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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】二重反転式ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/02 20060101AFI20230214BHJP
   F04D 25/16 20060101ALI20230214BHJP
   F04D 29/52 20060101ALI20230214BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230214BHJP
   H02K 16/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
F04D19/02
F04D25/16
F04D29/52 B
H02K7/14 A
H02K16/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019007881
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2019183829
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2018069759
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義彦
(72)【発明者】
【氏名】番場 高大
(72)【発明者】
【氏名】香川 義久
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝則
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-106705(JP,A)
【文献】特開2007-077890(JP,A)
【文献】特許第4076570(JP,B1)
【文献】特開2010-019183(JP,A)
【文献】特開2008-038637(JP,A)
【文献】特開2008-286137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/02
F04D 25/16
F04D 29/52
H02K 7/14
H02K 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の中心軸を中心として放射状に配置された複数の第1翼を有する第1インペラと、
前記第1インペラを前記中心軸の周りに回転させる第1モータ部と、前記第1インペラの外周を囲む第1ケースと、を有する第1ファンと、
前記中心軸を中心として放射状に配置された複数の第2翼を有する第2インペラと、前記第2インペラを前記中心軸の周りに回転させる第2モータ部と、前記第2インペラの外周を囲む第2ケースと、を有する第2ファンと、を備え、
軸方向一方から軸方向他方に向かって、前記第1ファン及び前記第2ファンが順に配置され、
前記第1ケース及び前記第2ケースは、軸方向における第1の位置で互いの端面同士が接触しており、
前記第1モータ部及び前記第2モータ部は、前記軸方向において互いが逆方向を向いて配置されるとともに、前記第1の位置と異なる第2の位置で互いの端面同士が対向する、
二重反転式ファン。
【請求項2】
前記第1ケースにおける軸方向の長さは、前記第2ケースにおける軸方向の長さよりも長く、
前記第2の位置は、前記第1の位置よりも軸方向一方側に位置する、
請求項1に記載の二重反転式ファン。
【請求項3】
前記第1モータ部及び前記第2モータ部は同一構造のモータである、
請求項1又は2に記載の二重反転式ファン。
【請求項4】
前記中心軸を中心として放射状に伸びて前記第1ケースに接続され、前記第1モータ部の前記第2モータ部側を支持する複数の第1支持部材と、
前記中心軸を中心として放射状に伸びて前記第2ケースに接続され、前記第2モータ部の前記第1モータ部側を支持する複数の第2支持部材と、をさらに備える
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二重反転式ファン。
【請求項5】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、軸方向に沿う断面積が互いに等しい、
請求項4に記載の二重反転式ファン。
【請求項6】
前記第1支持部材は、前記第1ケースの内周面から前記第1モータ部に向かって前記軸方向一方側に延び、
前記第2支持部材は、前記第2ケースの内周面から前記第2モータ部に向かって前記軸方向一方側に延びる
請求項4又は5に記載の二重反転式ファン。
【請求項7】
前記第1モータ部は、外部機器に接続される第1配線を有する第1回路基板をさらに備え、
前記第2モータ部は、前記外部機器に接続される第2配線を有する第2回路基板をさらに備えており、
軸方向から視て、前記第1回路基板からの前記第1配線の引出方向は、前記第2回路基板からの前記第2配線の引出方向と同じである、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の二重反転式ファン。
【請求項8】
前記第1ケースは、前記第1配線を保持するとともにケース外側に引き出す第1切欠きを有し、
前記第2ケースは、前記第2配線を保持するとともにケース外側に引き出す第2切欠きを有する、
請求項7に記載の二重反転式ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重反転式ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パーソナルコンピュータやサーバ等の電子機器において、筐体内部の電子部品を冷却するための冷却ファンが用いられる。このような冷却ファンの1つとして、所定の中心軸に沿って2つの軸流式の送風ユニットを直列に連結した直列式軸流ファンが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この直列式軸流ファンは、互いに反対方向に回転する2つのインペラを中心軸方向に配列することで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-38637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サーバ等の比較的大型の電子機器では、より風量の大きい冷却ファンが求められる。そこで、上述した直列式軸流ファンの一種である二重反転式ファンにおいても、より大きい風量を得ることが可能な新たな技術の提供が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、風量の大きい二重反転式ファンを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二重反転式ファンの一つの態様は、所定の中心軸を中心として放射状に配置された複数の第1翼を有する第1インペラと、前記第1インペラを前記中心軸の周りに回転させる第1モータ部と、前記第1インペラの外周を囲む第1ケースと、を有する第1ファンと、前記中心軸を中心として放射状に配置された複数の第2翼を有する第2インペラと、前記第2インペラを前記中心軸の周りに回転させる第2モータ部と、前記第2インペラの外周を囲む第2ケースと、を有する第2ファンと、を備え、前記第1ケース及び前記第2ケースは、軸方向における第1の位置で互いの端面同士が接触しており、前記第1モータ部及び前記第2モータ部は、前記軸方向において互いが逆方向を向いて配置されるとともに、前記第1の位置と異なる第2の位置で互いの端面同士が対向する。
また、本発明の二重反転式ファンの別の態様は、所定の中心軸を中心として放射状に配置された複数の第1翼を有する第1インペラと、前記第1インペラを前記中心軸の周りに回転させる第1モータ部と、前記第1インペラの外周を囲む第1ケースと、を有する第1ファンと、前記中心軸を中心として放射状に配置された複数の第2翼を有する第2インペラと、前記第2インペラを前記中心軸の周りに回転させる第2モータ部と、前記第2インペラの外周を囲む第2ケースと、を有する第2ファンと、前記中心軸を中心として放射状に伸びて前記第1ケースに接続され、前記第1モータ部の前記第2モータ部側を支持する複数の第1支持部材と、前記中心軸を中心として放射状に伸びて前記第2ケースに接続され、前記第2モータ部の前記第1モータ部側を支持する複数の第2支持部材と、を備え、前記第1ケース及び前記第2ケースは、端面同士が接触しており、前記第1モータ部及び前記第2モータ部は、前記軸方向において互いが逆方向を向いて配置されるとともに、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、軸方向に沿う断面積が互いに等しい。
また、本発明の二重反転式ファンの別の態様は、所定の中心軸を中心として放射状に配置された複数の第1翼を有する第1インペラと、前記第1インペラを前記中心軸の周りに回転させる第1モータ部と、前記第1インペラの外周を囲む第1ケースと、を有する第1ファンと、前記中心軸を中心として放射状に配置された複数の第2翼を有する第2インペラと、前記第2インペラを前記中心軸の周りに回転させる第2モータ部と、前記第2インペラの外周を囲む第2ケースと、を有する第2ファンと、前記中心軸を中心として放射状に伸びて前記第1ケースに接続され、前記第1モータ部の前記第2モータ部側を支持する複数の第1支持部材と、前記中心軸を中心として放射状に伸びて前記第2ケースに接続され、前記第2モータ部の前記第1モータ部側を支持する複数の第2支持部材と、を備え、前記第1支持部材は、前記第1ケースの内周面から前記第1モータ部に向かって前記軸方向一方側に延び、前記第2支持部材は、前記第2ケースの内周面から前記第2モータ部に向かって前記軸方向一方側に延びる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、風量の大きい二重反転式ファンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の二重反転式ファンの分解斜視図である。
図2A図2Aは、第1軸流ファンを吸気側から視た平面図である。
図2B図2Bは、第1軸流ファンを排気側から視た平面図である。
図3A図3Aは、第2軸流ファンを吸気側から視た平面図である。
図3B図3Bは、第2軸流ファンを排気側から視た平面図である。
図4図4は、実施形態の二重反転式ファンの断面図である。
図5図5は、二重反転式ファンの軸方向に沿う要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。また、各図には、適宜Z軸を示す。各図のZ軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側,一方側)を「吸気側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側,他方側)を「排気側」と呼ぶ。なお、吸気側および排気側とは、単に説明のために用いられる方向であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。
【0011】
本実施形態の二重反転式ファン100は、例えば、サーバ等の電子機器を空冷するための電動式冷却ファンとして用いられる。
図1は、本実施形態の二重反転式ファンの分解斜視図である。図2Aは、第1軸流ファンを吸気側から視た平面図であり、図2Bは、第1軸流ファンを排気側から視た平面図である。図3Aは、第2軸流ファンを吸気側から視た平面図であり、図3Bは、第2軸流ファンを排気側から視た平面図である。また、図4は、本実施形態の二重反転式ファンの断面図である。
【0012】
図1に示すように、二重反転式ファン100は、第1軸流ファン(第1ファン)1と、第2軸流ファン(第2ファン)2とを備える。二重反転式ファン100において、第1軸流ファン1は軸方向一方側である吸気側に配置され、第2軸流ファン2は軸方向他方である排気側に配置される。すなわち、本実施形態においては、軸方向一方から軸方向他方に向かって、第1軸流ファン1及び第2軸流ファン2が順に配置される。
【0013】
二重反転式ファン100において、第1軸流ファン1の第1インペラ10と第2軸流ファン2の第2インペラ20とが互いに反対方向に回転することにより、図1中の左側(すなわち、第1軸流ファン1側)からエアが取り込まれ、右側(すなわち、第2軸流ファン2側)へと送出されて中心軸J方向のエアの流れが発生する。
【0014】
二重反転式ファン100では、第1インペラ10の回転方向と第2インペラ20の回転方向とを反対方向とすることにより、2つのインペラが同方向に回転する直列式軸流ファンに比べて、高静圧化および大風量化を実現可能としている。
【0015】
図2A図2B及び図4に示すように、第1軸流ファン1は、第1インペラ10と、第1モータ部11と、第1ケース12と、複数の第1支持リブ(第1支持部材)13と、を備える。図3A図3B及び図4に示すように、第2軸流ファン2は、第2インペラ20と、第2モータ部21と、第2ケース22と、複数の第2支持リブ(第2支持部材)23と、を備える。
【0016】
第1インペラ10は、中心軸Jを中心として放射状に等ピッチにて配置された複数(本実施の形態では、5枚)の第1翼10aを有する。第1インペラ10は、第1モータ部11により中心軸Jの周りに所定方向(図2A及び図2Bに示す矢印方向)に回転する。なお、第1インペラ10における第1翼10aの数は上記に限定されない。
【0017】
第2インペラ20は、中心軸Jを中心として放射状に等ピッチにて配置された複数(本実施の形態では、3枚)の第2翼20aを有する。第2インペラ20は、第2モータ部21により中心軸Jの周りに第1インペラ10とは反対方向(図3A及び図3Bに示す矢印方向)に回転する。これにより、第2インペラ20は、第1インペラ10によるエアの流れと同方向のエアの流れ(すなわち、図1中の左側から右側へと向かう中心軸J方向のエアの流れ)を発生させる。なお、第2インペラ20における第2翼20aの数は上記に限定されない。
【0018】
第1ケース12は第1インペラ10の外周(径方向外側)を囲む。本実施形態において、第1ケース12は、例えば、アルミダイカストによって構成される。第1ケース12は、軸方向に伸びる筒状の周壁部12Aと、周壁部12Aの軸方向の吸気側に設けられて径方向外側に張り出す4つの吸気側フランジ部12Bと、周壁部12Aの軸方向の排気側に設けられて径方向外側に張り出す4つの排気側フランジ部12Cと、を備える。
【0019】
第1ケース12は、周壁部12Aにおける円筒面からなる内周面12A1により風洞を構成する。図2Aに示すように、周壁部12Aの軸方向における吸気側端面53は、吸気側フランジ部12Bの表面12B1と面一である。
【0020】
また、図2Bに示すように、周壁部12Aの軸方向における排気側端面54は、排気側フランジ部12Cの表面12C1と面一である。4つの排気側フランジ部12Cの一つに第1切欠き14が設けられる。第1切欠き14は、周壁部12Aの一部を貫通した状態に設けられる。
【0021】
図2A及び図2Bに示したように、軸方向から視て、第1ケース12の輪郭形状は略四角形である。四角い輪郭形状における4つの角部は吸気側フランジ部12B及び排気側フランジ部12Cの輪郭によって構成される。吸気側フランジ部12B及び排気側フランジ部12Cには、軸方向に貫通する貫通孔51,52がそれぞれ設けられる。貫通孔51,52は、第2軸流ファン2との固定に用いられる締結用螺子が取り付けられる。
【0022】
図2Bに示すように、複数(本実施形態では、4本)の第1支持リブ13は、中心軸Jを中心として放射状に伸びて第1ケース12に接続され、第1モータ部11の第2モータ部21側を支持する。第1支持リブ13は、第1ケース12の周壁部12Aにおける内周面12A1の排気側に接続されるとともに、第1モータ部11の径方向外側を支持する。なお、第1モータ部11の構成については後述する。
【0023】
第2ケース22は第2インペラ20の外周(径方向外側)を囲む。本実施形態において、第2ケース22は、軸方向に伸びる筒状の周壁部22Aと、周壁部22Aの軸方向の吸気側に設けられて径方向外側に張り出す4つの吸気側フランジ部22Bと、周壁部22Aの軸方向の排気側に設けられて径方向外側に張り出す4つの排気側フランジ部22Cと、を備える。
【0024】
第2ケース22は、周壁部22Aにおける円筒面からなる内周面22A1により風洞を構成する。図3Aに示すように、周壁部22Aの軸方向における吸気側端面63は、吸気側フランジ部22Bの表面22B1と面一である。4つの吸気側フランジ部22Bの一つに第2切欠き15が設けられる。第2切欠き15は、周壁部22Aの一部を貫通した状態に設けられる。なお、第2切欠き15の形状は第1切欠き14の形状と同じである。
【0025】
また、図3Bに示すように、周壁部22Aの軸方向における排気側端面64は、排気側フランジ部22Cの表面22C1と面一である。
【0026】
図3A及び図3Bに示したように、軸方向から視て、第2ケース22の輪郭形状は略四角形である。四角い輪郭形状における4つの角部は吸気側フランジ部22B及び排気側フランジ部22Cの輪郭によって構成される。吸気側フランジ部22B及び排気側フランジ部22Cには、軸方向に貫通する貫通孔61,62がそれぞれ設けられる。貫通孔61,62は、第1軸流ファン1との固定に用いられる締結用螺子が取り付けられる。第1軸流ファン1及び第2軸流ファン2は、不図示の締結用螺子を第1軸流ファン1の貫通孔51,52と第2軸流ファン2の貫通孔61,62とに挿通させることにより、一体に固定されることで二重反転式ファン100を構成する(図1参照)。
【0027】
複数(本実施形態では、4本)の第2支持リブ23は、中心軸Jを中心として放射状に伸びて第2ケース22に接続され、第2モータ部21の第1モータ部11側を支持する。具体的に、第2支持リブ23は、第2ケース22の周壁部22Aにおける内周面22A1の吸気側に位置し、第2モータ部21の径方向外側を支持する。なお、第2モータ部21の構成については後述する。
【0028】
なお、第1ケース12及び第2ケース22は、第1ケース12における排気側フランジ部12Cの第1切欠き14と、第2ケース22における吸気側フランジ部22Bの第2切欠き15と、を位置合わせした状態で配置される(図1参照)。本実施形態において、第1切欠き14及び第2切欠き15は同じ形状を有する。そのため、軸方向から視て、第1切欠き14及び第2切欠き15は平面的に重なる。このように本実施形態の二重反転式ファン100によれば、第1切欠き14及び第2切欠き15を第1軸流ファン1(第1ケース12)及び第2軸流ファン2(第2ケース22)の位置合わせに利用することで組み立て性を向上させることができる。
【0029】
図4に示すように、本実施形態の二重反転式ファン100において、第1モータ部11及び第2モータ部21は、アウターロータ式のモータである。第1モータ部11は、ステータ部30と、ロータ部31と、ベアリング32と、第1回路基板33と、を備える。ステータ部30は、中心軸Jを中心とする略円環状のベース部30aと、ベース部30aの吸気側に突出する略円筒状のベアリング保持部30bと、ベアリング保持部30bの径方向外側に取り付けられたステータコア30cと、ステータコア30cに装着されたコイル30dとを有する。コイル30dは、インシュレータを介してステータコア30cに設けられる。
【0030】
図2Bに示したように、第1支持リブ13はベース部30aから放射状に伸びて第1ケース12の周壁部12Aにおける内周面12A1に接続される。本実施形態において、ベース部30a及びベアリング保持部30bは第1ケース12と同じアルミニウム製である。すなわち、ベース部30a及びベアリング保持部30bは複数の第1支持リブ13および第1ケース12と共にアルミダイカストにより一体に形成される。なお、ベアリング保持部30bの内側には、軸受機構の一部となるベアリング32が軸方向において2つ設けられる。
【0031】
第1回路基板33は、ステータ部30のベアリング保持部30bに挿入されることで保持される。第1回路基板33は略円環板状であり、ステータ部30のコイル30dから引き出された引出線(不図示)と電気的に接続され、ステータ部30の回転を制御する。第1回路基板33には、例えば、集積回路およびコンデンサ(図示省略)が実装される。第1回路基板33からは、複数のリード線を束ねた第1配線34(図1図2B参照)が引き出される。第1回路基板33は、第1配線34を介して二重反転式ファン100の外部に設けられた電源等の外部機器(図示省略)に接続される。
【0032】
図1及び図2Bに示したように、第1回路基板33から引き出された第1配線34は、排気側フランジ部12Cに設けられた第1切欠き14に保持されるとともに第1ケース12外側に引き出される。
【0033】
ロータ部31は、ベアリング32を介して中心軸Jを中心にステータ部30に対して回転可能に支持される。ロータ部31は、中心軸Jを中心とする略有蓋円筒状であって磁性を有する金属製のコア31aと、コア31aの側壁部の内側(すなわち、内側面)に固定されてステータ部30のコイル30dと対向する略円筒状のマグネット31bと、コア31aの蓋部から軸方向一方に突出するシャフト31cと、ブッシュ31dと、を備える。
【0034】
シャフト31cは、ベアリング保持部30bに挿入されてベアリング32により回転可能に支持される。ロータ部31において、コア31aとシャフト31cとは、ブッシュ31dを介して一体に保持される。第1インペラ10は、ブッシュ31dを介してロータ部31に固定される。これにより、第1インペラ10は、ロータ部31とともに回転可能とされる。
【0035】
図4に示すように、第2モータ部21は第1モータ部11と同一構造である。すなわち、第2モータ部21は、ステータ部40と、ロータ部41と、ベアリング42と、第2回路基板43と、を備える。ステータ部40は、中心軸Jを中心とする略円環状のベース部40aと、ベース部40aの吸気側に突出する略円筒状のベアリング保持部40bと、ベアリング保持部40bの径方向外側に取り付けられたステータコア40cと、ステータコア40cに装着されたコイル40dとを有する。コイル40dは、インシュレータを介してステータコア40cに設けられる。
【0036】
ロータ部41は、ベアリング42を介して中心軸Jを中心にステータ部40に対して回転可能に支持される。ロータ部41は、中心軸Jを中心とする略有蓋円筒状であって磁性を有する金属製のコア41aと、コア41aの側壁部の内側(すなわち、内側面)に固定されてステータ部40のコイル40dと対向する略円筒状のマグネット41bと、コア41aの蓋部から軸方向一方に突出するシャフト41cと、ブッシュ41dと、を備える。
【0037】
シャフト41cは、ベアリング保持部40bに挿入されてベアリング42により回転可能に支持される。ロータ部41において、コア41aとシャフト41cとは、ブッシュ41dを介して一体に保持される。第2インペラ20は、ブッシュ41dを介してロータ部41に固定される。これにより、第2インペラ20は、ロータ部41とともに回転可能とされる。
【0038】
第2支持リブ23はベース部40aから放射状に伸びて第2ケース22の周壁部22Aにおける内周面22A1に接続される。本実施形態において、ベース部40a及びベアリング保持部40bは第2ケース22と同じアルミニウム製である。すなわち、ベース部40a及びベアリング保持部40bは複数の第2支持リブ23および第2ケース22と共にアルミダイカストにより一体に形成される。なお、ベアリング保持部40bの内側には、軸受機構の一部となるベアリング42が軸方向において2つ設けられる。
【0039】
第2回路基板43は、ステータ部40のベアリング保持部40bに挿入されることで保持される。第2回路基板43は略円環板状であり、ステータ部40のコイル40dから引き出された引出線(不図示)と電気的に接続され、ステータ部40の回転を制御する。第2回路基板43には、例えば、集積回路およびコンデンサ(図示省略)が実装される。第2回路基板43からは、複数のリード線を束ねた第2配線44(図1図3A参照)が引きだれる。第2回路基板43は、第2配線44を介して二重反転式ファン100の外部に設けられた電源等の外部機器(図示省略)に接続される。
【0040】
図1及び図3Aに示したように、第2回路基板43から引き出された第2配線44は、吸気側フランジ部22Bに設けられた第2切欠き15を介して第2ケース22外側に引き出される。
【0041】
本実施形態において、第1切欠き14及び第2切欠き15は軸方向から視て平面的に重なる。すなわち、第1回路基板33からの第1配線34の引出方向と、第2回路基板43からの第2配線44の引出方向とは、同じである。本実施形態の二重反転式ファン100によれば、第1配線34及び第2配線44の引出方向を同じにすることで、外部機器に対する第1配線34及び第2配線44の引き回しを容易とすることができる。
【0042】
ロータ部41は、ベアリング42を介して中心軸Jを中心にステータ部40に対して回転可能に支持される。ロータ部41は、中心軸Jを中心とする略有蓋円筒状であって磁性を有する金属製のコア41aと、コア41aの側壁部の内側(すなわち、内側面)に固定されてステータ部40のコイル40dと対向する略円筒状のマグネット41bと、コア41aの蓋部から軸方向一方に突出するシャフト41cと、を備える。シャフト41cは、ベアリング保持部40bに挿入されてベアリング42により回転可能に支持される。
【0043】
本実施形態の二重反転式ファン100を全体として見た場合、第1モータ部11の第1ケース12及び第2モータ部21の第2ケース22は、軸方向において接触する。本実施形態において、第1ケース12の排気側端面と第2ケース22の吸気側端面とが軸方向において接触する。より具体的に、第1ケース12における周壁部12Aの排気側端面54と第2ケース22における周壁部22Aの吸気側端面63とが軸方向において接触する。また、第1ケース12における排気側フランジ部12Cの表面12C1(図2B参照)と第2ケース22における吸気側フランジ部22Bの表面22B1(図3A参照)とが軸方向において接触する。これにより、第1ケース12及び第2ケース22は、軸方向において、隙間なく接触した状態とされる。
【0044】
ここで、軸方向において、第1ケース12及び第2ケース22が接触する位置を第1の位置P1と称す。本実施形態において、第1ケース12及び第2ケース22は、軸方向における第1の位置P1で互いの端面同士が接触する。
【0045】
また、本実施形態において、第1ケース12における軸方向の長さH1は、第2ケース22における軸方向の長さH2よりも長い。そのため、第1ケース12により構成される風洞の軸方向における距離は、第2ケース22により構成される風洞の軸方向における距離よりも長い。本実施形態によれば、第1ケース12内に収容する第1インペラ10の第1翼10aの軸方向の長さを、第2ケース22内に収容する第2インペラ20の第2翼20aの軸方向の長さより長くすることができる。
【0046】
また、第1軸流ファン1及び第2軸流ファン2は、軸方向において、第1モータ部11の軸方向における排気側に位置する端面と第2モータ部21の軸方向における吸気側に位置する端面とを対向させる。
具体的に、第1モータ部11及び第2モータ部21は、ベース部30aにおけるベアリング保持部30bと反対の面30a1とベース部40aにおけるベアリング保持部40bと反対の面40a1とを近接させた状態で配置される。すなわち、面30a1と面40a1との間には隙間が生じている。
【0047】
ここで、軸方向において、第1モータ部11及び第2モータ部21同士が対向する位置を第2の位置P2と称す。本実施形態において、第1モータ部11及び第2モータ部21は、軸方向において互いが逆方向を向いて配置されるとともに、第1の位置P1と異なる第2の位置P2で互いの端面同士(面30a1及び面40a1)が対向する。なお、本実施形態において、面30a1及び面40a1の間には隙間が生じているため、第2の位置P2は隙間の軸方向における中心位置に相当する。
具体的に、第2の位置P2は、第1の位置P1よりも軸方向一方側(吸気側)に位置する。本実施形態において、第1モータ部11及び第2モータ部21は同一構成を有するため、第1モータ部11及び第2モータ部21における軸方向の寸法は同じである。
【0048】
本実施形態において、第1支持リブ13は、第1ケース12の周壁部12Aにおける内周面12A1からベース部30aに向かって軸方向一方側(吸気側)に延びる。第1支持リブ13は、第1モータ部11(ベース部30a)と第1ケース12(周壁部12Aの内周面12A1)とを接続する接続面13a(図2B図4参照)を有する。より具体的に接続面13aは、周壁部12Aの軸方向他方側(排気側)の端面12A2と、ベース部30aにおけるベアリング保持部30bと反対の面30a1とを接続する。接続面13aは、内周面12A1からベース部30aに向かって軸方向一方側(吸気側)に傾斜する傾斜面である。本実施形態の二重反転式ファン100において、第1軸流ファン1は、第1支持リブ13によって第1モータ部11が第1ケース12に対して軸方向一方側(吸気側)に凹んだ状態とされる。
【0049】
本実施形態において、第2支持リブ23は、第2ケース22の周壁部22Aにおける内周面22A1からベース部30aに向かって軸方向一方側(吸気側)に延びる。第2支持リブ23は、第2モータ部21(ベース部40a)と第2ケース22(周壁部22Aの内周面22A1)とを接続する接続面23a(図3A図4参照)を有する。より具体的に接続面23aは、周壁部22Aの軸方向一方側(吸気側)の端面22A2と、ベース部40aにおけるベアリング保持部40bと反対の面40a1とを接続する。接続面23aは、内周面22A1からベース部40aに向かって軸方向一方側(吸気側)に傾斜する傾斜面である。本実施形態の二重反転式ファン100において、第2軸流ファン2は、第2支持リブ23によって第2モータ部21が第2ケース22に対して軸方向一方側(吸気側)に突出した状態とされる。
【0050】
すなわち、本実施形態の二重反転式ファン100は、所定の中心軸Jを中心として放射状に配置された複数の第1翼10aを有する第1インペラ10と、第1インペラ10を中心軸Jの周りに回転させる第1モータ部11と、第1インペラ10の外周を囲む第1ケース12と、を有する第1軸流ファン(第1ファン)1と、中心軸Jを中心として放射状に配置された複数の第2翼20aを有する第2インペラ20と、第2インペラ20を中心軸Jの周りに回転させる第2モータ部21と、第2インペラ20の外周を囲む第2ケース22と、を有する第2軸流ファン(第2ファン)2と、中心軸Jを中心として放射状に伸びて第1ケース12に接続され、第1モータ部11の第2モータ部21側を支持する複数の第1支持リブ(第1支持部材)13と、中心軸Jを中心として放射状に伸びて第2ケース22に接続され、第2モータ部21の第1モータ部11側を支持する複数の第2支持リブ(第2支持部材)23と、を備えている。そして、第1支持リブ13は、第1ケース12の内周面12A1から第1モータ部11に向かって軸方向一方側に延び、第2支持リブ23は、第2ケース22の内周面22A1から第2モータ部21に向かって軸方向一方側に延びる。
【0051】
本実施形態の二重反転式ファン100によれば、軸方向一方側(吸気側)に延びる第1支持リブ13および第2支持リブ23を備えることによって、上述のような第1ケース12における軸方向の長さH1を第2ケース22における軸方向の長さH2よりも長くする構成を実現することができる。これにより、第1ケース12により構成される風洞の軸方向における距離が第2ケース22により構成される風洞の軸方向における距離よりも延びるので、第1ケース12内に収容する第1インペラ10の第1翼10aの軸方向の長さを、第2ケース22内に収容する第2インペラ20の第2翼20aの軸方向の長さより長くする構成を実現できる。
【0052】
図5は、二重反転式ファンの軸方向に沿う要部拡大断面図である。図5に示すように、第1支持リブ13及び第2支持リブ23は、軸方向に沿う断面積が互いに等しい。本実施形態の二重反転式ファン100において、第1支持リブ13及び第2支持リブ23は、軸方向に沿う断面積が互いに等しい。
【0053】
すなわち、本実施形態の二重反転式ファン100は、所定の中心軸Jを中心として放射状に配置された複数の第1翼10aを有する第1インペラ10と、第1インペラ10を中心軸Jの周りに回転させる第1モータ部11と、第1インペラ10の外周を囲む第1ケース12と、を有する第1軸流ファン(第1ファン)1と、中心軸Jを中心として放射状に配置された複数の第2翼20aを有する第2インペラ20と、第2インペラ20を中心軸Jの周りに回転させる第2モータ部21と、第2インペラ20の外周を囲む第2ケース22と、を有する第2軸流ファン(第2ファン)2と、中心軸Jを中心として放射状に伸びて第1ケース12に接続され、第1モータ部11の第2モータ部21側を支持する複数の第1支持リブ(第1支持部材)13と、中心軸Jを中心として放射状に伸びて第2ケース22に接続され、第2モータ部21の第1モータ部11側を支持する複数の第2支持リブ(第2支持部材)23と、を備えている。そして、第1ケース12及び第2ケース22は、端面同士が接触しており、第1モータ部11及び第2モータ部21は、軸方向において互いが逆方向を向いて配置されるとともに、第1支持リブ13及び第2支持リブ23は、軸方向に沿う断面積が互いに等しい。
【0054】
本実施形態の二重反転式ファン100では、第1支持リブ13及び第2支持リブ23の軸方向に沿う断面積を等しくすることで、第1ケース12及び第2ケース22をダイカストによって形成する際、湯回り不良の発生を低減できる。よって、第1ケース12及び第2ケース22として精度の高い部品を提供できる。
【0055】
以上のように本実施形態の二重反転式ファン100によれば、ケース接触位置(第1の位置P1)とモータ対向位置(第2の位置P2)とを軸方向で異ならせるため、吸気側に配置される第1インペラ10のサイズを大きくしつつ、モータ部品の共通化を実現できる。よって、モータを共通化しつつ、第1インペラ10を第2インペラ20よりも大きくした設計が可能となるので、より大きな風量を得る二重反転式ファン100を提供できる。また、モータ部品を共通化することでコスト低減を図ることができる。
【0056】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0057】
例えば、上記実施形態の二重反転式ファン100では、第1軸流ファン1を吸気側に配置し、第2軸流ファン2を排気側に配置する場合を例に挙げたが、第1軸流ファン1及び第2軸流ファン2の配置はこれに限定されない。すなわち、第1軸流ファン1を排気側に配置し、第2軸流ファン2を吸気側に配置してもよい。
この構成によれば、2つのファンのモータ部を共通化しつつ、吸気側の風洞距離よりも排気側の風洞距離を長くした構成を実現できる。よって、所望の風量特性を備えた二重反転式ファンを提供することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…第1軸流ファン(第1ファン)、2…第2軸流ファン(第2ファン)、10…第1インペラ、10a…第1翼、11…第1モータ部、12…第1ケース、13…第1支持リブ(第1支持部材)、14…第1切欠き、15…第2切欠き、20…第2インペラ、20a…第2翼、21…第2モータ部、22…第2ケース、23…第2支持リブ(第2支持部材)、30a1,40a1…面、33…第1回路基板、34…第1配線、43…第2回路基板、44…第2配線、100…二重反転式ファン、H1,H2…長さ、J…中心軸、P1…第1の位置、P2…第2の位置。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5