平均値
【数2】
は、次のように示される。
【数3】
【0056】
同様に、検出保持値の幾何平均値
【数4】
は、次のように示される。
【数5】
【0057】
検出保持値の調和平均値
【数6】
は、次のように示される。
【数7】
【0058】
最後に、平均値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整する。例えば、算出した平均値と補正値との和を調整後のタッチポイントの動的閾値とする。すなわち、調整後の動的閾値は、
【数8】
、
【数9】
または
【数10】
などで示される。ここで、Mは、調整後の動的閾値を示し、ΔAは、補正値を示す。例えば、補正値は、経験値および平均値の計算時に得られた分散、標準偏差または平均差などのパラメータに基づいて決定できる。例えば、経験値は、タッチ装置の特性(インピーダンス特性、相互容量特性、自己容量特性、電磁誘導特性など)及び測定値に基づいて決定できる。もちろん、本開示の実施例は、これに限られず、補正値を省略し、直接、算出した平均値を調整後のタッチポイントの動的閾値としてもよい。本開示の実施例において、調整後の動的閾値を、その後新たに収集したタッチポイントに対応する検出保持値との比較に用いることによって、動的閾値をリアルタイムに調整することを実現でき、これにより環境的要因による誤報への影響を克服することができる。
【0059】
図3は、本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出方法の具体的なフローチャートである。
図3を参照すると、ステップS303とS304を除き、当該データ検出方法は、
図2に示すデータ検出方法とほぼ同一である。ステップS303とS304は、
図1に示すデータ検出方法のステップS30に対応する。ステップS201、S10およびS202に加えて、当該データ検出方法は、ステップS303~S304をさらに含む。
【0060】
ステップS303において、複数の検出保持値の中央値を計算する。
【0061】
ステップS304において、中央値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整する。
【0062】
例えば、ステップS303において、複数の検出保持値を、数値の大きさに基づいて順に排列して1つの数値グループにし、数値グループの中間位置に位置する検出保持値を中央値としてもよい。例えば、複数の検出保持値の数が偶数である場合、数値グループの中間位置に位置する2つの検出保持値の平均値を中央値としてもよい。例えば、当該中央値は、正規分布、ポアソン分布または二項分布などの中央値であってよく、本開示の実施例では限定しない。
【0063】
例えば、ステップS304において、中央値と補正値との和を調整後のタッチポイントの動的閾値としてもよい。例えば、補正値は、経験値および当該数値グループの分散、標準偏差または平均差などのパラメータに基づいて決定できる。例えば、経験値は、タッチ装置の特性(インピーダンス特性、相互容量特性、自己容量特性、電磁誘導特性など)及び測定値に基づいて決定できる。もちろん、本開示の実施例は、これに限られず、補正値を省略し、直接、算出した中央値を調整後のタッチポイントの動的閾値としてもよい。本開示の実施例において、調整後の動的閾値を、その後新たに収集したタッチポイントに対応する検出保持値との比較に用いることによって、動的閾値をリアルタイムに調整することを実現でき、これにより環境的要因による誤報への影響を克服することができる。
【0064】
図4は、本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出方法の具体的なフローチャートである。
図4を参照すると、ステップS305、S306およびS307は、
図1に示すデータ検出方法のステップS30に対応する。当該データ検出方法は、以下のステップを含む。
【0065】
ステップS305において、所定の演算回数を決定する。
【0066】
ステップS10において、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する。
【0067】
ステップS20において、検出初期値をタッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持する。
【0068】
ステップS306において、初回を除き、毎回検出される検出保持値に基づいて、前の回で算出した平均値と当該回で検出した検出保持値との平均値を、計算した検出保持値の数が所定の演算回数に等しくなるまで計算する。
【0069】
ステップS307において、計算終了後に得られた平均値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整する。
【0070】
例えば、ステップS305において、「所定の演算回数」とは、後のステップS306において計算に関与する検出保持値の数を指す。所定の演算回数は、タッチ装置の演算力またはほかの要素に基づいて決定できる。例えば、1つの例において、所定の演算回数は、タッチ装置の出荷前に決定されても良い。タッチ装置の使用中において、当該データ検出方法が実行される際、所定の演算回数は、毎回一定に保持され、いずれも出荷前に決定された数値である。例えば、別の例において、所定の演算回数は、当回のデータ検出方法を実行する前に決定され、この時のタッチ装置のリソース消費状況に応じて決定できるため、タッチ装置の稼働状況に応じて動的に調整することができ、当該タッチ装置のほかの機能及び性能に影響を与えない。
【0071】
ステップS10とステップS20は、
図1に記載のデータ検出方法のステップS10及びステップS20とほぼ同一であるため、ここでは繰り返して記載しない。なお、当該実施例において、ステップS10において、1つの検出初期値を収集してから後のステップS20および/またはS306の操作を行い、それから状況を見てステップS10に戻って引き続き次の検出初期値を収集し、以降同様になされる。当該実施例においては、ステップS20において、検出保持値は記憶されず、毎回得られる検出保持値は、直接、後のステップS306の計算に関与する。
【0072】
例えば、ステップS306において、平均値は、算術平均値、幾何平均値、調和平均値またはほかの適用可能な平均値などであって良く、本開示の実施例では限定しない。平均値が算術平均値である場合、初回を除き、毎回検出される検出保持値に基づいて、前の回に算出した平均値と今回検出された検出保持値の平均値を計算する。計算式は、次のように示される。
【数11】
【0073】
ここで、
【数12】
は、当回で算出された算術平均値を示し、
【数13】
は、前の回で算出された算術平均値を示し、
【数14】
は、当回で検出された検出保持値を示し、iは、これまでに計算した検出保持値の数を示す。例えば、初回で検出保持値
【数15】
を得た後は計算を行わず、引き続き次の回の検出を行う。2回目で検出保持値
【数16】
を得た後に、上記式で平均値を計算し、且つこの時、
【数17】
は初回で得た検出保持値
【数18】
に等しい。以降、検出保持値
【数19】
を得るたびに、上記式で平均値を計算し、
【数20】
は、前の回で算出した算術平均値である。iが所定の演算回数より小さい場合、毎回計算後にステップS10に戻って引き続き検出初期値を収集し、ステップS20において検出保持値を判断し、それから、上記式に基づいて引き続き計算を行う。複数回の計算を行い、iが所定の演算回数に等しくなると、計算が終了する。
【0074】
同様に、平均値が幾何平均値である場合、計算式は、次のように示される。
【数21】
【0075】
ここで、
【数22】
は、当回で算出された幾何平均値を示し、
【数23】
は、前の回で算出された幾何平均値を示し、
【数24】
は、当回で検出された検出保持値を示し、iは、これまでに計算した検出保持値の数を示す。複数回の計算を行い、iが所定の演算回数に等しくなると、計算が終了する。
【0076】
平均値が調和平均値である場合、計算式は、次のように示される。
【数25】
【0077】
ここで、
【数26】
は、当回で算出された調和平均値を示し、
【数27】
は、前の回で算出された調和平均値を示し、
【数28】
は、当回で検出された検出保持値を示し、iは、これまでに計算した検出保持値の数を示す。複数回の計算を行い、iが所定の演算回数に等しくなると、計算が終了する。
【0078】
例えば、ステップS307において、計算終了後に得られた平均値と補正値との和を調整後のタッチポイントの動的閾値とすることができる。例えば、補正値は、経験値および平均値の計算時に得られた分散、標準偏差または平均差などのパラメータに基づいて決定できる。例えば、経験値は、タッチ装置の特性(インピーダンス特性、相互容量特性、自己容量特性、電磁誘導特性など)及び測定値に基づいて決定できる。もちろん、本開示の実施例は、これに限られず、補正値を省略し、直接、計算終了後に得られた平均値を調整後のタッチポイントの動的閾値としてもよい。本開示の実施例において、調整後の動的閾値を、その後新たに収集したタッチポイントに対応する検出保持値との比較に用いることによって、動的閾値をリアルタイムに調整することを実現でき、これにより環境的要因による誤報への影響を克服することができる。
【0079】
なお、当該実施例において、検出保持値は、直接、平均値の計算に関与するが、計算終了後に記憶されないため、記憶空間を有効に節約することができる。例えば、タッチ装置のタッチスクリーンの中のタッチポイントの数が膨大であり、各々のタッチポイントごとに対応する検出保持値の数も多いため、検出保持値をすべて記憶してから計算すると、とても大きな記憶空間が必要となり、タッチ装置の記憶空間に対する要求が高くなる。本実施例では、タッチ装置の記憶空間に対する要求が低いため、当該データ検出方法は、通常のタッチ装置に適用可能である。
【0080】
図5は、本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出方法の概略的なフローチャートである。
図5を参照すると、ステップS10、S20およびS30に加えてステップS41とS42をさらに含むことを除き、当該データ検出方法は、
図1に記載のデータ検出方法とほぼ同一である。
【0081】
例えば、1つの例において、ステップS10の実行前に、タッチポイントの動的閾値を初期閾値に設定するステップS41を実行する。例えば、当該初期閾値は、当該データ検出方法を適用するタッチ装置の出荷前に設定される1つの固定値であってよい。当該固定値は、例えばタッチ装置の特性およびテスト結果に基づいて決定できる。動的閾値を初期閾値に設定してから後のステップを実行することによって、現在の環境が前回の当該データ検出方法の実行時の環境と相違が大きい場合に、前回の当該データ検出方法の実行によって調整された動的閾値による今回の検出結果への影響を避けることができ、計算結果にミスが出ることを避けることができる。
【0082】
例えば、別の例において、ステップS30の実行後に、新たに収集したタッチポイントに対応する検出初期値を調整後の動的閾値と比較し、比較結果に基づいてタッチ検出を行うステップS42を実行する。例えば、調整後の動的閾値には、相応的にノイズ情報が付帯されている。新に収集した(動的閾値調整後に収集した)検出初期値を調整後の動的閾値と比較する場合、検出初期値に含まれるノイズ情報が相殺されることで、比較結果がより正確なものとなり、ノイズに影響されない。例えば、新たに収集した検出初期値と調整後の動的閾値との差が一定の範囲を超える場合、当該検出初期値に対応するタッチポイントにおいてタッチが存在することを示し、従って、当該タッチポイントの位置座標からタッチの位置座標を得ることができ、即ち、タッチ検出が実現されることになる。
【0083】
なお、本開示の実施例において、データ検出方法は、より多くのステップをさらに含んでもよい。これらのステップは、順に実行されたり、並行に実行されたりする。以上記載したデータ検出方法には、特定の順番で出現する複数のステップを含むが、複数のステップの順番が限定されないことは、明白である。
【0084】
本開示の少なくとも1つの実施例において、データ検出装置をさらに提供する。当該データ検出方法は、タッチポイントの動的閾値を調整し、環境的要因による誤報への影響を克服することができ、ノイズフロア、低周波ノイズおよびホワイトノイズに対しある程度の排除・改善作用を有し、ある程度の環境適応力を有する。
【0085】
図6は、本開示の一実施例によって提供されるデータ検出装置の概略的なブロック図である。
図6を参照すると、データ検出装置100は、収集ユニット110と、比較ユニット120と、調整ユニット130とを含むことができる。収集ユニット110は、同一のタッチポイント(例えば複数のタッチポイントのうちの1つ)に対応する複数の検出初期値を収集するように構成される。比較ユニット120は、複数の検出初期値を受信し、検出初期値をタッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持するように構成される。調整ユニット130は、比較ユニット120に連結され、検出保持値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整するように構成される。例えば、要件を満たした検出保持値が複数ある可能性がある。この場合、比較ユニット120は、複数の検出保持値を調整ユニット130に提供する。
【0086】
図6に示すように、収集ユニット110が比較ユニット120に連結されているため、比較ユニット120は、収集ユニット110から提供される検出初期値を受信できる。比較ユニット120が調整ユニット130に連結されているため、調整ユニット130は、比較ユニット120から提供される検出保持値を受信でき、検出保持値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整することができる。
【0087】
例えば、比較ユニット120は、サンプル数を決定し、検出初期値をタッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として、検出保持値の数がサンプル数に等しくなるまで保持して記憶するように構成される。これにより、比較ユニット120は、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持することができる。
【0088】
一部の例において、調整ユニット130は、複数の検出保持値の平均値を計算し、平均値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整するように構成される。よって、調整ユニット130は、複数の検出保持値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整することができる。例えば、調整ユニット130は、平均値と補正値との和を調整後のタッチポイントの動的閾値とするように構成され、これにより、調整ユニット130は、平均値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整することができる。例えば、この例において、平均値は、算術平均値、幾何平均値または調和平均値を含む。
【0089】
一部の例において、調整ユニット130は、以下の方法によって、複数の検出保持値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整するように構成される。当該方法は、所定の演算回数を決定することと、初回を除き、毎回検出される検出保持値に基づいて、前の回で算出した平均値と毎回検出される検出保持値との平均値を、計算した検出保持値の数が所定の演算回数に等しくなるまで計算することと、計算終了後に得られた平均値に基づいて、タッチポイントの動的閾値を調整することとを含む。例えば、調整ユニット130は、計算終了後に得られた平均値と補正値との和を調整後のタッチポイントの動的閾値とすることで、計算終了後に得られた平均値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整するように構成される。例えば、この例において、平均値は、算術平均値、幾何平均値または調和平均値を含む。
【0090】
一部の例において、調整ユニット130は、以下の方法によって、複数の検出保持値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整するように構成される。当該方法は、複数の検出保持値の中央値を計算することと、中央値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整することとを含む。例えば、調整ユニット130は、中央値と補正値との和を調整後のタッチポイントの動的閾値とすることで、中央値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整するように構成される。例えば、補正値は、経験値、分散、標準偏差または平均差に基づいて決定される。
【0091】
例えば、データ検出装置は、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する前に、タッチポイントの動的閾値を初期閾値に設定するように構成される初期閾値決定ユニットをさらに含むことができる。例えば、タッチポイントの動的閾値が比較ユニットに記憶され、初期閾値決定ユニットが比較ユニットに連結されることによって、比較ユニットに記憶されているタッチポイントの動的閾値を初期閾値に設定する。
【0092】
例えば、調整ユニットによってタッチポイントの動的閾値を調整した後に、比較ユニットは、新たに収集したタッチポイントに対応する検出初期値を調整後の動的閾値と比較し、比較結果に基づいてタッチ検出を行うように構成される。
【0093】
例えば、データ検出装置100は、タッチ機能付きのあらゆる電子機器に適用可能である。電子機器は、例えばスマートフォン、タブレットパソコン、デジタルカメラ、ナビゲータなどであっても良い。例えば、データ検出装置100は、独立した電子機器でってもよい。
【0094】
例えば、収集ユニット110、比較ユニット120、調整ユニット130および初期閾値決定ユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアおよびそれらの任意の可能な組み合わせであっても良い。例えば、収集ユニット110、比較ユニット120、調整ユニット130および初期閾値決定ユニットは、専用または汎用の回路、チップまたは装置であり、プロセッサとメモリの連結であってもよい。収集ユニット110、比較ユニット120、調整ユニット130の具体的な実現形態については、本開示の実施例では限定しない。
【0095】
なお、本開示の実施例において、データ検出装置100の各ユニットが前記のデータ検出方法の各ステップに対応するため、データ検出装置100の具体的な機能については、データ検出方法の関連記載を参照でき、ここでは繰り返して記載しない。
図6に示すデータ検出装置100の構成および構造は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。必要に応じて、当該データ検出装置100は、さらにほかの構成および構造を含んでもよい。
【0096】
図7は、本開示の一実施例によって提供される別のデータ検出装置の概略的なブロック図である。
図7を参照すると、データ検出装置100は、メモリ140とプロセッサ150を含むことができる。メモリ140は、非一時的コンピュータ可読指令(例えば1つまたは複数のコンピュータプログラム)を記憶するためのものである。プロセッサ150は、非一時的コンピュータ可読指令を実行するためのものであり、非一時的コンピュータ可読指令がプロセッサ150によって実行される際、上記したデータ検出方法における1つまたは複数のステップを実行できる。メモリ140とプロセッサ150は、バスシステムおよび/またはほかの形態の接続機構(図示せず)によって互いに接続されても良い。
【0097】
例えば、プロセッサ150は、中央処理ユニット(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのデータ処理能力および/またはプログラム実行能力を有するほかの形態の処理ユニットであってよい。例えば、中央処理ユニット(CPU)は、X86またはARMアーキテクチャであってよい。プロセッサ150は、汎用プロセッサまたは専用プロセッサであってもよく、データ検出装置100におけるほかの構成を制御することで所定の機能を実行してもよい。
【0098】
例えば、メモリ140は、1つまたは複数のコンピュータプログラムプロダクトの任意の組み合わせを含むことができる。コンピュータプログラムプロダクトは、揮発性メモリおよび/または非揮発性メモリなどの各種類の形態のコンピュータ可読な記憶媒体を含むことができる。揮発性メモリは、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)および/またはキャッシュ(cache)などを含むことができる。非揮発性メモリは、例えばリードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスク、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、USBメモリ、フラッシュメモリなどを含む。コンピュータ可読な記憶媒体には、1つまたは複数のコンピュータプログラムを記憶することができる。プロセッサ150は、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行してデータ検出装置100の各種機能を実現可能である。コンピュータ可読な記憶媒体には、各種アプリケーションプログラム、各種データ、および、アプリケーションプログラムによって使用および/または生成される各種データなども記憶することができる。
【0099】
なお、本開示の実施例において、データ検出装置100の具体的な機能については、データ検出方法の関連記載を参照でき、ここでは繰り返して記載しない。
【0100】
本開示の少なくとも1つの実施例において、非一時的コンピュータ可読指令を記憶するための記憶媒体をさらに提供する。前記非一時的コンピュータ可読指令がコンピュータによって実行される際、本開示のいずれかの実施例に記載のデータ検出方法を実現する指令を実行できる。当該記憶媒体を利用して当該データ検出方法を実行でき、タッチポイントについて動的閾値を調整でき、環境的要因による誤報への影響を克服することができ、ノイズフロア、低周波ノイズおよびホワイトノイズに対しある程度の排除・改善作用を有し、ある程度の環境適応力を有する。
【0101】
図8は、本開示の一実施例によって提供される記憶媒体の概略図である。
図8を参照すると、記憶媒体200は、非一時的コンピュータ可読指令210を記憶する。例えば、非一時的コンピュータ可読指令210がコンピュータによって実行される際、上記したデータ検出方法における1つまたは複数のステップを実行できる。
【0102】
例えば、当該記憶媒体200は、上記データ検出装置100に適用可能である。例えば、記憶媒体200は、
図7に示すデータ検出装置100におけるメモリ140であっても良い。
【0103】
例えば、記憶媒体200の関連説明は、
図7に示すデータ検出装置100におけるメモリ140の関連記載を参照でき、ここでは繰り返して記載しない。
【0104】
本開示の少なくとも1つの実施例において、本開示のいずれかの実施例に記載のデータ検出装置を含むタッチ装置をさらに提供する。当該タッチ装置は、タッチポイントに対して動的閾値を調整でき、環境的要因による誤報への影響を克服することができ、ノイズフロア、低周波ノイズおよびホワイトノイズに対しある程度の排除・改善作用を有し、ある程度の環境適応力を有する。
【0105】
図9は、本開示の一実施例によって提供されるタッチ装置の概略的なブロック図である。
図9を参照すると、タッチ装置300は、データ検出装置100とタッチスクリーン310を含む。例えば、データ検出装置100は、本開示のいずれかの実施例に記載のデータ検出装置である。タッチスクリーン310は、複数のタッチポイントを含み且つデータ検出装置100に連結される。データ検出装置100は、各々のタッチポイントごとに動的閾値を調整する。なお、タッチポイントとデータ検出装置100との連結は、信号またはエネルギーがタッチポイントとデータ検出装置100との間でやり取りできることを指す。例えば、タッチポイントで生成された電気信号(例えばタッチセンサ信号)は、タッチポイントからデータ検出装置100に転送できる。例えば、タッチポイントは、物理的接続(例えば接続導線)を介してデータ検出装置100に連結され、接続導線の両端は、例えば、タッチポイントとデータ検出装置100にそれぞれ直接電気的に接続されてもよい。また、例えば、タッチポイントは、データ検出装置100と非物理的接続(例えば電磁波)やほかの適用可能な方式で連結されてもよい。例えば、電磁波は、無線電波(例えばブルートゥース(登録商標)、WIFI)、マイクロ波、赤外線、可視光または紫外線であって良い。例えば、本開示の実施例におけるほかの例に使用される「連結」という用語も、類似した定義を有するため、繰り返して記載しない。
【0106】
タッチ装置300は、電子ブック、タブレットパソコン、ノートパソコン、ゲーム機、ディスプレイ、デジタルフォトフレーム、ナビゲータなどのタッチ機能付きのあらゆる製品や部材であっても良く、本開示の実施例では限定しない。
【0107】
図10は、本開示の一実施例によって提供される別のタッチ装置の概略的なブロック図である。
図10を参照すると、当該タッチ装置300は、タッチパネル001と、タッチスキャン電極004と、タッチセンシング電極005と、タッチドライバ003と、タッチシフトレジスタ回路006と、データ検出装置100とを含む。
【0108】
タッチスキャン電極004とタッチセンシング電極005は、互いに絶縁され、且つタッチパネル001のタッチ有効領域002(例えばタッチパネル001のタッチ操作センシング用の領域)に設けられている。例えば、タッチセンシング電極005は、複数の第1電極部分0051と複数の第2電極部分0052を含み、タッチスキャン電極004は、連続的に延びる。第1電極部分0051とタッチスキャン電極004とは、同一層に位置する。第2電極部分0052は、異なる層に位置し、ビアにより、隣接する第1電極部分0051を接続するブリッジ部分を構成する。これにより、タッチセンシング電極005は、それと交差するタッチスキャン電極004を乗り越える。例えば、タッチスキャン電極004とタッチセンシング電極005の交差部分は、タッチポイント007であり、前記のデータ検出方法は、各々のタッチポイント007の動的閾値を調整したり、一部のタッチポイント007の動的閾値を調整したりすることができる。
【0109】
タッチシフトレジスタ回路006は、複数のカスケード接続されたサブ回路(シフトレジスタユニット)SRn(n≧1)を含む。当該複数のサブ回路SRnは、複数の互いに平行に設けられたタッチスキャン電極004に一対一に対応し且つそれぞれ電気的に接続されることによって、作動中に複数のタッチスキャン電極004に順にスキャン信号TXn(n≧1)を提供し、例えば、一行ずつスキャンすることによりスキャン信号TXnを提供する。
【0110】
タッチドライバ003は、例えばフレキシブルプリント回路基板などの方式によりタッチシフトレジスタ回路006とタッチセンシング電極005に電気的に接続されてよい。タッチドライバ003は、タッチパネル001を制御してタッチ検出を行い、例えば、タッチシフトレジスタ回路006にシフトトリガ信号SR_INを提供し、タッチセンシング電極005の複数のセンシング信号RXm(m≧1)を収集する。タッチドライバ003は、センシング信号RXmに基づいてタッチ有効領域002内におけるタッチ位置の座標を判断するための処理回路をさらに含んでもよい。
【0111】
データ検出装置100は、本開示のいずれかの実施例に記載のデータ検出装置であり、タッチポイント007の動的閾値を調整する。例えば、データ検出装置100は、タッチドライバ003に電気的に接続され、タッチドライバ003によって複数のセンシング信号RXmを受信し、調整後の動的閾値をタッチドライバ003に提供する。例えば、データ検出装置100は、タッチドライバ003から独立した構成であってもよく、タッチドライバ003と一体的に集積されてもよいが、本開示の実施例においては限定しない。データ検出装置100の詳細な説明は、前記した内容を参照でき、ここでは繰り返して記載しない。
【0112】
本開示の少なくとも1つの実施例において、閾値設定方法をさらに提供する。当該閾値設定方法によれば、タッチポイントに対して動的閾値を調整でき、環境的要因による誤報への影響を克服することができ、ノイズフロア、低周波ノイズおよびホワイトノイズに対しある程度の排除・改善作用を有し、ある程度の環境適応力を有する。
【0113】
図11は、本開示の一実施例によって提供される閾値設定方法の概略的なフローチャートである。
図11を参照すると、当該閾値設定方法は、以下のステップを含む。
【0114】
ステップS50において、同一のタッチポイントに対応する複数の検出初期値を収集する。
【0115】
ステップS60において、検出初期値をタッチポイントの動的閾値と比較し、要件を満たした検出初期値を検出保持値として保持する。
【0116】
ステップS70において、複数の検出保持値に基づいてタッチポイントの動的閾値を調整し、このうち、調整後の動的閾値は、その後新に収集したタッチポイントに対応する検出初期値との比較に用いられる。
【0117】
当該閾値設定方法の詳細な説明は、前記のデータ検出方法の関連実施例の記載を参照でき、ここでは繰り返して記載しない。
【0118】
以下の事項を説明する必要がある。
(1)本開示の実施例の図面は、本開示の実施例に係る構造のみに係り、ほかの構造については、通常の設計を参照できる。
(2)矛盾しない限り、本開示の実施例および実施例における技術的構成を互いに組み合わせて新しい実施例を得ることができる。
【0119】
上記に述べたものは、本開示の具体的な実施形態に過ぎず、本開示の保護範囲は、これらに限られない。本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲を基準とするべきである。