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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20230214BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20230214BHJP
【FI】
G06F1/16 312G
A61B90/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022001342
(22)【出願日】2022-01-07
(62)【分割の表示】P 2021184272の分割
【原出願日】2021-11-11
(65)【公開番号】P2022170663
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2021075675
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515333639
【氏名又は名称】株式会社Susa Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 幸則
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-026229(JP,A)
【文献】特開2001-350546(JP,A)
【文献】特開2009-211133(JP,A)
【文献】特開平11-184385(JP,A)
【文献】特開2015-084402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートクレーブ装置内における水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場で使用できる電子機器であって、
前面、および前記前面の反対側の背面を備える筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置された基板と、
前記基板に実装された電子回路部品と、
前記筐体に沿って設けられた第1断熱層と、
を有し、
前記筐体は、前記前面を備える前面部と、前記前面部の反対側に位置する背面部と、前記前面部と前記背面部とがネジによって固定される支持部と、前記筐体の周縁部において前記前面部と前記背面部とが互いに接続される周縁接続部と、を有し、
前記第1断熱層は、前記筐体の内面側に接し、
前記周縁接続部は、
前記第1断熱層を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第1接続部と、
第1封止材を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第2接続部と、
を含み、
前記第2接続部は前記第1接続部よりも前記筐体の外側に設けられ、
前記支持部において前記ネジの締結力により、前記第1接続部では前記前面部と前記背面部とが前記第1断熱層を挟んだ状態で固定され、前記第2接続部では、前記前面部と前記背面部とが前記第1封止材を挟んだ状態で固定される、電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2接続部では、前記前面部の前記第1封止材に接触する面、および前記背面部の前記第1封止材に接触する面の少なくとも一方には、粗面化処理が施されている、電子機器。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2接続部は、前記背面の法線方向に平行な第1方向において、前記前面部と前記背面部とが互い対向する第1対向部と、前記第1方向に対して直交以外の角度で傾斜する第2方向において、前記前面部と前記背面部とが互い対向する第2対向部と、を含む、電子機器。
【請求項4】
請求項1において、
前記支持部は、
前記第1断熱層を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第3接続部と、
第2封止材を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第4接続部と、
を含み、
前記第4接続部は前記第3接続部よりも前記筐体の外側に設けられ、
前記第3接続部では、前記ネジの締結力により、前記前面部と前記背面部とが前記第1断熱層を挟んだ状態で固定され、
前記第4接続部では、前記ネジの締結力により、前記前面部と前記背面部とが前記第2封止材を挟んだ状態で固定される、電子機器。
【請求項5】
請求項4において、
前記支持部は、前記第3接続部と前記第4接続部との間に配置され、前記背面に平行な方向および前記背面の法線方向における前記前面部と前記背面部の位置ずれを制御するストッパ部をさらに含み、
前記ストッパ部は、互いに交差する2つ以上の面を備え、
前記前面部および前記背面部を固定した状態において、前記ストッパ部では、前記2つ以上の面のそれぞれにおいて、前記前面部および前記背面部が直接的に接触する、電子機器。
【請求項6】
請求項4において、
前記第4接続部では、前記前面部の前記第2封止材に接触する面、および前記背面部の前記第2封止材に接触する面の少なくとも一方には、粗面化処理が施されている、電子機器。
【請求項7】
請求項4において、
前記支持部は、第3封止材を挟んで前記ネジと前記背面部とが対向するネジ封止部を備え、
前記ネジ封止部において、前記背面部の前記第3封止材に接触する面は、粗面化処理が施されている、電子機器。
【請求項8】
請求項1において、
前記筐体は、前記前面部および前記背面部の外側の表面を覆うカバー膜を備え、
少なくとも前記周縁接続部の前記第1封止材、および前記ネジは、前記カバー膜に覆われている、電子機器。
【請求項9】
請求項4において、
前記第4接続部には、前記第2封止材と前記ネジとの間に、スペーサ部材が配置され、
前記スペーサ部材は、前記前面部および前記背面部のいずれか一方と一体に形成され、かつ、他方と接触する、電子機器。
【請求項10】
オートクレーブ装置内における水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場で使用できる電子機器であって、
前面、および前記前面の反対側の背面を備える筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置された基板と、
前記基板に実装された電子回路部品と、
前記筐体に沿って設けられた第1断熱層と、
を有し、
前記筐体と前記第1断熱層との間に配置され、近赤外線の侵入を阻害する近赤外線遮蔽層を更に有し、
前記近赤外線遮蔽層は、前記筐体側から順に配置される近赤外線吸収層および近赤外線反射層を含む積層膜であって、
前記近赤外線吸収層は、前記筐体よりも近赤外線の吸収特性が高く、
い前記近赤外線反射層は、前記筐体よりも近赤外線の反射率が高い、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のうち、例えば、医療現場等での使用に好適な携帯型情報端末装置などの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場等で使用される電子機器の一例として携帯型情報端末装置がある。携帯型情報端末装置は、コンピュータの一種であって、例えばタブレット型コンピュータやスマートフォンなどに代表されるように、簡易的に持ち運ぶことができるコンピュータである。携帯型情報端末装置は、画像を表示する表示部(モニタ)と、電子回路部品と、筐体と、を備える(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-136908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器は、各種の環境での使用が拡大しており、例えば、病院等の医療現場でも使用される場合がある。例えば、診療室、病棟、検査室、手術室、リハビリ室、介護現場、あるいは給食室等の環境で、携帯型情報端末装置などの電子機器を利用し、高度な医療を行いたいというニーズがある。利用の一例としては、携帯型情報端末装置を介して医療機器を操作して医師等が診療等を行うこと、あるいは、携帯型情報端末装置の表示画面(または携帯型情報端末装置とは別の表示装置)に診療や手術のための画像(2次元や3次元の画像)を表示し、医師や医療スタッフ等が携帯型情報端末装置を操作しながら診療や医療サービス等を行うこと、が挙げられる。
【0005】
医療現場で使用する医療器具等に関しては、感染防止のために、必要なレベルの消毒や滅菌等が行われている。滅菌処理としては、例えばオートクレーブ処理がある。オートクレーブ処理では、対象物が、所定の高温・高圧の水蒸気によって所定時間以上曝露される。医療用マウスについても、感染防止のために、消毒処理、望ましくは滅菌処理が必要とされ、耐熱、耐水、耐圧、防水、耐久性等の観点での性能が要求される。
【0006】
しかし、従来の一般的な電子機器は、オートクレーブ処理のような滅菌処理に耐えることができない。電子機器は、熱や水に弱い電子回路部品等の部品を含んで構成されている。電子機器は、オートクレーブ処理にかけた場合には、高熱が筐体内部の電子回路部品まで到達し、電子回路部品の損傷を招く。また、イメージセンサや表示パネルなどをセットするために、電子機器が開口部を備えている場合、オートクレーブ処理による高圧の水蒸気の熱が、特に筐体の開口部を通じて筐体内の電子回路部品等の部品に直接的に伝わり、また水蒸気が浸入しやすく、その結果、部品の損傷が大きくなる。
【0007】
本発明の目的は、例えば、オートクレーブを用いた滅菌処理等の過酷な環境変化の繰り返しに耐えることができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち代表的な実施の形態は、以下に示す構成を有する。一実施の形態の電子機器は、筐体と前記筐体の内部空間内に配置された基板と、前記基板に実装された電子回路部品と、前記筐体に沿って設けられた第1断熱層と、前記第1断熱層の内側の空間の熱を前記筐体の外部に排出することが可能な第1放熱機構部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、オートクレーブを用いた滅菌処理等の過酷な環境変化の繰り返しに耐える電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態の携帯型情報端末装置であるタブレット端末の前面の外観を示す平面図である。
図2図1に示すタブレット端末の背面の外観を示す平面図である。
図3図2のA-A線に沿った断面図である。
図4図2に示す筐体の背面部、および図3に示す内側の断熱層の背面側の部分を取り外した状態を示す平面図である。
図5図4のB-B線に沿った拡大断面において、ネジ止め固定されている支持部の構造例を示す拡大断面図である。
図6図3のA部の拡大断面図である。
図7図6に対する変形例を示す拡大断面図である。
図8図5のB部の拡大断面図である。
図9図8に示すネジの構造の変形例である。
図10図3に対する変形例である携帯型情報端末装置の断面図である。
図11図3に示す放熱機構部の構造例を示す拡大断面図である。
図12図11に示すペルチェ素子層において、複数のペルチェ素子がアレイ状に配列されたレイアウトの一例を示す平面図である。
図13図3に対する他の変形例である携帯型情報端末装置において、筐体の周辺構造の一例を示す拡大断面図である。
図14図13に対する変形例である。
図15図11に示す表示部のうち、表示面を持つ透明基板の構成例を示す説明図である。
図16図1に対する変形例を示す平面図である。
図17図3に対する他の変形例である携帯型情報端末装置の断面図である。
図18図3に対する他の変形例である携帯型情報端末装置を示す断面図である。
図19図8に示す前面部と背面部との接続部の周辺の変形例を示す拡大断面図である。
図20図19に対する変形例を示す拡大断面図である。
図21図7に対する変形例を示す拡大断面図である。
図22図4に対する変形例を示す平面図である。
図23図1に示すタブレット端末に対する変形例としての電子機器である口腔内カメラの側面図である。
図24図23に示す口腔内カメラを下面側から視た平面図である。
図25図24のC-C線に沿った断面図である。
図26図18に示すタブレット端末に対する変形例としての電子機器である光重合ライトの側面図である。
図27図23に示す光重合ライトを下面側から視た平面図である。
図28図24のD-D線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図面において同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、平面図および断面図において、部品や装置の向きを明示するため、X方向、Y方向、およびZ方向の座標軸を示す。X方向およびY方向は、タブレット端末の筐体の前面(例えば表示画面が配置される面)と平行なX-Y平面に含まれる座標軸である。また、Z方向は、X-Y平面に対して直交する方向、言い換えれば、タブレット端末の厚さ方向における座標軸である。
【0012】
<携帯型情報端末装置の概要>
まず、図1図3を用いて、本発明の実施の形態の電子機器の一例である携帯型情報端末装置の概要について説明する。情報端末装置とは、情報(データ)を信号として外部から入力する入力処理、および情報(データ)を信号として外部に出力する出力処理の一方または両方を行うことができる端末装置である。以下で説明する情報端末装置は、情報入出力端末装置と読み替えることができる。また、携帯型情報端末装置は、上記した情報端末装置のうち、重量およびサイズが持ち運び可能なものであり、例えば人手により容易に持ち運んで利用可能な情報端末装置をいう。図1は、一実施の形態の携帯型情報端末装置であるタブレット端末の前面の外観を示す平面図である。図2は、図1に示すタブレット端末の背面の外観を示す平面図である。図3は、図2のA-A線に沿った断面図である。
【0013】
本実施の形態では、電子機器の一例として、いわゆるiPad(商品名:登録商標)と呼ばれている端末を代表例とするタブレット端末100を取り上げて説明する。ただし、以下で説明する技術が適用される電子機器は、タブレット端末100には限定されず、例えばスマートフォンなど、種々の携帯型情報端末装置に広く適用できる。また、詳細については後述するが、以下で説明する技術は、携帯型情報端末装置以外の種々の電子機器に適用可能である。タブレット端末100は、例えば、医療用途で利用される医療用情報端末装置である。例えば、診察、検査、処置、あるいは手術等の医療サービスを行う際に、医療用情報端末装置を利用した医療システムを使用したい場合がある。医療システムは、医療用情報端末装置を介して接続される外部のコンピュータや医療機器を含む場合がある。医療システムは、医師などの医療従事者が医療用情報端末装置を利用してコンピュータや医療機器を操作することにより、診察、検査、治療などの医療に関する行為を行うことを可能にする。このように、携帯型の医療用情報端末装置を使用する医療システムでは、医療の効率を向上させることができる。以下では、医療機器の操作パネルとしての機能を備える携帯型の医療用情報端末装置について説明する。ただし、以下で説明する技術は、携帯型の医療用情報端末装置に適用可能である他、オートクレーブを用いた滅菌処理が可能な、種々の電子機器に適用できる。以下で説明する技術を適用可能な電子機器の例は、後述する。
【0014】
病院等の医療現場での衛生環境を向上させるため、医療従事者が触れる医療用情報端末装置に対してはオートクレーブによる滅菌処理が行われる。医療用情報端末装置が、オートクレーブによる滅菌処理が可能な耐久性を備えている場合、例えば、使用の度に滅菌処理を施すことにより、毎回、滅菌処理済みの医療用情報端末装置を使用することができるので、感染防止を確実にすることができる。したがって、医療用に利用可能な携帯型情報端末装置には、一般的なタブレット端末等とは異なり、オートクレーブ等による滅菌処理に対する高い耐久性が要求される。
【0015】
オートクレーブによる滅菌処理では、高温、かつ、高圧に維持された水蒸気等の雰囲気下に滅菌対象物を暴露させることにより行われる。したがって、オートクレーブによる滅菌処理が可能な携帯型情報端末装置には、耐熱性、耐圧性、および耐水性等が要求される。携帯型情報端末装置の場合、特に、筐体内に内蔵される電子回路部品、および電子回路部品が搭載される基板が、熱や水分により損傷し易い。したがって、電子回路部品および基板に着目すれば、オートクレーブによる滅菌処理を可能にするためには、特に耐熱性能および耐水性能が重要である。もちろん、高圧により筐体が破損すれば、筐体内部の部品が破壊されるので、筐体が耐圧性能を備えていることが必要である。耐圧性能には、大気圧よりも高い圧力に対する耐久性能の他、大気圧よりも低い圧力に対する耐久性能も含まれる。また、高圧蒸気が水以外の化学薬品を含む場合には、筐体には耐薬品性も要求される。
【0016】
また、携帯型情報端末装置は電子回路部品を備えているが、携帯型のコンピュータである携帯型情報端末装置が備える電子回路部品には、演算処理回路を含む半導体部品が含まれる。例えば、図3に示す例では、データ処理部品41は、演算処理回路を含む半導体部品である。ここでいう「演算処理回路」とは、所謂コンピュータシステムを制御する回路であって、例えば複数の入力信号に基づいて演算処理を行い、他の回路に対してコマンド信号を送出する機能を備えている。データ処理部品41は、演算処理回路、メモリ回路、および各回路間の通信を制御する制御回路を含むシステムを備えている。このように一つのパッケージにシステムが作り込まれた電子回路部品は、システムインパッケージと呼ばれる。半導体部品に形成された演算処理回路を動作させるためには電力が必要となるが、電力消費に伴う半導体部品の発熱に起因して半導体部品や電池等の部品が高温になる場合がある。半導体部品等が高温になると、半導体部品等の性能低下の原因になる。このため、オートクレーブによる滅菌処理が可能な携帯型情報端末装置の場合、上記した耐久性に加え、使用時に半導体部品から生じる熱を外部に取り出す放熱性能が要求される。言い換えれば、医療用の携帯型情報端末装置には、外部からの熱の侵入を防ぐ断熱性と、内部で発生した熱を外部に放出する放熱性と、が要求される。この二つの特性は互いにトレードオフの関係にある。
【0017】
図3に示すように、本実施の形態のタブレット端末100は、筐体10と、筐体10から一部分が露出する表示部20(図1参照)と、筐体10の内部に配置された基板30と、基板30に実装された電子回路部品40と、筐体10に沿って設けられた断熱層50と、断熱層50と離間し、かつ、基板30および電子回路部品40を包囲するように設けられた断熱層60と、を有する。
【0018】
断熱層50は、筐体10の内部への熱の侵入を抑制する。また、断熱層60は、断熱層50と断熱層60との間の空間から、断熱層60の内部(すなわち、電子回路部品40および基板30が配置される領域)への熱の侵入を抑制する。図3に示す例では、断熱層50は筐体10と接する。また、断熱層60は、断熱層50と離間する。なお、断熱層50と断熱層60との間には、図示しない支持部材のような部材が配置されていてもよいし、図3に示すように空間が設けられていてもよい。また、上記支持部材は、断熱性をそなえる部材であってもよいし、断熱層60を保持、固定する特性を備えていてもよい。
【0019】
また、断熱層50および60は、筐体10からの水分の侵入を抑制する防水壁として機能する。詳細は後述するが、筐体10には、例えば、光学部品など、タブレット端末100の外部との間で、光の授受を行う必要がある部品を取り付けるための開口部が設けられる場合がある。単に筐体内に基板30および電子回路部品40がそのまま収容されている構造の場合、開口部から侵入した水分などが基板30や電子回路部品を汚染する場合がある。一方、本実施の形態のように、基板30および電子回路部品40が断熱層50に囲まれている場合、開口部から侵入した水分などが断熱層50に阻害されて基板30や電子回路部品40まで到達しにくい。また、侵入する水分などの程度によるが、断熱層50および60の吸湿作用により、水分などが吸収される場合がある。
【0020】
また、タブレット端末100は、断熱層50に接する放熱機構部70と、断熱層60に接する放熱機構部80と、を有する。放熱機構部70は、断熱層50と断熱層60との間の空間の熱を筐体10の外部に排出する機能を備えている。放熱機構部70は、断熱層50の内部に露出する吸熱面71と、吸熱面71の反対側に位置し、筐体10の外部に露出する放熱面72と、を有する。放熱機構部70による熱の移動方向は、電気的に制御可能であり、例えば、放熱機構部70に通電することにより、断熱層50と断熱層60との間の空間の熱は放熱機構部70の吸熱面71に吸熱され、放熱機構部70の放熱面72から放熱される。同様に、放熱機構部80は、断熱層60に囲まれた空間の熱を断熱層50と断熱層60との間の空間に排出する機能を備えている。放熱機構部80は、断熱層60の内部に露出する吸熱面81と、吸熱面81の反対側に位置し、断熱層60の外部に露出する放熱面82と、を有する。放熱機構部80による熱の移動方向は、電気的に制御可能であり、例えば、放熱機構部80に通電することにより、断熱層60に囲まれた空間の熱は放熱機構部80の吸熱面81に吸熱され、放熱機構部80の放熱面82から放熱される。放熱機構部70の放熱面72は、筐体10の外部に露出している。このため、タブレット端末100の使用時に電子回路部品40が発熱したとしても、その熱は、放熱機構部80および放熱機構部70を介して筐体10の外部に放出される。この結果、タブレット端末100の使用時における電子回路部品40の温度上昇を抑制し、電子回路部品40の温度上昇に起因するタブレット端末100の性能低下を抑制できる。
【0021】
また、放熱機構部80および放熱機構部70は、オートクレーブ処理中における筐体10の内部空間の温度上昇を抑制する機能も備える。例えば、オートクレーブによりタブレット端末100の滅菌処理を行う際に、放熱機構部70および放熱機構部80に通電する。放熱機構部70および放熱機構部80のそれぞれは、熱の伝達方向を制御可能な部品である。タブレット端末100の周囲の温度がタブレット端末100の内部の温度よりも高い状態であっても、吸熱面71および吸熱面81から吸熱し、放熱面72および82から放熱する。このため、オートクレーブ処理中に筐体10内に熱が侵入した場合でも、その侵入熱は、放熱機構部70および放熱機構部80を介して外部に排出される。すなわち、放熱機構部70および80は、単純に熱の伝達を阻害する断熱部材ではなく、熱の伝達方向を制御した状態で積極的に熱を伝達させることにより筐体10の内部空間の温度上昇を抑制する、温度上昇抑制部材として機能する。
【0022】
放熱機構部70および80のように、熱の伝達方向を制御可能な放熱部品として、熱エネルギーと電気的エネルギーとを変換する機能を備える熱電素子を利用することができる。例えば、電気的なエネルギーと熱的なエネルギーに変換するペルチェ効果を利用するペルチェ素子を利用すれば、上記した放熱機構部70および80が備える機能を容易に実現することができる。ペルチェ素子を用いた放熱機構部の詳細な構造については、後述する。
【0023】
図3に示す例の場合、放熱機構部70の吸熱面71と放熱機構部80の放熱面82とが互いに対向する状態で配置されている。この場合、放熱機構部80の放熱面82から放出された熱を吸熱面71により効率的に吸熱することができる。したがって、電子回路部品40の周辺領域からの放熱効率を考慮すると、図3に示すように、吸熱面71と放熱面82とが互いに対向していることが好ましい。ただし、図示は省略するが、図3に対する変形例として、吸熱面71と放熱面82とが対向しない構成もある。この場合、図3に示す例と比較すると放熱効率は低下するが、放熱機構部80により断熱層60内の熱が放熱面82から放熱され、放熱機構部70を駆動させることにより筐体10内の熱を筐体10の外部に放熱することができるので、放熱機構部70および80が設けられていない検討例のタブレット端末(図示は省略)と比較すると、放熱効率を向上させることができる。
【0024】
<内蔵部品のレイアウト>
次に、タブレット端末が内蔵する各部品のレイアウト例について説明する。図4は、図2に示す筐体の背面部、および図3に示す内側の断熱層の背面側の部分を取り外した状態を示す平面図である。図3に示すように、放熱機構部70は、筐体10の背面部12に取り付けられているので、背面部12を取り外した状態の図4では、放熱機構部70も取り外されている。ただし、図4では、放熱機構部70と基板30や電子回路部品40、あるいは二次電池90との位置関係を明示するため、放熱機構部70の輪郭を点線でしめしている。図1図3に示す筐体10は、前面10Fを持つ前面部11と、前面10Fの反対側の背面10Bを持つ背面部12とを有する。前面部11には、表示部20(図1参照)が取り付けられている。背面部12は前面部11の反対側に位置し、放熱機構部70が取り付けられている。前面部11と背面部12とは、例えば複数の支持部13においてネジ止め固定されており、複数のネジ(後述する図5参照)を緩めることにより、分離可能な構造になっている。
【0025】
本実施の形態の例では、筐体10の内部には、表示部(表示パネルモジュール)20、フレキシブル配線板21、基板30、複数の電子回路部品40、二次電池90、および充電コイル91の電気部品の他、レンズ92、および光ファイバケーブル93などの光学部品が収容されている。なお、図4に示す部品の種類、数、およびレイアウトは、一例なので、種々の変形例がある。例えば、図4に示す部品以外の電気部品または光学部品が含まれる場合、あるいは、部品のうちの一部が含まれない場合がある。また、図4に示す部品のレイアウトは、各部品の耐熱性や環境変化に対する耐久性に応じて種々の変形例がある。例えば、二次電池90の耐熱性が高い場合には、二次電池90が断熱層50と断熱層60との間に配置される場合がある。以下で説明する種々の変形例の場合も同様に電子機器が備える各種の電子部品の種類、数、およびレイアウトには、種々の変形例があり、電子部品の耐久性に応じて適切な位置に配置される。
【0026】
例えば、充電コイル91は、電磁誘導を利用して二次電池90を充電するためのコイルである。充電コイル91に変えて、外部電源機器と結線するためのコネクタを設ける構造の場合、充電コイル91は内蔵されていなくてもよい。ただし、筐体10内部の防水性および断熱性を向上させる観点からは、筐体10に設けられる開口部の数は少ない方が好ましい。図4に示す充電コイル91を用いる充電方式の場合、外部電源機器と結線するためのコネクタを設けることなく、二次電池90の充電が可能になるので、筐体10の開口部の数を低減する観点からは好ましい。
【0027】
基板30には、複数の電子回路部品40が搭載されている。図4に示す例では、複数の電子回路部品40は、データ処理部品41、イメージキャプチャ(イメージセンサ)42、および電磁センサ43を含む。
【0028】
データ処理部品41は、例えば、データ処理を行う演算処理回路と、タブレット端末100の電気的および光学的な動作を制御する制御回路と、を有する半導体部品である。このように、データ処理を行う演算処理回路を備える電子回路部品は、ロジック部品と呼ばれる場合がある。ロジック部品であるデータ処理部品41は、複数の電子回路部品40の中で特に発熱し易い部品である。また、データ処理部品41が備える演算処理回路は、タブレット端末100の使用中における熱影響により処理性能が低下しやする部品である。したがって、図3に示すように、タブレット端末100の厚さ方向において、データ処理部品41は、放熱機構部80および放熱機構部70と重なっていることが好ましい。これにより、データ処理部品41から筐体10の外部への放熱経路を短くすることができるので、放熱特性を向上させることができる。また、図4に示す例の場合、データ処理部品41は、フレキシブル配線板21を介して表示部20と接続されている。表示部20の表示動作は、例えばデータ処理部品41により制御されている。
【0029】
イメージキャプチャ42は、光画像を電気信号に変換する光電変換回路を備える電子回路部品であり(光学部品でもある)、光ファイバケーブル93を介してレンズ92と光学的に接続されている。本実施の形態では、光画像(光学像)をレンズ92からイメージキャプチャ42に伝送する、光画像直接伝送方式を採用している。外部からレンズ92に照射された光(光画像)は、光ファイバケーブル93を介してイメージキャプチャ42に伝送され、イメージキャプチャ42において電気信号に変換される。この電気信号は、基板30に形成された配線を介してデータ処理部品41に伝送され、データ処理部品41において処理される。レンズ92や光ファイバケーブル93などの光学部品は、イメージキャプチャ42などの電子回路部品と比較して、熱影響や水分の影響を受けた場合でも損傷し難い。また、レンズ92は、筐体10の外部から光を受光する必要があるので、筐体10の開口部や窓から光を取り込める位置に配置されている必要がある。一方、イメージキャプチャ42がレンズの近傍に配置されている場合、光の減衰を抑制することはできるが、イメージキャプチャ42が熱の影響を受けやすい。そこで、図4に示す例の場合、光ファイバケーブル93の一部およびレンズ92は、断熱層60の外部に配置され、イメージキャプチャ42は、断熱層60の内部に配置される。この場合、タブレット端末100にオートクレーブによる滅菌処理を施した場合でも、イメージキャプチャ42の熱による損傷を防止し、かつ、イメージキャプチャ42による光を受光できる。なお、光画像直接伝送方式の一例として、レンズ92および光ファイバケーブル93を介してイメージキャプチャ42に光画像を伝送する方式を説明したが、光画像直接伝送方式の変形例として、例えばロッドレンズや鏡筒などの光学素子を利用して伝送する方法も有効である。
【0030】
電磁センサ43は、外部からの入力用のセンサである。電磁センサ43には、電磁的な通信方法を用いて外部からのコマンドや情報が入力される。入力された情報は、電気信号に変換され、例えばデータ処理部品41に伝送される。入力される情報は、例えば、治療や検査を受ける患者の識別情報などを例示できる。電磁センサ43のように非接触でタブレット端末100に情報を入力することが可能なデバイスを用いた入力方式は、タブレット端末100の汚染を抑制できる点で好ましい。なお、図4では、一例として電磁的な通信方式を用いて外部からの上方を入力する方法について説明したが、入力方法には電磁的な方法の他、例えば光学的な方法など、種々の変形例がある。また、所謂タッチパネルを用いた入力方式の場合であっても、タッチペンなどの入力治具を用いることにより、タブレット端末100に直接触れずに情報を入力する場合もある。
【0031】
図4に示す例では、複数の電子回路部品40として、データ処理部品41、イメージキャプチャ42、および電磁センサ43を例示的に取り上げて説明したが、電子回路部品40の種類や数には、種々の変形例がある。例えば、データ処理部品41、イメージキャプチャ42、および電磁センサ43の機能を一つの電子回路部品40に集約する場合がある。また例えば、図4では、一つのデータ処理部品41に演算処理機能や制御機能を集約している例を示しているが、タブレット端末100の高機能化に対応して、複数個のデータ処理部品41が搭載されている場合がある。データ処理部品41の数が多くなれば、処理速度は向上するが、発熱量も増大するので、図3に示す放熱機構部70および80による放熱効率を向上させることが非常に重要になる。
【0032】
<断熱構造および封止構造>
次に、タブレット端末100の筐体10の封止構造および筐体10に接する断熱層50の断熱構造について説明する。図5は、図4のB-B線に沿った拡大断面において、ネジ止め固定されている支持部の構造例を示す拡大断面図である。図6は、図3のA部の拡大断面図である。図7は、図6に対する変形例を示す拡大断面図である。図8は、図5のB部の拡大断面図である。図9は、図8に示すネジの構造の変形例である。図6図8では、図5に示すネジ14を締め込んだ時に、力が作用する方向を矢印で模式的に示している。また、筐体10の表面は、一部が粗面化された領域を有している。図6図9では、粗面化された領域を点線で模式的に示している。
【0033】
図3に示すように、筐体10は、分離可能な前面部11および背面部12を有する。前面部11は、表示部20が取り付けられる部分であり、表示部20の表示面22(図1参照)が筐体10の前面部11から露出している。筐体10は、剛性(硬質性)を備える材料から成る。オートクレーブによる滅菌処理を施す場合、筐体10は、高温の水蒸気雰囲気中に暴露される。このため、筐体10自身が高温により損傷しないように、筐体10を構成する材料は、耐熱性、耐水性(耐水蒸気性を含む)、防水性(言い換えると封止性)、耐圧性、耐久性(繰り返し使用回数や温度変化等への耐性)等を考慮して選択されることが好ましい。また、筐体10に汚染物質が付着するリスクを考慮すると、筐体10の材料は、防汚性、易洗浄性、および洗浄液に対する耐性を考慮して選択されることが好ましい。上記の耐久性を考慮して好ましい材料として、所謂、スーパーエンプラ(Super Engineering Plastics)と呼ばれる熱可塑性樹脂を例示することができる。スーパーエンプラは、強度、耐熱性、耐水性等を持つエンジニアリングプラスチックである。筐体10は、断熱粒子が混入された材料で構成されてもよい。筐体10は、ガラスファイバやカーボンファイバ等による強化樹脂が含まれた材料で構成されてもよい。筐体10や各断熱層は、1層に限らず複数層で構成されてもよい。
【0034】
また筐体10は、図5に示すように前面部11と背面部12とがネジ14によって固定される支持部13と、図7に示すように、筐体10の周縁部において前面部11と背面部12とが互いに接続される周縁接続部15と、を有する。
【0035】
図6に示すように、周縁接続部15は、断熱層50を挟んで前面部11と背面部12とが互いに対向する接続部15Aと、封止材16Aを挟んで前面部11と背面部12とが互いに対向する接続部15Bと、を含む。接続部15Bは接続部15Aよりも筐体10の外側に設けられている。図5における支持部13においてネジ14の締結力により、接続部15Aでは前面部11と背面部12とが断熱層50を挟んだ状態で固定され、接続部15Bでは、前面部11と背面部12とが封止材16Aを挟んだ状態で固定される。
【0036】
前面部11と背面部12とが分離可能に構成される場合、前面部11の一部分と背面部12の一部分とが互いに対向する部分において、断熱層50が途切れる部分(言い換えれば、熱の侵入経路)が生じやすい。本実施の形態の場合、図6に示す接続部15A(および後述する図8に示す接続部13A)において、前面部11および背面部12が断熱層50を挟んだ状態で固定される。これにより、前面部11と背面部12とが互いに対向する部分において、断熱層50が途切れる部分の発生を防止できる。この結果、前面部11と背面部12とを分離可能な構造とした場合であっても、筐体10の内部の断熱特性の低下を抑制することができる。
【0037】
なお、図示は省略するが、図3に示すタブレット端末100の変形例として、筐体10が複数の部品に分離できない構造になっているタブレット端末がある。この変形例に対し、本実施の形態のように、筐体10が、分離可能な前面部11および背面部12により構成されている構造である場合、タブレット端末100の組み立てやメンテナンスが容易になる。ただし、筐体10が分離可能な構造になっている場合、前面部11および背面部12を接続する部分からの熱の侵入および水分の侵入のリスクが増大する。したがって、分離可能な構造とする場合には、接続部分において、耐熱対策、耐水対策、耐薬品対策、および耐圧対策等が必要である。
【0038】
図6に示す例では、筐体10の外面側にある接続部15Bにおいて、前面部11および背面部12の間に封止材16Aが挟まれている。図6に示す例では、封止材16Aは、前面部11側の第1の封止材16Aと、背面部12側の第2の封止材16Aとに分離可能な構造になっている。ただし、変形例として、前面部11と背面部12との間に、一つの封止材16Aが配置されている場合もある。封止材16Aは、例えば、シリコーンゴム(またはシリコーン樹脂)など、弾力性があり、かつ、耐水性および耐熱性を備える材料から成る。また、ネジ14(図5参照)の締結力により、前面部11と背面部12とが封止材16Aを挟んだ状態で固定される。このため、筐体10の外側にある接続部15Bにおいて、水分の侵入を防止することができる。また、前面部11と背面部12とが封止材16Aを挟んだ状態で固定されることにより、筐体10の耐圧特性を向上させることができる。
【0039】
なお、図6では、接続部15Aと接続部15Bとの間の領域において、前面部11および背面部12の間にOリング16Dを介在させた例を示している。前面部11および背面部12の接触界面の気密性を向上させる観点からは、Oリング16Dを設けることが好ましい。ただし、水分の侵入を防止する観点からは、接続部15Bを備えていれば足りるので、図6に対する変形例として、Oリングが配置されていない場合もある。
【0040】
また、接続部15Bにおける封止材16Aと、前面部11および背面部12との接触界面における密着力を向上させる観点からは、以下の構成が好ましい。すなわち、接続部15Bでは、前面部11の封止材16Aに接触する面11C1、および背面部12の封止材16Aに接触する面12C1のそれぞれには、粗面化処理(図6において点線で模式的に示している部分)が施されている。粗面化処理の方法としては、例えばレーザを照射することによる表面改質処理により、微細な溝を形成する方法が例示できる。また、筐体10を構成する材料にガラスファイバやカーボンファイバが含まれている場合、レーザ照射によりガラスファイバやカーボンファイバの一部が露出し、封止材16Aのずれを抑制するアンカとして機能する。封止材16Aは、前面部11の面11C1、および背面部12の面12C1のいずれか一方、あるいは両方に形成され、封止材16Aが形成された面と封止材16Aとは接着される。また、封止材16Aの形成方法として、前面部11の面11C1、および背面部12の面12C1のいずれか一方に封止材16Aが形成される場合には、面11C1および面12C1のうち、いずれか一方(封止材16Aが形成される面)に粗面化処理を施す変形例もある。すなわち、接続部15Bでは、前面部11の封止材16Aに接触する面11C1、および背面部12の封止材16Aに接触する面12C1の少なくとも一方に粗面化処理が施されていれば、封止材16Aと筐体10との密着性を向上させることができる。
【0041】
図6に示す例では、筐体10の内面側にある接続部15Aにおいて、前面部11および背面部12の間に断熱層50が挟まれている。断熱層50は、例えば、断熱繊維を含む断熱繊維層と、断熱繊維層を挟むように両面に形成された接着層とを有する積層膜である。あるいは、積層膜ではなく、接着性を備える粘着層中に断熱繊維が含有されている場合もある。この積層膜には、断熱繊維層の他、アルミニウムなどの金属膜から成る層や、複数種類の断熱繊維層を含んでいる場合がある。断熱繊維層は、高い断熱特性を備える繊維材料に樹脂バインダを加え、シート状に成型した断熱紙や、不燃性繊維を用いることができる。また、断熱特性を向上させるため、断熱層や接着層に、例えばシリカなどの無機フィラを混合させる場合もある。本実施の形態の場合、ネジ14(図5参照)の締結力により、前面部11と背面部12とが断熱層50を挟んだ状態で固定される。この結果、仮に、接続部15Bから前面部11および背面部12の接続界面を介して熱が侵入した場合でも、接続部15Aにおいて熱の侵入経路を遮断することができる。
【0042】
図6に示す周縁接続部15の構造には種々の変形例がある。例えば、図7に示す変形例の場合、接続部15Bは、背面10Bの法線方向に平行な第1方向(図7のZ方向)において、前面部11と背面部12とが互い対向する対向部(第1対向部)15B1と、第1方向に対して直交以外の角度で傾斜する第2方向(例えば図7のθ方向)において、前面部11と背面部12とが互い対向する第2対向部15B2と、を含む。このように、周縁接続部15において、接続部15Bが互いに交差する複数の面を有することにより、筐体10の耐圧特性を向上させることができる。筐体10に高圧が印加された時に、圧力が印加される方向が多方向になるため、圧力のベクトルが相反力を生むことになるからである。また、この観点からは、第2対向部15B2の面積は大きい方が好ましい。
【0043】
次に、図5に示す支持部13の構造について説明する。上記したように、筐体10の周縁接続部15における防水性および耐熱性の観点からは、支持部13においてネジ14の締結力により、接続部15Aでは前面部11と背面部12とが断熱層50を挟んだ状態で固定され、接続部15Bでは、前面部11と背面部12とが封止材16Aを挟んだ状態で固定される構造になっていれば、接続方法は特には限定されない。ただし、ネジ14により前面部11と背面部12とを固定するので、ネジ14を挿入するネジ穴からの水分の侵入や熱の侵入を防止する対策が施されていることが好ましい。
【0044】
図8に示すように、支持部13は、断熱層50を挟んで前面部11と背面部12とが互いに対向する接続部13Aと、封止材16Bを挟んで前面部11と背面部12とが互いに対向する接続部13Bと、接続部13Aと接続部13Bとの間に配置されるストッパ部13Cと、を含む。接続部13Bは接続部13Aよりも筐体10の外側に設けられている。ネジ14の締結力により、接続部13Aでは前面部11と背面部12とが断熱層50を挟んだ状態で固定され、接続部13Bでは、前面部11と背面部12とが封止材16Bを挟んだ状態で固定される。このようにネジ14を挿入する部分において、図6図7を用いた周縁接続部15と同様の封止構造および断熱構造を採用することにより、ネジ14を挿入する部分からの水分や熱の侵入を防止することができる。なお、封止材16Bは、例えば図6を用いて説明した封止材16Aと同様の材料を用いることができる。
【0045】
図8に示す例の場合、ネジ14と筐体10と微細な隙間から水分が侵入する可能性はある。ただし、図8に示すように、ネジ14を介して前面部11と背面部12とが締結される接続部13Bにおいて、前面部11と背面部12との間に封止材16Bが配置されているので、仮に、水分が侵入した場合でも、接続部13Aにおいて水分の侵入を防止できる。また、後述する図9に示すようにネジ14と背面部12との界面に封止材16Cを介在させることにより、水分の侵入を防ぐ方法がある。あるいは、後述する図10に示すように、前面部11および背面部12の外側の表面を覆うカバー膜17を設け、ネジ14と背面部12との境界部分がカバー膜17に覆われるように構成することにより水分の侵入を防止する方法がある。
【0046】
また、接続部13Aおよび接続部13Bに加え、支持部13は、背面10Bと平行な方向(図8ではY方向)および背面10Bの法線方向(図8ではZ方向)における前面部11と背面部12の位置ずれを制御するストッパ部13Cを含んでいる。ストッパ部13Cは、互いに交差する2つ以上の面を備えている。ストッパ部13Cでは、2つ以上の面13CYおよび面13CZのそれぞれにおいて、前面部11および背面部12が直接的に接触する。図8に示す例の場合、ストッパ部13Cは、Y方向に延びる面13CYと、Z方向に延びる面13CZと、を有する。
【0047】
ストッパ部13Cにおいて、Y方向に延びる面13CYの位置で前面部11と背面部12とが互いに接触することにより、タブレット端末100(図5参照)の厚さ方向(Z方向)における位置ずれが制御される。この位置ずれ制御により、前面部11と背面部12との位置関係が設計された値以上に近づくことが防止できる。例えば、図8に示す接続部13Aにおいて、前面部11と背面部12とのZ方向における離間距離が近くなりすぎると、断熱層50を挟む力が過剰になり、断熱層50が過負荷により劣化する原因となる。本実施の形態の場合、ストッパ部13Cの面13CYにおいて、前面部11と背面部12とが接触するので、接続部13Aにおける前面部11と背面部12との離間距離は、予め設定された適切な値を維持することができる。この結果、断熱層50の過負荷による劣化を抑制できる。また、過剰な力で挟むことによる材料の劣化は、封止材16Bにおいても発生し得る。封止材16Bは、例えば弾性材料であり、適正な変位量であれば弾性変形により応力を緩和できる。しかし、変位量が過剰である場合には、弾性材料であっても劣化する原因になる。本実施の形態の場合、ストッパ部13Cの面13CYにおいて、前面部11と背面部12とが接触するので、接続部13Bにおける前面部11と背面部12との離間距離は、予め設定された適切な値を維持することができる。この結果、封止材16Bの過負荷による劣化を抑制できる。
【0048】
また、ストッパ部13Cにおいて、Z方向に延びる面13CZの位置で前面部11と背面部12とが互いに接触することにより、タブレット端末100(図5参照)の厚さ方向に対して交差する方向(図8の例ではY方向)における位置ずれが制御される。言い換えれば、ネジ14の締結力により前面部11の支持部13の開口部内に、背面部12の突出した部分が挿入されるが、ストッパ部13Cの面13CZにおいて前面部11と背面部12とが互いに接触することにより、面13CZがガイドとして機能する。この結果、タブレット端末100(図5参照)の厚さ方向に交差する方向において、前面部11と背面部12との位置関係がずれることをストッパ部13Cにより防止することができる。
【0049】
また、接続部13Bでは、前面部11の封止材16Bに接触する面11C2、および背面部12の封止材16Bに接触する面12C2のそれぞれには、粗面化処理が施されている。この粗面化処理は、図6を用いて説明した粗面化処理と同様である。粗面化処理を施すことにより、封止材16Bと前面部11および背面部12との密着強度を向上させることができる。封止構造としてゴムワッシャーを用いる場合、ゴムワッシャーのねじれにより、ゆがみが生じる場合がある。本実施の形態のように、粗面化処理を施す方法の場合、このようなゆがみが生じることを防止できるので、封止特性や耐久性の観点で性能を向上させることができる。また、封止材16Bの形成方法として、前面部11の面11C2、および背面部12の面12C2のいずれか一方に封止材16Bが形成される場合には、面11C2および面12C2のうち、いずれか一方(封止材16Bが形成される面)に粗面化処理を施す変形例もある。すなわち、接続部13Bでは、前面部11の封止材16Bに接触する面11C2、および背面部12の封止材16Bに接触する面12C2の少なくとも一方に粗面化処理が施されていれば、封止材16Bと筐体10との密着性を向上させることができる。
【0050】
また、ネジ14を挿入する部分からの水分の侵入を防止する方法として、図9に示す変形例もある。図9に示す変形例の場合、支持部13は、封止材16Cを挟んでネジ14と背面部12とが対向するネジ封止部13Dを備える。ネジ封止部13Dにおいて、背面部12の封止材16Cに接触する面12C3は、粗面化処理が施されている。ネジ封止部13Dにおいて、背面部12とネジ14との間に封止材16Cを介在させることにより、ネジ14と背面部12との隙間に侵入する水分を最小限にとどめることができる。なお、封止材16Cは、例えば図6を用いて説明した封止材16Aと同様の材料を用いることができる。また、図示は省略するが、ネジ14のうち、封止材16Cと密着する面に対して粗面化処理を施す変形例もある。この場合、ネジ14と封止材16Cとの密着性を向上させることができるので、ネジ14と封止材16Cとの界面からの水分の侵入をさらに確実に防止できる。
【0051】
また、ネジ14と封止材16Cとの接触面積を大きくする観点から、ネジ14のうち、封止材16Cと接触する面は、背面10Bに対して傾斜した面であることが好ましい。また、細菌やウィルスの侵入を防ぐため、封止材16Cは、背面部12に形成されたネジ穴のうち、可能な限り入口近辺に形成されることが好ましい。例えば、封止材16Cは、ネジ14のうち、ネジ山が形成された部分よりも背面10Bに近いネジ頭部分において封止材16Cと接触している。
【0052】
図10は、図3に対する変形例である携帯型情報端末装置の断面図である。図10に示すタブレット端末101は、筐体10がカバー膜17を有している点で図3に示すタブレット端末100と相違する。筐体10は、前面部11および背面部12の外側の表面を覆うカバー膜17を備える。少なくとも周縁接続部15の封止材16A、および支持部13のネジ14(詳しくはネジ14のネジ頭部)は、カバー膜17に覆われている。
【0053】
カバー膜17は、例えば、光透過性、耐熱性、耐水性、柔軟性(弾性)等を持つシリコーンゴム(またはシリコーン樹脂)等の材料で構成される。また、カバー膜17が、耐久性、耐摩耗性、耐圧性、あるいは洗浄容易性等の特性を備えていることがさらに好ましい。筐体10の内部空間に連通する開口部をカバー膜17で覆うことにより、開口部からの水分の侵入を防止することができる。なお、図10に示す例では、表示部20の表示面22、および放熱機構部70の放熱面72のそれぞれは、カバー膜17から露出している。変形例として、タブレット端末101の最外周の全体がカバー膜17に覆われる構造もある。例えば、カバー膜17が可視光透過性の材料から成る場合、表示面22がカバー膜17に覆われていても光を透過させることができる。ただし、放熱特性を向上させる観点からは、放熱面72の少なくとも一部分は、カバー膜17から露出していることが好ましい。
【0054】
一方、筐体10を開放して、内部の部品の修理や交換を容易に行えるようにする観点からは、カバー膜17により筐体10の全体が覆われていないことが好ましい。
【0055】
なお、本実施の形態では、前面部11と背面部12との接続方法(固定方法)の一例として、ネジ14を用いた接続方法について説明した。ただし、接続方法には種々の変形例が適用可能である。例えば、図示は省略するが、接着材を用いた圧着、融接、一体成形、化成処理による接合等の方法を用いることができる。
【0056】
<放熱機構部の構造例>
次に、図3に示す放熱機構部70および80の構造例について説明する。図3に示す放熱機構部70および80は、吸熱面側の熱を放熱面側に放出する特性を備え、かつ、放熱面側からの熱が吸熱面側に伝達されることを抑制する特性を備えていれば、種々の機構を利用することができる。また、放熱の程度や放熱状態を電気的に制御することができれば特に好ましい。本実施の形態では、上記のような放熱特性を備え、かつ、放熱の程度や放熱状態を電気的に制御することができる放熱機構部の例としてペルチェ効果を利用した放熱機構について説明する。なお、放熱機構部70および80のそれぞれは、互いに同じ構造にすることができるので、本セクションでは、代表例として放熱機構部70を取り上げて説明する。放熱機構部80は、放熱機構部70と同様にペルチェ素子層73およびペルチェ素子層を挟むセラミック板74Aおよび74Bからなるペルチェシートモジュール75を備えている。図11は、図3に示す放熱機構部の構造例を示す拡大断面図である。図12は、図11に示すペルチェ素子層において、複数のペルチェ素子がアレイ状に配列されたレイアウトの一例を示す平面図である。
【0057】
図11に示す放熱機構部70は、複数のペルチェ素子73A(図12参照)が配列されるペルチェ素子層73を含んでいる。詳しくは、放熱機構部70は、ペルチェシートモジュール75、および放熱部材76を備えている。ペルチェシートモジュール75は、吸熱面71を持つセラミック板74Aと、ペルチェ素子層73と、ペルチェ素子層73を介してセラミック板74Aの反対側に配置されるセラミック板74Bと、を有する。放熱部材76は、筐体10から露出する放熱面72を持つ放熱板76Aと、放熱板76Aおよびペルチェシートモジュール75の間に配置され、セラミック板74Bおよび放熱板76Aのそれぞれと熱的に接続される導熱部材76Bと、を有する。
【0058】
図12に示すように、複数のペルチェ素子73Aは、例えばマトリックス上に配列され、ペルチェ素子アレイを構成する。複数のペルチェ素子73Aのそれぞれは、互いに電気的に接続されている。複数のペルチェ素子73Aは、セラミック板74B上に搭載され、ペルチェ素子73Aの一方の面(吸熱面)がセラミック板74Aに接し、その反対面(放熱面)がセラミック板74Bに接する。セラミック板74Aおよび74Bの間において、複数のペルチェ素子73Aは例えば樹脂などの封止材により封止されている。
【0059】
また、図11に模式的に示すように、ペルチェ素子層73は、二次電池90に電気的に接続されている。二次電池90は、データ処理部品41と電気的に接続され、データ処理部品41から出力されるコマンド信号により、ペルチェ素子層73への電力供給のオン-オフが制御されている。ペルチェ素子層73に電力が供給されている間は、吸熱面71から熱が吸熱され、放熱面72から熱が放熱される。このように放熱機構部70の放熱状態を電気的に制御できれば、装置全体としての電力消費量を低減させることができる。例えば、タブレット端末100(図1参照)の使用時には、電子回路部品40の温度を検出し、その温度に基づいて、放熱機構部70(および放熱機構部80)のオン-オフ状態を制御する。また、オートクレーブによる滅菌処理に供される時には、放熱機構部70(および放熱機構部80)に電力を供給することで、放熱機構部70からの熱の侵入を防止することができる。このように本実施の形態の場合、図4に示す複数の電子回路部品40のうちの一つであるデータ処理部品41により、放熱機構部70の動作状態が制御される。このため、タブレット端末100を使用せず、かつ、オートクレーブによる滅菌処理に供されていない場合には、放熱機構部70への電力供給を停止できるので、全体としての消費電力を低減できる。
【0060】
放熱機構部70を構成する材料は、筐体10や断熱層50を構成する材料と比較して熱伝導率が高い材料を用いている。しかし、放熱機構部70を駆動することにより、熱の伝達方向を制御することができるので、筐体10の内部にある電子回路部品40が熱影響により損傷することを防止できる。
【0061】
ところで、放熱機構部70としての機能は、ペルチェシートモジュール75のみで達成することができるが、水分によるペルチェシートモジュール75の誤動作を防止する観点から、図11に示すような構成が好ましい。すなわち、筐体10には、放熱部材76が取り付けられ、ペルチェシートモジュール75は、筐体10の内側に取り付けられている。放熱部材76は、筐体10に埋め込まれている。図11に示す例では、放熱部材76は、二枚の板状部材の間に配置される複数の柱76Cを介して二枚の板状部材が接続された構造を備える。複数の柱76Cの周囲には、筐体10を構成する材料が埋め込まれている。このような構造は、例えば放熱部材76の構造物を製造した後、放熱部材76の柱76Cを封止するように筐体10の材料をインサート成形することで、複数の柱76Cが筐体10でモールドされた図11に示す構造が得られる。この構造の場合、ペルチェシートモジュール75が筐体10の内部に配置されているので、水分の影響、あるいは圧力による変形に起因してペルチェ素子73A(図12参照)が誤動作することを防止できる。また、放熱部材76が筐体10に埋め込まれるように取り付けられているので、筐体10の内部への水分の侵入を抑制することができる。
【0062】
なお、図11に示す例では、放熱板76Aと導熱部材76Bとを別部材として形成する例を示している。この場合、放熱板76Aと導熱部材76Bとを互いに異なる材料により形成することができる。例えば、導熱部材76Bは、熱伝導特性を考慮してアルミニウム等により構成され、一部が筐体の外部に露出する放熱板76Aは、耐腐食性を考慮してステンレス鋼などにより構成される。ただし、変形例としては、放熱板76Aと導熱部材76Bとを同じ材料で一体に形成してもよい。
【0063】
<近赤外線対策>
次に、筐体10の内部温度が上昇する原因の一つとして、近赤外線の侵入を防止する対策について説明する。上記した<断熱防止構造および封止構造>のセクションで説明した構造により、筐体10内部への熱の侵入を防ぐことができる。ただし、本願発明者の検討によれば、近赤外線が外部から筐体10内に侵入すると、筐体10の内部に配置された部品が近赤外線により加熱されることによる温度上昇の可能性があることが判った。オートクレーブによる滅菌処理を施す際に、例えばヒータで圧力釜内部を直接加熱する場合がある。この時、ヒータから発せられる近赤外線の波長域は、0.7~2.5μm程度の波長を持つ。以下では、上記したタブレット端末100に対する変形例として、近赤外線対策としての好ましい態様について説明する。
【0064】
近赤外線による部品の加熱に着目した場合、図3に示す断熱層50や60を設けていた場合でも、近赤外線が通過してしまえば内部の部品が加熱されてしまう。そこで、本変形例では、近赤外線の侵入を防止するための機能層を設けた構成例について説明する。図13は、図3に対する他の変形例である携帯型情報端末装置において、筐体の周辺構造の一例を示す拡大断面図である。図14は、図13に対する変形例である。
【0065】
図13に示す変形例のタブレット端末102は、筐体10と断熱層50との間に近赤外線の侵入を阻害する近赤外線遮蔽層18が配置されている点で図3に示すタブレット端末100と相違する。近赤外線遮蔽層18は、筐体10側から順に、筐体10よりも近赤外線の吸収特性が高い近赤外線吸収層18Aと、筐体10よりも近赤外線の反射率が高い近赤外線反射層18Bとの積層膜から成る。
【0066】
例えば、図13に矢印で模式的に示すように、背面10B側から近赤外線が照射された場合を検討する。近赤外線は、筐体10を透過して近赤外線吸収層18Aにより吸収される。近赤外線吸収層18Aで吸収されなかった近赤外線の大部分は近赤外線反射層18Bにより反射される。この結果、近赤外線遮蔽層18の内側に配置された断熱層50に到達する近赤外線の量を低減させることができる。近赤外線吸収層18Aで吸収されたエネルギーは熱エネルギーに変換される。すなわち、近赤外線吸収層18Aが加熱される。圧力釜内の温度は、予め規定された温度(例えばクラスBのオートクレーブであれば137℃)以上には上がらないので、反射された熱は、背面10B側から外部に放散される。一方、近赤外線吸収層18Aで発生した熱は、断熱層50により断熱されるので、断熱層50の内側への熱の侵入を抑制できる。このように、本変形例によれば、外部からの近赤外線の侵入を抑制することができる。また、近赤外線吸収層18Aが加熱され易い点に着目すれば、オートクレーブを用いた滅菌処理において、近赤外線をタブレット端末102に照射すれば、タブレット端末102の表面における滅菌処理の効率を向上させることができる。
【0067】
また、図13では、断熱層50の外側における近赤外線対策の例を示したが、図3に示す断熱層60の外側に図13に示す近赤外線遮蔽層18が設けられる場合がある。この場合、断熱層50を通過した近赤外線により断熱層60の内部の部品が加熱されることを防止できる。
【0068】
また、図14に示す変形例のタブレット端末103のように、筐体10の背面10Bが近赤外線吸収層18Cにより覆われている場合がある。また、図14では、背面10B周辺の拡大図として示しているが、筐体10の全体が近赤外線吸収層18Cにより覆われている場合がある。近赤外線吸収層10Cは、近赤外線吸収層18Aと同じ材料から成る。この場合、背面10Bにおける滅菌効果をさらに向上させることができる。
【0069】
近赤外線吸収層18Aおよび18Cを構成する材料の例として、カーボンブラックから成る膜を挙げることができる。また、近赤外線反射層として、酸化チタンから成る膜を例示することができる。近赤外線吸収層18Cにカーボンブラックを設ける場合、カーボンブラックの損傷を抑制する観点から、近赤外線吸収層18Cを覆う表面保護膜(例えば、図10のカバー膜17を参照)が設けられていることが好ましい。
【0070】
また、図13および図14では、近赤外線対策の一例を示したが、種々の変形例が適用可能である。例えば、図14に示す構成において、近赤外線吸収層18Aが配置されない構成例がある。あるいは、筐体10にカーボンブラックなどの近赤外線吸収材料を混合することにより、筐体10自体を近赤外線吸収部材として機能させる場合もある。この場合、近赤外線吸収層18Aおよび18Cの一方または両方を省略することができる。また、近赤外線吸収層18Cと筐体10との間に近赤外線反射層18Bを配置してある場合もある。この場合、筐体10と断熱層50との間の近赤外線遮蔽層18は省略できる。ただし、この場合、近赤外線反射層18Bに熱が伝わる前に、近赤外線吸収層18Cにより十分に熱を吸収する必要がある。
【0071】
<表示部>
次に、図11に示す表示部20における断熱対策について説明する。図11に示すように表示部20の表示面22は、筐体10から露出する。また、表示面22には、可視光透過性が要求されるので、材料選択に制限がある。以下では、断熱性、耐水性、耐熱性、耐圧性、耐薬品性、あるいは耐摩耗性などを考慮した表示部の好ましい構成について説明する。図15は、図11に示す表示部のうち、表示面を持つ透明基板の構成例を示す説明図である。
【0072】
図11に示す表示部20は、表示面22を持ち、かつ、可視光透過性を備える透明基板23(図15参照)を含む。図15に示すように、透明基板23は、複数の透明樹脂層23Aと、複数の透明樹脂層23Aの間に挟まれ、複数のシリカ粒子を含有するシリカフィルム層23Bと、を備える。透明樹脂層23Aとシリカフィルム層23Bとは、交互に積層されている。透明樹脂層23Aは、オートクレーブによる加熱処理温度(例えば134℃)以下では変質しない耐熱特性を備える。また、シリカフィルム層23Bは、透明樹脂層23Aよりも断熱特性が高い。すなわち、透明基板23は、断熱フィルムと、耐熱フィルムとの積層構造になっている。この構成により、透明基板23からの熱の侵入を抑制することができる。なお、図15では、一例として、透明樹脂層23Aが3層、シリカフィルム層23Bが2層である例を示しているが、種々の変形例が適用できる。例えば、最小の構成としては、透明樹脂層23Aが2層、シリカフィルム層23Bが1層の構成がある。また、透明樹脂層23Aが3層より多く、シリカフィルム層23Bが2層より多い場合がある。
【0073】
シリカフィルム層23Bを構成するシリカフィルムは、高い透明度と、高い断熱性と、を両立させることが可能な板状部材である。シリカフィルムに含まれるシリカ成分の割合が高くなるほど、断熱特性を向上させることができる。一方、シリカフィルムの機械的な強度はそれほど高くない。本実施の形態の場合、図10に示すように、筐体10(詳しくは筐体10の前面部11)には、表示部20を収容する凹部25が形成されている。表示部20は、筐体10の凹部25に埋め込まれている。この構造の場合、表示部20は、筐体10により支持される。このため、表示部20に圧力が印加された場合でも表示部20の変形や機能の劣化を防ぐことができる。
【0074】
また、表示部20に画像や映像を表示するためには表示部20を電気的に駆動する必要がある。この表示部20を駆動するための電子回路部品40(本実施の形態の場合、図4に示すデータ処理部品41)は、断熱層60内に配置されていることが好ましい。これにより、透明基板23から熱が侵入した場合でも、その熱を断熱層60により遮断することができる。
【0075】
なお、図1に示す例では、表示面22の大きさは、通常のタブレット端末やスマートフォンのような電子機器の場合と違って、筐体10の前面10A(図3参照)の平面積に対して、例えば半分以下の小さい面積のものとなっている。その理由としては、次のとおりである。すなわち、オートクレーブ装置での滅菌時における高温に対しての断熱構造を確かなものにするため、表示面22の存在する部分はその筐体10内部の体積が、あるいは厚みが少なくなる。もし、表示面22を大きくすると、その分厚みも増して使い難くなる。そのため、表示面22を小さくすることにより、表示面22の存在しない部分に強固な断熱構造を確立して、そこの部分に電子回路部品などを収納して熱から守ろうとするものである。しかし、断熱技術や電子機器の耐熱性の向上に伴い、タブレット端末101は薄くなり、表示面22は大きくなることで、使用し易くなって行くことが期待される。したがって、タブレット端末100の厚さや、表示面22の大きさ等はあくまでも例示であり、何らこれらの例に制限されるものではない。
【0076】
また、表示部20に係る別の変形例として、図16に示す実施態様がある。図16は、図1に対する変形例を示す平面図である。図16に示すタブレット端末104は、図1に示す表示部20を有していない点で、図1に示すタブレット端末100と相違する。タブレット端末104は、筐体10の内部に、外部機器との間で無線通信を行う通信回路94を備える。タブレット端末100の前面10Aに指や入力治具を接触させてコマンドを入力すると、コマンドに応じた信号が通信回路94を介して外部の表示装置24に出力される。この結果、表示装置24の表示面22には、コマンドに応じた画像または映像が出力される。この変形例によれば、図16に示すように、筐体10の外部に露出する表示面22を有していないので、筐体の断熱構造を強化することができる。
【0077】
<他の変形例>
次に、上記した実施形態や各種の変形例以外の代表的な変形例についていくつか説明する。図17は、図3に対する他の変形例である携帯型情報端末装置の断面図である。図17に示すタブレット端末105は、放熱機構部70と放熱機構部80とが、セラミック基板(導熱板)77を介して熱的に接続されている点で図3に示すタブレット端末100と相違する。セラミック基板77は、放熱機構部70の吸熱面71および放熱機構部80の放熱面82にそれぞれ接する。これにより、断熱層60内の熱を筐体10の外部に放出する熱効率が向上する。なお、近赤外線による加熱対策を考慮すると放熱機構部70と放熱機構部80とを熱的に接続する導熱板は、金属材料以外の材料で構成されることが好ましい。ただし、放熱特性を考慮して、セラミック基板77を金属製の導熱板に置き換える場合がある。
【0078】
図18は、図3に対する他の変形例である携帯型情報端末装置を示す断面図である。図18に示すタブレット端末106は、図3に示す断熱層60および放熱機構部80を有していない点で図3に示すタブレット端末100と相違する。断熱層50および放熱機構部70により十分な断熱が実現可能な場合には、図1に示す断熱層60を設けない場合もある。この場合、二次電池90や基板30は、放熱機構部70の吸熱面71上に搭載されることが好ましい。
【0079】
図19は、図8に示す前面部と背面部との接続部の周辺の変形例を示す拡大断面図である。図19に示す接続部13Bでは、封止材16Bとネジ14との間に、スペーサ部材19が配置されている点で、図8に示す実施態様と相違する。スペーサ部材19は、前面部11および背面部12のうち、いずれか一方と一体に形成される筒状の部材である。スペーサ部材19の内壁には、ネジ山が形成されており、このネジ山に沿ってネジ14を挿入することができる。スペーサ部材19は、前面部11および背面部12の一方と一体に形成され、スペーサ部材19の一部分は、前面部11および背面部12の他方と接触している。このスペーサ部材19は、封止材16Bの厚さが過剰に薄くなることを防止するスペーサとして機能する。また、スペーサ部材19を設けることにより、封止材16Bとネジ14とが直接的に接触することを防止できる。なお、図19に示す例では、スペーサ部材19は前面部11と一体に形成され、かつ、背面部12に接触している。図示は省略するが、図19に対する変形例として、スペーサ部材19が背面部12と一体に形成され、かつ、前面部11と接触する構造になっている場合もある。
【0080】
図20は、図19に対する変形例を示す拡大断面図である。図20に示す変形例は、スペーサ部材19Aの形状が図19に示すスペーサ部材19とは相違する。スペーサ部材19Aは、背面部12と対向する位置に突出部19A1を備えている。また、背面部12は、スペーサ部材19Aと対向する位置に、溝部12Aを備えている。スペーサ部材19Aと背面部12とが接触している状態において、突出部19A1は溝部12A内に挿入されている。この変形例の場合、図19に示す例と比較してY方向における位置合わせ精度を向上させることができる。より詳しくは、本変形例によれば、図1に示すX方向およびY方向を含むX-Y平面内の各方向における位置合わせ精度を向上させることができる。この結果、背面部12および前面部11が備えるネジ穴にネジ14を容易に挿入することができる。
【0081】
図21は、図7に対する変形例を示す拡大断面図である。図22は、図4に対する変形例を示す平面図である。図22では、図7に示すスペーサ部材19Bおよび溝部12Bを配置する位置を示している。図19および図20を用いて説明したように、前面部11と背面部12との間に封止材16Bが挟まれる部分にスペーサ部材19(図19参照)やスペーサ部材19A(図20参照)を設けることで、封止材16Bの厚さが過剰に厚くなることを防止できる。また、図20に示すように、スペーサ部材19Aの先端に突出部19A1を設け、背面部12の溝部12Aと勘合させることにより、図1に示すX方向およびY方向を含むX-Y平面内の各方向における位置合わせ精度を向上させることができる。このようなスペーサ部材19や19Aを配置する位置は、ネジ14が挿入される場所には限定されない。図21に示す例では、接続部15Aおよび接続部15Bのそれぞれにおいて、スペーサ部材19Bが設けられている。スペーサ部材19Bは、前面部11および背面部12の一方と一体に形成され、スペーサ部材19Bの一部分は、前面部11および背面部12の他方と接触している。図21に示す例では、背面部12は、スペーサ部材19Bと対向する位置に、溝部12Bを備えている。スペーサ部材19Bと背面部12とが接触している状態において、スペーサ部材19Bの先端部分は溝部12B内に挿入されている。
【0082】
図21に示す変形例の場合、接続部15Bにスペーサ部材19Bを設けることにより、封止材16Bの厚さが過剰に薄くなることを防止できる。同様に、接続部15Aにスペーサ部材19Bを設けることにより、断熱層50の厚さが過剰に薄くなることを防止できる。また、図21に示すように、スペーサ部材19Bと背面部12の溝部12Bとを勘合させることにより、図1に示すX方向およびY方向を含むX-Y平面内の各方向における位置合わせ精度を向上させることができる。
【0083】
スペーサ部材19Bは、図19に示すスペーサ部材19とは異なり、ネジ14は挿入されない。したがって、スペーサ部材19Bの形状は特に限定されず、例えば円柱状、あるいは角柱状など、種々の形状の実施例が適用可能である。また、溝部12Bの形状は、スペーサ部材19Bの形状により規定される。すなわち、スペーサ部材19Bの先端部分を溝部12Bに挿入することにより前面部11と背面部12とを勘合させる必要があるので、溝部12Bは、スペーサ部材19Bの先端部分を挿入可能であり、かつ勘合可能な形状になっている。また、スペーサ部材19Bを配置するため、封止材16Aや断熱層50は、スペーサ部材19Bを挿入可能な貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0084】
図22に示すように、タブレット端末100の平面視において、周辺領域の複数個所に図21に示すスペーサ部材19Bおよび溝部12Aを設けることにより、X-Y平面における前面部11と背面部12との位置合わせを高精度で行うことができる。図21に示すように、平面視において、タブレット端末100が四辺形を成す場合には、タブレット端末100の各辺が交差する4つの角部のそれぞれには、スペーサ部材19Bおよび溝部12Aが設けられていることが好ましい。また、4つの角部の間にスペーサ部材19Bおよび溝部12Aがさらに設けられていることが好ましい。また、タブレット端末100が備える4辺が長辺と短辺とを備えている場合、長辺に沿った複数の箇所にスペーサ部材19Bおよび溝部12Aが設けられていることが好ましい。なお、図示は省略するが、図22に例示する箇所以外の場所にスペーサ部材19Bおよび溝部12Aが設けられる場合もある。例えば、図8に示す接続部13Aや接続部13Bに、図21に示すスペーサ部材19Bおよび溝部12Aが設けられている場合もある。
【0085】
以下、上述の通り説明した技術を代表例として携帯型情報端末装置に適用した場合の技術的思想を付記として記載する。
【0086】
[付記1]
オートクレーブ装置内における水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場で使用できる携帯型情報端末装置であって、
前面、および前記前面の反対側の背面を備える筐体と、
前記筐体の内部空間内に配置された基板と、
前記基板に実装された電子回路部品と、
前記筐体に沿って設けられた第1断熱層と、
前記第1断熱層の内側の空間の熱を前記筐体の外部に排出することが可能な第1放熱機構部と、
を有する、携帯型情報端末装置。
[付記2]
付記1において、
前記第1断熱層と離間し、かつ、前記基板および前記電子回路部品を包囲するように設けられた第2断熱層と、
前記第2断熱層に囲まれた空間の熱を前記第1断熱層と前記第2断熱層との間に排出することが可能な第2放熱機構部と、
をさらに有する携帯型情報端末装置。
[付記3]
付記2において、
前記第1放熱機構部は、前記第1断熱層の内部に露出する第1吸熱面と、前記第1吸熱面の反対側に位置し、前記筐体の外部に露出する第1放熱面と、を有し、
前記第2放熱機構部は、前記第2断熱層の内部に露出する第2吸熱面と、前記第2吸熱面の反対側に位置し、前記第2断熱層の外部に露出する第2放熱面と、を有する、携帯型情報端末装置。
[付記4]
付記3において、
前記第1吸熱面と、前記第2放熱面とは互いに対向する、携帯型情報端末装置。
[付記5]
付記1~4のいずれか1つにおいて、
前記筐体は、前記前面を備える前面部と、前記前面部の反対側に位置する背面部と、前記前面部と前記背面部とがネジによって固定される支持部と、前記筐体の周縁部において前記前面部と前記背面部とが互いに接続される周縁接続部と、を有し、
前記第1断熱層は、前記筐体の内面側に接し、
前記周縁接続部は、
前記第1断熱層を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第1接続部と、
第1封止材を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第2接続部と、
を含み、
前記第2接続部は前記第1接続部よりも前記筐体の外側に設けられ、
前記支持部において前記ネジの締結力により、前記第1接続部では前記前面部と前記背面部とが前記第1断熱層を挟んだ状態で固定され、前記第2接続部では、前記前面部と前記背面部とが前記第1封止材を挟んだ状態で固定される、携帯型情報端末装置。
[付記6]
付記5において、
前記第2接続部では、前記前面部の前記第1封止材に接触する面、および前記背面部の前記第1封止材に接触する面の少なくとも一方には、粗面化処理が施されている、携帯型情報端末装置。
[付記7]
付記5において、
前記第2接続部は、前記背面の法線方向に平行な第1方向において、前記前面部と前記背面部とが互い対向する第1対向部と、前記第1方向に対して直交以外の角度で傾斜する第2方向において、前記前面部と前記背面部とが互い対向する第2対向部と、を含む、携帯型情報端末装置。
[付記8]
付記5において、
前記支持部は、
前記第1断熱層を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第3接続部と、
第2封止材を挟んで前記前面部と前記背面部とが互いに対向する第4接続部と、
を含み、
前記第4接続部は前記第3接続部よりも前記筐体の外側に設けられ、
前記第3接続部では、前記ネジの締結力により、前記前面部と前記背面部とが前記第1断熱層を挟んだ状態で固定され、
前記第4接続部では、前記ネジの締結力により、前記前面部と前記背面部とが前記第2封止材を挟んだ状態で固定される、携帯型情報端末装置。
[付記9]
付記8において、
前記支持部は、前記第3接続部と前記第4接続部との間に配置され、前記背面に平行な方向および前記背面の法線方向における前記前面部と前記背面部の位置ずれを制御するストッパ部をさらに含み、
前記ストッパ部は、互いに交差する2つ以上の面を備え、
前記前面部および前記背面部を固定した状態において、前記ストッパ部では、前記2つ以上の面のそれぞれにおいて、前記前面部および前記背面部が直接的に接触する、携帯型情報端末装置。
[付記10]
付記8において、
前記第4接続部では、前記前面部の前記第2封止材に接触する面、および前記背面部の前記第2封止材に接触する面の少なくとも一方には、粗面化処理が施されている、携帯型情報端末装置。
[付記11]
付記8において、
前記支持部は、第3封止材を挟んで前記ネジと前記背面部とが対向するネジ封止部を備え、
前記ネジ封止部において、前記背面部の前記第3封止材に接触する面は、粗面化処理が施されている、携帯型情報端末装置。
[付記12]
付記5において、
前記筐体は、前記前面部および前記背面部の外側の表面を覆うカバー膜を備え、
少なくとも前記周縁接続部の前記第1封止材、および前記ネジは、前記カバー膜に覆われている、携帯型情報端末装置。
[付記13]
付記8において、
前記第4接続部には、前記第2封止材と前記ネジとの間に、スペーサ部材が配置され、
前記スペーサ部材は、前記前面部および前記背面部のいずれか一方と一体に形成され、かつ、他方と接触する、携帯型情報端末装置。
[付記14]
付記1において、
前記第1放熱機構部は、複数のペルチェ素子が配列されたペルチェ素子層を含んでいる、携帯型情報端末装置。
[付記15]
付記14において、
前記ペルチェ素子層への電力の供給は、前記電子回路部品により制御される、携帯型情報端末装置。
[付記16]
付記14において、
前記ペルチェ素子層は、前記筐体の内部に配置されている、携帯型情報端末装置。
[付記17]
付記1において、
前記筐体と前記第1断熱層との間に配置され、近赤外線の侵入を阻害する近赤外線遮蔽層を更に有し、
前記近赤外線遮蔽層は、前記筐体側から順に配置される近赤外線吸収層および近赤外線反射層を含む積層膜であって、
前記近赤外線吸収層は、前記筐体よりも近赤外線の吸収特性が高く、
い前記近赤外線反射層は、前記筐体よりも近赤外線の反射率が高い、携帯型情報端末装置。
[付記18]
付記1において、
前記筐体の前面部に取り付けられ、前記前面部から露出する表示面を持つ表示部をさらに有し、
前記表示部は、前記表示面を持ち、かつ、可視光透過性を備える透明基板を含み、
前記透明基板は、
複数の透明樹脂層と、
前記複数の透明樹脂層の間に挟まれ、複数のシリカ粒子を含有するシリカフィルム層と、
を備え、
前記透明樹脂層は、前記オートクレーブ装置による加熱処理温度以下では変質しない耐熱特性を備え、
前記シリカフィルム層は、前記透明樹脂層よりも断熱特性が高い、携帯型情報端末装置。
[付記19]
付記18において、
前記第1断熱層と離間し、かつ、前記基板および前記電子回路部品を包囲するように設けられた第2断熱層と、
前記第2断熱層に囲まれた空間の熱を前記第1断熱層と前記第2断熱層との間の空間に排出することが可能な第2放熱機構部と、
をさらに有し、
前記表示部を駆動する電子回路部品は、前記第2断熱層内に配置されている、携帯型情報端末装置。
[付記20]
付記18において、
前記筐体には、前記表示部を収容する凹部が形成され、
前記表示部は、前記筐体の前記凹部に埋め込まれ、保持されている、携帯型情報端末装置。
【0087】
<携帯型情報端末装置以外の電子機器に適用した場合の変形例>
また、上記では、携帯型情報端末装置に特に好適な技術について説明したが、上記した技術は、携帯型情報端末装置以外の種々の電子機器に適用可能である。例えば、図5図10を用いて説明した断熱構造および封止構造に係る技術、あるいは、図2図3図11図17、および図18を用いて説明した放熱技術は、オートクレーブによる滅菌処理に供される種々の電子機器に適用可能である。特に、演算処理回路を備える半導体部品が内蔵されている電子機器の場合、熱等による性能低下の課題が顕在化し易い。したがって、上記した技術を、演算処理回路を備える半導体部品が内蔵されている電子機器に適用することは有効である。上記した技術思想が適用される電子機器の例として以下のものが例示できる。すなわち、今までその一部に電子回路部品があるためにオートクレーブ滅菌が不可能であったが、それを可能にすることが望まれる医療機器(人体や動物、微生物など生物全般のヘルスケア領域において)としての電子機器に適用して好適である。
【0088】
以下では、図23図25を用いて口腔内カメラ200に適用した場合の変形例を説明し、図26図28を用いて光重合ライト300に適用した場合の変形例を説明する。なお、図23図28において、電子機器の構成部品に付した符号は、図3に示すタブレット端末100または図18に示すタブレット端末106の構成部品に付した符号に対応している(口腔内カメラ200の部品には200番台の符号を付し、光重合ライト300の部品には300番台の符号を付している)。このため、既に説明した部品と同様の部品に関しては、詳細な説明を省略する。
【0089】
図23は、図1に示すタブレット端末に対する変形例としての電子機器である口腔内カメラの側面図である。図24は、図23に示す口腔内カメラを下面側から視た平面図である。図25は、図24のC-C線に沿った断面図である。図23図25に示す口腔内カメラ200は、オートクレーブ装置内における水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場で使用できる電子機器の変形例である。
【0090】
図23図25に示す口腔内カメラ200は、筐体210と、筐体210の内部空間内に配置された基板230と、基板230に実装された電子回路部品240と、筐体210に沿って設けられた断熱層250と、放熱機構部270と、を有している。図25に示す例では、口腔内カメラ200は、断熱層250と離間し、かつ、基板230および電子回路部品240を包囲するように設けられた断熱層260と、断熱層260に囲まれた空間の熱を断熱層250と断熱層260との間に排出することが可能な放熱機構部280と、をさらに有する。筐体210は、本体部210Aおよび本体部210Aから延びた延在部210Bより成る。図25では、基板230上に実装された電子回路部品240の例として、ICチップ241と、イメージキャプチャ242と、を示している。電子回路部品240は演算処理回路を有する。筐体210の内部空間には、基板230および電子回路部品の他、種々の電子部品(電子素子)が内蔵されている。図25では、筐体210の内部空間に配置された電子部品の例として、充電コイル291と、2つの二次電池290と、光源素子202と、断熱層250と、断熱層260と、放熱機構部270と、放熱機構部280と、を例示している。電子部品のうち、2つの二次電池290は、断熱層260内に配置されている。充電コイル291は、筐体210と断熱層250との間に配置されている。ただし、各電子部品の種類、数、およびレイアウトは、図25に示す態様に限定されず、各電子部品の耐熱性や環境変化に対する耐久性に応じて種々の変形例がある。例えば、二次電池290の耐熱性が高い場合には、二次電池290が断熱層250と断熱層260との間に配置される場合がある。
【0091】
口腔内カメラ200の延在部210Bの先端の背面側には、開口部201が形成され、この開口部201には、光学素子または撮像素子としての写真撮影用のカメラ用レンズ292が嵌装されている。カメラ用レンズ292は、延長部210Bの内部に挿通される伝送部293によって、イメージキャプチャ209と光学的に接続されている。伝送部293は、例えばグラスファイバのような光ファイバで形成することができる。なお、カメラ用レンズ292および光ファイバを介して画像または映像情報を、イメージキャプチャに伝送する方法の他、ロッドレンズや鏡筒などの光学素子を利用して伝送する方法も有効である。
【0092】
また、図25に示す例では、口腔内カメラ200は筐体210内に光源素子202が内蔵されている。光源素子202は、例えば発光ダイオードなどの光源を備えた光学素子であり、口腔内を照明する光の供給源として利用される。光源素子202は、光伝送部203を介してカメラ用レンズ292に光学的に接続されている。光伝送部203は、伝送部293と同様に、例えばグラスファイバのような光ファイバで形成することができる。光源素子202から出射された照明光は、光伝送部203を介してカメラ用レンズ292に到達し、カメラ用レンズ292を介して口腔内カメラ200の外部に照射される。
【0093】
図25は、図3に対する変形例として説明したが、図25に示す口腔内カメラ200の変形例として、図1図22を用いて説明した各種の実施態様を部分的に組み合わせて適用することができる。例えば、口腔内カメラ200の筐体210の構造として、図5図11図19図22を用いて説明した筐体10のうち、いずれか一つ以上を適用することができる。また、例えば、図10に示すタブレット端末101が備えるカバー膜17により、図25に示す筐体210が覆われた構造とすることができる。また、図25に示す口腔内カメラ200と、図13に示すタブレット端末102の構造、図14に示すタブレット端末103の構造、図16に示すタブレット端末104の構造、図17に示すタブレット端末105の構造、あるいは図18に示すタブレット端末106の構造とを組み合わせることができる。
【0094】
図26は、図18に示すタブレット端末に対する変形例としての電子機器である光重合ライトの側面図である。図27は、図26に示す光重合ライトを下面側から視た平面図である。図28は、図27のD-D線に沿った断面図である。図26図28に示す光重合ライト300は、オートクレーブ装置内における水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場で使用できる電子機器の変形例である。
【0095】
図26図28に示す光重合ライト300は、筐体310と、筐体310の内部空間内に配置された基板330と、基板330に実装された電子回路部品340と、筐体310に沿って設けられた断熱層350と、放熱機構部370と、を有している。筐体310には、スイッチ305が取り付けられている。図28では、基板330上に実装された電子回路部品340の例として、ICチップ341を示している。筐体310の内部空間には、基板330および電子回路部品340の他、種々の電子部品(電子素子)が内蔵されている。図28では、筐体310の内部空間に配置された電子部品の例として、二次電池390と、充電コイル391と、光源素子302と、断熱層350と、放熱機構部370と、を例示している。
【0096】
光重合ライト300の筐体310の先端の背面側には、開口部301が形成され、この開口部301には、光源素子302からの光を外部に照射するための光照射レンズ392が嵌装されている。光照射レンズ392は、筐体310の内部に挿通される伝送部303によって、光源素子302と光学的に接続されている。伝送部303は、例えばグラスファイバのような光ファイバで形成することができる。光照射レンズ392および充電コイル391は、断熱層350の外部に配置されている。
【0097】
また、ICチップ341および光源素子302のそれぞれは、基板330に搭載されている。ICチップ341および光源素子302は、基板330に形成された配線(図示は省略)を介して電気的に接続されている。スイッチ305は、伝送部306を介して基板330上のICチップ341と電気的に接続されている。伝送部306は、例えば、電線などの導電性ケーブルで形成することができる。ICチップ341は、スイッチ305からのコマンド信号に基づいて光源素子302の動作を制御する制御回路を有している。
【0098】
図28に対する変形例として、光源素子302を光照射レンズ392の近傍に配置する場合がある。この場合、光源素子302は基板330上に搭載されず、図示しない電線などの導電性ケーブルを介してICチップ341と電気的に接続される。
【0099】
光源素子302は、例えば発光ダイオードなどの光源を備えた光学素子であり、例えば歯科治療において、光を照射することにより重合する特性を備えたレジンを硬化させるための光源として利用される。また、光の出力や周波数を調整することにより、光重合ライト300を光治療器として用いることもできる。
【0100】
なお、図28は、図18に対する変形例として説明したが、図28に示す光重合ライト300の変形例として、図1図22を用いて説明した各種の実施態様を部分的に組み合わせて適用することができる。例えば、光重合ライト300において、図3に示すタブレット端末100と同様に、基板330の周囲に断熱層を追加して、二重の断熱層を備えた構造にすることができる。また、例えば、光重合ライト300の筐体310の構造として、図5図11図19図22を用いて説明した筐体10のうち、いずれか一つ以上を適用することができる。また、例えば、図10に示すタブレット端末101が備えるカバー膜17により、図28に示す筐体310が覆われた構造とすることができる。また、図13に示すタブレット端末102の構造、図14に示すタブレット端末103の構造、あるいは図17に示すタブレット端末105の構造と組み合わせて適用することができる。
【0101】
また、上記した変形例の他、本願において開示された技術は、以下のような電子機器に適用することができる。
【0102】
大型でオートクレーブ滅菌器に収納不可能な場合は、汚染頻度の高い部品のみ着脱可能として滅菌することを前提とする。例えば操作パネルなどは容易にそれが実現可能である。あるいは、その他の部品も分解小型化することでオートクレーブ装置にて滅菌操作できるような改良がされた場合もこの範疇に入るものとする。重篤な感染症の病原菌などでこれらの機器が汚染された場合、オートクレーブ装置などの滅菌可能な部分以外は強い薬液やガス消毒、焼却などにより感染拡大を阻止する必要が生じる可能性があるからである。また、医療とは人に対するものだけでなく動物や微生物など、獣医学やバイオや遺伝子治療や遺伝子工学や薬学や製薬・調薬、その他の感染を対象とする研究など、生物全般のヘルスケアや研究全般を示すものとする。
【0103】
1.大型医療機器の操作パネル(手術ロボット、CT、MRI、PET、SPECT、シンチグラフィ、ガンマカメラ、アンギオグラフィ、マンモグラフィ、レントゲン撮影装置、超音波検査装置、エンテロサイトベロシティーシステムのような3Dシミュレーション医療機器、γ線など放射線照射装置、理学療法機器、物理療法医療機器、リハビリ医療機器、入浴医療機器、ベッド、手術台、製薬や薬剤の分包や調剤に関する機器など)。
【0104】
後述の各分野の中にも大型機器を列挙するが、この場合と同様に考える。
【0105】
2.医療検査機器(生物全般)
(2-A)生物に対する検査機器
生物の生理、生化学、形態、機能、運動、負荷、耐性、刺激や負荷に対する反応などを検査する医療機器(例えば、免疫生化学・尿・血中薬物・血漿蛋白・血液凝固・血液ガスなどの検査機器、骨密度測定装置、血中酸素濃度計、脳波検査機器、通電計、心電検査機器、埋込型心電図記録計、筋電計、心肺機能検査機器、脈波検査機器、呼吸代謝測定装置、呼吸機能検査機器、呼気各種ガス測定機器、体温計、血圧計、内視鏡、カプセル内視鏡、各種カメラ、マイクロスコープ、生体情報モニタ、健康診断機、筋力計、眼底検査機器、動脈硬化検査機器、DPN検査機器、睡眠ポリグラフィ、聴覚検査機器、視力計、歯科用口腔内スキャナ、各科患部観察鏡など)。
【0106】
(2-B)検体や環境、ガスや毒物などを調べたり、その検体や情報を保管したりする医療機器。
【0107】
人や生物に限らず、医療機関や労働環境や生活環境などの、健康・疾病・感染などに関するあらゆる検体を化学的、物理的、生理的、病理的、臨床検査的、生活環境的に検査する機器(例えば、各種クロマトグラフィ、スペクトロ機器、質量計、容積計、照度計、放射線計、非破壊試験機、血球数・CRP・免疫発光・血糖値など血液検査全般の検査機器、デシンメトリ分析装置、臨床化学分析装置、血液凝固分析装置、病理組織検査機器、尿検査機器、細菌検査機器、細菌培養器、遠心分離器、温度湿度計、アルデヒドガスなど各種ガス検知器、口臭検査機、アルコールチェッカ、歯科用技工用スキャナ、金属探知機など)。
【0108】
3.診断、記録、に関する医療機器
検査や診査などからの医療情報を統合して医学的・研究的判断をサポートする医療機器。
【0109】
4.人を含む生物(動物、微生物など)に対する治療・介護・障害補助の機器。
【0110】
(4-A)手術機器(例えば、各所外科手術のナビゲーションシステム、各種アブレーション治療装置、血管内アブレーション・ステントグラフト内挿治療装置・ペースメーカ・ICM・ICD・CRT-D/CRT-P・VAD・TRVR/TRVIなどカテーテル手術関連装置、電気メス(高周波手術装置)、電気ステープラ、バイポーラRFAシステム、超音波凝固切開装置、ベッセルシーリング装置、マイクロサージェリ機器、術中3D画像モニタリングシステム、歯科インプラント植立誘導システム、内視鏡、ドリル、麻酔機器、根管治療関連機器、イオン導入装置、光重合照明など)。
【0111】
(4-B)理学療法機器(例えば、脳深部刺激療法(DBS)、脊髄刺激療法(SCS)、超音波治療器、レーザ照射治療器、電磁波治療器、赤外線治療器、鍼灸治療機器、超音波骨折治療器、電位治療器など)。
【0112】
(4-C)物理療法機器や運動実践機器(例えば、粒子線加速器、吸入器、呼吸器トレーナ、マッサージ機、圧迫治療器、リハビリ治療器、トレッドミル、エルゴメータ、超音波スケーラなど)。
【0113】
(4-D)安静や固定を目的とした医療機器(例えば、生体情報モニタ、保育器、寝返りセンサ、離床センサなど)。
【0114】
(4-F)生体機能や形態を代行したり補助したりする医療機器(例えば、人工心肺、人工呼吸器、酸素吸入器、各種輸液機器、CPAP、ASV、酸素濃縮装置、筋肉収縮を補助する運動器具、人工内耳、補聴器、安眠導入器、電動車椅子、歯科印象関連機器、歯科技工CADCAM機器など)。
【0115】
(4-G)滅菌、消毒、清浄、洗浄、保管や保存、あるいはバイオ的に閉鎖空間での実験などを行う医療機器(例えば、低温プラズマ滅菌システム、ガス滅菌システム、オゾン滅菌機、オートクレーブ装置、吸引器、空気清浄機、次亜機能水生成機、薬液や洗剤の排出器、医科用冷蔵庫、保温庫、冷凍庫、医療機器洗浄機、CPWS、電動歯ブラシなど)。
【0116】
(4-H)生態や環境情報をモニタリングしたり、異常数値などをアラーム伝達したりする医療機器(例えば、臨床用ポリグラフ、生体モニタ、風速風量計、超音波血流計、活動量計、細胞培養環境分析装置など)。
【0117】
(4-I)製薬、調薬や自ら行う服薬や検査や注射や給食や各種療法などを代行したり、サポートしたりする医療機器(例えば、製薬機器、調剤ロボット、自動錠剤包装機、散薬監査システム、一包化薬監査支援システム、注射薬払出システム、電子天秤、錠剤粉砕機、塩分計、配膳システム、清拭車、洗髪車、汚物処理器など)。
【0118】
5.医療情報管理保存、医療事務や支払い、予約、相互連絡、動線管理、環境管理など医療機関やそれに付随する機関内で衛生面・院内感染・被曝などの防護レベルを高める方法としての医療機器化(例えば、環境放射線モニタ、パソコン、キーボード、モニタ、レジスタ、自動釣銭装置、プリンタ、FAX、電話、トランシーバ、携帯電話、無停電装置、待受呼出発券システム、ユニフォーム消毒器、各種セキュリティ装置、バーコードリーダ、個体識別装置、コンプレッサ、バキューム装置、空気や水のフィルタや浄水器、電動歯ブラシ、テレビ、ラジオなど)。
【0119】
以上、例示として列挙した医療機器などの実例は、あくまで具体的な例示であってそれに類似する機能や形態を有するものもこの範疇に含まれるものとする。
【0120】
6.研究実験室の滅菌可能であることが望まれる装置としては、上記と重複するところもあるが、例えば、一般実験機器として、純水装置、クロマトグラフ装置、質量分析装置、構造解析・元素分析装置、有機合成装置、濃縮装置、ポンプ、微生物検査機器、物性計測機器、成分分析機器、環境分析機器、振とう撹拌粉砕加熱機器、恒温槽、冷蔵冷凍保存機器、洗浄滅菌乾燥機器、恒温恒湿機器、培養機器、遠心分離機、吸光発光蛍光RI関連機器、顕微鏡、イメージング機器、電気泳動機器、遺伝子実験機器、蛋白実験機器、分注装置、細胞組織研究機器、電動ピペッタ、GBWS、クリーンベンチレータ、遺伝子実験機器、などがある。
【0121】
遺伝子研究の関連では、シングルセル解析・核酸抽出精製装置・PCR・シーケンサなどの遺伝子実験機器、電気泳動装置・ブロッティング・イメージング関連装置、構造解析元素分析装置、物性・成分その他の検査機器、有機合成・濃縮装置ポンプなどがある。
【0122】
また、オートクレーブ装置内における水蒸気による滅菌処理を受ける医療現場で使用できる携帯型情報端末装置について詳細に説明したが、断熱性が要求される電子機器であれば、医療現場で使用されるか否かは問わない。
【符号の説明】
【0123】
10・・・筐体、30・・・基板、40・・・電子回路部品、50・・・断熱層(第1断熱層)、70・・・放熱機構部(第1放熱機構部)、100・・・タブレット端末(電子機器、携帯型情報端末装置)
図1
図2
図3
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