(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】情報収集装置、情報収集システム、情報収集方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20230214BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20230214BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230214BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20230214BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20230214BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20230214BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20230214BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20230214BHJP
H04W 72/566 20230101ALI20230214BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G08G1/09 F
G08G1/16 D
H04W72/04 131
H04W4/44
H04W4/38
H04W72/04 132
H04W72/10
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2018233342
(22)【出願日】2018-12-13
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】小川 明紘
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-159098(JP,A)
【文献】特開2017-045129(JP,A)
【文献】特開2018-182661(JP,A)
【文献】特開2017-004177(JP,A)
【文献】特開2010-028637(JP,A)
【文献】特開2010-178296(JP,A)
【文献】特開2010-262357(JP,A)
【文献】特開2010-140135(JP,A)
【文献】特開2010-103945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
H04B 7/22- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04M 7/00- 7/16、11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集部と、
前記収集部により収集された前記センサデータから俯瞰情報を生成する生成部と、
前記センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、前記交通参加者の位置を特定する交通参加者特定部と、
前記交通参加者特定部により特定された前記複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、前記監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定部と、
前記複数の車載装置がそれぞれ搭載された前記交通参加者である複数の車両と、前記監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定部と、
前記優先度判定部による判定結果に応じて、前記基地局に対して、前記複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信部とを含み、
前記交通参加者は、車両及び人を含む、情報収集装置。
【請求項2】
前記優先度判定部は、
前記複数の車載装置のうち、所定時間内に前記監視対象エリアに到達可能な車両であり、且つ、当該車両の車載センサが遮蔽されていない車両に搭載されている車載装置を第1優先度に設定し、
前記複数の車載装置のうち、前記所定時間内に前記監視対象エリアに到達不可能な車両、又は、前記所定時間内に前記監視対象エリアに到達可能な車両であり、且つ、当該車両の車載センサが遮蔽されている車両に搭載されている車載装置を第2優先度に設定し、
前記複数の車載装置のうち、前記監視対象エリアから離脱する車両に搭載されている車載装置を第3優先度に設定し、
前記第3優先度は、前記第1優先度よりも低く、前記第2優先度よりも高く、
前記送信部は、前記複数の車載装置をそれぞれ特定する情報と前記優先度判定部により設定された優先度とを対応させて前記基地局に送信する、請求項1に記載の情報収集装置。
【請求項3】
前記監視対象エリア特定部は、前記交通参加者が要監視状態にあれば、当該交通参加者を前記監視対象として特定し、
前記要監視状態は、事故発生状態、及び、事故が起こる可能性が高い状態を含む、請求項1又は2に記載の情報収集装置。
【請求項4】
前記監視対象エリア特定部は、前記監視対象エリアを、前記監視対象を中心とする所定半径の円形領域として特定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項5】
前記監視対象エリア特定部は、前記監視対象が所定範囲内に複数存在すれば、当該複数の監視対象の重心位置を中心とする所定半径の円形領域として、前記監視対象エリアを特定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項6】
前記監視対象エリアの前記所定の大きさは、前記車載装置が送信する前記センサデータを生成するセンサの種類に応じて設定される、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項7】
前記無線通信リソースは、タイムスロット、周波数スロット、TTI、リソースブロック、及び符号化方式の少なくともいずれか1つを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の情報
収集装置。
【請求項8】
前記収集部により収集された前記センサデータに対して解析処理を実行する解析処理部と、
前記優先度判定部による判定結果に応じて、前記解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、前記収集部により前記センサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整するリソース調整部とをさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報収集装置。
【請求項9】
前記解析リソースは、解析処理を実行する演算素子の演算時間、解析処理を実行するときに使用されるメモリ容量、及び、タスクの実行順序の少なくともいずれか1つを含み、
前記収集リソースは、センサデータの受信時に使用されるバッファ容量、通信プロトコルのリソース、センサデータの送信頻度、及び、センサデータの解像度の少なくともいずれか1つを含む、請求項8に記載の情報収集装置。
【請求項10】
複数の車載装置と、
前記複数の車載装置から送信されるセンサデータを収集し、俯瞰情報を生成するサーバコンピュータと、
前記複数の車載装置と無線通信する基地局と含み、
前記サーバコンピュータは、
前記複数の車載装置から前記基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集部と、
前記収集部により収集された前記センサデータから俯瞰情報を生成する生成部と、
前記センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、前記交通参加者の位置を特定する交通参加者特定部と、
前記交通参加者特定部により特定された前記複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、前記監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定部と、
前記複数の車載装置がそれぞれ搭載された前記交通参加者である複数の車両と、前記監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定部と、
前記優先度判定部による判定結果に応じて、前記基地局に対して、前記複数の車載装置のそれぞれに割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信部とを含み、
前記交通参加者は、車両及び人を含み、
前記基地局は、前記指示にしたがって、前記複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する、情報収集システム。
【請求項11】
複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集ステップと、
前記収集ステップにより収集された前記センサデータから俯瞰情報を生成する生成ステップと、
前記センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、前記交通参加者の位置を特定する交通参加者特定ステップと、
前記交通参加者特定ステップにより特定された前記複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、前記監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定ステップと、
前記複数の車載装置がそれぞれ搭載された前記交通参加者である複数の車両と、前記監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定ステップと、
前記優先度判定ステップによる判定結果に応じて、前記基地局に対して、前記複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信ステップとを含み、
前記交通参加者は、車両及び人を含む、情報収集方法。
【請求項12】
コンピュータに、
複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集機能と、
前記収集機能により収集された前記センサデータから俯瞰情報を生成する生成機能と、
前記センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、前記交通参加者の位置を特定する交通参加者特定機能と、
前記交通参加者特定機能により特定された前記複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、前記監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定機能と、
前記複数の車載装置がそれぞれ搭載された前記交通参加者である複数の車両と、前記監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定機能と、
前記優先度判定機能による判定結果に応じて、前記基地局に対して、前記複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信機能とを実行させ、
前記交通参加者は、車両及び人を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集装置、情報収集システム、情報収集方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
街頭監視カメラ等の固定設置されたセンサ(以下、インフラセンサともいう)により取得したセンサデータ(画像データ等)をサーバコンピュータ(以下、単にサーバという)にアップロードし、解析して監視するシステムが提案されている。また、自動車及び自動二輪車等(以下、車両という)に種々のセンサを搭載し、これらのセンサデータを無線通信によりサーバにアップロードし、サーバにより解析して運転支援のために使用することが提案されている。
【0003】
車両に搭載されたセンサ(以下、車載センサともいう)だけでは、車載センサの検知範囲内で、走行中の道路上における情報を取得することはできるが、車載センサの検知範囲を超えた走行中の道路の情報は取得することができない。また、走行中の道路と交差する道路に関する情報は、車載センサの検知範囲内であっても、道路周辺の建造物等により遮蔽されて取得することができず、死角領域が生じてしまう。したがって、車載センサのセンサデータと、インフラセンサによるセンサデータとを合わせて収集及び解析し、運転支援のために使用することが好ましい。
【0004】
移動体における無線通信によるデータ収集に関して、例えば、後掲の特許文献1には、路上に設置された路側機と車両に搭載された車載機との間の路車間通信データ量を観測し、路車間通信、及び車載機同士の間の車車間通信に必要な通信リソース(タイムスロット、周波数スロット、又は拡散符号等)を算出し、リソースが不足する場合、周辺車両毎の危険度を判定し、危険度の高い車両から順にリソースを割当てる車両通信システムが開示されている。この車両通信システムでは、危険度は、車両の挙動(例えば、車速/加速度)、車両の操作(例えば、アクセル、ブレーキ)、運転者の状態(例えば、生体情報)に基づいて各車両で算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アップロードされたセンサデータから運転支援情報を生成して提供する場合、複数の車載センサ及び複数のインフラセンサから得たセンサデータの解析結果を、道路地図と統合して、交通状況を示す情報(以下、俯瞰情報ともいう)を生成することが考えられる。俯瞰情報は、車載センサ及び複数のインフラセンサからアップロードされたセンサデータを基に、短い周期で適宜更新されることが好ましい。また、俯瞰情報の情報量は、各場所における交通状況に応じて変更されることが好ましい。例えば、事故が起こる可能性が高い危険な状態等の監視すべき状態においては、速やかにその状態に関するより多くのセンサデータを取得して交通状況を示す情報に反映できればより好ましい。そのためには、多数の無線通信端末(車載装置等)が存在する交通状況下において、緊急度の高いセンサデータの通信を優先的に行なえるようにすることが好ましい。
【0007】
特許文献1では、車両毎に危険度が算出されるため、車両及び歩行者等(以下、交通参加者ともいう)の挙動の組合せで発生する複雑な交通状況に対応することはできない。
【0008】
したがって、本発明は、交通状況に応じた通信速度でセンサデータを収集して俯瞰情報に反映でき、要監視状態に関連するセンサデータを優先的に俯瞰情報に反映できる情報収集装置、情報収集システム、情報収集方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面に係る情報収集装置は、複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集部と、収集部により収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成部と、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定部と、交通参加者特定部により特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定部と、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定部と、優先度判定部による判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信部とを含み、交通参加者は、車両及び人を含む。
【0010】
本発明の別の局面に係る情報収集システムは、複数の車載装置と、複数の車載装置から送信されるセンサデータを収集し、俯瞰情報を生成するサーバコンピュータと、複数の車載装置と無線通信する基地局と含み、サーバコンピュータは、複数の車載装置から基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集部と、収集部により収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成部と、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定部と、交通参加者特定部により特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定部と、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定部と、優先度判定部による判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信部とを含み、交通参加者は、車両及び人を含み、基地局は、指示にしたがって、複数の車載装置のそれぞれに割当てる無線通信リソースを調整する。
【0011】
本発明のさらに別の局面に係る情報収集方法は、複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集ステップと、収集ステップにより収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成ステップと、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定ステップと、交通参加者特定ステップにより特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定ステップと、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定ステップと、優先度判定ステップによる判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信ステップとを含み、交通参加者は、車両及び人を含む。
【0012】
本発明のさらに別の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集機能と、収集機能により収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成機能と、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定機能と、交通参加者特定機能により特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定機能と、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定機能と、優先度判定機能による判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信機能とを実行させ、交通参加者は、車両及び人を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、本発明は、交通状況に応じた通信速度でセンサデータを収集して俯瞰情報に反映でき、要監視状態に関連するセンサデータを優先的に俯瞰情報に反映できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る情報収集システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る情報収集システムによるセンサデータ収集時の交通状況を示す平面図である。
【
図3】
図3は、サーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、車載装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、インフラセンサの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、サーバの処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、基地局の処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、変形例に係るサーバの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0016】
(1)本発明の第1の局面に係る情報収集装置は、複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集部と、収集部により収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成部と、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定部と、交通参加者特定部により特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定部と、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定部と、優先度判定部による判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信部とを含み、交通参加者は、車両及び人を含む。これにより、交通状況に応じた通信速度でセンサデータを収集して俯瞰情報に反映できる。
【0017】
(2)好ましくは、優先度判定部は、複数の車載装置のうち、所定時間内に監視対象エリアに到達可能な車両であり、且つ、当該車両の車載センサが遮蔽されていない車両に搭載されている車載装置を第1優先度に設定し、複数の車載装置のうち、所定時間内に監視対象エリアに到達不可能な車両、又は、所定時間内に監視対象エリアに到達可能な車両であり、且つ、当該車両の車載センサが遮蔽されている車両に搭載されている車載装置を第2優先度に設定し、複数の車載装置のうち、監視対象エリアから離脱する車両に搭載されている車載装置を第3優先度に設定し、第3優先度は、第1優先度よりも低く、第2優先度よりも高く、送信部は、複数の車載装置をそれぞれ特定する情報と優先度判定部により設定された優先度とを対応させて基地局に送信する。これにより、車載装置が搭載された車両に搭載された車載センサから、交通状況に応じて適切なセンサデータを収集できる。
【0018】
(3)より好ましくは、監視対象エリア特定部は、交通参加者が要監視状態にあれば、当該交通参加者を監視対象として特定し、要監視状態は、事故発生状態、及び、事故が起こる可能性が高い状態を含む。これにより、交通に重大な影響を与える状態及びその可能性がある状態に関する情報を俯瞰情報に反映でき、事故の発生を抑制できる。
【0019】
(4)さらに好ましくは、監視対象エリア特定部は、監視対象エリアを、監視対象を中心とする所定半径の円形領域として特定する。これにより、監視対象エリアを容易に規定することができる。
【0020】
(5)好ましくは、監視対象エリア特定部は、監視対象が所定範囲内に複数存在すれば、当該複数の監視対象の重心位置を中心とする所定半径の円形領域として、監視対象エリアを特定する。これにより、個々の監視対象の位置を基準として監視対象エリアを特定する場合よりも効率的に、後続の優先度判定を行なうことができる。
【0021】
(6)より好ましくは、監視対象エリアの所定の大きさは、車載装置が送信するセンサデータを生成するセンサの種類に応じて設定される。これにより、俯瞰情報の生成に有効なセンサデータを収集でき、不要なセンサデータの収集を抑制できる。
【0022】
(7)さらに好ましくは、無線通信リソースは、タイムスロット、周波数スロット、TTI、リソースブロック、及び符号化方式の少なくともいずれか1つを含む1つを含む。これにより、複数の車載装置のそれぞれから送信されるセンサデータを適切に収集できる。
【0023】
(8)好ましくは、情報収集装置は、収集部により収集されたセンサデータに対して解析処理を実行する解析処理部と、優先度判定部による判定結果に応じて、解析処理を実行するために使用されるリソースである解析リソース、及び、収集部によりセンサデータを収集するために使用されるリソースである収集リソースの少なくとも一方のリソースを調整するリソース調整部とをさらに含む。これにより、優先度の低いセンサデータの収集又は解析を抑制し、優先度の高いセンサデータを優先的に収集又は解析できる。
【0024】
(9)より好ましくは、解析リソースは、解析処理を実行する演算素子の演算時間、解析処理を実行するときに使用されるメモリ容量、及び、タスクの実行順序の少なくともいずれか1つを含み、収集リソースは、センサデータの受信時に使用されるバッファ容量、通信プロトコルのリソース、センサデータの送信頻度、及び、センサデータの解像度の少なくともいずれか1つを含む。これにより、複数の車載装置のそれぞれから送信されるセンサデータを適切に収集又は解析できる。
【0025】
(10)本発明の第2の局面に係る情報収集システムは、複数の車載装置と、複数の車載装置から送信されるセンサデータを収集し、俯瞰情報を生成するサーバコンピュータと、複数の車載装置と無線通信する基地局と含み、サーバコンピュータは、複数の車載装置から基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集部と、収集部により収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成部と、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定部と、交通参加者特定部により特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定部と、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定部と、優先度判定部による判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信部とを含み、交通参加者は、車両及び人を含み、基地局は、指示にしたがって、複数の車載装置のそれぞれに割当てる無線通信リソースを調整する。これにより、交通状況に応じた通信速度でセンサデータを収集して俯瞰情報に反映できる。
【0026】
(11)本発明の第3の局面に係る情報収集方法は、複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集ステップと、収集ステップにより収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成ステップと、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定ステップと、交通参加者特定ステップにより特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定ステップと、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定ステップと、優先度判定ステップによる判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信ステップとを含み、交通参加者は、車両及び人を含む。これにより、交通状況に応じた通信速度でセンサデータを収集して俯瞰情報に反映できる。
【0027】
(12)本発明の第4の局面に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の車載装置から無線通信により基地局を介して送信されるセンサデータを収集する収集機能と、収集機能により収集されたセンサデータから俯瞰情報を生成する生成機能と、センサデータを解析して複数の交通参加者を特定し、交通参加者の位置を特定する交通参加者特定機能と、交通参加者特定機能により特定された複数の交通参加者の中から、交通状況に応じて監視対象を特定し、監視対象の位置を含む所定の大きさの監視対象エリアを特定する監視対象エリア特定機能と、複数の車載装置がそれぞれ搭載された交通参加者である複数の車両と、監視対象エリアとの位置関係により、当該複数の車両に搭載された車載装置の優先度を判定する優先度判定機能と、優先度判定機能による判定結果に応じて、基地局に対して、複数の車載装置の各々に割当てる無線通信リソースを調整する指示を送信する送信機能とを実行させ、交通参加者は、車両及び人を含む。これにより、交通状況に応じた通信速度でセンサデータを収集して俯瞰情報に反映できる。
【0028】
[本発明の実施形態の詳細]
以下の実施形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0029】
(実施形態)
[全体構成]
図1を参照して、本発明の実施形態に係る情報収集システム100は、道路及びその周辺等(以下、路上ともいう)に固定して設置されたインフラセンサ102、道路交通用の信号機104、無線通信の基地局106、ネットワーク108を介して基地局106と通信するサーバ110、並びに、複数の車両112a及び車両112bを含む。車両112aは車載装置140を搭載している。車両112bも同様に車載装置を搭載している。歩行者200、車両112a及び112bは、インフラセンサ102の検出対象である。歩行者200は、車両112a及び112bに搭載されたセンサ(以下、車載センサともいう)の検出対象でもある。ここでは、情報収集システム100を構成する各要素間の通信は、移動通信の基地局106を介して行なわれるとする。基地局106は、例えば5G(第5世代移動通信システム)回線等による移動通信サービスを提供している。
【0030】
インフラセンサ102は路上に設置され、路上における情報を取得する機能を備えた装置であり、基地局106との通信機能を有している。インフラセンサ102は、例えば、イメージセンサ(デジタルの監視カメラ等)、レーダ(ミリ波レーダ等)、又はレーザセンサ(LiDAR等)等である。
【0031】
サーバ110は、インフラセンサ102から基地局106を介してアップロードされるデータ(以下、センサデータともいう)を受信して解析し、運転支援のための情報を生成して、車両112a及び112bに送信する。また、サーバ110は、基地局106を介して信号機104からアップロードされる信号機の状態を表す情報(例えば、点灯又は点滅状態の色を表す情報等であり、以下、交通情報という)をも受信して、運転支援のための情報の生成に利用する。
【0032】
車両112a及び112bがそれぞれ搭載している車載装置は、基地局106がサービスしている通信仕様(ここでは、5G回線)による通信機能を有している。
【0033】
図1には、例示的に1つの基地局106、1つのインフラセンサ102、1台の信号機104、並びに、2台の車両112a及び車両112bを示しているが、通常、複数の基地局が設けられ、3台以上の車両に移動通信機能が提供されている。インフラセンサは、交差点等の所定領域に2台以上設置されていてもよい。例えば、
図2を参照して、複数の車両112a~112gが走行しており、左側の交差点には、歩行者用信号機202及び204(これら以外の歩行者用信号機は図示せず)、車両用信号機206~212等の複数の信号機が設置されている(インフラセンサは図示せず)。
図2において、歩行者用信号機202、歩行者用信号機204、車両用信号機206及び車両用信号機210が赤信号であり、車両用信号機208及び車両用信号機212が青信号であり、歩行者200a等3人の歩行者が信号無視して横断歩道を渡っている。複数の車両112a~112gのそれぞれには、車載装置及び車載センサが搭載され、車載センサにより取得されたセンサデータを、基地局106を介してサーバ110に送信する。サーバ110は、これらのインフラセンサ、車両の車載装置及び信号機と通信して情報(センサデータを含む)を収集し、収集した情報を解析して、俯瞰情報(交通状況を俯瞰的に示す情報)を生成し、車載装置に運転支援情報を提供する。
【0034】
[サーバのハードウェア構成]
図3を参照して、サーバ110は、各部を制御する制御部120と、データを記憶するメモリ122と、通信を行なう通信部124と、各部の間でデータを交換するためのバス126とを含む。制御部120は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成されており、各部を制御することにより、後述する機能を実現する。メモリ122は、書換可能な半導体の不揮発性メモリ及びハードディスクドライブ(以下、HDDという)等の大容量記憶装置を含む。通信部124は、路上に配置されたインフラセンサ102からアップロードされるセンサデータ、車両112a及び車両112bの車載装置からアップロードされるセンサデータ、並びに、信号機104からアップロードされる交通情報を、基地局106を介して受信する。通信部124により受信されたデータは、メモリ122に伝送されて記憶される。これにより、サーバ110は、後述するように情報収集装置として機能する。
【0035】
[車載装置のハードウェア構成及び機能]
図4を参照して、車両112aに搭載されている車載装置140のハードウェア構成の一例を示す。車両112b~112gの車載装置も車載装置140と同様に構成されている。車載装置140は、車両112aに搭載されている1又は複数のセンサ142に接続されたインターフェイス部(以下、I/F部という)I/F部144、無線通信を行なう通信部146、データを記憶するメモリ148、それらを制御する制御部150、及び、各部の間でデータを交換するためのバス152を含む。
【0036】
センサ142は、車両112に搭載されているビデオ映像の撮像装置(例えば、デジタルカメラ(CCDカメラ、CMOSカメラ))、レーザセンサ(LiDAR)等である。センサ142がデジタルカメラであれば、所定のビデオ信号(アナログ信号又はデジタルデータ)を出力する。センサ142からの信号はI/F部144に入力される。I/F部144はA/D変換部を含み、アナログ信号が入力されると所定周波数でサンプリングし、デジタルデータ(センサデータ)を生成して出力する。生成されたデジタルデータは、メモリ148に伝送されて記憶される。センサ142からの出力信号がデジタルデータであれば、I/F部144は、入力されるデジタルデータをメモリ148に記憶する。メモリ148は、例えば書換可能な不揮発性の半導体メモリ又はHDDである。
【0037】
通信部146は、5G回線等の移動通信機能を有し、サーバ110との通信を行なう。車載装置140とサーバ110との間の通信は基地局106を介して行なわれる。通信部146は、5G回線等で採用されている変調及び多重化を行なうためのIC、所定周波数の電波を放射及び受信するためのアンテナ、並びにRF回路等により構成されている。
【0038】
制御部150は、CPUを含んで構成されており、各部を制御することにより車載装置140の機能を実現する。例えば、制御部150は、センサ142から取得したセンサデータをサーバ110に送信する。このとき、制御部150は、車載装置140を特定する情報、車両112aの現在位置及び向きの情報、並びに、センサ142に関する情報を、センサデータに付加して送信する。車載装置140を特定する情報は、例えば、各車載装置に予め一意に付与されたID(以下、車載装置IDともいう)である。車載装置IDには、例えば、通信部146のMACアドレス(Media Access Control address)を使用することができる。制御部150は、GPSにより、車両112aの現在位置を取得する。送信されたセンサデータは、サーバ110により、俯瞰情報及び運転支援情報の生成に利用される。車両112aの現在位置及び向きの情報、並びに、センサ142に関する情報は、センサデータ(例えば、センサにより得られた画像)と地図上の位置との対応を特定するために利用される。制御部150は、サーバ110から運転支援情報を受信して、車両112aの走行を制御する、運転者を支援する情報を提供する等の処理を行なう。また、制御部150は、センサ142により取得したデータを解析して、車両112a周辺の対象物を検出し、運転支援に利用する。また、制御部150は、センサデータの送信とは別に、車両112aの現在位置を、適宜又はサーバ110からの要求を受けて、車両112aに関する情報(以下、車両情報ともいう)としてサーバ110に送信する。サーバ110は、例えば、位置情報の送信要求をブロードキャストする。
【0039】
[インフラセンサのハードウェア構成及び機能]
インフラセンサ102も、基本的に車載装置140と同様に構成されている。
図5を参照して、インフラセンサ102のハードウェア構成の一例を示す。インフラセンサ102は、センサ部160に接続されたI/F部162、無線通信を行なう通信部164、データを記憶するメモリ166、それらを制御する制御部168、及び、各部の間でデータを交換するためのバス170を含む。
【0040】
センサ部160は、例えば、ビデオ映像の撮像装置(例えば、デジタルカメラ)である。センサ部160は、検知範囲(カメラであれば撮像範囲)内の情報を取得してセンサデータとして出力する。デジタルカメラであれば、デジタルの画像データを出力する。センサ部160からの信号(アナログ又はデジタル)はI/F部162に入力される。I/F部162はA/D変換部を含み、アナログ信号が入力されるとデジタルデータを生成して出力する。生成されたデジタルデータは、メモリ166に伝送されて記憶される。センサ部160からの出力信号がデジタルデータであれば、I/F部162は、入力されるデジタルデータをメモリ166に記憶する。メモリ166は、例えば書換可能な不揮発性の半導体メモリ又はHDDである。
【0041】
通信部164は、移動通信機能を有し、基地局106を介してサーバ110との通信を行なう。インフラセンサ102は固定設置されているので、複数の移動通信方式に対応している必要はなく、近くにある基地局106により提供されている移動通信方式(例えば5G回線)に対応していればよい。通信部164は、採用されている変調及び多重化を行なうためのIC、所定周波数の電波を放射及び受信するためのアンテナ、並びにRF回路等により構成されている。なお、固定設置されているインフラセンサ102の通信機能は、基地局106を介する場合に限定されず、任意である。有線LAN、又はWiFi等の無線LANによる通信機能であってもよい。なお、WiFi通信の場合、移動通信の基地局106とは別にWiFiサービスを提供する装置(無線ルータ等)が設けられ、インフラセンサ102はサーバ110とネットワーク108を介して通信する。
【0042】
制御部168は、CPUを含んで構成されており、各部を制御することによりインフラセンサ102の機能を実現する。即ち、制御部168は、センサ部160により取得されメモリ166に記憶されたセンサデータ(例えば、動画像データ)を所定の時間間隔で読出し、パケットデータを生成し、通信部164から基地局106を介してサーバ110に送信する。このとき、制御部168は、インフラセンサ102を特定する情報をセンサデータに付加して送信する。インフラセンサ102を特定する情報は、例えば、各インフラセンサに予め一意に付与されたID(以下、インフラセンサIDともいう)である。インフラセンサIDは予めサーバ110のメモリ122に記憶され、管理されている。インフラセンサIDには、例えば、通信部164のMACアドレスを使用することができる。
【0043】
サーバ110は、インフラセンサ102のセンサデータを利用するにあたり、センサ部160の検知範囲の情報(例えば、カメラにより撮像される画像と地図情報との対応を示す情報)が必要である。インフラセンサ102は、検知範囲の情報をセンサデータに付加してサーバ110に送信することができるが、ここでは、サーバ110が、インフラセンサIDに対応させて、センサ部160の検知範囲の情報を記憶しているとする。したがって、インフラセンサ102が自己のインフラセンサIDをセンサデータに付加して送信すれば、サーバ110は、インフラセンサ102の検知範囲を特定することができる。
【0044】
[信号機のハードウェア構成及び機能]
信号機104は、道路交通用の信号機である。車両用信号機であれば、青、黄及び赤の3色の表示灯と、それらの点灯及び点滅を制御する制御部と、表示灯の状態を表す情報である交通情報をサーバ110に送信するための通信部とを備えている。なお、歩行者用信号機であれば、表示灯が青及び赤の2色である点が異なるが、車両用信号機と同様に構成されている。信号機104の通信部は、インフラセンサ102の通信部164と同様に、移動通信機能を有し、基地局106を介してサーバ110との通信を行なう。なお、固定設置されている信号機104の通信機能は任意である。有線LAN、又はWiFi等の無線LANによる通信機能であってもよい。信号機104の制御部は、CPUを含んで構成されており、表示灯の点灯及び点滅を制御することに加えて、表示灯の状態が変更される度に、現在の信号機の状態を表す交通情報を、基地局106を介してサーバ110に送信する。このとき、信号機104は、自己を特定する情報(例えば、各信号機に予め一意に付与されたID、位置座標等)を交通情報に付加して送信する。
【0045】
[基地局のハード構成及び機能]
基地局106は、サーバ110と同様に構成されたコンピュータと、コンピュータの制御を受けて動作する無線通信機器とを含む。基地局106は、所定の無線通信方式にしたがって、無線通信機器により、車載装置140、インフラセンサ102及び信号機104に無線通信サービスを提供する。
【0046】
[サーバの機能的構成]
図6を参照して、サーバ110の機能について説明する。サーバ110は、パケット受信部180と、パケット送信部182と、データ分離部184と、解析処理部186と、俯瞰情報生成部188と、交通参加者情報生成部190と、監視対象エリア情報生成部192と、優先度判定部194と、道路地
図DB196とを含む。これら各部の機能は、
図3の制御部120が、メモリ122及び通信部124を用いて実現する。なお、データ分離部184、解析処理部186、俯瞰情報生成部188、交通参加者情報生成部190、監視対象エリア情報生成部192及び優先度判定部194の機能は、専用のハードウェア(回路基板、ASIC等)により実現されてもよい。
【0047】
パケット受信部180は、インフラセンサ102、信号機104及び車載装置140からパケットデータを受信し、受信データをデータ分離部184に出力する。
【0048】
データ分離部184は、受信データが、インフラセンサ102からのデータである場合、センサデータを解析処理部186に入力し、インフラセンサIDを俯瞰情報生成部188に入力する。データ分離部184は、受信したデータが、信号機104からのデータ(交通情報)であれば、俯瞰情報生成部188に入力する。データ分離部184は、受信したデータが車載装置140からのデータである場合、センサデータであれば解析処理部186に入力し、車両情報であれば俯瞰情報生成部188に入力する。
図6において、「車両情報等」には、車両情報及びインフラセンサIDが含まれる。
【0049】
解析処理部186は、入力されるデータを用いて解析処理を実行して、交通参加者(交通に関係する車両、人等)を検出し、その属性情報(位置、大きさ、種別(人、車両等)、移動速度、移動方向等)を算出する。ここで、交通参加者は、歩行者及び車両に限らず、路上の落下物等をも含む。「歩行者」は、任意の速度(“0”を含む)で移動している人を意味し、歩いている人に限らず、停止している人、及び、走っている人を含む。
【0050】
道路地
図DB196は、道路地図を記憶したデータベースである。俯瞰情報生成部188は、解析処理部186による解析結果と、データ分離部184から入力される交通情報と、道路地
図DB196から読出した道路地図とを対応させて、俯瞰情報を生成する。俯瞰情報は、例えば、各交通参加者を特定する情報及び交通参加者の属性情報と、交通情報とが、道路地図上の位置情報に対応付けられた構造化されたデータである。後述する交通参加者情報生成部190、監視対象エリア情報生成部192及び優先度判定部194により、それぞれの処理に必要な情報が、生成された俯瞰情報から適宜読出される。
【0051】
交通参加者情報生成部190は、俯瞰情報生成部188から俯瞰情報を取得し、事故等の緊急事態、又は、事故が起こる可能性が高い危険な状態等の監視すべき状態(以下、要監視状態ともいう)が発生しているか否かを判定し、要監視状態が発生してれば、それに関係する交通参加者を特定し、監視対象とする。俯瞰情報には、交通参加者の属性情報及び交通情報(信号機の状態等)が含まれており、例えば、
図2に示したように、歩行者200a(交通参加者)が信号無視をしている状態は、要監視状態と判定され、歩行者200aは監視対象とされる。交通参加者情報生成部190により、監視対象である交通参加者を特定する情報及びその属性情報(位置等)が特定される。
【0052】
監視対象エリア情報生成部192は、交通参加者情報生成部190により監視対象として特定された交通参加者の位置情報から監視対象エリアを特定し、監視対象エリアと要監視状態に関する情報とを対応させて、監視対象エリア情報を生成する。監視対象エリアは、監視対象の位置を含む所定の大きさの領域である。例えば、監視対象の位置を中心(基準位置)とする所定半径の円形領域である。
図2であれば、監視対象である歩行者200aの位置を中心とした1点鎖線の円220の内側が監視対象エリアである。半径の大きさが固定であれば、監視対象エリア情報は{基準位置、要監視情報}とすることができる。監視対象エリア情報に含まれる要監視情報は、人に関しては、例えば、ながら歩き(スマートホン、本等を見ながらの歩行)、信号無視等の事故に至り得る危険な挙動を示す情報であり、車両に関しては、例えば、信号無視、急発進、急加速、急減速、急な車線変更等の危険な挙動を示す情報とすることができる。要監視情報には、危険な挙動ではないが、発生した交通事故による破損、怪我人等を示す情報も含まれる。
【0053】
近い距離に監視対象が複数存在する場合には、それらをグループ化して、1つの監視対象エリアを特定することが好ましい。
図2の左側の交差点付近を拡大した
図7を参照して、3人の歩行者200a~200cが信号無視をしている。この場合、歩行者200a~200cは全て監視対象として特定され、それぞれの位置を基準として監視対象エリアを特定することもできるが、ここでは、歩行者200a~200cの位置を頂点とする三角形の重心Gの位置を基準として、重心Gを中心とする円222の内側を監視対象エリアとする。なお、
図2の円220(歩行者200aを中心とする円)と、
図7の円222(3人の歩行者200a~200cを中心とする円)は少しずれている。近い距離に4つ以上の監視対象が位置する場合にも同様に、各監視対象の位置を点として全ての点に関して重心を求めればよい。これにより、個々の監視対象の位置を基準として監視対象エリアを特定する場合よりも効率的に、後続の優先度判定を行なうことができる。
【0054】
優先度判定部194は、交通参加者情報生成部190により生成された監視対象エリア情報(例えば{基準位置、要監視情報})と、俯瞰情報生成部188により生成された俯瞰情報とを用いて、所定の判定基準(例えば、メモリ122に記憶されている)に基づいて、各車両の車載装置の優先度を判定し、各車載装置に決定した優先度を設定する(車載装置IDと優先度とを対応付ける)。設定された車載装置IDと対応する優先度は、パケット送信部182から基地局106に送信される。
【0055】
ネットワーク108は、サーバ110から車載装置ID及び優先度を受信すると、車載装置IDで特定される車載装置との無線通信に、優先度に応じた無線通信リソースを割当てる。無線通信リソースは、データの通信速度に関係するリソースであり、例えば、TDMA方式における時間軸を区切ったタイムスロット、FDMA方式における周波数軸を区切った周波数スロット、変調方式(BPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等)、HSUPA(High-Speed Uplink Packet Access)方式のTTI(Transmission Time Interval)、OFDM方式のリソースブロック(周波数軸及び時間軸の両方を区切ったブロック)等である。多くのリソースが割当てられると高速のデータ伝送が可能になる。従来、基地局は、電波品質(雑音の程度、電波の強度)に応じて通信相手に割当てるリソースを決定するが、ここでは、それに加えて、又はそれに代えて、車載装置の優先度を考慮してリソースを割当てる。
【0056】
これにより、監視対象エリアに関するセンサデータを取得し得る可能性に応じて、車載装置による無線通信により多くの無線通信リソースが割当てられる。したがって、サーバ110は、監視対象エリアに関するセンサデータをより高速に、且つより多く収集でき、それ以外のエリアに関するセンサデータの取集を抑制できる。
【0057】
[サーバの動作]
図8を参照して、サーバ110による処理に関して、より具体的に説明する。
図8に示した処理は、制御部120が、所定のプログラムをメモリ122から読出して実行することにより実現される。ここでは、
図2に示した車両112a~112hの車載装置からセンサデータがサーバ110に送信され、車両112a~112hの車載装置がサーバ110による優先度判定の対象であるとする。サーバ110のメモリ122には、インフラセンサ102に関する情報(インフラセンサID、設置位置、センサの検知範囲、解像度等)が予め記憶されているとする。サーバ110は、車両112a~112hの車載装置から送信されるデータ(センサデータを含む)から各車載装置に関する情報(車載装置ID、車両情報(位置、走行方向等))を取得し、メモリ122に記憶し、適宜更新する。インフラセンサ102、及び車両112a~112hの車載装置は、サーバ110に送信するパケットデータに、自己のIDを付加して送信する。
【0058】
ステップ300において、制御部120は、データを受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御部120は受信データをメモリ122に記憶し、制御はステップ302に移行する。そうでなければ、制御はステップ324に移行する。
【0059】
ステップ302において、制御部120は、ステップ300で受信したデータが、センサデータを含むか否かを判定する。センサデータは、インフラセンサ102、車両112a~112hの車載装置から送信される。センサデータを含むと判定された場合、制御はステップ304に移行する。そうでなければ、制御は306に移行する。
【0060】
ステップ304において、制御部120は、ステップ300で受信したデータをメモリ122から読出し、解析処理部186に入力する。その後、制御はステップ312に移行する。
【0061】
ステップ306において、制御部120は、ステップ300で受信したデータが、信号機104から送信された交通情報(信号機の情報)を含むか否かを判定する。交通情報を含むと判定された場合、制御はステップ310に移行する。そうでなければ、制御はステップ308に移行する。交通情報は、例えば、発光している色(青、黄又は赤)とその状態(点灯又は点滅)を表すデータを含む。
【0062】
ステップ308において、制御部120は、ステップ300で受信したデータに、車両から送信されたその車両に関する車両情報(位置情報等)が含まれているか否かを判定する。車両情報が含まれていると判定された場合、制御はステップ310に移行する。そうでなければ、制御部120は、受信データ(センサデータ、交通情報及び車両情報以外のデータ)に応じて該当する処理を実行した後、制御はステップ324に移行する。
【0063】
ステップ310において、制御部120は、ステップ300で受信したデータ(交通情報又は車両情報)を俯瞰情報生成部188に入力する。その後、制御はステップ312に移行する。
【0064】
ステップ312において、制御部120は、上記したように解析処理を実行し、解析結果をメモリ122に記憶する。その後、制御はステップ314に移行する。
【0065】
ステップ314において、制御部120は、上記したように俯瞰情報を生成し、生成された俯瞰情報をメモリ122に記憶する。その後、制御はステップ316に移行する。
【0066】
ステップ316において、制御部120は、ステップ314で生成された俯瞰情報をメモリ122から読出し、交通参加者の中から監視対象を特定し、監視対象が複数あれば、相互の距離に基づきグループ化し、その結果(監視対象の位置情報、又は、グループ化された場合の重心の位置情報)をメモリ122に記憶する。その後、制御はステップ318に移行する。
【0067】
ステップ318において、制御部120は、ステップ316で抽出された監視対象の情報をメモリ122から読出し、上記したように、監視対象エリアを特定し、それに関する監視対象エリア情報(例えば{基準位置、要監視情報})を生成し、メモリ122に記憶する。その後、制御はステップ320に移行する。
【0068】
ステップ320において、制御部120は、ステップ318で生成した監視エリア情報をメモリ122から読出し、ステップ314で生成した俯瞰情報を参照して、上記したように各車両の車載装置の優先度を判定し、検定結果(例えば、車載装置ID及び対応する優先度)をメモリ122に記憶する。その後、制御はステップ322に移行する。例えば、表1の判定基準にしたがって、制御部120は各車載装置の優先度を決定する。
【0069】
【0070】
表1の判定基準を、
図2及び
図7に示した状態に適用すれば、車両112aの車載装置はNo.1の条件を満たす(監視対象エリアに到達している。)ので、優先度は「高」に設定される。車両112bの車載装置はNo.1の条件を満たす(所定時間内に監視対象エリアに到達可能な車両であり、且つ、車載センサが遮蔽されていない。)ので、優先度は「高」に設定される。車両112dの車載装置はNo.2の条件を満たす(監視対象エリアから離脱する車両である。)ので、優先度は「中」に設定される。車両112g及び車両112hの車載装置はNo.3の条件を満たす(所定時間内に監視対象エリアに到達不可能。)ので、優先度は「低」に設定される。車両112e及び車両112fの車載装置はNo.4の条件を満たす(所定時間内に監視対象エリアに到達可能であるが、車載センサが遮蔽されている。)ので、優先度は「低」に設定される。このように、優先度を決定することより、サーバ110は、後述するように、監視対象エリアに関するセンサデータを優先的に、より高速に取得でき、より大容量のセンサデータを取得できる。
【0071】
ステップ322において、制御部120は、メモリ122からステップ320の判定結果(車載装置ID及び対応する優先度)を読出し、基地局106に送信する。その後、制御はステップ324に移行する。
【0072】
ステップ324において、制御部120は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻る。終了の指示は、例えば、サーバ110が管理者等により操作されることにより成される。
【0073】
[基地局の動作]
図9を参照して、基地局106による処理に関して、より具体的に説明する。
図9に示した処理は、基地局106のコンピュータ(以下、単にコンピュータという)が、所定のプログラムを内部のメモリ(半導体の不揮発性メモリ、HDD等)から読出して実行することにより実現される。
【0074】
ステップ400において、コンピュータは、データを受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ402に移行する。そうでなければ、ステップ400が繰返される。
【0075】
ステップ402において、コンピュータは、受信データを、受信したデータの種類に応じてメモリの該当箇所に記憶する。その後、制御はステップ404に移行する。受信データには、
図8のステップ322の処理により送信された車載装置ID及び対応する優先度(以下、優先度情報ともいう)が含まれる。既に優先度情報が記憶されていれば、新たに受信された優先度情報により上書き記憶され、最新の優先度情報のみが記憶されている状態になる。
【0076】
ステップ404において、コンピュータは、通信要求を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ406に移行する。そうでなければ、制御はステップ414に移行する。車両112a~112hの車載装置、インフラセンサ102及び信号機104は、通信を開始する場合、自己を特定する情報(ID)を付して通信要求を基地局106に送信する。
【0077】
ステップ406において、コンピュータは、メモリに優先度情報が記憶されているか否かを判定する。記憶されていれば、制御はステップ408に移行する。そうでなければ、制御はステップ412に移行する。
【0078】
ステップ408において、コンピュータは、ステップ404で受信した通信要求を送信した装置のIDが優先度情報に含まれているか否かを判定する。含まれていると判定された場合、制御はステップ410に移行する。そうでなければ、制御はステップ412に移行する。ステップ404で受信した通信要求が、車両112a~112hの車載装置から送信されたものであれば、ステップ408においてYESと判定される。
【0079】
ステップ410において、コンピュータは、ステップ408で優先度情報に含まれていると判定されたIDに対応する優先度を優先度情報から読出し、その優先度に応じて無線通信リソースを、受信した通信要求に応じて開始する無線通信に割当てる。その後、制御はステップ416に移行する。これにより、車両112a~112hの車載装置から通信要求を送信すれば、優先度情報に含まれる、各車載装置に対応する優先度に応じて、無線通信リソースが割当てられる。
【0080】
優先度情報が記憶されていない、又は、記憶されている優先度情報に該当するIDが含まれていない場合、ステップ412において、コンピュータは、受信した通信要求に応じて開始する無線通信に、通常の規則にしたがって無線通信リソースを割当てる。その後、制御はステップ416に移行する。
【0081】
一方、ステップ400で受信したデータが通信要求でなければ、ステップ414において、コンピュータは、受信したデータに応じて該当する処理を実行する。その後、制御はステップ416に移行する。
【0082】
ステップ416において、コンピュータは、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻る。終了の指示は、例えば、コンピュータが管理者等により操作されることにより成される。
【0083】
以上により、サーバ110は、監視対象エリアとの関係で各車載装置に優先度を設定し、優先度情報として基地局106に送信でき、基地局106は、各車載装置からセンサデータを送信する無線通信に対して、サーバ110から受信した優先度情報に応じて、無線通信リソースを割当てることができる。したがって、サーバ110は、監視対象エリアに関するセンサデータを優先的に、より高速に取得でき、より大容量のセンサデータを取得できる。
【0084】
要監視状態に、事故発生状態、及び、事故が起こる可能性が高い状態を含めることにより、交通に重大な影響を与える状態及びその可能性がある状態に関する情報を俯瞰情報に反映でき、事故の発生を抑制できる。
【0085】
上記の表1は、優先度の判定基準の一例であり、これに限定されない。監視対象エリアに関するセンサデータを現在取得可能な車載装置の優先度を高くし、監視対象エリアに関するセンサデータを、現在及び将来的にも取得不可能であることが明らかな車載装置の優先度を低く設定すればよい。それに加えて、現在は監視対象エリアに関するセンサデータを取得できないが、近い将来に取得可能になることが予想される車載装置に関しては、優先度を高くしてもよい。そのためには、例えば、監視対象エリアの位置及び大きさと、車載装置が搭載されている車両の情報(位置、方向、移動速度等)とを考慮して、監視対象エリアに到達するのに要する時間を算出し、車載装置の優先度を決定してもよい。
【0086】
優先度の区分数は、高、中、低の3レベルに限定されない。4レベル以上に区分しても、2レベルに区分してもよい。例えば、表1であれば、No.3の条件を満たす場合とNo.4の条件を満たす場合とを別の優先度にしてもよい。
【0087】
上記したように、監視対象エリアの形状を円形にすることにより、監視対象エリアを容易に規定することができる。しかし、監視対象エリアの形状は、円形に限定されず、矩形領域又は多角形領域であってもよい。また、監視対象エリアの大きさ(円形であればその半径)は、一定であっても、センサの種類によって変更されてもよい。車載センサには、イメージセンサ(デジタルの監視カメラ等)、レーダ(ミリ波レーダ等)及びレーザセンサ(LiDAR等)等が使用されるが、それぞれ検知可能な範囲が異なり、取得されるデータの解像度も異なる。したがって、車載装置が搭載されている車両の車載センサの種類を考慮して、監視対象エリアの大きさを変更してもよい。そのためには、車載装置から車載センサの情報(種類、解像度等)をサーバに送信すればよい。サーバは、各車載装置の優先度を判定するときに、対応する車両の車載センサの情報を参照し、適切な監視対象エリアの大きさを設定できる。したがって、より適切に車載装置の優先度を判定できる。
【0088】
(変形例)
上記では、基地局により無線通信リソースを調整する場合を説明したが、変形例では、サーバにおいて解析リソースを調整する。上記したように、優先度が高い車載装置からは、優先的に高速で大容量のセンサデータが送信され、サーバ110により受信される。したがって、センサデータを解析する解析処理部186においては、センサデータの受信速度に応じた速度で解析処理を実行することが好ましい。
【0089】
変形例に係る情報収集システムの構成は、
図1~5と同じである。機能に関しては、
図10のように構成される。
図10は、
図6の構成において、リソース調整部198が追加された構成である。サーバ130において、優先度判定部194は、優先度判定結果を優先度情報として基地局106に送信することに加えて、優先度判定結果をリソース調整部198に出力する。また、データ分離部184は、解析処理部186に出力するセンサデータが車載装置から受信したものであれば、車載装置IDも解析処理部186に出力する。
【0090】
解析処理部186は、車載装置IDが付されたセンサデータが入力されると、車載装置IDをリソース調整部198に出力する。リソース調整部198は、優先度判定部194から優先度判定結果を取得し、その中に、解析処理部186から取得した車載装置IDが含まれていれば、対応する優先度に応じた解析リソースを、解析処理部186に割当てる。即ち、優先度が「高」に設定されていれば、より多くの解析リソースを割当てる。
【0091】
解析リソースは、例えば、制御部120の計算リソース(複数のタスクに割当てられる演算素子(CPU、GPU等)の演算時間)、メモリリソース(複数のタスクに割当てられるメモリ122のメモリ容量)、タスクの実行順序等である。即ち、解析リソースの割当てには、タスクの実行順序を変更することも含まれる。例えば、優先度が高い車載装置から送信されるセンサデータを解析するタスクの実行を早くし、優先度が低い車載装置から送信されるセンサデータを解析するタスクの実行を遅らせる。ここで、タスクとは、いわゆるプロセス、スレッド等の処理単位をも意味する。
【0092】
図11を参照して、変形例に係る情報収集システムのサーバ130の処理を説明する。
図11は、
図8のフローチャートにおいて、ステップ322及びステップ314及びステップ324の間にステップ340が追加されたフローチャートである。
図11において、
図8と同じ番号が付されたステップの処理は
図8と同じであるので、重複説明を繰返さない。
図11に示した処理は、サーバ130の制御部120が、所定のプログラムをメモリ122から読出して実行することにより実現される。
【0093】
ステップ300~322により、制御部120は、センサデータを受信すると、受信したセンサデータを解析し、俯瞰情報の生成、監視対象の特定をし、監視対象エリア情報の生成、及び優先度判定を行ない、その結果(優先度情報)を、基地局106に送信する。その後、制御部120は、ステップ340において、上記したように、300で受信したセンサデータの送信元が車載装置であれば、優先度情報に含まれている車載装置IDに対応する優先度に応じて、解析リソースを割当てる。これにより、割当てられた解析リソースを用いて、車載装置から受信したセンサデータが解析される。その後、制御はステップ324に移行し、終了の指示があるまで、ステップ300~312及び340が繰返し実行される。
【0094】
以上により、変形例に係る情報収集システムのサーバ130は、優先度が高い車載装置から送信されたセンサデータを優先的により高速に解析でき、優先度が低い車載装置から送信されたセンサデータの実行を遅らせ、より遅い速度で解析できる。したがって、監視対象エリアに関してより高精度の情報を収集することができ、俯瞰情報に反映できる。
【0095】
上記では、変形例において、解析リソースを調整する場合を説明したが、これに限定されない。サーバにおけるパケット受信に関するリソース(以下、通信リソースともいう)を調整してもよい。上記したように、優先度が高い車載装置からは、優先的に高速で大容量のセンサデータが送信されるので、サーバ110においては、そのようなセンサデータを適切に収集(受信)できるように、収集リソースを調整することが好ましい。収集リソースは、基地局により割当てられる無線通信リソースは含まず、サーバで管理可能なリソースである。収集リソースは、例えば、車載装置から送信されるセンサデータを受信するために割当てられたバッファ容量、通信プロトコルのリソース、送信頻度、センサデータの解像度等である。バッファ容量及び通信プロトコルのリソースは、通信リソースの一例である。送信頻度は、例えば、単位時間当たりに車載装置からセンサデータを送信する頻度(回/秒)である。センサデータの解像度は、車載装置に搭載されているセンサから出力されるセンサデータの解像度である。
【0096】
サーバ110単独で調整可能な収集リソース(例えば、バッファ容量、通信プロトコルのリソース)を調整するには、例えば、
図10において、リソース調整部198が、優先度判定部194から取得する優先度情報に含まれる車載装置IDに対応する優先度から収集リソースを決定し、該当する車載装置IDが付されたセンサデータを受信するときに、決定された収集リソースに基づき、パケット受信部180がセンサデータを受信すればよい。これにより、優先度が高い車載装置から送信されたセンサデータを優先的により高速に収集できる。したがって、監視対象エリアに関してより高精度の情報を収集することができ、俯瞰情報に反映できる。一方、サーバ110単独で調整できない収集リソース(例えば、送信頻度、センサデータの解像度)を調整するには、サーバ110から車載装置に指示すればよい。例えば、サーバ110は、優先度判定部194により決定される優先度情報に含まれる車載装置IDにより特定される車載装置に、該当する優先度に応じた送信頻度及びセンサデータの解像度のうち少なくとも一方の指定値を含むパケットデータを送信する。このパケットデータを受信した車載装置は、指定された解像度のセンサデータを車載センサから取得し、指定された送信頻度でサーバ110にアップロードする。これにより、サーバ110は、優先度に応じてセンサデータを適切に収集できる。
【0097】
解析リソース及び収集リソースは、両方を調整しても、いずれか一方のリソースのみを調整してもよい。これにより、複数の車載装置のそれぞれから送信されるセンサデータを適切に収集又は解析できる。
【0098】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0099】
100 情報収集システム
102 インフラセンサ
104 信号機
106 基地局
108 ネットワーク
110、130 サーバ
112a、112b、112c、112d、112e、112f、112g、112h 車両
120、150、168 制御部
122、148、166 メモリ
124、146、164 通信部
126、152、170 バス
140 車載装置
142 センサ
144、162 I/F部
160 センサ部
180 パケット受信部
182 パケット送信部
184 データ分離部
186 解析処理部
188 俯瞰情報生成部
190 交通参加者情報生成部
192 監視対象エリア情報生成部
194 優先度判定部
196 道路地
図DB
198 リソース調整部
200、200a、200b、200c 歩行者
202、204 歩行者用信号機
206、208、210、212 車両用信号機
220、222 円