(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】エレベーターの制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 13/14 20060101AFI20230214BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20230214BHJP
B66B 1/18 20060101ALN20230214BHJP
【FI】
B66B13/14 N
B66B3/00 M
B66B3/00 L
B66B1/18 N
(21)【出願番号】P 2022550096
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035104
(87)【国際公開番号】W WO2022059098
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長徳 典宏
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 研二
(72)【発明者】
【氏名】橋口 拓弥
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-74536(JP,A)
【文献】特開平5-201669(JP,A)
【文献】特許第6747626(JP,B1)
【文献】特開2017-214166(JP,A)
【文献】特開2017-1848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/14
B66B 3/00
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を昇降する1つ以上のかごを有するエレベーターの複数の利用者の各々を特定する特定部と、
前記特定部に特定された利用者が前記1つ以上のかごのいずれかを乗降するときの乗降特性を前記複数の利用者ごとに取得する取得部と、
前記特定部に特定された利用者が前記1つ以上のかごのいずれかを乗降するときに当該かごのかごドアが従う戸開時間の指令値を、前記取得部が
予め取得した乗降特性に基づいて前記複数の利用者ごとに算出する解析部と、
を備え
、
前記取得部は、前記1つ以上のかごのいずれかが停止している間に当該かごを乗降する利用者が複数いる場合に、当該かごが停止している間の乗降特性の取得を行わない
エレベーターの制御システム。
【請求項2】
前記特定部は、前記エレベーターを利用する前記複数の利用者を撮影した画像に基づいて前記複数の利用者の各々を特定する
請求項1に記載のエレベーターの制御システム。
【請求項3】
前記エレベーターに設けられ、各々を識別する識別情報を前記複数の利用者のいずれかが携帯する携帯端末に無線信号によって各々が発信する1つ以上の発信機と、
前記携帯端末が前記1つ以上の発信機のいずれかから当該発信機の識別情報を受信するときに前記携帯端末から送信され当該識別情報および前記携帯端末を携帯する利用者を特定する特定情報を含む利用情報を受信する通信部と、
を備え、
前記特定部は、前記通信部が前記利用情報を受信するときに前記特定情報に基づいて前記複数の利用者の各々を特定する
請求項1に記載のエレベーターの制御システム。
【請求項4】
前記解析部は、前記特定部に特定された利用者が携帯する携帯端末から前記通信部が受信した前記利用情報が当該利用者のエレベーターの利用についての設定情報を含
み、かつ、前記設定情報が当該利用者の属性情報または利用状況を含む場合に、当該利用者についての戸開時間の指令値を前記設定情報および当該利用者の乗降特性に基づいて算出する
請求項3に記載のエレベーターの制御システム。
【請求項5】
昇降路を昇降する1つ以上のかごを有するエレベーターの複数の利用者の各々を特定する特定部と、
前記特定部に特定された利用者が前記1つ以上のかごのいずれかを乗降するときの乗降特性を前記複数の利用者ごとに取得する取得部と、
前記特定部に特定された利用者が前記1つ以上のかごのいずれかを乗降するときに当該かごのかごドアが従う戸開時間の指令値を、前記取得部が
予め取得した乗降特性に基づいて前記複数の利用者ごとに算出する解析部と、
前記エレベーターに設けられ、各々を識別する識別情報を前記複数の利用者のいずれかが携帯する携帯端末に無線信号によって各々が発信する1つ以上の発信機と、
前記携帯端末が前記1つ以上の発信機のいずれかから当該発信機の識別情報を受信するときに前記携帯端末から送信され当該識別情報および前記携帯端末を携帯する利用者を特定する特定情報を含む利用情報を受信する通信部と、
を備え
、
前記特定部は、前記通信部が前記利用情報を受信するときに前記特定情報に基づいて前記複数の利用者の各々を特定し、
前記解析部は、前記特定部に特定された利用者が携帯する携帯端末から前記通信部が受信した前記利用情報が当該利用者のエレベーターの利用についての設定情報を含み、かつ、前記設定情報が当該利用者の属性情報または利用状況を含む場合に、当該利用者についての戸開時間の指令値を前記設定情報および当該利用者の乗降特性に基づいて算出する
エレベーターの制御システム。
【請求項6】
前記特定部は、特定した利用者が携帯する携帯端末から前記通信部が受信した前記利用情報に基づいて登録された呼びに応答するかごを、当該利用者が乗降するかごとして特定し、
前記取得部は、前記特定部に特定されたかごを当該利用者が乗降するときの乗降特性を取得する
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のエレベーターの制御システム。
【請求項7】
前記1つ以上の発信機は、前記1つ以上のかごのいずれかに設けられるかご発信機を含み、
前記特定部は、特定した利用者が携帯する携帯端末から前記通信部が受信した前記利用情報が前記かご発信機の識別情報を含む場合に、当該利用者が乗降するかごを当該識別情報に基づいて特定し、
前記取得部は、前記特定部に特定されたかごを当該利用者が乗降するときの乗降特性を取得する
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のエレベーターの制御システム。
【請求項8】
前記1つ以上の発信機は、前記エレベーターの乗場に設けられる乗場発信機を含み、
前記特定部は、特定した利用者が携帯する携帯端末から前記通信部が受信した前記利用情報が前記乗場発信機の識別情報を含む場合に、前記通信部が前記利用情報を受信した後に前記乗場が設けられる階床から出発したかごを当該利用者が乗車しているかごとして特定し、
前記取得部は、前記特定部に特定されたかごを当該利用者が乗降するときの乗降特性を取得する
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のエレベーターの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムの例を開示する。エレベーターシステムの制御装置は、乗場において投影された画像情報上の乗場呼びボタンが操作されたことが検知されると、車椅子使用者専用の乗場呼びを登録する。その後、制御装置は、車椅子使用者専用運転を行う。車椅子使用者専用運転において、かごドアの戸開時間が延長される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エレベーターにおいてかごの乗降に要する時間は、車椅子の使用の有無に関わらずエレベーターの利用者ごとに異なる。このため、特許文献1のエレベーターシステムにおいて、利用者ごとのかごの乗降に要する時間と戸開時間との間に誤差がある場合がある。この場合に、エレベーターの利用者の利便性が低下する。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、利用者の利便性の低下を抑えられるエレベーターの制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターの制御システムは、昇降路を昇降する1つ以上のかごを有するエレベーターの複数の利用者の各々を特定する特定部と、特定部に特定された利用者が1つ以上のかごのいずれかを乗降するときの乗降特性を複数の利用者ごとに取得する取得部と、特定部に特定された利用者が1つ以上のかごのいずれかを乗降するときに当該かごのかごドアが従う戸開時間の指令値を、取得部が予め取得した乗降特性に基づいて複数の利用者ごとに算出する解析部と、を備え、取得部は、1つ以上のかごのいずれかが停止している間に当該かごを乗降する利用者が複数いる場合に、当該かごが停止している間の乗降特性の取得を行わない。
本開示に係るエレベーターの制御システムは、昇降路を昇降する1つ以上のかごを有するエレベーターの複数の利用者の各々を特定する特定部と、特定部に特定された利用者が1つ以上のかごのいずれかを乗降するときの乗降特性を複数の利用者ごとに取得する取得部と、特定部に特定された利用者が1つ以上のかごのいずれかを乗降するときに当該かごのかごドアが従う戸開時間の指令値を、取得部が予め取得した乗降特性に基づいて複数の利用者ごとに算出する解析部と、エレベーターに設けられ、各々を識別する識別情報を複数の利用者のいずれかが携帯する携帯端末に無線信号によって各々が発信する1つ以上の発信機と、携帯端末が1つ以上の発信機のいずれかから当該発信機の識別情報を受信するときに携帯端末から送信され当該識別情報および携帯端末を携帯する利用者を特定する特定情報を含む利用情報を受信する通信部と、を備え、特定部は、通信部が利用情報を受信するときに特定情報に基づいて複数の利用者の各々を特定し、解析部は、特定部に特定された利用者が携帯する携帯端末から通信部が受信した利用情報が当該利用者のエレベーターの利用についての設定情報を含み、かつ、設定情報が当該利用者の属性情報または利用状況を含む場合に、当該利用者についての戸開時間の指令値を設定情報および当該利用者の乗降特性に基づいて算出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る制御システムによれば、エレベーターの利用者の利便性の低下を抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るかご操作盤の正面図である。
【
図3】実施の形態1に係る制御システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る携帯端末における表示の例である。
【
図5】実施の形態1に係る制御システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る制御システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態1に係る制御システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0011】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物2に適用される。建物2において、エレベーター1の昇降路3が設けられる。昇降路3は、複数の階床にわたる鉛直方向に長い空間である。建物2の各々の階床において、昇降路3に隣接する乗場4が設けられる。建物2において、複数の乗場カメラ5が設けられる。各々の乗場カメラ5は、いずれかの階床の乗場4に対応する。各々の乗場カメラ5は、対応する乗場4に配置される。乗場カメラ5は、対応する乗場4を撮影する装置である。乗場カメラ5が撮影する画像は、静止画像または動画像のいずれであってもよい。
【0012】
エレベーター1は、複数の利用者Pに利用される。各々の利用者Pは、出発階の乗場4から目的階の乗場4までの移動にエレベーター1を利用する。この例において、一部または全部の利用者Pは、各々の携帯端末6を携帯している。携帯端末6は、無線通信を行う可搬な端末装置である。携帯端末6は、例えばスマートフォンなどの汎用の情報端末などである。携帯端末6は、無線信号を発信する機器から当該無線信号を受信する機能を搭載する。また、携帯端末6は、ネットワーク7を通じて他の装置などとの間で通信する機能を搭載する。ネットワーク7は、例えばインターネットまたは電話回線網などの通信網である。携帯端末6において、エレベーター1と連携する連携アプリケーションがインストールされている。連携アプリケーションは、例えばネットワーク7を通じて利用者Pが予めソフトウェアをダウンロードすることなどによって携帯端末6にインストールされる。連携アプリケーションは、例えばエレベーター1の呼びの登録についての機能などを搭載する。
【0013】
エレベーター1において、制御システム8が適用される。制御システム8は、利用者Pに応じたエレベーター1の制御などを行うシステムである。制御システム8は、サーバ装置9を備える。サーバ装置9は、例えば監視センター10に配置される。監視センター10は、エレベーター1の状態を監視する拠点である。監視センター10は、例えばエレベーター1が適用される建物2の外部の拠点である。サーバ装置9は、例えば1つまたは複数のハードウェアによって構成されていてもよい。サーバ装置9は、エレベーター1が設けられる建物2におけるエレベーター1の機器との間で制御情報を通信することなどによってエレベーター1の制御を行う装置である。この例において、サーバ装置9は、エレベーター1の呼びの登録などの機能を搭載する。
【0014】
エレベーター1は、遠隔監視装置11を備える。遠隔監視装置11は、エレベーター1の状態を監視する装置である。エレベーター1の状態は、例えば各々の乗場カメラ5が撮影する画像などを含む。遠隔監視装置11は、例えばエレベーター1が適用される建物2に配置される。遠隔監視装置11は、エレベーター1の状態の情報などを通信しうるように、ネットワーク7を通じて監視センター10のサーバ装置9などに接続される。
【0015】
エレベーター1は、少なくとも1つ以上のユニット12を備える。この例において、エレベーター1は、複数のユニット12を備える。各々のユニット12は、複数の乗場ドア13と、巻上機14と、主ロープ15と、かご16と、釣合い錘17と、制御盤18と、を備える。
【0016】
各々の乗場ドア13は、いずれかの階床の乗場4に配置される。各々の乗場ドア13は、乗場4および昇降路3を区画するドアである。
【0017】
巻上機14は、駆動力を発生させるモーター、およびモーターが発生させる駆動力によって回転するシーブを備える。巻上機14は、例えば昇降路3の上部または下部などに配置される。あるいは、エレベーター1において例えば昇降路3の上方などに機械室が設けられる場合に、巻上機14は機械室に配置されてもよい。
【0018】
主ロープ15は、昇降路3においてかご16および釣合い錘17の荷重を支持するロープである。主ロープ15は、巻上機14のシーブに巻きかけられる。主ロープ15は、巻上機14のシーブの一方側においてかご16の荷重を支持する。主ロープ15は、巻上機14のシーブの他方側において釣合い錘17の荷重を支持する。
【0019】
かご16は、昇降路3を鉛直方向に走行することでエレベーター1の利用者Pを複数の階床の間で輸送する機器である。かご16は、かごドア19と、ドアセンサー20と、かごカメラ21と、かご操作盤22と、を備える。かごドア19は、かご16がいずれかの階床に停止しているときに利用者Pが乗降しうるように、当該階床の乗場4に配置された乗場ドア13を連動させて開閉する機器である。ドアセンサー20は、開いているかごドア19のドアパネルの開閉方向にある物体などを検出する機器である。ドアセンサー20は、例えばかごドア19のドアパネルの端部に設けられる。ドアセンサー20は、例えば接触する物体を検出する接触式のセンサーであってもよい。あるいは、ドアセンサー20は、例えばドアパネルに近接する物体を例えば赤外線などによって検出する非接触式のセンサーであってもよい。かごカメラ21は、かご16の内部を撮影する装置である。かごカメラ21が撮影する画像は、静止画像または動画像のいずれであってもよい。かご操作盤22は、かご16に乗車している利用者Pの操作を受け付ける部分である。
【0020】
釣合い錘17は、巻上機14のシーブの両側にかかる荷重の釣合いをかご16との間でとる機器である。かご16および釣合い錘17は、巻上機14のモーターが発生させる駆動力によって昇降路3を互いに反対方向に走行する。
【0021】
制御盤18は、当該制御盤18を備えるユニット12の動作を制御する部分である。ユニット12の動作は、例えばかご16の昇降およびかごドア19の開閉を含む。制御盤18は、例えば昇降路3の上部または下部などに配置される。あるいは、エレベーター1において機械室が設けられる場合に、制御盤18は機械室に配置されてもよい。制御盤18は、エレベーター1の状態としてユニット12の状態を通信しうるように、例えば遠隔監視装置11に接続される。ユニット12の状態は、かご16の位置、かごドア19の開閉状態、ドアセンサー20による物体の検出の有無、かごカメラ21が撮影する画像、およびかご操作盤22が受け付けた操作などを含む。
【0022】
この例において、エレベーター1は、群管理装置23を備える。群管理装置23は、複数のユニット12の間で呼びへの応答などの運行状況を管理する装置である。群管理装置23は、運行状況などを含むエレベーター1の状態を通信しうるように、例えば遠隔監視装置11に接続される。群管理装置23は、各々のユニット12の制御盤18から取得する当該ユニット12の状態を遠隔監視装置11に中継してもよい。この場合に、各々のユニット12の制御盤18は遠隔監視装置11に直接接続されていなくてもよい。
【0023】
制御システム8は、少なくとも1つ以上の発信機24を備える。この例において、エレベーター1は、複数の発信機24を備える。各々の発信機24は、利用者Pが携帯する携帯端末6との間で無線通信を行う装置である。各々の発信機24は、例えば無線ビーコン装置である。各々の発信機24について、識別情報が付与されている。識別情報は、各々の発信機24を識別するID(IDentification)などの情報である。各々の発信機24は、無線信号によって識別情報を発信する。この例において、各々の階床の乗場4に1つの発信機24が配置される。また、各々のユニット12のかご16に1つの発信機24が配置される。
【0024】
図2は、実施の形態1に係るかご操作盤22の正面図である。
【0025】
かご操作盤22は、行先階操作部25と、開閉操作部26と、非常連絡操作部27と、インターホン28と、インジケーター29と、を備える。行先階操作部25は、行先階を指定したかご呼びの操作を受け付ける部分である。行先階操作部25は、例えば各々の階床に対応する複数のボタンを有する。開閉操作部26は、かごドア19の開閉の操作を受け付ける部分である。開閉操作部26は、例えばかごドア19の戸開および戸閉に対応する2つのボタンを有する。非常連絡操作部27は、非常時において利用者Pおよび監視センター10のオペレーターの間の非常連絡の開始の操作を受け付ける部分である。非常連絡操作部27は、例えば非常連絡ボタンを有する。インターホン28は、非常連絡が行われる場合にかご16の内部の利用者Pからの音声の収音およびオペレーターからの音声のかご16の内部への発音などを行う部分である。インジケーター29は、かご16に乗車している利用者Pに情報を表示する部分である。インジケーター29に表示される情報は、例えばかご16の走行方向およびかご16の現在位置に対応する階床などを含む。
【0026】
図3は、実施の形態1に係る制御システム8の構成を示す機能ブロック図である。
図3において、携帯端末6およびサーバ装置9の構成の例が示される。
【0027】
サーバ装置9は、通信部30と、登録部31と、特定部32と、取得部33と、解析部34と、を備える。通信部30は、サーバ装置9の外部の機器などとの間で情報の通信を行う部分である。登録部31は、エレベーター1に呼びを登録させる部分である。特定部32は、エレベーター1を利用する各々の利用者Pを特定する部分である。取得部33は、特定部32に特定された利用者Pがいずれかのユニット12のかご16を乗降するときの乗降特性を利用者Pごとに取得する部分である。乗降特性は、利用者Pごとのかご16の乗降の特性を表す情報である。乗降特性は、例えばかご16の乗降に要する時間、またはかご16の乗降の際に行われる操作もしくは行動などの情報を含む。乗降特性は、例えば各々のユニット12の制御盤18から送信されるユニット12の状態などの情報に基づいて取得される。かご16の乗降の際に行われる操作は、例えば開閉操作部26の操作を含む。かご16の乗降の際に行われる行動は、例えばドアセンサー20への接触またはかごドア19のドアパネルへの近接などを含む。解析部34は、取得部33が取得した乗降特性に基づいて、戸開時間の指令値を利用者Pごとに算出する部分である。解析部34は、算出した指令値を利用者Pに関連付けて記憶する。戸開時間の指令値は、利用者Pが乗降するかご16を有するユニット12の制御盤18に通信部30を通じて送信される。
【0028】
各々のユニット12の制御盤18は、受信した戸開時間の指令値に従ってかご16のかごドア19を戸開させる。すなわち、制御盤18は、かごドア19を全開させた後に、指令値によって表される戸開時間が経過してからかごドア19の戸閉を開始させる。各々のユニット12の制御盤18は、戸開時間の指令値を受信しないときに、予め設定された戸開時間の既定値に従ってかご16のかごドア19を戸開させる。すなわち、制御盤18は、かごドア19を全開させた後に、既定値によって表される戸開時間が経過してからかごドア19の戸閉を開始させる。なお、戸開時間が経過する前に開閉操作部26などにおいてかごドア19の戸閉の操作が受け付けられた場合に、制御盤18は、受け付けた操作を優先させてかごドア19を戸閉させてもよい。また、戸開時間が経過する前に開閉操作部26などにおいてかごドア19の戸開の操作が受け付けられた場合に、制御盤18は、受け付けた操作を優先させてかごドア19の戸開時間を延長してもよい。また、戸開時間が経過してかごドア19が戸閉を開始した後にドアセンサー20が物体を検出する場合に、制御盤18は、物体の検出による制御を優先させてかごドア19を再び戸開させてもよい。
【0029】
携帯端末6は、無線通信部35と、記憶部36と、表示部37と、入力部38と、を備える。無線通信部35は、携帯端末6の外部の機器などとの間で無線通信を行う部分である。記憶部36は、携帯端末6において情報を記憶する部分である。記憶部36において、例えば携帯端末6を携帯する利用者Pの特定情報、および当該利用者Pの設定情報などが記憶される。特定情報は、利用者Pを特定するIDなどの情報である。設定情報は、利用者Pによって設定されたエレベーター1の利用設定に関する情報などである。設定情報は、利用オプション、属性情報、および利用状況などを含む。利用オプションは、エレベーター1の利用に関して利用者Pが選択するオプションの情報などである。属性情報は、利用者Pの属性を表す情報である。利用者Pの属性は、例えば「車椅子使用者」などの属性を含む。属性情報は、利用者Pの年齢または年代などの情報を含んでもよい。利用状況は、例えば「ベビーカー使用」などのエレベーター1の利用の際の一時的な状況を表す情報などである。表示部37は、携帯端末6を携帯する利用者Pに情報を表示する部分である。表示部37は、例えばディスプレイである。入力部38は、携帯端末6を携帯する利用者Pの操作を受け付ける部分である。入力部38は、例えばボタンまたはタッチパネルなどである。
【0030】
図4は、実施の形態1に係る携帯端末6における表示の例である。
【0031】
図4において、設定情報を設定する表示の例が示される。利用者Pは、
図4の設定画面において、チェックボックス39のチェックの有無を切り替えることによって、設定情報における利用オプション、属性情報、または利用状況などを設定する。あるいは、設定画面は、利用オプション、属性情報、または利用状況などを選択するインターフェイスを含む画面であってもよい。
【0032】
続いて、
図5および
図6を用いて、制御システム8の動作の例を説明する。
図5および
図6は、実施の形態1に係る制御システム8の動作の例を示すフローチャートである。
図5および
図6において、連携アプリケーションによる携帯端末6の動作、サーバ装置9の動作、および建物2におけるエレベーター1の動作の例が示される。
【0033】
図5において、呼びの登録に係る制御システム8の動作の例が示される。
【0034】
図5における呼びの登録の処理は、例えば携帯端末6を携帯する利用者Pがエレベーター1を利用するために出発階の乗場4まで移動することなどによって開始する。この例において、出発階の乗場4に設けられた発信機24の無線通信の通信範囲は、当該乗場4を含む。このため、利用者Pが乗場4に到着するときに、携帯端末6は当該発信機24から無線信号を受信しうる状態になる。
【0035】
ステップS10において、携帯端末6は、無線通信部35がいずれかの発信機24から無線信号によって識別情報を受信したかを判定する。判定結果がNoの場合に、携帯端末6の動作は、ステップS10に進む。一方、判定結果がYesの場合に、携帯端末6の動作は、ステップS11に進む。
【0036】
ステップS11において、携帯端末6は、サーバ装置9に利用情報を送信する。利用情報は、利用者Pのエレベーター1の利用に関する情報である。利用情報は、例えば無線通信部35が発信機24から受信した識別情報、ならびに記憶部36が記憶している特定情報および設定情報を含む。この例において、利用情報は、利用者Pが出発階の乗場4に到着するときに当該乗場4に設けられた発信機24から携帯端末6が受信した識別情報を含む。また、利用情報は、利用者Pが設定した設定情報を含む。利用情報は、設定情報として利用者Pの行先階の情報を含んでいてもよい。利用情報を送信した後に、呼びの登録に係る携帯端末6の動作は終了する。
【0037】
ステップS20において、サーバ装置9の登録部31は、通信部30が携帯端末6からネットワーク7を通じて利用情報を受信したかを判定する。判定結果がNoの場合に、サーバ装置9の動作は、ステップS20に進む。一方、判定結果がYesの場合に、サーバ装置9の動作は、ステップS21に進む。
【0038】
ステップS21において、登録部31は、通信部30が受信した利用情報に含まれる識別情報に基づいて、利用者Pが利用するエレベーター1を特定する。登録部31は、例えば識別情報によって識別される発信機24が設けられたエレベーター1を、利用者Pが利用するエレベーター1として特定する。その後、サーバ装置9の動作は、ステップS22に進む。
【0039】
ステップS22において、登録部31は、呼び登録要求を生成する。呼び登録要求は、例えば出発階および行先階の情報を含む。登録部31は、例えば利用情報に含まれる識別情報によって識別される発信機24が設けられる乗場4の階床を呼びの出発階とする。登録部31は、例えば利用情報に設定情報として含まれる行先階の情報に基づいて呼びの行先階を設定する。ここで、設定情報に行先階の情報が含まれない場合などに、呼び登録要求は、行先階の情報を含まなくてもよい。このとき、利用者Pの行先階は、例えば利用者Pがかご16に乗車したときにかご操作盤22において指定される。登録部31は、生成した呼び登録要求をエレベーター1の遠隔監視装置11に通信部30を通じて送信する。呼び登録要求を送信した後に、呼びの登録に係るサーバ装置9の動作は終了する。
【0040】
ステップS30において、エレベーター1の遠隔監視装置11は、サーバ装置9からネットワーク7を通じて呼び登録要求を受信したかを判定する。判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS30に進む。一方、判定結果がYesの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS31に進む。
【0041】
ステップS31において、エレベーター1の群管理装置23は、遠隔監視装置11が受信した呼び登録要求に基づく呼びをいずれかのユニット12に割り当てる。群管理装置23は、例えばエレベーター1の利用率などの運行状況に応じて呼びの割当てを行う。群管理装置23は、呼びを割り当てたユニット12の制御盤18に当該呼びを登録する。群管理装置23は、呼びを割り当てたユニット12をサーバ装置9に通知してもよい。その後、エレベーター1の動作は、ステップS32に進む。
【0042】
ステップS32において、呼びが割り当てられた制御盤18は、割り当てられた呼びに応答する。制御盤18は、かご16を走行させて出発階に停止させる。その後、呼びの登録に係るエレベーター1の動作は終了する。
【0043】
図6において、かご16の乗降に係る制御システム8の動作の例が示される。
【0044】
ステップS23において、サーバ装置9の特定部32は、かご16を乗降する利用者Pを特定する。特定部32は、例えば通信部30が携帯端末6から受信した利用情報に基づいて利用者Pを特定する。利用情報が利用者Pの特定情報を含む場合に、特定部32は、特定情報に基づいて利用者Pを特定する。なお、例えば利用者Pがかご16から降車するときに、乗車時において当該利用者Pが既に特定されている場合などに、利用者Pを特定する動作は省略されてもよい。
【0045】
また、エレベーター1が複数のかご16を有する場合に、特定部32は、利用者Pを特定するときに当該利用者Pが乗降するかご16を特定する。当該利用者Pがかご16に乗車するときに、特定部32は、当該利用者Pが乗車するかご16を特定する。特定部32は、例えば当該利用情報に基づく呼び登録要求によって呼びを割り当てたユニット12が群管理装置23から通知される場合に、当該利用者Pが乗車するかご16として当該ユニット12のかご16を特定する。また、当該利用者Pがかご16から降車するときに、特定部32は、当該利用者Pが降車するかご16を特定する。特定部32は、例えば当該利用者Pが乗車するかご16を乗車時において既に特定している場合に、当該かご16を当該利用者Pが降車するかご16として特定する。その後、サーバ装置9の動作は、ステップS24に進む。
【0046】
ステップS24において、特定部32は、特定した利用者Pが単独で乗降するかを判定する。特定部32は、例えば特定した利用者Pの乗降するかご16が当該利用者Pの行先階または出発階に停止している間に、当該利用者Pの他に当該かご16を乗降する利用者がいない場合に、特定した利用者Pが単独で乗降していると判定する。一方、特定部32は、例えば特定した利用者Pの乗降するかご16が当該利用者Pの出発階に停止している間に、他の利用者が当該かご16を乗降する場合に、特定した利用者Pが単独で乗降していないと判定する。また、特定部32は、例えば特定した利用者Pの乗降するかご16が当該利用者Pの行先階に停止している間に他の利用者が当該かご16に乗車または当該かご16から降車する場合に、特定した利用者Pが単独で乗降していないと判定する。単独で乗降していないと特定部32が判定する場合に、サーバ装置9の動作は、ステップS23に進む。一方、単独で乗降すると特定部32が判定する場合に、サーバ装置9の動作は、ステップS25に進む。
【0047】
ここで、特定部32は、例えば通信部30が受信した利用情報などに基づいて、特定した利用者Pが単独で乗降するか否かを判定してもよい。例えば、同一の発信機24の識別情報を含む複数の利用情報を通信部30が受信する場合に、同一の乗場4またはかご16に複数の利用者がいるとして、特定部32は、特定した利用者Pが単独で乗降しないと判定してもよい。
【0048】
ステップS25において、通信部30は、特定部32が特定した利用者Pに関連付けて解析部34が記憶している戸開時間の指令値を、当該利用者Pが乗降するかご16を有するユニット12の制御盤18に送信する。その後、サーバ装置9の動作は、ステップS26に進む。
【0049】
一方、ステップS33において、エレベーター1の各々のユニット12の制御盤18は、かご16がいずれかの階床に停止するまでに、戸開時間の指令値を受信したかを判定する。判定結果がYesの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS34に進む。一方、判定結果がNoの場合に、エレベーター1の動作は、ステップS38に進む。
【0050】
ステップS34において、指令値を受信した制御盤18は、かご16を停止させた階床において、受信した指令値の戸開時間でかご16のかごドア19を戸開させる。その後、エレベーター1の動作は、ステップS35に進む。
【0051】
ステップS35において、エレベーター1は、乗降時の状況を取得する。乗降時の状況は、かごカメラ21および乗場カメラ5、かご操作盤22、ならびにドアセンサー20などによって取得されるユニット12の状態またはエレベーター1の状態を含む。乗降時の状況は、かごドア19の戸開が開始してから全閉するまでの間に取得される。制御盤18は、戸開時間が経過した後に、かごドア19の戸閉を開始する。その後、ステップS36において制御盤18がかごドア19を全閉させた後に、エレベーター1の動作は、ステップS37に進む。
【0052】
ステップS37において、遠隔監視装置11は、取得された乗降時の状況をサーバ装置9に送信する。その後、エレベーター1の動作は、ステップS33に進む。
【0053】
ステップS38において、指令値を受信していない制御盤18は、既定値の戸開時間でかご16のかごドア19を戸開させる。制御盤18は、戸開時間が経過した後に、かごドア19の戸閉を開始する。その後、ステップS39において制御盤18がかごドア19を全閉させた後に、エレベーター1の動作は、ステップS33に進む。
【0054】
一方、ステップS26において、サーバ装置9の取得部33は、遠隔監視装置11から通信部30が受信した乗降時の状況などに基づいて、特定部32が特定した利用者Pの乗降特性を取得する。取得部33は、例えば撮影された利用者Pの画像に基づいて、当該利用者Pのかご16の乗降に要する時間を取得する。また、取得部33は、例えばユニット12の状態に基づいて、乗降の際の開閉操作部26の操作の有無などを取得する。また、取得部33は、例えばユニット12の状態に基づいて、ドアセンサー20への接触またはドアパネルへの近接などの乗降の際に行われる行動などを取得する。また、取得部33は、利用者Pの携帯端末6から通信部30が受信する利用情報に基づいて当該利用者Pの乗降特性を取得してもよい。例えば、かご16に設けられる発信機24の識別情報を含む利用情報と、乗場4に設けられる発信機24の識別情報を含む利用情報とを、同一の利用者Pの携帯端末6から続けて通信部30が受信する場合がある。この場合に、取得部33は、続けて受信する利用情報の時間差に基づいて当該利用者Pのかご16の乗降に要する時間を取得する。その後、サーバ装置9の動作は、ステップS27に進む。
【0055】
ステップS27において、解析部34は、取得部33が取得した利用者Pごとの乗降特性に基づいて、当該利用者Pについての戸開時間の指令値を算出する。解析部34は、例えば利用者Pのかご16の乗降に要する時間を当該利用者Pについての戸開時間の指令値としてもよい。解析部34は、利用者Pについての戸開時間の指令値を既に記憶している場合などに、当該指令値を更新して算出してもよい。解析部34は、戸開時間の指令値の初期値として、例えば戸開時間の既定値を用いてもよい。解析部34は、例えば利用者Pの乗降特性がかごドア19の戸開の操作を含む場合に、当該利用者Pの戸開時間の指令値をより長い値に更新する。また、解析部34は、例えば利用者Pの乗降特性がかごドア19の戸閉の操作を含む場合に、当該利用者Pの戸開時間の指令値をより短い値に更新する。また、解析部34は、例えば利用者Pの乗降特性が戸閉中のかごドア19のドアセンサー20による物体の検出を含む場合に、当該利用者Pの戸開時間の指令値をより長い値に更新する。また、解析部34は、例えば利用者Pの乗降特性が戸閉開始の前のかごドア19のドアセンサー20による物体の検出を含む場合に、かご16および乗場4の間を通過している利用者Pが検出されたものとする。このとき、解析部34は、当該利用者Pの戸開時間の指令値を更新せずに維持してもよい。また、解析部34は、例えば教師あり学習、教師なし学習、または強化学習などの機械学習の方法によって戸開時間の指令値を算出してもよい。解析部34が算出した戸開時間の指令値を記憶した後に、サーバ装置9の動作は、ステップS23に進む。
【0056】
以上に説明したように、実施の形態1に係る制御システム8は、特定部32と、取得部33と、解析部34と、を備える。エレベーター1は、1つ以上のかご16を有する。各々のかご16は、昇降路3を昇降する。特定部32は、エレベーター1の各々の利用者Pを特定する。取得部33は、特定部32に特定された利用者Pがいずれかのかご16を乗降するときの乗降特性を利用者Pごとに取得する。解析部34は、取得部33が取得した乗降特性に基づいて、複数の利用者Pごとに戸開時間の指令値を算出する。戸開時間の指令値は、特定部32に特定された利用者Pがいずれかのかご16を乗降するときに当該かご16のかごドア19が従う指令値である。
【0057】
このような構成により、利用者Pごとのかご16の乗降の実態に応じて算出された戸開時間の指令値に従ってかごドア19が戸開される。このため、例えば戸開時間が短すぎることによって利用者Pがかご16の乗降時にかご操作盤22などを操作する必要がなくなる。また、利用者Pの乗降中にかごドア19が戸閉を開始することが抑えられる。また、戸開時間が長すぎることによる無用なかご16の停止時間が生じにくいので、エレベーター1の利用率が低下しにくくなる。このため、エレベーター1の利用者Pの利便性の低下が抑えられる。また、例えば利用者Pが高齢である場合など、車椅子などを使用していなくても利用者Pがかご16の乗降に時間を要する場合がある。また、車椅子などを使用する利用者Pであっても、かご16の乗降に要する時間は利用者Pごとに異なる場合がある。このような場合においても、利用者Pごとの乗降の実態に応じたエレベーター1の制御が行われる。
【0058】
また、制御システム8は、1つ以上の発信機24と、通信部30と、を備える。各々の発信機24は、エレベーター1に設けられる。エレベーター1の少なくともいずれかの利用者Pは、携帯端末6を携帯する。各々の発信機24は、識別情報を携帯端末6に無線信号によって発信する。識別情報は、各々の発信機24を識別する情報である。携帯端末6は、いずれかの発信機24から識別情報を受信するときに利用情報を送信する。通信部30は、携帯端末6から送信される利用情報を受信する。利用情報は、携帯端末6が受信した識別情報、および携帯端末6を携帯する利用者Pを特定する特定情報を含む。特定部32は、通信部30が利用情報を受信するときに、特定情報に基づいて利用者Pを特定する。
【0059】
このような構成により、携帯端末6を携帯する利用者Pがエレベーター1を利用するときに自動的に特定される。これにより、携帯端末6を携帯する利用者Pによるエレベーター1の利用時の操作などによらずに、利用者Pの利便性の低下が抑えられる。
【0060】
また、特定部32は、特定部32に特定された利用者Pの携帯端末6から通信部30が受信した利用情報に基づいて登録された呼びに応答するかご16を、当該利用者Pが乗降するかご16として特定する。取得部33は、当該利用者Pが当該かご16を乗降するときの乗降特性を取得する。
【0061】
利用者Pは連携アプリケーションなどによって登録された呼びが割り当てられたかご16を乗降する可能性が高いので、利用者Pが乗降するかご16の特定の精度が高くなる。これにより、乗降特性の取得の精度が高くなる。また、戸開時間の指令値を送信するかご16の特定の精度が高くなる。このため、利用者Pの利便性の低下がより確実に抑えられる。
【0062】
また、取得部33は、いずれかのかご16が停止している間に当該かご16を乗降する利用者が複数いる場合に、当該かご16が停止している間の乗降特性の取得を行わない。
【0063】
複数の利用者がかご16を乗降する場合に、かご16の乗降に要する時間は互いの利用者の状況の影響を受ける。この場合に取得される乗降特性を戸開時間の指令値の算出に反映すると、利用者ごとの指令値の算出に誤差を生じうる。一方、取得部33は、複数の利用者がかご16を乗降する場合に乗降特性を取得しないので、戸開時間の指令値の算出の精度が悪化しにくくなる。
【0064】
なお、特定部32は、エレベーター1の利用者Pを撮影した画像に基づいて各々の利用者Pを特定してもよい。このとき、一部または全部の利用者Pは、エレベーター1と連携する携帯端末6を携帯していなくてもよい。特定部32は、例えば乗場カメラ5またはかごカメラ21が撮影する画像に基づいて、顔認証または歩容認証などによって利用者Pを特定してもよい。
【0065】
これにより、利用者Pがエレベーター1と連携する携帯端末6を携帯していない場合においても、特定部32は利用者Pを特定できる。また、特定部32は、複数の方法を組み合わせて、または複数の方法を切り替えて利用者Pの特定を行ってもよい。
【0066】
また、1つ以上の発信機24は、いずれかのかご16に設けられる発信機24を含む。当該発信機24は、かご発信機の例である。このとき、特定部32は、特定部32に特定された利用者Pの携帯端末6から通信部30が受信した利用情報がかご発信機の識別情報を含む場合に、当該利用者Pが乗降するかご16を当該識別情報に基づいて特定してもよい。特定部32は、当該利用者Pが当該かご16を乗降するときの乗降特性を取得する。
【0067】
かご16に設けられたかご発信機の無線通信の通信範囲は、当該かご16の内部を含む。このため、利用者Pがかご16に乗車しているときに、当該利用者Pの携帯端末6はかご発信機から無線信号を受信しうる状態になる。かご発信機の識別情報を受信した携帯端末6を携帯する利用者Pは、かご発信機が設けられたかご16に乗車している可能性が高い。これにより、利用者Pが実際に乗車しているかご16の特定の精度が高くなる。例えば利用者Pの呼びが割り当てられたかご16と違うかご16に利用者Pが乗車した場合においても、実際に利用者Pが乗車しているかご16が特定される。
【0068】
また、連携アプリケーションは、エレベーター1の呼びの登録についての機能を搭載していなくてもよい。連携アプリケーションは、例えばエレベーター1が設けられる建物2の設備などと連携するアプリケーションであってもよい。あるいは、連携アプリケーションは、例えばエレベーター1が設けられる建物2において提供されるサービスなどと連携するアプリケーションであってもよい。また、携帯端末6は、例えば無線タグなどの制御システム8の専用の端末装置であってもよい。
【0069】
また、1つ以上の発信機24は、エレベーター1の乗場4に設けられる発信機24を含む。当該発信機24は、乗場発信機の例である。このとき、特定部32に特定された利用者Pの携帯端末6から通信部30が受信した利用情報が、乗場発信機の識別情報を含む場合がある。この場合に、特定部32は、当該識別情報によって識別される乗場発信機が設けられた乗場4の階床から通信部30が利用情報を受信した後に出発したかご16を、当該利用者Pが乗車しているかご16として特定してもよい。取得部33は、当該利用者Pが当該かご16を乗降するときの乗降特性を取得する。
【0070】
乗場4に到着した利用者Pは、その後に当該乗場4の階床から出発するかご16に乗車する可能性が高い。これにより、利用者Pが実際に乗車しているかご16の特定の精度が高くなる。例えば連携アプリケーションなどによって呼びの登録が行われていない場合においても、利用者Pが乗車しているかご16が特定される。また、特定部32は、特定したかご16が出発した後に、乗場発信機の識別情報を含む利用情報などに基づいて当該利用者Pが出発階にまだ滞在していると判定するときに、利用者Pが乗車しているかご16の特定を取り消してもよい。かご16の混雑などによって利用者Pが乗車を見送った場合などにおいても、利用者Pが実際に乗車するかご16の特定の精度が高くなる。
【0071】
また、利用者Pが携帯する携帯端末6から送信される利用情報は、当該利用者Pのエレベーター1の利用設定に関する設定情報を含む。このとき、解析部34は、当該利用者Pについての戸開時間の指令値を設定情報および乗降特性に基づいて算出してもよい。例えば、解析部34は、設定情報が利用状況などの一時的な状況を表す情報を含む場合に、利用者Pの状況ごとに戸開時間の指令値を算出してもよい。また、解析部34は、設定情報が利用者Pの属性情報を含む場合に、戸開時間の指令値を更新するときの増加幅または減少幅などを属性情報に応じたものとして指令値を算出してもよい。これにより、利用者Pの乗降の実態をよりよく反映した指令値が算出される。
【0072】
また、特定部32は、例えば登録された呼びなどに基づいて、特定した利用者Pが単独で乗降するか否かを判定してもよい。例えば、特定した利用者Pの出発階と同一の階床を出発階または行先階とする他の利用者の呼びが、特定した利用者Pの乗車するかご16に登録されている場合に、特定部32は、特定した利用者Pが単独で乗車しないと判定してもよい。同様に、特定した利用者Pの行先階と同一の階床を出発階または行先階とする他の利用者の呼びが、特定した利用者Pが乗車しているかご16に登録されている場合に、特定部32は、特定した利用者Pが単独で降車しないと判定してもよい。
【0073】
また、特定部32は、例えば乗場カメラ5またはかごカメラ21が撮影する画像などに基づいて、特定した利用者Pが単独で乗降するか否かを判定してもよい。例えば画像の動体認識などによって乗場4からかご16に乗車する利用者Pが一人のみであると判定する場合に、特定部32は、当該利用者Pが単独で乗車したと判定する。同様に、かご16から乗場4に降車する利用者Pが一人のみであると判定する場合に、特定部32は、当該利用者Pが単独で降車したと判定する。また、例えば画像認識などによって乗場4にいる利用者Pが一人のみで、かつ、当該利用者Pが乗車するかご16に誰も乗車していないと判定する場合に、特定部32は、当該利用者Pが単独で乗車すると判定する。同様に、かご16に乗車している利用者Pが一人のみで、かつ、当該利用者Pが降車する階床の乗場4に誰もいないと判定する場合に、特定部32は、当該利用者Pが単独で降車すると判定する。また、特定部32は、特定した利用者Pを含む複数の利用者が乗場4にいると判定する場合に、特定した利用者Pは単独で乗車しないと判定してもよい。同様に、特定部32は、特定した利用者Pを含む複数の利用者がかご16にいると判定する場合に、特定した利用者Pは単独で降車しないと判定してもよい。
【0074】
また、特定部32は、複数の条件を切り替えて、または組み合わせて、特定した利用者Pが単独で乗降するか否かを判定してもよい。例えば、特定した利用者Pが乗車しているかご16に乗車している人数と、当該かご16の行先階として登録されている階床の数とが一致する場合に、特定部32は、特定した利用者Pが単独で降車すると判定してもよい。ここで、かご16に乗車している人数は、例えば画像認識などによって判定される。また、このとき、特定した利用者Pの行先階を出発階とする呼びが当該かご16に割り当てられている場合に、特定部32は、特定した利用者Pが単独で降車しないと判定してもよい。
【0075】
また、制御システム8において、発信機24は、乗場4にのみ配置されてもよい。いずれかの階床において、発信機24が配置されていなくてもよい。あるいは、発信機24は、かご16にのみ配置されていてもよい。いずれかのユニット12のかご16において、発信機24が配置されていなくてもよい。
【0076】
また、登録部31は、呼びを割り当てるユニット12を指定した呼び登録要求を生成してもよい。登録部31は、例えば設定情報などに基づいて指定するユニット12を選択する。このとき、特定部32は、登録部31において指定されたユニット12のかご16を、利用者Pが乗降するかご16として特定してもよい。
【0077】
また、発信機24は、携帯端末6からの無線信号を受信する機能を搭載していてもよい。このとき、発信機24は、携帯端末6と、サーバ装置9またはエレベーター1との間の通信を中継してもよい。
【0078】
通信部30、登録部31、特定部32、取得部33、および解析部34などの制御システム8におけるサーバ装置9の機能の一部または全部は、エレベーター1が設けられる建物2に配置されるハードウェアに搭載されていてもよい。当該機能の一部または全部は、各々のユニット12の制御盤18、群管理装置23、または遠隔監視装置11などに搭載されていてもよい。
【0079】
また、エレベーター1は、1つのみのユニット12を備えていてもよい。このとき、エレベーター1は、群管理装置23を備えていなくてもよい。
【0080】
続いて、
図7を用いて、制御システム8のハードウェア構成の例について説明する。
図7は、実施の形態1に係る制御システム8の主要部のハードウェア構成図である。
【0081】
制御システム8の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0082】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、制御システム8の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御システム8の各機能を実現する。
【0083】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0084】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0085】
制御システム8の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、制御システム8の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。制御システム8の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御システム8の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示に係る制御システムは、エレベーターに適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 エレベーター、 2 建物、 3 昇降路、 4 乗場、 5 乗場カメラ、 6 携帯端末、 7 ネットワーク、 8 制御システム、 9 サーバ装置、 10 監視センター、 11 遠隔監視装置、 12 ユニット、 13 乗場ドア、 14 巻上機、 15 主ロープ、 16 かご、 17 釣合い錘、 18 制御盤、 19 かごドア、 20 ドアセンサー、 21 かごカメラ、 22 かご操作盤、 23 群管理装置、 24 発信機、 25 行先階操作部、 26 開閉操作部、 27 非常連絡操作部、 28 インターホン、 29 インジケーター、 30 通信部、 31 登録部、 32 特定部、 33 取得部、 34 解析部、 35 無線通信部、 36 記憶部、 37 表示部、 38 入力部、 39 チェックボックス、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア、 P 利用者