(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】バルブタイミング調整装置
(51)【国際特許分類】
F01L 1/352 20060101AFI20230214BHJP
F01L 1/356 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
F01L1/352
F01L1/356 Z
(21)【出願番号】P 2019048883
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠
(72)【発明者】
【氏名】友松 健一
(72)【発明者】
【氏名】山本 修平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】木野内 惣一
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-044501(JP,A)
【文献】特開2019-015247(JP,A)
【文献】特開2017-115658(JP,A)
【文献】特開2017-008837(JP,A)
【文献】特開2013-117214(JP,A)
【文献】特開2012-219680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/352,1/356
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)のクランク軸(2)からのトルク伝達によりカム軸(3)が開閉するバルブ(4、5)のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、
前記カム軸と同軸の回転中心線(Cr1)まわりに前記クランク軸と連動して回転する駆動側回転体(20)と、
前記回転中心線まわりに前記カム軸と一体に回転する従動側回転体(30)と、
前記駆動側回転
体に形成された内歯歯車部(40)と、
前記回転中心線に対し偏心するとともに前記内歯歯車部と噛み合う遊星歯車部(51)を有する遊星回転体(50)と、
前記従動側回転
体に形成された従動オルダムフランジ部(61)、前記遊星回転体に形成された駆動オルダムフランジ部(62)、および、前記従動オルダムフランジ部と前記駆動オルダムフランジ部とを偏心自在かつ回転同期させるオルダム中間体(63)を有するオルダム継手(60)と、を備え、
前記従動オルダムフランジ部に対する前記遊星回転体の最大の傾き量をθ1、前記オルダム継手内のクリアランスにおける前記遊星回転体の最大の傾き量をθ2とすると、
θ2<θ1の関係を満たすバルブタイミング調整装置。
【請求項2】
前記オルダム中間体の軸方向における前記駆動側回転体とのクリアランスの一方をCL1、他方をCL2、
前記オルダム中間体の軸方向における前記駆動側回転体との接触部の直径をL1、
前記遊星回転体と前記オルダム中間体との周方向のクリアランスの一方をCL3、他方をCL4、
前記オルダム中間体の周方向における前記遊星回転体との接触部の軸方向の長さをL2、
前記遊星回転体の軸方向における前記駆動側回転体とのクリアランスをCL5、
前記遊星回転体の軸方向における前記駆動側回転体との接触部の直径をL3とすると、
θ1=arctan(CL5/L3)、
θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)
の関係を満たす請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
【請求項3】
前記内歯歯車部と前記遊星歯車部との噛み合い部(41)に対し径方向に作用する力(F1)の力線と、前記遊星回転体に対し径方向に作用する力(F2)の力線とは、前記回転中心線方向において離間している請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
【請求項4】
前記内歯歯車部が形成され
た前記駆動側回転
体は、前記従動側回転
体を径方向で支持する軸受部(2
5)を有し、
前記内歯歯車部と前記遊星歯車部との噛み合い部(41)に対し径方向に作用する力(F1)の力線と、前記軸受部に対し径方向に作用する力(F2)の力線とは、前記回転中心線方向において離間している請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
【請求項5】
前記駆動側回転体は、前記従動側回転体を径方向で支持する軸受部(24、26、27)、および、前記クランク軸からのトルクを伝達する環状伝達部材(6)が係合する係合部(23)を有し、
前記軸受部に対し径方向に作用する力(F1)の力線と、前記環状伝達部材から前記係合部に対し径方向に作用する力(F2)の力線とは、前記回転中心線方向において離間している請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
【請求項6】
前記オルダム中間体は、前記従動オルダムフランジ部と前記駆動オルダムフランジ部とが離間する方向に付勢力を生じさせるよう形成されている請求項1~5のいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置。
【請求項7】
前記オルダム中間体の少なくとも一部は、弾性体により形成され、
前記オルダム中間体が生じさせる付勢力(F3)の方向は、前記回転中心線に対し傾斜している請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
【請求項8】
前記オルダム中間体の周方向における前記駆動側回転体との接触部(64)の少なくとも一部は、前記オルダム中間体の軸(Ax1)に対し傾斜しており、トルク伝達に伴う周方向の荷重により軸方向の分力(F4)を生じ、当該分力により前記従動オルダムフランジ部と前記駆動オルダムフランジ部とが離間するよう付勢される請求項6に記載のバルブタイミング調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブタイミング調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関のクランク軸と連動して回転する駆動側回転体と、カム軸と一体に回転する従動側回転体とを相対回転させる部材としてオルダム継手を用いたバルブタイミング調整装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1のバルブタイミング調整装置は、従動側回転体に形成された内歯歯車部と、内歯歯車部に噛み合う遊星回転体と、オルダム継手とを備えている。オルダム継手は、駆動側回転体に形成された従動オルダムフランジ部、遊星回転体に形成された駆動オルダムフランジ部、および、従動オルダムフランジ部と駆動オルダムフランジ部とを偏心自在かつ回転同期させるオルダム中間体を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のバルブタイミング調整装置は、遊星回転体を径方向外側へ付勢し内歯歯車部に押し付ける付勢部材をさらに備えている。これにより、内歯歯車部と遊星回転体との噛み合い部のクリアランスを詰め、内歯歯車部と遊星回転体とが噛み合いながら回転するときに生じる衝撃力およびバックラッシ音等の騒音の低減を図っている。
【0006】
しかしながら、特許文献1のバルブタイミング調整装置では、付勢部材によっては、オルダム継手と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手内のクリアランスを詰めることはできないため、オルダム継手から騒音が発生するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、オルダム継手からの騒音の発生を抑制可能なバルブタイミング調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、内燃機関(1)のクランク軸(2)からのトルク伝達によりカム軸(3)が開閉するバルブ(4、5)のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(10)であって、駆動側回転体(20)と従動側回転体(30)と内歯歯車部(40)と遊星回転体(50)とオルダム継手(60)とを備えている。
【0009】
駆動側回転体は、カム軸と同軸の回転中心線(Cr1)まわりにクランク軸と連動して回転する。従動側回転体は、回転中心線まわりにカム軸と一体に回転する。内歯歯車部は、駆動側回転体に形成されている。遊星回転体は、回転中心線に対し偏心するとともに内歯歯車部と噛み合う遊星歯車部(51)を有する。オルダム継手は、従動側回転体に形成された従動オルダムフランジ部(61)、遊星回転体に形成された駆動オルダムフランジ部(62)、および、従動オルダムフランジ部と駆動オルダムフランジ部とを偏心自在かつ回転同期させるオルダム中間体(63)を有する。
【0010】
従動オルダムフランジ部に対する遊星回転体の最大の傾き量をθ1、オルダム継手内のクリアランスにおける遊星回転体の最大の傾き量をθ2とすると、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、従動オルダムフランジ部に対し遊星回転体が最大の傾き量であるθ1近くまで傾いた場合、オルダム継手と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手内のクリアランスを詰めることができる。これにより、バルブタイミング調整装置の作動時、オルダム継手からの騒音の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図3】第1実施形態によるバルブタイミング調整装置の遊星回転体を示す斜視図。
【
図4】第1実施形態によるバルブタイミング調整装置の一部を示す断面図。
【
図5】第1実施形態によるバルブタイミング調整装置の一部を示す断面図。
【
図6】第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図7】第3実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図8】第4実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図9】第5実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図10】第6実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図11】第7実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図12】第8実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図13】第9実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図14】第10実施形態によるバルブタイミング調整装置を示す断面図。
【
図15】第11実施形態によるバルブタイミング調整装置の一部を示す模式的断面図。
【
図16】第11実施形態によるバルブタイミング調整装置のオルダム中間体を示す図。
【
図17】第11実施形態によるバルブタイミング調整装置のオルダム中間体を示す斜視図。
【
図18】第12実施形態によるバルブタイミング調整装置の一部を示す模式的断面図。
【
図19】第12実施形態によるバルブタイミング調整装置のオルダム中間体を示す図。
【
図20】第12実施形態によるバルブタイミング調整装置のオルダム中間体を示す斜視図。
【
図21】第13実施形態によるバルブタイミング調整装置の一部を示す模式的断面図。
【
図23】第13実施形態によるバルブタイミング調整装置の従動オルダムフランジ部近傍を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、複数の実施形態によるバルブタイミング調整装置を図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位は、同一または同様の作用効果を奏する。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態のバルブタイミング調整装置を
図1に示す。バルブタイミング調整装置10は、例えば車両の内燃機関としてのエンジン1においてクランク軸2からカム軸3までのトルク伝達経路に設けられる。カム軸3は、エンジン1のバルブとしての吸気弁4または排気弁5を開閉する。バルブタイミング調整装置10は、吸気弁4のバルブタイミングを調整する。
【0014】
バルブタイミング調整装置10は、アクチュエータ80により駆動される。アクチュエータ80は、例えばブラシレスモータ等の電動モータであり、ハウジング81および制御軸82を有する。ハウジング81は、制御軸82を回転自在に支持する。アクチュエータ80は、図示しない電子制御ユニットにより作動が制御される。電子制御ユニットは、例えば駆動ドライバおよびマイクロコンピュータ等から構成され、アクチュエータ80への通電を制御することで制御軸82を回転駆動する。
【0015】
図1、2に示すように、バルブタイミング調整装置10は、駆動側回転体20、従動側回転体30、内歯歯車部40、遊星回転体50、オルダム継手60、偏心軸部70、ベアリング11、ベアリング12、付勢部材13等を備えている。
【0016】
駆動側回転体20は、回転体筒部21、回転体板部22、係合部23を有している。回転体筒部21は、有底筒状に形成されている。回転体板部22は、環状の板状に形成され、一方の面が回転体筒部21の底部とは反対側の端部に当接するようにして設けられている。回転体筒部21と回転体板部22とは、ボルト7により一体に組み付けられている。係合部23は、例えばギアであり、回転体筒部21の外周壁に環状に形成されている。
【0017】
クランク軸2と係合部23とには、環状伝達部材6が巻き掛けられる。環状伝達部材6は、例えば環状のチェーンであり、クランク軸2のトルクを係合部23に伝達する。これにより、駆動側回転体20は、カム軸3と同軸の回転中心線Cr1まわりにクランク軸2と連動して回転する。
【0018】
従動側回転体30は、有底筒状に形成されている。従動側回転体30は、ボルト8により、カム軸3と同軸となるようカム軸3に固定される。これにより、従動側回転体30は、回転中心線Cr1まわりにカム軸3と一体に回転する。
【0019】
内歯歯車部40は、従動側回転体30および駆動側回転体20の一方である従動側回転体30に形成されている。内歯歯車部40は、従動側回転体30の内周壁に形成されている。
【0020】
遊星回転体50は、回転体本体500、遊星歯車部51、切欠部52、突出部53等を有している。
【0021】
図3に示すように、回転体本体500は、略円筒状に形成されている。遊星歯車部51は、回転体本体500の外周壁に環状に形成されている。切欠部52は、回転体本体500の一方の端部から他方の端部側へ切り欠かれるようにして形成されている。切欠部52は、回転体本体500の周方向に等間隔で6つ形成されている。これにより、6つの切欠部52の間に6つの突出部53が形成されている。
【0022】
図1、2に示すように、遊星歯車部51は、回転中心線Cr1に対し偏心するとともに内歯歯車部40と噛み合うようにして設けられている。ここで、遊星歯車部51と内歯歯車部40との間に噛み合い部41が形成される。
【0023】
オルダム継手60は、従動オルダムフランジ部61、駆動オルダムフランジ部62、オルダム中間体63を有している。
【0024】
図1、2に示すように、従動オルダムフランジ部61は、従動側回転体30および駆動側回転体20の他方である駆動側回転体20に形成されている。従動オルダムフランジ部61は、回転体筒部21の底部とは反対側の端部から底部側へ凹むよう形成されている。従動オルダムフランジ部61は、回転体筒部21の周方向に等間隔で2つ形成されている。すなわち、従動オルダムフランジ部61は、回転中心線Cr1を間に挟んで対向するよう形成されている。
【0025】
図2、3に示すように、駆動オルダムフランジ部62は、遊星回転体50に形成されている。駆動オルダムフランジ部62は、遊星回転体50の6つの突出部53のうち回転体本体500の軸を挟んで対向する2つの突出部53のそれぞれに形成されている。
【0026】
オルダム中間体63は、オルダム本体630、オルダム凸部631、オルダム凹部632を有している。オルダム本体630は、環状の板状に形成されている。
【0027】
オルダム凸部631は、オルダム本体630の外縁部から径方向外側へ突出するよう形成されている。オルダム凸部631は、オルダム本体630の周方向に等間隔で2つ形成されている。すなわち、オルダム凸部631は、オルダム本体630の軸を間に挟んで対向するよう形成されている。
【0028】
オルダム凹部632は、オルダム本体630の内縁部から径方向外側へ凹むよう形成されている。オルダム凹部632は、オルダム本体630の周方向に等間隔で2つ形成されている。すなわち、オルダム凹部632は、オルダム本体630の軸を間に挟んで対向するよう形成されている。ここで、オルダム凸部631およびオルダム凹部632は、2つのオルダム凸部631の中心を結ぶ直線と、2つのオルダム凹部632の中心を結ぶ直線とが直交するよう形成されている。
【0029】
図2に示すように、オルダム中間体63は、オルダム凹部632が駆動オルダムフランジ部62に係合し、オルダム凸部631が従動オルダムフランジ部61に係合するよう設けられている。
【0030】
ここで、オルダム中間体63は、駆動オルダムフランジ部62に対し第1方向に相対移動可能である。オルダム中間体63が駆動オルダムフランジ部62に対し第1方向に相対移動するとき、オルダム凹部632と駆動オルダムフランジ部62とは摺動する。
【0031】
また、オルダム中間体63は、従動オルダムフランジ部61に対し第2方向に相対移動可能である。ここで、第2方向は、第1方向に直交する方向である。オルダム中間体63が従動オルダムフランジ部61に対し第2方向に相対移動するとき、オルダム凸部631と従動オルダムフランジ部61とは摺動する。
【0032】
上記構成により、オルダム中間体63は、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とを偏心自在かつ回転同期させることができる。
【0033】
偏心軸部70は、筒状に形成されている。偏心軸部70は、回転体板部22の内側、オルダム中間体63の内側、従動側回転体30の内側に位置するよう設けられている。
【0034】
ベアリング11は、例えば環状のボールベアリングであり、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁と回転体板部22の内周壁との間に設けられている。ベアリング12は、例えば環状のボールベアリングであり、偏心軸部70のカム軸3側の端部の外周壁と遊星回転体50の内周壁との間に設けられている。
【0035】
ベアリング11は、偏心軸部70を回転可能に支持する。ベアリング12は、遊星回転体50を回転可能に支持する。
【0036】
偏心軸部70のカム軸3側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1に対し偏心するよう形成されている。すなわち、偏心軸部70のカム軸3側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1から偏心方向に離れ回転中心線Cr1に対し平行な偏心中心線Ce1を中心とする円筒面に沿うよう形成されている。偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1を中心とする円筒面に沿うよう形成されている。
【0037】
偏心軸部70が回転中心線Cr1まわりに回転すると、遊星回転体50は、遊星歯車部51が内歯歯車部40に噛み合った状態で自転しつつ公転する。このとき、オルダム中間体63は、駆動オルダムフランジ部62に対し第1方向に相対移動しつつ、従動オルダムフランジ部61に対し第2方向に相対移動する。これにより、オルダム中間体63は、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とを偏心自在かつ回転同期させる。その結果、駆動側回転体20と従動側回転体30との回転位相が変化する。
【0038】
付勢部材13は、偏心軸部70のカム軸3側の端部において外周壁が偏心する側に設けられている。付勢部材13は、ベアリング12を介して遊星回転体50を径方向外側、すなわち、遊星回転体50の偏心方向へ付勢している。付勢部材13は、遊星回転体50の偏心方向において、遊星歯車部51を内歯歯車部40に押し付けている。これにより、内歯歯車部40と遊星回転体50との噛み合い部41のクリアランスを詰め、内歯歯車部40と遊星回転体50とが噛み合いながら回転するときに生じる衝撃力およびバックラッシ音等の騒音を低減することができる。
【0039】
アクチュエータ80は、制御軸82の端部が偏心軸部70の内周壁の溝部に係合するよう設けられる。電子制御ユニットの制御によりアクチュエータ80の制御軸82が回転駆動すると、偏心軸部70が回転中心線Cr1まわりに回転する。偏心軸部70が回転方向の一方側に回転すると、駆動側回転体20が従動側回転体30に対し回転方向の一方側に相対回転する。これにより、吸気弁4のバルブタイミングが進角側に変化する。偏心軸部70が回転方向の他方側に回転すると、駆動側回転体20が従動側回転体30に対し回転方向の他方側に相対回転する。これにより、吸気弁4のバルブタイミングが遅角側に変化する。
【0040】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、従動オルダムフランジ部61に対する遊星回転体50の最大の傾き量をθ1、オルダム継手60内のクリアランスにおける遊星回転体50の最大の傾き量をθ2とすると、θ2<θ1の関係を満たす。
【0041】
ここで、θ1は、オルダム継手60が設けられていない状態における従動オルダムフランジ部61に対する遊星回転体50の最大の回転角度に対応する。
【0042】
図4に示すように、本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、オルダム中間体63の軸方向における駆動側回転体20とのクリアランスの一方をCL1、他方をCL2、オルダム中間体63の軸方向における駆動側回転体20との接触部の直径をL1、遊星回転体50とオルダム中間体63との周方向のクリアランスの一方をCL3、他方をCL4、オルダム中間体63の周方向における遊星回転体50との接触部の軸方向の長さをL2、遊星回転体50の軸方向における駆動側回転体20とのクリアランスをCL5、遊星回転体50の軸方向における駆動側回転体20との接触部の直径をL3とすると、θ1=arctan(CL5/L3)、θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)の関係を満たす。
【0043】
オルダム継手60と他部材との間にクリアランスが設定され、オルダム継手60内の各部材間にもクリアランスが設定されているため、バルブタイミング調整装置10の作動中、従動側回転体30、遊星回転体50、オルダム継手60のオルダム中間体63等が駆動側回転体20に対し軸が交差するように傾くことがある(
図5参照)。
【0044】
上述のように、本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、従動オルダムフランジ部61に対し遊星回転体50が最大の傾き量であるθ1近くまで傾いた場合、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを詰める、すなわち、0にすることができる。これにより、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生を抑制できる。
【0045】
以上説明したように、<1>本実施形態は、エンジン1のクランク軸2からのトルク伝達によりカム軸3が開閉する吸気弁4のバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置10であって、駆動側回転体20と従動側回転体30と内歯歯車部40と遊星回転体50とオルダム継手60とを備えている。
【0046】
駆動側回転体20は、カム軸3と同軸の回転中心線Cr1まわりにクランク軸2と連動して回転する。従動側回転体30は、回転中心線Cr1まわりにカム軸3と一体に回転する。内歯歯車部40は、従動側回転体30および駆動側回転体20の一方である従動側回転体30に形成されている。遊星回転体50は、回転中心線Cr1に対し偏心するとともに内歯歯車部40と噛み合う遊星歯車部51を有する。オルダム継手60は、従動側回転体30および駆動側回転体20の他方である駆動側回転体20に形成された従動オルダムフランジ部61、遊星回転体50に形成された駆動オルダムフランジ部62、および、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とを偏心自在かつ回転同期させるオルダム中間体63を有する。
【0047】
従動オルダムフランジ部61に対する遊星回転体50の最大の傾き量をθ1、オルダム継手60内のクリアランスにおける遊星回転体50の最大の傾き量をθ2とすると、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、従動オルダムフランジ部61に対し遊星回転体50が最大の傾き量であるθ1近くまで傾いた場合、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを詰めることができる。これにより、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生を抑制できる。
【0048】
また、<2>本実施形態では、オルダム中間体63の軸方向における駆動側回転体20とのクリアランスの一方をCL1、他方をCL2、オルダム中間体63の軸方向における駆動側回転体20との接触部の直径をL1、遊星回転体50とオルダム中間体63との周方向のクリアランスの一方をCL3、他方をCL4、オルダム中間体63の周方向における遊星回転体50との接触部の軸方向の長さをL2、遊星回転体50の軸方向における駆動側回転体20とのクリアランスをCL5、遊星回転体50の軸方向における駆動側回転体20との接触部の直径をL3とすると、θ1=arctan(CL5/L3)、θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)の関係を満たす。そのため、オルダム継手60の各部材と従動オルダムフランジ部61および駆動オルダムフランジ部62とは、円滑に相対移動可能である。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態のバルブタイミング調整装置を
図6に示す。第2実施形態は、各部材に対し作用する力の力線の位置が第1実施形態と異なる。
【0050】
本実施形態では、内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、遊星回転体50に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0051】
ここで、力F1は、噛み合い部41の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。力F2は、付勢部材13の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心からベアリング12および遊星回転体50に対し径方向外側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0052】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ1=arctan(CL5/L3)、θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0053】
以上説明したように、<3>本実施形態では、内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、遊星回転体50に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0054】
(第3実施形態)
第3実施形態のバルブタイミング調整装置を
図7に示す。第3実施形態は、各部材に対し作用する力の力線の位置が第2実施形態と異なる。
【0055】
本実施形態では、内歯歯車部40が形成された従動側回転体30は、駆動側回転体20を径方向で支持する軸受部31を有している。軸受部31は、従動側回転体30のカム軸3側の端部の外周壁に形成されている。
【0056】
内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、軸受部31に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0057】
ここで、力F1は、噛み合い部41の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向外側に向かって作用する。力F2は、回転体筒部21の内周壁から、軸受部31の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0058】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ1=arctan(CL5/L3)、θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0059】
以上説明したように、<4>本実施形態では、内歯歯車部40が形成された従動側回転体30および駆動側回転体20の一方である従動側回転体30は、従動側回転体30および駆動側回転体20の他方である駆動側回転体20を径方向で支持する軸受部31を有している。内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、軸受部31に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0060】
(第4実施形態)
第4実施形態のバルブタイミング調整装置を
図8に示す。第4実施形態は、各部材に対し作用する力の力線の位置が第2実施形態と異なる。
【0061】
本実施形態では、駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部24を有している。軸受部24は、従動側回転体30の軸受部31に対向するよう回転体筒部21の内周壁に形成されている。
【0062】
駆動側回転体20は、クランク軸2からのトルクを伝達する環状伝達部材6が係合する係合部23を有している。係合部23は、回転体筒部21の外周壁のうちベアリング12の径方向外側に対応する位置に形成されている。
【0063】
軸受部24に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0064】
ここで、力F1は、軸受部24の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向外側に向かって作用する。力F2は、環状伝達部材6から、係合部23の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r2に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0065】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ1=arctan(CL5/L3)、θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0066】
以上説明したように、<5>本実施形態では、駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部24、および、クランク軸2からのトルクを伝達する環状伝達部材6が係合する係合部23を有している。軸受部24に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0067】
(第5実施形態)
第5実施形態のバルブタイミング調整装置を
図9に示す。第5実施形態は、偏心軸部70の構成、遊星回転体50の配置等が第1実施形態と異なる。
【0068】
本実施形態では、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1に対し偏心するよう形成されている。すなわち、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1から偏心方向に離れ回転中心線Cr1に対し平行な偏心中心線Ce1を中心とする円筒面に沿うよう形成されている。偏心軸部70のカム軸3側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1を中心とする円筒面に沿うよう形成されている。
【0069】
ベアリング11は、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁と遊星回転体50の内周壁との間に設けられている。ベアリング12は、偏心軸部70のカム軸3側の端部の外周壁と従動側回転体30のカム軸3側の端部の内周壁との間に設けられている。
【0070】
内歯歯車部40は、遊星歯車部51が噛み合うよう、従動側回転体30の内周壁に形成されている。内歯歯車部40と遊星歯車部51との間に噛み合い部41が形成される。
【0071】
本実施形態では、内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、遊星回転体50に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0072】
ここで、力F1は、噛み合い部41の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。力F2は、ベアリング11の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心から遊星回転体50に対し径方向外側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0073】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ1=arctan(CL5/L3)、θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0074】
以上説明したように、<3>本実施形態では、内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、遊星回転体50に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0075】
(第6実施形態)
第6実施形態のバルブタイミング調整装置を
図10に示す。第6実施形態は、駆動側回転体20、従動側回転体30、偏心軸部70等の構成、遊星回転体50の配置等が第1実施形態と異なる。
【0076】
本実施形態では、駆動側回転体20は、回転体板部22を有していない。内歯歯車部40は、駆動側回転体20に形成されている。内歯歯車部40は、駆動側回転体20の回転体筒部21のカム軸3とは反対側の端部の内周壁に形成されている。
【0077】
遊星回転体50は、遊星歯車部51が内歯歯車部40に噛み合うよう、回転体筒部21のカム軸3とは反対側の端部の内側に設けられている。内歯歯車部40と遊星歯車部51との間に噛み合い部41が形成される。
【0078】
従動オルダムフランジ部61は、従動側回転体30に形成されている。従動側回転体30のカム軸3とは反対側の端部には、外周壁から径方向外側へ板状に延びるフランジ部35が形成されている。従動オルダムフランジ部61は、従動側回転体30のフランジ部35のカム軸3とは反対側の端面からカム軸3側へ凹むよう形成されている。従動オルダムフランジ部61は、従動側回転体30の周方向に等間隔で2つ形成されている。すなわち、従動オルダムフランジ部61は、回転中心線Cr1を間に挟んで対向するよう形成されている。
【0079】
駆動オルダムフランジ部62は、遊星回転体50に形成されている。駆動オルダムフランジ部62は、遊星回転体50の回転体本体500のカム軸3側の端面からカム軸3とは反対側へ凹むよう形成されている。駆動オルダムフランジ部62は、回転体本体500の周方向に等間隔で2つ形成されている。すなわち、駆動オルダムフランジ部62は、回転中心線Cr1を間に挟んで対向するよう形成されている。
【0080】
オルダム中間体63は、オルダム凹部632に代えてオルダム凸部633を有している。オルダム凸部633は、オルダム本体630の外縁部から径方向外側へ突出するよう形成されている。オルダム凸部633は、オルダム本体630の周方向に等間隔で2つ形成されている。すなわち、オルダム凸部633は、オルダム本体630の軸を間に挟んで対向するよう形成されている。ここで、オルダム凸部631およびオルダム凸部633は、2つのオルダム凸部631の中心を結ぶ直線と、2つのオルダム凸部633の中心を結ぶ直線とが直交するよう形成されている。
【0081】
オルダム中間体63は、オルダム凸部633が駆動オルダムフランジ部62に係合し、オルダム凸部631が従動オルダムフランジ部61に係合するよう設けられている。
【0082】
ここで、オルダム中間体63は、駆動オルダムフランジ部62に対し第1方向に相対移動可能である。オルダム中間体63が駆動オルダムフランジ部62に対し第1方向に相対移動するとき、オルダム凸部633と駆動オルダムフランジ部62とは摺動する。
【0083】
また、オルダム中間体63は、従動オルダムフランジ部61に対し第2方向に相対移動可能である。ここで、第2方向は、第1方向に直交する方向である。オルダム中間体63が従動オルダムフランジ部61に対し第2方向に相対移動するとき、オルダム凸部631と従動オルダムフランジ部61とは摺動する。
【0084】
上記構成により、オルダム中間体63は、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とを偏心自在かつ回転同期させることができる。
【0085】
本実施形態では、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1に対し偏心するよう形成されている。すなわち、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1から偏心方向に離れ回転中心線Cr1に対し平行な偏心中心線Ce1を中心とする円筒面に沿うよう形成されている。偏心軸部70のカム軸3側の端部の外周壁は、回転中心線Cr1を中心とする円筒面に沿うよう形成されている。
【0086】
ベアリング11は、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部の外周壁と遊星回転体50の内周壁との間に設けられている。ベアリング12は、偏心軸部70のカム軸3側の端部の外周壁と従動側回転体30のカム軸3側の端部の内周壁との間に設けられている。
【0087】
付勢部材13は、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部において外周壁が偏心する側に設けられている。付勢部材13は、ベアリング11を介して遊星回転体50を径方向外側、すなわち、遊星回転体50の偏心方向へ付勢している。付勢部材13は、遊星回転体50の偏心方向において、遊星歯車部51を内歯歯車部40に押し付けている。
【0088】
本実施形態では、内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、遊星回転体50に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0089】
ここで、力F1は、噛み合い部41の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。力F2は、付勢部材13の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心からベアリング11および遊星回転体50に対し径方向外側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0090】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0091】
なお、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部には、外周壁から径方向外側へ板状に延びるフランジ部71が形成されている。
【0092】
以上説明したように、<1>本実施形態では、内歯歯車部40は、従動側回転体30および駆動側回転体20の一方である駆動側回転体20に形成されている。遊星回転体50は、回転中心線Cr1に対し偏心するとともに内歯歯車部40と噛み合う遊星歯車部51を有する。オルダム継手60は、従動側回転体30および駆動側回転体20の他方である従動側回転体30に形成された従動オルダムフランジ部61、遊星回転体50に形成された駆動オルダムフランジ部62、および、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とを偏心自在かつ回転同期させるオルダム中間体63を有する。
【0093】
従動オルダムフランジ部61に対する遊星回転体50の最大の傾き量をθ1、オルダム継手60内のクリアランスにおける遊星回転体50の最大の傾き量をθ2とすると、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、従動オルダムフランジ部61に対し遊星回転体50が最大の傾き量であるθ1近くまで傾いた場合、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを詰めることができる。これにより、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生を抑制できる。
【0094】
また、<3>本実施形態では、内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、遊星回転体50に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0095】
(第7実施形態)
第7実施形態のバルブタイミング調整装置を
図11に示す。第7実施形態は、各部材に対し作用する力の力線の位置が第6実施形態と異なる。
【0096】
本実施形態では、内歯歯車部40が形成された駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部25を有している。軸受部25は、回転体筒部21の内周壁のうち従動側回転体30のフランジ部35の外縁部に対向する位置に形成されている。
【0097】
内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、軸受部25に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0098】
ここで、力F1は、噛み合い部41の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向外側に向かって作用する。力F2は、従動側回転体30のフランジ部35の外縁部から、軸受部25の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向外側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0099】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0100】
以上説明したように、<4>本実施形態では、内歯歯車部40が形成された従動側回転体30および駆動側回転体20の一方である駆動側回転体20は、従動側回転体30および駆動側回転体20の他方である従動側回転体30を径方向で支持する軸受部25を有している。内歯歯車部40と遊星歯車部51との噛み合い部41に対し径方向に作用する力F1の力線と、軸受部25に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0101】
(第8実施形態)
第8実施形態のバルブタイミング調整装置を
図12に示す。第8実施形態は、各部材に対し作用する力の力線の位置が第6実施形態と異なる。
【0102】
本実施形態では、駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部26を有している。軸受部26は、従動側回転体30のフランジ部35の外縁部に対向するよう回転体筒部21の内周壁に形成されている。なお、フランジ部35の外縁部には、軸受部26に対向する軸受部32が形成されている。
【0103】
駆動側回転体20は、クランク軸2からのトルクを伝達する環状伝達部材6が係合する係合部23を有している。係合部23は、回転体筒部21のカム軸3側の端部の外周壁に形成されている。
【0104】
軸受部26に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0105】
ここで、力F1は、軸受部26の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向外側に向かって作用する。力F2は、環状伝達部材6から、係合部23の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0106】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0107】
以上説明したように、<5>本実施形態では、駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部26、および、クランク軸2からのトルクを伝達する環状伝達部材6が係合する係合部23を有している。軸受部26に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0108】
(第9実施形態)
第9実施形態のバルブタイミング調整装置を
図13に示す。第9実施形態は、各部材の構成が第5実施形態とやや異なるものの、各部材の配置等については概ね第5実施形態と同様である。第9実施形態は、各部材に対し作用する力の力線の位置が第5実施形態と異なる。
【0109】
本実施形態では、付勢部材13は、偏心軸部70のカム軸3とは反対側の端部において外周壁が偏心する側に設けられている。付勢部材13は、ベアリング11を介して遊星回転体50を径方向外側、すなわち、遊星回転体50の偏心方向へ付勢している。付勢部材13は、遊星回転体50の偏心方向において、遊星歯車部51を内歯歯車部40に押し付けている。
【0110】
本実施形態では、駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部27を有している。軸受部27は、従動側回転体30のカム軸3とは反対側の端部の外周壁に対向するよう回転体筒部21の内周壁に形成されている。なお、従動側回転体30の外周壁には、軸受部27に対向する軸受部33が形成されている。
【0111】
駆動側回転体20は、クランク軸2からのトルクを伝達する環状伝達部材6が係合する係合部23を有している。係合部23は、回転体筒部21の外周壁のうちベアリング12の径方向外側に対応する位置に形成されている。
【0112】
軸受部27に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0113】
ここで、力F1は、軸受部27の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向外側に向かって作用する。力F2は、環状伝達部材6から、係合部23の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0114】
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、第1実施形態と同様、θ2<θ1の関係を満たす。そのため、上述の構成により遊星回転体50を他部材に対し積極的に傾かせることにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。
【0115】
以上説明したように、<5>本実施形態では、駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部27、および、クランク軸2からのトルクを伝達する環状伝達部材6が係合する係合部23を有している。軸受部27に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、遊星回転体50を、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0116】
(第10実施形態)
第10実施形態のバルブタイミング調整装置を
図14に示す。第10実施形態は、各部材に対し作用する力の力線の位置が第10実施形態と異なる。
【0117】
本実施形態では、軸受部27は、従動側回転体30のカム軸3側の端部の外周壁に対向するよう回転体筒部21の内周壁に形成されている。なお、従動側回転体30の外周壁には、軸受部27に対向する軸受部33が形成されている。
【0118】
軸受部27に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。
【0119】
ここで、力F1は、軸受部27の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向外側に向かって作用する。力F2は、環状伝達部材6から、係合部23の軸方向(回転中心線Cr1方向)の中心に対し径方向内側に向かって作用する。これにより、遊星回転体50は、回転中心線Cr1に直交する直線Lr1を回転軸として回転方向r1に回転するよう、駆動側回転体20、従動側回転体30、オルダム継手60等の他部材に対し傾く。
【0120】
以上説明したように、<5>本実施形態では、駆動側回転体20は、従動側回転体30を径方向で支持する軸受部27、および、クランク軸2からのトルクを伝達する環状伝達部材6が係合する係合部23を有している。軸受部27に対し径方向に作用する力F1の力線と、環状伝達部材6から係合部23に対し径方向に作用する力F2の力線とは、回転中心線Cr1方向において離間している。そのため、第9実施形態と同様、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0121】
(第11実施形態)
第11実施形態のバルブタイミング調整装置を
図15に示す。第11実施形態は、オルダム中間体63の構成が第1実施形態と異なる。
【0122】
本実施形態では、オルダム中間体63は、例えば金属等の弾性体により形成されている。オルダム中間体63は、中央が遊星回転体50側へ突出するよう形成されている(
図15~17参照)。
【0123】
オルダム中間体63は、遊星回転体50と回転体板部22との間に設けられている。これにより、オルダム中間体63は、遊星回転体50を回転体筒部21の底部側へ付勢する。そのため、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とは、回転中心線Cr1方向において互いに離間する。なお、簡単のため、
図15においては、従動側回転体30等の図示を省略している。
【0124】
以上説明したように、<6>本実施形態では、オルダム中間体63は、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とが離間する方向に付勢力を生じさせるよう形成されている。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0125】
(第12実施形態)
第12実施形態のバルブタイミング調整装置を
図18に示す。第12実施形態は、オルダム中間体63の構成が第11実施形態と異なる。
【0126】
本実施形態では、オルダム中間体63は、2つのオルダム凸部631のうち一方のオルダム凸部631側の部位が、他方のオルダム凸部631側の部位に対し遊星回転体50側に位置するよう形成されている。すなわち、オルダム中間体63は、軸に直交する方向の一方の端部が、他方の端部に対し遊星回転体50側に位置するよう形成されている(
図18~20参照)。
【0127】
オルダム中間体63は、第11実施形態と同様、遊星回転体50と回転体板部22との間に設けられている。これにより、オルダム中間体63は、遊星回転体50を回転体筒部21の底部側へ付勢する。そのため、従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とは、回転中心線Cr1方向において互いに離間する。
【0128】
ここで、オルダム中間体63が生じさせる付勢力F3の方向は、回転中心線Cr1に対し傾斜している。そのため、遊星回転体50を駆動側回転体20等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。
【0129】
以上説明したように、<7>本実施形態では、オルダム中間体63は、弾性体により形成されている。オルダム中間体63が生じさせる付勢力F3の方向は、回転中心線Cr1に対し傾斜している。そのため、オルダム中間体63により、遊星回転体50を駆動側回転体20等の他部材に対し積極的に傾かせることができる。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスをより一層積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより一層効果的に抑制できる。
【0130】
(第13実施形態)
第13実施形態のバルブタイミング調整装置を
図21に示す。第13実施形態は、オルダム中間体63等の構成が第11実施形態と異なる。
【0131】
本実施形態では、オルダム中間体63は、平面状に形成されている(
図21参照)。
【0132】
オルダム中間体63のオルダム凸部631の従動オルダムフランジ部61との接触面である接触部64は、オルダム中間体63の軸Ax1に対し傾斜している(
図22、23参照)。すなわち、オルダム中間体63の周方向における駆動側回転体20との接触部64は、オルダム中間体63の軸Ax1に対し傾斜している。
【0133】
そのため、クランク軸2から駆動側回転体20へのトルク伝達により、駆動側回転体20とオルダム中間体63とが相対回転するとき、接触部64には、トルク伝達に伴う従動オルダムフランジ部61からの周方向の荷重により軸Ax1方向の分力F4を生じ、当該分力F4により従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とが離間するよう付勢される(
図23参照)。
【0134】
以上説明したように、<8>本実施形態では、オルダム中間体63の周方向における駆動側回転体20との接触部64は、オルダム中間体63の軸Ax1に対し傾斜しており、トルク伝達に伴う周方向の荷重により軸Ax1方向の分力F4を生じ、当該分力F4により従動オルダムフランジ部61と駆動オルダムフランジ部62とが離間するよう付勢される。これにより、オルダム継手60と他部材とのクリアランス、および、オルダム継手60内のクリアランスを積極的に詰めることができる。したがって、バルブタイミング調整装置10の作動時、オルダム継手60からの騒音の発生をより効果的に抑制できる。
【0135】
(他の実施形態)
他の実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、θ2<θ1の関係を満たすのであれば、θ1=arctan(CL5/L3)、θ2=arctan((CL1+CL2)/L1)+arctan((CL3+CL4)/L2)の関係を満たしていなくてもよい。
【0136】
また、他の実施形態では、環状伝達部材6として、チェーンに代えて、例えばベルト等を用いてもよい。
【0137】
他の実施形態では、バルブタイミング調整装置10は、エンジン1の排気弁5のバルブタイミングを調整することとしてもよい。
【0138】
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 エンジン(内燃機関)、2 クランク軸、3 カム軸、4 吸気弁(バルブ)、5 排気弁(バルブ)、10 バルブタイミング調整装置、20 駆動側回転体、30 従動側回転体、40 内歯歯車部、50 遊星回転体、51 遊星歯車部、60 オルダム継手、61 従動オルダムフランジ部、62 駆動オルダムフランジ部、63 オルダム中間体、Cr1 回転中心線