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特許7226845少なくとも1つの三次元物体を付加製造する方法、制御ユニット、及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】少なくとも1つの三次元物体を付加製造する方法、制御ユニット、及び装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/38 20210101AFI20230214BHJP
   B22F 10/16 20210101ALI20230214BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230214BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20230214BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230214BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20230214BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230214BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230214BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230214BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230214BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F10/16
B22F10/28
B28B1/30
B29C64/153
B29C64/268
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021121534
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2019107215の分割
【原出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2021181623
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】18176628.8
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16/278,046
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504473474
【氏名又は名称】コンセプト・レーザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヴィニャルスキ
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-122501(JP,A)
【文献】特開2018-047556(JP,A)
【文献】特開平08-118479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/38
B22F 10/16
B22F 10/28
B28B 1/30
B29C 64/153
B29C 64/268
B29C 64/393
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエネルギービーム(5)による連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層(3)の固化によって少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造する方法であって、
選択的に照射することにより固化される第1の造形材料層(3)の照射領域(A)を照射して固化させることであって、前記第1の造形材料層(3)の直上に配置される第2の造形材料層(3)の、選択的に照射されて固化される少なくとも1つの照射領域(A)の下に少なくとも部分的に配置される前記照射領域(A)の少なくとも1つの小領域(SA)が、照射されて固化されることから除外されること、及び
前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)が固化されるように、前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)の上の領域にある前記第2の造形材料層(3)の照射領域(A)を照射すること、
を含み、
前記第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)を照射することによって複数の垂直延在構造要素(13)が生成され、
前記垂直延在構造要素(13)が、選択的に照射されることによって固化される、前記第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の一部、及び前記第1の造形材料層(3)の前記少なくとも1つの小領域(SA)を少なくとも含み、
付加製造される前記三次元物体(2)全体にわたって均一に分布する複数の垂直延在構造要素(13)が生成され、
第1の垂直延在構造要素は、第1の空間方向に向けられ、
第2の垂直延在構造要素は、第2の空間方向に向けられ、
前記第2の空間方向は、前記第1の空間方向と異なる、
方法。
【請求項2】
前記第1の造形材料層(3)のそれぞれの小領域(SA)の上に配置される前記第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)前記照射領域(A)の少なくとも1つの領域が、前記第2の造形材料層(3)の残りの部分を照射するために適用される基準照射パラメータセットと比較して異なる照射パラメータセットを用いて照射される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)を照射することによって、選択的に照射されることによって固化される、前記少なくとも1つの第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の一部、並びに前記第1の造形材料層(3)の前記少なくとも1つの小領域(SA)を少なくとも含む垂直方向に延在する固化領域が造形される、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
垂直延在構造要素(13)が、付加製造される前記三次元物体(2)を通る二次元又は三次元形状及び/又は二次元又は三次元拡張部を用いて生成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
垂直延在構造要素(13)を生成するために、前記それぞれの造形材料層(3)の前記それぞれの照射領域(A)の残りの部分を照射するために適用される基準照射パラメータセットと比較して異なる照射パラメータセットと比較して前記造形材料層(3)へのより高いエネルギー入力をもたらす異なる照射パラメータセット、が使用される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
垂直方向及び/又は水平方向にずれている垂直延在構造要素(13)が生成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのエネルギービーム(5)による連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層(3)の固化によって少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造するための装置(1)の制御ユニット(6)であって、
前記制御ユニット(6)が、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法によって、
選択的に照射されることによって固化される第1の造形材料層(3)の照射領域(A)を照射して固化させることを制御し、これによって前記第1の造形材料層(3)の直上に配置される第2の造形材料層(3)の、選択的に照射されることによって固化される少なくとも1つの照射領域(A)の下に少なくとも部分的に配置される前記照射領域(A)の少なくとも1つの小領域(SA)が、照射されて固化されることから除外され、
前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)が固化されるように、前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)の上の領域にある前記第2の造形材料層(3)の照射領域(A)への照射を制御する、
ように構成される、制御ユニット。
【請求項8】
少なくとも1つのエネルギービーム(5)による連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層(3)の固化によって少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造するための装置(1)であって、
請求項7に記載の(6)制御ユニットを備える、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのエネルギービームによる連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層の固化によって少なくとも1つの三次元物体を付加製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば選択的電子ビーム溶融法又は選択的レーザー溶融法として実装することができる少なくとも1つの三次元物体を付加製造するためのそれぞれの方法は、付加製造の技術分野から一般に知られている。
【0003】
それによって、既知の付加製造法、例えば、選択的レーザー溶融法による付加製造物は、異方性構造特性、すなわち特に異方性機械特性を有することができ、これは典型的にはそれぞれの付加製造法の性質、すなわち連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層の固化によって説明される。
【0004】
付加製造された三次元物体のそれぞれの異方性構造的及び機械的特性は、異なる空間方向において変化する機械的特性をもたらし得る。一例として、付加製造された構成要素は、異なる空間方向において異なる引張強度、圧縮強度及び/又は剪断強度を有し得る。
【0005】
等方性構造特性、すなわち特に等方性の機械的特性を有する三次元物体を付加製造することが一般に望ましいので、製造可能な三次元物体が改良された、すなわち特に等方性の構造特性を有するように、付加製造プロセスをさらに開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改善された、すなわち特に等方性の構造特性を有する三次元物体を付加製造することを可能にする少なくとも一つの三次元物体を付加製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の少なくとも1つの三次元物体を付加製造する方法によって達成される。請求項1に従属する請求項は、請求項1による方法の可能な実施形態に関する。
【0008】
本明細書に記載の方法は、少なくとも1つのエネルギービームによる連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層の固化によって少なくとも1つの三次元物体、例えば、工業部品を付加製造する方法に関する。造形材料は、セラミック、ポリマー、又は金属であり得る。造形材料は典型的には粉末として提供される。エネルギービームは、例えば、電子ビーム又はレーザービームであり得る。選択的に照射されかつ固化される造形材料層は、本方法を実施するために使用される、少なくとも1つの三次元物体を付加製造するための装置の造形面において連続的に塗布される。したがって、この方法は、少なくとも1つの三次元物体を付加製造するための装置によって実行可能であるか又は実行される。
【0009】
この方法は、例えば選択的レーザー焼結法、選択的レーザー溶融法、又は選択的電子ビーム溶融法として実装することができる。しかし、この方法は、バインダー噴射法、特に例えば金属バインダー噴射法であることも考えられる。したがって、本方法を実行するための装置は、例えば、選択的レーザー焼結装置、選択的レーザー溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置として具体化することができる。しかし、装置をバインダー噴射装置、特に例えば金属バインダー噴射装置として具体化されることも考えられる。
【0010】
この方法は一般に
-少なくとも1つのエネルギービームによって選択的に照射され、それによって固化される第1の造形材料層の照射領域(以下、「照射領域」)を照射し、それによって固化させる工程であって、これによって第1の造形材料層の直上に配置された第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の下に少なくとも部分的に配置された照射領域の少なくとも1つの小領域は、照射されて固化されることから除外される工程、及び
-第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域の上の領域にある第2の造形材料層の照射領域を、第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域が固化されるように照射する工程を含む。
【0011】
本方法の第1の工程によれば少なくとも1つのエネルギービームによって選択的に照射され、それによって固化される、第1の造形材料層の照射領域(以下「照射領域」)が照射及び固化される。それによって、第1の造形材料層の直上に配置された第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の下に少なくとも部分的に配置された照射領域の少なくとも1つの小領域は照射されて固化されることから除外される。
【0012】
本方法の例示的実施形態によれば、垂直に直接隣接して配置され、かつ第1の造形材料層の少なくとも1つの照射領域を含む少なくとも2つの造形材料層、すなわちそれぞれ第2の造形材料層の直下に垂直方向に配置された第1の造形材料層、及び第1の造形材料層の直上に垂直方向に配置された第2の造形材料層について、第1の造形材料層の少なくとも1つの照射領域が少なくとも部分的に第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の下に配置される少なくとも1つの小領域を含むかどうかが決定される。したがって、本方法は、第1の造形材料層の少なくとも1つの照射領域が、第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の直下に配置された少なくとも1つの小領域を含むかどうかを決定する決定工程を含み得る。
【0013】
この任意選択の決定工程は、三次元物体を付加製造するために選択的に照射され、それによって固化される必要があるそれぞれの造形材料層のそれぞれの照射領域を含むデータに基づいてもよい。例えば、それぞれのデータは、付加製造される三次元物体の造形データ及び/又はスライスデータであり得るか、又はそれらを含み得る。決定手段を具体化するハードウェア及び/又はソフトウェアは、選択的に照射され固化される第1の造形材料層の少なくとも1つの照射領域が、選択的に照射され、それによって固化される第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の下に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの小領域を含むかどうかを決定するように構成され、第2の造形材料層を第1の造形材料層の直上に配置して、本方法の決定工程を実行するのに使用することができる。
【0014】
任意選択の決定工程は、第1の造形材料層の照射領域を選択的に照射し、それによって固化させる前に行われてもよい。
【0015】
本方法の第2又はさらなる工程によれば、第1の造形材料層の照射領域の照射が行われ、それによってその小領域が第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の直下に配置される第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域は、照射されて固化されることから除外される。したがって、第1の造形材料層の照射領域の小領域は、その小領域は全く照射されないように照射から完全に除外されるか、又は、第1の造形材料層の照射領域の小領域は照射から完全には除外されず、小領域は照射されるが(少なくとも照射され、それによって固化される第1の造形材料層の照射領域の残りの部分に関しては)まだ固化はされないかのどちらかであり、例えば、それは小領域を照射することは予備焼戻し、すなわち特に(完全)溶融を生じない予備焼戻しをもたらすだけだからである。言い換えれば、第1の造形材料層の照射領域の照射は、第1の造形材料層の照射領域全体が固化されないように、しかし第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の直下に配置された小領域が固化されないように実行される。したがって、この工程では、小領域へのエネルギー入力量は、小領域の(所望の)固化が行われるのに十分なほど高くはない。したがって、第1の造形材料層の照射領域を照射した後、第1の造形材料層の照射領域は固化部分を含み、固化部分は、第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の直下に配置されている小領域を除外する照射領域の部分を含み、非固化部分は、第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の直下に配置された小領域を含む。少なくとも1つのエネルギービーム、特に電子ビーム又はレーザービームを用いて造形材料層のそれぞれの照射領域を選択的に照射するように構成されている照射装置を使用して、方法の第2の工程を実行する。
【0016】
本方法の第2の工程は、特に、第1の造形材料層の照射領域が、第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域の直下に配置された少なくとも1つの小領域を含むと決定される場合に実施することができ、第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域が、第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域の直上に配置されていると決定される場合も同様である。
【0017】
本方法の第3又はさらなる工程によれば、第2の造形材料層の照射領域は、少なくとも第1の造形材料層の照射領域の小領域の上に配置された部分において照射され、それによって第1の造形材料層の照射領域の小領域は照射され、それによって固化される。言い換えると、第2の造形材料層の照射領域は、少なくとも第1の造形材料層の照射領域の小領域の上の部分において照射され、それによって第1の造形材料層の照射領域の小領域は照射され、それによって固化される。したがって、この工程では、第1の造形材料層の照射領域の小領域に入力されるエネルギー量は、小領域の(所望の)固化が行われるのに十分なほど高い。したがって、第1の造形材料層の照射領域の小領域は、第1の造形材料層を選択的に照射するときではなく、第2の造形材料層を選択的に照射するときに照射されて固化される。もちろん、第2の造形材料層の照射領域の照射はまた、第1の造形材料層の照射領域の小領域の上に配置されていない第2の造形材料層の照射領域の部分を照射及び固化させることを含み得る。したがって、第2の造形材料層を選択的に照射した後、第2の造形材料層の照射領域を完全に固化させることができる。
【0018】
本方法の例示的実施形態によれば、これは、照射領域が複数のそれぞれの小領域を含む場合に特に当てはまり、それぞれの第2の造形材料層の照射領域の下に配置された少なくとも1つの特定の小領域、すなわち上部造形材料層は、それぞれの第1の造形材料層、すなわち下部造形材料層のそれぞれの照射領域のそれぞれの小領域から選択され、小領域は、それぞれの第2の造形材料層、すなわち上部造形材料層の照射領域の下に少なくとも部分的に配置され、特に、それぞれの第1の造形材料層、すなわち下部造形材料層の照射領域が少なくとも1つの小領域、特に複数の小領域を含むと決定される場合、これらは第2の造形材料層、すなわち上部造形材料層の照射領域を少なくとも部分的に覆って配置される。この場合、それぞれの第1の造形材料層、すなわち下部造形材料層の照射領域が照射され、それによって固化され、それによって少なくとも1つの選択された小領域は照射されて固化されることから除外される。適切な、特に事前定義済み又は事前定義可能、特にユーザ定義可能な選択規則、例えば選択アルゴリズムに実装された規則が、それぞれの特定の小領域を選択するために使用されてもよい。選択規則は、本明細書に記載された方法によって付加製造される三次元の事前定義済み又は事前定義可能な、特にユーザ定義可能な構造的特性、特に機械的特性を指すことができる。
【0019】
第1の造形材料層のそれぞれの小領域の上、特に第1の造形材料層の1つ又は少なくとも1つの選択された小領域の上に配置された第2の造形材料層の照射領域の一部は、第2の造形材料層の照射領域の特別な領域と見なされるか示され得る。
【0020】
第1の造形材料層の小領域の上、特に第1の造形材料層の少なくとも1つの選択された小領域の上に配置された第2の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの特別な領域は、第2の造形材料層の照射領域の残りの部分を照射するために適用される基準照射パラメータセットと比較して異なる照射パラメータセットで照射されてもよい。異なる照射パラメータセットは、第2の造形材料層の照射領域のそれぞれの特別な領域へのより高いエネルギー入力をもたらし得る。第2の造形材料層の照射領域の特別な領域へのより高いエネルギー入力は、第2の造形材料層の照射領域の特定の領域が、第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの(選択された)小領域と固化することをもたらす。これにより、典型的には、第2の造形材料層の照射領域の特別な領域の一部、及び第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの(選択された)小領域を少なくとも含む垂直延在固化領域を生成することができ、及び/又は第2の造形材料層の照射領域の特別な領域及び第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの(選択された)小領域を少なくとも備える垂直延在構造要素を生成することができる。
【0021】
第2の造形材料層、特に第2の造形材料層の照射領域の特別な領域を照射するために使用される照射パラメータセットを調整又は変更することは、第2の造形材料層の照射領域を照射する間に(その場で)行われるか、又は、最初に第2の造形材料層の照射領域の特別な領域を除外して、第2の造形材料層の照射領域の残りの部分だけが設定された基準照射パラメータに基づいて照射され、次いで第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの(選択された)小領域の上の第2の造形材料層の照射領域の特別な領域が、異なる照射パラメータセットに基づいて別々に照射される。
【0022】
したがって、第1の造形材料層の照射領域の小領域の少なくとも上方の部分において、第1の造形材料層の照射領域の小領域が照射され、それによって固化されるように第2の造形材料層の照射領域を照射することによって、少なくとも2つの造形材料層を横切って垂直延在構造要素が造形又は生成され、それによって、付加製造される三次元物体の構造特性、特に機械的特性が協調的に調整される。特に、それぞれの構造要素は、付加製造される三次元物体の異方性構造特性を低下させるが、付加製造される三次元物体の等方性特性を増加させる。三次元物体全体に均一又は不均一に分布する複数のそれぞれの構造要素を造形又は生成することができる。同様に、少なくとも1つのエネルギービーム、特に電子ビーム又はレーザービームを用いて造形材料層のそれぞれの照射領域を選択的に照射するように構成されている照射装置を使用して、方法の第3の工程を実行する。
【0023】
当然のことながら、上述の原理はまた、互いの直上に配置されている3つ以上の造形材料層に拡張されてもよい。この方法は、
-第2の造形材料層の照射領域を照射し、それによって固化させる工程であって、これによって第2の造形材料層の直上に配置された第3又はさらなる造形材料層の少なくとも1つの照射領域の下に少なくとも部分的に配置された照射領域の少なくとも1つの小領域は照射されて固化されることから除外される工程、及び
-第2の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域の上の領域にある第3又はさらなる造形材料層の照射領域を、第2の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域が固化されるように照射する工程、を含む。上記の注釈はすべて同様に適用される。
【0024】
したがって、選択的に照射され、それによって固化される第2の造形材料層の少なくとも1つの照射領域が、第2の造形材料層の直上に配置された、第3又はさらなる造形材料層のうち、選択的に照射され、それによって固化される部分の少なくとも1つの照射領域の下に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの小領域を含むかどうかを所望により決定してもよい。第2の造形材料層が、第3又はさらなる造形材料層の照射領域の下に少なくとも部分的に配置される少なくとも1つの照射領域を含むと決定される場合、第2の造形材料層の照射領域が照射され、それにより少なくとも1つの小領域は照射されることから除外される。次に、第2の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域の上の部分において、第3又はさらなる造形材料層の照射領域が照射され、それにより第2の造形材料層の少なくとも1つの小領域が固化される。上記の注釈はすべて同様に適用される。
【0025】
上述のように、第1の造形材料層の照射領域の小領域の少なくとも上方の部分において、第1の造形材料層の照射領域の小領域が照射され、それによって固化されるようにそれぞれの第2の造形材料層の照射領域を照射することによって、3つ以上の造形材料層、すなわち特に2つ以上の造形材料層を横切って垂直方向に延びる、垂直延在構造要素が造形又は生成され、それによって、付加製造される三次元物体の構造特性、特に機械的特性が協調的に調整される。したがって、第2の造形材料層の照射領域を照射することによって、少なくとも2つの造形材料層を横切って垂直に延びる垂直延在固化領域、すなわち特に少なくとも2つの造形材料層を横切って垂直に延在する垂直延在溶融プールが生成され、これは、それぞれの第2の造形材料層の照射領域の一部、及びそれぞれの第1の造形材料層の少なくとも1つの小領域を少なくとも含む。言い換えれば、それぞれの第1の造形材料層のそれぞれの小領域の上にその部分が配置されたそれぞれの第2の造形材料層の照射領域のそれぞれの部分を照射すると、固化領域、すなわち特に溶融プールが形成され又は生成され、これは、第1及び第2の造形材料層の両方を取り囲むように垂直方向に延びる。したがって、それぞれの固化領域は、典型的には、1つより多い造形材料層の厚さにわたって、特に少なくとも1つと半分の造形材料層の厚さにわたって、好ましくは2つ以上の造形材料層の厚さにわたって延びる。
【0026】
固化された、すなわち典型的には造形材料特有の固化温度、すなわち典型的には造形材料の溶融温度以下に冷却された後、それぞれの固化領域は少なくとも1つの垂直延在構造要素を造形することができる。結果として、それぞれの垂直延在構造要素は、典型的には、1つより多い造形材料層の厚さにわたって、特に少なくとも1つと半分の造形材料層の厚さにわたって、好ましくは2つ以上の造形材料層の厚さにわたって延びる。言い換えれば、それぞれの垂直延在構造要素は、1つより多い造形材料層、特に少なくとも1と半分の造形材料層、好ましくは少なくとも2つ以上の造形材料層の層厚の合計の垂直方向延在部を含むことができる。
【0027】
それぞれの垂直方向に延在する構造要素は、付加製造される三次元物体を通る二次元又は三次元形状及び/又は二次元又は三次元拡張部を用いて造形又は生成されてもよい。直線状又は曲線状の形状及び/又は直線状又は曲線状の延長部が可能である。一般に、幾何学的に定義された又は定義されていない形状及び/又は拡張部が考えられる。
【0028】
それぞれの垂直延在構造要素は、特に棒状、竿状、柱状、板状、又は隆起状の形状を有することができる。したがって、第2の造形材料層の照射領域を照射することによって、それぞれの第2の造形材料層及び第1の造形材料層の小領域の照射領域の選択的に照射され、それによって固化される部分を少なくとも含む、特に棒状、竿状、柱状、板状又は隆起状の垂直延在構造要素が造形又は生成されてもよい。
【0029】
上記から明らかなように、それぞれの垂直延在構造要素は、典型的には少なくとも付加製造される三次元物体の造形方向に延びる。それでも、少なくとも1つのさらなる(空間)方向、例えば造形方向に対して横方向における(追加の)延長部が可能である。
【0030】
複数のそれぞれの垂直延在構造要素は、付加製造される三次元物体又は製造される三次元物体それぞれの断面にわたって均一又は不均一な二次元又は三次元分布で設けられてもよい。それぞれの垂直延在構造要素は、製造される三次元物体の少なくとも1つの共通の水平面及び/又は異なる水平面内に均一又は不均一分布で設けられてもよい。
【0031】
三次元物体は、垂直方向に積み重ねられた固化水平方向造形材料層から造形されるだけでなく、垂直方向に延びるそれぞれの垂直延在構造要素も含むので、三次元物体にそれぞれの垂直延在構造要素を導入することによって、付加製造される三次元物体は、改善された構造特性、特に等方性特性を有する。したがって、改善された、すなわち特に等方性の構造特性を有する三次元物体を付加製造することを可能にする少なくとも1つの三次元物体を付加製造する方法が与えられる。
【0032】
それぞれの垂直延在構造要素を生成するために、少なくとも1つの特別な照射パラメータセットを使用することが可能である。言い換えれば、それぞれの垂直延在構造要素を生成するために、残りの部分、すなわちそれぞれの第1の造形材料層に関して、それぞれの(選択された)小領域を含まない照射領域の部分、及びそれぞれの第2の造形材料層に関して、第1の造形材料層の照射領域のそれぞれの(選択された)小領域の上に配置されていない部分を照射するために使用される基準照射パラメータセットとは異なる照射パラメータセットを使用することができる。それぞれの垂直延在構造要素を生成するために使用される照射パラメータセットは、第1の造形材料層の照射領域の小領域への上述の大量のエネルギー入力を可能にし、したがって第1の造形材料層の照射領域の小領域の(所望の)固化が行われるのを可能にする照射パラメータを含む。したがって、それぞれの垂直延在構造要素を生成するために使用される照射パラメータセットは、典型的には、基準照射パラメータセットと比較して造形材料層へのより高い(垂直)エネルギー入力をもたらす。それぞれの垂直延在構造要素を生成するために使用される照射パラメータセットは、基準照射パラメータセットと比較して、例えば異なる、すなわち典型的にはより高いビームパワー、(より高い)ビーム強度、異なる(垂直)焦点位置、異なる焦点スポットサイズなどを含む。
【0033】
それぞれの垂直延在構造要素を生成するために使用される照射パラメータセットは、それぞれの垂直延在構造要素が残りの部分、すなわちそれぞれの第1の造形材料層に関して、それぞれの(選択された)小領域を含まない照射領域の部分と、それぞれの第2の造形材料層に関して、第1の造形材料層の照射領域のそれぞれの(選択された)小領域の上に配置されていない部分の他の固化領域と比べて異なる構造特性、特に機械的特性を有するように選択され得る。このようにして、本明細書に記載の方法によって付加製造される三次元物体は、複合材料様の構造特性を備えることができ、それによってそれぞれの垂直延在構造要素は、造形材料層のそれぞれの照射領域の残りの部分によって表される基部材料構造内に延びる強化構造を表す。
【0034】
上述のように、上述の原理は、互いの直上に配置されている3つ以上の造形材料層に拡張されてもよい。上記のそれぞれの注釈は、同様に適用される。この場合、第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域は、第2の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域に対して水平方向にずれていてもよい。したがって、それぞれの垂直延在固化領域及び垂直延在構造要素をそれぞれ千鳥配置することが可能である。第1の垂直延在構造要素は、第1の造形材料層と少なくとも1つの第2の造形材料層との間に垂直に延びることができ、第2の垂直延在構造要素は、第2の造形材料層と少なくとも1つの第3の造形材料層との間に垂直に延びることができ、さらなる垂直延在構造要素は、第3の造形材料層と少なくとも1つのさらなる造形材料層との間で垂直に延びることができ、以下同様である。
【0035】
それぞれの垂直延在構造要素は、階段状配置を生成するように隣接して配置されてもよく、ここで、それぞれの隣接して配置された垂直延在構造要素は、階段状配置の工程を表す。本明細書に記載の方法によって製造される三次元物体と同一又は異なる空間配向のそれぞれの階段状配置を協調的に導入することによって、三次元物体の等方性特性を協調的に制御するための手段が与えられる。
【0036】
上述のように、複数のそれぞれの垂直延在構造要素は、本明細書に記載された方法によって製造される三次元物体の断面にわたって均一又は不均一な分布で設けられてもよい。特に、それぞれの垂直延在構造要素は、互いに対して水平方向及び/又は垂直方向のずれを備えていてもよい。それぞれの水平方向及び/又は垂直方向のずれは、例えば、それぞれの垂直延在構造要素の水平方向及び/又は垂直方向に積み重ねられた配置を含み得る。
【0037】
同様に、製造される三次元物体又は製造される三次元物体の断面それぞれにわたって、複数のそれぞれの階段状配置を均一又は不均一な分布で設けることができる。それぞれの階段状配置は、同じ又は異なる空間方向に向けられてもよい。すなわち、第1の階段状配置は、第1の空間方向、例えば三次元物体のx方向に向けられてもよく、第2の階段状配置は、第2の空間方向、例えば三次元物体のy方向に向けられてもよい。同じ又は異なる垂直方向延在部及び/又は同じ又は異なる空間的な向きを有するそれぞれの階段状配置を、製造される三次元物体に協調的に配置及び配向することによって、三次元物体の等方性特性を協調的に制御するための手段が与えられる。
【0038】
それぞれの垂直延在構造要素及びそれぞれの階段状配置の配置及び配向はまた、製造される三次元物体内に破断点構造を生成するために使用されてもよい。それぞれの生成破断点構造は、それぞれの垂直延在構造要素がその間に延在しない、すなわち少なくとも1つの垂直延在構造要素によって垂直に接続されていない造形材料層の間に生成される。
【0039】
本発明は、少なくとも1つのエネルギービームによる連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層の固化によって少なくとも1つの三次元物体を付加製造するための装置のためのハードウェア及び/又はソフトウェア実施制御装置に関する。制御ユニットは、
-選択的に照射し、それによって固化させる第1の造形材料層の照射領域を照射し、それによって固化させるのを制御し、これによって第1の造形材料層の直上に配置される第2の造形材料層の、選択的に照射され、それによって固化させる少なくとも1つの照射領域の下に少なくとも部分的に配置される照射領域の少なくとも1つの小領域は照射されて固化されることから除外され、
-第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域が固化されるように、第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域の上の領域にある第2の造形材料層の照射領域への照射を制御するように構成される。
【0040】
制御ユニットは、特に、選択的に照射され、それによって固化される第1の造形材料層の少なくとも1つの照射領域が、第1の造形材料層の直上に配置された、第2の造形材料層のうち、選択的に照射され、それによって固化される部分の少なくとも1つの照射領域の下に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの小領域を含むかどうかが決定されるように構成され得る。制御ユニットは、第1の造形材料層の照射領域への照射を制御するようにさらに構成されてもよく、それによって、第1の造形材料層の照射領域が、第2の造形材料層の照射領域の下に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの小領域を含むと決定される場合、少なくとも1つの小領域は照射されて固化されることから除外される。制御ユニットは、第1の造形材料層の照射領域の少なくとも1つの小領域が固化されるように、第1の造形材料層の少なくとも1つの小領域の上の領域における第2の造形材料層の照射領域への照射を制御するようにさらに構成され得る。
【0041】
本発明はさらに、少なくとも1つのエネルギービームによる連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層の固化によって少なくとも1つの三次元物体を付加製造するための装置に関する。本装置は、本明細書で特定されるように少なくとも1つの制御ユニットを備えるか又はそれと接続される。
【0042】
装置は、例えば、選択的レーザー焼結装置、選択的レーザー溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置であり得る。しかし、装置がバインダー噴射装置、特に例えば金属バインダー噴射装置であることも考えられる。
【0043】
装置は、その動作中に操作可能であるか又は操作されるいくつかの機能及び/又は構造ユニットを含む。各機能ユニット及び/又は構造ユニットは、いくつかの機能副ユニット及び/又は構造副ユニットを含むことができる。例示的な機能ユニット及び/又は構造ユニットは、造形面に造形材料層を形成するように、装置の造形面に選択的に照射されかつ固化されるべき量の造形材料を塗布するように構成された造形材料塗布ユニット、少なくとも1つのエネルギービームを用いて造形材料層を選択的に照射し、それによって固化させるように構成された照射ユニット、及びそれぞれの制御ユニットである。
【0044】
方法に関するすべての注釈は、制御ユニット及び/又は装置にも適用される。
【0045】
本発明の例示的な実施形態は、図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】例示的な実施形態による三次元物体の付加製造のための装置の原理図を示す。
図2】例示的な実施形態による方法の特定の段階の原理図を示す。
図3】例示的な実施形態による方法の特定の段階の原理図を示す。
図4】例示的な実施形態による方法の特定の段階の原理図を示す。
図5】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
図6】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
図7】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
図8】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
図9】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
図10】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
図11】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
図12】例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体の断面の原理図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、例示的な実施形態による、粉末状の造形材料4、例えば、少なくとも1つのエネルギービーム5によって固化可能な金属粉末の造形材料層3を連続的に層毎に選択的に照射しそして同時に固化させることによって三次元物体2、例えば、工業部品を付加製造するための装置1の例示的な実施形態の原理図を示す。エネルギービーム5は、例えば電子ビーム又はレーザービームであり得る。したがって、装置1は、例えば、選択的電子ビーム溶融装置、又は選択的レーザー溶融装置として具体化することができる。
【0048】
装置1は、その動作中に操作可能であり操作されるいくつかの機能及び/又は構造ユニットを含む。各機能ユニット及び/又は構造ユニットは、いくつかの機能副ユニット及び/又は構造副ユニットを含むことができる。機能及び/又は構造ユニット及び装置1の動作はそれぞれ、ハードウェア及び/又はソフトウェアで具体化された(中央)制御ユニット6によって制御される。
【0049】
装置1の例示的な機能及び/又は構造ユニットは、造形材料塗布ユニット7、照射ユニット8、及び運搬ユニット9である。
【0050】
造形材料塗布ユニット7は、三次元物体2を付加製造する間に選択的に照射されかつ固化されるそれぞれの造形材料層3を生成するように、装置1の造形面に所定量の造形材料4を塗布するように構成される。造形材料塗布ユニット7は、例えばブレード状の再コーティング要素として具体化され得る造形材料塗布要素10を含み得る。造形材料塗布要素10は装置1のプロセスチャンバ11内に移動可能に支持されている。造形材料塗布要素10は、造形面に所定量の調整された造形材料4を塗布し、三次元物体2を付加製造する間に選択的に照射されかつ固化されるそれぞれの造形材料層3を生成するように、少なくとも造形面を横切って移動し得る。造形面BPにおける造形材料4の塗布方向は、x方向に対応する。造形面BPを横切る造形材料塗布要素10の例示的な動きは、二重矢印P1によって示される。造形材料塗布要素10を移動させるための駆動力を発生させるように、駆動ユニット(図示せず)を造形材料塗布ユニット7に割り当てることができる。
【0051】
照射ユニット8は、造形材料塗布ユニット7によって装置1の造形面に塗布されたそれぞれの造形材料層3を少なくとも1つのエネルギービーム5で選択的に照射し、それによって固化させるように構成される。照射ユニット8は、少なくとも1つのエネルギービーム5を生成するように構成されたビーム生成ユニット(図示せず)、及び少なくとも1つのエネルギービーム5を造形面内の様々な位置に偏向するように構成された偏向ユニット(図示せず)、例えば走査ユニットを含むことができる。
【0052】
運搬ユニット9は、造形材料層3と付加製造される三次元物体2とを運搬するように構成されている。運搬ユニット9は、垂直方向(z方向)に移動可能に支持された運搬要素11(運搬テーブル)を備える。運搬要素11の例示的な動きは、二重矢印P2によって示されている。運搬ユニット9に駆動ユニット(図示せず)を割り当てて、運搬要素11を垂直方向の様々な位置に移動させるための駆動力を発生させることができる。
【0053】
制御ユニット6は、装置1の各機能ユニット及び/又は構成ユニットの動作を制御することにより、三次元物体2を付加製造する方法を実現するように構成されている。装置1の各機能及び/又は構造ユニットの動作は、典型的には、造形材料塗布ユニット7、照射ユニット8、及び運搬ユニット9の動作を制御することを含む。
【0054】
本方法の特徴的な段階は、例示的な実施形態による方法の特定の段階の原理図をそれぞれ示す図2図4を参照して以下に説明される。
【0055】
方法の第1の工程によれば、エネルギービーム5によって選択的に照射され、それによって固化される第1の造形材料層3.1の照射領域A.1が照射及び固化される。それによって、第1の造形材料層3.1の直上に配置された第2の造形材料層3.2の少なくとも1つの照射領域A.2の下に少なくとも部分的に配置された照射領域A.1の少なくとも1つの小領域SA.1は照射されて固化されることから除外される。
【0056】
所望により、垂直に直接隣接して配置された少なくとも2つの造形材料層3.1、3.2、すなわち、エネルギービーム5によって選択的に照射されそれによって固化される照射領域A.1、A.2を含み、それぞれ第2の造形材料層3.2の直下に垂直方向(z方向)に配置された第1の造形材料層3.1、及び第1の造形材料層3.1の直上に垂直方向に配置された第2の造形材料層3.2について、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1が、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の下に配置される小領域SA.1を含むかどうかを決定してもよい。したがって、本方法は、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1が、第二造形材料層3.2の少なくとも1つの照射領域A.2の直下に配置された小領域SA.1を含むかどうかを判定する判定工程を含むことができる(図2、3参照)。
【0057】
この任意選択の決定は、三次元物体2を付加製造するために選択的に照射され、それによって固化される必要があるそれぞれの造形材料層3.1~3.nのそれぞれの照射領域A.1~A.nを含むデータに基づいてもよい。それぞれのデータは、付加製造される三次元物体2の造形データ及び/又はスライスデータであり得るか、又はそれらを含み得る。決定手段を具体化するハードウェア及び/又はソフトウェア12(任意選択)は、第1の造形材料層3.1の少なくとも1つの照射領域A.1~A.nが、第2の造形材料層3.2の少なくとも1つの照射領域A.2の下に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの小領域A.1を含むかどうかを決定するように構成され、第2の造形材料層3.2を第1の造形材料層3.1の直上に配置して、本方法の任意選択の決定工程を実行するのに使用することができる。決定手段は、制御ユニット6の一部を構成してもよい。
【0058】
任意選択の決定工程は、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1を選択的に照射し、それによって固化させる前に行われてもよい。
【0059】
図2図4は、第1の造形材料層3.1が実際には三次元物体2を付加製造するために選択的に照射され固化される第1の造形材料層3であることを示しており、第1の造形材料層3.1は、三次元物体2を付加製造するために選択的に照射され固化される造形材料層3のスタック内の任意の層であり得る。
【0060】
本方法の第2の工程によれば、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の照射が行われ、それによってその小領域が第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の直下に配置される第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1は、照射されて固化されることから除外される。
【0061】
本方法の第2の工程は、特に、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1が、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の直下に配置された小領域SA.1を含むと決定される場合に実施することができ、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2が、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1の直上に配置されていると決定される場合も同様である。
【0062】
図2は、選択的に照射された後の第1の造形材料層3.1を示しており、固化部分は第1のハッチングで描かれている。
【0063】
したがって、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1は、その小領域SA.1が全く照射されないように照射から完全に除外されるか、又は、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1が照射から完全には除外されず、小領域SA.1は照射されるが(少なくとも照射され、それによって固化される第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の残りの部分に関しては)まだ固化はされないかのどちらかであり、例えば、それは小領域SA.1を照射することは予備焼戻し、すなわち特に(完全)溶融を生じない予備焼戻しをもたらすだけだからである。言い換えれば、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の照射は、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1全体が固化されないように、しかし第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の直下に配置された小領域SA.1が固化されないように実行される。したがって、この工程では、小領域SA.1へのエネルギー入力量は、小領域SA.1の(所望の)固化が行われるのに十分なほど高くはない。したがって、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1を照射した後、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1は固化部分を含み、固化部分は、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の直下に配置された小領域SA.1を除外する照射領域A.1の部分を含み、非固化部分は、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の直下に配置された小領域SA.1を含む(図2参照)。
【0064】
本方法の第3又はさらなる工程によれば、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2は、少なくとも第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1の上に配置された部分において照射され、それによって第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1は照射され、それによって固化される。言い換えれば、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2は、少なくとも第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1の上の部分において、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1が照射され、それによって固化されるように照射される。したがって、この工程では、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1に入力されるエネルギー量は、小領域SA.1の(所望の)固化が行われるのに十分なほど高い。したがって、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1は、第1の造形材料層3.1を選択的に照射するときではなく、第2の造形材料層3.2を選択的に照射するときに照射されて固化される。もちろん、第2の造形材料層の照射領域A.2の照射はまた、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の小領域SA.1の上に配置されていない第2の造形材料層3.2の照射領域の部分を照射及び固化させることを含み得る。したがって、第2の造形材料層3.2を選択的に照射した後、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2を完全に固化させることができる。
【0065】
図3は、選択的に照射された後の第2の造形材料層3.2を示しており、固化部分は第2のハッチングで描かれている。図3から明らかなように、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2も少なくとも1つのそれぞれの小領域SA.2を含むことができる。
【0066】
図4から明らかなように、原理はまた、互いの直上に配置されている3つ以上の造形材料層3.1~3.nに拡張されてもよい。したがって、第2の造形材料層3.2の少なくとも1つの照射領域A.2が、第2の造形材料層3.2の直上に配置された第3又はさらなる造形材料層3.3の照射領域A.3の下に配置された少なくとも1つの小領域SA.2を含むかどうかを所望により決定してもよい。第2の造形材料層3.2が、第3又はさらなる造形材料層3.3の照射領域A.3の下に配置される照射領域A.2を含むと決定される場合、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2が照射され、それにより少なくとも1つの小領域SA.2は照射されて固化されることから除外される。次に、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の少なくとも1つの小領域SA.2の上の部分において、第3又はさらなる造形材料層3.3の照射領域A.3が照射され、それにより第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の少なくとも1つの小領域SA.2が固化される。
【0067】
図4は、選択的に照射された後の第1の造形材料層3.3を示しており、固化部分は第3のハッチングで描かれている。図4から明らかなように、第3の造形材料層3.3の照射領域A.3も少なくとも1つのそれぞれの小領域SA.3を含むことができる。
【0068】
上部造形材料層の照射領域A.1~A.3の下に配置された少なくとも1つのそれぞれの特定の小領域SA.1~SA.3は、例えば、下部造形材料層3の照射領域Aが少なくとも1つの小領域SA、特に上部造形材料の照射領域の下に少なくとも部分的に配置された複数の小領域を含むと決定される場合、(上部造形材料層の照射領域の下に少なくとも部分的に配置された下部造形材料層のそれぞれの照射領域の複数のそれぞれの小領域SA.1~SA.3から)選択することができる。この場合、下部造形材料層3の照射領域Aが照射され、それによって固化され、それによって少なくとも1つの選択された小領域SAが照射されて固化されることから除外される。適切な、特に事前定義済み又は事前定義可能、特にユーザ定義可能な選択規則、例えば選択アルゴリズムに実装された規則が、それぞれの小領域を選択するために使用されてもよい。選択規則は、付加製造される三次元の事前定義済み又は事前定義可能な、特にユーザ定義可能な構造的特性を指すことができる。
【0069】
第1の造形材料層3.1のそれぞれの小領域SA.1の上、特に第1の造形材料層3.1の1つ又は少なくとも1つの選択された小領域SA.1の上に配置された第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の一部は、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特別な領域と見なされるか示され得る。
【0070】
この場合、第1の造形材料層3.1の小領域SA.1の上、特に第1の造形材料層3.1の少なくとも1つの選択された小領域SA.1の上に配置された第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の少なくとも1つの特別な領域は、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の残りの部分を照射するために適用される基準照射パラメータセットと比較して異なる照射パラメータセットで照射されてもよい。異なる照射パラメータセットは、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2のそれぞれの特別な領域へのより高いエネルギー入力をもたらし得る。第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特別な領域へのより高いエネルギー入力は、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特定の領域が、第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の少なくとも1つの(選択された)小領域SA.1と固化することをもたらす。これにより、典型的には、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特別な領域の一部、及び第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の少なくとも1つの(選択された)小領域SA.1を少なくとも含む垂直延在固化領域を生成することができ、及び/又は第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特別な領域及び第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の少なくとも1つの(選択された)小領域SA.1を少なくとも備える垂直延在構造要素13を生成することができる。
【0071】
第2の造形材料層3.2、特に第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特別な領域を照射するために使用される照射パラメータセットを調整又は変更することは、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2を照射する間に(その場で)行われるか、又は、最初に第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特別な領域を除外して、第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の残りの部分だけが設定された基準照射パラメータに基づいて照射され、次いで第1の造形材料層3.1の照射領域A.1の少なくとも1つの(選択された)小領域SA.1の上の第2の造形材料層3.2の照射領域A.2の特別な領域が、異なる照射パラメータセットに基づいて別々に照射される。
【0072】
したがって、第1の造形材料層3.1又は第2の造形材料層3.2照射領域の小領域SA.1、SA.2がそれぞれ照射され、それによって固化されるように、第2の造形材料層3.2又は第3の造形材料層3.3の照射領域A.2、A.3を、少なくとも第1の造形材料層3.1又は第2の造形材料層3.2の照射領域A.1の小領域SA.1、SA.2の上の部分にそれぞれ照射することによって、付加製造される三次元物体2の構造的特性、特に機械的特性を協調的に調整することを可能にする、少なくとも2つの造形材料層3.1~3.3を横切って垂直に延びる棒状、竿状、柱状、板状又は隆起状の垂直延在構造要素13が造形され得る。特に、それぞれの構造要素31は、付加製造される三次元物体2の異方性構造特性を低下させるが、付加製造される三次元物体2の等方性特性を増加させる。図2図5から明らかなように、複数のそれぞれの構造要素13を造形又は生成することができる。
【0073】
したがって、第2の造形材料層3.2又は第3の造形材料層3.3の照射領域A.2、A.3をそれぞれ照射することによって、少なくとも2つの造形材料層3.1~3.3を横切って垂直方向に延びる垂直延在固化領域、すなわち、特に、少なくとも2つの造形材料層3.1~3.3を横切って垂直方向に延びる垂直延在溶融プールが生成され、これは少なくともそれぞれの上部造形材料層3.2、3.3の照射領域A.1~A.2の照射領域の部分と共に、それぞれの下部造形材料層3.1、3.2の少なくとも1つの小領域SA.1、SA.2を含み、言い換えれば、それぞれの上部造形材料層3.2、3.3の照射領域A.1、A.2のそれぞれの部分を照射するとき、それらの部分はそれぞれの下部造形材料層3.1、3.2のそれぞれの小領域SA.1、SA.2の上に配置され、上下の造形材料層3.1~3.3の両方を取り囲むように垂直方向に延在固化領域、すなわち特に溶融プールが造形又は生成される。したがって、それぞれの固化領域は、典型的には、1つより多い造形材料層3.1~3.3の厚さにわたって、特に少なくとも1つと半分の造形材料層3.1~3.3の厚さにわたって、好ましくは2つ以上の造形材料層3.1~3.3の厚さにわたって延びる。
【0074】
固化された後、すなわち典型的には造形材料特有の固化温度より下、すなわち典型的には造形材料4の溶融温度に冷却された後、それぞれの固化領域は少なくとも1つの垂直延在構造要素13を造形又は生成することができる。結果として、それぞれの垂直延在構造要素13は、1つより多い造形材料層3.1~3.3の厚さにわたって、特に少なくとも1つと半分の造形材料層3.1~3.3の厚さにわたって、好ましくは2つ以上の造形材料層3.1~3.3の厚さにわたって延びる。図から明らかなように、それぞれの垂直延在構造要素13は、1つより多い造形材料層3.1~3.3、特に少なくとも1と半分の造形材料層3.1~3.3、好ましくは2つ以上の造形材料層3.1~3.3の層厚の合計の垂直方向延在部を含むことができる。
【0075】
上記から明らかでありまた図から明らかであるように、それぞれの垂直延在構造要素13は造形方向に延在する。
【0076】
図5図12は、それぞれ例示的な実施形態による方法によって付加製造された三次元物体2の例示的な断面の原理図を示しており、製造される三次元物体2の断面にわたって均一又は不均一な分布で複数のそれぞれの垂直延在構造要素13を設けることができることを特に示す。これらの図から明らかなように、それぞれの垂直延在構造要素13は、製造される三次元物体2の少なくとも1つの共通の水平面及び/又は異なる水平面内に均一又は不均一分布で設けられてもよい。
【0077】
物体2は、垂直方向に積み重ねられた固化水平方向造形材料層3から造形されるだけでなく、垂直方向に延びるそれぞれの構造要素13も含むので、三次元物体2にそれぞれの垂直延在構造要素13を導入することによって、付加製造される三次元物体2は、改善された構造特性、特に等方性特性を有する。
【0078】
それぞれの垂直延在構造要素13を生成するために、特別な照射パラメータセットを使用することが可能である。言い換えれば、それぞれの垂直延在構造要素13を生成するために、残りの部分、すなわちそれぞれの下部造形材料層3.1、3.2に関して、それぞれの(選択された)小領域を含まない照射領域A.1、A.2の部分、及びそれぞれの上部造形材料層3.2、3.3に関して、下部造形材料層3.1、3.2の照射領域A.1、A.2のそれぞれの(選択された)小領域の上に配置されていない部分を照射するために使用される基準照射パラメータセットとは異なる照射パラメータセットを使用することができる。それぞれの垂直延在構造要素13を生成するために使用される照射パラメータセットは、それぞれの下部造形材料層3.1、3.2のそれぞれの照射領域の(選択された)小領域への上述の大量のエネルギー入力を可能にし、したがってそれぞれの下部造形材料層の照射領域A.1、A.2の(選択された)小領域SA.1、SA.2の(所望の)固化が行われるのを可能にする照射パラメータを含む。したがって、それぞれの垂直延在構造要素13を生成するために使用される照射パラメータセットは、典型的には、基準照射パラメータセットと比較して造形材料層3.1~3.nへのより高い(垂直)エネルギー入力をもたらす。それぞれの垂直延在構造要素13を生成するために使用される照射パラメータセットは、基準照射パラメータセットと比較して、例えば異なる、すなわち典型的にはより高いビームパワー、(より高い)ビーム強度、異なる(垂直)焦点位置、異なる焦点スポットサイズなどを含み得る。
【0079】
図5図11から明らかなように、三次元物体2全体に均一又は不均一に分布する複数のそれぞれの構造要素13を造形又は生成することができる。
【0080】
図5は、垂直延在構造要素13の第1群が第1の造形材料層3.1と第2の造形材料層3.2との間に延び、垂直延在構造要素13の第2群が第2の造形材料層3.2と第3の造形材料層3.3との間に延びる、例示的な均一の配置における垂直延在構造要素13の例示的な実施形態を示す。図5はまた、それぞれの垂直延在構造要素13が互いに水平方向にずれていてもよいことを示している。また、それぞれの垂直延在構造要素13の垂直方向のずれも可能である。
【0081】
図6は、垂直延在構造要素13の第1群が第1の造形材料層3.1と第2の造形材料層3.2との間に延び、垂直延在構造要素13の第2群が第2の造形材料層3.2、第3の造形材料層3.3、及び第4の造形材料層3.4との間に延びる、例示的な均一の配置における垂直延在構造要素13の例示的な実施形態を示す。したがって、図6は、3つ以上の造形材料層にわたって延びる垂直延在構造要素13を示す。図6はまた、それぞれの垂直延在構造要素13が互いに水平方向にずれていてもよいことを示している。また、それぞれの垂直延在構造要素13の垂直方向のずれも可能である。
【0082】
図7は、それぞれの垂直延在構造要素13が垂直方向に隣接してずれていて、それぞれの垂直延在構造要素13の垂直方向に積み重ねられた配置をもたらす実施形態を示す。
【0083】
いずれの場合も、それぞれの垂直延在構造要素13を生成するために使用される照射パラメータセットは、垂直延在構造要素13がそれぞれの造形材料層3.1~3.nのそれぞれの照射領域の残りの照射部分の他の固化領域と比べて異なる構造特性、特に機械的特性を有するように選択され得る。このようにして、付加製造される三次元物体2は、複合材料様の構造特性を備えることができ、それによってそれぞれの垂直延在構造要素13は、造形材料層3.1~3.nのそれぞれの照射領域の残りの部分によって表される基部材料構造内に延びる強化構造を表す。
【0084】
図8は、それぞれの造形材料層3.1~3.nのそれぞれの照射領域の残りの照射部分の他の固化領域と比べて異なる構造特性、特に機械的特性を有する垂直延在構造要素13のそれぞれの例示的な実施形態を示す。言い換えれば、それぞれの垂直延在構造要素13は、それらの構造的特性、特に機械的特性において異なり、これは、それぞれの垂直延在構造要素13を生成するために用いられる異なる照射パラメータから生じる。それぞれの垂直延在構造要素13の異なる構造特性は、図8において異なるハッチングで示されている。
【0085】
図9は、千鳥配置の各垂直延在構造要素13の例示的な実施形態を示す。第1の垂直延在構造要素13は、第1の造形材料層3.1と第2の造形材料層3.2との間に垂直に延び、第2の垂直延在構造要素13は、第2の造形材料層3.2と第3の造形材料層3.3との間に垂直に延び、第4の垂直延在構造要素13は、第3の造形材料層3.3と第4の造形材料層3.4との間で垂直に延び、以下同様である。
【0086】
図9及び図10の例示的な実施形態において、図10図9に対応する上面図であり、それぞれの垂直延在構造要素13は、階段状配置14を生成するように隣接して配置され、ここで、それぞれの隣接して配置された垂直延在構造要素13は、階段状配置14の工程を表す(図9参照)。
【0087】
図10及び図11の実施形態は、製造される三次元物体2において同一又は異なる空間配向のそれぞれの階段状配置14を協調的に導入することによって、三次元物体2の等方性特性を協調的に制御するための手段が与えられることを示している。
【0088】
図11の実施形態から明らかなように、製造される三次元物体2の断面にわたって、複数のそれぞれの階段状配置14を均一又は不均一な分布で設けることができる。それぞれの階段状配置14は、同じ又は異なる空間方向に向けられてもよい。すなわち、第1の階段状配置14は、第1の空間方向、例えば三次元物体2のx方向に向けられてもよく、第2の階段状配置14は、第2の空間方向、例えば三次元物体2のy方向に向けられてもよい。同じ又は異なる垂直方向延在部及び/又は同じ又は異なる空間的な向きを有するそれぞれの階段状配置14を、製造される三次元物体2に協調的に配置及び配向することによって、三次元物体2の等方性特性を協調的に制御するための手段が与えられる。
【0089】
図12は、それぞれの垂直延在構造要素13及びそれぞれの階段状配置14の配置及び配向が、製造される三次元物体2内に破断点構造を15生成するためにも使用されてもよいことを示す、例示的な実施形態を示している。図11から明らかなように、それぞれの生成破断点構造15は、それぞれの垂直延在構造要素13がその間に延在しない、すなわち少なくとも1つの垂直延在構造要素13によって垂直に接続されていない造形材料層の間に生成される。
【0090】
特定の実施形態に関連して明示された1つ又は複数の特徴は、少なくとも1つのさらなる実施形態に関連して明示された1つ又は複数の特徴と組み合わせることができる。
以上の開示内容から以下の付記が提案される。
(付記1)
少なくとも1つのエネルギービーム(5)による連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層(3)の固化によって少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造する方法であって、
選択的に照射することにより固化される第1の造形材料層(3)の照射領域(A)を照射して固化させることであって、前記第1の造形材料層(3)の直上に配置される第2の造形材料層(3)の、選択的に照射されて固化される少なくとも1つの照射領域(A)の下に少なくとも部分的に配置される前記照射領域(A)の少なくとも1つの小領域(SA)が、照射されて固化されることから除外されること、及び
前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)が固化されるように、前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)の上の領域にある前記第2の造形材料層(3)の照射領域(A)を照射すること、
を特徴とする、方法。
(付記2)
前記第1の造形材料層(3)のそれぞれの小領域(SA)、特に前記又は少なくとも1つの選択された小領域(SA)、の上に配置される前記第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記又は少なくとも1つの領域が、前記第2の造形材料層(3)の残りの部分を照射するために適用される基準照射パラメータセットと比較して異なる照射パラメータセット、特に、前記基準照射パラメータセットと比較して、前記第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)のこの領域へのより高いエネルギー入力をもたらす異なる照射パラメータセット、を用いて照射される、
付記1に記載の方法。
(付記3)
前記少なくとも1つの第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)を照射することによって、選択的に照射されることによって固化される、前記少なくとも1つの第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の一部、並びに前記第1の造形材料層(3)の前記少なくとも1つの小領域(SA)を少なくとも含む垂直方向に延在する固化領域が造形される、
付記1又は付記2に記載の方法。
(付記4)
前記第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)を照射することによって垂直延在構造要素(13)が生成され、
前記垂直延在構造要素(13)が、選択的に照射されることによって固化される、前記少なくとも1つの第2の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の一部、及び前記第1の造形材料層(3)の前記少なくとも1つの小領域(SA)を少なくとも含む、 付記1から付記3のいずれか一項に記載の方法。
(付記5)
垂直延在構造要素(13)が、付加製造される前記三次元物体(2)を通る二次元又は三次元形状及び/又は二次元又は三次元拡張部を用いて生成される、
付記4に記載の方法。
(付記6)
垂直延在構造要素(13)を生成するために、前記それぞれの造形材料層(3)の前記それぞれの照射領域(A)の残りの部分を照射するために適用される基準照射パラメータセットと比較して異なる照射パラメータセット、特に、前記基準照射パラメータセットと比較して前記造形材料層(3)へのより高いエネルギー入力をもたらす異なる照射パラメータセット、が使用される、
付記4又は付記5に記載の方法。
(付記7)
付加製造される前記三次元物体(2)全体にわたって均一又は不均一に分布する複数の垂直延在構造要素(13)が生成される、付記4から付記6のいずれか一項に記載の方法。
(付記8)
垂直方向及び/又は水平方向にずれている、特に垂直方向及び/又は水平方向に積み重ねられた、垂直延在構造要素(13)が生成される、
付記4から付記7のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
階段状配置(14)を生成するように隣接して配置された垂直延在構造要素(13)が造形される、
付記4から付記8のいずれか一項に記載の方法。
(付記10)
前記三次元物体(2)全体にわたって均一又は不均一に分布する複数の階段状配置(14)が生成される、付記9に記載の方法。
(付記11)
それぞれの垂直延在構造要素(13)であって、それぞれの前記造形材料層(3)の層厚の合計の垂直方向延在部を有し、かつ前記造形材料層(3)を通って垂直方向に延びる垂直延在構造要素(13)が生成される、
付記4から付記10のいずれか一項に記載の方法。
(付記12)
それぞれの垂直延在構造要素(13)及び/又は階段状配置(14)が、付加製造される前記三次元物体(2)の構造特性、特に機械的特性、を協調的に調整するように配置される、
付記4から付記11のいずれか一項に記載の方法。
(付記13)
少なくとも1つのエネルギービーム(5)による連続的な層毎の選択的照射及び造形材料層(3)の固化によって少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造するための装置(1)の制御ユニット(6)であって、
前記制御ユニット(6)が、特に、付記1から付記12のいずれか一項に記載の方法によって、
選択的に照射されることによって固化される第1の造形材料層(3)の照射領域(A)を照射して固化させることを制御し、これによって前記第1の造形材料層(3)の直上に配置される第2の造形材料層(3)の、選択的に照射されることによって固化される少なくとも1つの照射領域(A)の下に少なくとも部分的に配置される前記照射領域(A)の少なくとも1つの小領域(SA)が、照射されて固化されることから除外され、
前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)が固化されるように、前記第1の造形材料層(3)の前記照射領域(A)の前記少なくとも1つの小領域(SA)の上の領域にある前記第2の造形材料層(3)の照射領域(A)への照射を制御する、
ように構成される、制御ユニット。
(付記14)
少なくとも1つのエネルギービーム(5)による連続的な層毎の選択的照射及び造形材料(3)の固化によって少なくとも1つの三次元物体(2)を付加製造するための装置(1)であって、
付記13に記載の(6)制御ユニットを備える、
装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12