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特許7227009チューブレスタイプのスポークホイール用ニップル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-13
(45)【発行日】2023-02-21
(54)【発明の名称】チューブレスタイプのスポークホイール用ニップル
(51)【国際特許分類】
   B60B 1/04 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
B60B1/04 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018568383
(86)(22)【出願日】2017-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017065299
(87)【国際公開番号】W WO2018001834
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】102016000067069
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507169141
【氏名又は名称】アルピナ・ラッジ・エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カッペロット,グイド
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-508758(JP,A)
【文献】特開2002-087004(JP,A)
【文献】特開平07-180710(JP,A)
【文献】特表2010-513128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム(21)およびスポーク(22)を有するホイール(20)と組み合わせて使用され、前記ホイール(20)の前記リム(21)の座部(23)内に挿入されるチューブレスタイプのスポークホイール用ニップル(1)であって、
前記スポークホイール用ニップル(1)は、
雌ねじが切られた軸方向の止まり穴(3)を有するロッド(2)と、
前記軸方向の穴(3)の開口部(4)に対して前記ロッド(2)の遠位側の端部に形成される第1の肩部(8)と、
前記開口部(4)に対して前記ロッド(2)の近位側の領域に、弾性リング(13)によって形成される第2の肩部(13)と、
前記ロッドの前記第1の肩部(8)の略後方の領域に設けられる、シールリング(15)のための第1の凹部(12)と、
を備え、
前記ロッド(2)には、前記開口部4から延在する第1の操作キー(16)が形成され、
前記操作キー(16)は、多角形の断面形状を有し、
前記操作キー(16)と前記ロッド(2)の第2の円筒部(6)との間には、第1の円筒部(5)が延在し、
前記第2の円筒部(6)は、前記第1の円筒部(4)の直径より大きい直径を有し、
前記ロッド(2)の前記第1の凹部(12)と前記弾性リング(13)によって形成される前記第2の肩部(13)との間の領域に設けられる、第2のシールリング(14)のための第2の凹部(11)を少なくとも1つ備え、
前記第2の肩部(13)は、前記開口部(4)に対して前記ロッド(2)の近位側の領域に設けられた第3の凹部(10)を備え、
前記第3の凹部には、前記弾性リング(13)が受容され、
前記弾性リング(13)は、らせん形ばねを有するタイプのものであり、
前記第3の凹部(10)には、前記弾性リング(13)を受容するための半円状の溝が設けられ、前記弾性リング(13)は、前記スポークホイール用ニップル(1)の前記第2の肩部として機能するらせん形ばねを有するタイプのものであり、
一方、前記スポークホイール用ニップル(1)が挿入される前記ホイール(20)の前記リム(21)の前記座部(23)は、前記スポークホイール用ニップル(1)の前記第1の肩部(8)の形状に適合するカップ状端部(24)と、表面(26)を終端とする円筒状内面(25)とを有し、
前記スポークホイール用ニップル(1)が前記ホイール(20)と組み合わせて使用されるとき、前記スポークホイール用ニップル(1)は、前記スポークホイール用ニップル(1)の前記第1の肩部(8)が前記ホイール(20)の前記リム(21)の前記座部(23)の前記カップ状端部(24)に受容されるまで、前記ホイール(20)の前記リム(21)の前記座部(23)内に挿入され、
この状態において、前記第3の凹部(10)は、前記座部(23)内の前記スポークホイール用ニップル(1)の軸方向の遊びが許容されるように、前記表面(26)から突出し、
この軸方向の遊びは、前記カップ状端部(24)と前記第1の肩部(8)とによって、また反対側では、前記弾性リング13より形成される前記第2の肩部(13)と前記表面(26)とによって、制限され、
前記座部23における前記スポークホイール用ニップル(1)の軸方向の動きは、いかなる状況においても前記第1の肩部(8)と前記第2の肩部(13)とによって制限され、前記シールリング(14,15)は、前記座部(23)の円筒状内面(25)に接触し続けることができる、
ことを特徴とする、スポークホイール用ニップル。
【請求項2】
前記シールリング(14,15)は、Oリングを有するタイプのものである、請求項に記載のスポークホイール用ニップル。
【請求項3】
前記第3の凹部(10)は、前記ロッド(2)の軸に沿って前記ロッド(2)の略中央位置に形成される、請求項1または2に記載のスポークホイール用ニップル。
【請求項4】
前記第2の円筒部(6)は、前記スポークホイール用ニップル(1)の前記第1の肩部(8)を形成するヘッド部(7)で終端し、
前記ヘッド部(7)は、球状部分を有するように丸みを帯びた前記第1の肩部(8)を有し、前記第1の肩部(8)の球状部分は、前記第2の円筒部(6)に対向する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のスポークホイール用ニップル。
【請求項5】
前記第2の円筒部(6)は、多角形の輪郭を有する第2の操作キー(9)を有し、
前記第2の操作キー(9)は、前記リム(21)の外側から前記スポークホイール用ニップル(1)を把持して回転するために使用される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のスポークホイール用ニップル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項の前提部に記載した特徴を有するタイプのスポークホイール用ニップルに関する。
【背景技術】
【0002】
これらの特徴を有するニップルは、本出願人の現行製造品および欧州特許第1926606号から知られている。
【0003】
エアチャンバを有さずに取付けられるスポークホイール(チューブレススポークホイール)、特にオンロードおよびオフロード競技用オートバイのホイールにおいて、ニップルは、スポークとリムとの間の最適な結合を提供する。しかしながら、このようなホイールは、そのホイールが受ける高い応力に起因する連続的な弾性変形に関する問題を有する。同様の変形が、応力ピークを伴ってリム・スポーク/ニップル組立体に伝達され、一定の頻度で、機械的疲労によるスポークの破損を引き起こす。
【0004】
欧州特許第1926606号に記載された解決手段は、リムとニップルとの間で摺動可能な機械的接続手段の作製に関し、これにより、スポークが先端に装着されたとき、ニップルは、シリンダ/ピストンタイプの交互の動きでリムの座部内を動くことができる。
【0005】
しかしながら、この接続手段は、シール用Oリングの損傷ならびに最終的には取り付けられたホイールの液密性を損なわせる埃や汚れの付着による問題を引き起こす可能性があることが分かった。さらに、おそらく高圧洗浄ノズル(lances)を用いてこれらの手段を競技後または通常の使用後に洗浄すると、ニップルとその液密性との間の非常に望ましくない高い変形性に関する問題が生じ得る。
【0006】
先行技術を代表する他の文献は、欧州特許第2094509号および欧州特許第2403721号である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明により対処すべき課題は、先行技術に関連して上述したすべての技術的欠点を克服するように構造的且つ機能的に構成されたスポークホイール用ニップルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、添付の請求項に従って構成されたニップルを用いた本発明によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して、非制限的な一例として例示する本発明の好適且つ非制限的な実施形態の詳細な説明によって明らかになるであろう。
図1】本発明に従って構成されたニップルの斜視図である。
図2図1に示すニップルのロッドの斜視図である。
図3図2に示すロッドの軸方向断面図である。
図4】本発明のニップルを有するスポークホイールの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図を参照すると、本発明に従って構成されたニップルが、全体として符号1によって示されている。
【0011】
ニップル1は、略円筒形のロッド2を備え、ロッド2は、軸Xに沿って雌ねじが切られた軸方向の止まり穴3を有する。
【0012】
穴3は、ロッド2の軸方向端部において開口する開口部4を有し、開口部4は、ロッドの全長よりも短い範囲に亘ってロッド内に延在する。
【0013】
ロッド2には、開口部4から延在する第1の操作キー16が形成される。この操作キーは、多角形、好ましくは正方形の断面形状を有する。
【0014】
第1の円筒部5が、操作キー16とロッド2の第2の円筒部6との間に延在し、第2の円筒部6は、第1の円筒部の直径より大きい直径を有する。
【0015】
円筒部6は、ニップルのヘッド部7を終端とする。ヘッド部7は、球状部分を有するように丸みを帯びた第1の肩部8と、多角形の輪郭を有する第2の操作キー9とを有する。第1の肩部8の球状部分は、円筒部6に対向し、第2の操作キー9は、ホイールリムの外側からニップルを把持して回転するために使用される。
【0016】
円筒部6に沿って、3つの凹部10,11,12が形成される。第1および第2の凹部11,12は、互いに前後に且つ第1の肩部8の後方の領域に形成され、第3の凹部10は、第1の肩部8に対してロッドの遠位側の軸に沿って、ロッドの略中央位置に形成される。
【0017】
第1および第2の凹部には、Oリングを有するシールリング14,15をそれぞれ受容するためのU字形の溝が設けられる。第3の凹部10には、弾性リング13を受容するための半円状の溝が設けられる。弾性リング13は、ニップル1の第2の肩部として機能するらせん形ばねを有するタイプのものである。
【0018】
リム21およびスポーク22を用いたホイール20を構成するために、リム21の座部23にニップル1がそれぞれ配置され、第1の操作キー16を使用することで、スポーク22はホイールの中心に向けて収束する。
【0019】
各座部23は、肩部8の形状に適合する球状部分を含むカップ状端部24と、表面26を終端とする円筒部25とを有する。ニップルは、肩部8がカップ状端部24に受容されるまで座部23内に挿入される。この状態において、第3の凹部10は、各座部23内のニップル1の軸方向の遊びが許容されるように、表面26から突出する。この軸方向の遊びは、カップ状端部24と肩部8とによって、また反対側では、弾性リング13が形成する肩部と表面26とによって、制限される。
【0020】
座部23内のニップル1の軸方向の動きは、いかなる状況においてもこれらの肩部によって制限されるため、シールリング14,15は、座部23の円筒状内面25に接触し続けることができる。
【0021】
したがって、本発明は、上述された課題を解決するとともに、最適な疲労耐性および空気圧を提供するための適切且つ改善された構造の組合せを含む複数の利点を達成する。
図1
図2
図3
図4