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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】種子及び苗用ホルダー
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20230214BHJP
   A01C 1/02 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A01G31/00 611
A01C1/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018126632
(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2020005509
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】松田 繁行
(72)【発明者】
【氏名】坪井 悠希
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-102969(JP,A)
【文献】特開昭56-151435(JP,A)
【文献】特公昭49-026334(JP,B1)
【文献】特開昭47-023211(JP,A)
【文献】特開2000-083481(JP,A)
【文献】特開昭62-262928(JP,A)
【文献】実開昭50-112651(JP,U)
【文献】特開2001-292642(JP,A)
【文献】特開2001-333843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
A01G 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する一対の吸水性、保水性を有するシート同士を当接させるとともに上記一対のシートを互いに幅方向で複数の接合箇所で接合して形成されるとともに上記接合箇所よりも下方では上記一対のシート同士の間が全て開放される給水シートと、上記給水シートを保持した吊り下げ具とを備え、
上記給水シートは、上記各シート間の隙間に葉菜植物の種子又苗を保持した状態で上記吊り下げ具を介して発芽容器内又は定植板に吊り下げられる
ことを特徴とする種子及び苗用ホルダー。
【請求項2】
上記各シートが不織布、水に溶けにくい紙、又はウレタンフォームで成形されている
ことを特徴とする請求項1に記載の種子及び苗用ホルダー。
【請求項3】
上記吊り下げ具が、支持板と、上記支持板の側面から突出して上記給水シートを貫通する一つ又は複数の突起と、上記支持板に設けた引掛け部とを有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の種子及び苗用ホルダー
【請求項4】
上記引掛け部が、上記支持板の上端に水平に取り付けたロッド、上記支持板の上端両側に張出すフック、上記支持板の上部を逆U字状に折り曲げたフック、又は上記支持板の側面に形成したテーパ面で構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の種子及び苗用ホルダー。
【請求項5】
上記吊り下げ具が、水平なロッド部と、上記ロッド部から下方に延ばしたフックとを備えた線材から構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の種子又は苗用ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水菜、小松菜、リーフレタス、サラダ菜、その他の葉菜植物の水耕栽培に適するばかりでなく、特にほうれん草の種子の播種から苗の定植まで連続して利用できる種子及び苗用ホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、葉菜植物の栽培には、播種―発芽―定植―収穫までの一連の工程に対応できる産業用のみならず家庭用の水耕栽培装置が開発されるようになっている。
【0003】
この場合、大きな育苗床に種子を播種させ、次いで種子が発芽してある程度の大きさの苗に育った時、この苗を育苗床から個々に分離してそれぞれ栽培ベッドに設けた定植板に移植し、栽培時期までこの定植板に保持して養液を当てながら育成する方法が採用されている。
【0004】
そして、この育苗床としては、例えば、特許文献1に開示されているような育苗用シートが利用されている。
この育苗用シートはポリウレタンフォームシートに縦横にミシン目を形成して複数の小片分離できるようにし、またこの小片にスリットを形成し、このスリットに種子を播種させて適度の温度、湿度の下で発芽させた後に発芽がすすんだ小片ごとに切り取って定植板の定植孔に挿入して移植させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-83481号公報(図1、段落0004、0005参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に示す育苗用シートから成る育苗床には特に機能上の欠陥があるわけではないが、次のような不具合の改善が望まれている。
すなわち、この育苗床ではスリット内に種子を入れて播種させる手作業が面倒であること、発芽した種子が入った小片ごとにミシン目を介して切断してウレタンフォームシートから分離し、次いでこの小片ごとにその都度定植板に移植しなければならず、その作業が面倒であること、小片の切り取り時や小片を定植板の定植孔に挿入させる際に根や子葉を損傷させる恐れがあること、等の不具合がある。
そこで、本発明の目的は、種子を播種させる作業性を向上させ、更に発芽した苗を定植板に移植させる際に根や子葉を損傷させることなく簡単且つスムースに行え、ほうれん草の栽培にも適用できる種子及び苗用ホルダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成させるため、本発明の種子及び苗用ホルダーは、相対向する一対の吸水性、保水性を有するシート同士を当接させるとともに上記一対のシートを互いに幅方向で複数の接合箇所で接合して形成されるとともに上記接合箇所よりも下方では上記一対のシート同士の間が全て開放される給水シートと、上記給水シートを保持した吊り下げ具とを備え、上記給水シートは、上記各シート間の隙間に葉菜植物の種子又は苗を保持した状態で上記吊り下げ具を介して発芽容器内又は定植板に吊り下げられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の種子及び苗用ホルダーによれば、これを使用することにより次の効果を達成できる。
A)種子の播種時には二枚のシート間の隙間に種子を入れるだけで播種できるから播種作業が容易で、播種作業のスピードアップを図れる。
B)同じく、二枚のシートは吸水性、保水性に富むからこのシートに所定量の水を供給することで発芽に適した水量、湿度、酸素を調節でき、植物に応じた発芽管理が可能となる。
C)定植時には給水シート内で発芽させた苗をそのままの状態を維持しながら定植板に持って行って吊り下げれば移植できるので播種-発芽-定植-収穫までの工程を一つのホルダーを使用して連続行え、水耕栽培の作業や管理の省力化が図れる。
D)苗を保持したまま定植板に吊り下げれば移植できるので、移植時に根や子葉に損傷を与えないで済む。
E)同じく定植時には、二枚のシート間に下方に向けて隙間があるので根はこの隙間から下方に自然にびて根にストレスを与えることなくスムースに伸長させることができる
)播種時や移植時には独立して発芽容器又は定植板に複数吊り下げできるので、それぞれのホルダーを独立して管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態種子及び苗用ホルダーを利用した発芽装置の分解斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態種子及び苗用ホルダーの分解斜視図である。
図3図1のX-X線縦断面図である。
図4図1のY-Y線縦断面図である。
図5】(A)は給水シートに水を供給している状態の種子及び苗用ホルダーの縦断正面図であり、(B)は発芽した苗を保持している種子及び苗用ホルダーの縦断正面図である。
図6】苗を保持した種子及び苗用ホルダーを取り出す状態を示す発芽容器の斜視図である。
図7】苗を保持した種子及び苗用ホルダーを取付ける状態を示す定植板の斜視図である。
図8】苗を保持した定植板を取付けた状態の水耕栽培ベッドの斜視図である。
図9図8のV-V線縦断面図である。
図10図8のU-U線縦断図である。
図11】(A)は他の実施の形態に係る種子及び苗用ホルダーの分解斜視図であり、(B)は他の実施の形態に係る種子及び苗用ホルダーの斜視図である。
図12図11の種子及び苗用ホルダーを取り付ける状態を示す定植板の斜視図である。
図13】(A)は更に別の実施の形態に係る種子及び苗用ホルダーの分解斜視図であり、(B)は更に別の実施の形態に係る種子及び苗用ホルダーの斜視図である。
図14図13の種子及び苗用ホルダーを取り付ける状態を示す定植板の斜視図である。
図15】(A)は別の実施の形態に係る種子及び苗用ホルダーの分解斜視図であり、(B)別の実施の形態に係る種子及び苗用ホルダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、水菜、小松菜、リーフレタス、サラダ菜、その他の葉菜植物の水耕栽培に適する種子及び苗用ホルダーに関し、特にほうれん草の発芽用及び定植用に利用できる種子及び苗用ホルダー(以下ホルダーと略称する)に関するものである。
【0011】
近時の葉菜植物の水耕栽培では播種―発芽―定植の工程を経て収穫の工程に進むが、本発明に係るホルダー2はこのうち図1図5に示すように種子の播種から発芽までの工程時、図6図10に示すように、その後の苗の定植板への移植工程及び収穫工程時にも連続して利用できるものである。
即ち、このホルダー2の利用により、播種から発芽工程時に水量、温度、酸素管理を適正に行え、併せて簡単に苗の定植工程に移行できるようにしたものである。
【0012】
このホルダー2は、図1図2に示すように、相対向する一対の吸水性、保水性を有するシート4a、4bを当接させた給水シート4と、給水シート4を保持した吊り下げ具5とを備えている。
吊り下げ具5は支持板5aと、支持板5aの側面から突出して給水シート4を貫通する一つ又は複数の突起5bと支持板5aに設けた引掛け部5cとで構成されている。
このホルダー2は、各シート4a、4b間の隙間Qに葉菜植物の種子Pを播種させた状態を保持させた状態で吊り下げ具5を介して給水シート4を発芽容器1(図1図5参照)内に吊り下げ、又は隙間Q内に苗Rを保持させた状態で定植板10(図7参照)の側部に吊り下げるものである。
即ち、播種-発芽工程では発芽容器1に吊り下げた状態で図5(A)に示すように、各シート4a、4b間の隙間Qに葉菜植物の種子Pを投入して播種させ、次いで図5(B)に示すように発芽した苗Rを保持させておく。
さらに、定稙板10に移植させる場合は、図6に示すようにホルダー2を発芽容器1から一つ一つ抜き出して図7に示すように苗Rを保持させた状態で吊り下げ具5を定植板10の側部に吊り下げるものである。
【0013】
以下さらに詳しく述べると、本発明に係るホルダー2を利用した葉菜植物の発芽装置は、図1に示すように、発芽容器1と発芽容器1内に取り外し自在に吊り下げるホルダー2と、発芽容器1の開口部に着脱自在に取付ける蓋3とからなるものである。
ホルダー2は上記したように、給水シート4と、給水シート4を保持した吊り下げ具5とで構成さ、各シート4a、4b間の隙間Qに葉菜植物の種子Pを播種させた状態で吊り下げ具5を介して給水シート4を発芽容器1内に吊り下げるものである。
この場合、発芽容器1の対向する両側内壁に肉厚な段部6、6を長手方向に沿って形成し、各段部6、6上にそれぞれに任意の間隔を置いて複数の溝7を形成し、各溝7に引掛け部5cを引掛けて給水シート4を吊り下げるようになっている。
上記の溝7は発芽容器1の側壁の上端1aに形成しても良いが、蓋3を取付けるために段部6を形成し、この段部6上に蓋3を置くようにしている。
上記給水シート4を構成る二枚の各シート4a、4bは吸水性、保水性を有する材料、例えば、不織布、水に溶けにくい紙又はウレタンフォームで成形されている。
要するに、シート4a、4bは毛細管現象を利用して水分、養分、溶存酸素を種子に供給するものであればよい。
この場合、一方のシート4bの上部4cを他方のシート4aの上部より長くしているのが好ましい。
これは、上部が長い他方のシート4bの上端を手動又は工具で水平方向に押すことでシート間の上部隙間Qを拡げ、上方から種子Pを隙間Qに簡単に落下させて播種作業を容易にさせる為である。
上記引掛け部5cは図2に示すように支持板5aの上端に水平に取り付けたロッド5dで構成さ、このロッド5dの両端部を上記発芽容器1の溝7に嵌合して給水シート4を吊り下げるようになっている。
次に播種から発芽までの工程を説明する。
この発芽方法は、上記のホルダー2を利用するもので、次の工程からなるものである。
すなわち、図1に示すように、予め複数のホルダー2を用意しておき、吊り下げ具5を溝7に引掛けながらそれぞれ発芽容器1内に吊り下げておく(第一工程)。
次に、この状態でシート4a、4b間の上方の隙間Qを手動又は器具で拡げながら図3に示すようにこの隙間Qにそれぞれ種子Pを任意の間隔を置いて一つ又は複数落下させて収容させ、所定期間保管して待機させておく(第二工程)。
この場合、一対のシート4a、4bはa点で部分的に接合されているので両者の内面同士が接触しており、種子Pが発芽容器1内に落下するのが防止される。
次に、葉菜植物に応じた収穫期間から逆算して所定期間、例えば数日前に図5(A)に示すように給水シート4、言い換えれば、一対の各シート4a、4bに給水器Kを介して所定量の水を供給し、毛細管現象を利用して含浸させ、この水を種子Pに付与させる(第三工程)。
この所定量の水量は温度、酸素にも関係し、栽培しようとする植物に応じて適正に処理させることが肝要である。
次に種子Pを収容したホルダー2を複数吊るした発芽容器1の開口部に蓋3を被せて倉庫などの部屋に保管、葉菜植物の適正に沿って遮光、保温、保湿、酸素管理を行う(第四工程)。
この場合、蓋3を被せる代わりに発芽容器1を積み重ねて遮光、保温、保湿、酸素を管理しながら保管しても良い。
これらの管理は栽培する植物対応して行うもので、例えば、ほうれん草の発芽には上記水の水量から遮光、保温、保湿、酸素の管理が行われるものである。
この第四工程中に図5(B)に示すようにまず種子Pから根が出て一対のシート4a、4b間の隙間Qから下方にび出し、次に子葉がび出し発芽を達成させる。
本発明のホルダー2を利用した発芽装置によれば、次の効果を達成できる。
すなわち、発芽容器1に吊り下げた給水シート4の隙間に植物の種子Pを播種し、二枚のシート4a、4bに所定量の水を供給してこの水を含浸させるだけで種子が発芽するので発芽させる作業が容易であり作業性の向上を図れる。
しかも栽培しようとする植物に対応してその都度給水シート4に含浸させる水の水量を調節でき、その結果併せて植物の種子の発芽に適した発芽容器1内の保温、保湿管理が可能となる。
また、二枚のシート4a、4bは吸水性、保水性に富むからこのシート4a、4bに所定量の水を供給することで発芽および育苗に適した水量、湿度、温度を調節でき、植物に応じた発芽管理が可能となる。
さらに、給水シート4が二枚のシート4a、4bから成っていて、二枚のシート4a、4b間には下方に向けて隙間があるので根はこの隙間から下方に自然に延びて根にストレスを与えることなくスムースに伸長させることができる。
ホルダー2は独立して発芽容器1内に複数吊り下げできるので、それぞれのホルダー2を独立して管理できる。
さらに、給水シート4に種子Pを播種したまま発芽容器1に吊り下げておくので、発芽させることなく種子Pを保管でき、この状態を葉菜植物の適正な収穫時期に合わせて待機させておき次の発芽工程の準備しておくことが出来る。
また、葉菜植物の適正な収穫時期が近づいた時にはこの時期から逆算して所定の期間前、例えば、数日前に給水シート4に所定量の水を供給して含浸させることにより種子を発芽させることができる。
【0014】
従って、播種から発芽、その後の収穫までの水耕栽培の管理を無駄なく適正に行うことができる。
本発明のホルダー2を利用した発芽装置では上記の工程で種子Pを発芽させるものであるが、発芽した苗Rを定植板10に移植させる場合には苗Rを保持したホルダー2をそれぞれ図6に示すように発芽容器1から引きげ、そのまま養液が収用されている別の栽培ベッドの定植板10の側部に吊り下げるものである。
以下定植板10への移植工程を図7図10に基づいて説明する。
【0015】
本発明の実施の一例に係るホルダー2を利用した栽培ベッドは、図8に示すように、養液Wを収容した定植容器11と、この定植容器11の開口部に着脱自在に載置した定植板10とを備えているものである。
そして、本発明に係るホルダー2は上記したように発芽容器1から引き上げた後に苗Rを保持させた状態でそのまま定植板10の側部に吊り下げ、給水シート4の下部を養液Wに浸すものである。
定植板10は図7に示すように、板状の板本体10aと、板本体10aの側面部に形成した一つ又は複数の凹溝10bと、凹溝10bの両側に形成した引掛け溝10c、10cとで構成されている。
【0016】
定植板10一つだけ定植容器11に設け、この単一の定植板10にホルダー2を介して葉菜植物の苗Rを一つ吊り下げても良いが、図8図9に示すように二つ以上の定植板10を結合して水平方向に連続して載置し、それぞれの定植板10,10間に苗Rを吊り下げて多量生産に対応させるのが好ましい。
この場合は図7に示すように、それぞれの板本体10aの右側面部に形成して凹溝10bの両側から水平に張出す少なくとも一対のフック10e、10eと、左側面部にフック10e、10eと対向する位置に形成した一対の係合溝10d、10dとを設け、一方の、例えば、図5における左側の定植板10のフック10eを他方の右側の定植板10の係合溝10dに嵌合して二つの定植板10、10を結合し、少なくとも二つ以上の定植板10、10を平行に並べて定植容器11の開口部に載置するようになっている。
上記引掛け溝10cは図7に示すように、上記フック10eの背面部に上記凹溝10bに向けて形成されている。
この引掛け溝10c、10cに後述する引掛け部5cを引掛けた時ホルダー2が凹溝10b内に吊り下げられるようになっている。
【0017】
栽培ベッドでは発芽容器1で発芽させた葉菜植物の苗Rをホルダー2が保持したまま移植させ、収穫まで管理させるものである。
定植板10を多数並べてそれぞれの定植板10にそれぞれ苗Rを吊り下げて多数移植させる場合は、例えば、図7における左側の一方の定植板10の凹溝10bに苗Rを収容した後、右側の他方の定植板10の係合溝10dに左側の定植板10のフック10eを係合させ、二つの定植板10、10を水平な状態で結合させなら苗Rを両側の定植板10、10間に吊り下げ、この状態を図8に示すように連続して定植板10を接続すれば良い。
上記のようにホルダー2を介して葉菜植物の苗Rを定植容器11内に吊り下げた時給水シート4と葉菜植物の苗Rの根RAが養液Wに浸入し根RAが直接又は給水シート4を介して養液Wを吸収し、生育される。
【0018】
図11図12は本発明の他の実施の一例に係るホルダー2を示すものであり、この実施の形態に係るホルダー2は図2に示す引掛け部5cの構成を変更したものである。
即ち、この引掛け部は支持板5aの上端を逆U字状に折り曲げて成形されたフック5eであり、図12に示すように、定植板10の上面に凹溝10bに近接して形成した係止溝10jに嵌合してホルダー2全体を定植板10の側部に吊り下げるようにしている。
なお、この実施の形態に係るホルダー2を図1の発芽容器1に吊り下げる場合はフック5eに支持ロッド5fを挿入し、この支持ロッド5fを発芽容器1の溝7に引掛ければ良い。
上記フック5eは支持板5aの上端両側に形成されていても良い。
同じく、図13図14は引掛け部の構成を変更した本発明の更に別の実施の形態に係るホルダー2を示す。
このホルダー2の引掛け部は支持板5aの両側に係止したテーパ面5gからなるもので、定植板10の凹溝10bの両側に形成した傾斜溝10fに楔状に差し込んでホルダー2全体を吊り下げるようにしたものである。
このホルダー2を発芽容器1に吊り下げる場合は、発芽容器1の内側にテーパ面5gをもつ引掛け部を嵌合させる傾斜溝を形成しておく必要がある。
図15は更に別の実施の形態に係るホルダー2を示す。
【0019】
このホルダー2の吊り下げ具5が水平なロッド部5kと、ロッド部5kから下方に延ばしたフック5jとを備えた線材5iから構成されているものである。
そして、このホルダー2の引掛け部は上記のフック5jからなるもので、吸水シート4の上部両側に形成した孔5hにフック5jを引掛けて給水シート4を吊り下げ、線材5iの水平なロッド部5kの両端を例えば発芽容器1の溝7や定植板10の凹溝10bに引掛けるようにしたものである。
但し、上記線材5iは図2に実施の形態のように支持板5aを設け、この支持板5aに形成した孔にフック5jを引掛けるようにしても良い。
図11図15の実施の形態に示すホルダー2の他の構成、作用、効果は図1図2に示すホルダー2と同じであるので詳細は省略する。
本発明のホルダー2を利用した栽培ベッドでは次の効果を達成できる。
すなわち、発芽容器1で発芽させた葉菜植物の苗Rを定植板10にホルダー2を介して吊り下げるだけで移植作業を行えるので移植作業を簡単且つスムースに行える。
苗Rを定植板10に吊り下げるだけ移植できるので無理に定植板10の定植孔等に押し込む必要が無く、その結果苗Rの損傷を防止できる。
苗Rを吊り下げた時自動的に苗Rの根RAを養液W内に垂れ下げることができ、根RAを養液W内に侵入させる作業が不要である。
ホルダー2を介して苗Rを吊り下げるので、移植時に苗Rの根RAに付着している塵等が作業者の手に付着するのが防止できる。
苗Rを保持したホルダー2は独立して定植板10の側部に複数吊り下げできるので、それぞれの苗Rを独立して管理できる。
収穫時成長した葉菜植物を切断して回収した後に根RAを定植板10から取り出す際、この根RAが成長に伴い太くなっていたとしても、定植板10、10を分離すれば、容易にこの根RAを定植板10から取り外すことができる。
なお、本発明に係るホルダー2は最初から定植板10の側部に吊り下げながら給水シート4の下部を栽培ベッド内の養液に垂れ下げておき、この状態で給水シート4の隙間Qに播種させ、そのまま発芽から栽培まで連続した水耕栽培装置として利用することも可能である。
【符号の説明】
【0020】
4 給水シート
4a、4b シート
5 吊り下げ具
5a 支持板
5b 突起
5c 引掛け部
5d ロッド
5e フック
5g テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15