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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】空調装置の設置構造
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/16 20210101AFI20230214BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
F24F3/16
F24F5/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019061593
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159650
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】江津 勇佑
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-137056(JP,A)
【文献】特開2005-114274(JP,A)
【文献】特開2014-064645(JP,A)
【文献】特開2015-175537(JP,A)
【文献】特表2013-519811(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0173834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/16
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋内に設けられ、開閉扉を介して屋内側の空間と連通されると共に、前記開閉扉の下端と床面との間に隙間が設けられた収納室と、
前記収納室の内部に配置され、空調空気を生成すると共に、屋内の空気を内部に取り入れる吸込口と前記空調空気が送風される吹出口を有する空調装置と、
前記開閉扉と前記床面との間に設けられた前記隙間に配設されると共に、前記収納室の内部に前記屋内側の空間の空気を取り入れる給気口と、
前記給気口に配置され、前記空調装置と分離して設けられると共に前記給気口を通過する埃を集塵可能な集塵フィルタを含む集塵部と、を備え、
前記集塵部は、前記給気口から前記空調装置の吸込口に向かって延びる筒状に形成され、軸方向の一端が前記給気口に接続されると共に軸方向の他端が前記集塵フィルタに接続されることで前記給気口から前記集塵フィルタへと向かう空気の流路を形成する筒状部材を有し、
前記筒状部材は、前記一端側から前記他端側に向かって平面視で先細りした導入部を含んで構成されている、空調装置の設置構造。
【請求項2】
前記集塵フィルタは、前記収納室の内部に配置されると共に前記給気口側に開口された筐体状に形成されている、
請求項1に記載の空調装置の設置構造。
【請求項3】
前記集塵フィルタは、前記給気口側から前記収納室の奥側へ向かって平面視で先細りした筐体状に形成されている、
請求項2に記載の空調装置の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物内の収納室(空調装置収納室)に空調装置が設置された構造が開示されている。当該文献に記載された空調装置では、空調エリア(居室)の空気が吸込口(吸込部)から取り入れられ、内部で生成された空調空気が吹出口(吹出部)から送風されている。また、空調エリアの空気は、天井部に設けられた給気口(排気口)から収納室と連通された天井裏空間を通って、空調装置の吸込口に取り入れられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-213665号公報
【0004】
しかしながら、上記先行技術では、給気口が空調エリアの天井部に設けられているため、空調装置に取り入れられる空気は、主として天井部に近い空間のものとなる。従って、床部に載積された埃を集塵することができず、床部に埃が溜まりやすくなる。よって、上記先行技術は、この点において改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、建物の床部に溜まった埃を集塵可能とする空調装置の設置構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る空調装置の設置構造は、建物の屋内に設けられ、開閉扉を介して屋内側の空間と連通されると共に、前記開閉扉の下端と床面との間に隙間が設けられた収納室と、前記収納室の内部に配置され、空調空気を生成すると共に、屋内の空気を内部に取り入れる吸込口と前記空調空気が送風される吹出口を有する空調装置と、前記開閉扉と前記床面との間に設けられた前記隙間に配設されると共に、前記収納室の内部に前記屋内側の空間の空気を取り入れる給気口と、前記給気口に配置され、前記給気口を通過する埃を集塵可能な集塵フィルタを含む集塵部と、を備えている。
【0007】
第1の態様に係る空調装置の設置構造では、給気口が収納室の開閉扉と床面との隙間に設けられているため、床部に近い空間の空気を取り入れることができ、床部に載積する大きな埃を空気と一緒に給気口から取り入れることができる。更に、給気口には集塵部が配置されているため、給気口から収納室の内部に侵入した埃を集塵フィルタによって集めることができる。
【0008】
第2の態様に係る空調装置の設置構造は、第1の態様に記載の構成において、前記集塵フィルタは、前記収納室の内部に配置されると共に前記給気口側に開口された筐体状に形成されている。
【0009】
第2の態様に係る空調装置の設置構造では、集塵フィルタが筐体状に形成されているため、例えば板状のフィルタを設ける場合と比べて集塵フィルタに奥行が生じる。これにより、集塵フィルタの容積が増し、より多くの埃を内部に集めることができる。
【0010】
第3の態様に係る空調装置の設置構造は、第2の態様に記載の構成において、前記集塵フィルタは、前記給気口側から前記収納室の奥側へ向かって平面視で先細りした筐体状に形成されている。
【0011】
第3の態様に係る空調装置の設置構造では、集塵フィルタの形状が、給気口側から収納室の奥側へ向かって平面視で先細りした筐体状に形成されている。このため、集塵フィルタの内部に集められた埃が、先細りした奥側部分に集められる。これにより、メンテナンス時に集塵フィルタ内の埃を取り出しやすい。
【0012】
第4の態様に係る空調装置の設置構造は、第1の態様~第3の態様の何れか1態様に記載の構成において、前記集塵部は、筒状に形成されて軸方向の一端が前記給気口に接続されると共に、軸方向の他端が前記収納室の内部に配置された前記集塵フィルタに接続されている筒状部材を含む構成とされている。
【0013】
第4の態様に係る空調装置の設置構造では、給気口と集塵フィルタの間に筒状の筒状部材が配置された構成となっている。つまり、集塵フィルタが給気口から奥まった位置に配置されるため、収納室の外側から給気口を通して見えにくい位置に埃が集められる。その結果、例えば、給気口に直接集塵フィルタを接続する構成に比べて、収納室の外側から埃が視認され難く、清潔感のある外観を維持することができる。
【0014】
第5の態様に係る空調装置の設置構造は、第4の態様に記載の構成において、前記筒状部材は、前記一端側から前記他端側に向かって平面視で先細りした導入部を含んで構成されている。
【0015】
第5の態様に係る空調装置の設置構造では、筒状部材が、給気口に接続された一端側から集塵フィルタに接続された他端側に向かって平面視で先細りした導入部を含んで構成されている。このため、当該導入部により、給気口を通過した屋内の空気の流れが集塵フィルタへ向かって整流される。これにより、埃が効率的に集塵フィルタに集められる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、第1の態様に係る空調装置の設置構造によれば、建物の床部に溜まった埃を集塵することができるという優れた効果を有する。
【0017】
第2の態様に係る空調装置の設置構造によれば、より多くの埃を集塵フィルタで集めることができるため、清掃頻度を少なくすることができ、メンテナンス性を向上させることができる優れた効果を有する。
【0018】
第3の態様に係る空調装置の設置構造によれば、集塵フィルタの内部に集められた埃を容易に取り出すことができるため、メンテナンス性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0019】
第4の態様に係る空調装置の設置構造によれば、集塵部に集められた埃が収納室の外側から視認され難く、清潔感のある外観を維持することができるという優れた効果を有する。
【0020】
第5の態様に係る空調装置の設置構造によれば、埃を効率的に集塵フィルタに集めることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る空調装置の設置構造が適用された建物を概略的に示す概略側面図である。
図2図1に示される収納室を拡大して示す拡大側面図である。
図3図1に示す収納室であって、開閉扉が閉鎖された状態を示す外観斜視図である。
図4図1に示す集塵部の分解図である。
図5図1に示す集塵部の平面図である。
図6】第2実施形態に係る空調装置の設置構造に適用された集塵部を示す図3に対応する分解図である。
図7】第2実施形態に係る集塵部を示す側面図である。
図8】第3実施形態に係る空調装置の設置構造が適用された収納室であって、開閉扉の図示を省略して示す図2に対応する外観斜視図である。
図9図8に示す集塵部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、図1図5を用いて、第1実施形態に係る空調装置30が設置された収納室16について説明する。図1には、当該収納室16が適用された建物10の部分側面図が示されている。また、図2には、収納室16の内部を拡大して示す部分拡大側面図が示されている。また、図3には、建物10の廊下14から収納室16を見た斜視図である。なお、図2及び図3では、収納室16の幅方向を矢印Wで示し、収納室16の奥行方向を矢印Dで示している。
【0023】
(全体構成)
これらの図に示されるように、建物10は複数階建てとされており、本実施形態の空調装置30は、建物10の一階部分10Aに設けられた収納室16の内部に配置されている。建物10の一階部分10Aは、居室12と、廊下14と、収納室16を含んだ間取りとされている。建物10の一階部分10Aでは、居室12と廊下14が間仕切壁18で区画されており、間仕切壁18に形成された図示しない開口部に扉が取り付けられている。そして、居住者は、この扉を開閉操作することにより居室12と廊下14との間を行き来できる構成となっている。
【0024】
また、廊下14と収納室16の間は間仕切壁20で区画されている。間仕切壁20には、略矩形状のドア開口部22が形成されており、このドア開口部22によって廊下14と収納室16が相互に連通されている。また、ドア開口部22には、開閉可能な両開きの開閉扉24が取り付けられている。開閉扉24は、建物上下方向の寸法がドア開口部22における建物高さ方向の寸法よりも短くなるように設定されている。このため、開閉扉24の下端と床26との間には隙間(ドアアンダーカットとも称される。)が設けられており、開閉扉24を閉じた状態では、ドア開口部22の下端に正面視で略矩形状をなす給気口28が形成される構成となっている。この給気口28には、後述する集塵部42が設けられている。なお、本実施形態では、廊下14が、本発明における「建物の屋内側の空間」に相当する。
【0025】
収納室16は、間仕切壁20に沿って形成された矩形筐状の小部屋とされており、内部には空調装置30が配置されている。空調装置30は、建物10に適用された全館空調システムの一部を構成している。全館空調システムとは、空調装置30によって生成された空調空気を、床下空間11に配置されたダクトやチャンバ等の通気部材を介して、各居室空間へ供給するシステムである。
【0026】
図1及び図2に示されるように、空調装置30の外形は略矩形箱状に形成されており、開閉扉24と対向する側面部に吸込口32が設けられている。この吸込口32にはフィルタ(不図示)が着脱可能に装着されており、吸込口32を通過する空気に含まれる埃を集塵可能とされている。
【0027】
また、本実施形態では、空調装置30の下面に空調空気が送風(供給)される吹出口34が設けられている。この吹出口34には、建物上下方向下方側に延びる接続ダクト36の一端が接続されている。接続ダクト36の他端は、一階部分10Aの床下空間11に配置された分岐チャンバ38に接続されている。更に、分岐チャンバ38には、各居室(居室12及び廊下14等)に連通する複数の供給ダクト40が接続されている。
【0028】
空調装置30の内部には、熱交換ユニット30A、及びファンが設けられた送風ユニット(不図示)が一体に設けられている。熱交換ユニット30Aは、建物10の屋外に配置された室外機(不図示)と冷媒配管(不図示)により接続されている。そして、この冷媒配管を介して空調装置30との間で冷媒が循環される。
【0029】
上記構成によれば、空調装置30内に配置された送風ユニット(不図示)のファンが作動されることにより、廊下14内の空気が収納室16の給気口28を通過して空調装置30の吸込口32から吸い込まれる(図2の矢印R参照)。次いで、空調装置30の熱交換ユニット30Aにおいて、吸込口32から取り入れられた空気と冷媒との間で熱交換が行われ、空調空気(暖気又は冷気)が生成される。その後、空調空気は、空調装置30の吹出口34から接続ダクト36内に供給され、分岐チャンバ38、供給ダクト40を介して建物10内の各居室に供給される構成となっている。
【0030】
(本発明の要部)
【0031】
図3図5に示されるように、収納室16の開閉扉の下方側に設けられた給気口28には、集塵部42が設けられている。この集塵部42は、給気口28に固定された筒状部材44と、筒状部材44に装着された集塵フィルタ50とを含んで構成されている。筒状部材44は、収納室16の奥行方向(図2及び図3の矢印D方向)を軸方向として配置され、軸方向の一端が給気口28の周縁部に固定されている。また、収納室16の内部に配置された筒状部材44の軸方向の他端には、後述する集塵フィルタ50が装着されている。
【0032】
筒状部材44は、給気口28側の一端が、角筒状に形成された固定部46とされている。この固定部46の幅方向(図3の矢印W方向参照)の両側面部46Aは、給気口28の左右両端を構成するドア開口部22の下部かつ幅方向の両側面部に沿って配置される構成となっている。このようにして、給気口28に対する筒状部材44の位置決めが固定部46を介して行われる。また、当該固定部46の両側面部46Aは、ビス等の固定具によってドア開口部22の下部かつ幅方向の両側面部に固定されている。これにより、給気口28に筒状部材44が固定される構成となっている。
【0033】
上記固定部46の収納室側の端部には、収納室の奥側に延びる筒状の導入部48が一体形成されている。導入部48は固定部46側(給気口28側)の一端48Aから収納室16の奥側に配置された他端48Bに向かって幅方向の寸法が徐々に狭められており、平面視台形状をなす先細りした形状とされている。
【0034】
導入部48の先細りした他端48Bには、集塵フィルタ50が装着されている。集塵フィルタ50は、導入部48側(給気口28側)に開口された筐体状に形成されている。より具体的には、集塵フィルタ50は、平面視で略台形状をなし、給気口28側の端部から前記収納室の奥側の端部へ向かって平面視で先細りした筐体状に形成されている。この集塵フィルタ50は、給気口28側に開口された開口部52が、導入部48の他端48Bに固定されている。また、集塵フィルタ50の各側面部は金属製の金網で形成されている。なお、当該各側面部に通気性のよい不織布が配置される構成としてもよい。これにより、筒状部材44を通過した廊下14内の空気が、集塵フィルタ50を通って収納室16の内部に吸い込まれる構成とされている。また、この際に、廊下14の床26に溜まった埃が、筒状部材44を通過して集塵フィルタ50によって集塵される構成になっている。
【0035】
図示はしないが、導入部48の他端48Bと集塵フィルタ50の開口部52は、開口部52に設けられた係止部が、導入部48の他端48Bに設けられた被係止部に係止されることにより固定される。例えば、導入部48の他端48Bの幅方向の両側にレール状の切り込み部をそれぞれ形成し、一方で、集塵フィルタ50の開口部52の幅方向の両端部に設けられた凸部を形成する。そして、導入部48の切り込み部に凸部を挿入させることにより固定される構成としてもよい。当該構成によれば、集塵フィルタ50を導入部48の切り込み部に対してスライドさせて引き上げることにより、集塵フィルタ50を筒状部材44から取り外すことができる。このようにして、集塵フィルタ50が筒状部材44に着脱可能に取り付けることが可能である。
【0036】
なお、集塵フィルタ50の固定方法は、上記に限らず、適宜変更することが可能である。例えば、集塵フィルタ50の開口部52に爪状の係止部を形成し、筒状部材44の他端(他端48B)に当該係止部が係止される被係止部を設ける構成としてもよい。
【0037】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0038】
本実施形態では、廊下14内の空気を収納室16へ取り込む給気口28が収納室16の開閉扉24と床26との隙間に設けられている。このため、床26に近い空間の空気を取り入れることができ、床26に載積する大きな埃を空気と一緒に給気口28から取り入れることができる。更に、給気口28には集塵部42が配置されているため、給気口28から収納室16の内部に侵入した埃を集塵フィルタ50によって集めることができる。
【0039】
また、本実施形態では、集塵フィルタ50が筐体状に形成されているため、例えば板状のフィルタを設ける場合と比べて集塵フィルタに奥行が生じる。これにより、集塵フィルタ50内の容積及び集塵フィルタ50の表面積が増し、より多くの埃を内部に集めることができる。
【0040】
また、本実施形態では、集塵フィルタ50の形状が、給気口28側から収納室16の奥側へ向かって平面視で先細りした筐体状に形成されている。このため、集塵フィルタ50の内部に集められた埃が、先細りした奥側部分に集められる。これにより、メンテナンス時に集塵フィルタ50内の埃を取り出しやすい。更に、集塵フィルタ50が小型化され、軽量化を図ることができる。
【0041】
更に、本実施形態では、集塵フィルタ50が集塵部42から着脱可能に構成されている。このため、廊下14の床掃除の際や空調装置30のメンテナンスの際には、収納室16の開閉扉24を開けて集塵フィルタ50を取り外してフィルタの内部から埃を掻き出すことができる。このため、集塵フィルタ50内に溜まった埃を容易に廃棄することができるため、メンテナンス性に優れる。
【0042】
また、本実施形態の収納室16では、給気口28に接続された筒状の筒状部材44を介して集塵フィルタ50が収納室の内部に配置される構成となっている。つまり、集塵フィルタ50が給気口28から奥まった位置に配置されるため、収納室16の外側から給気口28を通して見えにくい位置に埃が集められる。その結果、例えば、給気口28に直接集塵フィルタを接続する構成に比べて、収納室16の外側(廊下14)から埃が視認され難く、清潔感のある外観を維持することができる。
【0043】
また、本実施形態では、筒状部材44が、導入部48を含んで構成されており、導入部48は、給気口28側に配置された一端48A側から集塵フィルタ50に接続された他端48Bに向かって平面視で先細りした形状とされている。このため、当該導入部48により、給気口28を通過した廊下14内の空気の流れが集塵フィルタ50へ向かって整流される。これにより、廊下14に載積した埃を効率的に集塵フィルタ50に集めることができる。
【0044】
また、本実施形態の筒状部材44では、給気口28に固定される一端に角筒状をなす固定部46が形成されている。また、この固定部46の幅方向の両側面部46Aは、筒状部材44を固定するドア開口部22の下部かつ幅方向の両側面部に沿って配置されている。これにより、筒状部材44単独で給気口28に対して位置決めを行うことができるため、組み付け時の作業性を向上させることができる。
【0045】
〔第2実施形態〕
以下、図6及び図7を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0046】
これらの図に示されるように、本実施形態では、建物高さ方向を長手方向とする筐体状に形成された集塵フィルタ62を有する集塵部60を備える点に特徴がある。
【0047】
具体的には、集塵フィルタ62は、平面視で略台形状をなし、長手方向(建物高さ方向)の寸法が筒状部材44の建物高さ方向の寸法よりも長く設定されている。このため、側面視では、集塵フィルタ62の上部側が、筒状部材44の上面から建物上方側へ突出した状態となる。
【0048】
集塵フィルタ62の下部には、収納室16の給気口28側に開口した下部開口部64が設けられており、当該下部開口部64が筒状部材44の導入部48の他端48Bに固定されている。この下部開口部64は、第1実施形態の開口部52に相当する。
【0049】
また、集塵フィルタ62の上部かつ上面には、上部開口部66が設けられている。これにより、集塵フィルタ62は、建物上方側に面した上面が開放されている。なお、集塵フィルタ62の側面部は、第1実施形態の集塵フィルタ50と同様に、金属製の金網で形成されている。当該構成によれば、筒状部材44を通過した廊下14内の空気は、集塵フィルタ62の側面部を通過して収納室16の内部に取入れられる流路に加えて、上部開口部66を通って収納室16の内部に供給される流路を有することとなる。
【0050】
(作用・効果)
本実施形態では、集塵フィルタ62の形状が、建物高さ方向を長手方向とする筐体状に形成されており、その上部が筒状部材44の上方側に延在している。このため、集塵フィルタ62内の容積が増し、より多くの埃を内部に集めることができる。また、集塵フィルタ62の上面に形成された上部開口部66が集塵フィルタ62を通過する空気の流路となるため、収納室16に供給される風量が、集塵フィルタ62に集められた埃により低下することが抑制される。その結果、集塵部60のメンテナンスを要する頻度が減少されて利用者の利便性を向上させることができる。
【0051】
〔第3実施形態〕
以下、図8及び図9を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0052】
これらの図に示されるように、この第3実施形態に係る集塵部70では、集塵フィルタ部74が一体的に形成された筒状部材72を備える点に特徴がある。
【0053】
具体的には、筒状部材72は、収納室16の給気口28側に開口した筐体状に形成されており、その上面76及び背面(収納室16側に面した側面)72Bが集塵フィルタ部74として構成されている。集塵フィルタ部74は、第1実施形態の集塵フィルタ50の側面部と同様に、金属製の金網によって形成されている。これにより、給気口28から取り入れられた屋内の空気の流路が、筒状部材72(集塵部70)の上面76及び背面78を通過して収納室16の内部に供給されるという上向きの流路となる構成になっている。
【0054】
また、上記構成の筒状部材72は、給気口28に固定される一端が角筒状に形成された固定部80とされ、当該固定部80よりも収納室16側の部位が、収納室の奥側に向かって先細りした導入部82とされている。また、上記固定部80の幅方向の両側面部80Aは、当該両側面部80Aから幅方向外側に突出した凸部84を用いて給気口28に固定されている。
【0055】
具体的には、給気口28の幅方向両側部には、左右一対の縦壁部86が設けられている。この一対の縦壁部86において、互いに対向して配置される端部86Aには、建物高さ方向に延在するレール状の切欠き部88が形成されている。上述した固定部80の凸部84は、この切欠き部88に対応しており、切欠き部88の内側で凸部84を挿入することにより、縦壁部86を介して、給気口28に筒状部材72を固定することができる構成となっている。また、筒状部材72のメンテナンスの際には、筒状部材72を切欠き部88に沿って引き上げることで給気口28から取り外すことができる構成となっている。
【0056】
(作用・効果)
本実施形態では、集塵部70の筒状部材72が筐体状に形成され、その下面を除く上面76及び背面78に集塵フィルタ部74が配置されている。このため、給気口28から取り入れられた廊下14内の空気の流路は、筒状部材72の上面76及び背面78を通過して収納室16に供給されるという上向きの流路となる。これにより、筒状部材72の内部に集められた埃が下面側に落ちて筒状部材72の入口(固定部80近傍)を塞ぐといった事態を抑制することができる。その結果、廊下14の床に溜まった埃を筒状部材72の奥側に配置された背面78及び上面76に効率的に集めることができ、更に、収納室16の外側から埃が視認されることを効果的に抑制することができる。
【0057】
[補足説明]
上記第1実施形態及び第2実施形態では、収納室16の給気口28と集塵フィルタ50、62との間に筒状部材44を配置する構成としたが、本発明はこれに限らない。筒状部材44を有しない構成とし、給気口28に直接集塵フィルタ50、62を装着する構成でもよい。
【0058】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、集塵フィルタ50を筐体状に形成したが、本発明はこれに限らない。例えば、板状に形成された金属製の金網からなる集塵フィルタを適用してもよい。
【0059】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、筒状部材44が給気口28側から収納室16の奥側に向かって平面視で先細りした形状としたが、本発明はこれに限らない。例えば、筒状部材44全体を角筒状に形成してもよい。また、筒状部材44から固定部46を省略した形状とし、平面視で略台形状に形成してもよい。
【0060】
また、上記各実施形態では、収納室16が建物10の一階部分10Aに設けられる構成としたが、これに限らず建物の二階部分に設ける構成としてもよい。この場合において、接続チャンバを空調装置の上面に接続して、二階の天井裏空間に分岐チャンバや供給ダクトを配策する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 建物
16 収納室
24 開閉扉
26 床(床面)
28 給気口
30 空調装置
32 吸込口
34 吹出口
42 集塵部
44 筒状部材
48 導入部
50 集塵フィルタ
60 集塵部
62 集塵フィルタ
70 集塵部
72 筒状部材
74 集塵フィルタ部(集塵フィルタ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9