(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/04 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
G01L9/04
(21)【出願番号】P 2020071350
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019085904
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小玉 博志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宮下 香織
(72)【発明者】
【氏名】武田 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】友松 義浩
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】山田 信明
(72)【発明者】
【氏名】緑川 祐介
(72)【発明者】
【氏名】釜鳴 志朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】豊田 稲男
(72)【発明者】
【氏名】竹内 久幸
(72)【発明者】
【氏名】新美 直久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅和
(72)【発明者】
【氏名】浦 靖武
(72)【発明者】
【氏名】浅野 剛次
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 幸広
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-318014(JP,A)
【文献】特開2002-195902(JP,A)
【文献】特開2005-249520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0119103(US,A1)
【文献】特開2002-350257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力媒体の圧力を検出する圧力センサであって、
前記圧力媒体が導入される圧力導入孔(12)が形成されると共に、前記圧力媒体の圧力に応じて変形可能なダイアフラム(13)が形成されたステム(10)と、
前記ダイアフラム上に絶縁膜(20)を介して配置され、前記ダイアフラムの変形に応じた検出信号を出力する歪み検出素子(30)と、を備え、
前記歪み検出素子は、ポリシリコンで構成される部分を有し、
前記絶縁膜と前記歪み検出素子との間には、前記ポリシリコンよりも電気抵抗率が高く、かつ前記絶縁膜よりも結晶性が高くされた低ドープ層(23)が配置されている圧力センサ。
【請求項2】
前記歪み検出素子は、前記ポリシリコンで構成され、前記ダイアフラムの変形に応じて抵抗値が変化する複数のゲージ抵抗(31)およびブリッジ回路を構成するように前記ゲージ抵抗を接続する配線層(32)と、電極膜で構成され、前記配線層と接続されるパッド部(33)と、を有し、
前記配線層は、前記ブリッジ回路を構成するように隣合う前記ゲージ抵抗を接続する連結部分(321)と、前記連結部分から引き出された延設部分(322)と、を有し、
前記パッド部は、前記延設部分のみと接続されている請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記歪み検出素子は、前記ポリシリコンで構成され、前記ダイアフラムの変形に応じて抵抗値が変化する複数のゲージ抵抗(31)およびブリッジ回路を構成するように前記ゲージ抵抗を接続する配線層(32)と、電極膜で構成され、前記配線層と接続されるパッド部(33)と、を有し、
前記配線層は、前記ブリッジ回路を構成するように隣合う前記ゲージ抵抗を接続する連結部分(321)と、前記連結部分から引き出された延設部分(322)と、を有し、
前記ダイアフラム上には、前記歪み検出素子を覆いつつ、前記パッド部を露出させる開口部(21a)が形成された保護膜(21)が形成されており、
前記開口部は、前記ダイアフラムの面方向に対する法線方向において、前記延設部分の端部と交差することなく、前記延設部分の内側に形成されている請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記ステムは、前記ダイアフラム側を構成する第1ステム(101)と、前記圧力導入孔における開口端側を構成する第2ステム(102)と、を有し、前記第1ステムと前記第2ステムとが溶接部(103)を介して接合されることで構成され、
前記第1ステムは、前記溶接部と前記ダイアフラムとの間に、前記溶接部が形成される部分よりも内壁面と外壁面との間の厚さが薄くされた薄肉部(111)を有する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステム上に歪み検出素子が形成された圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ステム上に歪み検出素子が形成された圧力センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この圧力センサでは、ステムは、一端部が開口部とされて圧力媒体が導入されるようになっており、他端部側が圧力媒体の圧力に応じて変形可能なダイアフラムとされている。そして、ダイアフラム上には、変形することで抵抗値が変化するゲージ抵抗を有する歪み検出素子が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、上記のような圧力センサにおいて、さらに信頼性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、信頼性を向上させることができる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1では、圧力媒体の圧力を検出する圧力センサであって、圧力媒体が導入される圧力導入孔(12)が形成されると共に、圧力媒体の圧力に応じて変形可能なダイアフラム(13)が形成されたステム(10)と、ダイアフラム上に絶縁膜(20)を介して配置され、ダイアフラムの変形に応じた検出信号を出力する歪み検出素子(30)と、を備え、歪み検出素子は、ポリシリコンで構成される部分を有し、絶縁膜と歪み検出素子との間には、ポリシリコンよりも電気抵抗率が高く、かつ絶縁膜よりも結晶性が高くされた低ドープ層(23)が配置されている。
【0007】
これによれば、絶縁膜と歪み検出素子との間に低ドープ層が配置されている。このため、歪み検出素子を絶縁膜上に直接形成する場合と比較すると、低ドープ層と歪み検出素子との間に形成されるアモルファス層を小さくできる。また、低ドープ層と絶縁膜との間にアモルファス層が形成されるが、当該アモルファス層の遅延弾性による影響は、低ドープ層によって緩和され、歪み検出素子には伝搬され難くなる。さらに、低ドープ層は、ポリシリコンよりも電気抵抗率が高い材料で構成されている。このため、低ドープ層と絶縁膜との間にアモルファス層が形成され、低ドープ層にアモルファス層の遅延弾性による影響があったとしても、歪み検出素子に関する影響を小さくできる。したがって、歪み検出素子の特性が変化することを抑制でき、圧力センサの信頼性を向上させることができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における圧力センサの全体構成を示す図である。
【
図3A】薄肉部が形成されていないステムの変形を説明するための図である。
【
図3B】薄肉部が形成されているステムの変形を説明するための図である。
【
図3C】薄肉部および位置合わせ部が形成されているステムの変形を説明するための図である。
【
図4】第2実施形態におけるダイアフラム近傍の拡大図である。
【
図5】第2実施形態における歪み検出素子の平面形状を示す図である。
【
図6】
図5中のVI-VI線に沿った断面図である。
【
図7】第2実施形態における歪み検出素子の回路図である。
【
図8】第3実施形態における歪み検出素子の平面形状を示す図である。
【
図9】第3実施形態の変形例における歪み検出素子の平面形状を示す図である。
【
図10】第4実施形態におけるダイアフラム近傍の断面図を示す図である。
【
図11】第5実施形態における電子部品の構成を示す図である。
【
図12】第5実施形態における回路基板の表面側の構成を示す平面図である。
【
図13】電子部品と電極部用ランドとの関係を示す平面図である。
【
図14A】電極部および側方ランドの大きさの関係を示す平面図である。
【
図14B】電極部および対向ランドの大きさの関係を示す平面図である。
【
図15】第6実施形態における回路基板の表面側の構成を示す平面図である。
【
図16】第6実施形態における回路基板の裏面側の構成を示す平面図である。
【
図17】第7実施形態における堰き止め構造を示す断面図である。
【
図18】第8実施形態における堰き止め構造を示す平面図である。
【
図19】第9実施形態におけるハウジングの斜視図である。
【
図21】第10実施形態におけるハウジングの斜視図である。
【
図22】第11実施形態におけるハウジングおよび回路基板の断面図である。
【
図23】第11実施形態の変形例におけるハウジングおよび回路基板の断面図である。
【
図24】第12実施形態におけるハウジングおよび回路基板の平面図である。
【
図26】
図24に示す回路基板の導通端子部近傍の斜視図である。
【
図27】第13実施形態における回路基板の導通端子部近傍の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態の圧力センサについて、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の圧力センサは、例えば、内燃機関の燃焼圧を検出するのに利用されると好適である。
【0012】
まず、本実施形態における圧力センサの全体構成について説明する。圧力センサは、
図1および
図2に示されるように、ステム10、歪み検出素子30、ハウジング40、回路基板50、およびコネクタケース80等を備えた構成とされている。
【0013】
ステム10は、
図1に示されるように、一端部側に開口部11が形成されていると共に、当該開口部11から他端部側に向かって延びる圧力導入孔12が形成された有底円筒状とされている。そして、ステム10は、他端部側に、圧力に応じて変形可能なダイアフラム13が構成されている。つまり、ステム10には、他端部側にダイアフラム13が構成されるように圧力導入孔12が形成されている。そして、ステム10には、
図2に示されるように、ダイアフラム13上に絶縁膜20を介して歪み検出素子30が配置されている。
【0014】
なお、
図1中では、紙面下側が一端部側に相当し、紙面上側が他端部側に相当する。また、以下では、各部材について同様に、紙面下側を一端部側とし、紙面上側を他端部側として説明する。言い換えると、後述するように、圧力センサは、ステム10、ハウジング40、コネクタケース80が一体化されて構成される。このため、圧力センサは、ステム10側が一端部側となり、コネクタケース80側が他端部側となる。
【0015】
ステム10には、
図1に示されるように、開口部11側の外壁面に、燃料パイプ等の被取付部材にネジ結合可能なネジ部14が形成されている。また、ステム10は、一端部と他端部との間において、軸方向を中心とする周方向の外壁面の長さが変化させられている。具体的には、ステム10は、他端部側の外壁面における周方向の長さが、一端部側の外壁面における周方向の長さよりも短くされている。そして、ステム10は、後述するように、外壁面の周方向の長さが変化する部分がハウジング40と溶接部15によって接合されている。
【0016】
歪み検出素子30は、
図2に示されるように、ステム10のダイアフラム13上に絶縁膜20を介して配置されている。歪み検出素子30は、変形に応じて抵抗値が変化するゲージ抵抗31や、図示しない配線層およびパッド部を有する構成とされている。そして、歪み検出素子30は、ゲージ抵抗31がブリッジ回路を構成するように配線層を介して接続され、各ゲージ抵抗31が外部回路と接続されるように配線層上にパッド部が配置された構成とされている。また、ステム10のダイアフラム13上には、歪み検出素子30を覆う保護膜21が形成されている。そして、保護膜21上には、保護部材22が配置されている。
【0017】
なお、保護膜21には、
図2とは別断面において、パッド部を露出させる開口部が形成されている。そして、歪み検出素子30は、
図1に示されるように、当該パッド部がボンディングワイヤ52を介して回路基板50に接続されている。また、本実施形態では、絶縁膜20は、シリコン酸化膜等で構成されている。ゲージ抵抗31および配線層は、ボロンがドープされたポリシリコンで構成されている。パッド部は、金または金を主成分とする合金等の電極膜で構成とされている。保護膜21は、窒化シリコン膜等で構成されている。保護部材22は、シリコーンゲル等のゲルで構成されている。
【0018】
ハウジング40は、
図1に示されるように、一端部側および他端部側が開口された筒状とされ、一端部側が他端部側より対向する内壁面の間隔が短くされた筒状とされている。具体的には、ハウジングは、一端部側と他端部側との間に段差部41が形成され、当該段差部41によって対向する内壁面の間隔が変化させられている。段差部41は、後述するように、回路基板50を搭載可能な搭載部42を構成するように形成されている。
【0019】
そして、ハウジング40は、ステム10におけるダイアフラム13が段差部41より他端部側に位置する状態でステム10と溶接部15を介して接合されている。つまり、ハウジング40およびステム10は、ステム10におけるダイアフラム13が段差部41より他端部側に突出するように各寸法等が設計されている。
【0020】
なお、ステム10とハウジング40との溶接部15は、レーザ溶接や電子ビーム溶接等によって構成される。また、ハウジング40のうちの段差部41より他端部側の部位は、スパナ等の取付治具が取付られるように、外形が六角形状等とされている。そして、搭載部42は、この外形に合わせて平面形状の外形が六角形状とされている。
【0021】
回路基板50は、プリント基板等で構成され、搭載部42の平面形状の外形に合わせて外形が六角形状とされている。なお、回路基板50には、ここでは詳細な説明はしないが、表面50a側に、図示しない歪み検出素子30と接続される素子用ランド、後述する電子部品70と接続される電極部用ランド、後述する端子部材85と接続される外部接続用ランド、および所定の配線パターン等が形成されている。そして、回路基板50は、裏面50bがハウジング40の搭載部42と対向するように、搭載部42に接合部材60を介して配置されている。
【0022】
具体的には、回路基板50は、略中央部に表面50aと裏面50bとの間を貫通する貫通孔51が形成されており、貫通孔51にステム10の他端部側が位置するように配置される。そして、回路基板50は、ステム10に形成された歪み検出素子30とボンディングワイヤ52を介して電気的に接続されている。また、回路基板50には、電子部品70が搭載されている。
【0023】
なお、電子部品70は、本実施形態では、増幅回路や補正回路等が形成された回路チップがケースに収容され、ケースに電極部が形成されたQFN(quad flat non-leaded packageの略)等で構成されている。そして、電子部品70は、回路基板50に形成された電極部用ランドにはんだ71を介して搭載されている。
【0024】
コネクタケース80は、PPS(すなわち、ポリプロピレンサルファイド)やPBT(すなわち、ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂が型成形されて構成された柱状とされている。そして、コネクタケース80は、一端部側に凹部81が形成されていると共に、他端部側に開口部82が形成されている。
【0025】
コネクタケース80は、外部回路との電気的な接続を図るターミナル83を有している。このターミナル83は、例えば、コネクタケース80が成形された後に配置されるが、インサート成型等によってコネクタケース80と一体的に成形されるようにしてもよい。
【0026】
ターミナル83は、一端部が凹部81内に露出すると共に、他端部が開口部から露出するようにコネクタケース80内に備えられている。なお、本実施形態では、ターミナル83の一端部は、後述する端子部材85の接触部852aと当接可能なように、端子部材85側に向けられて曲げられている。
【0027】
また、コネクタケース80には、一端部側に、端子部材85を配置するための搭載孔84が形成されている。そして、搭載孔84に、ターミナル83と接触しつつ、回路基板50に当接する端子部材85が配置されている。
【0028】
端子部材85は、基部851と、可動体852と、付勢部材853とを有する構成とされている。基部851および可動体852は、それぞれ、導電性の金属部材を打ち抜き加工したり、折り曲げ加工したりすることで構成されており、一対の側面と底面とを有する断面U字状とされている。また、特に図示しないが、基部851には、側面に凸部が形成されており、可動体852には、側面にスライド溝が形成されている。そして、基部851および可動体852は、それぞれの底面が対向する状態で凸部がスライド溝に挿入され、可動体852が基部851に対してスライド可能な状態で組み付けられている。
【0029】
また、基部851には、特に図示しないが、側面に固定用の係止部が形成されている。可動体852には、一方の側面に折り曲げられた接触部852aが備えられている。
【0030】
付勢部材853は、コイルバネ等によって構成されており、一端部が可動体852の底面を押圧すると共に他端部が基部851の底面を押圧するように、基部851と可動体852との間に配置されている。
【0031】
そして、このような端子部材85は、コネクタケース80に形成された搭載孔84に圧入され、基部851に形成された係止部がコネクタケース80に食い込むことにより、搭載孔84に保持される。なお、搭載孔84に保持されるのは基部851であり、可動体852は、基部851に対してスライド可能な状態となっている。また、端子部材85は、接触部852aがターミナル83と接触するように搭載孔84に保持される。より詳しくは、端子部材85は、スライドした際においても接触部852aがターミナル83と接触した状態が維持されるように、搭載孔84に保持される。
【0032】
そして、コネクタケース80は、一端部側がハウジング40における他端部側に挿入され、ハウジング40に形成されている爪部43がかしめられることにより、ハウジング40と一体化されている。この際、コネクタケース80は、端子部材85が回路基板50に形成された外部接続用ランドと当接するように挿入される。これにより、ターミナル83は、端子部材85、回路基板50、ボンディングワイヤ52等を通じて歪み検出素子30と電気的に接続される。
【0033】
なお、コネクタケース80の一端部と、ハウジング40の搭載部42との間にはガスケット等の封止部材90が配置されている。そして、封止部材90が押し潰されることにより、内部の空間が封止されている。
【0034】
以上が本実施形態における圧力センサの基本的な構成である。そして、本実施形態では、ステム10は、第1ステム101と、第2ステム102とを有し、これらが溶接接合されることで構成されている。
【0035】
具体的には、第1ステム101は、一端部側が開口端とされ、他端部側にダイアフラム13を有する有底筒状とされている。第2ステム102は、一端部側および他端部側が開口端とされ、一端部側にネジ部14を有する筒状とされている。つまり、第1ステム101は、ステム10の他端部側を構成し、第2ステム102は、ステム10の一端部側を構成している。なお、ハウジング40は、第2ステム102と溶接接合されている。
【0036】
そして、第1ステム101および第2ステム102は、第1ステム101の一端部側と第2ステム102の他端部側とが外壁面側からレーザ溶接や電子ビーム溶接等されて接合されている。つまり、第1ステム101と第2ステム102とは、溶接部103によって接合されている。なお、溶接部103は、第1ステム101における内壁面に達するように形成されていてもよいし、達しないように形成されていてもよい。
【0037】
また、第2ステム102は、第1ステム101との溶接部103が形成される部分よりも一端部側に、当該溶接部103が形成される部分よりも、内壁面と外壁面との間の厚さが薄くされた薄肉部121を有している。つまり、第2ステム102は、第1ステム101との溶接部103が形成される部分よりも一端部側に、当該溶接部103が形成される部分よりも剛性が低い薄肉部121を有している。
【0038】
また、本実施形態では、第1ステム101は、ダイアフラム13が構成されるため、第2ステム102よりも強度が高い材料で構成されている。例えば、第1ステム101は、SUS630を用いて構成され、第2ステム102は、SUS430を用いて構成されている。
【0039】
さらに、第2ステム102には、他端部側に、第1ステム101内に挿入される位置合わせ部122が形成されている。
【0040】
このような圧力センサは、例えば、ステム10に形成されたネジ部14を介して燃料供給パイプ等に取り付けられる。そして、圧力センサは、燃料供給パイプ内の圧力媒体が圧力導入孔12に導入されると、歪み検出素子30が圧力媒体に応じた検出信号を出力する。そして、圧力センサは、検出信号をボンディングワイヤ52、回路基板50、端子部材85、ターミナル83等を介して、外部回路へ伝達する。これにより、圧力媒体の圧力の検出が行われる。
【0041】
以上説明したように、ステム10は、第1ステム101と第2ステム102とを有する構成とされている。このため、ステム10の全体を一体的に切削や冷間鍛造等で形成する場合と比較して、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0042】
また、第2ステム102は、第1ステム101との溶接部103が形成される部分よりも一端部側に薄肉部121を有している。このため、溶接部103の疲労破壊に対する寿命を向上でき、圧力センサの信頼性を向上することができる。
【0043】
すなわち、第2ステム102に薄肉部121が形成されていない場合、
図3Aに示されるように、圧力導入孔12内に圧力媒体が導入されると、ステム10は、変形の支点が溶接部103になる。この場合、溶接部103には、引張応力が印加される。
【0044】
これに対し、本実施形態では、
図3Bに示されるように、圧力導入孔12に圧力媒体が導入されると、ステム10の変形の支点が薄肉部121となる。この場合、溶接部103には、圧縮応力が印加される。このため、本実施形態では、溶接部103の疲労破壊に対する寿命を向上できる。
【0045】
さらに、本実施形態では、第2ステム102には、第1ステム101内に挿入される位置合わせ部122が形成されている。このため、
図3Cに示されるように、第1ステム101と第2ステム102とを溶接接合する際、第1ステム101と第2ステム102との位置ずれが発生することを抑制でき、溶接部103の出来栄えが部分毎にばらつくことを抑制できる。したがって、溶接部103に印加される圧縮応力が部分毎にばらつくことを抑制でき、局所的な応力集中が発生することを抑制できる。これにより、さらに溶接部103の疲労破壊に対する寿命を向上できる。
【0046】
また、本実施形態では、第1ステム101は、第2ステム102よりも強度が高い材料で構成されている。このため、例えば、第1ステム101が第2ステム102と同じ材料で構成されている場合と比較して、ダイアフラム13の強度を高くでき、ダイアフラム13が破壊されることを抑制できる。
【0047】
さらに、第2ステム102には、位置合わせ部122が形成されている。このため、第1ステム101と第2ステム102とを溶接接合する際、位置合わせ部122を第1ステム101に挿入した状態で行えばよいため、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0048】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、歪み検出素子30と絶縁膜20との間に低ドープ層を配置したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、
図4に示されるように、絶縁膜20上には、歪み検出素子30を構成するポリシリコンよりも電気抵抗率が高く、かつ絶縁膜20よりも結晶性が高くされた低ドープ層23が形成されている。なお、本実施形態では、低ドープ層23は、歪み検出素子30を構成するポリシリコンよりもボロンのドープ量が少なくされたポリシリコンで構成される。例えば、低ドープ層23は、歪み検出素子30を構成するポリシリコンにドープされるボロンの量よりも50%少ないボロンがドープされたポリシリコンで構成される。そして、低ドープ層23上に、歪み検出素子30が形成されている。つまり、本実施形態では、歪み検出素子30と絶縁膜20との間に低ドープ層23が配置された構成となっている。
【0050】
また、歪み検出素子30は、
図5に示されるように、ゲージ抵抗31が配線層32によってブリッジ回路を構成するように接続されている。具体的には、配線層32は、連結部分321と、延設部分322を有する構成とされている。そして、歪み検出素子30は、隣合うゲージ抵抗31が連結部分321によって接続され、連結部分321から延設部分322が引き出された構成されている。
【0051】
また、パッド部33は、上記のように金を有する構成とされており、各配線層32と接続されるように形成されている。本実施形態では、パッド部33は、延設部分322のみと接続されるように形成されている。言い換えると、パッド部33は、延設部分322のみを覆うように形成されている。そして、パッド部33は、連結部分321側の端部では、アンカー効果によってパッド部33が歪み検出素子30から剥離し難くなるように、幅Lが狭くなるように構成されている。
【0052】
なお、パッド部33を構成する金は、ゲージ抵抗31や配線層32を構成するポリシリコンよりも耐腐食性が高い材料である。また、
図5は、保護部材22を省略した平面図であり、断面図ではないが、理解をし易くするためにパッド部33にハッチングを施してある。そして、後述する同様の図においても、理解をし易くするためにパッド部33にハッチングを施してある。
図4は、
図5中のIV-IV線に沿った断面図である。但し、
図4中では、理解をし易くするためにゲージ抵抗31を誇張して示してある。
【0053】
そして、保護膜21には、パッド部33を露出させるように開口部21aが形成されている。本実施形態では、開口部21aは、二つ形成されており、各開口部21aが隣合うパッド部33を一体的に露出させるように形成されている。つまり、隣合うパッド部33は、共通の開口部21aから露出している。そして、パッド部33のうちの開口部21aから露出する部分には、回路基板50と電気的に接続するためのボンディングワイヤ52が接続される。
【0054】
また、本実施形態では、
図6に示されるように、パッド部33と配線層32との間には、配線層32側から順にNiCr(ニッケルクロム)膜341、Pd(パラジウム)膜342が積層されて構成されるバリアメタル34が形成されている。NiCr膜341は、耐腐食性が高く、歪み検出素子30を構成するポリシリコンを保護する機能を発揮するものである。Pd膜342は、パッド部33を構成する金が歪み検出素子30側へ拡散することを抑制する機能を発揮するものである。そして、パッド部33は、配線層32およびバリアメタル34を覆うように形成されている。
【0055】
このようなバリアメタル34およびパッド部33は、次のように構成される。すなわち、まず、NiCr膜341が形成される領域が開口されたメタルマスクを配置し、蒸着等することによってNiCr膜341を形成する。次に、Pd膜342が形成される領域が開口されたメタルマスクを配置し、蒸着等することによってPd膜342を形成することにより、バリアメタル34を形成する。この場合、NiCr膜341およびPd膜342は、同じ領域に積層されて配置されるため、共通のメタルマスクを用いることにより、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0056】
そして、パッド部33を形成する際には、バリアメタル34が覆われるように、NiCr膜341およびPd膜342を形成する際に用いたメタルマスクよりも開口部が大きくされたメタルマスクを用いる。これにより、上記のように、パッド部33は、配線層32およびバリアメタル34を覆うように形成される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、歪み検出素子30は、低ドープ層23上に形成されている。このため、圧力センサの信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
すなわち、本発明者らが検討したところ、絶縁膜20上に、ポリシリコンで構成される歪み検出素子30を直接形成する場合、ポリシリコンを成膜した際、ポリシリコンと絶縁膜20との間にアモルファス層が形成されることが確認された。そして、圧力センサは、アモルファス層が遅延弾性することにより、歪み検出素子30の特性が変化する可能性があることが確認された。
【0059】
このため、本実施形態では、絶縁膜20上に絶縁膜20より結晶性が高い低ドープ層23を配置し、低ドープ層23上に歪み検出素子30を形成している。これにより、歪み検出素子30を絶縁膜20上に形成する場合と比較すると、低ドープ層23と歪み検出素子30との間に形成されるアモルファス層を小さくできる。また、低ドープ層23と絶縁膜20との間にアモルファス層が形成されるが、当該アモルファス層の遅延弾性による影響は、低ドープ層23によって緩和され、歪み検出素子30には伝搬され難くなる。
【0060】
さらに、低ドープ層23は、ゲージ抵抗31よりも電気抵抗率が高い材料で構成されている。このため、低ドープ層23と絶縁膜20との間にアモルファス層が形成され、低ドープ層23にアモルファス層の遅延弾性による影響があったとしても、ゲージ抵抗31の抵抗値に関する影響を小さくできる。したがって、歪み検出素子30の特性が変化することを抑制でき、さらに圧力センサの信頼性を向上させることができる。
【0061】
また、配線層32は、延設部分322のみがパッド部33と接続されている。このため、
図7に示されるように、延設部分322とパッド部33とのコンタクト抵抗Rcは、隣合うゲージ抵抗31の接続点よりパッド部33側に形成される。これにより、各コンタクト抵抗Rcの変化は、隣合うゲージ抵抗31に同様に印加される。したがって、このような圧力センサでは、コンタクト抵抗Rcの変化によって検出精度が低下することを抑制できる。
【0062】
ここで、保護部材22は、上記のように、シリコーンゲル等のゲルで構成されている。そして、ゲルは、水分を透過し得る材料である。このため、本実施形態では、パッド部33は、配線層32およびバリアメタル34を覆うように形成されている。これにより、保護部材22を水分が透過したとしても、パッド部33によって水分が配線層32(すなわち、歪み検出素子30)やバリアメタル34に達することを抑制できる。また、パッド部33は、水分に対する耐腐食性が高い金で構成されている。このため、パッド部33は、水分に曝されたとしても影響は少ない。したがって、歪み検出素子30の特性が変動することを抑制できる。
【0063】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対し、保護膜21に形成される開口部21aの形状を変更したものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
本実施形態では、
図8に示されるように、保護膜21に形成される開口部21aは、ダイアフラム13の面方向に対する法線方向において、パッド部33および配線層32が重なる部分を露出させるように形成されている。また、この開口部21aは、パッド部33のうちの延設部分322の端部を覆う部分と異なる部分を露出させるように形成されている。言い換えると、開口部21aは、延設部分322の端部と交差することなく、延設部分322の内側に形成されている。つまり、開口部21aは、パッド部33に段差が形成される部分を露出させないように形成されている。なお、ダイアフラム13の面方向に対する法線方向においてとは、ダイアフラム13の面方向に対する法線方向から視ることである。
【0065】
これによれば、保護部材22を透過した水分はパッド部33によって浸入が抑制される。このため、水分が歪み検出素子30やバリアメタル34に達することを抑制でき、圧力センサの信頼性が低下することを抑制できる。
【0066】
すなわち、パッド部33は、上記のように蒸着等によって形成される。しかしながら、歪み検出素子30およびバリアメタル34の高さと幅の比であるアスペクト比が大きい場合等では、歪み検出素子30およびバリアメタル34を完全に覆うことが困難である場合がある。つまり、歪み検出素子30およびバリアメタル34の側面がパッド部33から露出した状態となることがある。この場合、開口部21aがパッド部33のうちの延設部分322の端部を覆う部分を露出させるように形成されていると、当該部分にパッド部33が適切に形成されていない場合には、保護部材22を透過した水分が当該部分から浸入する可能性がある。
【0067】
これに対し、本実施形態では、保護膜21に形成される開口部21aは、パッド部33および延設部分322が重なる部分であって、パッド部33のうちの延設部分322の端部を覆う部分と異なる部分を露出させるように形成されている。つまり、パッド部33が形成され難い部分を露出させないようにしている。このため、保護部材22を透過した水分が歪み検出素子30やパッド部33に達することを抑制でき、圧力センサの信頼性が低下することを抑制できる。
【0068】
(第3実施形態の変形例)
上記第3実施形態の変形例について説明する。上記第3実施形態において、配線の制約等により、パッド部33のうちの延設部分322の端部を覆う部分を露出させるように開口部21aを形成しなくてはならない可能性もある。この場合、開口部21aは、歪み検出素子30におけるパッド部33から露出する部分との距離が遠くなるようにすることが好ましい。例えば、
図5と
図9とを比較すると、パッド部33のうちの延設部分322の端部を覆う部分を露出させる開口部21aと、歪み検出素子30におけるパッド部33から露出する部分との距離は、
図5の方が長くなる。このため、
図5のように、歪み検出素子30におけるパッド部33から露出する部分と開口部21aの端部との距離が遠くなるようにすることが好ましい。
【0069】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に対し、第1ステム101に薄肉部を形成したものである。その他に関しては、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0070】
本実施形態では、
図10に示されるように、第1ステム101には、溶接部103とダイアフラム13との間に、溶接部103が形成される部分よりも内壁面と外壁面との間の厚さが薄くされた薄肉部111が形成されている。本実施形態では、薄肉部111は、外壁面を一周するように溝部112が形成されることで構成されている。
【0071】
これによれば、第1ステム101に薄肉部111が形成されているため、圧力センサの信頼性をさらに向上することができる。
【0072】
すなわち、上記圧力センサは、第1ステム101に歪み検出素子30が形成された後、第1ステム101と第2ステム102とが溶接接合されてステム10が構成される。この場合、第1ステム101と第2ステム102とを溶接接合する際に熱が印加されるが、この熱は、薄肉部111での熱抵抗が高くなるため、ダイアフラム13側に伝搬され難くなる。このため、ダイアフラム13上に配置される歪み検出素子30やパッド部33に対する溶接時の熱の影響を低減できる。特に、パッド部33を構成する金は、熱によって拡散し易いため、金が拡散することを抑制できる。したがって、圧力センサの信頼性をさらに向上することができる。
【0073】
(第4実施形態の変形例)
上記第4実施形態において、溝部112は、第1ステム101の外壁面を一周するように形成されていなくてもよい。また、溝部112は、外壁面ではなく、内壁面に形成されていてもよい。このように溝部112を形成しても、第1ステム101には、溶接部103とダイアフラム13との間の部分に薄肉部111が形成されるため、上記第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、回路基板50の構成を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0075】
まず、本実施形態の電子部品70の構成について説明する。電子部品70は、QFNであり、増幅回路や補正回路等が形成された回路チップがケースに収容されている。そして、電子部品70は、
図11に示されるように、二組の対向する一辺701a~701dを有し、各組の一辺701a~701dが直交する平面矩形状とされ、各一辺に複数の電極部702を有する構成とされている。なお、
図11は、電子部品70のうちの回路基板50と対向する側を示す平面図である。また、
図11では、電子部品70が平面矩形状とされているが、電子部品70は、平面略矩形状とされていてもよく、角部が面取りされて丸みを帯びた形状とされていてもよい。
【0076】
そして、
図12に示されるように、電子部品70は、貫通孔51の中心と回路基板50の外縁部とを結ぶ仮想線Kと、二組の対向する一辺701a~701dのうちの二辺701a、701cの中心とが交差する状態で配置されている。言い換えると、電子部品70は、仮想線Kと二組の対向する一辺701a~701dのうちの二辺701a、701cとが直交する状態で配置されている。より詳しくは、回路基板50は外形が六角形状とされている。そして、電子部品70は、回路基板50の面方向に対する法線方向から視たとき、回路基板50の外縁部と対向する一辺701cが当該回路基板50における外縁部の一辺と平行となるように配置されている。
【0077】
回路基板50には、電子部品70のうちの貫通孔51側の一辺701aと交差する二辺701b、701dに形成された電極部702と対向する位置に電極部用ランド501a、501bが形成されている。また、回路基板50には、電子部品70のうちの貫通孔51側の一辺701aと対向する一辺701cに形成された電極部702と対向する位置に電極部用ランド501cが形成されている。以下では、電子部品70のうちの貫通孔51側の一辺701aと交差する二辺701b、701dに形成された電極部702と対向する位置の電極部用ランド501a、501bを側方ランド501a、501bとも称する。また、電子部品70のうちの貫通孔51側の一辺701aと対向する一辺701cに形成された電極部702と対向する位置の電極部用ランド501bを対向ランド501cとも称する。
【0078】
なお、本実施形態では、回路基板50には、電子部品70のうちの貫通孔51側の一辺701aに形成された電極部702と対向する位置には、電極部用ランド501cが形成されていない。また、回路基板50には、上記のように、端子部材85と対向する位置に端子部材85と接続される外部接続用ランド502a~502cも形成されている。本実施形態では、外部接続用ランド502は、電源電圧が印加される電源用ランド502a、グラウンドと接続されるグラウンド用ランド502b、検出結果が出力される出力用ランド502cを有する構成とされている。また、回路基板50には、貫通孔51側の部分に、歪み検出素子30と電気的に接続される素子用ランド503も形成されている。さらに、回路基板50には、電子部品70と対向する位置に所定電位に維持されて電子部品70の電位変動を抑制するグラウンドパターン504も形成されている。また、回路基板50には、所定箇所同士を接続する配線パターン511a~511c、512も接続されている。そして、回路基板50には、配線パターン511a~511c、512等を保護するレジスト等の保護層が形成されている。保護層には、ボンディングワイヤ52が接続される部分や端子部材85と接続される部分に適宜開口部が形成されている。なお、
図12では、この保護層を省略して示してある。
【0079】
ここで、電子部品70は、上記のように電極部用ランド501a~501cにはんだ71を介して固定される。そして、はんだ71を構成するはんだペーストは、所定領域が開口されたメタルマスクを用いたスクリーン印刷によって配置される。この場合、電極部用ランド501a~501cは、スクリーン印刷時のはんだ抜け性を向上させるため、メタルマスクの開口部を所定面積よりも大きくできるように、大きくされることが好ましい。
【0080】
したがって、本実施形態では、
図13に示されるように、側方ランド501a、501bは、回路基板50の面方向に対する法線方向において、はんだ抜け性を向上できるように、電子部品70からの突出長さL1を長くしている。しかしながら、対向ランド501cは、
図12に示されるように、回路基板50の外縁部側に配置されており、側方ランド501a、501bと同様に、電子部品70からの突出長さL2を長くすると、回路基板50が大型化する原因となる。なお、突出長さL1とは、電子部品70のうちの側方ランド501a、501bと対向する一辺701b、701cに対して直交する方向の長さである。突出長さL2とは、電子部品70のうちの対向ランド501cと対向する一辺701cに対して直交する方向の長さである。
【0081】
このため、本実施形態では、対向ランド501cは、突出長さL2が突出長さL1よりも短くなるようにしている。しかしながら、この場合、突出長さL2を短くするのみでは、対向ランド501cの面積が小さくなるため、この対向ランド501cに対応するメタルマスクの開口部の大きさも小さくなる。このため、対向ランド501cの突出長さL2を短くした場合、はんだ抜け性の悪化が懸念される。
【0082】
したがって、本実施形態では、さらに、電子部品70の一辺701cに形成された電極部702は、複数が共通の対向ランド501cと接続されるようにしている。つまり、対向ランド501cは、隣合う複数の電極部用ランドが繋げられて構成されている。言い換えると、電子部品70の一辺701cに形成された複数の電極部702は、共通の対向ランド501cと対向している。本実施形態では、二つの対向ランド501cが形成されている。そして、各対向ランド501cには、それぞれ電子部品70の一辺701cに形成された四つの電極部702が接続されている。
【0083】
なお、電子部品70は、ケースの内部の回路チップが所定の電極部702と電気的に接続された状態とされている。このため、共通の対向ランド501cに接続される電極部702は、回路チップのうちの同電位となる部分が接続されているか、または回路チップと接続されていない状態とされている。
【0084】
以上説明したように、対向ランド501cは、突出長さL2が突出長さL1より短くされている。このため、突出長さL2が突出長さL1と同じとされている場合と比較して、回路基板50の小型化を図ることができる。
【0085】
また、対向ランド501cは、隣合う複数の電極部用ランドが繋げられて構成されている。このため、対向ランド501cの面積を大きくでき、はんだ抜け性が低下することを抑制できる。したがって、電子部品70と回路基板50との接続不良が発生することを抑制でき、圧力センサの信頼性を向上することができる。
【0086】
すなわち、
図14Aに示されるように、側方ランド501a、501bは、はんだ抜け性が良くなるように突出長さL1が設定されている。そして、はんだ71は、側方ランド501a、501bの大きさに合わせて配置される。このため、はんだペーストを配置する際のメタルマスクの開口部を大きくできる。
【0087】
一方、
図14Bに示されるように、対向ランド501cは、突出長さL2が突出長さL1よりも短くされている。このため、対向ランド501cは、隣合う電極部用ランドを繋げることにより、はんだ71を電極部702の配列方向にも広げることができるようにしている。つまり、はんだペーストを配置する際のメタルマスクの開口部を大きくできるようにしている。したがって、はんだ抜け性が低下することを抑制でき、電子部品70と回路基板50の接続不良が発生することを抑制できる。なお、
図14Bは、二つの電極部702を共通の対向ランド501cに接続した状態を示している。
【0088】
また、本実施形態では、回路基板50には、貫通孔51側の一辺701aに形成された電極部702と対向する位置に電極部用ランドは形成されていない。このため、電子部品70を貫通孔51の直近まで近接して配置でき、回路基板50の小型化を図ることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、上記のように電子部品70が回路基板50に配置されるため、電子部品70は、三領域が電極部用ランド501a~501cと接続されることになる。この場合、対向ランド501cと電極部702との間のはんだ71を多くし過ぎると、電子部品70が回路基板50に対して傾いてしまう懸念がある。したがって、対向ランド501に配置されるはんだ71は、電子部品70が傾かないように量(すなわち、厚さ)が調整されることが好ましい。
【0090】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に対し、回路基板50の構成を変更したものである。その他に関しては、第5実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0091】
本実施形態では、
図15に示されるように、外部接続用ランド502a~502cと電極部用ランド501bは、外部接続用パターン511a~511cを介して接続されている。素子用ランド503と電極部用ランド501aは、センシング用パターン512を介して接続されている。そして、外部接続用パターン511a~511cとセンシング用パターン512とは、異なる領域に形成されている。
【0092】
具体的には、外部接続用パターン511a~511cとセンシング用パターン512とは、貫通孔51の中心と回路基板50の外縁部とを結ぶ仮想線Kに対し、それぞれ異なる仮想線Kと交差するように形成されている。言い換えると、外部接続用パターン511a~511cとセンシング用パターン512とは、同じ仮想線Kと交差しないように形成されている。例えば、
図15中の仮想線Kは、センシング用パターン512のみと交差している。
【0093】
そして、回路基板50には、電源用ランド502aと電極部用ランド501aとを接続する電源用パターン511aとセンシング用パターン512との間に、所定電位に維持されたガードパターン520が形成されている。
【0094】
本実施形態では、ガードパターン520は、グラウンド電位に維持されている。具体的には、回路基板50には、
図16に示されるように、裏面50b側にもガードパターン521が形成されていると共に、複数のスルーホール電極522が形成されている。そして、裏面50b側のガードパターン521は、スルーホール電極522を通じ、グラウンド用ランド502bと接続されるグラウンド用パターン511bと接続されることにより、グラウンド電位に維持されている。そして、表面50a側のガードパターン520は、スルーホール電極522を通じ、裏面50b側のガードパターン521と接続されることにより、グラウンド電位に維持される。
【0095】
さらに、本実施形態では、回路基板50には、裏面50b側にボディグラウンド用のグラウンドパターン523が形成されている。また、本実施形態では、ハウジング40の搭載部42と回路基板50との間に配置される接合部材60は、導電性接着剤が用いられる。そして、回路基板50は、接続部位523aが接合部材60を介してハウジング40に電気的に接続されることにより、グラウンドパターン523がボディグラウンドとされるようになっている。
【0096】
これによれば、外部接続用パターン511a~511cと、センシング用パターン512とは、異なる領域に形成されている。そして、外部接続用パターン511a~511cは、端子部材85を介して外部回路と接続されるため、ノイズが印加され易い。このため、外部接続用パターン511a~511cとセンシング用パターン512とが同じ領域(すなわち、近接)に形成される場合と比較して、外部接続用パターン511a~511cからセンシング用パターン512にノイズが伝搬されることを抑制できる。
【0097】
また、外部接続用パターン511a~511cでは、特に電源用パターン511aにノイズが印加され易い。そして、本実施形態では、電源用パターン511aとセンシング用パターン512とのとの間には、所定電位に維持されたガードパターン520が形成されている。このため、電源用パターン511aにノイズが印加されとしても、当該ノイズがセンシング用パターン512にカップリングすることを抑制できる。したがって、検出精度が低下することを抑制でき、圧力センサの信頼性の向上を図ることができる。
【0098】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。本実施形態は、第5実施形態に対し、回路基板50の構成を変更したものである。その他に関しては、第5実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0099】
上記のように、回路基板50には、レジスト等の保護層が形成され、保護層には、ボンディングワイヤ52が接続される部分や端子部材85と接続される部分に適宜開口部が形成されている。そして、本実施形態では、
図17に示されるように、保護層530には、素子用ランド503の全体を露出させつつ貫通孔51まで達するように開口部531が形成されている。また、回路基板50の裏面50b側では、保護層530は、貫通孔51側の端部に位置する部分が除去されている。なお、本実施形態では、この開口部531が堰き止め構造に相当する。また、
図17は、
図12中のXVII-XVII線に沿った断面図に相当する。
【0100】
これによれば、保護層530には、素子用ランド503の全体を露出させつつ貫通孔51まで達するように開口部531が形成されている。このため、圧力センサの信頼性の向上を図ることができる。
【0101】
すなわち、歪み検出素子30と素子用ランド503とはボンディングワイヤ52を介して電気的に接続されている。また、歪み検出素子30上には、
図2に示されるように、シリコーンゲル等のゲルで構成される保護部材22が配置されている。この場合、保護部材22は、ボンディングワイヤ52を伝って回路基板50上へブリードする可能性がある。そして、保護部材22が回路基板50上へブリードして端子部材85と外部接続用ランド502a~502cとの間まで達すると、端子部材85と外部接続用ランド502a~502cとの接続不良が発生する可能性がある。
【0102】
このため、本実施形態では、保護層530には、素子用ランド503の全体を露出させつつ貫通孔51まで達するように開口部531が形成されている。これにより、保護層530に素子用ランド503の一部のみが開口する開口部531が形成されている場合と比較して、保護部材22が素子用ランド503側にブリードした際、保護部材22を溜める領域を増加できる。また、保護部材22が素子用ランド503側にブリードした際、貫通孔51を通じて保護部材22を回路基板50の裏面50b側に流すこともできる。したがって、保護部材22が外部接続用ランド502a~502cに達することを抑制でき、端子部材85と外部接続用ランド502a~502cとの接続不良が発生することを抑制できるため、圧力センサの信頼性の向上を図ることができる。
【0103】
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。本実施形態は、第7実施形態に対し、回路基板50の構成を変更したものである。その他に関しては、第7実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0104】
本実施形態では、
図18に示されるように、歪み検出素子30と接続される素子用ランド503と、外部接続用ランド502a~502cとの間にダム部540が形成されている。具体的には、ダム部540は、保護層530に凹凸構造が形成されることで構成されている。つまり、ダム部540は、例えば、保護層530に周囲よりも窪んだ凹部が形成されることで構成されている。また、ダム部540は、例えば、周囲よりも突出した凸部が形成されることで構成されている。
【0105】
なお、本実施形態では、ダム部540が堰き止め構造に相当する。また、
図18では、回路基板50に保護層530が配置されている状態を示している。但し、保護層530に形成される素子用ランド503や外部接続用ランド502a~502cを露出させる開口部については省略して示してある。
【0106】
このように、素子用ランド503と外部接続用ランド502a~502cとの間にダム部540を形成するようにしてもよい。このような構成としても、保護部材22が素子用ランド503側にブリードした際、ダム部540によって保護部材22が外部接続用ランド502a~502cに達することを抑制できるため、上記第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
なお、ダム部540は、素子用ランド503と、外部接続用ランド502a~502cとの間に複数形成されていてもよい。
【0108】
(第9実施形態)
第9実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、ハウジング40の形状を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0109】
本実施形態では、
図19に示されるように、ハウジング40には、搭載部42に凸部としての高さ用突起421が形成されている。具体的には、高さ用突起421は、三箇所に形成されている。また、ハウジング40は、一方向を中心軸aとする中空部を有する筒状とされている。そして、各高さ用突起421は、中心軸aを中心として周方向に等間隔に形成されており、同じ高さとされている。なお、各高さ用突起421は、ハウジング40を用意する際に、プレス成形等によって形成される。つまり、各高さ用突起は、同じ加工装置を用いて形成される。
【0110】
そして、回路基板50は、
図20に示されるように、各高さ用突起421と当接するように配置されている。つまり、回路基板50は、周方向に等間隔に形成された高さ用突起と三箇所で当接して配置されている。そして、回路基板50と搭載部42との間には、接合部材60が配置されている。
【0111】
なお、本実施形態では、回路基板50は、貫通孔51の中心とハウジング40の中心軸aとが一致するように配置されている。このため、回路基板50のうちの高さ用突起421と当接する部分は、貫通孔51を中心として周方向に等間隔に位置しているともいえる。また、
図20は、ハウジング40および回路基板50を示し、ステム10等の構成は省略して示している。
【0112】
また、本実施形態では、特に図示しないが、高さ用突起421の一つは、回路基板50を挟んで端子部材85と反対側に位置するように形成されている。
【0113】
これによれば、回路基板50は、各高さ用突起421に三箇所で当接している。また、各高さ用突起421は、周方向に等間隔に形成されており、同じ高さとされている。このため、回路基板50が搭載部42に対して傾くことを抑制できる。したがって、端子部材85と回路基板50との接続不良が発生することを抑制でき、圧力センサの信頼性の向上を図ることができる。
【0114】
さらに、搭載部42と回路基板50との間隔は、高さ用突起421の高さによって規定される。このため、搭載部42と回路基板50との間隔を所望の間隔とできる。つまり、搭載部42と回路基板50との間に、所望厚さの接合部材60を配置できる。したがって、接合部材60に所望の応力緩和機能を発揮させることができ、ハウジング40から回路基板50へ伝搬される応力を低減できる。
【0115】
ところで、回路基板50と搭載部42との間に、ハウジング40とは別に用意されたスペーサ等を配置することで回路基板50と搭載部42との間隔を確保することも考えられる。しかしながら、この構成では、スペーサをそれぞれ形成するため、各スペーサの高さがばらつくことが想定される。また、スペーサを用意することによって部品点数も増加する。
【0116】
これに対し、本実施形態では、各高さ用突起421は、ハウジング40に同じ加工装置を用いて形成され、高さが異なることが抑制されている。このため、本実施形態では、ハウジング40とは別に用意されたスペーサ等を配置することで回路基板50と搭載部42との間隔を確保する場合と比較して、回路基板50が搭載部42に対して傾くことを抑制しつつ、部品点数の削減を図ることができる。
【0117】
また、スペーサをハウジング40と別材料で構成する場合には、当該スペーサにハウジング40との熱膨張係数差によってクラックが発生することも懸念される。しかしながら、本実施形態では、各高さ用突起421は、ハウジング40の一部で構成されるため、熱膨張係数の差に起因して高さ用突起421にクラックが導入されることも抑制できる。
【0118】
さらに、本実施形態では、高さ用突起421の一つは、回路基板50を挟んで端子部材85と反対側に位置するように形成されている。このため、端子部材85の押圧力を高さ用突起421によって支持することができるため、回路基板50が傾くことをさらに抑制できる。
【0119】
(第9実施形態の変形例)
上記第9実施形態の変形例について説明する。上記第9実施形態において、高さ用突起421は、中心軸aを中心として周方向に等間隔に四箇所以上形成されていてもよい。但し、高さ用突起421を四箇所以上形成したとしても、回路基板50は、原理的には、各高さ用突起421と三箇所で当接することになる。
【0120】
さらに、上記第9実施形態において、高さ用突起421は、回路基板50を挟んで端子部材85と反対側に位置するように形成されていなくてもよい。
【0121】
(第10実施形態)
第10実施形態について説明する。本実施形態は、第9実施形態に対し、ハウジング40の形状を変更したものである。その他に関しては、第9実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0122】
本実施形態では、
図21に示されるように、ハウジング40には、搭載部42に一つの高さ用突起421と、所定長さを有する一つの辺部422が形成されている。具体的には、高さ用突起421および辺部422は、中心軸aを中心とし、高さ用突起421と、辺部422の各端部との間の周方向の長さが等間隔となるように形成されている。また、高さ用突起421と辺部422の高さとは同じとされている。なお、辺部422は、例えば、ハウジング40の外形を構成する六角形状の一辺に対して1/2程度の長さとされる。また、本実施形態では、高さ用突起421および辺部422が凸部に相当する。
【0123】
そして、回路基板50は、高さ用突起421および辺部422と当接するように配置されている。このため、回路基板50は、高さ用突起421および辺部422の二箇所と当接した状態となる。そして、辺部422は、回路基板50と所定長さに渡って当接した状態となる。
【0124】
このように、ハウジング40に一つの高さ用突起421と一つの辺部422を形成して回路基板50と二箇所で当接するようにしても、上記第9実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0125】
(第9、10実施形態の変形例)
上記第10実施形態の変形例について説明する。上記第10実施形態において、高さ用突起421を形成せずに二つの辺部422を備えるようにしてもよい。この場合、二つの辺部422は、各端部同士の間の周方向の長さが等間隔となるように形成されればよい。このような構成としても、回路基板50が二箇所で辺部422と当接するため、上記9実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
また、上記第9実施形態において、回路基板50が高さ用突起421と三箇所で当接するのであれば、ハウジング40に辺部422が形成されていてもよい。例えば、ハウジング40には、三つの辺部422が形成されるようにしてもよい。この場合は、各辺部422は、端部同士の間隔が、中心軸aを中心として周方向に等間隔に形成されていればよい。また、例えば、ハウジング40には、一つの高さ用突起421と、二つの辺部422が形成されるようにしてもよい。この場合は、一つの高さ用突起421および二つの辺部422は、高さ用突起421と、各辺部422の端部同士の間隔が、中心軸aを中心として周方向に等間隔に形成されていればよい。
【0127】
(第11実施形態)
第11実施形態について説明する。本実施形態は、第9実施形態に対し、ハウジング40の構成を変更したものである。その他に関しては、第9実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0128】
本実施形態では、
図22に示されるように、ハウジング40には、高さ用突起421および位置合わせ用突起423が形成されている。本実施形態では、位置合わせ用突起423は、高さ用突起421上に形成されており、高さ用突起421よりも対向する外壁面の長さが短くされている。
【0129】
回路基板50には、位置合わせ用突起423と対応する位置に、位置合わせ用突起423が差し込まれる凹部53が形成されている。そして、回路基板50は、位置合わせ用突起423が凹部53に差し込まれ、高さ用突起421が回路基板50と当接した状態で配置されている。
【0130】
これによれば、回路基板50は、凹部53に位置合わせ用突起423が差し込まれるため、位置ずれが発生し難くなる。また、回路基板50を配置する際には、凹部53に位置合わせ用突起423を差し込んだ状態すればよいため、位置合わせを容易にできる。
【0131】
(第11実施形態の変形例)
上記第11実施形態の変形例について説明する。上記第11実施形態において、
図23に示されるように、位置合わせ用突起423は、高さ用突起421と別に形成されていてもよい。また、凹部53は、
図23に示されるように、回路基板50の外縁部に形成されていてもよい。つまり、凹部5
3は、回路基板50の外縁部に形成された切欠きであってもよい。
【0132】
(第12実施形態)
第12実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、回路基板50に導通端子部を備えたものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0133】
本実施形態では、
図24~
図26に示されるように、回路基板50には、表面50a側にボディグラウンド用のパッド部550が形成されている。具体的には、回路基板50には、外縁部に切欠部54が形成されている。本実施形態では、回路基板50は、切欠部54が形成される前においては外形が六角形状とされており、切欠部54は、六角形状を構成する一つの角部を切り欠くことで構成されている。そして、パッド部550は、当該切欠部54の周囲に配置されている。本実施形態では、パッド部550は、切欠部54を挟む各領域55a、55bに形成されている。
【0134】
なお、パッド部550は、少なくとも表面が金で構成されている。また、
図24等では、回路基板50の平面図において、パッド部550と接続される所定の配線パターンや他の配線パターン等を省略して示している。
【0135】
そして、パッド部550と電気的に接続されると共に、ハウジング40の搭載部42と電気的に接続されるように、導通端子部900が配置されている。導通端子部900は、回路基板50と接合される基板側接続部910、ハウジング40の搭載部42に接続されるハウジング側接続部920、基板側接続部910とハウジング側接続部920とを連結させる連結部930を有する構成とされている。
【0136】
基板側接続部910は、平板状とされており、各パッド部550の形状に対応するように二つ備えられている。ハウジング側接続部920は、円板状とされており、略中央部にプロジェクションとしての凸部921が形成されている。
【0137】
なお、基板側接続部910とハウジング側接続部920とは、異なる面上に位置するように形成されている。また、基板側接続部910とハウジング側接続部920とは、ハウジング側接続部920が二つの基板側接続部910を結ぶ仮想面と交差しないように形成されている。つまり、ハウジング側接続部920は、二つの基板側接続部910を結ぶ仮想面に対して突出した位置に配置されている。
【0138】
連結部930は、基板側連結部931およびハウジング側連結部932を有している。基板側連結部931は、各基板側接続部910と接続されると共に、基板側接続部910が位置する部分からハウジング側連結部932が位置する面上まで延設されている。なお、基板側連結部931は、基板側接続部910の面方向に対する法線方向に沿って延設されている。ハウジング側連結部932は、基板側連結部931における基板側接続部910と反対側の部分と、ハウジング側接続部920とを連結するように備えられている。
【0139】
また、連結部930は、弾性変形可能な弾性部933を有する構成とされている。本実施形態では、弾性部933は、ハウジング側連結部932に基板側接続部910等よりも剛性が低くされた部分を形成することにより、ハウジング側連結部932に構成されている。例えば、本実施形態では、ハウジング側連結部932は、基板側接続部910等と厚さが同じとされているが、ハウジング側連結部932の幅L1が基板側接続部910の幅L2より狭くなる部分を有する構成とされている。これにより、ハウジング側連結部932に弾性部933が構成される。
【0140】
そして、導通端子部900は、基板側接続部910が回路基板50の表面50aに形成された各パッド部550とはんだ560を介して接続されている。また、導通端子部900は、切欠部54に基板側連結部931が配置されることにより、回路基板50の裏面50b側にハウジング側接続部920が位置するように配置されている。
【0141】
この際、導通端子部900は、切欠部54を形成する前の回路基板50の外縁から外側に飛び出さないように配置される。つまり、導通端子部900は、回路基板50の面方向に対する法線方向において、ハウジング側接続部920および連結部930が切欠部54に収容された状態となっている。すなわち、本実施形態では、切欠部54および導通端子部900は、導通端子部900を配置した際に当該導通端子部900が切欠部54を形成する前の回路基板50の外縁から外側に飛び出さない大きさ、および形状とされている。また、導通端子部900は、回路基板50の面方向に対する法線方向において、当該導通端子部900の重心が二つのパッド部550の中心に位置するように配置されている。
【0142】
そして、ハウジング側接続部920は、ハウジング40の搭載部42と抵抗溶接されて接続されている。つまり、ハウジング側接続部920とハウジング40の搭載部42とは、溶接部940を介して電気的に接続されている。これにより、回路基板50のパッド部550は、導通端子部900を介してハウジング40の搭載部42にボディグラウンド接続された状態となっている。なお、導通端子部900は、回路基板50のパッド部550に基板側接続部910が接続された後、ハウジング側接続部920がハウジング40の搭載部42と抵抗溶接される。
【0143】
本実施形態のハウジング40は、上記第9実施形態の
図19を参照して説明したハウジング40と同様に、搭載部42に、中心軸aを中心として周方向に等間隔に三個の高さ用突起421が形成された構成とされている。そして、回路基板50は、六角形状の一つの角部に切欠部54が形成された構成とされており、三個の高さ用突起421がそれぞれ三箇所の角部近傍となるように配置されている。つまり、回路基板50は、一つの高さ用突起421が中心軸aを挟んで導通端子部900と反対側に位置するように配置されている。
【0144】
また、回路基板50は、ハウジング40の搭載部42との間に配置された接合部材60を介してハウジング40の搭載部42に機械的に接続されている。本実施形態では、回路基板50は、導通端子部900を介してハウジング40の搭載部42と電気的に接続されている。このため、接合部材60は、回路基板50とハウジング40の搭載部42とを機械的にのみ接続するものを用いればよく、例えば、シリコーン系接着剤等が用いられる。
【0145】
接合部材60は、本実施形態では、五箇所に配置されている。具体的には、三箇所の接合部材60は、各高さ用突起421の周囲に配置されている。また、二箇所の接合部材60は、回路基板50のうちの高さ用突起421が配置される角部と異なる二箇所の角部近傍に配置されている。つまり、二箇所の接合部材60は、導通端子部900と中心軸aを挟んで反対側に位置する高さ用突起421と、当該高さ用突起421と隣合う各高さ用突起421との間における周方向の中心に配置されている。
【0146】
以上説明したように、本実施形態では、回路基板50にボディグラウンド用のパッド部550が形成され、当該パッド部550が導通端子部900を介してハウジング40の搭載部42と電気的に接続さている。そして、導通端子部900は、ハウジング40の搭載部42と溶接部940を介して接合されている。また、回路基板50は、ハウジング40の搭載部42と接合部材60を介して機械的に接続されている。このため、回路基板50とハウジング40の搭載部42との接合性を向上しつつ、回路基板50のパッド部550とハウジング40の搭載部42との電気的な接続の安定性を図ることができる。
【0147】
すなわち、例えば、回路基板50をハウジング40にボディグラウンド接続する際には、回路基板50の裏面50b側にボディグラウンド用のパッド部を構成し、当該パッド部とハウジング40の搭載部42との間に銀ペーストからなる導電性部材を配置することにより、パッド部とハウジング40とをボディグラウンド接続することが考えられる。なお、パッド部は、少なくとも表面が金で構成される。
【0148】
しかしながら、この構成では、銀ペーストからなる導電性部材と金で構成されるパッド部との接合性が低くなり易く、導電性部材の厚さがばらつき易い。このため、この構成では、パッド部550とハウジング40の搭載部42との間の接触抵抗のばらつきが懸念され、電気的な接続の安定性が低下する可能性がある。
【0149】
これに対し、本実施形態では、ハウジング40の搭載部42と溶接部940を介して電気的に接続される導通端子部900を用いているため、回路基板50とハウジング40の搭載部42との電気的な接続の安定性を図ることができる。なお、基板側接続部910とパッド部550との間にはんだ560が配置されるが、はんだ560は、パッド部550を構成する金との接合性が銀よりも高く、安定し易い。このため、はんだ560は、厚さがばらつき難く、接触抵抗がばらつくことが抑制される。つまり、基板側接続部910とパッド部550とは、はんだ560を介して電気的に安定した状態で接続されている。
【0150】
また、本実施形態では、パッド部550は、回路基板50の表面50aに形成され、はんだ560を介して導通端子部900の基板側接続部910と接続されている。このため、はんだ560は、電子部品70を回路基板50に配置する際のはんだペースト等と同時に配置されることができる。したがって、製造工程が複雑になることを抑制できる。
【0151】
さらに、導通端子部900は、連結部930に弾性部933を有する構成とされている。このため、ハウジング側接続部920の凸部921をハウジング40の搭載部42に抵抗溶接する際、弾性部933が弾性変形することにより、基板側接続部910に過大な応力が伝搬されることを抑制できる。つまり、基板側接続部910がパッド部550から剥離する等の不具合が発生することを抑制できる。
【0152】
また、導通端子部900は、回路基板50の面方向に対する法線方向において、当該導通端子部900の重心が二つのパッド部550の中心に位置するように配置されている。このため、導通端子部900をハウジング40の搭載部42に接続する前等において、導通端子部900が傾くことを抑制でき、ハウジング側接続部920をハウジング40の搭載部42に抵抗溶接する工程が複雑になることを抑制できる。
【0153】
さらに、導通端子部900は、切欠部54を形成する前の回路基板50の外縁から外側に飛び出さないように配置される。このため、導通端子部900を配置することによって圧力センサが大型化することを抑制できる。
【0154】
(第12実施形態の変形例)
第12実施形態の変形例について説明する。上記第12実施形態では、回路基板50の外縁部に切欠部54を形成する例に説明したが、回路基板50の内縁部に貫通孔を形成し、当該貫通孔に導通端子部900を配置するようにしてもよい。
【0155】
また、上記第12実施形態において、パッド部550は、回路基板50の裏面50b側に形成されていてもよく、導通端子部900の基板側接続部910は、回路基板50の裏面50b側でパッド部550と接続されていてもよい。この場合、導通端子部900は、回路基板50の裏面50b側と接続可能となるように、適宜形状が調整される。
【0156】
(第13実施形態)
第13実施形態について説明する。本実施形態は、第12実施形態に対し、導通端子部900の構成を変更したものである。その他に関しては、第12実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0157】
本実施形態では、
図27に示されるように、導通端子部900の基板側連結部931は、基板側接続部910と接続されると共に、基板側接続部910よりもハウジング側接続部920と反対側に延設された第1連結部931aと、第1連結部931aとハウジング側連結部932とを接続する第2連結部931bとを有する構成とされている。つまり、導通端子部900は、一部が回路基板50の表面50a側から突出した状態となっている。
【0158】
そして、弾性部933は、ハウジング側連結部932および第2連結部931bに構成されている。具体的には、第2連結部931bは、ハウジング側連結部932と同じ幅とされることによって弾性部933とされている。つまり、上記第1実施形態と比較すると、導通端子部900における弾性部933の領域が大きくされている。
【0159】
以上説明したように、本実施形態では、弾性部933がハウジング側連結部932および第2連結部931bに構成されている。このため、ハウジング側接続部920の凸部921をハウジング40の搭載部42に抵抗溶接する際、さらに弾性部933が弾性変形することにより、基板側接続部910に過大な応力が伝搬されることをさらに抑制できる。
【0160】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
【0161】
例えば、上記第2~第11実施形態において、第1ステム101および第2ステム102は、同じ材料を用いて構成されていてもよい。また、第2ステム102には、位置合わせ部122が形成されていなくてもよい。そして、上記第2、第3、第5~第11実施形態において、ステム10は、第1ステム101および第2ステム102を有する構成ではなく、単一の部材で構成されていてもよい。
【0162】
また、上記各実施形態を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記第2実施形態を上記第3~第13実施形態に組み合わせ、低ドープ層23を配置するようにしてもよいし、パッド部33が延設部分322のみと接続されるようにしてもよい。また、上記第3実施形態を上記第4~第13実施形態に組み合わせ、開口部21aを形成する位置を規定するようにしてもよい。さらに、上記第4実施形態を上記第5~第13実施形態に組み合わせ、第1ステム101に薄肉部111を形成するようにしてもよい。そして、上記第5実施形態を上記第6~第13実施形態に組み合わせ、対向ランド501cを隣合う複数の電極部用ランドを繋げた構成としてもよい。また、上記第6実施形態を上記第7~第13実施形態に組み合わせ、回路基板50にガードパターン521を形成するようにしてもよい。さらに、上記第7実施形態を上記第8~第13実施形態に組み合わせ、回路基板50の保護層530に、素子用ランド503を露出させつつ貫通孔51に達する開口部531を形成するようにしてもよい。そして、上記第8実施形態を上記第9~第13実施形態に組み合わせ、回路基板50の保護層530に対し、素子用ランド503と外部接続用ランド502a~502cとの間にダム部540を形成するようにしてもよい。また、第10実施形態を第11~第13実施形態に組み合わせ、回路基板50がハウジング40の搭載部42に二箇所で支持されるようにしてもよい。また、第11実施形態を第12、第13実施形態に組み合わせ、ハウジング40に高さ用突起421および位置合わせ用突起423を形成するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態を組み合わせたもの同士をさらに組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0163】
10 ステム
12 圧力導入孔
13 ダイアフラム
20 絶縁膜
23 低ドープ層
30 歪み検出素子