(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】泡吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
B65D83/00 G
(21)【出願番号】P 2019040208
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595060487
【氏名又は名称】有限会社ユーワ商事
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194777
【氏名又は名称】田中 憲治
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】西倉 英生
(72)【発明者】
【氏名】田中 勉
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033026(JP,A)
【文献】特開平07-215353(JP,A)
【文献】特開2012-106757(JP,A)
【文献】特開2018-140801(JP,A)
【文献】特開平07-315409(JP,A)
【文献】米国特許第04836422(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
B05B 11/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と底部とスクイズ変形可能な胴部とを有し液剤及び気体を収容するスクイズボトルと、該ボトルの口部に取り付けられるキャップと、該キャップから前記ボトルの底部側に向けて延びるとともにボトル底部側端部が前記ボトルの底部内面に当接するように前記キャップに取り付けられるチューブとを備え、前記キャップは、前記ボトル内の液剤と気体とを混合することで泡を生成する気液混合部と、該気液混合部で生成された泡を吐出する泡吐出孔と、前記チューブを介さずに前記気液混合部を前記ボトル内の空間に連通させる連通孔とを備え、前記気液混合部は前記チューブを介しても前記ボトル内の空間に連通している、泡吐出容器であって、
前記連通孔は、前記チューブのキャップ側端部の軸方向から見て該キャップ側端部に対して径方向一方(以下、「偏心方向」という。)にずれた位置で前記ボトル内の空間に開口しており、
前記ボトルの底部内面には、前記チューブのボトル底部側端部が前記偏心方向のボトル底部周縁の周方向所定部位近傍に位置するように前記チューブのボトル底部側端部を案内する案内面が設けられている、泡吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の泡吐出容器において、
前記キャップは前記ボトルの口部に螺着されており、前記キャップと前記ボトルの口部との間には、前記連通孔を前記ボトル底部周縁の周方向所定部位側にずれた位置に位置決めするための位置決め機構が設けられている、泡吐出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の泡吐出容器において、
前記ボトルの胴部周壁は、前記偏心方向反対側部位が他の部位よりも径方向に膨出されている、泡吐出容器。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の泡吐出容器において、
前記ボトルは、胴部の横断面が楕円形状のオーバルボトルであって、その長径方向が前記偏心方向に沿うとともに短径方向にスクイズ変形可能である、泡吐出容器。
【請求項5】
請求項4に記載の泡吐出容器であって、
前記オーバルボトルの軸心は、前記チューブのキャップ側端部に対して前記偏心方向の反対側に位置している、泡吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡を吐出する泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液剤を容器本体内で空気と混合し、泡の状態で吐出させる種々の泡吐出容器が提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器を略水平とする使用状態でも泡を生成することのできる発泡容器が開示されている。この従来の発泡容器では、ディップチューブを容器本体の中心線に対して傾けられた姿勢でキャップに支持させることにより、該ディップチューブがストレート状であっても容器が略水平の使用時に泡を生成することができ、且つ、容器の組立作業性を向上させることができる。
【0004】
すなわち、上記従来の発泡容器では、ディップチューブが容器本体の略中心線に対し傾いたストレート状をなして容器本体内に挿入され、ディップチューブの自由開口端が容器本体の底部コーナー寄りに位置づけられる。したがって、容器本体の中心線が略水平となる使用状態において、ディップチューブの自由開口端が、真横に傾けた状態の容器内の液面レベルより上方に位置する一方、キャップに設けた気液混合部が液中に位置するようになる。これにより、容器本体を真横に傾けた状態でも、ディップチューブの自由開口端から気液混合部へ空気を取り入れつつ、気液混合部を液中に位置させることで液剤を気液混合部に流入させることができる。この従来の発泡容器の構成によれば、開封後、内容液がさほど減少していなければ、容器本体の正立使用状態でも真横使用状態でも、容器本体内の内容液と空気とを気液混合部において混合させ、泡を適切に吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の発泡容器は、開封後の使用開始直後であれば容器本体の真横使用状態でも適切に泡を吐出することができる。しかし、内容液が減少し、容器本体の真横使用の状態における液面の高さが下降すると、内容液が気液混合部へと流入し難くなる。そのため、気液混合部で混合される内容液の量と空気の量とのバランスが悪化し、結果として、容器本体の真横使用状態において、吐出口から不完全な泡の状態、例えば、一部の液剤が液滴となって飛沫する泡の状態として吐出されるという問題があった。
【0007】
このように、容器内の内容液が使用によって減少すると、略水平の状態或いは容器を傾斜させた状態で、気液混合部に供給される内容液の量と空気の量とのバランスが悪化するタイミングがあり、使用中に意図せず不完全な状態の泡が吐出され、使用者にとって使い勝手が悪いだけでなく、内容液を無駄に消費してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、不完全な泡の状態で吐出されることを防止できる泡吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0010】
即ち、本発明の泡吐出容器は、口部と底部とスクイズ変形可能な胴部とを有し液剤及び気体を収容するスクイズボトルと、該ボトルの口部に取り付けられるキャップと、該キャップから前記ボトルの底部側に向けて延びるとともにボトル底部側端部が前記ボトルの底部内面に当接するように前記キャップに取り付けられるチューブとを備えている。前記キャップは、前記ボトル内の液剤と気体とを混合することで泡を生成する気液混合部を備えていてよい。前記キャップは、該気液混合部で生成された泡を吐出する泡吐出孔を備えていてよい。前記キャップは、前記チューブを介さずに前記気液混合部を前記ボトル内の空間に連通させる連通孔を備えていてよい。前記気液混合部は、前記チューブを介しても前記ボトル内の空間に連通している。前記連通孔は、前記チューブのキャップ側端部の軸方向から見て該キャップ側端部に対して径方向一方(以下、「偏心方向」という。)にずれた位置で前記ボトル内の空間に開口していてよい。前記ボトルの底部内面には、前記チューブのボトル底部側端部が前記偏心方向のボトル底部周縁の周方向所定部位近傍に位置するように前記チューブのボトル底部側端部を案内する案内面が設けられていてよい。
【0011】
かかる本発明の泡吐出容器によれば、前記偏心方向が上方を向くように前記ボトルを横倒しにしたとき、連通孔がより高い位置となるため、液剤の液面レベルが前記連通孔及び前記チューブのボトル底部側端部よりも下方に位置付けられるようになる。したがって、横倒しにした状態でボトルの胴部をスクイズすれば、該連通孔と前記チューブのボトル底部側端部からは気体のみが前記気液混合部に流入するため、前記泡吐出孔から気体のみが吐出される。一方、横倒しにしたボトルを正立させた状態では、前記液剤が該ボトルの底部側に滞留するため、前記ボトルの胴部をスクイズすれば、前記連通孔から気液混合部に気体を流入させることができ、前記チューブからは液剤を取り入れることができるため、気液混合部で泡を生成することができ、前記泡吐出孔からは所望の泡が吐出される。このように、本発明の泡吐出容器によれば、前記ボトルを横倒しにした状態では敢えて気体のみを吐出させるようにすることで、該泡吐出容器の使用者に対してボトルを正立させた状態で使用させるよう促すことができ、使い方によって泡が吐出されたり吐出されなかったりする使用状態を無くすことで、安定的に適正な泡を吐出できる。
【0012】
なお、「チューブのキャップ側端部に対して径方向一方にずれた位置で前記ボトル内の空間に開口する」とは、連通孔の開口領域全体の幾何中心がチューブのキャップ側端部の軸心に対して径方向一方にずれていることを意味しており、上記開口領域の一部がずれていなくともよい。また、連通孔は複数設けられていてもよいが、これら複数の連通孔のすべての開口領域の幾何中心がチューブのキャップ側端部の軸心に対して径方向一方にずれていればよく、一部の連通孔がずれていないものも本発明に包含される。この場合でも、連通孔の開口領域の幾何中心がチューブのキャップ側端部の軸心と一致している場合に比して、横倒しの使用状態において連通孔から気液混合部へ液剤が流入し難くなる。勿論、連通孔のすべての開口領域が、チューブのキャップ側端部に対して径方向一方にずれていることが好ましい。
【0013】
また、前記ボトルの底部に設けた案内面により、前記チューブがストレート状であっても、前記チューブのボトル底部側端部が前記偏心方向のボトル底部周縁の周方向所定部位近傍に位置するように前記チューブのボトル底部側端部を案内することができる。したがって、チューブのボトル底部側の端部開口を、連通孔が設けられている側に確実に案内できる。
【0014】
また、前記本発明の泡吐出容器において、前記キャップは前記ボトルの口部に螺着されていてよい。また、前記キャップと前記ボトルの口部との間には、前記連通孔を前記ボトル底部周縁の周方向所定部位側にずれた位置に位置決めするための位置決め機構を設けることができる。これにより、該キャップを回転させながらボトルに取り付ける際、前記チューブのボトル底部側端部が前記ボトル底部周縁の周方向所定部位へと案内される方向と前記連通孔のキャップ側端部に対する偏心方向とを、容易且つ確実に同方向とすることができる。
【0015】
また、前記本発明の泡吐出容器において、前記ボトルの胴部周壁は、前記偏心方向反対側部位が他の部位よりも径方向に膨出されており、これにより、前記偏心方向反対側のボトル内容積が前記偏心方向側のボトル内容積よりも大きくなっていてよい。かかる構成によれば、前記ボトルを前記偏心方向が上向きになるように横倒しにしたとき、偏心方向反対側のボトル内容積が比較的大きいため、この偏心方向反対側のボトル胴部内に多くの液剤が充填され、液剤の液面レベルが前記連通孔よりも下方に位置付けられることとなる。なお、偏心方向側のボトル内容積とは、キャップに取り付けられたチューブのキャップ側端部の軸心に沿う直線を含む平面であって、前記偏心方向に直交する平面でボトルを切断した場合に、前記偏心方向側のボトルの分割部分の内容積であってよい。また、偏心方向反対側のボトル内容積とは、上記平面でボトルを分割した場合に、前記偏心方向反対側のボトルの分割部分の内容積であってよい。
【0016】
また、前記本発明の泡吐出容器において、前記ボトルは、胴部の横断面が楕円形状のオーバルボトルであって、その長径方向が前記偏心方向に沿うとともに短径方向にスクイズ変形可能であってよい。オーバルボトルの使用者は、通常、ボトル胴部の短径方向の両側面を、親指と、その他の指で把持する。このように把持したままボトルを横倒しにすると、長径方向が上下方向に沿うようになり、連通孔とチューブのボトル底部側端部とがいずれも液面よりも上方に位置付けられるようになる。
【0017】
さらに、前記オーバルボトルの軸心は、前記チューブのキャップ側端部に対して前記偏心方向の反対側に位置していることが好ましい。これにより、前記偏心方向が上向きとなるようにボトルを横倒しにしてスクイズすると、偏心方向反対側のボトル内容積が増大するようにオーバルボトルを変形させることができ、液剤の液面レベルをより確実に前記連通孔よりも下方に位置付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る泡吐出容器によれば、ボトルを横倒しにした状態では、不完全な泡の状態で吐出させず、正立の状態では、完全な泡の状態で吐出させるようにすることで、使用者に正立の状態での使用を促し、結果として不完全な泡の状態で吐出されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る泡吐出容器の分解斜視図である。
【
図2】横倒しにした状態の泡吐出容器の断面図である。
【
図3】泡吐出容器の内部構造を示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図4に示す本発明の一実施形態に係る泡吐出容器1は、基本的には、スクイズボトル2と、キャップ3と、チューブ4とから構成されている。ボトル2は、口部21、底部22、及び、スクイズ変形可能な胴部23を一体に有する。チューブ4は、キャップ3に取り付けられる。キャップ3は、チューブ4が取り付けられた状態でボトル2の口部21に取り付けられる。口部21とキャップ3との取付構造は、押し込み嵌合構造など適宜のものであってよいが、図示実施例ではキャップ3は口部21に螺着されている。また、ボトル2の口部21とキャップ3の間には、キャップ3をボトル2の口部21に取り付ける際の相対角度位置を決める位置決め機構Xが形成されている。
【0021】
ボトル2は、スクイズ変形可能なように構成されており、例えばPETやPE等の可撓性樹脂材料により成形されている。また、ボトル2は、その胴部23の横断面が楕円形状のオーバルボトルであって、使用者が楕円形状の短径方向の両側面を指で両側方から押圧することにより、短径方向にスクイズ変形可能に構成されている。なお、本明細書において、「楕円形状」とは、数学的に厳密な楕円形に限定されるものではなく、楕円形、長円形、卵形、角丸長方形等の楕円に近似した形状を包含するものとする。
【0022】
ボトル2の内部空間には、液剤Wと気体とが収容されている。液剤充填済みの泡吐出容器1の出荷時の液剤充填量は、
図2に示す横倒し状態において、液剤の液面が、連通孔34よりも下方に位置するように設定できる。なお、
図2に示す横倒し状態において、チューブ4のキャップ側端部42が液剤Wに浸かる程度まで液剤Wを充填してもよいが、そうすると
図2に示す状態からさらに傾けた場合に連通孔34から液剤Wが気液混合部31に容易に流入してしまうため、チューブ4のキャップ側端部42の軸Aが水平となる横倒し状態においてキャップ側端部42よりも液面が下方となる程度に液剤充填量を抑えておくことが好ましい。
【0023】
キャップ3は、前記ボトル2の口部21に螺着され、該ボトル2内から流入された液剤Wと気体とを混合して泡を生成し、外部へと泡を吐出する。
【0024】
チューブ4は、比較的軟質の可撓性材料、例えばPFAやPEなどの可撓性樹脂材料を用いて成形できる。本実施例では、チューブ4はストレート状に形成されている。チューブ4は、キャップ3に取り付けられた状態で、キャップ3からボトル2の底部22側に向けて延びている。チューブ4は、ストレート状に形成されることにより、
図1に示すように、前記ボトル2の口部21から容易に挿入することができる。
【0025】
また、ボトル2は、その底部22内面に、案内面24が設けられている。この案内面24は、チューブ4のボトル底部側端部41がボトル2の底部22周縁の周方向所定部位近傍に位置するようにチューブ4のボトル底部側端部41を案内する。ボトル2の底部22は、ボトル2の正立状態のとき、前記周方向所定部位近傍が最も低くなるように構成されている。すなわち、案内面24が、前記周方向所定部位近傍の方向に傾斜した傾斜面として形成されている。チューブ4は、ボトル2の底部22の内面に当接するに十分な軸長を有する。また、チューブ4は、キャップ3をボトル2の口部21に螺着していく際に、ボトル底部側端部41がボトル2の底部22の案内面24に当接するように、前記キャップ3に取り付けられている。したがって、キャップ3を口部21に螺着する過程で、案内面24に当接したチューブ4のボトル底部側端部41は、案内面24に案内されながら前記周方向所定部位近傍の方向に移動する。キャップ3の螺着完了時点で、チューブ4のボトル底部側端部41は、ボトル2の底部22内面の最底面25近傍、すなわち、前記周方向所定部位近傍に位置付けられるようになっている。
【0026】
ボトル2は、案内面24を構成する底部22の傾斜部分の外面(すなわち底面)に、ボトル2を正立させた状態で自立させるための脚部26が設けられている。脚部26は、前記周方向所定部位を構成する底部22の水平部分とともに棚などの載置面に接触することでボトル2を正立状態で自立させることができるものであればどのような形状であってもよい。なお、脚部26をボトル2に一体に成形するのではなく、底キャップ等を取り付けてボトル2を自立させるようにしてもよい。
【0027】
また、キャップ3は、ボトル2内から導入される液剤Wと気体とを混合して泡を生成する気液混合部31と、該気液混合部31よりも泡の吐出側に設けた泡吐出孔32と、前記気液混合部31よりもボトル2側に設けたチューブ固定部33と、前記気液混合部31の空間をボトル2内の空間に前記チューブ4を介さずに連通させる連通孔34とを備えている。なお、気液混合部31及び泡吐出孔32の構成は、一般的な泡を吐出する容器と同様に、液剤Wと気体とを混合させて泡を生成し、外部に吐出することができればよく、本実施例の構成に限定されるものではない。
【0028】
気液混合部31は、前記ボトル2内から導入された液剤Wと気体とを混合するための空間と、その泡吐出孔32側に設けられたフィルター35とを備え、該空間で混合された液剤Wと気体とを前記フィルター35に通すことで泡を生成する。
【0029】
泡吐出孔32は、前記気液混合部31で生成された泡を外部へと吐出する。なお、詳細は後述するが、
図2に示すように泡吐出容器1を横倒しにした状態では、前記連通孔34及びチューブ4の双方から気体のみが気液混合部31に導入されるため、泡吐出孔32から泡が吐出されることはない。
【0030】
チューブ固定部33は、キャップ3のボトル2側からボトル2の底部22に向けて突出した筒状に形成されており、筒状のチューブ固定部33にチューブ4のキャップ側端部42を嵌め込むことによってチューブ4を固定する。チューブ固定部33は、その基端側がチューブ連通孔36を介して気液混合部31に連通している。なお、キャップ3がボトル2の口部21に取り付けられた状態で、チューブ固定部33は、ボトル2の口部21と同心状であってもよいが、本実施例では、チューブ固定部33の軸心は、口部21の軸心よりも前記偏心方向反対側に位置付けられている。
【0031】
連通孔34は、キャップ3の気液混合部31の底部を形成する隔壁に貫通状に設けられており、チューブ4を介さずに前記気液混合部31を前記ボトル2内の空間に連通させ、チューブ4のキャップ側端部42の軸方向(
図2で図示する「軸A」の方向)から見て該チューブ4のキャップ側端部42に対して径方向一方にずれた位置で前記ボトル2内の空間に開口している。なお、本明細書において、連通孔34がチューブ4のキャップ側端部42に対してずれた方向を「偏心方向」という。なお、本実施例の連通孔34は、前記偏心方向にずれた位置において円形に開口形成されているが、開口形状は特に限定されるものではなく、軸Aを中心に周方向に延びる円弧状の開口形状であってもよい。
【0032】
チューブ4は、前述の通り、ストレート状に形成された容易に弾性変形可能な部材であり、チューブ4のキャップ側端部42がキャップ3に固定されている。本実施形態では、キャップ3に固定されたキャップ側端部42の軸心は、ボトル2の口部21の軸心と平行である。チューブ4は、キャップ3をボトル2の口部21に螺着する際に、キャップ3が回転するのに従って回転する。その際、チューブ4のボトル底部側端部41は、回転しながら前記傾斜した案内面24に沿って前記偏心方向の前記ボトル2の底部22周縁の周方向所定部位へと移動し、該周方向所定部位近傍、すなわち、底部22の最底面25へと案内される。
【0033】
このように、チューブ4のボトル底部側端部41は、ボトル2の底部22の案内面24に対して回転しながら連通孔34が設けられた偏心方向の前記周方向所定部位近傍へと案内されるため、かかる案内が円滑に行われる。そして、ボトル2の口部21にキャップ3を螺着する際、連通孔34は、チューブ4のキャップ側端部42の周方向に回転するが、キャップ3の回転が止まってその取り付けが完了する時点で、前記周方向所定部位近傍側にずれた位置となるよう位置決めされる。この連通孔34の位置決めを容易にすべく、位置決め機構Xは、前記キャップ3とボトル2の口部22との間に構成されている。
【0034】
この位置決め機構Xは、具体的には、
図1に示すように、口部21とキャップ3の夫々に係止部(キャップ3側の係止部は図示せず。)を設けて構成されている。各係止部は、キャップ3をボトル2の口部21に螺着する際、連通孔34が前記位置決められた位置に配されるように、お互いに当接して該キャップ3の回転を止める。なお、該位置決め機構Xの構成は、前記連通孔34を前記位置決めされた位置に配することができれば、その構成は限定されない。
【0035】
このように構成された泡吐出容器1は、
図2に示すように、前記ボトル2を前記偏心方向が上向きになるように横倒しにし、且つ、前記液剤Wの液面レベルが前記連通孔34及びチューブ4のボトル底部側端部41よりも下方となるようボトル2内に液剤Wを収容した状態で、前記ボトル2の胴部23をスクイズすることによって、該連通孔34と前記チューブ4のボトル底部側端部41との双方から気体のみが前記気液混合部31に流入されるため前記泡吐出孔32からは気体のみが吐出される。
【0036】
さらに、本実施形態では、ボトル2は、その胴部23の横断面が楕円形状のオーバルボトルであって、その長径方向が前記連通孔34が設けられた偏心方向に沿うとともに短径方向にスクイズ変形可能となっている。そして、オーバルボトル2の軸心Bが、前記チューブ4のキャップ側端部42の軸A方向に対して前記偏心方向の反対側に位置している。このようにオーバルボトル2の軸心Bをチューブ4のキャップ側端部42に対して偏心させることによって、前記ボトル2は、その胴部23の周壁が、前記連通孔34が設けられた偏心方向反対側の部位(
図2において下側となっている胴部23の周壁)が他の部位(
図2において上側となっている胴部23の周壁)よりも軸Aを基準として径方向に膨出された構成となっている。かかる構成により、本実施形態に係るボトル2は、
図2において仮に軸Aが軸心Bと同じ位置にある場合と比較して、軸Aよりも下方の内容積が大きくなる。これにより、横倒しの使用状態において前記液剤Wの液面レベルが連通孔34及びチューブ4のボトル底部側端部41よりも下方となるようボトル2に液剤Wを収容する場合の液剤充填量を多くすることができる。また、かかる構成によれば、本実施形態に係るボトル2は、
図2において仮に軸Aが軸心Bと同じ位置にある場合と比較して、横倒しの使用状態において前記液剤Wの液面レベルが連通孔34及びチューブ4のボトル底部側端部41よりも下方となるようそれぞれ同じ量の液剤Wを充填する場合に、本実施形態に係るボトル2の方がさらに液剤Wを充填できる余地が生まれる。そのため、その余地の分、ボトル2の内容積を小さく形成することができる。すなわち、同じ量の液剤Wを充填する場合、前記軸Aが軸心Bから前記偏心方向へ離れて位置するほど、ボトル2の内容積をより小さく形成し、ボトル2の小型化を図ることができる。
【0037】
また、オーバルボトルに形成された泡吐出容器1の使用者は、意識することなく前記胴部23の短径方向の両側面を親指とその他の指とでボトル2を短径方向に挟み込んで加圧し、該胴部23を短径方向にスクイズしようとする。そして、楕円形状の長径方向が前記連通孔34が設けられた偏心方向に沿っているため、使用者が前記ボトル2を横倒しにした際、長径方向に沿う前記偏心方向を図示の上方に向けるよう使用者に意識させることなく促すことができる。
【0038】
この際、泡吐出孔32は、
図2に示すように、前記偏心方向の反対側に向けて開口させてもよい。これにより、泡吐出容器1の使用者は、通常、横倒しにした状態で下方へと泡を吐出しようとするため、気体のみが吐出される前述の状態へとより容易に促される。
【0039】
図3に示すように、正立させた状態の泡吐出容器1は、使用者がボトル2の側面をスクイズした際、チューブ4のボトル底部側端部41から液剤Wがチューブ4内を介して前記気液混合部31内へ流入されるとともに、前記連通孔34からはボトル2内の気体が気液混合部31へと流入される。該気液混合部31の内部空間で混合された液剤Wと気体とはフィルター35を介して泡になり、泡吐出孔32から完全な状態の泡として吐出される。
【0040】
また、正立状態の泡吐出容器1は、ボトル2内の液剤Wが残り少なくなると底部22の最底面25に滞留する。チューブ4のボトル底部側端部41は、前記偏心方向のボトル2の底部22周縁の周方向所定部位近傍、すなわち、該底部22の最底面25に案内されている。そのため、前記チューブ4のボトル底部側端部41から該液剤Wを残すことなく気液混合部31へと流入させることができ、液剤Wを使い切るまで完全な泡の状態で吐出させることができる。
【0041】
以上の通り、本発明の泡吐出容器1によれば、
図2に示す泡吐出容器1を横倒しにした状態では敢えて気体のみを吐出させるようにすることで、使用者に対して泡吐出容器1を
図3に示す正立させた状態で使用させ、完全な泡の状態で吐出されるよう促すことができ、使い方によって泡が吐出されたり吐出されなかったりする使用状態を無くすことで、安定的に適正な泡を吐出できる。その結果、不完全な泡の状態で吐出されるのを防止することができ、使用者にとって使い勝手がよく、また、液剤Wを無駄にすることもない。
【0042】
泡吐出容器1は、
図4に示すように倒立させた状態であっても、前記連通孔34から気液混合部31に液剤Wを流入させ、チューブ4のボトル底部側端部41から気液混合部31に気体を流入させることができるため、気液混合部31にて液剤W及び空気を混合させて泡を生成し、泡吐出孔32から完全な泡の状態で吐出させることができる。泡吐出容器1を倒立させた状態で使用する場合としては、例えば、前記実施例の泡吐出容器1では泡吐出孔32が前記偏心方向の反対方向に開口しているが、この泡吐出孔32の開口方向が
図2に示す軸心Bの方向と平行である場合等が考えられる。この場合、使用者は、泡吐出容器1を倒立させ、泡吐出孔32の開口方向を下方に向けて完全な泡の状態で吐出させる。前述の通り、泡吐出容器1を横倒しにした状態では気体のみが吐出されるため、使用者に対して泡吐出容器1を倒立した状態で使用するよう促し、結果として不完全な泡の状態で吐出されることを防止することができる。
【0043】
また、泡吐出容器1を倒立させた状態において、ボトル2内の液剤Wは、連通孔34から気液混合部31に流入される。そのため、ボトル2内の液剤Wを残すことなく気液混合部31に流入させることができ、該液剤Wを使い切るまで泡吐出孔32から完全な泡の状態で吐出されるようにすることができる。
【0044】
なお、前記実施例の説明において、本発明に係る泡吐出容器1を分かりやすく説明するため、水平に横倒しにした状態と該水平に対して鉛直に正立(又は倒立)させた状態の泡吐出容器1を説明したが、該泡吐出容器1は、略横倒しに傾けた状態及び略正立(又は略倒立)に傾けた状態であってもボトル2内に収容された液剤Wの充填量に応じて前記効果を発揮し得る。
【0045】
また、ボトル2は、
図2に示すように横倒しにした状態で、軸Aより下方の内容積を軸Aより上方の内容積よりも大きく構成することができる。このような構成によっても、横倒しの使用状態において前記液剤Wの液面レベルが連通孔34及びチューブ4のボトル底部側端部41よりも下方となるようボトル2に液剤Wを収容する場合の液剤充填量を多くすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 泡吐出容器
2 ボトル
21 口部
22 底部
23 胴部
24 案内面
25 最底面
3 キャップ
31 気液混合部
32 泡吐出孔
33 チューブ固定部
34 連通孔
35 フィルター
36 チューブ連通孔
4 チューブ
41 ボトル底部側端部
42 キャップ側端部
A 軸
B 軸心
X 位置決め機構