(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】ラセン杭ねじ込み機
(51)【国際特許分類】
E02D 7/22 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
E02D7/22
(21)【出願番号】P 2020059498
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】520024418
【氏名又は名称】ナカヤマ機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591225419
【氏名又は名称】株式会社小松原
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】中山 幹啓
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 紀雄
(72)【発明者】
【氏名】古田 直紀
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-080151(JP,U)
【文献】特開2004-084271(JP,A)
【文献】特開2013-253405(JP,A)
【文献】特開2009-002063(JP,A)
【文献】特開平08-199572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/22
E02D 7/04
E02D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸心回りに回転する回転軸を有する回転駆動源と、前記回転駆動源を支持する支持フレームと、ラセン杭の頭部を着脱可能に保持するために前記回転軸の下端部に設けられた杭ホルダ部と、を備えて成るラセン杭ねじ込み機であって、
前記支持フレーム上に立設されるとともに垂直方向に延びる案内溝を有するガイドフレームと、
前記ガイドフレームの案内溝に垂直方向移動自在に装着されるとともに建設機械のアームの先端部に取り付けられる軸体と、
を備えていることを特徴とするラセン杭ねじ込み機。
【請求項2】
前記回転駆動源が油圧モータで構成され、前記油圧モータの油圧作動油入口に前記建設機械からの油送出管が接続され、前記油圧モータの油圧作動油出口に前記建設機械への油戻し管が接続され、前記建設機械からの油圧作動油が前記回転駆動源の動力源として用いられることを特徴とする請求項1に記載のラセン杭ねじ込み機。
【請求項3】
前記杭ホルダ部が、前記ラセン杭の頭部を収容する保持用穴および当該保持用穴とつながる下面開口を有する第1箱状本体と、
前記第1箱状本体に前記下面開口を開閉自在に設けられるとともに前記保持用穴内のラセン杭の頭部を支持する蓋部材と、
前記第1箱状本体の下面開口を閉止した状態に前記蓋部材を維持する維持手段と、
から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラセン杭ねじ込み機。
【請求項4】
前記維持手段が、前記第1箱状本体に揺動自在に設けられた手動レバーと、
前記第1箱状本体に設けられていて前記蓋部材をその閉止位置に押動する押動部材と、
前記手動レバーと前記押動部材との間に介設されていて前記手動レバーの揺動力を前記押動部材に伝達して前記蓋部材を駆動させるリンク機構と、
から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のラセン杭ねじ込み機。
【請求項5】
前記維持手段が、前記第1箱状本体の下面開口の近傍位置または前記第1箱状本体の下面開口の近傍位置と対面する位置の前記蓋部材に設けられた第1マグネット部材と、
前記第1箱状本体の下面開口の近傍位置と対面する位置の前記蓋部材または前記第1箱状本体の下面開口の近傍位置に設けられていて前記第1マグネット部材と着脱可能に磁着する第1磁性体部材と、
から構成されていることを特徴とする請求項3に記載のラセン杭ねじ込み機。
【請求項6】
前記杭ホルダ部が、下面開口を有する第2箱状本体と、
前記第2箱状本体の下面開口から前記第2箱状本体内に挿脱自在に装着されるとともに前記ラセン杭の頭部を着脱自在に掛止する掛止部を有する内箱体と、
前記第2箱状本体内または前記内箱体に設けられた第2マグネット部材と、
前記第2マグネット部材と対面する位置の前記内箱体または前記第2箱状本体内に設けられていて前記第2マグネット部材と着脱可能に磁着する第2磁性体部材と、
から構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラセン杭ねじ込み機。
【請求項7】
前記内箱体が、前記掛止部に掛止されたラセン杭の頭部下方の首部を収容して位置決めする位置決め用開口と、
前記位置決め用開口の位置を水平方向に変更する開口位置可変手段と、
を備えていることを特徴とする請求項6に記載のラセン杭ねじ込み機。
【請求項8】
前記ガイドフレームにおいて垂直方向に予め設定された規定位置に配置されて前記案内溝の上端位置を決める規定部材と、
前記ガイドフレームの規定位置に前記規定部材を支持する支持手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のラセン杭ねじ込み機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラセン杭を動力回転により地面にねじ込むラセン杭ねじ込み機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のラセン杭ねじ込み機としては、下記の特許文献1に開示されたものが知られており
図11に示す。図示のラセン杭ねじ込み機71は、略垂直軸心回りに回転する回転軸73を有するエンジン72(回転駆動源)と、エンジン72を支持する支持フレーム74と、下部にラセン状部RAを有するラセン杭Rの頭部RBを着脱可能に保持するために回転軸73の下端部に設けられた杭ホルダ部75と、支持フレーム74の姿勢を保つための手持ち用ハンドル76と、を備えている。
【0003】
このラセン杭ねじ込み機71では、ラセン杭Rを地面Gにねじ込む際に、ラセン杭Rの先端RCが地面G上に置かれ(
図11(a))、ラセン杭ねじ込み機71全体の傾きが手持ち用ハンドル76を持った手で先端RCを支点として調整される。回転軸73が略垂直になった状態でエンジン72を駆動ONにすると、ラセン杭Rが正転しラセン状部RAが地中を螺進する。そうして、杭ホルダ部75下方のガード部材が地面Gに接するあたりでエンジン72が停止されて、ラセン杭Rのねじ込みが終了される(同図(b))。このようなラセン杭Rは農業用ビニルハウスの補強に用いられる。すなわち、ラセン杭Rは、同図(c)のように、適宜間隔で地面Gに立設されているハウス用支柱80,80,80,・・・間に架け渡された横架杆81にラセン杭R,R,R,・・・の頭部RB,RB,RB,・・・が通され、ハウス用支柱80,80,80,・・・に被せられているビニルシートの上に架け渡された固定用紐82,82,82,・・・の末端が横架杆81に結ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来のラセン杭ねじ込み機71では、手持ち用ハンドル76が手で持たれて操作される。そうして、ラセン杭Rを略垂直に保持しラセン状部下端を地面に位置決めしたのちにエンジン72を回転駆動させると、ラセン杭Rのラセン状部RAが地中にねじ込まれていく。このとき、ラセン状部RAの先端が地中の石などの硬物に当たると、そのときの衝撃によりラセン杭ねじ込み機71がグラついて垂直から傾くことがある。あるいは、建設機械などと比べて非力な人力で手持ち用ハンドル76を操作するので、エンジン72の軸回転反力を受けて手持ち用ハンドル76を手で保持し切れないおそれがある。
【0006】
また、重量のあるエンジン72を有するラセン杭ねじ込み機71(燃料空で 5~10kg程度)を所定のねじ込み位置に持ち運んだのちにラセン杭Rをセットするために地面G上に寝かす作業と、寝かせていたラセン杭ねじ込み機71を起立させラセン杭Rをセットして地面Gにねじ込む作業と、ねじ込まれたラセン杭Rから取り外されたラセン杭ねじ込み機71を再び地面G上に寝かせて別のラセン杭Rをセットするとともに次の所定のねじ込み位置まで持ち運ぶ作業を、一棟のビニルハウスを建てるのに必要な100本を超えるラセン杭Rの数だけ繰り返さなければならない。そのようなことで、農業を支える高齢者や女性にとっては大変な重労働になっていた。一方で、近年甚大化している台風などの自然災害に対する復旧作業が増えており、その際の軽力化、省力化や時間短縮化も考慮しなければならなくなっている。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、略垂直に保持したラセン杭をねじ込み途中でグラつかせることがなく、回転駆動源の軸回転反力もしっかりと受け止めることができて、ラセン杭をしっかりとねじ込むことのできるラセン杭ねじ込み機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るラセン杭ねじ込み機は、垂直軸心回りに回転する回転軸を有する回転駆動源と、回転駆動源を支持する支持フレームと、ラセン杭の頭部を着脱可能に保持するために回転軸の下端部に設けられた杭ホルダ部と、を備えて成るラセン杭ねじ込み機であって、支持フレーム上に立設されるとともに垂直方向に延びる案内溝を有するガイドフレームと、ガイドフレームの案内溝に垂直方向移動自在に装着されるとともに建設機械のアームの先端部に取り付けられる軸体と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記構成において、回転駆動源が油圧モータで構成され、油圧モータの油圧作動油入口に建設機械からの油送出管が接続され、油圧モータの油圧作動油出口に建設機械への油戻し管が接続され、建設機械からの油圧作動油が回転駆動源の動力源として用いられることを特徴とするものである。
【0010】
そして、前記した各構成において、杭ホルダ部が、ラセン杭の頭部を収容する保持用穴および当該保持用穴とつながる下面開口を有する第1箱状本体と、第1箱状本体に下面開口を開閉自在に設けられるとともに保持用穴内のラセン杭の頭部を支持する蓋部材と、第1箱状本体の下面開口を閉止した状態に蓋部材を維持する維持手段と、から構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
更に、請求項3の構成において、維持手段が、第1箱状本体に揺動自在に設けられた手動レバーと、第1箱状本体に設けられていて蓋部材をその閉止位置に押動する押動部材と、手動レバーと押動部材との間に介設されていて手動レバーの揺動力を押動部材に伝達して蓋部材を駆動させるリンク機構と、から構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3の構成において、維持手段が、第1箱状本体の下面開口の近傍位置または第1箱状本体の下面開口の近傍位置と対面する位置の蓋部材に設けられた第1マグネット部材と、第1箱状本体の下面開口の近傍位置と対面する位置の蓋部材または第1箱状本体の下面開口の近傍位置に設けられていて第1マグネット部材と着脱可能に磁着する第1磁性体部材と、から構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
そして、請求項1または請求項2の構成において、杭ホルダ部が、下面開口を有する第2箱状本体と、第2箱状本体の下面開口から第2箱状本体内に挿脱自在に装着されるとともにラセン杭の頭部を着脱自在に掛止する掛止部を有する内箱体と、第2箱状本体内または内箱体に設けられた第2マグネット部材と、第2マグネット部材と対面する位置の内箱体または第2箱状本体内に設けられていて第2マグネット部材と着脱可能に磁着する第2磁性体部材と、から構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
更に、請求項6の構成において、内箱体が、掛止部に掛止されたラセン杭の頭部下方の首部を収容して位置決めする位置決め用開口と、位置決め用開口の位置を水平方向に変更する開口位置可変手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0015】
また、前記した各構成において、ガイドフレームにおいて垂直方向に予め設定された規定位置に配置されて案内溝の上端位置を決める規定部材と、ガイドフレームの規定位置に規定部材を支持する支持手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るラセン杭ねじ込み機によれば、支持フレーム上のガイドフレームの案内溝に垂直方向移動自在に装着される軸体が、建設機械のアームの先端部に取り付けられるので、アームに吊持され略垂直に保持されたままラセン状部下端を地面に位置決めされたラセン杭は、建設機械の剛性により、ねじ込み途中で傾いたりグラついたりすることがない。同時に、回転駆動源の軸回転反力もしっかりと受け止めて螺進力に反映し得る。従って、建設機械を取り扱って迅速かつ確実にラセン杭のねじ込み作業を行なうことができる。これにより、ビニルハウスの修理などの際に軽力化、省力化あるいは時間短縮化を図ることができる。すなわち、建設機械が元来保有する動力源を利用して建設機械の操作だけで、重いラセン杭ねじ込み機の上げ下げおよび吊下げ保持を楽に行なえるので、高齢者や女性であってもビニルハウスの建設や補修を支障なく行なうことができ、不整地であっても移動が容易にできる。
【0017】
また、回転駆動源が油圧モータで構成されているものでは、建設機械からの油圧作動油をそのまま利用して回転駆動源を駆動させることができる。従って、別途の燃料や電力を用意する必要がなく便利である。
【0018】
そして、杭ホルダ部が、第1箱状本体と、第1箱状本体の下面開口を閉止する蓋部材と、維持手段とから構成されているものでは、第1箱状本体の下面開口からラセン杭の頭部を挿入したのちに蓋部材を閉めて維持手段を作動すると、第1箱状本体がラセン杭を保持し、その保持状態を維持手段により維持させることができる。
【0019】
更に、維持手段が、手動レバーと、押動部材と、手動レバーと押動部材をつなぐリンク機構とから構成されているものでは、第1箱状本体の下面開口からラセン杭の頭部を挿入したのちに手動レバーを操作すると、手動レバーからリンク機構を介して伝達された操作力により押動部材が蓋部材をその閉止位置に押動し、蓋部材を閉止状態に維持する。従って、手動レバーを操作するという簡単な操作によりラセン杭を杭ホルダ部に保持させることができる。
【0020】
また、維持手段が、第1マグネット部材と、第1マグネット部材と着脱可能に磁着する第1磁性体部材とから構成されているものでは、第1マグネット部材と第1磁性体部材とを磁着させるという簡単な操作により、ラセン杭を杭ホルダ部に保持させることができる。
【0021】
そして、杭ホルダ部が、第2箱状本体と、ラセン杭を掛止可能な内箱体と、第2マグネット部材と、第2マグネット部材と着脱可能に磁着する第2磁性体部材とから構成されているものでは、ラセン杭を伴なって第2箱状本体の下面開口から挿入された内箱体が第2マグネット部材と第2磁性体部材との磁着により第2箱状本体に支持されるので、第2マグネット部材と第2磁性体部材とを磁着させるという簡単な操作により、ラセン杭を杭ホルダ部に保持させることができる。この場合、様々な形態のラセン杭に対して、それぞれのラセン杭に適合した位置決め用開口を持つ内箱体を個別に製作しておくだけで、外箱体である第2箱状本体は共通のものを使用することができる。それにより、異なった頭部形状のラセン杭を埋設する複数の農家であっても共同で1台のラセン杭ねじ込み機を利用することができ、第2箱状本体を交換する手間を必要とせず製作費も安価にできる。
【0022】
更に、内箱体が、掛止部に掛止されたラセン杭の首部を位置決めする位置決め用開口と、位置決め用開口の位置を水平方向に変更する開口位置可変手段とを備えているものでは、開口位置可変手段の作用により、内箱体の垂直軸心から偏在した位置に位置決め用開口の位置を変更することができる。これにより、ラセン杭の首部の杭心がラセン状部のラセン心から傾いていて首部がラセン心から偏在した位置にあるようなラセン杭を用いる場合でも、変更した位置決め用開口の位置にラセン杭の首部を通すことにより、ラセン状部のラセン心を内箱体の垂直軸心に近づけるようにラセン杭を配置することができる。そして、様々な形態のラセン杭に適合する位置決め用開口の位置を、開口位置可変手段により調整できるので、1種類の構造の内箱体を用いて、複数種類のラセン杭に対応させることができる。
【0023】
また、規定部材と、規定部材を支持する支持手段とを備えるものでは、支持手段がガイドフレームの規定位置に規定部材を支持するので、規定部材がガイドフレームにおける案内溝の上端位置を決めることができる。これにより、案内溝の上下寸法を短くでき、建設機械のアームに吊持されたラセン杭の先端までが短くなって先端の位置決めを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るラセン杭ねじ込み機および建設機械の一部分を示す部分側面図である。
【
図2】前記ラセン杭ねじ込み機および建設機械の一部分を示す図であって、(a)は部分平面図、(b)は部分正面図である。
【
図3】前記ラセン杭ねじ込み機の杭ホルダ部の部品を示す図であって、(a)は第1箱状本体の正面図、(b)は第1箱状本体の側面図、(c)は第1箱状本体の平面図、(d)は第1箱状本体を構成する中板部の正面図、(e)は蓋部材の背面図、(f)は蓋部材の側面図、(g)は蓋部材の平面図である。
【
図4】前記杭ホルダ部にラセン杭の頭部を保持させた状態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図5】前記ラセン杭ねじ込み機および建設機械を用いてラセン杭を地面にねじ込む態様を示す動作説明図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係るラセン杭ねじ込み機に用いる杭ホルダ部の部品を示す図であって、(a)は第1箱状本体の正面図、(b)は第1箱状本体の側面図、(c)は第1箱状本体の平面図、(d)は第1箱状本体の背面図、(e)は蓋部材の背面図、(f)は蓋部材の側面図、(g)は蓋部材の平面図である。
【
図7】前記別の杭ホルダ部にラセン杭の頭部を保持させた状態を示す図であって、(a)は背面図、(b)は側面図、(c)は前記ラセン杭の平面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るラセン杭ねじ込み機に用いる杭ホルダ部の部品を示す図であって、(a)は第2箱状本体の正面図、(b)は第2箱状本体の側面図、(c)は第2箱状本体の平面図、(d)は内箱体の正面図、(e)は内箱体の底面図、(f)は(d)におけるA-A線矢視断面図である。
【
図9】前記他の杭ホルダ部にラセン杭の頭部を保持させる状態を示す図であって、(a)はラセン杭部を保持させた内箱体を第2箱状本体に装着させる直前の状態を示す正面図、(b)は内箱体を第2箱状本体に保持させた状態を示す正面図、(c)は(b)の側面図である。
【
図10】本発明の更に他の実施形態に係るラセン杭ねじ込み機に適用されるガイドフレームおよび規定部材などを示す図であって、(a)は部分正面図、(b)は(a)におけるB-B線矢視断面を含む部分側面図、(c)はガイドフレームおよび規定部材の平面図である。
【
図11】本発明の背景の一例となる従来のラセン杭ねじ込み機を使用する態様を示した図であって、(a)はラセン杭を地面にねじ込み始める状態を示す態様図、(b)はラセン杭を地面にねじ込み終えた状態を示す態様図、(c)はねじ込まれたラセン杭を用いてハウス用支柱などを補強する態様を示す態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、
図1は本発明の一実施形態に係るラセン杭ねじ込み機および建設機械の一部分を示す部分側面図、
図2は前記ラセン杭ねじ込み機および建設機械の一部分を示す部分正面図である。
図1,2において、この実施形態に係るラセン杭ねじ込み機1は、例えば汎用の建設機械Kのアセンブリ取替可能機能および動力を利用するものであり、ラセン杭Rを地面Gに対してねじ込みまたは引き抜きのために用いられる。そのラセン杭Rは、ラセン状部RAと、ラセン状部RAの上端に形成されたリング状の頭部RBと、ラセン状部RAと頭部RBの間の首部RDと、から構成されている。そして、ラセン杭ねじ込み機1は、略垂直軸心回りに回転する回転軸3を有する回転駆動源2と、回転駆動源2を支持する支持フレーム4と、回転軸3の下端部に設けられた杭ホルダ部5と、を備えて構成されている。杭ホルダ部5は、ラセン状部RAを下向きに垂下して配置されたラセン杭Rの頭部RBを着脱可能に保持するためのものである。
【0026】
また、このラセン杭ねじ込み機1は、支持フレーム4上に立設された左右1対のガイドフレーム6,6と、建設機械Kにおけるアーム51の先端部51Aの軸穴57に取り付けられる軸体8とを備えている。ガイドフレーム6,6には、垂直方向に延びる案内溝7,7が形成されており、これらの案内溝7,7に軸体8が垂直方向移動自在に装着されている。建設機械Kのアーム51の両側位置およびガイドフレーム6,6の両側位置における軸体8には、スプリット型のセットカラー9,9,9,9,9,9が装着され抜け止め用として固定されている。
前記の回転駆動源2はここでは例えば日本オイルポンプ社製の油圧モータ(ホイールモータで型式ORB-A)を使用してある。そして、建設機械Kからの油送出管54はジョイント部材55を介して回転駆動源2の油圧作動油入口10に接続され、建設機械Kへの油戻し管56はジョイント部材を介して回転駆動源2の油圧作動油出口11に接続されている。
前記の支持フレーム4は、底部に配置された鋼板13上の左右に補強鋼板12,12が立設され、補強鋼板12,12の上面に鋼板14が敷設されている。支持フレーム4の鋼板13上には、回転駆動源2の基盤18が設置固定されている。支持フレーム4の鋼板13の下面には、杭ホルダ部5を保護するガード部材15が取り付けられている。このガード部材15は、平面視円形状のリング材16,16と、支柱17,17,17,・・とから構成されている。支柱17,17,17,・・は、リング材16,16間の接続や、鋼板13下面との連結に使用される。支持フレーム4の鋼板14上には、ガイドフレーム6,6を構成するコの字鋼6A,6Aが立設されている。
【0027】
前記の杭ホルダ部5は、
図3,4に示すように、ラセン杭Rの頭部RBを収容する保持用穴27およびこの保持用穴27とつながる下面開口28を有する第1箱状本体19と、第1箱状本体19の下面開口28を開閉自在に第1箱状本体19の前面に軸支された蓋部材32と、第1箱状本体19の下面開口28を閉止した状態に蓋部材32を維持する維持手段50と、から構成されている。蓋部材32は、その閉止時に、保持用穴27内に挿入されているラセン杭Rの頭部RBを支持するようになっている。
【0028】
前記の第1箱状本体19は、いずれも鋼板製の側板部21、中板部20および側板部22が例えば溶接付けで一体に構成され、これらの上面にはセットカラー9の固定側カラー24が溶接付けされている。中板部20は下辺から上向きに刳り抜かれた門構え状に形成され、その天井面は対向して傾斜した傾斜面29,29となっており、その下面は下面開口28となる。セットカラー9の固定側カラー24は、取付側カラー25を用いて回転軸3に装着され、固定側カラー24のキー溝30にキー37が差し込まれて軸固定がなされる。側板部21の前面下部の左右には、軸穴26,26を有する軸支部23,23が固設され、これらの軸穴26,26に蓋部材32軸支用の軸38が挿通される。また、側板部21の前面には、維持手段50を構成する手動レバー40の基盤39をビスで螺止するための、雌ネジから成る取付用穴31,31,31,31が穿設されている。
前記の蓋部材32は、鋼板(第1磁性体部材の例)製の蓋本体33と、蓋本体33の前部上面に立設された軸支部34と、ラセン杭Rの首部RDを通すために蓋本体33の左右中央部(1点鎖線Fで示す位置)に形成された吊持用開口36と、から構成されている。軸支部34は、軸38が挿通される水平方向の軸穴35を有している。
【0029】
前記の維持手段50は、いわゆるクランプ式機構であり、第1箱状本体19の前面に揺動自在に軸支された手動レバー40と、第1箱状本体19の前面に揺動自在に軸支された押動部材42と、手動レバー40と押動部材42をつないでそれらの間に介設されたリンク機構41と、から構成されている。押動部材42は、蓋部材32を押動して第1箱状本体19の下面開口28を閉止させる位置に蓋部材32を至らせるものである。リンク機構41は、手動レバー40の揺動力を押動部材42に伝達して蓋部材32を駆動させるものである。
【0030】
上記のように構成されたラセン杭ねじ込み機1の作用を
図5および
図1~4を用いて説明する。汎用の建設機械Kとしては、この例では日立建機社製のミニショベル(型式ZAXIS-8U)を用いた。この建設機械Kは、アーム53が機械本体の前部に揺動自在に枢支され、アーム53の先端にアーム51が枢軸52を介して揺動自在に連結されている。アーム51の上下揺動は油シリンダ58の作動により行なわれる。回転駆動源2(油圧モータ)の回転駆動は機械本体内の油圧駆動部59の制御により行なわれるようになっている。この建設機械Kでは、アーム51の先端部51Aのバケット(アセンブリ)が取り外され、先端部51Aの軸穴57に軸体8が装着されて用いられる。ここで使用されるラセン杭Rは、首部RDの杭心(1点鎖線C1)とラセン状部RAのラセン心(1点鎖線V)が略一致しているものである。
【0031】
先ず、ラセン杭Rの頭部RBが、杭ホルダ部5の第1箱状本体19の下面開口28から第1箱状本体19内に手で挿入される。そして、頭部RBが挿入された状態で、
図4(b)に示すように、杭ホルダ部5の手動レバー40を2点鎖線40で示す位置から矢印N1方向に引き上げると、その引上げ力はリンク機構41を介して押動部材42に伝達される。これにより、押動部材42は2点鎖線42で示す位置から矢印N2方向に揺動し、2点鎖線32の位置にある蓋部材32を後方に押動する。すると、蓋部材32は矢印N3方向に揺動して第1箱状本体19の下面開口28を閉止する。このとき、ラセン杭Rの首部RDは蓋部材32の吊持用開口36を通される。その後、ラセン杭Rから手を離すと、ラセン杭Rは自重により降下し、頭部RBが吊持用開口36の縁に掛止されてラセン杭Rが吊持される。このとき、頭部RBが保持用穴27内の前後の内壁と干渉するので、ラセン杭Rは杭ホルダ部5に対して回り止めされる。
【0032】
この状態で、建設機械Kのアーム51を持ち上げてラセン杭Rとともにラセン杭ねじ込み機1を吊り上げると、ラセン杭Rのラセン心Vは略垂直方向を向く。その後、アーム51を下降させると、ラセン杭Rのラセン状部RAの先端RCが地面Gの所望位置に着地する。このとき、ラセン杭Rが持ち上げられて、円弧状の頭部RBが第1箱状本体19内の天井部である2つの傾斜面29,29に当接する。これにより、ラセン杭Rの頭部RBの円弧中心をラセン状体RAの回転中心の延長線上に自動的に位置決めすることができる。そこで、アーム51を更に下降させて軸体8をガイドフレーム6の案内溝7の下部位置まで下げておく。そうして、油圧駆動部59の作動により回転駆動源2を回転駆動させると、ラセン杭Rが正転(矢印D方向)し、ラセン状部RAが地中にねじ込まれて進んでいく。このとき、ラセン杭Rに伴ってラセン杭ねじ込み機1も降下していくが、アーム51は動かないので軸体8も位置固定される。このように位置固定された軸体8はラセン杭ねじ込み機1の降下に伴ってガイドフレーム6の案内溝7内を上向きに案内される。そうして、ガード部材15が地面Gに近づいたときに、回転駆動源2が駆動停止されてラセン杭Rのねじ込み作業が終わる。ラセン杭Rを引き抜くときは、油送出管54および油戻し管56の油圧作動油の流れ方向を逆にして、ラセン杭Rを逆転(矢印DA方向)させることにより行なわれる。
【0033】
上記したように、この実施形態のラセン杭ねじ込み機1によれば、ガイドフレーム6の案内溝7に垂直方向移動自在に装着される軸体8が、建設機械Kのアーム51の先端部51Aに取り付けられるので、ラセン杭Rはアーム51に吊持されて略垂直に保持されたまま先端RCが地面Gに位置決めされる。このとき、ラセン杭Rは、建設機械Kのアーム51の剛性により、ねじ込み途中で傾いたりグラついたりすることがない。同時に、回転駆動源2からの軸回転反力もしっかりと受け止めることができる。また、建設機械Kの操作だけで、重いラセン杭ねじ込み機1の上げ下げおよびラセン杭Rの吊下げ保持を楽に行なうことができる。従って、高齢者や女性であってもビニルハウスの建設や補修を支障なく行なうことができ、不整地であっても移動が容易にできる。
【0034】
また、回転駆動源2が油圧モータで構成されているので、建設機械Kからの油圧作動油を利用して回転駆動源2を駆動させることができる。従って、他の燃料や電力を別途用意する必要がない。また、杭ホルダ部5が、第1箱状本体19と、第1箱状本体19の下面開口28を閉止する蓋部材32と、維持手段50とから構成されているので、第1箱状本体19の下面開口28からラセン杭Rの頭部RBを挿入したのちに蓋部材32を閉めて維持手段50を作動させるだけで、ラセン杭Rを第1箱状本体19に簡単に保持させることができる。前記の維持手段50は、手動レバー40と、押動部材42と、リンク機構41とから構成されているので、第1箱状本体19の下面開口28からラセン杭Rの頭部RBを挿入したのちに手動レバー40を操作するという簡単な操作により、ラセン杭Rを杭ホルダ部5に保持させることができる。これにより、高齢者が行なうビニルハウスの補修であっても、確実かつ迅速に補修作業できる。すなわち、軽力化、省力化あるいは時間短縮化を図ることができる。
【0035】
尚、上記の実施形態では、維持手段50を有する杭ホルダ部5を用いたものを例示したが、本発明のラセン杭ねじ込み機はそれに限定されるものでない。例えば
図6,7に示すような維持手段50aを有する杭ホルダ部5aを用いたものも、本発明に含まれる。この杭ホルダ部5aは、第1箱状本体19aの背面における下面開口28の近傍位置に設けられた第1マグネット部材43,43,43と、第1箱状本体19aの下面開口28の近傍位置と対面する蓋部材32aと、から構成されている。この場合、蓋部材32aの蓋本体33は第1磁性体部材である鋼板で構成されている。第1箱状本体19aの側板部22の下部には、雌ネジなどの取付用穴31a,31bが形成されている。そして、この杭ホルダ部5aで用いる蓋部材32aは、吊持用開口36aの開口中心位置(1点鎖線Hで示す位置)が蓋本体33の左右中央部(1点鎖線Fで示す位置)から水平方向に偏在したものである。すなわち、首部RDの杭心(1点鎖線C2)とラセン状部RAのラセン心(1点鎖線V)が角度θぶん傾斜したラセン杭Rを用いるのに適している。
【0036】
前記したように、この維持手段50aは、第1マグネット部材43と、第1マグネット部材43に着脱可能に磁着する蓋部材32aとから構成されているので、第1マグネット部材43と蓋部材32aとを磁着させるという簡単な操作によりラセン杭Rを杭ホルダ部5aに保持させることができる。ラセン杭Rを取り外す際には、ラセン杭Rまたは蓋部材32aを手で押し下げて第1マグネット部材43,43,43から蓋部材32aを離脱させるようにすればよい。
また、左右中心位置から偏在した、吊持用開口36aにラセン杭Rの首部RDを通すことにより、ラセン状部RAのラセン心を内箱体45の垂直軸心(1点鎖線F)に近づけるようにラセン杭Rを配置することができる。従って、回転時のラセン杭Rの先端RCの歳差運動を避けることができ、ラセン杭Rが首部RDの位置で折れ曲がったり折損したりすることを防止して、ラセン杭Rを確実にねじ込むことができる。
尚、前記では、第1箱状本体19a側に第1マグネット部材43を配備し、蓋部材32aの蓋本体33を磁性体で構成したが、本発明はそれに限定されない。例えば蓋部材32aの蓋本体33に第1マグネット部材を配備するとともに、この第1マグネット部材と対面する位置の第1箱状本体19aに磁性体を配備したようなものも含まれる。
【0037】
一方で、例えば
図8,9に示すような杭ホルダ部5bを有するものも、本発明に含まれる。この杭ホルダ部5bは、下面開口28を有する第2箱状本体19bと、第2箱状本体19bの下面開口28から第2箱状本体19b内に挿脱自在に装着されるとともにラセン杭Rの頭部RBを着脱自在に掛止する掛止部49を有する内箱体45と、第2箱状本体19b内に設けられた第2マグネット部材43a,43aと、第2マグネット部材43a,43aと対面する鋼板(磁性体)製の内箱体45と、から構成されている。そして、内箱体45は、掛止部49に頭部RBを掛止されたラセン杭Rの首部RDを収容して位置決めする位置決め用開口66と、位置決め用開口66の位置を水平方向に変更する開口位置可変手段62を備えている。
【0038】
第2箱状本体19bは、いずれも鋼板製の、側板部21、左右の側板48,48と、中板部20a,20a、天板部44および側板部22が例えば溶接付けで一体に構成されている。天板部44の左右には、第2マグネット部材43a,43aが埋設されている。内箱体45は、いずれも鋼板製の、底板46と、左右の側板48と、鋼板製の天板(第2磁性体部材)47と、底板46の前面に固設された円筒状の掛止部49と、が例えば溶接付けで一体に構成されている。内箱体45内で掛止部49は、ラセン杭Rの頭部RBを収容するための保持用穴61となっている。底板46の下辺近傍位置には、左右に横長の長孔60,60が形成されている。これらの長孔60,60には、ビス63,63がネジ止めされるようになっており、ネジ止めされたビス63,63の間が位置決め用開口66となる。これらのビス63,63は長孔60,60内でネジ止め位置を変更可能である。すなわち、長孔60,60とビス63,63とから、開口位置可変手段62が構成される。この例では、位置決め用開口66の開口中心位置(1点鎖線H1で示す位置)は、内箱体45の左右中央部(1点鎖線Fで示す位置)から水平方向に偏在している。
【0039】
上記したように、杭ホルダ部5bは、第2箱状本体19bと、ラセン杭Rを掛止可能な内箱体45と、第2マグネット部材43aと、第2マグネット部材43aと着脱可能に磁着する内箱体45の天板47(第2磁性体部材)とから構成されているので、ラセン杭Rを伴なって第2箱状本体19bの下面開口28から挿入された内箱体45が、第2マグネット部材43aと内箱体45の天板47との磁着により第2箱状本体19bに吊持されるので、第2マグネット部材43aと内箱体45とを磁着させるという簡単な操作により、ラセン杭Rを杭ホルダ部5bに保持させることができる。一方、ラセン杭Rを取り外す際には、ラセン杭Rを手で持ち第2箱状本体19bから力強く引き下げるだけで、内箱体45が第2マグネット部材43a,43aから離れて第2箱状本体19bから取り出され得る。
また、このラセン杭ねじ込み機は開口位置可変手段62を備えているので、開口位置可変手段62の作用により、内箱体45の垂直軸心(1点鎖線F)から偏在した位置に位置決め用開口66の位置を変更することができる。これにより、ラセン杭Rの首部RDの杭心(1点鎖線C2)がラセン状部RAのラセン心(1点鎖線V)から傾いていて首部RDがラセン心から偏在した位置にあるようなラセン杭Rを用いる場合でも、変更した位置決め用開口66の開口中心位置(1点鎖線H1)にラセン杭Rの首部RDを通すことにより、ラセン状部RAのラセン心を内箱体45の垂直軸心に近づけるようにラセン杭Rを配置することができる。
【0040】
因みに、ビニルハウス用の市販のラセン杭Rは形状が種々あり、頭部RBの円弧中心がラセン状部RAの回転中心からずれているものや、そもそも頭部RBが真円の円弧状でないものもある。このように様々な形態のラセン杭Rに対して、それぞれのラセン杭Rに適合した位置決め用開口66を持つ内箱体45を個別に調整しておくだけで、外箱体である第2箱状本体19bは共通のものを使用することができる。それにより、異なった頭部形状のラセン杭Rを埋設する複数の農家であっても共同で1台のラセン杭ねじ込み機1を利用することができ、第2箱状本体19bを交換する手間を必要とせず製作費も省けるという効果がある。
【0041】
尚、前記では、第2箱状本体19b側に第2マグネット部材43aを配備し、内箱体45の天板47を磁性体で構成したが、本発明はそれに限られない。例えば、内箱体45の天板47に第2マグネット部材を配備するとともに、天板47と対面する第2箱状本体19bの側板部44を磁性体で構成したようなものも含まれる。
また、上記の実施形態(
図7,9参照)では、一方の部材に第1マグネット部材または第2マグネット部材を配備し、それらと対面する位置の他方部材に磁性体を配備した例を示したが、磁性体の代わりに、一方部材の第1マグネット部材または第2マグネット部材とは反対極のマグネット部材を他方部材に配備して、マグネット部材同士を磁着させるようにしても構わない。
【0042】
そして、
図10に示すように、ガイドフレーム6a,6aにおいて垂直方向に予め設定された規定位置に配置されて案内溝7,7の上端位置を決める規定部材65,65と、ガイドフレーム6a,6aの規定位置に規定部材65,65を支持する軸穴64,64,64,・・・(支持手段)とを備えたものも、本発明に含まれる。前記のガイドフレーム6a,6aには、コの字鋼6A,6Aのそれぞれに垂直方向適宜間隔で複数の軸穴64,64,64,・・・が形成されている。
このように、左右の規定部材65,65と、規定部材65,65を支持する軸穴64,64,64,・・・(支持手段)とを備えるので、左右の軸穴64,64,64,64がガイドフレーム6a,6aの垂直方向の所望位置に規定部材65,65を支持でき、規定部材65,65が案内溝7,7の上端位置を決めることができる。これにより、案内溝7,7の実質的な垂直方向寸法を短くでき、建設機械Kのアーム51からラセン状部RAの先端RCまでの距離を短くすることができる。従って、先端RCの位置決めが容易になる。この場合、アーム51を下げなければならないが、アーム51を下げるほうがラセン状部RAの先端RCを正確に位置決めしやすくなる。
【0043】
また、上記では、建設機械からの動力源を利用する回転駆動源として、建設機械からの油圧作動油を利用した油圧モータを例示したが、本発明はそれに代えて、例えば建設機械のバッテリーからの電力を動力源とする電気モータ(いずれも図示省略)を回転駆動源として用いることも可能である。
【0044】
上述したように、本発明は、上記した幾つかの実施の形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1 ラセン杭ねじ込み機
2 回転駆動源
3 回転軸
4 支持フレーム
5,5a,5b 杭ホルダ部
6,6a ガイドフレーム
7 案内溝
8 軸体
10 油圧作動油入口
11 油圧作動油出口
19,19a 第1箱状本体
19b 第2箱状本体
27 保持用穴
28 下面開口
29 傾斜面
32,32a 蓋部材
33 蓋本体(第1磁性体部材)
34 軸支部
36,36a 吊持用開口
38 軸
40 手動レバー
41 リンク機構
42 押動部材
43 第1マグネット部材
43a 第2マグネット部材
45 内箱体
47 天板(第2磁性体部材)
49 掛止部
50,50a 維持手段
51 アーム
51A 先端部
54 油送出管
56 油戻し管
60 長孔
62 開口位置可変手段
63 ビス
64 軸穴(支持手段)
65 規定部材
66 位置決め用開口
C1,C2 1点鎖線
D,DA 矢印
F 1点鎖線
G 地面
H,H1 1点鎖線
K 建設機械
R ラセン杭
RA ラセン状部
RB 頭部
RC 先端
RD 首部
V 1点鎖線