(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】美容器
(51)【国際特許分類】
A61H 15/00 20060101AFI20230214BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20230214BHJP
A61H 15/02 20060101ALI20230214BHJP
A61N 1/06 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61H15/00 390A
A61H7/00 310H
A61H15/02 A
A61N1/06
(21)【出願番号】P 2022012544
(22)【出願日】2022-01-31
(62)【分割の表示】P 2017173447の分割
【原出願日】2017-09-08
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591032518
【氏名又は名称】伊藤超短波株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【氏名又は名称】福地 武雄
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】須山 栄作
(72)【発明者】
【氏名】笠原 エミ
(72)【発明者】
【氏名】成島 渉
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-289562(JP,A)
【文献】特表2010-535056(JP,A)
【文献】特表2015-517340(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068621(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/038822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
A61H 7/00
A61H 15/02
A61N 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を人体に供給するための複数の電極と、人体に接触可能なローラーと、が配置されたヘッド部を備えたプローブと、
前記電流として高周波による電流を供給する制御回路と、前記ヘッド部内部の空気を吸引する吸引ポンプと、
前記吸引ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、前記高周波による温熱効果を提供する美容器であって、
前記複数の電極は、
正極と負極のペアの隣接配置を基本構成として前記ヘッド部の縁部に配置されるとともに、
前記電極からの電気力線が前記ローラーの回転方向である前記ローラーの周方向と直交成分を有するように配置されたものであって、
前記ポンプ駆動回路によって前記吸引ポンプが駆動されて前記プローブが前記人体を吸引した状態で前記ローラーと前記人体が接触してマッサージ効果を与えることを特徴とする美容器。
【請求項2】
前記人体と前記プローブによって構成される空間内部であって吸引時に皮膚が接触する位置となる前記縁部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波による温熱作用を利用した美容器および吸引とローラーを用いた物理的なマッサージ効果を利用する美容器に係り、両者を一体化したプローブを実現することで、両方の作用による痩身効果が効果的に得られる美容器に係る。
【背景技術】
【0002】
熱エネルギーを人体に照射することで、組織に作用して新陳代謝を亢進し、血行を促進して美容効果が得られることは公知である。熱エネルギーの人体への提供は電熱線で構成されるヒーターによる赤外線照射、超音波振動子からの超音波照射、発振回路で実現される、超短波、ラジオ波、マイクロ波の照射等各々の方法、あるいはこれらを組み合わせた美容器が実現されている。一方、痩身を目的として、マッサージ効果を利用した美容機器が実現されている。マッサージ効果としてはローラー回転あるいはポンプ等の吸引を利用した物理的なマッサージ効果によって組織の代謝を高め、いわゆるセルライトを解消する美容機器や、皮膚に高周波の電流(以下、単に高周波又はラジオ波という)を流し、通電・通電休止のパターンを複数電極間で入れ替えることで電流刺激によって叩かれるような刺激を与える物理的なマッサージ効果と同等の作用を実現する美容機器も存在する。
【0003】
このような公知技術に基づく治療器としては特許文献1に開示されるものがある。特許文献1ではマッサージ効果は80kHz~100kHzの高周波数の電気刺激によるものであり、複数電極の通電・休止する時間を交互に入れ替えることで、マッサージ効果を実現している。さらに、文献1では、400kHz~800kHzの周波数の電流を流すことで、温め効果を得るための電極が別に設けられ、美容効果を高めるとされている。特許文献2では、ローラーおよび吸引機能によってマッサージ機能を備え、さらに、ローラーを電極として低周波数(~1kHz)から高周波数(3kHz~)までの電気刺激信号を皮膚から与える方法としている。
【0004】
上記特許文献1に開示される美容器の場合、高周波を流す電極を4n(n=1以上)としてプローブ先端に配置して、襷掛けのように斜め方向に位置する二つの電極ごとにプラス極、マイナス極を入れ替えるように電圧制御を行うことで、リズム感のある皮膚への電気刺激がマッサージ効果をもたらすようにしている。しかしながら、皮膚への電気刺激を、ある程度抑制されたものとするために、例えば90kHzの高周波が用いられており、低周波刺激やローラー吸引ほど効果は得られない。また、一定の温熱効果を与えることはできるが、ラジオ波に比べるとその効果は小さい。
【0005】
一方、上記特許文献2に開示される美容器の場合、ローラーの転動とポンプ吸引によるマッサージ効果に加えて、ローラーそのものを電極として電気刺激を与えるが、文献1と同様、電気刺激によるマッサージ効果を目的としたものであり、温熱効果を目的としたものではない。この場合、ローラーそのものを電極とすることで制御回路と電気的に接続する必要があり、洗浄が必要な取り外し可能なローラーに対する信号供給は、構成が複雑化し、回転体のため所定のマッサージ効果を得るための制御も複雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2015/068621号公報
【文献】WO2017/038822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、電気刺激とマッサージ効果を組み合わせた美容器、例えば、主にラジオ波による温熱効果を利用した美容器と主に吸引とローラーを用いたマッサージ効果を得られる美容器を組み合わせた効果的な美容を可能とするプローブを提供とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に基づく美容器は、電流を人体に供給するための複数の電極と、人体に接触可能なローラーと、が配置されたヘッド部を備えたプローブと、前記電流として高周波による電流を供給する制御回路と、前記ヘッド部内部の空気を吸引する吸引ポンプと、前記吸引ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、前記高周波による温熱効果を提供する美容器であって、前記複数の電極は、正極と負極のペアの隣接配置を基本構成として前記ヘッド部の縁部に配置されるとともに、前記電極からの電気力線が前記ローラーの回転方向である前記ローラーの周方向と直交成分を有するように配置されたものであって、前記ポンプ駆動回路によって前記吸引ポンプが駆動されて前記プローブが前記人体を吸引した状態で前記ローラーと前記人体が接触してマッサージ効果を与えることを特徴としている。
【0009】
また、本発明による美容器は、前記人体と前記プローブによって構成される空間内部であって吸引時に皮膚が接触する位置となる前記縁部の内側に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を有する本発明により、温熱効果とマッサージ効果を同時に実現できると共に、ローラーおよび吸引機能に電極を付加する構成で比較的簡単な構成によって、より効率的な施術や治療を行うことができる。
【0011】
また、ローラーの回転方向と電極による電気力線が直交することから、広く均等に温めた領域に効果的なマッサージ効果を与えることが可能になった。
【0012】
また、ローラーの位置を接触面よりもプローブ内部側に配置することで、皮膚に対して手でもみだすようなタッピング効果を得ることができる。さらに、ローラーの回転軸方向に広く均等に温めた領域に効果的なマッサージ効果を与えることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本発明の実施形態の美容器のプローブのヘッド構造図
【
図4】本発明の実施形態の美容器のプローブの動作の説明図
【
図5】本発明の実施形態の美容器のプローブの動作の実現例
【
図6】本発明の実施形態の美容器のプローブ(小)の実現例
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の美容器の構成図である。美容器本体1とプローブ5から構成され、美容器本体1には、プローブ5の電極6に対してラジオ波を流すための制御回路(以下、RF制御回路2)、吸引のためのポンプ(以下、吸引ポンプ3)、ポンプを駆動するための駆動回路(以下、ポンプ駆動回路4)が各々存在している。RF制御回路2およびポンプ駆動回路4は、互いに独立した制御を行う構成でも良いし、例えば吸引ポンプの吸引パターンに同期して吸引ON時にラジオ波出力ON、吸引OFF時にラジオ波出力OFFなど、連携動作する構成であっても良い。その場合は、図示されない信号線が、RF制御回路2とポンプ駆動回路4の間に設けられ、適切に制御される。ラジオ波および吸引・もみだし効果を提供するプローブ5は、美容器本体1に接続される。プローブ5は、後述する電極6およびローラー7から構成される。また、必要に応じて小型プローブ11(後述)に交換可能なように取り外し可能な構造をとる。
【0016】
図2は、美容器本体1の6面図である。(a)は上面図、(b)は左側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は右側面図、(f)は背面図を示している。本体内部には、RF制御回路2、吸引ポンプ3、ポンプ駆動回路4が格納されている。RF制御回路からの信号を供給する信号線および吸引ポンプの吸い込みホースと一体化した図示されないケーブルによってプローブ5と接続される。美容器本体1は、本実現例のように操作が容易なように縦型とし、本体上部にはタッチパネル等の操作用モニタおよび下部に車輪を取り付け、移動可能とする構造であっても良い。例えば、美容器本体1には、上記の吸引ポンプ3の出力制御および電極6からのラジオ波の出力制御を可能とするボタン、あるいは回転スイッチを備える。使用者の状態、体感に合わせて、適切な美容施術を施すための設定が可能となる。
【0017】
図3は、本発明の実施形態の前記プローブ5の構成を示す図であり、ラジオ波を出力する電極6と、皮膚にもみだし効果を与えるためのローラー7を含んで構成される。(a)は上面図、(b)は左側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は右側面図、(f)は背面図を示している。電極6は、正極、負極のペアの隣接配置を基本構成として、皮膚との接触面であるプローブ5の縁に複数構成配置される。本実施形態では、電極6を6個、すなわち正極-負極のペアを3構成備えた構成としている。ローラー7は、電極間の電気力線とローラーの回転方向が直交するように配置される。一般的に、RFによる温熱効果を利用した美容器では、皮膚にゲルを塗布してプローブ5を移動しながら皮膚にあてる使用法となるため、使用後は洗浄される。従って、ローラー7も取り外し可能な比較的簡単な軸止め構造で実現される。また、吸引ポンプ3による吸い込み動作に対して空気漏れを防止するため、電極の根本に図示しないパッキンを備えている。以上のように、比較的簡単な構造でプローブ5は実現されうる。尚、電極6の位置は、プローブ5の縁に限定されず、少なくとも吸引時に皮膚に接触できる位置であれば良く、例えばプローブ5の縁の内側、すなわち、プローブ5を人体に接触した場合に、人体とプローブによって構成される空間内部であって、吸引時に皮膚が接触する位置であれば良い。特に、電極6とローラー7の位置関係として、電極6によって決定される面に対して、人体と反対側にローラー7が配置されていても良い。あるいは、各電極6よりも人体(皮膚)から離れる位置にローラー7が配置されていても良い。電極6とローラー7との位置関係がこれと異なる場合は、皮膚がローラーによって押し付けられて電極との接触が不十分となりやすく、所定の電流値が得られなくなり、十分な温感が得られない。あるいは、電極6とローラー間に電流が集中するので、高周波による効果が、電流が集中した範囲に限定される。従って、いずれの場合も高周波の効果や施術の効果を低下させることとなる。ところが、本発明では電極6とローラー7の位置関係を上記のようにしているので、電極6による高周波の付与をローラー7が阻害することがなく、広い範囲でより効率の良い高周波の効果を皮膚に供給できる。
【0018】
図4は、前記プローブ5のヘッド部分を構成する電極6、ローラー7の位置を示す断面図で、電極6は、被施術者の肌面10が接触するヘッド部分の縁に配置され、ラジオ波が該電極6より放射されることで肌面10は温められる。皮膚に接触する面に対して、該ローラー7は、プローブの内部側に配置される。吸引ポンプ3による吸引動作によって、ヘッド部分の上方から空気がヘッド内部の空気が吸引され、負圧が生じる。皮膚との間に空隙を作ることで、吸引ポンプ3による吸引動作の際、皮膚が持ち上がり、ポンプ吸引によって、回転可能なローラーと接触する。この状態で、プローブ5を
図4の紙面上の左右に動かすことによってローラー7と皮膚との接触面が皮膚に従動し、回転するので、ポンプ駆動回路4において吸引ポンプ3の吸引圧力およびON、OFFの周期動作を適切に制御することで、使用者の皮膚に対してもみだし動作と呼ばれるタッピング効果を得ることが可能となる。
【0019】
RF制御回路2は、一般的には周波数300kHz~5MHzのラジオ波を、電極6を介して人体に対して流すことで放射された領域の組織を温めるための回路である。例えば、本発明では、周波数800kHzのラジオ波を流すことで実現している。電極6へのラジオ波の供給パターンは複数の正極-負極のペア構成に対して同一のパターンで供給しても良いし、正極-負極を入れ替えるパターン、出力を変動させるパターン等様々な制御を行っても良い。
【0020】
ポンプ駆動回路4は、吸引ポンプ3の吸引圧力、ONとOFFの時間を任意に設定することで、使用者個人の感覚に合わせてタッピング感覚を得ることが可能である。設定パラメータとして、吸引圧力に関しては最大値、吸引パターンに関しては、連続吸引、ON-OFFのパターン(LOW、MID、HIGH等)を本体から設定可能としている。
【0021】
ローラー7は、プローブの先端にあって回転することから、図のように紡錘形が望ましい。皮膚に直接触れることから、人体に影響のない、耐水性のある材質であれば、いずれも使用できる。例えば、合成樹脂、プラスチック等でも良い。
【0022】
電極6は、ラジオ波を人体に放射するためであり、一般にはステレンスやニッケル等の導電性金属で、ローラー同様に人体に触れても影響なく、耐水性のある材質が選択される。
【0023】
美容器本体1には、上記の吸引ポンプ3の出力制御および電極6からのラジオ波の出力制御を可能とするボタン、あるいは回転スイッチを備える。使用者の状態、体感に合わせて適切な美容施術を施すための設定が可能となる。
【0024】
図6は、比較的狭い面に対して施術を施すための小型プローブ11である。(a)は上面図、(b)は左側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は右側面図、(f)は背面図を示している。この場合、電極は同様に6個(3対)構成である。ローラーについては小型化の場合、1個でもみだし効果を得ることができる。
【0025】
図3、
図6で実現されるプローブでは、
図4に示すように電極6の各々正極負極からのラジオ波が人体に放射されることで熱に変換され、脂肪燃焼効果が得られる。電極間の電気力線が通過する範囲に対して、およそ皮下2cm程度まで温められ効果があるとされる。このとき、正負の電極からの電気力線に対してローラーの回転方向が直交方向となるため、温められた範囲をカバーするように吸引操作が行われることになり、大きな痩身効果が得られる。一方、電極で形成される電気力線がローラーの回転方向と平行となるように配置されるためには、ローラーを挟むように電極が配置されることになり、電極の配置の自由度が低下するだけでなく、電流路が長くなるので十分な電流を供給するための電圧値が大きくなって望ましくない。あるいは、吸引を行うので、皮膚がプローブ内部に部分的に引き込まれて、湾曲した部分が発生することとなるが、当該湾曲部分には十分な電流が供給されないこととなり、高周波の効果が得られにくくなる。または、ローラーの回転方向と電気力線が平行となる場合は、複数の電流路が並列に構成され、異なる高周波の効果が得られたところにローラーによって施術が施されることになるので、施術部分に効果のムラが発生しやすくなる。ところが、本発明では、
図5のようにローラーの回転方向と電気力線が直交するような配置とするので、ローラーと電極の配置に自由度が向上する。あるいは、吸引による湾曲部分の影響がなく均一な電流を供給できる。または、ローラーの軸方向においては電流量が一定となり、高周波による一様な効果が得られる部分にローラーによる施術がされるので、均一な効果をえることができる。
【0026】
次に、上記のように構成された、本発明の実施形態の治療器の使用例について説明する。本発明は、使用する電気刺激の周波数や出力や吸引する強度を変更することによって医療機器としても使用可能である。治療器の使用について、機器の使用方法は美容器と治療器に特に差はないので美容器の使用として説明することができる。
【0027】
本発明のプローブは、従来のエステサロンでのラジオ波を利用した美容器の使用法と基本的には同様となる。すなわち、美容施術を行う対象の皮膚の上にゲルを塗布し、プローブを接触させ一定の速度で動かしながらの使用となる。ゲルは、機器の熱が効率的に施術部位に伝わるような熱伝導率の高い材料が使用される他、さらに肌に対して引き締めなどに有効な成分を含んだ材料も合わせて使用される。施術部位が腹部や背中など比較的広い面積であれば、
図2のプローブを使用することで、広い範囲に対して効率的に痩身効果を得ることが可能となる。一方、上腕部や脛部、ピンポイントで施術を施したいのであれば、
図6の小型プローブ11に交換することができる。
【0028】
本発明の美容器または治療器は電源スイッチを入れて、吸引の出力レベルおよび動作パターン、ラジオ波の出力レベルを設定する。吸引レベルは、例えば最大40kPa、医療器では、最大で60kPaでLOW、MID、HIGHを選択する。さらに、回転スイッチで実現する調整ボリュームで微調整を可能としても良い。吸引パターンは、連続、間欠(Fast、Mid、Slow)を美容器本体1のボタンで選択する。ラジオ波は、例えば周波数800kHz、最大レベル250V、医療器では最大で2MHz、350Vが設定される。レベルについては、美容器本体1のボタンで1、2、3、4、5など、例えば20V刻みで設定できるようにしても良いし、調整ボリュームで微調整を可能としても良い。痩身に効果的な温度、もみだし感覚が得られるように適切な設定とする。
【0029】
また、プローブに出力ボタンを設けて、施術者が手動で吸引、ラジオ波の出力のON、OFFをコントロールしても良い。吸引、ラジオ波が同期する制御であっても良いし、各々独立にON、OFF可能であっても良い。
【0030】
尚、ラジオ波については事故防止のため、肌接触検知を行い、非接触時は出力しないようにするのが望ましい。
【0031】
本発明の美容器によると、ラジオ波(RF)による熱効果に基づく脂肪燃焼と吸引による痩身効果の向上を同時に行う施術において、より効率的な効果が得られることになる。本発明ではラジオ波が作用する領域である電極間に対してローラーが直交に作用するので広い面積にわたってもみだし効果が得られ、吸引を行わない場合より、より深いところまで皮膚下にラジオ波が作用する。従来では、吸引とラジオ波を同時に作用させる機器はあっても吸引のローラーが実装されておらず、もみ出しの効果が弱いこと、およびラジオ波が作用する領域に効率的に吸引によるもみ出し効果を得ることができないが、本発明では効率的な痩身効果が得られるので、施術時間を短くして効率を向上させることができる。
【0032】
さらに、被施術者の状態に応じて、吸引によるもみ出しのパターンや、ラジオ波の出力レベルを変更する、あるいは、ラジオ波と吸引を同時に行い、続けてラジオ波のみ、吸引のみと施術方法を組み合わせることで効率的な施術を行うことが可能である。
【0033】
本発明では、プローブ先端の電極を6つとしているがこれに限定されるものではない。プローブの先端部分のサイズに合わせて増減させることも可能である。すなわち、正極、負極のペア数nを単位として、2n個としても良いし、奇数個の電極でプローブを構成しても良い。電極からの電気力線の直交方向にローラーの回転方向が一致する配置で電極およびローラーを配置することでラジオ波による温め効果とローラー吸引によるもみ出し効果の相乗効果を効率的に得ることができる。例えば、ローラーのみを有するプローブを一定時間使用し、その後にラジオ波のみによる施術を行った場合(両方別々に施術した場合)と比較すると、本発明のプローブを使用すると当該一定時間より短い時間で、両方別々に施術したよりも高い効果をえることができる。
【0034】
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。例えば、本発明は美容器に限定されるものではなく、マッサージ器やリラクゼーション用の機器あるいはその他の機器にも適用することができる。さらに、使用する電気刺激として、高周波数の電気刺激に限定されず、所望の効果が得られるものであれば低周波数の電気刺激であっても良い。あるいは、上記の実施形態では吸引ONと同時に高周波をONし、吸引OFFにより高周波をOFFとしているがこれに限定されず、吸引ONが複数回実行されるとラジオ波がONされるような構成でも良く、吸引ONが複数回実行されるとラジオ波がOFFされるような構成でも良く、吸引ON時にラジオ波出力OFF、吸引OFF時にラジオ波出力オンとしても良いし、吸引パターンに関係なくラジオ波をONとしても良い。
【0035】
本発明に他の形態に基づくプローブは、電流を人体に供給するための複数の電極と、人体に接触可能なローラーを備え、前記電極からの電気力線がローラーの回転方向と直交成分を有することを特徴としている。あるいは、プローブの先端の皮膚との接触部位に円環状に配置された複数の電極を備え、前記電極から高周波を使用者の皮膚に流すことができるとともに、前記電極からの電気力線に対して直交方向に配置されたローラー、前記電極にラジオ波を流すための制御回路、皮膚を吸い上げるための吸引ポンプ、ポンプを駆動するためのポンプ駆動回路、を含んで構成されるものであり、より具体的にはラジオ波による温熱効果とローラーおよび吸引による物理的なマッサージの両方の機能を備えた美容器であって、前記美容器内部にはRF波制御回路、吸引ポンプ、ポンプ駆動回路を備え、使用者の皮膚に接触するプローブ先端の電極から高周波を流し温熱効果を得るとともに、前記電極からの電気力線とは直交方向にローラーが回転することで効果的な美容効果を得ることができる。
【0036】
また、本発明によるプローブは、電流を人体に供給するための複数の電極と、人体に接触可能なローラーを備え、前記複数の電極によって決定される面に対して前記人体と反対側に前記ローラーが配置されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するために、本発明に基づく美容器は、電流を人体に供給するための複数の電極と、人体に接触可能なローラーと、が配置されたヘッド部を備えたプローブと、前記電流として高周波による電流を供給する制御回路と、前記ヘッド部内部の空気を吸引する吸引ポンプと、前記吸引ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、前記高周波による温熱効果を提供する美容器であって、前記複数の電極は、前記ヘッド部の縁部に配置されるとともに、前記ローラーの回転軸を挟んで、互いに隣接して前記回転軸付近に配置されたものであって、前記ポンプ駆動回路によって前記吸引ポンプが駆動されて前記プローブが前記人体を吸引した状態で前記ローラーと前記人体が接触してマッサージ効果を与えることを特徴としている。
また、本発明による美容器は、電流を人体に供給するための複数の電極と、人体に接触可能なローラーとが配置されたヘッド部を備えたプローブと、前記電流として高周波による電流を供給する制御回路と、前記ヘッド部内部の空気を吸引する吸引ポンプと、前記吸引ポンプを駆動するポンプ駆動回路と、を有し、前記高周波による温熱効果を提供する美容器であって、複数の前記電極は、前記ヘッド部の縁部に配置されるとともに、前記ローラーの回転軸の一方の側に、互いに隣接して配置されたものであって、前記ポンプ駆動回路によって前記吸引ポンプが駆動されて前記プローブが前記人体を吸引した状態で前記ローラーと前記人体が接触してマッサージ効果を与えることを特徴とする美容器。
【符号の説明】
【0037】
1…美容器本体
2…RF制御回路
3…吸引ポンプ
4…ポンプ駆動回路
5…プローブ
6…電極
7…ローラー
8…電極(小型)
9…ローラー(小型)
10…肌面
11…小型プローブ