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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/68 20060101AFI20230214BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20230214BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A01D34/68 Z
A01D34/64 M
B60K15/063 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018116430
(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2019216650
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】南方 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】川口 晃平
(72)【発明者】
【氏名】若林 宗平
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 博紀
(72)【発明者】
【氏名】金子 真之
(72)【発明者】
【氏名】黒見 晃志
(72)【発明者】
【氏名】見前 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3129006(JP,U)
【文献】特開2007-083825(JP,A)
【文献】特開2016-089615(JP,A)
【文献】特開2004-314844(JP,A)
【文献】特開2003-285649(JP,A)
【文献】特開平10-033038(JP,A)
【文献】特開平08-132897(JP,A)
【文献】実開平06-022526(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0217222(US,A1)
【文献】米国特許第04919224(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/68
A01D 34/64
B60K 15/063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の前車輪および左右の後車輪により走行自在な機体と、
前記機体に支持される作業装置とを備え、
前記前車輪と前記後車輪と前記作業装置とを駆動するエンジンと、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクとが前記機体の前後方向で前記前車輪と前記後車輪との間で、且つ、前記機体の左右方向で中央より外方に偏位した位置に配置され、
前記エンジンの下側に重複する位置に前記燃料タンクが配置され、前記燃料タンクの下側に前記エンジンと前記燃料タンクとを支持するメインフレームが配置され、前記メインフレームに保護部材が支持され、
平面視において、前記燃料タンクは、前記燃料タンクが偏位する偏位方向の前記燃料タンクの外端部から上方に延出する給油管と、この給油管の上端に着脱自在にキャップとを備え、平面視において、前記燃料タンクのうち前記偏位方向の外端位置より外方に張り出し、且つ、前記キャップの外周より前記偏位方向での外方に張り出すように前記給油管より下側に前記保護部材が配置されている作業機。
【請求項2】
平面視において、前記保護部材の前記偏位方向での外端位置が、前記前車輪のうち前記偏位方向の外端位置と、前記後車輪のうち前記偏位方向の外端位置とを結ぶ仮想ラインより外側に突出して配置されている請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記保護部材が、平面視で前後方向の中央位置が外方に緩やかに張り出す円弧状の外縁
を有する板状材で構成されている請求項2に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行に伴い比較的地面に近いレベルで作業を行う作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成の作業機として特許文献1には、機体の前後の左右に車輪を備え、機体の中央位置に刈刃を備え、車輪と刈刃とを駆動するエンジンを機体に備えた草刈機の技術が示されている。
【0003】
この特許文献1に記載される作業機(草刈機)は、左右の前車輪と、左右の後車輪とが操向自在、且つ、エンジンからの駆動力により駆動されるように構成されている。また、機体の中央位置には縦向き姿勢の回転軸芯を中心に回転自在に支持される刈刃を備えており、この刈刃はエンジンからの駆動力で駆動される。
【0004】
また、特許文献1に記載される作業機(草刈機)では、遠隔操作により操向操作を行えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-67229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される刈機は、機体が転倒する可能性がある傾斜地でも作業者に影響が及ばないように遠隔操作により草刈作業を可能にするものである。
【0007】
また、傾斜地での作業では、機体の転倒を防止するため、機体の重心を低くすると共に、左右方向での一方に重量物を配置することも考えられる。このような観点から、特許文献1では機体の左右方向での一方にバッテリーを配置することで、このバッテリーをバランスウェイトとして機能させている。
【0008】
ここで、傾斜地での作業時に機体の転倒を防止するため、例えば、エンジンと燃料タンクとを機体の左右方向での一方で、低い位置に配置したものを想定すると、このように想定した作業機では、エンジンや燃料タンクに地面の突出物や、草、低木等(以下、草木等と称する)が接触してエンジンや燃料タンクを傷めることも想像できた。
【0009】
特に、機体の外端側に給油筒を配置する構成では、給油管や、給油管のキャップに対して地面の突起物や草木等が接触し、給油管を傷め、キャップに弛みを招くことも想像できた。
【0010】
このような理由から、エンジンと燃料タンクとが機体の左右方向での一方に偏位して配置したものであっても、作業時にエンジンと燃料タンクとを傷めることのない作業機が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る作業機の特徴構成は、左右の前車輪および左右の後車輪により走行自在な機体と、前記機体に支持される作業装置と、前記前車輪、前記後車輪、前記作業装置の夫々を駆動するエンジン、及び、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクを収容するボディとを備え、前記エンジンと、前記燃料タンクとが前記機体の前後方向で前記前車輪と前記後車輪との間で、且つ、前記機体の左右方向で中央より外方に偏位した位置に配置され、平面視において、前記燃料タンクは、前記燃料タンクが偏位する偏位方向の前記燃料タンクの外端部から上方で前記偏位方向に延出する給油管と、この給油管の上端に着脱自在にキャップとを備えることで、平面視において、前記キャップが前記ボディの側壁より外側に配置され、前記キャップの下側で、平面視において、前記ボディの側壁より外側に張り出す保護部材を備えている点にある。
【0012】
この特徴構成によると、機体が走行する際に例えば、地面の草木等が燃料タンクが配置された部位に接近しても、これらに保護部材が接触し、機体の走行に伴い機体から離間する方向に押し出すことになる。このため、地面の草木等を燃料タンクに接触させることがない。
従って、エンジンと燃料タンクとが機体の左右方向での一方に偏位して配置したものであっても、作業時にエンジンと燃料タンクとを傷めることのない作業機が構成された。
【0013】
本発明に係る作業機の特徴構成は、左右の前車輪および左右の後車輪により走行自在な機体と、前記機体に支持される作業装置とを備え、前記前車輪と前記後車輪と前記作業装置とを駆動するエンジンと、前記エンジンの燃料を貯留する燃料タンクとが前記機体の前後方向で前記前車輪と前記後車輪との間で、且つ、前記機体の左右方向で中央より外方に偏位した位置に配置され、前記エンジンの下側に重複する位置に前記燃料タンクが配置され、前記燃料タンクの下側に前記エンジンと前記燃料タンクとを支持するメインフレームが配置され、前記メインフレームに保護部材が支持され、平面視において、前記燃料タンクは、前記燃料タンクが偏位する偏位方向の前記燃料タンクの外端部から上方に延出する給油管と、この給油管の上端に着脱自在にキャップとを備え、平面視において、前記キャップの外周より前記偏位方向での外方に張り出すように前記給油管より下側に前記保護部材が配置されている点にある。

【0014】
これによると、機体が走行する際に例えば、地面の草木等がキャップに接近しても、これらに保護部材が接触し、機体の走行に伴い機体から離間する方向に押し出すことになる。このため、この地面の草木等がキャップに接触して傷めることや、キャップを給油管から分離させることもない。
【0015】
他の構成として、平面視において、前記保護部材の前記偏位方向での外端位置が、前記前車輪のうち前記偏位方向の外端位置と、前記後車輪のうち前記偏位方向の外端位置とを結ぶ仮想ラインより外側に突出して配置されても良い。
【0016】
これによると、例えば、機体の横方向から中央に向けて倒れ込む姿勢の地面の草木等が存在する環境で作業を行う場合にも、これらの基端側に保護部材が接触することにより、燃料タンクに地面の草木等が接触することがない。
【0017】
他の構成として、前記保護部材が、平面視で前後方向の中央位置が外方に緩やかに張り出す円弧状の外縁を有する板状材で構成されても良い。
【0018】
これによると、機体の側部に板状材を取り付けるだけで、地面の草木等を円滑に押しのけることが可能となり、燃料タンクの保護を確実に行え、この燃料タンクに近接してエンジンが配置されるものでは、エンジンの保護も確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】草刈機の一部を切欠いた平面図である。
図2】草刈機の一部を切欠いた側面図である。
図3】エンジンと燃料タンクとの部位を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1図2に示すように、左右の前車輪1と左右の後車輪2とで走行自在に構成される機体Aに刈刃ハウジングCを備え、この刈刃ハウジングCの内部に刈刃14を収容し、左右の前車輪1と左右の後車輪2と刈刃14とを駆動するエンジン3を備え、このエンジン3の下側に燃料タンク4を備えて作業機としての草刈機が構成されている。
【0021】
図1図2に示すように、図中のFは「前方向」を示し、Bは「後方向」を示し、Rは「右方向」を示し、Lは「左方向」を示し、Uは「上方向」を示し、Dは「下方向」を示している。
【0022】
この草刈機では、下方に開放する椀状の刈刃ハウジングCと、これに収容された複数の刈刃14と、複数の刈刃14を駆動する駆動系とで作業装置が構成されている。エンジン3と燃料タンク4とは、機体Aの前後方向で前車輪1と後車輪2との中間で、機体Aの左右方向での中央より右外方に偏位した位置に配置されている。
【0023】
図1図2に示すように、機体Aは、エンジン3、燃料タンク4、主伝動ケース21、走行伝動ケース22等を覆うように、板金材や樹脂で成るボディ5を有しており、このボディ5の前端部と後端部とにバンパー6を備えている。
【0024】
この草刈機は、無線信号による遠隔操作により左右の前車輪1と左右の後車輪2との操向操作を行い、前進と後進との切換を行い、エンジン3のスロットルの調節等を行えるようにボディ5の内部に受信器(図示せず)を備えている。
【0025】
この草刈機は、河川の堤防や、道路の盛土部分等の傾斜面(法面)での草刈作業を行えるように構成されたものであり、傾斜面で機体Aの転倒を防止するため、機体の左右方向の一方に偏位した位置(この実施形態では右側)で、且つ、低い位置にエンジン3と燃料タンク4とを配置している。更に、左右の前車輪1と後車輪2とのうち、右側のものの幅W2より左側の幅W1を広く設定している。
【0026】
この草刈機では、傾斜面での転倒の防止性能を向上させるために、機体Aの右側面から右外方に補助フレーム7を延出し、この補助フレーム7にバランサ8を取り付けるように構成されている。尚、補助フレーム7は機体Aに対し分離することが可能である。
【0027】
この構成から傾斜面で草刈作業を行う場合には、機体Aの右側を、常に傾斜面の高い側に配置して機体Aを走行させることにより、エンジン3と燃料タンク4とバランサ8とが高い側に配置され、左側の前車輪1と左側の後車輪2との幅広の接地面から機体Aの転倒を防止する状態での草刈作業を実現している。
【0028】
〔刈刃ハウジング〕
図1図2に示すように、刈刃ハウジングCは、平坦な上壁10の外周部を取り囲む部位に縦向き姿勢の縦壁11を有している。この刈刃ハウジングCの上壁10の中央部を上下方向に貫通する駆動シャフト12の下端に回転ディスク13を備え、この回転ディスク13の外周に複数のプレート状の刈刃14を備えている。
【0029】
このような構成から駆動シャフト12が駆動回転することにより回転ディスク13と複数の刈刃14とが一体的に回転し、地面の草木等が切断される。
【0030】
〔駆動構造〕
刈刃ハウジングCの上壁10に載せ付ける位置に横向き姿勢で一対のメインフレーム20を互いに並行となる姿勢で備えており、このメインフレーム20の右方向Rの外端近くに偏位してエンジン3と燃料タンク4とが支持されている。
【0031】
メインフレーム20の断面形状はコ字状であり下方に開放する姿勢で備えられている。このメインフレーム20の内部空間に対し、前述した補助フレーム7の基端部が抜き差し自在に収容されている。
【0032】
機体Aの左右方向での中央には、メインフレーム20に支持される状態で主伝動ケース21が配置され、この主伝動ケース21を基準にエンジン3と反対側に走行伝動ケース22が配置されている。また、機体Aの前部位置に前部駆動ケース23が配置され、機体Aの後部位置に後部駆動ケース24が配置されている。
【0033】
この草刈機では、エンジン3の駆動力を主伝動ケース21に伝え、この主伝動ケース21からの駆動力を駆動シャフト12から回転ディスク13を介して刈刃14に伝えることにより草木等の刈り取りを可能にする。また、主伝動ケース21からの駆動力を走行伝動ケース22に伝え、更に、前部駆動ケース23から左右の前車輪1に伝え、後部駆動ケース24から左右の後車輪2に伝えることで機体Aの走行を可能にする。
【0034】
尚、図面には示していないが、エンジン3の駆動力を主伝動ケース21に伝える伝動部に遠心クラッチと、駆動系の全体に制動力を作用させるブレーキとを備えている。主伝動ケース21には、駆動シャフト12に伝える駆動力を断続する作業クラッチ機構と、走行伝動ケース22に伝えられる駆動力の回転方向を正逆に切り換える前後進切換機構とを内蔵している。
【0035】
〔操向操作構造等〕
左右の前車輪1と、左右の後車輪2とは、機体Aに対して操向作動自在に支持されている。そして、左右の前車輪1は、タイロッド等により連係され、前部操向モータ25の駆動力により操向作動自在に構成されている。これと同様に左右の後車輪2は、タイロッドにより連係され、後部操向モータ26の駆動力により操向作動自在に構成されている。
【0036】
そして、この走行操作構造による前後車輪の操向操作と、前述した前後進切換機構による前後進の切換と、作業クラッチ機構による駆動力の断続等は、前述した無線信号により遠隔から操作される。
【0037】
〔エンジンと燃料タンクを保護する構造〕
図1図3に示すように、エンジン3は、エンジン本体3aの右端位置にリコイルスタータ3bを備え、エンジン本体3aの後面位置(後車輪2に対向する位置)にエアクリーナ3cを備えている。
【0038】
エンジン3の下側に燃料タンク4のタンク本体4aが配置され、平面視において、リコイルスタータ3bの後方側にタンク本体4aの一部が露出している。燃料タンク4は、前述した露出部から上方に向けて給油管4bが延出しており、この給油管4bの上端に着脱自在にキャップ4cを備えている。尚、キャップ4cは給油管4bの上端外周の雄ネジ部に螺合する構造であるため、人為的な回転操作により着脱が可能となる。
【0039】
これにより、エンジン3はリコイルスタータ3bの部位が右外方に最も突出し、平面視においてリコイルスタータ3bの後方側に隣接する位置に給油管4bとキャップ4cが配置される。特に、キャップ4cは右外方に最も突出する位置に配置される。
【0040】
この草刈機では、エンジン3と燃料タンク4とが機体Aの右側に偏位し、しかも、低い位置に配置されている。従って、作業時に機体Aを後進させる場合には、地面の草木等がタンク本体4aの露出部位や、給油管4bあるいはキャップ4cに強く接触して、これらを傷めることや、丈の高い草類がキャップ4cに巻き付き、キャップ4cを緩める方向に回転させることもあった。
【0041】
この不都合を解消するため、図1図3に示すように燃料タンク4の偏位方向(右方向)の外端位置より外方に張り出す保護部材30を備えている。この保護部材30は、平面視において前後方向の中央位置が緩やかに外方に張り出す円弧状の外縁を有する板状材で構成され、前述したメインフレーム20の外端位置に固定されている。
【0042】
また、保護部材30は、平面視において、キャップ4cの外周より偏位方向(右方向)で外方に張り出す位置に配置されている。特に、図1に示すように、保護部材30の偏位方向での外端位置は、右側の前車輪1のうち偏位方向(右方向)での外端位置と、右側の後車輪2のうち偏位方向(右方向)での外端位置とを結ぶ仮想ラインLより外方に突出する。
【0043】
このような保護部材30を備えるため、草刈作業時に機体Aの走行に伴い地面の草木等が燃料タンク4に接近する場合には、これらが保護部材30の外周に接触することにより、草木等を燃料タンク4やエンジン3から離間する方向に円滑に押し出し、直接的な接触を阻止し、エンジン3や、燃料タンク4、給油管4bを破損することがない。
【0044】
また、保護部材30が草木等に接触することで直接的な接触を阻止し、草木等が給油管4bに巻き付く現象や、草木等の接触によりキャップ4cが回転し、給油管4bから分離する不都合も解消できる。
【0045】
〔エアクリーナを保護する構造〕
この草刈機では、草刈作業時に刈刃14の回転に伴って発生する風が刈刃ハウジングCの縦壁11の下側から外方に吹き出し、地面の塵埃を吹き上げることもあった。また、この草刈機では、エンジン3のエアクリーナ3cが後車輪2と対向する位置に配置され、エンジン3が機体Aの低い位置に配置されているため、塵埃が右側の後車輪2とエアクリーナ3cとの間の空間を上方に流れ、エアクリーナ3cに吸引されることも想像できた。
【0046】
このような現象から多量の塵埃がエアクリーナ3cに吸引された場合には、エアクリーナエレメントの交換時期を早める不都合に繋がるものであった。
【0047】
また、機体Aを後進させた場合には、後車輪2で跳ね上げた地面の塵埃がエアクリーナ3cに接触することでエアクリーナ3cを傷めることもあった。
【0048】
これらの不都合を解消するため、エアクリーナ3cの下方位置から後車輪2の上方に亘る領域に防塵部材32が配置されている。この防塵部材32は機体Aの左右方向に沿って幅広となる板材が用いられ、エアクリーナ3cの下方の基端部分をメインフレーム20に固定する形態で備えられている。
【0049】
これにより、草刈作業に伴い、エアクリーナ3cと、このエアクリーナ3cに対向する後車輪2との間の空間に塵埃が吹き上げられる現象を防塵部材32が阻止し、塵埃がエアクリーナ3cで吸引される現象を抑制し、結果として、エアクリーナエレメントの交換時期を早める不都合を解消する。
【0050】
また、この構成では、後車輪2に跳ね上げられた塵埃や小石等がエアクリーナ3cの方向に飛散する状況でも、このように飛散する塵埃や小石を防塵部材32で遮断できるため、この塵埃をエアクリーナ3cで吸引する現象や、塵埃がエアクリーナ3cに接触してエアクリーナ3cを傷める不都合を招くこともない。
【0051】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0052】
(a)給油管4bが、燃料タンク4を基準に機体Aの前側向けて延出するように配置されたものに本発明の構成を適用する。このような配置にすることにより、機体Aが前進する際に保護部材30が、草木等が燃料タンク4や、給油管4b、キャップ4cに接触する不都合を解消する。
【0053】
(b)保護部材30を、金属材を円弧状に湾曲させた部材で構成する。このように構成された保護部材30は、その基端部分をメインフレーム20の外端に固定することが考えられ、その基端部分を燃料タンク4に支持することも考えられる。
【0054】
(c)作業機として、草刈機の他に芝刈機に本発明の構成を適用する。このように芝刈機に適用した場合にも、実施形態で説明した良好な機能を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、前車輪と後車輪とを有し機体の左右方向での一方に偏位した位置にエンジンと燃料タンクとが配置された作業機に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 前車輪
2 後車輪
3 エンジン
4 燃料タンク
4b 給油管
4c キャップ
30 保護部材
L 仮想ライン
図1
図2
図3