(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】血圧値解析支援装置、血圧値解析支援システム、血圧値解析支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20230214BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61B5/022 400L
A61B5/022 500Z
A61B5/11 230
(21)【出願番号】P 2019026759
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達則
(72)【発明者】
【氏名】山下 新吾
(72)【発明者】
【氏名】桑原 光巨
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】小久保 綾子
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/168805(WO,A1)
【文献】特開2016-202345(JP,A)
【文献】特開2016-214563(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179701(WO,A1)
【文献】特開2018-149182(JP,A)
【文献】特開2018-42606(JP,A)
【文献】特開2008-142162(JP,A)
【文献】米国特許第9066680(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61B 5/06ー5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧計の測定結果から得られる血圧の時系列データについての解析を支援する、血圧値解析支援装置であって、
一拍毎の血圧値を含む血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、前記一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、解析に用いられるべきことを表す第1信頼度と、前記第1信頼度よりも信頼度が低いことを表す第2信頼度とを含む、状態に判定する一拍信頼度判定部と、
前記一拍毎の血圧値の前記信頼度の判定結果に基づき、前記血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す有効区間、および、解析に用いられるべきでない区間を表す無効区間を設定する、区間設定部とを、備え、
前記区間設定部は、
前記血圧の時系列データについて、前記一拍毎の血圧値の前記信頼度が前記第1信頼度である区間を前記有効区間に含める一方、前記一拍毎の血圧値の前記信頼度が前記第2信頼度である区間を前記無効区間に含め、
前記無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、前記有効区間に変更する、
血圧値解析支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血圧値解析支援装置において、
前記区間設定部は、前記有効区間であって、連続する期間の長さが予め設定されている第2の閾値未満であるものについて、前記無効区間に変更する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の血圧値解析支援装置において、
前記一拍信頼度判定部は、一拍毎の血圧の最高血圧値と、予め設定されている最高血圧閾値とに基づき、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の血圧値解析支援装置において、
前記一拍信頼度判定部は、前記一拍毎の血圧の最低血圧値と、予め設定されている最低血圧閾値とにも基づいて、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項5】
請求項3に記載の血圧値解析支援装置において、
前記一拍信頼度判定部は、前記一拍毎の血圧の最高血圧値と最低血圧値との差である脈圧と、予め設定されている脈圧閾値とにも基づいて、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項6】
請求項3に記載の血圧値解析支援装置において、
前記一拍信頼度判定部は、前記一拍の血圧の一周期である拍時間と、予め設定されている拍時間閾値とにも基づいて、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の血圧値解析支援装置において、
前記一拍信頼度判定部は、前記血圧計の測定中における被験者の動きを示す動きデータの統計値と、予め設定された、少なくとも一つの動き閾値とに基づき、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の血圧値解析支援装置において、
前記少なくとも一つの動き閾値は、第1の動き閾値と、第2の動き閾値とを、含み、
前記一拍信頼度判定部は、或る長さを有する第1の単位期間に渡る前記動きデータの統計値と、前記第1の動き閾値との比較、および、前記第1の単位期間よりも短い第2の単位期間に渡る前記動きデータの統計値と、前記第2の動き閾値との比較に基づき、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の血圧値解析支援装置において、
前記一拍信頼度判定部は、
前記血圧の時系列データにおいて、前記一拍毎の血圧値が予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す変化点を検出し、
前記血圧の時系列データについて、前記変化点直前の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第1の平均血圧レベルを取得するとともに、前記血圧の時系列データについて、前記変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第2の平均血圧レベルを取得し、
前記第1の平均血圧レベルと前記第2の平均血圧レベルとの間の差と、予め定められたレベル閾値とを用いて判定される、前記変化点での血圧レベル変化の有無に基づき、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項10】
請求項1に記載の血圧値解析支援装置において、
前記血圧計は、トノメトリ方式で、動脈に対して交差する方向に沿って配列された複数の圧力センサ片を含み、
前記一拍信頼度判定部は、
各前記圧力センサ片で測定される一拍分の血圧値の、前記各圧力センサ片間での分布を示す分布形状に基づき、前記信頼度を判定する、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項11】
請求項1に記載の血圧値解析支援装置において、
前記一拍毎の血圧値が測定された時刻、前記信頼度、および前記外乱を表す情報を含む、出力データを生成する、出力データ生成部を、さらに備える、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項12】
請求項1に記載の血圧値解析支援装置において、
前記有効区間における、区間開始時刻と区間終了時刻を含む、出力データを生成する、出力データ生成部を、さらに備える、
ことを特徴とする血圧値解析支援装置。
【請求項13】
血圧の時系列データについての解析を支援する、血圧値解析支援システムであって、
一拍毎の血圧値を測定する血圧計と、
前記一拍毎の血圧値を含む血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、前記一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、解析に用いられるべきことを表す第1信頼度と、前記第1信頼度よりも信頼度が低いことを表す第2信頼度とを含む、状態に判定する一拍信頼度判定部と、
前記一拍毎の血圧値の前記信頼度の判定結果に基づき、前記血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す有効区間、および、解析に用いられるべきでない区間を表す無効区間を設定する、区間設定部とを、備え、
前記区間設定部は、
前記血圧の時系列データについて、前記一拍毎の血圧値の前記信頼度が前記第1信頼度である区間を前記有効区間に含める一方、前記一拍毎の血圧値の前記信頼度が前記第2信頼度である区間を前記無効区間に含め、
前記無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、前記有効区間に変更する、
血圧値解析支援システム。
【請求項14】
請求項13に記載の血圧値解析支援システムにおいて、
前記血圧の時系列データに沿って、前記有効区間および/または前記信頼度を、視認可能に表示する、表示装置を、さらに備える、
ことを特徴とする血圧値解析支援システム。
【請求項15】
請求項14に記載の血圧値解析支援システムにおいて、
前記表示装置の表示画面に、前記有効区間毎に、前記有効区間内の、前記血圧の時系列データおよび前記信頼度を、視認可能に表示させる一方、前記無効区間内の、前記血圧の時系列データおよび前記信頼度について、表示を省略させるように、出力データを生成する出力データ生成部を、さらに備える、
ことを特徴とする血圧値解析支援システム。
【請求項16】
血圧計の測定結果から得られる血圧の時系列データについての解析を支援する、血圧値解析支援方法であって、
一拍毎の血圧値を含む血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、前記一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、解析に用いられるべきことを表す第1信頼度と、前記第1信頼度よりも信頼度が低いことを表す第2信頼度とを含む、状態に判定し、
前記一拍毎の血圧値の前記信頼度の判定結果に基づき、前記血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す有効区間、および、解析に用いられるべきでない区間を表す無効区間を設定し、
前記血圧の時系列データについて、前記一拍毎の血圧値の前記信頼度が前記第1信頼度である区間を前記有効区間に含め、
前記一拍毎の血圧値の前記信頼度が前記第2信頼度である区間を前記無効区間に含め、
前記無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、前記有効区間に変更する、
血圧値解析支援方法。
【請求項17】
請求項16に記載の血圧値解析支援方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血圧値解析支援装置、血圧値解析支援システム、血圧値解析支援方法、およびプログラムに関し、より詳しくは、たとえば、血圧の時系列データについての解析を支援する血圧値解析支援装置、血圧値解析支援システム、血圧値解析支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一拍毎に連続して血圧を測定することが行われている。たとえば、特許文献1(特開2018-42606号公報)では、被験者の手首付近の動脈を押圧して、一拍毎に連続して血圧を測定することが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記血圧計を用いて、長時間(たとえば、1晩)に渡って血圧測定を連続的に実施した場合、睡眠中の被験者に体動等の外乱が生じることもある。そして、当該外乱により、一連の測定データの中に、異常測定値(血圧データの解析で用いることを避けるべき測定値)が、含まれる可能性がある。そのような異常測定値は、血圧データの解析から除外されるべきである。一方で、上記血圧計の測定結果を用いて、たとえば血圧サージのような数秒~数十秒という比較的長い時間にかけて発生する血圧変動指標を検出することもある。この場合、たとえば、外乱の影響が懸念される期間の血圧値を、全て、以後の解析対象から除外してしまうと、上記血圧変動指標の検出の対象となるデータ数が大幅に減少してしまうこともありえる。
【0005】
そこで、この発明の課題は、たとえば血圧サージ等の血圧変動指標を検出するに際して、血圧の時系列データのうち、血圧データの解析に用いるべき区間と、解析に用いられるべきでない区間とを適切に設定することが可能な、血圧値解析支援装置、血圧値解析支援システム、血圧値解析支援方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、実施形態に係る血圧値解析支援装置は、
血圧計の測定結果から得られる血圧の時系列データについての解析を支援する、血圧値解析支援装置であって、
一拍毎の血圧値を含む血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、上記一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、解析に用いられるべきことを表す第1信頼度と、上記第1信頼度よりも信頼度が低いことを表す第2信頼度とを含む、状態に判定する一拍信頼度判定部と、
上記一拍毎の血圧値の上記信頼度の判定結果に基づき、上記血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す有効区間、および、解析に用いられるべきでない区間を表す無効区間を設定する、区間設定部とを、備え、
上記区間設定部は、
上記血圧の時系列データについて、上記一拍毎の血圧値の上記信頼度が上記第1信頼度である区間を上記有効区間に含める一方、上記一拍毎の血圧値の上記信頼度が上記第2信頼度である区間を上記無効区間に含め、
上記無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、上記有効区間に変更する、ことを特徴とする。
【0007】
この実施形態の血圧値解析支援装置では、一拍信頼度判定部は、血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、上記第1信頼度と上記第2信頼度とで、判定する。区間設定部は、上記血圧の時系列データについて、上記第1信頼度である区間を有効区間に含める一方、上記第2信頼度である区間を無効区間に含める。そして、当該区間設定部は、当該無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、上記有効区間に変更する。この理由は、血圧サージのような数秒~数十秒という比較的長い時間にかけて発生する血圧変動指標の解析には、影響が少ないと考えられるからである。したがって、信頼度が比較的低い上記第2信頼度を有する血圧値データが、比較的短い期間に渡り連続的に出現したとしても、当該血圧値データは、上記有効区間に含められる。ここで、有効区間は、上記のとおり、血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す。よって、当該血圧値解析支援装置により、有効区間に含まれるデータ数を増やすことができる。したがって、たとえば血圧サージ等の血圧変動指標を検出するに際して、血圧の時系列データのうち、血圧データの解析に用いるべき区間と、解析に用いられるべきでない区間とを適切に設定することが可能となる。
【0008】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記区間設定部は、上記有効区間であって、連続する期間の長さが予め設定されている第2の閾値未満であるものについて、上記無効区間に変更する、ことを特徴とする。
【0009】
この一実施形態の血圧値解析支援装置では、解析の際に用いないほうがよいと考えられる期間を、より正確に、有効区間から排除することができる。たとえば、二つの無効区間が存在しており、当該無効区間の間に、比較的短い期間の有効区間が存在しているとする。この場合、当該有効区間に測定された血圧値データは、解析で使用することは、好ましくないことがある。そこで、当該血圧値解析支援装置により、上記場合において、上記比較的短い期間の有効区間を、無効区間として扱うことが可能となる。よって、解析の際に、当該比較的短い期間の有効区間に含まれていた血圧値データの使用を、避けることができる。
【0010】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記一拍信頼度判定部は、一拍毎の血圧の最高血圧値と、予め設定されている最高血圧閾値とに基づき、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0011】
この一実施形態の血圧値解析支援装置では、一拍の血圧の最高血圧値を用いて、信頼度を判定している。たとえば血圧サージ等を最高血圧値から検出する場合等において、当該最高血圧値は、血圧値の信頼度に影響する要素の一つである。したがって、精度の高い、信頼度判定が可能となる。
【0012】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記一拍信頼度判定部は、上記一拍毎の血圧の最低血圧値と、予め設定されている最低血圧閾値とにも基づいて、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0013】
この一実施形態の血圧値解析支援装置では、上記最高血圧値だけでなく、最低血圧値も用いて、上記信頼度を判定する。したがって、信頼度判定の精度を、より高めることができる。
【0014】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記一拍信頼度判定部は、上記一拍毎の血圧の最高血圧値と最低血圧値との差である脈圧と、予め設定されている脈圧閾値とにも基づいて、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0015】
この一実施形態の血圧値解析支援装置では、上記最高血圧値だけでなく、脈圧も用いて、上記信頼度を判定する。したがって、信頼度判定の精度を、より高めることができる。
【0016】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記一拍信頼度判定部は、上記一拍の血圧の一周期である拍時間と、予め設定されている拍時間閾値とにも基づいて、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0017】
この一実施形態の血圧値解析支援装置では、上記最高血圧値だけでなく、拍時間も用いて、上記信頼度を判定している。したがって、信頼度判定の精度を、より高めることができる。
【0018】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記一拍信頼度判定部は、上記血圧計の測定中における被験者の動きを示す動きデータの統計値と、予め設定された、少なくとも一つの動き閾値とに基づき、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0019】
この一実施形態の血圧値解析支援装置は、被験者の動きを検出し、当該動きの統計値に基づいて、上記信頼度を判定する。測定中に被験者が動くと、正当な血圧値が測定されない可能性が高まる。したがって、当該動きの統計値を考慮して、上記信頼度が判定されることにより、上記信頼度の精度を高めることができる。
【0020】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記少なくとも一つの動き閾値は、第1の動き閾値と、第2の動き閾値とを、含み、
上記一拍信頼度判定部は、或る長さを有する第1の単位期間に渡る上記動きデータの統計値と、上記第1の動き閾値との比較、および、上記第1の単位期間よりも短い第2の単位期間に渡る上記動きデータの統計値と、上記第2の動き閾値との比較に基づき、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0021】
「単位期間」とは、血圧の時系列データの中で、動きに関して判断の対象となる、単位の期間を意味する。
【0022】
この一実施形態の血圧値解析支援装置は、比較的長期に渡る動きの変動と、比較的短期に渡る動きの変動とを加味して、上記信頼度を判定する。したがって、より精度の高い信頼度の判定が可能となる。
【0023】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記一拍信頼度判定部は、
上記血圧の時系列データにおいて、上記一拍毎の血圧値が予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す変化点を検出し、
上記血圧の時系列データについて、上記変化点直前の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第1の平均血圧レベルを取得するとともに、上記血圧の時系列データについて、上記変化点直後の連続した予め定められた長さの期間での血圧値を平均して、第2の平均血圧レベルを取得し、
上記第1の平均血圧レベルと上記第2の平均血圧レベルとの間の差と、予め定められたレベル閾値とを用いて判定される、上記変化点での血圧レベル変化の有無に基づき、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0024】
「第1の平均血圧レベル」は、典型的には、測定開始時(正常時)の血圧レベルとされる。
【0025】
この一実施形態の血圧値解析支援装置は、血圧の時系列データにおける、変化点での血圧レベル変化の有無に基づき、信頼度を判定する。当該血圧レベルの変化は、たとえば、測定中の外乱などにより生じる。当該外乱は、データの信頼度に影響を及ぼす。したがって、当該血圧レベル変化の有無に基づいて、上記信頼度が判定されることにより、精度の高い信頼度の判定が可能となる。
【0026】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記血圧計は、トノメトリ方式で、動脈に対して交差する方向に沿って配列された複数の圧力センサ片を含み、
上記一拍信頼度判定部は、
各上記圧力センサ片で測定される一拍分の血圧値の、上記各圧力センサ片間での分布を示す分布形状に基づき、上記信頼度を判定する、ことを特徴とする。
【0027】
この一実施形態の血圧値解析支援装置は、上記分布形状に基づき、上記信頼度を判定する。当該分布形状により、血圧計の被測定部位(動脈)に対する配置状態を、推定することができる。当該配置状態の変化は、測定結果に影響を及ぼす。したがって、上記分布形状に基づき、上記信頼度が判定されることにより、精度の高い信頼度の判定が可能となる。
【0028】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記一拍毎の血圧値が測定された時刻、上記信頼度、および上記外乱を表す情報を含む、出力データを生成する、出力データ生成部を、さらに備える、ことを特徴とする。
【0029】
この一実施形態の血圧値解析支援装置において、上記出力データを生成することにより、整理された状態で、各種情報(測定時刻、信頼度、および外乱を表す情報)を、管理することができる。また、当該出力データを使用することにより、表示画面等に、上記各種情報を、表示することも可能となる。なお、「表示画面」は、典型的には、表示装置の画面を指すが、たとえば、プリンタによって出力される紙面であってもよい。
【0030】
一実施形態の血圧値解析支援装置では、
上記有効区間における、区間開始時刻と区間終了時刻を含む、出力データを生成する、出力データ生成部を、さらに備える、ことを特徴とする。
【0031】
この一実施形態の血圧値解析支援装置において、当該有効区間の期間に関する情報を、管理することが可能となる。また、当該出力データを使用することにより、表示画面等に、上記有効区間の期間を視認可能に表示することも可能となる。
【0032】
別の局面では、この開示の血圧値解析支援システムは、
血圧の時系列データについての解析を支援する、血圧値解析支援システムであって、
一拍毎の血圧値を測定する血圧計と、
上記一拍毎の血圧値を含む血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、上記一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、解析に用いられるべきことを表す第1信頼度と、上記第1信頼度よりも信頼度が低いことを表す第2信頼度とを含む、状態に判定する一拍信頼度判定部と、
上記一拍毎の血圧値の上記信頼度の判定結果に基づき、上記血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す有効区間、および、解析に用いられるべきでない区間を表す無効区間を設定する、区間設定部とを、備え、
上記区間設定部は、
上記血圧の時系列データについて、上記一拍毎の血圧値の上記信頼度が上記第1信頼度である区間を上記有効区間に含める一方、上記一拍毎の血圧値の上記信頼度が上記第2信頼度である区間を上記無効区間に含め、
上記無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、上記有効区間に変更する、ことを特徴とする。
【0033】
この発明の血圧値解析支援システムでは、血圧計は、一拍毎の血圧値を測定する。そして、血圧値解析支援装置内の一拍信頼度判定部は、血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、上記第1信頼度と上記第2信頼度とで、判定する。区間設定部は、上記血圧の時系列データについて、上記第1信頼度である区間を有効区間に含める一方、上記第2信頼度である区間を無効区間に含める。そして、当該区間設定部は、当該無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、上記有効区間に変更する。この理由は、血圧サージのような数秒~数十秒という比較的長い時間にかけて発生する血圧変動指標の解析には、影響が少ないと考えられるからである。したがって、信頼度が比較的低い上記第2信頼度を有する血圧値データが、比較的短い期間に渡り連続的に出現したとしても、当該血圧値データは、上記有効区間に含められる。ここで、有効区間は、上記のとおり、血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す。よって、当該血圧値解析支援装置により、有効区間に含まれるデータ数を増やすことができる。したがって、たとえば血圧サージ等の血圧変動指標を検出するに際して、血圧の時系列データのうち、血圧データの解析に用いるべき区間と、解析に用いられるべきでない区間とを適切に設定することが可能となる。
【0034】
一実施形態の血圧値解析支援システムでは、
上記血圧の時系列データに沿って、上記有効区間および/または上記信頼度を、視認可能に表示する、表示装置を、さらに備える、ことを特徴とする。
【0035】
この一実施形態の血圧値解析支援システムでは、表示装置が、有効区間、血圧の時系列データ、および信頼度を表示する。したがって、医師等は、表示装置の表示画面を見ることにより、解析に用いるべき血圧の時系列データの部分を、簡単に、判別することができる。よって、医師等における確認時間の短縮化も図ることができる。
【0036】
一実施形態の血圧値解析支援システムでは、
上記表示装置の表示画面に、上記有効区間毎に、上記有効区間内の、上記血圧の時系列データおよび上記信頼度を、視認可能に表示させる一方、上記無効区間内の、上記血圧の時系列データおよび上記信頼度について、表示を省略させるように、出力データを生成する出力データ生成部を、さらに備える、ことを特徴とする。
【0037】
この一実施形態の血圧値解析支援システムでは、上記表示装置の表示画面には、有効区間ごとに、当該有効区間内の、血圧の時系列データおよび上記信頼度が、表示される。一方、無効区間内の血圧の時系列データおよび信頼度については、表示が省略される。よって、医師等が、表示装置において、解析に用いるべきでない血圧の時系列データ等を、視認することを防止でき、医師による確認の効率化を図ることができる。
【0038】
別の局面では、この開示の血圧値解析支援方法は、
血圧計の測定結果から得られる血圧の時系列データについての解析を支援する、血圧値解析支援方法であって、
一拍毎の血圧値を含む血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、上記一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、解析に用いられるべきことを表す第1信頼度と、上記第1信頼度よりも信頼度が低いことを表す第2信頼度とを含む、状態に判定し、
上記一拍毎の血圧値の上記信頼度の判定結果に基づき、上記血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す有効区間、および、解析に用いられるべきでない区間を表す無効区間を設定し、
上記血圧の時系列データについて、上記一拍毎の血圧値の上記信頼度が上記第1信頼度である区間を上記有効区間に含め、
上記一拍毎の血圧値の上記信頼度が上記第2信頼度である区間を上記無効区間に含め、
上記無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、上記有効区間に変更する、ことを特徴とする。
【0039】
この発明の血圧値解析支援方法では、血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、上記第1信頼度と上記第2信頼度とで、判定する。また、上記血圧の時系列データについて、上記第1信頼度である区間を有効区間に含める一方、上記第2信頼度である区間を無効区間に含める。そして、当該無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値未満であるものについて、上記有効区間に変更する。この理由は、血圧サージのような数秒~数十秒という比較的長い時間にかけて発生する血圧変動指標の解析には、影響が少ないと考えられるからである。したがって、信頼度が比較的低い上記第2信頼度を有する血圧値データが、比較的短い期間に渡り連続的に出現したとしても、当該血圧値データは、上記有効区間に含められる。ここで、有効区間は、上記のとおり、血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す。よって、当該血圧値解析支援方法により、有効区間に含まれるデータ数を増やすことができる。したがって、たとえば血圧サージ等の血圧変動指標を検出するに際して、血圧の時系列データのうち、血圧データの解析に用いるべき区間と、解析に用いられるべきでない区間とを適切に設定することが可能となる。
【0040】
さらに別の局面では、この開示のプログラムは、血圧値解析支援方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0041】
この開示のプログラムをコンピュータに実行させることによって、上記血圧値解析支援方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0042】
以上より明らかなように、この開示の、血圧値解析支援装置、血圧値解析支援システム、および血圧値解析支援方法によれば、たとえば血圧サージ等の血圧変動指標を検出するに際して、当該検出の対象となるデータの数が削減されることを抑制することが可能となる。また、この開示のプログラムをコンピュータに実行させることによって、上記血圧値解析支援方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】実施の形態に係る血圧値解析支援システムの概略構成を示す図である。
【
図2】血圧値解析支援システムに含まれた血圧計の装着状態を例示する図である。
【
図3】血圧値解析支援システムに含まれた血圧計の装着状態を例示する断面図である。
【
図4】血圧値解析支援システムに含まれた血圧計の概略構成を示す図である。
【
図5】血圧値解析支援システムに含まれた血圧値解析支援装置の概略構成を示す図である。
【
図6】血圧値解析支援システムに含まれた病院端末の概略構成を示す図である。
【
図7】実施の形態に係る血圧値解析支援システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図8】血圧の外れ値の有無を判定する動作を説明するフローチャートである。
【
図10】最高血圧値の外れ値の有無を判定する動作を説明するための図である。
【
図11】最低血圧値の外れ値の有無を判定する動作を説明するための図である。
【
図12】体動の有無を判定する動作を説明するフローチャートである。
【
図13】体動の有無を判定する動作を説明するための図である。
【
図14】血圧レベル変化の有無を判定する動作を説明するフローチャートである。
【
図15】最高血圧値の時系列データにおいて、変化点を検出する動作を説明するための図である。
【
図16】最高血圧値の時系列データにおける変化点に基づいて、区間を設定する動作を説明するための図である。
【
図17】
図16で示した変化点の有効性を判断する動作を説明するための図である。
【
図18】
図16で示した変化点の有効性を判断する動作を説明するフローチャートである。
【
図19】
図4で示した圧力センサの具体的な構成例を示す平面図である。
【
図20】外乱を表す情報から信頼度を判定する動作を説明するための図である。
【
図21】有効区間および無効区間の設定動作を説明するフローチャートである。
【
図22】有効区間および無効区間を設定する動作を説明するための図である。
【
図23】
図5で示した血圧値解析支援装置で生成される出力データの一例を示す図である。
【
図24】表示装置に表示される画像(有効区間および無効区間を含む)画像の一例を示す図である。
【
図25】表示装置に表示される画像(無効区間の表示を省略)画像の一例を示す図である。
【
図26】有効区間を複数ある場合における、各有効区間の表示切替動作の例を説明するための図である。
【
図27】有効区間を複数ある場合における、各有効区間の表示切替動作の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0045】
(血圧値解析支援システム100の概略構成)
図1は、実施の形態に係る血圧値解析支援システム100の概略構成を、例示している。血圧値解析支援システム100は、トノメトリ方式の血圧計200、血圧値解析支援装置300、および少なくとも1つ以上の病院端末400を、備える。血圧値解析支援システム100は、血圧計200で測定された血圧の時系列データについての解析を支援する。
図1に示すように、血圧計200、血圧値解析支援装置300および病院端末400は、通信ネットワーク50を介して、互いに通信可能に接続されている。ここで、当該通信ネットワーク50は、無線であっても、有線であってもよい。
【0046】
(血圧計200の概略構成)
図1に示す血圧計200は、たとえば、特開2018-42606号公報に開示されているようなトノメトリ方式の血圧計からなる。
図2は、血圧計200が被験者の手首wに装着されている様子を、例示している。また、
図3は、被験者の手首wに装着された血圧計200が、血圧測定を実施している様子を例示する、断面図である。
図2,3に例示された血圧計200は、橈骨10に沿って走行する橈骨動脈TDの圧脈波を、一拍毎に連続的に測定する。
【0047】
図4は、血圧計200の概略構成を、例示している。
図4に示すように、血圧計200は、血圧装置210、動きセンサ220、操作装置230、通信装置240、メモリ250、およびプロセッサ260を、備える。また、血圧装置210は、圧力センサ211と押圧機構212とを、備える。
【0048】
押圧機構212は、
図3中に示すように、被測定部位に対して、押圧力を印加する。押圧機構212が被測定部位に対して押圧力を印加している際に、圧力センサ211は、トノメトリ方式で、橈骨動脈TDの圧脈波を一拍毎に連続的に検出する。トノメトリ法は、血管を押圧機構212を用いて圧扁することにより、圧力センサ211が圧脈波を計測し、血圧を決定する手法である。血管を厚さが一様な円管と見なすと、血管内の血液の流れ、拍動の有無に関係なく、血管壁を考慮してラプラスの法則に従い、血管の内圧(血圧)と血管の外圧(圧脈波の圧力)との関係式を導くことができる。この関係式で押圧面において血管が圧扁されている条件下では、血管の外壁及び内壁の半径を近似することにより、圧脈波の圧力と血圧とが等しいと近似できる。したがって、圧脈波の圧力は、血圧と同一値になる。この結果、血圧計200は、被測定部位の血圧値を一心拍ごとに測定する。そして、血圧計200は、測定時刻(時間)と血圧とを対応付けた血圧の時系列データを、生成し、他の機器(たとえば、血圧値解析支援装置300)へ出力する。
【0049】
図4において、動きセンサ220は、血圧計200の動きを検出するセンサである。動きセンサ220は、例えば加速度センサおよび/または角速度センサからなる。操作装置230は、ユーザからの指示(入力)を受け付ける。操作装置230は、たとえば、複数のボタンから構成される。通信装置240は、各種データの送受信を行う。
図1の例では、通信装置240は、通信ネットワーク50に接続されている。メモリ250は、各種データを記憶する。たとえば、メモリ250は、血圧装置210が計測した測定値(上記血圧の時系列データ)、および動きセンサ220の計測結果等を、格納することができる。メモリ250は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含む。たとえば、メモリ250には、各種プログラムが、変更可能に格納されている。
【0050】
プロセッサ260は、この例では、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。たとえば、プロセッサ260は、メモリ250に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。また、プロセッサ260は、読み込んだプログラムに従い、各部210,220,230,240,250を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ260は、読み込んだプログラムに従い、当該プロセッサ260内において、所定の演算、解析、処理等を実施する。なお、プロセッサ260が実行する各機能の一部又は全部を、一つ或いは複数の集積回路等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0051】
(血圧値解析支援装置300の概略構成)
本実施の形態に係る血圧値解析支援装置300は、血圧の時系列データについての解析を支援する。ここで、本実施の形態では、血圧の時系列データは、血圧計200の測定結果から得られる。
図5は、血圧値解析支援装置300の概略構成を、例示している。
図5に示すように、血圧値解析支援装置300は、通信装置310、表示装置320、操作装置330、メモリ340、およびプロセッサ350を、備える。
【0052】
図5において、通信装置310は、各種データの送受信を行う。
図1の例では、通信装置310は、通信ネットワーク50に接続されている。通信装置310は、たとえば、血圧計200から送信される、血圧の時系列データおよび動きセンサ220の検出結果を、受信する。また、通信装置310は、血圧値解析支援装置300内のプロセッサ350で生成された、種々の出力データを、病院端末400等に対して、送信する。
【0053】
表示装置320は、各種画像を表示する、表示画面を有している。表示装置320は、プロセッサ350における各種解析の結果等を、視認可能に表示することができる。また、表示装置320は、操作装置330を介したユーザからの希望に応じて、所定の情報を、視認可能に表示することもできる。たとえば、表示装置320は、メモリ340に格納されている情報(データ)を、視認可能に表示してもよい。たとえば、表示装置320として、液晶モニタ等を採用することができる。
【0054】
操作装置330は、ユーザからの、所定の操作(指示)を受け付ける。たとえば、当該操作装置330は、マウスおよびキーボードなどから、構成される。ここで、表示装置320として、タッチパネル式のモニタを採用した場合には、表示装置320は、表示機能だけでなく、操作装置330としての機能をも有する。
【0055】
メモリ340は、各種データを記憶する。たとえば、メモリ340は、血圧装置210が計測した測定値(上記血圧の時系列データ)、および動きセンサ220の計測結果等を、格納することができる。また、メモリ340は、プロセッサ350で生成された各種出力データを格納することもできる。メモリ340は、RAMおよびROM等を含む。たとえば、メモリ340には、各種プログラムが、変更可能に格納されている。
【0056】
プロセッサ350は、この例では、CPUを含んでいる。たとえば、プロセッサ350は、メモリ340に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。また、プロセッサ350は、読み込んだプログラムに従い、各部310,320,330,340を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ350は、読み込んだプログラムに従い、当該プロセッサ350内において、所定の演算、解析、処理等を実施する。なお、プロセッサ350が実行する各機能の一部又は全部を、一つ或いは複数の集積回路等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0057】
図5に示すように、本実施の形態に係るプロセッサ350は、一拍信頼度判定部351、区間設定部352、および出力データ生成部353を、機能ブロックとして、備える。なお、各ブロック351,352,353の動作は、後述する動作の説明において、詳述される。
【0058】
(病院端末400の概略構成)
図6は、病院端末400の概略構成を例示する。なお、上述したように、
図1示すシステム構成において、病院端末400が複数配設されていてもよい。ここで、病院端末400は、パーソナルコンピュータであっても、タブレットなどの携帯端末であってもよい。病院端末400は、通信ネットワーク50を介して、血圧値解析支援装置300にアクセスできる。
図6に示すように、病院端末400は、通信装置410、表示装置420、操作装置430、メモリ440、およびプロセッサ450を、備える。
【0059】
図6において、通信装置410は、各種データの送受信を行う。
図1の例では、通信装置410は、通信ネットワーク50に接続されている。通信装置410は、たとえば、血圧値解析支援装置300から送信される、血圧の時系列データおよび各種出力データを受信する。ここで、上述したように、各種出力データは、血圧値解析支援装置300のプロセッサ350で生成される。
【0060】
表示装置420は、各種画像を表示する、表示画面を有している。表示装置420は、たとえば、血圧値解析支援装置300から受信した各種出力データに基づいた画像を、視認可能に表示する。また、表示装置420は、操作装置430を介したユーザからの希望に応じて、所定の情報を、視認可能に表示することもできる。たとえば、表示装置420は、メモリ440に格納されている情報(データ)を、視認可能に表示してもよい。たとえば、表示装置420として、液晶モニタ等を採用することができる。
【0061】
操作装置430は、ユーザからの、所定の操作(指示)を受け付ける。たとえば、当該操作装置430は、マウスおよびキーボードなどから、構成される。ここで、表示装置420として、タッチパネル式のモニタを採用した場合には、表示装置420は、表示機能だけでなく、操作装置430としての機能をも有する。
【0062】
メモリ440は、各種データを記憶する。たとえば、メモリ440は、通信装置410が受信した上記血圧の時系列データ、および血圧値解析支援装置300から送信される各種出力データ等を、格納することができる。また、メモリ440は、プロセッサ450で生成された各種データを格納することもできる。メモリ440は、RAMおよびROM等を含む。たとえば、メモリ440には、各種プログラムが、変更可能に格納されている。
【0063】
プロセッサ450は、この例では、CPUを含んでいる。たとえば、プロセッサ450は、メモリ440に格納されている各プログラムおよび各データを読み込む。また、プロセッサ450は、読み込んだプログラムに従い、各部410,420,430,440を制御し、所定の動作(機能)を実行させる。また、プロセッサ450は、読み込んだプログラムに従い、当該プロセッサ450内において、所定の演算、解析、処理等を実施する。なお、プロセッサ450が実行する各機能の一部又は全部を、一つ或いは複数の集積回路等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0064】
(血圧値解析支援システム100の動作)
血圧値解析支援方法は、血圧計200の測定結果から得られる血圧の時系列データについての解析を、支援する方法である。以下、当該血圧値解析支援方法を、血圧値解析支援システム100の動作に基づいて、具体的に説明する。
【0065】
図7は、本実施の形態に係る血圧値解析支援システム100の動作の流れ(ステップS1~S10)を、示している。
【0066】
(1)血圧測定開始(
図7のステップS1)
まず、血圧計200において、測定が開始される(ステップS1)。血圧計200の操作装置230が、ユーザからの測定開始の指示を受け付けることにより、ステップS1は実施される。なお、ステップS1における測定は、血圧装置210による一拍毎の血圧値の測定、および動きセンサ220による血圧計200の動きの検出測定を、含む。なお、一拍毎の血圧データは、測定時刻に関連付けられており、同様に、各動きデータも、測定時刻に関連付けられている。
【0067】
上述したように、たとえば、橈骨動脈TDの圧脈波(血圧)を一拍毎に連続的に測定するために、血圧計200は、被験者の手首wに装着される(
図2,3参照)。そして、当該血圧測定の際には、血圧装置210の押圧機構212は、当該手首wに対して、所定の押圧力を印加する。そして、当該押圧力が印加されている一方で、血圧装置210の圧力センサ211は、一拍毎に、橈骨動脈TDの血圧を、検出する。なお、動きセンサ220の検出結果は、たとえば、血圧計200のメモリ250内に、時系列に格納される。同様に、圧力センサ211の測定結果は、当該メモリ250内に、時系列に格納される。
【0068】
(2)測定データ送信(
図7のステップS2)
次に、血圧計200の通信装置240は、測定データを、この例では、血圧値解析支援装置300に対して、送信する(ステップS2)。ここで、当該測定データは、動きセンサ220の検出結果および圧力センサ211の測定結果を、含む。血圧値解析支援装置300の通信装置310は、ステップS2で送信された測定データを、受信する。そして、血圧値解析支援装置300のメモリ340は、当該通信装置310が受信した測定データを、格納する。なお、血圧計200は、一旦、いずれかの病院端末400へ測定データを送信し、その病院端末400が、血圧解析支援装置300へ、上記測定データを送信してもよい。
【0069】
図5に示した血圧値解析支援装置300のプロセッサ350は、一拍毎の血圧の信頼度を判定するために、ステップS3~S6の処理を実施する。より具体的に、プロセッサ350(一拍信頼度判定部351)は、一拍毎の血圧値を含む血圧の時系列データについて、外乱を表す情報(ステップS3~S6)に基づいて、一拍毎の血圧値の信頼度を判定する(ステップS7)。ここで、一拍毎の血圧値の信頼度は、少なくとも、解析に用いられるべきことを表す第1信頼度(たとえば、信頼度:高)と、第1信頼度よりも信頼度が低いことを表す第2信頼度(たとえば、信頼度:低、中)とを含む。
【0070】
外乱を表す情報は、たとえば、血圧に関する値の外れ値(ステップS3参照)、体動(ステップS4参照)、血圧値レベルの変動(換言すれば、血圧計200の装着状態の変動)(ステップS5参照)、および装着状態の悪化(換言すれば、被験者の被測定部位に対して、血圧計200の装着状態が変化し、血圧計200の測定結果に対して悪影響が生じている状態)(ステップS6)等を、含む。以下、まずはじめに、各ステップS3~S6に関して、血圧値解析支援装置300のプロセッサ350の動作を説明する。
【0071】
(3)外れ値検出(
図7のステップS3)
プロセッサ350(一拍信頼度判定部351)は、血圧に関する値に関して、外れ値があるか否かを検出する(ステップS3)。
図8は、ステップS3の具体的な動作内容を示している。上述したように、メモリ340は、一拍毎の血圧値が時系列的に格納している(換言すれば、血圧の時系列データが格納している)。一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該血圧の時系列データを、読み出す。
【0072】
図8のステップS20では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、最高血圧値SBP(または、収縮期血圧: systolic blood pressure)と、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2とを、比較する。ここで、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2は、最高血圧値上限閾値SBPth1と、最高血圧値下限閾値SBPth2とを含み、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2は、血圧値解析支援装置300のメモリ340内に予め格納されている。そこで、一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2を読み出す。
【0073】
最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2は、血圧情報の分布に基づいて、決定することができる。たとえば、当該分布は、被験者の安静時に得られた血圧情報を用いて、生成される。最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2は、一例として、上記分布から統計的に算出される。閾値の設定に関しては、特開2018-149182号公報に開示されている方法を採用してもよい。特開2018-149182号公報の方法によれば、一例として、最高血圧値上限閾値SBPth1が、第3四分位数+1.5×IQR(Inter-Quartile Range)に略一致するように、また最高血圧値下限閾値SBPth2が、第1四分位数-1.5×IQRに略一致するように、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2を定めることができる。また、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2は、統計値として、(平均+2×標準偏差(Standard Deviation))を用いて、設定することも可能である。
【0074】
また、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2は、変更可能な値であっても、固定値であってもよい。また、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2は、上記統計分布等に基づいて、自動的に計算されてもよい。そして、当該計算されたものを、自動的に設定されてもよい。これらの「閾値」の設定に関する事項は、以下で説明する各「閾値」についても、同様に当てはまる。
【0075】
図9は、一拍毎の血圧の測定結果を示す。
図9の縦軸は血圧値であり、
図9の横軸は時間である。なお、
図9には、2拍分の血圧の測定結果が、例示されている。
図9に例示した一拍の血圧における最高の値が、最高血圧値SBPである。また、一拍信頼度判定部351が、メモリ340から読み出した複数拍の血圧に関して、最高血圧値SBPを各々取得し、時系列に配置したとする。この場合には、
図10に例示するように、血圧の時系列データの一例である、最高血圧の時系列データSBPwが生成される。ここで、
図10の縦軸は血圧値(mmHg)であり、
図10の横軸は時間である。なお、
図10には、最高血圧値上限閾値SBPth1、および最高血圧値下限閾値SBPth2も、図示されている。
【0076】
具体的には、
図8のステップS20では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧に関して、最高血圧値SBPが、最高血圧値上限閾値SBPth1と最高血圧値下限閾値SBPth2との間の範囲内にあるか否かを、判定する。ここで、一拍の血圧において、最高血圧値SBPが、最高血圧値上限閾値SBPth1を越えている(
図10のC1参照)か、または、最高血圧値下限閾値SBPth2未満である(
図10のC2参照)とする(ステップS20でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が有ると判断する(ステップS21)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、最高血圧値SBPが外れ値であることを、メモリ340に記録する(ステップS21)。
【0077】
他方、一拍の血圧において、最高血圧値SBPが、最高血圧値上限閾値SBPth1以下、かつ、最高血圧値下限閾値SBPth2以上であるとする(ステップS20でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が無いと判断する(ステップS22)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、最高血圧値SBPが外れ値でないことを、メモリ340に記録する(ステップS22)。
【0078】
次に、
図8のステップS23では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、最低血圧値DBP(または、拡張期血圧:diastolic blood pressure)と、最低血圧値閾値DBPth1,DBPth2とを、比較する。ここで、最低血圧値閾値DBPth1,DBPth2は、最低血圧値上限閾値DBPth1と、最低血圧値下限閾値DBPth2とを含み、最低血圧値閾値DBPth1,DBPth2は、血圧値解析支援装置300のメモリ340内に予め格納されている。そこで、一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該最低血圧値閾値DBPth1,DBPth2を読み出す。なお、最低血圧値閾値DBPth1,DBPth2を設定するためには、たとえば、上述した、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2の決定(設定)方法と、同様の手法を用いることができる。
【0079】
また、
図9に例示した一拍分の血圧における最低の値が、最低血圧値DBPである。また、一拍信頼度判定部351が、メモリ340から読み出した複数拍の血圧に関して、最低血圧値DBPを各々取得し、時系列に配置したとする。この場合には、
図11に例示するように、血圧の時系列データの一例である、最低血圧値の時系列データDBPwが生成される。ここで、
図11の縦軸は血圧値(mmHg)であり、
図11の横軸は時間である。なお、
図11には、最低血圧値上限閾値DBPth1、および最低血圧値下限閾値DBPth2も、図示されている。
【0080】
具体的には、
図8のステップS23では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧に関して、最低血圧値DBPが、最低血圧値上限閾値DBPth1と最低血圧値下限閾値DBPth2との間の範囲内にあるか否かを、判定する。ここで、一拍の血圧において、最低血圧値DBPが、最低血圧値上限閾値DBPth1を越えている(
図11のC3参照)か、または、最低血圧値下限閾値DBPth2未満である(
図11のC4参照)とする(ステップS23でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が有ると判断する(ステップS24)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、最低血圧値DBPが外れ値であることを、メモリ340に記録する(ステップS24)。
【0081】
他方、一拍の血圧において、最低血圧値DBPが、最低血圧値上限閾値DBPth1以下、かつ、最低血圧値下限閾値DBPth2以上であるとする(ステップS23でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が無いと判断する(ステップS25)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、最低血圧値DBPが外れ値でないことを、メモリ340に記録する(ステップS25)。
【0082】
次に、
図8のステップS26では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、脈圧PPと、脈圧閾値PPth1,PPthとを、比較する。ここで、脈圧閾値PPth1,PPthは、脈圧上限閾値PPth1と、脈圧下限閾値PPth2とを含み、脈圧閾値PPth1,PPth2は、血圧値解析支援装置300のメモリ340内に予め格納されている。そこで、一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該脈圧閾値PPth1,PPth2を読み出す。なお、脈圧閾値PPth1,PPth2を設定するためには、たとえば、上述した、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2の決定(設定)方法と、同様の手法を用いることができる。
【0083】
また、
図9に例示した一拍毎の血圧において、最高血圧値SBPと最低血圧値DBPとの差が、脈圧PPである。また、一拍信頼度判定部351が、メモリ340から読み出した複数拍の血圧に関して、脈圧PPを各々取得し、時系列に配置したとする。この場合には、血圧の時系列データの一例である、脈圧波形(図示せず)が生成される。
【0084】
具体的には、
図8のステップS26では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧に関して、脈圧PPが、脈圧上限閾値PPth1と脈圧下限閾値PPth2との間の範囲内にあるか否かを、判定する。一拍の血圧において、脈圧PPが、脈圧上限閾値PPth1を越えているか、または、脈圧下限閾値PPth2未満であるとする(ステップS26でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が有ると判断する(ステップS27)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、脈圧PPが外れ値であることを、メモリ340に記録する(ステップS27)。
【0085】
他方、一拍の血圧において、脈圧PPが、脈圧上限閾値PPth1以下、かつ、脈圧下限閾値PPth2以上であるとする(ステップS26でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が無いと判断する(ステップS28)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、脈圧PPが外れ値でないことを、メモリ340に記録する(ステップS28)。
【0086】
次に、
図8のステップS29では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、拍時間PTと、拍時間閾値PTth1,PTth2とを、比較する。ここで、拍時間閾値PTth1,PTth2は、拍時間上限閾値PTth1と、拍時間下限閾値PTth2とを含み、拍時間閾値PTth1,PTth2は、血圧値解析支援装置300のメモリ340内に予め格納されている。そこで、一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該拍時間閾値PTth1,PTth2を読み出す。なお、拍時間閾値PTth1,PTth2を設定するためには、たとえば、上述した、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2の決定(設定)方法と、同様の手法を用いることができる。
【0087】
また、
図9に例示した一拍毎の血圧において、一拍の血圧の一周期(一拍の時間)が、拍時間PTである。また、一拍信頼度判定部351が、メモリ340から読み出した複数拍の血圧に関して、拍時間PTを各々取得し、時系列に配置したとする。この場合には、血圧の時系列データの一例である、拍時間波形(図示せず)が生成される。
【0088】
具体的には、
図8のステップS29では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧に関して、拍時間PTが、拍時間上限閾値PTth1と拍時間下限閾値PTth2との間の範囲内にあるか否かを、判定する。一拍の血圧において、拍時間PTが、拍時間上限閾値PTth1を越えているか、または、拍時間下限閾値PTth2未満であるとする(ステップS29でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が有ると判断する(ステップS30)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、拍時間PTが外れ値であることを、メモリ340に記録する(ステップS30)。
【0089】
他方、一拍の血圧において、拍時間PTが、拍時間上限閾値PTth1以下、かつ、拍時間下限閾値PTth2以上であるとする(ステップS29でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、外れ値が無いと判断する(ステップS31)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、拍時間PTが外れ値でないことを、メモリ340に記録する(ステップS31)。
【0090】
次に、
図8のステップS32では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、一つでも外れ値有りの判断がされたか否かを判定する。つまり、一拍信頼度判定部351において、ステップS21、ステップS24、ステップS27、またはステップS30の処理が実施されたか否かが、判定される(ステップS32)。
【0091】
ここで、一拍の血圧において、ステップS21,24,27,30のうちで、一つでも外れ値有りの判断がされたと、一拍信頼度判定部351が判定したとする(ステップS32でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、「血圧外れ値」が有ると判断する(ステップS33)。つまり、当該一拍の血圧から得られる血圧に関する各値(最高血圧値、最低血圧値、脈圧、拍時間)の何れかの値で、外れ値があると判断する。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、「血圧外れ値」があることを、メモリ340に記録する(ステップS33)。
【0092】
他方、一拍の血圧において、ステップS21,24,27,30の何れの処理も行わず、ステップS22,S25,S28,S31のすべての処理が実施されたと、一拍信頼度判定部351が判定したとする(ステップS32でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、「血圧外れ値」が無いと判断する(ステップS34)。つまり、当該一拍の血圧から得られる血圧に関する各値(最高血圧値、最低血圧値、脈圧、拍時間)の何れの値においても、外れ値がないと判断する。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、「血圧外れ値」がないことを、メモリ340に記録する(ステップS34)。
【0093】
図8に示したフロー(
図7のステップS3)を、一拍信頼度判定部351は、血圧計200により測定された各一拍の血圧に対して、実施する。なお、
図8のステップS20の処理の前に、一拍信頼度判定部351は、最高血圧値、最低血圧値、脈圧、拍時間、および「血圧外れ値」に関して、デフォルトとして、外れ値なしであることを、メモリ340に記録してもよい。この場合には、各ステップS20,23,26,29,32において、外れ値があると判断された場合に、一拍信頼度判定部351は、ステップS21,24,27,30,33の処理を実施する。他方、各ステップS20,23,26,29,32において、外れ値がないと判断された場合に、一拍信頼度判定部351は、ステップS22,25,28,31の処理を、省略する。つまり、一拍信頼度判定部351は、外れ値があると判断された項目のみ、外れ値なしの登録を、外れ値ありの登録に変更するだけでよい。
【0094】
(4)体動検出(
図7のステップS4)
図7のステップS3の後、ステップS4が実施される。
【0095】
プロセッサ350(一拍信頼度判定部351)は、血圧計200の測定中に、被験者が動いたか(換言すれば、血圧計200が動いたか)否かを検出(体動検出)する(ステップS4)。より具体的には、一拍信頼度判定部251は、血圧計200の測定中における被験者の動きを示す動きデータの統計値と、予め設定された動き閾値とに基づき、体動検出を行う。なお、後述するように、動きデータの統計値は、第1の統計値と第2の統計値とを含む。また、動き閾値は、後述するように、第1の動き閾値(これをαth1とする)と第2の動き閾値(これをαth2とする)とを含む。
図12は、ステップS4の具体的な動作内容を示している。
【0096】
上述したように、血圧値解析支援装置300は、ステップS2で送信された測定データを受信し、血圧値解析支援装置300内のメモリ340は、当該測定データを格納する。ここで、測定データは、血圧計200の動きセンサ220で測定されたデータ(動きデータ)を含む。一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、動きデータを、読み出す(ステップS40)。たとえば、動きデータは、1軸または複数軸の加速度または角速度の値を含み得るが、これに限られない。一例として、動きセンサ220は、3軸の加速度センサであってよい。上述したように、一拍毎の血圧データは、測定時刻に関連付けられており、同様に、各動きデータも、測定時刻に関連付けられている。
【0097】
図12のステップS41では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、長単位期間(第1の単位期間)LUPでの動きデータの統計値(第1の統計値)を、算出する。ここで、「単位期間」とは、血圧の時系列データの中で、動きに関して判断の対象となる、単位の期間を意味する。長単位期間LUPは、たとえば、60秒~120秒程度であってもよいが、これには限定されない。当該長単位期間LUPの長さに関する情報は、血圧値解析支援装置300に、変化可能に、予め設定されている。動きデータの統計値に関する内容は、たとえば、特開2018-149182号公報に開示されている。ステップS41では、たとえば、長単位期間LUPにおける、加速度データの3軸合成値の、平均値、標準偏差、2乗平均平方根、レンジまたは当該3軸合成値に基づく単回帰直線の傾きが、第1の統計値として、算出される。
【0098】
図13は、動きセンサ220で測定された動きデータの時間変化を示している。ここで、
図13の縦軸は加速度値(G:1G=9.8m/s
2)であり、
図13の横軸は時間である。なお、
図13の例では、動きセンサ220は、3軸の加速度センサである。よって、
図13には、x方向の加速度ax、y方向の加速度ay、およびz方向の加速度azが、動きデータとして、開示されている。
【0099】
たとえば、一拍信頼度判定部351は、現在対象としている一拍の血圧の測定時刻T1に着目する(
図13参照)。そして、当該測定時刻T1を含み、当該測定時刻T1を中心とした上記長単位期間LUP(
図13参照)を、一拍信頼度判定部351は設定する。そして、一拍信頼度判定部351は、設定された長単位期間LUP内の動きデータを用いて、当該動きデータの統計値(第1の統計値)を、算出する。
【0100】
ステップS41の後、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、短単位期間(第2の単位期間)SUPでの動きデータの統計値(第2の統計値)を、算出する(ステップS42)。ここで、短単位期間SUPは、たとえば、10秒程度であってもよいが、これには限定されない。当該短単位期間SUPの長さに関する情報は、血圧値解析支援装置300に、変化可能に、予め設定されている。上述と同様に、動きデータの統計値に関する内容は、たとえば、特開2018-149182号公報に開示されている。ステップS42では、たとえば、短単位期間SUPにおける、加速度データの3軸合成値の、平均値、標準偏差、2乗平均平方根、レンジまたは当該3軸合成値に基づく単回帰直線の傾きが、第2の統計値として、算出される。
【0101】
たとえば、一拍信頼度判定部351は、現在対象としている一拍の血圧の測定時間T2に着目する(
図13参照)。そして、当該測定時間T2を含み、当該測定時間T2を中心とした上記短単位期間SUP(
図13参照)を、一拍信頼度判定部351は設定する。そして、一拍信頼度判定部351は、設定された短単位期間SUP内の動きデータを用いて、当該動きデータの統計値(第2の統計値)を、算出する。
【0102】
次に、
図12のステップS43では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、第1の統計値(ステップS41参照)と、予め設定された第1の動き閾値αth1とを、比較する。第1の動き閾値αth1は、血圧値解析支援装置300のメモリ340内に予め格納されている。そこで、一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該第1の動き閾値αth1を読み出す。なお、第1の動き閾値αth1を設定するためには、たとえば、上述した、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2の決定(設定)方法と、同様の手法を用いることができる。
【0103】
具体的には、ステップS43では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧に関して、第1の統計値が、第1の動き閾値αth1を越えているか否かを、判定する。一拍の血圧において、第1の統計値が、第1の動き閾値αth1を越えているとする(ステップS43でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、長単位期間LUPに対する体動が有ると判断する(ステップS44)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、長単位期間LUPに対する体動があることを、メモリ340に記録する(ステップS44)。
【0104】
他方、一拍の血圧において、第1の統計値が、第1の動き閾値αth1以下であるとする(ステップS43でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、長単位期間LUPに対する体動が無いと判断する(ステップS45)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、長単位期間LUPに対する体動がないことを、メモリ340に記録する(ステップS45)。
【0105】
次に、ステップS46では、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、第2の統計値(ステップS42参照)と、予め設定された第2の動き閾値αth2とを、比較する。第2の動き閾値αth2は、血圧値解析支援装置300のメモリ340内に予め格納されている。そこで、一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該第2の動き閾値αth2を読み出す。なお、第2の動き閾値αth2を設定するためには、たとえば、上述した、最高血圧値閾値SBPth1,SBPth2の決定(設定)方法と、同様の手法を用いることができる。
【0106】
具体的には、ステップS46では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧に関して、第2の統計値が、第2の動き閾値αth2を越えているか否かを、判定する。一拍の血圧において、第2の統計値が、第2の動き閾値αth2を越えているとする(ステップS46でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、短単位期間SUPに対する体動が有ると判断する(ステップS47)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、短単位期間SUPに対する体動があることを、メモリ340に記録する(ステップS47)。
【0107】
他方、一拍の血圧において、第2の統計値が、第2の動き閾値αth2以下であるとする(ステップS46でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、短単位期間SUPに対する体動が無いと判断する(ステップS48)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、短単位期間SUPに対する体動がないことを、メモリ340に記録する(ステップS48)。
【0108】
次に、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧の各々に対して、一つでも体動有りの判断がされたか否かを判定する(ステップS49)。つまり、一拍信頼度判定部351において、ステップS44の処理またはステップS47の処理が実施されたか否かが、判定される(ステップS49)。
【0109】
ここで、一拍の血圧において、ステップS44,47のうちで、一つでも体動有りの判断がされたと、一拍信頼度判定部351が判定したとする(ステップS49でYES)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、体動が有ると判断する(ステップS50)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、体動があることを、メモリ340に記録する(ステップS50)。
【0110】
他方、一拍の血圧において、ステップS44,47の何れの処理も行わず、ステップS45,S48のすべての処理が実施されたと、一拍信頼度判定部351が判定したとする(ステップS49でNO)。この場合、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、体動が無いと判断する(ステップS51)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、体動がないことを、メモリ340に記録する(ステップS51)。
【0111】
図12に示したフロー(
図7のステップS4)を、一拍信頼度判定部351は、血圧計200により測定された各一拍の血圧に対して、実施する。なお、
図12のステップS43の処理の前に、一拍信頼度判定部351は、長単位期間LUPおよび短単位期間SUPに対して、デフォルトとして、体動がないことを、メモリ340に記録してもよい。この場合には、各ステップS43,46,49において、体動があると判断された場合に、一拍信頼度判定部351は、ステップS44,47,50の処理を実施する。他方、各ステップS43,46,49において、体動がないと判断された場合に、一拍信頼度判定部351は、ステップS45,48,51の処理を、省略する。つまり、一拍信頼度判定部351は、体動があると判断された項目のみ、体動なしの登録を、体動ありの登録に変更するだけでよい。
【0112】
(5)血圧レベル変化検出(
図7のステップS5)
図7のステップS4の後、ステップS5が実施される。
【0113】
プロセッサ350(一拍信頼度判定部351)は、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化を検出する(ステップS5)。上記血圧計200を用いて、長時間(たとえば、1晩)に渡って血圧測定を連続的に実施した場合、測定中に、被験者の体動が生じることもある。そして、当該体動をきっかけに、被験者の心臓に対する血圧計200の高さ等が変化し、血圧の時系列データにおける血圧レベル変化(血圧が或るレベルから別のレベルへ段階的に変化する現象)が発生する。
【0114】
なお、ステップS5における血圧の時系列データは、最高血圧値の時系列データおよび最低血圧値の時系列データなどを含む。血圧の時系列データとして、最低血圧値の時系列データを採用してもよい。しかしながら、以下の説明では、例として、血圧の時系列データは、最高血圧値の時系列データとする。
図14は、ステップS5の具体的な動作内容を示している。
【0115】
上述したように、血圧値解析支援装置300は、ステップS2で送信された測定データを受信する。そして。血圧値解析支援装置300のメモリ340は、当該測定データを格納する。ここで、測定データは、血圧計200の血圧装置210で測定されたデータ(一拍毎の血圧値)を含む。ここで、一拍毎の血圧値は、当該一拍の血圧値の測定時刻と関係付けられている。一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該データを、読み出して、メモリ340から読み出した一拍毎の血圧値から、最高血圧値を各々取得する(ステップS60)。
【0116】
次に、一拍信頼度判定部351は、ステップS60で取得された、一拍の最高血圧値の各々を用いて、血圧(本実施の形態では、最高血圧)の時系列データBTD1を生成する(ステップS61)。
図15は、生成される最高血圧の時系列データBTD1の例を、示している。ここで、
図15の縦軸は血圧値(mmHg)であり、
図15の横軸は時間である。
【0117】
次に、一拍信頼度判定部351は、最高血圧の時系列データBTD1において、変化点CP(
図15参照)を検出する(ステップS62)。ここで、変化点とは、本実施の形態では、最高血圧値の傾向が急峻に変化する時刻を表す。具体的には、変化点とは、一拍毎の血圧値(本実施の形態では、最高血圧値)が、予め定められた変化率を超えて変化した時刻を表す。たとえば、変化点は、一般に知られている変化点抽出(Change Finder)メソッド、尤度比検定を用いる手法、AR(Auto-Regressive)モデルを利用する手法、あるいは、特開2018-147442号公報に開示されている手法を用いて、検出される。
【0118】
次に、一拍信頼度判定部351は、最高血圧の時系列データBTD1を、変化点に基づき、複数の連続した区間を決定し、当該最高血圧の時系列データBTD1を、当該区間により区分する(ステップS63)。
図16は、最高血圧の時系列データBTD1において、少なくとも二つの変化点CP1,CP2が検出された例を示している。
図16の例では、一拍信頼度判定部351は、変化点CP1,CP2を境界として、区間Z1、区間Z2および区間Z3を決定する(
図16参照)。そして、一拍信頼度判定部351は、当該区間Z1,Z2,Z3により、最高血圧の時系列データBTD1を、区分する(
図16参照)。したがって、区間Z1と区間Z2との間(境界)に、変化点CP1が存在し、区間Z2と区間Z3との間(境界)に、変化点CP2が存在する。
【0119】
ここで、
図16の例では、区間Z1は、血圧計200による測定開始直後から、最初の変化点CP1が検出されるまでの期間であると、把握できる。そして、区間Z2は、最初の変化点CP1が検出された直後から、二番目の変化点CP2が検出されるまでの期間であると、把握できる。そして、区間Z3は、二番目の変化点CP2が検出された直後から、三番目の変化点まで(または、以後変化点が検出されない場合には、当該血圧測定の終了まで)の期間であると、把握できる。区間Z1は、上記のとおり、測定開始直後から、最初の変化点CP1が検出されるまでの期間である。したがって、当該区間Z1は、血圧レベル変化が無い区間として規定され、以後の血圧レベル変化の判定の際に、基準として使用される。
【0120】
ステップS63の後、一拍信頼度判定部351は、ステップS64以降の各ステップS64~S71を、区間Z2以降の各区間Z2,Z3に対して実施する。そして、一拍信頼度判定部351は、各区間Z2,Z3において、それぞれ直前レベル変化無し区間との間の血圧レベル変化の有無を、判定する(ステップS67,S70)。
【0121】
まず、一拍信頼度判定部351は、対象区間の先頭平均血圧レベルを取得する(ステップS64)。ここで、対象区間とは、血圧レベル変化の有無が判断されている区間のことであり、ここでの対象区間は、区間Z2である。また、区間Z2の先頭平均血圧レベルとは、最高血圧の時系列データBTD1について、変化点CP1直後の連続した所定の長さの期間に渡る、最高血圧値の平均である。ここで、当該所定の期間は、可変的に、血圧値解析支援装置300において、予め設定されている。例として、当該所定の長さは、血圧の100拍分の長さを採用することができる。なお、ここでは、一拍信頼度判定部351が、変化点CP1直後の連続した上記所定の長さの期間に渡って、最高血圧値を平均する。そして当該平均の結果は、この例では、第2の平均血圧レベルABL2と表される。よって、一拍信頼度判定部351は、対象区間Z2の先頭平均血圧レベルとして、第2の平均血圧レベルABL2を取得したとする(
図16参照)。
【0122】
次に、一拍信頼度判定部351は、直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルを取得する(ステップS65)。ここで、直前レベル変化無し区間とは、対象区間より前の区間で、血圧レベル変化がないと判定された区間である。ここでの直前レベル変化無し区間は、対象区間Z2よりも前の区間であり、血圧レベル変化がないと把握できる区間である。
図16の例では、対象区間Z2よりも前の区間は、区間Z1のみだけであり、上述したように、区間Z1は、血圧レベル変化がない規準区間である。したがって、
図16の例において、対象区間が区間Z2である場合には、直前レベル変化無し区間は、区間Z1である。
【0123】
区間Z1の末尾平均血圧レベルとは、最高血圧の時系列データBTD1について、変化点CP1直前の連続した上記所定の長さ(この例では、100拍分)の期間に渡る、最高血圧値の平均である。ここでは、一拍信頼度判定部351が、変化点CP1直前の連続した上記所定の長さの期間に渡って、最高血圧値を平均する。当該平均の結果は、第1の平均血圧レベルABL1と表される。したがって、一拍信頼度判定部351は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルとして、第1の平均血圧レベルABL1を取得する(
図16参照)。
【0124】
次に、一拍信頼度判定部351は、対象区間の先頭平均血圧レベルと直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルとの差と、レベル閾値(これをABLthとする)とを、比較する(ステップS66)。ここで、レベル閾値ABLthは、5~50mmHgの値を採用してもよいが、これには限定されない。レベル閾値ABLthは、血圧値解析支援装置300のメモリ340内に予め格納されており、一拍信頼度判定部351は、メモリ340から、当該レベル閾値ABLthを読み出す。ここでは、対象区間Z2の先頭平均血圧レベルは、第2の平均血圧レベルABL2であり、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルは、第1の平均血圧レベルABL1である。よって、ステップS66において、一拍信頼度判定部351は、第2の平均血圧レベルABL2と第1の平均血圧レベルABL1との差との差が、レベル閾値ABLth以上であるか否かを判断する。
【0125】
ここで、一拍信頼度判定部351は、第2の平均血圧レベルABL2と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth以上であると、判断したとする(ステップS66で「YES」)。この場合には、一拍信頼度判定部351は、区間Z2(変化点CP1)について、血圧レベル変化有りと判断する(ステップS67)。そして、一拍信頼度判定部351は、区間Z2に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化があることを、メモリ340に記録する(ステップS67)。
【0126】
他方、一拍信頼度判定部351は、第2の平均血圧レベルABL2と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth未満であると、判断したとする(ステップS66で「NO」)。この場合には、一拍信頼度判定部351は、ステップS68へ進む。
【0127】
ここで、以後の説明では、区間Z2(変化点CP1)は、血圧レベル変化有りと判断されたと仮定する。このため、ステップS68~S71の処理については、後述する。
【0128】
次に、対象区間が区間Z3である場合の、
図14のステップS64以降の動作を説明する。
【0129】
まず、一拍信頼度判定部351は、対象区間の先頭平均血圧レベルを取得する(ステップS64)。ここでの対象区間は、区間Z3である。また、区間Z3の先頭平均血圧レベルとは、最高血圧の時系列データBTD1について、変化点CP2直後の連続した上記所定の長さ(この例では、100拍分)の期間に渡る、最高血圧値の平均である。ここでは、一拍信頼度判定部351が、変化点CP2直後の連続した上記所定の長さの期間に渡って、最高血圧値を平均する。当該平均の結果は、第3の平均血圧レベルABL3である。したがって、一拍信頼度判定部351は、対象区間Z3の先頭平均血圧レベルとして、第3の平均血圧レベルABL3を取得する(
図16参照)。
【0130】
次に、一拍信頼度判定部351は、直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルを取得する(ステップS65)。ここで、区間Z2は血圧レベル変化有りと仮定しており、上記のとおり、区間Z1は基準区間である。よって、直前レベル変化無し区間は、区間Z1である。したがって、ステップS65において、一拍信頼度判定部351は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルとして、上記第1の平均血圧レベルABL1を取得したとする(
図16参照)。
【0131】
次に、ステップS66では、一拍信頼度判定部351は、対象区間の先頭平均血圧レベルと直前レベル変化無し区間の末尾平均血圧レベルとの差と、レベル閾値ABLthとを、比較する。ここでは、対象区間Z3の先頭平均血圧レベルは、第3の平均血圧レベルABL3であり、直前レベル変化無し区間Z1の末尾平均血圧レベルは、第1の平均血圧レベルABL1である。よって、ステップS66において、一拍信頼度判定部351は、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth以上であるか否かを判断する。
【0132】
ここで、一拍信頼度判定部351は、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth以上であると、判断したとする(ステップS66で「YES」)。この場合には、一拍信頼度判定部351は、区間Z3(変化点CP2)について、血圧レベル変化有りと判断する(ステップS67)。そして、一拍信頼度判定部351は、区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化があることを、メモリ340に記録する(ステップS67)。
【0133】
他方、一拍信頼度判定部351は、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差が、レベル閾値ABLth未満であると、判断したとする(ステップS66で「NO」)。この場合には、一拍信頼度判定部351は、ステップS68へ進む。この例では、第3の平均血圧レベルABL3と第1の平均血圧レベルABL1との差は、レベル閾値ABLth未満であると仮定する。このため、ステップS68へ進む。
【0134】
ステップS68において、一拍信頼度判定部351は、直前レベル変化無し区間の末尾から、対象区間の先頭までの期間を、取得する。この例では、直前レベル変化無し区間Z1の末尾(変化点CP1参照)から、対象区間Z3の先頭(変化点CP2参照)までの期間は、期間T2である(
図16参照)。したがって、ステップS68において、一拍信頼度判定部351は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾から、対象区間Z3の先頭までの期間として、期間T2を取得する。
【0135】
次に、ステップS69では、一拍信頼度判定部351は、ステップS68で取得した期間T2が、期間閾値(これをTthとする)よりも大きいか否かを判断する。ここで、たとえば、一拍信頼度判定部351は、ステップS68で取得した期間T2が、期間閾値Tth以下であると、判断したとする(ステップS69で「NO」)。この場合には、一拍信頼度判定部351は、対象区間Z3(変化点CP2)について、血圧レベル変化無しと判断する(ステップS70)。そして、一拍信頼度判定部351は、対象区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化がないことを、メモリ340に記録する(ステップS70)。
【0136】
他方、一拍信頼度判定部351は、ステップS68で取得した期間T2が、期間閾値Tthより大きいと、判断したとする(ステップS69で「YES」)。この場合には、一拍信頼度判定部351は、対象区間Z3の血圧レベル変化状態を、直前レベル変化無し区間Z1と対象区間Z3との間に存する区間Z2(前区間と称する)の血圧レベル変化状態と同じにする(ステップS71)。したがって、一拍信頼度判定部351は、対象区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、前区間である区間Z2の血圧レベル変化状態と同じものを、メモリ340に記録する(ステップS71)。ここで、上記のとおり、区間Z2は、血圧レベル変化有りと仮定されている。したがって、ステップS71において、一拍信頼度判定部351は、対象区間Z3に属する全ての一拍の血圧に関して、血圧レベル変化ありであることを、メモリ340に記録する。この理由は、直前レベル変化無し区間Z1の末尾から、あまり長い期間が経過していれば、たとえ血圧レベル自身が復帰したとしても、正常な状態に戻ったとして扱うべきではないという考え方があるからである。
【0137】
図14に示したステップS64~S71は、最高血圧の時系列データBTD1に対して設定された、各区間に対して実施される。ここで、ステップS69で言及した期間閾値Tthとして、∞を採用した場合には、実質的にステップS71は実施されず、常にステップS70が実施される。
【0138】
ここで、
図14のステップS62において、最高血圧の時系列データBTD1に対して、変化点CP1,CP2を検出する動作を説明したが、以下の方法により、変化点CP1,CP2の有効性を判断してもよい。具体的には、血圧の測定対象である被験者の体動を示す体動信号を用いて、変化点の有効性を判定してもよい。ここで、血圧計200は、被験者に装着されている。したがって、体動信号として、血圧計200の動きセンサ220の測定結果を、採用することができる。一例として、動きセンサ220は、3軸の加速度センサである。
【0139】
図17および
図18を用いて、変化点CP1,CP2の有効性判断の動作を説明する。ここで、
図17において、縦軸として、血圧値(mmHg)と加速度(G=9.8m/s
2)とが採用されており、横軸として、時間が採用されている。また、
図17の例では、
図16に例示した最高血圧の時系列データBTD1と、加速度の時系列データATD1とが、図示されている。ここで、最高血圧の時系列データBTD1と、加速度の時系列データATD1とは、時間軸が一致するように、
図17の上段と下段とに配置されている。また、加速度の時系列データATD1は、動きセンサ220による測定結果の時間的変化を示すデータである。本実施の形態では、動きセンサ220は、3軸の加速度センサであるので、3方向の加速度が測定される。しかし、
図17では、図面簡略化のため、加速度の時系列データATD1として、y方向の加速度値のみを図示している。
【0140】
また、
図18は、変化点CP1,CP2の有効性を判断するフローを示している。ここで、
図18は、変化点CP1,CP2の有効性を判断する場合における、
図14のステップS62のより具体的なフローであると、把握できる。以下では、
図14のステップS62で、変化点CP1,CP2を検出した後の動作を、
図18を参照して説明する。一拍信頼度判定部351は、
図14のステップS62で検出した各変化点CP1,CP2について、
図18に示す各ステップS75~S79を実施する。ここで、有効性判断の対象となっている変化点を、対象変化点と称する。
【0141】
対象変化点が変化点CP1である場合には、一拍信頼度判定部351は、対象変化点CP1の時刻TC1(
図17参照)を取得する(ステップS75)。次に、一拍信頼度判定部351は、ステップS75で取得した時刻TC1に最も近い、体動有りを示す信号の時刻を、取得する(ステップS76)。ここで、体動有りを示す信号の時刻とは、所定の大きさ以上の加速度値の測定時点である。
図17の例では、加速度の時系列データATD1において、所定の大きさ以上の加速度値は、一つだけ観測されており、その加速度値が測定されたのは、時刻TA1である。したがって、ステップS76において、一拍信頼度判定部351は、時刻TC1に最も近い、体動有りを示す信号の時刻として、時刻TA1を取得する。
【0142】
次に、ステップS77では、一拍信頼度判定部351は、ステップS75で取得した時刻TC1とステップS76で取得した時刻TA1との差と、時間差閾値(これをTDthとする)とを、比較する。ここで、時間差閾値TDthは、血圧値解析試験装置300内に、可変的に、予め設定されている。時間差閾値TDthとして、任意の値を採用することが可能である。以下の説明では、時間差閾値TDthは、この例では0~1秒の範囲内とする。
【0143】
具体的には、ステップS77では、一拍信頼度判定部351は、時刻TC1と時刻TA1との差が、時間差閾値TDth以下であるか否かを判断する。
図17の例では、時刻TC1と時刻TA1との差は、時間差閾値TDth(=0~1秒)よりも大きいことは、明らかである。よって、一拍信頼度判定部351は、時刻TC1と時刻TA1との差が、時間差閾値TDthよりも大きいと判断し(ステップS77で「NO」)、対象変化点CP1が有効な変化点でないと判断する(ステップS78)。つまり、一拍信頼度判定部351は、対象変化点CP1を、変化点としないことを決定する(ステップS78)。その後、一拍信頼度判定部351は、対象変化点CP1に関する有効性判断処理を終了する。そして、一拍信頼度判定部351は、対象変化点を、変化点CP2に変更し、
図18のステップS75以降の処理を再開する。
【0144】
対象変化点が変化点CP2である場合には、一拍信頼度判定部351は、対象変化点CP2の時刻TC2(
図17参照)を取得する(ステップS75)。次に、一拍信頼度判定部351は、ステップS75で取得した時刻TC2に最も近い、体動有りを示す信号の時刻を、取得する(ステップS76)。ここで、
図17の例では、加速度の時系列データにおいて、所定の大きさ以上の加速度値は、一つだけ観測されており、その加速度値が測定されたのは時刻TA1である。したがって、ステップS76において、一拍信頼度判定部351は、時刻TC2に最も近い、体動有りを示す信号の時刻として、時刻TA1を取得する。ここで、時刻TC2と時刻TA1とは、同じ時刻であるとする。
【0145】
次に、一拍信頼度判定部351は、ステップS75で取得した時刻TC2とステップS76で取得した時刻TA1との差と、時間差閾値TDthとを、比較する(ステップS77)。ここで、上述したように、時間差閾値TDthは、0~1秒とする。
【0146】
ステップS77では、一拍信頼度判定部351は、時刻TC2と時刻TA1との差が、時間差閾値TDth以下であるか否かを判断する。上述したように、時刻TC2と時刻TA1とは同じ時刻であるので、時刻TC2と時刻TA1との差は、0(ゼロ)である。よって、一拍信頼度判定部351は、時刻TC2と時刻TA1との差が、時間差閾値TDth以下であると判断する(ステップS77で「YES」)。そして、一拍信頼度判定部351は、対象変化点CP2が有効な変化点であると判断する(ステップS79)。つまり、一拍信頼度判定部351は、対象変化点CP2を、変化点として採用することを決定する(ステップS79)。
【0147】
図14のステップS62で検出された全ての変化点CP1,CP2について、一拍信頼度判定部351は、
図18の各ステップS75~S79を実施する。その後、一拍信頼度判定部351は、有効と判断された変化点CP2を用いて、
図14のステップS63の区間決定処理を実施する。
【0148】
(6)装着状態悪化検出(
図7のステップS6)
図7のステップS5の後、ステップS6が実施される。つまり、
図7のステップS5の血圧レベル変化検出処理が終了した後、一拍信頼度判定部351は、被験者に対する血圧計200の装着状態悪化を検出する(
図7のステップS6)。ここで、「装着状態の悪化」とは、上述したように、被験者の被測定部位に対して、血圧計200の装着状態が変化し、血圧計200の測定結果に対して悪影響が生じている状態(血圧計200が、正常な血圧を測定できなくなっている状態)を、意味する。以下、ステップS6の動作を説明する。
【0149】
たとえば、特開2018-42606号公報には、装着状態の悪化している態様として、「血圧計200の圧力センサ211が、橈骨動脈TDを押圧する力が弱い」、「圧力センサ211が、橈骨動脈TDを押圧す力が過剰」、「圧力センサ211が、橈骨動脈TDの延びる方向に対して平行な方向(以下「動脈方向」という)に傾いている状態」、「圧力センサ211が、橈骨動脈TDの延びる方向に対して垂直な方向(以下「幅方向」という)に傾いている状態」、「圧力センサ211が、幅方向にずれている状態」、「圧力センサ211が、動脈方向にずれている状態」、および「圧力センサ211が、体表面との接触面内における回転方向にずれている状態」などが、開示されている。
【0150】
図19は、圧力センサ211の体表面と接する側の面を、示している。
図19には、方向dAと方向dBとが、図示されている。ここで、方向dAは、血圧計200が装着された状態において、装着部位に存在する橈骨動脈TDの伸びる方向である。方向dBは、方向dAと交差する方向である。
図19の例では、特開2018-42606号公報に記載されているのと同様に、圧力センサ211は、二つのセンサアレイ211F,211Gを含む。そして、各センサアレイ211F,211Gは、方向dBに沿って配列された複数の圧力センサ片211pを有する。
【0151】
図7のステップS6では、一拍信頼度判定部351は、各圧力センサ片211pで測定される一拍毎の血圧値の、各圧力センサ211p間での分布を示す分布形状に基づき、装着状態の悪化を判定する。なお、当該判定の具体的な動作は、特開2018-42606号公報に開示されている。
【0152】
たとえば、特開2018-42606号公報の
図17に記載されている、「圧力センサ211が、幅方向に傾いている状態」、「圧力センサ211が、幅方向にずれている状態」、「圧力センサ211が、動脈方向にずれている状態」、および「圧力センサ211が、回転方向にずれている状態」のうち、二つ以上該当すると、一拍信頼度判定部351が判断したとする。この場合には、判断対象である一拍の血圧に関して、一拍信頼度判定部351は、センサ接着状態の悪化が「有」と判定する。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、装着状態悪化があることを、メモリ340に記録する。他方、上記4つの項目のうち、二つ未満該当すると、一拍信頼度判定部351が判断したとする。この場合には、判断対象である一拍の血圧に関して、一拍信頼度判定部351は、センサ接着状態の悪化が「無」と判定する。そして、一拍信頼度判定部351は、当該一拍の血圧に関して、装着状態悪化がないことを、メモリ340に記録する。
【0153】
このように、
図7のステップS6では、上記装着状態悪化の有無の判定が、一拍毎の血圧に対して、順次される。
【0154】
(7)信頼度判定(
図7のステップS7)
上記ステップS3~S6を実施した後、一拍信頼度判定部351は、これらのステップS3~S6を通して得られた結果を用いて、一拍毎の血圧に関して、信頼度を判定する(
図7のステップS7)。次に、ステップS7に関して、血圧値解析支援装置300のプロセッサ350の動作を説明する。
【0155】
図20は、第1の一拍の血圧から第6の一拍の血圧に対して、上記ステップS3~S6の処理が施された結果を、例示したものである。つまり、一拍信頼度判定部351は、ステップS3~S6の結果を用いて、
図20の上段に例示する表の個別判定項目欄を生成することができる。ここで、上述したように、各ステップS3~S6の判定結果は、メモリ340に記録されている。よって、一拍信頼度判定部351は、メモリ340に記録されている各判定結果を用いて、
図20の上段に例示する表の個別判定項目欄を生成することができる。
【0156】
一拍信頼度判定部351は、
図20の上段の表に設けられている「外れ値」の欄に、ステップS3(より具体的に
図8のステップS33,S34)の結果を、入力する。一拍信頼度判定部351は、
図20の上段の表に設けられている「体動(長単位区間)」の欄に、ステップS4(より具体的に
図12のステップS44,S45)の結果を、入力する。一拍信頼度判定部351は、
図20の上段の表に設けられている「体動(短単位区間)」の欄に、ステップS4(より具体的に
図12のステップS47,S48)の結果を、入力する。一拍信頼度判定部351は、
図20の上段の表に設けられている「血圧レベル変化」の欄に、ステップS5(より具体的に
図14のステップS67,S70)の結果を、入力する。一拍信頼度判定部351は、
図20の上段の表に設けられている「装着状態悪化」の欄に、ステップS6で得られる、装着状態悪化の有無の判定結果を、入力する。
【0157】
図20の上段の表の例では、たとえば、第1の一拍の血圧に関しては、一拍信頼度判定部351は、
図8のステップS33において、血圧外れ値が有りと判断し、
図12のステップS45において、長単位区間での体動が無いと判断し、
図12のステップS48において、短単位区間での体動が無いと判断し、
図14のステップS70において、血圧レベル変化が無いと判断し、
図7のステップS6において、装着状態悪化が無いと判断している。
【0158】
図7のステップS7では、
図20の上段の表に例示されているステップS3~S6までの個別判定項目の結果をまとめて、次の方法により、一拍毎の血圧に対して、信頼度を判定する。たとえば、信頼度判定対象の一拍の血圧において、「外れ値」、「体動(長単位区間)」、「体動(短単位区間)」、「血圧レベル変化」、および「装着状態悪化」のうち、一つでも「有り」の項目があるとする。この場合には、一拍信頼度判定部351は、当該信頼態度判定対象の一拍の血圧に対して、信頼度が「低(low)」であると、判定する。他方、信頼度判定対象の一拍の血圧において、「外れ値」、「体動(長単位区間)」、「体動(短単位区間)」、「血圧レベル変化」、および「装着状態悪化」の全てが、「無し」と判定されたとする。この場合には、一拍信頼度判定部351は、当該信頼態度判定対象の一拍の血圧に対して、信頼度が「高(high)」であると、判定する。
【0159】
したがって、
図20上段の表の例では、たとえば第1の一拍の血圧に関しては、血圧外れ値が有りと判断されている。したがって、一拍信頼度判定部351は、第1の一拍の血圧に対して、信頼度が「低(low)」であると、判定する。これに対して、たとえば第6の一拍の血圧において、「外れ値」、「体動(長単位区間)」、「体動(短単位区間)」、「血圧レベル変化」、および「装着状態悪化」の全てが、「無し」と判定されている。したがって、一拍信頼度判定部351は、第6の一拍の血圧に対して、信頼度が「高(high)」であると、判定する。
【0160】
なお、
図20の上段の表の例では、一拍毎の血圧に関して、信頼度は、2値化(高or低)判定されている。しかしながら、一拍毎の血圧に関して、信頼度は、複数段階に分けて判定されてもよい。
図20の下段の表は、一拍毎の血圧に関して、信頼度が、高、中、および低の3段階に分けて判定された例である。
【0161】
図20の下段の表の例では、信頼度判定対象の一拍の血圧において、「外れ値」、「体動(短単位区間)」、「血圧レベル変化」、および「装着状態悪化」にうち、一つでも「有り」の項目があるとする。この場合には、一拍信頼度判定部351は、当該信頼態度判定対象の一拍の血圧に対して、信頼度が「低(low)」であると、判定する。また、信頼度判定対象の一拍の血圧において、「外れ値」、「体動(長単位区間)」、「体動(短単位区間)」、「血圧レベル変化」、および「装着状態悪化」の全てが、「無し」と判定されたとする。この場合には、一拍信頼度判定部351は、当該信頼態度判定対象の一拍の血圧に対して、信頼度が「高(high)」であると、判定する。さらに、信頼態度判定対象の一拍の血圧に対して、「体動(長単位区間)」の項目が「有」と判断され、それ以外の「外れ値」、「体動(短単位区間)」、「血圧レベル変化」、および「装着状態悪化」の全てが「無し」と判定されたとする。この場合には、一拍信頼度判定部351は、当該信頼態度判定対象の一拍の血圧に対して、信頼度が「中(middle)」であると、判定する。
【0162】
このように、
図7のステップS7の信頼度判定動作は、各一拍分の血圧に対して、順次実施される。なお、一拍信頼度判定部351は、一拍の血圧値に関して判定された信頼度を、当該一拍の血圧値と関連付けて、メモリ340に記録する。
【0163】
(8)有効区間設定および無効区間設定(
図7のステップS8)
上記ステップS7において、全ての一拍の血圧に関して信頼度が判定された後、プロセッサ350の区間設定部352は、
図7に示すステップS8を実施する。ステップS8では、区間設定部352は、ステップS7の結果(つまり、一拍毎の血圧値の信頼度の判定結果)に基づき、血圧の時系列データについて、有効区間および無効区間を設定する。ここで、有効区間とは、解析に用いられるべき区間であると把握でき、無効区間は、解析に用いられるべきでない区間であると把握できる。次に、ステップS8に関して、血圧値解析支援装置300のプロセッサ350の動作を説明する。
【0164】
図21は、有効区間および無効区間の設定動作を示している。まず、区間設定部352は、一拍毎の血圧値の信頼度の判定結果に応じて、血圧の時系列データについて、有効区間および無効区間を設定する(ステップS90)。具体的に、血圧の時系列データについて、区間設定部352は、一拍毎の血圧値の信頼度が「高(第1の信頼度と把握できる)」である区間を有効区間に含める。さらに、血圧の時系列データについて、区間設定部352は、一拍毎の血圧値の信頼度が「低または中(第2の信頼度と把握できる)」である区間を無効区間に含める。
【0165】
区間設定部352は、ステップS90の処理を、一拍毎の血圧値に対して、各々実施する。その結果の一例を、
図22の上段に示す。
図22の上段は、血圧の時系列データの測定期間が、複数の有効区間ED1,ED2,ED3と複数の無効区間ND1,ND2,ND3により、区分されている、様子を概念的に示している。なお、
図22の上段の例では、有効区間ED1の期間の長さはTE1であり、有効区間ED2の期間の長さはTE2であり、有効区間ED3の期間の長さはTE3である。他方、無効区間ND1の期間の長さはTN1であり、無効区間ND2の期間の長さはTN2であり、無効区間ND3の期間の長さはTN3である。
【0166】
次に、区間設定部352は、
図22の上段で示した各有効区間ED1,ED2,ED3に対して、ステップS91の処理を実施する。
図21のステップS91では、区間設定部352は、各有効区間ED1,ED2,ED3の期間の長さTE1,TE2,TE3と、第2の閾値(これをTDdth2とする)とを、比較する。ここで、第2の閾値TDdth2として、統計処理等を利用して、任意の値を設定することができる。以下の説明では、第2の閾値TDdth2は、15秒とする。当該第2の閾値TDdth2は、血圧値解析支援装置300のメモリ340に対して、可変的に、予め設定されている。なお、以下の説明では、期間の長さTE3は、15秒よりも短く、期間の長さTE1,TE2は、15秒以上であるとする。
【0167】
具体的には、ステップS91において、区間設定部352は、各有効区間ED1,ED2,ED3の連続する期間の長さTE1,TE2,TE3が、第2の閾値TDdth2よりも短いか否かを判断する。上述したように、有効区間ED3の期間の長さTE3は、第2の閾値TDdth2(=15秒)未満である(ステップS91で「YES」)。したがって、区間設定部352は、有効区間ED3を、無効区間に変更する(ステップS92)。他方、上述したように、有効区間ED1,ED2の期間の長さTE1,TE2は、第2の閾値TDdth2(=15秒)より大きい(ステップS91で「NO」)。したがって、区間設定部352は、ステップS93に進む。各有効区間ED1,ED2,ED3に対して、ステップS91,S92の処理が施された後の様子を、
図22の中段に示す。
【0168】
上述のように、ステップS92では、
図22の中段に示すように、無効区間ND10が、新たに設定される。上記から分かるように、無効区間ND10の期間の長さは、TN2+TE3+TN3である。一方、有効区間TE1,TE2は無効区間に変更されない。したがって、
図22の中段に示すように、有効区間TE1,TE2は、維持されている。
【0169】
次に、区間設定部352は、各無効区間ND1,ND10に対して、ステップS93の処理を実施する。ステップS93において、区間設定部352は、各無効区間ND1,ND10の期間の長さTN1,(TN2+TE3+TN3)と、第1の閾値(これをTDdth1とする)とを、比較する。ここで、第1の閾値TDdth1として、統計処理等を利用して、任意の値を設定することができる。以下の説明では、第1の閾値TDdth1は、15秒とする。当該第1の閾値TDdth1は、血圧値解析支援装置300のメモリ340に対して、可変的に、予め設定されている。なお、以下の説明では、期間の長さTN1は、15秒よりも短く、期間の長さ(TN2+TE3+TN3)は、15秒以上であるとする。
【0170】
具体的には、ステップS93において、区間設定部352は、各無効区間ND1,ND10の連続する期間の長さTN1,(TN2+TE3+TN3)が、第1の閾値TDdth1よりも短いか否かを判断する。上述したように、無効区間ND1の期間の長さTN1は、第1の閾値TDdth1(=15秒)未満である(ステップS93で「YES」)。したがって、区間設定部352は、無効区間ND1を、有効区間に変更する(ステップS94)。他方、上述したように、無効区間ND10の期間の長さ(TN2+TE3+TN3)は、第1の閾値TDdth1(=15秒)より大きい(ステップS93で「NO」)。したがって、区間設定部352は、区間設定処理を終了する。各無効区間ND1,ND10に対して、ステップS93,S94の処理が施された後の様子を、
図22の下段に示す。
【0171】
上述のように、ステップS94では、
図22の下段に示すように、有効区間ED10が、新たに設定される。上記から分かるように、有効区間ED10の期間の長さは、TE1+TN1+TE2である。一方、無効期間ND10は有効区間に変更されない。したがって、
図22の下段に示すように、
図22の中段で示した無効区間ND10は、維持されている。
【0172】
区間設定部352は、ステップS90で設定された各区間ED1,ED2,ED3,ND1,ND2,ND3について、ステップS91以降の処理が施された結果(例示した
図22の下段に示す、有効区間ED10および無効区間ND10)を、血圧の時系列データおよび時刻(たとえば、区間開始時刻および区間終了時刻)等と関連付けて、血圧値解析支援装置300のメモリ340に、格納する。なお、
図7のステップS8で説明した区間設定処理は、畳み込み演算を用いたフィルターを施して得られる結果と、所定の閾値とを用いた手法を利用して、実施されてもよい。
【0173】
(9)出力データ生成(
図7のステップS9)
区間設定部352がステップS8の処理(有効区間および無効区間の設定処理)を実施した後、プロセッサ350は、
図7のステップS9の処理を実施する。プロセッサ350の出力データ生成部353は、ステップS2~S8までの処理において得られた、データおよび結果等を用いて、各種出力データ生成する(ステップS9)。
【0174】
たとえば、ステップS2において送信された各種測定データ(血圧の時系列データを含む)は、メモリ340に記録されている。また、ステップS3(より具体的には、
図8のステップS21,S22,S24,S25,S27,S28,S30,S31,S33,S34)で得られた判定結果は、メモリ340に記録されている。また、ステップS4(より具体的には、
図12のステップS44,S45,S47,S48,S50,S51)で得られた判定結果は、メモリ340に記録されている。また、ステップS5(より具体的には、
図14のステップS67,S70)で得られた判定結果は、メモリ340に記録されている。また、ステップS6で得られた判定結果(装着状態悪化の有無に関する判定結果)は、メモリ340に記録されている。ステップS7で得られた判定された信頼度(
図20参照)は、メモリ340に記録されている。さらに、ステップS9(より具体的には、ステップS90,S92,S94)で得られた、有効区間および無効区間に関する情報は、メモリ340に記録されている。出力データ生成部353は、メモリ340に記録されているこれらのデータおよび結果等を用いて、各種出力データ生成する(ステップS9)。
【0175】
たとえば、ステップS9において、出力データ生成部353は、メモリ340から、有効区間に関する情報を、読み出す。そして、出力データ生成部353は、有効区間に関する情報から、当該有効区間の区間開始時刻および当該有効区間の区間終了時刻に関する情報を、抽出する。そして、出力データ生成部353は、有効区間における、区間開始時刻と区間終了時刻を含む、出力データOD1を生成する。
図23の上段の表は、出力データOD1の一例を示している。
図23の上段の表の例では、ステップS9で得られた各有効区間の識別番号(ID)と、各有効区間の区間開始時刻、および各有効区間の区間終了時刻が、表として、構成されている。なお、出力データ生成部353は、当該生成した出力データOD1を、メモリ340に格納する。
【0176】
さらに、たとえば、ステップS9において、出力データ生成部353は、メモリ340から、血圧の時系列データ、判定された信頼度に関するデータ、判定された体動に関するデータ、判定された血圧レベル変化に関するデータ、判定された血圧外れ値に関するデータ、および判定された装着状態悪化に関するデータ等を、読み出す。そして、出力データ生成部353は、血圧の時系列データから、一拍毎の血圧値と当該一拍毎の血圧値の測定時刻とを、抽出する。そして、出力データ生成部353は、一拍毎の血圧値が測定された時刻、信頼度、および外乱を表す情報(体動の判定結果、血圧レベル変化の判定結果、血圧外れ値の判定結果、および装着状態悪化の判定結果等)を含む、出力データOD2を生成する。
図23の下段は、出力データOD2の一例を示している。
【0177】
図23の下段の表の例では、血圧の時系列データを構成する複数の一拍の血圧の識別番号(ID)と、各一拍の血圧が測定された時刻、一拍毎の血圧値の信頼度(
図7のステップS7の判定結果)、一拍毎の血圧値の測定時の体動の有無(
図12のステップS50,51の判定結果)、一拍毎の血圧値の測定時の血圧レベル変化の有無(
図14のステップS67,70の判定結果)、一拍毎の血圧値の外れ値の有無(
図8のステップS33,34の判定結果)、および一拍毎の血圧値の測定時の装着状態悪化の有無(
図7のステップS6の判定結果)、が、表として、構成されている。なお、出力データ生成部353は、当該生成した出力データOD2を、メモリ340に格納する。
【0178】
ここで、出力データ生成部353は、
図23の下段の表に例示されている、上述の外乱を表す情報の項目を、増減してもよい。たとえば、出力データ生成部353は、外乱を表す情報の項目として、体動の判定結果のみを含めて、出力データを生成してもよい。この場合には、出力データには、血圧の時系列データを構成する複数の一拍の血圧の識別番号と、各一拍の血圧が測定された時刻、一拍毎の血圧値の信頼度(
図7のステップS7の判定結果)、および一拍毎の血圧値の測定時の体動の有無(
図12のステップS50,51の判定結果)が、表に含まれる。また、たとえば、出力データ生成部353は、外乱を表す情報の項目として、ステップS3~S6での判定結果を全て(
図8のステップS21,S22,S24,S25,S27,S28,S30,S31,S33,S34、
図12のステップS44,S45,S47,S48,S50,S51、
図14のステップS67,S70、およびステップS6の各判定結果)含めて、出力データの表を生成してもよい。
【0179】
なお、出力データ生成部353で生成された各出力データOD1,OD2は、表示装置320,400に、表示させてもよい。
【0180】
(10)有効区間等の表示(
図7のステップS10)
次に、各種情報(データ)の表示について説明する。血圧値解析支援装置300の表示装置320(
図5参照)および/または病院端末400の表示装置420(
図6参照)は、血圧の時系列データに沿って、有効区間および/または信頼度を、視認可能に表示する(
図7のステップS10)。各表示装置320,420は、血圧値解析支援装置300内のメモリ340内に格納されている、各種データおよび情報を用いて、有効区間および/または信頼度を、表示することができる。たとえば、出力データ生成部353は、表示装置320,420の表示画面に、後述する各画像を表示させるように、各出力データを生成する。つまり、表示装置320,420は、当該各出力データに基づいて、後述する各画像を表示する。
【0181】
たとえば、病院端末400の表示装置420は、血圧値解析支援装置300から、出力データを、ネットワーク50を介して受信し、
図24に示すような画像を、表示することができる。
図24の縦軸は、血圧値(mmHg)であり、
図24の横軸は、時間である。例示する
図24には、血圧の時系列データとして、最高血圧値の時系列データSBPwと最低血圧値の時系列データDBPwが、含まれている。また、
図24には、二つの有効区間ED11,ED12が、含まれている。さらに、
図24には、低信頼度ラベルLTが、含まれている。ここで、低信頼度ラベルLTとは、低い信頼度を有する一拍毎の血圧値が表示されている期間を示すラベルである。換言すると、当該低信頼度ラベルLT内の一拍毎の血圧値は、
図7のステップS7で信頼度が低いと判定されたものである。なお、
図24の例では、表示対象として、有効区間ED11,ED12および低信頼度ラベルLTが、含まれている。しかしながら、表示対象として、上記に加えて、
図23の下段に例示されている、体動の有無および/または血圧レベル変化の有無なども、視認可能に表示させてもよい。
【0182】
図24の例では、有効区間ED11と有効区間ED12との間は、無効区間ND11であると、把握できる。よって、
図24の表示画面には、無効区間ND11内の、最高血圧値の時系列データSBPw、最低血圧値の時系列データDBPw、および低信頼度ラベルLTも、含まれている。無効区間ND11内の、血圧の時系列データ等は、解析等に使用されない可能性が高い。そこで、表示装置420は、血圧値解析支援装置300内のメモリ340内に格納されている、各種データおよび情報を用いて、次の表示を行ってもよい。つまり、表示装置420は、有効区間ED11,ED12毎に、当該有効区間ED11,ED12内の、血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT)を、視認可能に表示する(
図25参照)。そして、表示装置420は、無効区間ND11内の、血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT)については、表示を省略する(
図25参照)。
【0183】
図25に例示するように、表示装置420は、全ての有効区間(
図25の例では、有効区間ED11および有効区間ED12)を、並べて表示する。つまり、一画面内には、全有効区間ED11,ED12が、表示される(ただし、隣接する有効区間ED11,ED12同士が区別できるように、隣接する有効区間ED11,ED12同士は、離隔される)。したがって、
図25の例では、有効区間ED11内の、血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLTであるが、
図25の例では低信頼度ラベルLTはない)が、視認可能に表示されるとともに、有効区間ED12内の、血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT)が、視認可能に表示される。
【0184】
さらに、
図25から明らかなように、表示装置420は、無効区間ND11内の、血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT)は、表示していない。なお、
図24と同様、
図25の縦軸は、血圧値(mmHg)であり、
図25の横軸は、時間である。
【0185】
また、複数の有効区間が生成される場合には、複数の有効区間を一画面で表示する表示態様に加えて、次のような表示態様を採用することも可能である。つまり、一画面に一つの有効区間が表示されるように、表示装置420は、ユーザからの操作に応じて、有効区間を、切替可能に表示してもよい(
図26,27参照)。
【0186】
図26に例示するように、表示装置420は、有効区間ED11および当該有効区間ED11内の情報(血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT))を、一画面に表示する。そして、表示装置420は、他の有効区間ED12および当該他の有効区間ED12内の情報(血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT))を、表示しない。ここで、
図26に示されているように、表示装置420は、次の有効区間の表示を指示する、操作アイコンBt1も、表示する。
【0187】
ユーザが、病院端末400の操作装置430(
図6参照)を介して、表示装置420に表示されている操作アイコンBt1を、選択したとする。この場合には、表示装置420は、有効区間ED11に隣接し、かつ時系列的に当該有効区間ED11の次に現れる、有効区間ED12を表示する(
図27参照)。
【0188】
図27に例示するように、表示装置420は、有効区間ED12および当該有効区間ED12内の情報(血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT))を、一画面に表示する。そして、表示装置420は、他の有効区間ED11および当該他の有効区間ED11内の情報(血圧の時系列データSBPw、DBPwおよび信頼度(低信頼度ラベルLT))を、表示しない。ここで、
図27に示されているように、表示装置420は、次の有効区間の表示を指示する、操作アイコンBt1も、表示する。さらに、表示装置420は、前の有効区間の表示を指示する、操作アイコンBt2も、表示する。
【0189】
図27において、ユーザが、操作装置430(
図6参照)を介して、表示装置420に表示されている操作アイコンBt1を、選択したとする。この場合には、表示装置420は、有効区間ED12に隣接し、かつ時系列的に当該有効区間ED12の次に現れる、有効区間ED13(図示せず)を表示する。
【0190】
他方、
図27において、ユーザが、操作装置430(
図6参照)を介して、表示装置420に表示されている操作アイコンBt2を、選択したとする。この場合には、表示装置420は、有効区間ED12に隣接し、かつ時系列的に当該有効区間ED12の前に現れる、有効区間ED11を表示する(
図26参照)。
【0191】
なお、血圧値解析支援装置300の操作装置330と表示装置320によっても、上記と同様の操作、表示を行うことができる。
【0192】
(効果)
本実施の形態に係る血圧値解析支援システム100および血圧値解析支援装置300では、一拍信頼度判定部351は、血圧の時系列データについて、外乱を表す情報に基づいて、一拍毎の血圧値の信頼度を、少なくとも、上記第1信頼度(たとえば、高)と上記第2信頼度(たとえば、低)とで、判定する。区間設定部352は、上記血圧の時系列データについて、上記第1信頼度である区間を有効区間に含める一方、上記第2信頼度である区間を無効区間に含める(
図22参照)。そして、当該区間設定部352は、当該無効区間であって、連続する期間の長さが、予め設定されている第1の閾値TDth1未満であるものについて、上記有効区間に変更する(
図22参照)。この理由は、血圧サージのような数秒~数十秒という比較的長い時間にかけて発生する血圧変動指標の解析には、影響が少ないと考えられるからである。
【0193】
したがって、信頼度が比較的低い上記第2信頼度を有する血圧値データが、比較的短い期間に渡り連続的に出現したとしても、当該血圧値データは、上記有効区間に含められる。ここで、有効区間は、上記のとおり、血圧の時系列データについて、解析に用いられるべき区間を表す。よって、当該血圧値解析支援装置300により、有効区間に含まれるデータ数を増やすことができる。したがって、たとえば血圧サージ等の血圧変動指標を検出するに際して、血圧の時系列データのうち、血圧データの解析に用いるべき区間と、解析に用いられるべきでない区間とを適切に設定することが可能となる。
【0194】
本実施の形態に係る血圧値解析支援装置300では、区間設定部352は、上記有効区間であって、連続する期間の長さが予め設定されている第2の閾値未満TDth2であるものについて、上記無効区間に変更する(
図22の下段参照)。
【0195】
したがって、解析の際に用いないほうがよいと考えられる期間を、より正確に、有効区間から排除することができる。たとえば、二つの無効区間が存在しており、当該無効区間の間に、比較的短い期間の有効区間が存在しているとする。この場合、当該有効区間に測定された血圧値データは、解析で使用することは、好ましくないことがある。そこで、当該血圧値解析支援装置300により、上記場合において、上記比較的短い期間の有効区間を、無効区間として扱うことが可能となる。よって、解析の際に、当該比較的短い期間の有効区間に含まれていた血圧値データの使用を、避けることができる。
【0196】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧の最高血圧値SBPと、予め設定されている最高血圧閾値SBPth1,SBPth2とに基づき、上記信頼度を判定する。
【0197】
したがって、一拍の血圧の最高血圧値SBPを用いて、信頼度を判定している。当該最高血圧値SBPは、血圧値の信頼度に、大きく影響する。したがって、精度の高い、信頼度判定が可能となる。
【0198】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、一拍信頼度判定部351は、一拍毎の血圧の最低血圧値DBPと、予め設定されている最低血圧閾値DBPth1,DBPth2とにも基づいて、上記信頼度を判定する。
【0199】
したがって、上記最高血圧値SBPだけでなく、最低血圧値DBPも用いて、上記信頼度が判定される。したがって、信頼度判定の精度を、より高めることができる。
【0200】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、一拍信頼度判定部351は、上記一拍毎の血圧の最高血圧値SBPと最低血圧値DBPとの差である脈圧PPと、予め設定されている脈圧閾値PPth1,PPth2とにも基づいて、上記信頼度を判定する。
【0201】
したがって、上記最高血圧値だけでなく、脈圧PPも用いて、上記信頼度が判定される。したがって、信頼度判定の精度を、より高めることができる。
【0202】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、一拍信頼度判定部351は、上記一拍の血圧の一周期である拍時間PTと、予め設定されている拍時間閾値PTth1,PTth2とにも基づいて、上記信頼度を判定する。
【0203】
したがって、上記最高血圧値だけでなく、拍時間PTも用いて、上記信頼度が判定される。したがって、信頼度判定の精度を、より高めることができる。
【0204】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、一拍信頼度判定部351は、血圧計200の測定中における被験者の動きを示す動きデータの統計値と、予め設定された、少なくとも一つの動き閾値αth1,αth2とに基づき、上記信頼度を判定する(
図7のステップS4参照)。
【0205】
測定中に被験者が動くと、正当な血圧値が測定されない可能性が高まる。したがって、当該動きの統計値を考慮して、上記信頼度が判定されることにより、上記信頼度の精度を高めることができる。
【0206】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300は、比較的長期に渡る動きの変動と、比較的短期に渡る動きの変動とを加味して、上記信頼度を判定する(
図13参照)。したがって、より精度の高い信頼度の判定が可能となる。
【0207】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300は、血圧の時系列データにおける、変化点CP1,CP2での血圧レベル変化の有無に基づき、信頼度を判定する。当該血圧レベルの変化は、たとえば、測定中の外乱などにより生じる。当該外乱は、データの信頼度に影響を及ぼす。したがって、当該血圧レベル変化の有無に基づいて、上記信頼度が判定されることにより、精度の高い信頼度の判定が可能となる。
【0208】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、血圧計200は、トノメトリ方式で、動脈に対して交差する方向(
図19の方向dB参照)に沿って配列された複数の圧力センサ片211pを含む。そして、一拍信頼度判定部351は、各圧力センサ片211pで測定される一拍分の血圧値の、各圧力センサ片211p間での分布を示す分布形状に基づき、信頼度を判定する。
【0209】
上記分布形状により、血圧計200の測定部位(動脈)に対する配置状態を、推定することができる。当該配置状態の変化は、測定結果に影響を及ぼす。したがって、上記分布形状に基づき、上記信頼度が判定されることにより、精度の高い信頼度の判定が可能となる。
【0210】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、一拍毎の血圧値が測定された時刻、信頼度、および外乱を表す情報を含む、出力データ(
図23の下段参照)を生成する、出力データ生成部353を、備える。
【0211】
上記出力データを生成することにより、整理された状態で、各種情報(測定時刻、信頼度、および外乱を表す情報)を、管理することができる。また、当該出力データを使用することにより、モニター等に、上記各種情報を、表示することも可能となる。
【0212】
本実施形態に係る血圧値解析支援装置300では、出力データ生成部353は、有効区間における、区間開始時刻と区間終了時刻を含む、出力データを生成する(
図23の上段参照)。したがって、有効区間の期間に関する情報を、管理することが可能となる。また、当該出力データを使用することにより、モニター等に、上記有効区間の期間を視認可能に表示することも可能となる。
【0213】
本実施形態に係る血圧値解析支援システム100では、出力データ生成部353は、表示装置320,420の表示画面に、有効区間ED11,ED12、血圧の時系列データ、および信頼度(たとえば、低信頼度ラベルLT)を表示させ、一方、無効区間ND11内の、血圧の時系列データおよび信頼度については、表示装置320,420の表示画面に表示させないように、出力データを生成する。したがって、医師等は、表示装置320,420の表示画面を見ることにより、解析に用いるべき血圧の時系列データの部分を、簡単に、判別することができる。よって、医師等における確認時間の短縮化も図ることができる。
【0214】
本実施形態の血圧値解析支援システム100では、表示装置320,420の表示画面に、有効区間ED11,ED12ごとに、当該有効区間内の、血圧の時系列データ(
図25の最高血圧の時系列データSBPw、最小血圧の時系列データDBPw参照)および上記信頼度(たとえば、低信頼度ラベルLT)が、表示される。一方、無効区間ND11内の、血圧の時系列データおよび信頼度については、表示されない。よって、医師等が、表示装置において、解析に用いるべきでない血圧の時系列データ等を、視認することを防止でき、医師による確認の効率化を図ることができる。
【0215】
上述した血圧値解析支援方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムが、血圧値解析支援装置に設定されている。したがって、当該プログラムをコンピュータに実行させることによって、上記血圧値解析支援方法を実施することができる。
【0216】
また、上述の実施形態では、各プロセッサ260,350,450はCPUを含むものとしたが、これに限るものではない。各プロセッサ260,350,450は、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの、論理回路(集積回路)を含むものとしてもよい。
【0217】
また、上述の実施形態では、血圧計400はトノメトリ方式の血圧計であるものとしたが、これに限られるものではない。血圧計400は、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて光を照射する発光素子と、その光の反射光(または透過光)を受光する受光素子とを備えて、動脈の脈波を容積の変化に基づいて連続的に血圧を検出してもよい(光電方式)。また、血圧計400は、被測定部位に当接された圧電センサを備えて、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈の圧力による歪みを電気抵抗の変化として検出し、この電気抵抗の変化に基づいて連続的に血圧を検出してもよい(圧電方式)。さらに、血圧計400は、被測定部位のうち対応する部分を通る動脈へ向けて電波(送信波)を送る送信素子と、その電波の反射波を受信する受信素子とを備えて、動脈の脈波による動脈とセンサとの間の距離の変化を送信波と反射波との間の位相のずれとして検出し、この位相のずれに基づいて連続的に血圧を検出してもよい(電波照射方式)。また、血圧を算出することができる物理量を観測することができれば、これらの以外の方式を適用してもよい。
【0218】
また、実施の形態に係る血圧値解析支援装置300は、血圧サージのみならず、動脈圧受容器反射指標(たとえば、血圧の時系列データを周波数変化して得られる波形の傾きから当該指標を解析できる)などの各種血圧変動指標の解析を支援することができる。
【0219】
以上の実施の形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
【符号の説明】
【0220】
100 血圧値解析支援システム
200 血圧計
211 圧力センサ
220 動きセンサ
300 血圧値解析支援装置
320,420 表示装置
340 メモリ
351 一拍信頼度判定部
352 区間設定部
353 出力データ生成部