(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】エレベータ管理装置、エレベータ管理システム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20230214BHJP
B66B 17/20 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B66B1/18 N
B66B17/20 A
(21)【出願番号】P 2022013201
(22)【出願日】2022-01-31
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125198(JP,A)
【文献】特開2020-128279(JP,A)
【文献】特開2020-114763(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066054(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 - 1/52
B66B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、
前記複数のエレベータの何れか1台のエレベータに割り当てられた自走型装置の、出発階における当該エレベータへの乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する乗車状況情報取得部と、
当該エレベータの発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する運転状況情報取得部と、
前記乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータが前記出発階から出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、前記出発階から乗車する予定の利用者による当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てる割当部と、
を備える、エレベータ管理装置。
【請求項2】
前記乗車状況情報は、前記自走型装置に割り当てられたエレベータに前記自走型装置が前記出発階から乗車する予定であることを示す乗車予定情報を含み、
前記割当部は、
前記乗車予定情報が取得されてから前記乗車完了情報が取得されるまでの第2期間に行われた、前記利用者による前記呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てない、
請求項1に記載のエレベータ管理装置。
【請求項3】
前記自走型装置に割り当てられたエレベータは、前記出発階から出発するときに乗車している利用者がいないエレベータである、
請求項1または2に記載のエレベータ管理装置。
【請求項4】
前記第1期間に行われた、前記利用者による前記呼び操作に対して、前記自走型装置に割り当てられたエレベータを割り当てた場合、前記出発階における当該エレベータの扉の開状態を維持する期間の長さを調整する開状態調整部、をさらに備える、
請求項1から3の何れか1項に記載のエレベータ管理装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のエレベータ管理装置と、
前記自走型装置と、
を備えたエレベータ管理システム。
【請求項6】
前記乗車状況情報取得部は、
前記自走型装置から前記乗車状況情報を取得する、
請求項5に記載のエレベータ管理システム。
【請求項7】
複数のエレベータの運転を管理するエレベータ管理装置を制御する制御方法であって、
前記複数のエレベータの何れか1台のエレベータに割り当てられた自走型装置の、出発階における当該エレベータへの乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する乗車状況情報取得ステップと、
当該エレベータの発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する運転状況情報取得ステップと、
前記乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータが前記出発階を出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、前記出発階から乗車する予定の利用者による当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てる割当ステップと、
を含む、エレベータ管理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自走型装置によるエレベータの呼びに基づいて、当該自走型装置の乗降を示す情報を、乗場に設けられた機器またはかごに設けられた機器に報知させる技術が記載されている。
【0003】
特許文献2には、ロボットがエレベータに乗り込む前に、かご内および乗降領域に人が検出されなかった場合、エレベータをロボット専用モードとする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/066054号
【文献】特開2009-234716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、乗降を示す情報を報知しても、必ずしも利用者が自走型装置に接触しないように行動するとは限らず、利用者の安全性が担保されないという問題がある。また、特許文献2に記載された技術では、ロボットがエレベータに乗車する場合はロボット専用モードとなるため、利用者はロボットと同一階から同乗することができないという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記課題を解決するためになされたものであり、利用者の安全性を担保しつつ、同一階から利用者および自走型装置をエレベータに同乗させる技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエレベータ管理装置は、複数のエレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、前記複数のエレベータの何れか1台のエレベータに割り当てられた自走型装置の、出発階における当該エレベータへの乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する乗車状況情報取得部と、当該エレベータの発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する運転状況情報取得部と、前記乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータが前記出発階から出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、前記出発階から乗車する予定の利用者による当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てる割当部と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るエレベータ管理装置の制御方法は、複数のエレベータの運転を管理するエレベータ管理装置を制御する制御方法であって、前記複数のエレベータの何れか1台のエレベータに割り当てられた自走型装置の、出発階における当該エレベータへの乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する乗車状況情報取得ステップと、当該エレベータの発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する運転状況情報取得ステップと、前記乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータが前記出発階を出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、前記出発階から乗車する予定の利用者による当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てる割当ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、利用者の安全性を担保しつつ、同一の出発階から利用者および自走型装置をエレベータに同乗させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理システムの技術的思想を説明する模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るエレベータ制御装置およびエレベータの構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る自走型装置の構成の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る制御方法の流れの一例を示すフロー図である。
【
図7】本発明の一実施形態において利用者および自走型装置を同乗可能とする制御方法の流れの一例を説明するタイミングチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態において利用者および自走型装置を同乗不可とする制御方法の流れの一例を説明するタイミングチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係る自走型装置による処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理装置による乗車状況情報受信時の処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理装置による割当依頼データ受信時の処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理装置による自走型装置への割当処理の詳細な流れの一例を示すフロー図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理装置による利用者への割当処理の詳細な流れの一例を示すフロー図である。
【
図14】本実施形態の変形例に係るエレベータ管理システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るエレベータ管理システム100について、詳細に説明する。
【0012】
〔実施形態〕
<エレベータ管理システム100の概要>
エレベータ管理システム100は、複数階床を有する建物に設けられたエレベータ4を管理するシステムである。エレベータ管理システム100は、1または複数のエレベータ4を管理対象とする。各エレベータ4は「号機」とも呼称される。エレベータ管理システム100は、行先階登録機能により、エレベータ4の利用者Hおよび自走型装置6に最適号機を通知することが可能なシステムである。以下、利用者Hおよび自走型装置6を総称して利用対象という。なお、一度の行先階登録操作、即ち後述する割合依頼操作により登録する利用者Hの人数は1人であってもよいし、複数人であってもよい。一度に登録する利用者Hの数が複数である場合、グループ登録という。一度に登録する自走型装置6の台数も1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0013】
ここで、「行先階登録機能」とは、利用対象の行先階に応じて最適号機を割り当てると共に、最適号機を利用対象が乗車する号機として利用対象に案内することにより、利用対象がエレベータ4の到着を待つ時間を効果的に短縮することが可能な機能である。また、行先階登録機能によって、利用対象が行先階に到着するまでの時間も短縮され得る。なお、「最適号機」とは、利用対象の割当依頼操作に対して割り当てられるエレベータ4であり、1または複数のエレベータ4の何れかである。割り当て可能なエレベータ4が複数であれば、最適号機は、それらの中から選択される。割当可能なエレベータ4が1つであれば、当該エレベータ4が最適号機となる。
【0014】
また、「割当依頼操作」とは、利用対象が予め行先階を含む割当依頼データをエレベータ管理装置1に登録するための操作である。割当依頼データは、行先階を示す情報および出発階を示す情報を含む。「割当依頼操作」は、特許請求の範囲に記載した「呼び操作」の一例である。利用対象が利用者Hである場合、割当依頼操作は、例えば、利用者Hが出発階に設置されている乗場行先階登録装置2に所望の行先階等を入力する操作であってもよい。乗場行先階登録装置2は、入力された行先階を示す情報と、当該乗場行先階登録装置2が設置されている階床(すなわち、出発階)を示す情報とを含む情報をエレベータ管理装置1に送信してもよい。利用者Hは、乗場行先階登録装置2を介さず、スマートフォン等の携帯端末を用いて、エレベータ管理装置1へ割当依頼データを直接送信してもよい。また、利用対象が自走型装置6である場合、例えば、自走型装置6は、割当依頼データをエレベータ管理装置1へ直接送信してもよいし、乗場行先階登録装置2に所望の行先階等を入力する操作を行ってもよい。
【0015】
自走型装置6は、予め建物に配備されている自動搬送装置、自走型掃除装置、およびその他の多機能ロボット等であってもよい。あるいは、自走型装置6は、エレベータ管理システム100の導入に合わせて建物に配備された専用の装置であってもよい。自走型装置6は自走機能の他に、利用者Hに対してメッセージを通知する機能(例えば、音声出力機能、および画面表示機能等)を備えていてもよい。
【0016】
<エレベータ管理システム100の技術的思想>
まず、エレベータ管理システム100の技術的思想について、
図1を参照して説明する。
図1は、エレベータ管理システム100の技術的思想を説明する模式図である。
図1に例示するように、本技術的思想によれば、2台の自走型装置6(6-1、6-2)および1人の利用者Hは、同一の出発階から同一号機のかご41に同乗することが可能である。ここで、利用者Hの安全性を担保するためには、利用者Hと自走型装置6-1、6-2とが接触する機会は、極力低減されることが望ましい。なお、
図1には、1人の利用者Hを示しているが、本技術的思想が対象とする利用者Hは、複数人であってもよい。また、
図1には、2台の自走型装置6-1、6-2を示しているが、本技術的思想が対象とする自走型装置6は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0017】
そこで、発明者等は、自走型装置6が出発階においてかご41に乗車する乗車動作を完了した後、当該かご41が出発階から出発する前までの期間に注目した。この期間を、以下では、「第1期間」ともいう。第1期間であれば、自走型装置6は既に動作を停止しているため、利用者Hが自走型装置6に接触する可能性は低い。また、第1期間であれば、かご41が出発階に滞在しているため、利用者Hが当該かご41に乗車することが可能である。
【0018】
具体的には、
図1に示すように、ステップG1において、自走型装置6-1、6-2は、利用者Hが乗車していないエレベータ4のかご41に乗車する乗車動作を開始する。次に、ステップG2において、自走型装置6-1、6-2は、乗車動作を完了する。その後、かご41が出発するまでの間に、利用者Hは、かご41への乗車を開始する。ステップG3において、利用者Hは、かご41への乗車を完了する。これにより、エレベータ管理システム100は、利用者Hの安全性を担保しながら、同一の出発階から利用者Hおよび自走型装置6をエレベータ4に同乗させることができる。以下では、当該技術的思想を実現するエレベータ管理システム100の構成および動作について、詳細に説明する。
【0019】
<エレベータ管理システム100の構成>
次に、本実施形態に係るエレベータ管理システム100の全体構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係るエレベータ管理システム100の全体構成を示すブロック図である。なお、
図2に示すエレベータ管理システム100は、エレベータ管理装置1が、自走型装置6を直接制御する構成である。エレベータ管理装置1が、他の装置を介して自走型装置6を制御する場合については、変形例として後述する。
【0020】
図2に示すように、エレベータ管理システム100は、エレベータ管理装置1、乗場行先階登録装置2、エレベータ制御装置3-1、3-2、…、3-n、エレベータ4-1、4-2、…、4-n、および自走型装置6を含んでいてもよい(nは2以上の整数)。以降、エレベータ制御装置3-1、3-2、…、3-nを特に区別して説明する必要がない場合には、それぞれを単に「エレベータ制御装置3」とも記載する。また、エレベータ4-1、4-2、…、4-nを特に区別して説明する必要がない場合には、それぞれを単に「エレベータ4」とも記載する。エレベータ制御装置3は、各エレベータ4(各号機)に対応して設けられている。例えば、エレベータ制御装置3-1はエレベータ4-1に対応して設けられ、エレベータ制御装置3-2はエレベータ4-2に対応して設けられる。なお、
図2に示すエレベータ管理システム100は、n個のエレベータ4(複数号機)を管理する構成である。エレベータ管理システム100が単一の号機を管理する場合については、変形例として後述する。
【0021】
エレベータ管理装置1は、利用対象(利用者Hまたは自走型装置6)からの割当依頼データに応じて、当該利用対象に、複数のエレベータ4のうち何れか1台のエレベータ4を割り当てる。乗場行先階登録装置2は、利用対象による割当依頼操作を受け付けて、割当依頼データをエレベータ管理装置1に送信する。エレベータ制御装置3は、エレベータ4の運転を制御する。自走型装置6は、エレベータ4を含む建物に配備され、割当依頼データをエレベータ管理装置1に送信する。各装置の構成の詳細について説明する。
【0022】
(エレベータ管理装置1の構成)
エレベータ管理装置1は、プロセッサ、メモリおよびネットワークインタフェースを含むコンピュータを用いて構成される。エレベータ管理装置1は、複数のエレベータ4の運転を管理する装置である。エレベータ管理装置1の機能的な構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、エレベータ管理装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、エレベータ管理装置1は、制御部110と、記憶部120と、通信部130とを含む。
【0023】
制御部110は、プロセッサによって構成される。制御部110は、エレベータ管理装置1が備える各機能を実現するようコンピュータの各部を制御する。制御部110は、利用対象から割当依頼データを受信し、受信した割当依頼データおよび既に割り当てた号機の情報に基づいて、当該利用対象に対する各号機の割り当て可否を決定する。制御部110は、割り当て可能である号機の候補の中から最適号機を決定し、当該最適号機を利用対象に対して割り当てる。また、制御部110は、各号機の運転を統括的に管理する。
【0024】
また、制御部110は、建物に配備されている自走型装置6の移動および動作等を制御する。建物に自走型装置6が複数配備されている場合、エレベータ管理装置1と、自走型装置6との間の通信では、自走型装置6の各々に付与された識別情報(ID)が用いられる。制御部110は、各自走型装置6から適宜、自走型装置6の現在の位置を示す情報、および現在行っている作業に関する情報等を含む作業状況情報を受信する構成であってもよい。これにより、制御部110は、自走型装置6毎の位置と作業状況とを監視し、制御することができる。制御部110は、例えば、自走型装置6の出発階および行先階を決定し、当該出発階および行先階の情報を自走型装置6へ送信してもよい。
【0025】
制御部110は、乗車状況情報取得部111と、運転状況情報取得部112と、割当部113と、開状態調整部114と、を含む。
【0026】
乗車状況情報取得部111は、複数のエレベータ4の何れか1台のエレベータ4に割り当てられた自走型装置6の乗車状況情報を取得する。以下では、自走型装置6に割り当てられたエレベータ4を、「当該エレベータ4」、と記載することもある。ここで、乗車状況情報は、自走型装置6が出発階において当該エレベータ4への乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む。また、乗車状況情報は、自走型装置6が当該エレベータ4に出発階から乗車する予定であることを示す乗車予定情報を含んでいてもよい。当該エレベータ4は、出発階から出発するときに乗車している利用者Hがいないエレベータ4であってもよい。
【0027】
運転状況情報取得部112は、当該エレベータ4の発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する。
【0028】
割当部113は、乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータ4が出発階を出発することを示す情報およびその走行方向を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、出発階から乗車する予定の利用者Hによる当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、当該エレベータ4を割り当てる。また、割当部113は、乗車予定情報が取得されてから乗車完了情報が取得されるまでの第2期間に行われた、利用者Hによる上述の呼び操作に対して、当該エレベータ4を割り当てない構成であってもよい。
【0029】
開状態調整部114は、第1期間に利用者Hによって行われた上述の呼び操作に対して、当該エレベータ4を割り当てた場合、出発階における当該エレベータ4の扉の開状態を維持する期間の長さを調整する。
【0030】
なお、乗車状況情報取得部111は、特許請求の範囲に記載した乗車状況情報取得部を実現する構成の一例である。運転状況情報取得部112は、特許請求の範囲に記載した運転状況情報取得部を実現する構成の一例である。割当部113は、特許請求の範囲に記載した割当部を実現する構成の一例である。開状態調整部114は、特許請求の範囲に記載した開状態調整部を実現する構成の一例である。これらの各部の詳細については、後述する「エレベータ管理装置1の制御方法S10の流れ」において説明する。
【0031】
記憶部120は、メモリによって構成される。記憶部120は、制御部110によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部110が実行する各種処理において利用されるデータなどを記憶する。
【0032】
通信部130は、ネットワークインタフェースによって構成される。通信部130は、建物内に敷設された施設内ネットワークに接続する。施設内ネットワークは、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。制御部110は、通信部130を介して、乗場行先階登録装置2、エレベータ制御装置3、および自走型装置6との間で通信を行う。
【0033】
(乗場行先階登録装置2の構成)
乗場行先階登録装置2は、建物の各階のエレベータ乗場に設けられている。乗場行先階登録装置2は、利用対象による割当依頼操作を受付けて、入力された行先階等の割当依頼データをエレベータ管理装置1に送信する。エレベータ管理装置1と、乗場行先階登録装置2との間の通信では、乗場行先階登録装置2の各々に付与された識別情報(ID)が用いられる。乗場行先階登録装置2は、エレベータ管理装置1から、割当依頼操作に応じた最適号機の情報を受信すると、表示画面等に最適号機を示す情報を表示する。
【0034】
(エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成)
エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、エレベータ制御装置3およびエレベータ4の構成の一例を示す図である。
【0035】
エレベータ4は、利用者Hまたは自走型装置6を乗車させるかご41、かご41の昇降を制御する運転制御盤40、および、各階の乗場に設けられている扉42を備えている。
【0036】
エレベータ制御装置3は、エレベータ4と通信可能に接続されているコンピュータである。エレベータ制御装置3は、エレベータ4の運転を制御する。エレベータ制御装置3は、制御部30を備えている。制御部30は、プロセッサによって構成される。また、制御部30は、エレベータ制御装置3が備える各機能を実現するようコンピュータの各部を制御する。
【0037】
制御部30は、指示取得部31、運転状況管理部32、および扉開閉制御部33を備えている。
【0038】
指示取得部31は、エレベータ管理装置1からの各種指示を取得する。指示取得部31が取得する指示としては、停止階設定指示、行先階設定指示、停止階変更指示、行先階変更指示、扉42に対する開状態の期間調整指示などが挙げられる。
【0039】
運転状況管理部32は、エレベータ4のかご41の位置、運転状況、各階の乗場の扉42の開閉状況などを示す各情報を、運転制御盤40から取得する。
【0040】
扉開閉制御部33は、エレベータ管理装置1からの指示に応じて、指定された階の乗場の扉42の開閉を制御する。例えば、扉開閉制御部33は、エレベータ4に対して、指定された階の乗場のエレベータ4の扉42を開状態で保持させたり、該開状態の保持を解除させたりすることが可能である。
【0041】
(自走型装置6の構成)
自走型装置6は、エレベータ管理装置1と通信可能に接続されている自走機能を備える多機能装置である。自走型装置6は、自律走行あるいは自立歩行が可能なロボットであってもよい。自走型装置6は、例えば、プロセッサ、メモリおよびネットワークインタフェースを含むコンピュータを搭載している。
【0042】
自走型装置6の構成について、
図5を用いて説明する。
図5は、自走型装置6の構成の一例を示す図である。自走型装置6は、例えば、制御部610と、記憶部620と、通信部630と、移動機構640とを備えている。
【0043】
制御部610は、プロセッサによって構成される。制御部610は、自走型装置6が備える各機能を実現するようコンピュータの各部および移動機構640を制御する。制御部610は、例えば、乗車予定送信部611と、乗車完了送信部612と、移動機構制御部613と、を備えている。乗車予定送信部611は、エレベータ管理装置1に対して、乗車予定情報を送信する。乗車完了送信部612は、エレベータ管理装置1に対して、乗車完了情報を送信する。移動機構制御部613は、エレベータ管理装置1からの制御のもとに、移動機構640の動作を制御する。これらの各部の詳細については、後述する「自走型装置6が実行する処理の流れ」において説明する。
【0044】
記憶部620は、メモリによって構成される。記憶部620は、制御部610によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部610が実行する各種処理において利用されるデータなどを記憶する。
【0045】
通信部630は、ネットワークインタフェースによって構成される。通信部630は、建物内に敷設された施設内ネットワークに接続する。施設内ネットワークについては、前述した通りである。制御部610は、通信部630を介して、エレベータ管理装置1との間で通信を行う。
【0046】
移動機構640は、自走型装置6本体を移動させるための機構である。移動機構640は、車輪、キャタピラ、および歩行用の脚等であってもよいが、これらに限られない。
【0047】
<エレベータ管理装置1を制御する制御方法S10の流れ>
以上のように構成されたエレベータ管理装置1を制御する制御方法S10の流れについて、
図6を参照して説明する。
図6は、制御方法S10の流れを説明するフローチャートである。
図6に示すように、制御方法S10は、ステップS1~S8を含む。
【0048】
ステップS1において、乗車状況情報取得部111は、複数のエレベータの何れか1台のエレベータ4に割り当てられた自走型装置6の乗車状況情報を取得する。当該乗車状況情報が乗車完了情報または乗車予定情報を含み得ること、および、当該エレベータ4は出発階から出発するときに乗車している利用者Hがいないエレベータであってよいこと、については、上述した通りである。ステップS1の処理は、例えば、自走型装置6から乗車状況情報が送信されることに応答して随時行われてもよい。つまり、ステップS1の処理は、ステップS2以降の処理と並行して、または順序を変えて行われる場合がある。
【0049】
ステップS2において、運転状況情報取得部112は、当該エレベータ4の発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得してもよい。ステップS2の処理は、例えば、当該エレベータ4を制御するエレベータ制御装置3から運転状況情報が送信されることに応答して随時行われる。つまり、ステップS2の処理は、ステップS1、またはステップS3以降の処理と並行して、または順序を変えて行われる場合がある。
【0050】
ステップS3において、割当部113は、出発階から乗車する予定の利用者Hによる、上述した走行方向と同一方向の割当依頼操作(呼び操作)を受け付ける。「上述した走行方向と同一方向の割当依頼操作」とは、例えば、「自走型装置6の行先階と同一方向の割当依頼操作」であってもよい。換言すると、自走型装置6の行先階と、当該割当依頼操作に含まれる利用者Hの行先階とは、出発階から見て同一方向に含まれる。
【0051】
ステップS4において、割当部113は、ステップS4で受け付けた割当依頼操作が、乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータ4が出発階を出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われたか否かを判断する。当ステップでYesと判断した場合、次のステップS5の処理が行われる。
【0052】
ステップS5において、割当部113は、当該割当依頼に対して、自走型装置6に割り当てられたエレベータ4を割り当てる構成であってもよい。換言すると、割当部113は、自走型装置6を割り当てたエレベータ4に対して、利用者Hが同一の出発階から同乗可能であることを決定する。
【0053】
ステップS6において、開状態調整部114は、第1期間に行われた、利用者Hによる上述の呼び操作に対して、自走型装置6に割り当てられたエレベータ4を割り当てた場合、出発階におけるエレベータ4の扉の開状態を維持する期間の長さを調整してもよい。
【0054】
ステップS4においてNoと判断した場合、ステップS7において、割当部113は、当該割当依頼操作が、乗車予定情報が取得されてから乗車完了情報が取得されるまでの第2期間に行われたか否かを判断する。当ステップでYesと判断した場合、次のステップS8の処理が行われる。
【0055】
ステップS8において、割当部113は、当該割当依頼操作に対して、自走型装置6に割り当てられたエレベータ4を割り当てない構成であってもよい。換言すると、割当部113は、自走型装置6を割り当てたエレベータ4に対して、利用者Hが同一の出発階から同乗不可であることを決定する。「自走型装置6に割り当てられたエレベータ4を割り当てない」とは、例えば、「当該エレベータ4以外の他のエレベータ4を割り当てる」ことであってもよいし、「当該エレベータ4は乗車不可であることを報知する」ことであってもよい。ただし、「自走型装置6に割り当てられたエレベータ4を割り当てない」ことを実現するための処理は、これらに限定されない。
【0056】
なお、
図6は、ステップS1~S8の各処理がこの順で実行されることを限定するものではない。ステップS1~S8の処理の一部または全部は、必要に応じて順序を変更して、または、並行して実行可能である。
【0057】
(同乗可能とするケースの具体例)
図7は、制御方法S10を用いて利用者Hおよび自走型装置6を同乗可能とするケースの具体例を説明するタイミングチャートである。ここでは、複数のエレベータ4に対して、ロビー階(端階)で割当依頼操作を行う利用者Hの人数が1人であり、割当依頼データを送信する自走型装置6の台数が1台である場合について説明する。
図7に示すように、当該タイミングチャートは、ステップA1~A8を含む。
【0058】
ステップA1において、エレベータ管理装置1の割当部113は、自走型装置6から受信した割当依頼データに応じて、複数のエレベータ4のうち最適号機を決定し、最適号機を示す情報を自走型装置6に送信する。当該最適号機を、当該エレベータ4、とも記載する。
【0059】
また、エレベータ管理装置1は、自走型装置6から受信した割当依頼データに含まれる出発階(端階)に向けて当該エレベータ4を移動させるよう、エレベータ制御装置3を介して当該エレベータ4を制御する。
【0060】
ステップA2において、自走型装置6の乗車予定送信部611は、最適号機として当該エレベータ4を示す情報を受信すると、乗車予定情報を含む乗車状況情報を、エレベータ管理装置1に送信してもよい。これにより、エレベータ管理装置1の乗車状況情報取得部111は、自走型装置6から、乗車予定情報を含む乗車状況情報を取得する。エレベータ管理装置1が乗車予定情報を取得した時点をt1とする。当ステップは、制御方法S10におけるステップS1の具体例である。
【0061】
その後、エレベータ制御装置3の制御のもとに、当該エレベータ4が出発階(端階)に到着した時点をt2とする。また、時点t2以降、エレベータ制御装置3の制御のもとに、当該エレベータ4の扉42が開状態となった時点をt3とする。
【0062】
ステップA3において、自走型装置6の移動機構制御部613は、移動機構640を制御することにより、自走型装置6に当該エレベータ4への乗車動作を開始させる。自走型装置6が乗車動作を開始した時点をt4とする。
【0063】
ここで、乗車動作とは、当該エレベータ4への乗車に伴い自走型装置6の可動部分が可動する動作であってもよい。可動部分には、移動機構640が含まれる。換言すると、乗車動作は、移動機構640が可動する動作を含む。また、自走型装置6が、移動機構640以外に他の可動部分(不図示)を含む場合がある。例えば、他の可動部分が折り畳み式の荷台である場合、乗車動作には、かご41内での専有面積を小さくするために空の荷台を折り畳む動作が含まれていてもよい。また、他の可動部分が人型ロボットの手である場合、乗車動作には、乗車を周囲に報知するために手を挙げる動作が含まれていてもよい。このように、乗車動作には、移動機構640が可動する動作に限らず、乗車に伴い各種の可動部分が可動する動作が含まれ得る。ただし、「乗車動作」は、上述した例に限定されない。
【0064】
ステップA4において、自走型装置6の乗車完了送信部612は、乗車動作を完了すると、乗車完了情報を含む乗車状況情報をエレベータ管理装置1に送信してもよい。これにより、エレベータ管理装置1の乗車状況情報取得部111は、自走型装置6から、乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する。エレベータ管理装置1が乗車完了情報を取得した時点をt5とする。当ステップは、制御方法S10におけるステップS1の具体例である。
【0065】
ここで、乗車完了送信部612は、例えば、(i)自走型装置6がかご41内に位置し、かつ、(ii)自走型装置6の動作が停止していることが確認された場合に、乗車動作が完了したとして、乗車完了情報を含む乗車状況情報をエレベータ管理装置1に送信してもよい。
【0066】
(i)の「自走型装置6がかご41内に位置する」は、かご41内の所定範囲(例えば、扉42に対向する壁の周辺)に位置することを指していてもよい。なお、自走型装置6のかご41内での位置は、例えば、各種センサ(例えば、カメラ、測距センサ等)によって検出可能である。そのような各種センサの一部または全部は、自走型装置6に搭載されたものであってもよいし、かご41内に設置されたものであってもよい。
【0067】
また、(ii)の「自走型装置6の動作が停止している」は、自走型装置6が有する可動部分が可動していないことを指していてもよい。もし、乗車動作に複数の可動部分の動作が含まれている場合、「自走型装置6の動作が停止している」は、それら全ての可動部分が可動していないことを指していてもよい。また、自走型装置6が、動作を一時的に停止するスリープモードを有する場合、「自走型装置6の動作が停止している」は、スリープモードに移行した状態を指していてもよい。
【0068】
ここで、乗車完了情報が取得されてから、エレベータが出発階を出発することを示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの期間(時点t5~t9)は、第1期間に相当する。なお、割当部113は、時点t5以降、後述する時点t9を示す運転状況情報が取得されるまでは、第1期間であるとして処理を行う。
【0069】
ステップA5において、エレベータ管理装置1の割当部113は、出発階から乗車する予定の利用者Hからの割当依頼データを、第1期間において受信する。エレベータ管理装置1が割当依頼データを受信した時点をt6とする。具体的には、割当部113は、そのような割当依頼データを、当該出発階の乗場に設けられた乗場行先階登録装置2から受信する。当該割当依頼データには、利用者Hが入力した行先階を示す情報、および当該出発階を示す情報が含まれる。当ステップは、制御方法S10におけるステップS3の具体例、およびステップS4でYesと判断する具体例である。
【0070】
ステップA6において、割当部113は、時点t6において利用者Hにより行われた割当依頼操作(呼び操作)に対して、当該エレベータ4を割り当てる。当該エレベータ4を割り当てた時点をt7とする。換言すると、割当部113は、既に自走型装置6が乗車動作を完了し、かつ、出発前の当該エレベータ4に対して、利用者Hが同乗可能であることを決定する。当ステップは、制御方法S10におけるステップS5の具体例である。
【0071】
より詳細には、割当部113は、当該割当依頼操作に対して、当該エレベータ4を割当候補として決定する。また、割当部113は、割当候補の中から最適号機を決定し、決定した最適号機を示す情報を、割当依頼データの送信元の乗場行先階登録装置2に対して送信する。ここでは、当該エレベータ4が最適号機として決定されたものとする。
【0072】
ステップA7において、開状態調整部114は、出発階における当該エレベータ4の扉42の開状態を維持する期間の長さを調整する。例えば、開状態調整部114は、当該割当依頼操作に対して当該エレベータ4を割り当ててから所定期間(時点t7~t8)だけ、開状態を維持するよう期間の長さを調整してもよい。換言すると、開状態調整部114は、扉42を閉める時点t8のタイミングを決定する。そのような所定期間は、利用者Hによる乗車動作に充分な長さとしてあらかじめ定められていてもよい。これにより、利用者Hは、当該エレベータ4に乗車することができる。ステップA7は、制御方法S10におけるステップS6の具体例である。
【0073】
ステップA8において、エレベータ管理装置1の運転状況情報取得部112は、当該エレベータ4が出発階を出発することを示す情報を含む運転状況情報を取得する。この運転状況情報を取得した時点を、時点t9とする。割当部113は、当該運転状況情報が取得されると、第1期間が終了したものとして以降の処理を行う。ステップA8は、制御方法S10におけるステップS2の具体例である。
【0074】
これにより、第1期間であれば、自走型装置6はエレベータ4のかご41内で既に動作を停止しているため、利用者Hは、自走型装置6に接触することなく同乗することができる。また、第1期間であれば、自走型装置6が乗車したエレベータ4が出発前であるため、利用者Hは、当該エレベータ4に乗り込んで自走型装置6と同乗することができる。
【0075】
なお、
図7では、利用者Hの割当依頼操作が、第1期間(時点t5~t9)のうち、扉42が閉まる時点t8までの間に行われる例について説明した。これに対して、利用者Hの割当依頼操作が、第1期間(時点t5~t9)のうち、扉42が閉状態となった後に行われる可能性も考えられる。このような場合、開状態調整部114は、再度扉42を開くとともに、その後に所定期間だけ開状態を維持するよう調整してもよい。あるいは、このような場合には、割当部113は、当該割当依頼操作に対して当該エレベータ4を割り当てなくてもよい。また、
図7では、利用者Hの割当依頼操作がロビー階(端階)で行われる例について説明した。もし、利用者Hの割当依頼操作が中間階で行われる場合、エレベータ管理装置1の割当部113は次のように動作する。この場合、ステップA5において、割当部113は、利用者Hによる割当依頼データに含まれる行先階と、当該エレベータ4に割り当てた自走型装置6の行先階とが、出発階(中間階)から見て同一方向に含まれるかを判断し、同一である場合に、以降同様に動作する。
【0076】
(同乗不可とするケースの具体例)
図8は、制御方法S10を用いて利用者Hおよび自走型装置6を同乗不可とするケースの具体例を説明するタイミングチャートである。ここで、
図7に示した具体例では、利用者Hからの割当依頼データが、第1期間(時点t5~t9)に含まれる時点t6において取得されていた。これに対して、
図8に示す具体例では、ロビー階(端階)で利用者Hからの割当依頼データが、第2期間(時点t1~t5)に含まれる時点t21で取得される。
【0077】
この場合、
図8に示すタイミングチャートは、ステップA1~A3、B21~B22、A4、A8を含む。ステップA1~A4、A8については、
図7を参照して説明した通りである。ここでは、ステップB21~B22について説明する。
【0078】
ステップB21において、エレベータ管理装置1の割当部113は、出発階から乗車する予定の利用者Hからの割当依頼データを、第2期間において受信する。割当依頼データを受信した時点をt21とする。割当依頼データの詳細については、制御方法S10において説明した通りである。
【0079】
ステップB22において、割当部113は、時点t21において行われた利用者Hによる割当依頼操作に対して、当該エレベータ4を割り当てない。換言すると、割当部113は、自走型装置6が出発階においてエレベータ4に乗車動作を完了するまでの間は、当該エレベータ4に対して利用者Hは同乗不可であると判断し、利用者Hにはこのエレベータ4を割り当てないことを決定する。
【0080】
このように、第2期間では、自走型装置6は、出発階からの乗車を予定しているエレベータ4への乗車動作を完了していないため、仮に当該エレベータ4に利用者Hを割り当てると、利用者Hが自走型装置6に接触する可能性がある。したがって、第2期間には当該エレベータ4に対して利用者Hを割り当てないことで、利用者Hの安全性を担保することができる。
【0081】
さらに詳細には、
図8に示すように、第2期間は、第2a期間と、第2b期間と、第2c期間とを含む。第2a期間は、自走型装置6が乗車動作を開始してから完了するまでの期間(時点t4~t5)である。
図8では、利用者Hにより割当依頼操作が行われる時点t21が、この第2a期間に含まれている場合を例示している。この第2a期間において、仮に当該エレベータ4に利用者Hを割り当てると、自走型装置6は乗車動作中であるため、利用者Hが自走型装置6に接触する可能性がある。
【0082】
また、第2b期間は、出発階においてエレベータ4の扉42が開状態となってから自走型装置6が乗車動作を開始するまでの期間(時点t3~t4)である。ここで、自走型装置6は、エレベータ4の扉42が開状態となると同時に乗車動作を開始するとは限らず、第2b期間が発生する場合がある。このような第2b期間に、利用者Hにより割当依頼操作が行われる可能性もある。この第2b期間において、仮に当該エレベータ4に利用者Hを割り当てると、利用者Hが乗車を開始してから自走型装置6が乗車動作を開始する可能性があるため、利用者Hが自走型装置6に接触する可能性がある。
【0083】
また、第2c期間は、自走型装置6が乗車予定情報を送信してから、出発階においてエレベータ4の扉42が開状態となるまでの期間(時点t1~t3)である。第2c期間では、エレベータ4は扉42がまだ開いておらず、そのため、自走型装置6はまだ乗車動作を行っていない。このような第2c期間に、利用者Hにより割当依頼操作が行われる可能性もある。この第2c期間において、仮に当該エレベータ4に利用者Hを割り当てると、扉42が開くのを待って、利用者Hおよび自走型装置6の双方が乗車し始めるため、これらが接触する可能性がある。
【0084】
このように、この第2a期間、第2b期間、および第2c期間を含む第2期間において利用者Hによって行われた割当依頼操作に対しては、利用者Hを割り当てないことで、利用者Hの安全性を担保することができる。
【0085】
<制御方法S10を実現する処理の具体例>
以上に説明したエレベータ管理装置1の制御方法S10を実現するために各装置が実行する処理の具体例について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する処理の具体例では、複数のエレベータ4に対して、割当依頼操作を行う利用者Hの人数が1人であり、割当依頼データを送信する自走型装置6の台数が複数である場合について説明する。
【0086】
(自走型装置6の処理の流れ)
制御方法S10を実現するために自走型装置6が実行する処理の流れの具体例について、
図9を参照して説明する。
図9は、自走型装置6が実行する処理の流れの具体例を示すフロー図である。
図9に示すように、処理S100は、ステップS101~S109を含む。
【0087】
ステップS101において、制御部610は、割当依頼データをエレベータ管理装置1に送信する。割当依頼データは、出発階(orgFloor)を示す情報と、行先階(destFloor)を示す情報と、利用対象の属性(userType)を示す情報とを含む。userTypeは、ここでは、「自走型装置」である。
【0088】
ステップS102において、制御部610は、割当依頼データに応じて割り当てられたエレベータ4(以下、割当号機とも記載する)を示す情報を、エレベータ管理装置1から受信したか否かを判断する。当ステップでNoと判断した場合、制御部610は、当ステップの処理を繰り返す。当ステップでYesと判断した場合、次のステップS103の処理が実行される。
【0089】
ステップS103において、制御部610は、受信した割当号機(acar)を示す情報を、記憶部620に記憶する。
【0090】
ステップS104において、制御部610は、行先階(destFloor)が出発階(orgFloor)より上であるか否かを判断する。当ステップでYesと判断した場合、ステップS105において、制御部610は、自走型装置6の移動方向(dir)を示す情報として、「UP方向(上方向)」を設定する。
【0091】
ステップS104においてNoと判断した場合、ステップS106において、制御部610は、自走型装置6の移動方向(dir)を示す情報として、「DOWN方向(下方向)」を設定する。
【0092】
ステップS107において、乗車予定送信部611は、乗車予定情報を含む乗車状況情報を、エレベータ管理装置1に送信する。乗車予定情報は、自走型装置6の識別情報(robotID)と、割当号機(acar)を示す情報と、出発階(orgFloor)を示す情報と、移動方向(dir)を示す情報とを含む。当該処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS1に対応する自走型装置6の処理の一例である。
【0093】
また、ステップS107において、割当号機(acar)が出発階(orgFloor)に到着して扉42が開くと、移動機構制御部613は、かご41に乗車するよう移動機構640を制御する。これにより、自走型装置6は、出発階(orgFloor)において乗車動作を開始する。
【0094】
ステップS108において、制御部610は、自走型装置6が出発階(orgFloor)において乗車動作を完了したか否かを判断する。乗車動作を完了したか否かの判断の具体例については、
図7~
図8に示したステップA4において説明した通りである。当ステップでNoと判断した場合、制御部610は、当ステップの処理を繰り返す。当ステップでYesと判断した場合、次のステップS109の処理が実行される。
【0095】
ステップS109において、乗車完了送信部612は、乗車完了情報を含む乗車状況情報を、エレベータ管理装置1に送信する。当ステップの処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS1に対応する自走型装置6の処理の一例である。
【0096】
(エレベータ管理装置1の処理の流れ)
制御方法S10を実現するためにエレベータ管理装置1が実行する処理の流れの具体例について、
図10~
図13を参照して説明する。
【0097】
(乗車状況情報受信時の処理の流れ)
図10は、自走型装置6から乗車状況情報を受信した場合のエレベータ管理装置1の処理S200の流れを示すフロー図である。
図10に示すように、処理S200は、ステップS201~S204を含む。
【0098】
ステップS201において、エレベータ管理装置1の乗車状況情報取得部111は、自走型装置6から乗車予定情報を含む乗車状況情報を受信したか否かを判断する。当ステップの処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS1を実現する処理の一例である。当ステップでYesと判断した場合、次のステップS202の処理が実行される。
【0099】
ステップS202において、乗車状況情報取得部111は、取得した乗車予定情報(robotID、acar、orgFloor、dirを含む)に基づいて、乗車リスト(robotBoard[acar][orgFloor][dir])に、当該自走型装置6の識別情報robotIDを追加する。
【0100】
ここで、乗車リストは、号機、出発階、および移動方向をインデックスとする三次元配列である。換言すると、乗車リストは、同一の出発階から同一の移動方向に向かう同一の号機に割り当てられた自走型装置6のリストを格納する。
【0101】
ステップS201においてNoと判断した場合、次のステップS203の処理が実行される。
【0102】
ステップS203において、乗車状況情報取得部111は、自走型装置6から乗車完了情報を含む乗車状況情報を受信したか否かを判断する。当ステップの処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS1を実現する処理の一例である。当ステップでYesと判断した場合、次のステップS204の処理が実行される。
【0103】
ステップS204において、乗車状況情報取得部111は、取得した乗車完了情報(robotID、acar、orgFloor、dirを含む)に基づいて、乗車リスト(robotBoard[acar][orgFloor][dir])から、当該自走型装置6の識別情報robotIDを削除する。
【0104】
ステップS203でNoと判断した場合、または、ステップS202、S204の処理を実行後、エレベータ管理装置1は、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0105】
これにより、乗車リストは、同一の出発階から同一の移動方向に向かう同一の号機に割り当てられた自走型装置6のうち、乗車予定情報を送信してから乗車完了情報を送信するまでの第2期間にある自走型装置6の識別情報を含む。また、これにより、乗車リストは、乗車完了情報を送信してから当該号機が出発階を出発するまでの第1期間にある自走型装置6の識別情報を含まない。したがって、割当部113は、利用者Hからの割当依頼データを受け付けた際に、乗車リストを参照することにより、各自走型装置6について第1期間であるか第2期間であるかを判断することができる。
【0106】
(割当依頼データ受信時の処理の流れ)
図11は、乗場行先階登録装置2または自走型装置6から割当依頼データを受信した場合のエレベータ管理装置1の処理S300の流れを示すフロー図である。
図11に示すように、処理S300は、ステップS301~S310を含む。
【0107】
ステップS301において、制御部110は、割当依頼データを受信したか否かを判断する。当ステップの処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS3を実現する処理の一例である。当ステップでNoと判断した場合、制御部110は、当ステップの処理を繰り返す。当ステップでYesと判断した場合、次のステップS302の処理が実行される。
【0108】
ステップS302において、制御部110は、割当依頼データを参照し、出発階(orgFloor)を示す情報と、行先階(destFloor)を示す情報と、利用対象の属性(userType)を示す情報とを取得する。
【0109】
ステップS303において、制御部110は、行先階(destFloor)が出発階(orgFloor)より上であるか否かを判断する。当ステップでYesと判断した場合、ステップS304において、制御部110は、割り当てるべきエレベータ4の移動方向(currentDir)を示す情報として、「UP方向(上方向)」を設定する。
【0110】
ステップS104においてNoと判断した場合、ステップS305において、制御部110は、割り当てるべきエレベータ4の移動方向(currentDir)を示す情報として、「DOWN方向(下方向)」を設定する。
【0111】
ステップS306において、制御部110は、利用対象の属性(userType)を示す情報が、「自走型装置」であるか否かを判断する。当ステップでYesと判断した場合、ステップS307において、制御部110は、自走型装置6への割当処理を実行する。ステップS307の割当処理により、複数のエレベータ4(複数号機)のうち、自走型装置6に割り当てる候補となる1または複数の割当候補が決定される。ステップS307の詳細については、図面を変えて後述する。
【0112】
ステップS306においてNoと判断した場合、ステップS308において、制御部110は、利用者Hへの割当処理を実行する。S308の割当処理により、複数のエレベータ4(複数号機)のうち、利用者Hに割り当てる候補となる1または複数の割当候補が決定される。ステップS308の詳細については、図面を変えて後述する。
【0113】
ステップS309において、割当部113は、1または複数の割当候補から最適号機を決定する。このとき、割当部113は、1または複数の割当候補のうち、出発階(orgFloor)を出発する前の割当候補(すなわち、出発階(orgFloor)を出発したことを示す情報を含む運転状況情報を取得していない割当候補)の中から最適号機を決定する。換言すると、そのような割当候補については、利用者Hの割当依頼操作は第1期間に行われた、とみなすことができる。つまり、当ステップの処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS5を実現する処理の一例を含む。
【0114】
ステップS310において、割当部113は、決定した最適号機を示す情報を、依頼元の乗場行先階登録装置2または自走型装置6に送信する。
【0115】
(自走型装置6への割当処理の流れ)
続いて、
図12を参照し、ステップS307における自走型装置6への割当処理の詳細について説明する。
図12は、自走型装置6への割当処理の詳細な流れを示すフロー図である。
図12に示すように、ステップS307の処理は、ステップS401~S406を含む。
【0116】
ステップS401において、割当部113は、ループカウンタcを1に初期化する。ループカウンタcは、後述するステップS402~S405の処理を、エレベータ4-c(c=1、2、…、n)のそれぞれについて繰り返し実行するための変数である。
【0117】
ステップS402において、割当部113は、エレベータ4-c(以下、c号機と記載する)を、出発階(orgFloor)から移動方向(currentDir)に向けて出発させるよう仮に運航制御した場合に、出発するときに空かごであるか否かを判断する。当ステップでYesと判断した場合、後述するステップS404の処理が実行される。
【0118】
ステップS402でNoと判断した場合、ステップS403において、割当部113は、c号機を、出発階(orgFloor)から移動方向(currentDir)に向けて出発させるよう仮に運航制御した場合に、出発するときに乗車している利用者Hがいるか否かを判断する。当ステップでNoと判断した場合、次のステップS404の処理が実行される。
【0119】
ステップS404において、割当部113は、c号機を、割当候補リストに追加する。ここで、c号機が割当候補リストに追加されるのは、(i)c号機が出発階(orgFloor)を移動方向(currentDir)に向けて出発時に空かごである場合、または、(ii)c号機が出発階(orgFloor)から移動方向(crrenDir)に向けて出発するときに乗車している利用者Hがいない場合であってもよい。なお、(ii)の場合は、c号機が出発階(orgFloor)から移動方向(crrenDir)に向けて出発するときに、他の自走型装置6のみが乗車している場合も含む。
【0120】
これにより、割当部113は、利用者Hが出発階において既に乗車している、または、利用者Hが出発階においてこれから乗車する予定のエレベータ4の号機を、自走型装置6に割り当てることがないので、利用者Hの安全性を担保することができる。
【0121】
ステップS403でYesと判断した場合、または、ステップS404でc号機を割当候補リストに追加した場合、ステップS405において、割当部113は、ループカウンタcに1を加算する。また、ステップS406において、割当部113は、ループカウンタcがエレベータ4の台数nを超えているか否かを判断する。ステップS406でNoと判断した場合、割当部113は、次のc号機について、ステップS402からの処理を繰り返す。ステップS406でYesと判断した場合、割当部113は、自走型装置6への割当処理を終了する。
【0122】
(利用者Hへの割当処理の流れ)
続いて、
図13を参照し、ステップS308における利用者Hへの割当処理の詳細について説明する。
図13は、利用者Hへの割当処理の詳細な流れを示すフロー図である。
図13に示すように、ステップS308の処理は、ステップS501~S505を含む。
【0123】
ステップS501において、割当部113は、ループカウンタcを1に初期化する。ループカウンタcは、後述するステップS502~S505の処理を、エレベータ4-c(上述したc号機)のそれぞれについて繰り返し実行するための変数である。
【0124】
ステップS502において、割当部113は、乗車リスト[c][orgFloor][currentDir]が空であるか否かを判断する。乗車リスト[c][orgFloor][currentDir]は、出発階(orgFloor)から移動方向(currentDir)に向けて出発するc号機に対して割り当てられ、かつ、乗車動作を完了していない自走型装置6の識別情報のリストである。当該乗車リストが空であるのは、当該c号機に割り当てられた自走型装置6が全て乗車動作を完了した後である状態を含む。つまり、当ステップでYesと判断した場合、当該c号機に割り当てられた自走型装置6については、全て第1期間である可能性がある。この場合、次のステップS503が実行される。
【0125】
ステップS503において、割当部113は、c号機を割当候補リストに追加する。当該ステップの処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS5を実現する処理の一例を含む。この後、開状態調整部114は、時点t8~t9までの長さを調整する処理を行ってもよい。当該調整処理は、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS6を実現する処理の一例である。当該調整処理の詳細については、上述した通りである。
【0126】
ステップS502でNoと判断した場合、割当部113は、c号機を割当候補リストに追加せずに、次のc号機についての処理に進む。すなわち、後述するステップS504の処理が実行される。なお、ステップS502でNoと判断した場合、利用者Hの割当依頼操作は第2期間に行われた、とみなすことができる。そこで、この場合に、割当部113が、当該c号機を割当候補リストに追加しないでステップS504の処理に進むことにより、
図6を参照して説明した制御方法S10におけるステップS8の一例が実現される。
【0127】
また、ステップS503でc号機を割当候補リストに追加した場合、割当部113は、次のc号機についての処理に進む。すなわち、次のステップS504の処理が実行される。
【0128】
ステップS504において、割当部113は、ループカウンタcに1を加算する。また、ステップS505において、割当部113は、ループカウンタcがエレベータ4の台数nを超えているか否かを判断する。ステップS505でNoと判断した場合、割当部113は、次のc号機について、ステップS502からの処理を繰り返す。ステップS505でYesと判断した場合、割当部113は、利用者Hへの割当処理を終了する。
【0129】
〔変形例1〕
上述した実施形態に係るエレベータ管理システム100は、
図14に示すエレベータ管理システム100Aに変形することができる。
図14は、本実施形態の変形例1に係るエレベータ管理システム100Aの全体構成を示すブロック図である。
【0130】
エレベータ管理システム100Aは、エレベータ管理装置1に替えてエレベータ管理装置1Aを含む。また、エレベータ管理システム100Aは、さらに、自走型装置管理装置5を含む。その他の点について、エレベータ管理システム100Aは、エレベータ管理システム100と同様の構成を含む。
【0131】
エレベータ管理装置1Aは、上述したエレベータ管理装置1とほぼ同様に構成されるが、自走型装置管理装置5を介して自走型装置6を制御する点が異なる。その他の点については、上述した通りである。
【0132】
変形例1に係るエレベータ管理システム100Aは、例えば、建物に既に自走型装置管理装置5および自走型装置6が配備されている場合などに導入しやすいという利点がある。
【0133】
〔変形例2〕
上述した実施形態に係るエレベータ管理システム100は、複数号機を管理する例について説明した。ここで、エレベータ管理システム100は、例えばメンテナンス等の理由により、複数のエレベータ4のうち1台のみを運行させて管理する場合等がある。この場合、上述したエレベータ管理システム100は、単一号機(単一のエレベータ4)を対象とするよう変形することができる。できないこの場合、エレベータ管理装置1は、
図6に示すステップS5において同乗可能とした場合、当該単一のエレベータ4に同乗可能であることを、乗場行先階登録装置2に通知する。また、エレベータ管理装置1は、
図6に示すステップS8において同乗不可とした場合、当該単一のエレベータ4に同乗不可であることを、乗場行先階登録装置2に通知する。
【0134】
〔変形例3〕
上述した実施形態に係るエレベータ管理システム100は、行先階登録機能を有することに替えて、乗場登録機能を有するよう変形することができる。乗場登録機能は、利用対象による出発階からの乗場登録に対して、当該乗場登録が示す移動方向(上方向または下方向)に移動するための最適号機を割り当てるとともに、当該出発階の乗場に最適号機を案内する機能である。この場合、
図6におけるステップS3において受け付けられる「上述した走行方向と同一方向の割当依頼操作」とは、例えば、「自走型装置6が割り当てられたエレベータ4の走行方向と同一方向の乗場登録」である。エレベータ管理装置1は、
図6に示すステップS5において同乗可能とし、かつ、当該号機を最適号機として選択した場合には、当該号機に同乗可能であることを乗場に報知してもよい。また、エレベータ管理装置1は、
図6に示すステップS8において同乗不可とした号機については、乗場に報知を行わず、他の最適号機を乗場に報知してもよい。これにより、エレベータ管理装置1は、同乗不可と判断した号機に利用者Hおよび自走型装置6を同乗させないようにしてもよい。なお、この場合、エレベータ管理システム100が単一号機を管理する場合には、エレベータ管理装置1は、
図6に示すステップS8において同乗不可とした場合には、当該号機に同乗不可であることを乗場に報知してもよい。
【0135】
〔ソフトウェアによる実現例〕
エレベータ管理装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部110に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0136】
また、自走型装置6(以下、各「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部110、610に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0137】
この場合、上記各装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0138】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0139】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0140】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るエレベータ管理装置は、複数のエレベータの運転を管理するエレベータ管理装置であって、前記複数のエレベータの何れか1台のエレベータに割り当てられた自走型装置の、出発階における当該エレベータへの乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する乗車状況情報取得部と、当該エレベータの発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する運転状況情報取得部と、前記乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータが前記出発階から出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、前記出発階から乗車する予定の利用者による当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てる割当部と、を備える。
【0141】
上記の構成によれば、自走型装置のエレベータへの乗車動作が完了しており、そのエレベータが出発階から出発する前であれば、利用者が自走型装置と同じ出発階から同じエレベータに安全に乗車することが可能となる。これにより、利用者の安全性を担保しつつ、同一の出発階から利用者および自走型装置をエレベータに同乗させることができる。
【0142】
本発明の態様2に係るエレベータ管理装置は、上記態様1において、前記乗車状況情報は、前記自走型装置に割り当てられたエレベータに前記自走型装置が前記出発階から乗車する予定であることを示す乗車予定情報を含み、前記割当部は、前記乗車予定情報が取得されてから前記乗車完了情報が取得されるまでの第2期間に行われた、前記利用者による前記呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てない構成であってもよい。
【0143】
上記構成により、自走型装置が出発階から乗車する予定のエレベータに、自走型装置が乗車動作を完了する前に利用者が乗車することがない。その結果、同一の出発階から利用者および自走型装置を同乗させる際の安全性をさらに向上させることができる。
【0144】
本発明の態様3に係るエレベータ管理装置は、上記態様1または2において、前記自走型装置に割り当てられたエレベータは、前記出発階から出発するときに乗車している利用者がいないエレベータである構成であってもよい。
【0145】
上記構成により、利用者が乗車しているエレベータに自走型装置が乗車することは無い。これにより、エレベータに乗車している利用者の安全性が担保することができる。
【0146】
本発明の態様4に係るエレベータ管理装置は、上記態様1から3の何れか1つにおいて、前記第1期間に行われた、前記利用者による前記呼び操作に対して、前記自走型装置に割り当てられたエレベータを割り当てた場合、前記出発階における当該エレベータの扉の開状態を維持する期間の長さを調整する開状態調整部、をさらに備える構成であってもよい。
【0147】
上記構成によれば、自走型装置が乗車動作を完了したエレベータに割り当てられた利用者が、エレベータに乗車するための十分な時間を確保することができる。
【0148】
本発明の態様5に係るエレベータ管理システムは、態様1から4の何れか1つに記載のエレベータ管理装置と、前記自走型装置と、を備える。
【0149】
上記構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
【0150】
本発明の態様6に係るエレベータ管理システムは、態様5において、前記乗車状況情報取得部は、前記自走型装置から前記乗車状況情報を取得する。
【0151】
上記構成によれば、乗車状況情報を送信する自走型装置を用いて、態様1と同様の効果を奏することができる。
【0152】
本発明の態様7に係るエレベータ管理装置の制御方法は、複数のエレベータの運転を管理するエレベータ管理装置を制御する制御方法であって、前記複数のエレベータの何れか1台のエレベータに割り当てられた自走型装置の、出発階における当該エレベータへの乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する乗車状況情報取得ステップと、当該エレベータの発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する運転状況情報取得ステップと、前記乗車完了情報が取得されてから、当該エレベータが前記出発階を出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、前記出発階から乗車する予定の利用者による当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、当該エレベータを割り当てる割当ステップと、を含む。
【0153】
上記構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
【0154】
本発明の各態様に係るエレベータ管理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記エレベータ管理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記エレベータ装置をコンピュータにて実現させるエレベータ管理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0155】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0156】
100、100A エレベータ管理システム
1、1A エレベータ管理装置
2 乗場行先階登録装置
3 エレベータ制御装置
4 エレベータ
5 自走型装置管理装置
6 自走型装置
110、610 制御部
120、620 記憶部
130、630 通信部
640 移動機構
111 乗車状況情報取得部
112 運転状況情報取得部
113 割当部
114 開状態調整部
611 乗車予定送信部
612 乗車完了送信部
613 移動機構制御部
【要約】
【課題】利用者の安全性を担保しつつ同一階から利用者および自走型装置をエレベータに同乗させる技術を実現する。
【解決手段】エレベータに割り当てられた自走型装置(6)の、出発階におけるエレベータへの乗車動作を完了したことを示す乗車完了情報を含む乗車状況情報を取得する乗車状況情報取得部(111)と、エレベータの発着情報および走行方向を含む運転状況情報を取得する運転状況情報取得部(112)と、乗車完了情報が取得されてから、エレベータが出発階を出発することおよびその走行方向を示す情報を含む運転状況情報が取得されるまでの第1期間に行われた、出発階から乗車する予定の利用者による当該走行方向と同一方向の呼び操作に対して、エレベータを割り当てる割当部(113)と、を備える。
【選択図】
図3