(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】浄水機能付き吐水ヘッド、浄水カートリッジ及び水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20230214BHJP
F16K 11/076 20060101ALI20230214BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20230214BHJP
【FI】
E03C1/042 B
F16K11/076 Z
C02F1/00 B
(21)【出願番号】P 2018212902
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】緒方 尚樹
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特許第6356940(JP,B1)
【文献】特許第6416452(JP,B1)
【文献】特開2013-180252(JP,A)
【文献】特開2016-059826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と
接続端部とを有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記被規制部材が、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替弁であ
り、
前記規制部材が、前記浄水カートリッジの前記規制解除部に当接する規制解除当接部を有しており、
前記規制解除部が、前記浄水カートリッジの中心線と同軸の円環面であり、
前記規制解除当接部が、前記浄水カートリッジの中心線と同軸の円環面である浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項2】
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と
接続端部とを有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記被規制部材の回転軸が、前後方向に沿った直線であ
り、
前記規制部材が、前記浄水カートリッジの前記規制解除部に当接する規制解除当接部を有しており、
前記規制解除部が、前記浄水カートリッジの中心線と同軸の円環面であり、
前記規制解除当接部が、前記浄水カートリッジの中心線と同軸の円環面である浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項3】
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と接続端部とを有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記被規制部材が、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替弁であり、
前記
回転操作部の回転軸、前記被規制部材の回転軸、
前記第1状態における前記規制部材の中心線、
前記第2状態における前記規制部材の中心線、及び、前記浄水カートリッジの中心線が同一であ
る浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項4】
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と接続端部とを有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記被規制部材の回転軸が、前後方向に沿った直線であり、
前記
回転操作部の回転軸、前記被規制部材の回転軸、
前記第1状態における前記規制部材の中心線、
前記第2状態における前記規制部材の中心線、及び、前記浄水カートリッジの中心線が同一であ
る浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項5】
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と接続端部とを有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記被規制部材の回転軸が、前後方向に沿った直線であ
り、
前記第1状態にある前記規制部材が、前記被規制部材の前記回転を直接規制している浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項6】
前記規制部材が、前記浄水カートリッジの前記接続端部を受け入れるカートリッジ受入部を有している
請求項1から5のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項7】
前記被規制部材が、前記規制部材の先端部を受け入れる規制部材受入部を有しており、
前記被規制部材及び前記規制部材が、前記浄水流路と前記原水流路とを仕切る流路形成部を構成している請求項
1から6のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項8】
前記第1状態が、前記規制部材の並進移動における第1位置であり、
前記第2状態が、前記規制部材の並進移動における第2位置である
請求項1から7のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項9】
前記規制部材が、前記第1位置では前記被規制部材と係合して当該被規制部材の回転を阻止し、前記第2位置では前記被規制部材と係合せず当該被規制部材の回転を許容する規制係合部を有しており、
前記被規制部材が、前記規制部材が前記第1位置にあるとき前記規制係合部と係合する回転阻止部と、前記規制部材が前記第2位置にあるとき前記規制係合部との係合を回避する回転許容部とを有している請求項
8に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項10】
前記規制部材と前記被規制部材との間に弾性体が配置されており、
この弾性体が、前記規制部材を第1位置側に付勢している請求項
8又は9に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッドを備えた水栓装置。
【請求項12】
請求項1から
10のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッドにおける前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジであって、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる前記規制解除部を有している浄水カートリッジ。
【請求項13】
浄水機能部と、
前記浄水機能部の下流側に配置され
、前記規制部材に水密に接続される前記接続端部とを有する請求項
12に記載の浄水カートリッジ。
【請求項14】
前記接続端部が、前記規制部材の内側に挿入される
請求項13に記載の浄水カートリッジ。
【請求項15】
前記浄水カートリッジの中心線が前記規制部材の中心線と一致するように、前記カートリッジ装着部に配置される、
請求項12から14のいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
【請求項16】
前記第1状態が、前記規制部材の並進移動における第1位置であり、
前記第2状態が、前記規制部材の並進移動における第2位置である、請求項
12から
15のいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浄水機能付き吐水ヘッド、浄水カートリッジ及び水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水質浄化用カートリッジを内蔵し、浄水機能を有する吐水ヘッドが知られている。特許第3454756号公報は、原水流路と浄水流路との切り替えが可能な浄水機能付きシャワーヘッドを開示する。特許第6356940号公報は、吐出口からの吐水が原水か浄水かを切り替えうる切替機構を有する浄水機能付き吐水ヘッドを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3454756号公報
【文献】特許第6356940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の吐水ヘッド又は当該吐水ヘッドを有する水栓装置は、原水と浄水との切替を可能とする操作部を有する。吐水が原水か浄水かを表示する表示部が設けられている場合もある。
【0005】
操作、操作部の状態、表示等を通じて、使用者は、吐水が原水か浄水かを認識しうる。浄水カートリッジの入れ忘れ等の理由で、浄水カートリッジが入っていない状態が生じうるが、この状態でも、使用者は、浄水が出ていると誤解したまま水栓を使用することがある。すなわち、実際には原水が出ているのにも関わらず、浄水が出ていると誤認される事態が起こる。
【0006】
そこで、特許第6356940号公報に記載の吐水ヘッドでは、浄水カートリッジが装着されていない時に原水から浄水への切替を規制する規制部材が設けられている。
【0007】
本開示は、特許第6356940号公報とは異なる構成により前記誤認を防止しうる吐水ヘッドに関するものである。
【0008】
本開示は、吐水に対する誤認を防止しうる浄水機能付き吐水ヘッド、浄水カートリッジ及び水栓装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様では、浄水機能付き吐水ヘッドは、原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有する浄水カートリッジと、カートリッジ装着部と、を有している。前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる。前記切替機構は、回転操作部と、前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有している。前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制している。前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容している。前記被規制部材が、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替弁である。
【0010】
他の態様では、浄水機能付き吐水ヘッドは、原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有する浄水カートリッジと、カートリッジ装着部と、を有している。前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる。前記切替機構は、回転操作部と、前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有している。前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制している。前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容している。前記被規制部材の回転軸が、前後方向に沿った直線である。
【0011】
他の態様では、浄水機能付き吐水ヘッドは、原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と接続端部とを有する浄水カートリッジと、カートリッジ装着部と、を有している。前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる。前記切替機構が、回転操作部と、前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有している。前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制している。前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容している。前記規制部材が、前記浄水カートリッジの前記接続端部を受け入れるカートリッジ受入部を有している。
【0012】
他の態様では、浄水機能付き吐水ヘッドは、原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有する浄水カートリッジと、カートリッジ装着部と、を有している。前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる。前記切替機構が、回転操作部と、前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有している。前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制している。前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容している。前記第1状態が、前記規制部材の並進移動における第1位置である。前記第2状態が、前記規制部材の並進移動における第2位置である。
【0013】
他の態様は、前記浄水機能付き吐水ヘッドのいずれかを備えた水栓装置である。
【0014】
他の態様は、前記いずれかの浄水機能付き吐水ヘッドにおける前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジであって、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる前記規制解除部を有している浄水カートリッジである。
【0015】
他の態様は、原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、カートリッジ装着部とを有する吐水ヘッドの、前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジである。この浄水カートリッジは、浄水機能部と、前記カートリッジ装着部に装着されることで、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、前記規制部材に水密に接続される接続端部とを有する。
【0016】
他の態様は、原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、カートリッジ装着部とを有する吐水ヘッドの、前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジである。この浄水カートリッジは、浄水機能部と、前記浄水機能部の下流側に配置された接続端部と、前記カートリッジ装着部に装着されることで、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、を有している。前記接続端部は、前記規制部材の内側に挿入される。
【0017】
他の態様は、原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、カートリッジ装着部とを有する吐水ヘッドの、前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジである。この浄水カートリッジは、浄水機能部と、前記浄水機能部の下流側に配置された接続端部と、前記カートリッジ装着部に装着されることで、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、を有している。この浄水カートリッジは、前記浄水カートリッジの中心線が前記規制部材の中心線と一致するように、前記カートリッジ装着部に配置される。
【発明の効果】
【0018】
一つの側面では、吐水に対する誤認が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る水栓装置の斜視図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、
図1の水栓装置における吐水ヘッドの正面図である。
図2(a)において回転操作部は原水吐出位置にあり、
図2(b)において回転操作部は浄水吐出位置にある。
【
図3】
図3(a)は
図2のA-A線に沿った断面図であり、
図3(b)は
図2のB-B線に沿った断面図である。
図3(a)は原水吐出状態の断面図であり、
図3(b)は浄水吐出状態の断面図である。
【
図4】
図4は、上記吐水ヘッドの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、浄水カートリッジが装着されていない状態における上記吐水ヘッドの断面図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は切替弁の斜視図であり、
図6(c)は切替弁の側面図であり、
図6(d)は切替弁の正面図であり、
図6(e)は切替パッキンの斜視図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は規制部材の斜視図であり、
図7(c)は規制部材の側面図であり、
図7(d)は規制部材の正面図である。
【
図8】
図8は、切替弁と規制部材とを示す側面図である。
図8では、規制部材が第1位置にあり、切替弁は第1回転位置にある。
図8では、規制部材によって切替弁の回転が規制されている。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、切替弁と規制部材とを示す側面図である。
図9(a)では、規制部材が第2位置にあり、切替弁は第1回転位置にある。
図9(b)では、規制部材は第2位置にあり、切替弁は第1回転位置から第2回転位置に向かう途中にある。
図9(a)及び
図9(b)では、規制部材による切替弁の回転規制が解除されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面が参照されつつ、本開示の実施形態が詳細に説明される。
【0021】
なお、特に説明しない限り、本願における径方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジPC1の径方向を意味する。特に説明しない限り、本願における軸方向とは、正規位置に取り付けられた浄水カートリッジPC1の軸方向を意味する。
【0022】
特に説明しない限り、吐水ヘッドにおいて、先端側が前方又は前側とされ、根元側が後方又は後側とされる。換言すれば、回転操作部側が前方又は前側とされ、本体部側が後方又は後側とされる。特に説明しない限り、前後方向とは、前記前方と後方とを結ぶ方向である。前後方向は、前記軸方向を含む。前後方向は、前記軸方向に略平行な方向を含む。略平行な方向とは、前記軸方向からの相違角度が30°以下、更には20°以下、更には10°以下の方向とされうる。
【0023】
特に説明しない限り、本願における上流側とは、水の流れにおける上流の側、下流側とは水の流れにおける下流の側を意味する。
【0024】
図1は、第1実施形態に係る水栓装置2の斜視図である。水栓装置2は、流し台(図示されず)に取り付けられる。なお、水栓装置2の設置場所として、流し台の他、洗面台及び浴室が例示される。
【0025】
水栓装置2は、本体部4、レバーハンドル6及び吐水ヘッド8を有する。水栓装置2は、いわゆるシングルレバー式水栓である。レバーハンドル6の左右回動により吐水の温度が調節されうる。レバーハンドル6の上下回動により吐水量が調節されうる。本体部4の内部には、吐水の温度及び吐水量の調節を可能とする弁機構が内蔵されている。この弁機構は公知である。
【0026】
図示は省略されているが、水栓装置2を有する水栓器具は、湯導入管及び水導入管を有する。湯導入管は、例えば、給湯器から延びる配管に接続される。水導入管は、例えば、給湯器を経ることなく、上水道の配管に接続される。
【0027】
前記湯導入管には、加熱された湯が導入される。加熱は、給湯器によりなされる。前記水導入管には、加熱されていない水が導入される。前記弁機構により、湯と水との混合比率が調整される。この混合比率により、吐水の温度調節が達成される。なお以下では、加熱された湯、加熱されていない水及びこれらの混合液体が、単に「水」と称される場合がある。
【0028】
吐水ヘッド8は、導水部10、切替部12、回転操作部14、水形調整部16及び吐出口18を有する。導水部10は、把持部としても機能する。
【0029】
水形調整部16は、吐出される水の形状(水形)を変化させうる。シャワー水形、ストレート水形及びそれらの中間的な水形が選択されうる。
【0030】
吐水ヘッド8は、原水流路及び浄水流路を有する。原水流路が選択された場合、吐出口18から原水が吐出される。原水が吐出される状態が、原水吐出状態とも称される。浄水流路が選択された場合、吐出口18から浄水が吐出される。浄水が吐出される状態が、浄水吐出状態とも称される。
【0031】
切替部12は、回転操作部14の操作によって原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り換えうる切替機構を有している。この切替機構の詳細は、後述される。
【0032】
図2(a)及び
図2(b)は、吐水ヘッド8の正面図である。
図2(a)は、原水吐出状態における正面図である。原水吐出状態では、回転操作部14の回転位置が原水吐出位置S1にある。
図2(b)は、浄水吐出状態における正面図である。回転操作部14の回転軸は、前後方向に沿った直線である。回転操作部14の回転軸は、軸方向に沿った直線である。回転操作部14の回転軸は、浄水カートリッジPC1の中心線と共通である。浄水吐出状態では、回転操作部14の回転位置が浄水吐出位置S2にある。回転操作部14をθ°回転することで、原水吐出状態と浄水吐出状態との間の切り替えが達成される。本実施形態では、角度θは90°である。
【0033】
図3(a)は、
図2(a)のA-A線に沿った断面図である。
図3(a)は原水吐出状態における吐水ヘッド8の断面図である。
図3(b)は、
図2(b)のB-B線に沿った断面図である。
図3(b)は、浄水吐出状態における吐水ヘッド8の断面図である。
図4は、吐水ヘッド8の分解斜視図である。なお、
図3(a)及び
図3(b)では、水形調整部16の内部機構の記載が省略されている。
【0034】
図4が示すように、吐水ヘッド8は、外筒部24と、ヘッドカバー26とを有している。外筒部24は、2層構造の円筒部材である。外筒部24及びヘッドカバー26は、回転操作部14及び水形調整部16と共に、吐水ヘッド8の外面を形成している。
【0035】
吐水ヘッド8は、浄水カートリッジPC1を有する。浄水カートリッジPC1は、外筒部24の内側に配置されている。前述した導水部(把持部)10が、外筒部24と浄水カートリッジPC1とを有する。
【0036】
浄水カートリッジPC1の外側には原水流路WGが形成されており、浄水カートリッジPC1の内部には浄水流路WJが形成されている(
図3(a)及び
図3(b)参照)。原水吐出状態にあるとき、原水流路WGを通過した原水が、切替機構内の原水流路WGを経由して、吐出口18から排出される。一方、浄水吐出状態にあるとき、原水は、浄水カートリッジPC1の外側から内部に至る過程で、浄水カートリッジPC1の浄水機能部を透過して濾過され、浄水となる。浄水は、浄水カートリッジPC1の内部の浄水流路WJ及び切替機構内の浄水流路WJを経由して、吐出口18から排出される。
【0037】
図4が示すように、吐水ヘッド8は、回転操作部14、操作部ガイド30、切替カバー32、切替コマ34、第1ヘッド36、カム部材40、切替パッキン42、切替弁44、弾性体46、規制部材50、第2ヘッド52、及び、水形切替アッシー54を有する。
【0038】
回転操作部14は操作部ガイド30に固定されている。回転操作部14は操作部ガイド30と共に回転する。切替カバー32は第1ヘッド36に固定されている。切替カバー32は切替コマ34を回転可能に支持している。切替コマ34は操作部ガイド30に固定されている。切替コマ34は操作部ガイド30と共に回転する。切替コマ34は回転操作部14と共に回転する。切替コマ34の回転は、切替弁44に伝達される。切替弁44は切替コマ34と共に回転する。切替弁44は回転操作部14と共に回転する。
【0039】
第1ヘッド36と第2ヘッド52とは互いに連結され、規制部材50に係る機構及び切替機構を収容している。弾性体46は圧縮コイルバネである。弾性体46は切替弁44と規制部材50との間に配置されている。弾性体46は規制部材50が切替弁44から離れるように規制部材50を付勢している。換言すれば弾性体46は規制部材50を後方に付勢している。水形切替アッシー54は、水形調整部16及び吐出口18を有している。
【0040】
図5は、浄水カートリッジPC1が装着されていない吐水ヘッド8の断面図である。吐水ヘッド8は、カートリッジ装着部60を有している。
図5と
図3(a)又は
図3(b)との対比から分かるように、カートリッジ装着部60に浄水カートリッジPC1が装着されているか否かによって、規制部材50の位置が変化する。この規制部材50の移動の詳細は、後述される。
【0041】
図6(a)は切替弁44の斜視図であり、
図6(b)は別の角度から見た切替弁44の斜視図であり、
図6(c)は切替弁44の側面図であり、
図6(d)は切替弁44の正面図である。
図6(e)は、切替パッキン42の斜視図である。
【0042】
切替弁44は、軸部70と、中間部72と、後方部74とを有する。軸部70は、中間部72の前面から前方に突出している。軸部70は、切替弁44の中心線に沿って延びている。中間部72は、軸部70と後方部74との間に位置している。中間部72は円筒外面を形成している。後方部74は、円筒外面を形成している。後方部74の円筒外面の直径は、中間部72の円筒外面の直径よりも大きい。
【0043】
軸部70は、先端部70aと根元部70bとを有する。先端部70aの断面形状は非円形である。先端部70aの断面形状はD字型である。根元部70bの断面形状は円形である。断面非円形の先端部70aは切替コマ34に挿入されいる。切替コマ34の回転は切替弁44に伝達される。
【0044】
中間部72は、全体として円筒状である。中間部72は、前面原水孔72aと、前面浄水孔72bと、側面原水孔72cとを有している。前面原水孔72a及び前面浄水孔72bは、中間部72の前面に配置されている。側面原水孔72cは、中間部72の側面に設けられている。側面原水孔72cからの水路は、前面原水孔72aに繋がっている。複数(2つ)の前面原水孔72aのそれぞれに対応する側面原水孔72cが設けられている。側面原水孔72cから前面原水孔72aに至る流路は、原水流路WGの一部である。前面浄水孔72bは、切替弁44の内部の浄水流路WJに繋がっている。中間部72の側面には、前面浄水孔72bに繋がる孔は設けられていない。
【0045】
複数(2つ)の前面原水孔72aが設けられている。複数(2つ)の前面浄水孔72bが設けられている。
図6(d)がよく示すように、前面原水孔72aと前面浄水孔72bとは交互に配置されている。1つの前面原水孔72aの周方向角度θ1は、約90°である。1つの前面浄水孔72bの周方向角度θ2は、約90°である。角度θ1は角度θ2に等しい。
【0046】
後方部74は、全体として円筒状である。後方部74は、切替弁44の後端部を構成している。後方部74は、回転阻止部74aと回転許容部74bとを有する。回転許容部74bは、後方部74の周方向に沿って設けられた長穴である。回転許容部74bは、周方向の所定範囲に設けられている。回転許容部74bは長穴に限られず、例えば溝であってもよい。回転阻止部74aは、回転許容部74bの一端から後方に向かって延在する凹部である。後方部74において、回転阻止部74a及び回転許容部74bは周方向の複数箇所(2箇所)に設けられている。
【0047】
後方部74は、規制部材50の先端部を受け入れている(
図3(a)、
図3(b)及び
図5参照)。後方部74は、規制部材受入部76である。切替弁44は、規制部材50の先端部を受け入れる規制部材受入部76を有している。規制部材受入部76は円筒を形成している。
【0048】
図6(e)が示すように、切替パッキン42は、通水孔42aと、通水遮断部42bと、中央孔42cとを有する。中央孔42cには、切替弁44の軸部70が挿通される。複数(2つ)の通水孔42aが設けられている。複数(2つ)の通水遮断部42bが設けられている。通水孔42aと通水遮断部42bとが交互に配置されている。各通水孔42aは、前面原水孔72a及び前面浄水孔72bに対応した形状を有する。各通水遮断部42bも、前面原水孔72a及び前面浄水孔72bに対応した形状を有する。なお、切替パッキン42は、通水遮断部42bを有さなくても良い。切替パッキン42に代えて、切替パッキン42が固定されている部材(本実施形態では、第1ヘッド36)に通水遮断部が設けられうる。通水遮断部は、切替パッキン42に設けられてもよいし、第1ヘッド36に設けられてもよい。
【0049】
図7(a)は規制部材50の斜視図であり、
図7(b)は別の角度から見た規制部材50の斜視図であり、
図7(c)は規制部材50の側面図であり、
図7(d)は規制部材50の正面図である。
【0050】
規制部材50は、カートリッジ受入部80と、フランジ部82と、回転規制係合部84と、原水通過孔86と、規制係合部88と、シール配置部89とを有する。
【0051】
カートリッジ受入部80は、規制部材50の後端部を構成している。カートリッジ受入部80は円筒である。カートリッジ受入部80の中心線は浄水カートリッジPC1の中心線と共通である。カートリッジ受入部80の内側に浄水カートリッジPC1の接続端部102が挿入される。カートリッジ受入部80に浄水カートリッジPC1が水密に接続される。
【0052】
フランジ部82は径方向外側に突出している。フランジ部82は第2ヘッド52の内面に当接している。フランジ部82は、規制部材50の軸方向における移動を案内するスライドガイドとして機能している。
【0053】
フランジ部82は、貫通孔82aを有する。貫通孔82aにより、原水の流れが確保されている。すなわち、貫通孔82aは、原水流路WGを構成している。
【0054】
回転規制係合部84は、隣接部材と係合し、規制部材50の回転を阻止している。本実施形態において、回転規制係合部84は、フランジ部82の一部が欠けることによって形成された凹部である。
図7(d)が示すように、回転規制係合部84は、周方向における2箇所に設けられている。回転規制係合部84のぞれぞれは、第2ヘッド52の内面に設けられたスライドレール(図示されず)に係合している。回転規制係合部84は、規制部材50の移動を許容しつつ、規制部材50の回転を防止している。
【0055】
原水通過孔86は、規制部材50の外面の2箇所に設けられている。規制部材50には、第1の原水通過孔86から、第2の原水通過孔86に至る原水通路WG1が形成されている。規制部材50の内部は浄水流路WJであるが、部分的に、浄水流路WJから仕切られた原水流路WG(原水通路WG1)が形成されている。後述される浄水カートリッジPC1の第1シール部材108は、規制部材50の内部において、浄水流路WJと原水流路WGとを仕切っている。本実施形態では、原水通路WG1は、径方向に沿って延びている。原水通路WG1は、規制部材50を横断している。原水通路WG1は、原水流路WGの迂回路であり、原水流路WGの一部である。
【0056】
規制係合部88は、規制部材50の外面に設けられている。規制係合部88は、規制部材50の外面に形成された円周面96に設けられている。円周面96の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線と共通である。規制係合部88は、凸部である。規制係合部88は、径方向外側に突出している。規制係合部88は、周方向における複数箇所(2箇所)に設けられている(
図7(c)及び
図7(d)参照)。規制係合部88は、切替弁44の回転阻止部74aと係合しうる。なお、切替弁44の後方部74は、規制係合部88を回転阻止部74aの内側に導きうる導入部74cを有する(
図6(b)参照)。導入部74cは、軸方向に沿って延びる溝である。回転許容部74bの周方向における一端部に回転阻止部74aが形成され、回転許容部74bの周方向における他端部に導入部74cが形成されている。
【0057】
シール配置部89は、周溝である。
図7(a)~(d)には記載されていないが、シール配置部89には、シール部材94が配置されている(
図5参照)。このシール部材94は、Oリングである。シール部材94は、切替弁44の内周面に密着している。規制部材50は、切替弁44に、水密に接続されている。シール部材94として、Oリングの他、リップパッキンが例示される。好ましいリップパッキンとして、Yパッキン及びXパッキンが挙げられる。
【0058】
図4が示すように、浄水カートリッジPC1は、浄水機能部100と、接続端部102とを有する。接続端部102は、浄水カートリッジPC1の前端部を構成している。接続端部102は、浄水機能部100の下流側に配置されている。前述の通り、浄水機能部100を透過することで、原水が浄水となる。接続端部102の少なくとも一部は、規制部材50に挿入される。接続端部102は、規制部材50に接続される。
【0059】
図4の拡大部が示すように、接続端部102は、第1シール保持部104と、第2シール保持部106とを有する。第1シール保持部104は、浄水カートリッジPC1の先端部を構成している。第1シール保持部104には、第1シール部材108が装着されている。第2シール保持部106には、第2シール部材110が装着されている。第1シール部材108は、Oリングである。第2シール部材110は、Oリングである。第1シール部材108の外径は、第2シール部材110の外径よりも小さい。後述の通り、第1シール部材108は、規制部材50の内部において原水通路WG1を浄水流路WJから仕切る役割を果たす。第2シール部材110は、規制部材50の内面に密着する。第2シール部材110により、浄水カートリッジPC1は規制部材50に水密に接続している。
【0060】
第1シール保持部104は、前端面112を有する。前端面112は、浄水カートリッジPC1の先端面でもある。第2シール保持部106は、前端面114を有する。前端面114は、前向き面である。前端面114は、円環面である。前端面114は、軸方向に対して垂直な平面である。前端面114は、浄水カートリッジPC1を正面(軸方向前方)から見たときに視認される面である。
【0061】
接続端部102は、前向き面116を有する。前向き面116は、第2シール保持部106の後方に位置する。前向き面116は、円環面である。前向き面116は、軸方向に対して垂直な平面である。前向き面116は、浄水カートリッジPC1を正面(軸方向前方)から見たときに視認される面である。前向き面116の外径は、前端面114の外径よりも大きい。
【0062】
接続端部102は、浄水出口孔120を有する。浄水機能部100の内部を通った浄水は、浄水出口孔120から浄水カートリッジPC1の外側に流れる。第1シール保持部104は、第2シール保持部106から離れている。第1シール保持部104と第2シール保持部106との間に、浄水出口孔120が形成されている。第1シール保持部104と第2シール保持部106とは、連結部122で連結されている。複数(4つ)の連結部122が、周方向に等間隔で配置されている。互いに隣り合う連結部122同士の間に、浄水出口孔120が形成されている。連結部122は、前端面114と、第1シール保持部104の後端面とを繋いでいる。各連結部122は、前方にいくほど浄水カートリッジPC1の中心線に近づくように傾斜している。
【0063】
図5が示すように、規制部材50は、先端受入部130を有する。
図3(a)及び
図3(b)が示すように、先端受入部130に、浄水カートリッジPC1の第1シール保持部104が挿入される。前述した原水通路WG1は、この先端受入部130の内部を通過している。第1シール保持部104の第1シール部材108は、この原水通路WG1と、規制部材50の内部の浄水流路WJとを仕切っている。第1シール保持部104の前端面112は、原水通路WG1(原水流路WG)に面している。
【0064】
以下、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替える切替機構について説明する。
【0065】
前述の通り、切替弁44は、回転操作部14と共に回転する。本願では、原水吐出状態における切替弁44の回転位置が、第1回転位置とも称される。本願では、浄水吐出状態における切替弁44の回転位置が、第2回転位置とも称される。回転操作部14が原水吐出位置S1にあるとき(
図2(a))、切替弁44は第1回転位置R1にある(
図3(a))。回転操作部14が浄水吐出位置S2にあるとき(
図2(b))、切替弁44は第2回転位置R2にある(
図3(b))。
【0066】
切替パッキン42と切替弁44とによって、原水と浄水との切替がなされる。切替パッキン42は、第1ヘッド36に固定されている。切替弁44の回転位置に関わらず、切替パッキン42は回転しない。切替弁44が第1回転位置R1及び第2回転位置R2にあるとき、切替パッキン42は、切替弁44における中間部72の前面に当接している。切替弁44が第1回転位置R1にあるとき、前面原水孔72aは通水孔42aに重なり、前面浄水孔72bは通水遮断部42bに重なる。すなわち、前面原水孔72aは通水状態であるのに対して、前面浄水孔72bは塞がれる。このため、原水は流れ、浄水は遮断される。切替弁44が第2回転位置R2にあるとき、前面原水孔72aは通水遮断部42bに重なり、前面浄水孔72bは通水孔42aに重なる。すなわち、前面原水孔72aが塞がれるのに対して、前面浄水孔72bは通水状態となる。このため、原水は遮断され、浄水は流れる。このように、切替弁44は、回転によって原水吐出と浄水吐出とを切り替える回転切替弁である。
【0067】
なお、本実施形態では、切替弁44が第1回転位置R1と第2回転位置R2との間の回転位置にあるとき、切替弁44が切替パッキン42から離れる。この離間は、カム部材40に起因するカム機構によって達成されている。
図4が示すように、カム部材40は、軸挿入孔40aと、カム係合部40bとを有する。非円形断面を有する切替弁44の先端部70aは、切替コマ34に加えて、カム部材40の軸挿入孔40aに挿入されている。このため、カム部材40は、切替弁44と共に回転する。カム係合部40bは、切替カバー32に設けられたカム摺動面32a(
図4参照)に係合している。カム摺動面32aに形成された凹凸に起因して、カム部材40の回転運動は軸方向の移動に変換される。切替弁44が第1回転位置R1と第2回転位置R2との間の回転位置にあるとき、カム部材40は後方に移動し、このカム部材40に連動して、切替弁44も後方に移動する。このため切替弁44が切替パッキン42から離れる。切替弁44が第1回転位置R1及び第2回転位置R2にあるときは、カム部材40は前方位置に戻り、切替パッキン42は切替弁44に密着する。このカム機構により、回転操作部14の操作力が低減し、軽快な切替操作が実現される。また、湯水切替操作における切替パッキン42の摩耗が抑制される。
【0068】
本実施形態は、前記カム機構に基づく、切替弁44の後方への移動を許容しうるように構成されている。
図3(a)及び
図3(b)に示される通水状態では、規制部材50は、切替弁44の後方面に当接している。後方面とは、後方を向いた面であり、例えば、規制部材50の前端面98に当接する段差面78である(
図5参照)。後方から規制部材50が当接にすると、切替弁44の後方への移動は許容されず、前記カム機構が作動できない。そこで、前記カム機構を機能させるべく、非通水状態では、規制部材50は、前記カム機構に基づく切替弁44の後方への移動を許容しうる位置にある。浄水カートリッジPC1を装着しただけで通水されていない状態では、規制部材50は切替弁44に後方から当接していない。よって、非通水状態では、前記カム機構が作動する。通水時には、浄水カートリッジPC1が水圧を受け、浄水カートリッジPC1及び規制部材50が(若干)前方に移動する。この移動により、規制部材50は切替弁44に後方から当接する。なお、通水しているか否かに関わらず、浄水カートリッジPC1が装着されれば、回転阻止部74aに対する規制係合部88の係合が解除される。通水されるか否かによって規制部材50は若干移動するが、この移動範囲の全てが第2位置P2(第2状態)である。
【0069】
以上の構成を有する吐水ヘッド8では、浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されていないとき、切替弁44を第1回転位置R1から第2回転位置R2に回転することが規制される。すなわち、浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されていないとき、回転操作部14を原水吐出位置S1から浄水吐出位置S2に回転することが規制される。
【0070】
図3(a)又は
図3(b)と
図5との対比から理解されるように、浄水カートリッジPC1が装着されているか否かによって、規制部材50の軸方向位置が相違する。
図5が示すように、浄水カートリッジPC1が装着されていないとき、規制部材50は第1位置P1にある。
図3(a)及び
図3(b)が示すように、浄水カートリッジPC1が装着されているとき、規制部材50は第2位置P2にある。第2位置P2は、第1位置P1よりも前方である。規制部材50は、浄水カートリッジPC1に押圧されて、第1位置P1から第2位置P2に移動する。本実施形態では、浄水カートリッジPC1の前向き面116(
図4参照)が、規制部材50の後端面90を押圧している。本実施形態では、前向き面116が、規制解除部118である。規制解除部118は前向き面116に限られず、例えば前端面114であってもよい。本実施形態では、後端面90が、規制解除当接部92である。規制解除当接部92は後端面90に限られず、例えば規制部材50の内面に形成された後向き面であってもよい。
【0071】
前述の通り、弾性体46は規制部材50を後方に付勢している。浄水カートリッジPC1が装着されていない状態では、規制部材50の位置は第1位置P1となる。浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されると、規制部材50は弾性体46の付勢力に抗して浄水カートリッジPC1によって押圧され、第2位置P2に移動する。規制部材50の移動の方向は、前後方向である。規制部材50の移動の方向は、軸方向である。規制部材50は、回転することなく移動する。規制部材50の移動は、並進移動である。
【0072】
図8が示すように、規制部材50が第1位置P1にあり且つ切替弁44が第1回転位置R1にあるとき、規制部材50の回転阻止部74aに規制係合部88が係合している。この係合により、切替弁44が第1回転位置R1から第2回転位置R2に移行することが規制されている。すなわち、回転操作部14が原水吐出位置S1から浄水吐出位置S2に移行することが規制されている。この状態では、回転操作部14を回転して浄水吐出位置S2にすることができない。
【0073】
図9(a)が示すように、規制部材50が第2位置P2にあり且つ切替弁44が第1回転位置R1にあるとき、規制係合部88は回転阻止部74aに係合していない。規制部材50が第2位置P2に並進移動することで、回転阻止部74aに対する規制係合部88の係合が解除される。この解除により、切替弁44を第1回転位置R1から第2回転位置R2に移行させることが可能となる(
図9(b)参照)。
図9(b)は、切替弁44が第1回転位置R1から第2回転位置R2に移行する途中の状態を示している。この移行において、規制係合部88は、回転許容部74b内を移動する。回転許容部74bは、切替弁44の第1回転位置R1と第2回転位置R2との相互移行の過程において規制係合部88に干渉しないように延在している。
【0074】
以上に説明されたように、吐水ヘッド8は、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、第1状態では切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、第2状態では切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材50を有している。上記実施形態では、前記第1状態が第1位置P1であり、前記第2状態が第2位置P2である。また、浄水カートリッジPC1は、規制部材50を第1位置P1から第2位置P2へと移行させる規制解除部を有している。上記実施形態では、この規制解除部は、浄水カートリッジPC1の接続端部102である。より詳細には、この規制解除部は、接続端部102の前向き面116である。浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されていないときには規制部材50が第1状態(第1位置P1)となり、浄水カートリッジPC1がカートリッジ装着部60に装着されているときには接続端部102(規制解除部)に起因して規制部材50が第2状態(第2位置P2)となる。したがって、浄水カートリッジPC1の入れ忘れ等により、回転操作部14が浄水吐出位置S2にあるにも関わらず原水が吐出されるという事態が防止される。規制解除部は、接続端部102以外に設けられてもよい。
【0075】
原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替える切替機構は、回転操作部14と、回転操作部14に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置R1にあり、浄水吐出状態では第2回転位置R2にある被規制部材とを有している。上記実施形態では、被規制部材が切替弁44である。被規制部材は、切替弁44に限られず、回転操作部14に連動して回転するものであればよい。第1状態(第1位置P1)にある規制部材50は、被規制部材(切替弁44)の第1回転位置R1から第2回転位置R2への回転を規制している。第2状態(第2位置P2)にある規制部材50は、被規制部材(切替弁44)の第1回転位置R1から第2回転位置R2への回転を許容している。
【0076】
上記実施形態では、前記被規制部材が、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替弁44である。切替弁44が被規制部材を兼ねているため、部品点数が減少し、組立作業が軽減される。また、切替弁44が回転切替弁であるため、回転操作部14の回転をそのまま切替弁44に伝達することができ、切替機構の構造が簡素化される。この結果、切替機構を小型化することができ、吐水ヘッド8のデザインの自由度が向上する。また、構造がシンプルであるため、切替機構の動作の確実性が高められている。
【0077】
なお、切替弁でない被規制部材として、例えば、切替弁44の後方部74と同様の形態を有し、回転操作部14と共に回転する部材が挙げられる。切替弁を構成せず、単に回転操作部14と共に回転する部材も、本願における切替機構に含まれる。
【0078】
上記実施形態では、被規制部材(切替弁44)の回転軸が、前後方向に沿った直線である。被規制部材(切替弁44)の回転軸は、軸方向に沿った直線である。このため、吐水ヘッド8の前端部に回転操作部14が設けられた構成を容易に実現することができる。この構成は、切替操作の操作性が高く、デザイン性に優れた吐水ヘッド8を実現しうる。
図1が示すように、本実施形態では、回転操作部14の側面が、切替部12の外面と円筒面を形成している。更に、切替部12の外面は導水部10の外面と同じ円筒面を形成している。吐水ヘッド8では、小型で細く且つシンプルな外観が実現されており、デザイン性が高い。
【0079】
規制部材50は、浄水カートリッジPC1の接続端部102を受け入れるカートリッジ受入部80を有している(
図7(b)参照)。カートリッジ受入部80を設けることで、浄水カートリッジPC1が安定的に規制部材50に当接し、浄水カートリッジPC1による規制部材50の押圧が確実に達成される。このため、規制部材50が第1位置P1から第2位置P2に確実に移動する。カートリッジ受入部80を有する規制部材50は、回転規制機構の動作安定性を高める。
【0080】
上記実施形態では、被規制部材(切替弁44)が、規制部材50の先端部を受け入れる規制部材受入部76を有している(
図6(b)参照)。規制部材50の先端部が規制部材受入部76に挿入されることで、切替弁44と規制部材50との位置関係が安定する。この結果、回転阻止部74a及び回転許容部74bと規制係合部88との位置ズレが防止され、回転規制機構の精度が高まる。規制部材受入部76を有する切替弁44は、回転規制機構の動作安定性を高める。
【0081】
図3(a)及び
図3(b)に示される通り、切替弁44及び規制部材50は、その外側が原水流路WGであり且つその内側が浄水流路WJである部分を有する。浄水カートリッジPC1の接続端部102は規制部材50に水密に接続しており、規制部材50は切替弁44に水密に接続している。これらの接続により、浄水出口孔120から出た浄水は、規制部材50の内側及び切替弁44の内側を通り、切替弁44の前面浄水孔72bから排出される。原水は、浄水カートリッジPC1の外側から規制部材50の外側を経由して切替弁44の外側を流れ、側面原水孔72cを経由して前面原水孔72aから排出される。このように、切替弁44(被規制部材)と、規制部材50とは、浄水流路WJを原水流路WGとを仕切る流路形成部を構成している。切替弁44及び規制部材50が、流路を仕切る部分を兼ねているため、吐水ヘッド8の小型化が可能となる。
【0082】
前述の通り、上記実施形態では、前記第1状態が、規制部材50の並進移動における第1位置P1であり、前記第2状態が、規制部材50の並進移動における第2位置P2である。第1状態と第2状態との相互移行が、回転を伴わない並進移動であるため、当該移行が安定的且つ確実になされうる。
【0083】
図8、
図9(a)及び
図9(b)で示される通り、規制部材50は、第1位置P1では切替弁44(被規制部材)と係合して切替弁44の回転を阻止し、第2位置P2では切替弁44(被規制部材)と係合せず切替弁44の回転を許容する規制係合部88を有している。また、切替弁44(被規制部材)は、規制部材50が第1位置P1にあるとき規制係合部88と係合する回転阻止部74aと、規制部材50が第2位置P2にあるとき規制係合部88との係合を回避する回転許容部74bとを有している。規制部材50が第2位置P2にあるとき、回転許容部74bは、規制部材50における第1回転位置R1と第2回転位置R2との相互移行の全行程において、規制係合部88と係合しない。この構成では、規制部材50の並進移動を利用した、切替弁44の回転規制及びその解除が、簡素な構造で実現されうる。
【0084】
上記実施形態では、規制部材50と切替弁44(被規制部材)との間に弾性体46が配置されている。この弾性体46が、規制部材50を第1位置P1側に付勢している。この構成では、浄水カートリッジPC1が装着されていないときに、規制部材50を確実に第1位置P1に戻すことができる。このため、切替弁44の回転阻止が確実に達成されうる。
【0085】
図3(a)及び
図3(b)に示される通り、規制部材50は、浄水カートリッジPC1の規制解除部118に当接する規制解除当接部92を有している。
図4の拡大部が示すように、規制解除部118は、浄水カートリッジPC1の中心線と同軸の円環面である。加えて、
図7(b)が示すように、規制解除当接部92は、浄水カートリッジPC1の中心線と同軸の円環面である。従って、浄水カートリッジPC1の回転位置(位相)に関わらず、浄水カートリッジPC1と規制部材50との当接が安定的且つ確実に達成される。これらの構造は、回転規制機構の動作安定性を高める。
【0086】
上記実施形態では、回転操作部14の回転軸、切替弁44(被規制部材)の回転軸、規制部材50の中心線、及び、浄水カートリッジPC1の中心線が同一である。この構成では、回転操作部14の回転を切替弁44に伝達する回転伝達機構と、浄水カートリッジPC1により規制部材50を並進移動させる並進移動機構とを、一直線上に配置することができる。このため、吐水ヘッド8の小型化が達成され、吐水ヘッド8を細くしてデザイン性を高めることができる。
【0087】
特許第6356940号公報の第3実施形態では、規制部材が浄水流路内に設けられている。この規制部材は、圧力損失を生じさせうる。圧力損失が生じれば、浄水の流量が低下する。一方、上記実施形態では、規制部材50の内側に浄水流路が形成されており、規制部材50が浄水流路WJと原水流路WGとを仕切る役割を果たしている。このため、浄水流路の規制部材を設けることによる前記圧力損失が防止される。
【0088】
特許第6356940号公報の第3実施形態では、規制部材が浄水流路内に設けられている。このため、浄水流路に当該規制部材の設置スペースを確保する必要がある。一方、上記実施形態では、浄水流路に規制部材の設置スペースを設ける必要がなく、吐水ヘッドの更なる小型化が可能となる。
【0089】
特許第6356940号公報の第3実施形態では、規制部材が浄水流路内に設けられている。このため、規制部材の大きさに限界がある。一方、上記実施形態では、規制部材50を大きくすることができ、規制部材50の強度が高められうる。
【0090】
特許第6356940号公報の第3実施形態では、カム機構により被規制部材が軸方向に移動し、規制部材がこの移動を阻止する。この場合、カム機構が介在しているため、移動規制が達成されるように規制部材の位置及び寸法を制御するのが難しい。一方、上記実施形態では、カム機構が介在しておらず、被規制部材の回転を規制部材が直接規制する構造であるため、規制部材の位置及び寸法を制御するのが容易である。結果として、規制機構の動作安定性が高まり、誤作動が抑制されうる。また、カム機構が不要とされることで、吐水ヘッドの小型化が可能となる。
【0091】
上記実施形態では、通水により浄水カートリッジPC1が前方に受圧し、この受圧力が、切替弁44を介して、切替パッキン42を押圧している。すなわち、浄水カートリッジPC1の押圧力が、切替パッキン42と切替弁44の前面との間に作用するシール圧を高めている。このシール圧は、弾性体46によっても付与されているが、これに加えて、浄水カートリッジPC1も当該シール圧を付与している。よって、切替パッキン42と切替弁44との間のシール性が高められている。高いシール圧により、浄水吐出状態において原水が漏れて浄水性能が低下することが抑制され、原水吐出状態において浄水が漏れてカートリッジ寿命が短縮されることも抑制される。なお、前述の通り、非通水状態では、浄水カートリッジPC1が装着されていても、規制部材50は切替弁44に後方から当接していない。この状態では、規制部材50は浄水カートリッジPC1に押圧されて弾性体46を圧縮させ、この圧縮力が切替弁44を介して切替パッキン42を押圧している。
【0092】
特許第6356940号公報の第3実施形態では、切替弁のシール性を確保する付勢部材とは別に、規制部材を第1状態とする付勢部材が必要である。一方、上記実施形態では、シール性確保のための付勢部材(弾性体46)が、規制部材50を第1状態(第1位置P1)とする付勢部材も兼ねている。このため、付勢部材が削減されうる。また、切替弁44と規制部材50との間に配置される弾性体46は大型化が可能であり、弾性体46と規制部材50との当接面積を大きくすることもできる。この結果、規制部材50が第1位置P1に戻る動作の確実性が高まる。更に、この弾性体46の中心線は、浄水カートリッジPC1の中心線と共通である。このため、弾性体46は、浄水カートリッジPC1による押圧力を安定的に受け止めることができる。このような構成の弾性体46は、回転規制機構の動作安定性を高める。
【0093】
操作部ガイド30の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、操作部ガイド30の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。成形性及びコストの観点から、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)が特に好ましい。
【0094】
切替カバー32の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、切替カバー32の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
【0095】
切替コマ34の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、切替コマ34の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
【0096】
切替弁44の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、切替弁44の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
【0097】
規制部材50の材質として、樹脂又は金属が挙げられる。コストの観点から、材質が金属の場合、規制部材50の製法は焼結、鋳造又は鍛造が好ましい。材質が樹脂の場合、成形が容易な熱可塑性樹脂が好ましい。成形性の観点から、ポリオキシメチレン(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)及びポリプロピレン(PP)がより好ましい。強度の観点から、ポリオキシメチレン(POM)及びポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。また、強度の観点から、上記樹脂に、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含有させることも好ましい。
【0098】
浄水カートリッジPC1は所定の使用期間ごとに交換されるのに対して、規制部材50は交換されない。長期間繰り返し使用される規制部材は、高い剛性及び高い耐摩耗性を有するのが好ましい。この観点から、規制部材の材質の縦弾性係数は、0.1GPa以上が好ましく、1.0GPa以上がより好ましく、3.0GPa以上が更に好ましい。上述の好ましい材質を考慮すると、規制部材の材質の縦弾性係数は、17GPa以下が好ましく、16GPa以下がより好ましく、15GPa以下が更に好ましい。規制部材の材質の縦弾性係数は、浄水カートリッジの規制解除部の材質の縦弾性係数よりも大きいのが好ましい。上記縦弾性係数は、引張応力に対するひずみ量の関係から求められるもので、弾性範囲におけるひずみ量と応力の比例定数であり、ヤング率とも呼称される。一般的な材質の縦弾性係数は、多くの文献に記載されており、よく知られている。文献値が不明確である場合、縦弾性係数は、ASTM D638に準拠して測定されうる。この測定では、測定対象となる部材と同じ材質からなる試験片が用いられうる。
【0099】
上記実施形態では、浄水機能部100が浄水カートリッジPC1の外周面から内部へと水を透過させうる態様であるが、浄水機能部100はこの態様に限られない。例えば、浄水カートリッジPC1の外周面は非通水性の外周壁で形成され、この外周壁の内側に透過部が設けられてもよい。この場合、水は浄水カートリッジPC1の上流側の端(後端)から浄水カートリッジPC1に流れ込み、当該透過部を透過して接続端部102に到達しうる。この構成では、浄水カートリッジPC1の後端部に貫通孔等が設けられ、浄水カートリッジPC1の後端からの水の流入が許容される。
【0100】
上記実施形態では、浄水機能部100が透過部とされ、この透過部に原水を透過させることで浄水が生成される。上述の通り、この透過部は浄水機能部の一例にすぎない。浄水は、透過部を透過せずに生成されてもよい。例えば、浄水カートリッジが金属材を有し、この金属材から、除菌、抗菌、殺菌又は菌増殖抑制の効果を有する金属イオンが放出されることでも、浄水が生成されうる。
【0101】
本願において浄水とは、以下の(1)及び(2)の生成水を含む概念である。
(1)水中の物質又はイオンなどが吸着材又はろ過膜などで取り除かれた生成水。
(2)除菌などの機能を水に与える為に金属イオンを水に含ませるなど、水に金属イオン、電子、物質などを含ませて水に有益な機能を付与させた生成水。
【0102】
具体的には、本願における浄水は、以下の機能A及び/又は機能Bにより生成される水を含む概念である。換言すれば、本願における浄水機能部は、以下の機能A及び/又は機能Bを有する機能部を含む概念である。
【0103】
[機能A]
機能Aとは、以下のA1、A2、A3、A4及びA5からなる群から選択される1以上の機能である。
A1:活性炭などの吸着材を使用して、水中の物質を吸着して取り除く機能。
A2:ろ材を用いて水中の物質をろ過する機能。好ましくは、このろ材が逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、ナノろ過膜、多孔質中空繊維膜などのろ過膜とされ、このろ過膜を使用して水中の物質をろ過する機能。
A3:イオン交換樹脂などを使用して、水中の金属イオンなどを取り込んで除去する機能。
A4:金属材から除菌、抗菌、殺菌、及び/又は、菌の増殖を抑止する効果を有する金属イオンを放出する機能。
A5:金属材から金属イオンを放出させると共に、この金属イオンの放出に伴って発生する電子を水中の酸素に取り込ませることによって活性酸素を生成させる機能。
【0104】
浄化の対象とする水中の物質として、塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質、重金属などが例示される。塩素、揮発性有機化合物、農薬物質、かび臭物質及び重金属からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0105】
前記揮発性有機化合物として、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、総トリハロメタンなどが例示される。クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロロホルム、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、総トリハロメタンからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0106】
前記農薬物質として、2-クロロ-4,6-ビスチルアミノ-1,3,5-トリアジンなどが例示される。2-クロロ-4,6-ビスチルアミノ-1,3,5-トリアジンが除去されるのが好ましい。
【0107】
前記かび臭物質として、2-メチルイソボルネオール、ジェオスミン、フェノール類などが例示される。2-メチルイソボルネオール、ジェオスミン及びフェノール類からなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0108】
前記重金属として、鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムなどが例示される。鉛、水銀、銅、ヒ素及びカドニウムからなる群から選択される1以上が除去されるのが好ましい。
【0109】
前記機能A4における金属イオンとして、亜鉛イオン及び銀イオンが例示される。亜鉛イオン及び銀イオンからなる群から選択される1以上が放出されるのが好ましい。
【0110】
前記機能A4における菌としては、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が除菌、抗菌、殺菌、又は増殖が抑止されるのが好ましい。
【0111】
前記機能A5における活性酸素は、菌などの有機物を分解しうる。この菌として、大腸菌及びブドウ球菌などが挙げられ、一般細菌と定義(包括)される雑菌類も含まれる。それらの菌のうちの1以上が分解されるのが好ましい。
【0112】
なお、塩素や有害物質を効果的に取り除くことができると共に、浄水カートリッジの製造コストを抑えることができると言う観点から、機能A1を備える浄水カートリッジが好ましい。なお、機能A2、A3、A4及びA5から選ばれる1以上の機能と機能A1とを備える浄水カートリッジとすることもできる。
【0113】
[機能B]
機能Bは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う機能である。言い換えると、浄水カートリッジは、雑貨工業品品質表示規程(改正日:平成29年3月30日/施行日:平成29年4月1日)の別表第二(第二条関連)の「六 浄水器」に定められるろ材及び/又は媒体を使用して浄水を行う浄水機能部を備えるのが好ましい。
【0114】
前記機能A及び/又は機能Bを有する浄水機能部は、浄水流路の一部を構成していてもよいし、浄水流路の中に配置されていてもよいし、浄水流路に流通する水溜まり部に配置されていてもよい。
【0115】
浄水カートリッジは、その全体が分離不能に一体化された一体タイプであってもよいし、互いに分離しうる複数の部材で構成される複合タイプであってもよい。
【0116】
前記複合タイプは、例えば、前記規制解除部を備えるアダプター部材と、カートリッジ本体部とを有する構成とすることができる。アダプター部材は、カートリッジ本体部に連結可能であってもよいし、連結不能であってもよい。換言すれば、アダプター部材は、カートリッジ本体部に装着可能であってもよいし、カートリッジ本体に装着不能であってもよい。アダプター部材がカートリッジ本体部に装着可能である場合、アダプター部材は、カートリッジ本体に取り外し可能に取り付けられてもよいし、取り外し不能に取り付けられてもよい。
【0117】
アダプター部材及びカートリッジ本体の構成は限定されず、例えば、以下の構成B1からB4のいずれであってもよい。
B1:アダプター部材がカートリッジ本体に装着された状態で、カートリッジ装着部に装着する構成。
B2:先にアダプター部材をカートリッジ装着部に装着して、次にカートリッジ本体をアダプター部材に装着する構成。
B3:アダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、カートリッジ本体をカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
B4:先にアダプター部材をカートリッジ装着部の一部に装着し、次にカートリッジ本体をアダプター部材及びカートリッジ装着部の他部に装着する構成。
【0118】
上記構成B1からB4において、アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられる構成であってもよいし、取り外し不能に取り付けられる構成であってもよい。ただし、取り外し不能の場合は、規制部材が前記第2状態のまま保持されてしまう。よって、アダプター部材は、カートリッジ装着部に取り外し可能に取り付けられているのが好ましい。
【0119】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
【0120】
[付記1]
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記被規制部材が、原水吐出状態と浄水吐出状態とを切り替えうる切替弁である浄水機能付き吐水ヘッド。
【0121】
[付記2]
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記被規制部材の回転軸が、前後方向に沿った直線である浄水機能付き吐水ヘッド。
【0122】
[付記3]
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と接続端部とを有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記規制部材が、前記浄水カートリッジの前記接続端部を受け入れるカートリッジ受入部を有している浄水機能付き吐水ヘッド。
【0123】
[付記4]
前記被規制部材が、前記規制部材の先端部を受け入れる規制部材受入部を有しており、
前記被規制部材及び前記規制部材が、前記浄水流路と前記原水流路とを仕切る流路形成部を構成している付記3に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【0124】
[付記5]
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、
第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部を有する浄水カートリッジと、
カートリッジ装着部と、
を有しており、
前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されていないときには前記規制部材が前記第1状態となり、前記浄水カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着されているときには前記規制解除部に起因して前記規制部材が前記第2状態となる浄水機能付き吐水ヘッドであって、
前記切替機構が、
回転操作部と、
前記回転操作部に連動して回転し、原水吐出状態では第1回転位置にあり、浄水吐出状態では第2回転位置にある被規制部材とを有しており、
前記第1状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を規制しており、
前記第2状態にある前記規制部材は、前記被規制部材の前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転を許容しており、
前記第1状態が、前記規制部材の並進移動における第1位置であり、
前記第2状態が、前記規制部材の並進移動における第2位置である浄水機能付き吐水ヘッド。
【0125】
[付記6]
前記規制部材が、前記第1位置では前記被規制部材と係合して当該被規制部材の回転を阻止し、前記第2位置では前記被規制部材と係合せず当該被規制部材の回転を許容する規制係合部を有しており、
前記被規制部材が、前記規制部材が前記第1位置にあるとき前記規制係合部と係合する回転阻止部と、前記規制部材が前記第2位置にあるとき前記規制係合部との係合を回避する回転許容部とを有している付記5に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【0126】
[付記7]
前記規制部材と前記被規制部材との間に弾性体が配置されており、
この弾性体が、前記規制部材を第1位置側に付勢している付記5及び6に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【0127】
[付記8]
前記規制部材が、前記浄水カートリッジの前記規制解除部に当接する規制解除当接部を有しており、
前記規制解除部が、前記浄水カートリッジの中心線と同軸の円環面であり、
前記規制解除当接部が、前記浄水カートリッジの中心線と同軸の円環面である付記1から7のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【0128】
[付記9]
前記操作部の回転軸、前記被規制部材の回転軸、前記規制部材の中心線、及び、前記浄水カートリッジの中心線が同一である付記1から8のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッド。
【0129】
[付記10]
付記1から9のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッドを備えた水栓装置。
[付記11]
付記1から9のいずれか1項に記載の浄水機能付き吐水ヘッドにおける前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジであって、
前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる前記規制解除部を有している浄水カートリッジ。
[付記12]
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、カートリッジ装着部とを有する吐水ヘッドの、前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジであって、
浄水機能部と、
前記カートリッジ装着部に装着されることで、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、
前記規制部材に水密に接続される接続端部とを有する浄水カートリッジ。
[付記13]
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、カートリッジ装着部とを有する吐水ヘッドの、前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジであって、
浄水機能部と、
前記浄水機能部の下流側に配置された接続端部と、
前記カートリッジ装着部に装着されることで、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、を有しており、
前記接続端部が、前記規制部材の内側に挿入される浄水カートリッジ。
[付記14]
原水流路から吐出される原水吐出状態と浄水流路から吐出される浄水吐出状態とを切り替える切替機構と、第1状態と第2状態との相互移行が可能であり、前記第1状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を規制し、且つ、前記第2状態では前記切替機構による原水から浄水への切替を許容する規制部材と、カートリッジ装着部とを有する吐水ヘッドの、前記カートリッジ装着部に装着される浄水カートリッジであって、
浄水機能部と、
前記浄水機能部の下流側に配置された接続端部と、
前記カートリッジ装着部に装着されることで、前記規制部材を前記第1状態から前記第2状態へと移行させる規制解除部と、を有しており、
前記浄水カートリッジの中心線が前記規制部材の中心線と一致するように、前記カートリッジ装着部に配置される、浄水カートリッジ。
[付記15]
前記第1状態が、前記規制部材の並進移動における第1位置であり、
前記第2状態が、前記規制部材の並進移動における第2位置である、付記11から14のいずれか1項に記載の浄水カートリッジ。
【0130】
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
【0131】
前記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成を備えなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
以上説明された方法は、あらゆる用途の水栓に用いられ得る。
【符号の説明】
【0133】
2・・・水栓装置
4・・・本体部
6・・・レバーハンドル
8・・・吐水ヘッド
14・・・回転操作部
42・・・切替パッキン
44・・・切替弁(被規制部材)
46・・・弾性体
50・・・規制部材
60・・・カートリッジ装着部
74a・・・回転阻止部
74b・・・回転許容部
76・・・規制部材受入部
80・・・カートリッジ受入部
88・・・規制係合部
92・・・規制解除当接部
102・・・浄水カートリッジの接続端部
118・・・規制解除部
P1・・・規制部材の第1位置
P2・・・規制部材の第2位置
R1・・・切替弁(被規制部材)の第1回転位置
R2・・・切替弁(被規制部材)の第2回転位置
PC1・・・浄水カートリッジ
WG・・・原水流路
WJ・・・浄水流路