(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】グリコシル化BTLA(B-及びT-リンパ球減弱因子)に特異的な抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230214BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20230214BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230214BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230214BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20230214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230214BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230214BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230214BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20230214BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20230214BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230214BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230214BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230214BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230214BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20230214BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20230214BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20230214BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20230214BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230214BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20230214BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/18 ZNA
C07K16/46
C12N15/62 Z
C07K14/47
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/19
A61K38/22
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K39/00 H
A61P43/00 107
A61P37/04
A61K47/68
A61K47/55
A61K49/00
A61K51/10 200
A61K51/10 100
A61K38/02
A61K39/395 L
A61P43/00 111
G01N33/53 V
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2018548646
(86)(22)【出願日】2016-12-01
(86)【国際出願番号】 US2016064385
(87)【国際公開番号】W WO2017096017
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-11-27
(32)【優先日】2015-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518193674
【氏名又は名称】ストサイエンシス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ステファン スングハン ヨー
(72)【発明者】
【氏名】エズラ ミュング チュル チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨング‐ソオ キム
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エイチ. パーク
【審査官】佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-500715(JP,A)
【文献】特表2010-509920(JP,A)
【文献】Nat. Immunol., 2003, 4(7):670-9
【文献】J. Biol. Chem., 2005, 280(47):39553-61
【文献】KRIEG CARSTEN; ET AL,FUNCTIONAL ANALYSIS OF B AND T LYMPHOCYTE ATTENUATOR ENGAGEMENT ON CD4(+) AND CD8(+) T CELLS,THE JOURNAL OF IMMUNOLOGY,米国,THE AMERICAN ASSOCIATION OF IMMUNOLOGISTS,2005年11月,VOL:175, NR:10,PAGE(S):6420 - 6427,http://dx.doi.org/10.4049/jimmunol.175.10.6420
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する、単離されたモノクローナル抗体であって、該抗体が、
(i)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号6のアミノ酸配列を有するV
H 相補性決定領域1(CDR1);
(2)配列番号7のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号8のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号18のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号19のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号20のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(ii)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号34のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号35のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号36のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号46のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号47のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号48のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(iii)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号62のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号63のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号64のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号74のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号75のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号76のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(iv)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号9のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号10のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号11のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号21のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号22のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号23のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(v)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号37のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号38のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号39のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号49のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号50のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号51のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(vi)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号65のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号66のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号67のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号77のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号78のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号79のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(vii)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号12のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号13のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号14のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号24のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号25のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号26のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(viii)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号40のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号41のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号42のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号52のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号53のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号54のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(ix)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号68のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号69のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号70のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号80のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号81のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号82のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(x)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号15のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号16のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号17のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号27のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号28のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号29のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(xi)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号43のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号44のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号45のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号55のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号56のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号57のアミノ酸配列を有するV
L CDR3、又は
(xii)(a)下記を含む重鎖可変領域(V
H):
(1)配列番号71のアミノ酸配列を有するV
H CDR1;
(2)配列番号72のアミノ酸配列を有するV
H CDR2;及び
(3)配列番号73のアミノ酸配列を有するV
H CDR3、並びに
(b)下記を含む軽鎖可変領域(V
L):
(1)配列番号83のアミノ酸配列を有するV
L CDR1;
(2)配列番号84のアミノ酸配列を有するV
L CDR2;及び
(3)配列番号85のアミノ酸配列を有するV
L CDR3
を含む、前記抗体。
【請求項2】
非グリコシル化BTLAと比べて、位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せでグリコシル化されているBTLAに選択的に結合する、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
BTLAの位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せを含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする、請求項1記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体のグリコシル化BTLAに対する結合が、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍大きい蛍光強度によって示される、請求項1記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含むV
H、及び配列番号4のアミノ酸配列を含むV
L;
(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むV
H、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むV
L;又は
(c)配列番号58のアミノ酸配列を含むV
H、及び配列番号60のアミノ酸配列を含むV
L
を含む、請求項1記載の抗体。
【請求項6】
BTLAに対するHVEM結合を阻害する、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、
(i)組換え体;
(ii)IgG、IgM、IgA、又はこれらの抗原結合断片;
(iii)Fab'、F(ab')2、F(ab')3、一価scFv、二価scFv、又は単一ドメイン抗体;又は
(iv)ヒト又はヒト化抗体
である、請求項1~6のいずれか一項記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、イメージング剤、化学療法剤、毒素、又は放射性核種にコンジュゲートされている、請求項1~7のいずれか一項記載の抗体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項記載の抗体、及び医薬として許容し得る担体を含む、組成物。
【請求項10】
それを必要とする対象において癌を治療するための医薬組成物であって、請求項1~8のいずれか一項記載の抗体を含む、前記医薬組成物。
【請求項11】
前記癌が、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、又は皮膚癌である、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が、第二の抗癌療法と組み合わせて使用される、請求項10又は11記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記第二の抗癌療法が、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、又はサイトカイン療法である、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
BTLAグリコシル化を評価するための医薬組成物であって、請求項1~8のいずれか一項記載の抗体を含む、前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.関連出願の相互参照)
本出願は、完全に本明細書中に組み込まれる、2015年12月2日に出願された米国仮特許出願62/262,293号に対する優先権の恩典を主張する。
【0002】
(2.配列表)
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、かつ引用により完全に本明細書中に組み込まれる配列表を含む。2016年11月30日に作成された、該ASCIIコピーは、604556-228009_SL.txtと命名され、48,346バイトのサイズである。
【0003】
(3.分野)
本発明は、全体として、医学、分子生物学、及び腫瘍学の分野に関する。より詳細には、本発明は、癌を治療するための抗体に関する。
【背景技術】
【0004】
(4.背景)
ヒト及び他の哺乳動物の免疫系は、それらを感染及び疾患から防御する。腫瘍細胞又は腫瘍浸潤性リンパ球による共抑制分子の上方調節は癌に対するT細胞応答を減弱させ、免疫応答を逃れるために腫瘍によって発揮される機構であるように思われる。現在、Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)及びプログラム死1(PD-1)を含む、種々の共抑制分子が癌細胞の免疫逃避に関係があるとされている。免疫回避を克服するために、アンタゴニスト抗体が開発され、現在に至るまで、抗CTLA-4及び抗PD1抗体が臨床試験で試験されており、期待が持てる結果を伴っている。しかしながら、免疫系を調節することにより疾患を安全かつ効果的に治療する新しい治療法の開発は、差し迫ったニーズであり続けている。本明細書に記載される組成物及び方法は、これらのニーズを満たし、かつ他の関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【0005】
(5.概要)
本明細書に提供されるのは、単離されたモノクローナル抗体であり、ここで、該抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化されたB-及びT-リンパ球減弱因子(「BTLA」)に選択的に結合する。いくつかの態様において、該抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、位置N75、N94、及び/又はN110でグリコシル化されているBTLAに選択的に結合する。
【0006】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離された抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せでグリコシル化されているヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N94グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75及びN94グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N94及びN110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75及びN110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75、N94、及びN110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。
【0007】
いくつかの態様において、該抗体は、1以上のグリコシル化モチーフに選択的に結合する。いくつかの態様において、該抗体は、グリコシル化モチーフを含む糖ペプチド及び隣接するペプチドに結合する。いくつかの態様において、該抗体は、三次元で該グリコシル化モチーフの1つ又は複数の近くに位置するペプチド配列に結合する。ある態様において、該抗体は、非グリコシル化BTLAに対して示されるKdの半分未満のKdでグリコシル化BTLAに結合する。さらなる態様において、該抗体は、非グリコシル化BTLAに対して示されるKdの少なくとも10倍小さいKdでグリコシル化BTLAに結合する。
【0008】
いくつかの実施態様において、該抗体は、BTLAの位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せを含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。
【0009】
いくつかの実施態様において、該抗体のグリコシル化BTLAに対する結合は、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍大きい蛍光強度によって示される。
【0010】
いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重可変領域及び配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0011】
いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む重可変領域及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む重可変領域及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0013】
いくつかの実施態様において、該抗体は、(a)(1)(i)配列番号6、34、もしくは62、(ii)配列番号9、37、もしくは65、(iii)配列番号12、40、もしくは68、及び(iv)配列番号15、43、もしくは71からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)(i)配列番号7、35、もしくは63、(ii)配列番号10、38、もしくは66、(iii)配列番号13、41、もしくは69、及び(iv)配列番号16、44、もしくは72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに(3)(i)配列番号8、36、もしくは64、(ii)配列番号11、39、もしくは67、(iii)配列番号14、42、もしくは70、及び(iv)配列番号17、45、もしくは73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに/又は(b)(1)(i)配列番号18、46、もしくは74、(ii)配列番号21、49、もしくは77、(iii)配列番号24、52、もしくは80、及び(iv)配列番号27、55、もしくは83からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)(i)配列番号19、47、もしくは75、(ii)配列番号22、50、もしくは78、(iii)配列番号25、53、もしくは81、及び(iv)配列番号28、56、もしくは84からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに(3)(i)配列番号20、48、もしくは76、(ii)配列番号23、51、もしくは79、及び(iii)配列番号26、54、もしくは82からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0014】
いくつかの実施態様において、該抗体は、STC613と表記される抗体、STC626と表記される抗体、又はSTC635と表記される抗体と、グリコシル化BTLAに対する結合について競合する。
【0015】
いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の5以上の連続するアミノ酸の配列を含むBTLAエピトープに特異的に結合する。
【0016】
いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号86のBTLAのR12、H16、K51、T57、S82、又はS86に対応するアミノ酸のうちの1つ又は複数を含むBTLAエピトープに特異的に結合する。
【0017】
いくつかの実施態様において、該抗体は、1μM以下の解離定数(Kd)でグリコシル化BTLAに特異的に結合する。
【0018】
いくつかの実施態様において、該抗体は、100nM以下、10nM以下、又は5nM以下の解離定数(Kd)でグリコシル化BTLAに特異的に結合する。
【0019】
いくつかの実施態様において、該抗体は、5nM以下の解離定数(Kd)でグリコシル化BTLAに特異的に結合する。
【0020】
いくつかの実施態様において、該抗体は、BTLAに対するHVEM結合を阻害する。
【0021】
いくつかの実施態様において、該抗体は、1μg/ml以下のIC50でHVEM結合を阻害する。
【0022】
いくつかの実施態様において、該抗体は、0.8μg/ml以下、0.6μg/ml以下、0.4μg/ml以下、0.2μg/ml以下のIC50でHVEM結合を阻害する。
【0023】
いくつかの実施態様において、該抗体は、0.2μg/ml以下のIC50でHVEM結合を阻害する。
【0024】
いくつかの態様において、該抗体は組換体である。ある態様において、該抗体は、IgG、IgM、IgA、又はこれらの抗原結合断片である。他の態様において、該抗体は、Fab'、F(ab')2、F(ab')3、一価scFv、二価scFv、二重特異性抗体、二重特異性scFv、又は単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、該抗体は、ヒト又はヒト化抗体である。さらなる態様において、該抗体は、イメージング剤、化学療法剤、毒素、又は放射性核種にコンジュゲートされている。
【0025】
さらなる実施態様において、本明細書に提供されるのは、本実施態様の抗体(例えば、抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する)を医薬として許容し得る担体中に含む組成物である。
【0026】
またさらなる実施態様において、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含むヒトBTLAの少なくとも7つ(例えば、少なくとも8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより多く)の連続するアミノ酸の断片を含む単離されたポリペプチドが提供される。さらなる態様において、本実施態様の単離されたポリペプチドは、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含み、かつヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つ(例えば、少なくとも8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより多く)の連続するアミノ酸の断片を含む。いくつかの態様において、本実施態様のポリペプチドは、免疫原性ポリペプチド(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、KLH)に融合しているか又はコンジュゲートされている。ある態様において、該ポリペプチドは、C-又はN-末端にCys残基をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、該ポリペプチドは、Cys残基でのジスルフィド連結によって免疫原性ポリペプチドにコンジュゲートされている。
【0027】
またさらなる実施態様において、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含み、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つ(例えば、少なくとも8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより多く)の連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドを含む組成物であって、該ポリペプチドが医薬として許容し得る担体中に製剤化されている、組成物が提供される。
【0028】
またさらなる実施態様において、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含み、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドを含む免疫原性組成物であって、該ポリペプチドが医薬として許容し得る担体中に製剤化されている、免疫原性組成物が提供される。いくつかの態様において、該免疫原性組成物は、ミョウバン又はフロイントのアジュバントなどのアジュバントをさらに含む。
【0029】
またさらなる実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を有する対象を治療する方法であって、本実施態様の抗体又は単離されたポリペプチドの有効量を対象に投与することを含む、方法である。ある態様において、癌を治療する方法は、ポリペプチド(例えば、グリコシル化BTLAポリペプチド)の有効量を対象に投与することを含む。さらなる態様において、癌を治療する方法は、本実施態様の抗体(例えば、抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する)の有効量を対象に投与することを含む。いくつかの態様において、癌は、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、又は皮膚癌である。ある態様において、癌は、副腎癌、肛門癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、成人の脳/CNS腫瘍、小児の脳/CNS腫瘍、乳癌、男性の乳癌、青年の癌、小児の癌、若年成人の癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭もしくは下咽頭癌、白血病(例えば、成人急性リンパ球性(ALL)、急性骨髄性(AML)、慢性リンパ球性(CLL)、慢性骨髄性(CML)、慢性骨髄単球性(CMML)、小児白血病)、肝臓癌、肺癌(例えば、非小細胞、小細胞)、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔癌、副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、小児の非ホジキンリンパ腫、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(例えば、成人軟組織癌)、皮膚癌(例えば、基底細胞及び扁平上皮細胞、黒色腫、メルケル細胞)、小腸癌、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣内癌、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、又はウィルムス腫瘍である。ある態様において、該抗体は、医薬として許容し得る組成物中にある。さらなる態様において、該抗体は、全身投与される。特定の態様において、該抗体は、静脈内、皮内、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、又は局所投与される。
【0030】
いくつかの態様において、該方法は、少なくとも第二の抗癌療法を対象に投与することをさらに含む。ある態様において、ここで、該第二の抗癌療法は、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、又はサイトカイン療法である。
【0031】
なおまたさらなる実施態様において、本明細書に提供されるのは、BTLAグリコシル化、N-結合型グリコシル化、又はN-グリコシル化を評価する方法であって、BTLA含有試料を本実施態様の抗体(例えば、抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する)と接触させることを含む、方法である。いくつかの態様において、該方法は、インビトロ法である。ある態様において、試料は細胞試料である。
【0032】
なおまたさらなる実施態様において、抗体を作製する方法であって、本実施態様によるポリペプチド(例えば、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含み、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸の断片を有するポリペプチド)を動物に投与すること及び該抗体を該動物から単離することを含む、方法が提供される。例えば、該動物は、マウス、ラット、ウサギ、又はヒトであることができる。ある態様において、方法は、抗体のCDRを同定すること及び該CDRの周辺の配列をヒト化して、ヒト化抗体を産生することをさらに含む。またさらなる態様において、該方法は、ヒト化抗体を組換え発現することを含む。したがって、さらなる実施態様において、本明細書に提供されるのは、上記の方法によって産生される単離された抗体である。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、非グリコシル化BTLAと比べて、本実施態様のポリペプチド(例えば、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含み、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチド)に選択的に結合する、単離された抗体である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
(6.図面の簡単な説明)
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含まれる。本発明は、これらの図面のうちの1つ又は複数を、本明細書に提示される具体的な実施態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、より良く理解することができる。
【0034】
【
図1】
図1A-抗BTLA mAbのドットプロット解析;実験レイアウト。
図1Aは、ドットプロットアッセイで試験された抗BTLA mAb試料(STC601~STC636)及び対照(IgG対照抗体;市販のBTLA抗体、Biolegend、San Diego, CA, US製)のレイアウトを示す図式を示している。「PNGアーゼF+」は、エンドグリコシダーゼ処理したBTLAを示しており;「PNGアーゼF-」は、未処理のグリコシル化BTLAを示している。
【0035】
図1B-抗BTLA mAbのドットプロット解析;実験結果。
図1Bは、抗BTLA mAb STC601~STC636の糖特異的BTLA結合を評価するドットプロットアッセイの例示的な結果を示している。
【0036】
【
図2】
図2-抗BTLA mAbのウェスタンブロット解析;
図2は、野生型(WT) BTLAに対する及び単一のN-グリコシル化部位を保持するBTLA突然変異体(N75/2NQ、N94/2NQ、N116/2NQ)又はN-グリコシル化部位を保持しないBTLA突然変異体(3NQ)に対するBTLA mAbの結合を示す例示的なウェスタンブロットの結果を示している。
【0037】
【
図3】
図3A-表面プラズモン共鳴BTLA結合アッセイ;
図3Aは、BTLA力価測定実験及び固定されたSTC613と表記される抗BTLA mAbに対するBTLA結合を示すセンサーグラムを示している。
【0038】
図3B-表面プラズモン共鳴BTLA結合アッセイ;
図3Bは、BTLA力価測定実験及び固定されたSTC626と表記される抗BTLA mAbに対するBTLA結合を示すセンサーグラムを示している。
【0039】
図3C-表面プラズモン共鳴BTLA結合アッセイ;
図3Cは、BTLA力価測定実験及び固定されたSTC636と表記される抗BTLA mAbに対するBTLA結合を示すセンサーグラムを示している。
【0040】
【
図4】
図4A-STC613による抗BTLA mAbのビニング。
図4Aは、BTLA-STC613複合体に対する抗BTLA mAbの結合を示す表面プラズモン共鳴実験の例示的な結果を示している。
【0041】
図4B-STC636による抗BTLA mAbのビニング。
図4Bは、BTLA-STC636複合体に対する抗BTLA mAbの結合を示す表面プラズモン共鳴実験の例示的な結果を示している。
【0042】
【
図5】
図5-抗BTLA mAbの中和活性。
図5は、5μg/ml又は0.5μg/mlの抗BTLA mAbの存在下でのBTLA:HVEM複合体形成を解析するELISAアッセイの例示的結果を示す棒グラフである。
【0043】
【
図6】
図6-STC613及びSTC626の中和活性。
図6は、ELISAベースのBTLA:HVEM競合アッセイにおけるSTC613及びSTC626の力価測定曲線を示すグラフである。
【0044】
【
図7】
図7-STC613のBTLAエピトープマッピング。
図7は、BTLA-STC613複合体中のSTC613に架橋されることが分かったBTLA領域及びアミノ酸位置を示すグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(7.詳細な説明)
(7.1.概説)
BTLAは、2つの免疫受容体チロシン抑制モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)を有する免疫グロブリンドメイン含有糖タンパク質として同定された。BTLAは、未感作T細胞によって発現されないが、T細胞の活性化期に誘導されるTリンパ球上の抑制性受容体である。Watanabeらの文献、Nature Immunology 4, 670-679(2003)。
【0046】
N-グリコシル化は、小胞体(ER)で開始され、その後、ゴルジでプロセシングされる翻訳後修飾である(Schwarz及びAebiの文献、Current Opinion in Structural Biology, 21, 576-582(2011))。このタイプの修飾は、オリゴ糖から構成される予め形成されたグリカンを、NXTモチーフ(-Asn-X-Ser/Thr-)の内部に位置するアスパラギン(Asn)側鎖アクセプターに転移する膜関連型オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OST)複合体によってまず触媒される(Cheung及びReithmeierの文献、Methods, 41(4): 451-59(2007); Helenius及びAebiの文献、Science, 291(5512):2364-69(2001))。予め形成されたグリカンからのサッカリドの付加又は除去は、それぞれ、N-グリコシル化カスケードを細胞及び位置依存的な形で厳密に調節する一群のグリコシルトランスフェラーゼ及びグリコシダーゼによって媒介される。
【0047】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「B-及びT-リンパ球減弱因子」又は「BTLA」という用語は、哺乳動物、例えば、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌ、並びに齧歯類(例えば、マウス及びラット)を含む、任意の脊椎動物源由来のBTLAを指す。別途規定されない限り、BTLAは、様々なBTLAアイソフォーム、そのSNP変異体を含む関連BTLAポリペプチド、並びに限定されないが、リン酸化BTLA、グリコシル化BTLA、及びユビキチン化BTLAを含む、BTLAの様々な修飾形態も含まれる。
【0048】
ヒトBTLAの例示的なアミノ酸配列が以下に提供されており、該配列において、N-結合型グリコシル化の部位は太字で下線が付されている(N75、N94、及びN110):
【化1】
【0049】
下の表に示されているように、3つ全てのN-グリコシル化部位がBTLAの細胞外ドメインに位置している。
【表1】
【0050】
特定のBTLAアイソフォーム又は変異体の特異的なグリコシル化部位は、その特定のBTLAアイソフォーム又は変異体のアミノ酸75、94、及び110と様々であり得る。こうした状況において、当業者であれば、配列アラインメント及び当技術分野における他の一般的な知識に基づいて、上に例示されたヒトBTLAのN75、N94、及びN110に対応する任意の特定のBTLAアイソフォーム又は変異体のグリコシル化部位を決定することができるであろう。したがって、また本明細書に提供されるのは、非グリコシル化BTLAアイソフォーム又は変異体と比べて、グリコシル化形態のBTLAアイソフォーム又は変異体に選択的に結合する抗体である。BTLAアイソフォーム又は変異体のグリコシル化部位は、上に提供されたヒトBTLA配列のN75、N94、及びN110の対応する部位であることができる。本明細書に提供されるのは、上に提供されたヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸配列を含むBTLAアイソフォーム又は変異体の少なくとも7つ(例えば、少なくとも8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより多く)の連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドでもある。
【0051】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という冠詞は、1つ又は複数の該冠詞の文法的対象を指す。例として、抗体(an antibody)は、1つの抗体又は複数の抗体を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「又は」という用語は、代替物のみを指すことが明示的に示されるか、又は代替物が相互排他的でない限り、「及び/又は」と互換的に使用される。本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「別の」とは、少なくとも第二以上を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「約」という用語は、ある値が、該値を決定するために利用されている装置、方法に固有の誤差変動、又は試験対象間で存在する変動を含むことを示す。
【0054】
(7.2.抗体及びポリペプチド)
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「抗体」という用語は、特異的な分子抗原に結合することができるポリペプチドの免疫グロブリン(又は「Ig」)クラス内のB細胞のポリペプチド産物、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、及び抗原結合断片を有する他の分子を指す。抗体は、2つの同一のポリペプチド鎖対(ここで、各々の対は、1つの重鎖(約50~70kDa)及び1つの軽鎖(約25kDa)を有し、各々の鎖の各々のアミノ末端部分は、約100~約130又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、かつ各々の鎖の各々のカルボキシ末端部分は定常領域を含む)から構成される(Borrebaeck(編)(1995)、抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)、第2版、Oxford University Press.; Kubyの文献(1997)、免疫学(Immunology)、第3版、W.H. Freeman and Company, New Yorkを参照)。ここで、特異的な分子抗原には、グリコシル化ヒトBTLAが含まれる。本明細書に提供される抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え産生抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、抗体、抗原結合断片、又はポリヌクレオチドとの関連において使用されるときの「単離された」という用語は、言及された分子が、天然で見出されるときの少なくとも1つの成分を含まないことを意味する。この用語は、その天然環境で見出されるときの一部の又は全ての他の成分から除去されている抗体、抗原結合断片、又はポリヌクレオチドを含む。抗体の天然の環境の成分としては、例えば、赤血球、白血球、血小板、血漿、タンパク質、核酸、塩類、及び栄養分が挙げられる。抗原結合断片又はポリヌクレオチドの天然の環境の成分としては、例えば、脂質膜、細胞内小器官、タンパク質、核酸、塩類、及び栄養分が挙げられる。本発明の抗体、抗原結合断片、又はポリヌクレオチドは、これらの成分又は該抗体、抗原結合断片、もしくはポリヌクレオチドが単離されるかもしくは組換え産生される細胞の任意の他の成分の全てを含まないか或いはこれらを実質的に含まないものであることができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「モノクローナル抗体」という用語は、単一の細胞クローンもしくはハイブリドーマ又は単一の細胞に由来する細胞の集団の産物である抗体を指す。モノクローナル抗体は、単一分子免疫グロブリン種を産生するために、免疫グロブリン遺伝子をコードする重鎖及び軽鎖から組換え法によって産生された抗体を指すことも意図される。モノクローナル抗体調製物内の抗体のアミノ酸配列は実質的に均一であり、そのような調製物内の抗体の結合活性は実質的に同じ抗原結合活性を示す。対照的に、ポリクローナル抗体は、集団内の様々なB細胞から得られ、これは、特異的抗原に結合する免疫グロブリン分子の組合せである。ポリクローナル抗体の各々の免疫グロブリンは、同じ抗原の異なるエピトープに結合することができる。モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の両方を産生する方法は当技術分野で周知である(Harlow及びLaneの文献、抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)及びBorrebaeck(編)、抗体エンジニアリング:実践ガイド(Antibody Engineering: A Practical Guide)、W.H. Freeman and Co., Publishers, New York, pp. 103-120(1991))。
【0057】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「ヒト抗体」という用語は、ヒト可変領域及び/もしくはヒト定常領域又はヒト生殖系列免疫グロブリン配列に対応するこれらの部分を有する抗体を指す。そのようなヒト生殖系列免疫グロブリン配列は、Kabatらの文献(1991)、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242に記載されている。ここで、ヒト抗体は、グリコシル化ヒトBTLAに結合し、かつヒト生殖系列免疫グロブリン核酸配列の天然の体細胞変異体である核酸配列によってコードされる抗体を含むことができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「キメラ抗体」という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来し又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である一方、該鎖の残りが、別の種に由来し又は別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である抗体、並びに所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片を指す(米国特許第4,816,567号;及びMorrisonらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855(1984)を参照)。
【0059】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「ヒト化抗体」という用語は、ネイティブな相補性決定領域(「CDR」)残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種の対応するCDR(例えば、ドナー抗体)由来の残基に置き換えられているヒト免疫グロブリン(例えば、レシピエント抗体)を含むキメラ抗体を指す。場合によっては、ヒト免疫グロブリンの1以上のFR領域残基が対応する非ヒト残基に置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を有することができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに精緻化するために行われる。ヒト化抗体の重鎖又は軽鎖は、少なくとも1つ又は複数の可変領域の実質的に全てを含むことができ、該可変領域では、CDRの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのCDRに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常、ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細については、Jonesらの文献、Nature, 321:522-525(1986); Riechmannらの文献、Nature, 332:323-329(1988);及びPrestaの文献、Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596(1992); Carterらの文献、Proc. Natl. Acd. Sci. USA 89:4285-4289(1992);並びに米国特許第6,800,738号、第6,719,971号、第6,639,055号、第6,407,213号、及び第6,054,297号を参照されたい。
【0060】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「組換え抗体」という用語は、組換え手段によって調製、発現、作製、又は単離される抗体を指す。組換え抗体は、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック及び/もしくはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウスもしくはウシ)から単離された抗体(例えば、Taylor, L. D.らの文献、Nucl. Acids Res. 20:6287-6295(1992)を参照)、又は免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製、もしくは単離された抗体であることができる。そのような組換え抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来するものを含む、可変及び定常領域を有することができる(Kabat, E. A.らの文献(1991)、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照)。組換え抗体は、インビトロ突然変異誘発(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物を使用する場合は、インビボ体細胞突然変異誘発)を受けることもあり、そのため、該組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVH及びVL配列に由来し、かつこれに関連するが、インビボのヒト抗体生殖系列レパートリーに天然には存在しない配列であり得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「中和抗体」は、BTLAとその天然のリガンド、例えば、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)との結合を遮断し、BTLAによって媒介されるシグナル伝達経路及び/又はその他の生理的活性を阻害する抗体を指す。中和抗体のIC50は、中和アッセイ、例えば、BTLA-HVEM複合体形成を解析するELISAアッセイでBTLAの50%を中和するのに必要とされる抗体の濃度を指す。中和抗体のIC50は、中和アッセイで0.01~10μg/mlの範囲に及ぶことができる。
【0062】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「抗原結合断片」という用語及び類似の用語は、抗原に免疫特異的に結合し、かつ抗原に対するその特異性及び親和性を抗体に付与するアミノ酸残基を含む抗体の部分を指す。抗原結合断片は、抗体の機能性断片と呼ぶことができる。抗原結合断片は、一価、二価、又は多価であることができる。
【0063】
抗原結合断片を有する分子としては、例えば、Fd、Fv、Fab、F(ab')、F(ab)2、F(ab')2、F(ab)3、F(ab’)3、単鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、又は単一ドメイン抗体が挙げられる。scFvは、一価scFv又は二価scFvであることができる。抗原結合断片を有する他の分子としては、例えば、そのような抗原結合断片が結合活性を保持する限り、重鎖もしくは軽鎖ポリペプチド、可変領域ポリペプチド、もしくはCDRポリペプチド、又はこれらの部分を挙げることができる。そのような抗原結合断片は、例えば、Harlow及びLaneの文献、抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1989); Myers(編)、分子生物学及び生物工学:包括的卓上参考書(Molec. Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference)、New York: VCH Publisher社; Hustonらの文献、Cell Biophysics, 22:189-224(1993); Pluckthun及びSkerraの文献、Meth. Enzymol., 178:497-515(1989)、並びにDay, E.D.の文献、先端免疫化学(Advanced Immunochemistry)、第2版、Wiley-Liss社、New York, NY(1990)に記載されているのを見出すことができる。抗原結合断片は、少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、少なくとも10個の連続するアミノ酸残基、少なくとも15個の連続するアミノ酸残基、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基、少なくとも25個の連続するアミノ酸残基、少なくとも40個の連続するアミノ酸残基、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基、少なくとも60個の連続するアミノ残基、少なくとも70個の連続するアミノ酸残基、少なくとも80個の連続するアミノ酸残基、少なくとも90個の連続するアミノ酸残基、少なくとも100個の連続するアミノ酸残基、少なくとも125個の連続するアミノ酸残基、少なくとも150個の連続するアミノ酸残基、少なくとも175個の連続するアミノ酸残基、少なくとも200個の連続するアミノ酸残基、又は少なくとも250個の連続するアミノ酸残基のアミノ酸配列を有するポリペプチドであることができる。
【0064】
抗体の重鎖は、アミノ末端部分が約120~130個又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、かつカルボキシ末端部分が定常領域を含む、約50~70kDaのポリペプチド鎖を指す。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)と呼ばれる、5つの異なるタイプのうちの1つであることができる。異なる重鎖はサイズが異なり:α、δ、及びγは、約450個のアミノ酸を含有し、一方、μ及びεは、約550個のアミノ酸を含有する。軽鎖と組み合わされると、これらの異なるタイプの重鎖は、IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含め、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMという、抗体の5つの周知のクラスを生じる。重鎖はヒト重鎖であることができる。
【0065】
抗体の軽鎖は、アミノ末端部分が約100~約110個又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、かつカルボキシ末端部分が定常領域を含む、約25kDaのポリペプチド鎖を指す。軽鎖のおおよその長さは、211~217アミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)又はラムダ(λ)と呼ばれる、2つの異なるタイプがある。軽鎖アミノ酸配列は当技術分野で周知である。軽鎖はヒト軽鎖であることができる。
【0066】
抗体の可変ドメイン又は可変領域は、通常、軽鎖又は重鎖のアミノ末端に位置し、重鎖では約120~130アミノ酸の長さ、軽鎖では約100~110アミノ酸の長さを有し、各々の特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に関して使用される抗体の軽鎖又は重鎖の部分を指す。可変ドメインは、異なる抗体間で配列が大きく異なる。配列のばらつきはCDRに集中しており、一方、可変ドメイン内のばらつきの小さい部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用に関与する。本明細書で使用されるアミノ酸位置の付番は、Kabatらの文献(1991)、免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of proteins of immunological interest)(U.S. Department of Health and Human Services, Washington, D.C.)、第5版に見られるような、EUインデックスによるものである。可変領域はヒト可変領域であることができる。
【0067】
CDRは、免疫グロブリン(Igもしくは抗体)VH β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2、もしくはH3)のうちの1つ、又は抗体VL β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2、もしくはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は当業者に周知であり、例えば、抗体可変(V)ドメイン内の最も超可変性の領域として、Kabatによって定義されている(Kabatらの文献、J. Biol. Chem. 252:6609-6616(1977); Kabatの文献、Adv. Prot. Chem. 32:1-75(1978))。また、CDR領域配列は、保存されたβ-シートフレームワークの一部ではなく、そのため、様々な立体構造を取ることができる残基として、Chothiaによって構造的に定義されている(Chothia及びLeskの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917(1987))。両方の用語法が当技術分野で十分に認識されている。標準的な抗体可変ドメイン内のCDRの位置は、数多くの構造の比較によって決定されている(Al-Lazikaniらの文献、J. Mol. Biol. 273:927-948(1997); Moreaらの文献、Methods 20:267-279(2000))。超可変領域内の残基の数は異なる抗体で様々に異なるので、標準的な可変ドメイン付番方式では、標準的な位置に対する追加の残基に、従来、残基番号の次にa、b、cなどの番号が付けられている(Al-Lazikaniらの文献、上記(1997))。そのような術語体系も同様に当業者に周知である。
【0068】
例えば、標準的な表記に従って定義されるCDRを下の表1に示す。
表1:CDR定義
【表2】
【0069】
また、1以上のCDRを共有結合的に又は非共有結合的に分子に組み込んで、それをイムノアドヘシンにすることができる。イムノアドヘシンは、CDRをより大きいポリペプチド鎖の一部として組み込むことができるか、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合的に連結することができるか、又はCDRを非共有結合的に組み込むことができる。CDRは、イムノアドヘシンが対象となる特定の抗原に結合するのを可能にする。
【0070】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、CDRに隣接する可変ドメイン残基を指す。FR残基は、例えば、キメラ、ヒト化、ヒト、ドメイン抗体、ダイアボディ、直鎖抗体、及び二重特異性抗体中に存在する。FR残基は、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0071】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、抗体との関連において使用されるときの「単離された」という用語は、抗体が、細胞物質又は細胞もしくは組織源由来の他の夾雑タンパク質及び/又は抗体が由来する他の夾雑成分を実質的に含まないか、或いは化学合成される場合、化学前駆物質又は他の化学物質を実質的に含まないことを意味する。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉は、抗体が、それが単離されるか又は組換え産生される細胞の細胞成分から分離されている抗体の調製物を含む。したがって、細胞物質を実質的に含まない抗体には、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、又は5%未満の異種タンパク質(本明細書において「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を有する抗体の調製物が含まれる。ある実施態様において、抗体が組換え産生される場合、それは、培養培地を実質的に含まず、例えば、培養培地は、タンパク質調製物の容量の約20%、10%、又は5%未満に相当する。ある実施態様において、抗体が化学合成によって産生される場合、それは、化学前駆物質又は他の化学物質を実質的に含まず、例えば、それは、タンパク質の合成に関与する化学前駆物質又は他の化学物質から分離されている。したがって、そのような抗体の調製物は、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、5%未満の化学前駆物質又は目的の抗体以外の化合物を有する。夾雑成分としては、限定されないが、抗体の治療的使用を妨害する物質を挙げることもでき、また、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を挙げることができる。ある実施態様において、抗体は、(1)Lowry法(Lowryらの文献、J. Bio. Chem. 193: 265-275, 1951)によって決定したとき、抗体の95重量%超、例えば、99重量%まで、(2)スピニングカップシーケネーターを用いて、N-末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クマシーブルー染色もしくは好ましくは銀染色を用いた還元もしくは非還元条件下でのSDS-PAGEによって均一になるまで精製される。抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイチュの抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は単離されている。
【0072】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「核酸」、「核酸分子」という用語及び他の類似の用語は互換的に使用されており、DNA、RNA、mRNAなどを含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、核酸分子との関連において使用される「単離された」という用語は、核酸分子が、該核酸分子の天然の源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子であることを意味する。さらに、「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、他の細胞物質、又は組換え技法によって産生される場合は、培養培地を実質的に含まないものであるか、又は化学合成される場合は、化学前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであることができる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体をコードする核酸分子は単離又は精製されている。
【0074】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「結合する」又は「結合すること」という用語は、分子間の相互作用を指す。相互作用は、例えば、水素結合、イオン結合、疎水性相互作用、及び/又はファンデルワールス相互作用を含む、非共有結合的相互作用であることができる。抗体と標的分子、例えば、グリコシル化ヒトBTLAの単一のエピトープとの間の全体的な非共有結合的相互作用の強度が、そのエピトープに対する抗体の親和性である。「結合親和性」は、通常、分子(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合的相互作用の合計の強度を指す。
【0075】
結合分子X、例えば、抗体のその結合パートナーY、例えば、抗体の同族抗原に対する親和性は、通常、解離定数(KD)によって表すことができる。低親和性抗体は、通常、抗原にゆっくりと結合し、速やかに解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は、通常、抗原により速く結合し、より長く結合した状態に留まる傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当技術分野で周知であり、これらのいずれかを本開示の目的のために使用することができる。「KD」又は「KD値」は、当技術分野で公知のアッセイによって、例えば、結合アッセイによって測定することができる。KDは、例えば、対象となるFab型の抗体及びその抗原を用いて実施される、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)で測定することができる(Chenらの文献(1999) J. Mol Biol 293:865-881)。KD又はKD値は、例えば、BIAcore(商標)-2000もしくはBIAcore(商標)-3000(BIAcore社, Piscataway, NJ)を用いたBiacoreによる表面プラズモン共鳴アッセイを使用することによるか、又は例えば、OctetQK384システム(ForteBio, Menlo Park, CA)を用いたバイオレイヤー干渉法によって測定することもできる。本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、抗体が第二の分子抗原よりも高い親和性で第一の分子抗原に結合する場合、該抗体は、第二の分子抗原と比べて、第一の分子抗原に「選択的に結合する」ことができると言われる。抗体一般は、全く無関係の抗原に結合しない。
【0076】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、2~30個のアミノ酸(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、又は30個のアミノ酸)及びそれより長いアミノ酸鎖、例えば、30個よりも多いアミノ酸、50個よりも多いアミノ酸、100個よりも多いアミノ酸、150個よりも多いアミノ酸、200個よりも多いアミノ酸、300個よりも多いアミノ酸、400個よりも多いアミノ酸、500個よりも多いアミノ酸、又は600個よりも多いアミノ酸を有するオリゴペプチドを含む。ポリペプチドは、例えば、組換え発現、又は化学合成によって産生することができる。本開示のポリペプチドは、翻訳後修飾又は化学修飾することができる(例えば、グリコシル化、カルバミル化、リン酸化、ビオチン化、蛍光色素の付加など)。ポリペプチドは、特異的部位でグリコシル化されることができる。ポリペプチドは、天然の遺伝暗号によってコードされない非天然アミノ酸を含むことができる。例えば、ポリペプチドは、メチル化骨格構造、ペプトイド骨格構造(ポリ-N-置換グリシン)、L-アミノ酸、R-アミノ酸などを含むことができる。ポリペプチドは、野生型配列、天然変異体配列、突然変異体配列(例えば、点突然変異体、欠失突然変異体)などを有することができる。
【0077】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「ベクター」という用語は、核酸分子を宿主細胞に導入するために使用される物質を指す。使用のために適用可能なベクターとしては、例えば、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体が挙げられ、これらは、宿主細胞の染色体への安定な組込みのために作動可能な選択配列又はマーカーを含むことができる。さらに、ベクターは、1以上の選択可能マーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。含めることができる選択可能マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質もしくは毒素に対する耐性を提供し、独立栄養欠損を相補し、又は培養培地中にない重要な栄養を供給する。発現制御配列は、当技術分野で周知である構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを含むことができる。2以上の核酸分子(例えば、抗体の重鎖と軽鎖の両方)が共発現されることになる場合、両方の核酸分子を、例えば、単一の発現ベクター又は別々の発現ベクターに挿入することができる。単一ベクター発現のために、コード核酸を、1つの共通の発現制御配列に機能的に連結するか、又は異なる発現制御配列、例えば、1つの誘導性プロモーター及び1つの構成的プロモーターに連結することができる。核酸分子の宿主細胞への導入は、当技術分野で周知の方法を用いて確認することができる。そのような方法としては、例えば、核酸解析、例えば、mRNAのノーザンブロットもしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、又は遺伝子産物の発現についての免疫ブロッティング、又は導入された核酸配列もしくはその対応する遺伝子産物の発現を試験する他の好適な解析方法が挙げられる。核酸分子は、所望の産物(例えば、本明細書に提供される抗BTN1A1抗体)を産生するのに十分な量で発現されることが当業者によって理解され、また、発現レベルを当技術分野で周知の方法を用いて最適化して、十分な発現を得ることができることがさらに理解される。
【0078】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「宿主細胞」という用語は、核酸分子をトランスフェクトされた特定の対象細胞及びそのような細胞の子孫又は潜在的な子孫を指す。そのような細胞の子孫は、後続の世代で生じ得る突然変異もしくは環境的影響又は宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組込みが原因で、核酸分子をトランスフェクトされた親細胞と同一でなくてもよい。
【0079】
(7.2.1.抗グリコシル化BTLA抗体)
本明細書に提供されるのは、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する単離された抗体である。BTLAはヒトBTLAであることができる。グリコシル化BTLAは、BTLAの特異的なN-グリカン構造又はBTLAの糖ペプチドであることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する抗原結合断片である。
【0080】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離された抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せでグリコシル化されているヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N94グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75及びN94グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N94及びN110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75及びN110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、N75、N94、及びN110グリコシル化を有するヒトBTLAに選択的に結合する。
【0081】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される単離された抗体は、BTLAの位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せを含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、ヒトBTLAの位置N75を含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、ヒトBTLAの位置N94を含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、ヒトBTLAの位置N110を含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、ヒトBTLAの位置N75及びN94を含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、ヒトBTLAの位置N75及びN110を含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、ヒトBTLAの位置N94及びN110を含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。いくつかの実施態様において、該単離された抗体は、ヒトBTLAの位置N75、N94、及びN110を含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする。
【0082】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、BTLAの1以上のグリコシル化モチーフに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗体は、グリコシル化モチーフを有する糖ペプチド及び隣接するペプチドに選択的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗体は、非グリコシル化BTLAに対して示されるKDの少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%未満のKDでグリコシル化BTLAに選択的に結合する。ある実施態様において、該抗原結合断片は、非グリコシル化BTLAに対して示されるKDの50%未満のKDでグリコシル化BTLAに結合する。いくつかの実施態様において、該抗体は、非グリコシル化BTLAに対して示されるKDの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、40%、50%未満のKDでグリコシル化BTLAに結合する。さらなる態様において、該抗体は、非グリコシル化BTLAに対して示されるKDの少なくとも10倍小さいKDでグリコシル化BTLAに結合する。
【0083】
いくつかの実施態様において、非グリコシル化BTLAと比べた、グリコシル化BTLAに対する本明細書に提供される抗体の選択的結合は、例えば、FACSアッセイ又はELISAにおける蛍光強度(例えば、MFI)測定を用いて決定される。例えば、実施例1及び3を参照されたい。いくつかの実施態様において、測定された蛍光強度(例えば、MFI)は、グリコシル化又は非グリコシル化BTLA(例えば、細胞表面に発現されたBTLA、表面もしくはビーズ上に固定されたBTLA、又はバルク溶液中のBTLA)に対する本明細書に提供される蛍光標識抗体(例えば、FITC標識抗体)の結合を示す。いくつかの実施態様において、該抗体のグリコシル化BTLAに対する結合は、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも16倍、少なくとも18倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも120倍、少なくとも140倍、少なくとも160倍、少なくとも180倍、又は少なくとも200倍大きい蛍光強度によって示される。例えば、表10を参照されたい。いくつかの実施態様において、該抗体のグリコシル化BTLAに対する結合は、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍大きい蛍光強度によって示される。いくつかの実施態様において、該抗体のグリコシル化BTLAに対する結合は、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも14倍、少なくとも16倍、少なくとも18倍、又は少なくとも20倍大きい蛍光強度によって示される。いくつかの実施態様において、該抗体のグリコシル化BTLAに対する結合は、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、又は少なくとも100倍大きい蛍光強度によって示される。いくつかの実施態様において、該抗体のグリコシル化BTLAに対する結合は、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも100倍、少なくとも120倍、少なくとも140倍、少なくとも160倍、少なくとも180倍、又は少なくとも200倍大きい蛍光強度によって示される。
【0084】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、又はIgEであることができる。該抗グリコシル化BTLA抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体であることもできる。該抗グリコシル化BTLA抗体は、ラクダ化抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体であることもできる。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であることができる。
【0085】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する抗原結合断片である。該抗原結合断片は、Fd、Fv、Fab、F(ab’)、F(ab)2、F(ab’)2、F(ab)3、F(ab’)3、単鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、又は単一ドメイン抗体であることができる。scFvは、一価scFv、又は二価scFvであることができる。
【0086】
非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合するいくつかの例示的なマウスモノクローナル抗体(mAb)を産生し、特徴付けた。例えば、実施例1~7を参照されたい。例示的な抗BTLA mAbには、IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、及びIgGMアイソタイプが含まれる。例えば、表8を参照されたい。STC604、STC605、STC606、STC608、STC610、STC613、STC618、STC622、STC626、STC627、STC628、STC630、及びSTC636と表記される抗体は、例えば、BTLAに対するグリコシル化特異的結合を示す。例えば、
図1及び
図2を参照されたい。STC604、STC610、STC613、STC618、STC622、STC626、及びSTC635と表記される抗体は、例えば、高い親和性でBTLAに結合し、KDは、0.256nM(STC613)~5.61nM(STC635)の範囲である。例えば、表11を参照されたい。STC613及びSTC626と表記される抗体は、例えば、その天然リガンドHVEMに対するBTLA結合を、1.088μg/ml(STC613)及び0.416μg/ml(STC626)のIC50で阻害する。例えば、
図6を参照されたい。STC613と表記される1つの例示的な抗BTLA mAbのBTLAエピトープも本明細書に提供される。したがって、本明細書に提供されるのは、特異的な配列特徴を有する中和抗BTLA mAb、グリコール特異的にBTLAに結合する抗BTLA mAb及び、特異的なBTLAエピトープ、並びに癌治療におけるこれらの使用である。
【0087】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、本明細書に記載されるモノクローナル抗体(例えば、STC613、STC626、又はSTC635)のいずれか1つのVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3、例えば、表2~7に示されるアミノ酸配列を含む。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表3、5、及び7に示される、(a)STC613と表記される抗体;(b)STC626と表記される抗体、又は(c)STC635と表記される抗体:に由来する1、2、及び/もしくは3個の重鎖CDR並びに/又は1、2、及び/もしくは3個の軽鎖CDRを含む。
【0088】
STC613と表記される抗体は、配列番号2であるVH配列及び配列番号3であるVL配列を含む。
【0089】
STC626と表記される抗体は、配列番号30であるVH配列及び配列番号32であるVL配列を含む。
【0090】
STC635と表記される抗体は、配列番号58であるVH配列及び配列番号60であるVL配列を含む。
表2:マウスモノクローナル抗ヒトBTLA抗体STC613の重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域の配列
【表3】
表3:マウスモノクローナル抗ヒトBTLA抗体STC613のCDR配列
【表4】
表4:マウスモノクローナル抗ヒトBTLA抗体STC626の重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域の配列
【表5】
表5:マウスモノクローナル抗ヒトBTLA抗体STC626のCDR配列
【表6】
表6:マウスモノクローナル抗ヒトBTLA抗体STC635の重鎖可変(VH)領域及び軽鎖可変(VL)領域の配列
【表7】
表7:マウスモノクローナル抗ヒトBTLA抗体STC635のCDR配列
【表8】
【0091】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、VH領域又はVHドメインを含む。他の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、VL領域又はVL鎖を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(i)VHドメイン又はVH領域;及び/又は(ii)VLドメイン又はVL領域の組合せを有する。
【0092】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、表3、5、もしくは7で特定されている6個のCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3を含むか又はこれらからなる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、6個未満のCDRを含むことができる。いくつかの実施態様において、該抗体は、表3、5、もしくは7で特定されているVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3からなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5個のCDRを含むか又はこれらからなる。いくつかの実施態様において、該抗体は、本明細書に記載される(a)STC613と表記される抗体;(b)STC626と表記される抗体;もしくは(c)STC635と表記される抗体:からなる群から選択されるマウスモノクローナル抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3からなる群から選択される1、2、3、4、もしくは5個のCDRを含むか又はこれらからなる。したがって、いくつかの実施態様において、該抗体は、表3、5、もしくは7で特定されているVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3のいずれか1つの1、2、3、4、もしくは5個のCDRを含むか又はこれらからなる。
【0093】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表3、5、又は7に掲載されている1以上(例えば、1、2、又は3個)のVH CDRを含む。他の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表3、5、又は7に掲載されている1以上(例えば、1、2、又は3個)のVL CDRを含む。さらに他の実施態様において、本明細書に提供される抗体は、表3、5、及び7に掲載されている1以上(例えば、1、2、又は3個)のVH CDR、並びに表3、5、又は7に掲載されている1以上のVL CDRを含む。したがって、ある実施態様において、該抗体は、配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、又は71のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、又は72のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、又は73のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、表3、5、又は7に示されるアミノ酸配列のいずれか1つに示されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3から独立に選択されるVH CDR1及び/又はVH CDR2及び/又はVH CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、又は83のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、又は84のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。別の実施態様において、該抗体は、配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、又は85のいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、表3、5、又は7に示されるアミノ酸配列のいずれか1つに示されるVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3から独立に選択されるVL CDR1及び/又はVL CDR2及び/又はVL CDR3を含む。
【0094】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)(i)配列番号6、34、もしくは62、(ii)配列番号9、37、もしくは65、(iii)配列番号12、40、もしくは68、及び(iv)配列番号15、43、もしくは71:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)(i)配列番号7、35、もしくは63、(ii)配列番号10、38、もしくは66、(iii)配列番号13、41、もしくは69、及び(iv)配列番号16、44、もしくは72:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに(3)(i)配列番号8、36、もしくは64;(ii)配列番号11、39、もしくは67;(iii)配列番号14、42、もしくは70、及び(iv)配列番号17、45、もしくは73:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに/又は(1)(i)配列番号18、46、もしくは74;(ii)配列番号21、49、もしくは77;(iii)配列番号24、52、もしくは80、及び(iv)配列番号27、55、もしくは83:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)(i)配列番号19、47、もしくは75、(ii)配列番号22、50、もしくは78、(iii)配列番号25、53、もしくは81、及び(iv)配列番号28、56、もしくは84:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに(3)(i)配列番号20、48、もしくは76、(ii)配列番号23、51、もしくは79、(iii)配列番号26、54、もしくは82、及び(iv)配列番号29、57、もしくは85:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0095】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)(i)配列番号6、34、又は62、(ii)配列番号9、37、又は65、(iii)配列番号12、40、又は68、及び(iv)配列番号15、43、又は71:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)(i)配列番号7、35、又は63、(ii)配列番号10、38、又は66、(iii)配列番号13、41、又は69、及び(iv)配列番号16、44、又は72:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに(3)(i)配列番号8、36、又は64;(ii)配列番号11、39、又は67;(iii)配列番号14、42、又は70、及び(iv)配列番号17、45、又は73:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を含む。
【0096】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)(i)配列番号18、46、又は74;(ii)配列番号21、49、又は77;(iii)配列番号24、52、又は80、及び(iv)配列番号27、55、又は83:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)(i)配列番号19、47、又は75、(ii)配列番号22、50、又は78、(iii)配列番号25、53、又は81、及び(iv)配列番号28、56、又は84:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに(3)(i)配列番号20、48、又は76、(ii)配列番号23、51、又は79、(iii)配列番号26、54、又は82、及び(iv)配列番号29、57、又は85:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0097】
また本明細書に提供されるのは、表3、5、又は7に掲載されている1以上(例えば、1、2、又は3個)のVH CDR及び1以上(例えば、1、2、又は3個)のVL CDRを含む抗体である。特に、本明細書に提供されるのは、VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)及びVL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)及びVL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)及びVL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83); VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、及びVL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、及びVL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、及びVL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR1(配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71)、VH CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85); VH CDR2(配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72)、V
H CDR3(配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73)、VL CDR1(配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、もしくは83)、VL CDR2(配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、もしくは84)、及びVL CDR3(配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、もしくは85);又は表3、5、及び7に掲載されているVH CDR(配列番号6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、もしくは73)及びVL CDR(配列番号18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、もしくは85)のその任意の組合せ:を含む抗体である。
【0098】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、もしくは71のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、もしくは72のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、もしくは73のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。いくつかの実施態様において、該重鎖可変(VH)領域は、(1)配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、又は71のアミノ酸配列を含むVH CDR1;及び(2)配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、又は72のアミノ酸配列を含むVH CDR2を含む。いくつかの実施態様において、該重鎖可変(VH)領域は、(1)配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、又は71のアミノ酸配列を含むVH CDR1;及び(3)配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、又は73のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、又は72のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、又は73のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0099】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号6、9、12、15、34、37、40、43、62、65、68、又は71のアミノ酸配列を含むVH CDR1を有する重鎖可変(VH)領域を含む。VH CDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号9のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号12のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号15のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号34のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号37のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号40のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号43のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号62のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号65のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号68のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR1は、配列番号71のアミノ酸配列を含むことができる。
【0100】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号7、10、13、16、35、38、41、44、63、66、69、又は72のアミノ酸配列を含むVH CDR2を有する重鎖可変(VH)領域を含む。VH CDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号10のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号13のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号16のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号35のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号38のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号41のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号44のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号63のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号66のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号69のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR2は、配列番号72のアミノ酸配列を含むことができる。
【0101】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号8、11、14、17、36、39、42、45、64、67、70、又は73のアミノ酸配列を含むVH CDR3を有する重鎖可変(VH)領域を有する。VH CDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号11のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号14のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号17のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号36のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号39のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号42のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号45のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号64のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号67のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号70のアミノ酸配列を含むことができる。VH CDR3は、配列番号73のアミノ酸配列を含むことができる。
【0102】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号6のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号8のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0103】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0104】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0105】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号15のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号16のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号17のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0106】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号34のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号35のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び/又は(3)配列番号36のアミノ酸配列を有するVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する抗原結合断片を有する。
【0107】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号37のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号39のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0108】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号40のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号41のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号42のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0109】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号43のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号44のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0110】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号62のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号63のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号64のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0111】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号65のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号66のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号67のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0112】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号68のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号69のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号70のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0113】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号71のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号72のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号73のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域を有する。
【0114】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0115】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0116】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0117】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、又は83のアミノ酸配列を含むVL CDR1;及び(2)配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、又は84のアミノ酸配列を含むVL CDR2:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、又は83のアミノ酸配列を含むVL CDR1;及び(3)配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、又は85のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(2)配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、又は84のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、又は85のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0118】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号18、21、24、27、46、49、52、55、74、77、80、又は83のアミノ酸配列を含むVL CDR1を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。VL CDR1は、配列番号18のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号21のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号24のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号27のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号46のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号49のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号52のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号55のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号74のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号77のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号80のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR1は、配列番号83のアミノ酸配列を含むことができる。
【0119】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号19、22、25、28、47、50、53、56、75、78、81、又は84のアミノ酸配列を含むVL CDRを有する軽鎖可変(VL)領域を有する。VL CDR2は、配列番号19のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号22のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号25のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号28のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号47のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号50のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号53のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号56のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号75のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号78のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号81のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR2は、配列番号84のアミノ酸配列を含むことができる。
【0120】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号20、23、26、29、48、51、54、57、76、79、82、又は85のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。VL CDR3は、配列番号20のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号23のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号26のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号29のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号48のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号51のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号54のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号57のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号76のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号79のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号82のアミノ酸配列を含むことができる。VL CDR3は、配列番号85のアミノ酸配列を含むことができる。
【0121】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号18のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号19のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号20のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0122】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号21のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号22のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号23のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0123】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号24のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号25のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号26のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0124】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号27のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号28のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号29のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0125】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号46のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号48のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0126】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号49のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号50のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号51のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0127】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号52のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号53のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号54のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0128】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号55のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号56のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号57のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0129】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号74のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号75のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号76のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0130】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される分子は、(1)配列番号77のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号78のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号79のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0131】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号80のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号81のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号82のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0132】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(1)配列番号83のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号84のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号85のアミノ酸配列を含むVL CDR3を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0133】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0134】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0135】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0136】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号6のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号8のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号18のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号19のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号20のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0137】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号21のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号22のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号23のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0138】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は(3)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号24のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号25のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は(3)配列番号26のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0139】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号15のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号16のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号17のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号27のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号28のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号29のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0140】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号34のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号35のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号36のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号46のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号47のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号48のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0141】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号37のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号38のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号39のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号49のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号50のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号51のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0142】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号40のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号41のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号42のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号52のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号53のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号54のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0143】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される分子は、(a)(1)配列番号43のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号44のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号45のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号55のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号56のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号57のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0144】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される分子は、(a)(1)配列番号62のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号63のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号64のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号74のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号75のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号76のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0145】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号65のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号66のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号67のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号77のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号78のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号79のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0146】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号68のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号69のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号70のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号80のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号81のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号82のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0147】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、(a)(1)配列番号71のアミノ酸配列を含むVH CDR1;(2)配列番号72のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び(3)配列番号73のアミノ酸配列を含むVH CDR3:を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b)(1)配列番号83のアミノ酸配列を含むVL CDR1;(2)配列番号84のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び(3)配列番号85のアミノ酸配列を含むVL CDR3:を含む軽鎖可変(VL)領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0148】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含むVH領域及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0149】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH領域及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVL領域を有する。該分子は抗体であることができる。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0150】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を有するVH領域及び配列番号60のアミノ酸配列を有するVL領域を有する。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はモノクローナル抗体であることができる。該抗体はヒト化抗体であることができる。
【0151】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、STC613と表記されるマウスモノクローナル抗体、又はそのヒト化抗体バージョンである。ヒト化STC613抗体は、本明細書に記載されるSTC613のVH領域、VL領域、又はVH領域とVL領域の両方を含むことができる。ヒト化STC613抗体は、本明細書に記載されるSTC613の6つのCDR領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むこともできる。ヒト化STC613抗体は、STC613の6つ未満のCDR領域を含むこともできる。いくつかの実施態様において、ヒト化STC613抗体は、STC613の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのCDR領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むこともできる。
【0152】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、STC626と表記されるマウスモノクローナル抗体、又はそのヒト化抗体バージョンである。ヒト化STC626抗体は、本明細書に記載されるSTC626のVH領域、VL領域、又はVH領域とVL領域の両方を含むことができる。ヒト化STC626抗体は、本明細書に記載されるSTC626の6つのCDR領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むこともできる。ヒト化STC626抗体は、STC626の6つ未満のCDR領域を含むこともできる。いくつかの実施態様において、ヒト化STC626抗体は、STC626の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのCDR領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むこともできる。
【0153】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、STC635と表記されるマウスモノクローナル抗体、又はそのヒト化抗体バージョンである。ヒト化STC635抗体は、本明細書に記載されるSTC635のVH領域、VL領域、又はVH領域とVL領域の両方を含むことができる。ヒト化STC635抗体は、本明細書に記載されるSTC635の6つのCDR領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むこともできる。ヒト化STC635抗体は、STC635の6つ未満のCDR領域を含むこともできる。いくつかの実施態様において、ヒト化STC635抗体は、STC635の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのCDR領域(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むこともできる。
【0154】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、又はIgEである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、又はIgGMである。
【0155】
例えば、アミノ酸置換を生じさせる部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発を含む、当業者に公知の標準的な技法を用いて、本明細書に提供される抗原結合断片又は抗体をコードするヌクレオチド配列に突然変異を導入することができる。ある実施態様において、誘導体は、もとの分子と比べて、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、又は2未満のアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様において、誘導体は、1以上の予測される非必須アミノ酸残基で行われる保存的アミノ酸置換を有する。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換である。類似の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電荷を持たない極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。或いは、突然変異を、例えば、飽和突然変異誘発によって、コード配列の全て又は一部に沿ってランダムに導入することができ、得られる突然変異体を生物学的活性についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発の後、コードされているタンパク質を発現させることができ、かつ該タンパク質の活性を決定することができる。
【0156】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、BTLAに特異的に結合し、かつマウスモノクローナル抗体STC613、STC626、もしくはSTC635、又はこれらの抗原結合断片、例えば、VHドメインもしくはVLドメインのアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、配列番号2、4、30、32、58、又は60に示されるアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、上の表3、5、又は7に示されるVH CDRアミノ酸配列及び/又はVL CDRアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるVH CDR及び/又はVL CDRアミノ酸配列を有することができる。
【0157】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、ストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAに対する6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸に対する6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、又は当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、表2、4、又は6に示されるVH及び/又はVLドメインのうちのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVHドメインのアミノ酸配列及び/又はVLドメインのアミノ酸配列を有することができる(例えば、Ausubel, F.M.ら編、1989、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第I巻、Green Publishing Associates社及びJohn Wiley & Sons社、New York、6.3.1~6.3.6及び2.10.3ページを参照)。
【0158】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、ストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAに対する6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸に対する6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、又は当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、表2、4、又は6に示されるVH CDR及び/又はVL CDRのうちのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVH CDRのアミノ酸配列又はVL CDRのアミノ酸配列を有することができる(例えば、Ausubel, F.M.ら編、1989、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、第I巻、Green Publishing Associates社及びJohn Wiley & Sons社、New York、6.3.1~6.3.6及び2.10.3ページを参照)。
【0159】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2、4、もしくは6に示されるVH CDRのアミノ酸配列もしくはVL CDRのアミノ酸配列をコードする単離された核酸、又はストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAに対する6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸に対する6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、もしくは当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、表2、4、もしくは6に示されるVH CDR及び/もしくはVL CDRのうちのいずれか1つをコードする核酸配列の相補体にハイブリダイズする単離された核酸でもある。
【0160】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2、4、もしくは6に示されるVHドメインのアミノ酸配列及び/もしくはVLドメインのアミノ酸配列をコードする単離された核酸、又はストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAに対する6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸に対する6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、もしくは当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、表2、4、もしくは6に示されるVH及び/もしくはVLドメインのうちのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする単離された核酸でもある。
【0161】
いくつかの実施態様において、該単離された核酸は、配列番号3、31、もしくは59の配列を有するか、又はストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAに対する6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸に対する6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、もしくは当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号3、31、もしくは59のヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする配列を有することができる。
【0162】
いくつかの実施態様において、該単離された核酸は、配列番号5、33、もしくは61の配列を有するか、又はストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合したDNAに対する6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.2×SSC/0.1%SDS中、約50~65℃での1回以上の洗浄)、極めてストリンジェントな条件下(例えば、フィルターに結合した核酸に対する6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションと、その後の0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)、もしくは当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号5、33、もしくは61のヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする配列を有することができる。
【0163】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、例えば、抗体への任意のタイプの分子の共有結合的付着によって化学的に修飾することができる。例えば、限定されないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞性リガンド又は他のタンパク質への連結などによって化学的に修飾されている抗体が含まれる。数多くの化学修飾のいずれかを、限定されないが、特異的な化学的切断、アセチル化、製剤化、ツニカマイシンの代謝的合成などを含む、既知の技法によって実施することができる。さらに、抗体は、1以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。
【0164】
本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、当業者に公知のフレームワーク領域(例えば、ヒト又は非ヒト断片)を有することができる。該フレームワーク領域は、例えば、天然又はコンセンサスフレームワーク領域であることができる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体のフレームワーク領域はヒトのものである(例えば、ヒトフレームワーク領域のリストについては、Chothiaらの文献、1998, J. Mol. Biol. 278:457-479を参照されたく、これは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。Kabatらの文献(1991)、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)(U.S. Department of Health and Human Services, Washington, D.C.)、第5版も参照されたい。
【0165】
STC613のBTLAエピトープを架橋解析によってマッピングした。実施例7を参照されたい。表8は、BTLAとSTC613の架橋ペプチドをまとめたものであり、これは、STC613のBTLAエピトープ(配列番号161、162、163、164、165、166)を表している。
図6は、STC613についてのBTLA抗原(配列番号86)の合成エピトープを示している:
【化2】
表8: nLC-orbitrap MS/MSによって分析されたBTLA(配列番号86)とSTC613との架橋ペプチド。
【表9】
*ペプチド配列の位置は、配列番号2及び4のSTC613アミノ酸配列(タンパク質1)、並びに配列番号86のBTLAアミノ酸配列(タンパク質2)と比べて示されている。
【0166】
したがって、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるBTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断する抗グリコシル化BTLA抗体でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるSTC613のBTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断する抗グリコシル化BTLA抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、本明細書に記載されるBTLAのエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、STC613のBTLAエピトープに特異的に結合する。
【0167】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、BTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断し、ここで、該BTLAエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも5個の連続するアミノ酸を有する。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、又は少なくとも15個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも7個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも8個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも9個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも10個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも11個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも12個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも13個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも14個の連続するアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも15の連続するアミノ酸を有することができる。該抗グリコシル化BTLA抗体はヒト化抗体であることができる。
【0168】
いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、BTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断し、ここで、該BTLAエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、BTLAのエピトープに特異的に結合する抗原結合断片を有し、ここで、該BTLAエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列を有する。BTLAのエピトープは、配列番号161のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号162のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号163のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号164のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号165のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号166のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号167のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号168のアミノ酸配列を有することができる。BTLAのエピトープは、配列番号169のアミノ酸配列を有することができる。
【0169】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、BTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断し、ここで、該BTLAエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの1以上のアミノ酸を有する。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの1つのアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの2つのアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの3つのアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの4つのアミノ酸を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの5つのアミノ酸を有することができる。該抗グリコシル化BTLA抗体はヒト化抗体であることができる。
【0170】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、BTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断し、ここで、該BTLAエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12、H16、K51、T57、S82、又はS86のうちの1以上のアミノ酸を有する。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のR12を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のH16を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のK51を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のT57を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のS82を有することができる。BTLAのエピトープは、BTLA(配列番号86)のS86を有することができる。該抗グリコシル化BTLA抗体はヒト化抗体であることができる。
【0171】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、グリコシル化BTLA又はそのポリペプチドもしくはポリペプチド断片もしくはエピトープに対する高い親和性を有する。一実施態様において、本明細書に提供される分子は、既知の抗体(例えば、本明細書の別所で論じられている市販のモノクローナル抗体)よりもBTLAに対する高い親和性を有する抗BTLA抗体であることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗BTLA抗体は、本明細書に記載される又は当業者に公知の技法(例えば、BIAcoreアッセイ)によって評価したとき、既知の抗BTLA抗体よりも2~10倍(又はそれよりも)高いBTLA抗原に対する親和性を有することができる。これらの実施態様に従って、抗体の親和性は、一実施態様において、BIAcoreアッセイによって評価される。
【0172】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、又は0.1nM以下の解離定数(KD)でグリコシル化BTLA又はそのグリコシル化ポリペプチド断片もしくはエピトープに特異的に結合することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、500nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、200nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、100nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、50nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、20nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、10nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、5nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、2nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLAは、1nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLAは、0.5nM以下のKDを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、0.1nM以下のKDを有する。
【0173】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、BTLAの活性を遮断又は中和することができる。該抗グリコシル化BTLA抗体は中和抗体であることができる。中和抗体は、BTLAと天然リガンド、例えば、HVEMとの結合を遮断し、かつBTLA及び/又はその他の生理的活性によって媒介されるシグナル伝達経路を阻害することができる。中和抗体のIC50は、中和アッセイ(例えば、ELISA)で0.01~10μg/mlの範囲であることができる。中和抗体のIC50は、10μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、8μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、6μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、4μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、2μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、1μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.8μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.6μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.4μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.2μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.1μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.08μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.06μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.04μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.02μg/ml以下であることができる。中和抗体のIC50は、0.01μg/ml以下であることができる。
【0174】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、グリコシル化BTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せでグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N94でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75及びN94でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75及びN110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N94及びN110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75、N94、及びN110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。
【0175】
本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体には、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のもののいずれかの機能性断片が含まれるが、これらに限定されない。機能性断片の非限定的な例としては、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、Fab断片、F(ab')断片、F(ab)2断片、F(ab')2断片、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、及びミニボディが挙げられる。
【0176】
特に、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、例えば、BTLA又はグリコシル化BTLAに免疫特異的に結合する抗原結合断片を含む分子が含まれる。本明細書に提供される免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスのものであることができる。
【0177】
本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性抗体、又はより高次の多重特異性抗体であることができる。多重特異性抗体は、本明細書に記載されるBTLAの異なるエピトープに特異的であることができ、又はBTLAポリペプチドと異種エピトープ、例えば、異種ポリペプチドもしくは固体支持体材料の両方に特異的であることができる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、BTLAポリペプチドの所与のエピトープに単一特異的であり、他のエピトープに結合しない。
【0178】
既知の手段によって、本明細書に記載されているように、グリコシル化BTLA、そのそれぞれのエピトープのうちの1つもしくは複数、又は上記のもののいずれかのコンジュゲートに特異的であるポリクローナル又はモノクローナル抗体、抗原結合断片、並びに結合ドメイン及びCDR(上記のもののいずれかの改変形態を含む)を、そのような抗原又はエピトープが天然源から単離されるか、又は天然化合物の合成誘導体もしくは変異体であるかを問わず、作出することができる。
【0179】
抗体は、鳥類及び哺乳動物を含む、任意の動物源から産生することができる。いくつかの実施態様において、抗体は、ヒツジ、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、又はニワトリのものである。さらに、より新しい技術は、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリー由来のヒト抗体の開発及びそのスクリーニングを可能にする。例えば、バクテリオファージ抗体発現技術は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる米国特許第6,946,546号に記載されているように、特異的抗体が動物免疫の非存在下で産生されるのを可能にする。これらの技法は、Marksらの文献、Bio/Technol., 10:779-783(1992); Stemmerの文献、Nature, 370:389-391(1994); Gramらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:3576-3580(1992); Barbasらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:3809-3813(1994);及びSchierらの文献、Gene, 169(2):147-155(1996)にさらに記載されており;これらの文献は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0180】
様々な動物種でポリクローナル抗体を産生する方法、並びにヒト化、キメラ、及び完全ヒトを含む、様々なタイプのモノクローナル抗体を産生する方法は当技術分野で周知である。例えば、以下の米国特許は、そのような方法の実施可能な説明を提供しており、引用により本明細書中に組み込まれる:米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,196,265号;第4,275,149号;第4,277,437号;第4,366,241号;第4,469,797号;第4,472,509号;第4,606,855号;第4,703,003号;第4,742,159号;第4,767,720号;第4,816,567号;第4,867,973号;第4,938,948号;第4,946,778号;第5,021,236号;第5,164,296号;第5,196,066号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,420,253号;第5,565,332号;第5,571,698号;第5,627,052号;第5,656,434号;第5,770,376号;第5,789,208号;第5,821,337号;第5,844,091号;第5,858,657号;第5,861,155号;第5,871,907号;第5,969,108号;第6,054,297号;第6,165,464号;第6,365,157号;第6,406,867号;第6,709,659号;第6,709,873号;第6,753,407号;第6,814,965号;第6,849,259号;第6,861,572号;第6,875,434号;第6,891,024号;第7,407,659号;及び第8,178,098号、これらの文献は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0181】
いくつかの実施態様において、抗グリコシル化BTLA抗体は、モノクローナル抗体であることができる。いくつかの実施態様において、抗グリコシル化BTLAは、ポリクローナル抗体であることができる。グリコシル化BTLAポリペプチドに特異的な抗体を産生するために、動物に、抗原、例えば、グリコシル化BTLAポリペプチドを接種することができる。多くの場合、抗原を別の分子に結合させ又はコンジュゲートして、免疫応答を増強する。コンジュゲートは、動物で免疫応答を誘発するために使用される抗原に結合している任意のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、又は非タンパク質性物質であることができる。抗原接種に応答して動物で産生される抗体は、種々の個々の抗体産生Bリンパ球から作られる種々の非同一分子(ポリクローナル抗体)を有する。動物におけるポリクローナル抗体産生のための正確な条件を考慮すると、動物の血清中の抗体のほとんどは、動物が免疫された抗原性化合物上の集合的エピトープを認識する。
【0182】
この特異性を親和性精製によってさらに増強し、対象となる抗原又はエピトープを認識する抗体のみを選択することができる。モノクローナル抗体(MAb)を作製する方法は、ポリクローナル抗体を調製する方法と同じように始めることができる。いくつかの実施態様において、マウス及びラットなどの齧歯類をモノクローナル抗体の作製において使用する。いくつかの実施態様において、ウサギ、ヒツジ、又はカエル細胞をモノクローナル抗体の作製において使用する。ラットの使用は周知であり、特定の利点を提供することができる。マウス(例えば、BALB/cマウス)がルーチンに使用され、通常、高い割合の安定融合体を生じる。
【0183】
ハイブリドーマ技術は、グリコシル化BTLAポリペプチドで既に免疫されたマウス由来の単一のBリンパ球と不死骨髄腫細胞(通常、マウス骨髄腫)との融合を伴う。この技術は、同じ抗原又はエピトープ特異性を有する無制限の量の構造的に同一の抗体(モノクローナル抗体)を産生することができるように、単一の抗体産生細胞を無限の数の世代にわたって増殖させる方法を提供する。
【0184】
該抗グリコシル化BTLA抗体は、ポリペプチドの産生に有用な当技術分野で公知の任意の方法、例えば、インビトロ合成、組換えDNA産生などによって産生することができる。ヒト化抗体は、組換えDNA技術によって産生することができる。本明細書に記載される抗体は、組換え免疫グロブリン発現技術を用いて産生することもできる。ヒト化抗体を含む免疫グロブリン分子の組換え産生は、米国特許第4,816,397号(Bossら)、米国特許第6,331,415号及び第4,816,567号(どちらもCabillyらに対するもの)、英国特許GB 2,188,638号(Winterら)、並びに英国特許GB 2,209,757号に記載されており;これらの文献は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。ヒト化免疫グロブリンを含む免疫グロブリンの組換え発現のための技法は、Goeddelらの文献、遺伝子発現技術(Gene Expression Technology)、酵素学の方法(Methods in Enzymology)、第185巻、Academic Press(1991)、及びBorrebackの文献、抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)、W. H. Freeman(1992)に見出すこともでき;これらの文献は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。組換え抗体の作製、設計、及び発現に関するさらなる情報は、Mayforthの文献、抗体の設計(Designing Antibodies)、Academic Press, San Diego(1993)に見出すことができる。
【0185】
モノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖定常ドメインをヒト起源の類似のドメインと置き換え、外来抗体の可変領域を無傷のままにする方法が開発されている。或いは、完全ヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックのマウス又はラットで産生される。齧歯類アミノ酸配列とヒトアミノ酸配列の両方を有する抗体可変ドメインを組換えによって構築することにより、モノクローナル抗体の可変ドメインをよりヒトに近い形態に変換する方法も開発されている。ヒト化モノクローナル抗体では、超可変CDRのみが非ヒト(例えば、マウス、ラット、ニワトリ、リャマ)モノクローナル抗体に由来し、フレームワーク領域はヒトアミノ酸配列に由来する。齧歯類に特徴的である抗体中のアミノ酸配列をヒト抗体の対応する位置に見られるアミノ酸配列と置き換えることにより、治療的使用時の有害な免疫反応の可能性が低下すると考えられる。ハイブリドーマ又は抗体を産生する他の細胞は、遺伝子突然変異又は他の変化を受けることもあり得、これにより、ハイブリドーマによって産生される抗体の結合特異性が変化することもあるし、変化しないこともある。
【0186】
モノクローナル抗体及び他の抗体並びに組換えDNA技術を用いて、もとの抗体の抗原又はエピトープ特異性を保持する他の抗体又はキメラ分子(すなわち、該分子は結合ドメインを有する)を産生することにより、改変抗体を作出することができる。そのような技法は、抗体の免疫グロブリン可変領域又はCDRをコードするDNAを、異なる抗体のフレームワーク領域、定常領域、又は定常領域+フレームワーク領域の遺伝子材料に導入することを含むことができる。例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,091,513号及び第6,881,557号を参照されたい。
【0187】
ある実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いる上記のファージディスプレイ法を含む、当技術分野で公知の種々の方法によって作製することができる(米国特許第4,444,887号及び第4,716,111号;並びに国際公開WO 98/46645号、WO 98/50433号、WO 98/24893号、WO 98/16654号、WO 96/34096号、WO 96/33735号、及びWO 91/10741号を参照)。ヒト抗体は、機能的な内在性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて産生することができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体をランダムに又は相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入することができる。或いは、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、及び多様性領域をマウス胚性幹細胞に導入することができる。マウス重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子を、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入によって個別に又は同時に機能しないようにすることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内在性抗体産生を妨げる。修飾された胚性幹細胞を増殖させ、胚盤胞に顕微注入して、キメラマウスを生じさせる。その後、キメラマウスを交配させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を生じさせる。トランスジェニックマウスを、従来の方法を用いて、選択された抗原、例えば、グリコシル化BTLAポリペプチドの全て又は一部で免疫する。該抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて、免疫されたトランスジェニックマウスから得ることができる(例えば、米国特許第5,916,771号を参照)。このトランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成し、その後、クラススイッチング及び体細胞突然変異を経る。したがって、そのような技法を用いて、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、及びIgE抗体を産生することができる。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概説については、Lonberg及びHuszarの文献(1995、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Int. Rev. Immunol. 13:65-93)を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を産生するこの技術並びにそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な議論については、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際公開WO 98/24893号、WO 96/34096号、及びWO 96/33735号;並びに米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、第5,814,318号、及び第5,939,598号を参照されたい。さらに、Abgenix社(Freemont, Calif.)及びMedarex(Princeton, N.J.)などの会社に、上記の技術と同様の技術を用いて、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することを請け負わせることができる。
【0188】
一実施態様において、該抗体は、キメラ抗体、例えば、非ヒトドナー由来の抗原結合配列が異種の非ヒト、ヒト、又はヒト化配列(例えば、フレームワーク及び/又は定常ドメイン配列)に移植されている抗体である。一実施態様において、非ヒトドナーはラットである。一実施態様において、抗原結合配列は合成によるものであり、例えば、突然変異誘発(例えば、ヒトファージライブラリーのファージディスプレイスクリーニングなど)によって得られる。一実施態様において、本明細書に提供されるキメラ抗体は、マウスV領域及びヒトC領域を有する。一実施態様において、マウス軽鎖V領域はヒトκ軽鎖に融合している。一実施態様において、マウス重鎖V領域はヒトIgG1 C領域に融合している。
【0189】
キメラ抗体を産生する方法は当技術分野で公知である。例えば、Morrisonの文献、Science 229:1202(1985); Oiらの文献、BioTechniques 4:214(1986); Gilliesらの文献、J. Immunol. Methods 125:191-202(1989);並びに米国特許第6,311,415号、第5,807,715号、第4,816,567号、及び第4,816,397号を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。非ヒト種由来の1以上のCDR及びヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を含むキメラ抗体は、例えば、CDR-グラフティング(EP 239,400号;国際公開WO 91/09967号;及び米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、及び第5,585,089号)、ベニアリング又はリサーフェシング(EP 592,106号; EP 519,596号; Padlanの文献、Molecular Immunology 28(4/5):489-498(1991); Studnickaらの文献、Protein Engineering 7:805(1994);及びRoguskaらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:969(1994))、並びに鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む、当技術分野で公知の種々の技法を用いて産生することができ;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0190】
組換えキメラ抗グリコシル化BTLA抗体の産生のための例示的なプロセスは、以下のこと: a)従来の分子生物学の方法によって、マウス抗グリコシル化BTLAモノクローナル抗体のCDR及び可変領域がヒト免疫グロブリン由来のFc領域に融合している抗体重鎖をコードし、それを発現する発現ベクターを構築し、それにより、キメラ抗体重鎖の発現用のベクターを産生すること; b)従来の分子生物学の方法によって、マウス抗グリコシル化BTLAモノクローナル抗体の抗体軽鎖をコードし、それを発現する発現ベクターを構築し、それにより、キメラ抗体軽鎖の発現用のベクターを産生すること; c)これらの発現ベクターを従来の分子生物学の方法によって宿主細胞に移して、キメラ抗体の発現用のトランスフェクトされた宿主細胞を産生すること;及びd)キメラ抗体を産生するように、従来の細胞培養技法によって、トランスフェクトされた細胞を培養することを含むことができる。
【0191】
組換えヒト化抗グリコシル化BTLA抗体の産生のための例示的なプロセスは、以下のこと: a)従来の分子生物学の方法によって、CDR及びドナー抗体結合特異性を保持するのに必要とされる可変領域フレームワークの最小部分がマウス抗グリコシル化BTLAモノクローナル抗体などの非ヒト免疫グロブリンに由来し、抗体の残りの部分がヒト免疫グロブリンに由来する抗体重鎖をコードし、それを発現する発現ベクターを構築し、それにより、ヒト化抗体重鎖の発現用のベクターを産生すること; b)従来の分子生物学の方法によって、CDR及びドナー抗体結合特異性を保持するのに必要とされる可変領域フレームワークの最小部分がマウス抗グリコシル化BTLAモノクローナル抗体などの非ヒト免疫グロブリンに由来し、抗体の残りの部分がヒト免疫グロブリンに由来する抗体軽鎖をコードし、それを発現する発現ベクターを構築し、それにより、ヒト化抗体軽鎖の発現用のベクターを産生すること; c)これらの発現ベクターを従来の分子生物学の方法によって宿主細胞に移して、ヒト化抗体の発現用のトランスフェクトされた宿主細胞を産生すること;及びd)ヒト化抗体を産生するように、従来の細胞培養技法によって、トランスフェクトされた細胞を培養することを含むことができる。
【0192】
どちらの例示的な方法に関しても、宿主細胞に、そのような発現ベクターを共トランスフェクトすることができ、これらの発現ベクターは、異なる選択可能マーカーを含有することができるが、重鎖及び軽鎖をコードする配列を除いて、同一であることが好ましい。この手順は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの同等の発現をもたらす。或いは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードする単一のベクターを使用してもよい。重鎖及び軽鎖のコード配列は、cDNAもしくはゲノムDNA又はその両方を含むことができる。組換え抗体を発現させるために使用される宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞、又はより好ましくは、真核細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞もしくはHEK-293細胞)のいずれかであることができる。発現ベクターの選択は宿主細胞の選択に依存し、選択された宿主細胞において所望の発現及び調節特徴を有するように選択することができる。使用することができる他の細胞株としては、CHO-K1、NSO、及びPER.C6(Crucell, Leiden, Netherlands)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、種特異的なコドン使用バイアスを占め、タンパク質発現を増強するように宿主細胞を選択する場合、コドン使用を最適化することができる。例えば、CHO細胞発現の場合、抗体をコードするDNAは、モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus)(チャイニーズハムスター卵巣細胞はこれに由来している)によって優先的に使用されるコドンを組み込むことができる。コドン最適化の方法を利用して、所望の宿主細胞による発現の改善を促進することができる(例えば、Wohlgemuthらの文献、Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci. 366(1580):2979-2986(2011); Jestinらの文献、J. Mol. Evol. 69(5):452-457(2009); Bollenbachらの文献、Genome Res. 17(4):401-404(2007); Kurlandらの文献、Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 31:191-219(1984); Grosjeanらの文献、Gene 18(3): 199-209(1982)を参照)。
【0193】
一実施態様において、抗体は、軽鎖を欠く、ラクダ科動物抗体に由来する、好ましくは、重鎖ラクダ科動物抗体に由来する免疫グロブリンの単一可変ドメインであり、これは、VHHドメイン配列又はNanobodies(商標)として知られている。Nanobody(商標)(Nb)は、天然に存在する単鎖抗体の最小機能性断片又は単一可変ドメイン(VHH)であり、当業者に公知である。これらは、ラクダ科動物に見られる重鎖のみの抗体に由来する(Hamers-Castermanらの文献、Nature 363: 446-448(1993); Desmyterらの文献、Nat. Struct. Biol., 803-811(1996))。「ラクダ科動物」の科においては、軽ポリペプチド鎖を欠く免疫グロブリンが見られる。「ラクダ科動物」は、旧世界ラクダ科動物(フタコブラクダ(Camelus bactrianus)及びヒトコブラクダ(Camelus dromedarius))並びに新世界ラクダ科動物(例えば、アルパカ(Lama paccos)、リャマ(Lama glama)、グアナコ(Lama guanicoe)、及びビクーニャ(Lama vicugna))を含む。単一可変ドメイン重鎖抗体は、本明細書において、Nanobody(商標)又はVHH抗体と表記される。Nbの小さいサイズ及び特有の生物物理的特性は、一般的でない又は隠れたエピトープの認識に関して及びタンパク質標的の空洞又は活性部位内への結合に関して、従来の抗体断片を凌駕する。さらに、Nbは、多重特異性及び多価抗体として設計し、レポーター分子に結合させ、又はヒト化することができる。Nbは安定であり、胃腸系の中で存在し続け、かつ容易に製造することができる。
【0194】
特異性が異なる2つの抗原結合部位を一体化して、単一のコンストラクトにすると、二重特異性抗体は、優れた特異性を有する2つの別々の抗原を1つにまとめることができ、したがって、治療剤としての大きな可能性を有する。二重特異性抗体は、本来は、各々異なる免疫グロブリンを産生することができる2つのハイブリドーマを融合することにより作製することができる。二重特異性抗体は、2つのscFv抗体断片を接続すると同時に、完全な免疫グロブリン中に存在するFc部分を削除することにより産生することもできる。そのようなコンストラクト中の各々のscFv単位は、合成ポリペプチドリンカーによって互いに接続された重(VH)及び軽(VL)抗体鎖の各々に由来する1つの可変ドメインから構成されることができ、後者は、免疫原性を最小限に抑えながら、タンパク質分解に対する耐性を最大限に残すように、遺伝子改変されていることが多い。それぞれのscFv単位を、2つのscFv単位を架橋する短い(通常、10アミノ酸未満の)ポリペプチドスペーサーの組込みを含む、いくつかの技法によって接続し、それにより、二重特異性単鎖抗体を生成させることができる。したがって、得られる二重特異性単鎖抗体は、単一のポリペプチド鎖上に特異性の異なる2つのVH/VL対を含有する種であり、ここで、それぞれのscFv単位中のVHドメイン及びVLドメインは、これら2つのドメイン間の分子内会合を可能にするのに十分に長いポリペプチドリンカーによって隔てられており、かつこのように形成されるscFv単位は、例えば、一方のscFv単位のVHドメインともう一方のscFv単位のVLの間の望ましくない会合を妨げるのに十分に短く保たれたポリペプチドスペーサーによって互いに近接して繋がれている。
【0195】
抗原結合断片の例としては:(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなるFab断片;(ii)VH及びCH1ドメインからなる「Fd」断片;(iii)単一の抗体のVL及びVHドメインからなる「Fv」断片;(iv)VHドメインからなる「dAb」断片;(v)単離されたCDR領域;(vi)2つの連結されたFab断片を含む二価断片であるF(ab')2断片;(vii)VHドメイン及びVLドメインが、これら2つのドメインを会合させて、結合ドメインを形成するのを可能にするペプチドリンカーによって連結されている、単鎖Fv分子(「scFv」);(viii)二重特異性単鎖Fv二量体(米国特許第5,091,513号);並びに(ix)遺伝子融合によって構築された多価又は多重特異性断片であるダイアボディ(米国特許出願公開第20050214860号)が挙げられるが、これらに限定されない。Fv、scFv、又はダイアボディ分子は、VHドメインとVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組込みによって安定化することができる。scFvがCH3ドメインに接続しているミニボディを作製することもできる(Huらの文献、Cancer Res., 56:3055-3061(1996))。
【0196】
抗体様結合ペプチドミメティックスも実施態様において企図される。Liuらの文献、Cell Mol. Biol., 49:209-216(2003)には、軽装化抗体として作用し、かつより長い血清半減期及びあまり煩雑でない合成方法という特定の利点を有するペプチドである、「抗体様結合ペプチドミメティックス」(ABiPs)が記載されている。
【0197】
(7.2.2.グリコシル化BTLAポリペプチド)
またさらなる実施態様において、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含み、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つ(例えば、少なくとも8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又はそれより多く)の連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドを含む組成物であって、該ポリペプチドが医薬として許容し得る担体中に製剤化される、組成物が提供される。
【0198】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を有し、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸のポリペプチドでもある。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、グリコシル化されている位置N75に対応するアミノ酸を有するヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸を有する。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、グリコシル化されている位置N94に対応するアミノ酸を有するヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸を有する。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、グリコシル化されている位置N110に対応するアミノ酸を有するヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸を有する。
【0199】
例えば、該ポリペプチドは、N75がグリコシル化されている、ヒトBTLAのアミノ酸70~76の断片であることができる。別の例では、該ポリペプチドは、N94がグリコシル化されている、ヒトBTLAのアミノ酸90~100の断片であることができる。さらに別の例では、該ポリペプチドは、N94及びN110がグリコシル化されている、ヒトBTLAのアミノ酸90~115の断片であることができる。当業者であれば、本明細書において企図されるポリペプチドには、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含む、ヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸を有し、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、任意の及び全てのポリペプチドが含まれることが理解されるであろう。
【0200】
いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、ヒトBTLAの少なくとも8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の連続するアミノ酸を有する。いくつかの実施態様において、該ポリペプチドは、ヒトBTLAの少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、又は270、280の連続するアミノ酸を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される少なくとも2つのポリペプチドを有する組成物である。少なくとも2つのポリペプチドは、別々の分子であるか、又は1つの分子として連結されている。いくつかの実施態様において、該組成物は、少なくとも3つのポリペプチド、少なくとも4つのポリペプチド、又は少なくとも5つのポリペプチドを有する。いくつかの実施態様において、該組成物は、2つのポリペプチド、3つのポリペプチド、4つのポリペプチド、又は5つのポリペプチドを有する。
【0201】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリペプチドは、非天然アミノ酸を含む。いくつかの実施態様において、非天然アミノ酸は、α-アミノ基でメチル化されて、メチル化骨格を有するペプチドを生じる。いくつかの実施態様において、非天然アミノ酸は、R-アミノ酸である。いくつかの実施態様において、非天然アミノ酸は、色素(例えば、蛍光色素)又は親和性タグを含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリペプチドは、化学修飾を含む。化学修飾は、例えば、ビオチン、蛍光色素による化学修飾を含む。当業者は、非天然アミノ酸をポリペプチドに導入する方法及びポリペプチドを化学的に修飾する方法が当技術分野で周知であることを認識しているであろう。
【0202】
いくつかの態様において、本実施態様のポリペプチドは、免疫原性ポリペプチド(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、KLH)に融合しているか又はコンジュゲートされている。ある態様において、該ポリペプチドは、C-又はN-末端にCys残基をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、該ポリペプチドは、Cys残基でのジスルフィド連結によって免疫原性ポリペプチドにコンジュゲートされている。
【0203】
またさらなる実施態様において、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含み、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸の断片を含むポリペプチドを含む免疫原性組成物であって、該ポリペプチドが医薬として許容し得る担体中に製剤化されている、免疫原性組成物が提供される。いくつかの実施態様において、いくつかの態様において、該免疫原性組成物は、ミョウバン又はフロイントのアジュバントなどのアジュバントをさらに含む。
【0204】
いくつかの実施態様において、抗体を作製する方法であって、ポリペプチドを動物に投与すること及び該抗体を該動物から単離することを含む、方法が提供され、ここで、該ポリペプチドは、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を有し、かつヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸の断片を有する。動物は、マウス、ラット、ウサギ、又はヒトであることができる。ある態様において、方法は、抗体のCDRを同定すること及び該CDRの周辺の配列をヒト化して、ヒト化抗体を産生することをさらに含む。またさらなる態様において、該方法は、ヒト化抗体を組換え発現することを含む。したがって、さらなる実施態様において、上記の方法によって産生される単離された抗体が提供される。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、非グリコシル化BTLAと比べて、本実施態様のポリペプチド(例えば、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含むヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸の断片を含み、ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、ポリペプチド)に選択的に結合する、単離された抗体である。
【0205】
本明細書に提供されるポリペプチドは、当技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。例えば、該ポリペプチドは、化学合成又は組換え産生によって調製することができる。組換えポリペプチドを発現及び精製するための例示的な方法は、例えば、Scopes R.K.の文献、タンパク質精製-原理及び実践(Protein Purification - Principles and Practice)、Springer Advanced Texts in Chemistry、第3版(1994); Simpson R.J.らの文献、タンパク質精製及び解析の基本的方法:実験マニュアル(Basic Methods in Protein Purification and Analysis: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、初版(2008); Green M.R.及びSambrook J.の文献、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、第4版(2012); Jensen K.J.らの文献、ペプチド合成及び応用(分子生物学の方法)(Peptide Synthesis and Applications(Methods in Molecular Biology))、Humana Press、第2版(2013)に見出すことができる。ポリペプチドの化学合成は、当技術分野で周知の方法を使用することにより達成することができる(Kelley及びWinklerの文献、1990、所収:遺伝子工学の原理及び方法(Genetic Engineering Principles and Methods)、Setlow J. K編、Plenum Press, N.Y., 第12巻、pp 1-19; Stewartらの文献、1984、J. M. Young, J. D.の文献、固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)、Pierce Chemical Co., Rockford, Ill; Marglin及びMerrifieldの文献、Ann. Rev. Biochem, 39:841-866の862ページ(1970). Merrifield, R.B.の文献、1963, J. Am. Chern. Soc. 85:2149-2154;ペプチド及びタンパク質合成の化学的アプローチ(Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins)、Williamsら編、1997, CRC Press, Boca Raton Fla.;固相ペプチド合成:実践的アプローチ(Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach)、Atherton & Sheppard編、1989, IRL Press, Oxford, Englandを参照されたく;米国特許第4,105,603号;第3,972,859号;第3,842,067号;及び第3,862,925号も参照されたい)。
【0206】
(7.2.3.修飾及び誘導体)
グリコシル化BTLAに対する抗体は、動物種、単クローン性細胞株、又は抗体の他の供給源に関係なく、グリコシル化BTLAの効果を中和し又は弱める能力を有することができる。ある動物種は、治療抗体を作製するのにあまり好ましくない場合があるが、それは、該動物種が、抗体のFc部分を介した補体系の活性化のために、アレルギー応答を引き起こす可能性がより高いからである。しかしながら、全抗体を酵素的に消化して、Fc(補体結合)断片に、及び結合ドメインもしくはCDRを有する抗体断片にすることができる。Fc部分の除去は、抗体断片が望ましくない免疫学的応答を誘発する可能性を低下させ、したがって、Fcなしの抗体を予防的又は治療的処置に使用することができる。上記のように、抗体を、キメラ、部分的に又は完全にヒトのものとなるように、他の種で産生されたかもしくは他の種由来の配列を有する抗体を動物に投与することにより生じる有害な免疫学的帰結を低下もしくは消失させるように構築することもできる。
【0207】
抗グリコシル化BTLA抗体の結合特性を所望の特性を示す変異体のスクリーニングによってさらに改善することができる。例えば、そのような改善は、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて行うことができる。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面に提示される。特定の実施態様において、そのようなファージを用いて、レパートリー又はコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒト又はマウス)から発現される、Fab及びFv又はジスルフィド結合安定化Fvなどの抗原結合断片を提示することができる。目的の抗原に結合する抗原結合断片を発現するファージは、抗原を用いて、例えば、標識抗原又は固体表面もしくはビーズに結合したもしくは捕捉された抗原を用いて選択又は同定することができる。これらの方法で使用されるファージは、通常、fd及びM13を含む繊維状ファージである。抗原結合断片は、ファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIタンパク質のいずれかとの組換え融合タンパク質として発現される。本明細書に記載される抗体又はポリペプチドを作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例としては、Brinkmanらの文献、J Immunol Methods, 182:41-50(1995); Amesらの文献、J. Immunol. Methods, 184:177-186(1995); Kettleboroughらの文献、Eur. J. Immunol., 24:952-958(1994); Persicらの文献、Gene, 187:9-18(1997); Burtonらの文献、Adv. Immunol. 57:191-280(1994); PCT公開WO 92/001047号; WO 90/02809号; WO 91/10737号; WO 92/01047号; WO 92/18619号; WO 93/11236号; WO 95/15982号; WO 95/20401号;及び米国特許第5,698,426号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,580,717号;第5,427,908号;第5,750,753号;第5,821,047号;第5,571,698号;第5,427,908号;第5,516,637号;第5,780,225号;第5,658,727号;第5,733,743号、及び第5,969,108号に開示されている方法が挙げられ;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0208】
上の参考文献に記載されているように、ファージ選択の後、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、これを用いて、ヒト化抗体を含む全抗体又は任意の他の所望の断片を作製し、例えば、以下で詳細に記載されているように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌を含む、任意の所望の宿主で発現させることができる。例えば、当技術分野で公知の方法、例えば、PCT公開WO 92/22324号; Mullinax, R. L.らの文献、BioTechniques, 12(6):864-869(1992);及びSawaiらの文献、Am. J. Reprod. Immunol. 34:26-34(1995);並びにBetter, M.らの文献、Science 240:1041-1043(1988)に開示されている方法を用いて、Fab、Fab'、及びF(ab')2断片を組換え産生するための技法を利用することもでき;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。単鎖Fv及び抗体を産生するために使用することができる技法の例としては、米国特許第4,946,778号及び第5,258,498号; Huston, J. S.らの文献、Methods in Enzymology 203:46-88(1991); Shu, L.らの文献、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA) 90:7995-7999;並びにSkerra. A.らの文献、Science 240:1038-1040(1988)に記載されている技法が挙げられ;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0209】
ファージディスプレイ技術を用いて、本明細書に記載される抗グリコシル化BTLA抗体の親和性を増大させることができる。この技法は、本明細書に記載されるコンビナトリアル法で使用し得る高親和性抗体を得るのに使用することができる。親和性成熟と呼ばれるこの技術は、突然変異誘発又はCDRウォーキング及びそのような受容体もしくはリガンド(又はこれらの細胞外ドメイン)又はその抗原性断片を用いた再選択を利用して、初期抗体又は親抗体と比較したときにより高い親和性で抗原に結合する抗体を同定する(例えば、Glaser, S. M.らの文献、J. Immunol. 149:3903-3913(1992)を参照)。単一のヌクレオチドではなく、全コドンを突然変異誘発すると、アミノ酸突然変異の半ランダムレパートリーが得られる。その各々が単一のCDR中で1アミノ酸変化だけ異なり、かつ各々のCDR残基に対して各々の可能なアミノ酸置換を表す変異体を含有する、変異体クローンのプールからなるライブラリーを構築することができる。固定された突然変異体を標識抗原と接触させることにより、抗原に対する結合親和性が増大した突然変異体をスクリーニングすることができる。当技術分野で公知の任意のスクリーニング法を用いて、抗原に対する結合力が増大した突然変異抗体を同定することができる(例えば、ELISA)(例えば、Wu, H.らの文献、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA) 95(11):6037-6042(1998); Yelton, D. E.らの文献、J. Immunol. 155:1994-2004(1995)を参照)。軽鎖をランダム化するCDRウォーキングを使用することもできる(Schierらの文献、J. Mol. Biol. 263:551-567(1996)を参照)。
【0210】
ランダムな突然変異誘発をファージディスプレイの方法と協調して用いて、改善されたCDR及び/又は可変領域を同定することができる。或いは、ファージディスプレイ技術を用いて、有向突然変異誘発(例えば、親和性成熟又は「CDR-ウォーキング」)により、CDR親和性を増大させる(又は減少させる)ことができる。この技法は、標的抗原又はその抗原性断片を用いて、初期抗体又は親抗体と比較したときにより高い(又は低い)親和性で抗原に結合するCDRを有する抗体を同定する(例えば、Glaser, S. M.らの文献、J. Immunol. 149:3903-3913(1992)を参照)。
【0211】
そのような親和性成熟を達成する方法は、例えば: Krause, J. C.らの文献、MBio. 2(1) pii: e00345-10. doi: 10.1128/mBio.00345-10(2011); Kuan, C. T.らの文献、Int. J. Cancer 10.1002/ijc.25645; Hackel, B. J.らの文献、J. Mol. Biol. 401(1):84-96(2010); Montgomery, D. L.らの文献、MAbs 1(5):462-474(2009); Gustchina, E.らの文献、Virology 393(1):112-119(2009); Finlay, W. J.らの文献、J. Mol. Biol. 388(3):541-558(2009); Bostrom, J.らの文献、Methods Mol. Biol. 525:353-376(2009); Steidl, S.らの文献、Mol. Immunol. 46(1):135-144(2008);及びBarderas, R.らの文献、Proc. Natl. Acad. Sci.(USA) 105(26):9029-9034(2008)に記載されており;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0212】
本明細書に提供されるのは、抗グリコシル化BTLA抗体、グリコシル化BTLAポリペプチドの誘導体であって、「親」(又は野生型)分子と比べて、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くのアミノ酸置換、付加、欠失、又は修飾を有する、誘導体でもある。そのようなアミノ酸置換又は付加は、天然の(すなわち、DNAによってコードされた)又は非天然のアミノ酸残基を導入することができる。そのようなアミノ酸は、グリコシル化されたり(例えば、マンノース、2-N-アセチルグルコサミン、ガラクトース、フコース、グルコース、シアル酸、5-N-アセチルノイラミン酸、5-グリコールノイラミン酸などの含有量が改変されたり)、アセチル化されたり、ペグ化されたり、リン酸化されたり、アミド化されたり、既知の保護/遮断基によって誘導体化されたり、タンパク質分解的切断を受けたり、細胞性リガンド又は他のタンパク質に連結されたりなどすることができる。いくつかの実施態様において、炭水化物修飾の改変は、以下のもの:抗体の可溶化、抗体の細胞内輸送及び分泌の円滑化、抗体会合の促進、立体構造完全性、並びに抗体媒介性エフェクター機能のうちの1つ又は複数を調節する。いくつかの実施態様において、炭水化物修飾の改変は、炭水化物修飾を欠く抗体と比べて、抗体媒介性エフェクター機能を増強する。抗体媒介性エフェクター機能の改変をもたらす炭水化物修飾は当技術分野で周知である(例えば、Shields, R. L.らの文献、J. Biol. Chem. 277(30): 26733-26740(2002); Davies J.らの文献、Biotechnology & Bioengineering 74(4): 288-294(2001)を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。炭水化物含有量を改変する方法は当業者に公知であり、例えば、Wallick, S. C.らの文献、J. Exp. Med. 168(3): 1099-1109(1988); Tao, M. H.らの文献、J. Immunol. 143(8): 2595-2601(1989); Routledge, E. G.らの文献、Transplantation 60(8):847-53(1995); Elliott, S.らの文献、Nature Biotechnol. 21:414-21(2003); Shields, R. L.らの文献、J. Biol. Chem. 277(30): 26733-26740(2002)を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0213】
置換変異体は、本明細書に提供される抗体又はポリペプチド内の1以上の部位における、あるアミノ酸の別のアミノ酸との交換を含むことができ、かつ該抗体又はポリペプチドの1以上の特性を、他の機能もしくは特性の喪失を伴って又はそれを伴わないで調節するように設計することができる。置換は保存的であることができる、すなわち、あるアミノ酸は、類似の形状及び電荷のアミノ酸と置き換えられる。保存的置換は当技術分野で周知であり、例えば、アラニンからセリン;アルギニンからリジン;アスパラギンからグルタミン又はヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸からアスパラギン酸;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギン又はグルタミン;イソロイシンからロイシン又はバリン;ロイシンからバリン又はイソロイシン;リジンからアルギニン;メチオニンからロイシン又はイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシン又はメチオニン;セリンからトレオニン;トレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファン又はフェニルアラニン;及びバリンからイソロイシン又はロイシン:への変化を含む。或いは、置換は、ポリペプチドの機能又は活性が影響を受けるように非保存的であることができる。非保存的変化は、通常、ある残基を、化学的に類似していない残基と置換すること、例えば、極性又は荷電アミノ酸を非極性又は非荷電アミノ酸の代わりに、及び非極性又は非荷電アミノ酸を極性又は荷電アミノ酸の代わりに使用することを含む。
【0214】
いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は誘導性抗体である。そのようなヒト化抗体は、1以上の非ヒトCDR中に、アミノ酸残基の置換、欠失、又は付加を含む。ヒト化抗体誘導体は、非誘導性ヒト化抗体と比較したとき、実質的に同じ結合、より良い結合、又はより悪い結合を有することができる。いくつかの実施態様において、CDRの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのアミノ酸残基は突然変異させられており、例えば、置換され、欠失させられ、又は付加されている。
【0215】
いくつかの実施態様において、ポリペプチドは誘導性ポリペプチドである。そのようなポリペプチドは、野生型ヒトBTLAと比較して、アミノ酸残基の置換、欠失、又は付加を含む。誘導性ポリペプチドは、非誘導性ポリペプチドと比較したとき、抗グリコシル化BTLAとの実質的に同じ結合、より良い結合、又はより悪い結合を有することができる。いくつかの実施態様において、ヒトBTLAの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのアミノ酸残基は突然変異させられており、例えば、置換され、欠失させられ、又は付加されている。
【0216】
本明細書に記載される抗体又はポリペプチドは、限定されないが、特異的な化学的切断、アセチル化、製剤化、ツニカマイシンの代謝的合成などを含む、当業者に公知の技法を用いる化学修飾によって修飾することができる。一実施態様において、誘導性ポリペプチド又は誘導性抗体は、親ポリペプチド又は親抗体と同様又は同一の機能を保有する。別の実施態様において、誘導性ポリペプチド又は誘導性抗体は、親ポリペプチド又は親抗体と比べて改変された活性を示す。例えば、誘導性抗体(又はその断片)は、親抗体よりも強固にそのエピトープに結合するか、又は親抗体よりもタンパク質分解に耐性があることができる。
【0217】
誘導体化抗体における置換、付加、又は欠失は、抗体のFc領域中のものであることができ、それにより、1以上のFcγRに対する抗体の結合親和性を修飾する役割を果たすことができる。1以上のFcγRに対する結合が修飾された抗体を修飾する方法は当技術分野で公知であり、例えば、PCT公開WO 04/029207号、第WO 04/029092号、第WO 04/028564号、第WO 99/58572号、第WO 99/51642号、第WO 98/23289号、第WO 89/07142号、第WO 88/07089号、並びに米国特許第5,843,597号及び5,642,821号を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、該抗体又は他の分子は、活性化FcγR、例えば、FcγRIIIAに対する改変された親和性を有することができる。好ましくは、そのような修飾は、改変されたFc媒介性エフェクター機能も有する。Fc媒介性エフェクター機能に影響を及ぼす修飾は当技術分野で周知である(米国特許第6,194,551号、及びWO 00/42072号を参照)。いくつかの実施態様において、Fc領域の修飾は、改変された抗体媒介性エフェクター機能、他のFc受容体(例えば、Fc活性化受容体)への改変された結合、改変された抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)活性、改変されたC1q結合活性、改変された補体依存的細胞傷害性活性(CDC)、貪食活性、又はこれらの任意の組合せを有する抗体を生じさせる。
【0218】
誘導性抗体又はポリペプチドは、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおいて、親分子又は抗体の改変された半減期(例えば、血清半減期)を有することもできる。いくつかの実施態様において、そのような改変は、15日超、好ましくは、20日超、25日超、30日超、35日超、40日超、45日超、2カ月超、3カ月超、4カ月超、又は5カ月超の半減期をもたらす。哺乳動物、好ましくは、ヒトにおけるヒト化抗体又はポリペプチドの増大した半減期は、哺乳動物における該抗体又はポリペプチドのより高い血清力価をもたらし、そのため、該抗体もしくはポリペプチドの投与の頻度を低下させ、かつ/又は投与されることになる該抗体もしくはポリペプチドの濃度を低下させる。増大したインビボ半減期を有する抗体又はポリペプチドは、当業者に公知の技法によって作製することができる。例えば、増大したインビボ半減期を有する抗体又はポリペプチドは、FcドメインとFcRn受容体の相互作用に関与することが確認されたアミノ酸残基を修飾する(例えば、置換する、欠失させる、又は付加する)ことにより作製することができる。本明細書に記載されるヒト化抗体を改変して、生体半減期を増大させることができる(例えば、米国特許第6,277,375号を参照)。例えば、本明細書に記載されるヒト化抗体を、増大したインビボ又は血清半減期を有するように、Fc-ヒンジドメインで改変することができる。
【0219】
増大したインビボ半減期を有する本明細書に記載される抗体又はポリペプチドは、該抗体又はポリペプチドに高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー分子を付着させることにより作製することができる。PEGは、多官能性リンカーの有無を問わず、PEGの該分子もしくは抗体のN-又はC-末端への部位特異的コンジュゲーションによるか、又はリジン残基上に存在するε-アミノ基を介して、該抗体又はポリペプチドに付着させることができる。生物学的活性の最小限の損失をもたらす線状又は分岐状ポリマーの誘導体化を使用することができる。コンジュゲーションの程度をSDS-PAGE及び質量分析によって厳重にモニタリングし、PEG分子の抗体への適切なコンジュゲーションを保証することができる。未反応のPEGは、例えば、サイズ排除又はイオン交換クロマトグラフィーによって、抗体-PEGコンジュゲートから分離することができる。
【0220】
本明細書に記載される抗体又はポリペプチドは、免疫原性応答を実質的に伴わずに哺乳動物循環系に注射することができる組成物を提供するために、Davisらの文献(米国特許第4,179,337号を参照)に記載されている方法及びカップリング剤によって修飾することもできる。Fc部分の除去は、抗体断片が望ましくない免疫学的応答を誘発する可能性を低下させ、したがって、Fcがない抗体を予防的又は治療的処置に使用することができる。上記のように、抗体は、他の種で産生された又は他の種由来の配列を有する抗体を動物に投与することにより生じる有害な免疫学的帰結を軽減し又は消失させるために、キメラ、部分的に又は完全にヒトのものになるように構築することもできる。
【0221】
(7.2.4.融合体及びコンジュゲート)
本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドは、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させるか、又は別の部分に化学的にコンジュゲートすることもできる。
【0222】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc部分を有する抗体又はポリペプチドであり、ここで、該Fc部分は、アイソタイプもしくはサブクラスによって異なることができ、キメラもしくはハイブリッドであることができ、及び/又は例えば、エフェクター機能、半減期の制御、組織への接近可能性を改善し、安定性などの生物物理学的な特性を強化し、かつ産生の効率を改善する(より低コストにする)ように修飾することができる。開示されている融合タンパク質の構築において有用な多くの修飾及びそれを行う方法は当技術分野で公知であり、例えば、Mueller, J. P.らの文献、Mol. Immun. 34(6):441-452(1997), Swann, P. G.の文献、Curr. Opin. Immun. 20:493-499(2008)、及びPresta, L. G.の文献、Curr. Opin. Immun. 20:460-470(2008)を参照されたい。いくつかの実施態様において、該Fc領域は、ネイティブのIgG1、IgG2、又はIgG4 Fc領域である。いくつかの実施態様において、該Fc領域は、ハイブリッド、例えば、IgG2/IgG4 Fc定常領域を有するキメラである。該Fc領域に対する修飾には、Fcγ受容体及び補体への結合を妨げるように修飾されたIgG4、1以上のFcγ受容体への結合を改善するように修飾されたIgG1、エフェクター機能(アミノ酸変化)を最小化するように修飾されたIgG1、(典型的には、発現宿主を変更することにより)グリカンが改変された/グリカンを含まないIgG1、並びにFcRnへのpH依存的結合が改変されたIgG1が含まれるが、これらに限定されない。該Fc領域は、ヒンジ領域全体、又はヒンジ全体に満たない領域を含むことができる。
【0223】
別の実施態様は、その半減期を増大させるFcRへの結合が低下しているIgG2-4ハイブリッド及びIgG4突然変異体を含む。代表的なIG2-4ハイブリッド及びIgG4突然変異体は、Angalらの文献、Molec. Immunol. 30(1):105-108(1993); Muellerらの文献、Mol. Immun. 34(6):441-452(1997);及び米国特許第6,982,323号に記載されており;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、IgG1及び/又はIgG2ドメインは欠失しており、例えば、Angalらの文献には、セリン241がプロリンと置き換えられているIgG1及びIgG2が記載されている。
【0224】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、又は少なくとも100個のアミノ酸を有する融合タンパク質又はポリペプチドである。
【0225】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、少なくとも1つの部分に連結しているか、又は該部分に共有結合しているか、又は該部分との複合体を形成する、抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドである。そのような部分は、診断剤又は治療剤としての分子の効力を増大させる部分であることができるが、それに限定されない。いくつかの実施態様において、該部分は、イメージング剤、毒素、治療的酵素、抗生物質、放射性標識ヌクレオチドなどであることができる。
【0226】
本明細書に提供される分子は、治療的部分(又は1以上の治療的部分)を含むことができる。本明細書に提供される分子は、細胞毒素、例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊剤、治療剤、又は放射性金属イオン、例えば、α-放射体などの、治療的部分にコンジュゲートされた又は組換え融合させられた抗体であることができる。細胞毒素又は細胞毒性剤には、細胞にとって有害である任意の薬剤が含まれる。治療的部分としては、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン(decarbazine));アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)、並びにシスプラチン);アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧名、ダウノマイシン)及びドキソルビシン);抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC));オーリスタチン分子(例えば、オーリスタチンPHE、オーリスタチンF、モノメチルオーリスタチンE、ブリオスタチン1、及びソラスタチン10; Woykeらの文献、Antimicrob. Agents Chemother. 46:3802-8(2002)、Woykeらの文献、Antimicrob. Agents Chemother. 45:3580-4(2001)、Mohammadらの文献、Anticancer Drugs 12:735-40(2001)、Wallらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 266:76-80(1999)、Mohammadらの文献、Int. J. Oncol. 15:367-72(1999)を参照されたく、これらは全て、引用により本明細書中に組み込まれる);ホルモン(例えば、グルココルチコイド、プロゲスチン、アンドロゲン、及びエストロゲン)、DNA修復酵素阻害剤(例えば、エトポシド又はトポテカン)、キナーゼ阻害剤(例えば、化合物ST1571、メシル酸イマチニブ(Kantarjianらの文献、Clin Cancer Res. 8(7):2167-76(2002));細胞毒性剤(例えば、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルコルチコイド(glucorticoid)、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン並びにこれらの類似体又はホモログ、並びに米国特許第6,245,759号、第6,399,633号、第6,383,790号、第6,335,156号、第6,271,242号、第6,242,196号、第6,218,410号、第6,218,372号、第6,057,300号、第6,034,053号、第5,985,877号、第5,958,769号、第5,925,376号、第5,922,844号、第5,911,995号、第5,872,223号、第5,863,904号、第5,840,745号、第5,728,868号、第5,648,239号、第5,587,459号に開示されている化合物);ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、R115777、BMS-214662、並びに例えば、米国特許第6,458,935号、第6,451,812号、第6,440,974号、第6,436,960号、第6,432,959号、第6,420,387号、第6,414,145号、第6,410,541号、第6,410,539号、第6,403,581号、第6,399,615号、第6,387,905号、第6,372,747号、第6,369,034号、第6,362,188号、第6,342,765号、第6,342,487号、第6,300,501号、第6,268,363号、第6,265,422号、第6,248,756号、第6,239,140号、第6,232,338号、第6,228,865号、第6,228,856号、第6,225,322号、第6,218,406号、第6,211,193号、第6,187,786号、第6,169,096号、第6,159,984号、第6,143,766号、第6,133,303号、第6,127,366号、第6,124,465号、第6,124,295号、第6,103,723号、第6,093,737号、第6,090,948号、第6,080,870号、第6,077,853号、第6,071,935号、第6,066,738号、第6,063,930号、第6,054,466号、第6,051,582号、第6,051,574号、及び第6,040,305号によって開示されているもの);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン;イリノテカン; SN-38;トポテカン; 9-アミノカンプトテシン; GG-211(GI 147211); DX-8951f; IST-622;ルビテカン;ピラゾロアクリジン; XR-5000;サイントピン; UCE6; UCE1022; TAN-1518A; TAN 1518B; KT6006; KT6528; ED-110; NB-506; ED-110; NB-506;及びレベッカマイシン);ブルガレイン; DNAマイナーグルーブ結合剤、例えば、Hoescht色素33342及びHoechst色素33258;ニチジン;ファガロニン;エピベルベリン;コラリン;β-ラパコン; BC-4-1;ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート、シマドロント(cimadronte)、クロドロネート、チルドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート、オルパンドロネート、リセドロネート、ピリドロネート、パミドロネート、ゾレンドロネート)、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、スタチン、セリバスタチン、レスコール、ルピトール、ロスバスタチン、及びアトルバスタチン);アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第6,277,832号、第5,998,596号、第5,885,834号、第5,734,033号、及び第5,618,709号に開示されているもの);アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、リン酸フルダラビン及び2-クロロデオキシアデノシン);イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標)))、並びにこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、包摂化合物、及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0227】
さらに、本明細書に提供される分子は、所与の生物学的応答を修飾する治療的部分又は薬物部分にコンジュゲートさせるか、又は組換え融合させた抗体であることができる。治療的部分又は薬物部分は、古典的な化学治療剤に限定されるものとみなすべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質、ペプチド、又はポリペプチドであることができる。そのようなタンパク質としては、例えば、毒素、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、コレラ毒素、もしくはジフテリア毒素;タンパク質、例えば、腫瘍壊死因子、γ-インターフェロン、α-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス物質、例えば、TNF-γ、TNF-γ、AIM I(国際公開WO 97/33899号を参照)、AIM II(国際公開WO 97/34911号を参照)、Fasリガンド(Takahashiらの文献、1994、J. Immunol.、6:1567-1574)、及びVEGF(国際公開WO 99/23105号を参照)、抗血管形成物質、例えば、アンギオスタチン、エンドスタチン、もしくは凝固経路の構成要素(例えば、組織因子);又は生物応答修飾物質、例えば、リンホカイン(例えば、インターフェロンγ、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-5(「IL-5」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、インターロイキン-7(「IL-7」)、インターロイキン9(「IL-9」)、インターロイキン-10(「IL-10」)、インターロイキン-12(「IL-12」)、インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-23(「IL-23」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、及び顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)など)、もしくは成長因子(例えば、成長ホルモン(「GH」))、又は凝固作用物質(例えば、カルシウム、ビタミンK、組織因子、例えば、限定されないが、ハーゲマン因子(第XII因子)、高分子量キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン(PK)、凝固タンパク質-第II因子(プロトロンビン)、第V因子、第XIIa因子、第VIII因子、第XIIIa因子、第XI因子、第XIa因子、第IX因子、第IXa因子、第X因子、リン脂質、及びフィブリン単量体)を挙げることができる。
【0228】
さらに、本明細書に提供される抗体は、治療的部分、例えば、放射性金属イオン、例えば、α-放射体、例えば、213Bi、又は限定されないが、131In、131LU、131Y、131Ho、131Smを含む、放射性金属イオンをポリペプチドにコンジュゲートするのに有用な大環状キレート化剤にコンジュゲートすることができる。ある実施態様において、該大環状キレート化剤は、リンカー分子を介して抗体に結合させることができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)である。そのようなリンカー分子は、当技術分野で一般に知られており、各々引用により完全に組み込まれる、Denardoらの文献、1998, Clin Cancer Res. 4(10):2483-90; Petersonらの文献、1999, Bioconjug. Chem. 10(4):553-7;及びZimmermanらの文献、1999, Nucl. Med. Biol. 26(8):943-50に記載されている。
【0229】
BTN1A1に免疫特異的に結合する本明細書に提供される抗体にコンジュゲートされる又は組換え融合させられる治療的部分又は薬物は、所望の予防的又は治療的効果を達成するように選択されるべきである。ある実施態様において、該抗体は修飾抗体である。臨床医又は他の医療従事者は、どの治療的部分又は薬物を本明細書に提供される抗体にコンジュゲートし又は組換え融合させるかを決定するときに、以下のこと:疾患の性質、疾患の重症度、及び対象の状態を考慮すべきである。
【0230】
いくつかの実施態様において、該部分は、酵素、ホルモン、細胞表面受容体、毒素(例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素(すなわち、PE-40)、ジフテリア毒素、リシン、ゲロニン、又はヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質)、タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロン(例えば、α-インターフェロン、β-インターフェロン)、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、又はアポトーシス物質(例えば、腫瘍壊死因子-α、腫瘍壊死因子-β))、生物応答修飾物質(例えば、例えば、リンホカイン(例えば、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」))、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、もしくはマクロファージコロニー刺激因子(「M-CSF」))、又は成長因子(例えば、成長ホルモン(「GH」)))、細胞毒素(例えば、細胞増殖抑制剤又は細胞破壊剤、例えば、パクリタキソール(paclitaxol)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE;例えば、ベドチン)、及びピューロマイシン、並びにこれらの類似体又はホモログ)、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、BiCNU(登録商標)(カルムスチン; BSNU)、及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、並びにシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧名、ダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、或いは抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)であることができる。
【0231】
そのような治療的部分を抗体にコンジュゲートする技法は周知であり;例えば、Amonらの文献、「癌療法における薬物の免疫標的化のためのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy)」、モノクローナル抗体及び癌療法(MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY)、Reisfeldら(編), 1985, pp. 243-56, Alan R. Liss社に所収); Hellstromらの文献、「薬物送達のための抗体(Antibodies For Drug Delivery)」、制御薬物送達(CONTROLLED DRUG DELIVERY)(第2版)、Robinsonら(編), 1987, pp. 623-53, Marcel Dekker社に所収); Thorpeの文献、「癌療法における細胞毒性剤の抗体担体:概説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review)」、モノクローナル抗体84:生物学的及び臨床的応用(MONOCLONAL ANTIBODIES '84: BIOLOGICAL AND CLINICAL APPLICATIONS)、Pincheraら(編), 1985, pp. 475-506に所収);「癌療法における放射性標識抗体の治療的使用の解析、結果、及び将来的展望(Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy)」、癌の検出及び治療のためのモノクローナル抗体(MONOCLONAL ANTIBODIES FOR CANCER DETECTION AND THERAPY)、Baldwinら(編), 1985, pp. 303-16, Academic Pressに所収; Thorpeらの文献、Immunol. Rev. 62:119-158(1982); Carterらの文献、Cancer J. 14(3):154-169(2008); Alleyらの文献、Curr. Opin. Chem. Biol. 14(4):529-537(2010); Carterらの文献、Amer. Assoc. Cancer Res. Educ. Book. 2005(1):147-154(2005); Carterらの文献、Cancer J. 14(3):154-169(2008); Chariの文献、Acc. Chem Res. 41(1):98-107(2008); Doroninaらの文献、Nat. Biotechnol. 21(7):778-784(2003); Ducryらの文献、Bioconjug Chem. 21(1):5-13(2010); Senterの文献、Curr. Opin. Chem. Biol. 13(3):235-244(2009);及びTeicherの文献、Curr Cancer Drug Target. 9(8):982-1004(2009)を参照されたい。
【0232】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体及びポリペプチドをペプチドなどのマーカーにコンジュゲートして、精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、該マーカーは、ヘキサ-ヒスチジンペプチド、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する血球凝集素「HA」タグ(Wilson, I. A.らの文献、Cell, 37:767-778(1984))、又は「flag」タグ(Knappik, A.らの文献、Biotechniques 17(4):754-761(1994))である。
【0233】
いくつかの実施態様において、該部分は、アッセイで検出することができるイメージ剤であることができる。そのようなイメージ剤は、酵素、補欠分子族、放射性標識、非放射性常磁性金属イオン、ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、生体発光分子、光親和性分子、有色粒子、又はリガンド、例えば、ビオチンであることができる。
【0234】
いくつかの実施態様において、酵素には、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれ;補欠分子族複合体には、限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれ;蛍光物質には、限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、又はフィコエリスリンが含まれ;発光物質、例えば、限定されないが、ルミノール;生体発光物質には、限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びイクオリンが含まれ;放射性物質には、限定されないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタニウム(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテミウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn);様々な陽電子放射断層撮影法を用いる陽電子放射金属、並びに非放射性常磁性金属イオンが含まれる。
【0235】
イメージ剤は、当技術分野で公知の技法を用いて、直接的に、又は中間体(例えば、例えば、当技術分野で公知のリンカー)を介して間接的に、本明細書に記載される抗体又はポリペプチドにコンジュゲートすることができる。診断薬として使用される本明細書に記載される抗体及び他の分子にコンジュゲートすることができる金属イオンについては、例えば、米国特許第4,741,900号を参照されたい。いくつかのコンジュゲーション法は、例えば、抗体に付着した、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA);エチレントリアミン四酢酸; N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド;及び/又はテトラクロロ-3-6α-ジフェニルグリコウリル-3などの有機キレート化剤を利用する金属キレート錯体の使用を含む。モノクローナル抗体を、グルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸塩などのカップリング剤の存在下で、酵素と反応させることもできる。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートを、これらのカップリング剤の存在下で又はイソチオシアネートとの反応によって調製することができる。
【0236】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体又はポリペプチドを第二の抗体にコンジュゲートして、Segalによって米国特許第4,676,980号に記載されている抗体ヘテロコンジュゲートを形成させることができる。そのようなヘテロコンジュゲート抗体は、ハプテン(例えば、フルオレセイン)に、又は細胞マーカー(例えば、4-1-BB、B7-H4、CD4、CD8、CD14、CD25、CD27、CD40、CD68、CD163、CTLA4、GITR、LAG-3、OX40、TIM3、TIM4、TLR2、LIGHT、ICOS、B7-H3、B7-H7、B7-H7CR、CD70、CD47)に、又はサイトカイン(例えば、IL-7、IL-15、IL-12、IL-4、TGF-β、IL-10、IL-17、IFNγ、Flt3、BLys)もしくはケモカイン(例えば、CCL21)にさらに結合することができる。
【0237】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドを固体支持体に付着させることもでき、これは、免疫アッセイ又は標的抗原の精製もしくは本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合断片への結合を介して該支持体に固定されている標的抗原に結合することができる他の分子の精製に有用であることができる。そのような固体支持体としては、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0238】
(7.2.5.タンパク質精製)
タンパク質精製技法は当業者に周知である。これらの技法は、あるレベルで、細胞、組織、又は臓器のホモジナイゼーション並びにポリペプチド画分及び非ポリペプチド画分への粗分画を伴う。別途規定されない限り、目的のタンパク質又はポリペプチドを、クロマトグラフィー技法及び電気泳動技法を用いてさらに精製し、部分的な又は完全な精製(又は均一に精製すること)を達成することができる。純粋なペプチドの調製に特に適している分析法は、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、及び等電点電気泳動である。ペプチドを精製する特に効率的な方法は、高速(fast-performance)液体クロマトグラフィー(FPLC)、又はさらには高速(high-performance)液体クロマトグラフィー(HPLC)である。当技術分野で一般に知られているように、様々な精製工程を行う順序を変更するることができ、又は特定の工程を省略し、それでもなお、実質的に精製されたポリペプチドの調製のための好適な方法が得られ得ると考えられる。
【0239】
精製されたポリペプチドとは、他の成分から単離可能な組成物を指すことが意図され、ここで、該ポリペプチドは、その天然に入手可能な状態に対して任意の程度にまで精製される。したがって、単離された又は精製されたポリペプチドは、それが天然に存在し得る環境から離れているポリペプチドも指す。一般に、「精製された」とは、様々な他の成分を除去するために分画に供されたポリペプチド組成物を指し、該組成物は、その発現された生物学的活性を実質的に保持している。「実質的に精製された」という用語が使用される場合、この表記は、ポリペプチドが組成物の主要成分を形成し、例えば、組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又はそれより多くを構成する、組成物を指す。
【0240】
ポリペプチドの精製の程度を定量するための様々な方法は、本開示に照らして、当業者に公知である。これらは、例えば、活性画分の比活性を決定すること、又はSDS/PAGE解析によって画分内のポリペプチドの量を評価することを含む。ある画分の純度を評価するための好ましい方法は、該画分の比活性を計算すること、それを最初の抽出物の比活性と比較すること、及びそれにより、「精製倍率数(fold purification number)」によって評価される、その中の純度の程度を計算することである。活性の量を表すために使用される実際の単位は、当然、精製後に行われるように選択される特定のアッセイ技法、及び発現されたポリペプチドが検出可能な活性を示すか否かによって決まる。
【0241】
ポリペプチドが、その最も精製された状態で常に提供される一般的な要件はない。実際、あまり実質的に精製されていない生成物が、ある実施形態において有用性を有することが企図される。部分精製は、より少ない精製工程を組み合わせて使用することによるか、又は同じ一般的精製スキームの異なる形態を利用することによって達成することができる。例えば、HPLC装置を用いて実施される陽イオン交換カラムクロマトグラフィーが、通常、低圧クロマトグラフィーシステムを用いる同じ技法よりもより大きな精製「倍率」をもたらすことが理解される。より低い相対精製度を示す方法は、タンパク質生成物の完全回収において、又は発現されたタンパク質の活性の維持において利点を有することができる。
【0242】
親和性クロマトグラフィーは、単離されることになる物質とそれが特異的に結合し得る分子との間の特異的親和性に依存するクロマトグラフィー手順である。これは、受容体-リガンド型の相互作用である。カラム材料は、結合パートナーの1つを不溶性のマトリックスに共有結合的にカップリングすることにより合成される。次いで、カラム材料は、溶液からの該物質を特異的に吸着することができる。溶出は、条件を結合が起こらない条件(例えば、改変されたpH、イオン強度、及び温度など)に変更することにより行われる。マトリックスは、それほど大きい程度には分子を吸着しない物質、並びに広範囲の化学的、物理的、及び熱的安定性を有する物質であるべきである。リガンドは、その結合特性に影響を及ぼさないような方法でカップリングされるべきである。リガンドは、比較的強固な結合を提供すべきでもある。該物質を試料又はリガンドを破壊することなく溶出することが可能であるべきである。
【0243】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、溶液中の分子が、そのサイズ、又はより専門的な用語では、その流体力学的体積に基づいて分離されるクロマトグラフ法である。これは、通常、タンパク質及び工業用ポリマーなどの大分子又は巨大分子複合体に適用される。通常、カラムに試料を通すために水溶液が使用される場合、この技法は、有機溶媒が移動相として使用される場合に使用されるゲル浸透クロマトグラフィーという名称に対して、ゲル濾過クロマトグラフィーとして知られている。SECの基本原理は、異なるサイズの粒子が異なる速度で固定相から溶出する(濾過される)というものである。これにより、サイズに基づく粒子の溶液の分離がもたらされる。全ての粒子が同時又はほぼ同時に充填されるならば、同じサイズの粒子は一緒に溶出するはずである。
【0244】
高速液体クロマトグラフィー(又は高圧液体クロマトグラフィー、HPLC)は、化合物を分離、同定、及び定量するために生化学及び分析化学で頻繁に使用されるカラムクロマトグラフィーの形態である。HPLCは、クロマトグラフィー充填材料(固定相)を保持するカラム、移動相をカラムに通すポンプ、及び分子の保持時間を示す検出器を利用する。保持時間は、固定相と分析されている分子と使用される溶媒の間の相互作用によって変化する。
【0245】
本明細書に提供されるのは、BTLAグリコシル化、N-結合型グリコシル化、又はN-グリコシル化を評価する方法であって、該BTLA含有試料を本実施態様の抗体(例えば、抗体は、非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する)と接触させることを含む、方法でもある。いくつかの態様において、該方法はインビトロ法である。ある態様において、試料は細胞試料である。
【0246】
(7.2.6.核酸)
本開示は、本明細書に記載される任意の抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドをコードする核酸分子(DNA又はRNA)も企図している。本明細書に提供されるのは、そのような核酸分子の伝達又は複製が可能であるベクター分子(例えば、プラスミド)でもある。該核酸は、一本鎖、二本鎖であることができ、かつ一本鎖部分と二本鎖部分の両方を含むことができる。
【0247】
(7.3.医薬調製物)
抗体を含む医薬組成物の臨床的適用が行われる場合、意図される用途に適した医薬組成物又は治療組成物を調製することが一般的に有益である。通常、医薬組成物は、本明細書に記載されるような、又は医薬として許容し得る担体に溶解もしくは分散した追加の薬剤含む、抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドの有効量を有することができる。
【0248】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドを有する組成物であることもできる。いくつかの実施態様において、該組成物は、少なくとも0.1重量%の該抗体又はポリペプチドを有することができる。いくつかの実施態様において、該組成物は、少なくとも0.5重量%、1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又はそれを上回る抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドを有することができる。他の実施態様において、例えば、抗グリコシル化BTLA又はグリコシル化BTLAポリペプチドは、該組成物の重量の約2%~約75%、約25%~約60%、約30%~約50%、又はこれらの中の任意の範囲を占めることができる。各々の治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、好適な投薬量が化合物の任意の所与の単位用量で得られるように調製することができる。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の棚寿命、及び他の薬理学的検討事項などの因子は、そのような医薬製剤を調製する当業者によって企図されることになり、したがって、種々の投薬量及び治療レジメンが望ましい場合がある。
【0249】
いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613のVH又はVLドメインを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表4に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626のVH又はVLドメインを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表6に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVH又はVLドメインを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。
【0250】
いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613のVHドメインとVLドメインの両方を含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表4に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626のVHドメインとVLドメインの両方を含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表6に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVHドメインとVLドメインの両方を含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。
【0251】
いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表3に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613のVH CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVH CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表5に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626のVH CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVH CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表7に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVH CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVH CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。
【0252】
いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表3に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613のVL CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVL CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表5に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626のVL CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVL CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表7に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVL CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVL CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。
【0253】
いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表3に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613の少なくとも1つのVH CDR及び少なくとも1つのVL CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表5に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626の少なくとも1つのVH CDR及び少なくとも1つのVL CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、表7に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635の少なくとも1つのVH CDR及び少なくとも1つのVL CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。
【0254】
いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、本明細書に記載されるBTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断する抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。該BTLAエピトープは、本明細書に記載されるSTC613のエピトープであることができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、本明細書に記載されるBTLAのエピトープに特異的に結合する抗グリコシル化BTLA抗体を有することができる。該BTLAエピトープは、本明細書に記載されるSTC613のエピトープであることができる。いくつかの実施態様において、該BTLAエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも5つの連続するアミノ酸を有する。
【0255】
該組成物は、活性成分としての抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチド及び医薬として許容し得る担体を有する医薬組成物であることができる。該医薬組成物は、1以上の追加の活性成分をさらに含むことができる。医薬として許容し得る担体は、動物における、より詳細には、ヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているか、又は米国薬局方、欧州薬局方、もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されている担体であることができる。
【0256】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「担体」という用語は、それとともに治療薬が投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントのアジュバント(完全もしくは不完全))、賦形剤、安定化剤、又はビヒクルを指す。「医薬として許容し得る担体」は、利用される投薬量及び濃度でそれに曝露されている細胞又は哺乳動物にとって無毒である担体であり、これは、水及び油などの、滅菌液であることができ、油には、石油、動物、植物、又は合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などが含まれる。医薬として許容し得る分子実体又は組成物は、必要に応じて、動物、例えば、ヒトに投与されたときに、有害反応も、アレルギー反応も、他の望ましくない反応も生じない。抗体又は追加の活性成分を有する医薬組成物の調製は、引用により本明細書中に組み込まれる、レミントンの医薬化学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版、1990によって例示されているように、本開示に照らして、当業者に公知である。さらに、動物(例えば、ヒト)への投与については、調製物が、FDA生物学的製剤基準室(FDA Office of Biological Standards)によって要求される、滅菌性、発熱性、一般的な安全性、及び純度の標準を満たすべきであるということが理解される。
【0257】
該組成物は、1ml当たり約0.001mg及び約10mgの全抗体又はポリペプチドを含むことが企図される。したがって、組成物中の抗体又はポリペプチドの濃度は、約、少なくとも約、又は多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/ml、又はそれより多く(又はその中の導き出される任意の範囲)であることができる。これに関して、約、少なくとも約、又は多くとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%が、抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドであることができる。
【0258】
本明細書に記載される抗体又は他のポリペプチドを活性成分として有する医薬組成物の調製は、引用により本明細書中に組み込まれる、レミントンの医薬化学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版、1990によって例示されているように、本開示に照らして、当業者に公知である。さらに、動物(ヒトを含む)への投与については、調製物が、FDA生物学的製剤基準室(FDA Office of Biological Standards)によって要求される、滅菌性、発熱性、一般的な安全性、及び純度の標準を満たすべきであるということが理解される。
【0259】
医薬として許容し得る担体には、液体、半固体、すなわち、ペースト、又は固体の担体が含まれる。担体又は希釈剤の例としては、脂肪、油、水、生理食塩水溶液、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、増量剤など、又はこれらの組合せが挙げられる。医薬として許容し得る担体としては、当業者に知られているような、水性溶媒(例えば、水、アルコール/水溶液、エタノール、生理食塩水溶液、非経口ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム、リンガーのデキストロースなど)、非水性溶媒(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、及び注射可能な有機エステル、例えば、エチルオレエート)、分散媒体、コーティング(例えば、レシチン)、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤又は抗真菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、不活性ガス、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール)、等張剤(例えば、糖類、塩化ナトリウム)、吸収遅延剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン)、塩類、薬物、薬物安定化剤(例えば、緩衝剤、アミノ酸、例えば、グリシン及びリジン、炭水化物、例えば、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなど)、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、水分(fluid)及び栄養補給剤、同様のこのような材料、並びにこれらの組合せを挙げることができる。任意の従来の媒体、薬剤、希釈剤、又は担体が、レシピエントにとって有害であり、又はそれに含まれる組成物の治療的有効性にとって有害である場合を除き、それを、本方法を実施する際に使用するための投与可能な組成物中で使用するのが適切である。医薬組成物中の様々な成分のpH及び正確な濃度は、周知のパラメータに従って調整される。本開示のある態様に従って、該組成物を、任意の好都合かつ実際的な方法で、すなわち、溶解、懸濁、乳化、混合、カプセル化、吸収、摩砕などによって、担体と組み合わせることができる。そのような手順は、当業者にとってルーチンである。
【0260】
いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る担体は、水性pH緩衝溶液であることができる。例としては、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量((例えば、約10アミノ酸残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート化剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;並びに/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)が挙げられる。
【0261】
いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る担体は、滅菌液、例えば、水及び石油、動物、植物、又は合成起源の油を含む油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などであることができる。水は、特に、医薬組成物が静脈内投与されるときの担体であることができる。生理食塩水溶液並びに水性デキストロース及びグリセロール溶液も、特に、注射溶液用の液体担体として利用することができる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、ポリソルベート-80などが挙げられる。該組成物は、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、又はpH緩衝化剤を含むこともできる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、持続放出製剤などの形態を取ることができる。
【0262】
本開示のある実施態様は、それが、固体、液体、又はエアロゾルの形態で投与されるかどうか、及びそれが注射などの投与経路のために滅菌されている必要があるかどうかに応じて、異なるタイプの担体を有することができる。該組成物は、静脈内、皮内、経皮、髄腔内、動脈内、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、筋肉内、皮下、粘膜、経口、局所(topically)、局所(locally)への、吸入(例えば、エアロゾル吸入)による、注射による、注入による、連続注入による、標的細胞の直接的な局所灌流浴(localized perfusion bathing)による、カテーテルによる、洗浄液による、脂質組成物(例えば、リポソーム)中での、又は当業者に知られているような他の方法もしくは上記の任意の組合せによる投与のために製剤化されることができる(例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、レミントンの医薬化学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版、1990を参照)。通常、そのような組成物は、液体の溶液又は懸濁液のいずれかとして調製することができ;注射前に液体を添加することにより、溶液又は懸濁液を調製するための使用に好適な固体形態を調製することもでき;かつ調製物を乳化することもできる。
【0263】
該抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドを遊離塩基形態、中性形態、又は塩形態の組成物へと製剤化することができる。医薬として許容し得る塩としては、酸付加塩、例えば、タンパク質性組成物の遊離アミノ基とともに形成されるもの、或いは例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、もしくはマンデル酸のような有機酸とともに形成されるものが挙げられる。遊離カルボキシル基とともに形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、もしくは水酸化第二鉄などの無機塩基;又はイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、もしくはプロカインのような有機塩基から誘導することもできる。
【0264】
さらなる実施態様において、本明細書に提供されるのは、脂質を有する医薬組成物である。脂質は、特徴として水に不溶性であり、かつ有機溶媒で抽出可能である物質のクラスを広範に含むことができる。例としては、長鎖脂肪族炭化水素及びその誘導体を含有する化合物が挙げられる。脂質は、天然のものであるか又は合成されたものである(すなわち、人間によって設計もしくは産生される)ことができる。脂質は生体物質であることができる。生体脂質は当技術分野で周知であり、これには、例えば、中性脂肪、リン脂質、ホスホグリセリド、ステロイド、テルペン、リゾ脂質、スフィンゴ糖脂質、糖脂質、スルファチド、エーテル及びエステル結合脂肪酸を含む脂質、重合性脂質、及びこれらの組合せが含まれる。当業者により脂質と理解される本明細書に具体的に記載される化合物以外の化合物を使用することもできる。
【0265】
当業者であれば、組成物を脂質ビヒクル中に分散させるのに利用することができる技法の範囲に精通しているであろう。例えば、抗体又はポリペプチドを、当業者に公知の任意の手段によって、脂質を含む溶液中に分散させ、脂質とともに溶解させ、脂質とともに乳化させ、脂質と混合し、脂質と組み合わせ、脂質と共有結合させ、脂質中の懸濁物として含有させ、ミセルもしくはリポソームとともに含有させもしくはミセルもしくはリポソームと複合体化させ、又は別の形で脂質もしくは脂質構造と関連させることができる。分散は、リポソームの形成をもたらすこともあるし、もたらさないこともある。
【0266】
通常、組成物の成分は、別々に又は単位剤形中で混合されて、例えば、ドライ凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として、活性剤の量を表示したアンプル又はサシェなどの密閉容器中に供給される。組成物が注入によって投与されることになる場合、それを、滅菌された医薬品等級の水又は生理食塩水を含む注入ボトルで分配することができる。組成物が注射によって投与される場合、成分が投与前に混合され得るように、滅菌注射用水又は生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0267】
各々の治療的に有用な組成物中の活性成分の量は、好適な投薬量が化合物の任意の所与の単位用量で得られるように調製することができる。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、製品の棚寿命、及び他の薬理学的検討事項などの因子は、そのような医薬製剤を調製する当業者によって企図されることができ、したがって、種々の投薬量及び治療レジメンが望ましい場合がある。
【0268】
単位用量又は投薬量は、対象における使用に好適な物理的に分離された単位を指し、各々の単位は、その投与、すなわち、適切な経路及び治療レジメンとの関連において上で考察された所望の応答を生じるように計算された所定の量の医薬組成物を含む。治療の回数と単位用量の両方に従って、投与される量は、所望の効果によって決まる。患者又は対象に投与される本実施態様の組成物の実際の投薬量は、身体的及び生理的な要因、例えば、対象の体重、年齢、健康、及び性別、治療されている疾患の種類、疾患浸透の程度、過去の又は併用している治療的介入、患者の特発性疾患、投与経路、並びに特定の治療物質の有効性、安定性、及び毒性によって決定されることができる。他の非限定的な例において、用量は、投与1回当たり、約1マイクログラム/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重、約10マイクログラム/kg/体重、約50マイクログラム/kg/体重、約100マイクログラム/kg/体重、約200マイクログラム/kg/体重、約350マイクログラム/kg/体重、約500マイクログラム/kg/体重、約1ミリグラム/kg/体重、約5ミリグラム/kg/体重、約10ミリグラム/kg/体重、約50ミリグラム/kg/体重、約100ミリグラム/kg/体重、約200ミリグラム/kg/体重、約350ミリグラム/kg/体重、約500ミリグラム/kg/体重から約1000ミリグラム/kg/体重以上まで、又はそれ以上及びその中から引き出される任意の範囲であることができる。本明細書に記載される数から引き出される範囲の非限定的な例において、約5ミリグラム/kg/体重~約100ミリグラム/kg/体重、約5マイクログラム/kg/体重~約500ミリグラム/kg/体重などの範囲を上記の数に基づいて投与することができる。投与に対して責任がある医師は、いかなる場合も、組成物中の活性成分の濃度及び個々の対象についての適切な用量を決定することになる。
【0269】
当業者であれば理解しているように、本明細書に記載される組成物は、治療調製物の特定の性質によって限定されない。例えば、そのような組成物は、生理的に許容される液体、ゲル、又は固体担体、希釈剤、及び賦形剤と一緒に製剤中に提供することができる。これらの治療調製物は、他の治療剤と同様の方法で、例えば、家畜を用いる獣医学的使用のために、及びヒトにおける臨床的使用のために、哺乳動物に投与することができる。一般に、治療効力に必要とされる投薬量は、使用の種類及び投与の様式、並びに個々の対象の特定の必要性によって異なる。ヒト患者を含む、動物患者に投与される組成物の実際の投薬量は、身体的及び生理的な要因、例えば、体重、疾患の重症度、治療されている疾患の種類、過去の又は併用している治療的介入、患者の特発性疾患、及び投与経路によって決定されることができる。投薬量及び投与経路に応じて、好ましい投薬量及び/又は有効量の投与の回数は、対象の応答によって異なり得る。投与に対して責任がある医師は、いかなる場合も、組成物中の活性成分の濃度及び個々の対象についての適切な用量を決定することになる。
【0270】
(7.4.疾患の治療)
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「対象」という用語は、治療、観察、及び/又は実験の対象となる動物を指す。「動物」には、脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚類、甲殻類、爬虫類、鳥類、特に、哺乳動物が含まれる。「哺乳動物」には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、類人猿、及びヒトが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、対象はヒトである。
【0271】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「癌」又は「癌性」という用語は、典型的には、調節されない細胞成長を特徴とする哺乳動物における生理的状態を指す。癌の例としては、血液癌及び固形腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0272】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「治療する」、「治療すること」、「治療」という用語は、治療剤の対象への投与もしくは適用、又は疾患もしくは健康関連状態の治療的利益を得る目的での対象に対する処置もしくはモダリティの実施を指す。例えば、治療は、抗グリコシル化BTLA抗体の治療的有効量の対象への投与を含むことができる。癌患者に関連して使用されるとき、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」という用語は、癌の重症度を潜在的に低下させるか、又は癌の進行を阻止しもしくは減速させる行為を指し、これは、(a)癌の成長を阻害するか、癌の成長速度を低下させるか、発症を停止させるか、癌の侵襲性を低下させるか、又は癌の転移を予防すること、及び(b)癌の退縮を引き起こすか、癌の存在と関連する1以上の症状を遅延もしくは最小化するか、又は癌患者の生存を延長することを含む。
【0273】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「治療的有効量」という用語は、所与の疾患、障害、もしくは疾病、及び/又はこれらに関連する症状の重症度及び/又は持続期間を低下させ及び/又は改善するのに十分である薬剤(例えば、本明細書に記載される抗体もしくはポリペプチド又は本明細書に記載される任意の他の薬剤)の量を指す。治療剤を含む、薬剤の治療的有効量は、(i)所与の疾患、障害、もしくは疾病の進展もしくは進行の低下もしくは改善、(ii)所与の疾患、障害、もしくは疾病の再発、発症、もしくは発生の低下もしくは改善、及び/又は(iii)別の療法(例えば、本明細書に提供される抗体の投与以外の療法)の予防もしくは治療効果の向上もしくは増強に必要な量であることができる。本開示の物質/分子/薬剤(例えば、抗グリコシル化BTLA抗体)の治療的有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び重量、並びに該物質/分子/薬剤が個体において所望の応答を誘発する能力などの要因によって異なり得る。治療的有効量は、該物質/分子/薬剤の任意の毒性又は有害効果を治療的に有益な効果が上回る量を包含する。
【0274】
本明細書で使用される場合、及び別途規定されない限り、「投与する」又は「投与」という用語は、体外に存在している状態の物質を、患者に、例えば、粘膜、皮内、静脈内、筋肉内送達、及び/又は本明細書に記載されるもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法によって注射するか又は別の方法で物理的に送達する行為を指す。疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状を治療する場合、該物質の投与は、通常、該疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状の発症後に行われる。疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状を予防する場合、該物質の投与は、通常、該疾患、障害、もしくは疾病、又はこれらの症状の発症前に行われる。
【0275】
本明細書に提供されるのは、抗グリコシル化BTLA抗体(例えば、STC613、STC626、又はSTC635)及びグリコシル化BTLAポリペプチドの治療的使用でもある。これらの抗体又はポリペプチドを用いて、BTLAシグナル伝達の活性を調節することができる。これらの抗体又はポリペプチドを用いて、T細胞の活性化又は増殖におけるBTLAの抑制的活性を阻害することにより、疾患を治療することもできる。したがって、本明細書に提供されるのは、BTLAシグナル伝達を阻害又は遮断することにより、対象の免疫系を上方調節する際のそのような抗体又はポリペプチドの使用である。
【0276】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を治療する際の抗グリコシル化BTLA抗体(例えば、STC613、STC626、又はSTC635)及びグリコシル化BTLAポリペプチドの治療的使用でもある。免疫系の上方調節は、癌の治療において特に望ましく、したがって、本明細書に提供されるのは、癌治療の方法でもある。癌は、細胞の異常な制御不能の成長によって生じる新生物又は腫瘍を指す。癌は、原発性癌又は転移性癌であることができる。
【0277】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体(例えば、STC613、STC626、もしくはSTC635、又はこれらのヒト化変異体)は、対象における免疫応答を調節することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、T細胞活性化を促進することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、T細胞増殖を促進することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、サイトカイン産生を増大させることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、BTLAを発現する細胞のT細胞依存的アポトーシスを増強し、又はBTLAを発現する細胞の増殖を阻害することもできる。
【0278】
したがって、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体(例えば、STC613、STC626、もしくはSTC635、又はこれらのヒト化変異体)の有効量を投与することにより、対象における免疫応答を調節する方法である。免疫応答を調節することは、(a)T細胞活性化を増大させること;(b)T細胞増殖を増大させること;及び/又は(c)サイトカイン産生を増大させることを含むことができる。
【0279】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613、表4に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626、又は表6に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVH又はVLドメインを含む抗原結合断片を有する抗グリコシル化BTLA抗体の治療的使用である。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613、表4に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626、又は表6に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVHドメインとVLドメインの両方を含む抗原結合断片を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613、表4に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626、又は表6に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVH CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVH CDRを含む抗グリコシル化BTLA抗体の治療的使用である。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613、表4に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626、又は表6に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635のVL CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有する1以上のVL CDRを含む。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、表2に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC613、表4に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC626、又は表6に示されているようなマウスモノクローナル抗体STC635の少なくとも1つのVH CDR及び少なくとも1つのVL CDRを含む。
【0280】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるBTLAエピトープを(例えば、用量依存的な様式で)競合的に遮断する抗グリコシル化BTLA抗体の治療的使用である。該BTLAエピトープは、本明細書に記載されるSTC613のエピトープであることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるBTLAのエピトープに特異的に結合する抗グリコシル化BTLA抗体の治療的使用である。該BTLAエピトープは、本明細書に記載されるSTC613のエピトープであることができる。いくつかの実施態様において、該BTLAエピトープは、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の少なくとも5つの連続するアミノ酸を有する。
【0281】
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体の治療的使用でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗グリコシル化BTLA抗体は、グリコシル化BTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せでグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N94でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75及びN94でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75及びN110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N94及びN110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、該抗グリコシル化BTLA抗体は、位置N75、N94、及びN110でグリコシル化されているBTLAに特異的に結合する。
【0282】
ある態様において、本実施態様のポリペプチド又は抗体(例えば、グリコシル化BTLAポリペプチド、又はグリコシル化BTLAに結合する抗体、例えば、STC613、STC626、もしくはSTC635)を投与して、癌を治療することができる。本治療方法が有用である癌には、任意の悪性細胞型、例えば、固形腫瘍又は血液腫瘍に見られるものが含まれる。例示的な固形腫瘍としては、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭部、頸部、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、黒色腫、前立腺、及び乳房からなる群から選択される臓器の腫瘍を挙げることができるが、これらに限定されない。例示的な血液腫瘍としては、骨髄の腫瘍、T又はB細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、骨髄腫などが挙げられる。本明細書に提供される方法を用いて治療し得る癌のさらなる例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、白血病、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃(gastric)又は胃(stomach)癌(消化器癌及び消化管間質性癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)又は腎臓(renal)癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、様々なタイプの頭頸部癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端性黒子性黒色腫、結節型黒色腫、並びにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小型リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤(bulky disease)NHL;マントル細胞リンパ腫; AIDS関連リンパ腫;及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、並びに慢性骨髄芽球性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0283】
癌は、具体的に、以下の組織学的タイプのものであることができるが、これらに限定されない:新生物、悪性;癌腫;癌腫、未分化;巨大紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮細胞癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛母癌;移行細胞癌;乳頭状移行細胞癌;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管癌;肝細胞癌;混合型肝細胞癌及び胆管癌;索状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫様ポリープにおける腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞腺癌;乳頭状腺癌;色素嫌性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞性腺癌;乳頭状濾胞性腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘液性類表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性腺管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;パジェット病、乳腺;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質性腫瘍、悪性;莢膜腫、悪性;顆粒膜細胞腫瘍、悪性;アンドロブラストーマ、悪性;セルトリ細胞癌;ライディッヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;傍神経節腫、悪性;乳腺外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;グロムス血管肉腫;悪性黒色腫;メラニン欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;肺胞性横紋筋肉腫;間質肉腫;混合腫瘍、悪性;ミューラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胎生期癌;奇形腫、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛腫;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫瘍;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫;星細胞腫;原形質性星細胞腫;原線維性星細胞腫;星芽細胞腫;膠芽腫;希突起膠腫;乏突起神経膠芽細胞腫;原始神経外胚葉性;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽腫;網膜芽腫;嗅覚神経原性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫瘍、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン;側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞型、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;他の特定非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増加症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ様白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;並びに有毛細胞白血病。
【0284】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又はポリペプチドを用いて、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、又は皮膚癌である癌を治療することができる。
【0285】
該ポリペプチド又は抗体は、本明細書において、種々のモダリティにおける抗腫瘍剤として使用することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ポリペプチド又は抗体を抗腫瘍剤として使用する方法であり、したがって、これは、腫瘍細胞の集団を、ポリペプチド又は抗体の治療的有効量と、腫瘍細胞成長を阻害するのに十分な期間接触させることを含む。
【0286】
様々な送達系も公知であり、これらを用いて、抗グリコシル化BTLA抗体もしくは関連分子、又は関連医薬組成物を投与することができ、該送達系には、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、該抗体又は融合タンパク質を発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu及びWuの文献、1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432)、レトロウイルス又は他のベクターの一部としての核酸の構築などがある。
【0287】
本明細書に提供される投与方法としては、注射、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、及び皮下)、硬膜外投与、並びに粘膜(例えば、鼻腔内及び経口経路)投与によるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体、他の分子、又は医薬組成物は、筋肉内、静脈内、皮下、静脈内、腹腔内、経口、筋肉内、皮下、腔内、経皮、又は皮膚投与される。該組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば、注入又はボーラス注射によって、上皮又は粘膜皮膚層(例えば、口腔粘膜、直腸、及び腸粘膜など)からの吸収によって投与することができ、かつ他の生体活性剤と一緒に投与することができる。投与は、全身性又は局所性であることができる。さらに、例えば、吸入器又はネブライザー、及びエアロゾル化剤を含む製剤を用いて、肺投与を利用することもできる。例えば、米国特許第6,019,968号;第5,985,20号;第5,985,309号;第5,934,272号;第5,874,064号;第5,855,913号;第5,290,540号;及び第4,880,078号; PCT公開WO 92/19244号;WO 97/32572号;WO 97/44013号;WO 98/31346号;並びにWO 99/66903号を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体、他の分子、又は医薬組成物は、治療を必要としている部分に局所投与され、これは、例えば、局所注入によるか、注射によるか、又はインプラントによって達成することができ、該インプラントは、多孔性、無孔性、又はゼラチン状材料のものであり、これには、シアラスティック(sialastic)膜などの膜、又は繊維が含まれる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体又は他の分子を投与する場合、該抗体又は他の分子が吸収しない材料を使用することに留意する。
【0288】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又はポリペプチドは、標的送達のためにリポソーム中に製剤化される。リポソームは、水相を封入する同心円状に配列されたリン脂質二重層から構成された小胞である。リポソームは、通常、様々なタイプの脂質、リン脂質、及び/又は界面活性物質を有する。リポソームの成分は、生体膜の脂質配置と同様の二重層立体配置で配置される。リポソームは、一つには、その生体適合性、低免疫原性、及び低毒性のために、有用な送達ビヒクルであり得る。リポソームの調製方法は当技術分野で公知であり、かつ本明細書に提供されている。例えば、Epsteinらの文献、1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688; Hwangらの文献、1980 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030-4; 米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0289】
本明細書に提供されるのは、血清半減期が延長された、すなわち、循環時間が改善されたリポソーム、例えば、米国特許第5,013,556号に開示されているリポソームを調製する方法でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法において使用されるリポソームは、循環から速やかには消失しない、すなわち、単核食細胞系(MPS)に取り込まれない。本明細書に提供されるのは、当業者に公知の一般的な方法を用いて調製される立体的に安定化されたリポソームでもある。立体的に安定化されたリポソームは、嵩高くかつ可撓性の高い親水性部分を有する脂質成分を含むことができ、これにより、リポソームと血清タンパク質との望ましくない反応が低下し、血清成分とのオプソニン作用(oposonization)が低下し、かつMPSによる認識が低下する。立体的に安定化されたリポソームは、ポリエチレングリコールを用いて調製することができる。リポソーム及び立体的に安定化されたリポソームの調製については、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Bendasらの文献、2001 BioDrugs, 15(4): 215-224; Allenらの文献、1987 FEBS Lett. 223: 42-6; Klibanovらの文献、1990 FEBS Lett., 268: 235-7; Blumらの文献、1990, Biochim. Biophys. Acta., 1029: 91-7; Torchilinらの文献、1996, J. Liposome Res. 6: 99-116; Litzingerらの文献、1994, Biochim. Biophys. Acta, 1190: 99-107; Maruyamaらの文献、1991, Chem. Pharm. Bull., 39: 1620-2; Klibanovらの文献、1991, Biochim Biophys Acta, 1062; 142-8; Allenらの文献、1994, Adv. Drug Deliv. Rev, 13: 285-309を参照されたい。
【0290】
本明細書に提供されるのは、特定臓器ターゲッティング(例えば、米国特許第4,544,545号を参照)、又は特定細胞ターゲッティング(例えば、米国特許出願第2005/0074403号を参照)に適応しているリポソームでもあり、これらの文献は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。本明細書に提供される組成物及び方法において使用するための特に有用な免疫リポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いた逆相蒸発法によって作製することができる。リポソームを規定の孔径のフィルターから押し出して、所望の直径を有するリポソームを生じさせる。いくつかの実施態様において、抗原結合断片、例えば、F(ab')を有する分子を、以前に記載されている方法を用いて、リポソームにコンジュゲートすることができる。例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Martinらの文献、1982, J. Biol. Chem. 257: 286-288を参照されたい。
【0291】
本明細書に記載されるヒト化又はキメラ抗体は、免疫リポソームとして製剤化することもできる。免疫リポソームは、抗体又はその断片が、共有結合的に又は非共有結合的に、リポソーム表面に連結されているリポソーム組成物を指す。抗体をリポソーム表面に連結する化学反応は当技術分野で公知であり、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,787,153; Allenらの文献、1995, Stealth Liposomes, Boca Rotan: CRC Press, 233-44; Hansenらの文献、1995, Biochim. Biophys. Acta, 1239: 133-144を参照されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法及び組成物において使用するための免疫リポソームはさらに立体的に安定化される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒト化抗体は、リポソームの脂質二重層中に安定に根を下ろしている疎水性アンカーに共有結合的に又は非共有結合的に連結される。疎水性アンカーの例としては、リン脂質、例えば、ホソアチジルエタノールアミン(phosoatidylethanolamine)(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)が挙げられるが、これらに限定されない。抗体と疎水性アンカーの間の共有結合的連結を達成するために、当技術分野における既知の生化学的戦略のいずれかを使用することができ、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、J. Thomas August編、1997、遺伝子治療:薬理学の進歩(Gene Therapy: Advances in Pharmacology)、第40巻、Academic Press, San Diego, Calif., p. 399-435を参照されたい。例えば、抗体分子上の官能基は、リポソーム関連疎水性アンカー上の活性基と反応することができ、例えば、抗体上のリジン側鎖のアミノ基を水溶性カルボジイミドで活性化されたリポソーム関連N-グルタリル-ホスファチジルエタノールアミンにカップリングさせることができるか;又は還元された抗体のチオール基を、ピリジルチオプロピオニルホスファチジルエタノールアミンなどのチオール反応性アンカーを介してリポソームにカップリングさせることができる。例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Dietrichらの文献、1996, Biochemistry, 35: 1100-1105; Loughreyらの文献、1987, Biochim. Biophys. Acta, 901: 157-160; Martinらの文献、1982, J. Biol. Chem. 257: 286-288; Martinらの文献、1981, Biochemistry, 20: 4429-38を参照されたい。抗グリコシル化BTLA抗体を有する免疫リポソーム製剤は、活性成分を、標的細胞、すなわち、抗体が結合する受容体を含む細胞の細胞質に送達するので、治療剤として特に有効であることができる。いくつかの実施態様において、該免疫リポソームは、血液、特に、標的細胞における増大した半減期を有することができ、該標的細胞の細胞質へと内在化されることができ、それにより、治療剤の消失又はエンドリソソーム経路による分解を回避する。
【0292】
本明細書に提供される免疫リポソーム組成物は、1以上の小胞形成脂質、本発明の抗体もしくは他の分子、又はこれらの断片もしくは誘導体、及び任意に、親水性ポリマーを有することができる。小胞形成脂質は、アシル鎖と極性頭部基などの、2つの炭化水素鎖を有する脂質であることができる。小胞形成脂質の例としては、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、及び糖脂質、例えば、セレブロシド、ガングリオシドが挙げられる。本明細書に提供される製剤において有用な追加の脂質は当業者に公知であり、本記載に包含される。いくつかの実施態様において、免疫リポソーム組成物は、リポソームの血清半減期を増大させる親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール及びガングリオシドGM1をさらに含む。親水性ポリマーをリポソームにコンジュゲートする方法は当技術分野で周知であり、本記載に包含される。追加の例示的な免疫リポソーム及びその調製方法は、例えば、米国特許出願公開第2003/0044407号; PCT国際公開WO 97/38731号、Vingerhoeadsらの文献、1994, Immunomethods, 4: 259-72; Maruyamaの文献、2000, Biol. Pharm. Bull. 23(7): 791-799; Abraらの文献、2002, Journal of Liposome Research, 12(1&2): 1-3; Parkの文献、2002, Bioscience Reports, 22(2): 267-281; Bendasらの文献、2001 BioDrugs, 14(4): 215-224, J. Thomas August編、1997、遺伝子治療:薬理学の進歩(Gene Therapy: Advances in Pharmacology)、第40巻、Academic Press, San Diego, Calif., p. 399-435に見出すことができ;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0293】
本明細書に提供されるのは、抗グリコシル化BTLA抗体を癌患者に単位用量で投与することにより、該患者を治療する方法でもある。本明細書に提供されるのは、グリコシル化BTLAポリペプチドを癌患者に単位用量で投与することにより、該患者を治療する方法でもある。単位用量は、対象のための単位投薬量として好適な物理的に分離された単位を指し、各々の単位は、必要とされる希釈剤、すなわち、担体、又はビヒクルと関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性材料を含む。
【0294】
該抗体、ポリペプチド、又は組成物は、投薬製剤に適合するようにかつ治療的有効量で投与される。投与されるべき量は、治療を受けることになる対象、活性成分を利用する対象のシステムの能力、及び所望の治療効果の程度によって決まる。投与される必要がある活性成分の正確な量は医師の判断によって決まり、各々の個々の対象に特有である。しかしながら、全身適用のための好適な投薬量範囲が本明細書に開示されており、これは投与経路によって決まる。初期投与及びブースター投与のための好適なレジメンも企図されており、これには、通常、初期投与と、それに続く、後の注射又は他の投与による1時間以上の間隔をおいた反復投与が含まれる。例示的な複数回投与が本明細書に記載されており、これは、ポリペプチド又は抗体の絶え間なく高い血清及び組織レベルを維持するために有用である。或いは、血中濃度をインビボ療法に対して規定された範囲に維持するのに十分な連続的な静脈内注入が企図される。
【0295】
治療的有効量は、所望の効果を達成するように計算された所定の量である。通常、投薬量は、患者の年齢、状態、性別、及び疾患の度合いによって異なり、当業者によって決定されることができる。投薬量は、何らかの合併症の場合には、個々の医師によって調整されることができる。
【0296】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物は、アンプル又はサシェなどの密閉容器中に包装される。一実施態様において、本明細書に提供される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物は、密閉容器中に、乾燥滅菌された凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として供給され、例えば、対象への投与に適切な濃度まで、水又は生理食塩水で再構成されることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物は、密閉容器中に、乾燥滅菌された凍結乾燥粉末として、少なくとも5mg、より好ましくは、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、又は少なくとも75mgの単位投薬量で供給される。本明細書に提供される凍結乾燥抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物は、そのもとの容器中に2~8℃で保存されるべきであり、かつ再構成されてから12時間以内、好ましくは、6時間以内、5時間以内、3時間以内、又は1時間以内に投与されるべきである。代わりの実施態様において、本明細書に提供される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物は、液体形態で、該抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の量及び濃度を示す密閉容器中に供給される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の液体形態は、密閉容器中に、少なくとも1mg/ml、より好ましくは、少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/ml、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも100mg/ml、少なくとも150mg/ml、少なくとも200mg/mlで供給される。
【0297】
製剤中で利用されるべき正確な用量は、投与経路、及び疾病の重篤度によって決まり、医師の判断及び各々の患者の状況によって決定されるべきである。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導き出される用量応答曲線から推定することができる。抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドについて、患者に投与される投薬量は、通常、患者の体重1kg当たり0.01mg~100mgである。いくつかの実施態様において、患者に投与される投薬量は、患者の体重1kg当たり0.01mg~20mg、0.01mg~10mg、0.01mg~5mg、0.01~2mg、0.01~1mg、0.01mg~0.75mg、0.01mg~0.5mg、0.01mg~0.25mg、0.01~0.15mg、0.01~0.10mg、0.01~0.05mg、又は0.01~0.025mgである。特に、患者に投与される投薬量は、0.2mg/kg、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、6mg/kg、又は10mg/kgであることができる。0.01mg/kg程度の低い用量でもかなりの薬力学的効果を示すと予測される。0.10~1mg/kgの用量レベルが最も適切であると予想される。より高い用量(例えば、1~30mg/kg)も活性があると予測することができる。通常、ヒト抗体は、外来ポリペプチドに対する免疫応答のために、ヒト体内で他の種由来の抗体よりも長い半減期を有する。したがって、より少ない投薬量のヒト抗体及びより低い頻度の投与を実施することができる。さらに、本明細書に提供される抗体又はポリペプチドの投薬量及び投薬頻度は、例えば、脂質化などの修飾によって、抗体の取込み及び組織浸透を増強することにより低下させることができる。
【0298】
さらに別の実施態様において、該組成物は、制御放出系又は持続放出系で送達することができる。当業者に公知の任意の技法を用いて、本明細書に提供される1以上の抗体、分子、又は医薬組成物を有する持続放出製剤を産生することができる。例えば、米国特許第4,526,938号; PCT公開WO 91/05548号; PCT公開WO 96/20698号; Ningらの文献、Radiotherapy & Oncology 39:179-189(1996)、Songらの文献、PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397(1995); Cleekらの文献、Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854(1997);及びLamらの文献、Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760(1997)を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。一実施態様において、ポンプを制御放出系において使用することができる(Langerの文献、上記; Seftonの文献、1987, CRC Crit. Ref Biomed. Eng. 14:20; Buchwaldらの文献、1980, Surgery 88:507;及びSaudekらの文献、1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照)。別の実施態様において、ポリマー材料を用いて、抗体又はポリペプチドの制御放出を達成することができる(例えば、制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release)、Langer及びWise(編)、CRC Pres., Boca Raton, Fla.(1974);制御された薬物バイオアベイラビリティ、医薬品設計、及び性能(Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance)、Smolen及びBall(編)、Wiley, New York(1984); Ranger及びPeppasの文献、1983, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照されたく; Levyらの文献、1985, Science 228:190; Duringらの文献、1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardらの文献、1989, J. Neurosurg. 7 1:105);米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号; PCT公開WO 99/15154号;及びPCT公開WO 99/20253号も参照);これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0299】
持続放出製剤において使用することができるポリマーの例としては、ポリ(-ヒドロキシメタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。さらに別の実施態様において、制御放出系を治療標的(例えば、肺)の近傍に配置することができ、そのため、ごくわずかの全身用量しか必要とされない(例えば、Goodsonの文献、制御放出の医学的応用(Medical Applications of Controlled Release)、上記、第2巻、pp. 115-138(1984)を参照)。別の実施態様において、制御放出インプラントとして有用なポリマー組成物は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Dunnらの文献(米国特許第5,945,155号を参照)に従って使用される。ポリマー系からの生体活性材料のインサイチュ制御放出の治療効果に基づいて、埋込みは、通常、治療的処置を必要としている患者の体内のどこにでも行うことができる。
【0300】
別の実施態様において、対象の体内の非ポリマー性インプラントが薬物送達系として使用される、非ポリマー性の持続送達系が使用される。体内に埋め込むと、インプラントの有機溶媒が組成物から周囲の組織液中に放散、分散、又は浸出し、非ポリマー性材料が徐々に凝固又は沈殿して、固体の微孔性マトリックスを形成する(米国特許第5,888,533号を参照)。制御放出系は、Langerによる総説(1990, Science 249:1527-1533)でも考察されている。当業者に公知の任意の技法を用いて、本明細書に提供される1以上の治療剤を含む持続放出製剤を産生することができる。例えば、米国特許第4,526,938号;国際公開WO 91/05548号及び第WO 96/20698号; Ningらの文献、1996, Radiotherapy & Oncology 39:179-189; Songらの文献、1995, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397; Cleekらの文献、1997, Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854;及びLamらの文献、1997, Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760を参照されたく;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0301】
本明細書に提供されるのは、組成物が本明細書に提供される抗体又はポリペプチドをコードする核酸を有する実施態様でもあり、ここで、該核酸を適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、例えば、レトロウイルスベクターの使用によるか(米国特許第4,980,286号を参照)、又は直接注射によるか、又は微粒子衝撃(例えば、遺伝子銃; Biolistic, Dupont)の使用によるか、又は脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクション剤をコーティングすることによるか、又は核に進入することが知られているホメオボックス様ペプチドに連結させて投与することによって、該核酸が細胞内となるように投与することにより、該核酸をインビボで投与し、それがコードする抗体又はポリペプチドの発現を促進することができる(例えば、Joliotらの文献、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868を参照)。或いは、核酸を細胞内に導入し、発現のために相同組換えによって宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
【0302】
本明細書に提供される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の治療的有効量による対象の治療は、単一の治療又は一連の治療を含むことができる。本明細書に提供される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物を全身又は局所投与して、疾患を治療する、例えば、腫瘍細胞成長を阻害するか、又は局所的な進行性もしくは転移性癌を有する癌患者の癌細胞を死滅化させることができることが企図される。これらは、静脈内、髄腔内、及び/又は腹腔内に投与することができる。これらは、単独で又は抗増殖薬と組み合わせて投与することができる。一実施態様において、これらを投与して、手術又は他の処置の前に患者における癌負荷を低下させることができる。或いは、これらを手術後に投与して、残存する癌(例えば、手術で除去することができなかった癌)が生存しないようにすることができる。いくつかの実施態様において、これらを原発性癌の退縮後に投与して、転移を予防することができる。
【0303】
(7.5.組合せ治療)
ある実施態様において、本実施態様の組成物及び方法は、第二の又は追加の療法と組み合わせた、グリコシル化BTLAポリペプチド又はグリコシル化BTLAに選択的に結合する抗体の投与を含む。そのような療法は、BTLA又はグリコシル化BTLAと関連する任意の疾患の治療において適用することができる。例えば、該疾患は癌であることができ、該第二の療法は、抗癌療法又は抗過剰増殖療法である。
【0304】
組合せ療法を含む、方法及び組成物は、治療的もしくは予防的効果を増強し、及び/又は別の抗癌療法もしくは抗過剰増殖療法の治療的効果を増大させる。治療的及び予防的な方法及び組成物は、癌細胞の死滅化及び/又は細胞過剰増殖の阻害などの、所望の効果を達成するのに有効な組合せ量で提供することができる。このプロセスは、ポリペプチド又は抗体及び第二の療法を投与することを含むことができる。第二の療法は、直接的な細胞傷害性効果を有していても、有していなくてもよい。例えば、第二の療法は、直接的な細胞傷害性効果を有さずに、免疫系を上方調節する薬剤であることができる。組織、腫瘍、又は細胞を、薬剤(例えば、抗体又は抗癌剤)のうちの1つ又は複数を含む1以上の組成物又は薬理学的製剤に曝露させることができ、或いは組織、腫瘍、及び/又は細胞を、1つの組成物が、1)ポリペプチド又は抗体、2)抗癌剤、又は3)ポリペプチドもしくは抗体と抗癌剤の両方を提供する、2以上の異なる組成物又は製剤と曝露させることができる。また、そのような組合せ療法を化学療法、放射線療法、外科的療法、又は免疫療法と一緒に使用することができることが企図される。
【0305】
細胞に適用される場合の「接触した」及び「曝露された」という用語は、治療的ポリペプチド又は抗体及び化学療法又は放射線治療剤が標的細胞に送達されるか又は標的細胞と直に並んで配置されるプロセスを説明するために本明細書で使用される。細胞の死滅化を達成するために、例えば、両方の薬剤は、細胞を死滅させるか又は細胞が分裂するのを妨げるのに有効な組合せ量で細胞に送達される。
【0306】
抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドは、第二の又は追加の抗癌治療の前、その間、その後、又はそれに対する様々な組合せで投与することができる。投与は、同時から数分まで、数日まで、数週間までに及ぶ間隔であることができる。該抗体又はポリペプチドが抗癌剤とは別に患者に提供される実施態様においては、2つの化合物が依然として有利に組み合わされた効果を患者に対して発揮することができるように、一般に、各々の送達の時間の間で相当な時間が過ぎないことが保証されることになる。そのような状況においては、互いに約12~24又は72時間以内に、より詳細には、互いに約6~12時間以内に、抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチド及び第二の療法を患者に提供することができることが企図される。いくつかの状況においては、それぞれの投与の間に、数日(2、3、4、5、6、又は7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、又は8週間)が経過する場合、治療の期間をかなり延長することができる。
【0307】
ある実施態様において、一連の治療は、1~90日又はそれより長く続くことができる(そのようなこの範囲には介入日が含まれる)。ある薬剤が1日目~90日目(そのようなこの範囲には介入日が含まれる)のいずれかの日又はその任意の組合せに投与されることができ、別の薬剤が1日目~90日目(そのようなこの範囲には介入日が含まれる)のいずれかの日又はその任意の組合せに投与されることが企図される。1日(24時間の期間)のうちに、患者は、1回又は複数回の薬剤の投与を受けることができる。さらに、一連の治療の後、抗癌治療が投与されない期間があることが企図される。この期間は、患者の状態、例えば、その予後、強度、健康などに応じて、1~7日及び/又は1~5週間及び/又は1~12カ月又はそれより長い間(そのようなこの範囲には介入日が含まれる)続くことができる。治療サイクルは、必要に応じて、反復することができる。
【0308】
様々な組合せを利用することができる。下記は、抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドを「A」とし、第二の抗癌療法を「B」とする治療に関するいくつかの例である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A。
【0309】
第二の療法と組み合わせた、本明細書に提供される任意の抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の患者への投与は、もしあれば、第二の療法の毒性を考慮して、そのような第二の療法の投与についての一般的なプロトコルに従う。したがって、いくつかの実施態様において、組合せ療法に起因する毒性をモニタリングする工程がある。
【0310】
(化学療法)
多種多様な化学療法剤を、本実施態様に従い、第二の療法として使用することができる。化学療法剤は、癌の治療において投与される化合物又は組成物であることができる。これらの薬剤又は薬物を、細胞内でのその活性の様式、例えば、それらが細胞周期に影響を及ぼすかどうかということ及びそれらがどの段階で細胞周期の影響を及ぼすかということによって分類することができる。或いは、薬剤は、DNAを直接架橋するその能力、DNAにインターカレートするその能力、又は核酸合成に影響を及ぼすことにより染色体及び有糸分裂異常を誘発するその能力に基づいて特徴付けることができる。
【0311】
化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ;エチレンイミン、並びにアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むメチラメラミン(methylamelamine);アセトゲニン(とりわけ、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン; CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体のKW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;窒素マスタード、例えば、クロラムブシル、クロロナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンγII及びカリケアマイシンωII);ダインマイシンAを含むダインマイシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラルナイシン(authrarnycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えば、マイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラルナイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、プテロプテリン、及びトリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、及びチオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトン;抗副腎薬(anti-adrenal)、例えば、ミトタン及びトリロスタン;葉酸補給剤、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えば、メイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸; 2-エチルヒドラジド;プロカルバジン; PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン; 2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドセタキセル ゲムシタビン; 6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメトルヒルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン(plicomycin)、ゲムシタビエン(gemcitabien)、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、並びに上記のもののいずれかの医薬として許容し得る塩、酸、又は誘導体が挙げられる。
【0312】
(放射線療法)
本明細書に記載される方法及び組成物と組み合わせて使用することができる別の従来の抗癌療法は、放射線療法(radiotherapy)、又は放射線療法(radiation therapy)である。放射線療法には、腫瘍細胞へのγ線、X線、及び/又は放射性同位体の有向送達の使用が含まれる。マイクロ波、プロトンビーム照射(米国特許第5,760,395号及び第4,870,287号;これらは全て引用により完全に本明細書中に組み込まれる)、並びにUV照射などの、他の形態のDNA損傷因子も企図される。これらの因子は全て、DNAに対する、DNAの前駆体に対する、DNAの複製及び修復に対する、並びに染色体の集合及び維持に対する広範囲の損傷に影響を及ぼす可能性が最も高い。
【0313】
腫瘍微小環境は、腫瘍に浸潤し、かつ免疫応答を抑制するように機能する骨髄由来サプレッサー細胞及び調節性T細胞が存在するため、本質的に抑制性である。さらに、T細胞及び抗原提示細胞(APC)上での特定の抑制性分子の発現は、効果的な免疫応答を制限することができる。放射線は、腫瘍細胞のアポトーシス、老化、オートファジーの誘導によって抗腫瘍効果を媒介し、いくつかの状況では、より効果的な免疫応答を刺激することができる。
【0314】
未照射部位への効果は、原発性腫瘍への標的放射が放射の場ではない離れた部位で抗腫瘍応答を誘導する生理学的プロセスである。未照射部位への効果の原因となる機構は、免疫媒介性であり、かつT細胞への腫瘍抗原提示の増強、並びに局所及び全身免疫応答を刺激するサイトカイン及び他の炎症促進性因子の放出を伴うと考えられる。未照射部位への効果は放射線治療を受ける原発性腫瘍から遠位に位置する腫瘍に影響を及ぼすので、未照射部位への効果を誘発することができる薬剤は、ひとたび体内の二次部位に広がってしまうと治療がより難しいことが多い転移性腫瘍を治療する際に特に有利であろう。
【0315】
本明細書に記載される抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドは、局所及び全身免疫応答を刺激することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の治療的有効量を、放射線療法の前に、それと同時に、又はその後に投与して、未照射部位への相乗効果を達成する。
【0316】
いくつかの実施態様において、照射に対して宿主の腫瘍を効果的に増感させる本明細書に記載される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の治療的有効量が投与される。照射は、電離放射線、特に、γ線であることができる。いくつかの実施態様において、γ線は、線形加速器によるか又は放射性核種によって放出される。放射性核種による腫瘍への照射は、外部から又は内部からであることができる。
【0317】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の投与は、腫瘍への照射より最大1カ月、特に、最大10日又は1週間前に開始する。さらに、腫瘍への照射を分割し、本明細書に記載される抗体、ポリペプチド、又は医薬組成物の投与を最初の照射期間と最後の照射期間の合間で維持する。
【0318】
照射は、X線であることもできる。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)にわたる50~200レントゲンの1日線量から2000~6000レントゲンの単一線量にまで及ぶ。放射性同位体の線量範囲はばらつきが大きく、同位体の半減期、放出される放射線の強さ及び種類、並びに腫瘍性細胞による取込みによって決まる。
【0319】
(免疫療法)
当業者は、免疫療法を本実施態様の方法と組み合わせて又は一緒に使用することができることを理解しているであろう。癌治療との関連において、免疫療法薬は、通常、癌細胞の標的化及び破壊を免疫エフェクター細胞及び免疫エフェクター分子の使用に頼っている。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))は、そのような例である。例えば、イピルミマブ(ipilumimab)などのチェックポイント阻害剤は、別のそのような例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面のあるマーカーに特異的な抗体であることができる。該抗体のみで、療法のエフェクターとしての役割を果たすことができるか、又は該抗体が、他の細胞を動員して、細胞の死滅化に実際に影響を及ぼすことができる。該抗体を、薬物又は毒素(例えば、化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素)にコンジュゲートして、単に標的化剤としての役割を果たすこともできる。或いは、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的に又は間接的に相互作用する表面分子を保有するリンパ球であることができる。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞及びNK細胞が含まれる。
【0320】
免疫療法の一態様において、腫瘍細胞は、標的化に適している、すなわち、大多数の他の細胞には存在しない何らかのマーカーを有する。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらはいずれも、本実施態様との関連における標的化に好適であることができる。一般的な腫瘍マーカーとしては、CD20、癌胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb B、及びp155が挙げられる。免疫療法の代わりの態様は、抗癌作用を免疫刺激作用と組み合わせることである。免疫刺激分子も存在し、これには: IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、γ-IFNなどのサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8などのケモカイン、及びFLT3リガンドなどの成長因子が含まれる。
【0321】
現在研究中又は使用中の免疫療法の例としては、免疫アジュバント、例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物(米国特許第5,801,005号及び第5,739,169号; Hui及びHashimotoの文献、Infect Immun., 66(11):5329-36(1998); Christodoulidesらの文献、Microbiology, 66(11):5329-36(1998));サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、及びγ、IL-1、GM-CSF、並びにTNF(Bukowskiらの文献、Clin Cancer Res., 4(10):2337-47(1998); Davidsonらの文献、J Immunother.,21(5):389-98(1998); Hellstrandらの文献、Acta Oncol. 37(4):347-53(1998));遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、及びp53(Qinらの文献、Proc Natl Acad Sci U S A, 95(24):14411-6(1998); Austin-Ward及びVillasecaの文献、Rev Med Chil, 126(7):838-45(1998);米国特許第5,830,880号及び第5,846,945号);並びにモノクローナル抗体、例えば、抗PD1、抗PDL1、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、及び抗p185(Topalianらの文献、The New England journal of medicine, 366:2443-2454(2012); Brahmerらの文献、The New England journal of medicine 366:2455-2465(2012); Hollanderの文献、Front Immunol(2012): 3:3. doi: 10.3389/fimmu.2012.00003; Hanibuchiらの文献、Int J Cancer, 78(4):480-5(1998);米国特許第5,824,311号)があり;これらの文献は全て、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。1以上の抗癌療法を、抗グリコシル化BTLA抗体又はグリコシル化BTLAポリペプチドの使用を含む本明細書に記載される療法とともに利用することができることが企図される。
【0322】
(手術)
癌を有する人の約60%が何らかのタイプの手術を受けることになり、これには、予防手術、診断又はステージング手術、根治手術、及び緩和手術が含まれる。根治手術には、癌性組織の全て又は一部が物理的に除去、摘出、及び/又は破壊され、本実施態様の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、及び/又は代替療法などの他の療法と一緒に使用し得る切除が含まれる。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除に加えて、手術による治療には、レーザー手術、凍結手術、電気手術、及び顕微鏡下手術(モース術)が含まれる。
【0323】
癌性細胞、組織、又は腫瘍の一部又は全てを摘出するときに、体内に空洞が形成される場合がある。治療は、この部分への追加の抗癌療法の灌流、直接注射、又は局所適用によって達成することができる。そのような治療は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日毎に、又は1、2、3、4、及び5週間毎に、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしく12カ月毎に反復することができる。これらの治療は、様々な投薬量のものであることもできる。
【0324】
(他の薬剤)
他の薬剤を本実施態様のある態様と組み合わせて用いて、治療の治療有効性を改善することができることが企図される。これらの追加の薬剤としては、細胞表面受容体及びGAP結合の上方調節に影響を及ぼす薬剤、細胞増殖抑制剤及び分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖細胞の感受性を増大させる薬剤、又は他の生物学的薬剤が挙げられる。GAP結合の数を増加させることによる細胞間シグナル伝達の増大は、隣接する過剰増殖細胞集団への抗過剰増殖効果を増大させることができる。他の実施態様において、細胞増殖抑制剤又は分化剤を本実施態様のある態様と組み合わせて用いて、治療の抗過剰増殖効力を改善することができる。細胞接着の阻害剤は本実施態様の有効性を改善することが企図される。細胞接着阻害剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンである。アポトーシスに対する過剰増殖細胞の感受性を増大させる他の薬剤、例えば、抗体c225を本実施態様のある態様と組み合わせて用いて、治療有効性を改善することができることがさらに企図される。
【0325】
(7.6.キット及び診断薬)
様々な態様において、本明細書に提供されるのは、治療剤並びに/又は他の治療剤及び送達剤を含むキットである。いくつかの実施態様において、キットは、本明細書に提供される療法を準備及び/又は投与するために企図される。該キットは、本明細書に提供される医薬組成物のいずれかを含む1以上の密閉バイアルを含むことができる。該キットは、例えば、少なくとも抗グリコシル化BTLA抗体、又はグリコシル化BTLAポリペプチド、並びに本明細書に提供される成分を調製、製剤化、及び/もしくは投与し、又は本明細書に提供される方法の1以上の工程を実施するための試薬を含むことができる。
【0326】
いくつかの実施態様において、該キットは、抗グリコシル化BTLA抗体及び少なくとも1つの補助試薬を含むことができる。いくつかの実施態様において、該キットは、グリコシル化BTLAポリペプチド及び少なくとも1つの補助試薬を含むことができる。
【0327】
いくつかの実施態様において、該キットは、第二の抗癌剤をさらに含む。第二の抗癌剤は、化学療法剤、免疫療法剤、ホルモン療法剤、又はサイトカインであることができる。
【0328】
いくつかの実施態様において、該キットは、好適な容器手段を含むこともでき、これは、該キットの構成要素と反応しない容器、例えば、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、シリンジ、ボトル、又はチューブである。該容器は、滅菌可能な材料、例えば、プラスチック又はガラスから作られたものであることができる。
【0329】
該キットは、本明細書に記載される方法の手順の工程を概説する指示書をさらに含むことができ、かつ本明細書に記載される又は当業者に公知であるものと実質的に同じ手順に従う。指示書の情報は、コンピュータを用いて実行されたときに、本明細書に提供される抗体又はポリペプチドの医薬有効量を送達する現実の又は仮想の手順のディスプレイを生じさせる機械可読指示を含むコンピュータ可読媒体の中にあることができる。該キットは、は、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって定められた形での注意書きを含むこともでき、この注意書きは、該機関による、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の認可を示すものである。
【実施例】
【0330】
(8.実施例)
本明細書に記載される様々な実施態様の性質及び精神を実質的には変化させない修飾も企図されることが理解される。したがって、以下の例は、例示するものであるが、決して限定するものではないことが意図される。
【0331】
(実施例1-グリコシル化BTLA結合抗体の産生)
標準的な技法を用いて(例えば、グリコシル化エピトープを免疫原として含むポリペプチドをラットに注射することにより(Aurrand-Lionsらの文献、Immunity, 5, 391-405(1996))、一連のモノクローナル抗体を組換えグリコシル化BTLAポリペプチドに対して産生する。簡潔に述べると、100μgのKLHキャリアタンパク質(キーホールリンペットヘモシアニン、Pierce)にカップリングされ、アジュバントS6322(Sigma)と混合されたヒトグリコシル化BTLAポリペプチドを用いて、雌Wisterラットを免疫することができる。合計、3回の注射を9日毎に行う。ヒトグリコシル化BTLAポリペプチドの最後のs.c.注射から2日後、流入領域リンパ節由来の芽球をSp2/0細胞と融合させ、ハイブリドーマを選択する。成長しているクローンを、ヒトグリコシル化BTLAを特異的に認識するモノクローナル抗体の産生について、ELISAによりスクリーニングする。陽性クローンをサブクローニングし、再スクリーニングし、さらに試験する。抗体を、製造業者の指示に従って、プロテインG-セファロースカラム(GE HealthCare)で精製する。このモノクローナル抗体を用いて、インビボ腫瘍移植片モデルを検討する。抗体のVH鎖及びVL鎖をシークエンシングし、相補性決定領域(CDR)をIMGT付番体系によって決定する(Lefrancらの文献、Nuc. Acids Res., 27:209-212(1999))。
【0332】
上に示されているように、例えば、ヒト疾患のインビボ治療における使用を含む、特定の目的のために、マウスモノクローナル抗体のヒト化誘導体を利用することが好ましい。そのようなヒト化抗体を形成させるためには、フレームワーク配列中の差異を同定するために、マウスモノクローナル抗体のフレームワーク配列(「親」配列)を最初に1組の「アクセプター」ヒト抗体のフレームワーク配列と整列させる。ヒト化を、親とアクセプターの間で一致しないフレームワーク残基を置換することにより達成する。潜在的に重要な位置における置換、例えば、バーニアゾーン、VH/VL鎖間接触面、又はCDRの標準的なクラスを決定する位置における置換を予想される復帰突然変異について解析した(Foote, J.らの文献、J. Molec. Biol. 224:487-499(1992)を参照)。
【0333】
保存ドメインデータベース(COD)(Marchler-Bauerらの文献(2011) Nucleic Acids Res. 39:D225-D229)を用いて、各々のアミノ酸鎖のドメインの中身及び各々のドメインのおおよその境界を決定することができる。いくつかの一般的に使用される定義に従って、可変ドメイン境界をCDRの境界とともに正確に決定することができる(Kabat, E. A.らの文献(1991)「免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、 第5版、NIH Publication No. 91-3242; Chothia, C.らの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917(1987); Honegger, A.らの文献、J. Molec. Biol. 309(3):657-670(2001))。
【0334】
マウス及びヒト生殖系列配列に対する親配列の多重アラインメントをMAFFT(Katoh, K.らの文献、Nucleic Acids Res. 30: 3059-3066(2002))を用いて作成し、各々のアラインメントのエントリーを親配列との配列同一性に従って順序付ける。100%の配列同一性でクラスタリングし、冗長なエントリーを除外することにより、参照セットを唯一の配列セットにまで減らす。
【0335】
最適なアクセプターフレームワーク選択は、両鎖のフレームワークにわたるアクセプターに対する親抗体全体の配列同一性に基づくが; VH/VL鎖間接触面を含む位置は、特に関心のある対象である。さらに、どの生殖系列フレームワークが同じ接触面残基を有し、なおかつ同様のCDR-ループ立体構造を支持することが知られるかを決定するために、CDRのうちの5つについて定義されている一連の個別の標準構造の原因となるCDR-ループの長さ及びCDRの位置(Chothia, C.らの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917(1987); Martin, A. C.らの文献、J. Molec. Biol 263:800-815(1996); Al-Laziniki, B.らの文献、J. Molec. Biol. 273:927-948(1997))を生殖系列と比較する。
【0336】
ヒト生殖系列に対する親抗体の配列アラインメントに基づいて、最も厳密に一致するエントリーを同定する。好ましいヒト生殖系列の選択は、順序付けされた基準:(1)フレームワークにわたる配列同一性;(2)同一又は同等の鎖間接触面残基;(3)親CDRの標準的な立体構造によるループの支持;(4)発現抗体に見られる重生殖系列と軽生殖系列の組合せ;及び(5)除去する必要のあるN-グリコシル化部位の存在に基づく。
【0337】
ヒト化抗体のFv-領域の構造モデルを作成する。FR及びCDR並びに完全なFvの構造鋳型断片候補を、標的に対するその配列同一性、及び鋳型構造の定性的な結晶学的尺度、例えば、分解能(単位はオングストローム(Å))に基づいて、スコア化し、ランク付けし、抗体データベースから選択する。
【0338】
CDRをFR鋳型に対して構造的に整列させるために、CDRのどちらかの側の5残基をCDR鋳型に含める。断片のアラインメントを重複するセグメントに基づいて作成し、構造的配列アラインメントを作成する。鋳型断片を該アラインメントと一緒にMODELLER(SalI, A.らの文献; J. Molec. Biol. 234:779-815(1993))によって処理した。このプロトコルは、整列させられた構造鋳型のセットから導き出される立体構造の制限を生み出す。この制約を満たした構造の集合を共役勾配手順及び模擬焼き鈍し最適化手順によって作り出す。タンパク質構造のスコア及び立体構造上の制限の充足から導き出されるエネルギースコアに基づいて、モデル構造をこの集合から選択した。モデルを精査し、標的と鋳型の間で異なっていた位置の側鎖を、側鎖最適化アルゴリズム及び最小化エネルギーを用いて最適化した。視覚化及び計算ツール一式を用いて、CDR立体構造の可変性、局所充填、及び表面分析の評価を行い、1以上の好ましいモデルを選択する。
【0339】
親抗体の構造モデルを構築し、原子充填の不足、結合長、結合角、又は二面角の歪みなどの欠陥について精査する。これらの欠陥は、抗体の構造的安定性に関する潜在的な問題を示し得る。モデル化プロトコルは、そのような欠陥を最小限に抑えることを追求する。ヒト化Fvの初期の構造モデルは、全ての安全な置換(すなわち、結合親和性にも安定性にも影響を及ぼさないはずである置換)及び慎重な置換(すなわち、位置置換は行われるが、位置は結合親和性に重要であり得る)を含む。結合親和性の減少又は安定性の低下のリスクと関連すると考えられる位置での置換は改変されない。親の厳密一致変異体モデルではなく、優れた独自モデルを作り出すために、親鋳型の検索とは別に、鋳型の検索及び選択を行う。潜在的置換の評価を行うときに、好ましい置換及び復帰突然変異の効果を反映するように、モデルをアップデートする。
【0340】
本質的に上で記載されているように、マウスモノクローナル抗体(mAb)をヒトグリコシル化BTLAポリペプチドに対して作製した。簡潔に説明すると、BTLAに対する抗体産生ハイブリドーマをSP2/0マウス骨髄腫細胞と、標準的なプロトコルに従って100μgのKLHキャリアタンパク質にカップリングされたヒトグリコシル化BTLAポリペプチドで免疫されたBALB/cマウスから単離された脾臓細胞との融合によって得た。融合前に、FACSを用いて、免疫マウス由来の血清を免疫原への結合について検証した。BTLA WT(完全にグリコシル化されるもの)を過剰発現するT293細胞をビオチンでタグ付け、その後、完全非グリコシル化BTLAを過剰発現するT293細胞と混合した。混合細胞をBTLAに対する一次抗体とともにインキュベートし、FITCとコンジュゲートされた二次抗体でさらに洗浄した。洗浄後、蛍光強度(MFI)を測定して、膜に結合したグリコシル化又は非グリコシル化BTLAに対する抗体の相対的結合を評価した。非グリコシル化BTLAよりもグリコシル化BTLAに対して有意により高いMFIを示す抗体を「糖特異的」抗体として同定した。STC601~STC636と表記されるマウスmAbを産生する36種のハイブリドーマを含む、いくつかのモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを産生した。
【0341】
(実施例2-グリコシル化BTLA結合抗体のアイソタイピング)
STC601~STC636 mAbのアイソタイプを、Sigma-Aldrich ISO2 SIGMAマウスモノクローナル抗体アイソタイピング試薬を用いて、ハイブリドーマ上清のELISA試験によって決定した。
【0342】
手短に説明すると、100μLのハイブリドーマ上清(1:20)又は精製抗体(1μg/mL)を、白色のNunc Maxisorp 96ウェルプレート中、37℃で1時間吸着させ、その後、洗浄し、PBS中の1%BSAで、21℃で30分間ブロッキングし、洗浄し、PBSに1:1000希釈した100μlのアイソタイピング溶液(Sigma Aldrich, St. Louis, MO, US)を21℃で30分間、1:5000の抗ヤギIgG-HRPを21℃で15分間添加し、BioRad Clarity Western ECL基質(BioRad, Hercules, CA, US)及びVictor X3(PerkinElmer, Hopkinton, MA, US)で発色させた。
【0343】
表9は、アイソタイプ決定の結果を示している。STC601~STC636 mAbは、IgG1、IgG2A、IgG2B、及びIgG3/Mアイソタイプを含むことが分かった。
表9:抗BTLA mAb STC601~STC636のアイソタイプ
【表10】
【0344】
(実施例3-グリコシル化BTLA結合抗体のFACS解析)
細胞表面に発現されたBTLAに結合する抗BTLA mAb STC601~STC636の能力を蛍光活性化細胞選別(FACS)によって解析した。
【0345】
簡潔に説明すると、BTLAを293T細胞で組換えにより過剰発現させ、BTLA-293T細胞及び293Tベクター対照に対するSTC601~STC636の結合をFACSによって解析した。
【0346】
(細胞培養、安定トランスフェクト体、及びトランスフェクション)
細胞は全て、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, Manassas, VA, US)から入手した。これらの細胞を10%胎仔ウシ血清(FBS)が補充されたDMEM/F12又はRPMI 1640培地中で成長させた。BTLA安定トランスフェクト体293T細胞を10μg/mLのピューロマイシン(InvivoGen, San Diego, CA, US)を用いて選択した。一過性トランスフェクションのために、細胞に、SNリポソーム(Hu, M. C.らの文献、2004, Cell, 117:225-237)、Lipofectamine 2000、Lipofectamine LTX(Life Technologies, Carlsbad, CA, US)、又はPEIを用いて、BTLAをコードするプラスミドDNAをトランスフェクトした。
【0347】
(フローサイトメトリー)
BTLA又は空ベクターを過剰発現する細胞をトリプシン処理によって単離し、細胞染色バッファー(CSB)(BioLegend, San Diego, CA, US)中に、2×10^6細胞/mLで回収した。50μLの細胞を96ウェル丸底プレートに分注し、そこに、50μLの20μg/mLの一次抗体を添加し、その後、穏やかに混合し、暗所にて4℃で1時間インキュベートした。細胞をCSBで洗浄し、DAPI(1:100)を含む、抗マウスIgG-PEコンジュゲート(10μg/mL)とともに、暗所にて21℃で30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、Guava EasyCyte HT(Millipore Darmstadt, DE)又はFACS Celesta(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ, US)フローサイトメーターを用いて、データを取得した。
【0348】
表10は、細胞表面発現BTLAに対する抗BTLA mAbの結合を示した例示的なFACS解析結果を示している。293T空ベクター対照と比べて、より強い結合FACSシグナル(%ゲートの増加、MRの増加)がBTLA発現293T細胞で観察されたことにより示されるように、STC601~STC636抗BTLA mAbは全て、細胞表面発現BTLAに結合することが分かった。
表10:抗BTLA mAb STC601~STC636のFACS解析
【表11】
【0349】
(実施例4-グリコシル化BTLA結合抗体の糖特異性)
抗BTLA mAbの糖特異性をドットプロット及びウェスタンブロット解析によって解析した。
【0350】
(ドットプロット)
グリコシル化BTLA及び脱グリコシル化(N-グリコシダーゼF(PGNアーゼF)処理)BTLAに対するSTC601~STC636抗BTLA mAbの糖特異的結合をドットプロットアッセイで試験した。
【0351】
手短に説明すると、0.5μg/ウェル(5μg/ml; 1ウェル当たり100μl)のグリコシル化BTLA又は脱グリコシル化BTLAを96ウェルのドットプロット装置(Bio-Dot BioRad, Hercules, CA, US)中のニトロセルロース膜上に固定した。この膜をブロッキングし、その後、ハイブリドーマ上清(5μg/mL; 1ウェル当たり100μl)又は精製マウスモノクローナル抗体(1μg/mL; 1ウェル当たり100μl)とともに4℃で12時間インキュベートした。ニトロセルロース膜上の固定されたBTLAに対する抗体結合を二次抗体(例えば、1:5,000~1:20,000の抗マウスHRP二次抗体; Jackson Labs, Bar Harbor, ME, US)及びイメージング(例えば、SuperSignal West Femto, ThermoFisher Waltham, MA, US又はChemdocイメージャー、BioRad, Hercules, CA, US)によって検出した。
【0352】
図1A及び1Bは、抗BTLA mAb STC601~STC636の例示的なドットプロットアッセイの結果を示している。各々の抗BTLA mAb(0.5μg/ウェルで充填)をグリコシル化BTLA(PNGアーゼF「-」)又は脱グリコシル化BTLA(PNGアーゼF「+」)に対する結合について試験した。非特異的抗体対照(「IgG」、0.25μg/ウェルで充填)及び市販のBTLA参照抗体(BioLegend, San Diego, CA, US, 「BioLegend」、5μg/ウェルで充填)もアッセイに含めた。
図1Aは、試験抗体及び対照の実験レイアウトを示している。
図1Bは、STC601~STC636 mAb及び対照を用いて得られた実験的ドットプロットアッセイの結果を示している。STC602、STC604、STC605、STC606、STC607、STC608、STC609、STC610、STC611、STC612、STC613、STC614、STC616、STC617、 STC618、STC619、STC620、STC621、STC622、STC623、STC624、STC626、STC627、STC628、 STC629、STC630、STC631、STC632、STC634、STC635、及びSTC636を含む、いくつかのモノクローナル抗体は、グリコシル化BTLAに対するグリコール特異的結合を示した。
【0353】
(ウェスタンブロット)
抗BTLA mAbのグリコール特異性を免疫沈降/ウェスタンブロット解析によってさらに解析した。
【0354】
(免疫ブロット解析)
免疫ブロット解析は、以前に記載されているように実施した(Limらの文献、2008, Gastroenterology, 135:2I 28-40;及びLeeらの文献、2007, Cell, 130:440-455)。画像の取得及びバンド強度の定量は、Chemdoc Imager(BioRad, Hercules, CA, US)を用いて実施した。二次抗体は、抗マウス又は抗ウサギAlexa Fluor 488又は594とし、核は、4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)(Life Technologies, Carlsbad, CA, US)で染色した。
【0355】
図2は、抗BTLA mAb STC604、STC605、STC606、STC608、STC610、STC613、STC618、STC622、STC626、STC627、STC628、STC630、STC635、及びSTC636の例示的なウェスタンブロット解析の結果を示している。ウェスタンブロットアッセイにおいて、抗BTLA mAbを、完全にグリコシル化された野生型BTLAを認識するその能力及びBTLAのN-グリコシル化部位のうちの2つ(N75/2NQ、N94/2NQ、N116/2NQ)又は3つ全て(3NQ)を欠く特定のBTLA突然変異体を認識するその能力について試験した。試験された全ての抗体は、グリコシル化された野生型BTLA(WT)を認識することが分かった。さらに、試験された全ての抗BTLA mAbは、BLTAのN75、N94、又はN110で単一のグリコシル化部位しか保持しない1以上のBTLA二重突然変異体を認識することが分かった。全体として、
図2のウェスタンブロットで示されているバンド強度は、試験された抗体の各々によって認識された特異的なグリコシル化モチーフと、該認識されたグリコシル化モチーフに対する試験された抗体の結合強度とを示す。対照的に、試験された全ての抗BTLA mAbは、BTLAのN75、N94、又はN110グリコシル化部位のどれも保持しないBTLA三重突然変異体に対して、あるとしても、バックグラウンド結合しか示さないことが分かった。
【0356】
(実施例5-グリコシル化BTLA結合抗体の結合親和性及びビニング)
STC601~STC636を含む抗BTLA mAbを、BTLAに対するそのそれぞれの結合親和性に関して特徴付け、競合的結合アッセイ及びエピトープビニング実験でさらに評価した。
【0357】
(KD決定及びビニング)
20nM溶液中の抗体/BTLA複合体をForteBioのAPCセンサーに充填し、ベースラインを1mg/mL BSAを含むPBS(アッセイバッファー)で定めた。会合は、抗BTLA抗体を含むアッセイバッファーにセンサーを浸漬させることにより実施した。解離は、新しいアッセイバッファー中で実施した。実験は全て、センサーを1,000rpmで振盪させながら実施した。ForteBio製のデータ解析ソフトウェアを用いて、データを1:1結合モデルに当てはめ、会合速度及び解離速度を推定した。kDをkd/ka比を用いて計算した。典型的なエピトープビニングアッセイにおいて、10nM BTLA-HisをαHis抗体(10nM)とともに21℃で1時間プレインキュベートした。対照抗体(20nM)をAMCセンサー(ForteBio, Menlo Park, CA, US)に充填し、センサー上の残りのFc-結合部位を全マウスIgG抗体(Jackson, Bar Harbor, ME, US)でブロッキングした。センサーをプレインキュベートされた抗原/二次抗体混合物に曝露させた。データ解析ソフトウェア7.0(ForteBio, Menlo Park, CA, US)を用いて、生データを処理し、抗体ペアを競合的結合について評価した。第二の抗体によるさらなる結合は、占められていないエピトープ(非競合因子)を示し、一方、結合なしは、エピトープブロッキング(競合因子)を示している。SPR Biacore X-100もkD決定に用いた。プロテインAチップ又はマウスIgG捕捉抗体が固定されているCM5チップ(BIAcore, Zilina, SK)に、抗体を600応答単位(RU)でコーティングし、BTLA ECDをマイクロ流体チャネルに注入した。kD値をBIAevaluationソフトウェア(BIAcore, Zilina, SK)のフィッティングツールを用いて取得した。
【0358】
表11は、BTLAに対する抗BTLA mAb STC604、STC610、STC613、STC618、STC622、STC626、及びSTC635の動力学結合定数(k
a及びk
d速度)並びに結合親和性(K
D値)をまとめたものである。
図3A~Cは、BTLAに対する抗BTLA mAb STC613、STC626、及びSTC635の動力学結合定数及び結合親和性を決定するための例示的なSPR(BIAcore(商標))実験の結果を示している。
表11: BTLAに対する抗BTLA mAbの結合親和性
【表12】
【0359】
図4A及び表12は、STC613による例示的な競合アッセイ及びビニング実験の結果を示している。
図4B及び表13は、STC636による例示的な競合アッセイ及びビニング実験の結果を示している。表14は、ビニング結果のまとめを提供している。STC613及びSTC636は、BTLA結合について互いに競合しないことが分かった。STC605、STC608、STC626、STC627、STC628、STC630、STC631、及びSTC636は、BTLA結合についてSTC636と競合するが、STC613と競合しないことが分かった。STC604、STC606、STC610、STC613、STC618、STC622、及びSTC635は、BTLA結合についてSTC613と競合するが、STC636と競合しないことが分かった。
表12: STM613による抗BTLA mAbのビニング
【表13】
表13: STM636による抗BTLA mAbのビニング
【表14】
表14:ビニング結果のまとめ
【表15】
【0360】
(実施例6-グリコシル化BTLA結合抗体の中和活性)
抗BLTA mAbを、BTLA-HVEMタンパク質相互作用を阻害するその能力に関して、ELISAアッセイを用いて評価した。
【0361】
(ELISAによるBTLAとHVEMの相互作用の阻害)
抗体中和活性を、製造業者の指示に従って使用されるBTLA:HVEM阻害剤スクリーニングアッセイキット(Cat. # 72008, BPS Bioscience, San Diego, CA, US)によって評価した。BTLAを96ウェルプレートにコーティングし、次いで、まず0.5又は5μg/mLの抗体を、その後、ビオチン化HVEMを反応液に添加し、その後、ストレプトアビジン-HRPを添加した。HRP基質を添加した後、化学発光を測定した。
【0362】
表15は、阻害されないBTLA-HVEM相互作用のシグナルを表す対照と比べた阻害率として表される、BTLA-HVEMタンパク質相互作用を阻害する抗BTLA mAbの能力を示した例示的なELISA結果を提供している。例えば、5μg/mlの濃度で、STC613は99.0%のBTLA-HVEM相互作用を阻害することが分かり、STC626は96.8%のBTLA-HVEM相互作用を阻害することが分かり、STC635は97.3%のBTLA-HVEM相互作用を阻害することが分かった。
図5及び
図6は、BTLA-HVEM競合ELISAの例示的な結果を示している。STC613は、1.088μg/mlのIC
50で、BTLA-HVEM相互作用を阻害することが分かった。STC626は、0.416μg/mlのIC
50で、BTLA-HVEM相互作用を阻害することが分かった。
表15:抗BTLA mAbによるBTLA:HVEM相互作用の阻害
【表16】
【0363】
(実施例7-STC613のエピトープマッピング)
抗BTLA mAb STC613のエピトープマッピングを、化学的架橋、高質量MALDI質量分析、及びnLC-Orbitrap質量分析(CovalX AG, Zurich, Switzerland)を用いて実施した。
【0364】
STC613エピトープマッピングに使用されたBTLA抗原は、以下のアミノ酸配列を有していた:
【化3】
。
【0365】
表16~20は、Asp-N、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、及びサーモリシンタンパク質分解後に同定された個々のペプチドの配列を提供している。それと組み合わせて、5つ全てのタンパク質分解試料で同定されたBTLAエピトープは、配列番号86のBTLAアミノ酸配列の100%に及ぶ。
【0366】
表16は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列の84.3%に及ぶ、トリプシンタンパク質分解後に同定された34個のBTLAペプチドを提供している。
表16:トリプシンタンパク質分解後に同定されたBTLAペプチド
【表17】
*ペプチド位置は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列と比べて示されている。
【0367】
表17は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列の96.88%に及ぶ、キモトリプシンタンパク質分解後に同定された75個のBTLAペプチドを提供している。
表17:キモトリプシンタンパク質分解後に同定されたBTLAペプチド
【表18】
*ペプチド位置は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列と比べて示されている。
【0368】
表18は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列の26.56%に及ぶ、ASP-Nタンパク質分解後に同定された7個のペプチドを提供している。
表18: ASP-Nタンパク質分解後に同定されたBTLAペプチド
【表19】
*ペプチド位置は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列と比べて示されている。
【0369】
表19は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列の21.09%に及ぶ、エラスターゼタンパク質分解後に同定された4個のBTLAペプチドを提供している。
表19:エラスターゼタンパク質分解後に同定されたBTLAペプチド
【表20】
*ペプチド位置は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列と比べて示されている。
【0370】
表20は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列の50.00%に及ぶ、サーモリシンタンパク質分解後に同定された18個のBTLAペプチドを提供している。
表20:サーモリシンタンパク質分解後に同定されたBTLAペプチド
【表21】
*ペプチド位置は、配列番号86のBTLAアミノ酸配列と比べて示されている。
【0371】
STC613のBTLAエピトープを高分解能で決定するために、BTLA/STC613複合体を重水素化架橋剤とともにインキュベートし、多酵素切断(Asp-N、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、サーモリシン)に供し、nLC-Orbitrap質量分析を用いて、試料を分析した。トリプシン、ASP-N、及びエラスターゼ消化によって、架橋されたBTLA及びSTC613ペプチドは検出されなかった。表21は、キモトリプシンタンパク質分解後に同定された5つの架橋されたSTC613及びBTLAペプチドを提供している。表22は、サーモリシンタンパク質分解後に同定された1つの架橋されたSTC613-BTLAペプチドを提供している。
表21:キモトリプシンタンパク質分解後に重水素化架橋剤で同定されたBTLAペプチド
【表22】
*ペプチド位置は、配列番号2及び4(タンパク質1)、並びに配列番号86(タンパク質2)のBTLAアミノ酸配列と比べて示されている。
表22:サーモリシンタンパク質分解後に重水素化架橋剤で同定されたBTLAペプチド
【表23】
*ペプチド位置は、配列番号2及び4(タンパク質1)、並びに配列番号86(タンパク質2)のBTLAアミノ酸配列と比べて示されている。
【0372】
図7は、BTLA/STC613分子界面の高分解能分析の結果を示すグラフを示す。この分析は、STC613のBTLAエピトープが、以下のアミノ酸配列
【化4】
を含むBTLAの3つの領域を含むことを示した。
【0373】
STC613のBTLAエピトープは、BTLA(配列番号86)のアミノ酸R12、H16、K51、T57、S82、及びS86を含むことが分かった。
【0374】
本明細書の全体を通じて、様々な刊行物が参照されている。これらの刊行物の完全な開示は、本開示が関連する最先端の技術をより完全に記載するために本出願における引用により本明細書中に組み込まれる。ある特定の実施態様の例が本明細書に提供されているが、様々な変更及び修飾を行い得ることが当業者には明白であろう。そのような修飾もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
(参考文献)
以下の参考文献は、これらが本明細書に記載されるものを補足する例示的な手順の詳細又は他の詳細を提供する程度にまで、引用により本明細書中に具体的に組み込まれる。
【化5】
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
非グリコシル化BTLAと比べて、グリコシル化BTLAに選択的に結合する、単離されたモノクローナル抗体。
(構成2)
非グリコシル化BTLAと比べて、位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せでグリコシル化されているBTLAに選択的に結合する、構成1記載の抗体。
(構成3)
BTLAの位置N75、N94、N110、又はこれらの任意の組合せを含むBTLAのグリコシル化モチーフを特異的にマスクする、構成1記載の抗体。
(構成4)
前記抗体のグリコシル化BTLAに対する結合が、蛍光アッセイにおいて、非グリコシル化BTLAで示される蛍光強度よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、又は少なくとも10倍大きい蛍光強度によって示される、構成1記載の抗体。
(構成5)
配列番号2のアミノ酸配列を含む重可変領域及び配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、構成1記載の抗体。
(構成6)
配列番号30のアミノ酸配列を含む重可変領域及び配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、構成1記載の抗体。
(構成7)
配列番号58のアミノ酸配列を含む重可変領域及び配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、構成1記載の抗体。
(構成8)
(a)
(1)
(i)配列番号6、34、もしくは62、
(ii)配列番号9、37、もしくは65、
(iii)配列番号12、40、もしくは68、及び
(iv)配列番号15、43、もしくは71
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)
(i)配列番号7、35、もしくは63、
(ii)配列番号10、38、もしくは66、
(iii)配列番号13、41、もしくは69、及び
(iv)配列番号16、44、もしくは72
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
H
CDR2;並びに
(3)
(i)配列番号8、36、もしくは64、
(ii)配列番号11、39、もしくは67、
(iii)配列番号14、42、もしくは70、及び
(iv)配列番号17、45、もしくは73
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
H
CDR3;
:を含む重鎖可変(V
H
)領域、並びに/又は
(b)
(1)
(i)配列番号18、46、もしくは74、
(ii)配列番号21、49、もしくは77、
(iii)配列番号24、52、もしくは80、及び
(iv)配列番号27、55、もしくは83
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)
(i)配列番号19、47、もしくは75、
(ii)配列番号22、50、もしくは78、
(iii)配列番号25、53、もしくは81、及び
(iv)配列番号28、56、もしくは84
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;並びに
(3)
(i)配列番号20、48、もしくは76、
(ii)配列番号23、51、もしくは79、及び
(iii)配列番号26、54、もしくは82
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成1記載の抗体。
(構成9)
(1)
(i)配列番号6、34、又は62、
(ii)配列番号9、37、又は65、
(iii)配列番号12、40、又は68、及び
(iv)配列番号15、43、又は71
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)
(i)配列番号7、35、又は63、
(ii)配列番号10、38、又は66、
(iii)配列番号13、41、又は69、及び
(iv)配列番号16、44、又は72
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
H
CDR2;並びに
(3)
(i)配列番号8、36、又は64、
(ii)配列番号11、39、又は67、
(iii)配列番号14、42、又は70、及び
(iv)配列番号17、45、又は73
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域を含む、構成8記載の抗体。
(構成10)
(1)
(i)配列番号18、46、又は74、
(ii)配列番号21、49、又は77、
(iii)配列番号24、52、又は80、及び
(iv)配列番号27、55、又は83
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)
(i)配列番号19、47、又は75、
(ii)配列番号22、50、又は78、
(iii)配列番号25、53、又は81、及び
(iv)配列番号28、56、又は84
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;並びに
(3)
(i)配列番号20、48、又は76、
(ii)配列番号23、51、又は79、及び
(iii)配列番号26、54、又は82
:からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域を含む、構成8記載の抗体。
(構成11)
配列番号2、30、もしくは58であるV
H
配列、及び/又は配列番号4、32、もしくは60であるV
L
配列を含む、構成1記載の抗体。
(構成12)
配列番号2であるV
H
配列及び配列番号4であるV
L
配列を含むSTC613と表記される抗体;
配列番号30であるV
H
配列及び配列番号32であるV
L
配列を含むSTC626と表記される抗体;又は
配列番号58であるV
H
配列及び配列番号60であるV
L
配列を含むSTC635と表記される抗体
:に由来する3つ全ての重鎖相補性決定領域(CDR)及び/又は3つ全ての軽鎖CDRを含む、構成1記載の抗体。
(構成13)
STC613と表記される抗体に由来する3つ全ての重鎖CDR及び/又は3つ全ての軽鎖CDRを含む、構成12記載の抗体。
(構成14)
STC626と表記される抗体に由来する3つ全ての重鎖CDR及び/又は3つ全ての軽鎖CDRを含む、構成12記載の抗体。
(構成15)
STC635と表記される抗体に由来する3つ全ての重鎖CDR及び/又は3つ全ての軽鎖CDRを含む、構成12記載の抗体。
(構成16)
(a)表3、5、もしくは7に示されるV
H
CDR1、V
H
CDR2、及びV
H
CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(V
H
)領域;及び/又は
(b)表3、5、もしくは7に示されるV
L
CDR1、V
L
CDR2、及びV
L
CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成1記載の抗体。
(構成17)
表3、5、又は7に示されるV
H
CDR1、V
H
CDR2、及びV
H
CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(V
H
)領域を含む、構成16記載の抗体。
(構成18)
表3、5、又は7に示されるV
L
CDR1、V
L
CDR2、及びV
L
CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(V
L
)領域を含む、構成16記載の抗体。
(構成19)
(a)
(1)配列番号6、34、又は62のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号7、35、又は63のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号8、36、又は64のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号18、46、又は74のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号19、47、又は75のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;並びに
(3)配列番号20、48、及び76のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成1記載の抗体。
(構成20)
(a)
(1)配列番号6のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号7のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号8のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号18のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号19のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号20のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成19記載の抗体。
(構成21)
(a)
(1)配列番号34のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号35のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号36のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号46のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号47のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号76のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成19記載の抗体。
(構成22)
(a)
(1)配列番号62のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号63のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号64のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号74のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号75のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号76のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成19記載の抗体。
(構成23)
(a)
(1)配列番号9、37、又は65のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号10、38、又は63のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号11、39、又は67のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号21、49、又は77のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号22、50、又は78のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;並びに
(3)配列番号23、51、及び79のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成1記載の抗体。
(構成24)
(a)
(1)配列番号9のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号10のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号11のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号21のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号22のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号23のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成23記載の抗体。
(構成25)
(a)
(1)配列番号37のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号38のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号39のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号49のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号50のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号51のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成23記載の抗体。
(構成26)
(a)
(1)配列番号65のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号63のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号67のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号77のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号78のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号79のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成1記載の抗体。
(構成27)
(a)
(1)配列番号12、40、又は68のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号13、41、又は69のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号14、42、又は70のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号24、52、又は80のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号25、53、又は81のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;並びに
(3)配列番号26、54、及び82のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成1記載の抗体。
(構成28)
(a)
(1)配列番号12のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号13のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号14のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号24のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号25のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号26のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成27記載の抗体。
(構成29)
(a)
(1)配列番号40のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号41のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号42のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号52のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号53のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号54のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成27記載の抗体。
(構成30)
(a)
(1)配列番号68のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号69のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号70のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号80のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号81のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号82のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成27記載の抗体。
(構成31)
(a)
(1)配列番号15、43、又は71のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号16、44、又は72のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号17、45、又は73のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号27、55、又は83のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号28、56、又は84のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;並びに
(3)配列番号29、57、及び85のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成1記載の抗体。
(構成32)
(a)
(1)配列番号15のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号16のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号17のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号55のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号56のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号57のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成31記載の抗体。
(構成33)
(a)
(1)配列番号43のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号44のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号45のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号55のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号56のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号57のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成31記載の抗体。
(構成34)
(a)
(1)配列番号71のアミノ酸配列を有するV
H
CDR1;
(2)配列番号72のアミノ酸配列を有するV
H
CDR2、及び
(3)配列番号73のアミノ酸配列を有するV
H
CDR3
:を含む重鎖可変(V
H
)領域;並びに
(b)
(1)配列番号83のアミノ酸配列を有するV
L
CDR1;
(2)配列番号84のアミノ酸配列を有するV
L
CDR2;及び
(3)配列番号85のアミノ酸配列を有するV
L
CDR3
:を含む軽鎖可変(V
L
)領域
:を含む、構成31記載の抗体。
(構成35)
STC613と表記される抗体、STC626と表記される抗体、又はSTC635と表記される抗体と、グリコシル化BTLAに対する結合について競合する、構成1~34のいずれか一項記載の抗体。
(構成36)
配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の5以上の連続するアミノ酸の配列を含むBTLAエピトープに特異的に結合する、構成1~35のいずれか一項記載の抗体。
(構成37)
配列番号86のBTLAのR12、H16、K51、T57、S82、又はS86に対応するアミノ酸のうちの1つ又は複数を含むBTLAエピトープに特異的に結合する、構成1~36のいずれか一項記載の抗体。
(構成38)
BTLAに対するHVEM結合を阻害する、構成1~37のいずれか一項記載の抗体。
(構成39)
組換え体である、構成1~38のいずれか一項記載の抗体。
(構成40)
IgG、IgM、IgA、又はこれらの抗原結合断片である、構成1~39のいずれか一項記載の抗体。
(構成41)
Fab'、F(ab')2、F(ab')3、一価scFv、二価scFv、又は単一ドメイン抗体である、構成1~40のいずれか一項記載の抗体。
(構成42)
ヒト又はヒト化抗体である、構成1~41のいずれか一項記載の抗体。
(構成43)
イメージング剤、化学療法剤、毒素、又は放射性核種にコンジュゲートされている、構成1~42のいずれか一項記載の抗体。
(構成44)
構成1~43のいずれか一項記載の抗体を医薬として許容し得る担体中に含む組成物。
(構成45)
癌を有する対象を治療する方法であって、構成1~44のいずれか一項記載の抗体の有効量を該対象に投与することを含む、前記方法。
(構成46)
前記癌が、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、又は皮膚癌である、構成45記載の方法。
(構成47)
少なくとも第二の抗癌療法を前記対象に投与することをさらに含む、構成45又は46のいずれか一項記載の方法。
(構成48)
前記第二の抗癌療法が、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、又はサイトカイン療法である、構成47記載の方法。
(構成49)
BTLAグリコシル化を評価する方法であって、BTLA含有試料を構成1~43のいずれか一項記載の抗体と接触させることを含む、前記方法。
(構成50)
ヒトBTLAの位置N75、N94、又はN110に対応する少なくとも1つのアミノ酸を含むヒトBTLAの少なくとも7つの連続するアミノ酸の断片を含む単離されたポリペプチドであって、ヒトBTLAの位置N75、N94、及びN110に対応する該アミノ酸のうちの少なくとも1つがグリコシル化されている、前記単離されたポリペプチド。
(構成51)
ヒトBTLAの少なくとも8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20の連続するアミノ酸を含む、構成50記載のポリペプチド。
(構成52)
配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、又は169のアミノ酸配列の5以上の連続するアミノ酸の配列を含む、構成50記載のポリペプチド。
(構成53)
配列番号86のBTLAのR12、H16、K51、T57、S82、又はS86に対応する1以上のアミノ酸を含む、構成50記載のポリペプチド。
(構成54)
グリコシル化されているヒトBTLAの位置N75に対応するアミノ酸を含む、構成50~53のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成55)
グリコシル化されているヒトBTLAの位置N94に対応するアミノ酸を含む、構成54記載のポリペプチド。
(構成56)
グリコシル化されているヒトBTLAの位置N110に対応するアミノ酸を含む、構成54記載のポリペプチド。
(構成57)
癌を有する対象を治療する方法であって、構成50~56のいずれか一項記載のポリペプチドの有効量を該対象に投与することを含む、前記方法。
(構成58)
前記癌が、乳癌、肺癌、頭頸部癌、前立腺癌、食道癌、気管癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、結腸癌、直腸癌、又は皮膚癌である、構成57記載の方法。
(構成59)
少なくとも第二の抗癌療法を前記対象に投与することをさらに含む、構成57又は58記載の方法。
(構成60)
前記第二の抗癌療法が、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、又はサイトカイン療法である、構成59記載の方法。
(構成61)
構成50~56のいずれか一項記載のポリペプチドを医薬として許容し得る担体中に含む免疫原性組成物。
(構成62)
抗体を作製する方法であって、構成50~56のいずれか一項記載のポリペプチド又は構成61記載の組成物を動物に投与すること及び該動物から該抗体を単離することを含む、前記方法。
(構成63)
構成62記載の方法によって産生される単離された抗体。
(構成64)
非グリコシル化BTLAと比べて、構成50~56のいずれか一項記載のポリペプチドに選択的に結合する、単離された抗体。
(構成65)
構成50~56のいずれか一項記載のポリペプチドを医薬として許容し得る担体中に含む組成物。
【配列表】