(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】測温モジュール及び蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
G01K 1/16 20060101AFI20230214BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20230214BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20230214BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20230214BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
G01K1/16
G01K1/14 E
H01M50/20
H01M50/50 201Z
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2019142753
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】董 雪清
(72)【発明者】
【氏名】平光 宏臣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠人
(72)【発明者】
【氏名】筒木 正人
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-059902(JP,A)
【文献】実開平04-122341(JP,U)
【文献】特開2013-251294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01M 10/48,50/20,50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測温対象物の温度を測定するための測温モジュールであって、
絶縁性のシート部材と前記シート部材に配線される回路パターンとを有するフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板に取り付けられる温度センサと、
前記温度センサに対して伝熱的に固定される伝熱材と、を備え、
前記シート部材は、
前記回路パターンの一対のランドを露出させる開口と、前記温度センサが重なる領域
を含む前記開口の外側に
形成された貫通孔
と、を有しており、
前記温度センサは、一対の端子を備え、前記一対の端子は前記一対のランドにそれぞれ接続されており、
前記貫通孔の最大開口径は、前記開口の最大開口径よりも大きく、
前記伝熱材は、前記貫通孔内に配されて前記測温対象物の熱を受ける熱受け部を有する、測温モジュール。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記シート部材における前記温度センサの両側に配されている請求項1に記載の測温モジュール。
【請求項3】
前記伝熱材は、前記貫通孔内に充填されている請求項1又は請求項2に記載の測温モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、前記
一対の端子に接続される複数の前記回路パターンを備え、複数の前記回路パターンは、第1回路パターンと、前記温度センサに対して前記第1回路パターンとは反対側に延びる第2回路パターンとを備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測温モジュール。
【請求項5】
前記回路パターンは、前記
一対の端子の並び方向と直交する方向に沿って延びている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の測温モジュール。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板における前記測温対象物側に重ねられる補強板を備え、
前記補強板は、前記貫通孔に連なる補強板貫通孔を備え、前記熱受け部は、前記補強板貫通孔内に配されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の測温モジュール。
【請求項7】
正極及び負極の電極端子を有する複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の隣り合う電極端子間を接続する前記測温対象物としてのバスバーと、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の測温モジュールと、を備える蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、測温モジュール及び蓄電モジュールに関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブルプリント基板の温度を温度センサで測定する技術が知られている。特開2018-124125号公報の温度センサは、圧着端子が接着された絶縁性フィルムの表面にパターン配線とサーミスタ素子とが設けられている。このサーミスタ素子は、第1封止樹脂層に覆われており、第1封止樹脂層上は、第1封止樹脂層よりも熱伝導性の低い材料からなる第2封止樹脂層が積層されている。圧着端子は、平面視コ字状の壁部を有し、壁部内に第1封止樹脂層及び第2封止樹脂層が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成では、圧着端子とサーミスタ素子との間に絶縁性フィルムが配されているため、測定対象物から圧着端子に伝達された熱は、絶縁性フィルムに遮られることでサーミスタ素子への熱伝導性が低下し、温度測定の精度が低下することが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載された測温モジュールは、測温対象物の温度を測定するための測温モジュールであって、絶縁性のシート部材と前記シート部材に配線される回路パターンとを有するフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に取り付けられる温度センサと、前記温度センサに対して伝熱的に固定される伝熱材と、を備え、前記シート部材は、前記温度センサが重なる領域の外側に貫通孔が形成されており、前記伝熱材は、前記貫通孔内に配されて前記測温対象物の熱を受ける熱受け部を有する。
【発明の効果】
【0006】
本明細書に記載された技術によれば、温度測定の精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態1の蓄電モジュールを示す平面図である。
【
図2】
図2は、蓄電モジュールにおける温度センサ及び伝熱材の近傍を拡大した斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態2の蓄電モジュールにおける温度センサ及び伝熱材の近傍を拡大した斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態3の蓄電モジュールにおける温度センサ及び伝熱材の近傍を拡大した斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態4の蓄電モジュールにおける温度センサ及び伝熱材の近傍を拡大した斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態5の蓄電モジュールにおける温度センサ及び伝熱材の近傍を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の測温モジュールは、測温対象物の温度を測定するための測温モジュールであって、絶縁性のシート部材と前記シート部材に配線される回路パターンとを有するフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板に取り付けられる温度センサと、前記温度センサに対して伝熱的に固定される伝熱材と、を備え、前記シート部材は、前記温度センサが重なる領域の外側に貫通孔が形成されており、前記伝熱材は、前記貫通孔内に配されて前記測温対象物の熱を受ける熱受け部を有する。
本構成によれば、測温対象物の熱は、フレキシブルプリント基板の貫通孔内の伝熱材の熱受け部に伝わり、伝熱材を介して温度センサに熱が伝わる。これにより、測温対象物から温度センサに熱が伝わりやすくなるため、温度センサによる温度測定の精度の低下を抑制することができる。
【0009】
(2)前記貫通孔は、前記シート部材における前記温度センサの両側に配されている。
このようにすれば、温度センサの両側の貫通孔を介して測温対象物の熱を温度センサに伝えることができるため、より一層、測温対象物から温度センサに熱が伝わりやすくなり、温度測定の精度を向上させることが可能になる。
【0010】
(3)前記伝熱材は、前記貫通孔内に充填されている。
このようにすれば、貫通孔内の伝熱材の熱伝導性を向上させることができる。
【0011】
(4)前記温度センサは、複数の端子を備え、前記フレキシブルプリント基板は、前記複数の端子に接続される複数の前記回路パターンを備え、複数の前記回路パターンは、第1回路パターンと、前記温度センサに対して前記第1回路パターンとは反対側に延びる第2回路パターンとを備える。
このようにすれば、回路パターンを効率的に配線することができるため、フレキシブルプリント基板の配線密度を高めることができる。
【0012】
(5)前記温度センサは、複数の端子を備え、前記回路パターンは、前記複数の端子の並び方向と直交する方向に沿って延びている。
このようにすれば、回路パターンを効率的に配線することができるため、フレキシブルプリント基板の配線密度を高めることができる。
【0013】
(6)前記フレキシブルプリント基板における前記測温対象物側に重ねられる補強板を備え、前記補強板は、前記貫通孔に連なる補強板貫通孔を備え、前記熱受け部は、前記補強板貫通孔内に配されている。
このようにすれば、補強板により、フレキシブルプリント基板の撓みを抑制することができる。また、測温対象物の熱を、補強板貫通孔内の伝熱材を介して温度センサに伝えることができる。
【0014】
(7)正極及び負極の電極端子を有する複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子の隣り合う電極端子間を接続する前記測温対象物としてのバスバーと、前記測温モジュールと、を備える蓄電モジュールとする。
このようにすれば、蓄電素子の電極端子間を接続するバスバーの温度を測定することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
<実施形態1>
実施形態1について、
図1~
図3を参照しつつ説明する。
本実施形態の測温モジュール20は、自動車等の車両に搭載される蓄電モジュール10に備えられ、測温対象物としてのバスバー15の温度を測定する。以下では、
図1のX方向を前方、Y方向を左方、
図2のZ方向を上方として説明する。
【0017】
(蓄電モジュール10)
蓄電モジュール10は、
図1に示すように、複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の隣り合う電極端子12A,12B間を接続する複数のバスバー15と、各バスバー15の温度を測定するための測温モジュール20と、を備える。複数の蓄電素子11は、一列に並べられて蓄電素子群を構成する。各蓄電素子11は、内部に図示しない蓄電要素が収容された扁平な直方体状の本体部の上面に正極及び負極の電極端子12A,12B(
図1では正極を12A,負極を12Bとして図示)を有する。複数の蓄電素子11は、隣り合う電極端子12A,12Bの極性が反対になるように並べられている。蓄電素子群の直列接続の端部の電極端子12A,12Bは、電線等を介して外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続される。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各蓄電素子11の電圧、電流、温度等の検知や、各蓄電素子11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0018】
(バスバー15)
各バスバー15は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板材からなり、隣り合う電極端子12A,12B間を接続する長方形状のバスバー本体15Aと、バスバー本体15Aの側縁部から突出する被測温部16とを備える。バスバー本体15Aは、電極端子12A,12Bに対して溶接、ボルト締結等の公知の接続手段により接続することができる。バスバー本体15Aには、バスバー15(及び蓄電素子11)の電圧を検知するための電圧検知端子33が溶接、圧着等の公知の接続手段により接続されている。被測温部16は、
図2,
図3に示すように、バスバー本体15Aの長辺(一辺)からバスバー本体15Aと同一平面上に突出する突片であって、後述する温度センサ30により被測温部16の温度が検出される。
【0019】
(測温モジュール20)
測温モジュール20は、
図2(
図2では測温モジュール20の一部を図示し、他の部分は省略)に示すように、フレキシブルプリント基板21(以下、FPC21とする)と、温度センサ30と、伝熱材35と、を備える。FPC21は、前後方向に延びる帯状であって、絶縁性の合成樹脂を含むシート部材22と、シート部材22に配線される回路パターン27A,27Bとを備える。
【0020】
(シート部材22)
シート部材22は、撓み変形可能であって、
図3に示すように、絶縁性の合成樹脂からなり、回路パターン27A,27Bの下に配されるベースフィルム23と、回路パターン27A,27Bの上面を覆う絶縁性のオーバーレイフィルムや塗膜などからなる絶縁層24と、を有する。絶縁層24は、ベースフィルム23上における温度センサ30が重なる長方形状の領域には形成されておらず、ベースフィルム23及び回路パターン27A,27Bのランド28を露出させる開口24Aが形成されている。
【0021】
シート部材22には、ベースフィルム23及び絶縁層24を貫通する複数の貫通孔25,26が形成されている。複数の貫通孔25,26は、共に左右方向に長い長方形状(帯状)であって、シート部材22における温度センサ30(及び回路パターン27A,27Bのランド28)の両側に配置されている。シート部材22のベースフィルム23や絶縁層24の材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、液晶ポリマー(LCP)等、必要に応じて任意の合成樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂等、必要に応じて任意の熱硬化性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂を用いると、耐熱性(半田付けで溶けない耐熱性)及び寸法安定性に優れるので好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミド(PI)等、必要に応じて任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂を用いると、成形コストを低減させることができるので好ましい。
【0022】
ベースフィルム23の下には、補強板29が重ねられている。補強板29は、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属や合成樹脂等の平板状の部材からなり、ベースフィルム23の下面に接着剤等で固定されている。補強板29における貫通孔25,26の下方に連なる位置には、一対の補強板貫通孔29Aが貫通形成されている。一対の補強板貫通孔29Aは、貫通孔25,26と同じ形状とされている。
【0023】
(回路パターン27A,27B)
回路パターン27A,27Bは、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属箔(導電路)からなり、印刷、エッチング、メッキ等を用いた公知のプリント配線技術により形成され、回路パターン27A,27Bの端部には、幅寸法を大きくしたランド28が形成されている。ランド28は、温度センサ30としてのサーミスタの端子31A,31Bが半田付けされる。回路パターン27A,27Bは、
図2に示すように、L字状に曲がった経路で配線された第1回路パターン27Aと、第1回路パターン27Aに沿ってL字状に曲がった経路で配線された第2回路パターン27Bとを備える。第1回路パターン27Aと第2回路パターン27Bとは、
図2に示すように、共に左右方向の一方側に並んで延びている。
【0024】
(温度センサ30)
温度センサ30は、例えばチップタイプのNTCサーミスタとされている。NTCサーミスタは、温度の上昇に対して抵抗が減少するサーミスタであって、内部電極を有する直方体状のサーミスタ素地の長手方向の両端部に、Pb等からなる金属メッキで覆われた一対の端子31A,31Bが形成されている。温度センサ30の一対の端子31A,31Bの並び方向(前後方向)は、FPC21の貫通孔25,26の長手方向(左右方向)と直交している。
【0025】
(伝熱材35)
伝熱材35は、
図3に示すように、FPC21の上面に重ねられて山形に膨らみ、温度センサ30が埋設される伝熱本体36と、一対の貫通孔25,26及び一対の補強板貫通孔29A内に配されてバスバー15の熱を受ける一対の熱受け部37と、を備える。
【0026】
伝熱本体36は、温度センサ30の外面のほぼ全体にわたって密着し、FPC21の上面の開口24A及び一対の貫通孔25,26(及び補強板貫通孔29A)を含む円形上の領域に配されている。温度センサ30は、伝熱本体36の内部に全体が埋設されている。熱受け部37は、バスバー15の一対の貫通孔25,26及び補強板29の補強板貫通孔29A内の空間を埋めるように充填されており、熱受け部37の下端37Aは、補強板29の下面に沿う位置に形成されている。
【0027】
伝熱材35としては、例えば、放熱グリス、ゲル、接着剤、合成樹脂等とすることができる。放熱グリスとしては、例えば、シリコーングリスなどの熱伝導性が高く、絶縁性を有する材料を用いることができる。伝熱材35は、粘性を有していてもよいが、粘性を有さず、固形化された部材であってもよい。組み付け後に常温で硬化する常温硬化型や、組み付け後に加熱により硬化する加熱硬化型の伝熱材を用いてもよい。
【0028】
測温モジュール20の組付けについて説明する。
FPC21の絶縁層24の開口24Aから露出した一対のランド28に各温度センサ30の一対の端子31A,31Bをリフロー半田付け等により実装する。次に、溶融状態の伝熱材35を各温度センサ30(及びFPC21)の上に塗布する。伝熱材35は、一対の貫通孔25,26内に充填された部分が固化するとともに、FPC21の上方で各温度センサ30を覆う伝熱材35が固化する。これにより、測温モジュール20が形成される。
【0029】
次に、複数の蓄電素子11の隣り合う電極端子12A,12Bに対して、各バスバー15を溶接等により接続する。次に、測温モジュール20を複数の蓄電素子11及びバスバー15の上に装着すると、各バスバー15の被測温部16の上にFPC21の各補強板29が重なった状態となる。また、複数の電圧検知端子33でFPC21の電圧検知用の回路パターンとバスバー15とを接続する(
図1)。これにより、蓄電モジュール10が形成される。
【0030】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
バスバー15(測温対象物)の温度を測定するための測温モジュール20であって、絶縁性のシート部材22とシート部材22に配線される回路パターン27A,27Bとを有するFPC21(フレキシブルプリント基板)と、FPC21に取り付けられる温度センサ30と、温度センサ30に対して伝熱的に固定される伝熱材35と、を備え、シート部材22は、温度センサ30が重なる領域の外側に貫通孔25,26が形成されており、伝熱材35は、貫通孔25,26内に配されてバスバー15の熱を受ける熱受け部37を有する。
本実施形態によれば、バスバー15の熱は、FPC21の貫通孔25,26内の伝熱材35の熱受け部37に伝わり、伝熱材35を介して温度センサ30に熱が伝わる。これにより、バスバー15から温度センサ30に熱が伝わりやすくなるため、温度センサ30による温度測定の精度の低下を抑制することができる。
【0031】
また、貫通孔25,26は、シート部材22における温度センサ30の両側に配されている。
このようにすれば、温度センサ30の両側の貫通孔25,26を介してバスバー15の熱を温度センサ30に伝えることができるため、より一層、バスバー15から温度センサ30に熱が伝わりやすくなり、温度測定の精度を向上させることが可能になる。
【0032】
また、伝熱材35は、貫通孔25,26内に充填されている。
このようにすれば、貫通孔25,26内の熱伝導性を向上させることができる。
【0033】
また、温度センサ30は、複数の端子31A,31Bを備え、回路パターン27A,27Bは、複数の端子31A,31Bの並び方向と直交する方向に沿って延びている。
このようにすれば、回路パターン27A,27Bを効率的に配線することができるため、FPC21の配線密度を高めることができる。
【0034】
また、FPC21におけるバスバー15側に重ねられる補強板29を備え、補強板29は、貫通孔25,26に連なる補強板貫通孔29Aを備え、伝熱材35は、補強板貫通孔29A内に配されている。
このようにすれば、補強板29により、FPC21の撓みを抑制することができる。また、バスバー15の熱を、補強板貫通孔29A内の伝熱材35を介して温度センサ30に伝えることができる。
【0035】
また、蓄電モジュール10は、正極及び負極の電極端子12A,12Bを有する複数の蓄電素子11と、複数の蓄電素子11の隣り合う電極端子12A,12B間を接続する測温対象物としてのバスバー15と、測温モジュール20と、を備える。
このようにすれば、蓄電素子11の電極端子12A,12B間を接続するバスバー15の温度を測定することができる。
【0036】
<実施形態2>
次に、実施形態2について、
図4を参照しつつ説明する。実施形態2の測温モジュール40は、実施形態1に対して温度センサ30の向きと回路パターン47A,47Bの経路が異なるものである。他の構成は、実施形態1と同一であるため、以下では実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
測温モジュール40は、FPC41と、温度センサ30と、伝熱材35と、を備える。FPC41は、シート部材22に配線される第1回路パターン47Aと第2回路パターン47Bとを備える。第1回路パターン47Aと第2回路パターン47Bとは、左右一対のランド48に対して左右方向について互いに反対方向に延びた後、曲がってFPC41の端部側に向けて並んで延びている。温度センサ30の一対の端子31A,31Bの並び方向は、FPC41の貫通孔25,26の長手方向に沿う方向(長辺に沿う方向)とされている。
【0038】
実施形態2によれば、第1回路パターン47Aと、温度センサ30に対して第1回路パターン47Aとは反対側に延びる第2回路パターン47Bとを備える。
このようにすれば、回路パターン47A,47Bを効率的に配線することができるため、FPC41の配線密度を高めることができる。
【0039】
<実施形態3>
次に、実施形態3について、
図5を参照しつつ説明する。実施形態3の測温モジュール50は、温度センサ30の端子31A,31Bの並び方向と、貫通孔51,52の長手方向(長辺方向)とが前後方向(FPC50Aの延びる方向)とされたものである。他の構成は、上記実施形態と同一であるため、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
FPC50Aのシート部材22を貫通する各貫通孔51,52は、前後方向に長い長方形状とされている。補強板55における貫通孔51,52の下方に連なる位置には、一対の補強板貫通孔55Aが貫通形成されている。一対の補強板貫通孔55Aは、貫通孔51,52と同じ形状とされている。FPC50Aは、シート部材22に配線される回路パターン53A,53Bを備える。第1回路パターン53Aと第2回路パターン53Bとは、絶縁層24に貫通形成された前後方向に長い長方形状の開口24A内に前後一対のランド54が設けられている。第1回路パターン53Aと第2回路パターン53Bとは、前後一対のランド54に対して、前後方向について互いに反対方向に延びた後、曲がってFPC50Aの端部側に向けて並んで延びている。温度センサ30の一対の端子31A,31Bの並び方向は、FPC50Aの各貫通孔51,52の長手方向(長辺方向)及びFPC50Aの延びる方向に沿う方向とされている。
【0041】
<実施形態4>
次に、実施形態4について、
図6を参照しつつ説明する。実施形態4の測温モジュール60は、貫通孔61をU字状としたものである。他の構成は、上記実施形態と同一であるため、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
測温モジュール60のFPC60Aは、シート部材22に配線される第1回路パターン67Aと第2回路パターン67Bとを備える。第1回路パターン67Aと第2回路パターン67Bとは、絶縁層24に貫通形成された開口24A内に前後一対のランド54が設けられている。FPC60Aのシート部材22には、前方(前後方向の一方)が開放されたU字状の貫通孔61が形成されている。貫通孔61により、前後一対のランド54に連なる一対の回路パターン67A,67Bは、前方(貫通孔61の開放された側)に向けて並んで延びている。補強板68における貫通孔61の下方に連なる位置には
、補強板貫通孔68Aが貫通形成されている
。補強板貫通孔68Aは、貫通孔61と同じ形状とされている。
【0042】
<実施形態5>
次に、実施形態5について、
図7を参照しつつ説明する。実施形態5の測温モジュール70は、実施形態1に対して貫通孔71,72の形状を変えたものである。他の構成は、上記実施形態と同一であるため、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
測温モジュール70のFPC70Aには、シート部材22を貫通する貫通孔71,72が形成されている。貫通孔71,72は、略長方形状であって、温度センサ30から遠い側の縁部に、円弧状に膨らんだ膨出部73が形成されている。膨出部73は、伝熱材35の縁部の形状(外周形状)に沿って湾曲している。補強板74における貫通孔71,72の下方に連なる位置には、一対の補強板貫通孔74Aが貫通形成されている。一対の補強板貫通孔74Aは、貫通孔71,72と同じ形状とされている。
実施形態5によれば、伝熱材35の外径を大きくすることなく、貫通孔71,72の面積を大きくすることができるため、貫通孔71,72内の伝熱材35による伝熱性を向上させることができる。
【0043】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、FPC21(41,50A,60A,70A)及び温度センサ30に伝熱材35を塗布した後に、バスバー15及び複数の蓄電素子11の上に測温モジュールを組み付ける構成としたが、これに限られず、バスバー15及び複数の蓄電素子11の上に測温モジュールを組み付けた後に、FPC21(41,50A,60A,70A)及び温度センサ30に伝熱材35を塗布してもよい。
【0044】
(2)温度センサ30は、NTCサーミスタとしたが、PTCサーミスタ等の他のサーミスタや、サーミスタ以外の熱電対等としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10: 蓄電モジュール
11: 蓄電素子
12A,12B: 電極端子
15: バスバー
15A: バスバー本体
16: 被測温部
20,40,50,60,70: 測温モジュール
21,41,50A,60A,70A: FPC(フレキシブルプリント基板)
22: シート部材
23: ベースフィルム
24: 絶縁層
24A: 開口
25,26,51,52,61,71,72: 貫通孔
27A,47A,53A,67A: 第1回路パターン
27B,47B,53B,67B: 第2回路パターン
28,48,54: ランド
29,55,68,74: 補強板
29A,55A,68A,74A: 補強板貫通孔
30: 温度センサ
31A,31B: 端子
33: 電圧検知端子
35: 伝熱材
36: 伝熱本体
37: 熱受け部
37A: 下端
73: 膨出部