(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】ドレッシング工具のツルーイング方法、及びドレッシング工具のツルーイングプログラム
(51)【国際特許分類】
B24B 53/075 20060101AFI20230214BHJP
B24B 53/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B24B53/075
B24B53/00 B
(21)【出願番号】P 2020120722
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2022-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503324771
【氏名又は名称】菊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊田 惇
(72)【発明者】
【氏名】菊田 崇
(72)【発明者】
【氏名】坂田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大門 直基
(72)【発明者】
【氏名】内田 門
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-142883(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158385(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/075
B24B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具の砥粒を、ドレッシング工具で整形するのにあたり、前記ドレッシング工具は、第1の回転軸を軸心とする複数歯の平歯車または、はすば歯車を母材とした第1の台金と、前記第1の台金の各前記歯に、前記研削工具の前記砥粒より硬い超砥粒を無数設けた砥粒付歯部を有し、
前記ドレッシング工具の前記超砥粒にツルーイングを行うツルーイング工具として、前記ツルーイング工具は、第2の回転軸を中心とする円盤状に形成された第2の台金を母材とし、前記第2の台金の外周縁部の表面に無数のダイヤモンド砥粒を設けたダイヤモンド砥粒群部を有すること、
X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、前記第1の回転軸に沿う方向を、X軸方向とし、前記第2の回転軸に沿う方向を、Z軸方向とし、X軸方向かつZ軸方向と直交する方向を、Y軸方向とすると、
前記ドレッシング工具の全前記砥粒付歯部のうち、一の前記砥粒付歯部の片側にある特定砥粒付歯部で、その歯先側と歯元側との間にある局部的な被ツルーイング領域を、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒群部にあるツルーイング実施領域と接触可能となる加工ポイントの位置まで、前記第1の回転軸を中心とする前記ドレッシング工具の回転により、円弧状に動作させる第1工程と、
前記第1工程による前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域の動作に伴い、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記ドレッシング工具の回転動作と同期した状態で、前記ツルーイング工具を前記第2の回転軸上で前記Z軸方向に移動させることにより、前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置まで、前記Z軸方向に前記被ツルーイング領域と相対的に移動させる第2工程と、
前記Y軸方向に対し、前記ツルーイング工具の直線的な移動に基づいて、前記特定砥粒付歯部に対し、前記歯先側と前記歯元側との間で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記特定砥粒付歯部と相対的に移動させることにより、前記ツルーイング実施領域と前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯形方向に変化させる第3工程と、
前記第1工程と前記第2工程と前記第3工程とを同時に行って前記加工ポイントの位置を設定した後、前記Z軸方向に向けた前記第2の回転軸を中心に、前記ツルーイング工具を回転させた状態で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域にある前記ダイヤモンド砥粒により、前記加工ポイントにおいて、前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域内で、少なくとも前記第1の台金の前記歯面から最も外側に突出している前記超砥粒に、衝撃を加える第4工程と、を有し、
最初に前記第4工程を実施後、前記第3工程と前記第4工程とを交互に少なくとも1回以上行って、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒により、前記第1の台金の前記歯の前記歯面に倣う創成に基づいたツルーイングを、前記ドレッシング工具の前記砥粒付歯部に行うこと、
前記X軸方向に前記ツルーイング工具の移動を伴いながら、前記第4工程を行って、
前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させること、
前記第1の台金に対し、一の前記歯と他の前記歯とが、互いに隣り合った位置関係の下、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させるのにあたり、
前記一の歯について、前記加工ポイントを、前記ドレッシング工具の前記X軸方向一端側から他端側に向けて移動させた後、前記一の歯に代えて前記他の歯に対して、新たに前記第1工程及び前記第2工程を行って、前記加工ポイントを設定すること、
前記他の歯では、前記加工ポイントを、前記X軸方向他端側から前記一端側に向けて移動させること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイング方法。
【請求項2】
製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具の砥粒を、ドレッシング工具で整形するのにあたり、前記ドレッシング工具は、第1の回転軸を軸心とする複数歯の平歯車または、はすば歯車を母材とした第1の台金と、前記第1の台金の各前記歯に、前記研削工具の前記砥粒より硬い超砥粒を無数設けた砥粒付歯部を有し、
前記ドレッシング工具の前記超砥粒にツルーイングを行うツルーイング工具として、前記ツルーイング工具は、第2の回転軸を中心とする円盤状に形成された第2の台金を母材とし、前記第2の台金の外周縁部の表面に無数のダイヤモンド砥粒を設けたダイヤモンド砥粒群部を有すること、
X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、前記第1の回転軸に沿う方向を、X軸方向とし、前記第2の回転軸に沿う方向を、Z軸方向とし、X軸方向かつZ軸方向と直交する方向を、Y軸方向とすると、
前記ドレッシング工具の全前記砥粒付歯部のうち、一の前記砥粒付歯部の片側にある特定砥粒付歯部で、その歯先側と歯元側との間にある局部的な被ツルーイング領域を、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒群部にあるツルーイング実施領域と接触可能となる加工ポイントの位置まで、前記第1の回転軸を中心とする前記ドレッシング工具の回転により、円弧状に動作させる第1工程と、
前記第1工程による前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域の動作に伴い、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記ドレッシング工具の回転動作と同期した状態で、前記ツルーイング工具を前記第2の回転軸上で前記Z軸方向に移動させることにより、前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置まで、前記Z軸方向に前記被ツルーイング領域と相対的に移動させる第2工程と、
前記Y軸方向に対し、前記ツルーイング工具の直線的な移動に基づいて、前記特定砥粒付歯部に対し、前記歯先側と前記歯元側との間で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記特定砥粒付歯部と相対的に移動させることにより、前記ツルーイング実施領域と前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯形方向に変化させる第3工程と、
前記第1工程と前記第2工程と前記第3工程とを同時に行って前記加工ポイントの位置を設定した後、前記Z軸方向に向けた前記第2の回転軸を中心に、前記ツルーイング工具を回転させた状態で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域にある前記ダイヤモンド砥粒により、前記加工ポイントにおいて、前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域内で、少なくとも前記第1の台金の前記歯面から最も外側に突出している前記超砥粒に、
周速2500rpm以上に回転させた状態で、前記ツルーイング工具を、2~5μmの範囲内で、前記第1の台金の前記歯面側に送り込むことにより、衝撃を加える第4工程と、を有し、
最初に前記第4工程を実施後、前記第3工程と前記第4工程とを交互に少なくとも1回以上行って、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒により、前記第1の台金の前記歯の前記歯面に倣う創成に基づいたツルーイングを、前記ドレッシング工具の前記砥粒付歯部に行うこと、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイング方法。
【請求項3】
請求項
2に記載するドレッシング工具のツルーイング方法において、
前記X軸方向に前記ツルーイング工具の移動を伴いながら、前記第4工程を行って、
前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させること、
を特徴とするドレッシングギヤのツルーイング方法。
【請求項4】
請求項
3に記載するドレッシング工具のツルーイング方法において、
前記第1の台金に対し、一の前記歯と他の前記歯とが、互いに隣り合った位置関係の下、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させるのにあたり、
前記一の歯について、前記加工ポイントを、前記ドレッシング工具の前記X軸方向一端側から他端側に向けて移動させた後、前記一の歯に代えて前記他の歯に対して、新たに前記第1工程及び前記第2工程を行って、前記加工ポイントを設定すること、
前記他の歯では、前記加工ポイントを、前記X軸方向他端側から前記一端側に向けて移動させること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイング方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項
4のいずれか1つに記載するドレッシング工具のツルーイング方法において、
前記研削工具の前記砥粒は、CBN(立方晶窒化硼素)を砥材したものであること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイング方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項
5のいずれか1つに記載するドレッシング工具のツルーイング方法において、
前記第1の台金では、前記歯のモジュールは1以上であること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイング方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項
6のいずれか1つに記載するドレッシング工具のツルーイング方法において、
前記ドレッシング工具では、前記第1の台金が平歯車であること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイング方法。
【請求項8】
ドレッシング工具は、第1の回転軸を軸心とする複数歯の平歯車または、はすば歯車を母材とした第1の台金と、製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具の砥粒より硬い超砥粒を、前記第1の台金の各前記歯の歯面に無数設けた砥粒付歯部を有し、
ツルーイング工具は、第2の回転軸を中心とする円盤状に形成された第2の台金を母材とし、前記第2の台金の外周縁部の表面に無数のダイヤモンド砥粒を設けたダイヤモンド砥粒群部を有し、
前記ツルーイング工具により、前記ドレッシング工具の前記超砥粒にツルーイングを行う工具整形装置に格納されたプログラムとして、
X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、前記第1の回転軸に沿う方向を、X軸方向とし、前記第2の回転軸に沿う方向を、Z軸方向とし、X軸方向かつZ軸方向と直交する方向を、Y軸方向とすると、
前記ドレッシング工具の全前記砥粒付歯部のうち、一の前記砥粒付歯部の片側にある特定砥粒付歯部で、その歯先側と歯元側との間にある局部的な被ツルーイング領域を、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒群部にあるツルーイング実施領域と接触可能となる加工ポイントの位置まで、前記第1の回転軸を中心とする前記ドレッシング工具の回転により、円弧状に動作させる第1ステップと、
前記第1ステップによる前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域の動作に伴い、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記ドレッシング工具の回転動作と同期した状態で、前記ツルーイング工具を前記第2の回転軸上で前記Z軸方向に移動させることにより、前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置まで、前記Z軸方向に前記被ツルーイング領域と相対的に移動させる第2ステップと、
前記Y軸方向に対し、前記ツルーイング工具の直線的な移動に基づいて、前記特定砥粒付歯部に対し、前記歯先側と前記歯元側との間で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記特定砥粒付歯部と相対的に移動させることにより、前記被ツルーイング領域と前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯形方向に変化させる第3ステップと、
前記第1ステップと前記第2ステップと前記第3ステップとを同時に行って前記加工ポイントの位置を設定した後、前記Z軸方向に向けた前記第2の回転軸を中心に、前記ツルーイング工具を回転させた状態で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域にある前記ダイヤモンド砥粒により、前記加工ポイントにおいて、前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域内で、少なくとも前記第1の台金の前記歯面から最も外側に突出している前記超砥粒に、衝撃を加える第4ステップと、を有し、
最初に前記第4ステップを実施後、前記第3ステップと前記第4ステップとを交互に少なくとも1回以上行って、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒により、前記第1の台金の前記歯の前記歯面に倣う創成に基づいたツルーイングを、前記ドレッシング工具の前記砥粒付歯部に行うこと、
前記X軸方向に前記ツルーイング工具の移動を伴いながら、前記第4ステップを行って、
前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させること、
前記第1の台金に対し、一の前記歯と他の前記歯とが、互いに隣り合った位置関係の下、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させるのにあたり、
前記一の歯について、前記加工ポイントを、前記ドレッシング工具の前記X軸方向一端側から他端側に向けて移動させた後、前記一の歯に代えて前記他の歯に対して、新たに前記第1ステップ及び前記第2ステップを行って、前記加工ポイントを設定すること、
前記他の歯では、前記加工ポイントを、前記X軸方向他端側から前記一端側に向けて移動させること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイングプログラム。
【請求項9】
ドレッシング工具は、第1の回転軸を軸心とする複数歯の平歯車または、はすば歯車を母材とした第1の台金と、製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具の砥粒より硬い超砥粒を、前記第1の台金の各前記歯の歯面に無数設けた砥粒付歯部を有し、
ツルーイング工具は、第2の回転軸を中心とする円盤状に形成された第2の台金を母材とし、前記第2の台金の外周縁部の表面に無数のダイヤモンド砥粒を設けたダイヤモンド砥粒群部を有し、
前記ツルーイング工具により、前記ドレッシング工具の前記超砥粒にツルーイングを行う工具整形装置に格納されたプログラムとして、
X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、前記第1の回転軸に沿う方向を、X軸方向とし、前記第2の回転軸に沿う方向を、Z軸方向とし、X軸方向かつZ軸方向と直交する方向を、Y軸方向とすると、
前記ドレッシング工具の全前記砥粒付歯部のうち、一の前記砥粒付歯部の片側にある特定砥粒付歯部で、その歯先側と歯元側との間にある局部的な被ツルーイング領域を、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒群部にあるツルーイング実施領域と接触可能となる加工ポイントの位置まで、前記第1の回転軸を中心とする前記ドレッシング工具の回転により、円弧状に動作させる第1ステップと、
前記第1ステップによる前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域の動作に伴い、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記ドレッシング工具の回転動作と同期した状態で、前記ツルーイング工具を前記第2の回転軸上で前記Z軸方向に移動させることにより、前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置まで、前記Z軸方向に前記被ツルーイング領域と相対的に移動させる第2ステップと、
前記Y軸方向に対し、前記ツルーイング工具の直線的な移動に基づいて、前記特定砥粒付歯部に対し、前記歯先側と前記歯元側との間で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記特定砥粒付歯部と相対的に移動させることにより、前記被ツルーイング領域と前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯形方向に変化させる第3ステップと、
前記第1ステップと前記第2ステップと前記第3ステップとを同時に行って前記加工ポイントの位置を設定した後、前記Z軸方向に向けた前記第2の回転軸を中心に、前記ツルーイング工具を回転させた状態で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域にある前記ダイヤモンド砥粒により、前記加工ポイントにおいて、前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域内で、少なくとも前記第1の台金の前記歯面から最も外側に突出している前記超砥粒に、
周速2500rpm以上に回転させた状態で、前記ツルーイング工具を、2~5μmの範囲内で、前記第1の台金の前記歯面側に送り込むことにより、衝撃を加える第4ステップと、を有し、
最初に前記第4ステップを実施後、前記第3ステップと前記第4ステップとを交互に少なくとも1回以上行って、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒により、前記第1の台金の前記歯の前記歯面に倣う創成に基づいたツルーイングを、前記ドレッシング工具の前記砥粒付歯部に行うこと、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイングプログラム。
【請求項10】
請求項
9に記載するドレッシング工具のツルーイングプログラムにおいて、
前記X軸方向に前記ツルーイング工具の移動を伴いながら、前記第4ステップを行って、
前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイングプログラム。
【請求項11】
請求項
10に記載するドレッシング工具のツルーイングプログラムにおいて、
前記第1の台金に対し、一の前記歯と他の前記歯とが、互いに隣り合った位置関係の下、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させるのにあたり、
前記一の歯について、前記加工ポイントを、前記ドレッシング工具の前記X軸方向一端側から他端側に向けて移動させた後、前記一の歯に代えて前記他の歯に対して、新たに前記第1ステップ及び前記第2ステップを行って、前記加工ポイントを設定すること、
前記他の歯では、前記加工ポイントを、前記X軸方向他端側から前記一端側に向けて移動させること、
を特徴とするドレッシング工具のツルーイングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車の歯面を研削する研削工具をドレッシングするのに用いるドレッシング工具に、ツルーイングを施すためのドレッシング工具のツルーイング方法及び、このツルーイング方法を設備で行うためのドレッシング工具のツルーイングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鋼製の歯車では、熱処理を施すことにより、必然的に歪が歯面に生じてしまうため、歯面の歪を、CBN研削工具を用いた歯面研削加工で、取り除く場合がある。CBN研削工具による歯面研削加工では、CBN砥粒は、研削時にほとんど脱落しないため、研削後の歯面精度は高く、数多くの被研削歯車(ワーク)の歯面を研削しても、加工精度に対し、歯面毎のバラツキやワーク毎のバラツキは、比較的小さく抑えられると期待されている。
【0003】
CBN研削工具は、母材であるウォームギヤの外周表面上に形成したメッキ層に、無数のCBN砥粒を電着してなる。このようなCBN研削工具を使用するにあたり、特許文献1に開示されているように、ドレッシング工具(ドレッシングギヤ)によるドレッシングが、CBN研削工具に施される。歯面研削加工では、CBN研削工具のCBN砥粒を目直しした状態で、歯面が研削される。
【0004】
他方、ドレッシングギヤは、平歯車やはすば歯車等の歯車形状に形成された台金を母材とし、この台金の各歯の表面上に形成したメッキ層に、無数のダイヤモンド砥粒を電着してなる。電着されるダイヤモンド砥粒は、JIS規格に準じて大別された略一定の粒度の砥粒である。電着直後の状態にあるドレッシングギヤでは、メッキ層に固着されている数多くのダイヤモンド砥粒のうち、メッキ層から突出した部分の砥粒の態様は、砥粒一粒毎に異なり、個々のダイヤモンド砥粒には、メッキ層からの突出量にバラツキがある。このような状態のドレッシングギヤは、CBN研削工具のドレッシング時に、CBN砥粒を高精度に目直しできず、ドレッシングギヤのツルーイングとして、ドレッシングギヤに電着された個々のダイヤモンド砥粒に対し、メッキ層から突出する部分の凹凸を、より均一な状態に整形する必要がある。
【0005】
特許文献2には、大粒径のダイヤモンド砥粒を電着したダイヤモンドドレッシングギヤの製造方法が開示されており、前述したドレッシングギヤのツルーイングの必要性が言及されている。特許文献2では、平均粒径0.2mm以上0.4mm未満の大きさとする大粒径のダイヤモンド砥粒を電着したダイヤモンドドレッシングギヤを製造する場合、ダイヤモンド砥石を用いて、ダイヤモンドドレッシングギヤの歯面にツルーイングを行うことにより、歯面に生じているダイヤモンド砥粒の凹凸を滑らかにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-81472号公報
【文献】特開2005-271127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ドレッシングギヤのダイヤモンド砥粒を整形するには、特許文献2のダイヤモンド砥石のように、このドレッシングギヤの相方となるツルーイング工具にもダイヤモンド粒子が用いられる。しかしながら、電着されているダイヤモンド砥粒では、同じ規格内でも、砥粒一粒毎に形状が異なるばかりか、砥粒一粒の大きさも画一的ではなく、メッキ層に固着した配置態様も一様ではない。また、ダイヤモンド砥粒の中には、浮き砥粒として、隣接するダイヤモンド砥粒同士の間に挟まれてメッキ層に保持されておらず、不安定な状態になっている不要な砥粒もある。しかも、ドレッシングギヤ側の砥粒とツルーイング工具側の粒子は、双方とも同じダイヤモンド同士で、最も硬い材質である。加えて、ドレッシングギヤのツルーイング時には、ドレッシングギヤとツルーイング工具とが、相対的に回転運動を伴いながら、互いに噛み合った状態で、ドレッシングギヤのダイヤモンド砥粒とツルーイング工具のダイヤモンド粒子とが、高速回転下で接触する。
【0008】
そのため、ドレッシングギヤのツルーイング工程で、ダイヤモンド粒子がむやみにダイヤモンド砥粒に近接し過ぎた状態で、ツルーイングが行われると、ダイヤモンド砥粒とダイヤモンド粒子との間で生じる大きな衝撃力により、本来、メッキ層に固着したまま残しておきたい必要なダイヤモンド砥粒までもが、メッキ層から剥離して脱落してしまうことがある。他方、ドレッシングギヤの歯面内の特定範囲内において、ダイヤモンド粒子が、突出量の最も大きい一のダイヤモンド砥粒に、少なくとも完全に接触する位置まで近接していないと、この一のダイヤモンド砥粒周囲に散在する他のダイヤモンド砥粒群と接触できず、一のダイヤモンド砥粒と共に、一のダイヤモンド砥粒より突出量の小さい他のダイヤモンド砥粒群の中でも、排除したい不要なダイヤモンド砥粒を取り除くことができない。
【0009】
しかも、ドレッシングギヤの歯面では、ダイヤモンド砥粒は、インボリュート曲面や、インボリュート曲面に基づき、数μm程度と僅かながらの歯形修正を施した略インボリュート曲面(以下、「インボリュート曲面等」と総称)に形成された台金の歯面に沿って、電着されている。そのため、ツルーイング工程では、ツルーイング工具のダイヤモンド粒子が、ドレッシングギヤの全ての歯を対象に、それぞれの歯面に対し、インボリュート曲面等に沿う仮想曲面上を、歯先と歯底近傍との間を全域にわたって万遍なく相対的に移動しないと、ダイヤモンド粒子は、この歯面内に電着されている無数のダイヤモンド砥粒のうち、不要なダイヤモンド砥粒との接触を見逃してしまう虞がある。不要なダイヤモンド砥粒は、CBN研削工具のツルーイングやドレッシングで阻害要因となるため、ダイヤモンド粒子が、不要なダイヤモンド砥粒と接触して、ドレッシングギヤからこの不要なダイヤモンド砥粒を適宜脱落させていかないと、ドレッシングギヤの歯を高い精度に整形することができない問題があった。
【0010】
特許文献2では、ダイヤモンドドレッシングギヤのツルーイングを、実際にダイヤモンド砥石でどのようにして行うかについて、具体的な技術は、全く開示されていない。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具に対し、ドレッシングを行うのに用いるドレッシングギヤを対象に、精度の高いツルーイングを実現することができるドレッシング工具のツルーイング方法、及びこのツルーイング方法を設備で行うためのドレッシング工具のツルーイングプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様であるドレッシング工具のツルーイング方法は、製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具の砥粒を、ドレッシング工具で整形するのにあたり、前記ドレッシング工具は、第1の回転軸を軸心とする複数歯の平歯車または、はすば歯車を母材とした第1の台金と、前記第1の台金の各前記歯に、前記研削工具の前記砥粒より硬い超砥粒を無数設けた砥粒付歯部を有し、前記ドレッシング工具の前記超砥粒にツルーイングを行うツルーイング工具として、前記ツルーイング工具は、第2の回転軸を中心とする円盤状に形成された第2の台金を母材とし、前記第2の台金の外周縁部の表面に無数のダイヤモンド砥粒を設けたダイヤモンド砥粒群部を有すること、X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、前記第1の回転軸に沿う方向を、X軸方向とし、前記第2の回転軸に沿う方向を、Z軸方向とし、X軸方向かつZ軸方向と直交する方向を、Y軸方向とすると、前記ドレッシング工具の全前記砥粒付歯部のうち、一の前記砥粒付歯部の片側にある特定砥粒付歯部で、その歯先側と歯元側との間にある局部的な被ツルーイング領域を、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒群部にあるツルーイング実施領域と接触可能となる加工ポイントの位置まで、前記第1の回転軸を中心とする前記ドレッシング工具の回転により、円弧状に動作させる第1工程と、前記第1工程による前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域の動作に伴い、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記ドレッシング工具の回転動作と同期した状態で、前記ツルーイング工具を前記第2の回転軸上で前記Z軸方向に移動させることにより、前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置まで、前記Z軸方向に前記被ツルーイング領域と相対的に移動させる第2工程と、前記Y軸方向に対し、前記ツルーイング工具の直線的な移動に基づいて、前記特定砥粒付歯部に対し、前記歯先側と前記歯元側との間で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記特定砥粒付歯部と相対的に移動させることにより、前記ツルーイング実施領域と前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯形方向に変化させる第3工程と、前記第1工程と前記第2工程と前記第3工程とを同時に行って前記加工ポイントの位置を設定した後、前記Z軸方向に向けた前記第2の回転軸を中心に、前記ツルーイング工具を回転させた状態で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域にある前記ダイヤモンド砥粒により、前記加工ポイントにおいて、前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域内で、少なくとも前記第1の台金の前記歯面から最も外側に突出している前記超砥粒に、衝撃を加える第4工程と、を有し、最初に前記第4工程を実施後、前記第3工程と前記第4工程とを交互に少なくとも1回以上行って、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒により、前記第1の台金の前記歯の前記歯面に倣う創成に基づいたツルーイングを、前記ドレッシング工具の前記砥粒付歯部に行うこと、を特徴とする。
【0013】
この態様によれば、ドレッシング工具の砥粒付歯部に固着されている無数の超砥粒のうち、研削工具のドレッシング時に、整形する砥粒にとって阻害要因となる超砥粒に衝撃を与えて、不要な超砥粒を脱落させることができるほか、しっかりと固着されていない超砥粒(浮き砥粒)を脱落させることができる。そのため、砥粒付歯部は、第1の台金の歯面から突出している超砥粒の凹凸を、より均一な状態で高精度に整形し、平準化することができる。また、特定砥粒付歯部のツルーイングが、第1の台金の歯の歯面に倣う創成に基づいて行われるため、超砥粒が第1の台金の歯面に固着されていても、ドレッシング工具の仕上げ精度は、第1の台金の歯車精度と大きく乖離せず、高いままの歯車精度で維持することができる。
【0014】
上記の態様においては、前記X軸方向に前記ツルーイング工具の移動を伴いながら、前記第4工程を行って、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、ドレッシング工具の特定砥粒付歯部を、歯筋方向についても、第1の台金の歯幅に因らず、より均一な状態で、ツルーイングを行うことができる。
【0016】
上記の態様においては、前記第1の台金に対し、一の前記歯と他の前記歯とが、互いに隣り合った位置関係の下、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させるのにあたり、前記一の歯について、前記加工ポイントを、前記ドレッシング工具の前記X軸方向一端側から他端側に向けて移動させた後、前記一の歯に代えて前記他の歯に対して、新たに前記第1工程及び前記第2工程を行って、前記加工ポイントを設定すること、前記他の歯では、前記加工ポイントを、前記X軸方向他端側から前記一端側に向けて移動させること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、ドレッシング工具のツルーイングに要す加工時間を、より短くすることができる。
【0018】
上記の態様においては、前記研削工具の前記砥粒は、CBN(立方晶窒化硼素)を砥材したものであること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、CBN砥粒は、適切に整形された状態できているため、製品となる被研削歯車の製造時に、熱処理により歯面に生じた歪を、CBN研削工具による研削で除去する加工では、被研削歯車の歯面を、歯面毎や製品毎のバラツキをより小さく抑えて、高い精度で研削することができる。
【0020】
上記の態様においては、前記第1の台金では、前記歯のモジュールは1以上であること、が好ましい。
【0021】
この態様によれば、被研削歯車とした製品を製造する上で、例えば、機械分野、ロボット分野、自動車分野をはじめ、様々な幅広い産業分野で、多岐に亘って一般的に使用される製品を対象に、歯面を高精度に仕上げて製造することができるようになる。
【0022】
上記の態様においては、前記ドレッシング工具では、前記第1の台金が平歯車であること、が好ましい。
【0023】
この態様によれば、被研削歯車を平歯車とした製品を製造する上で、製品は、歯面を高精度に仕上げて製造することができるようになる。特に、被研削歯車を平歯車とした製品は、例えば、機械分野、ロボット分野、自動車分野をはじめ、様々な幅広い産業分野で使用されており、このような多岐に亘る幅広い産業分野に対して、品質の向上化を図った製品を、提供することに貢献することができる。
【0024】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様であるドレッシング工具のツルーイングプログラムは、ドレッシング工具は、第1の回転軸を軸心とする複数歯の平歯車または、はすば歯車を母材とした第1の台金と、製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具の砥粒より硬い超砥粒を、前記第1の台金の各前記歯の歯面に無数設けた砥粒付歯部を有し、ツルーイング工具は、第2の回転軸を中心とする円盤状に形成された第2の台金を母材とし、前記第2の台金の外周縁部の表面に無数のダイヤモンド砥粒を設けたダイヤモンド砥粒群部を有し、前記ツルーイング工具により、前記ドレッシング工具の前記超砥粒にツルーイングを行う工具整形装置に格納されたプログラムとして、X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、前記第1の回転軸に沿う方向を、X軸方向とし、前記第2の回転軸に沿う方向を、Z軸方向とし、X軸方向かつZ軸方向と直交する方向を、Y軸方向とすると、前記ドレッシング工具の全前記砥粒付歯部のうち、一の前記砥粒付歯部の片側にある特定砥粒付歯部で、その歯先側と歯元側との間にある局部的な被ツルーイング領域を、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒群部にあるツルーイング実施領域と接触可能となる加工ポイントの位置まで、前記第1の回転軸を中心とする前記ドレッシング工具の回転により、円弧状に動作させる第1ステップと、前記第1ステップによる前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域の動作に伴い、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記ドレッシング工具の回転動作と同期した状態で、前記ツルーイング工具を前記第2の回転軸上で前記Z軸方向に移動させることにより、前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置まで、前記Z軸方向に前記被ツルーイング領域と相対的に移動させる第2ステップと、前記Y軸方向に対し、前記ツルーイング工具の直線的な移動に基づいて、前記特定砥粒付歯部に対し、前記歯先側と前記歯元側との間で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域を、前記特定砥粒付歯部と相対的に移動させることにより、前記被ツルーイング領域と前記被ツルーイング領域との前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯形方向に変化させる第3ステップと、前記第1ステップと前記第2ステップと前記第3ステップとを同時に行って前記加工ポイントの位置を設定した後、前記Z軸方向に向けた前記第2の回転軸を中心に、前記ツルーイング工具を回転させた状態で、前記ツルーイング工具の前記ツルーイング実施領域にある前記ダイヤモンド砥粒により、前記加工ポイントにおいて、前記ドレッシング工具の前記被ツルーイング領域内で、少なくとも前記第1の台金の前記歯面から最も外側に突出している前記超砥粒に、衝撃を加える第4ステップと、を有し、最初に前記第4ステップを実施後、前記第3ステップと前記第4ステップとを交互に少なくとも1回以上行って、前記ツルーイング工具の前記ダイヤモンド砥粒により、前記第1の台金の前記歯の前記歯面に倣う創成に基づいたツルーイングを、前記ドレッシング工具の前記砥粒付歯部に行うこと、を特徴とする。
【0025】
この態様によれば、ドレッシング工具の砥粒付歯部に固着されている無数の超砥粒のうち、研削工具のドレッシング時に、整形する砥粒にとって阻害要因となる超砥粒に衝撃を与えて、不要な超砥粒を脱落させることができるほか、しっかりと固着されていない超砥粒(浮き砥粒)を脱落させることができる。そのため、砥粒付歯部は、第1の台金の歯面から突出している超砥粒の凹凸を、より均一な状態で高精度に整形し、平準化することができる。また、特定砥粒付歯部のツルーイングが、第1の台金の歯の歯面に倣う創成に基づいて行われているため、超砥粒が第1の台金の歯面に固着されていても、ドレッシング工具の仕上げ精度は、第1の台金の歯車精度と大きく乖離せず、高いままの歯車精度を、ほぼ維持することができる。
【0026】
上記の態様においては、前記X軸方向に前記ツルーイング工具の移動を伴いながら、前記第4ステップを行って、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させること、が好ましい。
【0027】
この態様によれば、ドレッシング工具の特定砥粒付歯部を、歯筋方向についても、第1の台金の歯幅に因らず、より均一な状態で、ツルーイングを行うことができる。
【0028】
上記の態様においては、前記第1の台金に対し、一の前記歯と他の前記歯とが、互いに隣り合った位置関係の下、前記加工ポイントの位置を、前記特定砥粒付歯部の歯筋方向に移動させるのにあたり、前記一の歯について、前記加工ポイントを、前記ドレッシング工具の前記X軸方向一端側から他端側に向けて移動させた後、前記一の歯に代えて前記他の歯に対して、新たに前記第1ステップ及び前記第2ステップを行って、前記加工ポイントを設定すること、前記他の歯では、前記加工ポイントを、前記X軸方向他端側から前記一端側に向けて移動させること、が好ましい。
【0029】
この態様によれば、ドレッシング工具のツルーイングに要す加工時間を、より短くすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るドレッシング工具のツルーイング方法、及びドレッシング工具のツルーイングプログラムによれば、製品である被研削歯車の歯面を研削する研削工具に対し、ドレッシングを行うのに用いるドレッシング工具を対象に、精度の高いツルーイングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態に係る工具整形装置を概略的に示す正面図である。
【
図2】
図1に示す工具整形装置を上方から見た平面図である。
【
図3】
図1に示す工具整形装置の駆動軸を説明する模式図である。
【
図4】実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法で、ツルーイング対象となるドレッシング工具の一部分を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法で用いるツルーイング工具を示す半断面図である。
【
図7】実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法の第3工程を示す模式図である。
【
図8】実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法の第4工程で、ツルーイング時の様子を模式的に示す図であり、(a)はドレッシング工具の歯先付近を、(b)はピッチ円周上付近を、(c)は歯元付近を、それぞれ示す図である。
【
図9】ドレッシング工具の特定砥粒付歯部の状態を示す模式図であり、(a)はドレッシング前の状態を、(b)は実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法によりドレッシング後の状態を、それぞれ模式的に示す図である。
【
図10】実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法で、歯形方向にドレッシング工具のツルーイングを行う様子を示す模式図である。
【
図11】ツルーイング前の状態にあるドレッシング工具の砥粒付歯部に対し、歯形形状の測定データである。
【
図12】
図11に続き、ツルーイング前の状態にあるドレッシング工具の砥粒付歯部に対する単一ピッチ・隣接ピッチ・累積ピッチの各誤差の実測値である。
【
図13】実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法により、ツルーイング後のドレッシング工具の砥粒付歯部に対し、歯形形状の測定データである。
【
図14】
図13に続き、ツルーイング後のドレッシング工具の砥粒付歯部に対する単一ピッチ・隣接ピッチ・累積ピッチの各誤差の実測値である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るドレッシング工具のツルーイング方法、及びドレッシング工具のツルーイングプログラムについて、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係るドレッシング工具のツルーイング方法は、本実施形態では、ドレッシング工具整形装置(以下、単に「工具整形装置」と称する。)を用いて行われ、本発明に係るドレッシング工具のツルーイングプログラムは、この工具整形装置で実行される。
【0033】
<ドレッシング工具について>
はじめに、ドレッシング工具の役割について、簡単に説明する。鋼製の歯車では、熱処理後に、必然的に歪が歯面に生じる。そのため、歯面に歪を有した平歯車等の被研削歯車の場合には、図示しないCBN研削工具(研削工具)による歯面研削加工が施されることがある。CBN研削工具は、母材であるウォームギヤの外周表面上に、CBN(立方晶窒化硼素)を砥材したCBN砥粒(砥粒)を無数電着してなり、製品である被研削歯車の歯面を研削する。CBN研削工具を使用するにあたり、ドレッシング工具によるドレッシングが、CBN研削工具のCBN砥粒に施される。歯面研削加工では、CBN砥粒を整形して目直しした状態のCBN研削工具により、歯面が研削される。
【0034】
図4は、実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法で、ツルーイング対象となるドレッシング工具の一部分を示す斜視図である。
図4に示すように、ドレッシング工具40は、第1の回転軸AX1を軸心とする複数歯の歯車を母材とした第1の台金41と、第1の台金41の各歯42の歯面43に、CBN研削工具のCBN砥粒より硬い超砥粒52を無数設けた砥粒付歯部50を有する。
【0035】
第1の台金41は、本実施形態では、モジュール1以上の歯(本実施形態では、一例として、モジュール2.0、歯数24)を有する平歯車である。第1の台金41の歯42は、JIS規格やDIN規格等による歯車精度規格において、例えば、JIS規格による精度等級でN4(旧JIS規格の精度等級で0級)と同等、またはこの精度等級に相当する歯車精度より高い歯車精度で形成されている。第1の台金41は、必要に応じて、歯形修正や歯筋修正等を歯42に施して形成されている。
【0036】
超砥粒52は、ダイヤモンド砥材からなり、電着等により、第1の台金41の全ての歯42に固着されている。超砥粒52は、例えば、JIS規格で#60~#325の範囲内に相当する粒径である。
【0037】
<ツルーイング工具について>
次に、ツルーイング工具の役割について、簡単に説明する。
図9は、ドレッシング工具の特定砥粒付歯部の状態を示す模式図であり、(a)はドレッシング前の状態を、(b)は実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法によりドレッシング後の状態を、それぞれ模式的に示す図である。ツルーイング前の状態にあるドレッシング工具40では、
図9(a)に示すように、電着されている超砥粒52は、同じ規格内でも、砥粒一粒毎に形状が異なるばかりか、砥粒一粒の大きさも画一的ではなく、電着層45に固着した配置態様も一様ではない。また、超砥粒52の中には、浮き砥粒として、隣接するダイヤモンド砥粒同士の間に挟まれて電着層45に保持されておらず、不安定な状態になっている不要な砥粒もある。
【0038】
ドレッシング工具40の砥粒付歯部50において、超砥粒52が、このようにランダムな状態になっていると、ドレッシング工具40により、CBN研削工具のCBN砥粒を高い精度で整形することはできない。そこで、ドレッシング工具40を使用するにあたり、ツルーイング工具によるツルーイングが、ドレッシング工具40の砥粒付歯部50に施され、阻害要因となる超砥粒52に対し、排除や整形を行う。
【0039】
図5は、実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法で用いるツルーイング工具を示す半断面図であり、
図5中、A部の拡大図を、
図6に示す。
図5及び
図6に示すように、ツルーイング工具60は、第2の回転軸AX2を中心とする円盤状に形成された第2の台金61を母材とし、第2の台金60における外周縁部62の表面63に無数のダイヤモンド砥粒72を設けたダイヤモンド砥粒群部70を有する。外周縁部62の厚みは、第2の台金60の径外側に向けて、次第に薄くなっている。ダイヤモンド砥粒72は、例えば、JIS規格で#60~#600の範囲内に相当する粒径である。ダイヤモンド砥粒72は、電着等により、第2の台金60の表面63に固着されている。
【0040】
このようなツルーイング工具60で、ドレッシング工具40のツルーイングを行うための設備として、本実施形態では、次述する工具整形装置が用いられる。
【0041】
(工具整形装置の概要)
次に、工具整形装置の概要について、
図1~
図3を用いて簡単に説明する。
図1は、実施形態に係る工具整形装置を概略的に示す正面図であり、
図1に示す工具整形装置を上方から見た平面図を、
図2に示す。
図3は、
図1に示す工具整形装置の駆動軸を説明する模式図である。なお、
図1及び
図2は、図を見易くするため、工具整形装置の一部を省略して図示されている。
【0042】
なお、本実施形態では、
図1中、左右方向を「X軸方向」とし、上下方向を「Z軸方向」とし、
図2中、上下方向を「Y軸方向」として、工具整形装置1の動作方向を定義する。定義した工具整形装置1の動作方向は、
図3以降の各図面でも準用する。また、後述するように、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法では、X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系を用いているが、この三次元直交座標系の各軸方向も、
図1及び
図2で定義した工具整形装置1の動作方向に準拠する。
【0043】
工具整形装置1は、
図1~
図3に示すように、工具整形装置1は、ベッド2と、テーブル部3と、コラム部4と、砥石ヘッド部5と、砥石回転部6と、インデックス部7と、スイベル部9と、テールストック部11と、図示しない制御ユニット部等を備えている。また、工具整形装置1は、第1モータ21と、第2モータ22と、第3モータ23と、第4モータ24と、第5モータ25と、第6モータ26の6つの電動モータを備えている。第2モータ22と、第3モータ23と、第4モータ24と、第5モータ25は、何れもサーボモータであり、第1モータ21はリニアモータであり、第6モータ26は、インバータ制御の下で回転する電動モータである。
【0044】
制御ユニット部は、第1モータ21~第6モータ26に対し、電気的に制御を行うCNC制御ユニット(CNC:Computerized Numerical Control)を搭載するほか、シーケンス制御の設定条件や、モータの動作条件・停止条件等に関するプログラムを格納した記憶部を具備している。CNC制御ユニットは、第2モータ22の回転と第3モータ23の回転を、同期で制御すると共に、第1モータ21、第4モータ24、第5モータ25、及び第6モータ26等の各駆動部を電気的に制御する。なお、本実施形態では、「同期」の概念は、完全な同期状態を意味するほか、完全な同期に略近い状態の概念を含んだ広義の意味を持つものとして定義される。
【0045】
テーブル部3は、ベッド2上に載置され、第1モータ21により、ベッド2と相対的にX軸方向に移動可能になっている。テーブル部3には、インデックス部7とテールストック部11が載置されている。ドレッシング工具40のツルーイング加工では、略丸棒状のアーバー12が、ドレッシング工具40の第1の回転軸AX1の軸心と同芯上に、ドレッシング工具40に装着される。アーバー12は、インデックス部7とテールストック部11により、両端支持で軸支され、ドレッシング工具40は、アーバー12に保持された状態で、工具整形装置1に取付けられる。
【0046】
図2に示すように、インデックス部7は、ドレッシング工具40を保持したアーバー12を把持させるチャック8を有している。チャック8は、
図3に示すように、第5モータ25により、X軸方向に沿う軸心を中心とする周方向Aに対し、回動可能になっており、ドレッシング工具40にある複数の砥粒付歯部50に対し、歯毎に割出すると共に、割出された歯の位置を固定させる機能を有している。第5モータ25は、モータの回転を出力軸にダイレクトドライブで伝達するサーボモータである。砥粒付歯部50の歯の割出位置は、例えば、エンコーダ等のA方向回転位置検出手段で、より高精度で検出されるようになっている。
【0047】
コラム部4は、ベッド2上に立設され、第2モータ22により、ベッド2と相対的にY軸方向に移動可能になっている。コラム部4の変位距離は、例えば、光学式リニアスケール、エンコーダ等のY軸位置検出手段(図示せず)で、より高精度で検出されるようになっている。
【0048】
コラム部4は、スイベル部9を介して、砥石回転部6を含む砥石ヘッド部5を搭載している。スイベル部9は、第5モータ26により、Y軸方向に沿う軸心を中心とする周方向Bに対し、砥石ヘッド部5を、コラム部4と相対的に回動可能な構造を有している。コラム部4に対し、砥石ヘッド部5は、ツルーイング加工の対象となるドレッシング工具40のネジレ角に対応して、スイベル部9で傾けるようになっている。砥石ヘッド部5の回転変位は、例えば、エンコーダ等のB方向回転位置検出手段で、より高精度で検出されるようになっている。
【0049】
砥石ヘッド部5は、第3モータ23により、コラム部4と相対的にZ軸方向に移動可能になっている。砥石ヘッド部5の変位距離は、例えば、光学式リニアスケール、エンコーダ等のZ軸位置検出手段(図示せず)で、より高精度で検出されるようになっている。砥石ヘッド部5には、砥石回転部6が装着されている。ツルーイング工具60は、その第2の回転軸AX2をZ軸方向に沿った配置姿勢で、砥石回転部6に取付けられ、第4モータ24により、第2の回転軸AX2を中心に回転可能となっている。回転中、ツルーイング工具60の周速は、第4モータ24の回転を制御することにより、可変可能になっている。
【0050】
次に、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイングプログラムについて、説明する。本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイングプログラムは、工具整形装置1の制御ユニット部の記憶部に格納されており、次述するように、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法を、工具整形装置1で実行するためのプログラムである。そのため、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイングプログラムは、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法と、実質的に同じであるため、以下に、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法について、詳細に説明する。
【0051】
(本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法について)
本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法を行うのにあたり、初期状態として、ドレッシング工具40は、アーバー12に保持された状態で、工具整形装置1に取付けられている。ツルーイング工具60は、砥石回転部6に装着されている。本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法は、第1工程~第4工程を有し、X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、第1の回転軸AX1に沿う方向を、X軸方向とし、第2の回転軸AX2に沿う方向を、Z軸方向とし、X軸方向かつZ軸方向と直交する方向を、Y軸方向としている。
【0052】
図7は、実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法の第3工程を示す模式図である。
図8は、実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法の第4工程で、ツルーイング時の様子を模式的に示す図であり、(a)はドレッシング工具の歯先付近を、(b)はピッチ円周上付近を、(c)は歯元付近を、それぞれ示す図である。
図10は、実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法で、歯形方向にドレッシング工具のツルーイングを行う様子を示す模式図である。
【0053】
第1工程では、
図3、
図4、及び
図8に示すように、ドレッシング工具40の全砥粒付歯部50のうち、一の砥粒付歯部51の片側にある特定砥粒付歯部51Aで、その歯先側と歯元側との間にある局部的な被ツルーイング領域Mを、ツルーイング工具60のダイヤモンド砥粒群部70にあるツルーイング実施領域Nと接触可能となる加工ポイントPの位置まで、第1の回転軸AX1を中心とするドレッシング工具40の回転により、円弧状に動作させる。ドレッシング工具40は、第5モータ26によって回転させる。
【0054】
また、第2工程では、第1工程によるドレッシング工具40の被ツルーイング領域Nの動作に伴い、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nを、ドレッシング工具40の回転動作と同期した状態で、砥石ヘッド部5に搭載したツルーイング工具60を、第3モータ23により、第2の回転軸AX2上でZ軸方向に移動させることにより、被ツルーイング領域Mとの加工ポイントPの位置まで、Z軸方向(例えば、例示した
図8の-Z側)に被ツルーイング領域Mと相対的に移動させる。
【0055】
第3工程では、
図3、
図7、及び
図8に示すように、Y軸方向に対し、ツルーイング工具60の直線的な移動に基づいて、特定砥粒付歯部51Aに対し、歯先側TP1と歯元側TP2との間で、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nを、特定砥粒付歯部Mと相対的に移動させることにより、ツルーイング実施領域Nと被ツルーイング領域Mとの加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯形方向TPに変化させる。Y軸方向に対するツルーイング工具60の移動(例えば、例示した
図8の+Y側)は、第2モータ22によりコラム部4を移動させて行われる。
【0056】
第4工程では、第1工程と第2工程とを同時に行って加工ポイントPを設定後、Z軸方向に向けた第2の回転軸AX2を中心に、ツルーイング工具60を、例えば、周速2500rpm以上に回転させた状態で、ツルーイング工具60を、例えば、2~5μm程、第1の台金41の歯面43側に送り込む。これにより、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nにあるダイヤモンド砥粒72により、加工ポイントPにおいて、ドレッシング工具40の被ツルーイング領域M内で、
図9に示すように、少なくとも第1の台金41の歯面43から最も外側に突出している超砥粒52h(超砥粒52)をはじめ、整形を要する超砥粒52に、衝撃を加える。
【0057】
具体的に説明する。ドレッシング工具40の特定砥粒付歯部51Aへのツルーイングは、
図7及び
図10に示すように、歯型方向TPと歯筋方向TLにそれぞれ、加工ポイントPの位置を変化させて行われる。第3工程では、歯型方向TPに対する加工ポイントPの位置は、歯型方向TPのツルーイング範囲を複数分割(本実施形態では、10分割)した部位に設定されている。加工ポイントPは、第1工程と第2工程と第3工程とを行うことにより、位置決めされた部位である。加工ポイントPの位置を変化させるときには、最初に第4工程を実施後、第3工程と第4工程とを、交互に9回行う。特定砥粒付歯部51Aへのツルーイングは、分割された全10箇所の加工ポイントP(加工ポイントP1~P10)で、ツルーイング工具60のダイヤモンド砥粒72により、第1の台金41の歯42の歯面43に倣う創成に基づいて、行われる。
【0058】
なお、ドレッシング工具40の砥粒付歯部50の歯形方向TPに対し、ドレッシング工具40の特定砥粒付歯部51Aで加工ポイントPの位置を変化させるシフト回数は、本実施形態の全10回に限定されるものではなく、砥粒付歯部50の歯数に応じて変化する。すなわち、本実施形態に係る第1の台金41の場合は、モジュール2.0、歯数24の平歯車であるため、加工ポイントPのシフト回数を全10回としたが、例えば、歯数が24を上回る場合には、シフト回数を10回より少なくし、歯数が24を下回る場合には、シフト回数を10回より多くする。特定砥粒付歯部51A全体のツルーイング精度が向上すからである。
【0059】
また、第4工程では、
図3及び
図10に示すように、第1モータ21により、ドレッシング工具40を、X軸方向にツルーイング工具60と相対的に移動させながら、加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯筋方向TLに移動させる。
【0060】
具体的には、
図10に示すように、第1の台金41に対し、一の歯42a(42)と他の歯42b(42)とが、互いに隣り合った位置関係の下、まず一の歯42aについて、加工ポイントPを、ドレッシング工具40のX軸方向に対し、一端側Xfから他端側Xrに向けて移動させる。次に、ドレッシング工具40からツルーイング工具60を待避させた状態で、インデックス部7により、ドレッシング工具40をインデックス側Arに回動させ、ツルーイングを行う特定砥粒付歯部51Aの歯42を、一の歯42aに代えて他の歯42bを割り出す。次に、他の歯42bにおいて、先に行った一の歯42aの特定砥粒付歯部51Aと同じ側にある特定砥粒付歯部51Aで、新たな加工ポイントPを設定した上で、他の歯42bについて、加工ポイントPを、ドレッシング工具40の他端側Xrから一端側Xfに向けて移動させる。
【0061】
次に、一の歯42aとは反対側で、他の歯42bと隣接する歯42について、一の歯42aと同じ要領で、加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯筋方向TLに移動させる。このように、一端側Xfから他端側Xrに向けた加工ポイントPの移動と、他端側Xrから一端側Xfから加工ポイントPの移動とを、交互に繰り返しながら、ドレッシング工具40の全ての歯42に対し、同じ側にある特定砥粒付歯部51Aのツルーイングを行う。
【0062】
ドレッシング工具40において、片側にある全ての特定砥粒付歯部51Aのツルーイングを終えたら、ドレッシング工具40を保持した状態にあるアーバー12を、インデックス部7とテールストック部11による軸支から、一旦、開放する。次に、ドレッシング工具40を保持した状態のままのアーバー12の向きを、Z軸を中心に180°反転させ、これまでテールストック部11側で軸支されていたアーバー12の端部を、インデックス部7に、インデックス部7側で軸支されていたアーバー12の端部を、テールストック部に軸支させる。そして、先に行った片側の特定砥粒付歯部51Aのツルーイングと同じ要領で、先に行った片側の特定砥粒付歯部51Aとは反対側にある特定砥粒付歯部51Aのツルーイングを、全ての歯42について行う。
【0063】
次に、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法の効果を検証する目的で、サンプルとしたドレッシング工具40の砥粒付歯部50の状態を、ツルーイング前後で対比する調査を行った。調査は、ドレッシング工具40のツルーイング前後でそれぞれ、砥粒付歯部50に対し、歯形形状と、単一ピッチ・隣接ピッチ・累積ピッチの各誤差について、歯車測定機で計測を行った。比較例に係るドレッシング工具40は、ツルーイング前の状態にある個体である。実施例に係るドレッシング工具40は、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法により、比較例に係る個体にツルーイングを施した個体である。調査に使用したサンプルは、一例として、モジュール2.0、歯数24の平歯車を母材とした第1の台金41である。
【0064】
<調査の結果>
図11は、ツルーイング前の状態にあるドレッシング工具の砥粒付歯部に対し、歯形形状の測定データである。
図12は、
図11に続き、ツルーイング前の状態にあるドレッシング工具の砥粒付歯部に対する単一ピッチ・隣接ピッチ・累積ピッチの各誤差の実測値である。
図13は、実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法により、ツルーイング後のドレッシング工具の砥粒付歯部に対し、歯形形状の測定データである。
図14は、
図13に続き、ツルーイング後のドレッシング工具の砥粒付歯部に対する単一ピッチ・隣接ピッチ・累積ピッチの各誤差の実測値である。
【0065】
比較例に係るツルーイング前のサンプルでは、
図11に示すように、歯形が、全歯とも大きくうねっていた。また、
図12に示すように、単一ピッチ誤差の実測値は13μmで、隣接ピッチ誤差の実測値は21μmであり、累積ピッチ誤差の実測値は28μmであった。
【0066】
これに対し、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法により、実施例に係るツルーイング後のサンプルでは、
図13に示すように、歯形のうねりが、全歯とも、比較例に比べて、大幅に抑制されている態様であった。また、
図14に示すように、単一ピッチ誤差の実測値は4μmであり、隣接ピッチ誤差の実測値は8μmであった。これらの実測値は、双方のピッチ誤差とも、比較例の実測値の37%前後までに抑えられていた。累積ピッチ誤差の実測値は12μmであり、この実測値は、比較例の実測値の約45%までに抑えられていた。
【0067】
<考察>
ドレッシング工具40では元々、第1の台金41の歯面43は、例えば、JIS規格の精度等級N4(旧JIS規格の精度等級で0級)等のように、高い歯車精度で形成されており、角を有した状態の超砥粒52が無数、第1の台金41の歯面43に、電着層45を介して、ランダムに配置されている。特に、
図9(a)に示すように、歯面43から最も外側に突出している超砥粒52h、周りの超砥粒52に比べて、電着層45からの突出量の大きい超砥粒52や、しっかりと電着層45に固着されていない超砥粒52(浮き砥粒)は、CBN研削工具のドレッシング時に、整形するCBN砥粒にとって阻害要因となる。
【0068】
しかしながら、ドレッシング工具40の砥粒付歯部50が、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法により、ツルーイングされているため、
図9(b)に示すように、突出した超砥粒52hや浮き砥粒が、除去できている。しかも、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法では、砥粒付歯部50のツルーイングが、第1の台金41の歯42の歯面43に倣う創成に基づいて行われているため、
図13及び
図14に示すように、単一ピッチ・隣接ピッチ・累積ピッチの各誤差が、より小さく抑制できている。
【0069】
加えて、突出した超砥粒52hや、浮き砥粒を除去した砥粒付歯部50に対し、歯面43からの高さは、概ね平準化されているものの、
図13に示す歯形には、多少のうねりが存在する。これは、隣接する超砥粒52同士にある程度の間隙を有すること等に起因するためである。特に、砥粒付歯部50が、このような状態になっていることで、CBN研削工具のツルーイング時には、ドレッシング工具40の超砥粒52が、CBN砥粒と、局部的な状態で適切に接触し易くなり、高い精度でCBN砥粒の整形に貢献することができる。
【0070】
他方、第1の台金41の歯面43側に対し、ツルーイング工具60を送り込む量が、大きくなり過ぎると、砥粒付歯部50において、歯面43からの超砥粒52の高さが低くなり、平準化された超砥粒52それぞれの表面積が大きくなる。これにより、CBN研削工具のツルーイング時には、ドレッシング工具40の超砥粒52とCBN研削工具のCBN砥粒との接触面積が増大してしまうことから、超砥粒52によるCBN砥粒の整形精度が低下してしまう。従って、
図13に示すように、歯形のうねりが適度に存在することが重要である。
【0071】
次に、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法、及びドレッシング工具のツルーイングプログラムの作用・効果について説明する。本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイング方法は、製品である被研削歯車の歯面を研削するCBN研削工具のCBN砥粒を、ドレッシング工具40で整形するのにあたり、ドレッシング工具40は、第1の回転軸AX1を軸心とする複数歯の平歯車を母材とした第1の台金41と、第1の台金41の各歯42に、CBN研削工具のCBN砥粒より硬いダイヤモンド砥材である超砥粒52を無数設けた砥粒付歯部50を有し、ドレッシング工具40の超砥粒52にツルーイングを行うツルーイング工具60として、ツルーイング工具60は、第2の回転軸AX2を中心とする円盤状に形成された第2の台金61を母材とし、第2の台金61の外周縁部62の表面63に無数のダイヤモンド砥粒72を設けたダイヤモンド砥粒群部70を有する。X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、第1の回転軸AX1に沿う方向を、X軸方向とし、ドレッシング工具40の径方向を、Y軸方向とし、第2の回転軸AX2に沿う方向を、Z軸方向とすると、ドレッシング工具40の全砥粒付歯部50のうち、一の砥粒付歯部51の片側にある特定砥粒付歯部51Aで、その歯先側TP1と歯元側TP2との間にある局部的な被ツルーイング領域Mを、ツルーイング工具60のダイヤモンド砥粒群部70にあるツルーイング実施領域Nと接触可能となる加工ポイントPの位置まで、第1の回転軸AX1を中心とするドレッシング工具40の回転により、円弧状に動作させる第1工程と、第1工程によるドレッシング工具40の被ツルーイング領域Mの動作に伴い、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nを、ドレッシング工具40の回転動作と同期した状態で、ツルーイング工具60を第2の回転軸AX2上でZ軸方向に移動させることにより、被ツルーイング領域Mとの加工ポイントPの位置まで、Z軸方向に被ツルーイング領域Mと相対的に移動させる第2工程と、Y軸方向に対し、ツルーイング工具60の直線的な移動に基づいて、特定砥粒付歯部51Aに対し、歯先側TP1と歯元側TP2との間で、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nを、特定砥粒付歯部51Aと相対的に移動させることにより、ツルーイング実施領域Nと被ツルーイング領域Mとの加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯形方向TLに変化させる第3工程と、第1工程と第2工程と第3工程とを同時に行って加工ポイントPの位置を設定した後、Z軸方向に向けた第2の回転軸AX2を中心に、ツルーイング工具60を回転させた状態で、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nにあるダイヤモンド砥粒72により、加工ポイントPにおいて、ドレッシング工具40の被ツルーイング領域M内で、少なくとも第1の台金41の歯面42から最も外側に突出している超砥粒52h(52)に、衝撃を加える第4工程と、を有し、最初に第4工程を実施後、第3工程と第4工程とを交互に少なくとも1回以上行って、ツルーイング工具60のダイヤモンド砥粒72により、第1の台金41の歯42の歯面43に倣う創成に基づいたツルーイングを、ドレッシング工具40の砥粒付歯部51に行うこと、を特徴とする。
【0072】
また、本実施形態に係るドレッシング工具のツルーイングプログラムは、ドレッシング工具40は、第1の回転軸AX1を軸心とする複数歯の平歯車を母材とした第1の台金41と、第1の台金41の各歯42に、CBN研削工具のCBN砥粒より硬いダイヤモンド砥材である超砥粒52を無数設けた砥粒付歯部50を有し、ツルーイング工具60は、第2の回転軸AX2を中心とする円盤状に形成された第2の台金61を母材とし、第2の台金61の外周縁部62の表面63に無数のダイヤモンド砥粒72を設けたダイヤモンド砥粒群部70を有する。ツルーイング工具60により、ドレッシング工具40の超砥粒52にツルーイングを行う工具整形装置1に格納されたプログラムとして、X軸、Y軸、及びZ軸による三次元直交座標系で、第1の回転軸AX1に沿う方向を、X軸方向とし、ドレッシング工具40の径方向を、Y軸方向とし、第2の回転軸AX2に沿う方向を、Z軸方向とすると、ドレッシング工具40の全砥粒付歯部50のうち、一の砥粒付歯部51の片側にある特定砥粒付歯部51Aで、その歯先側TP1と歯元側TP2との間にある局部的な被ツルーイング領域Mを、ツルーイング工具60のダイヤモンド砥粒群部70にあるツルーイング実施領域Nと接触可能となる加工ポイントPの位置まで、第1の回転軸AX1を中心とするドレッシング工具40の回転により、円弧状に動作させる第1ステップと、第1ステップによるドレッシング工具40の被ツルーイング領域Mの動作に伴い、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nを、ドレッシング工具40の回転動作と同期した状態で、ツルーイング工具60を第2の回転軸AX2上でZ軸方向に移動させることにより、被ツルーイング領域Mとの加工ポイントPの位置まで、Z軸方向に被ツルーイング領域Mと相対的に移動させる第2ステップと、Y軸方向に対し、ツルーイング工具60の直線的な移動に基づいて、特定砥粒付歯部51Aに対し、歯先側TP1と歯元側TP2との間で、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nを、特定砥粒付歯部51Aと相対的に移動させることにより、ツルーイング実施領域Nと被ツルーイング領域Mとの加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯形方向TLに変化させる第3ステップと、第1ステップと第2ステップと第3ステップとを同時に行って加工ポイントPの位置を設定した後、Z軸方向に向けた第2の回転軸AX2を中心に、ツルーイング工具60を回転させた状態で、ツルーイング工具60のツルーイング実施領域Nにあるダイヤモンド砥粒72により、加工ポイントPにおいて、ドレッシング工具40の被ツルーイング領域M内で、少なくとも第1の台金41の歯面42から最も外側に突出している超砥粒52h(52)に、衝撃を加える第4ステップと、を有し、最初に第4ステップを実施後、第3ステップと第4ステップとを交互に少なくとも1回以上行って、ツルーイング工具60のダイヤモンド砥粒72により、第1の台金41の歯42の歯面43に倣う創成に基づいたツルーイングを、ドレッシング工具40の砥粒付歯部51に行うこと、を特徴とする。
【0073】
このような特徴により、ドレッシング工具40の砥粒付歯部50に固着されている無数の超砥粒52のうち、CBN研削工具のドレッシング時に、整形するCBN砥粒にとって阻害要因となる超砥粒52に衝撃を与えて、不要な超砥粒52を脱落させることができるほか、しっかりと電着層45に固着されていない超砥粒52(浮き砥粒)を脱落させることができる。そのため、砥粒付歯部50は、電着層45から突出している超砥粒52の凹凸を、より均一な状態で高精度に整形し、平準化することができる。また、特定砥粒付歯部51Aのツルーイングが、第1の台金41の歯42の歯面43に倣う創成に基づいて行われるため、超砥粒52が第1の台金41の歯面43に固着されていても、ドレッシング工具40の仕上げ精度は、第1の台金41の歯車精度と大きく乖離せず、高いままの歯車精度を、ほぼ維持することができる。
【0074】
従って、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイング方法によれば、製品である被研削歯車の歯面を研削するCBN研削工具のCBN砥粒に対し、ドレッシングを行うのに用いるドレッシング工具40を対象に、精度の高いツルーイングを実現することができる、という優れた効果を奏する。
【0075】
また、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイングプログラムでも、製品である被研削歯車の歯面を研削するCBN研削工具のCBN砥粒に対し、ドレッシングを行うのに用いるドレッシング工具40を対象に、精度の高いツルーイングを実現することができる、という優れた効果を奏する。
【0076】
また、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイング方法では、X軸方向にツルーイング工具60の移動を伴いながら、第4工程を行って、加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯筋方向TLに移動させること、を特徴とする。また、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイングプログラムでも、X軸方向にツルーイング工具60の移動を伴いながら、第4ステップを行って、加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯筋方向TLに移動させること、を特徴とする。
【0077】
このような特徴により、ドレッシング工具40の特定砥粒付歯部51Aを、歯筋方向TLについても、第1の台金41の歯幅に因らず、より均一な状態で、ツルーイングを行うことができる。
【0078】
また、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイング方法と、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイングプログラムでも、第1の台金41に対し、一の歯42aと他の歯42bとが、互いに隣り合った位置関係の下、加工ポイントPの位置を、特定砥粒付歯部51Aの歯筋方向TLに移動させるのにあたり、一の歯42aについて、加工ポイントPを、ドレッシング工具40のX軸方向一端側Xfから他端側Xrに向けて移動させた後、一の歯42aに代えて他の歯42bに対して、新たに第1工程及び第2工程を行って、加工ポイントPを設定すること、他の歯では、加工ポイントPを、X軸方向他端側Xrから一端側Xfに向けて移動させること、を特徴とする。
【0079】
このような特徴により、ドレッシング工具40のツルーイングに要す加工時間を、より短くすることができる。
【0080】
また、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイング方法では、CBN研削工具の砥粒は、CBN(立方晶窒化硼素)を砥材したものであること、を特徴とする。
【0081】
この特徴により、CBN砥粒は、適切に整形された状態できているため、製品となる被研削歯車の製造時に、熱処理により歯面に生じた歪を、CBN研削工具による研削で除去する加工では、被研削歯車の歯面を、歯面毎や製品毎のバラツキをより小さく抑えて、高い精度で研削することができる。
【0082】
また、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイング方法では、第1の台金41では、歯のモジュールは1以上であること、を特徴とする。
【0083】
この特徴により、被研削歯車とした製品を製造する上で、例えば、機械分野、ロボット分野、自動車分野をはじめ、様々な幅広い産業分野で、多岐に亘って一般的に使用される製品を対象に、歯面を高精度に仕上げて製造することができるようになる。
【0084】
また、本実施形態に係るドレッシング工具40のツルーイング方法では、ドレッシング工具40では、第1の台金41が平歯車であること、を特徴とする。
【0085】
この特徴により、被研削歯車を平歯車とした製品を製造する上で、製品は、歯面を高精度に仕上げて製造することができるようになる。特に、被研削歯車を平歯車とした製品は、例えば、機械分野、ロボット分野、自動車分野をはじめ、様々な幅広い産業分野で使用されており、このような多岐に亘る幅広い産業分野に対して、品質の向上化を図った製品を、提供することに貢献することができる。
【0086】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【符号の説明】
【0087】
40 ドレッシング工具
41 第1の台金
42 (第1の台金の)歯
42a 一の歯
42b 他の歯
43 (第1の台金の歯の)歯面
50 砥粒付歯部
51 一の砥粒付歯部
51A 特定砥粒付歯部
52 超砥粒
52h 最も外側に突出している超砥粒
60 ツルーイング工具
61 第2の台金
62 (第2の台金の)外周縁部
63 (第2の台金の外周縁部の)表面
70 ダイヤモンド砥粒群部
72 ダイヤモンド砥粒
AX1 第1の回転軸
AX2 第2の回転軸
M 被ツルーイング領域
N ツルーイング実施領域
P 加工ポイント
TP 歯形方向
TP1 歯先側
TP2 歯元側
TL (特定砥粒付歯部の)歯筋方向