(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】化合物、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、離型コーティング剤組成物、積層体、及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/61 20060101AFI20230214BHJP
C09D 183/08 20060101ALI20230214BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20230214BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230214BHJP
C08G 18/81 20060101ALI20230214BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20230214BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
C08G18/61
C09D183/08
C09D4/02
C09D7/63
C08G18/81
C08F290/06
B32B27/00 101
(21)【出願番号】P 2021143042
(22)【出願日】2021-09-02
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2020148195
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】田中 諒
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 佳明
【審査官】岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-295272(JP,A)
【文献】特開2013-190822(JP,A)
【文献】特表2013-533517(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00362137(EP,A2)
【文献】特開平09-176322(JP,A)
【文献】特開2012-144670(JP,A)
【文献】特開2022-043002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/61
C09D 183/08
C09D 4/02
C09D 7/63
C08G 18/81
C08F 290/06
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性不飽和基及びポリシロキサンを含む成分(a-1)、
チオール基及び水酸基を含む成分並びに/又はアミノ基及び水酸基を含む成分(a-2)、及び
イソシアネート基及び重合性不飽和基を含む成分(a-3)
を含む成分の反応物であ
り、
(a-2)成分の分子量が50~200であり、
(a-2)成分中のチオール基又は二級アミノ基の数は1個であり、
(a-3)成分の分子量が100~300であり、
(a-3)成分中のイソシアネート基の数が1個である一般式(1)に記載の化合物(a)。
一般式(1):
【化1】
(一般式(1)中、
X
1~X
2、X
5~X
6は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、
X
3~X
4は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、繰返し単位毎に同一であっても異なっていてもよく、
nは、1以上400以下の整数であり、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、
(I)エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(I-I)と結合A及び結合Bを含む構造(I-II)と重合性不飽和基(I-III)とをこの順番で含む構造、又は
(II)エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)、結合A又は結合Bを含む構造(II-II)及び重合性不飽和基(II-III)からなる群から選択される1種以上を含む構造であり、
Y
1及びY
2のうち少なくとも一方が(I)であり、
Y
1及びY
2の有する重合性不飽和基の合計数が4個以上であり、
結合Aが構造式(1)
及び構造式(3)から選択される一種以上の結合であり、
構造式(1)が
【化2】
であり
、
構造式(3)が
【化4】
であり、
結合Bがウレタン結合である。)
【請求項2】
(a-2)成分が、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-1-プロパノール及び1-チオグリセロールからなる群から選択される1種以上又はジエタノールアミン、2-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンエタノール、3-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンエタノール、4-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンエタノール、2-ピペリジノール、3-ピペリジノール及び4-ピペリジノールからなる群から選択される1種以上であり、
(a-3)成分が、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選択される1種以上である、請求項
1に記載の化合物(a)。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の化合物(a)、
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分(b)、及び
光重合開始剤(c)
を含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
【請求項4】
請求項
3に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を含む離型コーティング剤組成物。
【請求項5】
基材と請求項
3に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の硬化物又は請求項
4に記載の離型コーティング剤組成物の硬化物とを含む積層体。
【請求項6】
基材の少なくとも片面に塗工した請求項
3に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物又は請求項
4に記載の離型コーティング剤組成物を、活性エネルギー線で硬化する工程を含む、積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化合物、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、離型コーティング剤組成物、積層体、及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシロキサンを含む化合物は、樹脂などに添加することにより、高硬度、可撓性、耐熱性、耐候性、耐衝撃性、耐クラック性、耐摩耗性、防食性、耐水性、撥水性、電気絶縁性、加工性等の特性を有する硬化物を得ることが可能とされている。そのようなことから、ポリシロキサンを含む化合物は、例えば、粘着剤、自己修復性コーティング剤、離型コーティング剤等様々な分野で使用されている。粘着剤、自己修復性コーティング剤、離型コーティング剤等の用途においてポリシロキサンを含む化合物を用いた場合、その塗膜表面に該成分がブリードアウトし、該塗膜にさらに積層される粘着剤や樹脂成形物等の被着体にポリシロキサンを含む化合物が移行し、その特性が損なわれることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示において解決しようとする課題は、シリコーン移行を良好に抑制した、化合物、当該化合物を含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物、離型コーティング剤組成物、その積層体、及び積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は鋭意検討の結果、所定の化合物を使用することによって、上記課題が解決されることを見出した。
【0005】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
重合性不飽和基及びポリシロキサンを含む成分(a-1)、
チオール基及び水酸基を含む成分並びに/又はアミノ基及び水酸基を含む成分(a-2)、及び
イソシアネート基及び重合性不飽和基を含む成分(a-3)
を含む成分の反応物である一般式(1)に記載の化合物(a)。
一般式(1):
【化5】
(一般式(1)中、
X
1~X
2、X
5~X
6は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、
X
3~X
4は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、繰返し単位毎に同一であっても異なっていてもよく、
nは、1以上400以下の整数であり、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、
(I)エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(I-I)と結合A及び結合Bを含む構造(I-II)と重合性不飽和基(I-III)とをこの順番で含む構造、又は
(II)エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)、結合A又は結合Bを含む構造(II-II)及び重合性不飽和基(II-III)からなる群から選択される1種以上を含む構造であり、
Y
1及びY
2のうち少なくとも一方が(I)であり、
Y
1及びY
2の有する重合性不飽和基の合計数が4個以上であり、
結合Aが構造式(1)~(3)から選択される一種以上の結合であり、
構造式(1)が
【化6】
であり、
構造式(2)が
【化7】
であり、
構造式(3)が
【化8】
であり、
結合Bがウレタン結合である。)
(項目2)
(a-3)成分中のイソシアネート基の数が1個である、項目1に記載の化合物(a)。
(項目3)
(a-2)成分が、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-1-プロパノール及び1-チオグリセロールからなる群から選択される1種以上又はジエタノールアミン、2-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンエタノール、3-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンエタノール、4-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンエタノール、2-ピペリジノール、3-ピペリジノール及び4-ピペリジノールからなる群から選択される1種以上であり、
(a-3)成分が、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選択される1種以上である、項目1又は2に記載の化合物(a)。
(項目4)
項目1~3のいずれかに記載の化合物(a)、
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分(b)、及び
光重合開始剤(c)
を含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
(項目5)
項目4に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を含む離型コーティング剤組成物。
(項目6)
基材と項目4に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の硬化物又は項目5に記載の離型コーティング剤組成物の硬化物とを含む積層体。
(項目7)
基材の少なくとも片面に塗工した項目4に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物又は項目5に記載の離型コーティング剤組成物を、活性エネルギー線で硬化する工程を含む、積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示で提供する化合物は、シリコーン移行を良好に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値φについて、数値φの下限がA1、A2、A3等が例示され、数値φの上限がB1、B2、B3等が例示される場合、数値φの範囲は、A1以上、A2以上、A3以上、B1以下、B2以下、B3以下、A1~B1、A1~B2、A1~B3、A2~B1、A2~B2、A2~B3、A3~B1、A3~B2、A3~B3等が例示される。なお、本開示において「~」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0008】
化合物(a)(本開示において、「(a)成分」ともいう。)は、重合性不飽和基及びポリシロキサンを含む成分(a-1)(本開示において、「(a-1)成分」ともいう。)、チオール基及び水酸基を含む成分並びに/又はアミノ基及び水酸基を含む成分(a-2)(本開示において、「(a-2)成分」ともいう。)、及びイソシアネート基及び重合性不飽和基を含む成分(a-3)(本開示において、「(a-3)成分」ともいう。)を含む成分を反応させることで得ることが可能である。そのようにして得られる化合物(a)は、ポリシロキサンを含む構造、結合A及び結合Bを含む構造、重合性不飽和基を含む構造を有する。
【0009】
<(a-1)成分>
(a-1)成分は、重合性不飽和基及びポリシロキサンを含む成分である。本開示においてポリシロキサンとは、-ケイ素(Si)-酸素(O)-[-ケイ素(Si)-酸素(O)-]L-ケイ素(Si)-(Lは1以上である。)で表される構造である。重合性不飽和基として、炭素-炭素二重結合を含む構造、炭素-炭素三重結合を含む構造等が例示される。重合性不飽和基の具体例として、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が例示される。(a-1)成分として、一般式(2)のものが例示される。
【0010】
一般式(2):
【化9】
(一般式(2)中、
χ
1~χ
2、χ
5~χ
6は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、
χ
3~χ
4は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、繰返し単位毎に同一であっても異なっていてもよく、
ψ
1~ψ
2は、それぞれ独立に、エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基であり、
mは、1以上400以下の整数であり、
ω
1~ω
4は、それぞれ独立に、水素原子又は重合性不飽和基である。)
【0011】
一般式(2)のχ1~χ6の炭素数の上限は、それぞれ独立に、4、3、2等が例示され、下限は、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(2)のχ1~χ6の炭素数は、それぞれ独立に、1以上4以下程度が好ましい。一般式(2)のχ1~χ6の炭素数1以上4以下のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリブチル基、イソブチル基、または、セカンダリーブチル基が例示される。すなわち、χ1~χ6の炭素数1以上4以下のアルキル基は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
【0012】
一般式(2)のψ1及びψ2の「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基」とは、エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の直鎖状炭化水素基若しくはエーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の分岐状炭化水素基のことを指す。一般式(2)のψ1及びψ2の炭素数の上限は、それぞれ独立に、20、18、16、14、12、10、8、6、4、2等が例示され、下限は、18、16、14、12、10、8、6、4、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(2)のψ1及びψ2の炭素数は、それぞれ独立に、1以上20以下程度が好ましい。一般式(2)のψ1及びψ2の炭素数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基として、CαH2α-1(αは、1以上20以下の整数である。)で表される構造が例示される。また、エーテル結合の他エステル結合を有していてもよい。
【0013】
一般式(2)のmの上限は、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、25、10、5、3等が例示され、下限は、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、25、10、5、3、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(2)のmは、1以上400以下の整数である。
【0014】
一般式(2)のω1~ω4のうち、少なくとも1個は重合性不飽和基である。ω1~ω4のうち重合性不飽和基であるものは、好ましくは1個以上4個以下であり、より好ましくは1個以上3個以下であり、さらにより好ましくは1個以上2個以下である。
【0015】
一般式(2)で示される(a-1)成分の具体例として、ポリシロキサン両末端に(メタ)アクリロイル基を含む成分(製品名「X-22-164」、「X-22-164AS」、「X-22-164A」、「X-22-164B」、「X-22-164C」、「X-22-164E」(信越化学工業(株)製))、ポリシロキサン片末端に(メタ)アクリロイル基を含む成分(製品名「X-22-174ASX」、「X-22-174BX」、「KF-2012」、「X-22-2426」、「X-22-2404」(信越化学工業(株)製))(製品名「サイラプレーンFM-0711」、「サイラプレーンFM-0721」、「サイラプレーンFM-0725」(JNC(株)製))等が例示される。
【0016】
反応性官能基(例えば、COOH基等)及びポリシロキサンを含む成分(a-1-1)(本開示において、「(a-1-1)成分」ともいう。)とその反応性官能基に反応する官能基(例えば、OH基等)と重合性不飽和基を含む成分(a-1-2)(本開示において、「(a-1-2)成分」ともいう。)とを反応させることで、(a-1)成分を得ることも可能である。反応性官能基として、-OH基、-COOH基、-COOCO-基、-NCO基、-SH基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基、重合性不飽和基等が例示される。アミノ基として、一級アミノ基(-NH2)、二級アミノ基(-NH-)等が例示される。(a-1-1)成分及び(a-1-2)成分における反応性官能基の組み合わせとして、-OH基及び-COOH基、アミノ基及び重合性不飽和基、-SH基及び重合性不飽和基、-OH基及び-NCO基、アミノ基及び-NCO基、-OH基及び-COOCO-基等が例示される。
【0017】
(a-1-1)成分は、一般式(2)のω1~ω4の少なくとも1つが上記反応性官能基であるものが例示される。(a-1-1)成分は、市販された製品であってもよい。当該製品として、ポリシロキサン両末端にアミノ基を含む成分(製品名「X-22-161A」、「X-22-161B」、「KF-8012」、「KF-8008」(信越化学工業(株)製))、ポリシロキサン両末端にエポキシ基を含む成分(製品名「X-22-163」、「X-22-163A」、「X-22-163B」、「X-22-163C」(信越化学工業(株)製))、ポリシロキサン両末端に-OH基を含む成分(製品名「KF-6000」、「KF-6001」、「KF-6002」、「KF-6003」(信越化学工業(株)製)、製品名「サイラプレーン FM-4411」、「サイラプレーン FM-4421」、「サイラプレーン FM-4425」(JNC(株)製))、ポリシロキサン両末端に-SH基を含む成分(製品名「X-22-167B」、「X-22-167C」(信越化学工業(株)製))、ポリシロキサン両末端に-COOH基を含む成分(製品名「X-22-162C」(信越化学工業(株)製))、ポリシロキサン片末端にエポキシ基を含む成分(製品名「X-22-173BX」、「X-22-173DX」(信越化学工業(株)製))、ポリシロキサン片末端に-OH基を含む成分(製品名「X-22-170BX」、「X-22-170DX」、「X-22-176DX」、「X-22-176F」、「X-22-176GX-A」(信越化学工業(株)製))(製品名「サイラプレーンFM-0411」、「サイラプレーンFM-0421」、「サイラプレーンFM-0425」、「サイラプレーンFM-DA11」、「サイラプレーンFM-DA21」、「サイラプレーンFM-DA26」(JNC(株)製))、ポリシロキサン片末端に-COOH基を含む成分(製品名「X-22-3710」(信越化学工業(株)製))、ポリシロキサン両末端に(メタ)アクリロイル基を含む成分(製品名「X-22-164」、「X-22-164AS」、「X-22-164A」、「X-22-164B」、「X-22-164C」、「X-22-164E」(信越化学工業(株)製))製品名「サイラプレーン FM-7711」、「サイラプレーン FM-7721」、「サイラプレーン FM-7725」(JNC(株)製)、ポリシロキサン片末端に(メタ)アクリロイル基を含む成分(製品名「X-22-174ASX」、「X-22-174BX」、「KF-2012」、「X-22-2426」、「X-22-2404」(信越化学工業(株)製))(製品名「サイラプレーンFM-0711」、「サイラプレーンFM-0721」、「サイラプレーンFM-0725」(JNC(株)製))等が例示される。
【0018】
(a-1-1)成分として例示された物質及び(a-1-1)成分として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。(a-1-1)成分は、好ましくはOH基及びポリシロキサンを含む成分並びに/又はアミノ基及びポリシロキサンを含む成分である。
【0019】
(a-1-1)成分の数平均分子量の上限は、50,000、45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500等が例示され、下限は45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000等が例示される。1つの実施形態において、(a-1-1)成分の数平均分子量は、1,000~20,000程度が好ましい。(a-1-1)成分の数平均分子量が上記下限以上であれば、本開示の化合物(a)を含む組成物を剥離層として使用した際の軽剥離性に優れる傾向にあると考えている。軽剥離性は、(a-1-1)成分の数平均分子量が高いほど良好となる傾向にあると考えている。一方で、(a-1-1)成分の数平均分子量が低いほどシリコーン移行を良好に抑制できる傾向にあると考えている。本開示において数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値である。
【0020】
(a-1-1)成分の官能基当量(g/mol)の上限は、50,000、45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500等が例示され、下限は45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000等が例示される。1つの実施形態において、(a-1-1)成分の官能基当量(g/mol)は、1,000~20,000程度が好ましい。(a-1-1)成分の官能基当量(g/mol)が上記下限以上であれば、本開示の化合物(a)を含む組成物を剥離層として使用した際の軽剥離性に優れる傾向にあると考えている。軽剥離性は、(a-1-1)成分の官能基当量(g/mol)が高いほど良好となる傾向にあると考えている。一方で、(a-1-1)成分の官能基当量(g/mol)が低いほどシリコーン移行を良好に抑制できる傾向にあると考えている。なお、本開示において官能基当量とは、官能基1個当たりの分子量である。
【0021】
(a-1)成分を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1-1)成分の含有量(固形分換算)の上限は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、85、80、75、70、65、60、55質量%等が例示され、下限は、98、97、96、95、94、93、92、91、90、85、80、75、70、65、60、55、50質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a-1)成分を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1-1)成分の含有量(固形分換算)は、50~99質量%程度が好ましい。
【0022】
(a-1-2)成分として、-OH基と重合性不飽和基を含む成分、-COOH基と重合性不飽和基を含む成分、-COOCO-基と重合性不飽和基を含む成分、-NCO基と重合性不飽和基を含む成分、-SH基と重合性不飽和基を含む成分、エポキシ基と重合性不飽和基を含む成分、オキサゾリン基と重合性不飽和基を含む成分、アミノ基と重合性不飽和基を含む成分等が例示される。-OH基と重合性不飽和基を含む成分として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイル-オキシプロピル(メタ)アクリレート、1-((メタ)アクリロイルオキシ)-3-((メタ)アクリロイルオキシ-2-プロパノール、ペンタエルスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエルスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエルスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等が例示される。-COOH基と重合性不飽和基を含む成分として、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、コハク酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)等が例示される。-COOCO-基と重合性不飽和基を含む成分として、無水(メタ)アクリル酸、無水クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が例示される。-NCO基と重合性不飽和基を含む成分として、アリルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が例示される。エポキシ基と重合性不飽和基を含む成分として、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等が例示される。オキサゾリン基と重合性不飽和基を含む成分として、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-ビニル-2-オキサゾリン-5-オン、2-ビニル-2-オキサゾリン等が例示される。アミノ基と重合性不飽和基を含む成分として、3-アミノ-1-プロペン、3-アミノ-2-メチル-1-プロペン、2-(2-プロピニルオキシ)エチルアミン、ジアリルアミン、ジ(2-プロピニル)アミン、1,1-ジメチル-2-プロピニルアミン、アミノフェニルアセチレン、ビニルアニリン、N-tert-ブチルアリルアミン、オレイルアミン等が例示される。
【0023】
(a-1-2)成分として、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(東京化成工業(株)製)、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(三菱ケミカル(株)製)、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル(東京化成工業(株)製)、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(東京化成工業(株)製)、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸(新中村化学工業(株)製)、こはく酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)(東京化成工業(株)製)、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(製品名「カレンズBEI」、昭和電工(株)製)、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工(株)製)、2-ヒドロキシ-3-アクリロイル-オキシプロピル(メタ)アクリレート(製品名「ブレンマーGAM」、「ブレンマーGAM-R」、日油(株)製)、ジアリルアミン(東京化成工業(株)製)等が例示される。
【0024】
(a-1-2)成分として例示された物質及び(a-1-2)成分として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。(a-1-2)成分は、好ましくは-COOCO-基と重合性不飽和基を含む成分及び/又は-NCO基と重合性不飽和基を含む成分であり、より好ましくは無水(メタ)アクリル酸、無水クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸から選択される1種並びに/又はアリルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシエチルイソシアネート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートから選択される1種であり、さらにより好ましくは無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸から選択される1種並びに/又は2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシエチルイソシアネート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートから選択される1種であり、特に好ましくは無水マレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、及び/又は1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
【0025】
(a-1-2)成分の分子量の上限は、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100等が例示され、下限は、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50等が例示される。1つの実施形態において、(a-1-2)成分の分子量は、50~1,000程度が好ましい。本開示において単に「分子量」という場合、原子量基準で計算した数値のことを指す。
【0026】
(a-1-2)成分の炭素数の上限は、100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5個等が例示され、下限は、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3個等が例示される。1つの実施形態において、(a-1-2)成分の炭素数は、3~100個程度が好ましい。
【0027】
(a-1-1)成分及び(a-1-2)成分の固形分の質量比((a-1-1)成分/(a-1-2)成分)の上限は、99/1、98/2、97/3、96/4、95/5、94/6、93/7、92/8、91/9、90/10、80/20、70/30、60/40が例示され、下限は、99/1、98/2、97/3、96/4、95/5、94/6、93/7、92/8、91/9、90/10、80/20、70/30、60/40、50/50等が例示される。1つの実施形態において、(a-1-1)成分及び(a-1-2)成分の固形分の質量比((a-1-1)成分/(a-1-2)成分)は、50/50~99/1程度が好ましい。
【0028】
(a-1)成分を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1-2)成分の含有量(固形分換算)の上限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2質量%等が例示され、下限は、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a-1)成分を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1-2)成分の含有量(固形分換算)は、1~50質量%程度が好ましい。
【0029】
(a-1)成分として例示された物質及び(a-1)成分として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
(a-1)成分の数平均分子量の上限は、50,000、45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500等が例示され、下限は45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000等が例示される。1つの実施形態において、(a-1)成分の数平均分子量は、1,000~20,000程度が好ましい。(a-1)成分の数平均分子量が上記下限以上であれば、本開示の化合物(a)を含む組成物を剥離層として使用した際の軽剥離性に優れる傾向にあると考えている。軽剥離性は、(a-1)成分の数平均分子量が高いほど良好となる傾向にあると考えている。一方で、(a-1)成分の数平均分子量が低いほどシリコーン移行を良好に抑制できる傾向にあると考えている。 本開示において数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値である。
【0031】
(a-1)成分の官能基当量(g/mol)の上限は、50,000、45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500等が例示され、下限は45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000等が例示される。1つの実施形態において、(a-1)成分の官能基当量(g/mol)は、1,000~20,000程度が好ましい。(a-1)成分の官能基当量(g/mol)が上記下限以上であれば、本開示の化合物(a)を含む組成物を剥離層として使用した際の軽剥離性に優れる傾向にあると考えている。軽剥離性は、(a-1)成分の官能基当量(g/mol)が高いほど良好となる傾向にあると考えている。一方で、(a-1)成分の官能基当量(g/mol)が低いほどシリコーン移行を良好に抑制できる傾向にあると考えている。なお、本開示において官能基当量とは、官能基1個当たりの分子量である。また、(a-1)成分の官能基である重合性不飽和基はポリシロキサン鎖の両末端にあっても、片末端にあってもよい。
【0032】
(a-1)成分中の重合性不飽和基の数の上限は、20、15、10、8、6、4、2個等が例示され、下限は、15、10、8、6、4、2、1個等が例示される。1つの実施形態において、(a-1)成分中の重合性不飽和基の数は1~20個程度が好ましい。
【0033】
化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1)成分の含有量(固形分換算)の上限は、98、95、90、85、80、75、70、65、60、55質量%等が例示され、下限は、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50質量%等が例示される。1つの実施形態において、化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1)成分の含有量(固形分換算)は、50~98質量%程度が好ましい。化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1)成分の含有量が多ければ多いほど、軽剥離性が良好となる傾向にあると考えている。一方で、化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-1)成分の含有量が少なければ少ないほど、シリコーン移行を良好に抑制でき、相溶性も良好となる傾向にあると考えている。
【0034】
<(a-2)成分>
(a-2)成分は、チオール基及び水酸基を含む成分並びに/又はアミノ基及び水酸基を含む成分である。(a-2)成分の形状は、直鎖状、分岐状等が例示される。
【0035】
チオール基及び水酸基を含む成分として、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-1-プロパノール、2-ヒドロキシベンゼンチオール、4-メルカプトフェノール、2-メルカプトヒドロキノン、11-メルカプトウンデシルヒドロキノン、2,3-ジメルカプトプロパノール、1-チオグリセロール、ジチオトレイトール等が例示される。チオール基及び水酸基を含む成分は、各種公知の方法で合成してもよい。チオール基及び水酸基を含む成分の合成方法として、硫化水素(H2S)とエポキシドとの反応が例示される。エポキシドとして、1-ブトキシ-2,3-エポキシプロパン、1,2-エポキシブタン、1-tert-ブトキシ-2,3-エポキシプロパン、1-ドデセンエポキシド、1,2-オクチレンオキシド、1,2-ペンチレンオキシド、シクロペンテンオキシド等が例示される。
【0036】
アミノ基及び水酸基を含む成分として、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチルエタノールアミン、プロパノールアミン、4-アミノ-1-ブタノール、2-アミノブチルアルコール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノプロパン-2-オール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、イミノジプロパノール、2-[(ヒドロキシメチル)アミノ]エタノール、2,2‘-ジヒドロキシジエチルアミン、3-メチルアミノ-1,2-プロパンジオール、2-ヒドロキシ-1,3-ジアミノプロパン、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンエタノール、3-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンエタノール、4-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンエタノール、2-ピペリジノール、3-ピペリジノール、4-ピペリジノール等が例示される。
【0037】
(a-2)成分として例示された物質及び(a-2)成分として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。(a-2)成分は、好ましくはチオール基及び水酸基を含む成分又はアミノ基及び水酸基を含む成分であり、より好ましくは2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール、1-メルカプト-2-プロパノール、3-メルカプト-1-プロパノール及び1-チオグリセロールからなる群から選択される1種以上又はジエタノールアミン、2-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンエタノール、3-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンエタノール、4-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンエタノール、2-ピペリジノール、3-ピペリジノール及び4-ピペリジノールからなる群から選択される1種以上であり、特に好ましくは1-チオグリセロール又はジエタノールアミンである。耐溶剤性が特に良いことから、(a-2)成分はチオール基及び水酸基を含む成分の方が、アミノ基及び水酸基を含む成分よりも良い。
【0038】
(a-2)成分の分子量の上限は、500、475、450、425、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50等が例示され、下限は、475、450、425、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、25等が例示される。1つの実施形態において、(a-2)成分の分子量は、25~500程度が好ましい。
【0039】
(a-2)成分の炭素数の上限は、50、40、30、28、26、24、22、20、18、16、15、14、12、10、8、6、4、2個等が例示され、下限は、40、30、28、26、24、22、20、18、16、15、14、12、10、8、6、4、2、1個等が例示される。1つの実施形態において、(a-2)成分の炭素数は、1~15個程度が好ましい。
【0040】
(a-2)成分中の水酸基の数の上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2個等が例示され、下限は、9、8、7、6、5、4、3、2、1個等が例示される。1つの実施形態において、(a-2)成分中の水酸基の数は1個以上10個以下程度が好ましい。(a-2)成分中のチオール基又はアミノ基の数の上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2個等が例示され、下限は、9、8、7、6、5、4、3、2、1個等が例示される。1つの実施形態において、(a-2)成分中のチオール基又はアミノ基の数は1個以上10個以下程度が好ましい。(a-2)成分中のチオール基又はアミノ基の数は剥離が軽くなることから、特に好ましくは1個である。
【0041】
(a-1)成分及び(a-2)成分の固形分の質量比((a-1)成分/(a-2)成分)の上限は、99.5/0.5、99/1、98/2、97/3、96/4、95/5、94/6、93/7、92/8、91/9、90/10、85/15、80/20等が例示され、下限は、99/1、98/2、97/3、96/4、95/5、94/6、93/7、92/8、91/9、90/10、85/15、80/20、75/25等が例示される。1つの実施形態において、(a-1)成分及び(a-2)成分の固形分の質量比((a-1)成分/(a-2)成分)は、75/25~99.5/0.5程度が好ましい。
【0042】
化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-2)成分の含有量(固形分換算)の上限は、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量%等が例示され、下限は、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5質量%等が例示される。1つの実施形態において、化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-2)成分の含有量(固形分換算)は、0.5~20質量%程度が好ましい。
【0043】
<(a-3)成分>
(a-3)成分は、イソシアネート基及び重合性不飽和基を含む成分である。(a-3)成分の形状は、直鎖状、分岐状等が例示される。
【0044】
(a-3)成分として、アリルイソシアナート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が例示される。(a-3)成分は、2以上のイソシアネート基を有する成分(a-3-1)とイソシアネート基と反応する官能基(例えば、OH基)及び重合性不飽和基を有する成分(a-3-2)とを反応させることで得てもよい。そのような(a-3)成分として、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのハーフウレタンが例示される。
【0045】
(a-3)成分として例示された物質及び(a-3)成分として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。(a-3)成分は、好ましくは2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートからなる群から選択される1種以上であり、好ましくは2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート及び/又は1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
【0046】
(a-3)成分の分子量の上限は、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100等が例示され、下限は、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50等が例示される。1つの実施形態において、(a-3)成分の分子量は、50~1,000程度が好ましい。
【0047】
(a-3)成分の炭素数の上限は、100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5個等が例示され、下限は、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、3個等が例示される。1つの実施形態において、(a-3)成分の炭素数は、3~100個程度が好ましい。
【0048】
(a-3)成分中のイソシアネート基の数の上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2個等が例示され、下限は、9、8、7、6、5、4、3、2、1個等が例示される。1つの実施形態において、(a-3)成分中のイソシアネート基の数は1個以上10個以下程度が好ましい。(a-3)成分中のイソシアネート基の数は、剥離が軽くなることから、1個が最も好ましい。(a-3)成分中の重合性不飽和基の数の上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2個等が例示され、下限は、9、8、7、6、5、4、3、2、1個等が例示される。1つの実施形態において、(a-3)成分中の重合性不飽和基の数は1個以上10個以下程度が好ましい。
【0049】
(a-1)成分及び(a-3)成分の固形分の質量比((a-1)成分/(a-3)成分)の上限は、99/1、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25等が例示され、下限は、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30等が例示される。1つの実施形態において、(a-1)成分及び(a-3)成分の固形分の質量比((a-1)成分/(a-3)成分)は、70/30~99/1程度が好ましい。
【0050】
(a-2)成分及び(a-3)成分の固形分の質量比((a-2)成分/(a-3)成分)の上限は、40/60、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85、10/90等が例示され、下限は、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85、10/90、5/95等が例示される。1つの実施形態において、(a-2)成分及び(a-3)成分の固形分の質量比((a-2)成分/(a-3)成分)は、5/95~40/60程度が好ましい。
【0051】
化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-3)成分の含有量(固形分換算)の上限は、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2質量%等が例示され、下限は、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、化合物(a)を構成する成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a-3)成分の含有量(固形分換算)は、1~40質量%程度が好ましい。
【0052】
<その他の成分>
化合物(a)を構成する成分として(a-1)成分、(a-2)成分、(a-3)成分以外の成分(a-4)を使用してもよい。(a-4)成分として、(a-1)成分、(a-2)成分、及び(a-3)成分の有する官能基と反応する官能基を有する成分が例示される。(a-4)成分は(a-1)成分、(a-2)成分、及び(a-3)成分のいずれの成分と反応させてもよい。(a-4)成分として、例えば3官能以上のイソシアネート基を有する成分を使用した場合、剥離が重くなる傾向にあることから、3官能以上のイソシアネート基を有する成分等は使用しないことが好ましい。また、(a-4)成分を(a-1)成分合成の際の成分として使用することが考えられるが、上記と同様の理由で、3官能以上のイソシアネート基を有する成分等は使用しないことが好ましい。これは、3官能以上のイソシアネート基を有する成分等により、ポリシロキサン部分の質量比が3官能未満のイソシアネート基を有する成分を使用した際と比べて低下することが影響しているものと考えている。
【0053】
<化合物(a)>
本開示の化合物(a)は、一般式(1)の構造である。
【0054】
一般式(1):
【化10】
(一般式(1)中、
X
1~X
2、X
5~X
6は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、
X
3~X
4は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基であり、繰返し単位毎に同一であっても異なっていてもよく、
nは、1以上400以下の整数であり、
Y
1及びY
2は、それぞれ独立に、
(I)エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(I-I)と結合A及び結合Bを含む構造(I-II)と重合性不飽和基(I-III)とをこの順番で含む構造、又は
(II)エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)、結合A又は結合Bを含む構造(II-II)及び重合性不飽和基(II-III)からなる群から選択される1種以上を含む構造であり、
Y
1及びY
2のうち少なくとも一方が(I)であり、
Y
1及びY
2の有する重合性不飽和基の合計数が4個以上であり、
結合Aが構造式(1)~(3)から選択される一種以上の結合であり、
構造式(1)が
【化11】
であり、
構造式(2)が
【化12】
であり、
構造式(3)が
【化13】
であり、
結合Bがウレタン結合である。)
【0055】
一般式(1)のX1~X6の炭素数の上限は、それぞれ独立に、4、3、2等が例示され、下限は、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(1)のX1~X6の炭素数は、それぞれ独立に、1以上4以下程度が好ましい。一般式(1)のX1~X6の炭素数1以上4以下のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリブチル基、イソブチル基、または、セカンダリーブチル基が例示される。すなわち、X1~X6の炭素数1以上4以下のアルキル基は直鎖状であっても、分岐状であってもよい。
【0056】
一般式(1)のnの上限は、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、25、10、5、3等が例示され、下限は、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、50、25、10、5、3、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(1)のnは、1以上400以下の整数である。
【0057】
一般式(1)のY1及びY2の「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基」は、それぞれ直鎖状であっても、分岐状であってもよい。一般式(1)のY1及びY2の「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基」の炭素数の上限は、それぞれ独立に、20、18、16、14、12、10、8、6、4、2等が例示され、下限は、18、16、14、12、10、8、6、4、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(1)のY1及びY2の「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基」の炭素数は、それぞれ独立に、1以上20以下程度が好ましい。一般式(1)のY1及びY2の(I-I)の炭素数1以上20以下の炭化水素基として、CβH2β+1、CβH2β、又はCβH2β-1(βは、1以上20以下の整数である。)で表される構造が例示される。一般式(1)のY1及びY2のうち、少なくとも一方が(I)である。また、エーテル結合の他エステル結合を有していてもよい。
【0058】
化合物(a)の一般式(1)のY1及びY2の有する重合性不飽和基の数の上限は、64、62、60、58、56、54、52、50、48、46、44、42、40、38、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5個等が例示され、下限は、62、60、58、56、54、52、50、48、46、44、42、40、38、36、34、32、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4個等が例示される。1つの実施形態において、化合物(a)の一般式(1)のY1及びY2の有する重合性不飽和基の数は4個以上であり、4~64個程度が好ましい。
【0059】
化合物(a)の一般式(1)のY1及び/又はY2の「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(I-I)と結合A及び結合Bを含む構造(I-II)と重合性不飽和基(I-III)とをこの順番で含む構造」とは、「ポリシロキサン鎖から近い順に、エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(I-I)と結合A及び結合Bを含む構造(I-II)と重合性不飽和基(I-III)とをこの順番で含む構造」を意味する。化合物(a)の一般式(1)のY1又はY2の「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)、結合A又は結合Bを含む構造(II-II)及び重合性不飽和基(II-III)からなる群から選択される1種以上を含む構造」とは、好ましくは「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)」、「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)と結合A又は結合Bを含む構造(II-II)を含む構造」、「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)と重合性不飽和基(II-III)を含む構造」、「結合A又は結合Bを含む構造(II-II)と重合性不飽和基(II-III)とを含む構造」、又は「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)と結合A又は結合Bを含む構造(II-II)と重合性不飽和基(II-III)とを含む構造」のいずれかであり、より好ましくは「エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)」、「ポリシロキサン鎖から近い順に、エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)と結合A又は結合Bを含む構造(II-II)とをこの順番で含む構造」、「ポリシロキサン鎖から近い順に、エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)と重合性不飽和基(II-III)とをこの順番で含む構造」、又は「ポリシロキサン鎖から近い順に、結合A又は結合Bを含む構造(II-II)と重合性不飽和基(II-III)とをこの順番で含む構造」、「ポリシロキサン鎖から近い順に、エーテル結合を有していてもよい炭素数1以上20以下の炭化水素基(II-I)と結合A又は結合Bを含む構造(II-II)と重合性不飽和基(II-III)とをこの順番で含む構造」のいずれかである。
【0060】
(a-2)成分及び(a-3)成分、さらに必要に応じて使用される(a-1-2)成分のうちの少なくとも1つが分岐構造である場合、化合物(a)の一般式(1)において一般式(3)及び/又は一般式(4)の構造を含んでいてもよい。本開示の化合物(a)の一般式(1)の構造は、直鎖状であっても、一部直鎖状であっても、分岐状であっても、一部分岐状であってもよい。分岐の数が少ないほど、本開示の化合物(a)を含む組成物を剥離層として使用した際に軽剥離の傾向にあると考えており、分岐の数が多いほどシリコーン移行を良好に抑制できる傾向にあると考えている。
【0061】
一般式(3):
【化14】
(一般式(3)中、
(IV)は、結合A又は結合Bであり、
(V)は、炭素数1以上50以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基であり、
pは、1以上20以下の整数であり、
線は、一般式(1)の(I-I)若しくは(II-I)への結合、一般式(1)の(I-II)若しくは(II-II)のさらなる単位への結合、又は一般式(1)の(I-III)若しくは(II-III)への結合である。)
【0062】
一般式(3)の(V)の「炭素数1以上50以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基」とは、炭素数1以上50以下の直鎖状炭化水素基若しくは炭素数1以上50以下の分岐状炭化水素基のことを指す。一般式(3)の(V)の炭素数の上限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2等が例示され、下限は、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(3)の(V)の炭素数は、1以上50以下程度が好ましい。一般式(3)の(V)の炭素数1以上50以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基として、CδH2δ-1(δは、1以上50以下の整数である。)で表される構造が例示される。
【0063】
一般式(4):
【化15】
(一般式(4)中、
(iv)は、結合A又は結合Bであり、
(v)及び(v)’は、それぞれ独立に、炭素数1以上25以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基であり、
pは、1以上20以下の整数であり、
線は、一般式(1)の(I-I)若しくは(II-I)への結合、一般式(1)の(I-II)若しくは(II-II)のさらなる単位への結合、又は一般式(1)の(I-III)若しくは(II-III)への結合である。)
【0064】
一般式(4)の(v)及び(v)’の「炭素数1以上25以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基」とは、炭素数1以上25以下の直鎖状炭化水素基若しくは炭素数1以上25以下の分岐状炭化水素基のことを指す。一般式(4)の(v)及び(v)’の炭素数の上限は、それぞれ独立に、25、20、15、10、5、4、3、2等が例示され、下限は、20、15、10、5、4、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(4)の(v)及び(v)’の炭素数は、それぞれ独立に、1以上25以下程度が好ましい。一般式(4)の(v)及び(v)’の炭素数1以上25以下の直鎖状若しくは分岐状炭化水素基として、CεH2ε(εは、1以上25以下の整数である。)で表される構造が例示される。
【0065】
一般式(3)及び一般式(4)のpは、一般式(3)又は一般式(4)が一般式(1)において出現する数を示している。一般式(3)及び一般式(4)のpの上限は、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2等が例示され、下限は、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(3)及び一般式(4)のpは1以上20以下程度が好ましい。
【0066】
化合物(a)は、(a-1)成分、(a-2)成分、及び(a-3)成分を含む成分の反応物である。化合物(a)の合成方法として、特に限定されないが、下記に記載の順番で反応させることが考えられる。当該反応の中で、各成分(の有する官能基)のモル数を調整する等の方法をとることで部分的に反応を進行させない化合物(a)を得ることも考えられる。
(1)(a-1)成分と、(a-2)成分とを反応させた後、(a-3)成分を反応させる方法
(2)(a-1)成分と、(a-2)成分とを反応させた後、(a-3)成分を反応させ、ついで(a-2)成分を反応させ、さらに(a-3)成分を反応させる方法
(3)(a-1)成分と、(a-2)成分とを反応させた後、(a-3)成分を反応させ、ついで(a-2)成分を反応させ、さらに(a-3)成分を反応させ、さらについで(a-2)成分を反応させ、最後に(a-3)成分を反応させる方法
【0067】
化合物(a)の上記合成方法のうち、(1)では結合A-結合Bがこの順番で形成され、(2)では結合A-結合B-結合A-結合Bがこの順番で形成され、(3)では結合A-結合B-結合A-結合B-結合A-結合Bがこの順番で形成される。なお、(a-1)成分中に結合Bを含む場合、(1)では結合B-結合A-結合Bがこの順番で形成され、(2)では結合B-結合A-結合B-結合A-結合Bがこの順番で形成され、(3)では結合B-結合A-結合B-結合A-結合B-結合A-結合Bがこの順番で形成される。すなわち、本開示の化合物(a)が有する結合A及び結合Bを含む構造の結合Aと結合Bの配置順として、一般式(5)が例示される。
【0068】
一般式(5):[(結合B)]Κ[(結合A)(結合B)]ζ
(一般式(5)中、
Κは0又は1であり、
ζは1以上3以下の整数である。)
【0069】
一般式(5)のζの上限は、3、2等が例示され、下限は、2、1等が例示される。1つの実施形態において、一般式(5)のζは、1以上3以下程度が好ましい。
【0070】
化合物(a)の有する結合のうち結合A(すなわち、構造式(1)~(3)から選択される一種以上の結合)は、例えば、(a-2)成分中のチオール基又はアミノ基と(a-1)成分又は(a-3)成分中の重合性不飽和基との間で反応が進行することによって得られる。当該反応では、例えば、特定の温度において触媒存在下で反応させることも可能である。特定の温度は、好ましくは50~120℃程度であり、より好ましくは60~100℃である。また、結合B(すなわち、ウレタン結合)は、例えば、(a-2)成分が有する水酸基と(a-3)成分が有するイソシアネート基とが反応することによって得られる。当該反応では、例えば、特定の温度において触媒存在下で反応させることも可能である。特定の温度は、好ましくは50~120℃程度であり、より好ましくは60~100℃である。これらの反応時の溶媒としては、ケトン溶媒、芳香族溶媒及びエステル溶媒から選択される1種以上が好適に使用される。
【0071】
(a)成分の数平均分子量の上限は、50,000、45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500等が例示され、下限は45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、19,500、19,000、18,500、18,000、17,500、17,000、16,500、16,000、15,500、15,000、14,500、14,000、13,500、13,000、12,500、12,000、11,500、11,000、10,500、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000等が例示される。1つの実施形態において、(a)成分の数平均分子量は、1,000~50,000程度が好ましい。
【0072】
本開示の化合物(a)として、化16~化19等が例示される。化16は右側の片末端に8官能を有し、化17は右側の片末端に8官能、左側の片末端に2官能を有し、化18は右側の片末端に8官能、左側の片末端に5官能を有し、化19は両方の片末端に8官能ずつ有する。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
<化合物(a)と併用可能な成分>
本開示の化合物(a)は、4個以上の重合性不飽和基を含むことから、重合性不飽和基を使用する従来公知の状況での使用が考えられる。例えば、本開示の化合物(a)に対して、各種重合を行う際に適用される成分(2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分、チオール基(SH基)を含む成分、開始剤、有機溶媒等)を含ませて使用することが考えられる。本開示の化合物(a)と併用可能な成分のうち、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分(b)、光重合開始剤(c)、有機溶媒(d)等について詳細に示す。なお、本開示において(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含む組成物のことを活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物ともいう。また、本開示の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物は、軽剥離性等に優れることから離型コーティング剤組成物として使用することが特に好ましい。
【0078】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a)成分の含有量(固形分換算)の上限は、50、40、30、20、10、8、6、4、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1質量%等が例示され、下限は、40、30、20、10、8、6、4、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1.0、0.8、0.6、0.4、0.2、0.1、0.05質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(a)成分の含有量(固形分換算)の範囲は0.05~10質量%程度が好ましい。
【0079】
<2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分(b)>
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分(b)(本開示において、「(b)成分」ともいう。)として、鎖状構造であり、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、脂環式炭化水素基を含み、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、芳香族炭化水素基を含み、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物等が例示される。なお、本開示において、鎖状構造とは環状構造を有さない構造を指し、直鎖でも分岐構造を含んでいてもよい。
【0080】
(b)成分は、(メタ)アクリロイル基以外の1個以上の官能基や特定の結合をさらに有する化合物であってもよい。(メタ)アクリロイル基以外の官能基や特定の結合として、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、チオエーテル結合、水酸基、カルボキシ基、アミノ基等が例示される。また、(b)成分は、EO変性、PO変性又はカプロラクトン変性された2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であってもよい。ウレタン結合を有し、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、水酸基を有し、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物と各種公知の多官能イソシアネートとの反応物であってもよい。本開示において、多官能イソシアネートとは、イソシアネート基(-N=C=O)を2個以上有するものを指す。
【0081】
鎖状構造であり、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、鎖状構造であるジ(メタ)アクリレート、鎖状構造であるトリ(メタ)アクリレート、鎖状構造であるテトラ(メタ)アクリレート、鎖状構造であるペンタ(メタ)アクリレート、鎖状構造であるヘキサ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0082】
鎖状構造であるジ(メタ)アクリレートとして、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロイルオキシ)プロパノール、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0083】
鎖状構造であるトリ(メタ)アクリレートとして、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0084】
鎖状構造であるテトラ(メタ)アクリレートとして、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0085】
鎖状構造であるペンタ(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0086】
鎖状構造であるヘキサ(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、6官能の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(製品名「Miramer PU-610」、Miwon Specialty chemical社製)等が例示される。
【0087】
鎖状構造であるその他の(メタ)アクリレートとして、デンドリマー構造を有する16-20官能のアクリレート(製品名「Sirius-501」、大阪有機化学工業(株)製)等が例示される。
【0088】
脂環式炭化水素基を有し、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、脂環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0089】
脂環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレートとして、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0090】
芳香族炭化水素基を有し、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、芳香族炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0091】
芳香族炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレートとして、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビス(メタ)アクリル酸[3,3‘-[イソプロピリデンビス(p-フェニレンオキシ)]ビス(2-ヒドロキシプロパン)]-1,1’-ジイル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物等が例示される。なお、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及び/又はアクリル酸のことである。
【0092】
複素環含有(メタ)アクリレートとして、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が例示される。
【0093】
その他の2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分として、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0094】
ポリウレタン(メタ)アクリレートの合成方法として各種公知の方法が例示される。ポリウレタン(メタ)アクリレートの各種公知の合成方法として
(1)ポリオールとポリイソシアネートをウレタン化反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーに、更に水酸基含有(メタ)アクリレートをウレタン化反応させる方法、
(2)ポリオールとポリイソシアネートをウレタン化反応させて得られる水酸基末端プレポリマーにイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法、
(3)ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法
等が例示される。
これらの方法では、必要に応じて各種公知の触媒(ジブチルスズジラウレート等)を適宜使用することが考えられる。
【0095】
ポリオールとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス-[ヒドロキシメチル]-シクロヘキサン等が例示される。ポリオールとして例示される物質及びポリオールとして公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0096】
ポリエーテルポリオールとして、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)等が例示される。ポリエーテルポリオールとして、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、製品名「アデカポリエーテルPシリーズ」、「アデカポリエーテルGシリーズ」、「アデカポリエーテルEDPシリーズ」((株)ADEKA製)等が例示される。
【0097】
ポリエステルポリオールとして、ポリオールとポリカルボン酸(コハク酸、フタル酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等)との反応によって得られるもの、環状エステル(プロピオラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等)の開環重合物、ポリオールとポリカルボン酸と環状エステルの三者反応物等が例示される。ポリエステルポリオールとして、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、製品名「クラレポリオールPシリーズ」、「クラレポリオールFシリーズ」((株)クラレ製)、製品名「プラクセル205」((株)ダイセル製)、製品名「ポリライトOD-X-2155」(DIC(株)製)等が例示される。
【0098】
ポリカーボネートポリオールとして、ポリオールとホスゲンとの反応物、環状炭酸エステル(アルキレンカーボネート等)の開環重合物等が例示される。アルキレンカーボネートとして、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が例示される。ポリカーボネートポリオールとして、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、製品名「クラレポリオールCシリーズ」((株)クラレ製)等が例示される。
【0099】
アクリルポリオールとして、1分子中に1個以上のヒドロキシル基を含むアクリル単量体を単独重合物若しくは共重合物、又はそれら共重合物に他の単量体を共重合させたものが例示される。アクリルポリオールとして、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、製品名「ARUFON UH-2000シリーズ」(東亞合成(株)製)等が例示される。
【0100】
ポリオレフィンポリオールとして、水酸基を2個以上含むポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、これらの塩素化物等が例示される。ポリオレフィンポリオールとして、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、製品名「NISSO-PB GIシリーズ」(日本曹達(株)製)等が例示される。
【0101】
ポリイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等が例示される。その他のポリイソシアネートとして、上記例示したポリイソシアネートや各種公知のポリイソシアネートの付加体、これらイソシアネートの多量体等が例示される。そのようなポリイソシアネートとして、ビウレット、ヌレート、アダクト、アロファネート等が例示される。ポリイソシアネートのビウレットとして、製品名「デュラネート24A-100」、「ビウレット22A-75P」、「ビウレット21S-75E」(いずれも旭化成(株)製)等が例示される。ポリイソシアネートのヌレートとして、製品名「コロネートHK」、「コロネートHXR」(いずれも東ソー(株)製)等が例示される。ポリイソシアネートのアダクトとして、製品名「コロネートHL」(東ソー(株)製)等が例示される。ポリイソシアネートのアロファネートとして、製品名「コロネート2770」(東ソー(株)製)等が例示される。また、本開示のポリイソシアネートは、平均イソシアネート基数が3以上10以下程度のものでもある。なお、平均イソシアネート基数は、以下の式により算出することができる。平均イソシアネート基数=(数平均分子量(Mn)×イソシアネート基濃度(%))/(42.02×100)。式中のイソシアネート基濃度(%)はJIS K 1603-1:2007記載の方法により測定される値である。ポリイソシアネートとして例示された物質及びポリイソシアネートとして公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0102】
水酸基含有(メタ)アクリレートとして、1-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレートとして例示された物質及び水酸基含有(メタ)アクリレートとして公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0103】
イソシアネート基含有(メタ)アクリレートとして、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が例示される。イソシアネート基含有(メタ)アクリレートとして例示される物質及びイソシアネート基含有(メタ)アクリレートとして公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0104】
ポリエステル(メタ)アクリレートの合成方法として各種公知の方法が例示される。ポリエステル(メタ)アクリレートの各種公知の合成方法として
(1)ポリカルボン酸とポリオールとを反応させて得られる水酸基末端ポリエステルに、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート(カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等)を反応させる方法、
(2)ポリカルボン酸とポリオールとを反応させて得られるカルボキシル基末端ポリエステルに、水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法
等が例示される。
これらの方法では、必要に応じて各種公知の触媒を適宜使用することが考えられる。
【0105】
エポキシ(メタ)アクリレートとして、一分子中にエポキシ基を少なくとも2個含むエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等)に、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートを付加反応させて得られるものが例示される。
これらの方法では、必要に応じて各種公知の触媒を適宜使用することが考えられる。
【0106】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分は、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、ペンタエリスリトールトリアクリレート((製品名「A-TMM-3」、「A-TMM-3L」、新中村化学工業(株)製)、(製品名「Miramer M301」、MIWON社製)、(製品名「アロニックスM-309」、東亞合成(株)製))、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(製品名「アロニックスM-408」、東亞合成(株)製)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(製品名「SR494」、Sartomer社製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(製品名「SR399」、Sartomer社製)、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物)((製品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬(株)製)、(製品名「A-9550」、新中村化学工業(株)製)、(製品名「アロニックスM-403」、「アロニックスM-400」、「アロニックスM-402」、「アロニックスM-404」、「アロニックスM-405」、「アロニックスM-406」、東亞合成(株)製))、トリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(製品名「ビスコート#802, TriPEA」、大阪有機化学工業(株)製)、デンドリマー構造を含む多官能アクリレート(製品名「Sirius-501」、「SUBARU-501」、大阪有機化学工業(株)製)、ウレタン(メタ)アクリレート(製品名「UV1700B」、「UV7620EA」、「UV7610B」、「UV7600B」、「UV7650B」、三菱ケミカル(株)製)、(製品名「DPHA40H」、「UX5003」、日本化薬(株)製)、(製品名「ビームセット577」、荒川化学工業(株)製)、(製品名「8UX-015A」、大成ファインケミカル(株)製)、(製品名「U15HA」、新中村化学工業(株)製)、(製品名「Miramer PU610」、Miwon Specialty Chemical社製)(製品名「Etercure 6196-100」、Eternal Materials社製)、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(製品名「アロニックスOT-2501」、東亜合成(株)製)等が例示される。
【0107】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分として例示された物質及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0108】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分は、特に活性エネルギー線の線量を下げても硬化しやすく、本開示の組成物を剥離層として用いた場合の剥離性も良好であることから、好ましくは水酸基を含み、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物であり、より好ましくは水酸基、鎖状炭化水素基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物であり、さらにより好ましくはペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート及び/又はジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの混合物並びに/又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物である。
【0109】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分の炭素数の上限は、200、150、100、80、60、50、40、30、20、10個等が例示され、下限は100、80、60、50、40、30、20、10、8、6、4個等が例示される。1つの実施形態において、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分の炭素数は4~200個程度が好ましい。
【0110】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分が含む(メタ)アクリロイル基の個数の上限は、30、25、20、18、16、15、10、8、6、5、4、3個等が例示され、下限は16、15、10、8、6、5、4、3、2個等が例示される。1つの実施形態において、2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分が含む(メタ)アクリロイル基の個数は、2~30個程度が好ましい。
【0111】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む成分の分子量の上限は、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000、5,000、1,000、500、250等が例示され、下限は40,000、30,000、20,000、10,000、5,000、1,000、500、250、100、50等が例示される。1つの実施形態において、(b)成分の分子量は50~5,000程度が好ましい。
【0112】
(a)成分及び(b)成分の固形分の質量比((a)成分/(b)成分)の上限は、50/50、40/60、30/70、20/80、10/90、8/92、6/94、4/96、2/98、1/99、0.8/99.2、0.6/99.4、0.4/99.6、0.2/99.8等が例示され、下限は、40/60、30/70、20/80、10/90、8/92、6/94、4/96、2/98、1/99、0.8/99.2、0.6/99.4、0.4/99.6、0.2/99.8、0.1/99.9等が例示される。1つの実施形態において、(a)成分及び(b)成分の固形分の質量比((a)成分/(b)成分)は、0.1/99.9~50/50程度が好ましい。
【0113】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(b)成分の含有量(固形分換算)の上限は、98、96、94、92、90、85、80、75、70、65、60、55質量%等が例示され、下限は、96、94、92、90、85、80、75、70、65、60、55、50質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(b)成分の含有量(固形分換算)の範囲は50~98質量%程度が好ましい。
【0114】
<光重合開始剤(c)>
本開示の化合物(a)と併用可能な成分として光重合開始剤(c)(本開示において、「(c)成分」ともいう。)が例示される。光重合開始剤として、ラジカル系光重合開始剤、カチオン系光重合開始剤、アニオン系光重合開始剤等が例示される。
【0115】
ラジカル系光重合開始剤として、アルキルフェノン型光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤、オキシムエステル型光重合開始剤等が例示される。
【0116】
アルキルフェノン型光重合開始剤として、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンジルジメチルケタール、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン等のα-ヒドロキシアルキルフェノン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノアルキルフェノン等が例示される。
【0117】
アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤として、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が例示される。
【0118】
水素引き抜き型光重合開始剤として、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が例示される。
【0119】
オキシムエステル型光重合開始剤として、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等が例示される。
【0120】
カチオン系光重合開始剤として、ヨードニウム,(4-メチルフェニル)]4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェート(1-)及びプロピレンカーボネートの混合物、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリアリールスルフォニウム テトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が例示される。
【0121】
アニオン系光重合開始剤として、コバルトアミン系錯体、o-ニトロベンジルアルコールカルバミン酸エステル、オキシムエステル等が例示される。
【0122】
光重合開始剤は、硬化速度が優れるため、好ましくはラジカル系光重合開始剤であり、より好ましくはアルキルフェノン型光重合開始剤であり、さらに好ましくはα-アミノアルキルフェノン及び/又はα-ヒドロキシアルキルフェノンであり、特に好ましくは2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、及び1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンから選択される1種以上である。
【0123】
光重合開始剤として、市販された製品を使用してもよい。当該製品として、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(製品名「Omnirad(以下、「オムニラッド」ともいう。) 651」、IGM Resins社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(製品名「オムニラッド 2959」、IGM Resins社製)、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(製品名「オムニラッド 127」、IGM Resins社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(製品名「オムニラッド 907」、IGM Resins社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(製品名「オムニラッド TPO H」、IGM Resins社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(製品名「オムニラッド 819」、IGM Resins社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(製品名「オムニラッド MBF」、IGM Resins社製)、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](製品名「IRGACURE OXE 01」、BASFジャパン(株)製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(製品名「IRGACURE OXE 02」、BASFジャパン(株)製)、ヨードニウム,(4-メチルフェニル)]4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロフォスフェート(1-)及びプロピレンカーボネートの混合物(製品名「Omnicat(以下、「オムニキャット」ともいう。) 250」、IGM Resins社製)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート(製品名「オムニキャット 270」、IGM Resins社製)、トリアリールスルフォニウムテトラキス-(ペンタフルオロフェニル)ボレート(製品名「IRGACURE 290」、BASFジャパン(株)製)等が例示される。
【0124】
光重合開始剤として例示された物質及び光重合開始剤として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0125】
(a)成分及び(c)成分の固形分の質量比((a)成分/(c)成分)の上限は、70/30、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55、40/60、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85、10/90、5/95等が例示され、下限は、65/35、60/40、55/45、50/50、45/55、40/60、35/65、30/70、25/75、20/80、15/85、10/90、5/95、1/99等が例示される。1つの実施形態において、(a)成分及び(c)成分の固形分の質量比((a)成分/(c)成分)は、1/99~70/30程度が好ましい。
【0126】
(b)成分及び(c)成分の固形分の質量比((b)成分/(c)成分)の上限は、99/1、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25等が例示され、下限は、95/5、90/10、85/15、80/20、75/25、70/30等が例示される。1つの実施形態において、(b)成分及び(c)成分の固形分の質量比((b)成分/(c)成分)は、70/30~99/1程度が好ましい。
【0127】
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(c)成分の含有量(固形分換算)の上限は、30、25、20、18、16、14、12、10、8、6、4、2質量%等が例示され、下限は、25、20、18、16、14、12、10、8、6、4、2、1質量%等が例示される。1つの実施形態において、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の合計100質量%(固形分換算)に占める(c)成分の含有量(固形分換算)の範囲は1~30質量%程度が好ましい。
【0128】
<その他配合可能な剤>
本開示の化合物(a)には、さらに、必要に応じて上記例示した成分以外のバインダー樹脂(アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等)、防滑剤、スリップ剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、顔料、染料、滑剤、レベリング剤、触媒、消泡剤、光増感剤(アミン類、キノン類等)等の各種添加剤を配合することもできる。また、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、トリエタノールアミン等のアミン含有化合物、チオール基(SH基)を含む成分を配合することも考えられる。チオール基(SH基)を含む成分は、チオール/エン反応によって本開示の化合物(a)を含む組成物を硬化させるために、本開示の化合物(a)を含む組成物に配合することが考えられる。チオール基(SH基)を含む成分として、各種公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。例えば、特開2013-231167号公報に記載のチオール基(SH基)を含む成分、特開2013-213200号公報に記載のチオール基(SH基)を含む成分が例示される。
【0129】
本開示の化合物(a)を含む組成物には必要に応じて、有機溶媒(d)(本開示において、「(d)成分」ともいう。)を配合し、粘度を調整して使用することも可能である。有機溶媒は、各種公知のものであってもよい。有機溶媒として、ケトン溶媒、芳香族溶媒、アルコール溶媒、グリコール溶媒、グリコールエーテル溶媒、エステル溶媒、石油系溶媒、ハロアルカン溶媒、アミド溶媒等が例示される。
【0130】
ケトン溶媒として、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が例示される。
【0131】
芳香族溶媒として、トルエン、キシレン等が例示される。
【0132】
アルコール溶媒として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が例示される。
【0133】
グリコール溶媒として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例示される。
【0134】
グリコールエーテル溶媒として、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル等が例示される。
【0135】
エステル溶媒として、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。
【0136】
石油系溶媒として、ソルベッソ#100(エクソン社製)、ソルベッソ#150(エクソン社製)等が例示される。
【0137】
ハロアルカン溶媒として、クロロホルム等が例示される。
【0138】
アミド溶媒として、ジメチルホルムアミド等が例示される。
【0139】
有機溶媒として例示された物質及び有機溶媒として公知のものを単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0140】
<積層体>
化合物(a)、(b)成分、及び(c)成分を含む組成物に対して活性エネルギー線を照射して得られる硬化物も開示する。また、基材と本開示の組成物の硬化物とを含む積層体も、本開示では提供する。また、本開示において、基材の少なくとも片面に塗工した本開示の組成物を、活性エネルギー線で硬化する工程を含む、積層体の製造方法も、本開示では提供する。
【0141】
本開示の組成物を塗工する基材として、ガラス基材、金属基材、プラスチック基材等が例示される。プラスチック基材として、熱可塑性プラスチック基材、熱硬化性プラスチック基材等が例示される。熱可塑性プラスチック基材として、汎用プラスチック基材、エンジニアリングプラスチック基材等が例示される。汎用プラスチック基材として、オレフィン系、ポリエステル系、アクリル系、ビニル系、ポリスチレン系等が例示される。オレフィン系として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン等が例示される。ポリエステル系として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が例示される。アクリル系として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が例示される。ビニル系として、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等が例示される。ポリスチレン系として、ポリスチレン(PS)樹脂、スチレン・アクリロニトリル(AS)樹脂、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル(ABS)樹脂等が例示される。エンジニアリングプラスチック基材として、汎用エンプラ、スーパーエンプラ等が例示される。汎用エンプラとして、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)等が例示される。スーパーエンプラとして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が例示される。熱硬化性プラスチック基材として、ポリイミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が例示される。その他のプラスチック基材として、トリアセチルセルロース樹脂等が例示される。また、基材は、表面処理(コロナ放電等)がなされているものであってよい。また、基材の片面あるいは両面に、本開示の組成物が形成する層との間にその他の層(例えば易接着層、アンカー層等)が設けられたものであってよい。基材は、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐薬品性等に優れることから、好ましくはポリエステル系であり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムである。なお、基材の厚みは、特に限定されず、通常、1~150μm程度が例示される。
【0142】
本開示の組成物を基材上に塗工する方法として、ロールコーター塗工、リバースロールコーター塗工、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等が例示される。なお、塗工量は特に限定されないが、通常は、乾燥後の質量が0.01~20g/m2になる範囲であり、好ましくは0.025~10g/m2であり、より好ましくは0.05~5g/m2である。また、本開示の組成物の硬化物の膜厚は0.05~10μm程度である。
【0143】
本開示の組成物を活性エネルギー線照射により硬化させる方法として、150nm波長域以上450nm波長域以下の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ又はLED等を用いて、10mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下程度照射する方法が例示される。活性エネルギー線照射前は、必要に応じて加熱を行って乾燥させてもよい。活性エネルギー線照射後は、必要に応じて加熱を行って完全に硬化させてもよい。加熱の条件として、60~150℃程度で、30秒~30分程度が例示され、好ましくは70~130℃で、50秒~10分程度が考えられる。
【0144】
本開示の積層体は、必要に応じ、養生処理に付してよい。条件は特に限定されないが、20~50℃で1~24時間程度である。こうすることで、硬化物の耐溶剤性がより良好になる。
【0145】
本開示の組成物の硬化物は、軽剥離及び耐溶剤性を示すことが可能である。そのため、組成物の硬化物の上に例えば樹脂成型品用キャスト溶液や無機物スラリー等の、有機溶剤を多く含む材料を塗工することができる。本開示の組成物の硬化物は、硬化物と反対面に粘接着剤層を塗工することで接着テープ、粘着テープとして使用することができる。また、本開示の組成物の硬化物は、接着テープ、粘着テープ、両面テープ、粘着ラベル、シール等の接着面や粘着面の保護フィルム(セパレーター)、ならびに樹脂成型品、合成皮革、化粧板、炭素繊維プリプレグ、電気・電子部品等の製造に用いる工程フィルムとしても有用である。本開示の組成物の硬化物は、シリコーン移行性を抑制できる硬化物である。そのため、硬化物からのシリコーン移行による不具合の発生が特に好ましくない用途、例えば電気・電子材料製造用の工程フィルム又は工程テープ(例えば、セパレーター、キャリアフィルム(テープ)、転写フィルム、保護テープ等)として特に有用である。本開示において電気・電子材料とは、電子回路を持つ製品群、例えばパーソナルコンピューター、携帯電話、液晶ディスプレイ、冷蔵庫、自動車等の製品を構成する部品のことを指す。すなわち、本開示の硬化物は、離型フィルム、剥離フィルムとして有用である。また、本開示の組成物の硬化物は、加熱工程後においてもシリコーン移行性を抑制できうる。そのため、製造工程に溶剤の乾燥、熱硬化、熱プレスによる圧着等の加熱工程を含む電気・電子材料製造用の工程フィルム又は工程テープ(例えば、セパレーター、キャリアフィルム(テープ)、転写フィルム、保護テープ等)として特に有用である。
【0146】
その他、本開示の化合物(a)が奏する効果を発揮できるような各種の用途に用いることも考えられる。
【実施例】
【0147】
以下に、実施例を挙げて本開示の具体例を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中、部及び%は特記しない限り全て質量基準である。
【0148】
各例において数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
(GPC測定条件)
機種 :製品名「HLC-8220GPC」(東ソー(株)製)
カラム :製品名「TSKgel G1000H」「TSKgel G2000H」(東ソー(株)製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量 :0.35mL/分
測定温度:40℃
検出器 :示差屈折率検出器(RI:Refractive Index Detector)
標準 :単分散ポリスチレン
試料 :固形分換算で0.5g/mLのテトラヒドロフラン溶液を調製し、該溶液をマイクロフィルターでろ過して得た20μLの溶液
【0149】
<製造例1:化合物(A-1)の合成>
撹拌装置、温度計、冷却管を備えた反応容器に、片末端ヒドロキシ変性シリコーン(製品名「サイラプレーン FM-0421」、JNC(株)製、数平均分子量5,000)、以下「FM-0421」)を78.0部、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(製品名「カレンズ BEI」、昭和電工(株)製、以下「BEI」)を3.7部、メトキノンを0.08部及びオクチル酸スズを0.03部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約1時間保温した。IRによりイソシアネートのピーク消失を確認した後、系内温度を約50℃まで降温した。
次いで、トルエンを100部、ジアザビシクロウンデセン(製品名「DBU」、サンアプロ(株)製、以下「DBU」)を0.04部及び1-チオグリセロール(製品名「ブレンマーTGL」、日油(株)製、以下「TGL」)を3.4部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約2時間保温した。その後、1H-NMRによりアクリロイル基のシグナルが消失したことを確認した後、系内温度を約40℃まで降温した。
次いで、BEIを14.9部及びオクチル酸スズを0.16部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約6時間保温した。その後、IRによりイソシアネートのピーク消失を確認した後に反応系を冷却し、固形分が50重量%の化合物(A-1)の溶液を得た。化合物(A-1)の数平均分子量は6,200であり、重合性不飽和基の数(官能基数)は8であった。
【0150】
<製造例2~6、8、11~12及び比較製造例1:化合物(A-2)~(A-6)、(A-8)、(A-11)~(A-12)及び(A-C1)の合成>
製造例2~6、8、11~12及び比較製造例1は、表1~3に記載の組成に変更したことを除き、製造例1と同様の手法により行い、化合物(A-2)~(A-6)、(A-8)、(A-11)~(A-12)の溶液及び(A-C1)の溶液を得た。
【0151】
<製造例7:化合物(A-7)の合成>
製造例7は、表2に記載の組成に変更し、製造例1で使用したトルエンをシクロヘキサノンに変更した以外は製造例1と同様の手法により行い、化合物(A-7)の溶液を得た。
【0152】
<製造例9:化合物(A-9)の合成>
撹拌装置、温度計、冷却管を備えた反応容器に、両末端アクリロイル変性シリコーン(製品名「X-22-2445」、JNC(株)製、数平均分子量3,200)を80.4部、トルエンを100部、メトキノンを0.08部、DBUを0.04部及びTGLを5.4部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約2時間保温した。その後、1H-NMRによりアクリロイル基のシグナルが消失したことを確認した後、系内温度を約40℃まで降温した。
次いで、BEIを14.2部及びオクチル酸スズを0.16部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約6時間保温した。その後、IRによりイソシアネートのピーク消失を確認した後に反応系を冷却し、固形分が50重量%の化合物(A-9)の溶液を得た。
【0153】
<製造例10:化合物(A-10)の合成>
撹拌装置、温度計、冷却管を備えた反応容器に、片末端ジヒドロキシ変性シリコーン(製品名「サイラプレーン FM-DA26」、JNC(株)製、以下、「DA26」)を74.5部、BEIを2.7部、メトキノンを0.08部及びオクチル酸スズを0.03部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約1時間保温した。IRによりイソシアネートのピーク消失を確認した後、系内温度を約50℃まで降温した。
次いで、トルエンを100部、ジエタノールアミン(製品名「ジエタノールアミン(DEA)」、三井化学(株)製、以下「DEA」)を3.6部仕込んだ後、系内温度が約40℃になるまで昇温し、約2時間保温した。その後、アミン価測定によりアクリロイル基の80%が消費されたことを確認した後、BEIを19.1部及びオクチル酸スズを0.16部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約6時間保温した。その後、IRによりイソシアネートのピーク消失を確認した後に反応系を冷却し、固形分が50重量%の化合物(A-10)の溶液を得た。
【0154】
<比較製造例2~3:化合物(A-C2)及び(A-C3)の合成>
比較製造例2は、撹拌装置、温度計、冷却管を備えた反応容器に、DA26を96.3部、BEIを3.7部、メトキノンを0.08部及びオクチル酸スズを0.03部仕込んだ後、系内温度が約80℃になるまで昇温し、約1時間保温した。IRによりイソシアネートのピーク消失を確認した後、反応系を冷却し、化合物(A-C2)を得た。なお、比較製造例3は、表2に記載の組成に変更したことを除き、同様の手法により化合物(A-C3)を得た。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
表1~3中の用語の意味は下記のとおりである。
FM-0421:片末端ヒドロキシ変性シリコーン(製品名「サイラプレーン FM-0421」、JNC(株)製、数平均分子量5,000)
FM-3325:両末端アミノ変性シリコーン(製品名「サイラプレーン FM-3325」、JNC(株)製、数平均分子量10,000)
FM-DA26:片末端ジヒドロキシ変性シリコーン(製品名「サイラプレーン FM-DA26」、JNC(株)製、数平均分子量15,0000)
FM-4425:両末端ヒドロキシ変性シリコーン(製品名「サイラプレーン FM-4425」、JNC(株)製、数平均分子量10,000)
X-22-2445:両末端アクリル変性シリコーン(製品名「X-22-2445」、信越化学工業(株)製)
AOI:2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート(製品名「カレンズAOI」、昭和電工(株)製)
BEI:1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(製品名「カレンズBEI」、昭和電工(株)製)
TGL:1-チオグリセロール(製品名「ブレンマーTGL」、日油(株)製)
2MET:(製品名「2-メルカプトエタノール」、東洋紡(株)製)
DEA:ジエタノールアミン(製品名「ジエタノールアミン(DEA)」、三井化学(株)製)
【0159】
末端官能基数は、
1H-NMRにより下記方法を用いて確認を行った。
片末端ジヒドロキシ変性シリコーン(製品名「サイラプレーン FM-DA26」、JNC(株)製、以下「DA26」)及び1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(製品名「カレンズ BEI」、昭和電工(株)製、以下「BEI」)を表4に示すモル比で混合した。
次いで、得られた混合物を
1H-NMRで測定し、ポリジメチルシロキサンのメチル基由来のシグナル(0ppm)の積分値を100とした時のアクリロイル基由来のシグナル(5.8ppm)の積分値を得た。BEIは末端にアクリロイル基を2つ持つため、アクリロイル基数とアクリロイル基由来のシグナル積分値をプロットすることで、比例関係を示す直線を得た。
製造例3により得た(A-3)を
1H-NMRで測定すると、ポリジメチルシロキサンのメチル基由来のシグナル(0ppm)を100とした時のアクリロイル基由来のシグナル(5.8ppm)の積分値は1.52であったため、先に得られた直線より末端官能基数は16であることを確認した。
(A-1)~(A-2)、(A-4)~(A-6)及び(A-C1)~(A-C3)は使用するシリコーンを変更したことを除き、同様の手法により末端官能基数を確認した。
【表4】
【0160】
<実施例1:組成物(1)の調製>
ジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「アロニックス M403」、東亞合成(株)製)を225部、製造例1で得られた化合物(A-1)の溶液(固形分:50%)を4.55部、及び光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(製品名「OMNIRAD 184」、IGM Resins社製)を23部配合し、固形分が20%となるようにメチルエチルケトンで希釈し組成物(1)を調製した。
【0161】
<実施例2~6及び比較例1:組成物(2)~(6)及び(C1)の調製>
実施例2~6及び比較例1は、化合物(A-1)の溶液をそれぞれ化合物(A-2)~(A-6)の溶液及び(A-C1)の溶液に変更したことを除き、実施例1と同様の手法により行い、組成物(2)~(6)及び(C1)を得た。
【0162】
<実施例7:組成物(7)の調製>
ジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「NKエステルA-9550」、新中村化学工業(株)製)を225部、製造例1で得られた化合物(A-1)の溶液(固形分:50%)を4.6部、及び光重合開始剤として2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(製品名「OMNIRAD907」、IGM RESINS製)を23部配合し、固形分が20%となるようにメチルエチルケトンで希釈し組成物(7)を調製した。
【0163】
<実施例8~9:組成物(8)~(9)の調製>
ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(製品名「ビスコート#300」、大阪有機化学工業(株)製)を225部、製造例3で得られた化合物(A-3)の溶液(固形分:50%)を4.55部、及び光重合開始剤として2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(製品名「OMNIRAD907」、IGM RESINS製)を23部配合し、固形分20%となるようにメチルエチルケトンで希釈し組成物(8)を調製した。なお、実施例9は、ビスコート#300をジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「GM66G0A」、国精化学(株)製)に変更したことを除き、同様の手法により組成物(9)を調整した。
【0164】
<実施例10~21:組成物(10)~(21)の調製>
実施例10~21は、下記表に記載の処方に変更したことを除き、実施例1と同様の手法により行い、組成物(10)~(21)を調整した。
【0165】
<比較例2:組成物(C2)の調製>
ジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「アロニックス M403」、東亞合成(株)製)を225部、比較製造例2で得られた化合物(A-C2)の溶液を2.27部、及び光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(製品名「OMNIRAD 184」、IGM Resins社製)を23部配合し、固形分20%となるようにメチルエチルケトンで希釈し組成物(C2)を調製した。
【0166】
<比較例3~4:組成物(C3)~(C4)の調製>
比較例3及び比較例4は、化合物(A-C2)の溶液をそれぞれ化合物(A-C3)、DA26に変更したことを除き、比較例2と同様の手法により行い、組成物(C3)及び(C4)を得た。
【0167】
<評価例1:積層体(1)の作製>
組成物(1)をポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ75μm)にバーコーター#9で塗布し(乾燥後膜厚2μm)、80℃で1分間乾燥後、活性エネルギー線を照射し(紫外線照射、照度:520mw/cm2、積算光量:200mJ/cm2)、積層体(1)を得た。
【0168】
<評価例2~21及び比較評価例1~4:積層体(2)~(21)及び(C1)~(C4)の作製>
評価例2~21及び比較評価例1~4は、表に記載の組成物、膜厚、積算光量に変更したことを除き、評価例1と同様の手法により行い、積層体(2)~(21)及び(C1)~(C4)を得た。
【0169】
<性能評価(1):剥離性試験>
積層体を一晩放置した後、その硬化物表面に、ポリエステル粘着テープ(製品名「No.31B」、日東電工(株)製、20mm幅)を2kgのローラーで圧着させながら貼り合わせ、23℃で30分間放置した。次いで、テンシロン万能試験機(製品名「RTC-1250A」、(株)エー・アンド・ディ製)を用い、前記粘着テープを180℃の角度で水平方向に引っ張り(0.3m/min)、剥離に要した力(mN/20mm)を測定した。
【0170】
<性能評価(2):耐溶剤性試験>
積層体を一晩放置した後、MEKをしみこませた布でその硬化物表面を均等な力で5往復擦った。その後、同一箇所にポリエステル粘着テープ(製品名「No.31B」、日東電工(株)製、20mm幅)を2kgのローラーで圧着させながら貼り合わせ、23℃で30分間放置した。次いで、テンシロン万能試験機(製品名「RTC-1250A」、(株)エー・アンド・ディ製)を用い、前記粘着テープを180℃の角度で水平方向に引っ張り(0.3m/min)、剥離に要した力(mN/20mm)を測定した。その際、性能評価(1)で測定した値に対して、重剥離化した程度を下記基準で評価した。
AA:1.3倍未満
A:1.3倍以上2.0倍未満
B:2.0倍以上5.0倍未満
C:5.0倍以上
【0171】
<性能評価(3):Si移行性評価試験>
一晩放置した積層体の硬化物表面に、ポリエステル粘着テープ(製品名「No.31B」、日東電工(株)製、20mm幅)を2kgのローラーで圧着させながら貼り合わせ、23℃で30分間放置した。次いで、ポリエステル粘着テープを剥がし、硬化物塗工面と接触していた面のSi元素含有割合を走査型X線光電子分光分析装置(製品名「PHI5000VersaProbeIII」、アルバック・ファイ(株)製)を用いて測定した。測定値(シリコーン移行量(wt%))について下記基準で評価した。
AA:5.0wt%未満
A:5.0wt%以上10.0wt%未満
B:10.0wt%以上15.0wt%未満
C:15.0wt%以上
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
表5~7中の用語の意味は下記のとおりである。
M403:ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物(製品名「アロニックスM-403」、東亞合成(株)製))
9550W:ジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「NKエステルA-9550W」、新中村化学工業(株)製)
#300:ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(製品名「ビスコート#300」、大阪有機化学工業(株)製)
66G0A:ジペンタエリスリトールポリアクリレート(製品名「GM66G0A」、国精化学(株)製)
M305:ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(製品名「アロニックスM-305」、東亞合成(株)製))
184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(製品名「OMNIRAD 184」、IGM Resins社製)
907:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(製品名「OMNIRAD907」、IGM RESINS製)
MEK:メチルエチルケトン
IPA:イソプロパノール
塗工時Nv(%):塗工時の有効成分濃度