(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】位相ノイズ補償装置及び方法、受信機
(51)【国際特許分類】
H04B 10/077 20130101AFI20230214BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20230214BHJP
H04L 27/38 20060101ALI20230214BHJP
H04B 3/10 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H04B10/077 190
H04B10/61
H04L27/38
H04B3/10 C
(21)【出願番号】P 2019032567
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】201810430182.4
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】スゥ・シアオフェイ
(72)【発明者】
【氏名】タオ・ジェヌニン
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158181(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126132(WO,A1)
【文献】特開2018-042219(JP,A)
【文献】国際公開第2018/034030(WO,A1)
【文献】特開2016-208257(JP,A)
【文献】特開2001-313624(JP,A)
【文献】特開2017-225075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
H04L 27/00-27/38
H04B 1/76-3/44
H04B 3/50-3/60
H04B 7/00-7/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相ノイズを補償する装置であって、
受信信号に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定する第一確定ユニット;
前記送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、
前記訓練シーケンス信号に対応する修正信号を確定する第二確定ユニット;
前記修正信号に基づいて前記受信信号の位相ノイズを確定する第三確定ユニット;及び
前記受信信号の位相ノイズに基づいて、前記受信信号に対して位相ノイズ補償を行う補償ユニットを含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第三確定ユニットは、
前記訓練シーケンス信号が所在する時刻における前記受信信号及び前記訓練シーケンス信号に対応する前記修正信号に基づいて、前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを確定する第四確定ユニット;及び
前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズに対して補間処理を行い、全ての時刻における受信信号の位相ノイズを得る補間ユニットを含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記第四確定ユニットは、
前記訓練シーケンス信号に対応する前記修正信号に対して共役操作を行った後に、前記訓練シーケンス信号が所在する時刻における前記受信信号と乗算する第一計算ユニット;及び
乗算結果に対して角度を取り、前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを得る第二計算ユニットを含む、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記第二確定ユニットは、複数の訓練シーケンス信号に対応する複数の修正信号を確定し、
前記第一計算ユニットは、前記複数の修正信号に対して共役操作を行った後に、それぞれ、前記複数の訓練シーケンス信号が所在する時刻における前記受信信号と乗算し、複数の乗算結果を取得し、
前記第二計算ユニットは、前記複数の乗算結果の平均値を求め、該平均値に対して角度を取り、前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを取得する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記送信機非理想性パラメータの推定値は、送信機のIブランチとQブランチの振幅不平衡、位相不平衡、及び送信機の直流バイアス量の推定値のうちの少なくとも1つを含む、装置。
【請求項6】
請求項1~5のうちの何れか一項に記載の装置を含む、受信機。
【請求項7】
位相ノイズを補償する方法であって、
受信信号に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定し;
前記送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、
前記訓練シーケンス信号に対応する修正信号を確定し;
前記修正信号に基づいて前記受信信号の位相ノイズを確定し;及び
前記受信信号の位相ノイズに基づいて、前記受信信号に対して位相ノイズ補償を行うことを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記修正信号に基づいて前記受信信号の位相ノイズを確定することは、
前記訓練シーケンス信号が所在する時刻における前記受信信号及び前記訓練シーケンス信号に対応する前記修正信号に基づいて、前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを確定し;及び
前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズに対して補間処理を行い、全ての時刻における受信信号の位相ノイズを得ることを含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記訓練シーケンス信号が所在する時刻における前記受信信号及び前記訓練シーケンス信号に対応する前記修正信号に基づいて、前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを確定することは、
前記訓練シーケンス信号に対応する前記修正信号に対して共役操作を行った後に、前記訓練シーケンス信号が所在する時刻における前記受信信号と乗算し;及び
乗算結果に対して角度を取り、前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを得ることを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
複数の訓練シーケンス信号に対応する複数の修正信号を確定し、
前記複数の修正信号に対して共役操作を行った後に、それぞれ、前記複数の訓練シーケンス信号が所在する時刻における前記受信信号と乗算し、複数の乗算結果を取得し、
前記複数の乗算結果の平均値を求め、該平均値に対して角度を取り、前記訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを取得する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関し、特に、位相ノイズ補償装置及び方法、受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
コヒーレント光通信システムが、巨大の伝送バンド幅、極大の拡張潜力、極低の伝送ロス、低廉なコストなどの利点を有するため、通信伝送ネットワーク中で重要な地位を占めている。そのうち、低コスト、大容量、且つ高スペクトル効率のコヒーレント光通信ネットワークの構築及び適切な変調方式の選択がカギである。近年、柔軟な可変変調方式が、伝送レートを向上させるための最有効手段として、ホットな話題になっており、そのうち、高次直交振幅変調(QAM、Quadrature Amplitude Modulation)は、次世代光通信システムの主流になっている。しかし、複雑なQAM変調方式が位相ノイズに特に敏感である。
【0003】
従来の位相ノイズ補償方法は、一般的に、ブラインド位相捜索案又は補間直交位相シフトキーイング(QPSK、Quadrature Phase Shift Keying)のキャリア位相推定案に基づいて、レーザーによる位相ノイズに対して補償を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者が次のようなことを発見した。即ち、複雑なQAM変調方式は、レーザーによる位相ノイズに敏感であるのみならず、装置の非理想性による位相ノイズにも敏感であり、送信機の直流バイアス、IブランチとQブランチの位相不平衡及び振幅不平衡の影響を受けやすいため、シビアなビットエラーをもたらし、システムの伝送効率を大きく制限している。従来の位相ノイズ補償方法は、送信機の非理想性による位相ノイズを考慮していないので、位相ノイズ補償の効果に影響を与え、システムの伝送効率を制限している。
【0005】
本発明の実施例は、位相ノイズ補償装置及び方法、受信機を提供し、送信機非理想性パラメータの推定値及び送信信号中の訓練シーケンス信号に基づいて修正信号を確定し、そして、該修正信号をもとに受信信号の位相ノイズを確定するため、送信機の非理想性の位相ノイズへの影響を考慮しており、位相ノイズを正確に推定し、位相ノイズの補償を有効に行い、システムの伝送効率及びパフォーマンスを保証することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例の第一側面によれば、位相ノイズ補償装置が提供され、前記装置は、受信信号に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定する第一確定ユニット;前記送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、修正信号を確定する第二確定ユニット;前記修正信号に基づいて前記受信信号の位相ノイズを確定する第三確定ユニット;及び、前記受信信号の位相ノイズに基づいて、前記受信信号に対して位相ノイズ補償を行う補償ユニットを含む。
【0007】
本発明の実施例の第二側面によれば、受信機が提供され、それは、本発明の実施例の第一側面に記載の位相ノイズ補償装置を含む。
【0008】
本発明の実施例の第三側面によれば、位相ノイズ補償方法が提供され、前記方法は、受信信号に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定し;前記送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、修正信号を確定し;前記修正信号に基づいて前記受信信号の位相ノイズを確定し;及び、前記受信信号の位相ノイズに基づいて、前記受信信号に対して位相ノイズ補償を行うことを含む。
【0009】
本発明の有益な効果は、次の通りであり、即ち、送信機非理想性パラメータの推定値及び送信信号中の訓練シーケンス信号に基づいて修正信号を確定し、そして、該修正信号をもとに受信信号の位相ノイズを確定するため、送信機の非理想性の位相ノイズへの影響を考慮しており、位相ノイズを正確に推定し、位相ノイズの補償を有効に行い、システムの伝送効率及びパフォーマンスを保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例1における位相ノイズ補償装置を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1における第三確定ユニット103を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1における第四確定ユニット201を示す図である。
【
図4】本発明の実施例1において行われる補間処理を示す図である。
【
図5】本発明の実施例2における受信機のシステム構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施例3における位相ノイズ補償方法を示す図である。
【
図7】本発明の実施例3における位相ノイズ補償方法を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を実施するための好適な実施例を詳しく説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例は、位相ノイズ補償装置を提供し、該位相ノイズ補償装置は、光通信システムの受信機側に設置される。
図1は、本発明の実施例1における位相ノイズ補償装置を示す図である。
図1に示すように、装置100は、次のようなものを含む。
【0013】
第一確定ユニット101:受信信号に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定し;
第二確定ユニット102:送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、修正信号を確定し;
第三確定ユニット103:修正信号に基づいて受信信号の位相ノイズを確定し;及び
補償ユニット104:受信信号の位相ノイズに基づいて、受信信号に対して位相ノイズ補償を行う。
【0014】
上述の実施例から分かるように、送信機非理想性パラメータの推定値及び送信信号中の訓練シーケンス信号に基づいて修正信号を確定し、そして、該修正信号をもとに受信信号の位相ノイズを確定するため、送信機の非理想性の位相ノイズへの影響を考慮しており、位相ノイズを正確に推定し、位相ノイズの補償を有効に行い、システムの伝送効率及びパフォーマンスを保証することができる。
【0015】
本実施例では、例えば、送信機非理想性パラメータは、次のようなもののうちの少なくとも1つを含み、即ち、送信機のIブランチとQブランチの振幅不平衡、位相不平衡、及び送信機の直流バイアス量の推定値である。
【0016】
本実施例では、第一確定ユニット101が送信機非理想性パラメータの推定値を確定する方法は、従来の関連技術を参照することができる。例えば、受信信号について、キャリア位相回復後の信号の平均値を取り、直流バイアス推定値を取得し;直流バイアス除去後の信号をバタフライ型FIRフィルタ(butterfly FIR filter)に入力し、LMS(least-mean squares、LMS)方法によりフィルタタップ係数に対して反復(iteration)を行い;最後に、収斂(収束)後のフィルタタップ係数に基づいて、振幅不平衡及び位相不平衡の推定値を計算することができる。
【0017】
本実施例では、送信機非理想性パラメータが一定時間内で相対的安定性を維持することができるため、例えば、数秒内で相対的安定性を維持することができるため、一定の周期で送信機非理想性パラメータの推定値を更新することができる。
【0018】
本実施例では、第二確定ユニット102は、該送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、修正信号を確定する。
【0019】
例えば、理想的な条件下で、送信機の送信信号は、次のように表すことができる。
【数1】
【0020】
そのうち、S(i)は、第i個目の送信信号を表し、I(i)は、第i個目の送信信号中のIブランチ信号を表し、Q(i)は、第i個目の送信信号中のQブランチ信号を表す。
【0021】
送信機の非理想性が原因で、変調後の送信信号は、次のように表すことができる。
【数2】
【0022】
そのうち、SM(i)は、変調後の第i個目の送信信号を表し、a及びbは、それぞれ、IブランチとQブランチの振幅を表し、θI及びθQは、それぞれ、IブランチとQブランチの位相を表し、I0+jQ0は、送信機の直流バイアス量を表す。
【0023】
受信機側では、受信信号が等化、周波数オフセット補償などの処理を受けた後に、受信信号には、依然として、位相ノイズ及び送信機非理想性の情報が含まれており、位相ノイズ補償が行われる前に、受信信号は、次のように表すことができる。
【数3】
【0024】
そのうち、Y(i)は、位相ノイズ補償前の第i個目の受信信号を表し、a及びbは、それぞれ、IブランチとQブランチの振幅を表し、θI及びθQは、それぞれ、IブランチとQブランチの位相を表し、I0+jQ0は、送信機の直流バイアス量を表し、φ(i)は、第i個目の受信信号の位相ノイズを表す。
【0025】
本実施例では、送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号は、任意の形式の信号であっても良く、例えば、周期信号、非周期信号、相関信号、非相関信号などであっても良い。
【0026】
本実施例では、送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号は、連続して插入されても良く、間隔を置いて插入されても良く、後者の場合、等間隔で插入されても良く、非等間隔で插入されても良く、また、訓練シーケンス信号の数は、実際のニーズに応じて確定されても良い。
【0027】
例えば、送信信号に挿入される訓練シーケンス信号は、次のように表すことができる。
【数4】
【0028】
そのうち、S(k)は、k時刻の送信信号、即ち、該訓練シーケンス信号を表し、I(k)は、該訓練シーケンス信号中のIブランチ信号を表し、Q(k)は、該訓練シーケンス信号中のQブランチ信号を表す。
【0029】
このように、第二確定ユニット102が、該送信機非理想性パラメータの推定値a、b即ち振幅不平衡の推定値、θ
Iとθ
Q即ち位相不平衡の推定値、及び直流バイアス量I
0+jQ
0に基づいて得た修正信号は、次のように表すことができる。
【数5】
【0030】
そのうち、Sout(k)は、該訓練シーケンス信号に対応する修正信号を表し、I(k)は、該訓練シーケンス信号中のIブランチ信号を表し、Q(k)は、該訓練シーケンス信号中のQブランチ信号を表し、a及びbは、それぞれ、IブランチとQブランチの振幅を表し、θI及びθQは、それぞれ、IブランチとQブランチの位相を表し、I0+jQ0は、送信機の直流バイアス量を表す。
【0031】
本実施例では、第三確定ユニット103は、該修正信号に基づいて該受信信号の位相ノイズを確定する。以下、第三確定ユニット103の構造及び位相ノイズの確定方法について例示的に説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施例1における第三確定ユニット103を示す図である。
図2に示すように、第三確定ユニット103は、次のようなものを含む。
【0033】
第四確定ユニット201:該訓練シーケンス信号が所在する時刻における該受信信号及び該訓練シーケンス信号に対応する修正信号に基づいて、該訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを確定し;及び
補間ユニット202:該訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズに対して補間処理を行い、全ての時刻における受信信号の位相ノイズを取得する。
【0034】
本実施例では、第四確定ユニット201は、該訓練シーケンス信号のある時刻の該受信信号及び該訓練シーケンス信号に対応する修正信号に基づいて、該訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを確定する。
【0035】
例えば、該訓練シーケンス信号のある時刻がk時刻である場合、位相ノイズ補償を行う前の、該訓練シーケンス信号が所在する時刻における該受信信号は、Y(k)であり、該訓練シーケンス信号に対応する修正信号は、Sout(k)である。
【0036】
図3は、本発明の実施例1における第四確定ユニット201を示す図である。
図3に示すように、第四確定ユニット201は、次のようなものを含む。
【0037】
第一計算ユニット301:該訓練シーケンス信号に対応する修正信号に対して共軛(共役)操作を行った後に、該訓練シーケンス信号のある時刻の受信信号と乗算し;及び
第二計算ユニット302:乗算後の結果の角度を取り、該訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを取得する。
【0038】
例えば、第一計算ユニット301は、訓練シーケンス信号S(k)に対応する修正信号Sout(k)に対して共軛操作を行った後に、S(k)が所在する時刻kの受信信号Y(k)と乗算し、そして、上述の公式(3)-(5)に基づいて、乗算の結果の角度を取れれば、該訓練シーケンス信号S(k)に対応する位相ノイズφ(k)を得ることができる。
【0039】
本実施例では、送信信号に挿入される訓練シーケンス信号は、複数であっても良く、このとき、第二確定ユニット102は、複数の訓練シーケンス信号に対応する複数の修正信号を確定し、第一計算ユニット301は、該複数の修正信号に対して共軛操作を行った後に、それぞれ、該複数訓練シーケンス信号が所在する時刻の受信信号と乗算し、複数の乗算結果を取得し、第二計算ユニット302は、該複数の乗算結果の平均値を取り、平均後の乗算結果の角度を取り、そして、該訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを取得することができる。
【0040】
このように、複数の乗算結果に対して平均処理を行うことで、ホワイトノイズの位相ノイズ推定への影響を無くし、位相ノイズ推定の正確性をより一層向上させることができる。
【0041】
本実施例では、補間ユニット202は、訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズに対して補間処理を行い、他の非訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを取得し、そして、全ての時刻の受信信号の位相ノイズを取得する。
【0042】
例えば、線形補間、三次スプライン補間などの従来の補間方法を採用することができる。
【0043】
図4は、本発明の実施例1において行われる補間処理を示す図である。
図4に示すように、訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズに対して補間処理を行うことで、全ての時刻の受信信号の位相ノイズを取得する。
【0044】
本実施例では、全ての時刻における受信信号の位相ノイズを得た後に、補償ユニット104は、該受信信号の位相ノイズに基づいて、該受信信号に対して位相ノイズ補償を行う。具体的な補償方法は、従来の関連技術を参照することができる。
【0045】
上述の実施例から分かるように、送信機非理想性パラメータの推定値及び送信信号中の訓練シーケンス信号に基づいて修正信号を確定し、そして、該修正信号をもとに受信信号の位相ノイズを確定するため、送信機の非理想性の位相ノイズへの影響を考慮しており、位相ノイズを正確に推定し、位相ノイズの補償を有効に行い、システムの伝送効率及びパフォーマンスを保証することができる。
【実施例2】
【0046】
本発明の実施例は、さらに、受信機を提供し、該受信機は、実施例1に記載の位相ノイズ補償装置を含み、該位相ノイズ補償装置の具体的な構造及び機能は、実施例1における記載を参照することができ、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0047】
図5は、本発明の実施例2における受信機のシステム構成を示す図である。
図5に示すように、受信機500は、等化ユニット501、周波数オフセット補償ユニット502、位相ノイズ補償ユニット503、送信機非理想性補償ユニット504、第一確定ユニット505、第二確定ユニット506、第三確定ユニット507、及びビットエラー率計算ユニット508を含む。
【0048】
本実施例では、等化ユニット501、周波数オフセット補償ユニット502、送信機非理想性補償ユニット504、及びビットエラー率計算ユニット508の具体的な構造及び機能は、従来技術を参照することができる。
【0049】
本実施例では、位相ノイズ補償ユニット503、第一確定ユニット505、第二確定ユニット506、及び第三確定ユニット507の具体的な構造及び機能は、実施例1中の記載を参照することができる。
【0050】
図5に示すように、受信信号は、等化ユニット501及び周波数オフセット補償ユニット502の処理を受けた後に、位相ノイズ補償ユニット503により位相ノイズが補償され、及び送信機非理想性補償ユニット504により送信機の非理想性が補償されてから、ビットエラー率計算ユニット508を経由して出力され、そのうち、第一確定ユニット505は、送信機非理想性補償ユニット504に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定し、第二確定ユニット506は、修正信号を確定し、第三確定ユニット507は、該修正信号に基づいて位相ノイズを確定し、該修正信号は、位相ノイズ補償ユニット503が位相ノイズの補償を行うために用いられる。
【0051】
本実施例では、位相ノイズ補償ユニット503、第一確定ユニット505、第二確定ユニット506、及び第三確定ユニット507の機能は、受信機の処理器により実行されても良く、例えば、受信機のデジタル信号処理器(DSP)により実行される。
【0052】
上述の実施例から分かるように、送信機非理想性パラメータの推定値及び送信信号中の訓練シーケンス信号に基づいて修正信号を確定し、そして、該修正信号をもとに受信信号の位相ノイズを確定するため、送信機の非理想性の位相ノイズへの影響を考慮しており、位相ノイズを正確に推定し、位相ノイズの補償を有効に行い、システムの伝送効率及びパフォーマンスを保証することができる。
【実施例3】
【0053】
本発明の実施例は、さらに、位相ノイズ補償方法を提供し、それは、実施例1における位相ノイズ補償装置に対応する。
【0054】
図6は、本発明の実施例3における位相ノイズ補償方法を示す図である。
図6に示すように、該方法は、次のようなステップを含む。
【0055】
ステップ601:受信信号に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定し;
ステップ602:該送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、修正信号を確定し;
ステップ603:該修正信号に基づいて該受信信号の位相ノイズを確定し;及び
ステップ604:該受信信号の位相ノイズに基づいて、該受信信号に対して位相ノイズ補償を行う。
【0056】
図7は、本発明の実施例3における位相ノイズ補償方法を示す他の図である。
図7に示すように、該方法は、次のようなステップを含む。
【0057】
ステップ701:現在の時刻が、訓練シーケンス信号所在の時刻であるかを判断し、判断結果が「はい」のときに、ステップ702に移行し、判断結果が「いいえ」のときに、次の時刻に移行し;
ステップ702:受信信号に基づいて送信機非理想性パラメータの推定値を確定し;
ステップ703:該送信機非理想性パラメータの推定値及び送信機の送信信号に挿入される訓練シーケンス信号に基づいて、訓練シーケンス信号に対応する修正信号を確定し;
ステップ704:該時刻の受信信号及び訓練シーケンス信号に対応する修正信号に基づいて、訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズを確定し;
ステップ705:該訓練シーケンス信号に対応する位相ノイズに対して補間処理を行い、全ての時刻の受信信号の位相ノイズを取得し;
ステップ706:全ての時刻の受信信号の位相ノイズに基づいて、受信信号に対して位相ノイズ補償を行う。
【0058】
上述の実施例から分かるように、送信機非理想性パラメータの推定値及び送信信号中の訓練シーケンス信号に基づいて修正信号を確定し、そして、該修正信号をもとに受信信号の位相ノイズを確定するため、送信機の非理想性の位相ノイズへの影響を考慮しており、位相ノイズを正確に推定し、位相ノイズの補償を有効に行い、システムの伝送効率及びパフォーマンスを保証することができる。
【0059】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを提供し、そのうち、位相ノイズ補償装置又は受信機中で前記プログラムを実行するときに、前記プログラムは、コンピュータに、前記位相ノイズ補償装置又は受信機中で実施例3に記載の位相ノイズ補償方法を実行させる。
【0060】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体を提供し、そのうち、前記コンピュータ可読プログラムは、コンピュータに、位相ノイズ補償装置又は受信機中で実施例3に記載の位相ノイズ補償方法を実行させる。
【0061】
また、本発明の実施例による装置、方法などは、ソフトウェアにより実現されても良く、ハードェアにより実現されてもよく、ハードェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されても良い。本発明は、このようなコンピュータ可読プログラムにも関し、即ち、前記プログラムは、ロジック部品により実行される時に、前記ロジック部品に、上述の装置又は構成要素を実現させることができ、又は、前記ロジック部品に、上述の方法又はそのステップを実現させることができる。さらに、本発明は、上述のプログラムを記憶した記憶媒体、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フレッシュメモリなどにも関する。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。