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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】倉庫設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20230214BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G1/04 555Z
B65G1/04 555A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020018863
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021123469
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】白石 徹
(72)【発明者】
【氏名】塩澤 徳和
(72)【発明者】
【氏名】有井 透
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-044204(JP,U)
【文献】特開昭62-167125(JP,A)
【文献】特開平05-294441(JP,A)
【文献】特開平06-206149(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031352(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0233212(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に沿う第1方向に複数の自動倉庫ユニットが並んで配置された保管エリアと、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に交差する方向を第2方向として、前記保管エリアに対して前記第2方向に隣接して配置され、前記自動倉庫ユニットへの物品の入庫作業及び前記自動倉庫ユニットからの前記物品の出庫作業が行われる作業エリアと、
前記作業エリアにおける前記保管エリアとの境界部に設置され、前記物品を前記第1方向に沿って搬送する搬送設備と、を備え、
前記作業エリアは、仕切り部材によって前記第1方向に仕切られていると共に前記物品の移動経路が互いに隔離された複数の作業区画を備え、
複数の前記自動倉庫ユニットのそれぞれは、前記物品の受け渡しを行う受渡部を備え、
複数の前記受渡部が、前記第1方向に沿って並んで配置され、
複数の前記作業区画のそれぞれに対応する前記第1方向の領域を区画対応領域として、
前記搬送設備は、
複数の前記区画対応領域のそれぞれの中で前記第1方向に沿って前記物品を搬送する区画内搬送装置と、
前記作業エリアにおける前記第1方向の全域に亘って前記第1方向に沿って前記物品を搬送する全域搬送装置と、を備え、
前記区画内搬送装置は、前記区画対応領域内に含まれる前記受渡部との間で前記物品の受け渡しを行うと共に、対応する前記作業区画に設けられた入出庫部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記全域搬送装置は、前記作業エリアにおける前記第1方向の全域において前記受渡部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記区画内搬送装置と前記全域搬送装置とが、前記上下方向視で重複するように上下方向に並んで配置され、
前記全域搬送装置における前記作業エリア側の側面を覆い隠す遮蔽部材が設けられ、
前記区画内搬送装置における前記作業エリア側の側面は、前記遮蔽部材によって覆い隠されていない、倉庫設備。
【請求項2】
前記作業エリアは、当該作業エリアを構成する作業床面を複数階備え、
前記全域搬送装置と前記区画内搬送装置とが、異なる階に設置されている、請求項1に記載の倉庫設備。
【請求項3】
前記作業エリアは、当該作業エリアを構成する作業床面を複数階備え、
前記全域搬送装置と前記区画内搬送装置との双方が、前記複数階のそれぞれに設置されている、請求項1に記載の倉庫設備。
【請求項4】
前記複数階のそれぞれにおいて、前記区画内搬送装置が、前記全域搬送装置よりも下方に配置されている、請求項3に記載の倉庫設備。
【請求項5】
前記区画内搬送装置は、前記第1方向に沿って設けられた走行経路と、当該走行経路に沿って走行する搬送台車と、を備え、
前記第1方向に沿って並ぶ複数の前記区画内搬送装置の前記走行経路が、前記作業エリアにおける前記第1方向の全域に亘って連続するように構成され、
複数の前記区画内搬送装置のそれぞれにおいて、前記搬送台車は、前記第1方向における走行範囲が前記区画対応領域に応じた範囲となるように設定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の倉庫設備。
【請求項6】
前記全域搬送装置は、複数の前記作業区画のそれぞれに設けられた前記入出庫部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記遮蔽部材は、前記入出庫部との受け渡しのための開口部を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の倉庫設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が保管される保管エリアと、保管エリアに対する物品の入出庫作業が行われる作業エリアと、物品を搬送する搬送設備と、を備えた倉庫設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような倉庫設備の一例が、特開平04-116001号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
この倉庫設備は、自動倉庫(3)が設置されて物品が保管される保管エリアと、作業ステーション(4)が設置されて保管エリアに対する物品の入出庫作業が行われる作業エリアと、保管エリアと作業エリアとの間で物品を搬送する搬送設備(2)と、を備えている。近年、このような倉庫設備において、例えば異なる事業主毎に作業エリアを複数に区画して、倉庫設備全体で複数の事業主の物品を保管及び管理することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平04-116001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の互いに異なる事業主の物品を1つの倉庫設備において保管及び管理する場合、複数に区画された作業エリアそれぞれにおける作業の秘匿性が適切に確保されている必要がある。また、これらの作業エリアで取り扱われる物品が、搬送設備によって作業エリアと保管エリアとの間で搬送される場合には、搬送中の物品の秘匿性が適切に確保されている必要がある。さらに、作業エリアの有効活用の観点から、作業エリアにおける搬送設備の設置領域以外の領域であって任意の設備レイアウトを採用することができる任意設定領域をなるべく広く確保したいという要望もある。
【0006】
上記実状に鑑みて、複数に区画された作業エリアのそれぞれにおける作業の秘匿性及び搬送中の物品の秘匿性を適切に確保できると共に、作業エリアの有効活用を図ることが容易な倉庫設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る倉庫設備の特徴構成は、
床面に沿う第1方向に複数の自動倉庫ユニットが並んで配置された保管エリアと、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に交差する方向を第2方向として、前記保管エリアに対して前記第2方向に隣接して配置され、前記自動倉庫ユニットへの物品の入庫作業及び前記自動倉庫ユニットからの前記物品の出庫作業が行われる作業エリアと、
前記作業エリアにおける前記保管エリアとの境界部に設置され、前記物品を前記第1方向に沿って搬送する搬送設備と、を備え、
前記作業エリアは、仕切り部材によって前記第1方向に仕切られていると共に前記物品の移動経路が互いに隔離された複数の作業区画を備え、
複数の前記自動倉庫ユニットのそれぞれは、前記物品の受け渡しを行う受渡部を備え、
複数の前記受渡部が、前記第1方向に沿って並んで配置され、
複数の前記作業区画のそれぞれに対応する前記第1方向の領域を区画対応領域として、
前記搬送設備は、
複数の前記区画対応領域のそれぞれの中で前記第1方向に沿って前記物品を搬送する区画内搬送装置と、
前記作業エリアにおける前記第1方向の全域に亘って前記第1方向に沿って前記物品を搬送する全域搬送装置と、を備え、
前記区画内搬送装置は、前記区画対応領域内に含まれる前記受渡部との間で前記物品の受け渡しを行うと共に、対応する前記作業区画に設けられた入出庫部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記全域搬送装置は、前記作業エリアにおける前記第1方向の全域において前記受渡部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記区画内搬送装置と前記全域搬送装置とが、前記上下方向視で重複するように上下方向に並んで配置され、
前記全域搬送装置における前記作業エリア側の側面を覆い隠す遮蔽部材が設けられ、
前記区画内搬送装置における前記作業エリア側の側面は、前記遮蔽部材によって覆い隠されていない、点にある。
【0008】
本構成によれば、作業エリアが仕切り部材によって第1方向に仕切られることで、複数の作業区画が第1方向に並んで設けられている。複数の作業区画のそれぞれでは、他の作業区画との間での物品の移動が行われないように移動経路が互いに隔離されている。そのため、複数の作業区画のそれぞれにおける作業の秘匿性を適切に確保することができる。また、本構成によれば、区画内搬送装置によって、1つの作業区画に対応する区画対応領域内で物品を第1方向に搬送できると共に、全域搬送装置によって、複数の作業区画を含む作業エリアにおける第1方向の全域に亘って物品を第1方向に搬送できる。これにより、各区画内搬送装置によって、複数の作業区画のそれぞれの中において、各自動倉庫ユニットに対する入出庫作業を適切に行うことができると共に、全域搬送装置によって、第1方向に並んで配置された複数の自動倉庫ユニットの間での物品の保管場所の移動等を行うことができる。ここで、全域搬送装置は複数の作業区画に亘って物品を搬送することになるが、この全域搬送装置における作業エリア側の側面は、遮蔽部材によって覆い隠されている。このため、全域搬送装置によって搬送中の物品を作業エリア側から視認できないようにすることができ、搬送中の物品の秘匿性を適切に確保できる。さらに、本構成によれば、作業エリアにおける保管エリアとの境界部において、区画内搬送装置と全域搬送装置とが、上下方向視で重複するように上下方向に並んで配置されている。そのため、作業エリアにおける区画内搬送装置及び全域搬送装置が配置される領域の床面積を小さく抑えることができ、作業エリアの有効活用を図ることが容易となっている。以上より、本構成によれば、複数に区画された作業エリアのそれぞれにおける作業の秘匿性及び搬送中の物品の秘匿性を適切に確保できると共に、作業エリアの有効活用を図ることが容易となる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】倉庫設備の全体を示す平面図
図2】倉庫設備の要部を示す平面図
図3】倉庫設備の要部を示す第1方向視図
図4】自動倉庫ユニットを示す斜視図
図5】搬送設備を示す斜視図
図6】各搬送台車の走行範囲を模式的に示す第2方向視図
図7】第2実施形態において、倉庫設備の要部を示す第1方向視図
図8】第2実施形態において、各搬送台車の走行範囲を模式的に示す第2方向視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
倉庫設備の第1実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、設備の床面(水平面)に沿う方向の内の特定の方向を第1方向Xとし、上下方向Zに沿う上下方向Z視で第1方向Xに交差する方向を第2方向Yとする。本実施形態では、第2方向Yは、上下方向Z視で第1方向Xに直交している。
【0012】
図1図3に示すように、倉庫設備100は、保管床面SFに沿う第1方向Xに複数の自動倉庫ユニット2が並んで配置された保管エリアSAと、保管エリアSAに対して第2方向Yに隣接して配置され、自動倉庫ユニット2への物品9の入庫作業及び自動倉庫ユニット2からの物品9の出庫作業が行われる作業エリアWAと、作業エリアWAにおける保管エリアSAとの境界部WAaに設置され、物品9を第1方向Xに沿って搬送する搬送設備1と、を備えている。保管床面SFは、倉庫設備100の床面Fの一部を構成しており、保管エリアSAに設けられている。作業エリアWAには、倉庫設備100の床面Fの他の一部を構成する作業床面WFが設けられている。本実施形態では、保管床面SFが「床面」に相当する。
【0013】
〔保管エリア〕
保管エリアSAは、物品9が保管されるエリアである。保管エリアSAには、複数の物品9が一時的または長期的に保管される。複数の物品9には、異なる複数種類の物品9が含まれる。
【0014】
上述のように、保管エリアSAは、当該保管エリアSAを構成する保管床面SFを備えている。本実施形態では、保管床面SFは、単一階にのみ設けられている。本例では、保管床面SFは、倉庫設備100の最下階にのみ設けられている(図3参照)。但し、これに限らず、保管エリアSAは、保管床面SFを複数階備えていても良い。なお、保管エリアSAは、保管床面SFが設けられる平面的な範囲に加えて、上下方向Z視で保管床面SFと重なる範囲を含む立体的なエリアである。
【0015】
保管エリアSAは、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の自動倉庫ユニット2を備えている。本実施形態では、これら複数の自動倉庫ユニット2は、互いに同じ第2方向Yの位置に配置されている。そして、複数の自動倉庫ユニット2のそれぞれは、物品9を保管する保管部20と、保管部20との間で物品9を搬送する搬送部21と、作業エリアWAの搬送設備1との間で物品9の受け渡しを行う受渡部22と、を備えている。本実施形態では、複数の自動倉庫ユニット2は、互いに同じ構造となっている。保管部20、搬送部21、及び受渡部22に関する以下の説明では、特に断らない限り、1つの自動倉庫ユニット2に着目している。
【0016】
〔保管部〕
図4に示すように、本実施形態では、保管部20は、物品9が載置される保管棚20Aを備えている。物品9は、保管棚20Aに載置された状態で、保管部20に保管される。図示の例では、保管部20は、一対の保管棚20Aを備えている。保管棚20Aのそれぞれは、第2方向Yに沿って延在するように配置されている。一対の保管棚20Aは、第1方向Xに互いに間隔を空けて配置されている。保管棚20Aは、物品9が載置される載置板20Aaを上下方向Zに沿って複数備えている。本例では、第1方向Xに隣接する一対の自動倉庫ユニット2は、当該一対の自動倉庫ユニット2の第1方向Xの間に配置される1つの保管棚20Aを、保管部20の一部として共有している。
【0017】
〔搬送部〕
本実施形態では、搬送部21は、一対の保管棚20Aの第1方向Xの間に配置されると共に一対の保管棚20Aのそれぞれとの間で物品9を搬送する保管搬送装置21Aと、保管棚20Aの第2方向Yにおける作業エリアWA側の端部に接続されると共に保管搬送装置21Aとの間で物品9を受け渡すように構成された保管コンベヤ21Bと、保管コンベヤ21Bの第2方向Yにおける作業エリアWA側に配置されると共に、上下方向Zに物品9を搬送する保管リフタ21Cと、を備えている。
【0018】
本実施形態では、保管搬送装置21Aは、保管棚20Aの延在方向(本例では第2方向Y)に沿って配置された走行レール21Aaと、走行レール21Aaに支持されると共に当該走行レール21Aaに沿って走行する走行台車21Abと、を備えている。本例では、保管搬送装置21Aは、上下方向Zに並んで配置された複数の載置板20Aaのそれぞれに対応して設けられている。
【0019】
走行レール21Aaは、第1方向Xに離間して一対設けられている。走行台車21Abは、一対の走行レール21Aaに支持された状態で、第2方向Yに沿って走行するように構成されている。また、走行台車21Abは、保管棚20Aとの間で物品9を移載する移載装置21Atを備えている。移載装置21Atは、物品9を第1方向Xに移動させることで、物品9を走行台車21Abから保管棚20Aへ移動させ、或いは、物品9を保管棚20Aから走行台車21Abへ移動させる。移載装置21Atは、例えば、物品9を第1方向Xに移動させるフック部材、フォーク部材、或いはコンベヤなどを含んで構成されている。
【0020】
本実施形態では、保管コンベヤ21Bは、保管搬送装置21A及び保管リフタ21Cのそれぞれとの間で物品9を受け渡すように構成されている。本例では、保管コンベヤ21Bは、上下方向Zに並んで配置された複数の保管搬送装置21Aのそれぞれに対応して設けられている。図示の例では、保管コンベヤ21Bは、上下方向Zに並んで配置された複数の載置板20Aaのそれぞれにおける第2方向Yの端部、より詳細には、第2方向Yにおける作業エリアWA側の端部に隣接して配置されている。また、保管コンベヤ21Bの第2方向Yにおける作業エリアWA側の端部に隣接して、保管リフタ21Cが配置されている。そして、保管コンベヤ21Bは、第2方向Yに沿って物品9を搬送し、第2方向Yにおける作業エリアWA側の端部において、保管リフタ21Cとの間で物品9を受け渡す。保管コンベヤ21Bは、ローラコンベヤやベルトコンベヤなどにより構成される。図示の例では、保管コンベヤ21Bは、ローラコンベヤにより構成されている。
【0021】
本実施形態では、保管リフタ21Cは、保管コンベヤ21B及び受渡部22のそれぞれとの間で物品9を受け渡すように構成されている。このため、保管リフタ21Cは、第2方向Yにおける保管コンベヤ21Bと受渡部22との間に配置されている。本例では、保管リフタ21Cは、1つの自動倉庫ユニット2を構成する一対の保管棚20Aのそれぞれに対応して設けられている。保管リフタ21Cは、上下方向Zに沿って物品9を搬送可能に構成されていると共に、第2方向Yに物品9を移動させるローラコンベヤやベルトコンベヤ等の搬送機構を備えて構成されている。これにより、保管リフタ21Cは、上下方向Zに並んで配置された複数の保管コンベヤ21Bのそれぞれとの間で物品9を受け渡すことが可能であると共に、当該保管リフタ21Cよりも第2方向Yにおける作業エリアWA側に配置された受渡部22との間で物品9を受け渡すことが可能に構成されている。
【0022】
〔受渡部〕
本実施形態では、受渡部22は、保管リフタ21C(搬送部21)及び搬送設備1のそれぞれとの間で物品9を受け渡すように構成されている。本例では、受渡部22は、1つの自動倉庫ユニット2を構成する一対の保管リフタ21Cのそれぞれに対応して設けられている。受渡部22は、対応する保管リフタ21Cに対して第2方向Yにおける作業エリアWA側に配置されている。受渡部22は、第2方向Yに物品9を移動させるローラコンベヤやベルトコンベヤ等の搬送機構を備えて構成されている。これにより、受渡部22は、当該受渡部22に対して第2方向Yの一方側に配置された保管リフタ21Cとの間で物品9を受け渡すことが可能であると共に、第2方向Yの他方側(作業エリアWA側)に配置された搬送設備1との間で物品9を受け渡すことが可能に構成されている。
【0023】
図2に示すように、複数の自動倉庫ユニット2に備えられた複数の受渡部22が、第1方向Xに沿って並んで配置されている。より詳細には、複数の受渡部22のそれぞれにおける、第2方向Yにおける作業エリアWA側の端部22Eが、第1方向Xに沿って並んで配置されている。この端部22Eは、搬送設備1との間で物品9の受け渡しが行われる部分である。複数の受渡部22のそれぞれにおける端部22Eは、搬送設備1に対して第2方向Yにおける保管エリアSA側に隣接して配置されている。本実施形態では、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の受渡部22の組が、作業エリアWAにおける作業床面WFの階数に対応して設けられている。本例では、後述するように、作業床面WFは、複数階設けられている。従って、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の受渡部22の組は、複数階の作業床面WFに対応して、上下方向Zに沿って複数組設けられている(図3も参照)。
【0024】
詳細は後述するが、搬送設備1は、物品9を搬送可能な範囲が互いに異なる、区画内搬送装置11と全域搬送装置12とを備えている。図3に示すように、本実施形態では、受渡部22は、区画内搬送装置11との間で物品9を受け渡す第1受渡部221と、全域搬送装置12との間で物品9を受け渡す第2受渡部222と、を備えている。
【0025】
第1受渡部221は、複数階の作業床面WFのうち何れかの作業床面WFと対応する高さにおいて、第1方向Xに沿って並んで配置されている。本例では、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の第1受渡部221の組が、複数階の作業床面WFに対応して、上下方向Zに沿って複数組設けられている。第1方向Xに沿って並んで配置された複数の第1受渡部221の組は、各階において、区画内搬送装置11に対応した高さに配置されている。
【0026】
第2受渡部222は、複数階の作業床面WFのうち何れかの作業床面WFと対応する高さにおいて、第1方向Xに沿って並んで配置されている。本例では、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の第2受渡部222の組が、複数階の作業床面WFに対応して、上下方向Zに沿って複数組設けられている。第1方向Xに沿って並んで配置された複数の第2受渡部222の組は、各階において、全域搬送装置12に対応した高さに配置されている。
【0027】
〔作業エリア〕
作業エリアWAは、物品9に関する作業が行われるエリアである。作業エリアWAでは、保管エリアSA(自動倉庫ユニット2)に対する物品9の入出庫作業が行われる。またこの他にも、作業エリアWAでは、出荷先や保管先に応じた物品9の仕分け作業、或いは、物品9の梱包作業やバラシ作業等が行われる。図1に示すように、倉庫設備100からの物品9の出荷、及び、倉庫設備100への物品9の入荷は、トラック99などの外部搬送手段によって行われる。
【0028】
図1図3に示すように、作業エリアWAは、当該作業エリアWAを構成する作業床面WFを備えている。本実施形態では、作業床面WFは、複数階に設けられている(図3参照)。但し、これに限らず、作業エリアWAは、作業床面WFを単一階にのみ備えていても良い。なお、作業エリアWAは、作業床面WFが設けられる平面的な範囲に加えて、上下方向Z視で作業床面WFと重なる範囲を含む立体的なエリアである。本例では、複数階の作業床面WFを含む立体的な範囲が、1つの作業エリアWAを構成している。
【0029】
近年、倉庫設備の利用方法として、例えば異なる事業主毎に作業エリアWAを複数に区画して、倉庫設備100全体で複数の事業主の物品9を保管及び管理することが行われるようになってきている。複数の互いに異なる事業主の物品9を1つの倉庫設備100において保管及び管理する場合、複数に区画された作業エリアWAのそれぞれにおける作業の秘匿性が適切に確保されている必要がある。
【0030】
本開示に係る倉庫設備100では、作業エリアWAは、仕切り部材3によって第1方向Xに仕切られていると共に物品9の移動経路が互いに隔離された複数の作業区画Bを備えている。これにより、例えば、異なる作業区画Bにおいて異なる事業主の物品9が取り扱われる場合に、各作業区画Bにおける作業の秘匿性を適切に確保することができる。なお、仕切り部材3には、作業者等が通過可能な扉が設けられ、緊急時などの必要な場合には、当該扉によって隣接する作業区画B間で作業者等が行き来することができるようになっている。このような場合には、隣接する作業区画B間での物品9の移動も可能となる。
【0031】
上述のように、作業エリアWAにおける保管エリアSAとの境界部WAaには、搬送設備1が設置されている。本実施形態では、作業エリアWAは、当該作業エリアWAにおける搬送設備1の設置領域以外の領域に任意設定領域を備えている。任意設定領域は、作業エリアWAにおける任意の設備レイアウトを採用することができる領域である。本例では、任意設定領域は、作業エリアWAにおける境界部WAa(搬送設備1の設置領域)以外の全ての領域である。本実施形態では、仕切り部材3は、任意設定領域における第2方向Yの全域に亘って連続的に設けられている。これにより、仕切り部材3によって区画される各作業区画Bでの作業の秘匿性を適切に確保することができるようになっている。但し、これに限らず、仕切り部材3の一部に開口部が設けられていても良い。
【0032】
図1に示す例では、作業エリアWAは、火災発生時に延焼を抑制するための防火壁5によって囲まれた防火エリアFAを備えている。防火エリアFAの範囲は、例えば消防法上の基準等、倉庫設備100の安全上あらかじめ定められた基準に基づいて設定されている。従って、1つの作業区画Bにおいて、複数の防火エリアFAが設定され得る。本実施形態では、仕切り部材3は、防火エリアFAを囲む防火壁5の一部又は全部としても機能する。なお、防火壁5における仕切り部材3以外の部分は、火災発生時に防火エリアFAを閉鎖すると共に通常時には防火エリアFAを開放する可動式の壁やシャッター等で構成されていても良い。
【0033】
〔搬送設備〕
搬送設備1は、作業エリアWAにおける保管エリアSAとの境界部WAaに設置され、物品9を第1方向Xに沿って搬送する設備である。搬送設備1は、作業床面WFに対応して設けられている。本例では、上述のように、作業床面WFは、複数階設けられている。従って、搬送設備1は、複数階の作業床面WFに対応して、上下方向Zに沿って複数設けられている。
【0034】
図1及び図2に示すように、この倉庫設備100では、複数の作業区画Bのそれぞれに対応する第1方向Xの領域が区画対応領域BAとされている。区画対応領域BAの第1方向Xの範囲は、対応する作業区画Bにおける第1方向Xの全域に亘っている。区画対応領域BAの第2方向Yの範囲は、倉庫設備100の全域に亘っている。そのため、本例では、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の自動倉庫ユニット2のそれぞれが備える受渡部22は、複数の区画対応領域BAのいずれかに含まれる。そして、図3にも示すように、搬送設備1は、複数の区画対応領域BAのそれぞれの中で第1方向Xに沿って物品9を搬送する区画内搬送装置11と、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域に亘って第1方向Xに沿って物品9を搬送する全域搬送装置12と、を備えている。
【0035】
ここで、作業区画Bには、自動倉庫ユニット2(保管エリアSA)への物品9の入出庫を行う入出庫部6が設けられている。本実施形態では、入出庫部6は、区画内搬送装置11との間で物品9を受け渡す第1入出庫部61と、全域搬送装置12との間で物品9を受け渡す第2入出庫部62と、を備えている。
【0036】
区画内搬送装置11は、対応する区画対応領域BA内に含まれる受渡部22との間で物品9の受け渡しを行うと共に、対応する作業区画Bに設けられた入出庫部6との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。本実施形態では、区画内搬送装置11は、対応する区画対応領域BAに含まれる第1受渡部221との間で物品9の受け渡しを行う。また、区画内搬送装置11は、対応する作業区画Bに設けられた第1入出庫部61との間で物品9の受け渡しを行う。本例では、第1入出庫部61は、ベルトコンベヤやローラコンベヤ等のコンベヤとして構成された第1コンベヤ61Aを複数備えている。複数の第1コンベヤ61Aのうち一部は、区画内搬送装置11へ物品9を引き渡すように構成され、自動倉庫ユニット2へ物品9を入庫するための入庫部として機能する。複数の第1コンベヤ61Aのうち他の一部は、区画内搬送装置11から物品9を受け取るように構成され、自動倉庫ユニット2から物品9を出庫するための出庫部として機能する。
【0037】
図3及び図5に示すように、本実施形態では、区画内搬送装置11は、第1方向Xに沿って設けられた区画内走行経路11Rと、当該区画内走行経路11Rに沿って走行する区画内搬送台車111と、を備えている。本実施形態では、区画内走行経路11Rが「走行経路」に相当し、区画内搬送台車111が「搬送台車」に相当する。
【0038】
区画内走行経路11Rは、対応する区画対応領域BAにおける第1方向Xの全域に亘って設けられている。図示の例では、区画内走行経路11Rは、区画内搬送台車111を支持するレール部材により構成されている。但し、これに限らず、区画内走行経路11Rは、床や台などに設けられた磁気テープ等により構成されていても良い。本例では、第1方向Xに沿って並ぶ複数の区画内搬送装置11の区画内走行経路11Rが、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域に亘って連続するように構成されている(図6参照)。すなわち本例では、複数の区画内搬送装置11のそれぞれに備えられた区画内搬送台車111が、1つのレール部材(或いは磁気テープ等)における第1方向Xの一部をそれぞれの走行経路11Rとして、当該走行経路11Rを走行するように構成されている。このように、本例では、複数の区画内搬送台車111が、1つのレール部材(或いは磁気テープ等)を第1方向Xに分割して利用するように構成されている。
【0039】
区画内搬送台車111は、区画内走行経路11Rに沿って第1方向Xに物品9を搬送する。また、区画内搬送台車111は、第1入出庫部61及び第1受渡部221のそれぞれとの間で物品9を移載する移載装置11Tを備えている。移載装置11Tは、物品9を第2方向Yに移動させるように構成されている。これにより、区画内搬送台車111は、第2方向Yにおける一方側に隣接する第1入出庫部61との間で物品9を受け渡すことが可能であると共に、第2方向Yにおける他方側に隣接する第1受渡部221との間で物品9を受け渡すことが可能に構成されている。移載装置11Tは、例えば、物品9を第2方向Yに移動させるフック部材、フォーク部材、或いはコンベヤなどを含んで構成されている。
【0040】
本実施形態では、図6に示すように、このような区画内搬送台車111が、1つの区画内搬送装置11につき複数備えられている。換言すれば、複数の区画対応領域BAのそれぞれにおいて、複数の区画内搬送台車111が配置されている。これにより、複数の区画対応領域BAのそれぞれにおける物品9の搬送効率を向上させることができる。同じ区画対応領域BAに配置された複数の区画内搬送台車111は、搬送設備1の制御装置Cにより、互いに干渉せずに物品9を搬送するように制御される。また、同じ区画対応領域BAに配置された複数の区画内搬送台車111のそれぞれは、他の区画内搬送台車111との干渉を防止するための干渉防止センサ(不図示)を備え、干渉防止センサが他の区画内搬送台車111を検知した場合には、減速又は停止するように制御されると良い。
【0041】
本実施形態では、区画内搬送台車111は、制御装置Cによって、第1方向Xにおける走行範囲が既定の範囲内となるように制御されている。より詳細には、複数の区画内搬送装置11のそれぞれにおいて、区画内搬送台車111は、第1方向Xにおける走行範囲が区画対応領域BAに応じた範囲となるように設定されている。図6において矢印で示された第1方向Xの範囲が、区画内搬送装置11又は全域搬送装置12の走行範囲を示している。上述のように、本実施形態では、第1方向Xに沿って並ぶ複数の区画内搬送装置11の区画内走行経路11Rが互いに接続されて連続するように構成されている。区画内走行経路11Rがこのような構成であっても、上述のように区画内搬送台車111のそれぞれの走行範囲が既定の範囲内となるように制御されるため、各区画内搬送台車111は、対応する区画対応領域BAの範囲を走行範囲として、走行するようになっている。
【0042】
以上のように、複数階の作業床面WFのそれぞれに対応して配置された区画内搬送装置11は、対応する区画対応領域BAにおける第1方向Xの全域に亘って走行可能に構成されている。そして、区画内搬送装置11は、対応する区画対応領域BA内に含まれる第1受渡部221(受渡部22)との間で物品9の受け渡しを行うと共に、対応する作業区画Bに設けられた第1入出庫部61との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。このような区画内搬送装置11によって、保管エリアSAに対する物品9の入出庫を適切に行うことができる。また、作業区画Bは、仕切り部材3によって仕切られていることから、複数の作業区画Bのそれぞれにおいて、作業の秘匿性を適切に確保することができるようになっている。
【0043】
図1及び図6に示すように、全域搬送装置12は、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域において受渡部22との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。上述のように、本実施形態では、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の第2受渡部222の組が、各階において、全域搬送装置12に対応した高さに配置されている。ここでは、第1方向Xに沿って並んで配置された複数の自動倉庫ユニット2のそれぞれが、第2受渡部222を備えている。よって、複数の第2受渡部222は、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域に亘って並んで配置されている。そして、本例では、全域搬送装置12は、当該全域搬送装置12に対応した高さに配置された上記複数の第2受渡部222(受渡部22)の全てとの間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。これにより、全域搬送装置12は、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域において受渡部22(第2受渡部222)との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。
【0044】
図3及び図5に示すように、本実施形態では、全域搬送装置12は、上述の区画内搬送装置11と同等の構成を備えている。具体的には、全域搬送装置12は、第1方向Xに沿って設けられた全域走行経路12Rと、当該全域走行経路12Rに沿って走行する全域搬送台車121と、を備えている。
【0045】
図6に示すように、全域走行経路12Rは、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域に亘って設けられている。換言すれば、全域走行経路12Rは、第1方向Xに並ぶ複数の区画対応領域BAの全てにおける第1方向Xの全域に亘って設けられている。図示の例では、全域走行経路12Rは、全域搬送台車121を支持するレール部材により構成されている。但し、これに限らず、全域走行経路12Rは、床や台などに設けられた磁気テープ等により構成されていても良い。
【0046】
全域搬送台車121は、全域走行経路12Rに沿って第1方向Xに物品9を搬送する。また、全域搬送台車121は、第2受渡部222のそれぞれとの間で物品9を移載する移載装置12Tを備えている。移載装置12Tは、物品9を第2方向Yに移動させるように構成されている。これにより、全域搬送台車121は、第2方向Yにおいて隣接する第2受渡部222との間で物品9を受け渡すことが可能に構成されている。また本実施形態では、全域搬送台車121は、複数の作業区画Bのそれぞれに設けられた入出庫部6(ここでは第2入出庫部62)との間でも物品9の受け渡しを行うように構成されている。この受け渡しも、移載装置12Tにより行う。移載装置12Tは、例えば、物品9を第2方向Yに移動させるフック部材、フォーク部材、或いはコンベヤなどを含んで構成されている。
【0047】
本実施形態では、このような全域搬送台車121が、全域搬送装置12に複数備えられている。これにより、物品9の搬送効率を向上させることができる。図1及び図6に示す例では、全域搬送装置12は、2台の全域搬送台車121を備えている。
【0048】
本実施形態では、全域搬送台車121は、制御装置Cによって、第1方向Xにおける走行範囲が既定の範囲内となるように制御されている。より詳細には、図6に示すように、全域搬送台車121は、第1方向Xにおける走行範囲が作業エリアWAの第1方向Xの全範囲となるように設定されている。本例では、作業エリアWAの第1方向Xの全範囲に、複数の全域搬送台車121が配置されており、当該複数の全域搬送台車121の走行範囲を合わせた総走行範囲が、作業エリアWAの第1方向Xの全範囲となるように設定されている。複数の全域搬送台車121のそれぞれは、制御装置Cにより、互いに干渉せずに物品9を搬送するように制御される。また、複数の全域搬送台車121のそれぞれは、他の全域搬送台車121との干渉を防止するための干渉防止センサ(不図示)を備え、干渉防止センサが他の全域搬送台車121を検知した場合には、減速又は停止するように制御されると良い。
【0049】
以上のように、複数階の作業床面WFのそれぞれに対応して配置された全域搬送装置12は、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域に亘って走行可能に構成されている。そして、全域搬送装置12は、第1方向Xに並んで配置されると共に当該全域搬送装置12に対応した高さに配置された複数の第2受渡部222(受渡部22)との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。このような全域搬送装置12によって、第1方向Xに並んで配置された複数の自動倉庫ユニット2同士の間での物品9の保管場所の移動等を行うことができる。例えば、保管エリアSAにおける物品9の保管状態や、物品9の入出荷のスケジュール等に応じて、全域搬送装置12を用いて物品9の保管場所の移動を行うと好適である。これにより、倉庫設備100の運用効率を高めることができる。なお、本実施形態では、全域搬送装置12は、複数の作業区画Bのそれぞれに設けられた入出庫部6(第2入出庫部62)との間でも物品9の受け渡しを行うように構成されている。これにより、区画内搬送装置11だけでなく、全域搬送装置12によっても物品9の入庫及び出庫のための搬送を行うことができようになっている。従って、入庫及び出庫のための物品9の搬送効率を更に高めることが可能となっている。
【0050】
図3に示すように、本実施形態では、全域搬送装置12と区画内搬送装置11との双方が、複数階のそれぞれに設置されている。そして、複数階のそれぞれにおいて、区画内搬送装置11と全域搬送装置12とが、上下方向Z視で重複するように上下方向に並んで配置されている(図2も参照)。このような構成により、作業エリアWAにおける区画内搬送装置11及び全域搬送装置12が配置される領域の床面積を小さく抑えることができ、作業エリアWAの有効活用を図ることが容易となっている。換言すれば、作業エリアWAにおける搬送設備1の設置領域以外の領域であって任意の設備レイアウトを採用することができる任意設定領域を広く確保することができる。
【0051】
なお、区画内搬送装置11と全域搬送装置12とが上下方向Z視で重複するとは、区画内搬送装置11の少なくとも一部と全域搬送装置12の少なくとも一部とが上下方向Z視で重複していることを指す。ここで、区画内搬送装置11及び全域搬送装置12が配置される領域の床面積を小さく抑えるためには、区画内搬送装置11及び全域搬送装置12のいずれか一方の全体が他方に対して上下方向Z視で重複していることが望ましい。本実施形態では、区画内搬送装置11の第2方向Yの幅と全域搬送装置12の第2方向Yの幅とが同じであり、区画内搬送装置11と全域搬送装置12とが、上下方向Z視で完全に重複するように配置されている。これにより、作業エリアWAにおける区画内搬送装置11及び全域搬送装置12が配置される領域の床面積を最小限に抑えることができている。
【0052】
本実施形態では、複数階のそれぞれにおいて、区画内搬送装置11が、全域搬送装置12よりも下方に配置されている。このような構成によれば、区画内搬送装置11を、全域搬送装置12よりも作業床面WFに近い位置に配置することができる。上述のように、区画内搬送装置11は、作業区画Bに設けられた第1入出庫部61との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。従って、この構成によれば、全域搬送装置12が区画内搬送装置11よりも下方に配置されている場合に比べて、第1入出庫部61を作業床面WFに近い位置に配置し易くなる。一般的に、入庫作業や出庫作業において物品9を載せる位置が低い位置にある方が、入庫作業や出庫作業が容易になることが多い。よって、本実施形態の構成によれば、当該第1入出庫部61における物品9の入庫作業や出庫作業を行い易くすることができる。
【0053】
ここで、上述のように、この倉庫設備100では、複数の作業区画Bが仕切り部材3によって仕切られているため、複数の作業区画Bそれぞれでの作業の秘匿性を確保できている。しかしながら、全域搬送装置12が、複数の作業区画Bそれぞれの第1方向Xの領域(区画対応領域BA)を越えて物品9を搬送可能であることから、全域搬送装置12によって搬送中の物品9についても秘匿性が確保されていることが望ましい。
【0054】
〔遮蔽部材〕
そこで、図3及び図5に示すように、この倉庫設備100では、全域搬送装置12における作業エリアWA側の側面を覆い隠す遮蔽部材4が設けられている。これにより、全域搬送装置12によって搬送中の物品9を作業エリアWA側から視認できないようにすることができ、搬送中の物品9の秘匿性を適切に確保できる。なお、区画内搬送装置11における作業エリアWA側の側面は、遮蔽部材4によって覆い隠されていない。これにより、特定の作業区画Bに対応する区画対応領域BAにおいて区画内搬送装置11によって搬送中の物品9については、当該作業区画B側から視認することができる。従って、作業区画Bで作業する作業者が、区画内搬送装置11によって搬送中の物品9を把握し易く、当該作業区画Bでの入庫作業や出庫作業を物品9の搬送状態に応じて効率的に行い易くなっている。
【0055】
図3に示すように、本実施形態では、遮蔽部材4は、天井から吊り下げ支持されている。これにより、全域搬送装置12が区画内搬送装置11よりも上方に配置された構成において、当該全域搬送装置12における作業エリアWA側の側面を覆い隠すように、遮蔽部材4を設け易い。但し、これに限らず、遮蔽部材4は、作業床面WFから上方に向けて立設された支柱等の支持部材によって支持されていても良い。
【0056】
本実施形態では、遮蔽部材4は、板状部材により構成されている。例えば、遮蔽部材4は、樹脂板やアルミニウム等の金属板で構成すると良い。これにより、予め決められた位置に遮蔽部材4を固定し易い。また、例えば全域搬送台車121の走行により風や振動が生じる場合であっても、それらの風圧や振動に対する強度を確保し易い。
【0057】
上述のように、全域搬送装置12は、第1方向Xに並んで配置されると共に当該全域搬送装置12に対応した高さに配置された複数の第2受渡部222(受渡部22)との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。本実施形態では、更に、全域搬送装置12は、複数の作業区画Bのそれぞれに設けられた入出庫部6との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。このため、図3及び図5に示すように、遮蔽部材4は、入出庫部6との受け渡しのための開口部40を備えている。
【0058】
上述のように、入出庫部6は、区画内搬送装置11との間で物品9を受け渡す第1入出庫部61と、全域搬送装置12との間で物品9を受け渡す第2入出庫部62と、を備えている。本実施形態では、全域搬送装置12は、複数の作業区画Bのそれぞれに設けられた第2入出庫部62との間で物品9の受け渡しを行うように構成されている。
【0059】
本実施形態では、第2入出庫部62は、ベルトコンベヤやローラコンベヤ等のコンベヤとして構成された第2コンベヤ62Aを複数備えている。複数の第2コンベヤ62Aのうち一部は、全域搬送装置12へ物品9を引き渡すように構成され、自動倉庫ユニット2へ物品9を入庫するための入庫部として機能する。複数の第2コンベヤ62Aのうち他の一部は、全域搬送装置12から物品9を受け取るように構成され、自動倉庫ユニット2から物品9を出庫するための出庫部として機能する。
【0060】
本実施形態では、第2入出庫部62との間で物品9を受け渡す全域搬送装置12は、各階において、区画内搬送装置11よりも上方に配置されており、当該区画内搬送装置11よりも作業床面WFから高い位置に配置されている。従って、本実施形態では、第2入出庫部62は、複数の第2コンベヤ62Aのそれぞれに並んで配置されると共に物品9を上下方向Zに沿って搬送する第2リフタ62Bを更に備えている。第2リフタ62Bは、上下方向Z視において、第2方向Yにおける第2コンベヤ62Aと全域搬送装置12との間に配置されている。第2リフタ62Bは、全域搬送装置12に対応した高さに位置する上方位置において、全域搬送装置12との間で物品9を受け渡し、この上方位置よりも下方であって第2コンベヤ62Aに対応した高さに位置する下方位置において、当該第2コンベヤ62Aとの間で物品9を受け渡すように構成されている。この下方位置は、作業者にとって作業が行い易いような作業床面WFからの高さに設定されていると良い。この下方位置は、区画内搬送装置11との間で物品9を受け渡す第1コンベヤ61Aの高さにも対応している。すなわち、本例では、第1コンベヤ61Aの搬送面と第2コンベヤ62Aの搬送面とは、同等の高さに位置している。従って、第1コンベヤ61Aを備えた第1入出庫部61と、第2コンベヤ62Aを備えた第2入出庫部62との双方が、作業者にとって作業が行い易いように構成されている。
【0061】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る倉庫設備100について説明する。本実施形態では、上記の第1実施形態と比較して、区画内搬送装置11と全域搬送装置12との配置構成、及びそれに関連した構成が異なる。以下では、上記の第1実施形態と異なる点について主に説明する。特に説明しない点については、上記の第1実施形態と同様である。
【0062】
図7に示すように、本実施形態では、全域搬送装置12と区画内搬送装置11とが、異なる階に設置されている。図示の例では、全域搬送装置12が最下階に設置されており、区画内搬送装置11が最下階よりも上方の階に設置されている。そして、最下階には、全域搬送装置12における作業エリアWA側の側面を覆い隠す遮蔽部材4が設けられている。最下階よりも上方の階では、区画内搬送装置11における作業エリアWA側の側面は遮蔽部材4によって覆い隠されていない。
【0063】
本実施形態では、作業エリアWAにおける、全域搬送装置12が設置された階は、保管エリアSAに対する物品9の入出庫作業が行われず、全域搬送装置12による物品9の搬送及び全域搬送装置12と第2受渡部222との間での物品9の受け渡しのみが行われる。これに伴い、図7に示す例では、作業エリアWAにおける、全域搬送装置12が設置された階には、上記の第1実施形態のような入出庫部6が設けられていない。そのため、遮蔽部材4には、上記の第1実施形態のような開口部40も形成されていない。
【0064】
図8に示すように、最下階では、全域搬送装置12の走行範囲が作業エリアWAにおける第1方向Xの全域に亘って設定されている。最下階よりも上方の階では、複数の区画内搬送装置11のそれぞれの走行範囲が、対応する区画対応領域BAにおける第1方向Xの全域に設定されている。
【0065】
本実施形態に係る倉庫設備100によれば、作業エリアWAにおける第1方向Xの全域に亘って物品9を搬送する全域搬送が行われる階と、区画対応領域BAで物品9を搬送する領域搬送が行われる階とを分けることができる。本実施形態では、最下階の作業エリアWAには、入出庫部6を設けず、入出庫以外の作業を行うように構成されている。また、最下階よりも上方の階の作業エリアWAには、第2入出庫部62が設けられず、第1入出庫部61だけが設けられている。このように、本実施形態の構成では、搬送設備1が設置される作業エリアWAの構造を、各階において簡略化し易くなっている。
【0066】
〔その他の実施形態〕
次に、倉庫設備のその他の実施形態について説明する。
【0067】
(1)上記の各実施形態では、複数の区画内搬送装置11のそれぞれにおいて、区画内搬送台車111は、第1方向Xにおける走行範囲が区画対応領域BAに応じた範囲となるように設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、区画内搬送台車111の走行範囲は、対応する区画対応領域BAに応じた範囲よりも広い範囲に設定されていても良い。区画内搬送台車111は、既定の入出庫部6、すなわち、対応する作業区画Bに設けられた入出庫部6との間で物品9を受け渡すように構成されていれば良い。従って、例えば、同じ区画対応領域BAに配置された他の区画内搬送台車111の搬送の妨げとならないように、対応する区画対応領域BAに応じた範囲を一時的に越えて退避するように制御されても良い。
【0068】
(2)上記の各実施形態では、区画内搬送装置11が区画内走行経路11Rと区画内搬送台車111とを備え、全域搬送装置12が全域走行経路12Rと全域搬送台車121とを備えている構成を例として説明した。しかし、このような構成には限定されず、区画内搬送装置11及び全域搬送装置12は、公知の各種搬送装置を用いて構成することができる。例えば、区画内搬送装置11及び全域搬送装置12の少なくとも一方が、ローラコンベヤやベルトコンベヤ等のコンベヤ式搬送装置を用いて構成されていても良い。
【0069】
(3)上記の第1実施形態では、複数階のそれぞれにおいて、区画内搬送装置11が、全域搬送装置12よりも下方に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、区画内搬送装置11は、複数階の少なくとも1つにおいて、全域搬送装置12よりも上方に配置されていても良い。この場合、区画内搬送装置11は、作業床面WFからの高さが全域搬送装置12よりも高い位置に配置されることになる。そのため、区画内搬送装置11との間で物品9の受け渡しを行う第1入出庫部61は、第1コンベヤ61Aに加えて、上下方向Zに沿って物品9を搬送すると共に当該第1コンベヤ61Aと区画内搬送装置11とのそれぞれの間で物品9を受け渡すリフタを備えていると好適である。
【0070】
(4)上記の各実施形態では、遮蔽部材4が、板状部材により構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、遮蔽部材4は、例えば、柔軟性を有するシート状部材により構成されていても良い。このようなシート状部材としては、例えば、樹脂シートや布等を用いることができる。このように遮蔽部材4をシート状部材とした場合には、設備のレイアウト変更に合わせて、遮蔽部材4の設置範囲を容易に変更することができるという利点がある。なお、遮蔽部材4が、第1方向Xや上下方向Zの位置に応じて、板状部材とシート状部材とを組み合わせて構成されていても良い。
【0071】
(5)上記の各実施形態では、作業エリアWAでの作業に、作業者による作業が含まれる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、作業エリアWAでの作業が、搬送装置や仕分け装置等によって全自動で行われるようになっていても良い。
【0072】
(6)上記の各実施形態では、複数階の作業床面WFの全てにおいて、作業エリアWAが仕切り部材3によって複数の作業区画Bに区画されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、複数階の作業床面WFの一部に、仕切り部材3によって複数の作業区画Bに区画されず、全体として1つの作業区画Bとなっている作業床面WFが存在していても良い。
【0073】
(7)上記の各実施形態では、保管エリアSAの搬送部21が、走行レール21Aaに沿って走行する走行台車21Abを備えた保管搬送装置21Aと保管コンベヤ21Bと保管リフタ21Cとを備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送部21は、上下方向Z及び第2方向Yの双方に沿って物品9を搬送可能なスタッカークレーンにより構成されていても良い。この場合、スタッカークレーンは、保管部20及び受渡部22のそれぞれとの間で物品9を受け渡すように構成されると良い。またこの他にも、搬送部21としては、公知の各種搬送装置を用いることができる。自動倉庫ユニット2の構成についても、上記実施形態の構成には限定されず、公知の様々な方式の自動倉庫の構成を用いることができる。
【0074】
(8)上記の第1実施形態では、全域搬送装置12と区画内搬送装置11との双方が複数階のそれぞれに設置されている構成において、全域搬送装置12が、作業エリアWAに設けられた入出庫部6との間で物品9の受け渡しを行うように構成され、それに伴い、遮蔽部材4に開口部40が設けられている構成を例として説明した。しかし、これには限定されず、全域搬送装置12と区画内搬送装置11との双方が複数階のそれぞれに設置されている構成において、全域搬送装置12が、作業エリアWAに設けられた入出庫部6との間で物品9の受け渡しを行わず、遮蔽部材4に開口部40が設けられていない構成としても良い。また、上記の第2実施形態では、全域搬送装置12と区画内搬送装置11とが異なる階に設置されている構成において、全域搬送装置12が、作業エリアWAに設けられた入出庫部6との間で物品9の受け渡しを行わないように構成され、それに伴い、遮蔽部材4に開口部40が設けられていない構成を例として説明した。しかし、これには限定されず、全域搬送装置12と区画内搬送装置11とが異なる階に設置されている構成において、全域搬送装置12が、作業エリアWAに設けられた入出庫部6との間で物品9の受け渡しを行うように構成され、遮蔽部材4に開口部40が設けられた構成としても良い。
【0075】
(9)本開示に係る倉庫設備100において取り扱われる物品9には、商品、商品等を収容するコンテナ、或いは、商品やコンテナ等が載置されるパレットなど、様々な形態が考えられる。
【0076】
(10)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0077】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した倉庫設備について説明する。
【0078】
倉庫設備は、
床面に沿う第1方向に複数の自動倉庫ユニットが並んで配置された保管エリアと、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に交差する方向を第2方向として、前記保管エリアに対して前記第2方向に隣接して配置され、前記自動倉庫ユニットへの物品の入庫作業及び前記自動倉庫ユニットからの前記物品の出庫作業が行われる作業エリアと、
前記作業エリアにおける前記保管エリアとの境界部に設置され、前記物品を前記第1方向に沿って搬送する搬送設備と、を備え、
前記作業エリアは、仕切り部材によって前記第1方向に仕切られていると共に前記物品の移動経路が互いに隔離された複数の作業区画を備え、
複数の前記自動倉庫ユニットのそれぞれは、前記物品の受け渡しを行う受渡部を備え、
複数の前記受渡部が、前記第1方向に沿って並んで配置され、
複数の前記作業区画のそれぞれに対応する前記第1方向の領域を区画対応領域として、
前記搬送設備は、
複数の前記区画対応領域のそれぞれの中で前記第1方向に沿って前記物品を搬送する区画内搬送装置と、
前記作業エリアにおける前記第1方向の全域に亘って前記第1方向に沿って前記物品を搬送する全域搬送装置と、を備え、
前記区画内搬送装置は、前記区画対応領域内に含まれる前記受渡部との間で前記物品の受け渡しを行うと共に、対応する前記作業区画に設けられた入出庫部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記全域搬送装置は、前記作業エリアにおける前記第1方向の全域において前記受渡部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記区画内搬送装置と前記全域搬送装置とが、前記上下方向視で重複するように上下方向に並んで配置され、
前記全域搬送装置における前記作業エリア側の側面を覆い隠す遮蔽部材が設けられ、
前記区画内搬送装置における前記作業エリア側の側面は、前記遮蔽部材によって覆い隠されていない。
【0079】
本構成によれば、作業エリアが仕切り部材によって第1方向に仕切られることで、複数の作業区画が第1方向に並んで設けられている。複数の作業区画のそれぞれでは、他の作業区画との間での物品の移動が行われないように移動経路が互いに隔離されている。そのため、複数の作業区画のそれぞれにおける作業の秘匿性を適切に確保することができる。また、本構成によれば、区画内搬送装置によって、1つの作業区画に対応する区画対応領域内で物品を第1方向に搬送できると共に、全域搬送装置によって、複数の作業区画を含む作業エリアにおける第1方向の全域に亘って物品を第1方向に搬送できる。これにより、各区画内搬送装置によって、複数の作業区画のそれぞれの中において、各自動倉庫ユニットに対する入出庫作業を適切に行うことができると共に、全域搬送装置によって、第1方向に並んで配置された複数の自動倉庫ユニットの間での物品の保管場所の移動等を行うことができる。ここで、全域搬送装置は複数の作業区画に亘って物品を搬送することになるが、この全域搬送装置における作業エリア側の側面は、遮蔽部材によって覆い隠されている。このため、全域搬送装置によって搬送中の物品を作業エリア側から視認できないようにすることができ、搬送中の物品の秘匿性を適切に確保できる。さらに、本構成によれば、作業エリアにおける保管エリアとの境界部において、区画内搬送装置と全域搬送装置とが、上下方向視で重複するように上下方向に並んで配置されている。そのため、作業エリアにおける区画内搬送装置及び全域搬送装置が配置される領域の床面積を小さく抑えることができ、作業エリアの有効活用を図ることが容易となっている。以上より、本構成によれば、複数に区画された作業エリアのそれぞれにおける作業の秘匿性及び搬送中の物品の秘匿性を適切に確保できると共に、作業エリアの有効活用を図ることが容易となる。
【0080】
ここで、
前記作業エリアは、当該作業エリアを構成する作業床面を複数階備え、
前記全域搬送装置と前記区画内搬送装置とが、異なる階に設置されていると好適である。
【0081】
本構成によれば、作業エリアにおける第1方向の全域に亘って物品を搬送する全域搬送が行われる階と、区画対応領域で物品を搬送する領域搬送が行われる階とを分けることができる。従って、本構成によれば、搬送設備が設置される作業エリアの構造を、各階において簡略化し易い。
【0082】
また、
前記作業エリアは、当該作業エリアを構成する作業床面を複数階備え、
前記全域搬送装置と前記区画内搬送装置との双方が、前記複数階のそれぞれに設置されていると好適である。
【0083】
本構成によれば、各階において、作業エリアにおける第1方向の全域に亘って物品を搬送する全域搬送を実施できると共に、区画対応領域で物品を搬送する領域搬送を実施できる。従って、本構成によれば、各階における物品の搬送効率を向上させることができる。
【0084】
また、前記全域搬送装置と前記区画内搬送装置との双方が、前記複数階のそれぞれに設置されている構成において、
前記複数階のそれぞれにおいて、前記区画内搬送装置が、前記全域搬送装置よりも下方に配置されていると好適である。
【0085】
本構成によれば、区画内搬送装置を、全域搬送装置よりも作業床面に近い位置に配置することができる。上述のように、区画内搬送装置は、作業区画に設けられた入出庫部との間で物品の受け渡しを行うように構成されている。従って、本構成によれば、全域搬送装置が区画内搬送装置よりも下方に配置されている場合に比べて、当該入出庫部を作業床面に近い位置に配置し易くなり、当該入出庫部における物品の入庫作業や出庫作業を行い易くすることができる。
【0086】
また、
前記区画内搬送装置は、前記第1方向に沿って設けられた走行経路と、当該走行経路に沿って走行する搬送台車と、を備え、
前記第1方向に沿って並ぶ複数の前記区画内搬送装置の前記走行経路が、前記作業エリアにおける前記第1方向の全域に亘って連続するように構成され、
複数の前記区画内搬送装置のそれぞれにおいて、前記搬送台車は、前記第1方向における走行範囲が前記区画対応領域に応じた範囲となるように設定されていると好適である。
【0087】
本構成によれば、作業区画の数の増減または作業区画の範囲の拡大や縮小などの、作業エリアのレイアウト変更が行われる場合に、搬送台車が走行する走行経路を物理的に変更する必要がなく、搬送台車の走行範囲の設定を制御的に変更することで、当該レイアウト変更に容易に対応することができる。従って、作業エリアのレイアウト変更に容易に対応可能な倉庫設備が実現できる。
【0088】
また、
前記全域搬送装置は、複数の前記作業区画のそれぞれに設けられた前記入出庫部との間で前記物品の受け渡しを行うように構成され、
前記遮蔽部材は、前記入出庫部との受け渡しのための開口部を備えていると好適である。
【0089】
本構成によれば、区画内搬送装置だけでなく、全域搬送装置によっても物品の入庫及び出庫のための搬送を行うことができる。従って、入庫及び出庫のための物品の搬送効率をより高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示に係る技術は、物品が保管される保管エリアと、保管エリアに対する物品の入出庫作業が行われる作業エリアと、物品を搬送する搬送設備と、を備えた倉庫設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
100 :倉庫設備
1 :搬送設備
11 :区画内搬送装置
11R :区画内走行経路(走行経路)
111 :区画内搬送台車(搬送台車)
12 :全域搬送装置
2 :自動倉庫ユニット
22 :受渡部
3 :仕切り部材
4 :遮蔽部材
40 :開口部
6 :入出庫部
9 :物品
B :作業区画
BA :区画対応領域
F :床面
SA :保管エリア
WA :作業エリア
WAa :境界部
WF :作業床面
X :第1方向
Y :第2方向
Z :上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8