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特許7226667エレベーターシステム、及びエレベーターの改修方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】エレベーターシステム、及びエレベーターの改修方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20230214BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20230214BHJP
   B66B 11/02 20060101ALI20230214BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20230214BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230214BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B7/00 K
B66B11/02 P
H04N5/225 600
H04N5/232 300
H04N7/18 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022551525
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036322
(87)【国際公開番号】W WO2022064642
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】安部 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】玉谷 亮太
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-039869(JP,U)
【文献】登録実用新案第54028(JP,Z1)
【文献】登録実用新案第65333(JP,Z1)
【文献】特開2012-001289(JP,A)
【文献】米国特許第9654678(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0261824(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0255697(US,A1)
【文献】特開2009-171143(JP,A)
【文献】特開2015-231893(JP,A)
【文献】特開2008-517855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 7/00
B66B 11/02
H04N 5/225
H04N 5/232
H04N 7/18
H01R 33/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動するかごと、
前記かごの外側に設けられた電球用の第1ソケットと、
前記かごに支持され、前記第1ソケットを介して電力が供給されるカメラユニットと、
携帯端末と、
を備え、
前記カメラユニットは、
可視光による撮影が可能なカメラと、
前記カメラによって撮影された映像を表す映像データを前記携帯端末に対して送信するための通信手段と、
を備え、
前記携帯端末は、
第1表示器と、
前記通信手段から受信した前記映像データに基づいて、前記カメラによって撮影された映像を前記第1表示器に表示させる第1表示制御手段と、
を備えたエレベーターシステム。
【請求項2】
特定の操作が行われると前記第1ソケットに電力を供給するスイッチを更に備え、
前記通信手段は、前記スイッチに対して前記特定の操作が行われると、前記映像データを送信することが可能になる請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
昇降路を移動するかごと、
前記かごの外側に設けられた電球用の第1ソケットと、
前記かごに支持され、前記第1ソケットを介して電力が供給されるカメラユニットと、
アクセスポイントが接続された監視装置と、
前記アクセスポイントを介さずに前記監視装置との通信が可能な外部機器と、
を備え、
前記カメラユニットは、
可視光による撮影が可能なカメラと、
前記カメラによって撮影された映像を表す映像データを、前記アクセスポイントを介して前記監視装置に送信するための通信手段と、
を備え、
前記監視装置は、前記アクセスポイントを介して前記通信手段から受信した前記映像データを前記外部機器に送信し、
前記外部機器は、
第1表示器と、
前記監視装置から受信した前記映像データに基づいて、前記カメラによって撮影された映像を前記第1表示器に表示させる第1表示制御手段と、
を備えたエレベーターシステム。
【請求項4】
特定の第1条件が成立すると、前記第1ソケットに電力を供給する給電部を更に備え、
前記通信手段は、前記給電部によって前記第1ソケットに対して電力が供給されると、前記映像データを送信することが可能になる請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記第1ソケットに固定されたアダプタを更に備え、
前記カメラユニットは、前記第1ソケット及び前記アダプタを介して電力が供給される請求項1から請求項4の何れか一項に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
前記アダプタに支持され、可視光を放射可能なランプユニットを更に備え、
前記ランプユニットは、前記第1ソケット及び前記アダプタを介して電力が供給される請求項5に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
前記アダプタは、電球用の第2ソケットを備え、
前記ランプユニットは、前記第2ソケットに固定された請求項6に記載のエレベーターシステム。
【請求項8】
前記ランプユニットは、
可視光を放射可能な第1放射手段と、
赤外線を放射可能な第2放射手段と、
前記第1放射手段又は前記第2放射手段を選択する選択手段と、
前記選択手段が前記第1放射手段を選択すると前記第1放射手段から可視光を放射させ、前記選択手段が前記第2放射手段を選択すると前記第2放射手段から赤外線を放射させる放射制御手段と、
を備え、
前記カメラは、前記第2放射手段からの赤外線よる撮影が可能である請求項6又は請求項7に記載のエレベーターシステム。
【請求項9】
前記かごの下方に配置された緩衝器を更に備え、
前記かごは、前記かごが落下した際に前記緩衝器に上方から接触し得る部材を備え、
前記カメラは、前記部材に形成された下向きの面に固定された請求項5から請求項8の何れか一項に記載のエレベーターシステム。
【請求項10】
前記カメラユニットは、
磁石と、
前記アダプタに接続された電源線と、
を備え、
前記カメラは、前記磁石によって前記面に固定され、
前記かごは、敷居から下方に延びる前垂れを備え、
前記電源線は、前記カメラが前記面から外れた場合に前記カメラの下端が前記前垂れの下端より上方に配置されるように前記かごに固定された請求項9に記載のエレベーターシステム。
【請求項11】
昇降路の内部を照らすための電球が第1ソケットを介してかごに設けられたエレベーターを改修する方法であって、
前記電球を前記第1ソケットから外す工程と、
前記電球を外した前記第1ソケットを介してカメラユニットに電力が供給されるように、前記カメラユニットを前記かごに支持させる工程と、
を備え、
前記カメラユニットは、
可視光による撮影が可能なカメラと、
前記カメラによって撮影された映像を表す映像データを送信するための通信手段と、
を備えたエレベーターの改修方法。
【請求項12】
前記電球を外した前記第1ソケットにアダプタを取り付ける工程を更に備え、
前記カメラユニットは、前記第1ソケット及び前記アダプタを介して電力が供給される請求項11に記載のエレベーターの改修方法。
【請求項13】
可視光を放射可能なランプユニットを前記アダプタに取り付ける工程を更に備え、
前記ランプユニットは、前記第1ソケット及び前記アダプタを介して電力が供給される請求項12に記載のエレベーターの改修方法。
【請求項14】
前記アダプタは、電球用の第2ソケットを備え、
前記ランプユニットは、前記第2ソケットに固定される請求項13に記載のエレベーターの改修方法。
【請求項15】
前記ランプユニットは、
可視光を放射可能な第1放射手段と、
赤外線を放射可能な第2放射手段と、
前記第1放射手段又は前記第2放射手段を選択する選択手段と、
前記選択手段が前記第1放射手段を選択すると前記第1放射手段から可視光を放射させ、前記選択手段が前記第2放射手段を選択すると前記第2放射手段から赤外線を放射させる放射制御手段と、
を備え、
前記カメラは、前記第2放射手段からの赤外線よる撮影が可能である請求項13又は請求項14に記載のエレベーターの改修方法。
【請求項16】
前記かごは、前記かごが落下した際に緩衝器に上方から接触し得る部材を備え、
前記カメラは、前記部材に形成された下向きの面に固定される請求項11から請求項15の何れか一項に記載のエレベーターの改修方法。
【請求項17】
前記カメラユニットに前記第1ソケットを介して電力が常時供給されるように設定を変更する工程を更に備えた請求項11から請求項16の何れか一項に記載のエレベーターの改修方法。
【請求項18】
前記カメラユニットを前記かごに支持させた後、前記通信手段とアクセスポイントとの通信を確立する工程を更に備え、
前記アクセスポイントは、外部機器と通信するための監視装置に接続された請求項11から請求項17の何れか一項に記載のエレベーターの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターシステム、及びエレベーターの改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エレベーター装置が記載されている。特許文献1に記載されたエレベーター装置では、かごにカメラとランプが設けられる。ランプによって昇降路の内部が照らされる。カメラによって昇降路の内部が撮影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2012-1289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一例として、既設のエレベーター装置に、昇降路の内部を撮影するためのカメラを取り付ける場合を考える。従来では、かごにカメラを取り付ける際に、カメラのための電源を確保することが難しいといった問題があった。なお、特許文献1に記載されたエレベーター装置では、このような問題が考慮されていない。そして、このような問題は、エレベーター装置を新設する場合にも同様に発生し得る。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、昇降路の内部を撮影するためのカメラ用の電源を容易に確保できるエレベーターシステムを提供することである。本開示の他の目的は、昇降路の内部を撮影するためのカメラを設置する際にカメラ用の電源を容易に確保できるエレベーターの改修方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターシステムは、昇降路を移動するかごと、かごの外側に設けられた電球用の第1ソケットと、かごに支持され、第1ソケットを介して電力が供給されるカメラユニットと、携帯端末と、を備える。カメラユニットは、可視光による撮影が可能なカメラと、カメラによって撮影された映像を表す映像データを携帯端末に対して送信するための通信手段と、を備える。携帯端末は、第1表示器と、通信手段から受信した映像データに基づいて、カメラによって撮影された映像を第1表示器に表示させる第1表示制御手段と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムは、昇降路を移動するかごと、かごの外側に設けられた電球用の第1ソケットと、かごに支持され、第1ソケットを介して電力が供給されるカメラユニットと、アクセスポイントが接続された監視装置と、アクセスポイントを介さずに監視装置との通信が可能な外部機器と、を備える。カメラユニットは、可視光による撮影が可能なカメラと、カメラによって撮影された映像を表す映像データを、アクセスポイントを介して監視装置に送信するための通信手段と、を備える。監視装置は、アクセスポイントを介して通信手段から受信した映像データを外部機器に送信する。外部機器は、第1表示器と、監視装置から受信した映像データに基づいて、カメラによって撮影された映像を第1表示器に表示させる第1表示制御手段と、を備える。
【0008】
本開示に係るエレベーターの改修方法は、昇降路の内部を照らすための電球が第1ソケットを介してかごに設けられたエレベーターを改修する方法である。本改修方法は、電球を第1ソケットから外す工程と、電球を外した第1ソケットを介してカメラユニットに電力が供給されるように、カメラユニットをかごに支持させる工程と、を備える。カメラユニットは、可視光による撮影が可能なカメラと、カメラによって撮影された映像を表す映像データを送信するための通信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、昇降路の内部を撮影するためのカメラ用の電源を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1におけるエレベーターシステムの例を示す図である。
図2】映像ユニットの例を示す図である。
図3】アダプタの例を示す図である。
図4】ランプユニットの例を示す図である。
図5】カメラユニットの例を示す図である。
図6】カメラユニットが有する機能を説明するための図である。
図7】映像ユニットの動作例を示すフローチャートである。
図8】携帯端末の例を示す図である。
図9】携帯端末の動作例を示すフローチャートである。
図10】カメラユニットの他の例を示す図である。
図11】制御装置及び監視装置の例を示す図である。
図12】外部機器の例を示す図である。
図13】制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図14】監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図15】外部機器11の動作例を示すフローチャートである。
図16】監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図17】監視装置の他の動作例を示すフローチャートである。
図18】エレベーターの改修方法の例を示すフローチャートである。
図19】カメラユニットが有する機能を説明するための図である。
図20】ランプユニットが有する機能を説明するための図である。
図21】実施の形態2における映像ユニットの基本動作の例を示すフローチャートである。
図22】制御装置及び監視装置が有する機能を示す図である。
図23】携帯端末の例を示す図である。
図24】外部機器の例を示す図である。
図25】携帯端末の動作例を示すフローチャートである。
図26】携帯端末の他の動作例を示すフローチャートである。
図27】監視装置の他の動作例を示すフローチャートである。
図28】監視装置の他の動作例を示すフローチャートである。
図29】監視装置の他の動作例を示すフローチャートである。
図30】監視装置の他の動作例を示すフローチャートである。
図31】エレベーターの改修方法の例を示すフローチャートである。
図32】制御装置のハードウェア資源の例を示す図である。
図33】制御装置のハードウェア資源の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーターシステムの例を示す図である。図1に示すエレベーターシステムは、かご1及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。つり合いおもり2は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、主ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。
【0013】
主ロープ4は、巻上機5の駆動綱車6に巻き掛けられる。かご1は、駆動綱車6の回転に応じて移動する。制御装置7は、巻上機5を制御する。即ち、かご1の移動は、制御装置7によって制御される。図1は、巻上機5及び制御装置7が昇降路3の上方の機械室に設置される例を示す。巻上機5及び制御装置7は、昇降路3に設置されても良い。
【0014】
監視装置8は、制御装置7に接続される。監視装置8は、制御装置7と通信する。監視装置8は、エレベーター装置が外部と通信を行うための装置である。例えば、監視装置8は、ネットワーク9を介して外部機器11と通信する。一例として、外部機器11は、遠隔の監視センター10に備えられる。
【0015】
監視装置8に、アクセスポイント12が接続される。アクセスポイント12は、監視装置8に直接接続されても良いし、他の機器を介して間接的に監視装置8に接続されても良い。アクセスポイント12は、特定の機器が監視装置8と無線通信を行う際に使用される。上記特定の機器には、保守用の携帯端末13が含まれる。他の例として、上記特定の機器には、後述の映像ユニット18及び19が含まれる。携帯端末13は、エレベーターの保守員によって所有される。保守員は、携帯端末13を使用してエレベーターの保守を行う。なお、監視装置8は、アクセスポイント12を介することなく外部機器11と通信することが可能である。
【0016】
監視装置8に、地震計14が接続される。地震計14は、建物の加速度を検出する。地震計14によって検出された加速度のデータは、監視装置8に入力される。監視装置8は、地震計14によって特定レベル以上の加速度が検出されると、地震管制運転を実施させるための信号を制御装置7に送信する。地震計14は、制御装置7に接続されても良い。かかる場合、地震計14によって検出された加速度のデータは、制御装置7に入力される。制御装置7は、地震計14によって特定レベル以上の加速度が検出されると、地震管制運転を実施する。
【0017】
地震計14は、特定レベル以上の加速度を検出した際に地震検知信号を出力しても良い。地震計14が監視装置8に接続されていれば、地震計14からの地震検知信号は監視装置8に入力される。監視装置8は、地震計14から地震検知信号を受信すると、地震管制運転を実施させるための信号を制御装置7に送信する。地震計14が制御装置7に接続されていれば、地震計14からの地震検知信号は制御装置7に入力される。かかる場合、制御装置7は、地震計14から地震検知信号を受信すると、地震管制運転を実施する。地震計14は、昇降路3のピット3aに設けられても良い。
【0018】
かご1と制御装置7との間に、制御ケーブル15が接続される。制御ケーブル15は、かご1から下方に延びる。かご1から下方に延びた制御ケーブル15は、昇降路3の内部で方向転換されて上方に延びる。制御ケーブル15は、かご1の移動を阻害することがないように、昇降路3の内部でU字状に吊り下げられる。
【0019】
かご1に、電球用のソケット16及び17が設けられる。ソケット16及び17は、特定の口金を有する市販の電球を取り付けることができる形状を有する。ソケット16及び17は、かご1の外側に露出するように配置される。図1に示す例では、ソケット16は、かご1の上部に設けられる。ソケット17は、かご1の下部に設けられる。
【0020】
また、図1に示すエレベーターシステムは、映像ユニット18及び19を備える。映像ユニット18は、かご1の上方の映像を得るためのユニットである。映像ユニット19は、かご1の下方の映像を得るためのユニットである。映像ユニット18には、ソケット16から電力が供給される。映像ユニット19には、ソケット17から電力が供給される。
【0021】
図1は、エレベーターシステムが映像ユニット18及び19の双方を備える好適な例を示す。本システムは、映像ユニット18を備え、映像ユニット19を備えなくても良い。本システムが映像ユニット19を備えない場合、かご1にソケット17が設けられていなくても良い。本システムは、映像ユニット19を備え、映像ユニット18を備えなくても良い。本システムが映像ユニット18を備えない場合、かご1にソケット16が設けられていなくても良い。
【0022】
以下においては、映像ユニット19について詳細な説明を行う。映像ユニット18の構成、機能、及び動作は、映像ユニット19の構成、機能、及び動作と同様である。このため、映像ユニット18に関する説明は省略する。
【0023】
かご1は、かご室20、ドア21、前垂れ22、前梁23、枠24、操作盤25、及び表示器26を備える。かご室20は、乗客が乗るための空間を形成する。かご室20は、枠24によって支持される。枠24は、かご室20の上下左右を取り囲む。枠24は、上部材24a及び下部材24bを備える。上部材24aは、かご室20の上方でかご室20を横切るように水平に配置される。下部材24bは、かご室20の下方でかご室20を横切るように水平に配置される。1:1ローピング方式のエレベーター装置では、上部材24aに主ロープ4が連結される。
【0024】
かご室20は、天井27及び床28を備える。床28には、ドア21の移動を案内するための敷居が含まれる。前垂れ22は、この敷居から下方に延びるように配置される。前垂れ22は、前梁23に支持される。前梁23は、かご室20に支持される。前梁23は、床28の下に配置される。
【0025】
映像ユニット18は、天井27の上に配置される。映像ユニット19は、床28の下に配置される。映像ユニット19が床28の下に配置される場合、前垂れ22は、透光性を有することが好ましい。一例として、前垂れ22は、透明な樹脂部材で形成される。前垂れ22は、全体が透明な樹脂部材で形成されても良い。前垂れ22は、一部が透明でも良い。例えば、金属板に中空部を設け、その中空部を透明な樹脂部材で塞ぐことによって前垂れ22が形成されても良い。前垂れ22に透明な部材が含まれなくても良い。例えば、前垂れ22は、パンチングプレス加工或いはスリット加工が施された金属板によって形成されても良い。
【0026】
操作盤25は、行先ボタン、開ボタン、及び閉ボタン等を備える。表示器26は、かご1に乗っている乗客に情報を提供するための報知器の一例である。
【0027】
図2は、映像ユニット19の例を示す図である。映像ユニット19は、アダプタ30、ランプユニット31、カバー32、カメラユニット33、及び落下防止ワイヤ34を備える。
【0028】
本実施の形態に示す例では、ソケット17は、前梁23に設けられる。ソケット17は、図2に示すように前梁23の側面に設けられても良いし、前梁23の下面に設けられても良い。ソケット17に、アダプタ30が固定される。
【0029】
図3は、アダプタ30の例を示す図である。アダプタ30は、本体35、及び口金36を備える。口金36は、本体35に設けられる。口金36は、ソケット17に着脱可能な形状を有している。即ち、口金36をソケット17にねじ込むことにより、アダプタ30をソケット17に固定することができる。本体35に、コンセント37と電球用のソケット38とが備えられる。本体35に、複数のコンセント37が備えられても良い。ソケット38は、特定の口金を有する市販の電球を取り付けることができる形状を有している。
【0030】
ランプユニット31は、アダプタ30に支持される。具体的に、ランプユニット31は、アダプタ30を介してかご1に支持される。ランプユニット31は、かご1の下方を照らすためのものである。ランプユニット31は、少なくとも、可視光を放射可能である。ランプユニット31には、ソケット17及びアダプタ30を介して電力が供給される。
【0031】
図4は、ランプユニット31の例を示す図である。ランプユニット31は、本体39、及び口金40を備える。一例として、ランプユニット31は、電球形のLEDランプである。口金40は、本体39に設けられる。口金40は、ソケット38に着脱可能な形状を有している。即ち、口金40をソケット38にねじ込むことにより、ランプユニット31をアダプタ30のソケット38に固定することができる。
【0032】
カバー32は、ランプユニット31を保護する。カバー32は、アダプタ30の本体35に固定される。ランプユニット31は、カバー32によって覆われる。
【0033】
カメラユニット33は、かご1に支持される。カメラユニット33には、ソケット17を介して電力が供給される。本実施の形態に示す例では、カメラユニット33は、ソケット17及びアダプタ30を介して電力が供給される。
【0034】
図5は、カメラユニット33の例を示す図である。図6は、カメラユニット33が有する機能を説明するための図である。カメラユニット33は、カメラ41、カバー42、磁石43、電源線44、アンテナ45、及び制御装置46を備える。
【0035】
カメラ41は、少なくとも、可視光による撮影が可能である。カメラ41にカバー42が固定される。カバー42に磁石43が固定される。例えば、磁石43は、カメラ41とカバー42との間に配置されるようにカバー42に接着固定される。
【0036】
図2は、カメラ41が下部材24bの面24cに固定される例を示す。面24cは、下部材24bに形成された下向きの面である。下部材24bは、主ロープ4が切れてかご1が落下した際に緩衝器3bに上方から接触し得る部材である。緩衝器3bは、安全装置の一つとしてピット3aに設けられている。緩衝器3bは、かご1の下方、より詳細には下部材24bの直下に配置される。カメラ41は、緩衝器3bと接触することがないように面24cに固定される。
【0037】
本実施の形態に示す例では、カメラ41は、磁石43によって下部材24bに吸着固定される。カメラ41が面24cに固定されると、カバー42は、カメラ41の上方を覆うように配置される。また、カメラ41が面24cに固定されると、カメラ41は、かご1の下方が撮影されるようにその向きが設定される。カメラユニット33に、カメラ41の撮影方向を調整するための機構が備えられても良い。
【0038】
電源線44は、カメラ41から延びる。電源線44にはプラグ44aが含まれる。電源線44は、アダプタ30に接続される。具体的には、プラグ44aがアダプタ30のコンセント37に差し込まれる。これにより、カメラ41は、電源線44及びアダプタ30を介してソケット17に電気的に接続される。
【0039】
電源線44は、必要に応じて、枠24、床28、及び前梁23に固定される。電源線44は、カメラ41が下部材24bから外れた場合に、カメラ41の下端が前垂れ22の下端より上方に配置されるようにかご1に固定されることが好ましい。電源線44には、下部材24bとソケット17との距離に応じて延長ケーブルが含まれても良い。
【0040】
制御装置46は、記憶部60、及び通信部61を備える。
【0041】
落下防止ワイヤ34は、カメラ41が昇降路3に落下することを防止するための手段である。落下防止ワイヤ34の一方の端部はかご1に固定される。落下防止ワイヤ34のもう一方の端部は、カメラ41或いはカバー42に固定される。落下防止ワイヤ34は、必要に応じて、映像ユニット19に備えられても良い。カメラ41の固定が磁石43によって行われる場合、映像ユニット19は落下防止ワイヤ34を備えることが好ましい。
【0042】
次に、カメラ41で撮影された映像を利用する例について説明する。上述したように、映像ユニット19の動作は、映像ユニット18の動作と同様である。このため、本実施の形態及び他の実施の形態において、映像ユニット18のカメラユニットに備えられたカメラで撮影された映像を利用する例については、詳細な説明を省略する。
【0043】
図7は、映像ユニット19の動作例を示すフローチャートである。一例として、かご1の操作盤25に、ソケット17への給電を行うためのスイッチ25aが備えられる。スイッチ25aは、制御装置7或いは監視装置8に備えられても良い。スイッチ25aに対して特定の操作が行われると、ソケット17に電力が供給される。例えば、スイッチ25aは、手動でオン或いはオフに切り替え可能である。スイッチ25aがオフであれば、ソケット17に電力は供給されない。ソケット17に電力が供給されなければ、ランプユニット31から光は放射されない。ソケット17に電力が供給されなければ、カメラ41による撮影は行われない。
【0044】
スイッチ25aは、基本的にオフである。保守員は、エレベーターの点検時にかご1内でスイッチ25aをオンにする。スイッチ25aがオンになると、ソケット17に電力が供給され、ソケット17から映像ユニット19に電力が供給される(S101)。即ち、ソケット17及びアダプタ30を介してランプユニット31に電力が供給される。これにより、ランプユニット31から可視光が放射される(S102)。また、ソケット17及びアダプタ30を介してカメラユニット33に電力が供給される。これにより、カメラ41による撮影が開始される(S103)。例えば、カメラ41によってピット3aの映像が撮影される。
【0045】
通信部61は、映像データを送信する機能を有する。映像データは、カメラ41によって撮影された映像を表すデータである。スイッチ25aがオンになる、即ちカメラユニット33に電力が供給された後に、通信部61は、映像データを送信することが可能になる。例えば、カメラユニット33に電力が供給されると、通信部61は、アンテナ45から通信用の電波を送信する。制御装置46では、他の機器と接続したか、即ち他の機器と通信が確立したか否かが判定される(S104)。
【0046】
保守員は、携帯端末13に対して特定の認証操作を行うことにより、携帯端末13をカメラユニット33に無線接続する。図8は、携帯端末13の例を示す図である。図9は、携帯端末13の動作例を示すフローチャートである。携帯端末13は、入力装置70、及び表示器71を備える。保守員は、入力装置70から必要な情報を入力する。入力装置70及び表示器71は、タッチパネル式の一体型の装置でも良い。入力装置70は、キーボード或いはマウスであっても良い。携帯端末13は、記憶部72、表示制御部73、及び通信部74を更に備える。表示制御部73は、表示器71を制御する。
【0047】
例えば、アンテナ45からの電波を通信部74が受信すると、表示制御部73は、カメラユニット33を特定するための情報を表示器71に表示する。保守員は、入力装置70を用いて当該情報を指定し、パスワードを入力する。通信部74は、入力されたパスワードをカメラユニット33に送信する。携帯端末13では、カメラユニット33と接続したか否かが判定される(S201)。
【0048】
通信部61が携帯端末13から正しいパスワードを受信すると、カメラユニット33と携帯端末13とが無線接続される。これにより、S104でYesと判定される。また、S201でYesと判定される。S104でYesと判定されると、通信部61は、カメラ41によって撮影された映像を表すデータ、即ちカメラ41による映像データを携帯端末13に送信する(S105)。
【0049】
S201でYesと判定されると、携帯端末13では、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S202)。S105で通信部61が送信した映像データは、通信部74によって受信される(S202のYes)。表示制御部73は、通信部74がカメラユニット33から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された映像を表示器71に表示させる(S203)。これにより、保守員は、かご1に乗りながらピット3aのリアルタイム映像を見ることができる。
【0050】
携帯端末13とカメラユニット33との通信が切断されていなければ(S204のNo)、携帯端末13の処理はS202に戻る。携帯端末13とカメラユニット33との通信が切断されると(S204のYes)、携帯端末13は処理を終了する。
【0051】
映像ユニット19では、電力が供給されていれば、S102からS105に示す処理が繰り返し行われる。保守員がスイッチ25aをオフにすると、映像ユニット19への電力が遮断される(S106のYes)。S106でYesと判定されると、映像ユニット19は処理を終了する。
【0052】
なお、映像ユニット19では、S104でYesと判定された後にカメラ41による撮影が開始されても良い。例えば、カメラ41による撮影は、カメラユニット33と携帯端末13との通信が確立された後、携帯端末13から特定の信号を受信することによって開始されても良い。この時、カメラユニット33と携帯端末13との通信状況に応じてカメラ41の画質が設定されても良い。
【0053】
本実施の形態に示す例では、映像ユニット19への電力供給がソケット17を介して行われる。このため、既設の設備或いは設計を利用して、映像ユニット19への電力供給を行うことができる。本実施の形態に示す例であれば、映像ユニット19のための電源、特にカメラ41のための電源を容易に確保することが可能となる。
【0054】
以下に、本エレベーターシステムが採用可能な他の機能について説明する。本エレベーターシステムは、可能であれば、以下に示す複数の機能を組み合わせて採用しても良い。他の実施の形態で開示するエレベーターシステムも同様に後述の機能を採用可能である。
【0055】
先ず、映像ユニット19が採用可能な機能について説明する。例えば、ランプユニット31がなくても撮影に必要な明るさを確保できるのであれば、映像ユニット19はランプユニット31を備えなくても良い。また、ランプユニット31の機能をカメラユニット33が備えても良い。
【0056】
他の例として、アダプタ30の本体35に、電球用の複数のソケット38が備えられても良い。かかる場合、本体35はコンセント37を備えていなくても良い。例えば、1つのソケット38にランプユニット31が固定される。もう1つのソケット38にカメラユニット33が固定される。ソケット38に着脱可能な口金が電源線44に含まれていれば、カメラユニット33をソケット38に固定することができる。プラグ44aをソケット38に接続するために、ソケット38に着脱可能な口金とプラグ44aを差し込むことが可能なコンセントとを備えた他のアダプタを更に用いても良い。
【0057】
他の例として、カメラユニット33は、他の機器と通信するための通信線を更に備えても良い。保守員は、保守用の機器をこの通信線に接続し、プログラムの更新等を行っても良い。保守員が携帯端末13でピット3aの映像を見る際に、この通信線は使用されなくも良い。かかる場合、通信線の先端に設けられたコネクタに、防塵用のキャップを取り付けておくことが好ましい。
【0058】
図10は、カメラユニット33の他の例を示す図である。カメラユニット33は、マイク47、スピーカ48、加速度計49、ジャイロセンサ50、気圧計51、温度計52、及び湿度計53を更に備えても良い。マイク47、スピーカ48、加速度計49、ジャイロセンサ50、気圧計51、温度計52、及び湿度計53は、それらのうちの一つ或いは複数が必要に応じてカメラユニット33に備えられても良い。
【0059】
マイク47は、音を検出する。カメラユニット33がマイク47を備えている場合、通信部61は、マイク47によって検出された音のデータを映像データとともに携帯端末13に送信しても良い。
【0060】
スピーカ48は、制御装置46に備えられた音制御部62によって制御される。
【0061】
加速度計49は、カメラユニット33の加速度を検出する。カメラユニット33が加速度計49を備えている場合、通信部61は、加速度計49によって検出された加速度のデータを映像データとともに携帯端末13に送信しても良い。
【0062】
ジャイロセンサ50は、カメラユニット33の角速度を検出する。カメラユニット33がジャイロセンサ50を備えている場合、通信部61は、ジャイロセンサ50によって検出された角速度のデータを映像データとともに携帯端末13に送信しても良い。保守員は、携帯端末13で受信した加速度のデータ又は角速度のデータに基づいて、乗り心地に問題がないかを確認することができる。
【0063】
気圧計51は、気圧計51が配置されている場所の気圧を検出する。カメラユニット33が気圧計51を備えている場合、通信部61は、気圧計51によって検出された気圧のデータを映像データとともに携帯端末13に送信しても良い。携帯端末13にも気圧計(図示せず)が備えられていれば、かご1の位置を基準にして、気圧計51が検出した気圧と携帯端末13に備えられた気圧計が検出した気圧との差を用いて、保守員がいる位置をより正確に特定することができる。
【0064】
温度計52は、温度計52が配置されている場所の温度を検出する。カメラユニット33が温度計52を備えている場合、通信部61は、温度計52によって検出された温度のデータを映像データとともに携帯端末13に送信しても良い。湿度計53は、湿度計53が配置されている場所の湿度を検出する。カメラユニット33が湿度計53を備えている場合、通信部61は、湿度計53によって検出された湿度のデータを映像データとともに携帯端末13に送信しても良い。携帯端末13で受信した温度データ及び湿度データを用いることにより、制御装置7等に備えられた基板の寿命予測を行うことができる。
【0065】
上述の例では、映像ユニット19への電力供給がスイッチ25aに対する手動操作によって行われる。他の例として、映像ユニット19への電力供給が制御装置7及び監視装置8の機能によって実現されても良い。以下に、図11から図16も参照し、映像ユニット19に対する電力供給機能を制御装置7及び監視装置8が実現する具体的な例について説明する。
【0066】
図11は、制御装置7及び監視装置8の例を示す図である。制御装置7は、記憶部80、給電部81、及び運転制御部82を備える。給電部81は、ソケット17への給電を制御する。
【0067】
運転制御部82は、設定されている運転モードに応じた運転制御を行う。運転モードには、例えば自動モード、保守モード、診断モード、管制モード、及び復旧モードがある。自動モードでは、自動運転が行われる。自動運転は、登録された呼びにかご1を順次応答させる運転である。保守モードでは、手動操作によってかご1を移動させることが可能である。診断モードでは、異常の有無を判定するための診断運転が行われる。例えば、診断運転は定期的に行われる。管制モードでは、例えば地震管制運転が行われる。地震管制運転は、地震が発生した直後に行われる。復旧モードでは、エレベーターの復旧の可否を判定するための復旧運転が行われる。復旧運転は、地震管制運転が行われた後に行われる。
【0068】
監視装置8は、記憶部90、条件判定部91、及び通信部92を備える。
【0069】
図12は、外部機器11の例を示す図である。外部機器11は、入力装置100、及び表示器101を備える。監視センター10の監視員は、入力装置100から必要な情報を入力する。入力装置100及び表示器101は、タッチパネル式の一体型の装置でも良い。入力装置100は、キーボード或いはマウスであっても良い。外部機器11は、記憶部102、表示制御部103、及び通信部104を更に備える。表示制御部103は、表示器101を制御する。
【0070】
図13は、制御装置7の動作例を示すフローチャートである。自動運転が行われている時に昇降路3の内部が光ると、利用者がその光を不審に感じる恐れがある。このため、給電部81は、基本的にソケット17への電力を遮断する(S301)。上述したように、ソケット17に電力が供給されなければ、ランプユニット31から光は放射されない。ソケット17に電力が供給されなければ、カメラ41による撮影は行われない。制御装置7では、カメラ41による撮影を要求するための第1要求信号を受信したか否かが判定される(S302)。S302でNoと判定されると、給電部81は、ソケット17への電力遮断を継続する。
【0071】
図14は、監視装置8の動作例を示すフローチャートである。条件判定部91は、撮影条件が成立したか否かを判定する(S401)。撮影条件は予め設定される。撮影条件として、特定の時間帯が設定されても良い。かかる場合、現在時刻が上記時間帯に含まれていれば、S401でYesと判定される。
【0072】
他の例として、通信部92が外部機器11から特定の信号を受信すると、撮影条件が成立しても良い。図15は、外部機器11の動作例を示すフローチャートである。一例として、監視センター10の監視員は、カメラ41によって撮影された映像を表示器101で見たい時に、入力装置100から特定の情報を入力する。入力装置100から当該情報が入力されると、通信部104は、カメラ41による映像データを要求するための第2要求信号を、ネットワーク9を介して監視装置8に送信する(S501)。
【0073】
通信部92が外部機器11から第2要求信号を受信すると、撮影条件が成立する(S401のYes)。S401でYesと判定されると、通信部92は、制御装置7に第1要求信号を送信する(S402)。
【0074】
S402で通信部92が送信した第1要求信号を制御装置7が受信すると、S302でYesと判定される。S302でYesと判定されると、給電部81は、ソケット17に電力を供給する(S303)。
【0075】
映像ユニット19では、図7に示す動作が行われる。即ち、S303での処理により、ソケット17から映像ユニット19に電力が供給される(S101)。これにより、ランプユニット31から可視光が放射される(S102)。また、カメラ41による撮影が開始される(S103)。
【0076】
また、カメラユニット33に電力が供給されると、通信部61は、アンテナ45から通信用の電波を送信する。S402で通信部92が第1要求信号を送信した後に通信部92がアクセスポイント12を介してアンテナ45からの電波を受信すると、特定の認証処理を経た後に監視装置8とカメラユニット33とが接続される(S403のYes)。これにより、S104においてもYesと判定される。S104でYesと判定されると、通信部61は、カメラ41による映像データを、アクセスポイント12を介して監視装置8に送信する(S105)。
【0077】
監視装置8では、S403でYesと判定されると、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S404)。S105で通信部61が送信した映像データは、監視装置8において通信部92が受信する(S404のYes)。監視装置8が第2要求信号を受信することによってS401で撮影条件が成立した場合、通信部92は、S404で通信部61から受信した映像データを外部機器11に送信する(S405)。
【0078】
外部機器11では、S501で通信部104が第2要求信号を送信すると、監視装置8から映像データを受信したか否かが判定される(S502)。S405で通信部92が送信した映像データは、外部機器11において通信部104が受信する(S502のYes)。表示制御部103は、通信部104が監視装置8から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された映像を表示器101に表示させる(S503)。これにより、監視員は、監視センター10においてピット3aのリアルタイム映像を見ることができる。
【0079】
また、監視装置8では、S401で撮影条件が成立した後、撮影を終了するための終了条件が成立したか否かが判定される(S406)。終了条件は予め設定される。撮影条件として特定の時間帯が設定されている場合、現在時刻がこの時間帯から外れていれば終了条件が成立する。他の例として、一定時間継続してS403でNoと判定された場合に終了条件が成立しても良い。外部機器11から特定の信号を受信した場合に終了条件が成立しても良い。S406でYesと判定されると、通信部92は、カメラ41による撮影の終了を要求するための第3要求信号を制御装置7に送信する(S407)。
【0080】
制御装置7では、S302でYesと判定された後、監視装置8から第3要求信号を受信したか否かが判定される(S304)。S304でNoと判定されると、給電部81は、ソケット17に対する電力供給を継続する。S407で通信部92が送信した第3要求信号を制御装置7が受信すると、S304でYesと判定される。S304でYesと判定されると、給電部81は、ソケット17への電力を遮断する(S301)。
【0081】
次に、監視センター10の監視員が、カメラ41によって撮影された過去の映像を見る例について説明する。
【0082】
制御装置7では、図13に示す動作が行われる。上述したように、自動運転が行われている時に昇降路3の内部が光ると、利用者がその光を不審に感じる恐れがある。このため、給電部81は、基本的にソケット17への電力を遮断する(S301)。例えば、給電部81は、自動運転が行われている間はソケット17への電力を遮断する。制御装置7では、第1要求信号を受信したか否かが判定される(S302)。
【0083】
図16は、監視装置8の動作例を示すフローチャートである。運転制御部82が自動運転を行っている間、条件判定部91は、診断条件が成立したか否かを判定する(S601)。診断条件は予め設定される。一例として、特定の日の特定の時刻になると、診断条件は成立する。診断条件が成立したことを条件判定部91が判定すると(S601のYes)、通信部92は、運転モードを診断モードに設定するための第1モード信号を制御装置7に送信する(S602)。
【0084】
制御装置7では、監視装置8から第1モード信号を受信すると、診断運転を開始する。即ち、運転制御部82は、診断条件が成立すると診断運転を行う。診断運転では、異常の有無を判定するために必要な診断用データが取得される。制御装置7は、診断運転で取得した診断用データを監視装置8に送信する。通信部92が制御装置7から受信した診断用データは、監視装置8において記憶部90に記憶される。
【0085】
また、通信部92がS602で送信する第1モード信号には第1要求信号が含まれる。このため、S602で通信部92が送信した第1モード信号を制御装置7が受信すると、S302でYesと判定される。S302でYesと判定されると、給電部81は、ソケット17に電力を供給する(S303)。
【0086】
映像ユニット19では、図7に示す動作が行われる。即ち、S303での処理により、ソケット17から映像ユニット19に電力が供給される(S101)。これにより、ランプユニット31から可視光が放射され(S102)、カメラ41による撮影が開始される(S103)。
【0087】
図16のS603及びS604に示す処理は、図14のS403及びS404に示す処理と同様である。即ち、S602で通信部92が第1モード信号を送信した後に通信部92がアクセスポイント12を介してアンテナ45からの電波を受信すると、特定の認証処理を経た後に監視装置8とカメラユニット33とが接続される(S603のYes)。これにより、S104においてもYesと判定される。S104でYesと判定されると、通信部61は、カメラ41による映像データを、アクセスポイント12を介して監視装置8に送信する(S105)。
【0088】
監視装置8では、S603でYesと判定されると、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S604)。S105で通信部61が送信した映像データは、監視装置8において通信部92が受信する(S604のYes)。診断条件が成立することによってS602で第1モード信号(第1要求信号)が送信された場合、通信部92が受信した映像データは記憶部90に記憶される(S605)。S605において、通信部92が受信した映像データは、診断運転で取得された診断用データとして記憶部90に記憶される。
【0089】
運転制御部82による診断運転が終了すると(S606のYes)、通信部92は、運転モードを自動モードに設定するための第2モード信号を制御装置7に送信する(S607)。制御装置7では、監視装置8から第2モード信号を受信すると、運転制御部82が自動運転を再開する。
【0090】
また、通信部92がS607で送信する第2モード信号には第3要求信号が含まれる。
このため、S607で通信部92が送信した第2モード信号を制御装置7が受信すると、S304でYesと判定される。S304でYesと判定されると、給電部81は、ソケット17への電力を遮断する(S301)。また、S304でYesと判定されると、S106でYesと判定される。この例であれば、診断用データに、カメラ41による映像データを含めることができる。
【0091】
図17は、監視装置8の他の動作例を示すフローチャートである。図17は、図16に示す動作とは別に行われる動作の例を示す。
【0092】
監視装置8では、診断用データを要求するための第4要求信号を受信したか否かが判定される(S701)。一例として、監視センター10の監視員は、診断用データを取得したい時に、入力装置100から特定の情報を入力する。入力装置100から当該情報が入力されると、通信部104は、第4要求信号をネットワーク9を介して監視装置8に送信する。他の例として、通信部104は、第4要求信号を定期的に監視装置8に送信しても良い。
【0093】
監視装置8が外部機器11から第4要求信号を受信すると、S701においてYesと判定される。S701でYesと判定されると、通信部92は、記憶部90に記憶されている診断用データを外部機器11に送信する(S702)。S702で通信部92が送信した診断用データは、外部機器11において通信部104が受信する。
【0094】
通信部104が監視装置8から受信する診断用データには、カメラ41による映像データが含まれる。表示制御部103は、通信部104が監視装置8から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された映像を表示器101に表示させる。これにより、監視員は、診断運転で取得された過去の映像を監視センター10で見ることができる。
【0095】
次に、既設のエレベーターを改修して、上記エレベーターシステムを実現する例について説明する。図18は、エレベーターの改修方法の例を示すフローチャートである。改修前のエレベーターには、昇降路3の内部を照らすための電球がソケット17を介してかご1に設けられている。保守員は、先ず、ソケット17に取り付けられている既設の電球をソケット17から取り外す(S801)。
【0096】
次に、既設の電球を外したソケット17に、アダプタ30を取り付ける(S802)。上述したように、アダプタ30には口金36が備えられる。口金36をソケット17にねじ込むことにより、アダプタ30をソケット17に固定することができる。
【0097】
次に、カメラユニット33をかご1に支持させ(S803)、ソケット17を介してカメラユニット33に電力が供給されるようにカメラユニット33をアダプタ30に接続する(S804)。本実施の形態に示す例では、カメラユニット33は磁石43を備える。磁石43を面24cに吸着させることにより、カメラユニット33をかご1の下部材24bに固定する。また、電源線44のプラグ44aをアダプタ30のコンセント37に差し込む。これにより、カメラ41は、電源線44及びアダプタ30を介してソケット17に電気的に接続される。即ち、カメラユニット33に対する電力供給は、ソケット17及びアダプタ30を介して行われる。
【0098】
なお、S803の直後或いはS804の直後に、かご1とカメラ41或いはカバー42とを落下防止ワイヤ34によって連結する工程を更に備えても良い。
【0099】
次に、ランプユニット31をアダプタ30に取り付ける(S805)。本実施の形態に示す例では、ランプユニット31は口金40を備える。口金40をアダプタ30のソケット38にねじ込むことにより、ランプユニット31をソケット38に固定することができる。ランプユニット31に対する電力供給は、ソケット17及びアダプタ30を介して行われる。次に、カバー32をアダプタ30に取り付け、ランプユニット31をカバー32によって覆う(S806)。
【0100】
なお、S805及びS806に示す手順は、S803及びS804に示す手順より先に行われても良い。
【0101】
実施の形態2.
実施の形態1では、カメラ41による撮影が必要な時に映像ユニット19に対して電力が供給される例について説明した。本実施の形態では、映像ユニット19に対して常に電力が供給される例について説明する。
【0102】
本実施の形態においても、かご1の下に配置された映像ユニット19について詳しく説明する。説明の繰り返しを省略するため、かご1の上に配置された映像ユニット18に関しては、その説明を省略する。また、本実施の形態では、実施の形態1で開示した構成、機能、及び動作と相違する点について詳しく説明する。本実施の形態で開示しない構成、機能、及び動作については、採用可能であれば、実施の形態1で開示した何れの構成、機能、及び動作を採用しても良い。
【0103】
図19は、カメラユニット33が有する機能を説明するための図である。本実施の形態に示す例においても、カメラユニット33は、図2及び図5に示すように、カメラ41、カバー42、磁石43、電源線44、アンテナ45、及び制御装置46を備える。また、制御装置46は、記憶部60及び通信部61に加え、撮影条件判定部63及び通信検出部64を更に備える。
【0104】
図20は、ランプユニット31が有する機能を説明するための図である。本実施の形態に示す例では、ランプユニット31は、可視光ランプ54、赤外線ランプ55、及び制御装置56を更に備える。制御装置56は、選択部110、放射制御部111、通信部112、及び切替条件判定部113を備える。ランプユニット31の外観は、例えば図4に示す例と同様である。
【0105】
可視光ランプ54は、可視光を放射する。可視光ランプ54は、可視光を放射可能な手段の一例である。例えば、可視光ランプ54として白色LEDが採用される。可視光ランプ54からの可視光は、少なくとも一部が下方に向けて放射される。可視光ランプ54は、放射制御部111によって制御される。
【0106】
赤外線ランプ55は、赤外線を放射する。赤外線ランプ55は、赤外線を放射可能な手段の一例である。例えば、赤外線ランプ55として、赤外線LEDが採用される。赤外線ランプ55からの赤外線は、少なくとも一部が下方に向けて放射される。赤外線ランプ55は、放射制御部111によって制御される。
【0107】
本実施の形態に示すカメラユニット33のカメラ41は、可視光による撮影と赤外線による撮影との双方が可能である。例えば、カメラ41は、可視光ランプ54からの可視光による撮影が可能である。カメラ41は、赤外線ランプ55からの赤外線による撮影が可能である。
【0108】
選択部110は、光源を選択する。例えば、選択部110は、光源として可視光ランプ54又は赤外線ランプ55を選択する。放射制御部111は、選択部110が選択した光源から電磁波を放射させる。即ち、放射制御部111は、選択部110が可視光ランプ54を選択すると、可視光ランプ54から可視光を放射させる。放射制御部111は、選択部110が赤外線ランプ55を選択すると、赤外線ランプ55から赤外線を放射させる。
【0109】
通信部112は、ランプユニット31の通信機能を司る。通信部112は、カメラユニット33の通信部61と通信する。なお、ランプユニット31と携帯端末13との通信は、直接行われても良いし、カメラユニット33を介して行われても良い。ランプユニット31と監視装置8との通信は、カメラユニット33及びアクセスポイント12を介して行われても良いし、カメラユニット33を介さずにアクセスポイント12を介して行われても良い。
【0110】
図21は、実施の形態2における映像ユニット19の基本動作の例を示すフローチャートである。エレベーターでは、通常、自動運転が行われる。自動運転が行われている時に昇降路3の内部が光ると、利用者がその光を不審に感じる場合がある。このため、エレベーターで自動運転が行われていれば、選択部110は、光源として赤外線ランプ55を選択する(S901)。
【0111】
撮影条件判定部63は、撮影条件が成立したか否かを判定する(S902)。上述したように、撮影条件は予め設定される。本実施の形態に示す例では、S902において常にYesと判定されても良い。
【0112】
S902でYesと判定されると、放射制御部111は、赤外線ランプ55から赤外線を放射させる。また、S902でYesと判定されると、カメラ41による撮影が行われる(S903)。S903でカメラ41による撮影が開始されると、制御装置46では、映像データの送信を要求するための信号を通信部61が受信したか否かが判定される(S904)。
【0113】
通信部61は、当該信号を受信していれば(S904のYes)、要求先に映像データを送信する(S905)。通信部61が当該信号を受信していなければ(S904のNo)、映像データが記憶部60に保存される(S906)。S905において記憶部60への映像データの保存が同時に行われても良い。S906において、映像データの保存は、監視装置8或いは他の機器で行われても良い。
【0114】
選択部110が赤外線ランプ55を選択している間、切替条件判定部113は、切替条件が成立したか否かを判定する(S907)。切替条件は予め設定される。切替条件として、特定の時刻が設定されても良い。かかる場合、現在時刻が当該時刻になると、S907でYesと判定される。他の例として、通信部112が特定の信号を受信すると、切替条件が成立しても良い。他の例として、エレベーターの運転モードに応じて切替条件が成立しても良い。選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に切替条件が成立すると、選択部110は、光源として可視光ランプ54を選択する(S908)。
【0115】
選択部110が可視光ランプ54を選択すると、撮影条件判定部63は、撮影条件が成立したか否かを判定する(S909)。可視光で撮影するための撮影条件は、赤外線で撮影するための撮影条件とは異なる。例えば、通信部61が特定の信号を受信すると、S909でYesと判定される。可視光で撮影するための撮影条件は、赤外線で撮影するための撮影条件と同じであっても良い。例えば、S909では常にYesと判定されても良い。
【0116】
S909でYesと判定されると、放射制御部111は、可視光ランプ54から可視光を放射させる。また、S909でYesと判定されると、カメラ41による撮影が行われる(S910)。S910でカメラ41による撮影が開始されると、制御装置46では、映像データの送信を要求するための信号を通信部61が受信したか否かが判定される(S911)。
【0117】
通信部61は、当該信号を受信していれば(S911のYes)、要求先に映像データを送信する(S912)。通信部61が当該信号を受信していなければ(S911のNo)、記憶部60に映像データが保存される(S913)。S912において記憶部60への映像データの保存が同時に行われても良い。S913において、映像データの保存は、監視装置8或いは他の機器で行われても良い。
【0118】
選択部110が可視光ランプ54を選択している間も、切替条件判定部113は、切替条件が成立したか否かを判定する(S914)。S914での切替条件とS907での切替条件とは異なる条件でも良い。選択部110が可視光ランプ54を選択している時に切替条件が成立すると、選択部110は、光源として赤外線ランプ55を選択する(S901)。
【0119】
図22は、制御装置7及び監視装置8が有する機能を示す図である。制御装置7は、記憶部80、及び運転制御部82に加え、表示制御部83を更に備える。表示制御部83は、表示器26を制御する。本実施の形態に示す例では、ソケット17に対して常に電力が供給される。したがって、ソケット17への電力供給と電力遮断とを制御する給電部81の機能は、制御装置7に備えられていなくても良い。制御装置7は給電部81を備え、給電部81によってソケット17への電力供給が常に行われても良い。
【0120】
監視装置8は、記憶部90、条件判定部91、及び通信部92に加え、異常検出部93、人検出部94、及び禁止部95を更に備える。
【0121】
図23は、携帯端末13の例を示す図である。携帯端末13は、図8に示す例に加え、信号生成部75を更に備える。図24は、外部機器11の例を示す図である。外部機器11は、図12に示す例に加え、信号生成部105を更に備える。
【0122】
次に、カメラ41で撮影された映像を利用する例について説明する。
【0123】
ランプユニット31では、エレベーターで自動運転が行われていれば、選択部110が赤外線ランプ55を選択する(S901)。例えば、自動運転が行われている間、S902ではYesと判定され、S904ではNoと判定される。かかる場合、自動運転が行われていれば、カメラ41によって撮影された赤外線映像が記憶部60に保存され続ける。
【0124】
図25は、携帯端末13の動作例を示すフローチャートである。携帯端末13では、カメラユニット33と無線接続したか否かが判定される(S1001)。保守員が携帯端末13に対して特定の認証操作を行うことにより、携帯端末13がカメラユニット33に接続される(S1001のYes)。携帯端末13では、カメラユニット33に接続されると、可視光映像の要求があるか否かが判定される(S1002)。
【0125】
一例として、携帯端末13の表示器71に、保守員が昇降路3内の可視光映像を見たい時に押すための第1ボタンが表示される。第1ボタンは、入力装置70の一例である。第1ボタンが押されると、S1002でYesと判定される。S1002でYesと判定されると、信号生成部75は、選択部110に可視光ランプ54を選択させるための第1信号を生成する(S1003)。通信部74は、信号生成部75が生成した第1信号をランプユニット31及びカメラユニット33に送信する(S1004)。
【0126】
ランプユニット31では、選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に通信部112が携帯端末13から第1信号を受信すると、切替条件が成立したことを切替条件判定部113が判定する(S907のYes)。これにより、選択部110は、S908で可視光ランプ54を選択する。また、通信部61が携帯端末13から第1信号を受信すると、S909でYesと判定され、S911でYesと判定される。S912において、通信部61は、カメラ41による映像データを携帯端末13に対して送信する。
【0127】
携帯端末13では、S1004で第1信号を送信すると、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S1005)。S912で通信部61が送信した映像データは、通信部74によって受信される(S1005のYes)。表示制御部73は、通信部74がカメラユニット33から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された映像、即ち可視光映像を表示器71に表示させる(S1006)。
【0128】
携帯端末13とカメラユニット33との通信が切断されていなければ(S1007のNo)、携帯端末13の処理はS1002に戻る。携帯端末13では、S1002でYesと判定されなければ、赤外線映像の要求があるか否かが判定される(S1008)。
【0129】
携帯端末13の表示器71に、保守員が昇降路3内の赤外線映像を見たい時に押すための第2ボタンが表示される。第2ボタンは、入力装置70の一例である。携帯端末13がカメラユニット33に接続されている時に第2ボタンが押されると、S1008でYesと判定される。S1008でYesと判定されると、信号生成部75は、選択部110に赤外線ランプ55を選択させるための第2信号を生成する(S1009)。第2信号は、上記第1信号とは異なる信号である。通信部74は、信号生成部75が生成した第2信号をランプユニット31及びカメラユニット33に送信する(S1010)。
【0130】
ランプユニット31では、選択部110が可視光ランプ54を選択している時に通信部112が携帯端末13から第2信号を受信すると、切替条件が成立したことを切替条件判定部113が判定する(S914のYes)。これにより、選択部110は、S901で赤外線ランプ55を選択する。また、通信部61が携帯端末13から第2信号を受信すると、S902でYesと判定され、S904でYesと判定される。S905において、通信部61は、カメラ41による映像データを携帯端末13に対して送信する。
【0131】
携帯端末13では、S1010で第2信号を送信すると、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S1005)。S905で通信部61が送信した映像データは、通信部74によって受信される(S1005のYes)。表示制御部73は、通信部74がカメラユニット33から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された映像、即ち赤外線映像を表示器71に表示させる(S1006)。
【0132】
携帯端末13とランプユニット31及びカメラユニット33との通信が切断されると(S1007のYes)、携帯端末13は処理を終了する。ランプユニット31では、携帯端末13との通信が切断されると、選択部110が赤外線ランプ55を選択する。
【0133】
図26は、携帯端末13の他の動作例を示すフローチャートである。携帯端末13が図26に示す動作を行う場合、カメラユニット33の制御装置46には通信検出部64が備えられる。通信検出部64は、通信部61と特定の機器との通信が確立したことを検出する。
【0134】
携帯端末13では、カメラユニット33と無線接続したか否かが判定される(S1101)。保守員が携帯端末13に対して特定の認証操作を行うことにより、携帯端末13がカメラユニット33に接続される(S1101のYes)。携帯端末13がカメラユニット33に接続されると、携帯端末13では、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S1102)。
【0135】
ランプユニット31では、エレベーターで自動運転が行われていれば、選択部110が赤外線ランプ55を選択する(S901)。一例として、自動運転が行われている間、カメラ41によって撮影された赤外線映像が記憶部60に保存される。また、携帯端末13がカメラユニット33に接続されると、通信部61と携帯端末13との通信が確立したことが通信検出部64によって検出される。
【0136】
選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に通信部61と携帯端末13との通信が確立したことが通信検出部64によって検出されると、切替条件が成立したことを切替条件判定部113が判定する(S907のYes)。これにより、選択部110は、S908で可視光ランプ54を選択する。また、通信検出部64による上記検出がなされると、S909でYesと判定され、S911でYesと判定される。S912において、通信部61は、カメラ41による映像データを携帯端末13に対して送信する。
【0137】
S912で通信部61が送信した映像データは、携帯端末13において通信部74が受信する(S1102のYes)。表示制御部73は、通信部74がカメラユニット33から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された可視光映像を表示器71に表示させる(S1103)。
【0138】
次に、携帯端末13では、赤外線映像の要求があるか否かが判定される(S1104)。例えば、第2ボタンが押されると、S1104でYesと判定される。S1104でYesと判定されると、信号生成部75は第2信号を生成する(S1105)。通信部74は、信号生成部75が生成した第2信号をランプユニット31及びカメラユニット33に送信する(S1106)。
【0139】
ランプユニット31では、選択部110が可視光ランプ54を選択している時に通信部112が携帯端末13から第2信号を受信すると、切替条件が成立したことを切替条件判定部113が判定する(S914のYes)。これにより、選択部110は、S901で赤外線ランプ55を選択する。また、通信部61が携帯端末13から第2信号を受信すると、S902でYesと判定され、S904でYesと判定される。S905において、通信部61は、カメラ41による映像データを携帯端末13に対して送信する。
【0140】
携帯端末13では、カメラユニット33との通信が切断されていなければ(S1107のNo)、S1106で第2信号を送信した後に、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S1102)。S905で通信部61が送信した映像データは、携帯端末13において通信部74が受信する(S1102のYes)。表示制御部73は、通信部74がカメラユニット33から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された赤外線映像を表示器71に表示させる(S1103)。
【0141】
携帯端末13では、S1104でYesと判定されなければ、可視光映像の要求があるか否かが判定される(S1108)。例えば、第1ボタンが押されると、S1108でYesと判定される。S1108でYesと判定されると、信号生成部75は第1信号を生成する(S1109)。通信部74は、信号生成部75が生成した第1信号をランプユニット31及びカメラユニット33に送信する(S1110)。これにより、携帯端末13の表示器71に、カメラ41によって撮影された可視光映像を表示させることができる。
【0142】
携帯端末13とランプユニット31及びカメラユニット33との通信が切断されると(S1107のYes)、携帯端末13は処理を終了する。ランプユニット31では、携帯端末13との通信が切断されると、選択部110が赤外線ランプ55を選択する。
【0143】
次に、カメラ41で撮影された映像を利用する他の例として、監視センター10にいる監視員が、カメラ41で撮影された映像を外部機器11で見る例について説明する。
【0144】
ランプユニット31では、エレベーターで自動運転が行われていれば、選択部110が赤外線ランプ55を選択する(S901)。例えば、自動運転が行われている間、カメラ41によって撮影された赤外線映像が記憶部60に保存される。
【0145】
外部機器11では、図25に示す動作と同様の動作が行われる。例えば、外部機器11では、カメラユニット33と接続したか否かが判定される(S1001)。監視センター10の監視員は、カメラ41によって撮影された映像を表示器101で見たい時に、外部機器11をカメラユニット33に接続する。例えば、外部機器11と監視装置8とは、ネットワーク9を介して有線接続される。監視装置8とカメラユニット33とは、アクセスポイント12を介して無線接続される。
【0146】
外部機器11では、カメラユニット33に接続されると、可視光映像の要求があるか否かが判定される(S1002)。一例として、外部機器11の表示器101に、監視員が昇降路3内の可視光映像を見たい時に押すための第3ボタンが表示される。第3ボタンは、入力装置100の一例である。第3ボタンが押されると、S1002でYesと判定される。S1002でYesと判定されると、信号生成部105は第1信号を生成する(S1003)。通信部104は、信号生成部105が生成した第1信号をランプユニット31及びカメラユニット33に送信する(S1004)。
【0147】
選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に通信部112が外部機器11から第1信号を受信するとS907でYesと判定され、選択部110は、S908で可視光ランプ54を選択する。また、通信部61が外部機器11から第1信号を受信すると、S909でYesと判定され、S911でYesと判定される。S912において、通信部61は、カメラ41による映像データを外部機器11に対して送信する。具体的に、通信部61は、映像データをアクセスポイント12を介して監視装置8に送信する。監視装置8は、アクセスポイント12を介してカメラユニット33から受信した映像データを、ネットワーク9を介して外部機器11に送信する。
【0148】
外部機器11では、S1004で第1信号を送信すると、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S1005)。S912で通信部61が送信した映像データは、通信部104によって受信される(S1005のYes)。表示制御部103は、通信部104がカメラユニット33から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された映像、即ち可視光映像を表示器101に表示させる(S1006)。
【0149】
外部機器11とカメラユニット33との通信が切断されていなければ(S1007のNo)、外部機器11の処理はS1002に戻る。外部機器11では、S1002でYesと判定されなければ、赤外線映像の要求があるか否かが判定される(S1008)。
【0150】
一例として、外部機器11の表示器101に、監視員が昇降路3内の赤外線映像を見たい時に押すための第4ボタンが表示される。第4ボタンは、入力装置100の一例である。外部機器11がカメラユニット33に接続されている時に第4ボタンが押されると、S1008でYesと判定される。S1008でYesと判定されると、信号生成部105は、選択部110に赤外線ランプ55を選択させるための第2信号を生成する(S1009)。通信部104は、信号生成部105が生成した第2信号をランプユニット31及びカメラユニット33に送信する(S1010)。
【0151】
選択部110が可視光ランプ54を選択している時に通信部112が外部機器11から第2信号を受信すると、S914でYesと判定され、選択部110は、S901で赤外線ランプ55を選択する。また、通信部61が外部機器11から第2信号を受信すると、S902でYesと判定され、S904でYesと判定される。S905において、通信部61は、カメラ41による映像データを外部機器11に対して送信する。
【0152】
外部機器11では、S1010で第2信号を送信すると、カメラユニット33から映像データを受信したか否かが判定される(S1005)。S905で通信部61が送信した映像データは、通信部104によって受信される(S1005のYes)。表示制御部103は、通信部104がカメラユニット33から受信した映像データに基づいて、カメラ41によって撮影された映像、即ち赤外線映像を表示器101に表示させる(S1006)。
【0153】
外部機器11とランプユニット31及びカメラユニット33との通信が切断されると(S1007のYes)、外部機器11は処理を終了する。ランプユニット31では、外部機器11との通信が切断されると、選択部110が赤外線ランプ55を選択する。
【0154】
外部機器11では、図26に示す動作と同様の動作が行われても良い。かかる場合、カメラユニット33の制御装置46には通信検出部64が備えられる。即ち、選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に通信部61と外部機器11との通信が確立したことが通信検出部64によって検出されると、S907でYesと判定される。これにより、カメラ41によって撮影された映像、即ち可視光映像が表示器101に表示される(S1103)。
【0155】
次に、カメラ41によって撮影された映像をエレベーターの運転モードに応じて利用する例について説明する。監視装置8では、図16に示す動作が行われる。即ち、運転制御部82で自動運転が行われている間、条件判定部91は、診断条件が成立したか否かを判定する(S601)。S601でYesと判定されると、通信部92は第1モード信号を制御装置7とランプユニット31及びカメラユニット33とに送信する(S602)。
【0156】
制御装置7では、監視装置8から第1モード信号を受信すると、診断運転を開始する。診断運転では、診断用データが取得される。制御装置7は、診断運転で取得した診断用データを監視装置8に送信する。
【0157】
ランプユニット31では、エレベーターで自動運転が行われていれば、選択部110が赤外線ランプ55を選択する(S901)。例えば、自動運転が行われている間、カメラ41によって撮影された赤外線映像が記憶部60に保存される。
【0158】
選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に通信部112が監視装置8から第1モード信号を受信するとS907でYesと判定され、選択部110は、S908で可視光ランプ54を選択する。即ち、エレベーターで診断運転が行われると、選択部110は可視光ランプ54を選択する。また、通信部61が監視装置8から第1モード信号を受信すると、S909でYesと判定され、S911でYesと判定される。S912において、通信部61は、カメラ41による映像データを診断用データとして監視装置8に送信する。
【0159】
監視装置8では、S602で通信部92が第1モード信号を送信した後、S604において診断用データを受信したか否かが判定される。制御装置7が送信した診断用データは、通信部92によって受信される(S604のYes)。監視装置8とカメラユニット33とが接続されていれば(S603のYes)、S912で通信部61が送信した映像データ(診断用データ)は、通信部92によって受信される(S604のYes)。通信部92が受信した診断用データは、記憶部90に記憶される(S605)。
【0160】
運転制御部82による診断運転が終了すると(S606のYes)、通信部92は、運転モードを自動モードに設定するための第2モード信号を制御装置7とランプユニット31及びカメラユニット33とに送信する(S607)。制御装置7では、監視装置8から第2モード信号を受信すると、運転制御部82が自動運転を再開する。
【0161】
ランプユニット31では、選択部110が可視光ランプ54を選択している時に通信部112が監視装置8から第2モード信号を受信するとS914でYesと判定され、選択部110は、S901で赤外線ランプ55を選択する。この例であれば、診断用データに、カメラ41による映像データを含めることができる。監視装置8では、図17に示す動作が別途行われても良い。
【0162】
図27は、監視装置8の他の動作例を示すフローチャートである。図27は、図16に示す動作の後に行われる動作の例を示す。図27は、診断運転で取得された診断用データに基づいて、監視装置8において異常の有無を判定する例を示す。図27に示す動作が行われる場合、監視装置8には異常検出部93が備えられる。
【0163】
監視装置8では、異常検出部93が、記憶部90に記憶された診断用データに基づいて、異常があるか否かを判定する(S1201)。例えば、異常検出部93は、診断用データと対応する基準値とを比較することにより、異常を検出する。異常検出部93によって異常が検出されると(S1201のYes)、通信部92は、異常が検出されたことを示す信号を外部機器11に送信する(S1202)。
【0164】
図28は、監視装置8の他の動作例を示すフローチャートである。図28に示す動作フローは、カメラ41によって撮影された映像を運転モードに応じて利用する他の例を示す。運転制御部82で自動運転が行われている間、監視装置8では、地震が発生したか否かが判定される(S1301)。地震計14から特定のレベルを示す加速度のデータが入力されると、S1301でYesと判定される。地震計14が地震検知信号を出力する場合は、地震計14から地震検知信号が入力されると、S1301でYesと判定される。S1301でYesと判定されると、通信部92は、運転モードを管制モードに設定するための第3モード信号を制御装置7に送信する(S1302)。
【0165】
制御装置7では、監視装置8から第3モード信号を受信すると、地震管制運転を開始する。地震管制運転は、地震が発生した直後に、かご1の中にいる乗客を避難させるための運転である。地震管制運転では、例えば、かご1が最寄り階に停止され、ドア21が開閉される。
【0166】
監視装置8では、S1302で第3モード信号を送信すると、条件判定部91が、復旧条件が成立したか否かを判定する(S1303)。復旧条件は予め設定される。例えば、地震計14で特定のレベルを示す加速度が検出され且つ地震管制運転が終了した後にかご1が無人になると、復旧条件が成立する。復旧条件が成立したことを条件判定部91が判定すると(S1303のYes)、通信部92は、運転モードを復旧モードに設定するための第4モード信号を制御装置7とランプユニット31及びカメラユニット33とに送信する(S1304)。
【0167】
制御装置7では、監視装置8から第4モード信号を受信すると、復旧運転を開始する。即ち、運転制御部82は、復旧条件が成立すると復旧運転を行う。復旧運転では、エレベーターの復旧の可否を判定するために必要な復旧用データが取得される。制御装置7は、復旧運転で取得した復旧用データを監視装置8に送信する。
【0168】
一方、ランプユニット31では、エレベーターで自動運転が行われていれば、選択部110が赤外線ランプ55を選択する(S901)。例えば、自動運転が行われている間、カメラ41によって撮影された赤外線映像が記憶部60に保存される。
【0169】
選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に通信部112が監視装置8から第4モード信号を受信すると、切替条件が成立したことを切替条件判定部113が判定する(S907のYes)。これにより、選択部110は、S908で可視光ランプ54を選択する。即ち、エレベーターで復旧運転が行われると、選択部110は可視光ランプ54を選択する。また、通信部61が監視装置8から第4モード信号を受信すると、S909でYesと判定され、S911でYesと判定される。S912において、通信部61は、カメラ41による映像データを復旧用データとして監視装置8に送信する。
【0170】
監視装置8では、S1304で通信部92が第4モード信号を送信すると、復旧用データを受信したか否かが判定される(S1305)。制御装置7が送信した復旧用データは、通信部92によって受信される(S1305のYes)。S912で通信部61が送信した映像データ(復旧用データ)は、通信部92によって受信される(S1305のYes)。通信部92が受信した復旧用データは、記憶部90に記憶される(S1306)。この例であれば、復旧用データに、カメラ41による映像データを含めることができる。
【0171】
異常検出部93は、記憶部90に記憶された復旧用データに基づいて、異常があるか否かを判定する(S1307)。例えば、異常検出部93は、復旧用データと対応する基準値とを比較することにより、異常を検出する。異常検出部93によって異常が検出されると(S1307のYes)、通信部92は、異常が検出されたことを示す信号を外部機器11に送信する(S1308)。
【0172】
異常検出部93によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると(S1309のYes)、監視装置8は、エレベーターを仮復旧させる(S1310)。仮復旧では、運転制御部82は、速度制限等の一定の制限を設けた上で、登録された呼びにかご1を順次応答させる運転を行う。また、表示制御部83は、完全な復帰ではない旨を表示器26に表示させる。
【0173】
S1309でYesと判定されると、監視装置8は、カメラユニット33から終了後映像データを取得する。終了後映像データは、復旧運転が終了した後にカメラ41によって撮影された映像を表すデータである。終了後映像データは、可視光映像のデータであることが好ましい。監視装置8がカメラユニット33から終了後映像データを取得すると、通信部92は、取得した終了後映像データを外部機器11に送信する(S1311)。
【0174】
S1311で終了後映像データを外部機器11に送信すると、監視装置8では、外部機器11から復旧許可信号を受信したか否かが判定される(S1312)。監視センター10では、外部機器11が受信した終了後映像データに基づいて、エレベーターを本復旧させても良いか否かが判定される。この判定は、例えば、映像を見た複数の人によって行われても良い。エレベーターを本復旧させても良いと判定されると、外部機器11から復旧許可信号が送信される。
【0175】
監視装置8は、外部機器11から復旧許可信号を受信すると(S1312のYes)、エレベーターを本復旧させる(S1313)。本復旧では、例えば、通信部92が第2モード信号を制御装置7とランプユニット31及びカメラユニット33とに送信する。これにより、運転制御部82が通常運転を再開する。表示制御部83は、完全な復旧ではない旨の表示を表示器26から消去する。また、ランプユニット31では、選択部110が赤外線ランプ55を選択する。
【0176】
図28では、監視装置8が外部機器11から復旧許可信号を受信することによってエレベーターが本復旧する例について説明した。これは一例である。他の例として、現場に訪れた保守員が特定の操作を行うことにより、エレベーターを手動で本復旧させても良い。また、地震計14が制御装置7に接続される場合は、図28に示す動作フローは制御装置7で行われても良い。
【0177】
図29は、監視装置8の他の動作例を示すフローチャートである。図29に示す動作は、図28に示す動作と比較し、S1303でNoと判定された場合の動作が相違する。図29は、S1303でNoと判定された場合に、カメラ41によって撮影された映像を利用する例を示す。
【0178】
上述したように、S1303では復旧条件が成立したか否かが判定される。例えば、地震管制運転が終了してから一定時間が経過してもS1303でYesと判定されなければ、監視装置8は、カメラユニット33から停止後映像データを取得する。停止後映像データは、地震管制運転が終了した後、かご1が停止している時にカメラ41によって撮影された映像を表すデータである。停止後映像データは、可視光映像のデータであることが好ましい。監視装置8がカメラユニット33から停止後映像データを取得すると、通信部92は、取得した停止後映像データを外部機器11に送信する(S1314)。
【0179】
S1314で停止後映像データを外部機器11に送信すると、監視装置8では、外部機器11から開始信号を受信したか否かが判定される(S1315)。監視センター10では、外部機器11が受信した停止後映像データに基づいて、エレベーターにおいて復旧運転を開始しても良いか否かが判定される。この判定は、例えば、映像を見た複数の人によって行われても良い。エレベーターにおいて復旧運転を開始しても良いと判定されると、外部機器11から開始信号が送信される。
【0180】
監視装置8では、S1303でNoと判定された場合であっても、外部機器11から開始信号を受信すると(S1315のYes)、通信部92が第4モード信号を制御装置7とランプユニット31及びカメラユニット33とに送信する(S1304)。第4モード信号を受信した制御装置7とランプユニット31及びカメラユニット33とでは、図28を用いて説明した動作と同様の動作が行われる。なお、地震計14が制御装置7に接続される場合は、図29に示す動作フローは制御装置7で行われても良い。
【0181】
図30は、監視装置8の他の動作例を示すフローチャートである。図30に示す動作フローは、カメラ41によって撮影された映像を運転モードに応じて利用する他の例を示す。
【0182】
運転制御部82で自動運転が行われている間、監視装置8では、保守モードに設定されたか否かが判定される(S1401)。例えば、かご1の操作盤25に、運転モードを保守モードに設定するためのスイッチ25bが備えられる。スイッチ25bは、運転モードを保守モードに設定する手段の一例である。スイッチ25bは、制御装置7或いは監視装置8に備えられても良い。スイッチ25bに対して特定の操作が行われることにより、運転モードが保守モードに設定される。スイッチ25bによって保守モードに設定されると(S1401のYes)、人検出部94は、昇降路3に人がいるか否かを判定する(S1402)。
【0183】
一方、ランプユニット31では、エレベーターで自動運転が行われていれば、選択部110が赤外線ランプ55を選択する(S901)。例えば、自動運転が行われている間、カメラ41によって撮影された赤外線映像が記憶部60に保存される。
【0184】
選択部110が赤外線ランプ55を選択している時に運転モードが保守モードに設定されると、切替条件が成立したことを切替条件判定部113が判定する(S907のYes)。これにより、選択部110は、S908で可視光ランプ54を選択する。また、運転モードが保守モードに設定されると、S909でYesと判定され、S911でYesと判定される。S912において、通信部61は、カメラ41による映像データを監視装置8に送信する。
【0185】
通信部61から送信された映像データは、監視装置8において通信部92によって受信される。人検出部94は、通信部92が受信した映像データに基づいて、昇降路3に人がいることを検出する(S1402のYes)。例えば、人検出部94は、カメラユニット33から受信した映像データに基づいて、昇降路3のピット3aに人がいることを検出する。人検出部94は、映像ユニット18のカメラユニットから受信した映像データに基づいて、かご1の上に人がいることを検出する。
【0186】
昇降路3に人がいることが人検出部94によって検出されると、禁止部95は、自動運転が行われることを禁止する(S1403)。例えば、自動運転でのかご1の可動範囲は、保守モードにおけるかご1の可動範囲より広い。図30に示す例であれば、昇降路3に人がいるにも関わらず、自動運転が開始されてしまうことを防止できる。
【0187】
昇降路3に人がいることが人検出部94によって検出された場合は、昇降路3にいる人に向けて、かご1の位置に応じた報知を行っても良い。例えば、昇降路3に人がいることが人検出部94によって検出されると、放射制御部111は、かご1の位置に応じて、可視光ランプ54からの可視光の放射モードを変更する。例えば、放射制御部111は、かご1がピット3aに近づくに従って、点滅速度が速くなるように可視光ランプ54を制御する。放射制御部111は、かご1の位置に応じて、可視光ランプ54から放射される光の色を変化させても良い。
【0188】
他の例として、昇降路3に人がいることが人検出部94によって検出されると、音制御部62は、かご1の位置に応じてスピーカ48から音を出力させても良い。例えば、音制御部62は、かご1がある高さより低い位置に配置されると、スピーカ48から警告音を発生させる。これにより、昇降路3にいる人に注意を促すことができる。
【0189】
次に、既設のエレベーターを改修して、上記エレベーターシステムを実現する例について説明する。図31は、エレベーターの改修方法の例を示すフローチャートである。図31のS801からS806に示す手順は、図18のS801からS806に示す手順と同じである。
【0190】
上述したように、改修前のエレベーターには、昇降路3の内部を照らすための電球がソケット17を介してかご1に設けられている。このため、改修前のエレベーターでは、ソケット17に対する電力供給が常に行われているとは限らない。保守員は、S807において、ランプユニット31及びカメラユニット33に対してソケット17を介して電力が常時供給されるように設定を変更する。
【0191】
次に、保守員は、カメラユニット33が映像データをアクセスポイント12を介して監視装置8に送信することができるように、通信部61とアクセスポイント12との通信を確立する(S808)。また、必要に応じて、通信部112とアクセスポイント12との通信を確立する。
【0192】
図31のS809に示す手順及びS810に示す手順は、必要に応じて採用される。かご1に金属製の前垂れが備えられている場合は、金属製の既設の前垂れを透光性を有する前垂れ22に交換する工程を更に備えても良い(S809)。これにより、前垂れ22に覆われている部分の映像をカメラ41によって撮影することができる。
【0193】
保守員の携帯端末13に、信号生成部75を新たに追加する工程を更に備えても良い(S810)。これにより、携帯端末13からの操作によって選択部110に可視光ランプ54を選択させ、カメラ41による可視光映像を表示器71に表示させることができる。同様に、外部機器11に、信号生成部105を新たに追加する工程を更に備えても良い(S810)。これにより、外部機器11からの操作によって選択部110に可視光ランプ54を選択させ、カメラ41による可視光映像を表示器101に表示させることができる。
【0194】
S808に示す手順及びS809に示す手順は、実施の形態1で開示した例において採用されても良い。
【0195】
本実施の形態において、符号60~64に示す各部は、制御装置46が有する機能を示す。図32は、制御装置46のハードウェア資源の例を示す図である。制御装置46は、ハードウェア資源として、例えばプロセッサ121とメモリ122とを含む処理回路120を備える。記憶部60が有する機能はメモリ122によって実現される。制御装置46は、メモリ122に記憶されたプログラムをプロセッサ121によって実行することにより、符号61~66に示す各部の機能を実現する。
【0196】
図33は、制御装置46のハードウェア資源の他の例を示す図である。図33に示す例では、制御装置46は、例えばプロセッサ121、メモリ122、及び専用ハードウェア123を含む処理回路120を備える。図33は、制御装置46が有する機能の一部を専用ハードウェア123によって実現する例を示す。制御装置46が有する機能の全部を専用ハードウェア123によって実現しても良い。
【0197】
本実施の形態において、符号110~113に示す各部は、制御装置56が有する機能を示す。制御装置56のハードウェア資源は、図32或いは図33に示す例と同様である。例えば、制御装置56は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。制御装置56は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上記各部の機能を実現する。制御装置56は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。制御装置56が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0198】
本実施の形態において、符号80~83に示す各部は、制御装置7が有する機能を示す。制御装置7のハードウェア資源は、図32或いは図33に示す例と同様である。例えば、制御装置7は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。制御装置7は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上記各部の機能を実現する。制御装置7は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。制御装置7が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0199】
本実施の形態において、符号90~95に示す各部は、監視装置8が有する機能を示す。監視装置8のハードウェア資源は、図32或いは図33に示す例と同様である。例えば、監視装置8は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。監視装置8は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上記各部の機能を実現する。監視装置8は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。監視装置8が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0200】
本実施の形態において、符号72~75に示す各部は、携帯端末13が有する機能を示す。携帯端末13のハードウェア資源は、図32或いは図33に示す例と同様である。例えば、携帯端末13は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。携帯端末13は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上記各部の機能を実現する。携帯端末13は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。携帯端末13が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0201】
本実施の形態において、符号102~105に示す各部は、外部機器11が有する機能を示す。外部機器11のハードウェア資源は、図32或いは図33に示す例と同様である。例えば、外部機器11は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。外部機器11は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上記各部の機能を実現する。外部機器11は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。外部機器11が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本開示に係るエレベーターシステムは、かごに電球用のソケットが設けられたシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0203】
1 かご、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 3a ピット、 3b 緩衝器、 4 主ロープ、 5 巻上機、 6 駆動綱車、 7 制御装置、 8 監視装置、 9 ネットワーク、 10 監視センター、 11 外部機器、 12 アクセスポイント、 13 携帯端末、 14 地震計、 15 制御ケーブル、 16~17 ソケット、 18~19 映像ユニット、 20 かご室、 21 ドア、 22 前垂れ、 23 前梁、 24 枠、 24a 上部材、 24b 下部材、 24c 面、 25 操作盤、 25a スイッチ、 25b スイッチ、 26 表示器、 27 天井、 28 床、 30 アダプタ、 31 ランプユニット、 32 カバー、 33 カメラユニット、 34 落下防止ワイヤ、 35 本体、 36 口金、 37 コンセント、 38 ソケット、 39 本体、 40 口金、 41 カメラ、 42 カバー、 43 磁石、 44 電源線、 44a プラグ、 45 アンテナ、 46 制御装置、 47 マイク、 48 スピーカ、 49 加速度計、 50 ジャイロセンサ、 51 気圧計、 52 温度計、 53 湿度計、 54 可視光ランプ、 55 赤外線ランプ、 56 制御装置、 60 記憶部、 61 通信部、 62 音制御部、 63 撮影条件判定部、 64 通信検出部、 70 入力装置、 71 表示器、 72 記憶部、 73 表示制御部、 74 通信部、 75 信号生成部、 80 記憶部、 81 給電部、 82 運転制御部、 83 表示制御部、 90 記憶部、 91 条件判定部、 92 通信部、 93 異常検出部、 94 人検出部、 95 禁止部、 100 入力装置、 101 表示器、 102 記憶部、 103 表示制御部、 104 通信部、 105 信号生成部、 110 選択部、 111 放射制御部、 112 通信部、 113 切替条件判定部、 120 処理回路、 121 プロセッサ、 122 メモリ、 123 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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