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  • 特許-点灯制御装置および照明装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】点灯制御装置および照明装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230214BHJP
   H05B 45/36 20200101ALI20230214BHJP
【FI】
H02M3/155 W
H05B45/36
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019015582
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020124064
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩士
(72)【発明者】
【氏名】大津 定治
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-192399(JP,A)
【文献】特開平11-046479(JP,A)
【文献】特開2012-151937(JP,A)
【文献】特開2013-070488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から電力を供給され、第1スイッチング素子のオンオフにより第1光源を点灯させる第1点灯回路と、
前記電源から電力を供給され、第2スイッチング素子のオンオフにより第2光源を点灯させる第2点灯回路と、
前記第1点灯回路と、前記第2点灯回路と、を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、同期信号の第1タイミングと同期して前記第1スイッチング素子をオンし、前記同期信号の前記第1タイミングとは異なる第2タイミングと同期して前記第2スイッチング素子をオンさせ
前記制御部は、前記第1点灯回路を制御する第1制御部と、前記第2点灯回路を制御する第2制御部と、を有し、
前記同期信号は、前記第1制御部から前記第2制御部に送信されるか、または、前記制御部の外部から前記第1制御部と前記第2制御部に供給されることを特徴とする点灯制御装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記同期信号を前記第2制御部に送信することを特徴とする請求項1に記載の点灯制御装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記同期信号を送信する出力端子を有し、
前記第2制御部は、前記同期信号を受信する入力端子を有することを特徴とする請求項2に記載の点灯制御装置。
【請求項4】
前記第1タイミングは、前記同期信号の立ち上がりおよび立下りの一方であり、
前記第2タイミングは、前記同期信号の立ち上がりおよび立下りの他方であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記同期信号のデューティ比を変化させることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記同期信号のデューティ比を前記第1光源または前記第2光源の調光率に応じて変化させることを特徴とする請求項5に記載の点灯制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の一方がオンするタイミングと、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子の他方がオフするタイミングが重ならないように、前記同期信号のデューティ比を変化させることを特徴とする請求項5または6に記載の点灯制御装置。
【請求項8】
前記第1スイッチング素子のオン期間と、前記第2スイッチング素子のオン期間は重ならないことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項9】
前記同期信号は矩形波であることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項10】
前記同期信号は三角波であることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項11】
前記第1光源と、
前記第2光源と、
請求項1から10の何れか1項に記載の点灯制御装置と、
を備えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯制御装置および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の電源電圧変換回路を有する電源装置が開示されている。複数の電源電圧変換回路には、それぞれ負荷が接続されるとともにスイッチング素子が設けられる。複数の電源電圧変換回路のスイッチング素子は、少なくとも2つ以上の異なるスイッチング周波数でオンオフ動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6173658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、複数の点灯回路がそれぞれ異なるスイッチング周波数で動作すると、複数のスイッチング素子のスイッチングのタイミングが揃う場合とずれる場合が存在する。複数の点灯回路のスイッチングのタイミングが揃った場合、複数の点灯回路のスイッチング素子が同時にオンする。このとき、複数の点灯回路の前段に接続された電解コンデンサからの放電電流が過度に増大するおそれがある。また、電解コンデンサからの放電電流に伴い、複数の点灯回路から放射されるノイズが増大する可能性があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、電流のピーク値を抑制できる点灯制御装置および照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る点灯制御装置は、電源から電力を供給され、第1スイッチング素子のオンオフにより第1光源を点灯させる第1点灯回路と、該電源から電力を供給され、第2スイッチング素子のオンオフにより第2光源を点灯させる第2点灯回路と、該第1点灯回路と、該第2点灯回路と、を制御する制御部と、を備え、該制御部は、同期信号の第1タイミングと同期して該第1スイッチング素子をオンし、該同期信号の該第1タイミングとは異なる第2タイミングと同期して該第2スイッチング素子をオンさせ、該制御部は、該第1点灯回路を制御する第1制御部と、該第2点灯回路を制御する第2制御部と、を有し、該同期信号は、該第1制御部から該第2制御部に送信されるか、または、該制御部の外部から該第1制御部と該第2制御部に供給される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る点灯制御装置では、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子とが、1つの同期信号の異なるタイミングとそれぞれ同期してオンする。これにより、電流のピーク値を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明装置の回路ブロック図である。
図2】実施の形態1に係る照明装置の電流電圧波形を示す図である。
図3】比較例に係る照明装置の電流電圧波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る点灯制御装置および照明装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置100の回路ブロック図である。照明装置100は、点灯制御装置1、第1光源部13-1および第2光源部13-2を備える。
【0011】
第1光源部13-1および第2光源部13-2は、点灯制御装置1の出力に接続される。第1光源部13-1は複数の光源14-1を有する。第2光源部13-2は複数の光源14-2を有する。光源14-1、14-2は、例えばLED等の発光素子である。第1光源部13-1において、複数の光源14-1は直列に接続されている。これに限らず、複数の光源14-1は、並列または直並列に接続されても良い。同様に、第2光源部13-2において、複数の光源14-2は直列に接続されている。これに限らず、複数の光源14-2は、並列または直並列に接続されても良い。また、第1光源部13-1および第2光源部13-2は、光源14-1、光源14-2をそれぞれ1つ以上有すれば良い。
【0012】
点灯制御装置1は、PFC(Power Factor Correction)回路11、コンデンサC1、第1点灯回路12-1、第2点灯回路12-2、制御部、端子部CN1および端子部CN2を備える。
【0013】
PFC回路11の入力側には、商用電源ACが接続される。PFC回路11は、整流回路DBおよび昇圧チョッパ回路11aを備える。PFC回路11は、商用電源ACの交流を直流に変換して出力する。PFC回路11の出力と並列に、コンデンサC1が接続される。コンデンサC1には、PFC回路11の出力電圧が充電される。コンデンサC1は電解コンデンサである。
【0014】
コンデンサC1には、第1点灯回路12-1および第2点灯回路12-2が並列に接続される。第1点灯回路12-1の出力側には、端子部CN1を介して第1光源部13-1が接続される。第2点灯回路12-2の出力側には、端子部CN2を介して第2光源部13-2が接続される。
【0015】
第1点灯回路12-1および第2点灯回路12-2は、第1光源部13-1および第2光源部13-2にそれぞれ電力を供給する。第1点灯回路12-1および第2点灯回路12-2は、例えばバックコンバータ回路である。
【0016】
第1点灯回路12-1において、コンデンサC1の正極には、第1スイッチング素子Q1のドレインが接続される。第1スイッチング素子Q1は例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。第1スイッチング素子Q1のソースはコイルL1の一端およびダイオードD1のカソードに接続される。第1スイッチング素子Q1のゲートは、第1制御部IC1のVg1端子に接続される。コイルL1の他端はコンデンサC2の正極に接続される。ダイオードD1のアノードは、コンデンサC1の負極に接続される。
【0017】
コンデンサC2の負極は抵抗R1の一端に接続される。抵抗R1の他端は、ダイオードD1のアノードおよびコンデンサC1の負極に接続される。また、抵抗R1の一端は、第1制御部IC1のVd1端子に接続される。
【0018】
第1制御部IC1は、例えばマイコンである。第1制御部IC1は第1点灯回路12-1を制御する。抵抗R1には、第1光源部13-1を流れるLED電流に応じた電圧が印加される。抵抗R1に印加される電圧は、第1制御部IC1のLED電流検出ポートであるVd1端子に入力される。第1制御部IC1は、Vd1端子に入力される電圧に基づき、第1光源部13-1に流れる電流が予め定められた目標値となるように、Vg1端子から第1スイッチング素子Q1にスイッチング信号を出力する。
【0019】
このように、第1点灯回路12-1は、PFC回路11から電力を供給され、第1スイッチング素子Q1のオンオフにより第1光源部13-1を点灯させる。コンデンサC1に印加されるPFC回路11の出力電圧は、第1点灯回路12-1の電源となる。
【0020】
第2点灯回路12-2の構成は第1点灯回路12-1と同様である。第2点灯回路12-2において、コンデンサC1の正極には、第2スイッチング素子Q2のドレインが接続される。第2スイッチング素子Q2は例えばMOSFETである。第2スイッチング素子Q2のソースはコイルL2の一端およびダイオードD2のカソードに接続される。第2スイッチング素子Q2のゲートは、第2制御部IC2のVg2端子に接続される。コイルL2の他端はコンデンサC3の正極に接続される。ダイオードD2のアノードは、コンデンサC1の負極に接続される。
【0021】
コンデンサC3の負極は抵抗R2の一端に接続される。抵抗R2の他端は、ダイオードD2のアノードおよびコンデンサC1の負極に接続される。また、抵抗R2の一端は、第2制御部IC2のVd2端子に接続される。
【0022】
第2制御部IC2は、例えばマイコンである。第2制御部IC2は第2点灯回路12-2を制御する。抵抗R2には、第2光源部13-2を流れるLED電流に応じた電圧が印加される。抵抗R2に印加される電圧は、第2制御部IC2のLED電流検出ポートであるVd2端子に入力される。第2制御部IC2は、Vd2端子に入力される電圧に基づき、第2光源部13-2に流れる電流が予め定められた目標値となるように、Vg2端子から第2スイッチング素子Q2にスイッチング信号を出力する。
【0023】
このように、第2点灯回路12-2は、PFC回路11から電力を供給され、第2スイッチング素子Q2のオンオフにより第2光源部13-2を点灯させる。コンデンサC1に印加されるPFC回路11の出力電圧は、第2点灯回路12-2の電源となる。
【0024】
本実施の形態では、第1制御部IC1と第2制御部IC2が第1点灯回路12-1と第2点灯回路12-2を制御する制御部に該当する。第1制御部IC1は出力端子Po1を有する。第2制御部IC2は入力端子Pi2を有する。出力端子Po1と入力端子Pi2は接続されている。第1制御部IC1と第2制御部IC2は、出力端子Po1、入力端子Pi2を介して通信する。
【0025】
第1制御部IC1は、第1制御部IC1のクロックを分周して同期信号を生成する。第1制御部IC1は、同期信号を出力端子Po1から出力する。同期信号は、例えば47kHzの固定周波数を有する。同期信号は、HighおよびLowからなる矩形波である。同期信号のデューティ比は例えば50%である。
【0026】
第1制御部IC1の出力端子Po1から送信された同期信号は、第2制御部IC2の入力端子Pi2で受信される。第2制御部IC2において、同期信号はコンパレータに入力される。
【0027】
図2は、実施の形態1に係る照明装置100の電流電圧波形を示す図である。図2は、上から、同期信号、コイルL1の電流Ico1、コイルL1の電圧Vco1、コイルL2の電流Ico2、コイルL2の電圧Vco2およびコンデンサC1の放電電流の時系列推移を示す。
【0028】
本実施の形態では、同期信号が第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2のスイッチングのトリガとなる。第1制御部IC1は、同期信号の立ち上がりと同期して、第1スイッチング素子Q1をターンオンさせるオン信号を出力する。また、第2制御部IC2は、同期信号の立下りと同期して第2スイッチング素子Q2をターンオンさせるオン信号を出力する。
【0029】
第1スイッチング素子Q1をターンオンさせることで、コイルL1の電流Ico1が増加し、第1スイッチング素子Q1をターンオフさせることで、コイルL1の電流Ico1が減少する。同様に、第2スイッチング素子Q2をターンオンさせることで、コイルL2の電流Ico2が増加し、第2スイッチング素子Q2をターンオフさせることで、コイルL2の電流Ico2が減少する。
【0030】
制御部は、第1点灯回路12-1および第2点灯回路12-2を不連続モードで動作させている。このため、コイルL1、コイルL2の電流Ico1、Ico2には、ゼロとなる休止期間がある。
【0031】
第1スイッチング素子Q1がオン状態のとき、コイルL1に印加される電圧Vco1はVin1-Vout1である。また、第1スイッチング素子Q1がオフ状態のとき、コイルL1に印加される電圧Vco1は-Vout1である。ここで、Vin1は第1点灯回路12-1への入力電圧であり、Vout1は第1点灯回路12-1の出力電圧である。
【0032】
同様に、第2スイッチング素子Q2がオン状態のとき、コイルL2に印加される電圧Vco2はVin2-Vout2である。また、第2スイッチング素子Q2がオフ状態のとき、コイルL2に印加される電圧Vco2は-Vout2である。ここで、Vin2は第2点灯回路12-2への入力電圧であり、Vout2は第2点灯回路12-2の出力電圧である。
【0033】
第1スイッチング素子Q1がオフ状態であり、コイルL1の電流Ico1がゼロのとき、コイルL1の電圧Vco1には振動電圧が発生する。これは、第1スイッチング素子Q1の寄生容量成分とコイルL1のインダクタンスによるものである。同様に、第2スイッチング素子Q2がオフ状態であり、コイルL2の電流Ico2がゼロのとき、コイルL2の電圧Vco2に振動電圧が発生する。また、コンデンサC1の放電電流は、コイルL1の電流Ico1とコイルL2の電流Ico2の和に相当する。
【0034】
図3は、比較例に係る照明装置の電流電圧波形を示す図である。比較例に係る照明装置は、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2のターンオンおよびターンオフのタイミングが一致する点が、本実施の形態と異なる。比較例において、第1制御部IC1および第2制御部IC2は、共に同期信号の立ち上がりと同期して、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2をそれぞれターンオンさせる。このため、コイルL1の電流Ico1とコイルL2の電流Ico2は同じタイミングで増加する。
【0035】
比較例において、コンデンサC1の放電電流は、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2のターンオンと共に立ち上がり、増大する。コンデンサC1の放電電流は、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2のターンオフのタイミングで最大となる。
【0036】
比較例に係る照明装置では第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2のターンオンおよびターンオフのタイミングが一致する。このため、コンデンサC1の放電電流のピークは、電流Ico1の最大値と電流Ico2の最大値との和となる。このため、コンデンサC1の放電電流のピークが大きくなり易く、放電電流の変化が急峻となり易い。このため、ターンオンおよびターンオフ時に発生するスイッチングノイズが大きくなり、スイッチングノイズによるエネルギー損失が大きくなるおそれがある。
【0037】
また、別の比較例として、第1点灯回路12-1のスイッチングのトリガとなるクロックの周波数と、第2点灯回路12-2のスイッチングのトリガとなるクロックの周波数をずらすことが考えられる。この場合も、周期的に第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2のターンオンのタイミングが一致する。従って、コンデンサC1の放電電流が増大するおそれがある。
【0038】
これに対し、本実施の形態では、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2のスイッチングのタイミングは、1つの同期信号に同期し、かつ、同期信号の1周期内に分散される。第1制御部IC1は同期信号の第1タイミングと同期して第1スイッチング素子Q1をオンし、第2制御部IC2は同期信号の第1タイミングとは異なる第2タイミングと同期して第2スイッチング素子Q2をオンさせる。これにより、コイルL1の電流Ico1とコイルL2の電流Ico2の立ち上がりのタイミングがずれる。従って、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2が同時にターンオンする場合と比較して、コンデンサC1の放電電流を抑制できる。本実施の形態ではコンデンサC1の放電電流のピークを、比較例の放電電流のピークの約半分にできる。また、コンデンサC1の放電電流の山と谷の差分である変化幅を、比較例よりも小さくできる。
【0039】
コンデンサC1の放電電流のピークが小さくなり、放電電流の変化が緩やかになることで、スイッチングノイズによるエネルギー損失を抑制できる。また、本実施の形態では、比較例よりもコンデンサC1に流れる電流の実効値を小さくできる。このため、コンデンサC1の発熱を抑制できる。よって、コンデンサC1の設計寿命を延ばすことができる。
【0040】
さらに、本実施の形態では、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2を同じ周波数でスイッチングさせつつ、ターンオンするタイミングをずらす。これにより、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2のスイッチングのタイミングが周期的に重なることを防止できる。つまり、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2のターンオンのタイミングを確実にずらすことができる。
【0041】
また、本実施の形態では、第1スイッチング素子Q1のオン期間と、第2スイッチング素子Q2のオン期間は重ならない。第1制御部IC1は、同期信号の立ち上がりと共に第1スイッチング素子Q1をターンオンし、その後同期信号が立ち下がる前に第1スイッチング素子Q1をターンオフする。また、第2制御部IC2は、同期信号の立下りと共に第2スイッチング素子Q2をターンオンし、その後同期信号が立ちあがる前に第2スイッチング素子Q2をターンオフする。これにより、さらにコンデンサC1の放電電流のピークを抑制できる。これに限らず、第1スイッチング素子Q1のオン期間と、第2スイッチング素子Q2のオン期間は重なっていても良い。
【0042】
ここで、第1スイッチング素子Q1がオンする第1タイミングは同期信号の立ち上がりに限らない。また、第2スイッチング素子Q2がオンする第2タイミングは同期信号の立下りに限らない。第1タイミングと第2タイミングは異なるタイミングであれば良い。第1タイミングは、同期信号の立ち上がりおよび立下りの一方であり、第2タイミングは、同期信号の立ち上がりおよび立下りの他方であっても良い。また、第1タイミングは同期信号の立ち上がりであり、第2タイミングは同期信号の立ち上がりから予め定められた遅延時間が経過したタイミングであっても良い。
【0043】
また、本実施の形態では、第1制御部IC1は、コイルL2の電流がゼロとなった時、第1制御部IC1をターンオフする。また、第2制御部IC2は、コイルL1の電流がゼロとなった時、第2スイッチング素子Q2をターンオフする。これに限らず、第1制御部IC1は、第1スイッチング素子Q1をターンオンさせてから一定時間経過したあと、第1スイッチング素子Q1をターンオフさせても良い。同様に、第2制御部IC2は、第2スイッチング素子Q2をターンオンさせてから一定時間経過したあと、第2スイッチング素子Q2をターンオフさせても良い。
【0044】
また、第1制御部IC1は同期信号の第3タイミングと同期して第1スイッチング素子Q1をオフし、第2制御部IC2は同期信号の第3タイミングとは異なる第4タイミングと同期して第2スイッチング素子Q2をオフさせても良い。これにより、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2のターンオフのタイミングを確実にずらすことができる。
【0045】
また、本実施の形態では第1スイッチング素子Q1のオン時間と第2スイッチング素子Q2のオン時間は等しい。これに限らず、第1スイッチング素子Q1のオン時間と第2スイッチング素子Q2のオン時間は異なっていても良い。
【0046】
本実施の形態では、不連続モードでの動作を説明している。これに限らず、制御部は、第1点灯回路12-1および第2点灯回路12-2を臨界モードまたは連続モードで動作させても良い。臨界モードにおいて、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2の各々は、ターンオフし、放電開始後コイル電流がゼロとなった瞬間にターンオンする。連続モードにおいて、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2の各々は、コイル電流がゼロになる前にターンオンする。これらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施の形態の同期信号のデューティ比は固定されている。これに限らず、制御部は、同期信号のデューティ比を変化させても良い。制御部は、例えば同期信号のデューティ比を第1光源部13-1または第2光源部13-2の調光率に応じて変化させても良い。
【0048】
第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2のオン時間は、調光率に応じて決まることがある。この場合、同期信号のデューティ比が固定されていると、調光率によっては第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2の一方がオンするタイミングと、他方がオフするタイミングとが重なることがある。これを防止するように、制御部は、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2の一方がオンするタイミングと、他方がオフするタイミングとが重ならないように、同期信号のデューティ比を変化させても良い。これにより、スイッチングノイズを更に抑制できる。
【0049】
また、制御部は、同期信号のデューティ比を第1光源部13-1または第2光源部13-2の調光信号のデューティ比に合わせて変化させても良い。第1点灯回路12-1の調光率と第2点灯回路12-2の調光率に合わせて第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2をターンオンおよびターンオフさせることにより、設計上のチューニングが行い易くなる。これにより、スイッチングノイズを更に抑制できる。また、調光信号を同期信号として用いることができるため、制御部で実施される制御を簡易化できる。
【0050】
更に、同期信号は矩形波に限らず、三角波でも良い。同期信号が三角波の場合、三角波のゼロクロスを第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2のターンオンまたはターンオフのトリガとすることが考えられる。
【0051】
また、本実施の形態では、第1点灯回路12-1と第2点灯回路12-2は、コンデンサC1から電力を供給される。これに限らず、第1点灯回路12-1と第2点灯回路12-2は、蓄電池等の直流電源から電力を供給されても良い。この場合、PFC回路11は設けなくても良い。第1点灯回路12-1と第2点灯回路12-2は、共通の電源から電力を供給されれば良い。
【0052】
また、本実施の形態では、第1制御部IC1が同期信号を第2制御部IC2に送信する。これに限らず、同期信号は制御部の外部から第1制御部IC1と第2制御部IC2に供給されても良い。
【0053】
また、本実施の形態の照明装置100は、点灯回路および光源部をそれぞれ2つ備える。これに限らず、照明装置100は、点灯回路および光源部をそれぞれ3つ以上備えても良い。
【0054】
点灯制御装置1は例えば、ダウンライト、ペンダント型ライト、高天井照明等に用いても良い。点灯制御装置1は複数の光源を備える各種照明装置に用いることができる。
【0055】
なお、本実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 点灯制御装置、11 PFC回路、11a 昇圧チョッパ回路、12-1 第1点灯回路、12-2 第2点灯回路、13-1 第1光源部、13-2 第2光源部、14-1、14-2 光源、100 照明装置、AC 商用電源、CN1、CN2 端子部、IC1 第1制御部、IC2 第2制御部、L1、L2 コイル、C1、C2、C3 コンデンサ、D1、D2 ダイオード、DB 整流回路、Pi2 入力端子、Po1 出力端子、Q1 第1スイッチング素子、Q2 第2スイッチング素子、R1、R2 抵抗
図1
図2
図3