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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】電力地産地消システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20230214BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230214BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230214BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20230214BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230214BHJP
   H02J 7/00 20060101ALN20230214BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H02J7/34 G
H02J7/34 C
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/46
H02J3/38 120
H02J7/00 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018168295
(22)【出願日】2018-09-07
(65)【公開番号】P2020043660
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】518321509
【氏名又は名称】株式会社ACDC
(73)【特許権者】
【識別番号】391017540
【氏名又は名称】東芝ITコントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 吉浩
(72)【発明者】
【氏名】西貝 定勝
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-005168(JP,A)
【文献】特開2016-005389(JP,A)
【文献】国際公開第2014/068738(WO,A1)
【文献】特開2017-093075(JP,A)
【文献】特開2012-050291(JP,A)
【文献】特開2016-063722(JP,A)
【文献】特開2014-165998(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179153(WO,A1)
【文献】特開2013-090560(JP,A)
【文献】特開2015-015855(JP,A)
【文献】特開2013-009488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置、再生可能エネルギー由来の電力を蓄電する蓄電装置及び蓄電池を有する車両用の双方向充放電装置を制御する電力地産地消システムであって、
前記発電装置、前記蓄電装置、前記双方向充放電装置、系統電源及び負荷の間の電力の流れを切り替える切替装置と、
前記電力地産地消システムの運転制御の内容を示す情報である運転モードを複数記憶する記憶部と
前記運転モードの指定を受け付ける入力部と、
前記運転モードと、前記発電装置の発電量、系統電源からの電力供給状況及び負荷の消費電力量の何れか一つ以上とに応じて、前記切替装置、前記双方向充放電装置及び前記蓄電装置の何れか一つ以上の運転を制御する監視装置とを備え、
前記記憶部は、前記蓄電装置から前記双方向充放電装置への電力供給を行うように前記切替装置及び前記蓄電装置の運転を制御すると共に、前記発電装置の発電量のうちどれだけを前記車両の前記蓄電池に充電するかを示す設定値である、該双方向充放電装置の充電設定値を該発電装置の発電量に応じて変更する第1の運転モードを少なくとも記憶していることを特徴とする電力地産地消システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力地産地消システムにおいて、
前記記憶部は、前記負荷の消費電力量と前記発電装置の発電量とに応じて、前記系統電源から前記負荷への電力供給量が所定の範囲となるように、前記蓄電装置及び前記車両の蓄電池の何れか一方又は両方に該負荷への電力供給を行わせる第2の運転モードを少なくとも記憶していることを特徴とする電力地産地消システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電力地産地消システムにおいて、
前記第2の運転モードは、前記発電装置の発電量が前記負荷の消費電力量を上回る場合に、該上回った電力量を該蓄電装置に充電するように前記切替装置を制御することを特徴とする電力地産地消システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の電力地産地消システムにおいて、
前記記憶部は、
前記系統電源から電力が供給されている間は、前記系統電源から前記発電装置、前記双方向充放電装置及び前記蓄電装置への運転用の電力の供給を行わせ、
前記系統電源からの電力供給が停止した場合に、前記蓄電装置から前記発電装置及び前記双方向充放電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、前記負荷への電力供給を行なわせる第3の運転モードを少なくとも記憶していることを特徴とする電力地産地消システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電力地産地消システムにおいて、
前記第3の運転モードは、
前記蓄電装置の蓄電量がない状態になった場合に、前記双方向充放電装置から前記発電装置及び該蓄電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、前記負荷への電力供給を行うように前記切替装置を制御し、
該蓄電装置の蓄電量が所定の閾値以上となった後には、該蓄電装置から該発電装置及び該双方向充放電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、該負荷への電力供給を行うように前記切替装置を制御することを特徴とする電力地産地消システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置、蓄電装置及び蓄電池を有する車両用の双方向充放電装置を制御する電力地産地消システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電設備からの電力供給及び負荷による電力需要に基づく電力需給状況と、電動車両のバッテリの充放電とを管理するエネルギーマネジメントシステム(EMS)が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1のシステムは、太陽光発電装置による発電量や家庭内負荷による消費電力、住宅用蓄電池の充電残量、車載バッテリの蓄電状況などの情報を取得し、それらの情報に基づいて、電力会社からの電力購入量が抑えられるように住宅内の電力需要の平滑化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-210004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内で効率よく利用する、いわゆる電力の地産地消を図りたいというニーズがある。
【0006】
このような電力の地産地消を図るため、特許文献1のようなシステムを、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置、蓄電装置及び蓄電池を有する車両用の双方向充放電装置を制御するシステムとして用いることが考えられる。
【0007】
太陽光発電などの再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量は、天候や時間(例えば、昼間であるか、夜間であるかなど)によって大きく変動するため、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が不十分である場合、双方向充放電装置が発電装置の発電量低下により供給電力不足を検出し、双方向充放電装置が異常停止してしまう。
【0008】
電力の地産地消を図るためには、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が不十分である場合においても、双方向充放電装置が異常停止しないように制御し、安定的に充放電が継続できるようにする必要があるが、特許文献1のシステムは、このような制御をすることが考慮されていない。
【0009】
そのため、特許文献1のシステムでは、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が不十分である場合の発電装置の異常停止を回避できない。
【0010】
これにより、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が不十分となるたびに、双方向充放電装置を再起動するする手間が生じる。
【0011】
このように、特許文献1のシステムでは、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量の変動に対応するための制御が不十分であり、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内で効率よく利用することができないという課題があった。
【0012】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が変動しても、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内で効率よく利用することができる電力地産地消システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による電力地産地消システムは、
再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置、再生可能エネルギー由来の電力を蓄電する蓄電装置及び蓄電池を有する車両用の双方向充放電装置を制御する電力地産地消システムであって、
前記発電装置、前記蓄電装置、前記双方向充放電装置、系統電源及び負荷の間の電力の流れを切り替える切替装置と、
前記電力地産地消システムの運転制御の内容を示す情報である運転モードを複数記憶する記憶部と
前記運転モードの指定を受け付ける入力部と、
前記運転モードと、前記発電装置の発電量、系統電源からの電力供給状況及び負荷の消費電力量の何れか一つ以上とに応じて、前記切替装置、前記双方向充放電装置及び前記蓄電装置の何れか一つ以上の運転を制御する監視装置とを備え、
前記記憶部は、前記蓄電装置から前記双方向充放電装置への電力供給を行うように前記切替装置及び前記蓄電装置の運転を制御すると共に、前記発電装置の発電量のうちどれだけを前記車両の前記蓄電池に充電するかを示す設定値である、該双方向充放電装置の充電設定値を該発電装置の発電量に応じて変更する第1の運転モードを少なくとも記憶していることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、記憶部は、電力地産地消システムによる制御の内容を示す情報である運転モードを複数記憶している。
【0015】
そして、監視装置は、運転モードと、発電装置の発電量、系統電源からの電力供給状況及び負荷の消費電力量の何れか一つ以上とに応じて、切替装置、双方向充放電装置及び蓄電装置の何れか一つ以上の運転を制御する。
【0016】
そして、記憶部は、蓄電装置から双方向充放電装置への電力供給を行うように制御すると共に、発電装置の発電量のうちどれだけを車両の蓄電池に充電するかを示す設定値である、双方向充放電装置の充電設定値を発電装置の発電量に応じて変更する第1の運転モードを少なくとも記憶している。
【0017】
これにより、電力地産地消システムが系統電源に接続されていない場合に、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が不足しても、双方向充放電装置が供給電力不足を検出して車両の蓄電池への充電を停止することが防止できる。
【0018】
そのため、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が不十分となるたびに、双方向充放電装置を再起動する手間が生じない。
【0019】
また、電力地産地消システムが系統電源に接続されている場合においては、系統電源からの電力供給が停止した際又は再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が急激に減少した際などに、発電装置の発電量の不足を再生可能エネルギー由来の電力を蓄電する蓄電装置の電力で補うので、再生可能エネルギー由来の電力のみで車両の蓄電池への充電を継続することができる。
【0020】
このように、本発明によれば、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が変動しても、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内で効率よく利用することができる電力地産地消システムを提供することができる。
【0021】
本発明による電力地産地消システムにおいて、
前記記憶部は、前記負荷の消費電力量と前記発電装置の発電量とに応じて、前記系統電源から前記負荷への電力供給量が所定の範囲となるように、前記蓄電装置及び前記車両の蓄電池の何れか一方又は両方に該負荷への電力供給を行わせる第2の運転モードを少なくとも記憶していることが好ましい。
【0022】
本発明によれば、記憶部は、負荷の消費電力量と発電装置の発電量とに応じて、系統電源から負荷への電力供給量が所定の範囲となるように、発電装置、蓄電装置及び車両の蓄電池の何れか一つ以上に負荷への電力供給を行わせる第2の運転モードを少なくとも記憶している。
【0023】
これにより、負荷の電力消費量が所定の範囲よりも増えた場合には、所定の範囲よりも増えた分の電力を、発電装置、蓄電装置及び蓄電池を有する車両の何れか一つ以上から供給させ、再生可能エネルギー由来の電力により補うことができる。
【0024】
このように、本発明によれば、負荷による電力量の増加を考慮して、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内で効率よく利用することができる電力地産地消システムを提供することができる。
【0025】
本発明による電力地産地消システムにおいて、
前記第2の運転モードは、前記発電装置の発電量が前記負荷の消費電力量を上回る場合に、該上回った電力量を該蓄電装置に充電するように前記切替装置を制御することが好ましい。
【0026】
本発明によれば、電力地産地消システムが第2の運転モードにより制御されているときにおいて、発電装置の発電量が負荷の消費電力を上回る場合には、当該上回った分の電力が蓄電装置に充電される。
【0027】
これにより、系統電源から負荷への電力供給量が所定の範囲となるとともに、発電装置が発電した電力のうち負荷により消費されずに余剰となる再生可能エネルギー由来の電力が蓄電装置に充電されるので、再生可能エネルギー由来の電力が無駄にならず、また系統電源からの電力供給が停止した際又は再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置の発電量が急激に減少した際などに、当該蓄電装置から再生可能エネルギー由来の電力を供給できる確実性が高まる。
【0028】
このように、本発明によれば、負荷による電力量の増加を考慮して、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内で効率よく、より確実に利用することができる電力地産地消システムを提供することができる。
【0029】
本発明による電力地産地消システムにおいて、
前記記憶部は、
前記系統電源から電力が供給されている間は、前記系統電源から前記発電装置、前記双方向充放電装置及び前記蓄電装置への運転用の電力の供給を行わせ、
前記系統電源からの電力供給が停止した場合に、前記蓄電装置から前記発電装置及び前記双方向充放電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、前記負荷への電力供給を行なわせる第3の運転モードを少なくとも記憶していることが好ましい
【0030】
本発明によれば、記憶部は、系統電源から電力が供給されている間は、系統電源から発電装置、双方向充放電装置及び蓄電装置に運転用の電力の供給を行わせ、系統電源からの電力供給が停止した場合に、蓄電装置から発電装置及び双方向充放電装置に運転用の電力の供給を行わせるとともに、負荷への電力供給を行なわせる第3の運転モードを少なくとも記憶している。
【0031】
電力地産地消システムが系統電源に接続されて、系統電源から発電装置、双方向充放電装置及び蓄電装置への運転用の電力の供給がされている場合において、系統電源からの電力供給が停止した際に、系統電源以外の電源から運転用の電力の供給がなされなければ、電力地産地消システムが停止し、負荷への電力供給も停止するので、停電状態を生じさせる。
【0032】
電力地産地消システムを構成する発電装置、蓄電装置、双方向充放電装置のいずれもが、系統電源からの電力供給を受けずに自立して運転を継続するいわゆる自立運転を行って他の機器へ運転用の電力を供給する電力供給源となりうるが、発電装置、蓄電装置、双方向充放電装置のうち2つ以上が同時に自立運転を開始した場合、これらの装置から供給される電気の周波数が不一致となるので、やはり停電状態となってしまう。上記構成の電力地産地消システムによれば、電力地産地消システムが系統電源に接続されている場合において、系統電源からの電力供給が停止した際に、蓄電装置のみが自立運転を行って系統電源の代わりに発電装置及び双方向充放電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、負荷への電力供給を行うように制御されるので、系統電源からの電力供給が停止した場合であっても電気の周波数の不一致が起こらず、電力地産地消システムの運転を継続でき、負荷への電力供給も継続できる。
【0033】
このように、本発明によれば、系統電源からの電力供給が停止した場合であっても、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内での効率よい利用を継続することができる電力地産地消システムを提供することができる。
【0034】
本発明による電力地産地消システムにおいて、
前記第3の運転モードは、
前記蓄電装置の蓄電量がない状態になった場合に、前記双方向充放電装置から前記発電装置及び該蓄電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、前記負荷への電力供給を行うように前記切替装置を制御し、
該蓄電装置の蓄電量が所定の閾値以上となった後には、該蓄電装置から該発電装置及び該双方向充放電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、該負荷への電力供給を行うように前記切替装置を制御することが好ましい。
【0035】
本発明によれば、電力地産地消システムが第3の運転モードにより制御されているときにおいて、蓄電装置の蓄電量がない状態になった場合には、双方向充放電装置が発電装置及び蓄電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、負荷への電力供給を行う。
【0036】
またその後、発電装置の蓄電量が所定の閾値以上となった場合には、再び蓄電装置から発電装置及び双方向充放電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、該負荷への電力供給を行う。
【0037】
系統電源からの電力供給が停止し、電力地産地消システムが第3の運転モードにより制御されているときに、さらに蓄電装置の蓄電量がない状態になった場合、蓄電装置以外の電源から運転用の電力の供給がなされなければ、停電状態が生じる。
【0038】
また、発電装置、双方向充放電装置のいずれもが自立運転を行う電力供給源となりうるが、これらの装置が同時に自立運転を開始した場合、これらの装置から供給される電気の周波数が不一致となるので、やはり停電状態となってしまう。
【0039】
上記構成の電力地産地消システムによれば、双方向充放電装置のみが自立運転を行って系統電源及び蓄電装置の代わりに発電装置及び蓄電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、負荷への電力供給を行うように制御される。
【0040】
そして、発電装置の蓄電量が所定の閾値以上となった場合には、再び蓄電装置のみが自立運転を行って系統電源の代わりに発電装置及び双方向充放電装置への運転用の電力の供給を行わせるとともに、負荷への電力供給を行うように制御される。
【0041】
これらのことにより、系統電源からの電力供給が停止し、さらに蓄電装置の蓄電量がなくなった場合であっても電気の周波数の不一致が起こらず、電力地産地消システムの運転を継続でき、負荷への電力供給も継続できる。
【0042】
このように、本発明によれば、系統電源からの電力供給が停止し、さらに蓄電装置の蓄電量がなくなった場合であっても、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内での効率よい利用を継続することができる電力地産地消システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本実施形態の電力地産地消システムの全体構成の一例を示すブロック図
図2】本実施形態の電力地産地消システムの処理内容の概要を示すフローチャート
図3A】本実施形態の電力地産地消システムの第1の運転モードの処理内容を示すフローチャート
図3B】本実施形態の電力地産地消システムの第2の運転モードの処理内容を示すフローチャート
図3C】本実施形態の電力地産地消システムの第3の運転モードの処理内容を示すフローチャート
図4】本実施形態の電力地産地消システムの処理において参照されるテーブルの内容を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0045】
まず、図1を用いて、本実施形態の電力地産地消システムの全体構成の一例について説明する。
【0046】
本実施形態の電力地産地消システムは、発電装置1、蓄電装置2、蓄電池を有する車両4用の双方向充放電装置3、切替装置5、及び監視装置6により構成されている。
【0047】
発電装置1、蓄電装置2、双方向充放電装置3、系統電源7及び負荷8と切替装置5とは、電源ケーブルなどにより受電可能又は送電可能に接続されている。
【0048】
発電装置1、蓄電装置2、双方向充放電装置3及び切替装置5と監視装置6とは、図示しない有線の通信ケーブル又はWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)若しくは赤外線通信などの無線通信規格に対応した通信手段により相互に通信可能に接続されている。
【0049】
発電装置1は、発電装置パワーコンディショナー11と、発電設備12により構成されており、切替装置を介して、蓄電装置2、双方向充放電装置3、及び負荷8へと電力を供給する。
【0050】
発電装置パワーコンディショナー11は、発電設備12が発電した直流の電力を交流の電力に変換するDC/AC(Direct Current/Alternate Current)変換装置である。
【0051】
発電設備12は、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電設備であり、例えば太陽光発電パネル、風力発電の風車、水力発電の水車、波力発電設備、潮汐力発電設備、地熱発電設備などである。
【0052】
蓄電装置2は、発電設備12が発電した再生可能エネルギー由来の電力を蓄電する装置であり、蓄電装置パワーコンディショナー21と蓄電制御部22と蓄電池23とで構成されている。
【0053】
蓄電装置パワーコンディショナー21は、直流の電力を交流の電力に変換し、交流の電力を直流の電力に変換する双方向のDC/AC(Direct Current/Alternate Current)変換装置である。
【0054】
蓄電制御部22は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイスなどにより構成されており、蓄電装置における充電、放電などの運転を制御する。
【0055】
蓄電制御部22は、一のプロセッサにより構成されてもよく、相互通信可能な複数のプロセッサにより構成されてもよい。
【0056】
蓄電池23は、発電装置1から供給される電力を蓄電し、又は蓄電した電力を双方向充放電装置3、又は負荷8に供給する蓄電池であり、例えばリチウムイオン電池、鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、燃料電池などである。
【0057】
双方向充放電装置3は、発電装置1又は蓄電装置2から供給される電力を蓄電池を有する車両4に充電する際には交流電流を直流電流に変換し、蓄電池を有する車両4に蓄電されている電力を負荷8に供給する際には直流電流を交流電流に変換するAC/DC・DC/AC変換装置である。
【0058】
蓄電池を有する車両4は、車載蓄電池41有する車両であり、たとえば電気自動車、プラグインハイブリット車、水素自動車である。
【0059】
車載蓄電池41は、蓄電池であり、例えばリチウムイオン電池、鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、燃料電池などである。
【0060】
切替装置5は、発電装置1、蓄電装置2、双方向充放電装置3、系統電源7及び負荷8と電源ケーブルなどにより接続されており、発電装置1、蓄電装置2、双方向充放電装置3、系統電源7及び負荷8の間の電力の流れを切り替える装置であり、例えば分電盤である。
【0061】
監視装置6は例えば発電装置の発電量に応じて切替装置、双方向充放電装置及び蓄電装置の運転を制御するコンピュータである。
【0062】
監視装置6は、監視制御部61、記憶部62、出力部63、入力部64及び通信部65を備える。
【0063】
監視制御部61は、CPU等の演算処理装置、メモリ、及びI/Oデバイスなどにより構成されている。監視制御部61は、一のプロセッサにより構成されてもよく、相互通信可能な複数のプロセッサにより構成されてもよい。
【0064】
記憶部62は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されており、監視装置6の設定情報、監視制御部61の処理結果などを記憶する。
【0065】
出力部63は、監視装置6がユーザに出力する電力地産地消システムの運転状況などの情報を表示する部分であり、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイである。
【0066】
入力部64は、ユーザによる運転モードの指定情報を含む情報の入力を受け付ける部分であり、たとえばキーボード、マウス、タッチパッド又はタッチパネルその他のポインティングデバイスである。
【0067】
通信部65は、有線通信又はWiFi(登録商標)等の通信規格にしたがった無線通信を介して、発電装置1、蓄電装置2、双方向充放電装置3及び切替装置5と相互に通信するよう構成されている。
【0068】
次に、図2を用いて、本実施形態の電力地産地消システムの処理内容の概要について説明する。
【0069】
電力地産地消システムが処理を開始すると、まず、監視装置6の入力部64が、ユーザによる運転モードの指定情報を含む情報の入力を受け付ける。(図2/STEP10)
次に監視制御部61は、入力部64が受け付けた運転モードの指定情報を含む情報から、指定された運転モードを認識する。(図2/STEP20)
そして監視制御部61は、認識した運転モードに応じて運転を制御する。(図2/STEP30)。なお、個々の運転モードに応じた運転の内容については、後述する。
【0070】
続いて監視制御部61は、ユーザによる運転モードの指定の変更を受け付けたか否かを判定する。(図2/STEP40)
当該判定が肯定的である場合(図2/STEP40:Yes)、監視制御部61は、STEP20以降の処理を繰り返す。
【0071】
一方当該判定が否定的である場合(図2/STEP40:No)、監視制御部61は、ユーザによる運転停止の操作を受け付けたか否かを判定する。(図2/STEP50)
当該判定が否定的である場合(図2/STEP50:No)、監視制御部61は、STEP30以降の処理を繰り返す。
【0072】
当該判定が肯定的である場合(図2/STEP50:Yes)、電力地産地消システムは処理を終了する。
【0073】
なお、本実施形態の電力地産地消システムは、これら一連の処理を一定の短い時間間隔で繰り返し行う。
【0074】
続いて、個々の運転モードに応じた運転の内容について、図3A~Cを用いて説明する。
【0075】
(第1の運転モード)
処理を開始すると監視制御部61は、発電装置1の発電量を認識する。(図3A/STEP310)
そして、監視制御部61は、蓄電装置から双方向充放電装置3への電力供給を行うように切替装置5及び蓄電装置2の設定を変更する。(図3A/STEP311)
あるいは監視制御部61は、STEP311を実行する前に発電装置1の発電量が所定の閾値以下か否かを判定する(図3A/STEP3101)こととしてもよい。
【0076】
この場合、監視制御部61は、当該判定を行うための閾値を、例えば図4に示すようなテーブルを参照することにより取得し、当該判定を行う。
【0077】
そして、当該判定が否定的である場合(図3A/STEP3101:No)、監視制御部61は、以降の処理を行わずに処理を終了する。
【0078】
一方当該判定が肯定的である場合(図3A/STEP3101:Yes)、監視制御部61は、STEP311以降の処理を実行する。
【0079】
そして、STEP311の後に監視制御部61は、双方向充放電装置3の充電設定値を発電装置1の発電量に応じて変更して(図3A/STEP312)、処理を終了する。
【0080】
すなわち例えば、双方向充放電装置3の充電設定値が5kWである場合において、監視制御部61は、蓄電装置2から双方向充放電装置3への電力供給を行うように切替装置5及び蓄電装置2の設定を変更するとともに、さらなる電力量の不足に伴う双方向充放電装置3の異常停止を回避するため、その時点の発電装置1の発電量に応じて、双方向充放電装置3の充電設定値をたとえば3kWに変更する。
【0081】
発電装置1の発電量に応じて、監視制御部61が双方向充放電装置3の充電設定値をどのような値にするかについては、たとえば発電装置1の発電量の所定の割合(例えば30%。当該数値は適宜変更しうる。)として計算する手法、発電装置1の直近の発電量から負荷の直近の消費電力量を差し引いて計算する手法など、種々の手法を採用しうる。
【0082】
これらの処理は、図2/STEP30が行われるたびに実行されるので、一旦不足した発電装置1の発電量が所定の閾値に近づくように増加した場合には、双方向充放電装置3の充電設定値は、初期設定値(本実施例においては5kW。)に近づくように変更されうる。
【0083】
また、発電装置1の発電量が所定の閾値以上となった際には、監視制御部61は、双方向充放電装置3の充電設定値を初期設定値に戻すこととしてもよい。
【0084】
このように、本発明によれば、例えば電力地産地消システムが系統電源7に接続されていない場合に、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置1の発電量が不足しても、双方向充放電装置3が供給電力不足を検出して車両4の蓄電池への充電を停止することが防止できる。
【0085】
そのため、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置1の発電量が不十分となるたびに、双方向充放電装置3を再起動する手間が生じない。
【0086】
また、例えば電力地産地消システムが系統電源7に接続されている場合においては、系統電源7からの電力供給が停止した際又は再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置1の発電量が急激に減少した際などに、発電装置1の発電量の不足を再生可能エネルギー由来の電力を蓄電する蓄電装置2の電力で補うので、再生可能エネルギー由来の電力のみで車両4の蓄電池への充電を継続することができる。
【0087】
(第2の運転モード)
処理を開始すると監視制御部61は、系統電源から負荷への電力供給量を認識し(図3B/STEP320)、発電装置1の発電量を認識する(図3B/STEP321)。
【0088】
そして監視制御部61は、系統電源から負荷への電力供給量が所定の閾値以下か否かを判定する。(図3B/STEP322)
監視制御部61は、当該判定を行うための閾値を、例えば図4に示すようなテーブルを参照することにより取得し、当該判定を行う。
【0089】
当該判定が肯定的である場合(図3B/STEP322:Yes)、監視制御部61は、以降の処理を行わずに処理を終了する。
【0090】
一方当該判定が否定的である場合(図3B/STEP322:No)、監視制御部61は、蓄電装置2及び車載蓄電池41の何れか一方又は両方に負荷8への電力供給を行わせるように切替装置5、蓄電装置2及び双方向充放電装置3の設定を変更して(図3B/STEP323)、処理を終了する。
【0091】
なお、車載蓄電池41への充電を継続する場合において、上記の設定の変更に伴って、双方向充放電装置への電力の供給量が不十分となる場合は、当該供給量に応じて双方向充放電装置の充電設定値を変更することにより、双方向充放電装置の異常停止を回避する。
【0092】
また、系統電源から負荷への電力供給量が所定の閾値以上となった際には、監視制御部61は、切替装置5、蓄電装置2及び双方向充放電装置3の設定を初期状態に戻すこととしてもよい。
【0093】
このように、本発明によれば、負荷8の電力消費量が所定の範囲よりも増えた場合には、所定の範囲よりも増えた分の電力を、発電装置1、蓄電装置2及び蓄電池を有する車両4の何れか一つ以上から供給させ、再生可能エネルギー由来の電力により補うことができる。
【0094】
あるいはさらに、監視制御部61は、発電装置1の発電量が負荷8の消費電力量を上回っているか否かを判定して処理の内容を変えることとしてもよい。
【0095】
この場合、STEP320~STEP323の処理が実行された後に、監視制御部61は、負荷8の消費電力量を認識する。(図3B/STEP324)
そして例えば当該認識した負荷8の消費電力量とSTEP321にて認識した発電装置1の発電量とに基づいて、監視制御部61は、発電装置1の発電量が負荷8の消費電力量を上回っているか否かを判定する。(図3B/STEP325)
当該判定が否定的である場合(図3B/STEP325:No)、監視制御部61は、以降の処理を行わずに処理を終了する。
【0096】
一方当該判定が肯定的である場合(図3B/STEP325:Yes)、監視制御部61は、発電装置1の発電する電力量のうち負荷8の消費電力量を上回る電力量を蓄電装置2に充電するように切替装置5の設定を変更して(図3B/STEP326)、処理を終了する。
【0097】
これにより、系統電源7から負荷8への電力供給量が所定の範囲となるとともに、発電装置1が発電した電力のうち負荷8により消費されずに余剰となる再生可能エネルギー由来の電力が蓄電装置2に充電されるので、再生可能エネルギー由来の電力が無駄にならず、また系統電源7からの電力供給が停止した際又は再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置1の発電量が急激に減少した際などに、当該蓄電装置2から再生可能エネルギー由来の電力を供給できる確実性が高まる。
【0098】
(第3の運転モード)
処理を開始すると監視制御部61は、系統電源から負荷への電力供給状況を認識する。(図3C/STEP330)
そして監視制御部61は、系統電源からの電力供給が停止したか否かを判定する。(図3C/STEP331)
当該判定が否定的である場合(図3C/STEP331:No)、監視制御部61は、以降の処理を行わずに処理を終了する。
【0099】
一方当該判定が肯定的である場合(図3C/STEP331:Yes)、監視制御部61は、蓄電装置2から発電装置1、双方向充放電装置3及び負荷8への電力供給を行うように切替装置5設定を変更して(図3C/STEP332)、処理を終了する。
【0100】
これにより、電力地産地消システムが系統電源7に接続されている場合において、系統電源7からの電力供給が停止した際に、蓄電装置2のみが自立運転を行って系統電源7の代わりに発電装置1、双方向充放電装置3及び負荷8への電力供給を行うように制御されるので、系統電源7からの電力供給が停止した場合であっても電気の周波数の不一致が起こらず、電力地産地消システムの運転を継続でき、負荷8への電力供給も継続できる。
【0101】
あるいはさらに、監視制御部61は、蓄電装置2の蓄電量がなくなったか否かを判定して処理の内容を変えることとしてもよい。
【0102】
この場合、STEP330~STEP332の処理が実行された後に、監視制御部61は、蓄電装置2の蓄電量を認識する。(図3C/STEP333)
そして、蓄電装置2の蓄電量がなくなったか否かを判定する。(図3C/STEP334)
当該判定が否定的である場合(図3C/STEP334:No)、監視制御部61は、以降の処理を行わずに処理を終了する。
【0103】
一方当該判定が肯定的である場合(図3C/STEP334:Yes)、監視制御部61は、双方向充放電装置3から発電装置1、蓄電装置2及び負荷8への電力供給を行うように切替装置5の設定を変更する。(図3C/STEP335)
その後、監視制御部61は、蓄電装置2の蓄電量が所定の閾値以上となったか否かを判定する。(図3C/STEP336)
当該判定が否定的である場合(図3C/STEP336:No)、監視制御部61は、STEP336以降の処理を繰り返す。
【0104】
一方当該判定が肯定的である場合(図3C/STEP336:Yes)、監視制御部61は、再び蓄電装置2から発電装置1、双方向充放電装置3及び負荷8への電力供給を行うように切替装置5設定を変更して(図3C/STEP337)、処理を終了する。
【0105】
これにより、系統電源からの電力供給が停止し、さらに蓄電装置の蓄電量がなくなった場合であっても電気の周波数の不一致が起こらず、電力地産地消システムの運転を継続でき、負荷への電力供給も継続できる。
【0106】
なお、系統電源7からの電力供給が復旧した場合には、切替装置5、双方向充放電装置3の設定を初期状態に戻すこととしてもよい。
【0107】
以上述べてきたように、本発明によれば、再生可能エネルギー由来の電力を発電する発電装置1の発電量が変動しても、地域で発電した再生可能エネルギー由来の電力を当該地域内で効率よく利用することができる電力地産地消システムを提供することができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0109】
例えば、ユーザによる運転スケジュールに関する指定情報を入力部64で受け付け、記憶部62に記憶させ、指定した時刻に運転モードを自動的に切り替えることとしてもよい。
【0110】
あるいは例えば、発電装置パワーコンディショナー11を省略し、蓄電装置パワーコンディショナー21が発電装置1のパワーコンディショナーとしての機能を果たすこととしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1…発電装置、2…蓄電装置、3…双方向充放電装置、4…車両、5…切替装置、6…監視装置、7…系統電源、8…負荷、11…発電装置パワーコンディショナー、12…発電設備、21…蓄電装置パワーコンディショナー、22…蓄電制御部、23…蓄電池、41…車載蓄電池、61…監視制御部、62…記憶部、63…出力部、64…入力部、65…通信部。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4