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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20230214BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230214BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20230214BHJP
   F24F 8/15 20210101ALI20230214BHJP
【FI】
B01D53/14 100
F24F8/108 120
F24F8/108 110
F24F8/80 200
F24F8/15
F24F8/80 100
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022068717
(22)【出願日】2022-04-19
【審査請求日】2022-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518070618
【氏名又は名称】株式会社レブセル
(73)【特許権者】
【識別番号】591066465
【氏名又は名称】日本エアーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 健二
(72)【発明者】
【氏名】北野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】高柳 剛
(72)【発明者】
【氏名】高木 顕二
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-065945(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113041785(CN,A)
【文献】特開2005-230759(JP,A)
【文献】特開2020-044504(JP,A)
【文献】特開2008-159281(JP,A)
【文献】米国特許第04353720(US,A)
【文献】特開平07-068164(JP,A)
【文献】特開2015-152273(JP,A)
【文献】特開2013-052382(JP,A)
【文献】特開2020-131166(JP,A)
【文献】特開平04-200719(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150582(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/150583(WO,A1)
【文献】特開2020-182951(JP,A)
【文献】特開2019-027718(JP,A)
【文献】特開2014-097437(JP,A)
【文献】特開2003-019435(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125355(WO,A1)
【文献】特開2021-020209(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018160(WO,A1)
【文献】特表2009-502483(JP,A)
【文献】特開2014-073488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/04-53/18
B01D 53/26-53/28
F24F 1/00- 1/68
F24F 7/00- 7/10
F24F 8/00- 8/99
B01D 53/62
C01B 32/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄フィルタと、
二酸化炭素を吸収する吸収部材が収容された吸収ユニットと、
前記空気清浄フィルタと前記吸収ユニットとが配置された筐体であって、前記筐体内に空気を吸い込む吸込口を含む筐体と、
前記吸込口から前記筐体内に空気を吸い込み前記筐体外へ当該空気を排出するファンであって、前記吸収ユニットと前記空気清浄フィルタとを通過する気流を発生させるファンと、を備え、
前記筐体は、前記吸収ユニットが前記筐体内で前記吸込口に対向するよう前記吸収ユニットを支持する支持部材を含み、
前記吸収ユニットと前記筐体の内壁との間に、前記吸込口から前記吸収ユニットへ向けて吸い込まれた空気が前記吸収ユニットの上側および下側を経由して前記筐体外へ排出されるよう隙間が設けられており、
前記吸収ユニットの外表面における、前記吸込口に対向する部分、上側の部分、および下側の部分に、前記吸収ユニット内に通気させる孔部を有し、
前記支持部材は、前記吸収ユニットを回転させる回転機構部を含み、
前記回転機構部は、前記吸込口から前記吸収ユニットに向かう方向と上下方向とに直交する回転軸を含み、
前記回転機構部は、前記ファンにより生じた気流が前記吸収ユニットに当たることによって、前記吸収ユニットを回転させる、空気清浄機。
【請求項2】
前記吸収ユニットは羽根部を含み、
前記回転軸は、前記ファンにより生じた気流が前記羽根部に当たることによって前記吸収ユニットを回転させる、請求項に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記吸収ユニットの少なくとも一部は、前記吸収ユニット内の前記吸収部材が前記吸収ユニット外から視認可能に、透明な部材から構成されている、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記吸収ユニットは、前記吸収部材を収容する四角柱状のケース部を含む、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記吸収ユニットよりも前記ファンにより生じる気流の上流側に配置された除湿部を、さらに備える、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項6】
前記空気清浄フィルタは、前記吸収ユニットよりも前記ファンにより生じる気流の下流側に配置されている、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項7】
前記空気清浄フィルタは、前記筐体において、前記吸収ユニットよりも上方の位置に設けられている、請求項に記載の空気清浄機。
【請求項8】
前記吸収ユニットよりも前記ファンにより生じる気流の下流側で、かつ、前記空気清浄フィルタよりも前記ファンにより生じる気流の上流側に配置された吸収部材粉末除去フィルタを、さらに備える、請求項1または2に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護活動への取り組みが社会的に行われている。特に、地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素を回収する取り組みが、企業及び公的機関において行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、二酸化炭素固定フィルタを備えた空気清浄機が開示されている。二酸化炭素固定フィルタは、収納容器と、当該収納容器に収納された二酸化炭素固定材ペレットとを含む。そして、空気清浄機のファンが駆動することにより、収納容器の側面から収容容器で空気を通過させて、二酸化炭素固定材ペレットが空気中の二酸化炭素を吸着固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-68164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載されている二酸化炭素固定材ペレットは、一定量の二酸化炭素を吸収することによって、飽和状態になる。飽和状態とは、二酸化炭素を吸収することが可能な量のほぼ上限に達した状態であり、二酸化炭素をほとんど吸収できない状態を意味する。特許文献1では、空気清浄機のファンが駆動することにより、収納容器の側面から収容容器内で空気を通過させるが、収容容器内において、二酸化炭素固定材ペレットが空気に触れやすい部分と空気が触れにくい部分とが生じる。これにより、空気に触れやすい部分では、二酸化炭素固定材ペレットが早期に飽和状態になる。そして、二酸化炭素固定材ペレットのうちの空気に触れやすい部分が飽和状態となるため、空気清浄機における空気中の二酸化炭素を除去する能力が低下する。
【0006】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、空気中の二酸化炭素を除去する能力の低下を抑制することが可能な空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、以下に開示する、本開示の一の態様に係る空気清浄機は、
空気清浄フィルタと、二酸化炭素を吸収する吸収部材が収容された吸収ユニットと、前記空気清浄フィルタと前記吸収ユニットとが配置された筐体であって、前記吸収ユニットの側面と前記吸収ユニットの上面と前記吸収ユニットの下面とに空気を接触させる空間を有する筐体と、前記筐体内に空気を吸い込み前記筐体外へ当該空気を排出するファンであって、前記吸収ユニットと前記空気清浄フィルタとを通過する気流を発生させるファンと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、吸収ユニットの側面のみならず、吸収ユニットの上面及び下面にも空気が接触するので、吸収ユニット内で、吸収部材が空気に触れやすい部分と吸収部材が空気に触れにくい部分とが生じるのを防止することができる。この結果、空気中の二酸化炭素を除去する能力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態における空気清浄機100の構成を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態における空気清浄機100の構成を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態による吸収ユニット20の構成を模式的に示した断面図である。
図4図4は、ケース部21に配置された蓋部材21aの平面図である。
図5図5は、吸収ユニット20の着脱の様子を示す模式図である。
図6図6は、第2実施形態による空気清浄機200の構成を示す断面図である。
図7図7は、第3実施形態による空気清浄機300の構成を示す断面図である。
図8図8は、モータ323aと軸部材323との配置関係を示す模式図である。
図9図9は、第4実施形態による空気清浄機400の構成を示す断面図である。
図10図10は、第5実施形態による空気清浄機500の構成を示す斜視図である。
図11図11は、第1~第5実施形態の第1変形例による空気清浄機600の構成を示す図である。
図12図12は、第1~第5実施形態の第2変形例による空気清浄機700の構成を示す図である。
図13図13は、第1~第5実施形態の第3変形例による吸収ユニット820の構成を示す図である。
図14図14は、第1~第5実施形態の第4変形例による吸収ユニット920の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0011】
[第1実施形態]
(空気清浄機の全体構成)
図1は、第1実施形態における空気清浄機100の構成を示す斜視図である。図2は、第1実施形態における空気清浄機100の構成を示す断面図である。空気清浄機100は、空気中の粉塵を除去するとともに、空気中の二酸化炭素を除去する装置である。空気清浄機100は、単体として、屋内又は屋外に配置されてもよいし、他の装置(自動販売機、車両、航空機、船舶、及び空調設備など)に組み込まれていてもよい。空気清浄機100が屋外へ配置される場合、空気清浄機100の筐体10が防水性を有することが好ましいが、雨や雪が降りかかる場所でない場合、筐体10は防水性を有さなくてもよい。
【0012】
図1に示すように、筐体10は、筐体10内に空気を吸い込む吸込口11と、筐体10外へ空気を排出する吐出口12と、を含む。図1では、吸込口11と吐出口12とが、筐体10の同一の面に設けられる例を示しているが、異なる面に設けられていてもよい。
【0013】
図2に示すように、空気清浄機100は、吸収ユニット20と、空気清浄フィルタ31と、吸収部材粉末除去フィルタ32と、ファン40と、を備える。筐体10は、第1室13、第2室14、第3室15、及び第4室16を含む。第1室13、第2室14、第3室15、及び第4室16は、吸込口11から吐出口12までの通気経路内で順に設けられている。また、吸込口11には、吸込口フィルタ11aが配置されている。吸込口フィルタ11aは、吸込口11から筐体10内への異物の侵入を防止するためのフィルタである。また、吸込口フィルタ11aは、空気清浄フィルタ31及び吸収部材粉末除去フィルタ32よりも通気性が高い。なお、吐出口12には、図示しないルーバーが配置されていてもよい。
【0014】
図2に示すように、第1室13には、吸収ユニット20が配置されている。第2室14には、吸収部材粉末除去フィルタ32が配置されている。第3室15には、ファン40が配置されている。第4室16には、空気清浄フィルタ31が配置されている。
【0015】
図3は、第1実施形態による吸収ユニット20の構成を模式的に示した断面図である。図3に示すように、吸収ユニット20は、二酸化炭素を吸収する吸収部材24を収容するケース部21と、複数の羽根部22と、軸部材23と、を含む。吸収部材24は、例えば、水酸化カルシウム系のフィルタであり、二酸化炭素を吸収すると「白色」から「赤色、紫色、又はピンク色」に変わる。例えば、第1実施形態では、吸収部材24は、顆粒状に形成されているが、粉状、又は1つの固体状に形成されていてもよい。また、吸収部材24として、二酸化炭素を吸収すると「赤又は紫色」から「白色又はピンク色」に変わるものが用いられてもよいし、上記以外の色彩に変化するものが用いられてもよい。また、吸収部材24への二酸化炭素の吸着方法は、水酸化カルシウム系やアミン系に代表される化学反応を利用した吸着方法に限られず、中空糸膜等を利用した二酸化炭素の補修方法であってもよいし、その他の方法であってもよい。なお、化学反応系は、個体(紛体)にて二酸化炭素を回収できるため、回収後の二酸化炭素を容易に搬送及び貯蔵することができる。
【0016】
複数の吸収部材24は、ケース部21が軸部材23まわりに回転することにより、ケース部21内で攪拌される。これにより、複数の吸収部材24が混ざることによって、複数の吸収部材24の二酸化炭素の吸収量(飽和状態)のばらつきを抑制することができる。なお、図3では、ケース部21内の一部分まで複数の吸収部材24が充填される例を示しているが、ケース部21内の全体が複数の吸収部材24により充填されてもよい。
【0017】
図3に示すように、ケース部21は、例えば、四角柱の筒形状を有する。そして、ケース部21の4つの面には、それぞれ、蓋部材21aが配置されている。図4は、ケース部21に配置された蓋部材21aの平面図である。図4に示すように、蓋部材21aには、複数の孔部21bが設けられている。複数の孔部21bは、それぞれ、ケース部21外からの空気をケース部21内に導入し、かつ、ケース部21内の空気をケース部21外に排出する。これにより、ケース部21の4つの面を介して、複数の吸収部材24は、空気に接触するので、吸収ユニット20内で、吸収部材24が空気に触れやすい部分と空気が触れにくい部分とが生じるのを防止することができる。この結果、空気中の二酸化炭素を除去する能力の低下を抑制することができる。すなわち、第1室13は、吸収ユニット20の側面と吸収ユニット20の上面と吸収ユニット20の下面とに空気を接触させる空間である。なお、第1実施形態では、吸収ユニット20が回転するため、側面、上面、及び下面は、回転によって入れ替わる。
【0018】
また、図4に示すように、複数の孔部21bの径D1は、吸収部材24の径D2よりも小さい。これにより、吸収部材24が孔部21bから飛び出るのを防止することができる。ここで、図4では、孔部21bを円形状に形成し、吸収部材24を長円形状に形成する例を示しているが、これに限られない。すなわち、孔部21bが楕円形状、長円形状、三角形や矩形などの多角形状を有していてもよいし、吸収部材24が円形状、楕円形状、三角形や矩形などの多角形状を有していてもよい。これらの場合でも、吸収部材24と孔部21bとは、吸収部材24が孔部21bから飛び出るのが防止される寸法関係を有していればよい。
【0019】
蓋部材21aは、吸収ユニット20内の吸収部材24が吸収ユニット20外から視認可能に、透明な部材から構成されている。これにより、吸収ユニット20内の吸収部材24が吸収ユニット20外からユーザが視認することができるので、ユーザは、吸収部材24の状態(例えば、色彩)に応じて、吸収部材24又は吸収ユニット20を交換するか否かを判断することができる。また、蓋部材21aは、ケース部21に対して着脱可能に構成されている。これにより、ケース部21内の吸収部材24を交換することができる。
【0020】
図5は、吸収ユニット20の着脱の様子を示す模式図である。図5に示すように、例えば、ケース部21に形成された軸配置部17aに軸部材23が配置されることにより、吸収ユニット20はケース部21に配置されている。軸配置部17aは、例えば、溝、孔、又は切り欠きとして構成されている。軸部材23は、図2に示すように、回転可能にケース部21に配置されており、ファン40により発生した気流に羽根部22が当たることにより、吸収ユニット20(軸部材23)が回転する。すなわち、第1実施形態では、ケース部21の軸配置部17aと軸部材23とにより、回転機構部を構成する。また、軸部材23は、吸込口11から吸収ユニット20に向かう方向(X2方向)に対して直交する方向でかつ上下方向に直交する方向に延びる。なお、図2では、吸収ユニット20は、紙面上反時計回りに回転する例を示しているが、時計回りに回転してもよい。また、第1実施形態では、羽根部22を、4つ設ける例を示しているが、羽根部22の数は、3つ以下、又は5つ以上の数であってもよい。
【0021】
また、図5に示すように、ケース部21には、軸配置部17aに接続されるガイド部17bが形成されている。ガイド部17bは、例えば、ケース部21のX1方向の端部から延びる切り欠きであってもよいし、溝であってもよい。そして、吸収ユニット20がガイド部17bに沿って移動されることにより、吸収ユニット20がケース部21に対して着脱される。これにより、飽和状態となった吸収部材24を収容する吸収ユニット20を、新しい吸収部材24が収容する吸収ユニット20に交換することができる。
【0022】
図3に示すように、羽根部22は、ケース部21の4つの角部から突出している。これにより、羽根部22にファン40により生じた気流(風)が当たる。そして、気流が羽根部22を押圧して、ケース部21が軸部材23まわりに回転する。これにより、ファン40を駆動させれば、自動的に吸収ユニット20が回転する。そして、吸収ユニット20が回転して動くことにより、吸収部材24に対する空気の触れ方が変化するので、吸収部材24が空気に触れやすい部分と吸収部材24が空気に触れにくい部分とが生じるのを防止することができる。
【0023】
図2に示すように、吸収部材粉末除去フィルタ32は、吸収ユニット20よりもファン40により生じる気流の下流側で、かつ、空気清浄フィルタ31よりもファン40により生じる気流の上流側の第2室14に配置されている。そして、吸収部材粉末除去フィルタ32は、吸収ユニット20を通過した空気を通過させる。これにより、吸収部材24の一部が欠けることにより生じた粉末が、孔部21bから飛び出した場合でも、当該粉末を、吸収部材粉末除去フィルタ32が捕捉することができる。これにより、ファン40に吸収部材24の粉末が入ることによるファン40の故障を防止することができ、空気清浄フィルタ31に吸収部材24の粉末が入ることによって目詰まり等が発生するのを防止することができる。
【0024】
ファン40は、電力が供給されることにより駆動し、図2に示すように、筐体10内に空気を吸い込み筐体10外へ当該空気を排出する。そして、ファン40は、吸収ユニット20と空気清浄フィルタ31と吸収部材粉末除去フィルタ32とを通過する気流を発生させる。図2では、ファン40をシロッコファンとして図示しているが、プロペラファン、ターボファン等であってもよい。また、第1実施形態では、ファン40の消費電力を二酸化炭素換算した場合に、換算された二酸化炭素量が吸収ユニット20により吸収可能な二酸化炭素量未満となるファン40が採用されている。
【0025】
空気清浄フィルタ31は、例えば、粉塵を捕捉するフィルタである。空気清浄フィルタ31として、HEPAフィルタを用いることができる。空気清浄フィルタ31は、吸込口フィルタ11a、及び吸収部材粉末除去フィルタ32よりも微細な粉塵を捕捉する性能を有する。また、空気清浄フィルタ31は、吸収ユニット20よりもファン40により生じる気流の下流側の第4室16に配置されている。これにより、空気清浄機100から空気が吐出される側(気流の下流側)に空気清浄フィルタ31が配置されるので、空気清浄機100内で生じた粉塵が空気清浄機100外に放出されるのを防止することができる。
【0026】
また、図2に示すように、空気清浄フィルタ31及び吐出口12は、筐体10において、吸収ユニット20及び吸込口11のいずれよりも上方の位置に設けられている。これにより、吐出口12から吹き出す風によって、空気清浄機100の外の床面上の粉塵が舞い上がるのを防止することができる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、図6を参照して、第2実施形態による空気清浄機200の構成について説明する。第2実施形態では、空気清浄機200には、除湿ユニット50が設けられている。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0028】
図6は、第2実施形態による空気清浄機200の構成を示す断面図である。図6に示すように、空気清浄機200は、除湿ユニット50を含む。除湿ユニット50は、例えば、吸収ユニット20よりもファン40により生じる気流の上流側に配置されている。これにより、第1実施形態による空気清浄機100の吸込口11に除湿ユニット50を配置すれば、第2実施形態による空気清浄機200を容易に構成することができる。除湿ユニット50は、熱交換器等を含む除湿部51を含む。除湿部51は、空気清浄機200に進入した空気の水分を回収し、乾燥した空気を吸収ユニット20側に送り出す。第2実施形態の構成によれば、吸収ユニット20の吸収部材に水分が吸収されるのを抑制することができる。この結果、水分の吸収による吸収部材の重量の増加が小さくなるので、吸収部材の重量を測定すれば、吸収部材に吸収された二酸化炭素の量を容易に推定することが可能となる。その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0029】
[第3実施形態]
次に、図7及び図8を参照して、第3実施形態による空気清浄機300の構成について説明する。第3実施形態では、空気清浄機300には、吸収ユニット320を回転させるモータ323aが配置されている。なお、第1又は第2実施形態と同様の構成には、第1又は第2実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0030】
図7は、第3実施形態による空気清浄機300の構成を示す断面図である。図8は、モータ323aと軸部材323との配置関係を示す模式図である。図7に示すように、空気清浄機300は、吸収ユニット320を含む。第3実施形態による吸収ユニット320は、第1実施形態とは異なり、羽根部22が設けられていない。また、図8に示すように、吸収ユニット320の軸部材323がモータ323aに接続されており、モータ323aが駆動することによって、吸収ユニット320(軸部材323)が回転する。第3実施形態によっても、吸収ユニット320が回転して動くことにより、吸収部材に対する空気の触れ方が変化するので、空気に触れやすい部分と空気が触れにくい部分とが生じるのを防止することができる。その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0031】
[第4実施形態]
次に、図9を参照して、第4実施形態による空気清浄機400の構成について説明する。第4実施形態では、空気清浄機400には、二酸化炭素濃度センサ460と、制御部470と、報知部480とが設けられている。なお、第1~第3実施形態のいずれかと同様の構成には、第1~第3実施形態のいずれかと同じ符号を用い説明を省略する。
【0032】
図9は、第4実施形態による空気清浄機400の構成を示す断面図である。図9に示すように、空気清浄機400は、二酸化炭素濃度センサ460と、制御部470と、報知部480とを含む。二酸化炭素濃度センサ460は、例えば、吸収ユニット20よりも下流側の第2室14に配置されている。これにより、二酸化炭素濃度センサ460は、ファン40が駆動している状態では、吸収ユニット20を通過した空気の二酸化炭素濃度を検出する。また、二酸化炭素濃度センサ460は、ファン40が停止している状態では、吸収ユニット20を空気がほとんど通過しないので、吸込口11又は吐出口12からの空気(吸収ユニット20を通過していない空気)の二酸化炭素濃度を検出する。
【0033】
制御部470は、制御回路(プロセッサ)を含む。制御部470は、ファン40が停止している状態の二酸化炭素濃度が所定の値以上の場合に、ファン40の動作を開始させる。「所定の値」は、例えば、ユーザが任意の値に変更可能に構成されてもよいし、固定値であってもよい。また、制御部470は、ファン40が停止している状態の二酸化炭素濃度と、ファン40が駆動している状態の二酸化炭素濃度との比較結果に基づいて、報知部480に吸収ユニット20又は吸収部材24の交換を促す報知を行わせる。例えば、報知部480は、ランプである。制御部470は、ファン40が停止している状態の二酸化炭素濃度と、ファン40が駆動している状態の二酸化炭素濃度との差分値が所定の範囲内の場合に、報知部480のランプを点灯又は点滅させる。「所定の範囲」は、任意に設定することができるが、例えば、0ppm~100ppmの範囲である。なお、報知部480をディスプレイとして構成してもよい。この場合、ディスプレイ上に吸収ユニット20の交換を促すメッセージが表示されてもよい。その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0034】
[第5実施形態]
次に、図10を参照して、第5実施形態による空気清浄機500の構成について説明する。第5実施形態では、空気清浄機500には、再生可能エネルギー発電装置510が配置されている。なお、第1~第4実施形態のいずれかと同様の構成には、第1~第4実施形態のいずれかと同じ符号を用い説明を省略する。
【0035】
図10は、第5実施形態による空気清浄機500の構成を示す斜視図である。図10に示すように、空気清浄機500は、再生可能エネルギー発電装置510を含む。再生可能エネルギー発電装置510は、例えば、太陽光発電パネルであり、当該太陽光発電パネルは筐体10の上面に配置されている。そして、空気清浄機500は、再生可能エネルギー発電装置510により発電された電力によりファン40を駆動させる。また、第5実施形態では、ファン40の消費電力から再生可能エネルギー発電装置510が発電した電力を引いた電力を二酸化炭素換算した二酸化炭素量が、吸収ユニット20により吸収可能な二酸化炭素量未満となる再生可能エネルギー発電装置510が採用されている。なお、再生可能エネルギー発電装置510は、太陽光発電パネルに限られず、風車、又は水車であってもよいし、地熱やバイオマス燃料により発電する装置であってもよい。第5実施形態の構成によれば、再生可能エネルギーにより空気清浄機500を動作させることができ、二酸化炭素の排出を抑制することができる。その他の構成及び効果は、第1実施形態の構成及び効果と同様である。
【0036】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0037】
(1)上記第1~第5実施形態では、吸収ユニットが回転する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図11に示す第1変形例による空気清浄機600では、吸収ユニット620は、回転できないように筐体10に固定されている。この場合でも、吸収ユニット620の側面、上面、及び下面から吸収ユニット620内に通気するので、吸収ユニット内で、空気に触れやすい部分と空気が触れにくい部分とが生じるのを防止することができる。
【0038】
(2)上記第2実施形態では、除湿ユニットを、吸収ユニットよりも上流側に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図12に示す第2変形例による空気清浄機700のように、除湿ユニット750が、吸収ユニット20よりも下流側に配置されていてもよい。
【0039】
(3)上記第1~第5実施形態では、空気清浄フィルタを吸収ユニットよりも下流側に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、空気清浄フィルタを吸収ユニット20よりも上流側に配置してもよい。
【0040】
(4)上記第4実施形態では、二酸化炭素濃度センサを、第2室に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。二酸化炭素濃度センサを、第1室、第3室、又は第4室に配置してもよいし、筐体10の外側に配置してもよい。
【0041】
(5)上記第1~第5実施形態では、フィルタの色彩が「白色」からから「赤色、紫色、又はピンク色」に変わる例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、二酸化炭素を吸収すると「赤又は紫色」から「白色又はピンク色」に変わるものを吸収部材として用いてもよい。
【0042】
(6)上記第1~第5実施形態では、筐体内において、吸込口及び吸収ユニットを下段に、吐出口及び空気清浄フィルタを上段に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、筐体内において、吸込口及び吸収ユニットを上段に、吐出口及び空気清浄フィルタを下段に配置してもよい。
【0043】
(7)上記第1~第5実施形態では、蓋部材に孔部を設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図13に示す第3変形例による吸収ユニット820のように、蓋部材821aには孔部を設けないで、筐体821の蓋部材821a以外の面821bに、図示しない複数の孔部が設けられていてもよい。
【0044】
(8)上記第1~第5実施形態では、吸収ユニットの筐体を四角柱状に形成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図14に示す第4変形例による吸収ユニット920のように、筐体921を円筒状に形成してもよい。
【0045】
また、上述した空気清浄機は、以下のように説明することができる。
【0046】
第1の構成に係る空気清浄機は、空気清浄フィルタと、二酸化炭素を吸収する吸収部材が収容された吸収ユニットと、空気清浄フィルタと吸収ユニットとを接続する通気経路と、吸収ユニットを回転させる回転機構部と、吸収ユニットと通気経路と空気清浄フィルタとに気流を生じさせるファンと、を備える(第1の構成)。
【0047】
上記第1の構成によれば、吸収ユニットの側面のみならず、吸収ユニットの上面及び下面にも空気が接触するので、吸収ユニット内で、吸収部材が空気に触れやすい部分と吸収部材が空気に触れにくい部分とが生じるのを防止することができる。この結果、空気中の二酸化炭素を除去する能力の低下を抑制することができる。
【0048】
第1の構成において、空気清浄機は、吸収ユニットを回転させる回転機構部を、さらに備えてもよい(第2の構成)。
【0049】
上記第2の構成によれば、吸収ユニットが回転して動くことにより、吸収部材に対する空気の触れ方が変化するので、空気に触れやすい部分と空気が触れにくい部分とが生じるのを防止することができる。
【0050】
第2の構成において、回転機構部は、ファンにより生じた気流が吸収ユニットに当たることによって、吸収ユニットを回転させるように構成されてもよい(第3の構成)。
【0051】
上記第3の構成によれば、回転機構部を駆動させるためのモータを設ける必要がない。この結果、空気清浄機の消費電力を低減することができる。
【0052】
第3の構成において、吸収ユニットは、羽根部を含んでもよく、回転機構部は、ファンにより生じた気流が羽根部に当たることによって吸収ユニットを回転させる軸部材を含んでもよい(第4の構成)。
【0053】
上記第4の構成によれば、ファンにより気流を生じさせれば、羽根部及び軸部材により自動的に吸収ユニットを回転させることができる。
【0054】
第4の構成において、筐体は、筐体内に空気を吸い込む吸込口と、筐体外へ空気を排出する吐出口と、を含んでもよく、軸部材は、吸込口から吸収ユニットに向かう方向に対して直交する方向に延びるように構成されてもよい(第5の構成)。
【0055】
上記第5の構成によれば、吸収口から吸収ユニットに向かう気流が、羽根部にあたることにより、軸部材によって吸収ユニットを回転させることができる。
【0056】
第1~第5の構成のいずれか1つにおいて、吸収ユニットの少なくとも一部は、吸収ユニット内の吸収部材が吸収ユニット外から視認可能に、透明な部材から構成されていてもよい(第6の構成)。
【0057】
上記第5の構成によれば、吸収ユニット内の吸収部材が吸収ユニット外からユーザが視認することができる。これにより、ユーザは、吸収部材の状態に応じて、吸収部材又は吸収ユニットを交換するか否かを判断することができる。
【0058】
第1~第6の構成のいずれか1つにおいて、吸収ユニットは、吸収部材を収容する四角柱状のケース部を含んでもよく、四角柱状のケース部の4つの面の各々は、孔部を有してもよい(第7の構成)。
【0059】
上記第7の構成によれば、吸収部材がケース部内に収容されている場合でも、ケース部の4つの面の各々から孔部を介して通気させることができる。
【0060】
第1~第7の構成のいずれか1つにおいて、空気清浄機は、吸収ユニットよりもファンにより生じる気流の上流側に配置された除湿部を、さらに備えてもよい(第8の構成)。
【0061】
上記第8の構成によれば、吸収ユニットの吸収部材に水分が吸収されるのを抑制することができる。この結果、水分の吸収による吸収部材の重量の増加が小さくなるので、吸収部材の重量を測定すれば、吸収部材に吸収された二酸化炭素の量を容易に推定することが可能となる。
【0062】
第1~第8の構成のいずれか1つにおいて、空気清浄フィルタは、吸収ユニットよりもファンにより生じる気流の下流側に配置されていてもよい(第9の構成)。
【0063】
上記第9の構成によれば、空気清浄機から空気が吐出される側(気流の下流側)に空気清浄フィルタが配置されるので、空気清浄機内で生じた粉塵が空気清浄機外に放出されるのを防止することができる。
【0064】
第9の構成において、空気清浄フィルタは、筐体において、吸収ユニットよりも上方の位置に設けられていてもよい(第10の構成)。
【0065】
上記第10の構成によれば、気流の下流側の部分が上方に配置されるので、空気清浄フィルタを通過した風によって、空気清浄機の外の床面上の粉塵が舞い上がるのを防止することができる。
【0066】
第1~第10の構成のいずれか1つにおいて、空気清浄機は、吸収ユニットよりもファンにより生じる気流の下流側で、かつ、空気清浄フィルタよりもファンにより生じる気流の上流側に配置された吸収部材粉末除去フィルタを、さらに備えてもよい(第11の構成)。
【0067】
上記第10の構成によれば、吸収ユニット内の吸収部材の一部が吸収ユニットから放出された場合でも、吸収部材粉末除去フィルタにより吸収部材を除去することができる。
【0068】
第1~第10の構成のいずれか1つにおいて、筐体は、筐体内に空気を吸い込む吸込口と、筐体外へ空気を排出する吐出口と、を含んでもよく、空気清浄フィルタ及び吐出口は、筐体において、吸収ユニット及び吸込口のいずれよりも上方の位置に設けられてもよい(第11の構成)。
【符号の説明】
【0069】
10…筐体、11…吸込口、12…吐出口、13…第1室、14…第2室、15…第3室、16…第4室、20,320,620,820,920…吸収ユニット、21,821,921…ケース部、21a,821a…蓋部材、21b…孔部、22…羽根部、23,323…軸部材、24…吸収部材、31…空気清浄フィルタ、32…吸収部材粉末除去フィルタ、40…ファン、50,750…除湿ユニット、51…除湿部、100,200,300,400,500,600,700…空気清浄機
【要約】
【課題】空気中の二酸化炭素を除去する能力の低下を抑制することが可能な空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気清浄機100は、空気清浄フィルタ31と、二酸化炭素を吸収する吸収部材が収容された吸収ユニット20と、空気清浄フィルタ31と吸収ユニット20とが配置された筐体10であって、吸収ユニット20の側面と吸収ユニット20の上面と吸収ユニット20の下面とに空気を接触させる第1室13を有する筐体10と、筐体10内に空気を吸い込み筐体10外へ当該空気を排出するファン40であって、吸収ユニット20と空気清浄フィルタ31とを通過する気流を発生させるファン40と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14