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特許7226594物品収納設備(ARTICLE STORAGE FACILITY)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】物品収納設備(ARTICLE STORAGE FACILITY)
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
B65G1/04 511
B65G1/04 541
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021574629
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2021001237
(87)【国際公開番号】W WO2021153270
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2020014501
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-57334(JP,A)
【文献】特開2019-6545(JP,A)
【文献】特開2012-121723(JP,A)
【文献】特開2019-189409(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0134488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、
前記奥行方向に交差する搬送方向に沿って前記物品を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の作動を制御する制御部と、を備え、
前記搬送装置は、前記奥行方向に前記物品を移動させて前記物品収納棚から前記物品を取り出す取出動作を行う移載機を備え、
前記奥行方向において、前記物品収納棚に対して前記搬送装置が位置する側を奥行方向手前側とし、その反対側を奥行方向奥側とし、前記収納部における前記奥行方向手前側に収納された前記物品を第1物品とし、前記収納部における前記奥行方向奥側に収納された前記物品を第2物品とし、前記収納部における前記第2物品の適正位置を適正第2物品位置として、
前記移載機は、前記物品における前記奥行方向手前側を向く前面部又は前記物品における前記奥行方向奥側を向く後面部のいずれかに係止される係止部と、前記係止部を動かす駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動部を制御して、
前記第1物品と前記第2物品との前記奥行方向の間に前記係止部を配置した後、前記第1物品の前記後面部に前記係止部を係止させた状態として前記係止部を前記奥行方向手前側に移動させ、前記第1物品の前記取出動作を行う第1物品取出動作と、
前記第1物品と前記第2物品との前記奥行方向の間に配置された前記係止部を、前記適正第2物品位置にある前記第2物品の前記前面部の位置に対応する位置まで前記奥行方向奥側に向けて移動させる第2物品位置調整動作と、を前記移載機に実行させることが可能であり、
前記制御部は、前記移載機による前記第1物品取出動作の実行中に、前記第1物品と前記第2物品との間に前記係止部が配置された後、前記移載機に前記第2物品位置調整動作を行わせ、前記第2物品位置調整動作の完了後、前記第1物品取出動作を完了させる、物品収納設備。
【請求項2】
前記制御部は、前記移載機による前記第1物品取出動作の実行中に前記第2物品位置調整動作を行わせる場合、前記第1物品と前記第2物品との間に前記係止部が配置された後、前記係止部を前記奥行方向手前側に移動させることなく前記奥行方向奥側に向けて移動させて前記第2物品位置調整動作を完了させる、請求項1に記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記制御部は、前記移載機に前記第1物品取出動作を行わせる場合に、毎回、前記第1物品取出動作の実行中に前記第2物品位置調整動作を行わせる、請求項1又は2に記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記収納部における前記第1物品の適正位置を適正第1物品位置とし、前記収納部における前記物品が載置される面を載置面とし、前記載置面における前記適正第1物品位置の前記第1物品が載置される領域を第1載置領域とし、前記載置面における前記適正第2物品位置の前記第2物品が載置される領域を第2載置領域とし、前記奥行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、
前記第1載置領域及び前記第2載置領域のそれぞれに対して前記幅方向の両側に、前記載置面から上方に突出する幅方向規制体が設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収納設備。
【請求項5】
前記第2載置領域に対して前記奥行方向奥側に、前記載置面から上方に突出する奥行方向規制体が設けられている、請求項4に記載の物品収納設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品収納設備の一例が、特許第5541178号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に付す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に記載された物品収納設備は、2つの物品(W)を奥行方向(X)に並べて収納可能な収納部(11)と、奥行方向(X)に交差する搬送方向(Y)に沿って物品(W)を搬送する搬送装置(3)と、を備えている。また、搬送装置(3)は、物品(W)を奥行方向(X)に移動させる移載機(29)を備えており、この移載機(29)によって、収納部(11)に対して物品(W)を移載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5541178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された物品収納設備では、搬送装置(3)の稼働等により振動が生じて、収納部(11)に収納された物品(W)が位置ずれを起こす場合がある。位置ずれした物品(W)の位置調整は、搬送装置(3)に設けられた移載機(29)を利用して行うことが可能である。
【0006】
ここで、収納部(11)に収納された2つの物品(W)のうち、奥行方向(X)において搬送装置(3)から遠い側(奥側)に配置された物品(W)の位置調整を行う場合には、奥行方向(X)において搬送装置(3)に近い側(手前側)に配置された物品(W)が妨げとなって搬送装置(3)の側から奥側の物品(W)の位置を検出し難いため、適切に奥側の物品(W)の位置調整を行うことが難しい。一方、搬送装置(3)の側から奥側の物品(W)の位置の検出を適切に行うには、手前側の物品(W)を一旦別の場所に搬送しなければならず、そのような搬送のために収納部(11)に対する物品(W)の入出庫動作が妨げられると、設備全体としての入出庫能力が低下することになる。これを避けるために、設備の入出庫動作を優先して実行すると、物品(W)の位置調整を行う機会が少なくなるため、適切なタイミングで位置調整を行うことができず、収納部(11)に収納された物品(W)の位置ずれが大きくなってしまう場合があった。このように、従来の技術では、奥側の物品の位置調整を適切に行うために、直接的には位置調整に関与しない手前側の物品(W)を搬送するなどの別の動作を行う必要や他の物品(W)の入出庫動作を中断する必要がある等、奥側の物品の位置調整を効率的に行うことができなかった。
【0007】
上記実状に鑑みて、2つの物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた構成において、奥行方向の奥側に配置された物品の位置調整を効率的に行うことが可能な物品収納設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る物品収納設備は、
2つの物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、
前記奥行方向に交差する搬送方向に沿って前記物品を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の作動を制御する制御部と、を備え、
前記搬送装置は、前記奥行方向に前記物品を移動させて前記物品収納棚から前記物品を取り出す取出動作を行う移載機を備え、
前記奥行方向において、前記物品収納棚に対して前記搬送装置が位置する側を奥行方向手前側とし、その反対側を奥行方向奥側とし、前記収納部における前記奥行方向手前側に収納された前記物品を第1物品とし、前記収納部における前記奥行方向奥側に収納された前記物品を第2物品とし、前記収納部における前記第2物品の適正位置を適正第2物品位置として、
前記移載機は、前記物品における前記奥行方向手前側を向く前面部又は前記物品における前記奥行方向奥側を向く後面部のいずれかに係止される係止部と、前記係止部を動かす駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動部を制御して、
前記第1物品と前記第2物品との前記奥行方向の間に前記係止部を配置した後、前記第1物品の前記後面部に前記係止部を係止させた状態として前記係止部を前記奥行方向手前側に移動させ、前記第1物品の前記取出動作を行う第1物品取出動作と、
前記第1物品と前記第2物品との前記奥行方向の間に配置された前記係止部を、前記適正第2物品位置にある前記第2物品の前記前面部の位置に対応する位置まで前記奥行方向奥側に向けて移動させる第2物品位置調整動作と、を前記移載機に実行させることが可能であり、
前記制御部は、前記移載機による前記第1物品取出動作の実行中に、前記第1物品と前記第2物品との間に前記係止部が配置された後、前記移載機に前記第2物品位置調整動作を行わせ、前記第2物品位置調整動作の完了後、前記第1物品取出動作を完了させる。
【0009】
本構成によれば、移載機が第2物品位置調整動作を実行して、係止部を適正第2物品位置にある第2物品の前面部の位置に対応する位置まで奥行方向奥側に向けて移動させることにより、第2物品位置調整動作を実行する以前に第2物品が適正第2物品位置から奥行方向手前側に位置ずれしている場合であっても、当該係止部によって第2物品を奥行方向奥側に移動させて適正第2物品位置に位置させることができる。そして、本構成によれば、このような第2物品位置調整動作を、第1物品取出動作の実行中における第1物品と第2物品との間に係止部が配置された後に行うため、取り出しの対象となる第1物品に対して奥行方向奥側に収納された第2物品の位置調整を、第1物品を取り出すために係止部を移動させる動作を利用して行うことができる。従って本構成によれば、収納部における奥行方向奥側に収納された第2物品の位置調整を効率的に行うことが可能となる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】物品収納設備の概略斜視図
図2】物品収納棚の要部を示す斜視図
図3】搬送装置の要部を示す斜視図
図4】搬送装置の要部を示す奥行方向視図
図5】物品収納設備の制御ブロック図
図6】搬送装置の制御ブロック図
図7】第1物品引渡動作の説明図
図8】第2物品引渡動作の説明図
図9】第1物品取出動作の説明図
図10】第2物品取出動作の説明図
図11】第1物品取出動作中に実行される第2物品位置調整動作の説明図
図12】その他の実施形態に係る物品収納設備を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、物品収納設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
〔物品収納設備の概略構成〕
図1に示すように、物品収納設備100は、2つの物品90を奥行方向Xに並べて収納可能な収納部13を備えた物品収納棚1と、奥行方向Xに交差する搬送方向に沿って物品90を搬送する搬送装置2と、搬送装置2の作動を制御する制御部C2(図6参照)と、を備えている。本実施形態では、一対の物品収納棚1が、搬送装置2を挟んで奥行方向Xの両側に配置されている。
【0014】
搬送装置2は、奥行方向Xに物品90を移動させて物品収納棚1(収納部13)から物品90を取り出す取出動作を行う移載機21を備えている。本実施形態では、移載機21は、このような取出動作の他、物品収納棚1(収納部13)に物品90を引き渡す引渡動作を行うように構成されている。すなわち、移載機21は、物品収納棚1における収納部13に対して物品90を移載する移載動作を行うように構成されており、この移載動作に、上述の取出動作および引渡動作が含まれる。
【0015】
ここで、「奥行方向X」は、搬送装置2が物品収納棚1(収納部13)に対して物品90を出し入れする方向である。すなわち、奥行方向Xは、移載機21による収納部13に対する物品90の移載方向に等しい。以下では、奥行方向Xにおいて、物品収納棚1に対して搬送装置2が位置する側を奥行方向手前側X1とし、その反対側を奥行方向奥側X2とする。また、奥行方向Xに対して平面視で直交する方向を「幅方向Y」とする。幅方向Yは、搬送装置2による物品90の搬送方向に等しい。また、本例では、幅方向Yは、物品収納棚1の前面(物品90を移載するための開口が設けられた仮想面)が水平方向に延在する方向にも等しい。なお、一対の物品収納棚1は互いに同じ構造である。以下において物品収納棚1に関して説明する場合には、特に言及しない限り、一対の物品収納棚1のうち一方を対象としている。
【0016】
本実施形態では、物品収納棚1は、物品90が収納される収納部13と、奥行方向X及び幅方向Yにおいて互いに所定間隔をあけて配置される複数の支柱11と、幅方向Yにおいて隣り合う一対の支柱11の間に設けられる梁12と、を備えている。
【0017】
図2に示すように、本実施形態では、収納部13における物品90が載置される面を載置面13Fとする。収納部13は、当該載置面13Fが形成された棚板部材130を備えている。この棚板部材130は、複数個所で屈曲された板状部材である。そして、棚板部材130の上面に載置面13Fが形成されている。本実施形態では、1つの収納部13は、幅方向Yに並ぶ複数の棚板部材130により構成されている。本例では、幅方向Yに並ぶ4つの棚板部材130によって、1つの収納部13が構成されている。
【0018】
本実施形態では、幅方向Yにおいて隣り合う一対の支柱11の間に、複数の収納部13が幅方向Yに並んで配置されている。1つの収納部13は、奥行方向Xに2つの物品90を並べて収納可能に構成されている。すなわち、各収納部13は、2つの物品90の奥行方向Xの寸法の合計よりも大きい奥行方向Xの長さを有すると共に1つの物品90の幅方向Yの寸法よりも大きい幅方向Yの長さを有する、載置面13Fを備えている。また本実施形態では、幅方向Yに並ぶ複数の収納部13の組が、上下方向Zに沿う複数段に亘って設けられている。更に本実施形態では、搬送装置2は、複数段の収納部13のそれぞれに対応して、複数段に設けられている。
【0019】
図1に示すように、物品収納設備100には、上下方向Zに沿って昇降して、複数段の収納部13のそれぞれに対応する高さに物品90を搬送可能なリフタ4が設けられている。例えばリフタ4は、上下方向Zに沿って延びるマストと、モータにより駆動されて当該マストに沿って昇降する物品載置台と、を備えている。
【0020】
幅方向Yにおけるリフタ4と物品収納棚1との間には、両者の間で物品90を搬送する中継コンベヤ3が設けられている。中継コンベヤ3は、複数段の収納部13のそれぞれに対応して複数段に設けられており、物品90が載置された状態で当該物品90を幅方向Yに沿って搬送する。例えば中継コンベヤ3は、ローラコンベヤやベルトコンベヤなどにより構成される。図示の例では、幅方向Yに並んで配置される物品収納棚1と中継コンベヤ3とリフタ4との組が、奥行方向Xで搬送装置2を挟んで一対設けられている。但し、このような構成に限定されることなく、物品収納棚1と中継コンベヤ3とリフタ4との組は、搬送装置2の搬送経路に対して奥行方向Xの一方側にだけ設けられていても良い。
【0021】
本実施形態に係る物品収納設備100では、リフタ4、中継コンベヤ3、及び搬送装置2によって、物品90の入出庫が行われる。但し、リフタ4や中継コンベヤ3などの搬送装置については物品収納設備100に必須の構成ではなく、また反対に、リフタ4や中継コンベヤ3に加えて他の搬送装置(或いは人)によって物品90の入出庫が行われても良い。
【0022】
〔物品〕
ここで、搬送装置2による搬送対象(移載機21による移載対象)であると共に、収納部13による収納対象である物品90について説明する。なお、以下における物品90の説明において、いずれかの「方向」或いはいずれかの「側」を定義する場合には、物品90が収納部13に収納された状態を基準とする。
【0023】
本実施形態では、物品90は、商品等を収容する容器である。より具体的には、物品90は、樹脂製の容器(例えば、コンテナ又は折り畳み自在ないわゆる折り畳みコンテナ等)とされる。
【0024】
図2に示すように、本実施形態では、物品90は、本体部900と、本体部900から下方に突出するように形成された底部904(図4参照)と、を備えている。本実施形態では、本体部900は、商品等が収容される部分であり、箱状に形成されている。そして、本体部900は、物品90が収納部13に収納された状態において、奥行方向手前側X1を向く前面に形成された前面部901と、奥行方向奥側X2を向く後面に形成された後面部902と、幅方向Yを向く両側面のそれぞれに形成された側面部903と、を備えている。一対の側面部903は、互いに幅方向Yにおける反対側を向いている。なお、前面部901と後面部902とは、互いに同じ構造であり、物品90の収納状態によっては何れもが前面部901或いは後面部902となり得る。
【0025】
底部904は、物品90が収納部13に収納された状態で、収納部13における載置面13Fに載置される部分である。図4に示すように、底部904は、物品90が搬送装置2によって搬送されている状態では、搬送装置2(詳細には後述する走行台車20の支持面20F)によって下方から支持される。本例では、走行台車20における支持面20Fと収納部13における載置面13Fとに亘って底部904が摺動することにより、搬送装置2と収納部13との間で物品90が移載される。本実施形態では、平面視において、底部904は本体部900よりも小さい。
【0026】
上述のように、物品90を収納する収納部13は、2つの物品90を奥行方向Xに並べて収納可能に構成されている。ここでは、収納部13における奥行方向手前側X1に収納された物品90を第1物品91とし、収納部13における奥行方向奥側X2に収納された物品90を第2物品92とする。本実施形態では、収納部13には、第1物品91が載置される第1載置領域A1が設定されており、収納部13における第1載置領域A1よりも奥行方向奥側X2には、第2物品92が載置される第2載置領域A2が設定されている。
【0027】
以下では、第1載置領域A1に載置された状態の物品90、或いは、第1載置領域A1に載置される対象となる物品90を、第1物品91と定義する。また、第2載置領域A2に載置された状態の物品90、或いは、第2載置領域A2に載置される対象となる物品90を、第2物品92と定義する。すなわち、第1載置領域A1に対して移載中の物品90も、ここでは第1物品91とする。第2物品92についても同様である。また、第1物品91の本体部、前面部、後面部、側面部を、本図において、910、911、912、913の符号で示す。同様に、第2物品92の本体部、前面部、後面部、側面部を、本図において、920、921、922、923の符号で示す。なお、第1物品91と第2物品92とを特に区別しない場合には、単に物品90と称する。
【0028】
〔物品収納棚の構成〕
図1及び図2に示すように、物品収納棚1は、物品90が載置される載置面13Fを有し、載置面13F上を奥行方向Xに沿って摺動して移載される物品90を収納する収納部13を備えている。
【0029】
収納部13は、2つの物品90を奥行方向Xに並べて収納可能に構成されている。上述のように、本実施形態では、収納部13は、幅方向Yに並ぶ複数の棚板部材130を備えている。収納部13の載置面13Fは、当該収納部13が備える複数の棚板部材130それぞれの上面により構成されている。
【0030】
本実施形態では、図7及び図9に示すように、収納部13における第1物品91の適正位置を適正第1物品位置P1とし、載置面13Fにおける適正第1物品位置P1の第1物品91が載置される領域を第1載置領域A1として定義している。第1載置領域A1は、載置面13Fの一部に設定された領域である。
【0031】
また、本実施形態では、図8及び図10に示すように、収納部13における第2物品92の適正位置を適正第2物品位置P2として、載置面13Fにおける適正第2物品位置P2の第2物品92が載置される領域を第2載置領域A2として定義している。第2載置領域A2は、載置面13Fの一部に設定された領域である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態では、第1載置領域A1及び第2載置領域A2のそれぞれに対して幅方向Yの両側に、載置面13Fから上方に突出する幅方向規制体14yが設けられている。これにより、収納部13に収納された物品90の幅方向Yの位置を規制することができる。
【0033】
本実施形態では、収納部13に物品90が収納された状態で、幅方向規制体14yは、当該物品90に対して幅方向Yの両側に配置されている。本例では、幅方向規制体14yは、第1載置領域A1に対して幅方向Yの両側に配置されている。図示の例では、第1載置領域A1に対する幅方向Yの両側のそれぞれにおいて、奥行方向Xに離間して一対の幅方向規制体14yが配置されている。すなわち、1つの第1載置領域A1に対して4つの幅方向規制体14yが配置されている。これにより、第1物品91が載置面13Fに直交する軸周りに回転することを規制できるため、第1物品91の姿勢を適正な姿勢に規制し易くなる。換言すれば、第1物品91の側面部913が奥行方向Xに沿い、且つ、第1物品91の前面部911及び後面部912が幅方向Yに沿うように、第1物品91の姿勢を規制することができる。従って、第1物品91を適切な姿勢で移載し易い構成が実現される。本例では、このような規制機能を高めるために、幅方向規制体14yのそれぞれは、第1載置領域A1の外側であって、当該第1載置領域A1の幅方向Yの境界に隣接する位置に配置されている。また、幅方向規制体14yは、第2載置領域A2に対しても第1載置領域A1に関する場合と同じように配置されている。すなわち本例では、1つの第2載置領域A2に対して4つの幅方向規制体14yが配置されている。従って、第2物品92を適切な姿勢で移載し易い構成が実現される。
【0034】
本実施形態では、第2載置領域A2に対して奥行方向奥側X2に、載置面13Fから上方に突出する奥行方向規制体14xが設けられている。これにより、収納部13に収納された第2物品92が奥行方向規制体14xよりも奥行方向奥側X2へ移動することを規制することができる。
【0035】
本実施形態では、奥行方向規制体14xは、第2載置領域A2に載置された状態の第2物品92に対して奥行方向奥側X2に配置されている。本例では、奥行方向規制体14xは、第2載置領域A2に対して奥行方向奥側X2に配置されている。より詳しくは、奥行方向規制体14xは、第2載置領域A2の外側であって、当該第2載置領域A2の奥行方向奥側X2の境界に隣接する位置に配置されている。本例では、第2載置領域A2に対して奥行方向奥側X2に、1つの奥行方向規制体14xが配置されている。但し、これに限らず、複数の奥行方向規制体14xが、第2載置領域A2の奥行方向奥側X2に配置されていても良い。
【0036】
本実施形態では、幅方向規制体14yと奥行方向規制体14xとのそれぞれは、棚板部材130とは別部材により構成されており、棚板部材130に取り付けられることで収納部13に配置されている。但し、これに限らず、幅方向規制体14y及び奥行方向規制体14xのうち少なくとも一方は、棚板部材130と一体的に構成されていても良い。
【0037】
ここで、上述の適正第1物品位置P1(図7等参照)は、収納部13における第1物品91の適正な位置である。本実施形態では、適正第1物品位置P1は、幅方向Yにおいては、幅方向規制体14yによって幅方向Yの位置が規制された状態で収納部13に収納された第1物品91の位置であり、第1物品91の側面部913における幅方向Yの位置を基準として定義される。また、適正第1物品位置P1は、奥行方向Xにおいては、第1物品91の前面部911が収納部13における奥行方向手前側X1の端部から奥行方向奥側X2に規定距離離れた位置に位置するように、収納部13に収納された第1物品91の位置であり、第1物品91の前面部911或いは後面部912の奥行方向Xの位置を基準として定義される。本例では、図7等に示すように、奥行方向Xにおける適正第1物品位置P1は、第1物品91の後面部912を基準として定義されている。すなわち、図中において一点鎖線で示される適正第1物品位置P1に第1物品91の後面部912が位置している状態で、第1物品91は、奥行方向Xにおいて、適正第1物品位置P1に位置している。
【0038】
また、上述の適正第2物品位置P2(図7等参照)は、収納部13における第2物品92の適正な位置である。本実施形態では、適正第2物品位置P2は、幅方向Yにおいては、幅方向規制体14yによって幅方向Yの位置が規制された状態で収納部13に収納された第2物品92の位置であり、第2物品92の側面部923における幅方向Yの位置を基準として定義される。また、適正第2物品位置P2は、奥行方向Xにおいては、第2物品92の後面部922が収納部13における奥行方向奥側X2の端部から奥行方向手前側X1に規定距離離れた位置に位置するように、収納部13に収納された第2物品92の位置であり、第2物品92の前面部921或いは後面部922の奥行方向Xの位置を基準として定義される。本例では、図7等に示すように、奥行方向Xにおける適正第2物品位置P2は、第2物品92の後面部922を基準として定義されている。すなわち、図中において一点鎖線で示される適正第2物品位置P2に第2物品92の後面部922が位置している状態で、第2物品92は、奥行方向Xにおいて、適正第2物品位置P2に位置している。なお、図7等において詳細な図示は省略するが、本例では、適正第2物品位置P2に位置する第2物品92の後面部922は、奥行方向規制体14x(図2参照)よりも奥行方向手前側X1に配置される。
【0039】
〔搬送装置の構成〕
図1に示すように、搬送装置2は、幅方向Yに沿って物品90を搬送する。また、搬送装置2は、奥行方向Xに沿って物品90を移動させて当該物品90を収納部13に対して移載する。
【0040】
本実施形態では、搬送装置2は、幅方向Yに沿って配置された走行レール2Rと、走行レール2Rに支持されて当該走行レール2Rに沿って走行する走行台車20と、を備えている。走行レール2Rは、幅方向Yに沿って並ぶ複数の収納部13に対して奥行方向手前側X1に設けられている。本実施形態では、走行レール2Rは、物品収納棚1における奥行方向手前側X1の梁12と一体的に設けられている。走行台車20は、物品90を下方から支持することが可能な支持面20F(図3及び図4参照)を備えている。走行台車20が、支持面20Fにより物品90を支持した状態で走行レール2Rを走行することにより、搬送装置2は物品90を幅方向Yに沿って搬送するように構成されている。
【0041】
搬送装置2は、物品収納棚1における収納部13に対して物品90を移載する移載動作を行うように構成された移載機21を備えている。移載機21は、物品90を奥行方向Xに沿って移動させることで収納部13に対して物品90を移載するように構成されている。より具体的には、図7等に示すように、搬送装置2は、走行台車20における支持面20F上および収納部13における載置面13F上において物品90を奥行方向Xに沿って摺動させることで、当該物品90を収納部13に対して移載するように構成されている。
【0042】
図3及び図4に示すように、移載機21は、物品90における奥行方向手前側X1を向く前面部901又は物品90における奥行方向奥側X2を向く後面部902(図2参照)のいずれかに係止される係止部212と、係止部212を動かす駆動部M(図6参照)と、を備えている。移載機21は、係止部212を物品90の前面部901または後面部902に係止させた状態で、物品90を奥行方向Xに移動させて、物品90を収納部13に対して移載するように構成されている。なお、上述のように、移載機21が行う移載動作には、収納部13から物品90を取り出す取出動作と、収納部13へ物品90を引き渡す引渡動作と、が含まれる。
【0043】
本実施形態では、移載機21は、奥行方向Xに沿って出退自在に構成された移載アーム211を備えている。ここでは、移載機21は、幅方向Yに間隔を空けて配置された一対の移載アーム211を備えている。一対の移載アーム211は、移載対象となる物品90に対して幅方向Yの両側を通って出退するように構成されている。すなわち、一対の移載アーム211のうち一方は、物品90における一方の側面部903(図2参照)に対して幅方向Yの外側を通って出退し、一対の移載アーム211のうち他方は、当該物品90における他方の側面部903に対して幅方向Yの外側を通って出退するようになっている。移載アーム211は、出退用モータM1(図6参照)によって、奥行方向Xに沿って出退駆動される。
【0044】
本実施形態では、移載アーム211は、走行台車20に固定された支持部211sと、支持部211sに対して奥行方向Xに相対移動自在に支持された第1アーム211aと、第1アーム211aに対して奥行方向Xに相対移動自在に支持された第2アーム211bと、を備えている。そして、第1アーム211aが支持部211sに対して奥行方向Xに相対移動すると共に、第1アーム211aと第2アーム211bとが奥行方向Xに相対移動することにより、移載アーム211が奥行方向Xに伸縮する構成となっている。本実施形態では、係止部212は、第2アーム211bに設けられている。このような構成により、移載アーム211は、奥行方向Xに出退して物品90を奥行方向Xに移動させることが可能となっている。
【0045】
移載動作に伴い物品90に係止される係止部212は、移載アーム211に設けられている。本例では、係止部212は、移載アーム211における第2アーム211bに設けられており、第2アーム211bが奥行方向Xに移動することに伴って奥行方向Xに移動するように構成されている。また、係止部212は、奥行方向Xに沿う軸心まわりに旋回自在となるように移載アーム211に支持されており、当該旋回によって、移載アーム211から幅方向Yにおける他方の移載アーム211側に突出する突出状態と、幅方向Yにおける他方の移載アーム211側に突出しない非突出状態と、に状態変更するように構成されている。係止部212は、突出状態では奥行方向X視で移載対象の物品90と重複する位置に配置され、非突出状態では奥行方向X視で移載対象の物品90と重複しない位置に配置される。
【0046】
本実施形態では、係止部212は、旋回用モータM2(図6参照)によって、奥行方向Xに沿う軸心まわりに旋回駆動される。なお、本実施形態では、移載アーム211を出退させるための出退用モータM1と係止部212を旋回させるための旋回用モータM2とが、「駆動部M」に相当する。出退用モータM1と旋回用モータM2とを含んで構成される駆動部Mには、移載機21の他の動作を実現するための機構や装置等(モータ等)が含まれていても良い。例えば、移載機21が、一対の移載アーム211を幅方向Yに沿って接近および離間させるためのモータ(接近離間用モータ)を備えている場合には、駆動部Mは、この接近離間用モータを含んで構成されていても良い。
【0047】
移載機21は、移載動作のうち引渡動作を行う場合には、係止部212を物品90の前面部901に係止させた状態で奥行方向奥側X2に移動させることで、物品90を奥行方向奥側X2に移動させる。また、移載機21は、移載動作のうち取出動作を行う場合には、係止部212を物品90の後面部902に係止させた状態で奥行方向手前側X1に移動させることで、物品90を奥行方向手前側X1に移動させる。
【0048】
本実施形態では、複数の係止部212が、互いに奥行方向Xに離間した位置関係となるように移載アーム211に配置されている。本例では、係止部212は、移載対象箇所となる収納部13に対して奥行方向Xにおける最も遠い位置に配置された第1係止部212aと、移載対象箇所となる収納部13に対して奥行方向Xにおける最も近い位置に配置された第2係止部212bと、第1係止部212aと第2係止部212bとの奥行方向Xの間に配置された中間係止部212mと、を含んでいる。すなわち、移載対象箇所となっている収納部13を基準として奥行方向手前側X1及び奥行方向奥側X2を定義した場合に、第1係止部212aは、移載アーム211における奥行方向手前側X1の部分(図示の例では奥行方向手前側X1の端部)に配置されており、第2係止部212bは、移載アーム211における奥行方向奥側X2の部分(図示の例では奥行方向奥側X2の端部)に配置されており、中間係止部212mは、これらの係止部212a,212bの奥行方向Xの間に配置されている。第1係止部212a、第2係止部212b、及び中間係止部212mは、一対の移載アーム211のそれぞれに設けられている。一対の第1係止部212aは、移載アーム211(ここでは第2アーム211b)に対して奥行方向Xの互いに同じ位置に配置されており、互いに協働して物品90に係止されるように構成されている。対の第2係止部212b及び一対の中間係止部212mについても同様に構成される。
【0049】
本実施形態では、第1係止部212aは、収納部13における第1載置領域A1に、第1物品91を引き渡すために機能する(図7参照)。中間係止部212mは、収納部13における第2載置領域A2に、第2物品92を引き渡すために機能する(図8参照)。第2係止部212bは、収納部13における第1載置領域A1に載置された第1物品91を取り出すため、及び、収納部13における第2載置領域A2に載置された第2物品92を取り出すために機能する(図9及び図10参照)。なお、本実施形態では、図1に示すように、一対の物品収納棚1の双方それぞれにおける収納部13が、移載対象箇所となり得る。すなわち、移載対象箇所として指定される収納部13が、一対の物品収納棚1のうち何れに備えられているかによって、搬送装置2を基準とした場合には奥行方向手前側X1と奥行方向奥側X2とが反対の関係となり得る。この場合、第1係止部212aと第2係止部212bとの関係も反対となる。すなわち、移載対象箇所となる収納部13によっては、第1係止部212aが第2係止部212bとなり得る。また、第2係止部212bが第1係止部212aとなり得る。
【0050】
〔物品収納設備の制御構成〕
図5に示すように、物品収納設備100は、設備全体を統括して管理する統括制御装置Cを備えている。統括制御装置Cは、物品収納棚1が備える複数の収納部13(図1参照)の何れかへ、又は、複数の収納部13の何れかから物品90を搬送する搬送指令を生成して、当該搬送指令を搬送装置2へ送信するように構成されている。本実施形態では、統括制御装置Cは、搬送装置2、中継コンベヤ3、及びリフタ4に対して上記の搬送指令を送信するように構成されている。搬送指令を受信した搬送装置2、中継コンベヤ3、及びリフタ4は、互いに協働して、物品90を目的の箇所へと搬送する。
【0051】
図6に示すように、搬送装置2には、当該搬送装置2の作動を制御する制御部C2が備えられている。制御部C2は、搬送装置2が有する各機能部を制御するように構成されている。本実施形態では、制御部C2は、走行台車20を走行駆動するための走行用モータ20m、移載機21における移載アーム211(図3等参照)を出退駆動するための出退用モータM1、及び、移載アーム211によって支持された係止部212を旋回駆動するための旋回用モータM2を制御するように構成されている。なお、本実施形態では、搬送装置2に備えられた制御部C2が、「制御部」に相当する。また、上述のように、本実施形態では、出退用モータM1及び旋回用モータM2が、「駆動部M」に相当する。
【0052】
上述の制御部C2及び統括制御装置Cは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0053】
〔移載動作〕
次に、図7図11を参照して、移載機21による物品90の移載動作について説明する。なお、図7図11は、移載動作を模式的に示した説明図であるため、細部(例えば、幅方向規制体14y、奥行方向規制体14x等)の構成を省略している。
【0054】
移載機21による移載動作には、収納部13から物品90を取り出す取出動作と、収納部13へ物品90を引き渡す引渡動作と、が含まれる。図6に示すように、移載機21による移載動作は、制御部C2による駆動部M(出退用モータM1、旋回用モータM2)の制御によって行われる。以下の説明では、図6も参照することとする。
【0055】
本実施形態では、引渡動作には、収納部13における第1載置領域A1に第1物品91を引き渡す第1物品引渡動作と、収納部13における第2載置領域A2に第2物品92を引き渡す第2物品引渡動作と、が含まれる。また、取出動作には、収納部13における第1載置領域A1に載置された第1物品91を取り出す第1物品取出動作と、収納部13における第2載置領域A2に載置された第2物品92を取り出す第2物品取出動作と、が含まれる。
【0056】
図7は、移載機21が第1物品引渡動作を行っている様子を示している。制御部C2は、駆動部Mを制御して、移載機21に第1物品引渡動作を実行させる。図7に示すように、第1物品引渡動作では、制御部C2は、駆動部Mを制御して、第1物品91の前面部911に第1係止部212a(係止部212)を係止させた状態として第1係止部212aを奥行方向奥側X2に移動させ、第1物品91を奥行方向奥側X2へ向けて押し出す。具体的には、制御部C2は、旋回用モータM2を制御して第1係止部212aを幅方向Yへ突出させ、出退用モータM1を制御して移載アーム211を奥行方向奥側X2へ突出させる(図7(a)(b)参照)。このようにして、制御部C2は、移載機21に第1物品引渡動作を行わせる。第1物品引渡動作において、第1係止部212aにより押し出された第1物品91は、走行台車20の支持面20Fと収納部13における載置面13Fとを摺動して、第1載置領域A1に載置されると共に適正第1物品位置P1に配置される。
【0057】
第1物品引渡動作における移載アーム211の奥行方向奥側X2への突出量は、第1物品91の奥行方向Xの寸法と適正第1物品位置P1とに基づいて制御される。第1物品91が適正第1物品位置P1に配置された後は、制御部C2は、出退用モータM1を制御して、移載アーム211を奥行方向手前側X1へ引退させる(図7(c)参照)。本例では、制御部C2は、移載アーム211を奥行方向手前側X1へ引退させることと同時に、或いはその後に、旋回用モータM2を制御して第1係止部212aを非突出状態とする。
【0058】
図8は、移載機21が第2物品引渡動作を行っている様子を示している。制御部C2は、駆動部Mを制御して、移載機21に第2物品引渡動作を実行させる。図8に示すように、第2物品引渡動作では、制御部C2は、駆動部Mを制御して、第2物品92の前面部921に中間係止部212m(係止部212)を係止させた状態として中間係止部212mを奥行方向奥側X2に移動させ、第2物品92を奥行方向奥側X2へ向けて押し出す。具体的には、制御部C2は、旋回用モータM2を制御して中間係止部212mを幅方向Yへ突出させ、出退用モータM1を制御して移載アーム211を奥行方向奥側X2へ突出させる(図8(a)(b)参照)。本実施形態では、走行台車20の走行中における移載アーム211の状態である基準状態において、中間係止部212mが第2物品92の前面部921よりも奥行方向奥側X2に位置している。そこで、第2物品引渡動作では、一旦移載アーム211を奥行方向手前側X1に移動させて中間係止部212mを第2物品92の前面部921に係止させ、その後、移載アーム211を奥行方向奥側X2へ突出させる動作を行う。このようにして、制御部C2は、移載機21に第2物品引渡動作を行わせる。第2物品引渡動作において、中間係止部212mにより押し出された第2物品92は、走行台車20の支持面20Fと収納部13における載置面13Fとを摺動して、第2載置領域A2に載置されると共に適正第2物品位置P2に配置される。
【0059】
第2物品引渡動作における移載アーム211の奥行方向奥側X2への突出量は、第2物品92の奥行方向Xの寸法と適正第2物品位置P2とに基づいて制御される。第2物品92が適正第2物品位置P2に配置された後は、制御部C2は、出退用モータM1を制御して、移載アーム211を奥行方向手前側X1へ引退させる(図8(c)参照)。本例では、制御部C2は、移載アーム211を奥行方向手前側X1へ引退させることと同時に、或いはその後に、旋回用モータM2を制御して中間係止部212mを非突出状態とする。
【0060】
図9は、移載機21が第1物品取出動作を行っている様子を示している。制御部C2は、駆動部Mを制御して、移載機21に第1物品取出動作を実行させる。図9に示すように、第1物品取出動作では、制御部C2は、駆動部Mを制御して、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に第2係止部212b(係止部212)を配置した後、第1物品91の後面部912に第2係止部212bを係止させた状態として第2係止部212bを奥行方向手前側X1に移動させる。具体的には、制御部C2は、出退用モータM1を制御して移載アーム211を奥行方向奥側X2へ突出させた後、第2係止部212bが第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に位置する状態で、旋回用モータM2を制御して第2係止部212bを幅方向Yへ突出させることで、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に第2係止部212bを配置する(図9(a)(b)参照)。その後、制御部C2は、出退用モータM1を制御して移載アーム211を奥行方向手前側X1へ引退させることで、第2係止部212bを、第1物品91の後面部912に係止させると共に奥行方向手前側X1へ移動させて、第1物品91を奥行方向手前側X1へ引き込む(図9(c)参照)。このようにして、制御部C2は、移載機21に第1物品取出動作を行わせる。第1物品取出動作において、第2係止部212bにより引き込まれた第1物品91は、収納部13における載置面13Fと走行台車20の支持面20Fとを摺動して、走行台車20の支持面20Fに載置される。
【0061】
第1物品取出動作において第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に第2係止部212bを配置する場合の移載アーム211の奥行方向奥側X2への突出量は、適正第1物品位置P1に基づいて制御される。より詳しくは、上記の突出量は、収納部13に収納された第1物品91の奥行方向Xへの位置ずれ、及び、制御部C2の制御上の誤差(移載アーム211の突出量の誤差等)や物品収納設備100の機械的誤差(物品収納棚1と搬送装置2との設置誤差等)等を考慮して、適正第1物品位置P1に在るとされる第1物品91の後面部912の位置よりも奥行方向奥側X2に規定距離離れた位置を基準に制御される。但し、このような構成に限らず、例えば、移載機21が、第1物品91の奥行方向Xの位置を検知する検知器を備えて構成されていても良い。そしてこの場合、制御部C2は、上記検知器による検知結果に基づいて移載アーム211の突出量を制御すると良い。このような検知器としては、例えば、移載アーム211を奥行方向奥側X2へ突出させつつ、奥行方向Xの各位置において第1物品91の有無を検知するセンサ等とすることができる。この場合、制御部C2は、検知器による検知結果が「物品有り→物品無し」となった位置に基づいて移載アーム211の突出量を制御すると良い。「物品有り→物品無し」となった位置よりも一定距離だけ奥行方向奥側X2の位置で第2係止部212bを幅方向Yに突出させることで、第2係止部212bを適切な位置に配置できる。
【0062】
図10は、移載機21が第2物品取出動作を行っている様子を示している。制御部C2は、駆動部Mを制御して、移載機21に第2物品取出動作を実行させる。図10に示すように、第2物品取出動作では、制御部C2は、駆動部Mを制御して、第2物品92よりも奥行方向奥側X2に第2係止部212b(係止部212)を配置した後、第2物品92の後面部922に第2係止部212bを係止させた状態として第2係止部212bを奥行方向手前側X1に移動させる。具体的には、制御部C2は、出退用モータM1を制御して移載アーム211を奥行方向奥側X2へ突出させた後、第2係止部212bが第2物品92の後面部922よりも奥行方向奥側X2に位置する状態で、旋回用モータM2を制御して第2係止部212bを幅方向Yへ突出させることで、第2物品92よりも奥行方向奥側X2に第2係止部212bを配置する(図10(a)(b)参照)。その後、制御部C2は、出退用モータM1を制御して移載アーム211を奥行方向手前側X1へ引退させることで、第2係止部212bを、第2物品92の後面部922に係止させると共に奥行方向手前側X1へ移動させて、第2物品92を奥行方向手前側X1へ引き込む(図10(c)参照)。このようにして、制御部C2は、移載機21に第2物品取出動作を行わせる。第2物品取出動作において、第2係止部212bにより引き込まれた第2物品92は、収納部13における載置面13Fと走行台車20の支持面20Fとを摺動して、走行台車20の支持面20Fに載置される。
【0063】
第2物品取出動作において第2物品92よりも奥行方向奥側X2に第2係止部212bを配置する場合の移載アーム211の奥行方向奥側X2への突出量は、適正第2物品位置P2に基づいて制御される。より詳しくは、上記の突出量は、収納部13に収納された第2物品92の奥行方向Xへの位置ずれ、及び、制御部C2の制御上の誤差(移載アーム211の突出量の誤差等)や物品収納設備100の機械的誤差(物品収納棚1と搬送装置2との設置誤差等)等を考慮して、適正第2物品位置P2に在るとされる第2物品92の後面部922の位置よりも奥行方向奥側X2に規定距離離れた位置を基準に制御される。上述のように本実施形態では、第2物品92が奥行方向奥側X2へ移動することを規制する奥行方向規制体14xが、収納部13に設けられている(図2参照)。そのため、第2物品92が収納部13において振動した場合等においても、第2物品92は、上記の奥行方向規制体14xよりも奥行方向奥側X2へ移動し難い。従って、第2物品92よりも奥行方向奥側X2に第2係止部212bを配置する場合の移載アーム211の奥行方向奥側X2への突出量は、奥行方向規制体14xが配置された位置を基準に制御されると好適である。これにより、第2係止部212bが第2物品92の側面部923に干渉することを抑制し、第2係止部212bを適切な位置に配置できる。但し、上記のような構成に限らず、上述のように、移載機21が、第2物品92の奥行方向Xの位置を検知する検知器を備えて構成されていても良い。詳細な説明は省略するが、この場合、制御部C2は、この検知器による検知結果に基づいて移載アーム211の突出量を制御すると良い。
【0064】
ここで、物品収納設備100では、搬送装置2の稼働等により物品収納棚1が振動して、収納部13に収納された物品90が位置ずれを起こす場合がある。このような位置ずれを修正するために、移載機21を利用して、物品90の位置調整を行うことが可能である。しかしながら、2つの物品90が奥行方向Xに並んで収納部13に収納されている場合には、奥行方向奥側X2に収納された物品90(第2物品92)の位置調整を行う際に、当該物品90(第2物品92)に対して奥行方向手前側X1にある物品90(第1物品91)が妨げとなる。そのため、これまでは、第2物品92の位置調整を行う前に、一旦第1物品91を別の場所に搬送する必要があった。そのため、第2物品92の位置調整を効率的に行うことができなかった。一方、本開示に係る物品収納設備100は、以下に説明するように、2つの物品90を奥行方向Xに並べて収納可能な収納部13を備えた構成において、奥行方向奥側X2に配置された物品90(第2物品92)の位置調整を効率的に行うことが可能となっている。
【0065】
移載機21は、収納部13へ物品90を引き渡す引渡動作および収納部13から物品90を取り出す取出動作に加えて、収納部13に収納された物品90の位置を調整する位置調整動作を行うように構成されている。位置調整動作には、収納部13に収納された第2物品92を適正第2物品位置P2に位置した状態とする第2物品位置調整動作が含まれる。
【0066】
図11の一部、すなわち、図11(b)(c)は、移載機21が第2物品位置調整動作を行っている様子を示している。制御部C2は、駆動部Mを制御して、移載機21に第2物品位置調整動作を実行させることが可能に構成されている。すなわち図11(b)(c)に示すように、第2物品位置調整動作では、制御部C2は、駆動部Mを制御して、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に配置された第2係止部212b(係止部212)を、適正第2物品位置P2にある第2物品92の前面部921の位置に対応する位置まで奥行方向奥側X2に向けて移動させる動作を行わせる。図11(a)(b)に示す例では、第2物品92は、適正第2物品位置P2から奥行方向手前側X1に位置ずれしている。このような場合において、制御部C2は、第2係止部212bが第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に配置された状態で、出退用モータM1を制御して移載アーム211を奥行方向奥側X2へ突出させることで、第2係止部212bを第2物品92の前面部921に係止させる。その後、制御部C2は、出退用モータM1を制御して移載アーム211を更に奥行方向奥側X2に突出させることで第2係止部212bを更に奥行方向奥側X2へ移動させて、第2物品92を奥行方向奥側X2へ押し出して適正第2物品位置P2に配置する(図11(c)参照)。このようにして、制御部C2は、移載機21に第2物品位置調整動作を実行させる。
【0067】
第2物品位置調整動作において第2物品92を適正第2物品位置P2に位置させた状態とする場合の移載アーム211の奥行方向奥側X2への突出量は、第2物品92の奥行方向Xの寸法と適正第2物品位置P2とに基づいて制御される。例えば、図示のように、適正第2物品位置P2が、適正第2物品位置P2に在るとされる第2物品92(現実には第2物品92は適正第2物品位置P2に配置されていなくても良い。)の後面部922の位置(図中「P2」で示される位置)を基準とする場合には、この後面部922の位置は、第2物品92の奥行方向Xの寸法に関係なく一定である。この場合、移載アーム211の突出量は、適正第2物品位置P2に在るとされる第2物品92の後面部922の位置から第2物品92の奥行方向Xの寸法だけ奥行方向手前側X1に離間した位置に、第2係止部212bが配置されるように制御される。このため、例えば、第2物品92の奥行方向Xの寸法が一律でない場合であって、適正第2物品位置P2として第2物品92の後面部922の位置を基準とする場合には、第2物品位置調整動作では、対象となる第2物品92の奥行方向Xの寸法が長いほど移載アーム211の突出量が小さくなり、対象となる第2物品92の奥行方向Xの寸法が短いほど移載アーム211の突出量が大きくなるように、制御部C2は移載アーム211の突出量を制御する。
【0068】
そして、この物品収納設備100では、このような第2物品位置調整動作を行うために、制御部C2は、第1物品取出動作のための移載機21の動作を利用する。すなわち、制御部C2は、移載機21による第1物品取出動作の実行中に、第1物品91と第2物品92との間に第2係止部212b(係止部212)が配置された後、移載機21に第2物品位置調整動作を行わせ、第2物品位置調整動作の完了後、第1物品取出動作を完了させる。
【0069】
具体的には、図11(a)(b)に示すように、制御部C2は、移載機21に第1物品取出動作を開始させ、第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に第2係止部212bを配置する。次に、図11(b)(c)に示すように、制御部C2は、当該第2係止部212bを、適正第2物品位置P2に在るとされる第2物品92の前面部921の位置に対応する位置まで奥行方向奥側X2に向けて移動させることで、移載機21に第2物品位置調整動作を実行させる。第2物品位置調整動作が完了した後は、制御部C2は、第1物品取出動作の続きを、移載機21に実行させる(図11(e))。これにより、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作が実行される。従って、第2物品位置調整動作の実行以前に第2物品92が奥行方向手前側X1に位置ずれしている場合には当該第2物品92を適正第2物品位置P2に位置させた状態にでき、且つ、第1物品91を収納部13から取り出すことができる。従って、本構成によれば、取り出しの対象となる第1物品91に対して奥行方向奥側X2に収納された第2物品92の位置調整を、第1物品91を取り出すために第2係止部212b(係止部212)を移動させる動作を利用して行うことができる。よって、第2物品92の位置調整を効率的に行うことが可能となる。
【0070】
本実施形態では、制御部C2は、移載機21による第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせる場合、第1物品91と第2物品92との間に第2係止部212b(係止部212)が配置された後、第2係止部212bを奥行方向手前側X1に移動させることなく奥行方向奥側X2に向けて移動させて第2物品位置調整動作を完了させる。そして、制御部C2は、第2物品位置調整動作を完了させた後は、第2係止部212bを奥行方向手前側X1に移動させて第1物品取出動作を完了させる。すなわち、制御部C2は、第1物品取出動作の間に第2物品位置調整動作を実行する場合に、第2係止部212bの奥行方向Xの移動量が必要最小限となるように、移載機21の動作を制御する。これにより、第2物品位置調整動作を実行する場合の移載機21の動作の無駄を減らし、より効率的に第2物品92の位置調整を行うことができる。
【0071】
また本実施形態では、制御部C2は、移載機21に第1物品取出動作を行わせる場合に、毎回、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせる。換言すれば、制御部C2は、第2物品92が位置ずれしているか否かに関係なく、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を実行させる。例えば、第1物品取出動作が実行される以前に、収納部13に収納された第2物品92が適正第2物品位置P2に位置している場合であっても、制御部C2は、移載機21による第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせる。この場合には、第2物品位置調整動作を行っても、第2物品92が、奥行方向奥側X2へ移動する第2係止部212bによって奥行方向奥側X2へ移動させられることはない。しかしながら、移載機21に第1物品取出動作を行わせる場合に、毎回、第2物品位置調整動作を実行させることで、物品収納棚1に収納された複数の第2物品92のそれぞれに対して、ある程度の期間毎に位置調整を行うことができるため、第2物品92の位置が適正第2物品位置P2から大きくずれた状態となる可能性を低減することができる。また、本構成によれば、実際に第2物品92が位置ずれしているか否かを検出するための検出装置等を不要とすることができる。従って、物品収納設備100の構成を簡略化できる。なお、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせるため、第2係止部212bが第1物品91と第2物品92との奥行方向Xの間に配置された状態から、当該第2係止部212bを規定距離だけ奥行方向Xに往復移動させるだけで第2物品位置調整動作は完了する。そのため、第2物品位置調整動作を実行させることによる移載機21の動作の無駄を少なく抑えることができる。
【0072】
〔その他の実施形態〕
次に、物品収納設備のその他の実施形態について説明する。
【0073】
(1)上記の実施形態では、制御部C2は、移載機21に第1物品取出動作を行わせる場合に、毎回、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、制御部C2は、予め設定された条件を満たした場合に、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせても良い。例えば、第2物品92は、収納部13に収納されてからの経過時間が長いほど、物品収納棚1の振動等に起因して適正第2物品位置P2から位置ずれし易い。このため、上記の予め設定された条件として、例えば、第2物品92が収納部13に収納されてからの経過時間が規定の閾値以上であることを含めることができる。この場合、制御部C2は、収納部13に収納されてからの経過時間が閾値を超えた第2物品92を対象として、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせる。これにより、位置ずれしている可能性の高い第2物品92を対象として、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせることができる。
【0074】
(2)また、これに限らず、上記の予め設定された条件として、例えば、収納部13に収納された第2物品92の位置ずれを検知するための検知器によって位置ずれが検知されたことを含めても良い。この場合、制御部C2は、位置ずれが検知された第2物品92を対象として、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を行わせる。例えば、移載アーム211に、物品90の位置を検知するための検知器を設け、第1物品取出動作を実行する際に、移載アーム211を突出させることによって検知器を第2物品92が載置された第2載置領域A2まで到達させ、第2物品92の位置ずれを検知しても良い。この場合、検知器は、移載アーム211における奥行方向奥側X2の先端部に取り付けられると好適である。そして、この検知器によって第2物品92の位置ずれが検知された場合には、制御部C2は、第2係止部212b或いは中間係止部212mを用いて第2物品位置調整動作を実行させる。移載アーム211の奥行方向奥側X2の先端部分に配置された第2係止部212bを用いて第2物品位置調整動作を行う場合には、一旦移載アーム211を奥行方向手前側X1に引退させて、第2物品92の前面部921よりも奥行方向手前側X1に第2係止部212bを配置させた後に、第2物品位置調整動作を行わせると良い。移載アーム211における奥行方向Xの中間部分に配置された中間係止部212mを用いて第2物品位置調整動作を行う場合には、上記検知器により第2物品92の位置ずれが検知された時点において中間係止部212mが第2物品92の前面部921よりも奥行方向手前側X1に配置されている場合には、移載アーム211を奥行方向手前側X1に引退させることなく、第2物品位置調整動作を行わせることができる。上記検知器により第2物品92の位置ずれが検知された時点において中間係止部212mが第2物品92の前面部921よりも奥行方向奥側X2に配置されている場合には、上述した第2係止部212bを用いる場合と同様に、一旦移載アーム211を奥行方向手前側X1に引退させることによって中間係止部212mを第2物品92の前面部921よりも奥行方向手前側X1に配置するようにすると良い。
【0075】
(3)上記の実施形態では、第1載置領域A1及び第2載置領域A2のそれぞれに対して幅方向Yの両側に、載置面13Fから上方に突出する幅方向規制体14yが設けられている例について説明した。しかし、幅方向規制体14yは、物品収納設備100に必須の構成ではなく、収納部13に設けられていなくても良い。
【0076】
(4)上記の実施形態では、第2載置領域A2に対して奥行方向奥側X2に、載置面13Fから上方に突出する奥行方向規制体14xが設けられている例について説明した。しかし、奥行方向規制体14xは、物品収納設備100に必須の構成ではなく、収納部13に設けられていなくても良い。
【0077】
(5)上記の実施形態では、係止部212が、移載アーム211に対して奥行方向Xに沿う軸心まわりに旋回することで、幅方向Yにおける他方の移載アーム211側に突出する突出状態と、突出しない非突出状態とに状態変更するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、係止部212は、例えば、移載アーム211に対して上下方向Zに沿う軸心まわりに旋回自在に支持され、当該上下方向Zに沿う軸心まわりに旋回することで突出状態と非突出状態とに状態変更するように構成されていても良い。或いは、係止部212は、移載アーム211に対して幅方向Yに相対移動するように支持されて、突出状態と非突出状態とに状態変更するように構成されていても良い。
【0078】
(6)上記の実施形態では、一対の移載アーム211のうち一方の移載アーム211に支持された係止部212が、幅方向Yにおける他方の移載アーム211側に突出する突出状態と、突出しない非突出状態とに状態変更するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、係止部212は、常に突出状態となるように移載アーム211に固定支持されていても良い。この場合、それぞれ係止部212を支持する一対の移載アーム211は、互いに幅方向Yに接近および離間するように構成されていると良い。そして、一対の移載アーム211を幅方向Yに接近させることによって、一対の係止部212を奥行方向X視で物品90と重複する位置に配置させ、一対の移載アーム211を幅方向Yに離間させることによって、一対の係止部212を奥行方向X視で物品90と重複しない位置に配置させるようにすると良い。このような構成によっても、係止部212を物品90の前面部901又は後面部902に係止させることが可能な構成を実現できる。
【0079】
(7)上記の実施形態では、係止部212が、一対の移載アーム211のそれぞれに対して、3つ設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、係止部212は、一対の移載アーム211のそれぞれに対して、2つ以下、或いは、4つ以上設けられていても良い。また上記の実施形態では、中間係止部212mが、奥行方向Xにおける第1係止部212aと第2係止部212bとの間隔の中央位置に配置された構成を例として説明した。しかしこれには限定されず、中間係止部212mが、第1係止部212aと第2係止部212bとの間隔の中央位置よりも、第1係止部212aに近い側に配置され、又は、第2係止部212bに近い側に配置されていても良い。このような場合において、奥行方向Xにおける第1係止部212aと中間係止部212mとの間隔、又は、奥行方向Xにおける中間係止部212mと第2係止部212bとの間隔が、物品90の奥行方向Xの寸法に応じて設定され、或いは、物品90の奥行方向Xの寸法より大きく設定されていても良い。
【0080】
(8)搬送装置2としては、上記実施形態で示した形態の他にも、例えば図12に示すように、移載機21を上下方向Z及び幅方向Yに沿って移動させるように構成されたスタッカークレーン200を用いても良い。また、図12には、1つのスタッカークレーン200が複数の移載機21(2つの移載機21)を備えた構成が示されているが、1つのスタッカークレーン200が1つの移載機21を備えた構成であっても良い。
【0081】
(9)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0082】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品収納設備について説明する。
【0083】
物品収納設備は、
2つの物品を奥行方向に並べて収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、
前記奥行方向に交差する搬送方向に沿って前記物品を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の作動を制御する制御部と、を備え、
前記搬送装置は、前記奥行方向に前記物品を移動させて前記物品収納棚から前記物品を取り出す取出動作を行う移載機を備え、
前記奥行方向において、前記物品収納棚に対して前記搬送装置が位置する側を奥行方向手前側とし、その反対側を奥行方向奥側とし、前記収納部における前記奥行方向手前側に収納された前記物品を第1物品とし、前記収納部における前記奥行方向奥側に収納された前記物品を第2物品とし、前記収納部における前記第2物品の適正位置を適正第2物品位置として、
前記移載機は、前記物品における前記奥行方向手前側を向く前面部又は前記物品における前記奥行方向奥側を向く後面部のいずれかに係止される係止部と、前記係止部を動かす駆動部と、を備え、
前記制御部は、前記駆動部を制御して、
前記第1物品と前記第2物品との前記奥行方向の間に前記係止部を配置した後、前記第1物品の前記後面部に前記係止部を係止させた状態として前記係止部を前記奥行方向手前側に移動させ、前記第1物品の前記取出動作を行う第1物品取出動作と、
前記第1物品と前記第2物品との前記奥行方向の間に配置された前記係止部を、前記適正第2物品位置にある前記第2物品の前記前面部の位置に対応する位置まで前記奥行方向奥側に向けて移動させる第2物品位置調整動作と、を前記移載機に実行させることが可能であり、
前記制御部は、前記移載機による前記第1物品取出動作の実行中に、前記第1物品と前記第2物品との間に前記係止部が配置された後、前記移載機に前記第2物品位置調整動作を行わせ、前記第2物品位置調整動作の完了後、前記第1物品取出動作を完了させる。
【0084】
本構成によれば、移載機が第2物品位置調整動作を実行して、係止部を適正第2物品位置にある第2物品の前面部の位置に対応する位置まで奥行方向奥側に向けて移動させることにより、第2物品位置調整動作を実行する以前に第2物品が適正第2物品位置から奥行方向手前側に位置ずれしている場合であっても、当該係止部によって第2物品を奥行方向奥側に移動させて適正第2物品位置に位置させることができる。そして、本構成によれば、このような第2物品位置調整動作を、第1物品取出動作の実行中における第1物品と第2物品との間に係止部が配置された後に行うため、取り出しの対象となる第1物品に対して奥行方向奥側に収納された第2物品の位置調整を、第1物品を取り出すために係止部を移動させる動作を利用して行うことができる。従って本構成によれば、収納部における奥行方向奥側に収納された第2物品の位置調整を効率的に行うことが可能となる。
【0085】
ここで、前記制御部は、前記移載機による前記第1物品取出動作の実行中に前記第2物品位置調整動作を行わせる場合、前記第1物品と前記第2物品との間に前記係止部が配置された後、前記係止部を前記奥行方向手前側に移動させることなく前記奥行方向奥側に向けて移動させて前記第2物品位置調整動作を完了させると好適である。
【0086】
本構成によれば、第2物品位置調整動作を実行する場合の移載機の動作の無駄を減らし、より効率的に第2物品の位置調整を行うことができる。
【0087】
また、前記制御部は、前記移載機に前記第1物品取出動作を行わせる場合に、毎回、前記第1物品取出動作の実行中に前記第2物品位置調整動作を行わせると好適である。
【0088】
本構成によれば、第2物品が位置ずれしているか否かに関係なく、第1物品取出動作の実行中に第2物品位置調整動作を実行することになる。そのため、実際に第2物品が位置ずれしているか否かを検出するための検出装置等を不要とすることができる。
【0089】
また、前記収納部における前記第1物品の適正位置を適正第1物品位置とし、前記収納部における前記物品が載置される面を載置面とし、前記載置面における前記適正第1物品位置の前記第1物品が載置される領域を第1載置領域とし、前記載置面における前記適正第2物品位置の前記第2物品が載置される領域を第2載置領域とし、前記奥行方向に対して平面視で直交する方向を幅方向として、
前記第1載置領域及び前記第2載置領域のそれぞれに対して前記幅方向の両側に、前記載置面から上方に突出する幅方向規制体が設けられていると好適である。
【0090】
本構成によれば、幅方向規制体によって、第1物品及び第2物品それぞれの幅方向位置を規制することができる。そのため、係止部を、第1物品と第2物品との奥行方向の間に配置するために奥行方向奥側に移動させる場合に、係止部と第1物品又は第2物品とが干渉する可能性を低減することができる。従って、本構成によれば、第1物品取出動作や第2物品位置調整動作などの移載機の動作を適切に行い易くすることができる。
【0091】
また、前記第2載置領域に対して前記奥行方向奥側に、前記載置面から上方に突出する奥行方向規制体が設けられていると好適である。
【0092】
本構成によれば、第2物品が奥行方向規制体よりも奥行方向奥側へ移動することを規制することができる。そして、第2物品が奥行方向手前側へ位置ずれした場合には、上述の第2物品位置調整動作によって、当該第2物品を適正第2物品位置に位置させることができる。従って、本構成によれば、奥行方向の適正な範囲内に第2物品を位置させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本開示に係る技術は、物品を収納可能な収納部を備えた物品収納棚と、物品を搬送する搬送装置と、を備えた物品収納設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
100 :物品収納設備
1 :物品収納棚
13 :収納部
13F :載置面
14x :奥行方向規制体
14y :幅方向規制体
2 :搬送装置
21 :移載機
212 :係止部
90 :物品
901 :前面部
902 :後面部
91 :第1物品
92 :第2物品
C2 :制御部
M :駆動部
A1 :第1載置領域
A2 :第2載置領域
P1 :適正第1物品位置
P2 :適正第2物品位置
X :奥行方向
X1 :奥行方向手前側
X2 :奥行方向奥側
Y :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12