(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム、通信デバイス、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230214BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230214BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20230214BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H02J13/00 301J
H02J7/00 U
(21)【出願番号】P 2018105489
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】中井 啓太
(72)【発明者】
【氏名】松島 均
(72)【発明者】
【氏名】内堀 富勝
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲郎
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-135896(JP,A)
【文献】特開2013-009531(JP,A)
【文献】特開2016-090416(JP,A)
【文献】特開2009-118541(JP,A)
【文献】特開2013-219853(JP,A)
【文献】特開2002-366401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0327403(US,A1)
【文献】特開2019-192562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H01M 10/48
H01M 10/42
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイスと、該通信デバイスとの間で情報を送受信する情報処理装置とで夫々情報を処理する情報処理方法であって、
前記通信デバイスは、
前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得し、
取得した情報に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に
対応する構造
を有するデータを作成し、
作成したデータを前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、
前記通信デバイスから受信したデータ
が有する構造に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置を含む複数の蓄電素子又は電源関連装置の階層構造又は接続形態に対応する形態で、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を表示させる表示情報を外部からの要求に応じて要求元へ送信する
情報処理方法。
【請求項2】
前記蓄電素子が、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数接続して構成され、
前記通信デバイスは、前記蓄電セル及びモジュールの接続の構成に基づき階層状にデータを作成する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記蓄電素子が、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数直列に接続したバンクを並列に接続して構成され、
前記通信デバイスは、前記バンクと、該バンクを複数並列に接続したドメインとの階層構造に基づき階層状にデータを作成する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記通信デバイスは、
前記バンク及び前記ドメインの階層のいずれに対応しているかを示す階層構造と、他の通信デバイスとの接続関係を示す情報とを含む設定情報に基づき、前記他の通信デバイスと接続されており、該他の通信デバイスで取得されて作成されるデータと重複しないデータを作成する
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
前記蓄電素子又は電源関連装置を識別する情報を示す第1アイコンを前記階層構造で表示させ、各階層を展開させる第2アイコンが選択された場合に対応する第1アイコンをツリー状に表示させる表示情報を送信する
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイスと、該通信デバイスとの間で情報を送受信する情報処理装置とで夫々情報を処理する情報処理方法であって、
前記蓄電素子は、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数直列に接続したバンクを並列に接続して構成されており、
前記通信デバイスは、
前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得し、
取得した情報に基づき、前記蓄電素子の前記バンクと、該バンクを複数並列に接続したドメインとの階層構造に基づいた階層状の構造のデータを作成し、
作成したデータを前記情報処理装置へ送信し、
前記情報処理装置は、
前記通信デバイスから受信したデータの構造に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置を含む複数の蓄電素子の階層構造に対応する形態で、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を表示させる表示情報を外部からの要求に応じて要求元へ送信する
情報処理方法。
【請求項7】
蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイスと、該通信デバイスとの間で情報を送受信する情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記通信デバイスは、
前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得する取得部と、
取得した情報に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に
対応する構造
を有するデータを作成する作成部と、
作成したデータを前記情報処理装置へ送信する送信部と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記通信デバイスから受信したデータ
が有する構造に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置を含む複数の蓄電素子又は電源関連装置の階層構造又は接続形態に対応する形態で、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を表示させる表示情報を外部からの要求に応じて要求元へ送信する表示情報送信部
を備える情報処理システム。
【請求項8】
蓄電素子又は電源関連装置に接続され、該蓄電素子又は電源関連装置と通信する通信部と、
前記通信部から得られる前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得する取得部と、
前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に
対応する構造
を有するデータを前記情報から作成する作成部と、
作成したデータを送信する送信部と
を備える通信デバイス。
【請求項9】
表示部を備えるコンピュータに、蓄電素子及び/又は電源関連装置の情報を受信して表示させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記蓄電素子及び/又は電源関連装置の状態を表示する表示情報を、該蓄電素子若しくは電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子若しくは電源関連装置が設置されている場所毎に、要求するステップ、及び
要求に応じて送信された表示情報に基づき、
前記蓄電素子又は電源関連装置を識別する情報を示す第1アイコンを前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に
対応する構造で表示させ、各階層を展開させる第2アイコンが選択された場合に対応する第1アイコンをツリー状に表示させるステップ
を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及び/又は電源関連装置の情報を提示する情報処理方法、情報処理システム、通信デバイス及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子は、無停電電源装置、安定化電源に含まれる直流又は交流電源装置等に広く使用されている。再生可能エネルギー又は既存の発電システムにて発電された電力を蓄電しておく大規模なシステムでの蓄電素子の利用が拡大している。
【0003】
無停電電源装置、安定化電源、又は発電システムにおいては、蓄電素子の保守活動が重要になる。これらのシステムに含まれる蓄電素子の充電状態(SOC:State Of Charge)、又は寿命予測の情報について、サーバ装置経由で、蓄電素子のユーザ又は保守担当者が遠隔から取得することを可能とする技術が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、蓄電素子の劣化率の予測値をサーバ装置及びネットワークを経由してオペレータが遠隔からその情報を視認することを実現するシステムが提案されている。
【0005】
特許文献2には、無停電電源装置における蓄電素子の交換のために、サービスセンタ及びネットワークを経由してモニタリングプログラムに基づきバッテリ交換の時期を予告し、ユーザとオペレータがメール等を用いて情報を交換するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-121520号公報
【文献】特開2002-287857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉛蓄電池又はリチウムイオン電池のような蓄電素子は、車載用途(自動車用途、自動二輪車用途)以外の産業用途に適用される場面が増加している。例えば、太陽光発電システムに蓄電素子が並設されることがある。この場合、蓄電素子はパワーコンディショナと接続される。メガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電システムでは、非常に多くの蓄電素子及びパワーコンディショナが設置されて利用される。工場又は大規模施設における電力ピークカットを実現する場合にも、非常に多くの蓄電素子及びパワーコンディショナが設置されて利用される。鉄道用途においても、非常に多くの蓄電素子と、直流又は交流電源装置である整流器とが設置されて利用される。従来の保守支援システムでは、分散電源システム又は事業主体にこのように多くの蓄電素子と電源関連装置が設置されるケースを想定していない。
【0008】
IoT(Internet of Things)の社会への浸透と平行して、蓄電素子及び電源関連装置の遠隔監視の実現と、遠隔監視に基づく利便性の高い付加価値サービスの実現に対する期待が高まっている。
【0009】
本発明は、蓄電素子及び/又は電源関連装置の情報を、蓄電素子及び/又は電源関連装置の接続構成に応じて提示することができる情報処理方法、情報処理システム、通信デバイス及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
情報処理方法は、蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイスと、該通信デバイスとの間で情報を送受信する情報処理装置とで夫々情報を処理する。前記通信デバイスは、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得し、取得した情報に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に応じた構造のデータを作成し、作成したデータを前記情報処理装置へ送信する。前記情報処理装置は、前記通信デバイスから受信したデータの構造に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置を含む複数の蓄電素子又は電源関連装置の階層構造又は接続形態に対応する形態で、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を表示させる表示情報を外部からの要求に応じて要求元へ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】遠隔監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】蓄電モジュール群の階層構造及び通信デバイスの接続形態の一例を示す図である。
【
図4】蓄電モジュール群の階層構造及び通信デバイスの接続形態の他の一例を示す図である。
【
図5】通信デバイスの接続形態の他の一例を示す図である。
【
図6】通信デバイスでの設定受付手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】通信デバイスで記憶される設定情報の内容例を示す図である。
【
図8】通信デバイスで記憶される設定情報の他の内容例を示す図である。
【
図9】各通信デバイスの情報の送信手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】サーバ装置へ送信されるデータの内容例を示す図である。
【
図11】サーバ装置へ送信されるデータの内容例を示す図である。
【
図12】サーバ装置におけるデータ取得手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】サーバ装置におけるデータ取得の具体例を示す図である。
【
図14】サーバ装置により提示される画面例を示す図である。
【
図15】サーバ装置により提示される画面例を示す図である。
【
図16】サーバ装置により提示される画面例を示す図である。
【
図17】サーバ装置により提示される画面例を示す図である。
【
図18】サーバ装置により提示される画面例を示す図である。
【
図19】サーバ装置により提示される画面例を示す図である。
【
図20】グループ分けを受け付ける画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
情報処理方法は、蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイスと、該通信デバイスとの間で情報を送受信する情報処理装置とで夫々情報を処理する。前記通信デバイスは、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得し、取得した情報に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に応じた構造のデータを作成し、作成したデータを前記情報処理装置へ送信する。前記情報処理装置は、前記通信デバイスから受信したデータの構造に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置を含む複数の蓄電素子又は電源関連装置の階層構造又は接続形態に対応する形態で、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を表示させる表示情報を外部からの要求に応じて要求元へ送信する。
【0013】
上記構成により、通信デバイスにて作成されるデータの構造を情報処理装置で認識でき、蓄電素子又は電源関連装置の階層構造に合わせた情報の階層的な表示が可能になる。
【0014】
前記蓄電素子が、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数接続して構成される場合、前記通信デバイスは、前記蓄電セル及びモジュールの接続の構成に基づき階層状にデータを作成するとよい。蓄電素子が、複数の蓄電セルを夫々含む複数のモジュールを含む場合、データは例えば以下のようになる。1つのデータ(フォルダ/ディレクトリ)が複数のモジュールに夫々対応する複数のデータ(ファイル)を含み、各データが更に複数の蓄電セルのデータを含むという階層状のデータである。
【0015】
前記蓄電素子が、複数の蓄電セルを含むモジュールを複数直列に接続したバンクを並列に接続して構成される場合、蓄電素子の階層構造が具体的に以下のようになるとよい。1つのデータ(フォルダ/ディレクトリ)が、並列したバンクに対応する複数のデータ(フォルダ/ディレクトリ)を含む。各データ(フォルダ/ディレクトリ)が、バンクに所属する複数のモジュールに対応する複数のデータ(ファイル)を含み、この複数のデータ(ファイル)が更に複数の蓄電セルのデータを含むという階層状のデータである。
【0016】
蓄電素子又は電源関連装置の階層構造に応じて、複数の通信デバイスが異なる階層で使用されてもよい。この場合、各通信デバイスは、下位層又は上位層に対応する他の通信デバイスと重複しないデータを作成して送信することが好ましい。上記構成により、データの通信負荷を軽減し、通信デバイスの処理負荷を軽減できる。
【0017】
情報処理装置から提供される表示情報には、蓄電素子又は電源関連装置の階層構造に合わせて各蓄電素子又は電源関連装置を示す第1アイコンを表示させる情報が含まれる。第1アイコンは、階層構造に対応させてツリー状に表示されるが、第2アイコンの選択/非選択に応じてツリーの一部又は全部を畳んで非表示にすることも可能である。
【0018】
情報処理システムは、蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイスと、該通信デバイスとの間で情報を送受信する情報処理装置とを含む。前記通信デバイスは、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得する取得部と、取得した情報に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に応じた構造のデータを作成する作成部と、作成したデータを前記情報処理装置へ送信する送信部とを備える。前記情報処理装置は、前記通信デバイスから受信したデータの構造に基づき、前記蓄電素子又は前記電源関連装置を含む複数の蓄電素子又は電源関連装置の階層構造又は接続形態に対応する形態で、前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を表示させる表示情報を外部からの要求に応じて要求元へ送信する表示情報送信部を備える。
【0019】
通信デバイスは、蓄電素子又は電源関連装置に接続され、該蓄電素子又は電源関連装置と通信する通信部と、前記通信部から得られる前記蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を取得する取得部と、前記蓄電素子又は前記電源関連装置の他の蓄電素子又は他の電源関連装置との階層構造又は接続形態に応じた構造のデータを前記情報から作成する作成部と、作成したデータを送信する送信部とを備える。
【0020】
コンピュータプログラムは、表示部を備えるコンピュータに、蓄電素子及び電源関連装置の情報を受信して表示させる。コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、前記蓄電素子及び電源関連装置の状態を表示する表示情報を、該蓄電素子若しくは電源関連装置を含むシステム毎、又は前記蓄電素子若しくは電源関連装置が設置されている場所毎に、要求するステップ、及び要求に応じて送信された表示情報に基づき、前記蓄電素子又は電源関連装置を識別する情報を示す第1アイコンを前記階層構造で表示させ、各階層を展開させる第2アイコンが選択された場合に対応する第1アイコンをツリー状に表示させるステップを実行させる。
【0021】
本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、遠隔監視システム100の概要を示す図である。遠隔監視システム100は、メガソーラー発電システムS、火力発電システムF、風力発電システムWに含まれる蓄電素子及び電源関連装置に関する情報への遠隔からのアクセスを可能とする。無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)U、鉄道用の安定化電源システム等に配設される整流器(直流電源装置、又は交流電源装置)Dも遠隔監視される。
【0023】
メガソーラー発電システムS、火力発電システムF及び風力発電システムWには、パワーコンディショナ(PCS:Power Conditioning System )P及び蓄電システム101が並設されている。蓄電システム101は、蓄電モジュール群Lを収容したコンテナCを複数並設して構成されている。蓄電モジュール群Lは、複数の蓄電素子を含む。蓄電素子は、鉛蓄電池及びリチウムイオン電池のような二次電池や、キャパシタのような、再充電可能なものであることが好ましい。蓄電素子の一部が、再充電不可能な一次電池であってもよい。
【0024】
遠隔監視システム100では、監視対象となるシステムS,F,Wにおける蓄電システム101、又は装置(P,U,Dおよび後述の管理装置M)夫々に、通信デバイス1(
図2参照)が搭載/接続される。遠隔監視システム100は、通信デバイス1と、通信デバイス1から情報を収集するサーバ装置2(情報処理装置)と、収集された情報を閲覧するためのクライアント装置3(通信端末装置)と、装置間の通信媒体であるネットワークNとを含む。
【0025】
通信デバイス1は、蓄電素子に備えられる電池管理装置(BMU:Battery Management Unit )と通信して蓄電素子の情報を受信する端末装置(計測モニタ)であってもよいし、ECHONET /ECHONETLite (登録商標)対応のコントローラであってもよい。通信デバイス1は、独立したデバイスであってもよいし、パワーコンディショナPや蓄電モジュール群Lに搭載可能なネットワークカード型のデバイスであってもよい。通信デバイス1は、蓄電システム101における蓄電モジュール群Lの情報を取得すべく、複数の蓄電モジュールからなるグループ毎に1つずつ設けられている。パワーコンディショナPは複数台でシリアル通信が可能に接続されており、通信デバイス1は、いずれか代表となるパワーコンディショナPの制御ユニットに接続されている。
【0026】
サーバ装置2はWebサーバ機能を含み、監視対象の各装置に搭載/接続された通信デバイス1から得られる情報を、クライアント装置3からのアクセスに応じて提示する(表示情報送信部)。通信デバイス1もWebサーバ機能を含み、クライアント装置からのアクセスに応じて通信デバイス1の設定を行なうためのインタフェースをWebベースで有している。サーバ装置2が情報を提示するインタフェースには、通信デバイス1のインタフェースへのリンクが含まれ、クライアント装置3は通信デバイス1と直接的に通信接続して遠隔からの通信デバイス1の操作が可能である。
【0027】
ネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2とを含む。公衆通信網N1は、一般光回線を含み、ネットワークNは、サーバ装置2が接続する専用線を含む。ネットワークNは、ECHONET /ECHONETLite 対応のネットワークを含んでもよい。キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれ、クライアント装置3は基地局BSからネットワークNを介したサーバ装置2との通信が可能である。公衆通信網N1にはアクセスポイントAPが接続されており、クライアント装置3はアクセスポイントAPからネットワークNを介してサーバ装置2との間で情報を送受信することができる。
【0028】
このように遠隔監視システム100は、監視対象の各装置に搭載又は接続した通信デバイス1を利用し、蓄電システム101における蓄電素子のSOC、SOH(State Of Health )等の状態、装置で検知された異常といった情報を、サーバ装置2が収集する。収集された情報は、サーバ装置2を介して一括で提示される。
【0029】
図2に示すように、通信デバイス1は、制御部10、記憶部11、第1通信部12及び第2通信部13を備える。制御部10はCPU(Central Processing Unit )を用いたプロセッサであり、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0030】
記憶部11は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部11には、制御部10が読み出して実行するデバイスプログラム1Pが記憶されている。デバイスプログラム1Pには、Linux (登録商標)等を用いた組み込み系OS(Operating System)、OS上で動作するWebサーバ、SSH(Secure Shell)、SNMP(Simple Network Management Protocol)等に準じた通信用プログラムが含まれる。デバイスプログラム1Pは、記録媒体4に記憶してあるデバイスプログラム4Pを読み出して記憶部11に複製したものであってもよい。デバイスプログラム1Pにはメーラプログラムが含まれてもよく、異常が発生した場合に、予め設定されてあるメールアドレスへ向けて電子メールが自動的に送信されてもよい。これらのプログラムは、制御部10内蔵のメモリ(ROM)に記憶されていてもよい。記憶部11には、制御部10の処理によって収集された情報、イベントログ等の情報が記憶される。記憶部11に記憶された情報は、通信デバイス1の筐体に端子が露出するUSB等の通信インタフェースを介して読み出すことも可能である。
【0031】
第1通信部12は、通信デバイス1が接続されている監視対象装置との通信を実現する通信インタフェースである。第1通信部12は例えば、RS-232C又はRS-485等のシリアル通信インタフェースを用いる。例えばパワーコンディショナPはRS-485に準拠したシリアル通信機能を有する制御ユニットを備えており、第1通信部12はその制御ユニットと通信する。蓄電モジュール群Lに備えられている制御基板がCAN(Controller Area Network)バスにより接続されて制御基板間の通信をCAN通信で実現する場合、第1通信部12はCANプロトコルに基づく通信インタフェースである。第1通信部12は、ECHONET /ECHONETLite の規格に対応する通信インタフェースであってもよい。
【0032】
第2通信部13は、ネットワークNを介した通信を実現するインタフェースであり、例えばEthernet(登録商標)、又は無線通信用アンテナ等の通信インタフェースを用いる。制御部10は、第2通信部13を介してサーバ装置2又はクライアント装置3と通信接続が可能である。第2通信部13が、ECHONET /ECHONETLite の規格に対応する通信インタフェースであってもよい。
【0033】
このように構成される通信デバイス1では、制御部10が第1通信部12を介して、通信デバイス1が接続されている装置にて得られる状態情報を含む情報を取得する(「取得部」に相当)。制御部10は、Webサーバ用プログラムを読み出して実行することによって、Webサーバとしてサーバ装置2又はクライアント装置3からの通信接続を受け、情報を提示することも可能である。制御部10は、SSHにより遠隔からシャットダウンの機能を受けることが可能である。制御部10は、SNMP用プログラムを読み出して実行することにより、SNMPエージェントとして機能し、サーバ装置2からの情報要求に対して応答することも可能である。
【0034】
サーバ装置2はサーバコンピュータを用い、制御部20、記憶部21、及び通信部22を備える。本実施の形態においてサーバ装置2は、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで処理を分散させてもよい。
【0035】
制御部20は、CPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。制御部20は、記憶部21に記憶されているサーバプログラム2Pに基づく情報処理を実行する。サーバプログラム2PにはWebサーバプログラムが含まれ、制御部20は、クライアント装置3へのWebページの提供、Webサービスへのログインの受け付け等を実行するWebサーバとして機能する。制御部20は、サーバプログラム2Pに基づき、SNMP用サーバとして通信デバイス1から情報を収集することも可能である。
【0036】
記憶部21は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部21には、上述したサーバプログラム2Pが記憶されているほか、制御部20の処理によって収集される監視対象となる蓄電システム101のパワーコンディショナP及び蓄電モジュール群Lの状態情報を含む情報を記憶する。サーバプログラム2Pは、記録媒体5に記憶してあるサーバプログラム5Pを読み出して記憶部21に複製したものであってもよい。
【0037】
通信部22は、ネットワークNを介した通信接続及び情報の送受信を実現する通信デバイスである。具体的には通信部22はネットワークNに対応したネットワークカードである。
【0038】
クライアント装置3は、発電システムS,F,Wの蓄電システム101の管理者又は保守担当者等のオペレータが使用するコンピュータである。クライアント装置3は、デスクトップ型若しくはラップトップ型のパーソナルコンピュータであってもよいし、所謂スマートフォン又はタブレット型の通信端末であってもよい。クライアント装置3は、制御部30、記憶部31、通信部32、表示部33、及び操作部34を備える。
【0039】
制御部30は、CPUを用いたプロセッサである。制御部30は、記憶部31に記憶されているWebブラウザを含むクライアントプログラム3Pに基づき、サーバ装置2又は通信デバイス1により提供されるWebページを表示部33に表示させる。
【0040】
記憶部31は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部31には、クライアントプログラム3Pを含む各種プログラムが記憶されている。クライアントプログラム3Pは、記録媒体6に記憶してあるクライアントプログラム6Pを読み出して記憶部11に複製したものであってもよい。
【0041】
通信部32は、有線通信用のネットワークカード等の通信デバイス、基地局BS(
図1参照)に接続する移動通信用の無線通信デバイス、又はアクセスポイントAPへの接続に対応する無線通信デバイスを用いる。制御部30は通信部32により、ネットワークNを介してサーバ装置2又は通信デバイス1との間で通信接続又は情報の送受信が可能である。
【0042】
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを用いる。表示部33は制御部30のクライアントプログラム3Pに基づく処理により、サーバ装置2で提供されるWebページのイメージを表示する。表示部33は、好ましくはタッチパネル内蔵型ディスプレイであるが、タッチパネル非内蔵型ディスプレイであってもよい。
【0043】
操作部34は、制御部30との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイス、若しくは音声入力部等のユーザインタフェースである。操作部34は、表示部33のタッチパネル、又は筐体に設けられた物理ボタンを用いてもよい。操作部34は、ユーザによる操作情報を制御部20へ通知する。
【0044】
このように構成される遠隔監視システム100は、サーバ装置2にて、パワーコンディショナP、蓄電モジュール群L(後述の管理装置M)、無停電電源装置U、及び整流器Dの状態を含む様々な情報を通信デバイス1から定期的に、又はクライアント装置3からの要求に応じて取得し、記憶部21に記憶する。記憶部21には、情報の取得先の装置(P,M,U,D)を識別する情報及び取得した時間情報が対応付けて記憶される。記憶部21に記憶してある最新の情報及びその履歴は、クライアント装置3からWebページで取得又はデータとして取得(ダウンロード)できるようにサーバ装置2が処理する。サーバ装置2は、通信デバイス1を用いて蓄電素子若しくは各電源関連装置から取得した情報を総合的に、クライアント装置3へ提示することができる。
【0045】
蓄電モジュール群Lは階層構造を有している。
図3は、蓄電モジュール群Lの階層構造及び通信デバイス1の接続形態の一例を示す図である。蓄電モジュール群Lは、例えば蓄電セル(セルとも称する)を複数直列に接続した蓄電モジュール(モジュールとも称する)と、蓄電モジュールを複数直列に接続したバンクと、バンクを複数並列に接続したドメインとの階層構造にて構成されている。
図3の例では、番号(#)1-Nのバンク夫々と、バンクを並列に接続したドメインとに1つずつ、管理装置Mが設けられている。バンク毎に設けられている管理装置Mは、蓄電モジュールの内部に夫々内蔵されている通信機能付きの制御基板(CMU:Cell Monitoring Unit)とシリアル通信によって通信し、蓄電モジュール及び内部のセルの状態(電流、電圧、温度)の取得、各々の状態に応じたバンク毎のバランス調整、通信状態の異常の検知等の管理処理を実行する。バンクの管理装置Mは夫々、ドメイン単位で設けられている管理装置Mへ各々のバンクの蓄電モジュールの情報を送信する。ドメインの管理装置Mは、そのドメインに所属するバンクの管理装置Mから得られる情報を集約する。
図3の例では通信デバイス1は、ドメイン単位の管理装置Mに接続されている。
【0046】
図4は、蓄電モジュール群Lの階層構造及び通信デバイス1の接続形態の他の一例を示す図である。
図4の例では、蓄電モジュール群Lは、蓄電モジュールを複数直列に接続したバンク1つのみで構成されている(スタンドアロン)。
図4の例では通信デバイス1は、バンク単位の管理装置Mのみに接続されている。
【0047】
図5は、通信デバイス1の接続形態の他の一例を示す図である。
図5では説明を容易にするべく、1つのドメイン内に用いられている複数の通信デバイス1を、通信デバイス1a,1b,1c,…1nと識別可能に符号を付している。
図5における蓄電モジュール群Lの階層構造は
図3と同じである。通信デバイス1aが、ドメイン単位の管理装置Mに接続されている。通信デバイス1bは1番目(#1)のバンクの管理装置Mに接続されており、通信デバイス1cは2番目(#2)のバンクの管理装置Mに接続されている。複数の通信デバイス1は、ドメインの数、及びバンクの数分だけ用いられている。
【0048】
図3-
図5に示したように、蓄電モジュール群Lにおける蓄電素子の階層構造、及び、通信デバイス1の接続形態は、蓄電素子の用途、ロケーション等によって多様である。サーバ装置2は、多様な階層構造及び接続形態に合わせて自動的に、通信デバイス1から収集される蓄電素子又は電源関連装置の状態を含む情報を、階層構造化して提示する。このために、以下のような処理が行なわれる。
【0049】
図6は、通信デバイス1での設定受付手順の一例を示すフローチャートである。通信デバイス1は初期的に、設置される場所にて制御部10に対する入出力インタフェースに、モニタ及びキーボードを接続して以下の設定を受け付ける。遠隔操作によって通信デバイス1の設定が行なわれてもよい。
【0050】
制御部10は、サーバ装置2又はクライアント装置3との通信を実施するための自身の通信設定を受け付ける(ステップS101)。具体的には、通信デバイス1自体のIPアドレス(IPv4及びIPv6)、ゲートウェイ、DNSアドレス、グローバルアドレス、サーバ装置2のグローバルアドレス等のネットワーク情報を受け付ける。制御部10はこれらの情報を記憶部11又は内蔵メモリに記憶しておき、第2通信部13はこれを元にネットワークNに接続する。
【0051】
通信デバイス1の制御部10は、蓄電素子の階層構造におけるいずれの階層の管理装置Mに接続されているか(下層有無)の設定を受け付ける(ステップS102)。ステップS102にて制御部10は、ドメインの管理装置Mに接続されているのか、バンクの管理装置Mに接続されているのかの選択を受け付ける。バンクの管理装置Mに接続されている場合、上位のドメインが存在するケースでは、バンクがいずれのドメインに属しているかの設定を受け付けるとよい。
【0052】
制御部10は、他の通信デバイス1との関係の設定を受け付ける(ステップS103)。ステップS103にて具体的に制御部10は、自身が接続している管理装置Mがカバーする蓄電素子の階層構造(
図3-
図5)における下位層の管理装置Mに、他の通信デバイス1が接続されているか否かの設定を受け付ける。代替的に、上位層の管理装置Mに他の通信デバイス1が接続されているかの設定を受け付けてもよい。詳細には制御部10は、自身が接続している管理装置Mがドメインに対応する場合、下層のバンクの管理装置Mに通信デバイス1が接続されているか否かの設定を受け付ける。
【0053】
制御部10は、接続されている管理装置Mがカバーする蓄電素子及び該蓄電素子を含むシステムを識別するための識別情報の設定を受け付ける(ステップS104)。識別情報は、システムが設置されている場所を識別するためのロケーションID(識別番号、記号又は名前)、同一場所内で蓄電モジュール群Lの単位を識別するためのマイナID(識別番号、記号、又は名前)であってもよい。ロケーションID及びマイナIDは、サーバ装置2にて発行されるものであるとよい。
【0054】
制御部10は、ステップS101-S104で受け付けた設定に基づき、ネットワーク情報、階層構造、接続関係、識別情報を含む設定情報を記憶部11又は内蔵メモリに記憶し(ステップS105)、処理を終了する。
【0055】
図6のフローチャートに示した処理手順では、各通信デバイス1にて通信設定、接続関係の設定を受け付ける構成としたが、通信デバイス1が接続関係を自動検知して設定してもよい。蓄電システム101内でCAN接続により相互に通信を行なう場合、いずれかをマスタとして設定し、通信デバイス1間で接続構成に合わせた階層構造のデータを作成して送信するとよい。
【0056】
図7は、通信デバイス1で記憶される設定情報の内容例を示す図である。
図7Aは、
図3の接続形態における通信デバイス1に記憶されている設定情報を示している。
図7Aに示す例では、通信デバイス1は、複数のバンクを含むドメインにおける管理装置Mのみに接続されている。したがって接続管理装置(接続されている管理装置Mの階層)として、「ドメイン」及びドメインの識別番号が設定されており、他の通信デバイス1との関係としては、「下層なし」(下層即ちバンクの管理装置Mには他の通信デバイス1は存在していない)が設定されている。
図7Aに示す例では識別情報として、ロケーションID及びマイナIDが設定されている。
【0057】
図7Bは、
図4の接続形態における通信デバイス1に記憶されている設定情報を示している。
図7Bに示す例では、通信デバイス1は、1つのバンクにおける管理装置Mのみに接続されている。したがって接続管理装置として、「バンク」が設定されている。同一の設置場所に他のバンクが存在することを考慮して、バンクの識別番号が共に設定されていてもよい。他の通信デバイス1との関係としては、「下層なし」(下層即ちモジュールには管理装置M及び他の通信デバイス1は存在していない)が設定されている。
図7Bに示す例では識別情報として、ロケーションID及びマイナIDが設定されている。
【0058】
図8は、通信デバイス1で記憶される設定情報の他の内容例を示す図である。
図8Aは、
図5の接続形態におけるドメインの管理装置Mに接続されている通信デバイス1aに記憶されている設定情報を示している。
図8A及び
図8Bに対応する
図5の接続形態では、複数の通信デバイス1a-1nが階層構造で接続されている。
図5におけるドメインの管理装置Mに接続されている通信デバイス1aでは、
図8Aに示すように、接続管理装置として「ドメイン」が設定されており、その「ドメイン」の識別番号が設定されている。通信デバイス1aでは、他の通信デバイス1との関係としては、「下層あり」(下層即ちバンクの管理装置Mに他の通信デバイス1b-1nが存在する)が設定されている。
【0059】
図8Bは、バンク(#2)の管理装置Mに接続されている通信デバイス1cに記憶されている設定情報を示している。他のバンクの通信デバイス1b,…,1nにおける設定情報は
図8Bと同様であるので説明を省略する。
図5におけるバンク(#2)の管理装置Mに接続されている通信デバイス1cでは、
図8Bに示すように、接続管理装置として「バンク」が設定されており、その「バンク」の識別番号(#2)が設定されている。バンクが所属しているドメインの識別番号(#1)も設定されている。通信デバイス1cでは、他の通信デバイス1との関係としては、「下層なし」(下層即ち蓄電モジュールには管理装置M及び他の通信デバイス1は存在していない)が設定されている。
【0060】
図7及び
図8に例示した設定情報に基づく各通信デバイスにおける処理手順について説明する。
図9は、各通信デバイス1の情報の送信手順の一例を示すフローチャートである。通信デバイス1の制御部10は、起動している間は継続して以下の処理手順を繰り返す。
【0061】
制御部10は、状態を取得するための所定タイミングであるか否かを判断する(ステップS201)。所定タイミングとは、周期時間経過、記憶部11に記憶している情報(所定単位)の数、情報の量が、所定の設定時間若しくは数量に達したか、又は管理装置Mからの通知があったか等である。所定タイミングでないと判断された場合(S201:NO)、所定タイミングであると判断されるまで待機する。
【0062】
制御部10は、所定タイミングであると判断された場合(S201:YES)、接続している管理装置Mにて取得される蓄電モジュール群Lにおける蓄電素子の状態の情報を、管理装置Mから取得する(ステップS202)。制御部10は、取得した情報を時間情報と共に記憶部11に記憶する(ステップS203)。
【0063】
制御部10は、設定情報を参照し(ステップS204)、下層に他の通信デバイス1が存在する(下層あり)か否かを判断する(ステップS205)。下層に他の通信デバイス1が存在すると判断された場合(S205:YES)、制御部10は、設定情報が示す接続管理装置の階層における状態を記述したデータを、ステップS202で取得した情報に基づき作成する(ステップS206、「作成部」に相当)。ステップS206は管理装置Mにて実行されてもよい。ステップS206で作成されるデータは、管理装置Mにて電流、電圧、温度の平均を算出するなど演算が実行された階層毎の状態情報及び時間情報を含む。データの形式はテキストデータファイル、表計算アプリケーションプログラムで扱われるCSVファイル等である。情報を時系列に示すグラフ、又は該グラフを画像化したデータファイルであってもよい。制御部10は、作成したデータを、設定情報が示す接続管理装置の階層に対応するフォルダとして記憶部11又は内蔵RAMに一時的に記憶する(ステップS207)。フォルダとして記憶する処理は、取得した状態情報及び作成した状態情報を記述した複数のデータファイルを、接続している階層に対応する同一ディレクトリ名(又はパス名)を付与することを含む。ステップS205の処理は上層に他の通信デバイス1が存在するか否かを判断してもよい。
【0064】
制御部10は、作成したデータの送信タイミングであるか否かを判断する(ステップS208)。ステップS208における送信タイミングの判断は、ステップS201同様に周期時間経過、記憶部11に記憶している情報数、情報量が、所定の設定時間若しくは数量に達したか、又は、サーバ装置2から問い合わせがあったか等である。
【0065】
ステップS208で送信タイミングであると判断された場合(S208:YES)、制御部10は、記憶部11又は内蔵RAMに記憶してあるフォルダを圧縮処理する(ステップS209)。制御部10は、ステップS204で参照した設定情報に含まれる自装置(通信デバイス1)の接続管理装置及び識別情報を対応付けて、圧縮処理後のフォルダを、設定情報に含まれるサーバ装置2のグローバルアドレスに基づいてサーバ装置2へ送信する(ステップS210、「送信部」に相当)。制御部10は処理を終了し、再度ステップS201以降の処理が開始される。
【0066】
ステップS208にて送信タイミングでないと判断された場合(S208:NO)、制御部10はそのまま処理を終了し、再度ステップS201からの処理が開始される。
【0067】
ステップS205にて、他の通信デバイス1が存在しない(下層なし)と判断された場合(S205:NO)、制御部10は、設定情報が示す接続管理装置の階層における状態を記述したデータを、ステップS202で取得した情報に基づき作成する(ステップS211)。制御部10は、下層の管理装置Mから下層における状態を取得し(ステップS212)、下層における状態を記述したデータを作成する(ステップS213)。ステップS211及びS213は管理装置Mにて実行されてもよい。ステップS211,S213で作成されるデータは、各階層での電流、電圧、温度の平均を算出するなど演算が実行された階層毎の状態情報及び時間情報を含む。データの形式はテキストデータファイル、表計算に係るCSVファイル等である。情報を時系列に示すグラフ、又は該グラフを画像化したデータファイルであってもよい。
【0068】
制御部10は、各管理装置Mから取得した状態情報、ステップS213で作成されたデータを下位層に対応するサブフォルダ内に含み、ステップS211で作成されたデータを含む階層状のフォルダとして記憶部11又は内蔵RAMに記憶する(ステップS214)。制御部10は処理をステップS208へ進める。
【0069】
図10及び
図11は、サーバ装置2へ送信されるデータの内容例を示す図である。
図10及び
図11に示すデータの階層構造は、
図3-
図5夫々に示した蓄電素子の階層構造及び通信デバイス1の接続形態に対応し、
図9のフローチャートに示した処理手順により作成されるフォルダ、圧縮処理されるフォルダを模式的に示している。
【0070】
図10Aは、
図3に示したドメイン及びバンクを含む蓄電素子の階層構造と、ドメインの管理装置Mのみに接続している通信デバイス1の接続形態に対応している。1つのドメインに複数のバンクが含まれる階層構造において、ドメインの管理装置Mのみに通信デバイス1が接続されている。この場合、通信デバイス1が各層の管理装置Mから得られる情報を含むデータファイルを、
図10Aに示すように階層化されたデータ構造のサブフォルダに収容したフォルダFAを作成する。通信デバイス1は、サーバ装置2へデータを送信するに際し、フォルダFAを圧縮処理したフォルダZFAを作成して送信する。
【0071】
図10Bは、
図4に示した単一のバンクの蓄電素子の階層構造と、当該バンクの管理装置Mのみに接続している通信デバイス1の接続形態に対応している。1つのバンクのみの階層構造において、そのバンクの管理装置Mのみに通信デバイス1が接続されている。この場合、通信デバイス1が、各蓄電モジュールの制御基板によって得られるデータを管理装置Mから取得し、
図10Bに示すように階層化されたデータ構造のサブフォルダに収容したフォルダFBを作成する。通信デバイス1は、サーバ装置2へデータを送信するに際し、フォルダFBを圧縮処理したフォルダZFBを作成して送信する。
【0072】
図11は、
図5に示したドメイン及びバンクを含む蓄電素子の階層構造と、ドメイン及びバンク夫々の管理装置Mに接続している複数の通信デバイス1の接続形態に対応している。ドメインの管理装置M及びバンクの管理装置M夫々に通信デバイス1が接続されている。通信デバイス1の内、ドメインに接続されている通信デバイス1aは、制御部10が下層ありと判断するので、下層の状態は取得せず、設定情報(
図8A)が示す接続管理装置の階層の状態を記述したデータを収容したフォルダFCaを作成する。フォルダFCaは、下層の状態のデータを含むサブフォルダを含まない。バンクに接続されている通信デバイス1b,1c,…,1nは、制御部10が下層なしと判断し、設定情報(
図8B)が示す接続管理装置の階層の状態を記述したデータ、及び複数の蓄電モジュール夫々のデータを含むフォルダを階層的に含むフォルダFCb,FCc,…,FCnを夫々作成する。各通信デバイス1a,1b,1c,…,1nは、作成したフォルダを圧縮処理したフォルダZFCa,ZFCb,ZFCc,…,ZFCnを作成してサーバ装置2へ送信する。
【0073】
図12は、サーバ装置2におけるデータ取得手順の一例を示すフローチャートである。サーバ装置2では、制御部20が通信デバイス1から送信されるデータ(フォルダ)を受信する(ステップS301)。制御部20は、受信したデータに対応付けられている接続管理装置及び識別情報に基づき、階層構造の上下に相当する他のデータ(フォルダ)が記憶部21に記憶されているか否かを判断する(ステップS302)。ステップS302にて制御部20は例えば、同一のロケーションID及びマイナIDを有しているドメイン及びバンクを夫々接続管理装置とする通信デバイス1からのデータ(フォルダ)を受信した場合、相互に上下に相当すると判断する。
【0074】
ステップS302にて他のデータが既に記憶部21に記憶されていると判断された場合(S302:YES)、制御部20は、対応する他のデータ(フォルダ)と、ステップS301で受信したデータとを階層構造として記憶部21におけるデータを更新し(ステップS303)、処理を終了する。
【0075】
ステップS302にて他のデータが記憶されていないと判断された場合(S302:NO)、制御部20は、受信したデータを記憶部21に記憶し(ステップS304)、処理を終了する。
【0076】
図13は、サーバ装置2におけるデータ取得の具体例を示す図である。
図13に示す例は、
図5に示した蓄電素子の階層構造及び複数の通信デバイス1の接続形態に対応しており、サーバ装置2は、
図11に示したように通信デバイス1a,1b,1c,…1nから夫々圧縮処理して送信されるフォルダZFCa,ZFCb,ZFCc,…,ZFCnを受信する。サーバ装置2の制御部20は、通信デバイス1aから受信するフォルダZFCaを受信するに際し、対応するロケーションID「12345 」、マイナID「(000001)1系」、接続管理装置がドメインであってその識別番号が「1」である識別情報及び接続管理装置の情報を受信する。制御部20は、通信デバイス1b,1c,…等から受信するフォルダZFCb,ZFCc,…等を受信するに際し、対応するロケーションID「12345 」(識別番号)、マイナID「(000001)1系」(識別番号と名称)、接続管理装置がバンクであること及びその識別番号である識別情報及び接続管理装置の情報を受信する。
【0077】
サーバ装置2の制御部20は、ロケーションID及びマイナIDが同一であり、一方の接続管理装置がドメイン、他方の接続管理装置がバンクであることを認識することができ、階層の上下に相当するデータが記憶されていると判断する(S302:YES)。制御部20は、バンクに対応するフォルダZFCb,ZFCc,…を解凍したフォルダFCb,FCc,…を、解凍済みのドメインに対応するフォルダFCa内に階層化(ディレクトリ名又はパス名を再決定)して、記憶部21に保存(更新)する(S303)。
【0078】
サーバ装置2の制御部20は、ロケーションIDが同一(又はマイナID、後述のグループIDも同一)であって夫々識別番号が異なるドメインに相当するフォルダを複数受信した場合、同一のシステム内に含まれる複数のドメインのデータであると認識することが可能である。
【0079】
このように、各階層に通信デバイス1が存在する場合、上位層の通信デバイス1は下位層のデータを重複して送信しないようにしつつも、サーバ装置2にて相互に上下の階層に相当するデータであることを認識することができる。サーバ装置2は、ドメインに1つの通信デバイス1が接続されている構成と同様に、各階層の管理装置Mから得られる状態情報を含むデータを、蓄電素子の階層構造に合わせたデータ構造にて記憶することができる。
【0080】
図14-
図19は、サーバ装置2により提示される画面例を示す図である。遠隔監視システム100を利用するべくユーザ(オペレータ)がクライアント装置3を用い、サーバ装置2のWebサーバから提供されるログイン画面を介してログインを行なう。クライアント装置3ではサーバ装置2から送信される画面情報に基づき、ログイン情報により抽出されたシステム又は装置の名称の一覧を含むWeb画面330を
図14に示すように表示部33に表示させる。
図14の例であれば、
図1に示したメガソーラー発電システムSの「XY市メガソーラーシステム」、火力発電所システムFの「WZ発電所システム」等の名称が夫々、識別情報(ロケーションID)と共にリンクとして表示されている。
【0081】
サーバ装置2から提供されるWeb画面330には、「システム検索」、「寿命予測」、「ダウンロード」、「レポート」等のメニュー331が含まれる。メニュー331には「新規登録」、及び「編集」が含まれる。Web画面330には、ログアウト又は終了操作のためのボタン332が含まれている。
【0082】
図14のWeb画面330にて「新規登録」又は「編集」を選択することにより、新規に登録するシステム又は選択されているシステムに含まれる蓄電素子の階層構造、これらの蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイス1の接続形態の設定、ネットワーク設定等を手動で行なうことが可能である。上述したように、蓄電モジュール群Lにおける通信デバイス1の設置場所にて、
図6のフローチャートに示した手順さえ行なっておけば、これらの「新規登録」又は「編集」で設定作業を行なわずとも、蓄電素子の階層構造に応じた情報提示を自動的に行なうことが可能である。
【0083】
図15及び
図16は、システム毎に情報が一括して表示される画面例を示す図である。
図15及び
図16は、サーバ装置2が、通信デバイス1から得られるデータに基づき、蓄電モジュール群Lの階層構造を自動的に認識して表示するステップS206により表示される画面例である。具体的には、
図15は、
図14に表示されたWeb画面330で多数の蓄電モジュール群Lが使用されている「XY市メガソーラーシステム」(ロケーションID:12345 )がクライアント装置3の操作部34の操作により選択された場合に表示部33に表示される画面である。
図15の画面例では、「XY市メガソーラーシステム」が用いている蓄電システム101のシステム構成に合わせ、複数のバンクを夫々含む複数のドメインから構成された蓄電モジュール群L夫々を識別する名称(識別番号)を含むアイコン333が表示されている。蓄電モジュール群Lについてはその階層構造を展開するための「+」アイコン334と、各々の詳細情報を表示するためのアイコン335と、詳細情報(リアルタイム)を表示させるためのアイコン336とが配置されている。アイコン336は、蓄電モジュール群Lに接続されている通信デバイス1の識別情報(デバイスID)と共に配置されている。
【0084】
図16は、
図15の蓄電モジュール群Lについての階層構造を展開するためのアイコン334が選択された場合に表示される画面例である。「XY市メガソーラーシステム」の蓄電システム101は、
図3又は
図5に示したように、各々n個(nは自然数。本実施形態では12個)のセルを含むモジュールを複数直列させたバンクを、複数並列に持つドメインを複数有する構成の蓄電モジュール群Lを持っている。
図16に示すように、ドメインの1つに対応するアイコン334が選択されると、該ドメインに所属するバンクに対応するリストが展開される。同様に1つのバンクに対応するアイコン334が選択されると、該バンクに所属する蓄電モジュールのリストが展開される。蓄電モジュールは各々n個のセルを含んでおり、クライアント装置3の操作部34の操作により、画面330上で蓄電モジュールの1つが選択されると該モジュールに含まれるセルのリスト(イメージ)が展開される。この階層構造は、
図13に示したように通信デバイス1から得られる階層化済みのデータによりサーバ装置2にて認識される。
図16では、詳細情報を取得するためのアイコン336は、通信デバイス1が搭載/接続されている管理装置Mに対応する階層に配置されている。アイコン336の配置例は、
図16には限らない。通信デバイス1がドメインの管理装置Mのみに接続されている場合(
図3)、ドメインのみにアイコン336が配置される。
【0085】
図17は、詳細情報の表示例を示す図である。
図17は、
図16中の蓄電モジュール群Lのドメインに対応する階層のアイコン335が選択された場合に表示されるページの一例である。
図17では「ドメイン情報」として、ドメインの状態(正常/異常)、ドメインに含まれるバンクの数(総バンク数)、全バンク中で稼働しているバンクの数(稼働バンク数)、そのドメインの総電圧、電流、セル電圧、SOC、温度の分布(最高値、平均値、及び最低値)を表示している。これらの情報は、ドメインの管理装置M又は該管理装置Mに接続されている通信デバイス1により作成された階層毎の状態情報のデータに基づき表示される。「データ日時」も表示部33におけるWeb画面330に表示されている。「データ日時」は通信デバイス1により作成された階層毎のデータに含まれる時間情報に基づく。「ドメイン情報」には、そのドメインに含まれるバンクの詳細情報へのリンクがバンクの数分、含まれている。
【0086】
図18は、詳細情報の表示例を示す図である。
図18は、
図16中のバンクに対応する階層のアイコン335が選択された場合に表示されるページの一例である。
図17中でバンクの詳細情報へのリンクが選択された場合にもこのページが表示される。
図18では「バンク情報」として、バンクの状態(正常/異常)、バンクに含まれるモジュールの数(モジュール数)、そのバンクの総電圧、電流値及びSOC、バンクに含まれる電圧及び温度の分布を表示している。これらの情報は、バンクの管理装置M又は該管理装置Mに接続されている通信デバイス1により作成された階層毎の状態情報のデータに基づき表示される。「データ日時」も表示部33におけるWeb画面330に表示されている。「バンク情報」には、そのバンクに含まれる蓄電モジュールの詳細情報へのリンクが、モジュールの数分、含まれている。
【0087】
図19は、詳細情報の表示例を示す図である。
図19は、
図16中のモジュールに対応する階層のアイコン335が選択された場合に表示されるページの一例である。
図18中でモジュールの詳細情報へのリンクがクライアント装置3の操作部34の操作により選択された場合にもこのページが表示される。
図19では「モジュール情報」として、蓄電モジュールに含まれる各セルの電圧、及び2つのセル群に設けられている温度センサの出力が表示されている。
図19にて表示される情報は、蓄電モジュール内の管理装置Mを介して通信デバイス1にて取得されたデータに基づく。
【0088】
図17から
図19に表示された蓄電モジュール群Lの階層毎のページの画面は例示であって、例えばドメインとして集約されておらず、蓄電モジュール群Lが複数のバンクが並列して構成されているといった場合(
図4に示すバンクが複数)は、最上位層はバンクとして表示される。蓄電モジュール群Lが、1つのバンク即ち、直列に例えば16個接続された蓄電モジュールで構成されているのみであれば(
図4)、対応する通信デバイス1から得られるモジュール情報(
図18)のみが表示される。
【0089】
このようにして、通信デバイス1にて、蓄電素子の階層構造及び他の通信デバイス1との接続形態に応じてデータを階層化してサーバ装置2へ送信することにより、
図14-
図19に示した階層構造に応じた情報提示を、サーバ装置2にて手作業による設定を行なわずとも可能になる。
【0090】
図14のWeb画面330にて「編集」を選択することにより、選択されているシステムに含まれる蓄電素子の階層構造、これらの蓄電素子又は電源関連装置に接続されている通信デバイス1の接続形態、ネットワーク設定等を手動で行なうことが可能である。サーバ装置2にて認識した階層構造に誤りがあった場合、又は提示する形式を変更したい場合には、「編集」の選択によってユーザ(オペレータ)の意図する情報提示をすることも可能である。「編集」には、蓄電素子又は電源関連装置のグループ化を設定する機能が含まれてもよい。
図15に示したように多数の蓄電モジュール群Lが含まれる蓄電システム101等では、特定の蓄電モジュール群Lのみを表示したり、レポート、寿命予測の取得対象としたり、例えば蓄電素子の使用開始時期で分別して管理したり等、情報のグループ分けの必要が生じる可能性がある。
【0091】
図20は、グループ分けを受け付ける画面例を示す図である。
図20に示すWeb画面330には、第1及び第2選択メニュー337,338、デバイス選択画面339並びに移動ボタン340が含まれている。グループ分けを行なう画面では、編集元のグループ(
図20ではデバイス全て)を選択する第1選択メニュー337と編集先(移動先)のグループを選択する第2選択メニュー338とが含まれている。第2選択メニュー338には初期的に、第1のグループと、グループの追加メニューとが選択可能に含まれている。同一のシステム内の通信デバイス1は初期的に全て、第1グループに含まれており、各通信デバイス1の識別情報が第1グループの識別情報(番号)と対応付けて記憶部21に記憶してある。デバイス選択画面339には第1及び第2選択メニュー337,338で選択されているグループに振り分けられている通信デバイス1の一覧が表示されている。移動ボタン340は、デバイス選択画面339内で選択された通信デバイス1の移動を受け付ける。新たなグループ分けを行ないたい場合、クライアント装置3の操作部34の操作により、第2選択メニュー338でグループを追加する。第1選択メニュー337で選択しているグループの通信デバイス1の内、クライアント装置3の操作部34の操作により選択された通信デバイス1に対し、当該通信デバイス1を移動ボタン340が選択された場合、第2選択メニュー338で選択しているグループへ移動することができる。サーバ装置2では、移動した通信デバイス1の識別情報を、移動先のグループの識別情報(番号)を対応付けて記憶部21に記憶する。
【0092】
このように通信デバイス1から送信されるデータを階層化しておくことで、サーバ装置2にて自動的に階層化されたデータを得て、蓄電モジュール群Lの階層構造に合わせたWebページをサーバ装置2から提示することができる。非常に多くの蓄電セルを含む大規模な蓄電システムについては、ドメインレベル、バンクレベル、モジュールレベル、セルレベルのように、階層状に(ブレークダウンして)情報が表示されることが好ましい。非常に多くの蓄電セルを含んでいる場合であっても上述したように、蓄電モジュール群Lの階層構造についての手動による設定操作を行なう必要がない。
【0093】
サーバ装置2は、階層構造を持つ蓄電モジュール群Lに限らず、パワーコンディショナP等の電源関連装置についての情報も提示することが可能である。通信デバイス1は、複数台のパワーコンディショナPが直列的に接続されている場合、上述のように、いずれか代表となるパワーコンディショナPの制御ユニットに搭載/接続されている。代表のパワーコンディショナPに接続されている通信デバイス1は、制御ユニット間の通信により、パワーコンディショナPが接続されている数と、接続順に応じて各パワーコンディショナPの状態とを含むデータを作成し、サーバ装置2へ送信する。サーバ装置2はこのデータを受信することにより、パワーコンディショナPの数、接続形態について自動的に認識して情報を提示することができる。
【0094】
通信デバイス1から、蓄電素子又は電源関連装置毎の状態を含むデータを、識別情報と対応付けてサーバ装置2へ送信するのみでは、接続形態又は階層構造に合わせたデータ構造を記憶することはできない。この場合、サーバ装置2にて、識別情報どうしの関係性についてオペレータからの設定操作を受けるなどして記憶しておく必要がある。蓄電素子(モジュール又はセル)等が単純に直列に接続されているとしても、接続の順番はサーバ装置2にて、識別番号1、識別番号2、識別番号3、…の順であるなどの情報が記憶されていなければ、接続形態に応じた各蓄電素子の情報の提示はできない。ましてや階層構造の場合、識別番号1に対して下位に識別番号4,5がぶら下がっている、などの設定がされていなければ階層構造を反映した情報の表示は不可能である。これに対し、通信デバイス1は接続形態又は階層構造に応じたデータ構造を既に作成してから送信している。単純に直列接続されている場合であっても、通信デバイス1にて例えば直ぐ上流の通信デバイス1の識別番号、下流の通信デバイス1の識別番号を記憶しておき、これらの情報を基に数珠つなぎとしたデータを送信し、サーバ装置2にてその順番で各蓄電素子又は電源関連装置の直列接続状態を含めたデータの記憶及び情報提示が可能になる。
【0095】
上述した実施の形態では、ドメイン及びバンクの階層構造を持つ蓄電素子について、階層状の状態の提示を自動的に行なうことについて説明した。無停電電源装置U、整流器Dに含まれる蓄電素子を複数接続させた蓄電モジュール群Lを並列に接続する場合も、同様の処理が適用できる。
【0096】
上述のように開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
1 通信デバイス
10 制御部
11 記憶部
1P デバイスプログラム
2 サーバ装置
20 制御部
21 記憶部
2P サーバプログラム