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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64D 13/08 20060101AFI20230214BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20230214BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B64D13/08
B64C27/08
B64C39/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019024346
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020131781
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 米太
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509332(JP,A)
【文献】特表2017-518216(JP,A)
【文献】特開2010-168562(JP,A)
【文献】特開2016-175489(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0007091(KR,A)
【文献】中国実用新案第208453234(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0327093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 13/08
B64C 27/08
B64C 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部から伸びる複数のフレーム部と、前記フレーム部の先端部に設けられ、回転翼および前記回転翼が連結された回転軸を回転させるモータを有する推進駆動部と、前記推進駆動部を駆動するための電気部品ユニットと、を備える飛行体であって、
前記回転翼の下方において前記回転軸に連結され、前記モータにより回転する送風ファンを備え、
前記フレーム部は、内側に空間を有する中空部材であり、前記フレーム部の外部と前記空間とを連通する複数の給排気口を有し、
前記電気部品ユニットは、前記フレーム部の前記空間内であって、少なくとも2つの前記給排気口の間に配置されており、
前記給排気口は、前記フレーム部の前記推進駆動部側の端部における前記回転翼に対向する位置に形成された第一の給排気口を含み、
前記送風ファンは、前記外部の空気を、少なくとも1つの前記給排気口から前記空間内に取り込むことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
前記電気部品ユニットは、前記フレーム部の前記推進駆動部側の端部における前記送風ファンの近傍に形成された前記第一の給排気口と、前記本体部側の端部に形成された第二の給排気口との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記モータは、前記フレーム部の前記空間内に配置されており、
前記第一の給排気口は、前記フレーム部の前記推進駆動部側の端部の上面であって、前記モータの上方に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記電気部品ユニットは、前記第二の給排気口と前記モータとの間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の飛行体。
【請求項5】
前記送風ファンは、前記外部の空気を、前記第二の給排気口から前記空間内に取り込み、前記第一の給排気口から送出することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項6】
前記送風ファンは、前記外部の空気を、前記第一の給排気口から前記空間内に取り込み、前記第二の給排気口から送出することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項7】
前記フレーム部は、前記送風ファンにより前記空間内に取り込まれた空気が前記モータの内部を通過するように、前記空気の流れを規制する規制部をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項8】
前記送風ファンは、軸流ファンであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項9】
前記送風ファンは、遠心ファンであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項10】
前記電気部品ユニットは、前記モータの回転速度を制御する速度制御ユニットを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項11】
前記電気部品ユニットには、当該電気部品ユニットを冷却する冷却体が取り付けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項12】
前記冷却体は、炭素繊維強化炭素複合材料により構成されていることを特徴とする請求項11に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマルチコプターなど、回転翼を有する飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型でかつ無人飛行が可能な無人飛行体として、ドローン(マルチコプター)等が普及している。ドローンは、測量、災害救助、自然環境の研究、スポーツの中継、農薬散布等を始め、各種産業において活用されている。
ドローンの機体の構造には様々な形状があるが、一般に、ドローンは、本体部と、本体部から放射状に伸びる複数のフレーム部と、フレーム部の先端部に設けられた推進駆動部と、を備える。推進駆動部は、機体の飛行のための揚力および推力を発生させるユニットであり、回転翼であるプロペラ(ロータ)とプロペラを回転させるモータとを備える。
【0003】
例えば特許文献1には、本体部からX字状に伸びる4本のフレームを有し、当該フレームの先端部にプロペラ(ロータ)を回転させるためのモータが取り付けられた無人回転翼機が開示されている。ここで、モータは、U相、V相、W相を有する3相ブラシレスDCモータであり、当該モータは、電子スピードコントローラ(ESC)によって回転速度(回転数)が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-136914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドローンの寿命は、現状、墜落による破損や行方不明といった事故による要因が大きい。墜落の主な原因としては、飛行中の通信喪失、バッテリ切れ、モータの故障、操縦の未熟さなどがある。そのため、従来、ドローンの長寿命化という点に対しては、上記の点に注目した対応や改良が中心に行われてきた。
ところで、ドローンには、さまざまな電気部品ユニットが搭載されており、これら電気部品ユニットは、駆動時に発熱を伴う。そのため、電気部品ユニットの温度上昇を適切に抑制することも、ドローンの長寿命化を図るうえで重要な課題である。ところが、従来、この点についてはほとんど対策が講じられていない。
【0006】
そこで、本発明は、電気部品ユニットの温度上昇を適切に抑制し、飛行体の長寿命化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る飛行体の一態様は、本体部と、前記本体部から伸びる複数のフレーム部と、前記フレーム部の先端部に設けられ、回転翼および前記回転翼が連結された回転軸を回転させるモータを有する推進駆動部と、前記推進駆動部を駆動するための電気部品ユニットと、を備える飛行体であって、前記回転翼の下方において前記回転軸に連結され、前記モータにより回転する送風ファンを備え、前記フレーム部は、内側に空間を有する中空部材であり、前記フレーム部の外部と前記空間とを連通する複数の給排気口を有し、前記電気部品ユニットは、前記フレーム部の前記空間内であって、少なくとも2つの前記給排気口の間に配置されており、前記給排気口は、前記フレーム部の前記推進駆動部側の端部における前記回転翼に対向する位置に形成された第一の給排気口を含み、前記送風ファンは、前記外部の空気を、少なくとも1つの前記給排気口から前記空間内に取り込む。
【0008】
このように、フレーム部を中空の構造として複数の給排気口を形成し、送風ファンによってフレーム部の内側に空気を取り込むことにより、フレーム部の内側に空気の流れを生じさせることができる。このフレーム部の内側を流れる風は、フレーム部の内側であって、2つの給排気口の間に配置された電気部品ユニットを冷却する冷却風として作用する。送風ファンは、回転翼が連結された回転軸に連結されており、モータによって回転翼とともに回転するため、モータの動作時、即ち飛行体の飛行時には、必ず冷却風を発生させることができる。
したがって、電気部品ユニットの温度上昇を適切に抑制することができる。これにより、電気部品ユニットの長寿命化を図ることができ、結果として、当該電気部品ユニットを搭載した飛行体の長寿命化を図ることができる。さらに、回転翼の回転と送風ファンの回転とを、1つのモータで行うことができるので、別途、送風ファンを回転させるためのモータを設ける必要がなく、飛行体の小型化、軽量化が図れる。
【0009】
また、上記の飛行体において、前記電気部品ユニットは、前記フレーム部の前記推進駆動部側の端部における前記送風ファンの近傍に形成された前記第一の給排気口と、前記本体部側の端部に形成された第二の給排気口との間に配置されていてもよい。
この場合、フレーム部の一端から他端までを、冷却風の通風路として有効利用することができる。また、送風ファンの近傍に第一の給排気口を配置することで、送風ファンによって、フレーム部の空間内に第一の給排気口を通る空気の流れを適切に生成することができる。
【0010】
さらに、上記の飛行体において、前記モータは、前記フレーム部の前記空間内に配置されており、前記第一の給排気口は、前記フレーム部の前記推進駆動部側の端部の上面であって、前記モータの上方に形成されていてもよい。この場合、回転翼の下方で、かつモータの上方に配置された送風ファンによって、フレーム部の空間内に、第一の給排気口を通る空気の流れを確実に生成することができる。また、このときフレーム部の空間内を流れる風がモータを通過するように空気の流れを生成することができるため、モータを冷却する効果も得られる。
また、上記の飛行体において、前記電気部品ユニットは、前記第二の給排気口と前記モータとの間に配置されていてもよい。この場合、フレーム部の本体部側の端部に形成された第二の給排気口と、フレーム部の先端部に設けられた推進駆動部側との間のフレーム部の内側の空間内を、電気部品ユニットの配置場所として有効利用することができる。
【0011】
さらにまた、上記の飛行体において、前記送風ファンは、前記外部の空気を、前記第二の給排気口から前記空間内に取り込み、前記第一の給排気口から送出することもできる。このように、送風ファンの送風方向を、フレーム部の空間内の空気が第一の給排気口から外部へ送出される方向としてもよい。
また、上記の飛行体において、前記送風ファンは、前記外部の空気を、前記第一の給排気口から前記空間内に取り込み、前記第二の給排気口から送出することもできる。このように、送風ファンの送風方向を、外部の空気が第一の給排気口からフレーム部の空間内に進入する方向としてもよい。
また、上記の飛行体において、前記フレーム部は、前記送風ファンにより前記空間内に取り込まれた空気が前記モータの内部を通過するように、前記空気の流れを規制する規制部をさらに備えてもよい。この場合、モータを確実に冷却することができる。
【0012】
また、上記の飛行体において、前記送風ファンは、軸流ファンであってよい。軸流ファンは、回転軸に沿った(回転軸と平行な)風の流れを作り出すことができ、また、回転方向によって送風方向を変更可能であるため、フレーム部の空間内に所望の空気の流れを容易に作り出すことができる。
さらに、上記の飛行体において、前記送風ファンは、遠心ファンであってもよい。遠心ファンは、回転方向に依存しない風の流れを作り出すことができる。したがって、モータの回転方向によらずに、フレーム部の空間内に一定方向の空気の流れを容易に作り出すことができる。
【0013】
また、上記の飛行体において、前記電気部品ユニットは、前記モータの回転速度を制御する速度制御ユニットを含んでもよい。
速度制御ユニットは、モータの回転速度を制御するために複数のスイッチング素子を備え、かなりの発熱が見込まれる。このように、発熱量の多い速度制御ユニットをフレーム部の内側に配置し、フレーム部の内側を流れる冷却風によって冷却する構造とすることで、速度制御ユニットの温度上昇を適切に抑制し、効果的に飛行体の長寿命化を図ることができる。
【0014】
また、前記電気部品ユニットには、当該電気部品ユニットを冷却する冷却体が取り付けられていてもよい。この場合、より効率的に電気部品ユニットの温度上昇を抑制することができる。
さらに、上記の飛行体において、前記冷却体は、炭素繊維強化炭素複合材料により構成されていてもよい。炭素繊維強化炭素複合材料は、低密度で高熱伝導率を有する材料である。したがって、高い冷却効率を有する軽量な冷却体とすることができ、飛行体の重量を著しく増加することなく、効率的に電気部品ユニットを冷却することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モータの動作中、即ち飛行体の飛行中に、必ず送風ファンによりフレーム部の中空部分に風を取り込むことができる。したがって、電気部品ユニットを強制空冷することができ、電気部品ユニットの温度上昇を適切に抑制し、電気部品ユニットの長寿命化を図ることができる。その結果、電気部品ユニットを搭載した飛行体の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態における飛行体の全体構成例を示す図である。
図2】飛行体のシステム構成の概略を示す図である。
図3】フレーム部の内部における風の流れを示す図である。
図4】送風ファン(軸流ファン)の一例である。
図5】軸流ファン取り付け時におけるモータとの位置関係を示す図である。
図6】フレーム部に設けた規制部の一例である。
図7】フレーム部の内部における風の流れを示す図である。
図8】フレーム部の内部における風の流れの別の例を示す図である。
図9】送風ファン(遠心ファン)の一例である。
図10】送風ファン(遠心ファン)の別の例である。
図11】遠心ファン取り付け時におけるモータとの位置関係を示す図である。
図12】本実施形態における飛行体の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における飛行体10の全体構成例を示す図である。本実施形態では、飛行体10がドローン(マルチコプター)である場合について説明する。
ドローン10は、本体部11と、本体部11から伸びる複数(本実施形態では、4本)のフレーム部12と、を備える。さらに、ドローン10は、フレーム部12の先端部(本体部11側ではない方の端部)にそれぞれ設けられた推進駆動部20を備える。
推進駆動部20は、機体の飛行のための揚力および推力を発生させるユニットであり、モータ21と、モータ21によって回転される回転翼(プロペラ、ロータともいう)22とを備える。ここで、モータ21は、3相ブラシレスDCモータであり、後述するコントローラ32によって回転速度(回転数)が制御される。
【0018】
本体部11およびフレーム部12には、種々の電気部品ユニットが搭載されている。具体的には、本体部11には、受信ユニット31、コントローラ32、センサユニット33およびバッテリユニット34が搭載されている。また、フレーム部12には、速度制御ユニット35が搭載されている。
これら電気部品ユニットは、本体部11およびフレーム部12を構成する筐体(カバー等を含む)13に覆われている。
【0019】
図2は、ドローン10のシステム構成の概略を示す図である。
受信ユニット31は、操縦器(不図示)から送信される信号を受信し、受信した信号をコントローラ32に出力する。ここで、操縦器は、操縦者がドローン10の機体を遠隔から操作するための器具である。受信ユニット31は、操縦者が操作する操縦器から送信される信号を受信するためのアンテナを備える。
コントローラ32は、CPU、ROM、RAM等を備え、受信ユニット31により受信された信号やセンサユニット33により検出された信号を受け取り、これらの信号に基づいてドローン10の機体の飛行制御を行う。
【0020】
センサユニット33は、各種センサを備える。例えば、センサユニット33は、ジャイロセンサ33a、加速度センサ33b、気圧センサ33c、GPSセンサ33dなどを備える。
ジャイロセンサ33aは、例えば3軸ジャイロであり、ドローン10の機体のロール軸、ピッチ軸およびヨー軸のそれぞれの方向に対して傾きの変化量を検出する。加速度センサ33bは、ドローン10の機体の加速度を検出する。加速度センサ33bは、例えばXYZ軸の3方向の加速度を検出する3軸加速度であってよい。気圧センサ33cは、気圧を検知し、検知した気圧に基づいてドローン10の機体の高度を検出する。GPSセンサ33dは、ドローン10の機体の飛行位置を検出する。
【0021】
コントローラ32は、受信ユニット31により受信された信号やセンサユニット33により検出された信号に基づいて、各モータ21の目標回転速度を決定し、各モータ21の回転速度が目標回転速度に一致するように速度制御ユニット35を制御する。
速度制御ユニット35は、1個のモータ21にそれぞれ対応して設けられている。各速度制御ユニット35は、本実施例においては6個のスイッチング素子を有するインバータ回路と、スイッチング素子をオンオフ制御するための駆動回路(ゲートドライバ)とをそれぞれ備える。ここで、スイッチング素子は、FET(電界効果トランジスタ)やMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等である。
【0022】
コントローラ32が、速度制御ユニット35を介して各モータ21の回転速度(回転数)を個別に制御することにより、ドローン10は、離陸、着陸、前進、後退などの飛行制御、およびロール、ピッチ、ヨーイングなどの姿勢制御が行われる。
図2に示す各電気部品ユニット(31、32、33、35)には、図1に示すバッテリユニット34から電力が供給される。バッテリユニット34は、例えばリチウム充電池とすることができる。バッテリユニット34は、機体の重心を安定させるために、本体部11の下部中央に設けられている。バッテリユニット34から各電気部品ユニットへの電力の供給は、配線によって直接行われてもよいし、PMU(Power Management Unit)を介して行われてもよい。
【0023】
上述したように、速度制御ユニット35は、3相のモータを広い速度範囲で制御するために、それぞれ6個のスイッチング素子を有する。スイッチング素子は、電流が流れることで発熱する発熱体である。速度制御ユニット35は、それぞれが6個のスイッチング素子を有するため、かなりの発熱が見込まれる。そのため、適切に冷却を行わないと、例えばスイッチング素子のジャンクション部の温度が一定温度を超え、スイッチング素子に不具合が生じるおそれがある。また、速度制御ユニット35自体が高温となると、スイッチング素子だけでなく、この速度制御ユニット35に含まれる他の電気部品の不具合発生の原因にもなり得る。
【0024】
つまり、速度制御ユニット35の長寿命化を実現するためには、スイッチング素子を適切に冷却し、速度制御ユニット35の過度な温度上昇を抑制することが重要である。
本実施形態では、速度制御ユニット35の温度上昇を抑制するために、フレーム部12を中空の構造とし、速度制御ユニット35を中空のフレーム部12の内側に配置する。そして、中空のフレーム部12の内側を冷却風通風路として利用し、速度制御ユニット35をフレーム部12の内側を通る冷却風によって冷却するようにする。
さらに、本実施形態では、モータ21の回転軸と同軸に送風ファンを設け、中空のフレーム部12の内側に積極的に冷却風を取り込むようにする。なお、図1において、送風ファンの図示は省略している。
【0025】
図3は、フレーム部12の断面構造の一例を示す図である。
フレーム部12は、一方向に伸びる中空の(筒状の)部材である。フレーム部12の長手方向に直交する方向における断面形状は、特に限定されるものではなく、フレーム部12は角中空の構造であってもよいし、円中空の構造であってもよい。
フレーム部12は、第一の給排気口15と、第二の給排気口16と、を備える。給排気口15および16は、フレーム部12の外部とフレーム部12の内側の空間とを連通させる給排気口であり、一方が給気口となる場合は、他方が排気口となる。
【0026】
第一の給排気口15は、フレーム部12の推進駆動部20側の端部に形成されており、第二の給排気口16は、フレーム部12の本体部11側の端部に形成されている。速度制御ユニット35は、フレーム部12の内側であって、第一の給排気口15と第二の給排気口16との間に配置されている。また、モータ21は、フレーム部12の内側であって、第一の給排気口15と速度制御ユニット35との間に配置されている。つまり、速度制御ユニット35は、モータ21と第二の給排気口16との間に配置されている。
より具体的には、第一の給排気口15は、フレーム部12の推進駆動部20側における上面であって、回転翼22の下方に形成されている。また、第二の給排気口16は、フレーム部12の本体部11側における下面に形成されている。
【0027】
モータ21の回転軸23には回転翼22が連結されている。そして、モータ21の回転軸23と同じ軸であって、モータ21と回転翼22との間には、送風ファンとして軸流ファン24が取り付けられている。
本実施形態では、フレーム部12は、軸流ファン24と同等の大きさを有する第一の給排気口15を有し、軸流ファン24は、第一の給排気口15を塞ぐ位置に取り付けられている。
なお、軸流ファン24は、フレーム部12の内側に配置されていてもよいし、フレーム部12の外側に配置されていてもよい。つまり、軸流ファン24は、第一の給排気口15を介して、フレーム部12の外部からフレーム部12の内側、もしくはその逆へ流れる風を生成できるように、第一の給排気口15の近傍に配置されていればよい。
【0028】
図4は、軸流ファン24の一例を示す斜視図である。軸流ファン24は、風を作り出す複数の羽根24aを備える。ここで、羽根24aは、円形の平板に切り込みを入れて折り曲げることで形成される。また、軸流ファン24は、その中心部にモータ21の回転軸23に連結される連結部24bを有する。
軸流ファン24は、回転することにより、回転軸に沿った(回転軸と平行な)風の流れを作り出すことができる。
【0029】
図5は、モータ21の回転軸23に軸流ファン24を取り付けた図である。この図5において、軸流ファン24は、羽根24aがモータ21側に凸になるように取り付けられている。モータ21の回転軸23が一方向に回転すると、軸流ファン24は回転軸23を介して同方向に回転する。
軸流ファン24では、回転方向によって風の流れる向きを変えることができる。つまり、軸流ファン24の回転方向に応じて、モータ21側から図5における軸流ファン24の上方へ向けて送風したり、逆に図5における軸流ファン24の上方からモータ21側へ向けて送風したりすることができる。
なお、本実施形態において送風ファンとして使用する軸流ファンは、図4に示す形状のものに限定されない。
【0030】
図3に戻り、同図は、軸流ファン24が、軸流ファン24の上方からモータ21側に向かう風の流れを作り出す場合の冷却風の流れを示している。
ドローン10は、モータ21により回転翼22を回転させることで飛行する。モータ21が回転すると、モータ21の回転軸23に回転一体に連結された軸流ファン24も回転する。すると、軸流ファン24の回転により、第一の給排気口15からフレーム部12の内側に外気41が取り込まれる。
フレーム部12の内側に取り込まれた外気41の一部は、冷却風42となってモータ21とフレーム部12の内壁との間に進入する。また、フレーム部12の内側に取り込まれた外気41の一部は、冷却風43となってモータ21内部のコイルの隙間に進入する。モータ21内部に進入した冷却風43は、モータ21内部のコイルの隙間を通過し、冷却風44となってフレーム部12の内側に進入する。
このとき、モータ21は、モータ21内部のコイルの隙間を流れる冷却風43によって冷却される。
【0031】
フレーム部12の内側に取り込まれた冷却風42および44は、中空のフレーム部12の内側を本体部11側に向かって流れ、フレーム部12の内側に配置された速度制御ユニット35を冷却する。つまり、速度制御ユニット35は、フレーム部12の内側を流れる冷却風45により、適切に冷却され温度の上昇が抑制される。
速度制御ユニット35を冷却した風46は、フレーム部12の本体部11側に形成された第二の給排気口16から外部に排気される。
【0032】
なお、軸流ファン24によりフレーム部12の内側に取り込まれる外気41のうち、モータ21内部に進入する空気が多いほどモータ21の冷却効率は良い。そこで、図6に示すように、軸流ファン24によりフレーム部12の内側に取り込まれた外気41がモータ21の内部を通過するように空気の流れを規制する規制部12aを設けてもよい。規制部12aは、第一の給排気口15から取り込まれた外気41がモータ21とフレーム部12の内壁との間に進入することを抑制している。これにより、モータ21を効果的に冷却することができる。ただし、規制部12aを形成する位置および形状は上記に限定されない。
【0033】
図7は、図3の場合とは反対に、軸流ファン24が、モータ21側から軸流ファン24の上方に向かう風の流れを作り出す場合の冷却風の流れを示している。
モータ21が回転して軸流ファン24が回転すると、第二の給排気口16からフレーム部12の内側に外気51が取り込まれる。フレーム部12の内側に取り込まれた風は、中空のフレーム部12の内側をモータ21側に向かって流れ、フレーム部12の内側に配置された速度制御ユニット35を冷却する。つまり、速度制御ユニット35は、フレーム部12の内側を流れる冷却風52により、適切に冷却され温度の上昇が抑制される。
【0034】
速度制御ユニット35を冷却した冷却風52の一部は、冷却風53となってモータ21とフレーム部12の内壁の間に進入する。また、速度制御ユニット35を冷却した冷却風52の一部は、モータ21の下方からモータ21内部に進入し、冷却風54となってモータ21内部のコイルの隙間を通過する。このとき、モータ21は、モータ21内部のコイルの隙間を流れる冷却風54によって冷却される。そして、冷却風53および54は、軸流ファン24を介して、第一の給排気口15から外部に排気される。
【0035】
なお、第二の給排気口16からフレーム部12の内側に取り込まれ通風路12bを流れる冷却風52のうち、モータ21内部に進入する空気が多いほどモータ21の冷却効率は良い。そこで、本実施形態では、冷却風52がモータ21側に向かって流れる場合の通風路12bの出口(通風路12bのモータ21側の開口)がモータ21の下部に位置するように、フレーム部12が形成されている。これにより、冷却風52がモータ21の下方からモータ21内部に進入しやすくなる。また、通風路12bの出口には、図7に示すように、通風路12bを通過した冷却風52がモータ21の下方からモータ21内部に進入し、モータ21の内部を通過するように空気の流れを規制する規制部12b´を設けてもよい。規制部12b´は、通風路12bを通過した冷却風52が、モータ21とフレーム部12の内壁との間に進入することを抑制することができる。
これにより、モータ21を効果的に冷却することができる。ただし、通風路12bの形状や、規制部12b´を形成する位置および形状は上記に限定されない。
【0036】
上述した図3図7に示す例では、送風ファンとして軸流ファン24を用いる場合について説明したが、送風ファンは、遠心式のファン(遠心ファン)であってもよい。
図8は、送風ファンとして遠心ファン25を用いた場合のフレーム部12の断面構造を示す図である。同図においては、遠心ファン25として、シロッコファン(多翼ファン)を使用している。
【0037】
遠心ファン(シロッコファン)25は、図9に示すように、円周上に多数の羽根25aを有する。また、遠心ファン25は、その中心部にモータ21の回転軸23に連結される連結部25bを有する。遠心ファン25が回転することにより作り出される風は、回転軸付近の空洞部(内側空洞部)から取り込まれて、回転軸に対して直角に遠心方向に流れ、羽根25aの外側へ排気される。
なお、送風ファンとして使用する遠心ファンは、図9に示すシロッコファン25に限定されない。例えば、図10に示すターボファン25Aを用いることもできる。
【0038】
遠心ファン25は、モータ21の回転軸23に取り付けられる。このとき、モータ21の少なくとも一部が、遠心ファン25の内側空洞部に入るように(遠心ファン25がモータ21に覆いかぶさるように)取り付けられる。図11は、モータ21に遠心ファン25を取り付けた例である。なお、図11は、遠心ファン25がモータ21に完全に覆いかぶさるように取り付けられた例を示している。
モータ21の回転軸23が一方向に回転すると、遠心ファン25は回転軸23を介して同方向に回転する。ここで、遠心ファン25は、上述した軸流ファン24とは異なり、回転方向によらずに風の流れる向きは同じである。つまり、遠心ファン25は、どちらに回転しても内側空洞部からファン外側へ向かう方向に送風することができる。
【0039】
以下、図8を用いて冷却風の流れについて説明する。
回転翼22を回転させるためにモータ21が回転すると、モータ21の回転軸23に回転一体に連結された遠心ファン25も回転する。すると、遠心ファン25は、風を内側空洞部の回転軸23付近から取り入れて、羽根25aから外側へ排気する。したがって、遠心ファン25が回転すると、遠心ファン25の下方から内側空洞部に進入し、遠心ファン25の羽根25aから出て遠心ファン25の上方に向かう風の流れが形成される。
【0040】
具体的には、遠心ファン25が回転すると、第二の給排気口16からフレーム部12の内側に外気61が取り込まれる。フレーム部12の内側に取り込まれた風は、中空のフレーム部12の内側をモータ21側に向かって流れ、フレーム部12の内側に配置された速度制御ユニット35を冷却する。つまり、速度制御ユニット35は、フレーム部12の内側を流れる冷却風62により、適切に冷却され温度の上昇が抑制される。
速度制御ユニット35を冷却した冷却風62の一部は、冷却風63となってモータ21の外側を通って遠心ファン25の内側空洞部に進入する。また、速度制御ユニット35を冷却した冷却風62の一部は、モータ21の下方からモータ21内部に進入し、冷却風64となってモータ21内部のコイルの隙間を通過する。遠心ファン25は、モータ21に覆いかぶさっているので、モータ21内部を通過した冷却風64は、遠心ファン25の内側空洞部に進入する。このとき、モータ21は、モータ21内部のコイルの隙間を流れる冷却風64によって冷却される。
【0041】
なお、図8に示す例では、図7に示す例と同様に、冷却風62が流れる通風路12cの出口がモータ21の下部に位置するように、フレーム部12が形成されている。これにより、第二の給排気口16から取り込まれて通風路12cを通る冷却風62が、モータ21の外側を進入することを抑制することができる。つまり、通風路12cは、冷却風62がモータ21の内部を通過するように空気の流れを規制する規制部に対応している。これにより、モータ21を効果的に冷却することができる。
ただし、通風路12cの形状は、図8に示す形状に限定されない。また、規制部として、別途、冷却風62がモータ21の外側を進入することを抑制する部材を設けてもよい。
【0042】
また、図8に示す例では、冷却風62のうちモータ21内部に進入しなかった冷却風が、遠心ファン25の内側空洞部に進入するように(遠心ファン25とフレーム部12の内壁との間に進入しないように)空気の流れを規制する規制部12dを設けている。規制部12dは、遠心ファン25の下端部における通風路の面積が、遠心ファン25の下端部の面積と同等となるように規制することで、冷却風62のうちモータ21内部に進入しなかった冷却風が、モータ21とフレーム部12の内壁との間に進入することを抑制している。これにより、フレーム部12の空間内における空気の流れを適切に生成することができ、第二の給排気口16から取り込まれた外部の空気を第一の給排気口15から送出することができる。ただし、規制部12dを形成する位置および形状は上記に限定されない。
【0043】
遠心ファン25の内側空洞部に進入した冷却風63および64は、遠心ファン25の羽根25aから排気され、遠心ファン25とフレーム部12の内壁との間を通る風65となる。この風65は、第一の給排気口から外部に排気される。
上述したように、遠心ファン25の風の流れは、回転方向に依存しない。そのため送風ファンとして遠心ファン25を使用する場合は、冷却風の流れは、図8に示す方向に限定される。
なお、図8に示す例では、第一の給排気口15がフレーム部12の上面に形成されているが、第一の給排気口15は、フレーム部12における遠心ファン25の側面に対向する面12eに形成されていてもよい。この場合、フレーム部12の上面においては、回転軸23の回転の妨げにならない程度の開口部のみを形成すればよい。その結果、例えば雨などの上方からの異物がフレーム部12内へ侵入するのを抑制することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態におけるドローン10は、本体部11と、本体部11から伸びる複数のフレーム部12と、フレーム部12の先端部にそれぞれ設けられた推進駆動部20と、推進駆動部20を駆動するための電気部品ユニットと、回転翼22の下方(モータ21側)において回転軸23に連結され、モータ21により回転する送風ファンと、を備える。ここで、フレーム部12は、内側に空間を有する中空部材であり、フレーム部12の外部と内側の空間とを連通する複数の給排気口を有する。また、電気部品ユニットは、フレーム部12の内側(空間内)であって、少なくとも2つの給排気口の間に配置されている。そして、送風ファンは、外部の空気を、少なくとも1つの給排気口から空間内に取り込む。
具体的には、電気部品ユニットは、フレーム部12の推進駆動部20側の端部における送風ファンの近傍に形成された第一の給排気口15と、本体部11側の端部に形成された第二の給排気口16との間に配置することができる。
【0045】
このように、フレーム部12を中空の構造として2つの給排気口15、16を形成し、送風ファンによってフレーム部12の内側に空気を取り込むことにより、フレーム部12の内側に空気の流れを積極的に生じさせることができる。このフレーム部12の内側を流れる風は、フレーム部12の内側であって、2つの給排気口15、16の間に配置された電気部品ユニットを冷却する冷却風として作用する。送風ファンは、回転翼22が連結された回転軸23に連結されており、モータ21によって回転翼22とともに回転する。そのため、モータ21の動作時、即ちドローン10の飛行時には、必ず冷却風を発生させることができる。
これにより、電気部品ユニットを強制空冷することができ、電気部品ユニットの温度上昇を適切に抑制することができる。したがって、電気部品ユニットの長寿命化を図ることができ、結果として、当該電気部品ユニットを搭載した飛行体の長寿命化を図ることができる。さらに、回転翼22の回転と送風ファンの回転とを、1つのモータ21で行うことができる。したがって、別途、送風ファンを回転させるためのモータを設ける必要がなく、ドローン10の小型化、軽量化が図れる。
【0046】
また、フレーム部12の内側に配置する電気部品ユニットは、モータ21の回転速度を制御する速度制御ユニット35とすることができる。速度制御ユニット35は、複数のモータ21の回転速度を個別に制御するために、複数のモータ21にそれぞれ対応して設けられる。また、モータ21は3相ブラシレスDCモータであり、モータ21の3相に流す電流を制御するために、速度制御ユニット35は、それぞれ6個のスイッチング素子を備える。そのため、速度制御ユニット35は、かなりの発熱が見込まれる。
しかしながら、本実施形態では、上記のように、モータ21の動作中は必ず冷却風を発生させることができる。したがって、速度制御ユニット35をフレーム部12の内側に配置し、モータ21の動作中は、必ずフレーム部12の内側を冷却風が流れる構造とすることで、発熱量の多い速度制御ユニット35の温度上昇を適切に抑制し、効果的にドローン10の長寿命化を図ることができる。
【0047】
また、速度制御ユニット35をフレーム部12の内側に配置することで、速度制御ユニット35を本体部11に配置された他の電気部品ユニットから離すことができる。これにより、速度制御ユニット35が備えるスイッチング素子のスイッチングノイズが、他の電気部品ユニットの動作に対して悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0048】
さらに、本実施形態において、モータ21は、フレーム部12の空間内に配置することができる。また、第一の給排気口15は、フレーム部12の推進駆動部20側の端部の上面であって、モータ21の上方に形成することができる。したがって、回転翼22の下方で、かつモータ21の上方に配置された送風ファンによって、フレーム部12の空間内に、第一の給排気口15を通る空気の流れを確実に生成することができる。
つまり、送風ファンは、外部の空気を第二の給排気口16からフレーム部12の空間内に取り込み、第一の給排気口15から送出するような空気の流れや、外部の空気を第一の給排気口15からフレーム部12の空間内に取り込み、第二の給排気口16から送出するような空気の流れを生成することができる。また、このときフレーム部12の空間内を流れる風がモータ21を通過するように空気の流れを生成することができるため、モータ21を冷却する効果も得られる。
【0049】
さらに、外部の空気を第二の給排気口16からフレーム部12の空間内に取り込み、第一の給排気口15から上方へ送出するような空気の流れを生成した場合、第一の給排気口15からの雨などの異物の侵入を抑制することができる。
また、外部の空気を第一の給排気口15からフレーム部12の空間内に取り込み、第二の給排気口16から送出するような空気の流れを生成した場合、モータ21を優先して冷却することができる。
【0050】
ここで、送風ファンは、軸流ファン24であってもよいし、遠心ファン25であってもよい。軸流ファン24は、回転軸23に沿った(回転軸23と平行な)風の流れを作り出すことができ、また、モータ21の回転方向、また羽根24aの向きによって送風方向を変更可能である。そのため、送風ファンとして軸流ファン24を用いた場合、フレーム部12の空間内に所望の空気の流れを容易に作り出すことができる。一方、遠心ファン25は、回転方向に依存しない風の流れを作り出すことができる。したがって、送風ファンとして遠心ファン25を用いた場合、モータ21の回転方向によらずに、フレーム部12の空間内に一定方向の空気の流れを容易に作り出すことができる。
【0051】
このように、本実施形態におけるドローン10は、フレーム部12の内側に確実に空気を流し、フレーム部12の内側に配置された速度制御ユニット35を適切に冷却することができる。
【0052】
なお、速度制御ユニット35をより効率的に冷却するために、速度制御ユニット35の放熱面に、図3図6図8に示すように、熱伝導性に優れた冷却体36を取り付けてもよい。なお、冷却体36は、速度制御ユニット35が備える発熱体となるスイッチング素子そのものに取り付けてもよいし、スイッチング素子が実装された基板に取り付けてもよい。
ここで、冷却体36の材料としては、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や、炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)を用いることができる。CFRPやC/Cコンポジットは、冷却体として一般に用いられる銅やアルミニウムよりも熱伝導率が高くかつ低密度(軽量)な材料である。
したがって、CFRPやC/Cコンポジットを冷却体として使用することにより、冷却体を取り付けることによる機体の重量増加を抑制しつつ、効率良く速度制御ユニット35を冷却することができる。
【0053】
(変形例)
上記実施形態において説明した送風ファン24、25の配置位置、および第一の給排気口15、第二の給排気口16を形成する位置は一例であり、上記に限定されない。例えば、送風ファンはモータ21の下方に配置されていてもよい。また、フレーム部12には、第一の給排気口15、第二の給排気口16以外の給排気口が形成されていてもよい。つまり、回転翼22の下方において回転軸23に連結され、モータ21により回転する送風ファンが、フレーム部12に形成された少なくとも1つの給排気口から、外部の空気をフレーム部12の内側の空間内に取り込むことができる構成であればよい。
【0054】
さらに、上記実施形態においては、フレーム部12の一部がモータ21のハウジングとして機能してもよい。つまり、フレーム部12の空間内に、ハウジングを有するモータ21を配置するのではなく、ハウジングを除くステータ、ロータ等を有するモータ21を配置するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、電気部品ユニット35は、第二の給排気口16とモータ21との間に配置されている場合について説明したが、電気部品ユニット35の配置位置は上記に限定されない。電気部品ユニット35は、第一の給排気口15と第二の給排気口16との間に配置されていればよい。例えば、電気部品ユニット35は、第一の給排気口15とモータ21との間に配置されていてもよい。ただし、電気部品ユニット35は、第二の給排気口16とモータ21との間に配置されている方が、フレーム部12の内側のスペースを有効利用できるため、好ましい。
【0055】
さらに、上記実施形態においては、4つの回転翼22を有するドローン10について説明したが、回転翼の個数および構成は特に限定されない。
また、上記実施形態においては、飛行体がドローンである場合について説明したが、回転翼を有する飛行体であればマルチコプターに限定されない。また、飛行体は、無人回転翼機に限定されるものでもない。
さらに、上記実施形態においては、電気部品ユニットのうち、速度制御ユニット35をフレーム部12の内側(中空部分)に配置する場合について説明したが、推進駆動部20を駆動するための他の電気部品ユニットを配置し、温度上昇を抑制する構造としてもよい。
【0056】
さらに、上記実施形態においては、回転翼22が、フレーム部12およびモータ21に対して上方に設けられた飛行体について説明したが、図12に示すように、回転翼22が、フレーム部12およびモータ21に対して下方に設けられるものもある。このような場合、回転翼22に対するフレーム部12およびモータ21の上下方向の位置関係は、上記実施形態とは反対になる。そのため、回転翼22の下方とは、回転翼22に対してフレーム部12側、または回転翼22に対してモータ21側を意味する。このような配置関係であっても、上記実施形態と同様の、送風ファン24、25による速度制御ユニット35およびモータ21の冷却を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
10…飛行体(ドローン)、11…本体部、12…フレーム部、15…第一の給排気口)、16…第二の給排気口、20…推進駆動部、21…モータ、22…回転翼、23…回転軸、24…送風ファン(軸流ファン)、25…送風ファン(遠心ファン)、31…受信ユニット、32…コントローラ、33…センサユニット、34…バッテリユニット、35…速度制御ユニット 36…冷却体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12