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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20230214BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20230214BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D81/20 E
B65D85/30 500
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018563230
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2017045724
(87)【国際公開番号】W WO2018135222
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2017006998
(32)【優先日】2017-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 統
(72)【発明者】
【氏名】冨永 公徳
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】松永 稔
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176976(JP,A)
【文献】特開2016-225352(JP,A)
【文献】特開2016-004949(JP,A)
【文献】特開2004-146676(JP,A)
【文献】特表2011-514014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/673, B65D85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面に開口部を有し、複数枚の基板を収納可能な容器本体と、
前記開口部を閉鎖する蓋体と、
前記容器本体の外部から内部空間に気体を供給する給気弁と、
前記給気弁から供給された前記気体を前記容器本体の内部空間に吹出す気体置換ユニットと、を備え、
前記容器本体の底面の後方に前記給気弁を取付けた基板収納容器であって、
前記気体置換ユニットは、
前記給気弁から供給された前記気体を貯留するハウジング部材と、
前記ハウジング部材の開口を覆うカバー部材と、を含み、
前記ハウジング部材は、貯留された前記気体を前記容器本体の正面方向に吹出す複数の第1吹出孔を上下方向に有し、
前記第1吹出孔は、前記容器本体の正面方向を向くように前記ハウジング部材に形成され、
最上段の前記第1吹出孔の開口面積は、最上段から2段目の前記第1吹出孔の開口面積よりも大きく、
最下段の前記第1吹出孔の開口面積は、最下段から2段目の前記第1吹出孔の開口面積よりも小さく、
最下段から2段目の前記第1吹出孔の開口面積は、最下段から3段目の前記第1吹出孔の開口面積よりも大きい
ことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記気体置換ユニットは、前記ハウジング部材の内側に通気性を有するフィルタ部材を含む
ことを特徴とする請求項に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記気体は、窒素ガス又はドライエアである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の基板を収納する基板収納容器及び気体置換ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハなどの基板は、基板収納容器の内部空間に収納され、倉庫での保管、半導体加工装置間での搬送、工場間での輸送などに使用されている。基板収納容器は、内部空間に収納した基板が酸化や汚染されないように、内部空間が窒素ガスなどの不活性ガスやドライエアで置換されることがある。
【0003】
このような基板収納容器として、複数枚の基板を収納する容器本体と、容器本体の開口部に着脱自在に嵌合される蓋体とを備え、容器本体の底面に、容器本体の外部から内部空間に気体を供給する給気弁がそれぞれ嵌着され、給気弁に連通する中空の吹出しノズル(気体置換ユニット)を縦にして設け、吹出しノズルの周壁に、基板に向けて気体を吹出す吹出孔を設けたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の気体置換ユニットは、複数の吹出孔を上下方向に等間隔に有しており、各吹出孔は、すべて同じ開口面積で形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-004949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にみられる基板収納容器では、最上段に収納された基板と、容器本体の天面との間に形成される空間は、他の段の基板と隣接する段の基板(例えば、最上段の基板とその下の段の基板)との間に形成される空間よりも大きいため、収納された基板の上方の空間における気体の湿度又は濃度が、収納される位置(段目)によって異なることがある。
【0007】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、基板の上方の空間における気体の湿度又は濃度のバラツキを小さくすることができる基板収納容器及び気体置換ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る1つの態様は、前面に開口部を有し、複数枚の基板を収納可能な容器本体と、前記開口部を閉鎖する蓋体と、前記容器本体の外部から内部空間に気体を供給する給気弁と、前記給気弁から供給された前記気体を前記容器本体の内部空間に吹出す気体置換ユニットと、を備え、前記容器本体の底面の後方に前記給気弁を取付けた基板収納容器であって、前記気体置換ユニットは、前記給気弁から供給された前記気体を貯留するハウジング部材と、前記ハウジング部材の開口を覆うカバー部材と、を含み、前記ハウジング部材は、貯留された前記気体を前記容器本体の正面方向に吹出す複数の第1吹出孔を上下方向に有し、最上段の前記第1吹出孔の開口面積は、2段目の前記第1吹出孔の開口面積よりも大きいものである。
(2)上記(1)の態様において、前記第1吹出孔の少なくとも1つは、前記容器本体に収納された最下段の前記基板よりも下方に位置してもよい。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記気体置換ユニットは、前記ハウジング部材の内側に通気性を有するフィルタ部材を含んでもよい。
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つの態様において、前記気体置換ユニットの上部又は中央部の少なくとも一方が、前記容器本体の背面壁に形成された貫通孔を用いて位置決め固定されてもよい。
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つの態様において、前記気体は、窒素ガス又はドライエアであってもよい。
(6)本発明に係る別の1つの態様は、前面に開口部を有し、複数枚の基板を収納可能な容器本体と、前記開口部を閉鎖する蓋体と、前記容器本体の外部から内部空間に気体を供給する給気弁と、前記給気弁から供給された前記気体を前記容器本体の内部空間に吹出す気体置換ユニットと、を備え、前記容器本体の底面の後方に前記給気弁を取付けた基板収納容器用の気体置換ユニットであって、前記給気弁から供給された前記気体を貯留するハウジング部材と、前記ハウジング部材の開口を覆うカバー部材と、を含み、前記ハウジング部材は、貯留された前記気体を前記容器本体の正面方向に吹出す複数の第1吹出孔を上下方向に有し、最上段の前記第1吹出孔の開口面積は、2段目の前記第1吹出孔の開口面積よりも大きいものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板の上方の空間における気体の湿度又は濃度のバラツキを小さくすることができる基板収納容器及び気体置換ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る基板収納容器の分解斜視図である。
図2】容器本体の正面図である。
図3】容器本体の底面図である。
図4】容器本体の断面平面図である。
図5】気体置換ユニットの斜視図である。
図6】気体置換ユニットの分解斜視図である。
図7】気体置換ユニットの(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)背面図である。
図8】気体置換ユニットの図7(a)におけるA-A断面図である。
図9】容器本体の(a)正面概略図、(b)気体置換ユニット上部取付部の拡大斜視図、(c)気体置換ユニット下部取付部の拡大斜視図である。
図10】気体置換ユニットの上部取付部の拡大斜視図である。
図11】気体置換ユニットの(a)下部取付部の拡大図、(b)断面斜視図である。
図12】給気弁から流入した気体の流れを示す断面斜視図である。
図13】気体置換の実験結果を示す(a)比較例、(b)実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。また、図面中に、正面Fの方向及び後方(背面壁2b)Bの方向を、実線矢印で示している。また、左右は、正面F側から見た状態を指すものとする。
【0012】
基板収納容器1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の分解斜視図である。図2は、容器本体2の正面図であり、図3は、容器本体2の底面図であり、図4は、容器本体2の断面平面図である。
図1に示される基板収納容器1は、正面Fに開口部を有し、複数枚の基板Wを収納する容器本体2と、この容器本体2の開口部を閉鎖する蓋体4と、を備えている。基板収納容器1に収納される基板Wとしては、直径が300mmや450mmの半導体ウエハ、マスクガラスなどが挙げられる。
【0013】
容器本体2は、正面開口枠2aと、背面壁2bと、右側壁2cと、左側壁2dと、天面2eと、底面2fとで形成される、いわゆるフロントオープンボックスタイプのものである。
【0014】
蓋体4は、容器本体2の正面開口枠2aの開口部に対して、着脱自在に装着されるもので、図示しないシールガスケットが容器本体2の正面開口枠2aに対向するように取付けられている。この蓋体4を容器本体2に装着した際、シールガスケットは容器本体2と蓋体4との間の周縁部に密着し、基板収納容器1の内部空間の気密性を維持するように構成されている。この気密性が維持された基板収納容器1の内部空間の空気は、後述する気体置換ユニット3R,3Lにより気体Gで置換される。
【0015】
容器本体2の背面壁2bには、更に後方Bに突出する突出部が左右両側に形成されている(図4参照)。この突出部は、容器本体2の正面Fの開口部を上向きにして載置される際に、脚部として機能する。また、容器本体2の背面壁2bの中央外側には、収納された基板Wの枚数の補助となる目盛りなどが表示される(図1参照)。
【0016】
容器本体2の右側壁2c及び左側壁2dの外側の中央付近には、握持操作用に機能するグリップ23がそれぞれ取付けられている。
【0017】
また、容器本体2の右側壁2c及び左側壁2dの内側には、収納される基板Wを水平に支持する左右一対の支持片21がそれぞれ複数設けられ、右側壁2c及び左側壁2dの内側の後方B側には、基板Wを後方Bに向けて挿入した際に、基板Wの挿入位置を規制する位置規制部22がそれぞれ設けられている。
【0018】
この左右一対の支持片21は、上下方向に所定のピッチで配列され、各支持片21が基板Wの周縁を支持する細長い板状に形成されている。実施形態では、25枚の基板Wが支持できるように支持片21と、最上段の支持片21の更に上部に補助支持片21bと、が設けられているが(図2参照)、基板Wの最大収納枚数は25枚に限らない。この補助支持片21bは、基板Wや基板同等品を支持可能なものである。
【0019】
このとき、基板Wは、容器本体2に必要に応じて満載状態で収納されたり、満載状態より少ない数が収納されたり、収納位置が変えられたりするため、容器本体2への収納枚数及び収納状態は、基板収納容器1の使用態様によって種々異なる。例えば、複数枚の基板Wが、上方又は下方に偏って収納されたり、1つ置きに収納されたりすることもある。
【0020】
容器本体2の天面2eの外側には、ロボティックフランジなどのトップフランジ25が取付けられている。このトップフランジ25は、例えば、半導体製造工場の天井搬送車に把持され、工程間を搬送されたり、半導体加工装置などの蓋体開閉装置に位置決めに利用されたりする。
【0021】
容器本体2の底面2fの外側には、容器本体2を位置決め、載置するためのボトムプレート26が取付けられている。
【0022】
容器本体2や蓋体4、また、グリップ23、トップフランジ25、ボトムプレート26などの付属品は、所要の樹脂を含有する成形材料により射出成形されたり、射出成形された複数の部品の組み合わせにより構成されたりする。成形材料に含まれる樹脂としては、例えばポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイなどが挙げられる。
【0023】
また、これらの樹脂には、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、導電性ポリマーなどからなる導電性物質やアニオン、カチオン、非イオン系などの各種帯電防止剤が必要に応じて添加される。さらに、紫外線吸収剤や、剛性を向上させる強化繊維なども必要に応じて添加される。なお、容器本体2、蓋体4、グリップ23、トップフランジ25及びボトムプレート26などは、透明、不透明、半透明のいずれでもよい。
【0024】
つづいて、基板収納容器1の内部空間を気体置換ユニット3R,3Lにより気体Gに置換する構成について説明する。図5は、気体置換ユニット3Rの斜視図であり、図6は、気体置換ユニット3Rの分解斜視図である。図7は、気体置換ユニット3Rの(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)背面図である。図8は、気体置換ユニット3Rの図7におけるA-A断面図である。なお、図5から図8は、正面Fから見て右側の気体置換ユニット3Rについて示す。
【0025】
気体置換ユニット3R,3Lは、容器本体2の内部空間を気体Gで置換するもので、基板Wが挿入された状態でも基板Wと干渉しないように、容器本体2の後方B(背面壁2b又は突出部付近)の左右両側に、長手方向を縦にして備えられている(図1及び2参照)。
【0026】
この気体置換ユニット3R,3Lは、容器本体2の内部空間に気体Gを吹出すものである。吹出す気体Gとしては、不活性ガスやドライエアが挙げられる。さらに、不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、コスト面から窒素ガスが好ましい。
【0027】
図3に戻って、容器本体2の底面2fには、3つの給気弁50と1つの排気弁60とが設けられている。これらの給気弁50及び排気弁60は、基板収納容器1の外部から内部空間に又は内部空間から外部に気体Gを流通させることにより、収納した基板Wの表面の変質を抑制したり、基板収納容器1の内部空間と外部との圧力差を解消したりするように機能する。ただし、給気弁50及び排気弁60の数量や配置は、本実施形態に限られず、2つの給気弁50と2つの排気弁60とを設けるような配置であってもよいし、その他の数量及び配置であってもよい。
【0028】
このうち、2つの給気弁50が、底面2fの後方Bの左右両側に設けられている。そして、気体置換ユニット3R,3Lの下部は、気体Gが流通するように、これら2つの給気弁50に接続されている。また、1つの給気弁50と1つの排気弁60とが、底面2fの正面F付近の左又は右側に設けられている。
【0029】
給気弁50は、容器本体2の底面2fに形成された凹部に装着されたグロメット50aと、グロメット50aの端部に取付けられた、通気性を有するフィルタ部材51と、逆止弁52とを有している(図12参照)。
【0030】
グロメット50aは、エラストマーなどの弾性樹脂部材で形成されている。フィルタ部材51は、供給される気体Gを濾過し、塵埃を除去するもので、不織布フィルタなどが用いられる。逆止弁52は、弁を閉止する方向にコイルバネ53により付勢されて、バルブハウジング54に収容されている(図12参照)。
【0031】
一方、排気弁60は、逆止弁(図示なし)を有するとともに、例えば、湿度(又は濃度)センサを取付けることで、基板収納容器1の内部空間を気体Gで置換した後、基板収納容器1の内部空間における湿度(又は濃度)の測定を行うことができ、基板収納容器1の内部空間への気体Gの置換が正常に行われているかの管理を行うことができる。
【0032】
気体置換ユニット3R,3Lについて、更に詳細に説明する。ただし、気体置換ユニット3Lは、図2に示されるように、気体置換ユニット3Rと左右対称なものである点を除いて、同じ形状・構造であるから、説明を省略する。
【0033】
図5に示される気体置換ユニット3Rは、ハウジング部材31と、カバー部材32とを含み、略5角形柱状に形成されているが、形状はこれに限られない。また、気体置換ユニット3Rは、容器本体2などと同様の樹脂で形成されても、異なる樹脂で形成されてもよい。
【0034】
ハウジング部材31は、気体Gを貯留するように、一方が開口した面となる箱状に形成されており、この開口した面を覆うように、カバー部材32が、爪などの係止手段(係合手段)や超音波などの溶着手段によって取付けられている。これらのハウジング部材31とカバー部材32とで、気体Gを貯留する空間が形成されている。
【0035】
ここで、ハウジング部材31は、所定の角度で交差し、大きさの異なる2つの面部31A,31Bを有している。面部31Aと面部31Bとの交差角度は、内角で120°から170°の範囲である。また、面部31Aの面積は、面部31Bの面積より大きく形成されている。
【0036】
ハウジング部材31の下面には、給気弁50からの気体Gが流れ込む円筒状の接続具311が突出して設けられている。接続具311の近傍には、気体置換ユニット3Rの左右方向の回転を止め、回転方向の位置決めをする回止め突起312が形成されている(図7参照)。一方、ハウジング部材31の上面には、容器本体2に位置決め固定するための円柱状の位置決め突起313が形成されている。
【0037】
ハウジング部材31の面部31Aには、図7(a)に示すように、横長の略矩形状の吹出孔が、縦方向(長手方向)に上から順に、第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31z(以下、必要に応じて「第1吹出孔群31a-z」という。)が、等間隔(例えば、開口の中心間が10mmピッチ)で26か所に形成されている。ただし、2段目の第1吹出孔31bから第1吹出孔31uまでのそれぞれの高さ位置が、補助支持片21bと、最下段の支持片21との間に位置していれば、等間隔でなくてもよい。
【0038】
ハウジング部材31の面部31Bには、同じく横長の略矩形状の吹出孔が、縦方向(長手方向)に上から順に、第3吹出孔33a,33b,33c・・・33x,33y,33z(以下、必要に応じて「第3吹出孔群33a-z」という。)として、等間隔(例えば、開口の中心間が10mmピッチ)で26か所に形成されている。ただし、2段目の第3吹出孔31bから第3吹出孔31uまでのそれぞれの高さ位置が、補助支持片21bと、最下段の支持片21との間に位置していれば、等間隔でなくてもよい。
【0039】
第1吹出孔群31a-zと、第3吹出孔群33a-zとを、所定の角度で交差する面部31A,31Bにそれぞれ形成することにより、気体Gの吹出方向を異ならせることができ、気体Gが基板収納容器1の内部空間に拡散し易くなる。
【0040】
最上段の第1吹出孔31aの開口高さは、2段目の第1吹出孔31bの開口高さよりも大きい。すなわち、第1吹出孔31aの開口面積は、第1吹出孔31bの開口面積よりも、例えば、30%から50%程度大きいが、容器本体2の大きさや気体Gの吹出風量によっては、最大で100%(2倍)程度まで大きくすることができる。なお、本実施形態では、第1吹出孔31aの開口高さは、4mmであり、2段目の第1吹出孔31bの開口高さは、3mmである。
【0041】
また、第1吹出孔31bから第1吹出孔31uまでの開口面積は、通常すべて等しく、さらに、第1吹出孔31bから第1吹出孔31uまでのそれぞれの高さ位置は、補助支持片21bと、最下段の支持片21との間に位置しているとよい。そして、第1吹出孔31vから第1吹出孔31yまでの開口面積は、第1吹出孔31uの開口面積よりも徐々に大きくなり、第1吹出孔31zの開口面積は、第1吹出孔31yの開口面積よりも小さい。なお、第3吹出孔群33a-zについても同様である。
【0042】
最後に、最下段の第1吹出孔31z及び第3吹出孔33zは、最下段の支持片21の上面よりも少なくとも下方の位置、つまり、容器本体2の最下段の支持片21に支持された基板Wよりも少なくとも下方に位置している。ただし、最下段の基板Wよりも下方に位置する第1吹出孔31z及び第3吹出孔33zは、1つに限らず複数であってもよい。
【0043】
このように、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zは、最上段の第1吹出孔31a及び第3吹出孔33aの開口面積を大きくしているため、最上段の基板Wと、容器本体2の天面2eの内面との間に形成される空間が、他の段の基板Wと隣接する段の基板Wとの間に形成される空間よりも大きくても、最上段の第1吹出孔31aから吹出される気体Gの風量が多くなるため、基板Wの上方の空間における気体Gの湿度又は濃度が、基板Wの位置(段目)によって異なることがなく、均一な状態になる。
【0044】
そして、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zは、下方側の開口面積を大きくしているため、下方から供給される気体Gの直進性が高くても、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zの下方から上方にわたって、気体Gが均一に吹出される。また、最下段の基板Wの下にも第1吹出孔31z及び第3吹出孔33zが形成されているので、最下段の基板Wと底面2fとの間にも、気体Gが吹出されるから、クリーンルーム内のダウンフローのエアが容器本体2の正面Fの開口部から内部に侵入しても、底面2fの上面を正面Fに向かって吹出す気体Gによって、必要以上に流れ込むことがない。
【0045】
一方、カバー部材32には、図7(d)に示すように、略矩形又は正方形状の吹出孔が、縦方向(長手方向)に上から順に、第2吹出孔32a,32b・・32e,32f(以下、必要に応じて「第2吹出孔群32a-f」という。)として6か所に形成されている。最上段の第2吹出孔32aの高さ位置は、第1吹出孔31cの高さ位置と略同じで、以下、第2吹出孔32bと第1吹出孔31hとが、第2吹出孔32cと第1吹出孔31mとが、第2吹出孔32dと第1吹出孔31sとが、第2吹出孔32eと第1吹出孔31wとが、第2吹出孔32fと第1吹出孔31yとが、略同じ高さでそれぞれ一致している。
【0046】
ここで、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zのそれぞれの合計開口面積S1,S2,S3の比率は、容器本体2に収納された複数の基板W間での湿度のバラツキがより小さくなるように調節できる。開口面積の調節は、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zの各吹出孔が異なるハウジング部材31及びカバー部材32を準備することや、適宜の吹出孔を閉止することで実施できる。
【0047】
図4に戻って、気体置換ユニット3R,3Lは、上述したように容器本体2の後方B(背面壁2b又は突出部付近)の左右両側に備えられているため、吹出した気体Gを基板収納容器1の内部空間に均一に拡散させるためには、基本的に第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zから正面F側に向かって吹出し、空気を気体Gで置換することになる。このとき、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zが設けられた位置よりも後方B側の、背面壁2bから右側壁2c又は左側壁2d付近にも空気が存在するため、後方Bに向かって第2吹出孔群32a-fから気体Gを吹出す方がよい。
【0048】
そして、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zが設けられた位置よりも正面F側の空間は、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-zが設けられた位置よりも後方B側の空間と比較するとかなり大きいため、正面F側を向く第1吹出孔群31a-zの合計開口面積S1及び第3吹出孔群33a-zの合計開口面積S3は、後方B側を向く第2吹出孔群32a-fの合計開口面積S2よりも、大きくする方がよい。
【0049】
また、気体置換ユニット3R,3Lは、前述したように基本的に正面F側に向かって気体Gを吹出すが、右側壁2c又は左側壁2d付近に備えられるため、右側壁2c又は左側壁2dに沿って正面Fに向かう気体Gは、少なくてもよいが、逆に、容器本体2の中央に向かう気体Gは、多い方がよい。そのため、第1吹出孔群31a-zの合計開口面積S1は、第3吹出孔群33a-zの合計開口面積S3よりも、大きくする方がよい。
【0050】
これらを踏まえると、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zのそれぞれの合計開口面積S1,S2,S3は、S1:S2:S3=3:1:2などとしてもよい。
【0051】
図6に戻って、ハウジング部材31の内側には、通気性を有するフィルタ部材34が設けられており、同じくカバー部材32の内側には、通気性を有するフィルタ部材35が設けられている。フィルタ部材34,35としては、例えば、不織布フィルタや多孔質体などが挙げられる。
【0052】
そして、円筒状の接続具311から導入された気体Gは、ハウジング部材31とカバー部材32とで形成される空間に導入され、貯留される。貯留された気体Gは、フィルタ部材34,35を介して、第1吹出孔群31a-z、第2吹出孔群32a-f及び第3吹出孔群33a-zから容器本体2の内部空間に吹出される。
【0053】
気体置換ユニット3Rの容器本体2への取付方法について説明する。図9は、容器本体2の(a)正面概略図、(b)気体置換ユニット上部取付部の拡大斜視図、(c)気体置換ユニット下部取付部の拡大斜視図である。図10は、気体置換ユニット3Rの上部取付部の拡大斜視図である。図11は、気体置換ユニット3Rの(a)下部取付部の拡大図、(b)断面斜視図である。
【0054】
気体置換ユニット3Rは、位置決め固定部材8及びオフセット部材9により容器本体2に取付けられている。具体的には、気体置換ユニット3Rの上部が、位置決め固定部材8に取付けられ、気体置換ユニット3Rの下部が、オフセット部材9に取付けられる。
【0055】
そこで、容器本体2の背面壁2bの左右両側には、位置決め固定部材8を固定するために、円形の貫通孔27が形成されており、また、貫通孔27の上部には、ストッパ28が形成されている。一方、容器本体2の底面2fの左右両側には、オフセット部材9を固定するために、取付孔29が形成されている。この取付孔29は、円形でなく大きな円と小さな円を繋いだ略楕円形状で形成されている。
【0056】
図10に示される位置決め固定部材8は、細長い形状で、一端側が略板状で、他端側が矩形の軸で形成されている。この軸の周囲には、3つの円盤状のフランジ81,82,83が他端側に向かって形成されている。軸端のフランジ83と中間のフランジ82は、背面壁2bの貫通孔27の径より小さく形成され、貫通孔27に挿入される。中間のフランジ82には、小径の段部が形成され、Oリング84Aが嵌め込まれている。内側のフランジ81にも、小径の段部が形成され、Oリング84Bが嵌め込まれている。内側のフランジ81及びOリング84Bは、貫通孔27の径より大きく形成されており、位置決め固定部材8の他端側を貫通孔27に挿入した際、容器本体2とフランジ81の間にOリング84Bが挟まるため、気体Gが漏れることがない。
【0057】
位置決め固定部材8を貫通孔27に挿入後、軸端のフランジ83と容器本体2の間に位置する矩形の軸に、内側が矩形状に形成され、外径が貫通孔27より大きいCリング85を挟むことにより、位置決め固定部材8が貫通孔27を介して容器本体2に固定される。具体的には、軸端のフランジ83を外側に引っ張りながら、Oリング84Bをフランジ81と容器本体2との間で潰しながら、Cリング85を差し込むことで密封性が高まる。
【0058】
また、位置決め固定部材8の一端側は、上方に屈曲した板形状で、細長いスリット86が形成されている。このスリット86には、ハウジング部材31の位置決め突起313とストッパ28が嵌り込む。端部87は、更に上部に湾曲し、その更に先端にはU字型の切欠き88が形成されている。
【0059】
図11に示されるオフセット部材9は、底面2fの内側に位置するオフセットプレート押さえ90と、底面2fの外側に位置するオフセットプレート95との間に、気体Gが流通する隙間が形成されるように、Oリング94を介して組立てられている。
【0060】
オフセットプレート押さえ90には、ハウジング部材31の回止め突起312が嵌まり込む凹部92が形成されており、回止め突起312が凹部92に嵌まり込むことで、回転する気体置換ユニット3Rの方向及び位置が決まる。また、オフセットプレート押さえ90には、気体置換ユニット3Rの接続具311を差し込む穴が形成されており、接続具311は、パッキン93を介して差し込まれる。取付孔29には、このオフセットプレート押さえ90がOリング91を介して嵌め込まれる。
【0061】
オフセットプレート95は、平面視で、パッキン93の中心位置からズレた位置に、給気弁50の中心が位置するように、給気弁50を嵌め込む凹部が形成されている。
【0062】
このような構成により、気体置換ユニット3Rは、まず下部の接続具311がオフセット部材9に取付けられ、その後、上部の位置決め突起313が位置決め固定部材8に取付けられて、容器本体2に取付けられる。
【0063】
具体的には、気体置換ユニット3Rの下部の接続具311をパッキン93に差し込んで傾いた状態から、気体置換ユニット3Rの上部の位置決め突起313を、端部87側からスリット86に向かって押し込むことで、位置決め固定部材8が湾曲して、位置決め突起313が、スリット86に嵌り込む。と同時に、位置決め突起313は、ストッパ28にも当接することで、スリット86内での位置が決められ、気体置換ユニット3Rの上部が位置決め固定される。
【0064】
最後に、気体Gの流れについて説明する。図12は、給気弁50から流入した気体Gの流れを示す断面斜視図である。なお、気体Gの流れは、矢印で示す。
図12において、給気弁50から高圧で導入された気体Gは、フィルタ部材51を通過し、オフセットプレート押さえ90とオフセットプレート95との隙間を流れ、後方Bのオフセットプレート押さえ90と気体置換ユニット3Rの下部の接続具311との接続部に向かう。
【0065】
その後、気体Gは気体置換ユニット3Rの貯留空間を進みながら(図8参照)、第1吹出孔群31a-z、第3吹出孔群33a-z及び第2吹出孔群32a-fから吹出される。このとき、気体Gは、正面F側の中央付近及び右側壁2cに向かう方向と、後方B側の背面壁2bに向かう方向との、異なる3方向に吹出される(図4参照)。
【0066】
ここで、第1吹出孔群31a-zから容器本体2の正面F側の中央付近に向かって吹き出される気体Gの方向及び第3吹出孔群33a-zから容器本体2の右側壁2c又は左側壁2dに向かって吹出される気体Gの方向について具体的に説明する。
【0067】
第1吹出孔群31a-z又は第3吹出孔群33a-zの吹出開口の延長方向、つまり、第1吹出孔群31a-z又は第3吹出孔群33a-zが形成された面部31A又は面部31Bの中央を通る法線が、右側壁2c又は左側壁2dに交差することなく、容器本体2の正面開口枠2aの開口部に到達する範囲であることが好ましい。更に好ましくは、気体置換ユニット3Rの場合、面部31Aの法線が、容器本体2の正面開口枠2aの開口部からの法線NL(垂線)に対して10°から40°の範囲であり、面部31Bの法線が、容器本体2の正面開口枠2aの開口部からの法線NL(垂線)を挟んで、中央側5°から右側壁2c側10°の範囲である。なお、気体置換ユニット3Lの場合は、気体置換ユニット3Rと対称となる。
【0068】
このような範囲となるように、面部31A及び面部31B(あるいは、第1吹出孔群31a-z及び第3吹出孔群33a-z)を形成し、気体置換ユニット3R,3Lを容器本体2の内部に備えることで、各吹出孔から吹出された気体Gは、容器本体2の右側壁2c又は左側壁2dに、衝突して反射することがない。そのため、気体Gの気流に乱れが起きることがないから、容器本体2の内部空間を気体Gで素早く確実に置換することができる。
【0069】
蓋体4が容器本体2に装着されている場合には、容器本体2に気体Gが高圧で供給され、内部空間に充満すると、気体Gは、図3に示した排気弁60から容器本体2の外部に流出する。この空気の流出により、基板収納容器1の内部空間がパージガスである気体Gに置換される。
【0070】
一方、蓋体4が装着されていない場合には、図示しないクリーンルームなど外部装置からのダウンフローのエアが、容器本体2の正面Fから流れ込むが、このエアに抗しながら、基板収納容器1の内部空間がパージガスである気体Gに置換される。
【0071】
以下、本実施形態を確認するための具体的な実験例とその結果について、図13とともに説明する。図13は、気体置換の実験結果を示す(a)比較例、(b)実施例である。
【0072】
(実施例)
最上段の第1吹出孔31aの開口面積が、第1吹出孔31bの開口面積よりも大きく、最上段の第3吹出孔33aの開口面積が、第3吹出孔33bの開口面積よりも大きい気体置換ユニット3R,3L(図7参照)を、基板収納容器1に取付けて、気体Gを90L/min(1個当たり)の風量でパージし、基板収納容器1内の湿度の推移を、収納された基板Wの段ごと(#1から#25)に、正面側の頂点付近(F位置)、右側の頂点付近(R位置)について測定した。なお、基板収納容器1は、蓋体4が取外された状態で、ダウンフローが0.4m/sの環境に設置した。このとき、容器本体2の内部と外部との差圧は、1.7Paであった。
【0073】
(比較例)
比較例では、図7に示した気体置換ユニット3R,3Lを、最上段の第1吹出孔31aの開口面積が、第1吹出孔31bの開口面積と同じ大きさで、最上段の第3吹出孔33aの開口面積が、第3吹出孔33bの開口面積と同じ大きさにしたものを用いた。
【0074】
比較例では、最上段の基板Wより上方空間(#25F、#25Rの位置)の湿度の値や推移状態(置換完了時間)が、他の段のものとかけ離れた状態であったが、実施例では、収納された基板Wの段によらず、基板Wの上方空間における湿度の値や推移状態にバラツキがなかった。
【0075】
以上のとおり、本発明の実施形態に係る基板収納容器1は、前面に開口部を有し、複数枚の基板Wを収納可能な容器本体2と、開口部を閉鎖する蓋体4と、容器本体2の外部から内部空間に気体Gを供給する給気弁50と、給気弁50から供給された気体Gを容器本体2の内部空間に吹出す気体置換ユニット3R,3Lと、を備え、容器本体2の底面2fの後方Bに給気弁50を取付けた基板収納容器1であって、気体置換ユニット3R,3Lは、給気弁50から供給された気体Gを貯留するハウジング部材31と、ハウジング部材31の開口を覆うカバー部材32と、を含み、ハウジング部材31は、貯留された気体Gを容器本体2の正面方向に吹出す複数の第1吹出孔31a,31b,31c・・・31x,31y,31zを上下方向に有し、最上段の第1吹出孔31aの開口面積は、2段目の第1吹出孔31bの開口面積よりも大きいものである。
【0076】
これにより、気体置換ユニット3R,3Lの第1吹出孔31aから吹出した気体Gは、最上段に収納された基板Wと、容器本体2の天面2eの内面との間に形成される空間を正面F方向に向かって流れる。したがって、基板Wの収納状態が変化した場合でも、基板W間での湿度又は濃度のバラツキのより小さい基板収納容器1を提供することができる。
【0077】
実施形態では、第1吹出孔群31a-zの少なくとも1つは、容器本体2に収納された最下段の基板Wよりも下方に位置する。これにより、最下段の基板Wの下にも気体Gをムラなく流すことができる。したがって、基板Wの収納状態が変化した場合でも基板W間での湿度のバラツキのより小さい基板収納容器1を提供することができる。
【0078】
実施形態では、気体置換ユニット3R,3Lは、ハウジング部材31の内側に通気性を有するフィルタ部材34を含んでいる。これにより、供給される気体Gに塵埃が含まれていても、フィルタ部材34で捕獲するため、容器本体2内に吹出ることがなく、基板収納容器1の内部空間が汚染されることがない。
【0079】
実施形態では、ハウジング部材31の上部又は中央部の少なくとも一方が、容器本体2の背面壁2bに形成された貫通孔27を用いて位置決め固定される。これにより、貫通孔27に簡単に着脱できる位置決め固定部材8を用いて、気体置換ユニット3R,3Lを取付けるため、容器本体2から気体置換ユニット3R,3Lを簡単に取付け又は取外しをすることができる。容器本体2を洗浄する際も、気体置換ユニット3R,3Lを容易に取外すことができ、容器本体2内を隅々まで洗浄することができる。また、取外した気体置換ユニット3R,3Lも簡単に洗浄することができる。
【0080】
実施形態では、気体Gは、窒素ガス又はドライエアである。これにより、基板収納容器1の内部空間が、不活性又は低湿度に維持されるので、基板Wの表面は変質することがない。
【0081】
(変形例)
実施形態の気体置換ユニット3R,3Lにおいて、第1吹出孔群31a-z、第3吹出孔群33a-z及び第2吹出孔32a-fの開口面積や数量や配置も実施形態に限らず、底面2fの上面に沿って吹き込むダウンフローエアなどの外部からエアに対向できるように、下方の吹出風量を増やすように構成してもよい。
【0082】
また、第2吹出孔群32a-fを選択的に塞いだり、追加で穿設したりすることで、正面F方向及び後方B方向への吹出風量の比率を調整してもよい。さらに、オフセット部材9の凹部12の位置を変更することで、気体置換ユニット3R,3Lの方向を変更してもよい。あるいは、ハウジング部材31の2つの面部31A,31Bの交差角度を変更したり、面積を変更したりして、吹出方向及び/又は吹出風量の比率を調整してもよい。なお、これらの変更は、成形金型に入れ子を用いることで対応することができる。
【0083】
また、ハウジング部材31は、上部でなく中央部で位置決め固定されてもよく、あるいは、上部及び中央部で位置決め固定されてもよい。このとき、背面壁2bに形成される貫通孔27の位置は、適宜変更され、位置決め固定部材8の形状も適宜変更されるとよい。さらに、ハウジング部材31が、容器本体2に位置決め固定されるものに限らず、気体置換ユニット3R,3Lを構成するカバー部材32が、容器本体2に位置決め固定されるものであってもよい。
【0084】
上記実施形態において、気体置換ユニット3R,3Lの他に、他の気体置換ユニットを複数備えてもよいし、逆に気体置換ユニット3R又は3Lのいずれか1つであってもよい。例えば、後方Bの中央部で基板Wと干渉しない領域に、1つの気体置換ユニットを備える場合でも、最上段の第1吹出孔31aの開口面積を、2段目の第1吹出孔31bの開口面積よりも大きくするとよい。
【0085】
また、気体置換ユニット3R,3Lは、後方Bの左右の2か所に限らず、後方Bの中央部に基板Wと干渉しない領域があれば、その領域に配置してもよい。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 基板収納容器
2 容器本体、2a 正面開口枠、2b 背面壁、2c 右側壁、2d 左側壁、2e 天面、2f 底面
21 支持片、21b 補助支持片
22 位置規制部
23 グリップ
25 トップフランジ
26 ボトムプレート
27 貫通孔
28 ストッパ
29 取付孔
3R,3L 気体置換ユニット
31 ハウジング部材、31A,31B 面部、311 接続具、312 回止め突起、313 位置決め突起
32 カバー部材
31a・・・31z 第1吹出孔
32a・・・32f 第2吹出孔
33a・・・33z 第3吹出孔
34,35 フィルタ部材
4 蓋体
50 給気弁、50a グロメット、51 フィルタ部材、52 逆止弁、53 コイルバネ、54 バルブハウジング
60 排気弁
8 位置決め固定部材
81,82,83 フランジ
84A,84B Oリング
85 Cリング
86 スリット
87 端部
88 切欠き
9 オフセット部材
90 オフセットプレート押さえ
91 Oリング
92 凹部
93 パッキン
94 Oリング
95 オフセットプレート
F 正面
B 後方
G 気体
W 基板
NL 法線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13