(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
A47L9/28 A
A47L9/28 U
(21)【出願番号】P 2018201994
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕介
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-300993(JP,A)
【文献】特開2007-159961(JP,A)
【文献】特開2001-321301(JP,A)
【文献】米国特許第05084934(US,A)
【文献】特開2012-152303(JP,A)
【文献】特開2007-029218(JP,A)
【文献】特開2018-047051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と、
吸込口に設けられ、床面に沿う回転ブラシと、
前記回転ブラシを駆動するブラシモータと、
前記電動送風機及び前記ブラシモータに電力を供給する二次電池と、
前記ブラシモータに入力される入力電力に関する値を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、駆動する前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えて前記ブラシモータを駆動させるとともに、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えることに応じて前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを変える制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを小さくし、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを大きくし、
前記検出部により検出された前記値が所定の閾値未満の場合に、前記ブラシモータに第1入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に第2入力電力を入力させ、
前記検出部により検出された前記値が前記所定の閾値以上の場合に、前記ブラシモータに前記第1入力電力よりも大きな第3入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に前記第2入力電力よりも小さな第4入力電力を入力させ、
前記第1入力電力、前記第2入力電力、前記第3入力電力、及び前記第4入力電力の大きさは、前記第1入力電力と前記第2入力電力との合計値と、前記第3入力電力と前記第4入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、予め設定されている、
電気掃除機。
【請求項2】
電動送風機と、
吸込口に設けられ、床面に沿う回転ブラシと、
前記回転ブラシを駆動するブラシモータと、
前記電動送風機及び前記ブラシモータに電力を供給する二次電池と、
前記ブラシモータに入力される入力電力に関する値を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、駆動する前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えて前記ブラシモータを駆動させるとともに、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えることに応じて前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを変える制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを小さくし、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを大きくし、
前記検出部により検出された前記値に基づきフローリングに対応する第1種別の床面を掃除中と判定された場合に、前記ブラシモータに第1入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に第2入力電力を入力させ、
前記検出部により検出された前記値に基づき絨毯に対応する第2種別の床面を掃除中と判定された場合に、前記ブラシモータに前記第1入力電力よりも大きな第3入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に前記第2入力電力よりも小さな第4入力電力を入力させ、
前記第1入力電力、前記第2入力電力、前記第3入力電力、及び前記第4入力電力の大きさは、前記第1入力電力と前記第2入力電力との合計値と、前記第3入力電力と前記第4入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、予め設定されている、
電気掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさよりも小さくする、
請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさよりも大きくする、
請求項2または請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記第1入力電力と前記第2入力電力との合計値と、前記第3入力電力と前記第4入力電力との合計値との差は、前記第4入力電力の大きさよりも小さい、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
電動送風機と、
吸込口に設けられ、床面に沿う回転ブラシと、
前記回転ブラシを駆動するブラシモータと、
前記電動送風機及び前記ブラシモータに電力を供給する二次電池と、
前記ブラシモータに入力される入力電力に関する値を検出する検出部と、
前記床面の種別に関する判定結果に基づき、駆動する前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えて前記ブラシモータを駆動させるとともに、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えることに応じて前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを変える制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを小さくし、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを大きくし、
前記ブラシモータに入力される入力電力に関する値が所定の閾値未満の場合に、前記ブラシモータに第1入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に第2入力電力を入力させ、
前記検出部により検出された前記値が前記所定の閾値以上の場合に、前記ブラシモータに前記第1入力電力よりも大きな第3入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に前記第2入力電力よりも小さな第4入力電力を入力させ、
前記第1入力電力、前記第2入力電力、前記第3入力電力、及び前記第4入力電力の大きさは、前記第1入力電力と前記第2入力電力との合計値と、前記第3入力電力と前記第4入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、予め設定されている、
電気掃除機。
【請求項7】
電動送風機と、
吸込口に設けられ、床面に沿う回転ブラシと、
前記回転ブラシを駆動するブラシモータと、
前記電動送風機及び前記ブラシモータに電力を供給する二次電池と、
前記ブラシモータに入力される入力電力に関する値を検出する検出部と、
駆動する前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを小さくして前記ブラシモータを駆動させ、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを大きくする制御部と、
を備え
、
前記制御部は、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを小さくし、
前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを大きくし、
前記ブラシモータに入力される入力電力に関する値が所定の閾値未満の場合に、前記ブラシモータに第1入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に第2入力電力を入力させ、
前記検出部により検出された値が所定の閾値以上の場合に、前記ブラシモータに第1入力電力よりも大きな第3入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に第2入力電力よりも小さな第4入力電力を入力させ、
前記第1入力電力、前記第2入力電力、前記第3入力電力、及び前記第4入力電力の大きさは、前記第1入力電力と前記第2入力電力との合計値と、前記第3入力電力と前記第4入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、予め設定されている、
電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動送風機を搭載した掃除機本体と、回転ブラシを搭載した吸込口体とを備えた電気掃除機が知られている。近年、このような電気掃除機は、二次電池を内蔵し、コードレス化が進んでいる。そしてこのような電気掃除機は、十分な集塵性能を確保しつつ、長い運転時間を確保できることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、十分な集塵性能を確保しつつ、長い運転時間を確保することができる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気掃除機は、電動送風機と、回転ブラシと、ブラシモータと、二次電池と、検出部と、制御部とを持つ。前記回転ブラシは、吸込口に設けられ、床面に沿う。前記ブラシモータは、前記回転ブラシを駆動する。前記二次電池は、前記電動送風機及び前記ブラシモータに電力を供給する。前記検出部は、前記ブラシモータに入力される入力電力に関する値を検出する。前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づき、駆動する前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えて前記ブラシモータを駆動させるとともに、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えることに応じて前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを変える。前記制御部は、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを小さくし、前記ブラシモータに入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、前記電動送風機に入力される入力電力の大きさを大きくし、前記検出部により検出された前記値が所定の閾値未満の場合に、前記ブラシモータに第1入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に第2入力電力を入力させ、前記検出部により検出された前記値が前記所定の閾値以上の場合に、前記ブラシモータに前記第1入力電力よりも大きな第3入力電力を入力させるとともに、前記電動送風機に前記第2入力電力よりも小さな第4入力電力を入力させ、前記第1入力電力、前記第2入力電力、前記第3入力電力、及び前記第4入力電力の大きさは、前記第1入力電力と前記第2入力電力との合計値と、前記第3入力電力と前記第4入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、予め設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態の電気掃除機の回路構成の一部の一例を示す回路構成図。
【
図3】実施形態の「フローリングモード」及び「絨毯モード」の内容を説明するための図。
【
図4】実施形態の「フローリングモード」及び「絨毯モード」の具体的な一例を説明するための図。
【
図5】実施形態の制御部による処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図6】実施形態の第1変形例の「フローリングモード」及び「絨毯モード」の内容を説明するための図。
【
図7】実施形態の第2変形例の動作モードの内容を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気掃除機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0008】
図1は、実施形態の電気掃除機1の一例を示す斜視図である。本実施形態の電気掃除機1は、例えば、いわゆるスティック型の電気掃除機であり、二次電池が内蔵されたコードレスタイプの電気掃除機である。ただし、電気掃除機1は、上記例に限定されず、車輪を含む掃除機本体を有したキャニスタ型や、その他の形式の電気掃除機でもよい。
【0009】
電気掃除機1は、例えば、掃除機本体10、延長管20、及び吸込口体(床ブラシ)30を備えている。
【0010】
まず、掃除機本体10について説明する。掃除機本体10は、例えば、本体ケース11、把持部12、集塵装置13、塵埃センサ14(
図2参照)、電動送風機15、二次電池16、及び本体制御部17を含む。
【0011】
本体ケース11は、掃除機本体10の外郭を形成している。本体ケース11には、塵埃センサ14、電動送風機15、二次電池16、及び本体制御部17が収容されている。また、本体ケース11は、後述する延長管20の一端が接続される延長管接続部18を有する。
【0012】
把持部12は、本体ケース11の上後端部に設けられている。把持部12は、床面(被掃除面)を掃除する際に、使用者により把持される部位である。なお本明細書において、前後方向、上下方向、及び左右方向は、把持部12が使用者により把持されて床面が掃除される状態を基準に定義する。具体的には、
図1に示す矢印Uが指し示す方向を上方向、矢印Dが指し示す方向を下方向、矢印FRが指し示す方向を前方向、矢印RR方向が指し示す方向を後方向、矢印L方向が指し示す方向を左方向、矢印Rが指し示す方向を右方向と定義する。
【0013】
把持部12には、電動送風機15及び後述する回転ブラシ33の動作などを操作するための操作手段としての設定ボタン19が設けられている。設定ボタン19は、例えば、電気掃除機1の使用を開始するための開始ボタン、電気掃除機1の使用を終了するための終了ボタン、電気掃除機1の動作モードを切り替えるためのモード切替ボタンなどを含む。電気掃除機1の動作モード(運転モード)は、例えば、「強モード」と、「自動モード」とで切り替え可能である。「強モード」は、電動送風機15及び回転ブラシ33を高回転させるモードであり、電気掃除機1の運転可能時間は短くなるが、清掃能力が最大となる動作モードである。一方で、「自動モード」は、十分な集塵性能を確保しつつ、長い運転時間を確保することができる動作モードである。「自動モード」の制御内容については後述する。「自動モード」は、「エコモード」や「お奨めモード」などと称されてもよい。
【0014】
集塵装置13は、本体ケース11に装着されている。集塵装置13は、後述する電動送風機15の働きにより掃除機本体10に吸い込まれた空気中に含まれる塵埃を分離する装置である。例えば、集塵装置13は、第1分離部と、第2分離部と、フィルタ体を備える多段遠心分離式の集塵装置である。第1分離部は、相対的に大きい塵埃である粗塵を空気から遠心分離(サイクロン分離)する。第2分離部は、第1分離部で分離できなかった相対的に小さい塵埃である細塵(微細塵)を空気から遠心分離(サイクロン分離)する。フィルタ体は、第2分離部を通過した空気中に僅かに含まれる塵埃を分離(濾過分離)する。
【0015】
塵埃センサ14は、延長管接続部18と集塵装置13との間に形成された吸気風路部に設けられている。塵埃センサ14は、集塵装置13へと吸い込まれる含塵空気中の塵埃量を検出する。塵埃センサ14は、例えば発光部と受光部とを備え、発光部からの発光量に対する受光部での受光量に基づき、発光部と受光部の間を通過する塵埃の量を検出する。塵埃センサ14の検出結果は、本体制御部17に出力される。
【0016】
電動送風機15は、ファンモータまたはメインモータと呼ばれるモータを含み、駆動されることで負圧を発生させる。電動送風機15は、発生させた負圧により後述する吸込口体30の吸込口37などから集塵装置13へ含塵空気を吸い込み、集塵装置13にて塵埃が分離された空気を自冷させた後に排気する。電動送風機15のモータは、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。
【0017】
二次電池16は、電動送風機15及び後述するブラシモータ34などに電力を供給する電源部である。二次電池16は、複数の電池が直列あるいは並列に接続された電池パックである。電気掃除機1は、二次電池16から電力供給を受けることで使用可能である。二次電池16は、例えば、電気掃除機1の非使用時に、電源コードがコンセントに接続された支持装置(不図示)に電気掃除機1が装着されることで前記支持装置から電源供給を受けて充電される。
【0018】
本体制御部17は、例えば、電動送風機15を制御する電動送風機制御部40(
図2参照)と、二次電池16の充電を制御する不図示の充電制御部とを含む。本体制御部17は、例えばマイクロコンピュータを備えた回路基板により実現される。なお、電動送風機制御部40の機能については後述する。
【0019】
次に、延長管20について説明する。延長管20は、例えば長尺状に形成されており、第1端部21と、第2端部22とを有する。延長管20の第1端部21は、掃除機本体10の延長管接続部18に気密に接続される。延長管20の第2端部22は、吸込口体30に気密に接続される。延長管20の内部には、掃除機本体10と吸込口体30とを電気的に接続する接続配線が設けられている。
【0020】
次に、吸込口体30について説明する。吸込口体30は、床面に沿って移動される部分である。吸込口体30は、例えば、吸込口体ケース31、接続管32、回転ブラシ33、ブラシモータ34、電流検出部35(
図2参照)、及びモータ制御部36を含む。
【0021】
吸込口体ケース31は、横長、すなわち左右方向に長手状に形成されている。吸込口体ケース31内には、ブラシモータ34、電流検出部35、及びモータ制御部36が収容されている。また、吸込口体ケース31は、床面に対向する下部に、吸込口37を有する。吸込口37は、電動送風機15が駆動されることで、床面の塵埃を吸い込む開口部である。
【0022】
接続管32は、吸込口体ケース31と延長管20の第2端部22とを接続するための部分であり、吸込口体ケース31に回動可能に接続されている。接続管32により吸込口体ケース31と延長管20とが接続されることで、吸込口体ケース31の吸込口37から延長管20を経由して掃除機本体10に至る風路が形成される。
【0023】
回転ブラシ33は、吸込口37に設けられ、床面に沿って配置されている。回転ブラシ33は、吸込口体ケース31に対して回動可能に設けられている。回転ブラシ33は、床面から塵埃を浮かせる、または絨毯などの毛先を立たせるなどの働きをする。
【0024】
ブラシモータ34は、不図示の回転駆動機構を介して回転ブラシ33に機械的に接続され、回転ブラシ33を駆動する(回転させる)。ブラシモータ34は、例えば、直流モータであるが、これに限定されない。
【0025】
電流検出部35は、ブラシモータ34に入力される入力電流(負荷電流)の値を検出する。例えば、電流検出部35は、入力電流の電流波形を1m秒以下の所定の周期で検出する。電流検出部35は、ブラシモータ34に入力される入力電流の値に関する検出結果をモータ制御部36に出力する。電流検出部35は、「検出部」の一例である。また、「ブラシモータ34に入力される入力電流の値」は、「ブラシモータに入力される入力電力に関する値」の一例である。ただし、「ブラシモータに入力される入力電力に関する値」は、電流値に限らず、電力値でもよく、電圧値でもよい。このため、「検出部」は、電流検出部に限らず、ブラシモータ34に入力される入力電力の電圧値(例えば、二次電池16の端子電圧)を検出する電圧検出部でもよいし、電流検出部及び電圧検出部の両方を含む機能部でもよい。
【0026】
モータ制御部36は、ブラシモータ34を制御する制御回路を含む。モータ制御部36は、例えばマイクロコンピュータを備えた回路基板により実現される。なお、モータ制御部36の機能については後述する。本実施形態では、掃除機本体10の本体制御部17と、吸込口体30のモータ制御部36とにより「制御部」の一例が構成されている。モータ制御部36は、吸込口体30に代えて、掃除機本体10に設けられてもよい。このとき、モータ制御部36と本体制御部17とは1の回路基板により実現されるものでもよい。
【0027】
次に、電気掃除機1の回路構成について説明する。なお以下では、電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電流の大きさを増減することで、電動送風機15及びブラシモータ34の回転数などの制御が実現される例について説明する。ただし、電動送風機15及びブラシモータ34の制御は、電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電力の電圧の大きさを増減することで実現されてもよい。このため以下の説明における「電流」とは、「電圧」と適宜読み替え可能である。
【0028】
図2は、実施形態の電気掃除機1の回路構成の一部の一例を示す回路構成図である。電気掃除機1は、例えば、電動送風機制御回路C1と、モータ制御回路C2とを含む。
【0029】
まず、電動送風機制御回路C1について説明する。電動送風機制御回路C1は、例えば、第1スイッチングユニット41、電動送風機15、及び電動送風機制御部40を含む。第1スイッチングユニット41及び電動送風機15は、二次電池16に対して直列に接続されている。
【0030】
第1スイッチングユニット41は、1つ以上の半導体スイッチング素子を含む。第1スイッチングユニット41が閉じることにより、電動送風機15に対して二次電池16から電力が供給される。一方で、第1スイッチングユニット41が開くことにより、電動送風機15に対する二次電池16からの電力の供給が停止される。第1スイッチングユニット41が所定の周期でON/OFF制御されることで、二次電池16から電動送風機15にパルス状の入力電力が供給される。
【0031】
電動送風機制御部40は、例えば設定ボタン19により受け付けられたユーザの操作に基づき、第1スイッチングユニット41のON/OFFのタイミングを切り替えることで、二次電池16から電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を変更する。電動送風機制御部40は、電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を変更することで、電動送風機15の駆動状態を変更する。例えば、電動送風機制御部40は、電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を高める(すなわち入力電力を増加させる)ことで、電動送風機15の回転数を増加させる。一方で、電動送風機制御部40は、電動送風機15に供給される入力電力のデューティ比を低下させる(すなわち入力電力を低下させる)ことで、電動送風機15の回転数を低下させる。
【0032】
次に、モータ制御回路C2について説明する。モータ制御回路C2は、第2スイッチングユニット42、ブラシモータ34、電流検出部35、及びモータ制御部36を含む。第2スイッチングユニット42、ブラシモータ34及び電流検出部35は、二次電池16に対して直列に接続されている。
【0033】
第2スイッチングユニット42は、1つ以上の半導体スイッチング素子を含む。第2スイッチングユニット42が閉じることにより、ブラシモータ34に対して二次電池16から電力が供給される。一方で、2スイッチングユニット42が開くことにより、ブラシモータ34に対する二次電池16からの電力の供給が停止される。第2スイッチングユニット42が所定の周期でON/OFF制御されることで、二次電池16からブラシモータ34にパルス状の入力電力が供給される。
【0034】
モータ制御部36は、例えば設定ボタン19により受け付けられたユーザの操作に基づき、第2スイッチングユニット42のON/OFFのタイミングを切り替えることで、二次電池16からブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を変更する。モータ制御部36は、ブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を変更することで、ブラシモータ34の駆動状態を変更する。例えば、モータ制御部36は、ブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を高める(すなわち入力電力を増加させる)ことで、ブラシモータ34の回転数を増加させる。一方で、モータ制御部36は、ブラシモータ34に供給される入力電力のデューティ比を低下させる(すなわち入力電力を低下させる)ことで、ブラシモータ34の回転数を低下させる。本実施形態では、モータ制御部36は、ブラシモータ34の駆動状態に関する信号を、電動送風機制御部40に出力する。
【0035】
また、モータ制御部36は、電流検出部35の検出結果に基づき、電気掃除機1が掃除中の床面の種別を判定可能である。本実施形態では、モータ制御部36は、電流検出部35の検出結果に基づき、電気掃除機1が掃除中の床面の種別が、フローリングや畳などに対応する第1種別の床面であるか、絨毯に対応する第2種別の床面であるかを判定する。例えば、モータ制御部36は、上記所定の周期で検出された、ブラシモータ34に入力される入力電流の電流波形に含まれるピーク電流の値などに基づき、上記判定を行う。
【0036】
例えば、モータ制御部36は、ブラシモータ34を予め任意に設定された所定の回転数(初期の回転数)で回転させるとともに、この所定の回転数で回転させた状態で電流検出部35の検出結果を取得する。そして、モータ制御部36は、電流検出部35により検出されたブラシモータ34に流れる電流値が第1閾値未満の場合に、電気掃除機1が第1種別の床面を掃除中であると判定する。一方で、モータ制御部36は、電流検出部35により検出されたブラシモータ34に流れる電流値が第1閾値以上の場合に、電気掃除機1が第2種別の床面を掃除中であると判定する。これは、床面が絨毯などである場合、床面がフローリングや畳である場合と比較して、回転ブラシ33にかかる抵抗が大きくなり、ブラシモータ34に供給される電流の電流値が大きくなるためである。
【0037】
また、モータ制御部36は、ブラシモータ34に流れる電流値の変動をモニタリングし、ブラシモータ34に流れる電流値が第2閾値を超えて急激に増加した場合(例えば、検出の単位時間当たりの電流値の増加幅が第2閾値以上の場合)に、電気掃除機1が第1種別の床面から第2種別の床面に移動し、第2種別の床面を掃除中であると判定する。一方で、モータ制御部36は、ブラシモータ34に流れる電流値が第2閾値を超えて急激に低下した場合(例えば、検出の単位時間当たりの電流値の低下幅が第2閾値以上の場合)に、電気掃除機1が第2種別の床面から第1種別の床面に移動し、第1種別の床面を掃除中であると判定する。
【0038】
次に、電気掃除機1の動作モードの1つである「自動モード」の内容について詳しく説明する。以下では、電動送風機制御部40とモータ制御部36とを合わせて「制御部50」と称する場合がある。また以下では、説明の便宜上、第1種別の床面を掃除するのに適した動作モードを「フローリングモード」、第2種別の床面を掃除するのに適した動作モードを「絨毯モード」と称する。「フローリングモード」は、「第1モード」の一例である。「絨毯モード」は、「第2モード」の一例である。
【0039】
本実施形態では、制御部50は、「自動モード」で電気掃除機1が運転される場合、電流検出部35の検出結果に基づき、「フローリングモード」と「絨毯モード」との間で電気掃除機1の動作モードを自動的に切り替える。例えば、制御部50は、モータ制御部36により第1種別の床面を掃除中と判定された場合に、電気掃除機の動作モードを「フローリングモード」に切り替える。一方で、制御部50は、モータ制御部36により第2種別の床面を掃除中と判定された場合に、電気掃除機の動作モードを「絨毯モード」に切り替える。
【0040】
図3は、「フローリングモード」及び「絨毯モード」の内容を説明するための図である。「フローリングモード」では、制御部50は、ブラシモータ34に第1入力電力を入力させるとともに、電動送風機15に第2入力電力を入力させる。例えば、第2入力電力の大きさは、第1入力電力の大きさよりも大きい。すなわち、「フローリングモード」は、ブラシモータ34よりも電動送風機15に大きな電力が供給され、ブラシモータ34よりも電動送風機15が優先して利用される動作モードである。
【0041】
一方で、「絨毯モード」では、制御部50は、ブラシモータ34に第1入力電力よりも大きな第3入力電力を入力させるとともに、電動送風機15に第2入力電力よりも小さな第4入力電力を入力させる。すなわち、「絨毯モード」は、電動送風機15よりもブラシモータ34に大きな電力が供給され、電動送風機15よりもブラシモータ34が優先して利用される動作モードである。
【0042】
本実施形態では、制御部50は、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、第1入力電力、第2入力電力、第3入力電力、及び第4入力電力の大きさが予め設定されている。例えば、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値との差は、第4入力電力の大きさよりも小さい。別の観点では、例えば、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値との差は、第1入力電力の大きさよりも小さい。例えば、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値とは、略同一に設定される。
【0043】
図4は、「フローリングモード」及び「絨毯モード」の具体的な一例を説明するための図である。一つの例では、制御部50は、「フローリングモード」において、ブラシモータ34に第1入力電力の電流値として1[A]の電流を入力させるとともに、電動送風機15に第2入力電力の電流値として4[A]を入力させる。一方で、制御部50は、「絨毯モード」において、ブラシモータ34に第3入力電力の電流値として4[A]の電流を入力させるとともに、電動送風機15に第4入力電力の電流値として1[A]を入力させる。
【0044】
以上のような関係に基づき、制御部50は、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを変えることに応じて電動送風機15に入力される入力電力の大きさを変える。例えば、制御部50は、「フローリングモード」から「絨毯モード」に切り替えられる場合、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを大きくするとともに、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを小さくする。例えば、制御部50は、「フローリングモード」から「絨毯モード」に切り替えられる場合、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさよりも小さくする。
【0045】
一方で、制御部50は、「絨毯モード」から「フローリングモード」に切り替えられる場合、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを小さくするとともに、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを大きくする。例えば、制御部50は、「フローリングモード」から「絨毯モード」に切り替えられる場合、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさよりも大きくする。
【0046】
なお、「ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えることに応じて電動送風機に入力される入力電力の大きさを変える」とは、ブラシモータ34の駆動状態に関する信号(例えば制御指令)の変更に応じて電動送風機15に入力される入力電力の大きさを変更する場合に限定されず、
図3または
図4の内容に相当するテーブルが不図示の記憶部に記憶されており、制御部50が上記テーブルを参照することでブラシモータ34に入力される入力電力の大きさと、電動送風機15に入力される入力電力の大きさとを同時に決定する場合も含む。
【0047】
次に、制御部50による処理の流れの一例について説明する。
図5は、制御部50による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、制御部50は、まず、現在の動作モードを確認する(ステップS11)。次に、制御部50は、現在の動作モードが「自動モード」であるか否かを判定する(ステップS12)。現在の動作モードが「自動モード」でないと判定した場合(ステップS12:NO)、制御部50は、
図5に示すフローチャートの処理を終了する。
【0048】
一方、現在の動作モードが「自動モード」であると判定した場合(ステップS12:YES)、制御部50は、動作モードが「フローリングモード」であるか否かを判定する(ステップS13)。動作モードが「フローリングモード」であると判定した場合(ステップS13:YES)、制御部50は、二次電池16からブラシモータ34に供給される電力を、電流値が1[A]である第1入力電力に調整する(ステップS14)。また、制御部50は、二次電池16から電動送風機15に供給される電力を、電流値が4[A]である第2入力電力に調整する(ステップS15)。その後、制御部50は、
図5に示すフローチャートの処理を終了する。
【0049】
また、ステップS13において、動作モードが「フローリングモード」でないと判定した場合(ステップS13:NO)、制御部50は、動作モードが「絨毯モード」であると判定し、二次電池16からブラシモータ34に供給される電力を、電流値が4[A]である第3入力電力に調整する(ステップS16)。また、制御部50は、二次電池16から電動送風機15に供給される電力を、電流値が1[A]である第4入力電力に調整する(ステップS17)。その後、制御部50は、
図5に示すフローチャートの処理を終了する。制御部50は、このフローチャートの処理を所定の周期で繰り返す。
【0050】
次に、電気掃除機1の作用について説明する。
電気掃除機1では、二次電池16から電動送風機15及びブラシモータ34に電力を供給している。集塵性能を高めるために二次電池16から電動送風機15及びブラシモータ34に供給する電力を大きくした場合、二次電池16の消費電力が大きくなり、十分な駆動時間(駆動可能時間)の確保が難しくなる。
【0051】
本実施形態の電気掃除機1は、ブラシモータ34の入力電力の大きさを変えることに応じて電動送風機15に入力される入力電力の大きさを変えている。このため、二次電池16から供給される電力をブラシモータ34及び電動送風機15に対して適切に配分することができる。したがって、十分な集塵性能を確保しつつ、長い駆動時間を確保することができる。
【0052】
また、本実施形態の電気掃除機1は、ブラシモータ34及び電動送風機15に対して供給する電力の配分にあたり、床面の種別に応じて、配分量を調整する。ここで、電気掃除機1の集塵性能は、電動送風機15の回転数と回転ブラシ33の回転数によって影響される。電動送風機15の回転数を増加させることにより、電動送風機15の風量が増加し、集塵性能の向上に寄与する。また、回転ブラシ33の回転数を増加させることにより、床面から塵埃の巻き上げ、集塵性能を高めることができる。
【0053】
床面の種別がフローリングなどの第1種別であるときには、回転ブラシ33の回転数を増加させて塵埃の巻き上げを図ったとしても集塵性能の向上に対する寄与は大きくない。その一方で、電動送風機15の回転を増加させて風量を増加させると、吸込口体30の真下の塵埃だけでなく、吸込口体30の周囲に位置する塵埃(例えば綿ゴミ)も吸うことができる。そこで、電気掃除機1では、「フローリングモード」で運転を行う際には、ブラシモータ34の駆動のために供給する電力よりも電動送風機15の風量を多くするために供給する電力を優先的に配分する。具体的には、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを大きくする。
【0054】
一方で、床面の種別が絨毯などの第2種別であるときには、電動送風機15の回転を増加させて風量を増加させても、吸込口体30の周囲に位置する塵埃は絨毯に引っ掛かって吸うことが難しく、集塵性能の向上に対する寄与は大きくない。その一方で、回転ブラシ33の回転数を増加させて絨毯からゴミを浮かせることにより、風量が小さくても集塵性能を高められる。そこで、電気掃除機1では、「絨毯モード」で運転を行う際には、電動送風機15の風量を多くするために供給する電力よりもブラシモータ34の駆動のために供給する電力を優先的に配分する。具体的には、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを小さくする。このため、十分な集塵性能を確保しつつ、長い駆動時間を確保することができる。
【0055】
以上説明した構成によれば、十分な集塵性能を確保しつつ、長い運転時間を確保することができる電気掃除機1を提供することができる。すなわち、本実施形態の電気掃除機1の制御部50は、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを変えるとともに、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを変えることに応じて電動送風機15に入力される入力電力の大きさを変える。このような構成によれば、集塵性能を確保した場合にも、総エネルギの変動を抑制できる。したがって、十分な集塵性能を確保しつつ、長い駆動時間を確保することができる。
【0056】
例えば、絨毯を掃除する場合に、電動送風機15の回転数がそのままで、ブラシモータ34の回転数を高める場合を考える。この場合、集塵性能を高めることはできるが、絨毯部分の広さなどによって、電気掃除機1の駆動時間が大きく変動してしまう。一方で、本実施形態の構成によれば、ブラシモータ34の回転数を大きくする代わりに、電動送風機15の回転数を小さくするので、電気掃除機1の駆動時間の変動を小さくすることができる。
【0057】
本実施形態では、制御部50は、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを小さくし、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを大きくする。このような構成によれば、ブラシモータ34と電動送風機15の間で、一方の電力消費量の増加分を他方の電力消費量の減少分で相殺できる。したがって、十分な集塵性能を確保しつつ、長い駆動時間を確保することができる。
【0058】
本実施形態では、制御部50は、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを大きくする場合に、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさよりも小さくする。このような構成によれば、床面が絨毯などの第2種別の床面である場合に、十分な集塵性能を確保しつつ、より長い駆動時間を確保することができる。
【0059】
本実施形態では、制御部50は、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさを小さくする場合に、電動送風機15に入力される入力電力の大きさを、ブラシモータ34に入力される入力電力の大きさよりも大きくする。このような構成によれば、床面がフローリングなどの第1種別の床面である場合に、十分な集塵性能を確保しつつ、より長い駆動時間を確保することができる。
【0060】
本実施形態では、制御部50は、電流検出部35により検出された値に基づきフローリングに対応する第1種別の床面を掃除中と判定された場合に、ブラシモータ34に第1入力電力を入力させるとともに、電動送風機15に第2入力電力を入力させる。一方で、制御部50は、電流検出部35により検出された値に基づき絨毯に対応する第2種別の床面を掃除中と判定された場合に、ブラシモータ34に第1入力電力よりも大きな第3入力電力を入力させるとともに、ブラシモータに第2入力電力よりも小さな第4入力電力を入力させる。このような構成によれば、床面が絨毯などの第2種別の床面である場合や床面がフローリングなどの第1種別の床面である場合に、十分な集塵性能を確保しつつ、長い駆動時間を確保することができる。
【0061】
本実施形態では、制御部50は、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、第1入力電力、第2入力電力、第3入力電力、及び第4入力電力の大きさが予め設定されている。このような構成によれば、床面の種別によらず、常に同程度の駆動時間を確保することができる。したがって、掃除の途中で二次電池16の残容量がなくなることを抑制できる。使用者に対して、掃除や充電の計画を立てやすくさせることができる。
【0062】
次に、いくつかの変形例について説明する。なお各変形例において、以下に説明する以外の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0063】
(第1変形例)
まず、第1変形例について説明する。
図6は、第1変形例の「フローリングモード」及び「絨毯モード」の具体的な一例を説明するための図である。第1変形例では、「フローリングモード」では、ブラシモータ34に対する電力の供給が停止され、ブラシモータ34の回転が停止される。言い換えると、「フローリングモード」では、ブラシモータ34に入力される入力電流は、0[A]であり、ブラシモータ34に入力される入力電力は、0[W]である。
【0064】
すなわち、本明細書において「入力電力の大きさを小さくする」とは、入力電力を0[W]まで低下させる場合も含む。また本明細書において「ブラシモータに第1入力電力を入力させる」とは、ブラシモータ34に0[W]である第1入力電力を与えること、言い換えると、ブラシモータ34に電力を与えないことも含む。
【0065】
本変形例では、制御部50は、「フローリングモード」において、ブラシモータ34に第1入力電力の電流値として0[A]の電流を入力させる(つまり、電流を入力させない)とともに、電動送風機15に第2入力電力の電流値として5[A]を入力させる。一方で、制御部50は、「絨毯モード」において、ブラシモータ34に第3入力電力の電流値として4[A]の電流を入力させるとともに、電動送風機15に第4入力電力の電流値として1[A]を入力させる。
【0066】
このような構成によっても、上記実施形態と同様に、十分な集塵性能を確保しつつ、長い運転時間を確保することができる電気掃除機1を提供することができる。
【0067】
(第2変形例)
次に、第2変形例について説明する。
図7は、第2変形例の動作モードの内容を説明するための図である。第2変形例では、電気掃除機1は、「第1モード」、「第2モード」、及び「第3モード」の3つの動作モードで切り替えられる。
【0068】
「第1モード」は、ブラシモータ34に第1入力電力が入力され、ブラシモータ34が低速で駆動されるとともに、電動送風機15に第2入力電力が入力され、電動送風機15が高速で駆動されるモードである。なお、「第1モード」は、ブラシモータ34に0[W]である第1入力電力が与えられ、ブラシモータ34の回転が停止されてもよい。
【0069】
「第2モード」は、ブラシモータ34に第1入力電力よりも大きな第3入力電力が入力され、ブラシモータ34が中速で駆動されるとともに、電動送風機15に第2入力電力よりも小さな第4入力電力が入力され、電動送風機15が中速で駆動されるモードである。「第3モード」は、ブラシモータ34に第3入力電力よりも大きな第5入力電力が入力され、ブラシモータ34が高速で駆動されるとともに、電動送風機15に第4入力電力よりも小さな第6入力電力が入力され、電動送風機15が低速で駆動されるモードである。第1入力電力は第2入力電力より小さく、第5入力電力は第6入力電力より大きい。第3入力電力と第4入力電力は、どちらかの入力電力が大きくてもよいし、同じでもよい。
【0070】
本変形例では、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値と、第5入力電力と第6入力電力との合計値との差が所定の範囲内に収まるように、第1から第6の入力電力の大きさが予め設定されている。例えば、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値と、第5入力電力と第6入力電力との合計値との差は、第6入力電力の大きさよりも小さい。別の観点では、例えば、第1入力電力と第2入力電力との合計値と、第3入力電力と第4入力電力との合計値と、第5入力電力と第6入力電力との合計値との差は、第1入力電力の大きさよりも小さい。
【0071】
このような構成によれば、上記実施形態と比べて、床面の状態に応じてさらにきめ細かな制御を行うことができ、集塵性能の向上を図ることができる。
【0072】
(第3変形例)
次に、第3変形例について説明する。
第3変形例では、制御部50は、床面の種別ではなく、塵埃センサ14の検出結果に基づき、「第1モード」と「第2モード」との間で電気掃除機1の動作モードを切り替える。「第1モード」は、上記実施形態の「フローリングモード」に相当するモードである。「第2モード」は、上記実施形態の「絨毯モード」に相当するモードである。例えば、制御部50は、ある床面の掃除中に電気掃除機1の動作モードを「第1モード」と「第2モード」との間で切り替え、「第1モード」と「第2モード」とのうち塵埃センサ14により検出された集塵量が多い方のモードで電気掃除機1を運転する。
【0073】
このような構成によっても、十分な集塵性能を確保しつつ、長い運転時間を確保することができる電気掃除機1を提供することができる場合がある。
【0074】
以上、1つの実施形態と複数の変形例について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、床面の種別は、電流検出部35以外の検出結果に基づき判定されてもよい。例えば、制御部50は、電気掃除機1に搭載された画像センサで取得された画像を画像解析することで得られる情報や、予め記憶された床面のマップの情報に基づいて床面の種別を判定し、その判定結果に基づき電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電力を変更してもよい。また、床面の種別の判定は、ブラシモータ34の回転数に基づき行われてもよい。すなわち、電気掃除機1にブラシモータ34の回転数を検出する検出部を設け、この検出部により検出されたブラシモータ34の回転数の検出結果を、上記実施形態における電流検出部35の検出結果に代えて利用してもよい。この場合、例えば、モータ制御部36は、ブラシモータ34の回転数の検出結果に基づき床面の種別を判定し、ブラシモータ34の回転数が第3閾値以上の場合に、電気掃除機1が第1種別の床面(例えばフローリング)を掃除中であると判定し、ブラシモータ34の回転数が第3閾値未満の場合に、電気掃除機1が第2種別の床面(例えば絨毯)を掃除中であると判定してもよい。そして、制御部50は、その判定結果に基づき電動送風機15及びブラシモータ34に対する入力電力を変更してもよい。
【0075】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、電気掃除機は、ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えるとともに、ブラシモータに入力される入力電力の大きさを変えることに応じて電動送風機に入力される入力電力の大きさを変える制御部を有することで、十分な集塵性能を確保しつつ、長い運転時間を確保することができる。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
1…電気掃除機、10…掃除機本体、13…集塵装置、14…塵埃センサ、15…電動送風機、16…二次電池、17…本体制御部、18…延長管接続部、19…設定ボタン、20…延長管、30…吸込口体、33…回転ブラシ、34…ブラシモータ、35…電流検出部、36…モータ制御部、37…吸込口、40…電動送風機制御部、41…第1スイッチングユニット、42…第2スイッチングユニット、50…制御部、C1…電動送風機制御回路、C2…モータ制御回路。