(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】高効率RF回路のためのインピーダンス整合伝導構造
(51)【国際特許分類】
H05K 3/10 20060101AFI20230214BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20230214BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230214BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230214BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20230214BHJP
H03H 3/00 20060101ALI20230214BHJP
H03H 7/38 20060101ALI20230214BHJP
H01P 3/00 20060101ALI20230214BHJP
H01P 3/08 20060101ALI20230214BHJP
H01P 11/00 20060101ALI20230214BHJP
C03C 3/091 20060101ALI20230214BHJP
C03C 3/093 20060101ALI20230214BHJP
C03C 4/04 20060101ALI20230214BHJP
C03C 15/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H05K3/10 E
H05K3/40 K
H05K1/02 J
H05K1/03 610B
H05K1/11 N
H03H3/00
H03H7/38 Z
H01P3/00
H01P3/08
H01P11/00 102
C03C3/091
C03C3/093
C03C4/04
C03C15/00 F
(21)【出願番号】P 2020535102
(86)(22)【出願日】2018-12-31
(86)【国際出願番号】 US2018068184
(87)【国際公開番号】W WO2019136024
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2018-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516218823
【氏名又は名称】スリーディー グラス ソリューションズ,インク
【氏名又は名称原語表記】3D GLASS SOLUTIONS,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】フレミング ジェブ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】マクウェシー カイル
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0094794(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0277047(US,A1)
【文献】国際公開第2005/027605(WO,A1)
【文献】特表2016-528735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/10
H05K 3/40
H05K 1/00 - 1/03
H05K 1/11
H03H 3/00
H03H 7/38
H01P 3/00 - 3/20
H01P 11/00
C03C 1/00 -23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の基板上の2つのRFデバイスの間にRFインピーダンス整合デバイスを作製する方法であって、
シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを含む単一の感光性ガラス基板を提供するステップであって、第1のRFデバイス及び第2のRFデバイスが前記単一の感光性ガラス基板上又は基板内に形成されている、前記ステップと、
前記感光性ガラス基板内に1又は2以上の三角形若しくは台形のバイアを形成する1又は2以上の構造を備える設計レイアウトをマスキングするステップと、
前記感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光するステップと、
前記感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分間加熱するステップと、
前記感光性ガラス基板を冷却して、前記露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成するステップと、
前記ガラス結晶基板をエッチング溶液でエッチングして前記1又は2以上の三角形若しくは台形のバイアを形成するステップと、
前記1又は2以上の三角形若しくは台形のバイアを前記感光性ガラス基板の誘電率とは異なる誘電率を有する非伝導媒体で充填するステップと、
前記1又は2以上の三角形若しくは台形のバイアを横断するように1又は2以上の伝導構造を形成するステップであって、前記1又は2以上の伝導構造が前記第1のRFデバイスと前記第2のRFデバイスとに接続されるよう構成される、前記ステップ;
とを含む、前記方法。
【請求項2】
前記エッチングするステップが、前記感光性ガラス基板と前記1又は2以上の伝導構造との間にエアギャップを形成することを含み、
(1)前記1又は2以上の伝導構造と前記感光性ガラス基板との間の前記エアギャップ内の距離が10μmより大きい、又は(2)前記1又は2以上の伝導構造の1部分と接触し、それにより物理的に支持する前記エアギャップ内の前記感光性ガラス基板の部分の厚さが10μmより大きい、又は(3)前記エアギャップ内の前記感光性ガラス基板の前記部分と接触し、それにより物理的に支持する前記1又は2以上の伝導構造の前記部分の長さ又は幅が、前記1又は2以上の伝導構造の前記長さ又は前記幅の、それぞれ、50%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1又は2以上の伝導構造が、マイクロストリップ、ストリップ線路、コプレーナ導波路、接地コプレーナ導波路又は同軸導波管の少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1又は2以上の伝導構造が、表面コンタクト、埋込コンタクト、ブラインドバイア、ガラスバイア、直線コンタクト、矩形コンタクト、多角形コンタクト又は円形コンタクトを通して前記第1のRFデバイスと前記第2のRFデバイスとに接続されるように構成される、請求項1~
3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記感光性ガラス基板が、
(1)60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のK
2Oであって、K
2O及びNa
2Oの組合せが6~16重量%である;0.003~1重量%の、Ag
2O及びAu
2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCu
2O;0.75~7重量%のB
2O
3及び6~7重量%のAl
2O
3で、B
2O
3及びAl
2O
3の組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLi
2O;並びに0.001~0.1重量%のCeO
2の組成;又は
(2)35~76重量%のシリカ、3~16重量%のK
2O、0.003~1重量%のAg
2O、0.75~13重量%のB
2O
3、8~15重量%のLi
2O及び0.001~0.1重量%のCeO
2の組成;又は
(3)少なくとも0.3重量%のSb
2O
3又はAs
2O
3;及び0.003~1重量%のAu
2O;及び1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO及びBaOからなる群から選択される酸化物;を含む;又は
(4)露光部分と未露光部分の異方性エッチング比が10~20:1;21~29:1;30~45:1;20~40:1;41~45:1;及び30~50:1の少なくとも1つである、
請求項1~
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記RFインピーダンス整合デバイスが、信号入力対信号出力の50%、40%、30%、25%、20%、15%又は10%未満の損失を有する、請求項1~
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記RFインピーダンス整合デバイスを、MHz~THzの周波数での操作用に構成される、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ付きデュプレクサ、バラン、電力合成器/分割器又は電力増幅器のうち少なくとも1つの特徴に形成するステップをさらに含む、請求項1~
6のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ基板上のRFデバイス間のインピーダンス整合をとることに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定することなく、その背景をインピーダンス整合に関して記載する。
【0003】
そのような一例が、Rajagopalan, et al.に発行された、"Adaptive impedance matching interface"という名称の、米国特許第9,819,991号明細書に教示されている。これらの発明者らは、データインタフェースコネクタ、アプリケーションプロセッサ及びインタフェース回路網を含む、装置を教示すると書かれている。インタフェース回路網は、アプリケーションプロセッサとデータインタフェースコネクタとの間に接続されると書かれており、そこでデータインタフェース回路網は、信号のうち1つの信号性質の変化であって、データインタフェースコネクタとメディア消費デバイスとの間のインピーダンス不整合によって生じる変化を測定する。アプリケーションプロセッサは、インタフェース回路網からの信号性質設定に応じて、信号のうち次の1つの信号性質を調整して調整済み信号を得ると書かれている、又はメディア消費デバイスに調整済み信号を送ることができる。
【0004】
別のそのような例が、Desclos, et al.に発行された"Active antenna adapted for impedance matching and band switching using a shared component"という名称の、米国特許第9,755,305号明細書に教示されている。簡潔には、これらの発明者らは、共用同調型部品を使用して、例えば、同調型コンデンサ又は他の同調型部品などの共用同調型部品を使用して、アンテナのアクティブインピーダンス整合及び帯域切替を提供するように適合されるアクティブアンテナ及び関連回路トポロジを教示すると書かれている。アンテナは、低コスト且つ効果的なアクティブアンテナソリューションを提供すると書かれており、例えば、1又は2以上の受動部品がさらに活用されて、第1の周波数から第2の所望の周波数へのアンテナの帯域切替を設計することができる。
【0005】
しかしながら、これらの進歩にもかかわらず、同じ基板上のRFデバイス間のインピーダンス整合の必要性が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9,819,991号明細書
【文献】米国特許第9,755,305号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、本発明は、RFインピーダンス整合デバイスを作製する方法であって、感光性ガラス基板に1又は2以上の傾斜電気伝導チャネルを形成する1又は2以上の構造を備える設計レイアウトをマスキングするステップと、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光するステップと、感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分間加熱するステップと、感光性ガラス基板を冷却して、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成するステップと、ガラス結晶基板をエッチング液でエッチングしてデバイスの傾斜電気伝導チャネルを形成するステップと、1又は2以上の傾斜電気伝導チャネルを1又は2以上の金属で被覆するステップと、電気分離構造の全部又は一部を金属媒体で被覆するステップであり、金属が回路網に接続されるステップとを含む方法を含む。一態様では、RFインピーダンス整合デバイスは、RFインピーダンス整合デバイスの長さ又は幅の50%未満の機械的支持体を有する。別の態様では、機械的支持体の高さが10μmより大きく、RF損失を低減させる。別の態様では、RFインピーダンス整合デバイスと基板との間の横方向距離が10μmより大きく、RF損失を低減させる。別の態様では、エッチングするステップは、基板とRFインピーダンス整合デバイスとの間にエアギャップを形成しており、RFインピーダンス整合デバイスは他のRF電子素子に接続される。別の態様では、トレンチに隣接したガラス結晶基板はセラミック相に変換されてもよい。別の態様では、RFインピーダンス整合デバイスの接地面以外の伝導構造が、マイクロストリップ、ストリップ線路、コプレーナ導波路、接地コプレーナ導波路又は同軸導波管の少なくとも1つであることができる。別の態様では、1又は2以上の金属は、Fe、Cu、Au、Ni、In、Ag、Pt及びPdから選択される。別の態様では、金属は、表面、埋込コンタクト、ブラインドバイア、ガラスバイア、直線コンタクト、矩形コンタクト、多角形コンタクト又は円形コンタクトを通して回路網に接続される。別の態様では、感光性ガラス基板は、60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のK2Oで、K2O及びNa2Oの組合せが6重量%~16重量%;0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCu2O;0.75重量%~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3で、B2O3及びAl2O3の組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLi2O;並びに0.001~0.1重量%のCeO2の組成を備えるガラス基板である。別の態様では、感光性ガラス基板は、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.003~1重量%のAg2O、0.75~13重量%のB2O3、8~15重量%のLi2O及び0.001~0.1重量%のCeO2の組成を備えるガラス基板である。別の態様では、感光性ガラス基板は、光画定可能なガラス基板が少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3を含む;光画定可能なガラス基板が0.003~1重量%のAu2Oを含む;光画定可能なガラス基板が、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO及びBaOからなる群から選択される酸化物を含む;並びに露光部分と上記未露光部分の異方性エッチング比が10~20:1;21~29:1;30~45:1;20~40:1;41~45:1;及び30~50:1の少なくとも1つであってもよい、の少なくとも1つである。別の態様では、感光性ガラス基板は、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム及び酸化セリウムの少なくとも1つを含む感光性ガラスセラミック複合基板である。別の態様では、RFインピーダンス整合デバイスは、信号入力対信号出力の50、40、30、25、20、15又は10%未満の損失を有する。別の態様では、本方法は、RFインピーダンス整合デバイスを、MHz~THzの周波数で、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ及びデュプレクサ、バラン、電力合成器/分割器又は電力増幅器のうち少なくとも1つの特徴に形成するステップをさらに含む。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、RFインピーダンス整合デバイスのための伝導構造を作製する方法であって、感光性ガラス基板に1又は2以上の傾斜電気伝導チャネルを形成する1又は2以上の伝導構造を備える設計レイアウトをマスキングするステップと、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を活性化エネルギー源に露光するステップと、感光性ガラス基板をそのガラス転移温度を超えて少なくとも10分の加熱相に処理するステップと、感光性ガラス基板を冷却して、露光されたガラスの少なくとも一部を結晶材料に変換してガラス結晶基板を形成するステップと、ガラス結晶基板をエッチング液でエッチングしてデバイスに1又は2以上の傾斜電気伝導チャネルを形成するステップであり、トレンチに隣接したガラス結晶基板がセラミック相に変換されてもよく、かつRFインピーダンス整合デバイスが、感光性ガラス基板によってRFインピーダンス整合デバイスの長さ又は幅の50%未満の機械的支持体を有するステップと、1又は2以上の傾斜電気伝導チャネルを1又は2以上の金属で被覆するステップと、電気分離構造の全部又は一部を金属媒体で被覆するステップであり、金属が表面又は埋込コンタクトを通して回路網に接続されるステップとを含む方法を含む。一態様では、1又は2以上の伝導構造は、マイクロストリップ、ストリップ線路、コプレーナ導波路、接地コプレーナ導波路又は同軸導波管の少なくとも1つを含む。別の態様では、機械的支持体の高さが10μmより大きく、RF損失を低減させる。別の態様では、伝送線路と基板との間の横方向距離が10μmより大きく、RF損失を低減させる。別の態様では、エッチングするステップは、基板とRFインピーダンス整合デバイスとの間にエアギャップを形成しており、伝送線路は他のRF電子素子に接続される。別の態様では、1又は2以上の金属は、Fe、Cu、Au、Ni、In、Ag、Pt及びPdから選択される。別の態様では、感光性ガラス基板は、60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のK2Oで、K2O及びNa2Oの組合せが6重量%~16重量%;0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCu2O;0.75重量%~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3で、B2O3及びAl2O3の組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLi2O;並びに0.001~0.1重量%のCeO2の組成を備えるガラス基板である。別の態様では、感光性ガラス基板は、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.003~1重量%のAg2O、0.75~13重量%のB2O3、8~15重量%のLi2O及び0.001~0.1重量%のCeO2の組成を備えるガラス基板である。別の態様では、感光性ガラス基板は、光画定可能なガラス基板が少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3を含む;光画定可能なガラス基板が0.003~1重量%のAu2Oを含む;光画定可能なガラス基板が、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO及びBaOからなる群から選択される酸化物を含む;並びに露光部分と上記未露光部分の異方性エッチング比が10~20:1;21~29:1;30~45:1;20~40:1;41~45:1;及び30~50:1の少なくとも1つであってもよい、の少なくとも1つである。別の態様では、感光性ガラス基板は、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム及び酸化セリウムの少なくとも1つを含む感光性ガラスセラミック複合基板である。別の態様では、RFインピーダンス整合デバイスは、信号入力対信号出力の50、40、30、25、20、15又は10%未満の損失を有する。別の態様では、本方法は、RFインピーダンス整合デバイスを、MHz~THzの周波数で、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ及びデュプレクサ、バラン、電力合成器/分割器又は電力増幅器のうち少なくとも1つの特徴に形成するステップをさらに含む。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、光画定可能なガラス基板に形成されるRFインピーダンス整合デバイスの長さ又は幅の50%未満で機械的に支持されるRFインピーダンス整合デバイスを含む。一態様では、RFインピーダンス整合デバイスは、感光性ガラス基板に1又は2以上の傾斜電気伝導チャネルを備える。別の態様では、RFインピーダンス整合デバイスは、RFインピーダンス整合デバイスの長さ又は幅の50%未満の機械的支持体を有する。別の態様では、機械的支持体の高さが10μmより大きく、RF損失を低減させる。別の態様では、伝送線路と基板との間の横方向距離が10μmより大きく、RF損失を低減させる。別の態様では、エアギャップ伝送は他のRF電子素子に接続される。別の態様では、トレンチに隣接したガラス結晶基板もセラミック相に変換されてもよい。別の態様では、1又は2以上の金属は、Fe、Cu、Au、Ni、In、Ag、Pt又はPdから選択される。別の態様では、金属が、表面、埋込コンタクト、ブラインドバイア、ガラスバイア、直線コンタクト、矩形コンタクト、多角形コンタクト又は円形コンタクトを通して回路網に接続される。別の態様では、RFインピーダンス整合デバイスは、MHz~THzの周波数で、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ及びデュプレクサ、バラン、電力合成器/分割器又は電力増幅器のうち少なくとも1つの特徴を備える。別の態様では、RFインピーダンス整合デバイスは、マイクロストリップ、ストリップ線路、コプレーナ導波路、接地コプレーナ導波路又は同軸導波管の少なくとも1つを含む1又は2以上の伝導構造を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、ここで添付の図と共に本発明の詳細な説明を参照する。
【
図1A-1B】埋込マイクロストリップ及び被覆マイクロストリップを含む2つの異形のマイクロストリップを図示し、その両方ともマイクロストリップ導体の上方に何らかの誘電体が付加される。
【
図2A】ラップ及びポリッシュ加工された光画定可能なガラス基板、例えば300μm厚のラップ及びポリッシュ加工された光画定可能なガラスが使用される、本方法の最初の側面図を示す。
【
図2B】基板の裏に厚さ200Åと10,000Åとの間のチタンの均一被覆をDCスパッタする側面図を示す。
【
図2C】基板の裏に銅接地面を電気メッキする側面図を示す。銅接地面は、基板の裏に厚さ0.5μmと10μmとの間であるべきである。
【
図2D】光画定可能なガラス基板を露光する三角形又は台形の透明領域を伴うクロムマスクを使用して形成されるデバイスの上面図を示す。基板は直径が6”である。露光は310nm光のおおよそ20J/cm
2による。長さLが100μm~200μmであり、幅W2が10μmであり、幅W1が50μmである。次に、露光された光画定可能なガラスを60分間450°Cに加熱する。
【
図2E-1】
図2E-1は、露光された光画定可能なガラスを10%HF溶液で銅/金属接地面までエッチングする上面図を示す。
【
図2F-1】
図2F-1は、エッチングされた領域を、APEX(登録商標)ガラスとは異なる誘電率である低損失正接材料で充填する上面図を示す。
【
図2G】フォトレジストを塗布し、パターン現像を露光し、露光されたパターンを除去してマイクロ波ストリップ線路を得た後のデバイスの上面図を示す。
【
図2H】基板/フォトレジストの表に厚さ200Åと10,000Åとの間のチタンの被覆をDCスパッタした後の上面図を示す。
【
図2I】溶剤を使用してフォトレジストを除去して光画定可能なガラス基板にチタンパターンを露出させた後の上面図である。
【
図2J】パターン化されたチタンに銅を電気メッキした後の上面図である。銅は、基板の裏に厚さ0.5μmと10μmとの間であるべきである。
【
図2K】インピーダンス整合マイクロストリップ線路がここでデバイス1及びデバイス2として描かれる各種のデバイスを接続するために使用された後の上面図である。
【
図3B】標準ガラスと比較したときの、本発明の低損失マイクロ伝送線路の損失の比較を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用を以下に詳細に説明するが、本発明が、多種多様な具体的な局面で具現化されることができる多くの応用可能な発明概念を提供することが認められるべきである。本明細書で説明する具体的な実施形態は単に本発明を作製及び使用する具体的な方法の例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0012】
本発明の理解を容易にするために、幾つかの用語を以下に定義する。本明細書で定義する用語は、本発明に関する当業者によって通例理解される意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体だけを指すのでなく、例示のために具体例が使用され得る一般分類を含むと意図される。本明細書における技術用語は、本発明の具体的な実施形態を記載するために使用されるが、それらの使用法は、請求項において概説される場合を除いて、本発明を限定しない。
【0013】
本発明は、同じ基板上のRFデバイス間のインピーダンス整合をとることに関する。フィルタ、インダクタ、コンデンサ、抵抗器、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ及びダイプレクサ、バラン、電力合成器/分割器並びに電力増幅器などのデバイスは異なるインピーダンスを有する。これらのデバイスは、しばしば伝導構造によって接続される。伝導構造は、マイクロストリップ、ストリップ線路、コプレーナ導波路、接地コプレーナ導波路及び同軸導波管から構成されることができる。我々は、便宜及び簡潔さのために、これらの潜在的な伝導構造の全てをマイクロストリップ線路と称することにする。マイクロストリップ線路上の異なるデバイス間でRF信号が伝送されるとき、インピーダンス差が損失又は反射信号を生じさせることがある。インピーダンス整合構造を作成することで、損失を低減させ、信号品質を改善し(データ速度及び伝送距離を増加させ)、損失を低減させ、且つ電池寿命を改善する。
【0014】
感光性ガラス構造が、他の素子、システム又はサブシステムと併せて集積電子素子などの幾つかの微細加工及び微細製作プロセスのために提案されてきた。半導体、絶縁又は導電性基板への薄膜アディティブ法を使用する半導体微細製作は、低歩留り及び性能の高変動性により高価である。付加マイクロ伝送の一例を論文Semiconductor Microfabrication Processes by Tian et al.に見ることができるが、高価な資本設備、一般に各々100万ドル以上を要するフォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング又はイオンビームミリングツールに依存し、且つさらに数100万~数10億を要するウルトラクリーンな高生産シリコン製作施設を必要とする。本発明は、費用効果的なガラスセラミック電子個別デバイスを、又は大広帯域低損失伝送構造にわたる均一応答を伴うデバイスのアレイとして提供する。
【0015】
マイクロストリップ伝送線路は、以下の図に図示されるように厚さ「H」の誘電体層(別称「基板」)によって分離される、幅「W」及び厚さ「t」の伝導ストリップ並びにより幅広い接地面からなる。マイクロストリップは、特にマイクロ波集積回路及びMMICのために断然普及しているマイクロ波伝送線路である。ストリップ線路に勝るマイクロストリップの大きな利点は、全ての能動部品が基板の上に搭載されることができるということである。不利点は、フィルタ又はスイッチにおいてなど、高分離が必要とされるときに、何らかの外部遮蔽を考えなければならない場合があるということである。機会があれば、マイクロストリップ回路が放射して、意図されていない回路応答をもたらし得る。マイクロストリップに関する小さな問題点は、それが分散的であるということであり、異なる周波数の信号が僅かに異なる速度で進行することを意味する。マイクロストリップは、その充填率のため、TEMモードを支持しない。結合線路の場合、偶及び奇モードは同じ位相速度を有しないことになる。この性質は、例えば、マイクロストリップ帯域通過フィルタの非対称周波数をもたらすものである。
【0016】
マイクロストリップ。
図1A及び1Bは、埋込マイクロストリップ及び被覆マイクロストリップを含む2つの異形のマイクロストリップを図示し、その両方ともマイクロストリップ導体の上方に何らかの誘電体が付加される。
【0017】
実効誘電率。マイクロストリップ導体からの磁界の一部が空気中に存在するので、実効誘電率「Keff」は基板の誘電率(比誘電率としても知られている)より幾分小さい。マイクロストリップの実効誘電率εeffは以下によって計算される:
【0018】
【0019】
実効誘電率は、基板材料の誘電率と同様に、基板の高さに対するマイクロストリップ線路の幅の比率(W/H)の関数であると見られる。
【0020】
特性インピーダンス。マイクロストリップの特性インピーダンスZ0も伝送線路の高さと幅の比率W/H(及び幅と高さの比率H/W)の関数であり、同じくW/Hの値に応じて別々の解を有する。マイクロストリップの特性インピーダンスZ0は以下によって計算される:
【0021】
【0022】
インピーダンス整合RF回路には以下を最適化することを必要とする:
a.マイクロストリップ線路の下方の基板の厚さH;
b.マイクロストリップ線路の下方の基板の誘電率;及び
c.マイクロストリップ線路の幅。
【0023】
本発明は、光画定可能なガラスセラミック基板にRFインピーダンス整合デバイス構造RFデバイスを伴う基板を製作する方法を含む。一般に、インピーダンス整合デバイスは、光画定可能なガラスセラミックを通して三角形のバイアをエッチングし、次いで光画定可能なガラスセラミック基板と異なる、異なる誘電率を持つ非伝導媒体で充填することによって形成される。RFデバイスを接続する金属線路は、充填された三角形状の領域の長さを狭い端から広い端へ横切る。
【0024】
これらの必要性に対処するために、本発明者らは、半導体、RFエレクトロニクス、マイクロ波エレクトロニクス及び光学イメージングのための新規なパッケージング及び基板材料としてガラスセラミック(APEX(登録商標)ガラスセラミック)を開発した。APEX(登録商標)ガラスセラミックは単純な3ステッププロセスで第一世代半導体機器を使用して加工され、そして最終材料は、ガラスかセラミックに仕上げられる又はガラスとセラミックの両方の領域を含むことができる。フォトエッチング可能なガラスは、多種多様なマイクロシステム部品の製作に対する幾つかの利点を有する。
【0025】
これらのガラスにより、従来の半導体処理機器を使用して微細構造が比較的安価に生産されてきた。一般に、ガラスは、高温度安定性、良好な機械的及び電気的性質を有し、且つプラスチック及び多くの金属より良好な耐薬品性を有する。フォトエッチング可能なガラスが、微量の銀イオンを含有するリチウム-アルミニウム-シリケートガラスから構成される。酸化セリウムの吸収帯内のUV光に露光されると、酸化セリウムは増感剤として作用して、光子を吸収し且つ電子を失って、例えば、隣接する酸化銀を還元して銀原子を形成させる。例えば、
Ce3++Ag+=Ce4++Ag0
【0026】
銀原子は、焼成プロセス中に銀ナノクラスタに凝集して、周囲のガラスの結晶化のための核形成部位を誘発する。マスクを通してUV光に露光された場合、ガラスの露光領域だけが続く熱処理中に結晶化することになる。
【0027】
この熱処理は、ガラス転移温度に近い温度(例えば空気中で465°Cより高い)で実施されなければならない。結晶相は、未露光のガラス質の非晶領域より、フッ化水素酸(HF,hydrofluoric acid)などのエッチング液に溶解する。結晶領域は、10%HF中で非晶領域より20倍を超えて速くエッチングして、露光領域が除去されるときに約20:1の壁傾斜比の微細構造を可能にした。関連部分が参照により本明細書に組み込まれる、T.R. Dietrich, et al., "Fabrication Technologies for Microsystems utilizing Photoetchable Glass", Microelectronic Engineering 30,497 (1996)を参照されたい。
【0028】
一般に、フォトエッチング可能なガラスは、75~85重量%の酸化ケイ素(SiO2)、7~11重量%の酸化リチウム(Li2O)、3~6重量%の酸化アルミニウム(Al2O3)、1~2重量%の酸化ナトリウム(Na2O)、0.2~0.5重量%の三酸化アンチモン(Sb2O3)又は酸化ヒ素(As2O3)、0.05~0.15重量%の酸化銀(Ag2O)及び0.01~0.04重量%の酸化セリウム(CeO2)から構成される。本明細書で使用する場合、用語「APEX(登録商標)ガラスセラミック」、「APEXガラス」又は単に「APEX」は、本発明のガラスセラミック組成物の一実施形態を表すために使用される。
【0029】
APEX組成物は、その拡張性能として3つの主要なメカニズムを提供する:(1)より多量の銀が、粒界でより速くエッチングされる、より小さなセラミック結晶の形成に至る、(2)シリカ含有量(HF酸によってエッチングされる主体)の減少が未露光材料の不所望のエッチングを減少させる、並びに(3)アルカリ金属及び酸化ホウ素のより高い総重量パーセントが製造時に一層均質なガラスを生産する。
【0030】
本発明は、電磁伝送及びフィルタ用途に使用される傾斜構造、ミラー及びガラスセラミック材料を形成する際に使用するためのAPEXガラス構造に低損失RFインピーダンス整合構造を製作するための方法を含む。本発明は、ガラスセラミック基板の複数平面に作成される傾斜構造を含んでおり、そのようなプロセスは、(a)基板の向きかエネルギー源の向きかを変えることによって露光が様々な角度で発生するような励起エネルギーへの露光、(b)焼成ステップ及び(c)エッチングステップを利用する。角度の大きさは鋭角でも鈍角でもあることができる。湾曲デジタル構造は、大抵のガラス、セラミック又はシリコン基板に作成するのが、実行不可能でなくとも、困難である。本発明は、ガラスセラミック基板に対して垂直面にも水平面にもそのような構造を作成する能力を創出した。
【0031】
ガラスのセラミック化は、APEXガラス基板の領域を310nm光のおおよそ20J/cm2に露光することによって達成される。一実施形態において、本発明は、異径を持つ各種の同心円を含む石英/クロムマスクを提供する。
【0032】
本発明は、感光性ガラスに製作される又は取り付けられる異なる電子デバイスを接続するために使用されるRFインピーダンス整合マイクロストリップ線路を製作するための方法を含む。RFインピーダンス整合マイクロストリップ線路は、フィルタ、インダクタ、コンデンサ、抵抗器、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ及びダイプレクサ、バラン、電力合成器/分割器並びに電力増幅器を含むがこれに限定されないデバイスを接続することができる。感光性ガラス基板は、60~76重量%のシリカ;少なくとも3重量%のK2Oで、K2O及びNa2Oの組合せが6重量%~16重量%;0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCu2O;0.75重量%~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3で、B2O3及びAl2O3の組合せが13重量%を超えない;8~15重量%のLi2O;並びに0.001~0.1重量%のCeO2を含むがこれに限定されない多数の組成変動を有することができる。この及び他の種々の組成物は一般にAPEXガラスと称される。
【0033】
露光部分は、ガラス基板をガラス転移温度に近い温度に加熱することによって結晶材料に変換されてもよい。フッ化水素(HF)酸などのエッチング液中でガラス基板をエッチングするとき、ガラスが広域スペクトル中間紫外線(約308~312nm)投光ランプに露光されて、少なくとも30:1のアスペクト比を有する成形ガラス構造を提供する、及びレンズ形状のガラス構造を提供すると、露光部分と未露光部分の異方性エッチング比は少なくとも30:1である。露光のためのマスクは、露光に連続グレースケールを提供してマイクロレンズ用の湾曲構造を形成するハーフトーンマスクであることができる。フラッド露光と使用されるデジタルマスクは、回折光学素子又はフレネルレンズを生産するために使用されることができる。露光されたガラスは次いで、典型的には2ステッププロセス、すなわち銀イオンの銀ナノ粒子への凝集のため、10分~2時間の間にわたって420°C~520°C間に加熱される温度範囲、及び銀ナノ粒子の周辺に酸化リチウムが形成することを許容する、10分と2時間との間にわたって520°C~620°C間に加熱される温度範囲で焼成される。ガラス板は次いでエッチングされる。ガラス基板は、典型的には5容量%~10容量%の、HF液の、エッチング液中でエッチングされており、未露光部分に対する露光部分のエッチング比は少なくとも30:1である。インピーダンス整合ストリップ線路構造を作成することは、この一般の処理手法を必要とする。
【0034】
図2Aは、ラップ及びポリッシュ加工された光画定可能なガラス基板10、例えば300μm厚のラップ及びポリッシュ加工された光画定可能なガラスが使用される、本方法の最初の側面図を示す。
【0035】
図2Bは、光画定可能なガラス基板10の裏に厚さ200Åと10,000Åとの間のチタンの均一被覆12をDCスパッタする側面図を示す。
【0036】
図2Cは、基板の裏に銅接地面を電気メッキする側面図を示す。銅接地面14は、光画定可能なガラス基板10の裏に厚さ0.5μmと10μmとの間であるべきである。
【0037】
図2Dは、光画定可能なガラス基板10を露光する三角形又は台形の透明領域を伴うクロムマスク16を使用して形成されるデバイスの上面図を示す。基板は直径が6”である。露光は310nm光のおおよそ20J/cm
2による。長さLが100μm~200μmであり、幅W2が10μmであり、幅W1が50μmである。次に、露光された光画定可能なガラスを60分間450°Cに加熱する。
【0038】
図2E-1は、露光された光画定可能なガラス基板10を10%HF溶液で銅/金属接地面18までエッチングする上面図を示し、
図2E-2は、
図2E-1に図示される同じデバイスの側面図を示す。
【0039】
図2G-1は、エッチングされた領域を、APEXガラスとは異なる誘電率である低損失正接材料で充填する上面図を示し、
図2G-2は、
図2G-1に図示される同じデバイスの側面図を示す。低誘電率要件のため、パターン化された構造は、Allied Signal社製のスピンオンガラス(メチルシロキサンスピンオンガラス)で充填されることができる。高誘電体要件のため、パターン化された構造は、例えば、Advance Materials社製のBaTiO
3ペーストで充填されることができる。次に、フィーチャは、光画定可能なガラス基板10上で1時間の間600°Cに熱処理される。
【0040】
図2Hは、フォトレジスト20を塗布し、パターン現像を露光し、露光されたパターンを除去してマイクロ波ストリップ線路を得た後のデバイスの上面図を示す。
【0041】
図2Iは、基板/フォトレジスト10の表に厚さ200Åと10,000Åとの間のチタンの被覆22をDCスパッタした後の上面図を示す。
【0042】
図2Jは、溶剤を使用してフォトレジストを除去して光画定可能なガラス基板にチタンパターン24を露出させた後の上面図である。
【0043】
図2Kは、パターン化されたチタンに銅を電気メッキした後の上面図である。銅は、基板の裏に厚さ0.5μmと10μmとの間であるべきである。用途によりエアギャップを必要とする場合、ウエハは0.5%HFエッチングに暴露されて、スピンオンガラスを除去する。
【0044】
図2Lは、インピーダンス整合マイクロストリップ線路がここでデバイス1及びデバイス2として描かれる各種のデバイスをコンタクト26で接続するために使用された後の上面図である。
【0045】
図3A上は、接地30、導体32、光画定可能なガラス基板34及び接地36を含む本発明の伝送線路の横断面図を示す。
図3B(下)は、エアギャップを含む本発明の伝送線路の別の例を図示し、図は、接地30、導体32、光画定可能なガラス基板34、接地36及びエアギャップ(誘電体)38を図示する。
【0046】
図3Bは、標準ガラスと比較したときの、本発明の低損失マイクロ伝送線路の損失の比較を図示するグラフである。
【0047】
したがって、本発明は、誘電材料として空気を使用してマイクロストリップ線路を構築及びシミュレートしたが、誘電体台形の幅W1は100umであり、W2に至るまで50umに減少される。再度、APEXガラスに対する損失正接は、60GHzで.02であると定められる。全ての金属は500ÅのTi接着層を伴う10μm厚のCuであるが、しかしながら、当業者は、デバイスの要件(全電力、電流、抵抗等)が、上記明細書及び式に鑑みて当業者に知られることになるように、デバイスの具体的な要件に対応する、使用される材料、デバイスの厚さ及び長さ、並びに信号対雑音比の許容差等を指示することになることを認識するであろう。この例で使用される光画定可能なガラス基板は6”の直径及び300μmの厚さを有するが、しかしながら、当業者に知られることになるように、それらは両方とも容易に変更され得る。この1cm長の線路に対する挿入損失は60GHzで0.495dBである。このレベルの挿入損失は、特にPCBベースのRF製品と比較してRFデバイスにおいて前例がない。
【0048】
本発明者らは、半導体、RFエレクトロニクス、マイクロ波エレクトロニクス、電子部品及び/又は光学素子のための新規な基板材料として、光画定可能なガラスセラミック(APEX(登録商標))ガラスセラミック又は他の光画定可能なガラスを使用した。一般に、光画定可能なガラスは単純な3ステッププロセスで第一世代半導体機器を使用して加工され、そして最終材料は、ガラスかセラミックに仕上げられる又はガラスとセラミックの両方の領域を含むことができる。低損失マイクロ伝送伝送線路が、例えば、MHz~THzデバイスの周波数で、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ及びダイプレクサ、バラン、電力合成器/分割器並びに電力増幅器を可能にするベースライン構造であり、それによって効率及び性能を劇的に改善する。低損失マイクロ伝送伝送線路は、例えば、MHz~THzデバイスの周波数で、時間遅延ネットワーク、方向性結合器、バイアスティー、固定結合器、位相アレイアンテナ、フィルタ及びダイプレクサ、バラン、電力合成器/分割器並びに電力増幅器を可能にするベースライン構造である一方で、サイズを減少させる。代替的に、低損失マイクロ伝送伝送線路は、MHz~THzデバイスの周波数で、それによって効率及び性能を劇的に改善し且つサイズを減少させることができる。
【0049】
本明細書で説明するいかなる実施形態も本発明のいかなる方法、キット、試薬又は組成物に関しても実装されることができ、逆も同じであることが企図される。さらには、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用されることができる。
【0050】
本明細書に記載する特定の実施形態が本発明の限定としてではなく例示として示されることが理解されるであろう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態に利用されることができる。当業者は、ルーチン的な実験さえ使用すれば、本明細書に記載する具体的な手順の多くの等価物を認識する又は確認することができるであろう。そのような等価物は本発明の範囲内であると考えられ且つ請求項によって包含される。
【0051】
本明細書に挙げた全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関連する当業者の技術水準を示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、各30個別の刊行物又は特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれると示される場合と同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
単語「a」又は「an」の使用は、請求項及び/又は本明細書において用語「~を備える(comprising)」と併用されると、「1つ」を意味し得るが、それは「1又は2以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」及び「1又は2以上(one or more than one)」の意味とも一貫している。請求項における用語「又は(or)」の使用は、代替だけを指すと明示されない限り又は代替が相互排除でない限り、「及び/又は(and/or)」を意味するために使用されるが、本開示は、代替だけ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。本出願を通して、用語「約」は、値がデバイスに対する誤差の固有の変動を含むことを示すために使用され、本方法は、値又は研究主題の中に存在する変動を測定するために利用されている。
【0053】
本明細書及び請求項で使用する場合、単語「~を備える(comprising)」(並びに「comprise」及び「comprises」など、「comprising」の任意の形態)、「~を有する(having)」(並びに「have」及び「has」など、「having」の任意の形態)、「~を含む(including)」(並びに「includes」及び「include」など、「including」の任意の形態)又は「~を含む(containing)」(並びに「contains」及び「contain」など、「containing」の任意の形態)は包括的又はオープンエンドであり、追加の、列記されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書で提供される組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「~を備える(comprising)」は「~から基本的になる(consisting essentially of)」又は「~からなる(consisting of)」と置き換えられてもよい。本明細書で使用する場合、句「~から基本的になる(consisting essentially of)」は、指定の完全体又はステップの他に特許請求された発明の性状又は機能に著しく影響を及ぼさないものを必要とする。本明細書で使用する場合、用語「なる(consisting)」は、列記した完全体(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップ又は限定)又は完全体の群(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップ又は限定)だけの存在を示すために使用される。
【0054】
用語「又はその組合せ」は、本明細書で使用する場合、同用語に先行する列記された項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C又はその組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの、及び特定の局面において順序が重要であれば、さらにBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABの少なくとも1つを含むと意図される。この例を続けると、明らかに含まれるのは、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等といった、1又は2以上の項目又は用語の繰返しを含む組合せである。当業者は、特に状況から明白でない限り、いかなる組合せでも項目又は用語の数に制限はないことを理解するであろう。
【0055】
本明細書で使用する場合、限定することなく、「約」、「相当な」又は「実質的に」などの近似の語は、それで修飾されると、必ずしも絶対又は完全であるわけでないと理解されるが、状態が存在すると指摘することを保証するのに、当業者にとって十分に近いと考えられ得る状態を指す。記載が変動し得る範囲は、変化がどれくらい大きく引き起こされ得るか、且つ修飾されていない特徴の必要とされる特性及び能力を修飾された特徴がまだ有していると当業者に認識させるかに依存することになる。一般には、上記の説明を前提として、「約」などの近似の語によって修正される本明細書における数値は、言及した値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%変動し得る。
【0056】
本明細書に開示及び特許請求される組成物及び/又は方法の全てが、本開示に鑑みて不当な実験なしで作製及び実行されることができる。本発明の組成物及び方法を好適な実施形態に関して記載したが、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法に並びに本明細書に記載される方法のステップに又は一連のステップに変形が適用されてもよいことが当業者にとって明らかであろう。当業者にとって明らかな全てのそのような類似の代替及び変更は、添付の請求項によって定められる本発明の趣旨、範囲及び概念内であるとみなされる。
【0057】
特許局、及び本出願で発行される任意の特許の任意の読者が本明細書に添付される請求項を解釈するのを援助するため、出願人らは、米国特許法第112条第6段落、米国特許法第112条(f)又は等価物が本明細書の出願日に存在する以上、単語「~ための手段(means for)」又は「~ためのステップ(step for)」が特定の請求項に明示的に使用されない限り、添付の請求項のいずれもそれを行使するとは意図しないことを注記することを望む。
【0058】
請求項の各々に関して、各従属請求項は、先行請求項が請求項用語又は要素に適当な先行詞を提供する限り独立請求項からも、各請求項に対する先行従属請求項の各々からも従属することができる。