(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】被験者の第1の画像および第2の画像を生成するシステム及びシステムの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20230214BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20230214BHJP
A61B 10/02 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61B8/14
G01T1/161 E
G01T1/161 C
A61B10/02 300D
(21)【出願番号】P 2020519182
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(86)【国際出願番号】 ES2017070435
(87)【国際公開番号】W WO2018229311
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2020-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】519448289
【氏名又は名称】コンセッホ スペリオル デ インベスティガシオンス サイエンティフィカス(シーエスアイシー)
(73)【特許権者】
【識別番号】519098394
【氏名又は名称】ウニベルシタ デ バレンシア
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カバジェロ オンタナヤ、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゴ パルド、セザール
(72)【発明者】
【氏名】アルビオル コロメール、フランシスコ ハビエル
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0119327(US,A1)
【文献】国際公開第2012/077468(WO,A1)
【文献】特開2015-075424(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035706(WO,A1)
【文献】特開2008-232971(JP,A)
【文献】特表2013-530394(JP,A)
【文献】特表2010-528277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
G01T 1/16 - 1/161
A61B 6/00 - 6/14
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の第1の画像および第2の画像を生成するシステムであって、
1つ以上の前記第1の画像に関連する第1の信号を得るための超音波撮像装置(1)と、
検出方向に対して垂直な方向で前記超音波撮像装置(1)の両側部にそれぞれ配置され、1つ以上の前記第2の画像に関連する第2の信号を得るための
第1のガンマ線検出器(2)
及び第2のガンマ線検出器(2)と、
前記超音波撮像装置(1)および前記
第1のガンマ線検出器(2)及び前記第2のガンマ線検出器(2)によってそれぞれ得られた前記第1の信号と前記第2の信号を処理するための電子モジュール(3)と、
前記超音波撮像装置(1)及び前記
第1のガンマ線検出器(2)及び前記第2のガンマ線検出器(2)を収容するケーシング(4)と、
を含み、
前記
第1のガンマ線検出器(2)及び前記第2のガンマ線検出器(2)は
それぞれ第1のガンマ線コンプトン散乱検出器
及び第2のガンマ線コンプトン散乱検出器であり、
前記第1のガンマ線検出器(2)及び前記第2のガンマ線検出器(2)はそれぞれ少なくとも2つのガンマ線検出領域を含み、
前記少なくとも2つのガンマ線検出領域は、ガンマ線検出のための複数のシンチレーション結晶(6)と、前記シンチレーション結晶(6)によって検出された信号を増幅するための複数の光電子増倍管(7)とを備え、実質的に同じ
前記検出方向に整列される少なくとも2つの個々のガンマ線検出器(2a、2b)を含み、
前記第1のガンマ線コンプトン散乱検出器及び前記第2のガンマ線コンプトン散乱検出器は、前記検出方向に沿って前記2つの個々のガンマ線検出器(2a、2b)の間の相対距離を機械的に調整するための手段をそれぞれ備え、前記手段は、前記第1のガンマ線コンプトン散乱検出器の前記2つの個々のガンマ線検出器(2a、2b)と、前記第2のガンマ線コンプトン散乱検出器の前記2つの個々のガンマ線検出器(2a、2b)との間の前記相対距離を、互いに対して独立して調整するように適合され、
前記超音波撮像装置(1)及び前記
第1のガンマ線検出器(2)及び前記第2のガンマ線検出器(2)は、0°と90°との間の角度をなすように整列された検出面を有し、
前記
個々のガンマ線検出器(2a、2b)は、前記超音波撮像装置(1)の
前記両側部において前記超音波撮像装置(1)に
前記検出方向に沿って並置されて配置され
る、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記シンチレーション結晶(6)は、LaBr3、LaCl3又はLYSOの、ピクセル化された又はモノリシックなシンチレーション結晶を含み、前記シンチレーション結晶(6)は光電子増倍管(7)に結合されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光電子増倍管(7)は半導体タイプである、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記
第1のガンマ線検出器(2)及び前記第2のガンマ線検出器(2)は、容積内の同じガンマ線の2つ以上の相互作用を区別することができる所定容積のモノリシック検出器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
電子モジュール(3)に接続された計算モジュール(5)をさらに備え、前記計算モジュール(5)は、前記第1の画像および前記第2の画像を示すためのスクリーンまたはディスプレイを有する、請求項1~請求項4の何れか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、二つ
よりも多い前記ガンマ線検出器(2)から成る、請求項1~請求項5の何れか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記超音波撮像装置(1)が、前記ガンマ線検出器(2)から独立して使用するために分離可能である、請求項1~請求項6の何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記ガンマ線検出器(2)、電子モジュール(3)および計算モジュール(5)の間のデータ伝送は、配線または無線通信によって行われる、請求項1~請求項7の何れか1項に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも一つの前記ガンマ線検出器(2)と結合されたコリメータを更に含む、請求項1~請求項8の何れか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムが、ガンマ線検出器(2)の各々の各ガンマ検出領域間の相対角度を機械的に
独立して調整するための手段を含む、請求項1~請求項9の何れか1項に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つのガンマ線検出器(2)が2つ
よりも多い前記ガンマ線検出領域を構成し、同一の
前記検出方向に実質的に整合し、検出面が実質的に平行している、請求項1~請求項10の何れか1項に記載のシステム。
【請求項12】
ガイド下生体生検を実行するための針を含む、請求項1~請求項11の何れか1項に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1~請求項12の何れか1項に記載のシステムの作動方法であって、前記システムは、前記被験者の前記第1の画像および前記第2の画像を生成するためのシステムであり、
前記超音波撮像装置(1)が、前記被験者の表面の前記第1の信号を生成するステップと、
前記
第1のガンマ線検出器(2)及び前記第2のガンマ線検出器(2)が、前記被験者の前記表面の前記第2の信号を生成するステップと、
前記電子モジュール(3)が、前記超音波撮像装置(1)及び前記ガンマ線検出器(2)によってそれぞれ得られた前記第1の信号及び第2の信号を処理するステップと、
前記システムが、前記処理された前記第1の信号及び第2の信号を、計算モジュール(5)に送ると共にそれぞれの第1の画像及び第2の画像をそれぞれ生成するステップと、
前記システムが、前記第1の画像及び前記第2の画像を、前記計算モジュール(5)に備えられたディスプレイ上にリアルタイムで同時に表示するステップと、
を含む、システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腫瘍手術の技術分野において、より具体的には腫瘍疾患の画像技術、診断および治療について報告されている。本発明は組織抽出が行われている間に、腫瘍ゾーンの機能的かつ解剖学的なリアルタイムの視覚化を提供する、ガイド下生検を行うことを可能にする、腫瘍学的診断における医学的使用に適した、携帯型および光二重ガンマ線および超音波画像化システムの開発に関するが、これに限定されない。前記システムは、超音波カメラと、ガンマ線のコンプトン分散に基づくガンマ線カメラとを含む。
【背景技術】
【0002】
過去において、腫瘍の診断、検出および治療は典型的には核医学技術および方法、例えば、陽電子放出断層撮影(PET)または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)または平面ガンマグラフィーに基づいていた。ガンマ線放出に基づくこれらの技術は大きな腫瘍親和性を有する分子に結合した放射性物質の注入後に生成された放射線に基づいて患者の身体の画像を得ることを可能にし、これらの物質は崩壊を通してガンマ線を放出し、それらの検出後に、放射線の起源を再構築し、さらなる治療のために癌に罹りやすい領域を同定することが可能である。したがって、これらの技術は主にその構成要素間にコリメータを使用するために、適切な精度を得るために大型の装置を必要とするので、解像度および人体の特定の遠隔領域へのアクセスのレベルに関して特定の制限を提示するが、関心領域の機能分析を可能にする。
【0003】
さらに、有効な癌診断のため、および偽陽性を除去するため、すなわち、癌性細胞と非癌性細胞とを区別するために、生検が必要である。典型的に生検をガイドする画像の種類は形態学的なものであり、マンモグラフィ、磁気共鳴又は超音波であり、この最後の技術は、疑わしい組織抽出中に針のガイドのために使用されるものである。それにもかかわらず、仕様および診断感度の拡大のための機能情報を提供する画像化技術との組み合わせが必要とされる。この目的で、超音波カメラ(解剖学的情報を提供する)は腫瘍ゾーンの検出の効率を高めるために、過去においてガンマ線検出カメラ(機能情報を提供する)と組み合わされてきた。最近、腫瘍ゾーンからの超音波およびガンマ線画像化システムの組み合わせはガイドされた生検をより効果的に行うために有用であることが実証されており、これは画像を撮る間に疑わしい領域から組織を抽出することを意味する。しかしながら、場合によっては、システムサイズが針自体の生検へのアクセスを妨害しまたは障害となる。他の場合には、システムサイズが人体のいくつかの領域でのその使用を妨げる。したがって、これらのシステムが存在する場合であっても、リアルタイムのデュアル画像を提供することができ、患者の身体のどこでも診断することができ、ガイド下生検を高精度で実施することができる、軽量で手持ち式の器具が必要とされており、これは、患者のための最も適切な治療および腫瘍の将来の応答を決定するための腫瘍の不均一性の実証された重要性を考慮すると、重要な要因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
要約すると、前述の制限を伴って、本技術分野では、以下のデュアル画像システムを提供することが必要である:
患者の身体に関する機能情報を高精度かつ低線量で得ることができる;
患者の身体から解剖学的情報を得ることを可能にする;
小型化により移動性及び携帯性に優れている;
リアルタイムで取得した情報を制御し、送信することができる;
患者の身体のあらゆる部分で使用するための柔軟性を有する;
画像化と同時に正確な生検を行うために針を使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は超音波及びガンマ放射線コンプトン技術のカメラを用いて作成された、リアルタイムのデュアル画像を通してガイド下生検を行うために考案された新規な画像化システムを提供し、その効率は最新技術の既知の解決策を改善し、その性能は、同じ装置を用いて、前に詳述した問題を克服することを可能にする。さらに、本発明は、腫瘍領域付近の領域への遠隔アクセスにかかわらず、患者の上にカメラを配置することを容易にする、低減されたコンパクトなシステムを提供するように向けられている。同時に、本発明は、専門職員による手動操作およびその輸送を容易にすることに焦点を当てている。
【0006】
本発明の主な目的は、限定されることなく、腫瘍学的診断およびリアルタイムガイド下生検における使用に適した、好ましくは以下を含むデュアル画像化システムの開発に関する:
1つ以上の解剖学的画像に関連する信号を取得するための超音波撮像装置;
1つ以上の機能画像に関連する信号を得るためのガンマ線検出器;
超音波撮像装置およびガンマ線検出器によって得られた信号を処理するための電子モジュール;
超音波撮像装置およびガンマ線検出器を収容するケーシング。
【0007】
有利には前記システムにおいて、ガンマ線コンプトン検出器はコンプトンガンマ線散乱検出器であり、これは典型的には実質的に同じ検出方向に整列された少なくとも2つのガンマ線検出領域を含み、各領域において検出されたガンマ線の位置およびエネルギーを得ることができる。同様に、超音波撮像装置およびガンマ線検出器は互いに実質的に平行な検出方向を有し、好ましくは0~90度の間の角度をなし、0度に対応する位置は、2つの間の平行な整列に対応する。
【0008】
このようにして、機能画像において適切な解像度を得るためにコリメータの必要性を排除することが達成される。本発明のシステムにおいてコリメータが使用されず、前記システムがコンプトン再構成に基づいているという事実は、入射放射線のエネルギーの範囲を制限せず、とりわけ、検出システムが特定のエネルギー専用に設計されないことを可能にする。すなわち、コリメータを使用するガンマ線検出器は画像再構成のための最適なエネルギー範囲に関してシステム能力を制限し、とりわけ、必然的にコリメータを通過しなければならないガンマ線の検出された事象のみを考慮すると、システムの検出感度を実質的に低下させ、また、装置を非常に重くし、動作を困難にする。本発明の場合、画像の再構成は両方の検出器の間の同時事象から生じるので、機械的コリメータは必要ではない。このようにして、画像解像度が改善され、より高い効率でガイド下生検の実施を可能にする。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態では、デュアルイメージングシステムにおいて、各ガンマ検出領域はガンマ放射線検出のための固体光センサおよび半導体型検出器に結合された複数のシンチレーション結晶と、前記シンチレーション結晶によって検出された信号を増幅するように処理され得る電気パルスを形成する複数の光電子増倍管とを備える。
【0010】
好ましくはシンチレーション結晶がNaI、CsI、LaBr3、LaCl3またはLYSOなどのモノリシックまたはピクセル化シンチレーション結晶であり、前記シンチレーション結晶は感受性光電子増倍管にその位置に結合される。より好ましくは、光電子増倍管は半導体タイプである。同様に、ガンマ線検出器は、HPGeまたはCdZnTeなどの半導体検出器から構成することができる。
【0011】
これは、放射線検出器に光電子増倍管のような固体半導体を使用するために、高いコンパクト性をもたらす。
【0012】
さらにより好ましくは本発明のシステムがシリコン光電子増倍管(SiPMs)タイプのシリコン光電子増倍管を含み、このシリコン光電子増倍管は実際にコンパクトであるため、速度、雑音対信号比、消費およびサイズの点で利点を提供する。SiPMs光電子増倍管はシンチレーション結晶に結合され、シンチレーション結晶はコンプトンガンマ線散乱現象によって生成された情報を利用するのに理想的に適しており、特に、超音波トランスデューサと結合するのに適しており、その理由はシステムが一般に、医療従事者によって手持ち式でなければならないからである。シリコン光センサの使用は低電力、低アンペア数、および低電圧(従来の光電子増倍管が必要とする数十ボルト対数百ボルト)の装置の設計を可能にし、これは、その手術中の使用にとって有利である。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態では、システムが解剖学的および機能的画像を示すためのデータ可視化ディスプレイを有する、電子モジュールに接続された計算モジュールを備える。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態では、システムがガイド下生検を実施するための針を含む。
【0015】
このようにして、患者の治療および将来の腫瘍応答を決定するための腫瘍の不均一性の重要性を考慮すると、この最後の重要な因子で形態学的および機能的情報の組み合わせのために、ガイド下生検の性能が高精度で達成される。生検を実施しながら、大量の情報を有する画像のリアルタイムでの再構成も達成される。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態では、システムが2つ以上のコンプトン検出器を含む。
【0017】
その意味で、超音波検出器によって得られた画像とのその後の組み合わせのために、放射性トレーサの分布をより高い精度で再構成することが可能である。この第2のコンプトン検出器は、画像の再構成における曖昧さを明確にする。好ましくは、この第2のコンプトン検出器が第1のコンプトン検出器に対して対称であり、超音波撮像装置の一方の側に配置される。
【0018】
本発明の別の好ましい実施形態では、コンプトン検出器が前記超音波イメージング装置の側部で超音波イメージング装置に並置して配置される。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態では、超音波撮像装置がコンプトン検出器とは独立して、その使用のために取り外し可能である。より好ましくは、コンプトン検出器が標準的な外部超音波撮像装置に結合することができる。
【0020】
このようにして、ガンマ線検出器が必要とされない他の診断または使用に有用または必要である場合に、超音波撮像装置の使用が達成される。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態ではコンプトン検出器、電子モジュール、および計算モジュール間のデータ伝送は配線または無線通信によって行われる。
【0022】
本発明の別の好ましい実施形態では、システムがコンプトン検出器に結合されたコリメータをさらに備える。
【0023】
このようにして、任意選択で、任意の特定の場合に入射位置のより良好な決定を容易にすることができる、例えば、第1の個々の前方ガンマ線分散検出器(平行中空コリメータファンビームコリメータ、「符号化マスク」など)のための機械的コリメータを追加することが可能である。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態では、各個々のガンマ線コンプトン検出器間の距離および角度が固定されていてもよいし、機械的に調整可能であってもよい。代替的に、前記容積内のガンマ線の少なくとも2つの相互作用を区別することができる、ある容積のモノリシック検出器を使用することが可能である。
【0025】
したがって、超音波画像によって提供される情報から、必要に応じて、測定された事象の数および検出の不確実性を調整して、損傷位置に基づく結果を最大化することが可能である。
【0026】
本発明の別の好ましい実施形態では少なくとも1つのコンプトン検出器が3つ以上の個々のガンマ検出器を含み、これらのガンマ検出器は実質的に同じ検出方向に整列され、それらの間に実質的に平行な検出面を有する。したがって、より高い検出効率を提供することが達成され、これは事象統計を改善し、したがって、患者の組織の機能画像を再構成するために必要とされる時間を低減する。
【0027】
本発明の別の目的は前述の実施形態によるデュアル画像システムの使用を含み、以下のステップを実行する、患者の解剖学的および機能的デュアル画像を取得する方法に関する:
システムが表面または身体に展開される;
前記表面または身体の解剖学的情報は、超音波撮像装置によって生成される;
前記表面または物体の機能情報は、コンプトン検出器(1つまたは複数)によって生成される;
超音波撮像装置およびコンプトン検出器によって得られた信号は、電子モジュールによって処理される;
処理された信号は、計算モジュールに送られる;
解剖学的および機能的画像は、計算モジュールからディスプレイ上にリアルタイムで示される。
【0028】
さらに、本発明の他の好ましい実施形態では、前述の方法によって取得されたデュアル画像を、前または後の段階中に取得された他の画像またはデータと組み合わせて、より大きな組み合わせ情報を提供することができる。
【0029】
したがって、本発明は前のセクションで説明した技術的問題に対する解決策を提案することを可能にし、高精度でリアルタイムの機能的および解剖学的デュアル画像を得ることを容易にし、最新技術の文献で説明されている技術的特徴を克服するデュアル画像化システムを提供する。本発明はそのコンパクトさ、容易な手術、携帯性、および広い測定範囲のために、ガイド下生検におけるその使用に適しており、腫瘍学的診断および治療に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態による、デュアル画像システムを含む検出器の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施形態による、システムのコンプトン検出器の詳細なスキームを示す。
【
図3】
図3は、本発明の好ましい実施形態による、装置の検出器の側面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、装置の主要要素のスキームを示す。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、本発明の好ましい実施形態による、従来の技術によって取得された解剖学的超音波画像(5A)、及びシステムによって取得された機能的および解剖学的画像(5B)の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の技術的特徴をより深く理解するために、
図1~5に参考文献として一連の参照符号を付し、これには図示的なおよび非制限的なの性質を記載する。
(1) 超音波撮像装置
(2) ガンマ線コンプトン検出器
(2a) 個別前方ガンマ線散乱検出器
(2b) 個別後方ガンマ線吸収検出器
(3) 電子モジュール
(3') 信号処理モジュール
(4) ケーシング
(5) 計算モジュール
(6) シンチレーション結晶
(7) 光電子増倍管
【0032】
本発明の例示的な好ましい実施形態は例示の目的で記載されるが、これに限定されず、ここで記載される。
【0033】
前のセクションで説明したように、本発明の主な目的は、腫瘍診断のための1つまたは複数の解剖学的画像およびガンマ線照射装置に関連する信号を提供するための超音波撮像に基づく画像を通るガイド下生検の実施に適したデュアル撮像システムに関する。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では
図1~
図5に示すように、デュアル撮像システムは超音波撮像装置(1)、少なくとも1つのガンマ線コンプトン検出器(2)、電子モジュール(3)、信号処理モジュール(3’)、ケーシング(4)、および計算モジュール(5)を備える。
【0035】
好ましくは、各ガンマ放射線コンプトン検出器(2)が
図2に示すように、実質的に同じ検出方向に整列した少なくとも2つのガンマ検出領域を含む。これらの2つのガンマ検出領域は、相互作用およびエネルギー位置を測定することができる2つの検出面を画定する2つの個別のガンマ放射線検出器(2a、2b)とすることができる。あるいは、前記体積内のガンマ線の少なくとも2つの相互作用を区別することができる特定の体積のモノリシック検出器を使用することが可能である。より好ましくは
図1~5のように、各コンプトン検出器(2)は個々の前方ガンマ線散乱検出器(2a)および個々の後方ガンマ線吸収検出器(2b)を有する。任意選択的に、正面検出器(2a)および背面吸収検出器(2b)は、ガンマ線の方向に応じて、それらの機能を交換することができる。
【0036】
コンプトン検出器(2)を使用する画像形成装置はガンマ線源から進むガンマ線が前方散乱検出器(2a)によってコンプトン散乱された後に、後方吸収検出器(2b)において1回以上相互作用したガンマ線の検出に基づく。事象は単一のガンマ線入射に属することを保証するために、狭い時間一致ウィンドウに登録される。ガンマ線源の空間分布は情報の相互作用(すなわち、各検出器(2a、2b)におけるガンマ線の検出位置およびエネルギー)に基づいて再現される。
【0037】
散乱検出器(2a)内の初期ガンマ線の少なくとも位置および損失エネルギーが既知であり、吸収検出器(2b)内で相互作用するガンマ線の位置も既知であり、両方の事象が定義された時間一致ウィンドウ内で起こることを条件として、元の経路、または少なくとも可能な経路の円錐を計算することが可能である。異なる軌道円錐(
図2参照)を累積することにより、患者の身体からの放射源位置を再構成することができる。
【0038】
図2に示すように、コンプトン検出器は、第2の相互作用位置に対する第1のガンマ線相互作用(その位置およびエネルギー)を区別する必要がある。この目的のために、少なくとも2つの検出面を有するシステムが好都合であるが、より多くの検出面を取り付けるために、複数の相互作用に敏感な単一の検出器を使用することが可能である。その最後の場合、検出面は既知の精度で最終ガンマ画像を再構成するのに十分な事象の統計をとるために、適切な距離だけ分離されてもよい。
【0039】
前方散乱検出器(2a)及び後方吸収検出器(2b)の両方は、より好ましくはシリコン製の固体光電子増倍管(7)に結合されたシンチレーション結晶(6)を含み、且つ半導体検出器を含むことが好ましい。
【0040】
コンパクトさは、シンチレーション結晶(6)および固体光電子増倍管(7)のおかげで達成される。好ましくは、前記光電子増倍管(7)はシリコン製である。一方では(従来技術で使用されている)典型的な光電子増倍管と比較して、前記シリコン光電子増倍管(7)のサイズが小さいこと、および他方ではコリメータを導入する必要がないことが、本発明に前記利点を与え、コンプトン検出器および縮小されたサイズを有するデュアル撮像システムの構成を可能にする。
【0041】
より正確には、デュアルイメージングシステムの性能のための要素が本発明のこの好ましい実施形態に従って、
図1~5に示されるように、以下に記載される。
組織の解剖学的画像を得ることを可能にし、その検出器方向が好ましくは複数のガンマ線コンプトン検出器(2)の検出方向に整列される超音波撮像装置(1)。
患者の組織から機能情報を有する画像を得ることを可能にする複数のガンマ線コンプトン検出器(2)。
好ましくは光電子増倍管(7)の近くに配置され、そのデジタル化のために生成された電気パルスを収集し、それは、ガンマ線検出器(2)において検出されるガンマ事象の時間窓の論理プログラマブルおよび/または構成可能な電子機器を含む電子モジュール(3)。
デジタル化された信号を記録し、それを計算モジュール(5)に送るための信号処理モジュール(3’)。
検出器(1、2)および電子モジュール(3)を保護するためのケーシング(4)。
超音波(1)およびガンマ線(2)検出器によって生成された情報と組み合わされた最終画像をスクリーンまたはディスプレイ上に表示するための計算モジュール(5)(例えば、コンピュータ)。
【0042】
上述のように、各コンプトン検出器(2)は、2つのガンマ線検出器(2a、2b)を含む。一方は前方散乱検出器(2a)であり、他方は後方吸収検出器(2b)であり、それらは同じ検出方向に平行な検出面と実質的に整列するように配置される。
【0043】
本発明のこの好ましい実施形態では、ガンマ線検出器(2a、2b)は好ましくは超音波撮像装置(1)の一方の側に配置される。
【0044】
前述のシステムに対応するデュアル超音波およびガンマ線撮像システムの説明は、以下のように詳述される。
【0045】
本発明の組み合わされたガンマ線及び超音波システムは軽量であり、従来の超音波装置として取り扱うことができる。
【0046】
本明細書に記載のガンマ線検出器(2)は、ガンマ線のコンプトン散乱法則に基づいている。患者の組織内の放射性核種によって生成されたガンマ線はシステムに到達し、第1の前方散乱検出器(2a)において散乱コンプトン相互作用を有し、そのエネルギーの一部を失う。その後、散乱されたガンマ線は、そのエネルギーの一部または残りを第2の後方吸収検出器(2b)上に堆積させる。第1の検出器(2a)内に蓄積されたガンマ線の位置およびエネルギー、ならびに第2の検出器(2b)内で散乱されたガンマ線の位置を測定することによって、以下の式によって、患者の体内に注入されたラジオトレーサから放出された初期ガンマ線の可能な経路の集合を知ることが可能である。
【0047】
【0048】
E
0及びE
1は各々初期及び散乱後のガンマ線のエネルギーであり、θは、
図1と
図2に示されるように、初期経路に関する分散角度である。測定時間の後、システムはこのような一連の独立した事象を収集し、コンプトン検出器(2)の周りの無線トレーサの空間分布を得るのに十分な統計情報を提供する。
【0049】
個々のガンマ線検出器(2a、2b)はシンチレーション結晶(6)、好ましくは例えばシリコンで作られ、位置に感応する固体光電子増倍管(7)に結合された、画素化された又はモノリシックなシンチレーション結晶(例えば、NaI、CsI、LaBr3、LaCl3、LYSOなど)を含む。
【0050】
ガンマ線がシンチレーション結晶(6)に当たると、光増倍率(7)上にシンチレーション光が集まり、それが増幅されたシグナルを生成し、そのデジタル化のために電子モジュール(3)に送られる。各個々のガンマ検出システム(2a、2b)は、シンチレーション結晶(6)に入射するガンマ線の蓄積エネルギーに比例する電気パルス信号を発生する。
【0051】
ガンマ検出器(2a、2b)の信号デジタル化のための電子モジュール(3)(可撓性または剛性)は、光電子増倍管(7)の近くに配置される。前記電子モジュール(3)は、アナログ信号を、信号処理モジュール(3’)に送られるデジタル化された値に変換する。信号処理モジュール(3’)は、レクチャー(lectures)および給電を含む。信号処理モジュール(3’)はデジタル化されたパルスを記録し、データを計算モジュール(5)、例えばコンピュータに送り、個々のガンマ検出器(2a、2b)に電力を供給する。信号処理モジュール(3’)はまた、明確に定義された時間窓内の事象を選択する。
【0052】
超音波撮像装置(1)からの信号は解剖学的画像を処理し生成するために、信号処理モジュール(3’)及び/又は計算モジュール(5)にも送られる。
【0053】
あるいは、信号処理モジュール(3’)が電子モジュール(3)または計算モジュール(5)に統合されてもよい。
【0054】
個々のガンマ線検出器(2a、2b)からの信号はデジタル化され、計算モジュール(5)またはディスプレイに送られ、そこでガンマ画像が再構成され、超音波画像と相関されて、医師に示される。
【0055】
標準的な超音波撮像装置は2Dで解剖学的画像を提供するので、画像は典型的には2Dで表示される。しかしながら、超音波撮像装置が3D画像を可能にする場合、それらは、コンプトン検出器の生成を可能にし、最終的なデュアル3D画像を表示する3D画像とマージされることができる。
【0056】
システムは個々のガンマ線検出器(2a、2b)の間のガンマ線のコンプトン散乱現象に基づいており、各個々のガンマ線検出器(2a、2b)にわたる入射位置を決定する能力を提供するので、コリメータの使用は、本発明において必要ではない。
【0057】
あるいは、デュアル画像システムが特定の場合に位置のより良い決定を助けることができる位置の決定を改善するために、第1の前方散乱検出器(2a)のための機械的コリメータ(平行中空コリメータ、扇形ビームコリメータ、符号化マスクなど)を含むことができる。
【0058】
本発明の別の好ましい実施形態では、サイストが第2のコンプトン検出器(2)を含む。超音波画像とのその後の組み合わせのための無線トレーサの最も正確な分布は、超音波撮像装置(1)の一方の側に配置された第1のコンプトン検出器(2)に対して実質的に対称的なこの第2のコンプトン検出器(2)を介して達成される。この第2のコンプトン検出器(2)は、画像再構成における曖昧さを明らかにする。
【0059】
より好ましくは、システムが超音波撮像装置の各側に1つずつ配置された2つのコンプトン検出器(2)を備える(
図1参照)。
【0060】
本発明の別の好ましい実施形態では、すべてのコンプトン検出器(2)が超音波検出器(1)の一方の側に配置される。
【0061】
本発明の別の好ましい実施形態では、システムが同じコンプトン検出器(2)に対して、実質的に同じ検出方向に、かつ互いに実質的に平行な検出面に整列された3つ以上の個々の検出器(2a、2b)を備える。より多数のガンマ検出器(2a、2b)は事象の統計量を改善し、したがって、患者の組織から機能画像を再構成するときの空間分解能を改善する。
【0062】
本発明の別の好ましい実施形態では、各コンプトン検出器(2)の各個々のガンマ検出器(2a、2b)間の距離は損傷の位置に従って結果を最大にするために、超音波画像によって提供される情報からの必要性に従って、固定されるか、または機械的に調整可能であり得る。
【0063】
本発明の別の好ましい実施形態では、コンプトン検出器(2)と信号処理モジュール(3’)および/または電子モジュール(3)と計算モジュール(5)との間のデータ伝送が配線または無線手段によって行われる。
【0064】
本発明の別の好ましい実施形態ではガンマ線/超音波のデータ処理、位置の計算、事象の時間的一致、画像の再構成、および画像マージは信号処理モジュール(3’)および/または計算モジュール(5)において実行され、画面またはディスプレイ上に表示される。
【0065】
本発明の別の好ましい実施形態では、システムは次の2つの異なる構成を有する。
2つのガンマ線(2)検出器と、ケーシング(4)内に結合され一体化された超音波(1)撮像装置とを有する第1のシステム構成であって、2Dまたは3Dの結合されたリアルタイム画像を提供する、第1のシステム構成。
ガンマ線検出器(2)が超音波撮像装置(1)と分離されている第2のシステム構成であり、これは取り外し可能であり、ガンマ線検出器(2)によって収集された情報から、2Dまたは3Dで機能画像とマージされる解剖学的画像(典型的には2D)を提供する、
第2のシステム構成。
【0066】
本発明の別の好ましい実施形態では、ガンマ線検出器(2)がそれ自体のスクリーンまたはディスプレイを備える外部超音波撮像装置(1)に結合される。好ましくは、ガンマ画像が超音波検出器(1)に入力された外部画像およびディスプレイを介して、解剖学的画像と重ね合わされて、超音波撮像装置(1)に関連する画面上に示される。
【0067】
ガンマ線検出器(2)が外部超音波撮像装置(1)に結合される本発明の別の好ましい実施形態では、超音波撮像装置(1)によって生成された外部情報が前記撮像装置(1)から放出され、処理されてガンマ画像と併合されるシステムの信号処理モジュール(3’)に導入される。
【0068】
一例として、
図5A及び
図5Bには、本発明の好ましい実施形態(
図5B)による、単一の解剖学的超音波画像(
図5A)を通して得られた結果と、システムの使用を通して得られた解剖学的および機能的画像の組み合わせとの間の比較が示されている。得られた合成画像は、患者の体内の放射性同位元素の収集に関する詳細な情報を提供する。前記情報は、腫瘍活性が大きい領域を示すカラーコードで示すことができる。このようにして、リアルタイムではるかに選択的で正確な生検を実施することが可能である。
【0069】
このようにして、本発明は前のセクションで説明した技術的問題を克服し、したがって、好ましくは、癌になりやすい組織のガイド下生検を実行しながら、高解像度でリアルタイム診断のために解剖学的および機能的2Dおよび/または3D画像を組み合わせて撮影することを可能にするシステムを提供する。この文脈において、本発明は代謝情報および正確な生検を得ることを可能にし、これは、最も適切な患者の処置および腫瘍の将来の応答を決定するための腫瘍の不均一性の実証された重要性を考慮する重要な因子である。
【0070】
他方、本発明は、腫瘍付近の領域への遠隔アクセスにかかわらず、患者の上にカメラを配置することを容易にするコンパクトなシステムを提供することを目的とする。同時に、本発明は、専門職員による手動操作およびその輸送を容易にすることを目的とする。
【符号の説明】
【0071】
1 超音波撮像装置
2 ガンマ線コンプトン検出器
2a 個別前方ガンマ線散乱検出器
2b 個別後方ガンマ線吸収検出器
3 電子モジュール
3’ 信号処理モジュール
4 ケーシング
5 計算モジュール
6 シンチレーション結晶
7 光電子増倍管