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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】曲提供システム及び携帯端末
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/00 20060101AFI20230214BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
G10H1/00 102Z
H04M11/00 302
G10H1/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018071900
(22)【出願日】2018-04-03
(65)【公開番号】P2019184680
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】小山 利哉
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-203752(JP,A)
【文献】特開2003-317188(JP,A)
【文献】特開平05-071975(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107801129(CN,A)
【文献】特開平02-257749(JP,A)
【文献】Kevin Townsend,外3名,Bluetooth Low Energyをはじめよう,第1版,株式会社オライリー・ジャパン,2015年02月25日,p.9-11
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00- 1/46
G10K 15/00-15/12
H04B 7/24- 7/26
H04L 12/28-13/18
H04M 1/00-11/10
H04N 7/10-21/858
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、
無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、
を有し、
前記携帯端末は、受信した前記信号の信号強度に対応する音量で、前記曲を再生する、
ことを特徴とする曲提供システム。
【請求項2】
曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、
無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、
を有し、
前記曲の主旋律の前記構成要素を格納した前記信号の送信頻度を、前記主旋律を含まない前記構成要素を格納した前記信号の送信頻度より大きくして前記主旋律を再生する、
ことを特徴とする曲提供システム。
【請求項3】
曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、
無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、
を有し、
前記構成要素に楽器を識別する楽器IDを設け、
前記楽器ID単位の前記信号を無線でブロードキャストする、
ことを特徴とする曲提供システム。
【請求項4】
曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、
無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、
を有し、
前記携帯端末は、前記曲を識別する曲識別子が異なる信号が混在していると判断した場合、第1の曲識別子の曲を再生した後、第2の曲識別子の曲を再生する、
ことを特徴とする曲提供システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、受信した前記信号の信号強度に対応する音量で、前記曲を再生する、
ことを特徴とする請求項4に記載の曲提供システム。
【請求項6】
曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、
無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、
を有し、
前記携帯端末は、曲の再生中に他の曲の信号を受信した場合、前記再生中の曲より高い音圧又は大きな音量で前記他の曲を前記再生中の曲と並行して再生する、
ことを特徴とする曲提供システム。
【請求項7】
曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けた部分構成要素が格納され、かつ、無線でブロードキャストされた信号を前記信号毎に受信する受信部と、
前記部分構成要素を記憶する記憶部と、
前記記憶部を監視する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記部分構成要素のうち前記曲を識別する曲識別子が共通する信号を取得し、受信した前記信号の信号強度に対応する音量で、取得した前記信号に基づく前記曲を再生する、
ことを特徴とする携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は曲提供システム及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者が支援を必要とする場所に無線標識を設置すると共に、無線標識との間で無線通信が可能な携帯端末を使用する歩行支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、電話の不使用時に電話回線を利用して音楽を聞くことができる音楽放送システムも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
さらに、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)を使用してMusical Instrument Digital Interface(MIDI)対応機器同士を無線で接続するMIDI over Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE-MIDI)も知られている(例えば、非特許文献1参照)。BLE-MIDIにより、電子ピアノや電子ドラムといった電子楽器の演奏に基づく曲の音声情報を携帯端末に無線で送信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-160064号公報
【文献】特開平2-257749号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】BLUETOOTH LE MIDI SPECIFICATION. [online]. MIDI ASSOCIATION. [retrieved on 2017-11-27]. Retrieved from the Internet:<URL:https://www.midi.org/specifications/item/bluetooth-le-midi>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、BLE-MIDIは、電子楽器などの送信元と携帯端末などの送信先との間で無線接続を確立し、送信元から送信された音声情報を送信した順序かつ送信したタイミングで送信先が受信することが求められ、情報の重複や欠落は許されない。そのため信頼できる通信経路を用いることができない場合、順序制御や確認応答が必要となる。例えば、電子楽器からの音声情報を携帯端末が受信する度に、携帯端末は電子楽器に音声情報に対する応答を返信することが求められ、両者の接続を確立する必要が生じる。すなわち、BLE-MIDIは無線通信のような信頼できない経路を用いる場合に、接続を確立不能な片方向通信では安定して利用できない。
【0007】
また、BLE-MIDIでは、送信元は同時に複数の送信先に音声情報を送信することができない。したがって、歩行支援システムなど、公共のシステムにおいてBLE-MIDIを利用して1つの無線標識から複数の携帯端末に音声情報を提供しようとしても、無線標識から携帯端末に音声情報を提供できないという問題がある。
【0008】
そこで、1つの側面では、本発明は、不特定の携帯端末に曲を提供できる曲提供システムと、携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示の曲提供システムは、曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、を有し、前記携帯端末は、受信した前記信号の信号強度に対応する音量で、前記曲を再生する、ことを特徴とする。
また、本明細書に開示の曲提供システムは、曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、を有し、前記曲の主旋律の前記構成要素を格納した前記信号の送信頻度を、前記主旋律を含まない前記構成要素を格納した前記信号の送信頻度より大きくして前記主旋律を再生する、ことを特徴とする。
さらに、本明細書に開示の曲提供システムは、曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、を有し、前記構成要素に楽器を識別する楽器IDを設け、前記楽器ID単位の前記信号を無線でブロードキャストする、ことを特徴とする。
さらに、本明細書に開示の曲提供システムは、曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、を有し、前記携帯端末は、前記曲を識別する曲識別子が異なる信号が混在していると判断した場合、第1の曲識別子の曲を再生した後、第2の曲識別子の曲を再生する、ことを特徴とする。
さらに、本明細書に開示の曲提供システムは、曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納した信号を前記信号毎に無線でブロードキャストする送信機と、無線で受信した前記信号のうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて、前記曲の少なくとも一部を再生する携帯端末と、を有し、前記携帯端末は、曲の再生中に他の曲の信号を受信した場合、前記再生中の曲より高い音圧又は大きな音量で前記他の曲を前記再生中の曲と並行して再生する、ことを特徴とする。
【0010】
本明細書に開示の携帯端末は、曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けた部分構成要素が格納され、かつ、無線でブロードキャストされた信号を前記信号毎に受信する受信部と、前記部分構成要素を記憶する記憶部と、前記記憶部を監視する制御部と、を有し、前記制御部は、前記部分構成要素のうち前記曲を識別する曲識別子が共通する信号を取得し、受信した前記信号の信号強度に対応する音量で、取得した前記信号に基づく前記曲を再生する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不特定の携帯端末に曲を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(a)及び図1(b)は曲提供システムを説明する図である。
図2図2は送信機のハードウェア構成である。
図3図3は携帯端末のハードウェア構成である。
図4図4(a)は送信機の機能ブロック図である。図4(b)は携帯端末の機能ブロック図である。
図5図5はパケットのフォーマットを示す図である。
図6図6は送信機の動作を表すフローチャートである。
図7図7は携帯端末の動作を表すフローチャート(その1)である。
図8図8は携帯端末の動作を表すフローチャート(その2)である。
図9図9(a)はパケットに格納されたデータを説明するための図である。図9(b)は別のパケットに格納されたデータを説明するための図である。
図10図10は音符の記憶領域への配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1(a)および図1(b)は曲提供システムSを説明する図である。図1(a)及び(b)に示すように、曲提供システムSは送信機100と携帯端末200とを含んでいる。曲提供システムSは、図1(a)に示すように1台の送信機100と複数台の携帯端末200を含んでいてもよいし、図1(b)に示すように複数台の送信機100と複数台の携帯端末200を含んでいてもよい。図示しないが、曲提供システムSは複数台の送信機100と1台の携帯端末200を含んでいてもよい。
【0015】
送信機100はBroadcasterやPeripheralなどと呼ばれるビーコンユニット(又はビーコンモジュール)によって実現することができる。送信機100は信号(以下、パケットという)を不特定の携帯端末200に向けて所定の通信規格により定められた無線で定期的にブロードキャストする。通信規格としては例えばBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)がある。パケットは、曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納している。楽譜情報は、例えば曲のテンポや拍子情報といった基本情報と、曲を構成する楽曲情報とに大きく分けられる。送信機100はパケットをBLE規格に従った無線技術で例えば0.5秒間隔や1秒間隔で周囲(10m程度の近距離)にブロードキャストする。特に、送信機100はAdvertising Modeでパケットをブロードキャストする。
【0016】
曲提供システムSが複数台の送信機100を含む場合、各送信機100は別々のパケットをブロードキャストしてもよい。また、各送信機が送信するパケットを短時間で切り替えてもよい。例えば、曲全体の楽譜情報送信が10個のパケットで対応可能な場合、10台の送信機100を準備して異なる位置に配置し、第1の送信機100が第1のパケットをブロードキャストし、第2の送信機100が第1のパケットに続く第2のパケットをブロードキャストし、・・・、第10の送信機100が第9のパケットに続く第10のパケットをブロードキャストしてもよい。
【0017】
一方で、2台の送信機100を準備して、第1の送信機100が第1のパケットから第5のパケットまでをブロードキャストし、第2の送信機100が第6のパケットから第10のパケットまでをブロードキャストしてもよい。また、第1の送信機100と第2の送信機100の両方がそれぞれ第1のパケットから第10のパケットまでをブロードキャストしてもよい。このように、送信機100の台数を増やすことにより、複数のパケットが携帯端末200に伝わるスピードが向上したり、広範囲のエリアをカバーできたりする。
【0018】
携帯端末200は、曲提供システムSを利用するユーザ10が携帯する端末装置である。図1では、携帯端末200の一例としてスマートフォンが示されているが、タブレット端末やウェアラブル端末などであってもよい。ウェアラブル端末としてはスマートウォッチなどがある。携帯端末200は上述したBroadcasterやPeripheralに対しObserverやCentralなどとも呼ばれる。
【0019】
携帯端末200は、送信機100がブロードキャストするパケットを受信する。より詳しくは、送信機100がブロードキャストするパケットを受信できる範囲内に携帯端末200が属すると、携帯端末200はパケットを受信する。送信機100はAdvertising Modeでパケットをブロードキャストするため、携帯端末200は送信機100との接続を確立せずにパケットを受信する。詳細は後述するが、携帯端末200はパケットを受信すると、受信したパケットに基づいて楽譜情報を逐次再構成し、再構成した楽譜情報に携帯端末200が有する音源の情報(以下、単に音源という)を対応付けて音声波形情報を生成する。携帯端末200は音声波形情報を生成すると、音声波形情報に応じた曲を再生する。
【0020】
尚、楽譜情報に対応付ける音源としては、例えばピアノやオルガン、シンセサイザーなどの鍵盤楽器、バイオリンやチェロなどの弦楽器、ドラムやボンゴなどの打楽器がある。携帯端末200が生成する音声波形情報としては、例えばPCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)情報などがある。送信機100は音声波形情報を含むパケットをブロードキャストする訳ではなく、楽譜情報の構成要素を含むパケットをブロードキャストする。したがって、送信機100がブロードキャストするパケットの情報量を音声波形情報の場合と比べて小さくすることができる。
【0021】
携帯端末200は1つの曲に対応する全てのパケットを受信するまで待ってから音声波形情報を生成して再生する必要はなく、一部のパケットを受信した時点で音声波形情報を生成して再生してもよい。例えば、携帯端末200が主旋律に相当する一又は複数のパケットを受信したとき、打楽器のパートに相当するパケットを受信しなくても音声波形情報を生成して再生しても良い。 この場合でも、ユーザ10はどんな曲であるかを識別することができる。
【0022】
続いて、図2を参照して、送信機100のハードウェア構成について説明する。
【0023】
図2は送信機100のハードウェア構成である。図2に示すように、送信機100は、MCU(Micro Control Unit)100A、RF(Radio Frequency)回路100B、及びNVM(Non-Volatile Memory)100Cを含んでいる。RF回路100Bにはアンテナ100B´が接続されている。RF回路100Bとしては例えば近距離無線通信回路などがある。
【0024】
MCU100AからNVM100Cまでは、内部バス100Dによって互いに接続されている。MCU100AはCPU、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を含んでおり、少なくともCPUとRAMとが協働することによってコンピュータの処理が実現される。例えばRAMには、ROMやNVM100Cに記憶されたプログラムがCPUによって一時的に格納され、格納されたプログラムをCPUが実行することにより、MCU100Aは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。尚、プログラムは後述するフローチャートに応じた処理を行うものとすればよい。
【0025】
図3を参照して、携帯端末200のハードウェア構成について説明する。
【0026】
図3は携帯端末200のハードウェア構成である。図3に示すように、携帯端末200は、CPU200A、RAM200B、ROM200C、NVM200D及びRF回路200Eを含んでいる。RF回路200Eにはアンテナ200E´が接続されている。RF回路200Eとしては近距離無線通信回路などがある。
【0027】
携帯端末200は、イヤホン端子200F、カメラ200G、タッチパネル200H、ディスプレイ200I、及びスピーカ200Jを含んでいる。イヤホン端子200Fとしては例えばイヤホンジャックやイヤホンポートなどがある。CPU200Aからスピーカ200Jまでは、内部バス200Kによって互いに接続されている。少なくともCPU200AとRAM200Bとが協働することによってコンピュータの処理が実現される。RAM200Bには、ROM200CやNVM200Dに記憶されたプログラムがCPU200Aによって一時的に格納され、格納されたプログラムをCPU200Aが実行することにより、CPU200Aは後述する各種の機能を実現し、後述する各種の処理を実行する。
【0028】
図4及び図5を参照して、送信機100及び携帯端末200の機能について説明する。図4(a)は送信機100の機能ブロック図である。図4(b)は携帯端末200の機能ブロック図である。図5はパケットのフォーマットを示す図である。パケットは、BLEの規格に従ったアドバタイジングパケットである。
【0029】
送信機100は、図4(a)に示すように、記憶部101、制御部102、及び送信部103を含んでいる。図示しないが、送信機100は、記憶部101、制御部102、及び送信部103に電力を供給する電池などの電源や、電源のオンとオフを切り替えるスイッチも含んでいる。記憶部101はMCU100AのRAM若しくはROM又はNVM100Cの少なくともいずれかによって実現することができる。制御部102はMCU100AのCPUによって実現することができる。送信部103はRF回路100B及びアンテナ100B´によって実現することができる。
【0030】
記憶部101は種々のパケットを記憶する。楽譜情報のパケットは、曲提供システムSを運用する事業者や送信機100を製造する製造者などによって事前に記憶部101に格納される。パケットは、図5に示すように最大31バイトの大きさを有し、アドバタイズメントストラクチャー(AD Structure)と呼ばれる情報要素が詰め込まれている。1セットのアドバタイズメントストラクチャーは、「Length」、「AD Type」、及び「Data」を含んでいる。図5では、2セットのアドバタイズメントストラクチャーが示されている。
【0031】
「Length」はアドバタイズメントストラクチャーのデータ長を示している。「AD Type」はアドバタイズメントストラクチャーの種類を示している。「Data」はデータを示している。図5に示すように、「AD Type」が「FF」である場合、アドバタイズメントストラクチャーが製造者特定データ(Manufacturer Specific Data)であることを意味し、製造者が自由にアドバタイズメントストラクチャーの長さと内容を決めることができる。「Company ID」は製造者を示す識別子である。
【0032】
本実施形態では、製造者が自由に決めるアドバタイズメントストラクチャーの「Data(独自データ)」のフィールドに、サービスコードやバージョン情報といった複数のデータが1バイトずつ含まれている。「Data(独自データ)」のフィールドには、設定により、サービスコード、バージョン情報、曲ID、全パケット数、パケット番号、パケット種別、テンポ、拍子情報、オフセット時間、音符・休符、音色、制御コードといった各種のデータが含まれている。
【0033】
サービスコード、バージョン情報、曲ID、及びパケット種別は全てのパケットに含まれる。パケット番号も全てのパケットに含まれることが望ましい。一方、全パケット数、テンポ、拍子情報、オフセット、音符・休符、音色、制御コードは全てのパケットに含まれている必要はない。一部のパケットがテンポと拍子情報と全パケット数を含み、オフセット、音符・休符、音色、制御コードを含んでいなくてもよい。どの要素をパケットに含めるかは、パケット種別に応じて決定すればよい。
【0034】
サービスコードは、曲提供システムSによって行われるサービスを識別するコードである。バージョン情報は、提供されるサービスのバージョンを表す情報である。曲IDは曲を識別する識別子である。パケットが曲IDを含むため、曲IDが共通する曲に限定して携帯端末200が再生すれば、異なる曲が混ざって再生されることが防止される。全パケット数は1つの曲に対応するパケット総数を表しており、パケット番号はパケットの順番を特定する。
【0035】
パケット種別はパケットの種別を表している。パケット種別「0」は曲のテンポや拍子情報といった基本情報を表し、パケット種別「1」は音符・休符や音色といった楽曲の演奏情報を表している。テンポは曲の演奏速度を表しており、拍子情報は1小節に含まれる特定の音符の数を表している。オフセットは音符や休符の演奏開始位置を表している。オフセットは例えば曲の先頭からのオフセット情報としても、小節番号を指定した上で対象とする小節の先頭からのオフセット情報としても良い。音符・休符はオフセット位置を基準に配置される音符及び休符の少なくとも一方を表している。音色は曲を奏でる楽器を識別する楽器IDを表し、制御コードは携帯端末200を制御するコードを表している。その他、携帯端末200が曲を再生する際の音量に関するデータをパケットに含めてもよい。これらのデータを含むパケットは、記憶部101に格納される。
【0036】
制御部102は記憶部101から定期的にパケットを取得し、送信部103に出力する。電源のスイッチがオンに切り替えられると、制御部102は記憶部101からパケット種別「0」のパケットを取得して送信部103に出力し、次いで記憶部101からパケット種別「1」で且つパケット番号「1」のパケットを取得して送信部103に出力する。以後、制御部102はパケット番号の順に従ってパケット種別「1」のパケットを取得して送信部103に出力する。送信部103は制御部102から出力されたパケットを受け付けると、受け付けた順番にパケットを無線でブロードキャストする。
【0037】
携帯端末200は、図4(b)に示すように、受信部201、制御部202、記憶部203、及び出力部204を含んでいる。図示しないが、携帯端末200は、受信部201、制御部202、記憶部203、及び出力部204に電力を供給する電源や電源のオンとオフを切り替えるスイッチも含んでいる。受信部201はRF回路200E及びアンテナ200E´によって実現することができる。制御部202はCPU200Aによって実現することができる。記憶部203はRAM200B、ROM200C、NVM200Dの少なくともいずれかによって実現することができる。出力部204はイヤホン端子200Fやスピーカ200Jによって実現することができる。
【0038】
受信部201は送信機100によってブロードキャストされたパケットを受信する。受信部201はパケットを受信する度に、受信したパケットを制御部202に出力する。制御部202は受信部201から出力されたパケットを受け付ける度に記憶部203に保存する。これにより、記憶部203は複数のパケットを記憶する。
【0039】
また、制御部202は記憶部203を監視し、曲IDが共通するパケットの中で全パケットの閾値(例えば数十パーセント)以上のパケットが記憶部203に記憶されていると判断した場合、記憶部203からその曲IDのパケットを取得する。制御部202は、曲IDが共通する全パケットが記憶部203に記憶されていると判断した場合、記憶部203からその曲IDの全てのパケットを取得することが望ましい。そして、制御部202は取得したパケットのテンポや音符などに基づいて楽譜情報を再構成し、再構成した楽譜情報にパケットの音色で指定された楽器IDに対応する音源を対応付けて音声波形情報を生成する。その後、制御部202は生成した音声波形情報に基づいて曲を再生して出力部204に出力する。出力部204は制御部202が再生した曲を出力する。
【0040】
特に、制御部202は1つの曲を構成する全パケットに基づいて音声波形情報を生成した場合は、完成された曲(例えばフルコーラスや全てのパートを含む曲など)を再生する。一方、1つの曲を構成する一部のパケットに基づいて音声波形情報を生成した場合、制御部202は例えばワンコーラス、全てのパートを含まない曲、曲のサビの部分など、曲の一部を再生する。
【0041】
図6を参照して、送信機100の動作について説明する。
【0042】
図6は送信機100の動作を表すフローチャートである。図6に示すように、送信機100のスイッチがオンに切り替えられるまで送信部103は待機する(S101:NO)。送信機100のスイッチがオンに切り替えられると(S101:YES)、送信部103はパケットをブロードキャストする(S102)。より詳しくは、送信機100のスイッチがオンに切り替えられると、制御部102が記憶部101からパケットを取得して送信部103に出力し、送信部103は制御部102から出力されたパケットを無線でブロードキャストする。
【0043】
図7及び図8を参照して、携帯端末200の動作について説明する。
【0044】
図7は携帯端末200の動作を表すフローチャート(その1)である。図8は携帯端末200の動作を表すフローチャート(その2)である。まず、図7に示すように、携帯端末200の受信部201はパケットのスキャンを開始する(S201)。携帯端末200に対してユーザ10が所定の操作を行うと、受信部201はBLEのスキャナを起動してパケットのスキャンを開始する。受信部201がパケットのスキャンを開始すると、制御部202は受信部201がパケットを受信したか否かを判断する(S202)。制御部202は、受信部201がパケットを受信するまでS202の処理を繰り返す(S202:NO)。
【0045】
一方、受信部201がパケットを受信したと判断すると(S202:YES)、制御部202は受信したパケットが処理対象であるか否かを判断する(S203)。制御部202は、パケットに含まれるCompany ID若しくはサービスコード又はこれらの組み合わせに基づいて、受信したパケットが処理対象であるか否かを判断する。制御部202は、受信したパケットが処理対象でないと判断した場合(S203:NO)、再びS202の処理を実行する。
【0046】
一方、制御部202は、受信したパケットが処理対象であると判断した場合(S203:YES)、受信したパケットに対応する曲が新規処理対象曲であるか否かを判断する(S204)。制御部202は、新規処理対象曲であると判断した場合(S204:YES)、記憶部203にアクセスし、その曲のデータのために利用する記憶領域を確保する(S205)。一方、その曲が新規処理対象曲でないと判断した場合(S204:NO)、その曲のデータで利用する記憶領域は既に確保されているため、制御部202はS205の処理をスキップする。尚、制御部202は記憶領域を確認して、受信したパケットが新規処理対象曲であるか否かを判断すればよい。
【0047】
S205の処理が完了した場合、又はS205の処理がスキップされた場合、制御部202は受信したパケットに含まれる曲IDが曲ID「A」であるか否かを判断する(S206)。制御部202は、受信したパケットに含まれる曲IDが曲ID「A」でないと判断した場合(S206:NO)、受信したパケットに含まれる曲IDが曲ID「B」であるか否かを判断する(S207)。このように、制御部202は受信したパケットに含まれる曲IDが特定の曲IDであると判断するまで同様の処理を繰り返す。
【0048】
一方、制御部202は、受信したパケットに含まれる曲IDが曲ID「A」であると判断した場合(S206:YES)、受信したパケットに含まれるパケット種別がパケット種別「0」であるか否かを判断する(S208)。尚、制御部202は受信したパケットに含まれる曲IDが曲ID「B」であると判断した場合も(S207:YES)S208を含む後続の処理と同様の処理を実行するため、詳細な説明を省略する。
【0049】
制御部202は、受信したパケットに含まれるパケット種別がパケット種別「0」であると判断した場合(S208:YES)、図8に示すように、記憶領域に曲ID「A」に対応する記憶領域に曲のテンポや拍子情報のデータなどの基本情報を配置する(S209)。
【0050】
一方、制御部202は、受信したパケットに含まれるパケット種別がパケット種別「0」でない、つまりパケット種別「1」であると判断した場合(S208:NO)、図8に示すように記憶領域に楽曲情報を配置する(S210)。すなわち、制御部202は、確保した記憶領域の一部をパケットに含まれる音色に対応付け、音色を対応付けた記憶領域にオフセット位置から音符や休符のデータを配置する。
【0051】
S209又はS210の処理が完了すると、次いで、制御部202はパケットに含まれる全てのデータを処理済であるか否かを判断する(S211)。パケットに含まれる全てのデータを処理済でないと判断した場合(S211:NO)、制御部202はS208の処理を再び実行する。これにより、例えば制御部202は音符や休符の配置漏れなどを回避することができる。
【0052】
一方、制御部202は、パケットに含まれる全てのデータを処理済であると判断した場合(S211:YES)、次いで基本情報を配置済であるか否かを判断する(S212)。制御部202は、基本情報を配置済でないと判断した場合(S212:NO)、S202の処理を再び実行し、パケット受信に伴い次第に記憶領域に音符や休符が配置されていく。
【0053】
一方、制御部202は基本情報を配置済であると判断した場合(S212:YES)、音声波形情報を生成し(S213)、生成した音声波形情報に基づき曲を再生する(S214)。制御部202は記憶領域に配置したテンポや音色、音符、休符など基づいて楽譜情報を再構成し、再構成した楽譜情報に音源を対応付けて音声波形情報を生成する。そして、制御部202は生成した音声波形情報に基づく曲を再生する。これにより、出力部204から曲が出力される。S214の処理が完了すると、制御部202はS202の処理を再び実行する。
【0054】
尚、パケットが全パケット数及びパケット番号のデータを含む場合、制御部202は全パケットの受信を待ってから音声波形情報を生成し始めることが望ましい。一方、パケットが全パケット数あるいはパケット番号のデータを含まない場合には、例えばパケット種別「0」のパケットとパケット種別「1」の一部のパケットを受信した時点、又は、パケットの受信を開始してから所定の時間が経過した時点で音声波形情報を生成し始めてもよい。そして、パケット種別「1」の残りのパケットを追加で受信した場合、残りのパケットに相当する音声波形情報を生成し、先に生成した音声波形情報に合成してもよい。
【0055】
図9及び図10を参照して、S210の処理を詳しく説明する。
【0056】
図9(a)はパケットに格納されたデータを説明するための図である。図9(b)は別のパケットに格納されたデータを説明するための図である。図10は音符の記憶領域への配置を説明するための図である。
【0057】
図9(a)及び(b)に示すように、パケットのパケット種別にはいずれもパケット種別「1」が格納されているため、いずれも楽曲情報を表している。したがって、制御部202は、図10に示すように、記憶領域の一部をパケットの音色と対応づける。尚、本実施形態において、図10に示す領域番号は8分音符単位に区切られている。
【0058】
図9(a)に示すデータを含むパケットを受信部201が受信した場合には、制御部202は記憶領域の一部を音色「α」(例えばピアノの音色)と対応付ける。そして、制御部202はパケットのオフセットに格納されたデータに対応する領域番号から音符を配置する。本実施形態では、図9(a)に示すようにオフセット「7」がパケットに格納されているため、領域番号「7」の位置から音階「ミ♭」の「4分音符」を配置する。領域番号は8分音符単位に区切られているため、図10に示すように制御部202は領域番号「7」及び「8」に音階「ミ♭」を配置する。
【0059】
制御部202は1つの音符を配置し終えると、配置していない音符がパケットに残存するか否かを判断し、音符が残存していると判断した場合には次の音符を配置する。本実施形態では、図9(a)に示すように音階「ド」の「8分音符」などが残存するため、音符を配置し終えた領域番号の次の領域番号から音符を配置する。したがって、図10に示すように制御部202は領域番号「9」に音階「ド」を配置する。このような処理を同様に繰り返すことにより、図10に示すように、音色「α」に対応する各領域番号にパケットに格納された残りの音符も配置される。
【0060】
一方、図9(b)に示すデータを含むパケットを受信部201が受信した場合には、音色「α」と異なる音色「β」(例えばハープの音色)であるため、制御部202は記憶領域の一部を新たに音色「β」と対応付ける。そして、制御部202は同様にパケットのオフセットに格納されたデータに対応する領域番号から音符を配置する。本実施形態では、図9(b)に示すようにオフセット「3」がパケットに格納されているため、領域番号「3」の位置から音階「ファ」の「2分音符」を配置する。上述したように、領域番号は8分音符単位に区切られているため、図10に示すように制御部202は領域番号「3」乃至「6」に音階「ファ」を配置する。このような処理を同様に繰り返すことにより、図10に示すように、音色「β」に対応する各領域番号にパケットに格納された残りの音符も配置される。
【0061】
尚、基本情報が記憶領域に配置されていればよく、オフセットにより領域番号を指定して配置する必要はない。このように、基本情報と楽曲情報を記憶領域に配置することで楽譜情報が完成する。図9(a)及び(b)並びに図10を参照して説明した処理は、五線譜に音符を記入又は追記していく行為に相当する。そして、完成した楽譜情報に音色に応じた音源を対応付けることにより音声波形情報が完成する。
【0062】
以上、本実施形態によれば、送信機100は曲の楽譜情報を複数の構成要素に分けて格納したパケットを無線でブロードキャストする。複数の構成要素は、曲ID、テンポ、拍子情報の少なくとも一つが設定される第1要素と、曲の音符及び休符の少なくとも一方と、音符及び休符を配置する際の開始位置を表すオフセットとの少なくとも一つが設定される第2要素と、を含んでいる。そして、携帯端末200は送信機100との接続を確立せずに、無線で受信したパケットのうち、少なくとも一部の構成要素に基づいて曲の少なくとも一部を再生する。これにより、不特定の携帯端末200に曲を提供することができる。したがって、交番や公衆トイレといった各種施設又はその近くに送信機100を設置し、これらの施設が近くに存在することを報知する曲の楽譜情報を送信機100がブロードキャストすれば、携帯端末200を携帯する視覚障害者への案内に有益である。
【0063】
また、不特定の携帯端末200に曲を提供する手法として、送信機100から曲IDを含むパケットをブロードキャストし、携帯端末200がパケットを受信すると、パケットに含まれる曲IDに応じた音声波形情報をサーバ装置から取得することも考えられる。しかしながら、この手法の場合、携帯端末200はサーバ装置との通信および連携が発生する。一方、本実施形態に係る曲提供システムSは携帯端末200と連携するサーバ装置を含んでいない。したがって、簡易な構成で不特定の携帯端末200に曲を提供することができる。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0065】
例えば、1台の送信機100が異なる曲IDの格納されたパケットをブロードキャストしてもよいし、2台の送信機100の一方が特定の曲IDが格納されたパケットをブロードキャストし、他方の送信機100が特定の曲IDと異なる曲IDが格納されたパケットをブロードキャストしてもよい。また、上述した実施形態では、領域番号として8分音符単位を説明したが、最小音素(例えば128分音符)単位であってもよい。さらに、直近のパケットを受信してから一定時間パケットを受信していないと制御部202が判断した場合に、制御部202は曲の再生を停止してもよい。
【0066】
さらに、携帯端末200は、基本情報及び楽曲情報に基づいて、曲IDが異なるパケットが混在していると判断した場合、RSSI(Received Signal Strength Indicator)といった信号強度が最も強いパケットに応じた曲IDの曲を再生してもよい。これにより、ユーザ10は複数の施設の中から最も近くに位置する施設を把握することができる。
【0067】
さらに、携帯端末200は、基本情報及び楽曲情報に基づいて、曲IDが異なる信号が混在していると判断した場合、第1の曲IDの曲を最後まで再生した後、第2の曲IDの曲を最後まで再生してもよい。これにより、ユーザ10は近くの位置に2つの施設が存在することを把握できる。尚、この場合、曲と曲の間には一定の時間を待ち時間として入れるのが望ましい。
【0068】
さらに、携帯端末200は、無線で受信したパケットの信号強度に対応する音量で曲の少なくとも一部を再生してもよい。信号強度に音量を対応付けることで、ユーザ10は施設とのおおよその距離感を把握することができる。この場合、信号強度の移動平均であることが望ましい。
【0069】
さらに、携帯端末200は、送信機100がブロードキャストしたパケットが特定する曲と異なる別の曲の再生中にパケットを受信した場合、再生中の別の曲より高い音圧又はその別の曲より大きな音量で、受信したパケットが特定する曲の少なくとも一部を別の曲と並行して再生してもよい。これにより、ユーザ10が携帯端末200で再生している曲より送信機100からブロードキャストされたパケットが特定する曲の方が高い音圧又は大きな音量で再生され、ユーザ10の近くに位置する施設の報知効果を高めることができる。
【0070】
さらに、上述した実施形態では、通信規格の一例としてBluetooth(登録商標)を説明したが、通信規格はBluetooth(登録商標)に限定されず、ZigBee(登録商標)やサブギガヘルツ帯(920MHz)の特定小電力無線であってもよい。さらに、実施形態では、楽譜情報を複数の構成要素に分割してパケットの情報量を減らしたが、楽譜情報を分割することにより以下に説明する利点が挙げられる。
【0071】
情報量が大きなパケットをブロードキャストすると、衝突によりパケットが破壊する可能性が上昇するおそれがある。しかしながら、無線通信が混雑している環境では情報量が小さなパケットを繰り返しブロードキャストすることにより、パケットの衝突する可能性が低下する。
【0072】
次に、主旋律のパケットをブロードキャストする多数の送信機100を配置したり、ブロードキャストの頻度を増加させることで、ユーザ10が曲の主旋律を早期に把握することができる。伴奏など優先度の低いパケットは送信頻度を低くし、無線通信の環境が良好な場合に受信可能とすることで、曲を提供する自由度が向上する。
【0073】
次に、上述した実施形態ではパケットが楽器IDを含むため、送信機100は楽器単位にパケットをブロードキャストすることができる。曲提供システムSが提供する曲が合奏曲である場合、楽器単位でパケットをブロードキャストすれば、曲が後半に移行するにつれて、携帯端末200の再生する曲が重厚になるようにすることもできる。
【0074】
最後に、送信機100の配置形態によって、イベントが開催される会場に携帯端末200が近づくにつれて、曲を演奏する楽器が増えるように演出させることもできる。
【符号の説明】
【0075】
S 曲提供システム
100 送信機
101 記憶部
102 制御部
103 送信部
200 携帯端末
201 受信部
202 制御部
203 記憶部
204 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10