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  • 特許-画像処理装置および画像処理方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20230214BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230214BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20230214BHJP
【FI】
G06T7/60 200J
G06T7/00 650A
B60R99/00 321
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018234807
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020095630
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】金武 純
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 亮
(72)【発明者】
【氏名】吉原 篤
(72)【発明者】
【氏名】山本 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】倭文 知騎
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106731(JP,A)
【文献】特開2013-008070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された撮像装置により連続して撮像される複数の画像のうちの第1画像における駐車枠を区画する区画線が検出された領域を第1領域として設定
前記複数の画像のうちの前記第1画像よりも時間的に後に撮像される第2画像の中で前記区画線が検出される第2領域を前記第1領域に基づいて予測し、
前記車両の旋回を検出すると、設定中の前記第1領域をリセットする制御部
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1画像における位置が固定の前記第1領域を設定し
記第1画像よりも時間的に後に撮像される複数の前記第2画像毎に、前記第2画像における位置が変動する前記第2領域を前記第1画像に基づいて予測す
求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2領域で検出された前記区画線の位置に基づいて、当該区画線が検出された画像よりも時間的に後に撮像される前記第2画像の中で前記第2領域を予測する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
設定中の前記第1領域がない状態で前記区画線が検出された場合に、当該区画線が検出された領域を前記第1領域として設定す
求項1~のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
新たな区画線が検出される第3領域の位置を既に検出された前記区画線の間隔に基づいて予測する
求項1~のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1画像の中で他の領域よりも分解能が高い高分解能領域を探索して前記区画線を検出し、前記第2画像の中で前記第2領域を選択的に探索して前記区画線を検出す
求項1~のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
車両に搭載された撮像装置により連続して撮像される複数の画像のうちの第1画像における駐車枠を区画する区画線が検出された領域を第1領域として設定する設定工程と、
前記複数の画像のうちの前記第1画像よりも時間的に後に撮像される第2画像の中で前記区画線が検出される第2領域を前記第1領域に基づいて予測する予測工程と
前記車両が旋回した場合に、設定中の前記第1領域をリセットするリセット工程とを含む
制御部が実行する画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転技術の発展に伴い、車両の周囲を撮像した画像から車両を駐車させる駐車枠を検出する画像処理装置が普及しつつある。この種の画像処理装置では、画像から駐車枠を区画する区画線を検出し、検出した区画線に基づいて駐車枠を検出する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる画像処理装置は、画像を撮像するカメラが搭載された車両が駐車場内を移動する場合、移動しながら連続して撮像される複数の各画像から区画線を検出して、駐車枠を検出する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-87758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、例えば、連続して撮像される複数の各画像内の全領域を探索して区画線を検出する場合、区画線の検出に要する処理時間が嵩む。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、連続して撮像される複数の各画像から検出する区画線の検出精度を維持しつつ、区画線の検出に要する処理時間を短縮することができる画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る画像処理装置は、設定部と、予測部とを備える。設定部は、移動しながら連続して撮像される複数の画像のうちの第1画像における駐車枠を区画する区画線が検出された領域を第1領域として設定する。予測部は、前記複数の画像のうちの前記第1画像よりも時間的に後に撮像される第2画像の中で前記区画線が検出される第2領域を前記第1領域に基づいて予測する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様に係る画像処理装置および画像処理方法は、連続して撮像される複数の各画像から検出する区画線の検出精度を維持しつつ、区画線の検出に要する処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、画像処理装置の搭載例を示す図である。
図1B図1Bは、画像処理方法の概要を示す図である。
図2図2は、画像処理装置のブロック図である。
図3図3は、駐車枠管理部のブロック図である。
図4A図4Aは、第1領域の設定手順の説明図である。
図4B図4Bは、第1領域の設定手順の説明図である。
図5図5は、第2領域の設定手順の説明図である。
図6図6は、第3領域の設定手順の説明図である。
図7図7は、駐車枠管理部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る画像処理装置および画像処理方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、図1Aおよび図1Bを用いて実施形態に係る画像処理装置の概要について説明する。図1Aは、画像処理装置の搭載例を示す図である。また、図1Bは、画像処理方法の概要を示す図である。なお、かかる画像処理方法は、図1Aに示す画像処理装置1によって実行される。
【0012】
図1Aに示すように、実施形態に係る画像処理装置1は、車載カメラ10が搭載された自車両(以下、車両Cと記載する)に搭載され、車載カメラ10によって撮像された撮像画像(以下、単に画像と記載する)から駐車枠PSを検出する。
【0013】
車載カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備え、車両Cの周囲を撮像する単眼式の撮像装置である。また、車載カメラ10のレンズには、例えば、魚眼レンズなどの広角レンズが採用される。これにより、車載カメラ10は、図1Aに示すような広角の撮像領域R内に存在する駐車枠PSを撮像することができる。
【0014】
なお、図1Aに示す例では、車載カメラ10が、車両Cの左側方を撮像する左サイドカメラである場合について示したが、車載カメラ10には、車両Cの前方を撮像する前方カメラ、車両Cの後方を撮像するバックカメラ、車両Cの右側方を撮像する右サイドカメラが含まれる。
【0015】
画像処理装置1は、駐車枠PSの検出を行う場合、まず、画像から各駐車枠PSを区画する区画線の候補となる区画線候補を検出し、検出した区画線候補に基づいて各駐車枠PSを検出する。このとき、例えば、区画線候補が離散して検出される場合や、不連続的に検出される場合、駐車枠PSを検出できないおそれがある。
【0016】
そこで、実施形態に係る画像処理装置1は、検出した区画線候補を所定の統合条件に基づいて統合する。これにより、実施形態に係る画像処理装置1では、駐車枠PSの検出精度を向上させることが可能となる。
【0017】
具体的には、図1Bに示すように、画像処理装置1は、まず、第1画像I1から区画線候補Lcを検出する(ステップS1)。例えば、画像処理装置1は、第1画像I1に対してエッジ処理を行うことで得られるエッジ点を繋いだエッジ線に基づいて区画線候補Lcを検出する。
【0018】
そして、画像処理装置1は、第1画像I1において、区画線と路面との境界に対応するエッジ線を区画線候補Lcとして検出する。すなわち、区画線候補Lcは、区画線の幅方向の左右両端に対応するエッジ線のペアである。
【0019】
続いて、画像処理装置1は、ステップS1において、検出した区画線候補Lcを所定の統合条件に基づいて統合し、区画線Li1,Li2を検出する(ステップS2)。これにより、画像処理装置1では、一対の区画線Li1,Li2によって挟まれた領域を駐車枠PSとして検出することができる。
【0020】
かかる画像処理装置1は、移動しながら連続して撮像される複数の画像から、それぞれの画像に写る区画線Li1,Li2を検出することで、移動する車両Cに対する区画線Li1,Li2の位置および角度を算出することができる。
【0021】
このとき、画像処理装置1は、各画像における全領域を探索して区画線Li1,Li2を検出する場合、区画線Li1,Li2の検出に要する処理時間が嵩む。そこで、画像処理装置1は、区画線Li1,Li2を検出した場合、その後に順次撮像される画像については、各画像における全領域の中で、区画線Li1,Li2が写り込む可能性が高い領域に限定して区画線Li1,Li2を検出する処理を行う。
【0022】
具体的には、画像処理装置1は、移動しながら連続して撮像される複数の画像のうち、図1Bに示す第1画像I1から区画線Li1,Li2を検出した場合、区画線Li1,Li2を検出した領域を第1領域A1として設定する(ステップS3)。
【0023】
その後、画像処理装置1は、第1画像I1よりも時間的に後に順次連続して撮像される複数の第2画像I2,I3,I4については、第1領域A1に基づいて区画線Li1,Li2が写り込む可能性が高い第2領域A2を順次予測する(ステップS4)。
【0024】
このとき、画像処理装置1は、例えば、第1画像I1における第1領域A1の位置、車載カメラ10のシャッタースピード、および車両Cの移動速度等に基づいて、第2領域A2を順次予測する。
【0025】
そして、画像処理装置1は、各第2画像I2,I3,I4の全領域の中で、第2領域A2について選択的にエッジ処理を行い、第2領域A2以外の領域についてはエッジ処理を行わずに、区画線候補Lcを検出して区画線Li1,Li2を検出する。
【0026】
これにより、画像処理装置1は、各第2画像I2,I3,I4の全領域内を探索して区画線Li1,Li2を検出する場合に比べて、区画線Li1,Li2の検出精度を維持しつつ、区画線Li1,Li2の検出に要する処理時間を短縮することができる。なお、第1領域A1の設定手順については、図4Aおよび図4Bを参照して後述し、第2領域A2の予測手順については、図5を参照して後述する。
【0027】
次に、図2を用いて実施形態に係る画像処理装置1の構成例について説明する。図2は、画像処理装置1のブロック図である。なお、図2には、画像処理装置1を含む駐車支援システム100を示す。
【0028】
図2に示すように、駐車支援システム100は、画像処理装置1と、車載カメラ10と、センサ群Scと、上位ECU(Electronic Control Unit)50とを備える。また、図2に示すように、画像処理装置1と、センサ群Scと、上位ECU50とは、それぞれCAN(Control Area Network)通信の通信規格の通信バスBによって相互に通信することができる。
【0029】
センサ群Scは、車両Cの走行状態を検出する各種センサであり、検出したセンサ値を画像処理装置1へ通知する。センサ群Scは、車両Cの車輪の回転数を検出する車速センサや、車両Cの舵角を検出する舵角センサ等を含む。
【0030】
上位ECU50は、例えば、車両Cの自動駐車を支援するECUであり、例えば、画像処理装置1によって検出された駐車枠PSに基づいて車両Cを駐車枠PSへ駐車させる。例えば、上位ECU50は、車両Cの操舵角を制御するEPS(Electric Power Steering)-ECUであり、画像処理装置1によって検出された駐車枠PSへの操舵角を制御することができる。なお、上位ECU50は、アクセル制御やブレーキ制御を行うECUを含むようにすることにしてもよい。
【0031】
図2に示すように、画像処理装置1は、制御部2と、記憶部3とを備える。制御部2は、線分抽出部21と、不適領域判定部22と、区画線候補検出部23と、除外判定部24と、駐車枠検出部25と、駐車枠管理部26と、停車位置決定部27とを備える。
【0032】
制御部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0033】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2の線分抽出部21、不適領域判定部22、区画線候補検出部23、除外判定部24、駐車枠検出部25、駐車枠管理部26および停車位置決定部27として機能する。
【0034】
また、制御部2の線分抽出部21、不適領域判定部22、区画線候補検出部23、除外判定部24、駐車枠検出部25、駐車枠管理部26および停車位置決定部27の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0035】
また、記憶部3は、例えば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種情報や各種プログラムの情報を記憶することができる。なお、画像処理装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0036】
制御部2は、例えば、車両Cが駐車場を走行していると想定される場合(例えば、車速30Km/h以下の場合)に、後述する駐車枠の検出処理を行うことにしてもよいし、あるいは、車両Cが走行している全ての期間でかかる検出処理を行うことにしてもよい。
【0037】
線分抽出部21は、車載カメラ10から入力される画像から各画素の輝度に基づくエッジ点を繋いだエッジ線を検出する。具体的には、線分抽出部21は、車載カメラ10から入力される画像をグレースケール化することでグレースケール画像へ変換する。グレースケール画像とは、画像における各画素を輝度に応じて白から黒までの各階調(例えば256階調)で表現するように変換する処理である。
【0038】
続いて、線分抽出部21は、グレースケール画像に対して例えば、ソベルフィルタを適用することで、各画素のエッジ強度および輝度勾配を求めることができる。続いて、線分抽出部21は、エッジ強度が所定値を超える画素を抽出することで、上記のエッジ点を抽出し、隣接するエッジ点を繋ぐことで、エッジ線を抽出することができる。線分抽出部21は、抽出したエッジ点およびエッジ線に関するエッジ情報を不適領域判定部22へ通知する。
【0039】
かかる線分抽出部21は、記憶部3に記憶される後述の第2領域情報32および第3領域情報33に基づき、画像中の一部の領域を選択的に探索して検出したエッジ点およびエッジ線に関するエッジ情報を不適領域判定部22へ通知する。
【0040】
不適領域判定部22は、線分抽出部21によって抽出されたエッジ点およびエッジ線に基づき、駐車枠を構築する区画線の検出が困難となる不適領域の有無を判定する。例えば、不適領域判定部22は、舗装された路面に比べて、エッジ点が多く抽出される舗装されていない路面領域(例えば、砂利)や、グレーチング領域を不適領域として判定することができる。
【0041】
具体的には、不適領域判定部22は、各エッジ点の密度が所定値以上であり、各エッジ点の輝度勾配が不均一である領域について、不適領域として判定することができる。不適領域判定部22は、判定した不適領域に基づいて上記のエッジ情報から不適領域に関するエッジ情報を除去して後段の処理へ回す。
【0042】
区画線候補検出部23は、線分抽出部21によって抽出されたエッジ線に基づいて駐車枠を区画する区画線の候補となる区画線候補を検出する。具体的には、区画線候補検出部23は、互いに略平行であり、その間隔が区画線の幅に応じた所定範囲に収まるエッジ線同士を区画線候補として検出する。
【0043】
すなわち、区画線候補検出部23は、各区画線の幅方向の左右両端に対応するエッジ線を区画線候補として検出する。区画線候補検出部23は、検出した区画線候補に関する区画線情報を生成し、除外判定部24へ通知する。
【0044】
なお、区画線候補検出部23は、不適領域判定部22によって検出された不適領域を除いて、区画線候補の検出処理を行うことができる。言い換えれば、区画線候補検出部23は、不適領域について区画線候補の検出処理を行わない。これにより、制御部2の処理負荷を抑えることが可能となる。
【0045】
除外判定部24は、区画線候補検出部23によって検出された区画線候補に基づいて車両Cの駐車が認められていない駐車不可領域の有無を判定する。例えば、除外判定部24は、駐車不可領域として、ゼブラゾーン(導流帯)などの駐車不可領域の有無を判定する。
【0046】
具体的には、ゼブラゾーンが、互いに略平行な区画線候補を区画線(支持区画線と記載する)と仮定した場合に、支持区画線に対して傾斜した区画線候補が所定の間隔をあけて3本以上存在する場合に、支持区画線に挟まれた領域を駐車不可領域と判定する。
【0047】
また、除外判定部24は、路面標識等の駐車枠の検出に不要な区画線候補の有無を判定することも可能である。例えば、除外判定部24は、区画線候補検出部23によって検出された区画線候補と、各路面標識のテンプレートモデルとのマッチング処理を行うことで画像に含まれる各路面標識を検出することができる。
【0048】
除外判定部24は、区画線情報から不要な区画線候補を除去するとともに、区画線情報に駐車不可領域に関する情報を付与して、駐車枠検出部25へ通知する。
【0049】
駐車枠検出部25は、区画線候補検出部23によって検出された区画線候補に基づき、駐車枠を検出する。具体的には、駐車枠検出部25は、所定間隔をあけて平行配置される区画線候補について駐車枠として検出する。
【0050】
ここで、所定間隔とは、駐車場に関する法令等で規定される一般公共用の標準的な駐車領域の幅である。また、このとき、駐車枠検出部25は、除外判定部24によって駐車不可領域として判定された領域を避けて、駐車枠を検出することができる。
【0051】
すなわち、ゼブラゾーン等を避けて駐車枠を検出することができる。駐車枠検出部25は、駐車枠を検出すると、駐車枠に関する駐車枠情報を駐車枠管理部26へ通知する。なお、以下では、駐車枠検出部25によって駐車枠として検出された区画線候補について、区画線と記載する。また、駐車枠情報には、車両Cを基準とする各区画線の頂点座標が含まれる。
【0052】
駐車枠管理部26は、駐車枠検出部25によって検出された駐車枠を時系列で管理する。駐車枠管理部26は、センサ群Scから入力されるセンサ値に基づいて車両Cの移動量を推定し、かかる移動量に基づいて過去の駐車枠情報に基づく実際の各区画線の頂点座標を推定することができる。
【0053】
また、駐車枠管理部26は、新たに入力される駐車枠情報に基づいて、過去の駐車枠情報における区画線の座標情報を更新することも可能である。すなわち、駐車枠管理部26は、車両Cとの駐車枠との相対的な位置関係を車両Cの移動に伴って随時更新する。
【0054】
かかる駐車枠管理部26は、上記の線分抽出部21によってエッジ線の検出処理を行わせる領域(以下、検出領域と記載する場合がある)の設定を行う。例えば、駐車枠管理部26は、移動しながら連続して撮像される画像から駐車枠検出部25によって区画線が検出された場合、画像における区画線が検出された領域に基づき、次に撮像される画像において区画線が写り込む可能性が高い領域を予測する。
【0055】
そして、駐車枠管理部26は、予測した領域を次に撮像された画像において線分抽出部21にエッジ線を検出させる検出領域として設定する。これにより、線分抽出部21は、次に撮像された画像の中で駐車枠管理部26によって予測されて設定された検出領域においてのみ、エッジ線の検出処理を行えばよいので、エッジ線の検出処理に要する時間を短縮することができる。その結果、画像処理装置1は、区画線の検出精度を維持しつつ、区画線の検出に要する処理時間を短縮することができる。
【0056】
また、駐車枠管理部26は、複数の駐車枠がそれぞれ連続して配置されると仮定して、新たに検出される駐車枠の検出領域を設定することも可能である。例えば、駐車枠管理部26は、ある画像から駐車枠検出部25によって検出された1つの駐車枠を基準とし、かかる駐車枠と連続して複数の駐車枠が存在すると予測する。
【0057】
そして、駐車枠管理部26は、予測した駐車枠の位置を次に撮像された画像における検出領域として設定する。これにより、線分抽出部21は、新たな区画線を構成するエッジ線を検出する場合に、駐車枠管理部26によって設定された検出領域においてのみ、エッジ線の検出処理を行えばよいので、エッジ線の検出処理に要する時間を短縮することができる。かかる駐車枠管理部26の構成および動作については、図3図6を参照して後述する。
【0058】
停車位置決定部27は、線分抽出部21によって検出されたエッジ線に基づき、車両Cが駐車枠へ駐車する際の停車位置を決定する。例えば、停車位置決定部27は、線分抽出部21によって検出されたエッジ線に基づき、輪留めや縁石、壁、車両の幅方向に延びる白線などを検出することで、車両Cの停車位置を決定する。
【0059】
停車位置決定部27は、輪留めを検出した場合、車両Cの後輪が輪留めの手前に来るように停車位置を決定し、輪留めに代えて、白線や壁等を検出した場合、白線の手前に車両Cの後端(例えば、リアバンパの先端)がくるように停車位置を決定する。
【0060】
次に、図3図6を用いて、実施形態に係る駐車枠管理部26について具体的に説明する。図3は、駐車枠管理部26のブロック図である。図4Aおよび図4Bは、第1領域の設定手順を示す説明図である。図5は、第2領域の設定手順を示す説明図である。図6は、第3領域の設定手順を示す説明図である。
【0061】
なお、図3には、駐車枠管理部26が備える構成のうち、線分抽出部21によってエッジ線を検出させる検出領域を設定する構成を選択的に示しており、その他の構成については図示を省略している。
【0062】
図3に示すように、駐車枠管理部26は、設定部261と、予測部262とを備える。設定部261は、移動しながら連続して撮像される複数の画像のうちの第1画像における駐車枠を区画する区画線が検出された領域を第1領域として設定する処理部である。
【0063】
また、予測部262は、連続して撮像される複数の画像のうちの第1画像よりも時間的に後に撮像される第2画像の中で区画線が検出される第2領域を第1領域に基づいて予測する処理部である。
【0064】
また、記憶部3は、第1領域情報31、第2領域情報32、および第3領域情報33を記憶する。第1領域情報31は、設定部261によって設定されて記憶部3に登録される第1画像中の第1領域の位置を示す情報である。第2領域情報32および第3領域情報33は、予測部262によって予測されて記憶部3に登録される各第2画像中の第2領域および後述する第3領域の位置を示す情報である。
【0065】
ここで、前述したように、車載カメラ10は、広角レンズが採用されているため、撮像する画像の中央に近いほど分解能が高く、画像の中央から外側に行くにつれて分解能が低下して解像度が粗くなる。
【0066】
このため、図4Aに示すように、設定部261は、区画線の検出が開始される場合、まず、第1画像I1における中央の高分解能領域A0を検出領域に設定する。つまり、設定部261は、第1画像I1における中央の高分解能領域A0を対象領域、注目領域、または関心領域等と称されるROI(Region Of Interest)に設定する。
【0067】
この時点では、まだ、区画線Li1,Li2は、検出されていない。このため、記憶部3には、第1領域情報31、第2領域情報32、および第3領域情報33が登録されていない。かかる状態が、高分解能領域A0が検出領域に設定されている状態である。
【0068】
設定部261は、例えば、車両Cの走行速度が30Km/h以下になり区画線の検出が開始される場合に、記憶部3に登録されている第1領域情報31、第2領域情報32、および第3領域情報33をリセットすることで、高分解能領域A0を検出領域に設定する。
【0069】
また、設定部261は、例えば、駐車場を走行中の車両Cが旋回することで、それまで検出されていた区画線が検出されなくなる場合にも、第1領域情報31、第2領域情報32、および第3領域情報33をリセットして高分解能領域A0を検出領域に設定する。
【0070】
線分抽出部21は、記憶部3に第1領域情報31、第2領域情報32、および第3領域情報33が登録されていない場合、つまり、高分解能領域A0が検出領域に設定されている場合に、高分解能領域A0内を探索して第1画像I1からエッジ線を抽出する。これにより、駐車枠検出部25は、高分解能領域A0内から検出されたエッジ線から高精度に区画線Li1,Li2を検出することができる。
【0071】
続いて、設定部261は、図4Bに示すように、第1画像I1における区画線Li1,Li2が検出された領域を包含する破線で示した領域を第1領域A1として設定し、第1画像I1における第1領域A1の位置を示す第1領域情報31を記憶部3に登録する。
【0072】
かかる第1領域情報31は、設定部261によってリセットされるまで記憶部3に保持される。つまり、設定部261は、第1画像I1における位置が固定の第1領域A1を設定する。
【0073】
このように、設定部261は、設定中の第1領域がない状態で区画線Li1,Li2が検出された場合に、区画線Li1,Li2が検出された領域を第1領域として設定する。これにより、設定部261は、区画線の検出が開始される場合に、毎回最初に区画線Li1,Li2が検出された正確な領域を第1領域として設定することができる。
【0074】
その後、図5および図6に示すように、予測部262は、第1画像I1よりも後に撮像される複数の第2画像I2,I3の中で区画線Li1,Li2が検出される第2領域A2を第1領域A1に基づいて予想する。
【0075】
例えば、車載カメラ10によって車両Cの左側方が撮像される場合に、車両Cが前進すると、図5に示すように、第2画像I2では、第1画像I1で区画線Li1,Li2が検出された第1領域A1よりも左側に区画線Li1,Li2が写り込む。
【0076】
そこで、予測部262は、第2画像I2の中で区画線Li1,Li2が写り込む可能性が高い点線で示す領域を第1領域A1の位置に基づき第2領域A2として設定し、第2領域A2の位置を示す第2領域情報32を記憶部3に登録する。
【0077】
このとき、予測部262は、第1画像I1における第1領域A1の位置と、車両Cの走行速度から算出される移動量、舵角、および広角レンズによる画像の歪みとに基づいて、第2画像I2における第2領域A2を設定する。
【0078】
このため、線分抽出部21は、第2画像I2における第2領域A2以外の領域を探索することなく、第2領域A2内だけを探索してエッジ線を検出する。そして、駐車枠検出部25は、第2領域A2内から検出されたエッジ線から区画線Li1,Li2を検出する。これにより、画像処理装置1は、区画線Li1,Li2の検出精度を維持しつつ、区画線Li1,Li2の検出に要する処理時間を短縮することができる。
【0079】
また、図6に示すように、予測部262は、図5に示す第2画像I2の次に撮像される第2画像I3についても同様に、区画線Li1,Li2が写り込む可能性が高い点線で示す領域を第1領域A1に基づき第2領域A2として設定する。そして、予測部262は、第2領域A2の位置を示す第2領域情報32を記憶部3に登録する。
【0080】
これにより、画像処理装置1は、図5に示す第2画像I2のときと同様に、区画線Li1,Li2の検出精度を維持しつつ、区画線Li1,Li2の検出に要する処理時間を短縮することができる。
【0081】
なお、予測部262は、第2領域A2で区画線Li1,Li2を検出したときは、その検出された最新の区画線の位置に基づいて、次に撮像される第2画像の中で区画線Li1,Li2が写り込む可能性が高い領域を第2領域A2として設定してもよい。
【0082】
これによれば、常に最新の区画線の位置に基づき次に撮像される第2画像における第2領域が設定されるため、第2領域A2をより精度よく設定することができ、区画線Li1,Li2の検出精度をより向上することができる。
【0083】
また、予測部262は、複数の第2画像I2,I3毎に、第2画像I2,I3における位置が変動する第2領域A2を位置が固定の第1領域A1に基づいて予測する。このように、予測部262は、基準とする第1領域A1の位置が固定であるため、複数の第2画像I2,I3内で変動する第2領域A2を簡易な処理によって予測することができる。
【0084】
また、車両Cが走行を続けると、図6に示すように、第2画像I3には、これまで検出されていた区画線Li1,Li2に加え、新たな区画線Li3が写り込むことがある。そこで、予測部262は、新たな区画線Li3が検出される第3領域A3を既に検出された区画線Li1,Li2の間隔D1に基づいて予測する。
【0085】
このとき、予測部262は、既に検出された一対の区画線Li1,Li2の間隔D1と同一の間隔で、新たに検出される区画線Li3が設けられていると仮定する。予測部262は、広角レンズによる画像の歪みに基づき、第2画像I3内で既に検出された区画線Li2から間隔D1を空けた位置に新たな区画線Li3が写り込むと予測して、一点鎖線で示す領域を第3領域A3として設定する。そして、予測部262は、第3領域A3の位置を示す第3領域情報33を記憶部3に登録する。
【0086】
線分抽出部21は、記憶部3に第3領域情報33が登録されている場合に、第2領域A2に加えて第3領域A3内を探索してエッジ線を検出する。そして、駐車枠検出部25は、第3領域A3内から検出されたエッジ線から、新たな区画線Li3を検出する。これにより、画像処理装置1は、区画線Li1,Li2と同様に、検出精度を維持しつつ、新たな区画線Li3の検出に要する処理時間を短縮することができる。
【0087】
その後、予測部262は、例えば、車両Cが旋回した場合、それまでの第1領域A1を基準とする予測では、区画線Li1,Li2,Li3が検出される領域を正しく予測することができなくなる。
【0088】
そこで、設定部261は、車両Cが旋回した場合に、記憶部3に登録されている第1領域情報31、第2領域情報32、および第3領域情報33をリセットする。これにより、高分解能領域A0が検出領域に設定された状態となる。
【0089】
このため、線分抽出部21は、次に撮像される画像については、高分解能領域A0からエッジ線を検出する。そして、駐車枠検出部25は、高分解能領域A0から検出されたエッジ線から区画線を検出する。これにより、画像処理装置1は、車両Cが旋回した後も区画線の検出精度を維持することができる。
【0090】
次に、図7を参照し、駐車枠管理部26が実行する処理について説明する。図7は、駐車枠管理部26が実行する処理の一例を示すフローチャートである。駐車枠管理部26は、例えば、車両Cが駐車場を走行していると想定される場合(例えば、車速30Km/h以内)に、図7に示す処理を繰り返し実行する。
【0091】
具体的には、図7に示すように、駐車枠管理部26は、まず、設定された第1領域がないか否かを判定する(ステップS101)。そして、駐車枠管理部26は、設定された第1領域があると判定した場合(ステップS101,No)、処理をステップS105へ移す。
【0092】
また、駐車枠管理部26は、設定された第1領域がないと判定した場合(ステップS101,Yes)、高分解能領域を検出領域に設定し(ステップS102)、区画線が検出されたか否かを判定する(ステップS103)。
【0093】
そして、駐車枠管理部26は、区画線が検出されないと判定した場合(ステップS103,No)、処理を終了し、次に撮像された画像について、ステップS101から処理を開始する。
【0094】
また、駐車枠管理部26は、区画線が検出されたと判定した場合(ステップS103,Yes)、区画線が検出された領域を包含する領域を第1領域として設定する(ステップS104)。その後、駐車枠管理部26は、第1領域に基づき第2領域を予測し(ステップS105)、予測した第2領域を設定する(ステップS106)。
【0095】
続いて、駐車枠管理部26は、検出された区画線の間隔から第3領域を予測し(ステップS107)、第3領域を設定する(ステップS108)。なお、駐車枠管理部26は、区画線が1本しか検出されておらず、区画線の間隔を検出できないときは、第3領域の設定を行わない。その後、駐車枠管理部26は、車両Cが旋回したか否かを判定する(ステップS109)。
【0096】
そして、駐車枠管理部26は、旋回していないと判定した場合(ステップS109,No)、処理を終了し、次に撮像された画像について、ステップS101から処理を開始する。また、駐車枠管理部26は、旋回したと判定した場合(ステップS109,Yes)、記憶部3に登録されている第1領域情報31、第2領域情報32、および第3領域情報33をリセットし(ステップS110)、処理を終了して次に撮像された画像について、ステップS101から処理を開始する。
【0097】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 駐車支援システム
10 車載カメラ
1 画像処理装置
2 制御部
21 線分抽出部
22 不適領域判定部
23 区画線候補検出部
24 除外判定部
25 駐車枠検出部
26 駐車枠管理部
27 停車位置決定部
261 設定部
262 予測部
3 記憶部
31 第1領域情報
32 第2領域情報
33 第3領域情報
50 上位ECU
Sc センサ群
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7